無線通信システム、基地局および無線通信方法
【課題】端末と基地局との間で呼接続が確立する前に、端末から呼接続要求を受信した基地局から他の基地局へ端末の呼接続先が変更された場合に、変更された呼接続先の基地局を介して管理装置と端末との間でデータを送受信すること。
【解決手段】第1の基地局1は、呼接続用の報知情報を送信する。第2の基地局3は、第1の基地局1の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する。端末5は、第1の基地局1または第2の基地局3に呼接続される。管理装置6は、端末5の位置および移動を管理する。第1の基地局1は、端末5から呼接続要求を受信したとき、呼接続要求を受信した端末5の呼接続先を第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用して管理装置6へ通知すると共に、第2の基地局3の周波数を端末5に通知する。端末5は、通知された周波数に基づいて第2の基地局3と呼接続を行う。
【解決手段】第1の基地局1は、呼接続用の報知情報を送信する。第2の基地局3は、第1の基地局1の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する。端末5は、第1の基地局1または第2の基地局3に呼接続される。管理装置6は、端末5の位置および移動を管理する。第1の基地局1は、端末5から呼接続要求を受信したとき、呼接続要求を受信した端末5の呼接続先を第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用して管理装置6へ通知すると共に、第2の基地局3の周波数を端末5に通知する。端末5は、通知された周波数に基づいて第2の基地局3と呼接続を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システム、基地局および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある領域で無線通信システムの運用中に使用可能な無線チャネルが不足した場合、当該領域で使用可能な無線チャネルを増やすため、基地局を増設することがある。基地局の増設の方法として、基地局同士をカスケード接続し、マスタとなる基地局がもう一方の基地局の呼処理に関する制御を行う技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−180056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基地局同士をカスケード接続する場合には、カスケード接続用のインタフェース部を設けることによるコストの増大や障害発生率の悪化という問題点がある。そこで、無線チャネルの容量を増やす基地局の配置方式として、例えばセルやセクタなどの通信可能領域が既存の基地局の通信可能領域と重なるように新たに基地局を設置し、両基地局の呼処理を上位の装置で制御することが考えられる。このような基地局の配置方式はオーバーレイ方式と呼ばれることがある。オーバーレイ方式にすれば、通信可能領域のチャネル容量を増やすことができる。
【0005】
しかしながら、例えば3rd Generation Partnership Project(3GPP、第3世代移動体通信システムの標準化プロジェクト)によって標準化が進められているLong Term Evolution(LTE、ロングタームエボリューション)システムでは、複数の基地局の呼処理を制御する上位の装置がない。そのため、LTEシステムにおいて、基地局Aにオーバーレイ方式で基地局Bを増設した場合に次のような問題点がある。
【0006】
基地局Aは、呼接続用の報知情報(止まり木チャネル)を送信しているとする。基地局Bは、報知情報を送信していないとする。基地局Aおよび基地局Bは、Mobility Management Entity(MME、モビリティマネージメントエンティティ)に接続されている。MMEは、端末の位置や移動の管理を行い、接続の設定や解放およびハンドオーバーの制御を行う管理装置である。
【0007】
基地局Aが端末からの呼接続要求を受信し、この端末との呼接続が確立する前の状態で、端末の呼接続先を基地局Bに変更しようとして端末に基地局Bの周波数を通知したとする。その場合、端末は、基地局Bの周波数を用いて基地局Bに接続しようとする。しかし、MMEは、報知情報を送信する基地局と端末とを関連づけて管理するため、端末が基地局Aの配下にいると認識してしまう。つまり、MMEは、報知情報を送信していない基地局Bの配下に端末がいることを認識することができない。そのため、MMEは、基地局Aを介して端末からデータを受信しようとし、基地局Aを介して端末へデータを送信しようとする。そのため、基地局Bを介してMMEと端末との間でデータを送受信することができない。
【0008】
端末と基地局との間で呼接続が確立する前に、端末から呼接続要求を受信した基地局から他の基地局へ端末の呼接続先が変更された場合に、変更された呼接続先の基地局を介して管理装置と端末との間でデータを送受信することができる無線通信システム、基地局および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この無線通信システムは、第1の基地局、第2の基地局、端末および管理装置を備える。第1の基地局は、呼接続用の報知情報を送信する。第2の基地局は、第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する。端末は、第1の基地局または第2の基地局に呼接続される。管理装置は、端末の位置および移動を管理する。第1の基地局は、端末から呼接続要求を受信したとき、呼接続要求を受信した端末の呼接続先を第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して管理装置へ通知すると共に、第2の基地局の周波数を端末に通知する。端末は、通知された周波数に基づいて第2の基地局と呼接続を行う。
【発明の効果】
【0010】
この無線通信システム、基地局および無線通信方法によれば、端末と基地局との間で呼接続が確立する前に、端末から呼接続要求を受信した基地局から他の基地局へ端末の呼接続先が変更された場合に、変更された呼接続先の基地局を介して管理装置と端末との間でデータを送受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】実施例1にかかる基地局を示すブロック図である。
【図3】実施例1にかかる無線通信方法を説明するシーケンス図である。
【図4】実施例2にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかる基地局を示すブロック図である。
【図6】実施例2にかかる基地局の制御部を示すブロック図である。
【図7】実施例2にかかる基地局の局データの一例を説明する図である。
【図8】実施例2にかかる基地局のオーバーレイ基地局管理データの一例を説明する図である。
【図9】実施例2にかかる端末を示すブロック図である。
【図10】実施例2にかかるMMEを示すブロック図である。
【図11】実施例2にかかる無線通信方法において基地局の運転開始時の手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図12】実施例2にかかる無線通信方法において基地局間の運転状況監視手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図13】実施例2にかかる無線通信方法において端末からの発呼手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図14】図13の続きを示すシーケンス図である。
【図15】実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局からのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図16】図15の続きを示すシーケンス図である。
【図17】実施例2にかかる無線通信方法において呼解放手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図18】実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局へのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この無線通信システム、基地局および無線通信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施例1)
・無線通信システムの説明
図1は、実施例1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように、無線通信システムは、第1の基地局1、第2の基地局3、端末5および管理装置としてのMME6を備えている。第1の基地局1と第2の基地局3とは、同一のアンテナから同一の指向性で同一の出力で電波を送信する。第2の基地局3の通信可能領域は、第1の基地局1の通信可能領域と重なっている。ここでは、物理的には別々のアンテナであっても、地理的には同一箇所に設置されており、一本のアンテナと見なすことができるアンテナ群を含めて同一のアンテナと呼んでいる。また、通信可能領域が完全に一致していなくても、基地局の設置者(通信事業者)が意図的に通信可能領域をずらすような設定をしていない場合に、通信可能領域が重なるとしている。一方の基地局の通信可能領域が他方の基地局の通信可能領域を包含するような構成も通信可能領域が重なる場合の一例として含んでいてもよい。第1の基地局1および第2の基地局3は、オーバーレイ方式で運用されている。第1の基地局1は、呼接続用の報知情報(止まり木チャネル)を送信している。第1の基地局1は、端末5から呼接続要求を受信したときに次の動作を行う。第1の基地局1は、端末5と自局または第2の基地局3との間の呼接続が確立していないときに、端末の呼接続先を第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6へ通知する。また、第1の基地局1は、第2の基地局3の周波数を端末5に通知する。第2の基地局3は、端末5の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6から通知されたときに、端末5との呼接続を行う。端末5は、第1の基地局1から通知された第2の基地局3の周波数に基づいて第2の基地局3と呼接続を行う。
【0014】
第1の基地局1および第2の基地局3は、MME6に接続されている。また、無線通信システムは、例えば第1の基地局1および第2の基地局3に隣接するセルの第3の基地局7を備えている。第3の基地局7は、第1の基地局1または第2の基地局3とはオーバーレイ方式で運用されていない。第3の基地局7は、MME6に接続されている。各基地局1,3,7とMME6との間では、例えばS1AP(S1 Application Protocol、S1アプリケーションプロトコル)によって信号が送受信される。第1の基地局1と第2の基地局3と第3の基地局7との間では、例えばX2AP(X2 Application Protocol、X2アプリケーションプロトコル)によって信号が送受信される。
【0015】
・基地局の説明
図2は、実施例1にかかる基地局を示すブロック図である。図2に示すように、第1の基地局1は、第1のインタフェース部11、第2のインタフェース部12および制御部13を備える。第1のインタフェース部11は、端末5と無線信号の送受信を行う。第2のインタフェース部12は、MME6と接続する。制御部13は、第1のインタフェース部11を介して自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末5からの呼接続要求に基づいて、この端末5の呼接続先を自局の通信可能領域2と重なる通信可能領域4を有する第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用して第2のインタフェース部12を介してMME6へ通知する。制御部13は、第2の基地局3の周波数を第1のインタフェース部11を介して端末5に通知する。第2の基地局3は、第1のインタフェース部16、第2のインタフェース部17および制御部18を備える。第1のインタフェース部17は、端末5と無線信号の送受信を行う。第2のインタフェース部17は、MME6と接続する。制御部18は、第1の基地局1が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末5からの呼接続要求に基づいて、この端末5の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して第2のインタフェース部17を介してMME6から通知されたときに端末5との呼接続を行う。
【0016】
・無線通信方法の説明
図3は、実施例1にかかる無線通信方法を説明するシーケンス図である。図3に示すように、第1の基地局1は、端末5から呼接続要求を受信すると(ステップS1)、端末5の呼接続先を第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6へ通知する(ステップS2)。第2の基地局3は、端末5の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6から通知される(ステップS3)。また、第1の基地局1は、ステップS1の後、第2の基地局3の周波数を端末5に通知する(ステップS4)。端末5は、第1の基地局1から通知された周波数に基づいて第2の基地局3と呼接続を行い、端末5と第2の基地局3との呼接続が確立する(ステップS5)。それによって、端末5とMME6との間で第2の基地局3を介して上りリンクおよび下りリンクのデータの送受信が開始される(ステップS6)。
【0017】
実施例1によれば、第1の基地局1がハンドオーバー手順に従ってMME6へ端末5の呼接続先を第2の基地局3に移すことを通知するので、MME6は、端末5の接続先が第2の基地局3に移ることを認識することができる。第2の基地局3は、MME6から端末5の呼接続先が自局に移ることを通知されるので、端末5との呼接続を行うことができる。第1の基地局1が第2の基地局3の周波数を端末5へ通知するので、端末5は、第2の基地局3と呼接続を行うことができる。従って、端末5と第1の基地局1または第2の基地局3との間の呼接続が確立していない状態で端末5の呼接続先が第1の基地局1から第2の基地局3に移されても、端末5とMME6とは第2の基地局3を介してデータの送受信を行うことができる。
【0018】
(実施例2)
実施例1にかかる無線通信システム、基地局および無線通信方法は、複数の基地局の通信可能領域が重なる無線通信システムに適用することができる。また、通信可能領域が重なる複数の基地局を制御する上位の装置がない無線通信システムに適用することができる。実施例2では、LTEシステムに適用した例について説明する。
【0019】
・無線通信システムの構成
図4は、実施例2にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図4に示すように、マスター基地局21の例えばセル22とオーバーレイ基地局23の例えばセル24とが重なっている。端末25は、マスター基地局21のセル22に在圏する場合、マスター基地局21と接続する。または、オーバーレイ基地局23の運転状況によっては、端末25は、マスター基地局21に呼接続要求を送信した後、マスター基地局21およびオーバーレイ基地局23との呼接続が確立する前に、ハンドオーバーの手順に従って、オーバーレイ基地局23に接続することがある。マスター基地局21およびオーバーレイ基地局23は、ネットワーク26に接続されている。このネットワーク26には、MME27が接続されている。
【0020】
端末25がオーバーレイ基地局23と接続することによって、端末25はオーバーレイ基地局23に収容される。その分、マスター基地局21のチャネルに空きができる。マスター基地局21は、例えば実施例1における第1の基地局1に相当する。マスター基地局21のセル22は、例えば実施例1における第1の基地局1の通信可能領域2に相当する。オーバーレイ基地局23は、例えば実施例1における第2の基地局3に相当する。オーバーレイ基地局23のセル24は、例えば実施例1における第2の基地局3の通信可能領域4に相当する。
【0021】
・基地局の構成
図5は、実施例2にかかる基地局を示すブロック図である。基地局30は、ハイウェイ部31、ベースバンド信号処理部32、無線部33および制御部34を備えている。ハイウェイ部31は、例えばハードウェアを含む物理的なインタフェースである。ハイウェイ部31は、MME27や図示しないServing Gateway(サービングゲートウェイ)との間でパケットの送受信を行う。ハイウェイ部31は、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局との間でパケットの送受信を行う。ハイウェイ部31は、自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間でパケットの送受信を行う。ベースバンド信号処理部32は、ベースバンド信号の処理を行う。ベースバンド信号処理部32は、1枚以上の呼処理用カード(BB(Base Band)カード)35を備えている。ベースバンド信号処理部32は、無線部33を介して1台以上の端末25と通信する。無線部33は、図示省略した増幅器やアンテナを備えている。無線部33は、ベースバンド信号を無線信号に変換し、増幅器により増幅して、アンテナから送信する。無線部33は、アンテナから受信した無線信号をベースバンド信号に変換する。例えばセルに複数のセクタが含まれている場合、無線部33はセクタごとに設けられる。制御部34は、基地局30における呼制御を実施する。制御部34は、ハイウェイ部31、ベースバンド信号処理部32および無線部33を制御し、1台以上の端末25との接続や、MME27などの上位コアノードとの接続を行う。制御部34は、無線区間の品質測定を行う。制御部34は、呼接続の確立前に、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局との間のハンドオーバーの手順を制御する。制御部34は、呼接続の確立後に、自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間のハンドオーバーを制御する。マスター基地局21の構成は、図5に示す基地局30の構成と同様である。オーバーレイ基地局23の構成は、図5に示す基地局30の構成と同様であってもよい。
【0022】
・基地局の制御部の構成
図6は、実施例2にかかる基地局の制御部を示すブロック図である。基地局30の制御部34は、基地局間インタフェース部41、呼制御部42、端末インタフェース部43、MMEインタフェース部44、インタフェース管理部45、局データ展開部46、報知情報送信部47、オーバーレイ基地局管理データ48および局データ49を備えている。呼制御部42は、端末25やMME27などの上位コアノードとの接続のシーケンスや、自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間のハンドオーバーのシーケンスを制御する。呼制御部42は、ベースバンド信号処理部32や無線部33の制御を実施する。呼制御部42は、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局との間で、接続のシーケンスやハンドオーバーのシーケンスを制御する。端末インタフェース部43は、端末25との間で信号、例えばRRC(Radio Resource Control、ラジオリソースコントロール)信号の送受信を行う。基地局間インタフェース部41は、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局や自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間で信号、例えばX2AP信号の送受信を行う。MMEインタフェース部44は、MME27との間で信号、例えばS1AP信号の送受信を行う。端末インタフェース部43、基地局間インタフェース部41およびMMEインタフェース部44は、例えばソフトウェアにより信号の送受信を行う。インタフェース管理部45は、呼処理リソースや無線リソースの管理を行う。基地局30がマスター基地局である場合には、インタフェース管理部45は、オーバーレイ基地局のリソース管理も行う。局データ49は、オーバーレイ基地局の有無や、自局がオーバーレイ基地局であるか否かなどの情報を有する。局データ49は、例えばメモリに格納されている。局データ49の一例を図7に示す。局データ展開部46は、運転開始時や運転の再開時に局データ49を利用可能な状態に展開し、オーバーレイ基地局の有無や、自局がオーバーレイ基地局であるか否かの判断を行う。オーバーレイ基地局管理データ48は、オーバーレイ基地局の運転状況に関する情報を有する。オーバーレイ基地局管理データ48は、例えばメモリに格納される。オーバーレイ基地局管理データ48の一例を図8に示す。報知情報送信部47は、呼接続用の報知情報の送信を行う。基地局30がマスター基地局である場合、報知情報送信部47は、呼接続用の報知情報を送信する。基地局30がオーバーレイ基地局である場合、報知情報送信部47は、呼接続用の報知情報を送信しなくてもよい。
【0023】
端末インタフェース部43は、実施例1における第1のインタフェース部11,16に相当する。MMEインタフェース部44は、実施例1における第2のインタフェース部12,17に相当する。呼制御部42は、実施例1における制御部13,18に相当する。基地局30がオーバーレイ基地局としてのみ動作する局である場合、上述した基地局30の構成において、オーバーレイ基地局管理データ48はなくてもよい。また、オーバーレイ基地局が呼接続用の報知情報を送信しない場合には、報知情報送信部47はなくてもよい。
【0024】
・局データの一例
図7は、実施例2にかかる基地局の局データの一例を説明する図である。図7に示すように、局データ49は、例えばオーバーレイ基地局の有無を示す情報と、オーバーレイ基地局がある場合のオーバーレイ基地局のアドレスや周波数オフセットやセクタの有無や収容可能な呼数などの情報を有する。局データ49は、例えば自局がオーバーレイ基地局であるか否かを示す情報(例えば、図中「オーバーレイ基地局指示」)と、自局がオーバーレイ基地局である場合のマスター基地局のアドレスの情報を有する。なお、局データ49は、これらの情報の一部を有していてもよいし、これらの情報以外の情報を有していてもよい。
【0025】
・オーバーレイ基地局管理データの一例
図8は、実施例2にかかる基地局のオーバーレイ基地局管理データの一例を説明する図である。図8に示すように、オーバーレイ基地局管理データ48は、例えばオーバーレイ基地局の運転状況を示す情報、各セクタの運転状況を示す情報、オーバーレイ基地局において収容可能な呼数の情報および使用中の呼数の情報を有する。オーバーレイ基地局の運転状況を示す情報は、自局とオーバーレイ基地局との通信状態が正常であるか、または切断された状態にあるかを示す情報である。各セクタの運転状況を示す情報は、例えば各セクタの増幅器やアンテナが正常であるか否かを示す情報である。なお、オーバーレイ基地局管理データ48は、これらの情報の一部を有していてもよいし、これらの情報以外の情報を有していてもよい。
【0026】
・端末の構成
図9は、実施例2にかかる端末を示すブロック図である。図9に示すように、端末25は、表示操作部51、ベースバンド信号処理部52、無線部53および制御部54を備えている。表示操作部51は、図示しない画面への表示やキー入力の検出を行う。ベースバンド信号処理部52は、ベースバンド信号の処理を行う。ベースバンド信号処理部52は、無線部53を介して、基地局30から送信された信号からRRC信号やパケット信号を抜き出す。ベースバンド信号処理部52は、制御部54にRRC信号やパケット信号を渡す。ベースバンド信号処理部52は、制御部54から渡された信号に対して秘匿処理やベースバンド信号処理を行う。無線部53は、増幅器やアンテナを備えている。無線部53は、ベースバンド信号を無線信号に変換し、増幅器により増幅して、アンテナから送信する。無線部53は、アンテナから受信した無線信号をベースバンド信号に変換する。制御部54は、アイドル状態や通信状態において、ベースバンド信号処理部52や無線部53を制御し、基地局30との通信処理やパケット処理を行う。
【0027】
・MMEの構成
図10は、実施例2にかかるMMEを示すブロック図である。図10に示すように、MME27は、ハイウェイ部61および制御部62を備えている。ハイウェイ部61は、基地局30との間、およびサービングゲートウェイやIMS(Internet Protocol Multimedia Subsystem)網等の公衆通信網などの他ノードとの間で、パケット信号の送受信を行うインタフェースである。制御部62は、ハイウェイ部61を介して基地局30や他のノードとの間の信号処理を実施する。制御部62は、端末25の移動管理を行う。
【0028】
・マスター基地局の運転開始時(再開時)の手順の一例
図11は、実施例2にかかる無線通信方法において基地局の運転開始時の手順の一例を説明するシーケンス図である。図11に示すように、マスター基地局21の運転が開始されると、マスター基地局21は、局データ49を読み込み、局データ展開部46により局データ49を利用可能な状態に展開する(ステップS11)。そして、マスター基地局21は、展開した局データ49に基づいてオーバーレイ基地局23の有無を認識する(ステップS12)。オーバーレイ基地局23がない場合には、マスター基地局21は、通常の基地局として動作する。ここでは、オーバーレイ基地局23があるとする。オーバーレイ基地局23がある場合、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23の情報を利用可能な状態に展開する(ステップS13)。次いで、マスター基地局21は、局データ49およびオーバーレイ基地局管理データ48を初期化する(ステップS14)。
【0029】
一方、オーバーレイ基地局23は、局データ49を読み込み、局データ展開部46により局データ49を利用可能な状態に展開する(ステップS15)。そして、オーバーレイ基地局23は、展開した局データ49に基づいて自局がオーバーレイ基地局23であることを認識する(ステップS16)。マスター基地局21は、局データ49およびオーバーレイ基地局管理データ48の初期化後、オーバーレイ基地局23にオーバーレイ基地局23の運転状況を要求する(ステップS17)。
【0030】
オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21から運転状況の要求を受け取ると、自局の運転状況を収集し、報告信号を作成する(ステップS18)。オーバーレイ基地局23は、作成した報告信号をマスター基地局21へ送信することにより、マスター基地局21に自局の運転状況を報告する(ステップS19)。マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23から運転状況の報告を受け取ると、オーバーレイ基地局23の運転状況をオーバーレイ基地局管理データ48として例えばメモリに格納する(ステップS20)。そして、マスター基地局21は、内蔵するタイマを起動する(ステップS21)。マスター基地局21が何らかの理由により運転を停止していた状態から運転を再開するときの手順も同様である。
【0031】
・基地局間の運転状況監視手順の一例
図12は、実施例2にかかる無線通信方法において基地局間の運転状況監視手順の一例を説明するシーケンス図である。図12に示すように、マスター基地局21において、上述したステップS21で起動されたタイマによって周期的にイベントが起動されると、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23にオーバーレイ基地局23の運転状況を要求する(ステップS31)。オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21から運転状況の要求を受け取ると、上述したステップS18と同様にして報告信号を作成する(ステップS32)。そして、オーバーレイ基地局23は、作成した報告信号をマスター基地局21へ送信することによりマスター基地局21に自局の運転状況を報告する(ステップS33)。マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23から運転状況の報告を受け取ると、受け取ったオーバーレイ基地局23の運転状況に基づいてオーバーレイ基地局管理データ48を更新する(ステップS34)。
【0032】
・端末からの発呼手順の一例
図13および図14は、実施例2にかかる無線通信方法において端末からの発呼手順の一例を説明するシーケンス図である。図13に示すように、端末からの発呼時には、端末25は、呼接続用の報知情報を送信しているマスター基地局21に対してRRCコネクションを要求する(RRC CONN Req:RRC Connection Request、ステップS41)。マスター基地局21は、端末25にRRCコネクションの設定を要求する(RRC CONN SETUP:RRC Connection Setup、ステップS42)。端末25は、RRCコネクションを設定し、マスター基地局21にRRCコネクションの設定を完了したことを通知する(RRC CONN SETUP Comp:RRC Connection Setup Complete、ステップS43)。次いで、端末25は、マスター基地局21にサービスへの接続を要求する(Service Request、ステップS44)。
【0033】
マスター基地局21は、端末25からサービスへの接続の要求を受け付けると、この端末25からの呼に対して、制御プレーン(Cプレーン)において呼(端末)をユニークに識別する情報としてeNB UE S1AP IDを割り付ける。これ以降、マスター基地局21は、このeNB UE S1AP IDを使用してMME27との間でユーザーの信号を送受信する。マスター基地局21は、MME27にサービスへの接続を要求する(Service Request、ステップS45)。マスター基地局21は、このサービスへの接続の要求とともにMME27にeNB UE S1AP IDを通知する。
【0034】
MME27は、マスター基地局21からeNB UE S1AP IDを受け取ると、端末25からの呼に対して、Cプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてMME UE S1AP IDを割り付ける。これ以降、MME27は、このMME UE S1AP IDを使用してマスター基地局21との間でユーザーの信号を送受信する。MME27は、端末25にセキュリティ情報を送信する(Security Mode Command、ステップS46)。MME27は、このセキュリティ情報とともにマスター基地局21にMME UE S1AP IDを通知する。
【0035】
一方、端末25は、セキュリティ情報を設定し、MME27にセキュリティ情報の設定を完了したことを通知する(Security Mode Complete、ステップS47)。MME27は、マスター基地局21に初期コンテキストの設定を要求する(Initial Context Setup Request、ステップS48)。マスター基地局21は、マスター基地局21とオーバーレイ基地局23の運転状況を読み込む(ステップS49)。
【0036】
図14に示すように、マスター基地局21は、マスター基地局21の運転状況とオーバーレイ基地局23の運転状況とに基づいて、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させるか否かを判断する。例えば、オーバーレイ基地局23の収容可能な呼数に空きがある場合に、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断してもよい。あるいは、オーバーレイ基地局23の収容可能な呼数の空きがマスター基地局21の収容可能な呼数の空きよりも多い場合に、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断してもよい。ここでは、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断したとする(ステップS50)。
【0037】
マスター基地局21は、MME27にオーバーレイ基地局23へのハンドオーバーが必要であることを通知する(Handover Required、ステップS51)。MME27は、オーバーレイ基地局23に対して、Cプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてMME UE S1AP IDを割り付ける。また、MME27は、オーバーレイ基地局23に対して、ユーザープレーン(Uプレーン)において呼(端末)をユニークに識別する情報としてUL GTP TEIDを割り付ける。MME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDは、コネクション単位で管理される。これ以降、MME27は、これらMME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDを使用してオーバーレイ基地局23との間でユーザーの信号およびパケットを送受信する。MME27は、オーバーレイ基地局23にハンドオーバーの要求を通知する(Handover Request、ステップS52)。MME27は、このハンドオーバーの要求とともにオーバーレイ基地局23にMME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDを通知する。
【0038】
オーバーレイ基地局23は、MME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDを受け取ると、MME27に対して、Cプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてeNB UE S1AP IDを割り付ける。また、オーバーレイ基地局23は、MME27に対して、Uプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてDL GTP TEIDを割り付ける。eNB UE S1AP IDおよびDL GTP TEIDは、コネクション単位で管理される。これ以降、オーバーレイ基地局23は、これらeNB UE S1AP IDおよびDL GTP TEIDを使用してMME27との間でユーザーの信号およびパケットを送受信する。オーバーレイ基地局23は、MME27にハンドオーバーの承諾を通知する(Handover Request Ack:Handover Request Acknowledgement、ステップS53)。オーバーレイ基地局23は、このハンドオーバーの承諾とともにMME27にeNB UE S1AP IDおよびDL GTP TEIDを通知する。
【0039】
MME27は、マスター基地局21にハンドオーバーを指示する(Handover Command、ステップS54)。ハンドオーバーの実施によってオーバーレイ基地局23の運転状況が変わるので、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局管理データ48(例えば「使用中呼数」)を、ハンドオーバー後のオーバーレイ基地局23の運転状況を反映させた内容に更新する(ステップS55)。
【0040】
次いで、マスター基地局21は、端末25に、オーバーレイ基地局23の周波数を通知し、RRCコネクションの再設定を通知する(RRC CONN Reconf:RRC Connection Reconfiguration、ステップS56)。マスター基地局21は、MME27に初期コンテキストの設定を完了したことを通知する(Initial Context Setup Complete、ステップS57)。RRCコネクションの再設定および初期コンテキストの設定完了によって、端末25とオーバーレイ基地局23との間で無線ベアラが確立する(Radio Bearer Establishment、ステップS58)。すなわち、ハンドオーバーの手順に従ってマスター基地局21からオーバーレイ基地局23に端末25の接続先が変更される。オーバーレイ基地局23は、MME27にハンドオーバーが実施されたことを通知する(Handover Notify、ステップS59)。これ以降、端末25とMME27との間でオーバーレイ基地局23を介して上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)が送受信される(ステップS60)。
【0041】
ステップS50において、マスター基地局21が端末25を自局に接続させると判断した場合には、端末25とマスター基地局21との間で無線ベアラが確立する。すなわち、ステップS51からステップS59までが省略され、マスター基地局21からオーバーレイ基地局23への接続先の変更が実施されない。
【0042】
・他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー手順の一例
図15および図16は、実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。図15に示すように、他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー時には、端末25は、通信品質を測定し、この他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)に通信品質の測定結果を通知する(Measurement Report、ステップS71)。当該他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、自局と端末25との通信の品質が悪い場合、MME27に通信品質の良い例えばマスター基地局21へのハンドオーバーが必要であることを通知する(Handover Required、ステップS72)。このときのハンドオーバー先は、呼接続用の報知情報を送信しているマスター基地局21となる。MME27は、マスター基地局21にハンドオーバーの要求を通知する(Handover Request、ステップS73)。
【0043】
マスター基地局21は、マスター基地局21とオーバーレイ基地局23の運転状況を読み込む(ステップS74)。マスター基地局21は、マスター基地局21の運転状況とオーバーレイ基地局23の運転状況とに基づいて、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させるか否かを判断する。このときの判断基準は、例えば上述したステップS50において説明した通りである。ここでは、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断したとする(ステップS75)。マスター基地局21は、ハンドオーバーを承諾し、MME27にオーバーレイ基地局23をハンドオーバー先とすることを通知する(Handover Request Ack、ステップS76)。MME27は、端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)にハンドオーバーを指示する(Handover Command、ステップS77)。
【0044】
図16に示すように、端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、端末25に、オーバーレイ基地局23の周波数を通知し、オーバーレイ基地局23をハンドオーバー先としてRRCコネクションを再設定することを通知する(RRC Connection Reconf、ステップS78)。次いで、上述したステップS51からステップS60まで(ただし、ステップS56とステップS57を除く)と同様にして、端末25とオーバーレイ基地局23との間で無線ベアラが確立し、端末25とMME27との間でオーバーレイ基地局23を介して上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)が送受信される(ステップS79〜ステップS86)。ステップS75において、マスター基地局21が端末25を自局に接続させると判断した場合には、ステップS78において端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、端末25にマスター基地局21の周波数を通知する。そして、ステップS79からステップS85までが実施されない。また、端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー先がマスター基地局21となるので、端末25とマスター基地局21との間で無線ベアラが確立する。
【0045】
・オーバーレイ基地局における呼解放手順の一例
図17は、実施例2にかかる無線通信方法において呼解放手順の一例を説明するシーケンス図である。図17に示すように、端末25は、オーバーレイ基地局23に接続されており、端末25とMME27との間で、上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)が送受信されている(ステップS91)。この状況において、端末25は、オーバーレイ基地局23に呼の解放を通知する(RRC Connection Release、ステップS92)。オーバーレイ基地局23は、MME27に端末のコンテキストの解放を要求する(UE Context Release Request:User Equipment Context Release Request、ステップS93)。MME27は、オーバーレイ基地局23に端末のコンテキストの解放を指示する(UE Context Release Command、ステップS94)。オーバーレイ基地局23は、端末25の呼を解放し、端末25にRRCコネクションの再設定を通知する(RRC Connection Reconf、ステップS95)。オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21に例えばX2AP信号によって端末25の呼の解放を通知する(UE Context Release、ステップS96)。呼の解放によってオーバーレイ基地局23の運転状況が変わったので、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局管理データ48(例えば「使用中呼数」)を、呼の解放後のオーバーレイ基地局23の運転状況を反映させた内容に更新する(ステップS97)。
【0046】
・オーバーレイ基地局から他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバー手順の一例
図18は、実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。図18に示すように、端末25がオーバーレイ基地局23に接続されている状況において、端末25は、通信品質を測定し、オーバーレイ基地局23に通信品質の測定結果を通知する(Measurement Report、ステップS101)。オーバーレイ基地局23は、自局と端末25との通信の品質が悪い場合、MME27に通信品質の良い他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバーが必要であることを通知する(Handover Required、ステップS102)。MME27は、他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)にハンドオーバーの要求を通知する(Handover Request、ステップS103)。当該他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、MME27にハンドオーバーの承諾を通知する(Handover Request Ack、ステップS104)。
【0047】
MME27は、オーバーレイ基地局23にハンドオーバーを指示する(Handover Command、ステップS105)。オーバーレイ基地局23は、端末25に、ハンドオーバー先となる基地局の周波数を通知し、この基地局をハンドオーバー先としてRRCコネクションを再設定することを通知する(RRC Connection Reconf、ステップS106)。RRCコネクションの再設定によって、端末25と他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)との間で無線ベアラが確立する(Radio Bearer Establishment、ステップS107)。すなわち、オーバーレイ基地局23から他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバーが実施される。ハンドオーバー先の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、MME27にハンドオーバーが実施されたことを通知する(Handover Notify、ステップS108)。それによって、端末25とMME27との間で他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)を介して上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)の送受信が開始される(ステップS109)。オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21に例えばX2AP信号によって端末25の呼の解放を通知する(UE Context Release、ステップS110)。マスター基地局21は、オーバーレイ基地局管理データ48を、呼の解放後のオーバーレイ基地局23の運転状況を反映させた内容に更新する(ステップS111)。
【0048】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、オーバーレイ基地局23が呼接続用の報知情報(止まり木チャネル)を送信しない場合には、呼接続用の報知情報に割り当てる分の電力をユーザー回線に割り当てることができる。従って、ユーザー回線の容量をより多く確保することができる。また、端末25の接続先をマスター基地局21からオーバーレイ基地局23へ遷移させる際にハンドオーバーの手順に従うことによって、オーバーレイ基地局23に対してRRCコネクションの要求からやり直さずに済む。従って、無線接続が確立するまでの時間を短縮することができる。端末25の消費電力を減らすことができる。また、基地局の運用中にこの基地局のセル内のユーザー数が当初の想定数よりも増えた場合、この基地局の局舎にオーバーレイ基地局23となる基地局装置を設置するだけでよいので、柔軟な置局設計が可能となる。また、マスター基地局21がオーバーレイ基地局23のリソースを管理するので、マスター基地局21およびオーバーレイ基地局23を制御する上位の装置がなくても、これらの基地局をオーバーレイ方式で運用することができる。また、マスター基地局21は、自局の運転開始時および運転中に周期的にオーバーレイ基地局23の運転状況に関する情報を取得するので、常にオーバーレイ基地局23の運転状況を把握することができる。また、オーバーレイ基地局23の運転状況に変化があるとオーバーレイ基地局管理データ48が更新されるので、マスター基地局21は、常に最新のオーバーレイ基地局23の運転状況を把握することができる。
【0049】
上述した実施例1、2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0050】
(付記1)呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおいて、前記第1の基地局は、前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知し、前記端末は、前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行うことを特徴とする無線通信システム。
【0051】
(付記2)前記第1の基地局は、前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
【0052】
(付記3)端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、前記第1のインタフェース部を介して自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて、前記端末の呼接続先を自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置へ通知すると共に前記他の基地局の周波数を前記第1のインタフェース部を介して前記端末に通知する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする基地局。
【0053】
(付記4)前記制御部は、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する前記他の基地局から取得した該他の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数の情報に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記他の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記3に記載の基地局。
【0054】
(付記5)端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、前記第1のインタフェース部を介して前記端末との呼接続を行うための制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて前記端末の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置から通知されたときに前記呼接続を行うことを特徴とする基地局。
【0055】
(付記6)呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおける通信方法において、前記第1の基地局が、前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知する第1のステップと、前記端末が、前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行う第2のステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【0056】
(付記7)前記第1のステップでは、前記第1の基地局は、前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記6に記載の無線通信方法。
【0057】
(付記8)自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて、前記端末の呼接続先を自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して、端末の位置および移動を管理する管理装置へ通知する第1のステップと、前記他の基地局の周波数を前記端末に通知する第2のステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【0058】
(付記9)前記第1のステップでは、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する前記他の基地局から取得した該他の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数の情報に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記他の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記8に記載の無線通信方法。
【0059】
(付記10)自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて前記端末の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して、端末の位置および移動を管理する管理装置から通知される第1のステップと、前記管理装置からの通知に基づいて前記端末との呼接続を行う第2のステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【符号の説明】
【0060】
1 第1の基地局
2 第1の基地局の通信可能領域
3 第2の基地局
4 第2の基地局の通信可能領域
5 端末
6 管理装置
11,16 第1のインタフェース部
12,17 第2のインタフェース部
13,18 制御部
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システム、基地局および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ある領域で無線通信システムの運用中に使用可能な無線チャネルが不足した場合、当該領域で使用可能な無線チャネルを増やすため、基地局を増設することがある。基地局の増設の方法として、基地局同士をカスケード接続し、マスタとなる基地局がもう一方の基地局の呼処理に関する制御を行う技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−180056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基地局同士をカスケード接続する場合には、カスケード接続用のインタフェース部を設けることによるコストの増大や障害発生率の悪化という問題点がある。そこで、無線チャネルの容量を増やす基地局の配置方式として、例えばセルやセクタなどの通信可能領域が既存の基地局の通信可能領域と重なるように新たに基地局を設置し、両基地局の呼処理を上位の装置で制御することが考えられる。このような基地局の配置方式はオーバーレイ方式と呼ばれることがある。オーバーレイ方式にすれば、通信可能領域のチャネル容量を増やすことができる。
【0005】
しかしながら、例えば3rd Generation Partnership Project(3GPP、第3世代移動体通信システムの標準化プロジェクト)によって標準化が進められているLong Term Evolution(LTE、ロングタームエボリューション)システムでは、複数の基地局の呼処理を制御する上位の装置がない。そのため、LTEシステムにおいて、基地局Aにオーバーレイ方式で基地局Bを増設した場合に次のような問題点がある。
【0006】
基地局Aは、呼接続用の報知情報(止まり木チャネル)を送信しているとする。基地局Bは、報知情報を送信していないとする。基地局Aおよび基地局Bは、Mobility Management Entity(MME、モビリティマネージメントエンティティ)に接続されている。MMEは、端末の位置や移動の管理を行い、接続の設定や解放およびハンドオーバーの制御を行う管理装置である。
【0007】
基地局Aが端末からの呼接続要求を受信し、この端末との呼接続が確立する前の状態で、端末の呼接続先を基地局Bに変更しようとして端末に基地局Bの周波数を通知したとする。その場合、端末は、基地局Bの周波数を用いて基地局Bに接続しようとする。しかし、MMEは、報知情報を送信する基地局と端末とを関連づけて管理するため、端末が基地局Aの配下にいると認識してしまう。つまり、MMEは、報知情報を送信していない基地局Bの配下に端末がいることを認識することができない。そのため、MMEは、基地局Aを介して端末からデータを受信しようとし、基地局Aを介して端末へデータを送信しようとする。そのため、基地局Bを介してMMEと端末との間でデータを送受信することができない。
【0008】
端末と基地局との間で呼接続が確立する前に、端末から呼接続要求を受信した基地局から他の基地局へ端末の呼接続先が変更された場合に、変更された呼接続先の基地局を介して管理装置と端末との間でデータを送受信することができる無線通信システム、基地局および無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この無線通信システムは、第1の基地局、第2の基地局、端末および管理装置を備える。第1の基地局は、呼接続用の報知情報を送信する。第2の基地局は、第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する。端末は、第1の基地局または第2の基地局に呼接続される。管理装置は、端末の位置および移動を管理する。第1の基地局は、端末から呼接続要求を受信したとき、呼接続要求を受信した端末の呼接続先を第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して管理装置へ通知すると共に、第2の基地局の周波数を端末に通知する。端末は、通知された周波数に基づいて第2の基地局と呼接続を行う。
【発明の効果】
【0010】
この無線通信システム、基地局および無線通信方法によれば、端末と基地局との間で呼接続が確立する前に、端末から呼接続要求を受信した基地局から他の基地局へ端末の呼接続先が変更された場合に、変更された呼接続先の基地局を介して管理装置と端末との間でデータを送受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図2】実施例1にかかる基地局を示すブロック図である。
【図3】実施例1にかかる無線通信方法を説明するシーケンス図である。
【図4】実施例2にかかる無線通信システムを示すブロック図である。
【図5】実施例2にかかる基地局を示すブロック図である。
【図6】実施例2にかかる基地局の制御部を示すブロック図である。
【図7】実施例2にかかる基地局の局データの一例を説明する図である。
【図8】実施例2にかかる基地局のオーバーレイ基地局管理データの一例を説明する図である。
【図9】実施例2にかかる端末を示すブロック図である。
【図10】実施例2にかかるMMEを示すブロック図である。
【図11】実施例2にかかる無線通信方法において基地局の運転開始時の手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図12】実施例2にかかる無線通信方法において基地局間の運転状況監視手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図13】実施例2にかかる無線通信方法において端末からの発呼手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図14】図13の続きを示すシーケンス図である。
【図15】実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局からのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図16】図15の続きを示すシーケンス図である。
【図17】実施例2にかかる無線通信方法において呼解放手順の一例を説明するシーケンス図である。
【図18】実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局へのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この無線通信システム、基地局および無線通信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施例1)
・無線通信システムの説明
図1は、実施例1にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図1に示すように、無線通信システムは、第1の基地局1、第2の基地局3、端末5および管理装置としてのMME6を備えている。第1の基地局1と第2の基地局3とは、同一のアンテナから同一の指向性で同一の出力で電波を送信する。第2の基地局3の通信可能領域は、第1の基地局1の通信可能領域と重なっている。ここでは、物理的には別々のアンテナであっても、地理的には同一箇所に設置されており、一本のアンテナと見なすことができるアンテナ群を含めて同一のアンテナと呼んでいる。また、通信可能領域が完全に一致していなくても、基地局の設置者(通信事業者)が意図的に通信可能領域をずらすような設定をしていない場合に、通信可能領域が重なるとしている。一方の基地局の通信可能領域が他方の基地局の通信可能領域を包含するような構成も通信可能領域が重なる場合の一例として含んでいてもよい。第1の基地局1および第2の基地局3は、オーバーレイ方式で運用されている。第1の基地局1は、呼接続用の報知情報(止まり木チャネル)を送信している。第1の基地局1は、端末5から呼接続要求を受信したときに次の動作を行う。第1の基地局1は、端末5と自局または第2の基地局3との間の呼接続が確立していないときに、端末の呼接続先を第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6へ通知する。また、第1の基地局1は、第2の基地局3の周波数を端末5に通知する。第2の基地局3は、端末5の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6から通知されたときに、端末5との呼接続を行う。端末5は、第1の基地局1から通知された第2の基地局3の周波数に基づいて第2の基地局3と呼接続を行う。
【0014】
第1の基地局1および第2の基地局3は、MME6に接続されている。また、無線通信システムは、例えば第1の基地局1および第2の基地局3に隣接するセルの第3の基地局7を備えている。第3の基地局7は、第1の基地局1または第2の基地局3とはオーバーレイ方式で運用されていない。第3の基地局7は、MME6に接続されている。各基地局1,3,7とMME6との間では、例えばS1AP(S1 Application Protocol、S1アプリケーションプロトコル)によって信号が送受信される。第1の基地局1と第2の基地局3と第3の基地局7との間では、例えばX2AP(X2 Application Protocol、X2アプリケーションプロトコル)によって信号が送受信される。
【0015】
・基地局の説明
図2は、実施例1にかかる基地局を示すブロック図である。図2に示すように、第1の基地局1は、第1のインタフェース部11、第2のインタフェース部12および制御部13を備える。第1のインタフェース部11は、端末5と無線信号の送受信を行う。第2のインタフェース部12は、MME6と接続する。制御部13は、第1のインタフェース部11を介して自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末5からの呼接続要求に基づいて、この端末5の呼接続先を自局の通信可能領域2と重なる通信可能領域4を有する第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用して第2のインタフェース部12を介してMME6へ通知する。制御部13は、第2の基地局3の周波数を第1のインタフェース部11を介して端末5に通知する。第2の基地局3は、第1のインタフェース部16、第2のインタフェース部17および制御部18を備える。第1のインタフェース部17は、端末5と無線信号の送受信を行う。第2のインタフェース部17は、MME6と接続する。制御部18は、第1の基地局1が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末5からの呼接続要求に基づいて、この端末5の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して第2のインタフェース部17を介してMME6から通知されたときに端末5との呼接続を行う。
【0016】
・無線通信方法の説明
図3は、実施例1にかかる無線通信方法を説明するシーケンス図である。図3に示すように、第1の基地局1は、端末5から呼接続要求を受信すると(ステップS1)、端末5の呼接続先を第2の基地局3に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6へ通知する(ステップS2)。第2の基地局3は、端末5の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用してMME6から通知される(ステップS3)。また、第1の基地局1は、ステップS1の後、第2の基地局3の周波数を端末5に通知する(ステップS4)。端末5は、第1の基地局1から通知された周波数に基づいて第2の基地局3と呼接続を行い、端末5と第2の基地局3との呼接続が確立する(ステップS5)。それによって、端末5とMME6との間で第2の基地局3を介して上りリンクおよび下りリンクのデータの送受信が開始される(ステップS6)。
【0017】
実施例1によれば、第1の基地局1がハンドオーバー手順に従ってMME6へ端末5の呼接続先を第2の基地局3に移すことを通知するので、MME6は、端末5の接続先が第2の基地局3に移ることを認識することができる。第2の基地局3は、MME6から端末5の呼接続先が自局に移ることを通知されるので、端末5との呼接続を行うことができる。第1の基地局1が第2の基地局3の周波数を端末5へ通知するので、端末5は、第2の基地局3と呼接続を行うことができる。従って、端末5と第1の基地局1または第2の基地局3との間の呼接続が確立していない状態で端末5の呼接続先が第1の基地局1から第2の基地局3に移されても、端末5とMME6とは第2の基地局3を介してデータの送受信を行うことができる。
【0018】
(実施例2)
実施例1にかかる無線通信システム、基地局および無線通信方法は、複数の基地局の通信可能領域が重なる無線通信システムに適用することができる。また、通信可能領域が重なる複数の基地局を制御する上位の装置がない無線通信システムに適用することができる。実施例2では、LTEシステムに適用した例について説明する。
【0019】
・無線通信システムの構成
図4は、実施例2にかかる無線通信システムを示すブロック図である。図4に示すように、マスター基地局21の例えばセル22とオーバーレイ基地局23の例えばセル24とが重なっている。端末25は、マスター基地局21のセル22に在圏する場合、マスター基地局21と接続する。または、オーバーレイ基地局23の運転状況によっては、端末25は、マスター基地局21に呼接続要求を送信した後、マスター基地局21およびオーバーレイ基地局23との呼接続が確立する前に、ハンドオーバーの手順に従って、オーバーレイ基地局23に接続することがある。マスター基地局21およびオーバーレイ基地局23は、ネットワーク26に接続されている。このネットワーク26には、MME27が接続されている。
【0020】
端末25がオーバーレイ基地局23と接続することによって、端末25はオーバーレイ基地局23に収容される。その分、マスター基地局21のチャネルに空きができる。マスター基地局21は、例えば実施例1における第1の基地局1に相当する。マスター基地局21のセル22は、例えば実施例1における第1の基地局1の通信可能領域2に相当する。オーバーレイ基地局23は、例えば実施例1における第2の基地局3に相当する。オーバーレイ基地局23のセル24は、例えば実施例1における第2の基地局3の通信可能領域4に相当する。
【0021】
・基地局の構成
図5は、実施例2にかかる基地局を示すブロック図である。基地局30は、ハイウェイ部31、ベースバンド信号処理部32、無線部33および制御部34を備えている。ハイウェイ部31は、例えばハードウェアを含む物理的なインタフェースである。ハイウェイ部31は、MME27や図示しないServing Gateway(サービングゲートウェイ)との間でパケットの送受信を行う。ハイウェイ部31は、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局との間でパケットの送受信を行う。ハイウェイ部31は、自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間でパケットの送受信を行う。ベースバンド信号処理部32は、ベースバンド信号の処理を行う。ベースバンド信号処理部32は、1枚以上の呼処理用カード(BB(Base Band)カード)35を備えている。ベースバンド信号処理部32は、無線部33を介して1台以上の端末25と通信する。無線部33は、図示省略した増幅器やアンテナを備えている。無線部33は、ベースバンド信号を無線信号に変換し、増幅器により増幅して、アンテナから送信する。無線部33は、アンテナから受信した無線信号をベースバンド信号に変換する。例えばセルに複数のセクタが含まれている場合、無線部33はセクタごとに設けられる。制御部34は、基地局30における呼制御を実施する。制御部34は、ハイウェイ部31、ベースバンド信号処理部32および無線部33を制御し、1台以上の端末25との接続や、MME27などの上位コアノードとの接続を行う。制御部34は、無線区間の品質測定を行う。制御部34は、呼接続の確立前に、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局との間のハンドオーバーの手順を制御する。制御部34は、呼接続の確立後に、自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間のハンドオーバーを制御する。マスター基地局21の構成は、図5に示す基地局30の構成と同様である。オーバーレイ基地局23の構成は、図5に示す基地局30の構成と同様であってもよい。
【0022】
・基地局の制御部の構成
図6は、実施例2にかかる基地局の制御部を示すブロック図である。基地局30の制御部34は、基地局間インタフェース部41、呼制御部42、端末インタフェース部43、MMEインタフェース部44、インタフェース管理部45、局データ展開部46、報知情報送信部47、オーバーレイ基地局管理データ48および局データ49を備えている。呼制御部42は、端末25やMME27などの上位コアノードとの接続のシーケンスや、自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間のハンドオーバーのシーケンスを制御する。呼制御部42は、ベースバンド信号処理部32や無線部33の制御を実施する。呼制御部42は、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局との間で、接続のシーケンスやハンドオーバーのシーケンスを制御する。端末インタフェース部43は、端末25との間で信号、例えばRRC(Radio Resource Control、ラジオリソースコントロール)信号の送受信を行う。基地局間インタフェース部41は、自局とともにオーバーレイ方式で運用されている基地局や自局に対してオーバーレイ方式で運用されていない基地局との間で信号、例えばX2AP信号の送受信を行う。MMEインタフェース部44は、MME27との間で信号、例えばS1AP信号の送受信を行う。端末インタフェース部43、基地局間インタフェース部41およびMMEインタフェース部44は、例えばソフトウェアにより信号の送受信を行う。インタフェース管理部45は、呼処理リソースや無線リソースの管理を行う。基地局30がマスター基地局である場合には、インタフェース管理部45は、オーバーレイ基地局のリソース管理も行う。局データ49は、オーバーレイ基地局の有無や、自局がオーバーレイ基地局であるか否かなどの情報を有する。局データ49は、例えばメモリに格納されている。局データ49の一例を図7に示す。局データ展開部46は、運転開始時や運転の再開時に局データ49を利用可能な状態に展開し、オーバーレイ基地局の有無や、自局がオーバーレイ基地局であるか否かの判断を行う。オーバーレイ基地局管理データ48は、オーバーレイ基地局の運転状況に関する情報を有する。オーバーレイ基地局管理データ48は、例えばメモリに格納される。オーバーレイ基地局管理データ48の一例を図8に示す。報知情報送信部47は、呼接続用の報知情報の送信を行う。基地局30がマスター基地局である場合、報知情報送信部47は、呼接続用の報知情報を送信する。基地局30がオーバーレイ基地局である場合、報知情報送信部47は、呼接続用の報知情報を送信しなくてもよい。
【0023】
端末インタフェース部43は、実施例1における第1のインタフェース部11,16に相当する。MMEインタフェース部44は、実施例1における第2のインタフェース部12,17に相当する。呼制御部42は、実施例1における制御部13,18に相当する。基地局30がオーバーレイ基地局としてのみ動作する局である場合、上述した基地局30の構成において、オーバーレイ基地局管理データ48はなくてもよい。また、オーバーレイ基地局が呼接続用の報知情報を送信しない場合には、報知情報送信部47はなくてもよい。
【0024】
・局データの一例
図7は、実施例2にかかる基地局の局データの一例を説明する図である。図7に示すように、局データ49は、例えばオーバーレイ基地局の有無を示す情報と、オーバーレイ基地局がある場合のオーバーレイ基地局のアドレスや周波数オフセットやセクタの有無や収容可能な呼数などの情報を有する。局データ49は、例えば自局がオーバーレイ基地局であるか否かを示す情報(例えば、図中「オーバーレイ基地局指示」)と、自局がオーバーレイ基地局である場合のマスター基地局のアドレスの情報を有する。なお、局データ49は、これらの情報の一部を有していてもよいし、これらの情報以外の情報を有していてもよい。
【0025】
・オーバーレイ基地局管理データの一例
図8は、実施例2にかかる基地局のオーバーレイ基地局管理データの一例を説明する図である。図8に示すように、オーバーレイ基地局管理データ48は、例えばオーバーレイ基地局の運転状況を示す情報、各セクタの運転状況を示す情報、オーバーレイ基地局において収容可能な呼数の情報および使用中の呼数の情報を有する。オーバーレイ基地局の運転状況を示す情報は、自局とオーバーレイ基地局との通信状態が正常であるか、または切断された状態にあるかを示す情報である。各セクタの運転状況を示す情報は、例えば各セクタの増幅器やアンテナが正常であるか否かを示す情報である。なお、オーバーレイ基地局管理データ48は、これらの情報の一部を有していてもよいし、これらの情報以外の情報を有していてもよい。
【0026】
・端末の構成
図9は、実施例2にかかる端末を示すブロック図である。図9に示すように、端末25は、表示操作部51、ベースバンド信号処理部52、無線部53および制御部54を備えている。表示操作部51は、図示しない画面への表示やキー入力の検出を行う。ベースバンド信号処理部52は、ベースバンド信号の処理を行う。ベースバンド信号処理部52は、無線部53を介して、基地局30から送信された信号からRRC信号やパケット信号を抜き出す。ベースバンド信号処理部52は、制御部54にRRC信号やパケット信号を渡す。ベースバンド信号処理部52は、制御部54から渡された信号に対して秘匿処理やベースバンド信号処理を行う。無線部53は、増幅器やアンテナを備えている。無線部53は、ベースバンド信号を無線信号に変換し、増幅器により増幅して、アンテナから送信する。無線部53は、アンテナから受信した無線信号をベースバンド信号に変換する。制御部54は、アイドル状態や通信状態において、ベースバンド信号処理部52や無線部53を制御し、基地局30との通信処理やパケット処理を行う。
【0027】
・MMEの構成
図10は、実施例2にかかるMMEを示すブロック図である。図10に示すように、MME27は、ハイウェイ部61および制御部62を備えている。ハイウェイ部61は、基地局30との間、およびサービングゲートウェイやIMS(Internet Protocol Multimedia Subsystem)網等の公衆通信網などの他ノードとの間で、パケット信号の送受信を行うインタフェースである。制御部62は、ハイウェイ部61を介して基地局30や他のノードとの間の信号処理を実施する。制御部62は、端末25の移動管理を行う。
【0028】
・マスター基地局の運転開始時(再開時)の手順の一例
図11は、実施例2にかかる無線通信方法において基地局の運転開始時の手順の一例を説明するシーケンス図である。図11に示すように、マスター基地局21の運転が開始されると、マスター基地局21は、局データ49を読み込み、局データ展開部46により局データ49を利用可能な状態に展開する(ステップS11)。そして、マスター基地局21は、展開した局データ49に基づいてオーバーレイ基地局23の有無を認識する(ステップS12)。オーバーレイ基地局23がない場合には、マスター基地局21は、通常の基地局として動作する。ここでは、オーバーレイ基地局23があるとする。オーバーレイ基地局23がある場合、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23の情報を利用可能な状態に展開する(ステップS13)。次いで、マスター基地局21は、局データ49およびオーバーレイ基地局管理データ48を初期化する(ステップS14)。
【0029】
一方、オーバーレイ基地局23は、局データ49を読み込み、局データ展開部46により局データ49を利用可能な状態に展開する(ステップS15)。そして、オーバーレイ基地局23は、展開した局データ49に基づいて自局がオーバーレイ基地局23であることを認識する(ステップS16)。マスター基地局21は、局データ49およびオーバーレイ基地局管理データ48の初期化後、オーバーレイ基地局23にオーバーレイ基地局23の運転状況を要求する(ステップS17)。
【0030】
オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21から運転状況の要求を受け取ると、自局の運転状況を収集し、報告信号を作成する(ステップS18)。オーバーレイ基地局23は、作成した報告信号をマスター基地局21へ送信することにより、マスター基地局21に自局の運転状況を報告する(ステップS19)。マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23から運転状況の報告を受け取ると、オーバーレイ基地局23の運転状況をオーバーレイ基地局管理データ48として例えばメモリに格納する(ステップS20)。そして、マスター基地局21は、内蔵するタイマを起動する(ステップS21)。マスター基地局21が何らかの理由により運転を停止していた状態から運転を再開するときの手順も同様である。
【0031】
・基地局間の運転状況監視手順の一例
図12は、実施例2にかかる無線通信方法において基地局間の運転状況監視手順の一例を説明するシーケンス図である。図12に示すように、マスター基地局21において、上述したステップS21で起動されたタイマによって周期的にイベントが起動されると、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23にオーバーレイ基地局23の運転状況を要求する(ステップS31)。オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21から運転状況の要求を受け取ると、上述したステップS18と同様にして報告信号を作成する(ステップS32)。そして、オーバーレイ基地局23は、作成した報告信号をマスター基地局21へ送信することによりマスター基地局21に自局の運転状況を報告する(ステップS33)。マスター基地局21は、オーバーレイ基地局23から運転状況の報告を受け取ると、受け取ったオーバーレイ基地局23の運転状況に基づいてオーバーレイ基地局管理データ48を更新する(ステップS34)。
【0032】
・端末からの発呼手順の一例
図13および図14は、実施例2にかかる無線通信方法において端末からの発呼手順の一例を説明するシーケンス図である。図13に示すように、端末からの発呼時には、端末25は、呼接続用の報知情報を送信しているマスター基地局21に対してRRCコネクションを要求する(RRC CONN Req:RRC Connection Request、ステップS41)。マスター基地局21は、端末25にRRCコネクションの設定を要求する(RRC CONN SETUP:RRC Connection Setup、ステップS42)。端末25は、RRCコネクションを設定し、マスター基地局21にRRCコネクションの設定を完了したことを通知する(RRC CONN SETUP Comp:RRC Connection Setup Complete、ステップS43)。次いで、端末25は、マスター基地局21にサービスへの接続を要求する(Service Request、ステップS44)。
【0033】
マスター基地局21は、端末25からサービスへの接続の要求を受け付けると、この端末25からの呼に対して、制御プレーン(Cプレーン)において呼(端末)をユニークに識別する情報としてeNB UE S1AP IDを割り付ける。これ以降、マスター基地局21は、このeNB UE S1AP IDを使用してMME27との間でユーザーの信号を送受信する。マスター基地局21は、MME27にサービスへの接続を要求する(Service Request、ステップS45)。マスター基地局21は、このサービスへの接続の要求とともにMME27にeNB UE S1AP IDを通知する。
【0034】
MME27は、マスター基地局21からeNB UE S1AP IDを受け取ると、端末25からの呼に対して、Cプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてMME UE S1AP IDを割り付ける。これ以降、MME27は、このMME UE S1AP IDを使用してマスター基地局21との間でユーザーの信号を送受信する。MME27は、端末25にセキュリティ情報を送信する(Security Mode Command、ステップS46)。MME27は、このセキュリティ情報とともにマスター基地局21にMME UE S1AP IDを通知する。
【0035】
一方、端末25は、セキュリティ情報を設定し、MME27にセキュリティ情報の設定を完了したことを通知する(Security Mode Complete、ステップS47)。MME27は、マスター基地局21に初期コンテキストの設定を要求する(Initial Context Setup Request、ステップS48)。マスター基地局21は、マスター基地局21とオーバーレイ基地局23の運転状況を読み込む(ステップS49)。
【0036】
図14に示すように、マスター基地局21は、マスター基地局21の運転状況とオーバーレイ基地局23の運転状況とに基づいて、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させるか否かを判断する。例えば、オーバーレイ基地局23の収容可能な呼数に空きがある場合に、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断してもよい。あるいは、オーバーレイ基地局23の収容可能な呼数の空きがマスター基地局21の収容可能な呼数の空きよりも多い場合に、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断してもよい。ここでは、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断したとする(ステップS50)。
【0037】
マスター基地局21は、MME27にオーバーレイ基地局23へのハンドオーバーが必要であることを通知する(Handover Required、ステップS51)。MME27は、オーバーレイ基地局23に対して、Cプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてMME UE S1AP IDを割り付ける。また、MME27は、オーバーレイ基地局23に対して、ユーザープレーン(Uプレーン)において呼(端末)をユニークに識別する情報としてUL GTP TEIDを割り付ける。MME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDは、コネクション単位で管理される。これ以降、MME27は、これらMME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDを使用してオーバーレイ基地局23との間でユーザーの信号およびパケットを送受信する。MME27は、オーバーレイ基地局23にハンドオーバーの要求を通知する(Handover Request、ステップS52)。MME27は、このハンドオーバーの要求とともにオーバーレイ基地局23にMME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDを通知する。
【0038】
オーバーレイ基地局23は、MME UE S1AP IDおよびUL GTP TEIDを受け取ると、MME27に対して、Cプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてeNB UE S1AP IDを割り付ける。また、オーバーレイ基地局23は、MME27に対して、Uプレーンにおいて呼(端末)をユニークに識別する情報としてDL GTP TEIDを割り付ける。eNB UE S1AP IDおよびDL GTP TEIDは、コネクション単位で管理される。これ以降、オーバーレイ基地局23は、これらeNB UE S1AP IDおよびDL GTP TEIDを使用してMME27との間でユーザーの信号およびパケットを送受信する。オーバーレイ基地局23は、MME27にハンドオーバーの承諾を通知する(Handover Request Ack:Handover Request Acknowledgement、ステップS53)。オーバーレイ基地局23は、このハンドオーバーの承諾とともにMME27にeNB UE S1AP IDおよびDL GTP TEIDを通知する。
【0039】
MME27は、マスター基地局21にハンドオーバーを指示する(Handover Command、ステップS54)。ハンドオーバーの実施によってオーバーレイ基地局23の運転状況が変わるので、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局管理データ48(例えば「使用中呼数」)を、ハンドオーバー後のオーバーレイ基地局23の運転状況を反映させた内容に更新する(ステップS55)。
【0040】
次いで、マスター基地局21は、端末25に、オーバーレイ基地局23の周波数を通知し、RRCコネクションの再設定を通知する(RRC CONN Reconf:RRC Connection Reconfiguration、ステップS56)。マスター基地局21は、MME27に初期コンテキストの設定を完了したことを通知する(Initial Context Setup Complete、ステップS57)。RRCコネクションの再設定および初期コンテキストの設定完了によって、端末25とオーバーレイ基地局23との間で無線ベアラが確立する(Radio Bearer Establishment、ステップS58)。すなわち、ハンドオーバーの手順に従ってマスター基地局21からオーバーレイ基地局23に端末25の接続先が変更される。オーバーレイ基地局23は、MME27にハンドオーバーが実施されたことを通知する(Handover Notify、ステップS59)。これ以降、端末25とMME27との間でオーバーレイ基地局23を介して上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)が送受信される(ステップS60)。
【0041】
ステップS50において、マスター基地局21が端末25を自局に接続させると判断した場合には、端末25とマスター基地局21との間で無線ベアラが確立する。すなわち、ステップS51からステップS59までが省略され、マスター基地局21からオーバーレイ基地局23への接続先の変更が実施されない。
【0042】
・他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー手順の一例
図15および図16は、実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。図15に示すように、他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー時には、端末25は、通信品質を測定し、この他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)に通信品質の測定結果を通知する(Measurement Report、ステップS71)。当該他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、自局と端末25との通信の品質が悪い場合、MME27に通信品質の良い例えばマスター基地局21へのハンドオーバーが必要であることを通知する(Handover Required、ステップS72)。このときのハンドオーバー先は、呼接続用の報知情報を送信しているマスター基地局21となる。MME27は、マスター基地局21にハンドオーバーの要求を通知する(Handover Request、ステップS73)。
【0043】
マスター基地局21は、マスター基地局21とオーバーレイ基地局23の運転状況を読み込む(ステップS74)。マスター基地局21は、マスター基地局21の運転状況とオーバーレイ基地局23の運転状況とに基づいて、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させるか否かを判断する。このときの判断基準は、例えば上述したステップS50において説明した通りである。ここでは、マスター基地局21は、端末25をオーバーレイ基地局23に接続させると判断したとする(ステップS75)。マスター基地局21は、ハンドオーバーを承諾し、MME27にオーバーレイ基地局23をハンドオーバー先とすることを通知する(Handover Request Ack、ステップS76)。MME27は、端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)にハンドオーバーを指示する(Handover Command、ステップS77)。
【0044】
図16に示すように、端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、端末25に、オーバーレイ基地局23の周波数を通知し、オーバーレイ基地局23をハンドオーバー先としてRRCコネクションを再設定することを通知する(RRC Connection Reconf、ステップS78)。次いで、上述したステップS51からステップS60まで(ただし、ステップS56とステップS57を除く)と同様にして、端末25とオーバーレイ基地局23との間で無線ベアラが確立し、端末25とMME27との間でオーバーレイ基地局23を介して上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)が送受信される(ステップS79〜ステップS86)。ステップS75において、マスター基地局21が端末25を自局に接続させると判断した場合には、ステップS78において端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、端末25にマスター基地局21の周波数を通知する。そして、ステップS79からステップS85までが実施されない。また、端末25と接続中の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)からのハンドオーバー先がマスター基地局21となるので、端末25とマスター基地局21との間で無線ベアラが確立する。
【0045】
・オーバーレイ基地局における呼解放手順の一例
図17は、実施例2にかかる無線通信方法において呼解放手順の一例を説明するシーケンス図である。図17に示すように、端末25は、オーバーレイ基地局23に接続されており、端末25とMME27との間で、上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)が送受信されている(ステップS91)。この状況において、端末25は、オーバーレイ基地局23に呼の解放を通知する(RRC Connection Release、ステップS92)。オーバーレイ基地局23は、MME27に端末のコンテキストの解放を要求する(UE Context Release Request:User Equipment Context Release Request、ステップS93)。MME27は、オーバーレイ基地局23に端末のコンテキストの解放を指示する(UE Context Release Command、ステップS94)。オーバーレイ基地局23は、端末25の呼を解放し、端末25にRRCコネクションの再設定を通知する(RRC Connection Reconf、ステップS95)。オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21に例えばX2AP信号によって端末25の呼の解放を通知する(UE Context Release、ステップS96)。呼の解放によってオーバーレイ基地局23の運転状況が変わったので、マスター基地局21は、オーバーレイ基地局管理データ48(例えば「使用中呼数」)を、呼の解放後のオーバーレイ基地局23の運転状況を反映させた内容に更新する(ステップS97)。
【0046】
・オーバーレイ基地局から他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバー手順の一例
図18は、実施例2にかかる無線通信方法において他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバー手順の一例を説明するシーケンス図である。図18に示すように、端末25がオーバーレイ基地局23に接続されている状況において、端末25は、通信品質を測定し、オーバーレイ基地局23に通信品質の測定結果を通知する(Measurement Report、ステップS101)。オーバーレイ基地局23は、自局と端末25との通信の品質が悪い場合、MME27に通信品質の良い他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバーが必要であることを通知する(Handover Required、ステップS102)。MME27は、他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)にハンドオーバーの要求を通知する(Handover Request、ステップS103)。当該他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、MME27にハンドオーバーの承諾を通知する(Handover Request Ack、ステップS104)。
【0047】
MME27は、オーバーレイ基地局23にハンドオーバーを指示する(Handover Command、ステップS105)。オーバーレイ基地局23は、端末25に、ハンドオーバー先となる基地局の周波数を通知し、この基地局をハンドオーバー先としてRRCコネクションを再設定することを通知する(RRC Connection Reconf、ステップS106)。RRCコネクションの再設定によって、端末25と他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)との間で無線ベアラが確立する(Radio Bearer Establishment、ステップS107)。すなわち、オーバーレイ基地局23から他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)へのハンドオーバーが実施される。ハンドオーバー先の他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)は、MME27にハンドオーバーが実施されたことを通知する(Handover Notify、ステップS108)。それによって、端末25とMME27との間で他の基地局(例えばマスター基地局、オーバーレイ基地局に隣接するセルの基地局)を介して上りリンクおよび下りリンクのデータ(Uplink/Downlink Data)の送受信が開始される(ステップS109)。オーバーレイ基地局23は、マスター基地局21に例えばX2AP信号によって端末25の呼の解放を通知する(UE Context Release、ステップS110)。マスター基地局21は、オーバーレイ基地局管理データ48を、呼の解放後のオーバーレイ基地局23の運転状況を反映させた内容に更新する(ステップS111)。
【0048】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、オーバーレイ基地局23が呼接続用の報知情報(止まり木チャネル)を送信しない場合には、呼接続用の報知情報に割り当てる分の電力をユーザー回線に割り当てることができる。従って、ユーザー回線の容量をより多く確保することができる。また、端末25の接続先をマスター基地局21からオーバーレイ基地局23へ遷移させる際にハンドオーバーの手順に従うことによって、オーバーレイ基地局23に対してRRCコネクションの要求からやり直さずに済む。従って、無線接続が確立するまでの時間を短縮することができる。端末25の消費電力を減らすことができる。また、基地局の運用中にこの基地局のセル内のユーザー数が当初の想定数よりも増えた場合、この基地局の局舎にオーバーレイ基地局23となる基地局装置を設置するだけでよいので、柔軟な置局設計が可能となる。また、マスター基地局21がオーバーレイ基地局23のリソースを管理するので、マスター基地局21およびオーバーレイ基地局23を制御する上位の装置がなくても、これらの基地局をオーバーレイ方式で運用することができる。また、マスター基地局21は、自局の運転開始時および運転中に周期的にオーバーレイ基地局23の運転状況に関する情報を取得するので、常にオーバーレイ基地局23の運転状況を把握することができる。また、オーバーレイ基地局23の運転状況に変化があるとオーバーレイ基地局管理データ48が更新されるので、マスター基地局21は、常に最新のオーバーレイ基地局23の運転状況を把握することができる。
【0049】
上述した実施例1、2に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0050】
(付記1)呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおいて、前記第1の基地局は、前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知し、前記端末は、前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行うことを特徴とする無線通信システム。
【0051】
(付記2)前記第1の基地局は、前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
【0052】
(付記3)端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、前記第1のインタフェース部を介して自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて、前記端末の呼接続先を自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置へ通知すると共に前記他の基地局の周波数を前記第1のインタフェース部を介して前記端末に通知する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする基地局。
【0053】
(付記4)前記制御部は、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する前記他の基地局から取得した該他の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数の情報に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記他の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記3に記載の基地局。
【0054】
(付記5)端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、前記第1のインタフェース部を介して前記端末との呼接続を行うための制御を行う制御部と、を備え、前記制御部は、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて前記端末の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置から通知されたときに前記呼接続を行うことを特徴とする基地局。
【0055】
(付記6)呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおける通信方法において、前記第1の基地局が、前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知する第1のステップと、前記端末が、前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行う第2のステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【0056】
(付記7)前記第1のステップでは、前記第1の基地局は、前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記6に記載の無線通信方法。
【0057】
(付記8)自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて、前記端末の呼接続先を自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して、端末の位置および移動を管理する管理装置へ通知する第1のステップと、前記他の基地局の周波数を前記端末に通知する第2のステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【0058】
(付記9)前記第1のステップでは、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する前記他の基地局から取得した該他の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数の情報に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記他の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする付記8に記載の無線通信方法。
【0059】
(付記10)自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて前記端末の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して、端末の位置および移動を管理する管理装置から通知される第1のステップと、前記管理装置からの通知に基づいて前記端末との呼接続を行う第2のステップと、を含むことを特徴とする無線通信方法。
【符号の説明】
【0060】
1 第1の基地局
2 第1の基地局の通信可能領域
3 第2の基地局
4 第2の基地局の通信可能領域
5 端末
6 管理装置
11,16 第1のインタフェース部
12,17 第2のインタフェース部
13,18 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおいて、
前記第1の基地局は、
前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知し、
前記端末は、
前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行う
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1の基地局は、
前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、
端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、
前記第1のインタフェース部を介して自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて、前記端末の呼接続先を自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置へ通知すると共に前記他の基地局の周波数を前記第1のインタフェース部を介して前記端末に通知する制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項4】
前記制御部は、
自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する前記他の基地局から取得した該他の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数の情報に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記他の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断する
ことを特徴とする請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、
端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、
前記第1のインタフェース部を介して前記端末との呼接続を行うための制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて前記端末の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置から通知されたときに前記呼接続を行う
ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおける通信方法において、
前記第1の基地局が、前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知する第1のステップと、
前記端末が、前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行う第2のステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
前記第1のステップでは、
前記第1の基地局は、前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項1】
呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおいて、
前記第1の基地局は、
前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知し、
前記端末は、
前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行う
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1の基地局は、
前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、
端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、
前記第1のインタフェース部を介して自局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて、前記端末の呼接続先を自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置へ通知すると共に前記他の基地局の周波数を前記第1のインタフェース部を介して前記端末に通知する制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項4】
前記制御部は、
自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する前記他の基地局から取得した該他の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数の情報に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記他の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断する
ことを特徴とする請求項3に記載の基地局。
【請求項5】
端末と無線信号の送受信を行う第1のインタフェース部と、
端末の位置および移動を管理する管理装置と接続する第2のインタフェース部と、
前記第1のインタフェース部を介して前記端末との呼接続を行うための制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、自局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する他の基地局が送信した呼接続用の報知情報を受信した端末からの呼接続要求に基づいて前記端末の呼接続先を自局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して前記第2のインタフェース部を介して該管理装置から通知されたときに前記呼接続を行う
ことを特徴とする基地局。
【請求項6】
呼接続用の報知情報を送信する第1の基地局と、前記第1の基地局の通信可能領域と重なる通信可能領域を有する第2の基地局と、前記第1の基地局または第2の基地局に呼接続される端末と、前記端末の位置および移動を管理する管理装置を備える無線通信システムにおける通信方法において、
前記第1の基地局が、前記端末から呼接続要求を受信したとき、前記呼接続要求を受信した端末の呼接続先を前記第2の基地局に移すことをハンドオーバーの手順を使用して該管理装置へ通知すると共に、前記第2の基地局の周波数を前記端末に通知する第1のステップと、
前記端末が、前記通知された周波数に基づいて前記第2の基地局と呼接続を行う第2のステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
前記第1のステップでは、
前記第1の基地局は、前記第2の基地局の収容可能呼数のうちの空いている呼数に基づいて、自局が前記端末と呼接続するか、前記第2の基地局を前記端末の呼接続先とするかを判断することを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−223384(P2011−223384A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91383(P2010−91383)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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