説明

無線通信システム、無線基地局、無線端末局および無線通信方法

【課題】遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を行うことが可能な無線通信システムを得ること。
【解決手段】無線基地局AP10が、データ送受信対象の無線基地局STA1〜STA6に対してデータ送受信の割り当て期間を、データ送受信対象外の無線端末局に対してデータ送信禁止期間を、通知するための帯域予約フレームを送信するスケジューラー部41と、端末局データフレームの受信結果および再送制御回数に基づいて、再送制御を行うかどうかを決定するフレーム解析部42と、再送制御を行うと決定した場合に、スケジューラー部41に対して帯域予約フレームの送信を指示する再送制御部43と、を備え、無線端末局が、データ送受信対象の無線端末局STA1〜STA6の場合は、帯域予約フレームに含まれた自局に割り当てられた期間で、無線基地局AP10へデータを送信するアクセス制御部40、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局が複数の無線端末局にデータを送信する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11a/b/g/nを使用する無線システム(以下、WLAN(Wireless Local Area Network)システムとする)では、他ネットワークまたは他システムとの相互運用性を考慮して、WLANシステムを構成する各々の無線端末が無線パケットの送信に先立って無線チャネルをキャリアセンスする無線アクセス方式であるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)が主に導入されている。CSMA/CAでは、無線端末は、キャリアセンスした結果、チャネルの使用中(チャネルビジー)を確認した場合には無線パケットの送信を控え、あらかじめフレーム種別毎に決められたチャネル未使用(チャネルアイドル)時間で、またはバックオフ時間後に、無線パケットを送信する。
【0003】
また、WLANシステムでは、無線端末が、無線パケットの送信に先立って、制御フレーム等により近隣端末にNAV(Network Allocation Vector)を設定させ、NAV設定中、無線パケットの送信を控えさせる仮想キャリアセンスを用いることにより、フレームおよびフレームシーケンス期間の帯域を予約する方式が導入されている。
【0004】
例えば、通信帯域を予約する方法として、下記非特許文献1では、CFP(Contention Free Period)と呼ばれる非衝突時間を一定のBeacon間隔毎に設置するPCF(Point Coordination Function)の技術が開示されている。PCFでは、基地局が、Beacon送信後の一定期間を、NAVを用いて帯域予約し、基地局配下の無線端末局に対してポーリングを行うことによって、各々の無線端末に送信機会を与えている。
【0005】
また、IEEE802.11e/nでは、送信する無線パケットの優先度に基づいて、キャリアセンス時間やバックオフ時間を変更することにより、特定の無線パケットや特定のパケットシーケンスで定義される無線パケットを優先的に送信する仕組みが提供されている。例えば、下記非特許文献2では、IEEE802.11nで規定されているPSMP(Power Save Multiple Poll)の技術が開示されている。PSMPでは、基地局が、送信端末毎に送信開始時間および送信割り当て時間等をPSMPパケットで通知することにより、キャリアセンス時間を省略した高効率な通信を可能としている。
【0006】
一方で、再送方式に関して、従来のWLANシステムでは、無線パケットが、パケット衝突、受信電力不足等により送信相手に正常に到達しなかった場合、送信端末は、受信端末からの確認応答フレーム(ACK)が返送されないため、あらかじめ決められたチャネル未使用時間またはバックオフ時間後に該当フレームを再送する。また、IEEE802.11e/nで規定されているBlockACK方式を用いて、あらかじめ送信側と受信側で再送方式、送受信端末のバッファ量などを交換し、複数のパケットに対してACKを一括して返送することにより、受信端末が過去に正常受信できなかったパケットを送信端末に通知する。
【0007】
従来のWLANシステムでは、これらのアクセス方式および再送方式を用いることにより、パケット到達確立を向上させている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】IEEE802.11−2007
【非特許文献2】IEEE802.11n/D11.0, June 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来のアクセス方式と再送方式では、あらかじめパケット送信のための時間を予約出来ても、パケット再送を考慮したスケジューリングが出来ず、パケット再送時の遅延時間およびパケット到達率を保証することが出来ない。そのため、遅延時間およびパケット到達率の保証が必要な無線環境において無線通信品質を保証することが出来ない、という問題があった。一方、再送時間を考慮してあらかじめ帯域を割り当てる場合では、再送が発生しない際には帯域が余剰に確保され、他の無線端末局の通信を低下させてしまう、という問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を行うことが可能な無線通信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、無線基地局と無線端末局から構成される無線通信システムであって、前記無線基地局が、所定の間隔でビーコン送信後に、データ送受信対象の無線端末局に対してデータを送受信するために割り当てた期間を、データ送受信対象外の無線端末局に対してデータ送信禁止期間を、通知するための帯域予約フレームを送信し、また、自局のデータ送信割り当て期間において、前記データ送受信対象の無線端末局へ基地局データフレームを送信するスケジューラー手段と、前記データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信したかどうかを確認した結果、および、受信できなかった端末局データフレームを受信するための再送制御を行った回数に基づいて、再送制御を行うかどうかを決定するフレーム解析手段と、前記フレーム解析手段が再送制御を行うと決定した場合に、前記スケジューラー手段に対して帯域予約フレームの送信を指示する再送制御手段と、を備え、前記無線端末局が、前記データ送受信対象の場合には、受信した帯域予約フレームに含まれた自局に割り当てられた期間で前記無線基地局へ端末局データフレームを送信し、一方、前記データ送受信対象外の場合には、前記送信禁止期間においてデータの送信を行わないアクセス制御手段、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パケット再送時の遅延時間およびパケット到達率を保証することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、PCF方式について無線基地局と配下の無線端末局等の通信状況を示すタイムチャートである。
【図3】図3は、PSMP方式について無線基地局と配下の無線端末局等の通信状況を示すタイムチャートである。
【図4】図4は、PSMP方式について無線基地局と配下の無線端末局等の通信状況を示すタイムチャートである。
【図5】図5は、PSMPフレームの構成例を示す図である。
【図6】図6は、PSMP STA Infoフィールドの構成例を示す図である。
【図7】図7は、無線基地局(AP10)の構成例を示す図である。
【図8】図8は、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すフローチャートである。
【図9】図9は、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すタイムチャートである。
【図10】図10は、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すタイムチャートである。
【図11】図11は、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すフローチャートである。
【図12】図12は、BP−Reservationフレームの構成例を示す図である。
【図13】図13は、BP−ReservationフレームとBroadcastPollingフレームのアグリゲーションの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかる無線通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態.
最初に、従来からの方式であるPCF方式およびPSMP方式について、図面を用いて簡単に説明する。
【0016】
まず、PCF方式について説明する。図1は、無線基地局(AP10)と配下の無線端末局(ここでは、STA1、STA2、STA3、STA4、STA5、STA6)から構成される無線通信システムの構成例を示す図である。周囲の円は無線基地局(AP10)の通信エリアを示しており、全ての端末局(STA1〜STA6)は通信エリア内に存在している。また、図示していないが全ての無線端末局(STA1〜STA6)はお互い通信可能なエリアに存在するものとする。さらに、無線基地局(AP10)は、Ethernet(登録商標)等によりインターネット、他ネットワーク、サブネット等に接続可能なものとする。
【0017】
図2は、横軸を時間として無線基地局(AP10)と配下の無線端末局(STA1〜STA6)と、無線基地局(AP10)の配下に属さない他の無線基地局あるいは無線端末局との通信状況を示すタイムチャートである。無線基地局(AP10)は、一定周期で報知信号であるBeaconを送信し、配下の無線端末局(STA1〜STA6)に対して基地局情報を報知する。Beaconと次Beaconまでの一定周期時間をSuperframeとする。Superframeは、非衝突時間(CFP)であるPCFと、衝突期間(CP)であるDCF(Distributed Coordination Function)に分けられ、前者はあらかじめ無線基地局(AP10)の仮想キャリアセンス情報によって帯域を予約している期間であり、後者はキャリアセンス方式により各々の無線端末局がアクセスする期間である。なお、無線基地局(AP10)の配下に属さない他の無線基地局あるいは無線端末局とは、無線基地局(AP10)の通信エリア内に存在しているが、無線基地局(AP10)と接続していない無線基地局あるいは無線端末局とする。
【0018】
ここでは、無線基地局(AP10)が、CFP期間において、PCF方式を用いて無線端末局(STA1〜STA4)に対してアクセスしている様子を示している。このとき、無線端末局(STA5〜STA6)および同一周波数で動作する他無線端末局(図2中のOthersに相当する)は、仮想キャリアセンス情報(NAV)により送信を抑制される。PCF方式で使用されるフレームは、無線基地局(AP10)が送信するポーリングフレームである「CF−Poll」、データパケット「Data(to STA X)」(Xは無線端末局の番号)、およびPCF期間の終了を示す「CF−End」、である。
【0019】
まず、時刻t0にて、無線基地局(AP10)がBeaconを送信し、非衝突期間CFPを設定する。その後、時刻t1にて、無線基地局(AP10)は、ポーリング信号と無線端末局(STA1)向けのデータである「Data(to STA 1)+CF−Poll」を無線端末局(STA1)に送信する。時刻t2にて、無線端末局(STA1)は、受信したデータパケットに対する確認応答フレームである「ACK」および無線基地局(AP10)向けのデータパケットを、「Data(from STA 1)+ACK」にて送信する。
【0020】
つぎに、時刻t3にて、無線基地局(AP10)は、同様に、無線端末局(STA2)に対してポーリング信号と無線端末局(STA2)向けのデータ、さらに、無線端末局(STA1)から受信したデータに対する確認応答フレームである「ACK」を「Data(to STA 2)+CF−Poll+ACK」にて送信する。時刻t4にて、無線端末局(STA2)は、受信したデータパケットに対する確認応答フレームである「ACK」および無線基地局(AP10)向けのデータパケットを、「Data(from STA 2)+ACK」にて送信する。
【0021】
ここで、時刻t5にて、無線基地局(AP10)が無線端末局(STA3)に対してポーリングとデータフレームの送信を行った際に応答フレームが無かった場合(時刻t6のフレームがエラーまたは未送信)、無線基地局(AP10)は、次ポーリング機会である時刻t7において、無線端末局(STA4)向けのポーリングとデータである「Data(to STA 4)+CF−Poll」を送信し、無線端末局(STA3)に対して再送は行わない。
【0022】
無線基地局(AP10)は、あらかじめリスト化した無線端末局(STA1〜STA4)に対するポーリングが完了すると、時刻t9にて、「CF−End」を送信してPCFアクセスを完了し、CFP期間を完了させCF期間に移行する。CF期間において、上述したCSMA/CAを用いて、無線基地局(AP10)および無線端末局(STA1〜STA6)がアクセスする。
【0023】
PCF方式では、上記の様に無線基地局(AP10)が無線帯域を予約することにより、非衝突期間を作成し配下の無線端末局(STA1〜STA4)に対して帯域を保証した通信が可能となっている。一方で、パケットが欠落した際には再送は行わず、CF期間、または次SuperframeのCFP期間に再送を行う。
【0024】
つぎに、PSMP方式について、図3、図4を用いて説明する。図3、図4は、横軸を時間として無線基地局(AP10)と配下の無線端末局(STA1〜STA6)と、無線基地局(AP10)の配下に属さない他の無線基地局あるいは無線端末局との通信状況を示すタイムチャートである。なお、無線通信システムの構成は図1と同様とし、説明を省略する。ここでは、無線基地局(AP10)は、PSMPパケットシーケンスを用いて配下の無線端末局(STA1〜STA4)と通信を行っている様子を示している。このとき、無線端末局(STA5〜STA6)および同一周波数で動作する他無線端末局(図3、図4中のOthersに相当する)は、仮想キャリアセンス情報(NAV)により送信を抑制されている。
【0025】
PSMP方式では、無線基地局(AP10)が送信するPSMPフレーム(図5、図6)に含まれる、スケジューリング無線端末数やMore PSMP、PSMPシーケンス期間などを含む「PSMP Parameter Set」と、端末ID(またはグループID)、ダウンリンク向けの送信開始時間(PSMP−DTT Start Offset)/送信期間(PSMP−DTT Duration)、アップリンク向けの送信開始時間(PSMP−UTT Start Offset)/送信期間(PSMP−UTT Duration)などを含む「PSMP STA Info」フィールド等に基づいて、PSMPフレームを受信した無線端末局(STA1〜STA4)が、スケジューリング情報に基づいて送受信を行う。
【0026】
図5は、PSMPフレームの構成例を示す図である。OrderとInformationによる表において、Informationにある各項目がPSMPフレームの構成を示している。PSMPフレームは、HT(High Throughput)を示す「Category」フィールドと、PSMPまたはPSBP(Power Save Broadcast Polling)を示す「Action」フィールドと、PSMP STA Infoフィールドの内容、長さ等を示す「PSMP Parameter Set」フィールドと、PSMP時間のスケジューリング情報を含む「PSMP STA Info」フィールドと、から構成される。
【0027】
図6は、PSMPフレームの「PSMP STA Info」フィールドの構成例を示す図である。図6(a)はGroup Address向け、図6(b)はIndividual Address向けを示す。
【0028】
図6(a)の「PSMP STA Info」フィールドは、STA Infoタイプを示す「STA_INFO Type」と、ダウンリンク向けの送信開始時間を示す「PSMP−DTT Start Offset」と、ダウンリンク向けの送信期間を示す「PSMP−DTT Duration」と、グループのアドレスを示す「PSMP Group Address ID」と、から構成される。
【0029】
図6(b)の「PSMP STA Info」フィールドは、STA Infoタイプを示す「STA_INFO Type」と、ダウンリンク向けの送信開始時間を示す「PSMP−DTT Start Offset」と、ダウンリンク向けの送信期間を示す「PSMP−DTT Duration」と、個別の無線端末局のアドレスを示す「STA_ID」と、アップリンク向けの送信開始時間を示す「PSMP−UTT Start Offset」と、アップリンク向けの送信期間を示す「PSMP−UTT Duration」と、予備のエリア等を示す「Reserved」と、から構成される。
【0030】
図3において、まず、時刻t0にて、無線基地局(AP10)がPSMPフレームを送信し、PSMP期間を設定する。その後、PSMPフレーム内のダウンリンクスケジューリング情報に基づいて、時刻t1にて、無線端末局(STA1)に対するデータパケットを送信する。同様に、時刻t2、t3、t4にて、あらかじめPSMPにてスケジューリングした無線端末局(STA2〜STA4)に対してデータパケットを送信する。
【0031】
つぎに、時刻t5では、PSMPフレーム内でのアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA1)がデータパケットを送信する。同様に、時刻t6、t9、t10にて、あらかじめPSMPにてスケジューリングされた無線端末局(STA2〜STA4)がデータパケットを送信する。ここで、仮に図3に示すように無線端末局(STA2、STA3)がPSMPフレームを取りこぼしていた場合は、図4に示すように、無線基地局(AP10)が時刻t6にて「PSMP−UTT2」が送信されてこないことを検出し、一定時間後時刻t7にて「PSMP−Recovery」フレームを送信し、PSMPフレームを取りこぼした無線端末局(STA2、STA3)に対して再度スケジューリング情報を再送する。
【0032】
「PSMP−Recovery」フレームを受信した無線端末局(STA2)は、割り当てられた時間にて時刻t8からデータパケットを送信する。同様に、無線端末局(STA3)も、アップリンクスケジューリングを再設定されて、時刻t9よりデータパケットを送信する。あらかじめPSMPフレームにて予約された時刻t11にて、PSMPフレームシーケンスを完了する。
【0033】
上述したように、PSMPフレームシーケンスでは、無線基地局(AP10)は、配下の無線端末局(STA1〜STA4)に対してあらかじめダウンリンクとアップリンクのスケジューリングを通知することにより、非衝突型のアクセス方式を提供すると共に、従来のCSMA/CAの様にキャリアセンス時間とバックオフ時間を必要としない高効率なアクセス方式を提供する。さらに、「PSMP−UTT」フレームが無線端末局側から通知されない場合、無線基地局(AP10)は、「PSMP−Recovery」フレームを用いて再度スケジューリング情報を無線端末局側に通知する仕組みを提供している。
【0034】
つづいて、本実施の形態の無線通信システムについて説明する。無線通信システムの構成は、図1と同様である。無線システムは、無線基地局(AP10)と、無線端末局(STA1〜STA6)と、から構成される。無線基地局(AP10)は、例えば、有線ネットワークであるLAN(Local Area Network)に接続された無線基地局である。無線端末局(STA1〜STA6)は、無線基地局(AP10)のサービスエリア内に設置された無線端末局である。
【0035】
無線端末局(STA1〜STA6)は、例えば、パソコン、テレビ、ビデオ、音楽プレーヤーといった情報端末である。なお、無線基地局(AP10)は、一例として有線ネットワーク(LAN)に接続しているが、無線端末局(STA1〜STA6)と同様、パソコン、テレビ、ビデオ、音楽プレーヤーといった情報端末であってもよい。また、そのネットワークのインタフェースは、有線接続ではなく無線接続用のものであってもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、無線基地局と、無線端末局に区別してインフラストラクチャーモードとして説明するが、これに限定するものではない。例えば、無線端末局が適応的に無線基地局として動作するようなネットワーク形態に対しても適用可能であり、無線端末局が自立分散的に協調動作するAd−hoc(アドホック)モードに対しても適用可能である。また、無線基地局間通信を行い、通信エリアの拡張を行うWDS(Wireless Distribution System)や、メッシュネットワークに対しても適用可能である。
【0037】
図7は、無線基地局(AP10)の構成例を示す図である。無線基地局(AP10)は、有線ネットワークや機器に対する入出力制御を行うインタフェース部20と、無線基地局と無線端末局に関連するアンテナ/指向性ビーム方向/空間多重数など無線伝播情報に関連する情報や、接続端末/基地局情報、スケジューラー情報、フレーム多重情報(アグリゲーション)、再送制御方法などのアクセス制御/ネットワーク制御に関連する情報等を保持する情報記憶部30と、送受信のアクセス制御を行うアクセス制御(MAC:Media Access Control)部40と、送受信信号の変復調を行う変復調部50と、アンテナ選択またはアンテナ調整により指向性ビームの選択および空間多重方式(MIMO:Multiple Input Multiple Output)の制御をおこなうビーム制御部60と、送受信共用の複数のアンテナを構成するアンテナ部70と、備え、複数の指向性ビーム/複数の空間多重信号を送受信することが出来る。
【0038】
アクセス制御部(MAC部)40は、データ送信タイミングを決定するスケジューラー部41と、受信したフレームの内容を解析するフレーム解析部42と、フレームの再送が必要な場合にフレームの再送を指示する再送制御部43と、を備える。
【0039】
変復調部50は、送信データの誤り訂正および変調を行う送信部51と、受信データを解析し、復調および誤り訂正を行う受信部52と、受信部52からの受信電力、S/N、C/Nなど情報から受信したフレームの品質を測定する品質測定部53と、を備える。
【0040】
アンテナ部70は、他の無線通信装置(他の無線基地局や無線端末局)との間でデータを送受信するためのアンテナにより構成され、ビーム制御部60によって制御されるものである。アンテナ部70を構成する各アンテナは、例えば、指向性を有し、かつ指向方向が可変なフェーズド・アレイ・アンテナや、無指向性のオムニアンテナであってもよい。さらに、複数の指向性アンテナから構成され、適応的にアンテナを切り替えることにより指向方向を変更できる指向性アンテナであってもよい。
【0041】
つぎに、上記構成の無線基地局(AP10)におけるデータ送受信動作を図7に基づいて説明する。
【0042】
インタフェース部20では、一例として、有線LANへのインタフェースを備える場合には、有線LANから入力されるデータに対してフレームチェックを行い、ヘッダなどの処理を行なった後に、アクセス制御部(MAC部)40に引き渡す。また、アクセス制御部(MAC部)40から受け取った(無線端末局からの)受信データを、有線LANの形式にヘッダや、フレームチェックシーケンスを付加した後に、有線LANへ出力する。その他の例としては、PCMCIA、USB、IEEE1394、SDIO、HDMIなどの情報端末向けのインタフェースなどを搭載することも可能である。
【0043】
アクセス制御部(MAC部)40は、無線端末局へのデータ送信時にはインタフェース部20から受け取ったデータに対して、アグリゲーション(A−MPDU(Aggregation MAC Protocol Unit)方式)する際にはサブフレームヘッダ、あるいはデリミタなどを付加した上で複数のデータを多重し、MACヘッダ、フレームチェックシーケンスを付加した後、スケジューラー部41において決定されるタイミングに従い、変復調部50の送信部51へデータを引き渡す。なお、あらかじめ決められたフレーム種別に対してアグリゲーションを行わないことも可能であり、MACヘッダ、フレームチェックシーケンスを付加した後にアグリゲーションしても構わない。このとき、アクセス制御部(MAC部)40は、情報記憶部30から、送信相手先の指向性ビーム番号(あるいは、ビーム制御用のウェイト値など)、空間多重(MIMO)用の制御値(位相、振幅、アンテナなど)などの情報を読み出し、ビーム制御部60に対して送信を行いたい指向性ビーム番号、空間多重方式を通知する。
【0044】
また、アクセス制御部(MAC部)40は、データ受信時には、あらかじめ通知されている、または、パケット受信時に計測された情報に基づいて、受信を行いたいビーム方向をビーム制御部60に通知する。受信データは、変復調部50からアクセス制御部(MAC部)40に引き渡され、アクセス制御部(MAC部)40では、フレームチェックシーケンスと、MACヘッダ内の宛先アドレスをフレーム解析部42で確認する。その結果、フレームが間違っている場合や自局宛以外のフレームの場合は、フレームを破棄する。
【0045】
BlockACK等を用いてNACKが返送されてきた場合や、あらかじめ規定した確認応答(ACK)タイムアウト時間までに確認応答(ACK)を受信できない場合、または、あらかじめスケジューリングした時間に無線端末局からの受信データが来ない場合には、フレーム解析部42は、再送制御を行うかどうかを決定する。フレーム解析部42は、再送制御を行う場合には、その旨を再送制御部43へ通知し、データを再送させるように指示を行う。応答が必要なフレームであれば、フレーム解析部42は、スケジューラー部41に通知して、通知されたタイミングで応答フレームを送信するように指示する。または、スケジューラー部41にて送信タイミングを決定し、応答フレームを送信するように指示する。また、フレーム解析部42は、正常に受信されたデータフレームをインタフェース部20へ引き渡す。なお、本実施の形態で後述する、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御においては本機能に基づいて再送制御用の帯域確保を行うことも可能である。
【0046】
さらに、アクセス制御部(MAC部)40は、変復調部50の品質測定部53が測定した受信品質などに関する情報を受け取り、この情報に含まれる端末アドレス(MACアドレス、デバイスアドレスなどの端末識別子)、チャネル番号(空間チャネル、周波数チャネル)、指向性ビーム番号、空間多重(MIMO)制御値、受信電力値、干渉電力値、などの情報を情報記憶部30に随時記録し、更新を行う。このような動作を行うことにより、アクセス制御部(MAC部)40は、情報記憶部30から読み出した情報を使用して指向性ビーム制御、空間多重制御、動作周波数制御を行い、所望の無線端末局と通信する。
【0047】
以上、無線基地局(AP10)の構成およびデータ送受信時の各部の動作について説明したが、無線端末局(STA1〜STA6)の構成および各部の動作についても同様の構成とする。なお、アンテナ数、指向性ビーム数については、無線基地局(AP10)および各無線端末局(STA1〜STA6)の間で異なっていても構わない。
【0048】
つづいて、本実施の形態における遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を、フローチャートに基づいて説明する。図8は、本実施の形態の遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すフローチャートである。具体的に、図9に示すタイムチャートの場合について説明する。図9は、本実施の形態の遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すタイムチャートである。横軸を時間として無線基地局(AP10)と配下の無線端末局(STA1〜STA6)、無線基地局(AP10)に属さない他の無線基地局または無線端末局との通信状況を示した図である。
【0049】
まず、時刻t0において、無線基地局(AP10)では、スケジューラー部41が、一定周期毎に報知信号であるBeaconを送信し、配下の無線端末局(STA1〜STA6)に対して基地局情報を通知する(ステップS1)。帯域予約期間は、CFP、CAP、または、無線基地局、無線端末局がTXOPを取得した期間を示している。ランダムアクセス期間は、無線基地局、無線端末局がCSMA/CAによってランダムアクセスする期間を示している。
【0050】
つぎに、時刻t1において、無線基地局(AP10)では、スケジューラー部41が、BP−Reservationフレームを送信し、配下の無線端末局(STA1〜STA6)に対するダウンリンク方向のスケジューリングと、アップリンク方向のスケジューリング時間を通知する(ステップS2)。なお、フレームフォーマットの詳細については、図12に記載し後述する。この際、当該データ通信期間(時刻t1〜t6)に対し、ユーザ選択再送制御(1)に向けた帯域予約に対する優先予約を実現するため、他無線端末局に対するNAV設定は、本来のデータ通信期間である時刻t6よりも長い、時刻t9にて予約する。前記の帯域を予約することにより、ユーザ選択再送制御(1)を行うためのBP−Reservationフレームを優先的に送信できるようになる。
【0051】
また、BP−Reservationフレーム内で指定されたダウンリンクスケジューリング情報およびアップリンクスケジューリング情報以外のタイミングでは送信できないため、BP−Reservationにて通知された送受信タイミング以外では、各無線端末局は低消費電力モード(たとえば、送受信機の電源を落とす、Sleepモードに移行する等)として動作することが可能である。
【0052】
なお、本実施の形態では、BP−Reservationフレームの帯域予約時間を次BP−Reservationフレーム送信完了後+xIFS時間(xIFS時間は、PIFS、DIFS、AIFS、RIFS、または専用のキャリアセンス時間を示す)としているが、BP−Reservationフレームが優先的に送信できる時間であれば、この値に限るものではない。また、BP−Reservationフレームを送信する優先度を他のフレームに対して優先的に設定(BP−Reservationフレームに対するキャリアセンス時間を短縮、またはランダムバックオフ時間の短縮、またはその組合せ)できるのであれば、NAV設定を長く取る必要は無い。
【0053】
つぎに、時刻t2において、無線基地局(AP10)では、スケジューラー部41が、BroadcastPollingフレームを送信し、配下の無線端末局(STA1〜STA6)に対するダウンリンク方向のデータを配信する(ステップS3)。ここで、BroadcastPollingフレームは、BP−Reservationフレームにてスケジューリングした無線端末局(ここでは、STA1〜STA6)に対して、一括に同一のデータを送信し、または、制御するために用いられる。または、特定の無線端末局グループ(例えばSTA1、STA2、STA5)に対して送信することも可能である。その際、宛先アドレスをあらかじめ決定したグループアドレス(マルチキャストアドレスとも言う)を用いて送信することによって可能である。
【0054】
なお、無線端末局(STA1〜STA6)に対して、個別にデータ通信を行う場合には、後述する図13に示すように1つのデータにフレームを多重(アグリゲーション)することによって実現することも可能であるし、図3、図4に示す従来技術のPSMP−DTT1〜PSMP−DTT4の様に端末毎に送信することも可能である。
【0055】
以降、各無線端末局(STA1〜STA6)では、BP−Reservationフレームで通知されたアップリンクススケジューリング情報(送信開始時間、送信期間)に基づいて、スケジューラー部41が、無線基地局(AP10)にデータフレームを送信する(ステップS4)。
【0056】
時刻t3では、BP−Reservationフレーム内でのスケジューリングされたアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA1)がデータフレームを送信し、無線基地局(AP10)が正常受信している様子を示す。
【0057】
時刻t4では、あらかじめBP−Reservation内のアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA2)がデータフレームを送信する機会として割り当てられているが、無線端末局(STA2)がBP−Reservationフレームを正常に受信しなかった場合、または、無線端末局(STA2)がデータフレームを送信したが無線基地局(AP10)に正常に到達しなかった様子を示している。
【0058】
同様に、時刻t5では、あらかじめBP−Reservationフレーム内のアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA6)がデータフレームを送信し、無線基地局(AP10)が正常受信している様子を示す。
【0059】
つぎに、無線基地局(AP10)では、フレーム解析部42が、データ送受信対象の全ての無線端末局(STA1〜STA6)からデータフレームを受信したかどうかを確認する(ステップS5)。ここでは、データフレームを受信していない無線端末局があるので(ステップS5:No)、つぎに、無線基地局(AP10)では、フレーム解析部42が、「データ通信(1回目)」であるので、規定の再送回数以内として(ステップS6:Yes)、ユーザ選択再送制御(1)を実行する。このとき、フレーム解析部42は、再送制御部43に対して、無線端末局(STA2、STA3、STA5)をデータ送受信対象とする再送制御を行う旨を通知する。すなわち、フレーム解析部42は、再送制御部43に対して、無線端末局(STA2、STA3、STA5)をデータ送受信対象とするBP−Reservationフレームを送信させるように指示する。
【0060】
つぎに、データ通信(1回目)において、無線端末局(STA2、STA3、STA5)からのアップリンクデータが落ちたとして、以降のユーザ選択再送制御(1)の動作について説明する。
【0061】
時刻t7では、無線基地局(AP10)が前記時刻t0からt6の期間のデータ通信(1回目)にてアップリンクデータを受信しなかった無線端末局に対するユーザ選択再送制御例を示す。無線基地局(AP10)では、再送制御部43から指示を受けたスケジューラー部41が、無線端末局(STA2、STA3、STA5)をデータ送受信対象とするBP−Reservationフレームを送信し、配下の無線端末局(STA2、STA3、STA5)に対するアップリンク方向のスケジューリング時間を通知する(ステップS2)。この際、図中に示されていないが、ダウンリンク方向のフレームを再送、または、個別に送信するのであれば、ダウンリンク方向のスケジューリング時間を通知し、送信することも可能である。ダウンリンク方向のフレームがない場合、ステップS3を省略してもよい。
【0062】
本BP−Reservationフレームの送信にあたっては、上述したように時刻t1のBP−Reservationフレームにて他無線端末局に対するNAVを冗長に設定する、または、BP−Reservationフレームのキャリアセンス時間、またはバックオフ時間を他のフレームに対して優先的に設定することにより、他のフレームに帯域を取得されること無く、BP−Reservationフレームを送信し、ユーザ選択再送制御(1)を行えるように制御する。
【0063】
時刻t8では、時刻t7にて送信したBP−Reservationフレームによって他無線端末局(ここでは、ユーザ選択再送制御(1)に含まれない配下のSTA1、STA4、STA6も含まれる)に対してNAVを更新する。この際、先のNAV設定度同様に、本来の通信期間である時刻t12より長い、時刻t15にて予約する。前記の帯域を予約することにより、ユーザ選択再送制御(2)を行うためのBP−Reservationフレームを優先的に送信できるようになる。
【0064】
以降、各無線端末局(STA2、STA3、STA5)では、BP−Reservationフレームで通知されたアップリンクススケジューリング情報(送信開始時間、送信期間)に基づいて、スケジューラー部41が、無線基地局(AP10)にデータフレームを送信する(ステップS4)。
【0065】
時刻t9では、BP−Reservationフレーム内のアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA2)が、データフレームを送信する機会として割り当てられているが、再度、無線端末局(STA2)がBP−Reservationフレームを正常に受信しなかった場合、または、無線端末局(STA2)がデータフレームを送信したが無線基地局(AP10)に正常に到達しなかった様子を示している。
【0066】
時刻t10では、BP−Reservationフレーム内のアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA3)がデータフレームを送信し、無線基地局(AP10)が正常受信している様子を示す。
【0067】
時刻t11では、BP−Reservationフレーム内のアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA5)がデータフレームを送信する機会として割り当てられているが、再度、無線端末局(STA5)がBP−Reservationフレームを正常に受信しなかった場合、または、無線端末局(STA2)がデータフレームを送信したが無線基地局(AP10)に正常に到達しなかった様子を示している。
【0068】
つぎに、無線基地局(AP10)では、フレーム解析部42が、データ送受信対象の全ての無線端末局(STA2、STA3、STA5)からデータフレームを受信したかどうかを確認する(ステップS5)。ここでは、データフレームを受信していない無線端末局があるので(ステップS5:No)、つぎに、無線基地局(AP10)では、フレーム解析部42が、ユーザ選択再送制御(1)であるので、規定の再送回数以内として(ステップS6:Yes)、ユーザ選択再送制御(2)を実行する。このとき、フレーム解析部42は、再送制御部43に対して、無線端末局(STA2、STA5)をデータ送受信対象とする再送制御を行う旨を通知する。すなわち、フレーム解析部42は、再送制御部43に対して、無線端末局(STA2、STA5)をデータ送受信対象とするBP−Reservationフレームを送信させるように指示する。
【0069】
つぎに、ユーザ選択再送制御(1)において、無線端末局(STA2、STA5)からのアップリンクデータが落ちたとして、以降のユーザ選択再送制御(2)の動作について説明する。
【0070】
時刻t13では、先のユーザ選択再送制御(1)と同様に、無線基地局(AP10)が前記時刻t7からt12の期間のユーザ選択再送制御(1)にてアップリンクデータを受信しなかった無線端末に対するユーザ選択再送制御例を示す。無線基地局(AP10)では、再送制御部43から指示を受けたスケジューラー部41が、無線端末局(STA2、STA5)をデータ送受信対象とするBP−Reservationフレームを送信し、配下の無線端末局(STA2、STA5)に対するアップリンク方向のスケジューリング時間を通知する(ステップS2)。この際、前述した内容と同様に、図中に示されていないがダウンリンク方向のフレームを再送、あるいは個別に送信するのであれば、ダウンリンク方向のスケジューリング時間を通知し、送信することも可能である。ダウンリンク方向のフレームがない場合、ステップS3を省略してもよい。
【0071】
本BP−Reservationフレームの送信にあたっては、上述したように時刻t7のBP−Reservationフレームにて他無線端末に対するNAVを冗長に設定する、または、BP−Reservationフレームのキャリアセンス時間、または、バックオフ時間を他のフレームに対して優先的に設定することにより、他フレームに帯域を取得されること無く、BP−Reservationフレームを送信し、ユーザ選択再送制御(2)を行えるように制御する。
【0072】
時刻t14では、時刻t13にて送信したBP−Reservationフレームによって他無線端末局(ここでは、ユーザ選択再送制御(2)に含まれない配下のSTA1、STA3、STA4、STA6も含まれる)に対してNAVを更新する。この際、例えば、ユーザ選択再送制御を規定の再送回数として2回で打ち切る場合(ステップS6:No)には、先のデータ通信(1回目)、ユーザ選択再送制御(1)の様に冗長にNAVを設定する必要は無く、時刻t17と設定することも可能である。ただし、本ユーザ選択再送制御(2)開始時に更に再送を行うか決まっていない場合には、データ通信(1回目)、ユーザ選択再送制御(1)と同様に、本来の通信期間である時刻t17より長い、時刻t18にて予約することも可能である。この際、仮に本実施の形態に図示しているようにユーザ選択再送制御(3)を行わない場合においても、最小の冗長NAV設定にてランダムアクセス期間に移行できるようになる。
【0073】
以降、各無線端末局(STA2、STA5)では、BP−Reservationフレームで通知されたアップリンクススケジューリング情報(送信開始時間、送信期間)に基づいて、スケジューラー部41が、無線基地局(AP10)にデータフレームを送信する(ステップS4)。
【0074】
時刻t15では、BP−Reservationフレーム内のアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA2)がデータフレームを送信し、無線基地局(AP10)が正常受信している様子を示す。
【0075】
時刻t16では、BP−Reservationフレーム内のアップリンクスケジューリング情報に基づいて、無線端末局(STA5)がデータフレームを送信し、無線基地局(AP10)が正常受信している様子を示す。
【0076】
ここで、データ通信(1)にて発生したフレームエラーに対し、ユーザ選択再送制御(2)迄に、全ての無線端末局(STA1〜STA6)に対するダウンリンクデータおよびアップリンクデータのシーケンスを全て正常に完了したので(ステップS5:Yes)、帯域予約を開放しランダムアクセス時間に切り替える様子を示している。すなわち、フレーム解析部42が、帯域予約を終了する(NAVの更新をしない)ことを決定する。
【0077】
さらに、時刻t19では、次Superframeの開始タイミングにおいて無線基地局(AP10)のスケジューラー部41が、Beaconフレームを送信している様子を示している。
【0078】
なお、再送回数の確認(ステップS6)をフレーム解析部42が行うこととしたが、これに限定するものではない。例えば、フレーム解析部42が無線端末局からデータフレームを受信しなかった場合に、再送制御部43が、フレーム解析部42からその旨の通知を受け、再送回数の確認(ステップS6)をしてもよい。
【0079】
このように、無線基地局(AP10)が、無線端末局(STA1〜STA6)に対して、BP−Reservationフレームを送信して一定時間帯域を予約し、無線端末局(STA1〜STA6)が、BP−Reservationフレームに含まれる帯域割当情報に基づいて、データを送信する。無線基地局(AP10)では、データを受信できなかった無線端末局に対してのみ、帯域を再確保してユーザ選択再送制御(1)、(2)を実施する。これにより、次Beaconまでの現在のSuperframe内において、効率的にユーザ選択再送制御を行うことができる。
【0080】
なお、図10に示すようにBP−Reservationに対してACKを受信し、BP−Reservationが正常に受信されたか否かを判定することも可能である。図10は、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すタイムチャートである。時刻t2にて送信したBP−Reservationフレームに対して一定時間以内にACKが返送されてこなかった場合には、BP−Reservationフレームを再送することにより、帯域予約フレームの到達確率をあげることも可能である。このときのフローチャートを図11に示す。図11は、遅延時間保証型ユーザ選択再送制御を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートのステップS2とS3の間に、ACK送受信の処理(ステップS11、S12)を追加した点が異なる。
【0081】
無線基地局(AP10)からBP−Reservationフレームを受信した無線端末局(STA1〜STA6)では、スケジューラー部41が、無線基地局(AP10)にACKを送信する(ステップS11)。そして、無線基地局(AP10)では、フレーム解析部42が、データ送受信対象の全ての無線端末局(STA1〜STA6)からACKを受信したかどうかを確認する(ステップS12)。図10における時刻t1後のように、全ての無線端末局(STA1〜STA6)からACKを受信していた場合(ステップS12:Yes)、無線基地局(AP10)では、スケジューラー部41が、BroadcastPollingフレームを送信し、配下の無線端末局(STA1〜STA6)に対するダウンリンク方向のデータを配信する(ステップS3)。一方、図10の時刻t3後のように、全ての無線端末局(STA2、STA3、STA5)からACKを受信していない場合には(ステップS12:No)、無線基地局(AP10)では、BP−Reservationフレームを再送する(ステップS2)。すなわち、フレーム解析部42は、再送制御部43に対して、BP−Reservationフレームの再送を指示する。再送制御部43は、スケジューラー部41に対して、BP−Reservationフレームの再送を指示する。
【0082】
ここで、BP−Reservationフレームについて説明する。図12は、本実施の形態におけるBP−Reservationフレームの構成例を示す図である。このBP−Reservationフレームは、「MAC Header」と、「Frame Body」と、「FCS」と、から構成される。
【0083】
MAC Headerは、IEEE802.11nフレームフォーマットを基に、BP−Reservationフレーム種別を示すフレームタイプ等を含む「Frame Control」フィールドと、「Duration/ID」フィールドと、宛先/送信元/SSIDなどの「アドレス」フィールドと、「Sequence Control」フィールドと、「QoS Control」フィールドと、「HT Control」フィールドと、から構成される。
【0084】
Frame Bodyは、HTを示す「Category」フィールドと、PSMPまたはPSBP(Power Save Broadcast Polling)を示す「Action」フィールドと、PSBP STA Info(または、PSMP STA Info)フィールドの内容、長さ等を示す「PSBP Parameter Set」(または、「PSMP Parameter Set」)フィールドと、PSBP(またはPSMP)時間のスケジューリング情報を含む「PSBP STA Info」(または、「PSMP STA Info」)フィールドと、から構成される。
【0085】
また、「PSBP Parameter Set」(または、「PSMP Parameter Set」)フィールドは、STA Infoフィールド数を示す「N_STA」フィールドと、本PSBPシーケンス後に更にPSBPシーケンスが続くか否かを記す「More PSBP」(または、本PSMPシーケンス後に更にPSMPシーケンスが続くか否かを記す「More PSMP」)フィールドと、PSBPのシーケンス時間を示す「PSBP Duration」(または、PSMPのシーケンス時間を示す「PSMP Duration」)フィールド、から構成される。
【0086】
また、「PSBP STA Info」フィールドには、端末台数分のスケジューリング情報が含まれ、そのスケジューリング方法はGroup Address、BiDirectional(双方向)、Downlink、Uplinkに応じて図12(a)〜(d)にて記している。複数端末台数にスケジューリングする際には、図12(a)〜(d)のフィールドが連続して配置される。
【0087】
図12(a)は、ブロードキャスト、またはマルチキャストの際に使用する。PSMPとPSBPの違いはあるが、図6(a)と同等の構成となる。図12(b)は、各無線端末に対して個別にダウンリンクスケジューリングと、アップリンクスケジューリングを割り当てる際に使用する。PSMPとPSBPの違いはあるが、図6(b)と同等の構成となる。図12(c)は、各無線端末に対して個別にダウンリンクのみを割り当る際に使用する。図12(a)と比較して、STA_INFO Typeが異なる。また、Group Addressではなく、STA_IDとする。図12(d)は、各無線端末に対して個別にアップリンクのみを割り当てる際に使用する。図12(a)と比較して、STA_INFO Typeが異なる。また、Group Addressではなく、STA_IDとする。
【0088】
以上の様に、スケジューリング方法に応じてフィールドフォーマットを変更することにより、全てのケースに対して、図12(a)または図12(b)のみしか使用できない場合に対して、「PSBP STA Info」(または、「PSMP STA Info」)フィールド長を短くすることが可能になり、高効率化を実現することが可能となる。また、「PSBP STA Info」(または、「PSMP STA Info」)フィールド内に複数回同じ無線端末宛にスケジューリング情報を盛り込むことで、複数回帯域を割り当てることも可能である。
【0089】
つぎに、BP−ReservationフレームとBroadcastPollingフレームのアグリゲーションについて説明する。図13は、本実施の形態におけるBP−ReservationフレームとBroadcastPollingフレームのアグリゲーション(A−MPDU)の例を示す図である。それぞれのフレームはA−MPDU subframe1と2に含まれるフレームフォーマットとなる。A−MPDU subframeは、リザーブ、MPDU Length、CRC、サブフレーム先頭位置を検出するDelimiter Signatureフィールドから構成される「MPDU Delimiter」フィールドと、データを含む「MPDU」フィールドと、A−MPDU subframeを4byte boundary化する「Pad」フィールドから構成される。
【0090】
「MPDU」フィールドは、通常の無線LANのフレームフォーマットと同様に、MAC Headerフィールドと、ペイロードフィールドと、FCSフィールドと、から構成されており、本実施の形態ではA−MPDU subframe1のペイロードはBP−Reservationフィールドの内容が含まれ、A−MPDU subframe2のペイロードにPSBP DLL(Broadcast Polling for STAsとも記載する)のフィールドが含まれている。このように複数のダウンリンクフレームを多重することにより、基地局(AP10)が送信するダウンリンクフレーム(図9における時刻t1、t2にて送信されるフレーム)を多重することが可能になり、キャリアセンス時間、バックオフ時間を削減し高効率化を実現することが出来る。なお、本実施の形態ではA−MPDU方式について説明したが、複数のサブフレームを多重し、1つの物理バーストとして送信をする方法であれば、アグリゲーション方式に限定するものではない。
【0091】
以上説明したようにして、本実施の形態では、許容時間が厳しく、かつ、通信品質が求められるデータの送信を行う無線通信システムにおいて、無線基地局が、無線端末局に対して、任意のタイミング期間にBP−Reservationフレームを送信して一定時間帯域を予約し、BroadcastPollingフレームを用いてダウンリンク方向の無線端末局に対して一括して制御情報を送信する。無線端末局では、BP−Reservationフレームに含まれる帯域割当情報に基づいて、データを送信する。そして、無線基地局では、データ通信(1回目)期間においてデータを受信できなかった無線端末局に対して、上記フレームにて動的に帯域を再確保してユーザ選択再送制御(1、2、…)を実施し、次Beaconまでの現在のSuperframe内において、効率的にユーザ選択再送制御を行うこととした。これにより、パケット再送が次Superframeに持ち越されることによる遅延時間増大および許容遅延時間外再送を防ぐことができ、また、QoSデータに対するパケット到達率を向上できることから、遅延時間およびパケット到達率の保証が必要な無線環境において、無線通信品質を保証することができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、無線帯域の予約方法にBP−Reservationフレームを用いたが、これに限定するものではない。例えば、既存のPSMPフレームに含まれるPSMP Parameter SetおよびPSMP STA Infoを使用することも可能である。PSMP STA Infoフィールドは、グループアドレス(図6(a))でも個別アドレスのフィールドセット(図6(b))でも使用可能である。または、その組合せでも構わない。例えば、ダウンリンク方向のスケジューリングをグループアドレスによるPSMP STA Infoフィールドとし、アップリンク方向のスケジューリングを個別アドレスのPSMP STA Infoフィールドとしてもよい。このとき、本実施の形態で示すように、NAV設定を冗長に設定することや、送信優先度を他のフレームに対して上げることにより、ユーザ選択再送制御を優先的に実施することが可能である。
【0093】
また、本実施の形態では、ユーザ選択再送制御の回数を2回として説明したが、これに限るものではなく、許容処理遅延時間以内であれば繰り返しユーザ選択再送制御期間を設定し、優先的に再送することでフレーム到達率を上げることが可能となる。あるいは、事前に通信品質が判明しており、特定の再送回数においてフレーム到達率を一定以上確保できる(例えば、到達率99.99%など)のであれば、あらかじめユーザ選択再送制御回数を決定した上で制御することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明にかかる無線通信システムは、無線基地局が複数の無線端末局にデータを送信する無線通信に有用であり、特に、許容遅延時間内のパケット到達率を向上させる必要のある高信頼無線通信に適している。
【符号の説明】
【0095】
1,2,3,4,5,6 無線端末局(STA)
10 無線基地局(AP)
20 インタフェース部
30 情報記憶部
40 アクセス制御部(MAC部)
41 スケジューラー部
42 フレーム解析部
43 再送制御部
50 変復調部
51 送信部
52 受信部
53 品質測定部
60 ビーム制御部
70 アンテナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と無線端末局から構成される無線通信システムであって、
前記無線基地局が、
所定の間隔でビーコン送信後に、データ送受信対象の無線端末局に対してデータを送受信するために割り当てた期間を、データ送受信対象外の無線端末局に対してデータ送信禁止期間を、通知するための帯域予約フレームを送信し、また、自局のデータ送信割り当て期間において、前記データ送受信対象の無線端末局へ基地局データフレームを送信するスケジューラー手段と、
前記データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信したかどうかを確認した結果、および、受信できなかった端末局データフレームを受信するための再送制御を行った回数に基づいて、再送制御を行うかどうかを決定するフレーム解析手段と、
前記フレーム解析手段が再送制御を行うと決定した場合に、前記スケジューラー手段に対して帯域予約フレームの送信を指示する再送制御手段と、
を備え、
前記無線端末局が、
前記データ送受信対象の場合には、受信した帯域予約フレームに含まれた自局に割り当てられた期間で、前記無線基地局へ端末局データフレームを送信し、一方、前記データ送受信対象外の場合には、前記送信禁止期間においてデータの送信を行わないアクセス制御手段、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線基地局のフレーム解析手段は、
前記データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信したかどうかを確認した結果、受信していない場合には、さらに、再送制御回数が規定の回数以内かどうかを確認し、規定の回数以内の場合は、受信していない端末局データフレームの送信元無線端末局をデータ送受信対象の無線端末局とする再送制御を行うことを決定し、
一方、確認した結果、データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信した場合、または、再送制御回数が前記規定の回数を超えている場合は、再送制御を行わないことを決定し、
前記再送制御手段は、前記フレーム解析手段から再送制御を行う旨の通知を受けた場合に、前記スケジューラー手段に対して、前記受信していない端末局データフレームの送信元無線端末局をデータ送受信対象の無線端末局とする帯域予約フレームの送信を指示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線基地局のスケジューラー手段は、
前記再送回数が規定の再送回数になったときを除き、前記送信禁止期間を、今回の帯域予約フレーム送信終了時から次回の帯域予約フレーム送信終了時までの期間よりも長い期間とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記データ送受信対象の無線端末局のアクセス制御手段は、帯域予約フレームを受信した場合に、前記無線基地局へACKを送信し、
前記無線基地局のフレーム解析手段は、前記データ送受信対象の全ての無線端末局からACKを受信したかどうかを確認した結果、受信していない場合に前記帯域予約フレームを再送することを決定し、一方、受信していた場合には前記基地局データフレームを送信することを決定し、
前記フレーム解析手段から前記帯域予約フレームを再送する決定を行った旨の通知を受けた前記再送制御手段は、前記スケジューラー手段に対して前記帯域予約フレームの再送を指示し、
前記スケジューラー手段は、前記再送制御手段から前記帯域予約フレームの再送指示を受けた場合に、前記データ送受信対象の無線端末局へ前記帯域予約フレームを再送し、一方、前記フレーム解析手段から前記基地局データフレームを送信する決定を行った旨の通知を受けた場合に、自局のデータ送信割り当て期間で、前記データ送受信対象の無線端末局へ基地局データフレームを送信する、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記無線基地局のスケジューラー手段は、前記帯域予約フレームと前記基地局データフレームを1つのフレームに多重して送信する、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記無線端末局のアクセス制御手段は、自局がデータ送受信をするために割り当てられた期間以外では、自局を低消費電力状態とする、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の無線通信システム。
【請求項7】
無線端末局と無線通信システムを構成する無線基地局であって、
所定の間隔でビーコン送信後に、データ送受信対象の無線端末局に対してデータを送受信するために割り当てた期間を、データ送受信対象外の無線端末局に対してデータ送信禁止期間を、通知するための帯域予約フレームを送信し、また、自局のデータ送信割り当て期間において、前記データ送受信対象の無線端末局へ基地局データフレームを送信するスケジューラー手段と、
前記データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信したかどうかを確認した結果、および、受信できなかった端末局データフレームを受信するための再送制御を行った回数に基づいて、再送制御を行うかどうかを決定するフレーム解析手段と、
前記フレーム解析手段が再送制御を行うと決定した場合に、前記スケジューラー手段に対して帯域予約フレームの送信を指示する再送制御手段と、
を備えることを特徴とする無線基地局。
【請求項8】
前記フレーム解析手段は、
前記データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信したかどうかを確認した結果、受信していない場合には、さらに、再送制御回数が規定の回数以内かどうかを確認し、規定の回数以内の場合は、受信していない端末局データフレームの送信元無線端末局をデータ送受信対象の無線端末局とする再送制御を行うことを決定し、
一方、確認した結果、データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信した場合、または、再送制御回数が前記規定の回数を超えている場合は、再送制御を行わないことを決定し、
前記再送制御手段は、前記フレーム解析手段から再送制御を行う旨の通知を受けた場合に、前記スケジューラー手段に対して、前記受信していない端末局データフレームの送信元無線端末局をデータ送受信対象の無線端末局とする帯域予約フレームの送信を指示する、
ことを特徴とする請求項7に記載の無線基地局。
【請求項9】
前記スケジューラー手段は、
前記再送回数が規定の再送回数になったときを除き、前記送信禁止期間を、今回の帯域予約フレーム送信終了時から次回の帯域予約フレーム送信終了時までの期間よりも長い期間とする、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の無線基地局。
【請求項10】
前記フレーム解析手段は、前記帯域予約フレームを受信した前記データ送受信対象の全ての無線端末局からACKを受信したかどうかを確認した結果、受信していない場合に、前記帯域予約フレームを再送することを決定し、一方、受信していた場合には前記基地局データフレームを送信することを決定し、
前記フレーム解析手段から前記帯域予約フレームを再送する決定を行った旨の通知を受けた前記再送制御手段は、前記スケジューラー手段に対して前記帯域予約フレームの再送を指示し、
前記スケジューラー手段は、前記再送制御手段から前記帯域予約フレームの再送指示を受けた場合に、前記データ送受信対象の無線端末局へ前記帯域予約フレームを再送し、一方、前記フレーム解析手段から前記基地局データフレームを送信する決定を行った旨の通知を受けた場合に、自局のデータ送信割り当て期間で、前記データ送受信対象の無線端末局へ基地局データフレームを送信する、
ことを特徴とする請求項7、8または9に記載の無線基地局。
【請求項11】
前記スケジューラー手段は、前記帯域予約フレームと前記基地局データフレームを1つのフレームに多重して送信する、
ことを特徴とする請求項7、8または9に記載の無線基地局。
【請求項12】
無線基地局と無線通信システムを構成する無線端末局であって、
前記無線基地局から、データ送受信対象の無線端末局に対してデータを送受信するために割り当てた期間を、データ送受信対象外の無線端末局に対してデータ送信禁止期間を、通知するための帯域予約フレームを受信したときに、
前記データ送受信対象の場合には、受信した帯域予約フレームに含まれた自局に割り当てられた期間で前記無線基地局へ端末局データフレームを送信し、一方、前記データ送受信対象外の場合には、前記送信禁止期間においてデータの送信を行わないアクセス制御手段、
を備えることを特徴とする無線端末局。
【請求項13】
前記アクセス制御手段は、データ送受信対象のときに前記帯域予約フレームを受信した場合は、前記無線基地局へACKを送信する、
ことを特徴とする請求項12に記載の無線端末局。
【請求項14】
前記アクセス制御手段は、自局がデータ送受信をするために割り当てられた期間以外では、自局を低消費電力状態とする、
ことを特徴とする請求項12または13に記載の無線端末局。
【請求項15】
無線基地局と無線端末局から構成される無線通信システムの無線通信方法であって、
前記無線基地局が、所定の間隔でビーコン送信後に、データ送受信対象の無線端末局に対してデータを送受信するために割り当てた期間を、データ送受信対象外の無線端末局に対してデータ送信禁止期間を、通知するための帯域予約フレームを送信する帯域予約ステップと、
前記無線基地局が、自局のデータ送信割り当て期間において、前記データ送受信対象の無線端末局へ基地局データフレームを送信する基地局データ送信ステップと、
前記データ送受信対象の無線端末局が、受信した帯域予約フレームに含まれた自局に割り当てられた期間で前記無線基地局へ端末局データフレームを送信する端末局データ送信ステップと、
前記無線基地局が、前記データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信したかどうかを確認した結果、および、受信できなかった端末局データフレームを受信するための再送制御を行った回数に基づいて、再送制御を行うかどうかを決定するフレーム解析ステップと、
前記無線基地局が、前記フレーム解析ステップにおいて再送制御を行うと決定した場合に、帯域予約フレームを送信する帯域予約フレーム送信ステップと、
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項16】
前記フレーム解析ステップでは、
前記無線基地局が、前記データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信したかどうかを確認した結果、受信していない場合には、さらに、再送制御回数が規定の回数以内かどうかを確認し、規定の回数以内の場合は、受信していない端末局データフレームの送信元無線端末局をデータ送受信対象の無線端末局とする再送制御を行うことを決定し、
一方、確認した結果、データ送受信対象の全ての無線端末局から端末局データフレームを受信した場合、または、再送制御回数が前記規定の回数を超えている場合は、再送制御を行わないことを決定し、
前記帯域予約フレーム送信ステップでは、
前記受信していない端末局データフレームの送信元無線端末局をデータ送受信対象の無線端末局とする帯域予約フレームを送信する、
ことを特徴とする請求項15に記載の無線通信方法。
【請求項17】
前記無線基地局は、前記再送回数が規定の再送回数になったときを除き、前記送信禁止期間を、今回の帯域予約フレーム送信終了時から次回の帯域予約フレーム送信終了時までの期間よりも長い期間とする、
ことを特徴とする請求項15または16に記載の無線通信方法。
【請求項18】
さらに、
前記帯域予約フレームを受信した前記データ送受信対象の無線端末局が、前記無線基地局へACKを送信するACK送信ステップと、
前記無線基地局が、前記データ送受信対象の全ての無線端末局からACKを受信したかどうかを確認した結果、受信していない場合に前記帯域予約フレームを再送することを決定し、一方、受信していた場合には前記基地局データフレームを送信することを決定するフレーム決定ステップと、
前記無線基地局が、前記フレーム決定ステップにおいて前記帯域予約フレームの再送を決定した場合に、前記帯域予約フレームを再送する帯域予約フレーム再送ステップと、
を含み、
前記無線基地局が、前記基地局データフレームを送信すると決定した場合には、前記基地局データ送信ステップの処理を行う、
ことを特徴とする請求項15、16または17に記載の無線通信方法。
【請求項19】
前記無線基地局は、前記帯域予約フレームと前記基地局データフレームを1つのフレームに多重して送信する、
ことを特徴とする請求項15、16または17に記載の無線通信方法。
【請求項20】
前記無線端末局は、自局がデータ送信をするために割り当てられた期間以外では、自局を低消費電力状態とする、
ことを特徴とする請求項15〜19のいずれか1つに記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−15899(P2012−15899A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152041(P2010−152041)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】