説明

無線通信システムおよび無線通信方法

【課題】心臓ペースメーカなどの医療機器を装着したユーザも、安心して情報配信サービスを受けられるようにする。
【解決手段】
無線通信システム100は、第1の送受信機としてのダミー端末(DM端末)103aと、第2の送受信機としてのコーディネータ(CN)102aと、受信機としての受信専用端末(R端末)104a〜104eを含む。DM端末103aは、CN102aからの情報の配信を求める要求を、R端末104a〜104eのうちの或るR端末(例えばR端末104bとする)の識別情報を要求元として設定して、無線で送信する。CN102aは、要求を受信すると、R端末104bの識別情報と対応づけられた配信情報を、R端末104bの識別情報を宛先として設定して、無線で送信する。R端末104a〜104eの各々は、当該R端末の識別情報が宛先として設定されてCN102aから送信される配信情報を受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術の進展にともない、様々な無線通信規格にしたがった様々な無線通信システムにより、様々なサービスが提供されるようになってきた。
例えば、サービスの一例は、同報通信である。従来の移動通信における同報通信システムでは、複数の移動通信端末のうち、代表端末は固定的に設定されていた。そのため、従来は、代表端末が通信中、電源オフ、または圏外のときは、同報通信ができなかった。そこで、同報通信が高い確率でできるように、代表端末を動的に設定できるようにする技術が提案されている。
【0003】
具体的には、同一の同報グループの移動通信端末は、移動通信交換機と端末情報データベースにより認識可能である。これにより、移動通信における同報通信の代表端末を動的に設定することができる。
【0004】
したがって、代表端末として呼び出した移動通信端末から応答がないとき、別の移動通信端末を代表端末として呼び出すことができる。そのため、固定的に代表端末を設定する同報通信システムに比べ、接続確率の高い同報通信が可能となる。同一の同報グループ中の他の移動通信端末は、受信専用となり、代表端末の通信を傍受することで同報通信が行われる。
【0005】
また、マルチエリア構成において、各エリアに散在している同一同報グループに属する複数の移動通信端末と発信端末との間で、同報通信を実現することを目的とした、次のような同報通信システムも提案されている。
【0006】
当該同報通信システムでは、移動通信交換機と、移動通信端末の情報を蓄積してある端末情報データベースにより、各移動通信端末の情報が管理される。このため、各移動通信端末が同一の同報グループであることが、交換制御局と端末情報データベースにより認識可能である。
【0007】
また、各エリア毎の代表端末との間の回線と、発信端末との間の回線を、移動通信交換機がマルチミキシング接続用集約装置を用いてマルチミキシング接続する。これにより、多くの端末に対して同時に双方向パスを張ることが可能となり、より広域性のある同報通信が可能となる。
【0008】
また、無線通信システムを利用したサービスの他の例として、道順案内サービスも挙げられる。例えば、無線式携帯端末器を用いて、現在位置の把握だけではなく目的場所への道順案内を可能にし、さらには個々人の移動経路を集中管理することを目的として、次のような無線式案内システムが提案されている。
【0009】
当該無線式案内システムにおいて、携帯端末器は、個別の識別情報を有し、識別情報を付加した情報を無線により授受する。基地局は、複数台設けられ、携帯端末器との間で無線により情報を授受する。集中管理装置は、基地局との間で信号線を介して情報を授受する。携帯端末器は、集中管理装置との間で双方向に情報を授受する。
【0010】
また、携帯端末器は、識別情報を一定時間ごとに送信する。集中管理装置は、携帯端末器から一定時間ごとに送信される識別情報を、時刻および携帯端末器の位置と組にして格納する。そして、携帯端末器からの問い合わせがあると、集中管理装置は、携帯端末器の現在位置を知らせたり、現在位置から目的場所への案内を行ったりする。
【0011】
ところで、無線通信システムで使われるユーザ端末は、サービスの受け手であるだけでなく、ある種のシステムでは別の用途にも使われ得る。例えば、想定されている通信可能エリア内の実際の電波状況を簡易に把握するための、以下のような通信可能エリア把握システムが提案されている。
【0012】
当該通信可能エリア把握システムにおいて、ユーザが使用する電波状態情報収集装置の通信部からは、無線基地局から送信される電波の受信強度に基づいて、強・中・弱・微弱の4段階のレベルに分けて判定した電波状態が取得される。また、取得された電波状態は、位置検出部からの検出データに基づいて特定した現在地・現在時刻データに対応付けられて、電波状態情報として外部メモリに記憶される。
【0013】
そして、管理センタからのアップロード要求があった場合、あるいはデータ格納領域に余裕がなくなった場合は、記憶されている電波状態情報が無線基地局へ送信される。無線基地局からこの電波状態情報を受信した管理センタが、電波状態情報を分析することで、実際の電波状態が把握可能となる。以上の技術によれば、特に電波状態の調査のみを目的としなくても、各ユーザによる日常的な使用に伴って、自動的に情報が得られる。
【0014】
また、近年では、ビーコンの受信を契機にデータの授受を行う無線システムも、各種サービスを提供するためのインフラストラクチャとして注目されている。例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4規格に基づくビーコン無線通信システムの利用も、拡大しつつある。
【0015】
ビーコン無線通信に関する技術の一例として、例えば、以下のようなビーコン無線通信装置も提案されている。当該ビーコン無線通信装置は、子機であるビーコン無線通信装置の構成を簡素に保ち、親機が子機との無線通信以外の処理を行うのに必要な時間を考慮し、衝突要因を排除して、1ビーコン周期で効率よく情報伝達を行うことを1つの目的としている。
【0016】
具体的には、当該ビーコン無線通信装置は、親機から受信したビーコンが自ビーコン無線通信装置の識別子を含むか否かを判断し、自分の識別子が含まれれば、アクセスすべき時刻を計算して親機にアクセスする。ビーコン周期は、親機がビーコン無線通信装置と通信する無線通信区間と、親機が無線通信以外の処理を行う未使用区間を含む。アクセスすべき時刻の計算に際してビーコン無線通信装置は、ビーコンが含む識別子のうちでの自ビーコン無線通信装置の識別子の順序と未使用区間の長さとに応じて、受信したビーコンの発信時刻を起点としてビーコン周期内での時刻を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平8−65237号公報
【特許文献2】特開平8−79168号公報
【特許文献3】特開平9−257508号公報
【特許文献4】特開2002−232344号公報
【特許文献5】特開2009−260925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
無線通信システムにより提供されるサービスの1つに、ユーザが携帯する端末からの要求に応じて端末に何らかの情報を配信するプル型の情報配信サービスがある。他方、多くのユーザの中には、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザもいる。そして、電波を発射する端末は、心臓ペースメーカなどの医療機器に影響を与える懸念がある。
【0019】
例えば、平成19年4月には、総務省により「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」が発表されている。当該指針には、例えば、「植込み型医療機器の装着者は、携帯電話端末の使用及び携行に当たっては、携帯電話端末を植込み型医療機器の装着部位から22cm程度以上離すこと」などと書かれている。
【0020】
しかし、仮に指針に沿って製造された端末が指針に沿って利用されたとしても、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザの中には、自らが携行する端末から電波が発射されること自体に不安を感じるユーザもいるかもしれない。
【0021】
本発明は、1つの側面では、そのようなユーザでも安心して、無線通信システムによって提供される情報配信サービスを受けられるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
一態様により提供される無線通信システムは、第1の送受信機と、前記第1の送受信機との間で無線通信を行う第2の送受信機と、互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機とを含む。
【0023】
前記第1の送受信機は、前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を、前記複数台の受信機のうちの或る受信機の識別情報を要求元として設定して、前記第2の送受信機に無線で送信する。また、前記第2の送受信機は、前記第1の送受信機から前記要求を受信すると、前記或る受信機の前記識別情報と対応づけられた配信情報を、前記或る受信機の前記識別情報を宛先として設定して、無線で送信する。そして、前記複数台の受信機の各々は、当該受信機の識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される配信情報を受信する。
【発明の効果】
【0024】
受信機は電波を発射しないので、たとえ自らが携行する端末から電波が発射されること自体に不安を感じるユーザであっても、受信機ならば安心して携行することができる。したがって、当該ユーザは、上記無線通信システムによって提供される情報配信サービスを、受信機を通じて安心して受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】システム構成例を示す図である。
【図2】受信専用端末とエンドデバイスのブロック構成図である。
【図3】ダミー端末とコーディネータのブロック構成図である。
【図4】フレーム形式を示す図である。
【図5】無線通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【図6】コーディネータの動作フローチャートである。
【図7】エンドデバイスの動作フローチャートである。
【図8】受信専用端末の動作フローチャートである。
【図9】ダミー端末の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。具体的には、まず図1を参照してシステム構成について説明し、その後、図2〜3を参照して個々の装置の構成について説明する。
【0027】
続いて、図4を参照してフレーム形式について説明する。その後、図5を参照してシステム全体の動作について説明し、図6〜9を参照して個々の装置の動作について説明する。最後に、図1〜9の実施形態の利点や変形例などについて説明する。
【0028】
図1は、システム構成例を示す図である。図1の無線通信システム100は、端末ごとに異なる情報を個々の端末に配信することの可能なシステムである。端末に応じて異なる情報を効率よく個々の端末に配信するために、無線通信システム100では、ビーコンが利用され、プル型通信が行われる。より具体的には、無線通信システム100では、IEEE802.15.4規格を利用した無線通信が行われる。
【0029】
無線通信システム100は、コーディネータとダミー端末のペア(以下「CN・DMペア」と略す)を、1以上の適宜の数だけ含む。図1には説明の便宜上、2つのCN・DMペア101aと101bが図示されている。
【0030】
CN・DMペア101aは、コーディネータ102aとダミー端末103aのペアであり、CN・DMペア101bはコーディネータ102bとダミー端末103bのペアである。なお、以下の説明においては、コーディネータを「CN」と略し、ダミー端末を「DM端末」と略す。
【0031】
CN102aと102bは、無線通信システム100においてアクセスポイントとして機能する、無線送受信機の一種である。また、DM端末103aと103bも無線送受信機の一種である。
【0032】
CN・DMペア101aをなすCN102aとDM端末103aは、互いに近接するように、固定的に設置される。具体的には、CN102aとDM端末103aは、ほぼ常に無線通信が成功することが保証されるような、ごく近接した距離(例えば数cm〜数十cm程度の距離でもよい)に設置される。
【0033】
例えば、無線通信システム100は、医療機関において患者に待ち人数などの情報を知らせるための情報配信サービスのために使われてもよい。その場合、CN102aとDM端末103aは、当該医療機関内の廊下の天井などに設置されてもよい。CN・DMペア101bに関しても同様である。
【0034】
また、無線通信システム100は、複数台の受信専用端末(以下「R端末」と略す)104a〜104eを含む。図1には便宜上5台のR端末104a〜104eが図示されているが、R端末の台数は任意である。
【0035】
無線通信システム100は、無線受信機能だけでなく無線送信機能も有するエンドデバイス(以下「ED」と略す)105a〜105cをさらに含んでいてもよい。もちろん、無線通信システム100は、ユーザが携帯するユーザ端末として、R端末のみを含んでいてもよい。また、無線通信システム100がユーザ端末としてEDをさらに含む場合でも、EDの台数は任意である。
【0036】
さらに、無線通信システム100は、CN102aと102bの双方と接続されたサーバ106を含む。サーバ106は、R端末104a〜104eとED105a〜105cのそれぞれに配信する情報の管理などを行う。
【0037】
なお、R端末104a〜104eとED105a〜105cのそれぞれは、ユーザに携帯され、ユーザの移動につれて移動するユーザ端末である。ユーザ端末は、互いに異なる識別情報(以下「ID」(identifier)という)により識別される。ユーザ端末としてR端末とEDの2種類があることの利点については、図9の説明の後で述べる。
【0038】
ここで、R端末104a〜104eは、無線受信機能を有するが、無線送信機能を持たない。つまり、R端末104a〜104eは、電波を発射しない。したがって、「心臓ペースメーカなどの医療機器を装着している」などの理由から、自らが携帯するユーザ端末自体が電波を発射することに不安を感じるユーザであっても、R端末ならば安心して携帯することができる。そして、本実施形態によれば、図5〜9とともに後述する仕組みにより、そのようなユーザであっても、R端末を介して、無線通信システム100の提供する情報配信サービスを安心して受けることができる。
【0039】
なお、無線通信システム100の動作の詳細は図5〜9とともに後述するが、概要は次のとおりである。
無線通信システム100において、個々のユーザ端末に宛てて配信する対象の情報(以下「配信情報」という)は、サーバ106により生成または取得され、管理される。サーバ106は、配信情報と、当該配信情報の配信先のユーザ端末のIDとを対応づけて、CN102aと102bの一方または双方に適宜通知する。
【0040】
ここで、上述のとおり、無線通信システム100ではビーコンを利用したプル型通信が行われる。具体的には、CN102aと102bが、それぞれ定期的にビーコンをブロードキャストする。ビーコンには、上記のようにしてサーバ106から通知されたユーザ端末のIDが1個以上含まれる。
【0041】
よって、例えば、CN102aがブロードキャストしたビーコンにED105bのIDが含まれる場合、ED105bは、CN102aに対して、ED105b宛の配信情報の送信を要求する。すると、CN102aは、ED105b宛の配信情報を、要求元であるED105bに送信する。このようにして、ED105bは、プル型通信により、ED105b宛の配信情報をCN102bから取得することができる。
【0042】
また、例えば、CN102aがブロードキャストしたビーコンにR端末104bのIDが含まれる場合は、R端末104bに代わってDM端末103aが、CN102aに対して、R端末104b宛の配信情報の送信を要求する。具体的には、DM端末103aは、要求元としてDM端末103a自体のIDを設定する代わりに、要求元としてR端末104bのIDを設定して、配信情報の送信をCN102aに対して要求する。
【0043】
すると、CN102aは、要求元としてIDが設定されているR端末104b宛の配信情報を送信する。その結果、R端末104bは、R端末104b宛の配信情報を受信して取得することができる。
【0044】
以上のように、CN102aは、要求の実際の送信元がDM端末103aなのか、それともED(例えばED105b)なのかを、区別する必要がない。CN102aは、たとえ実際にはDM端末103aから要求を受信した場合であっても、単に、要求元として設定されたIDと対応づけられた配信情報を、当該要求元に宛てて送信するだけでよい。また、以上の説明から理解されるとおり、ビーコンを利用したプル型通信システムである無線通信システム100において、要求送信機能を持たないR端末104bであっても、DM端末103aのおかげで、R端末104b宛の配信情報を取得することができる。
【0045】
続いて、図2と3を参照して無線通信システム100内の個々の装置の構成について説明する。図2は、R端末とEDのブロック構成図であり、図3は、DM端末とCNのブロック構成図である。
【0046】
図1のR端末104a〜104eの各々は、本実施形態では、図2のR端末200のように構成される。具体的には、R端末200は、無線電波の受信用のアンテナ201と、受信回路202と、プロセッサ203を有する。受信回路202は、アンテナ201およびプロセッサ203と接続されている。
【0047】
アンテナ201と受信回路202は、IEEE802.15.4規格の物理層で規定される機能のうち、受信に関わる機能を実現するハードウェア要素である。受信回路202は、アンテナ201から出力される受信RF(Radio Frequency)信号に対して、AD(Analog-to-Digital)変換、復調などの各種処理を行う。
【0048】
IEEE802.15.4規格のMAC(Medium Access Control)副層の処理を行う処理モジュールと、MAC副層の上位層の処理を行う処理モジュールは、本実施形態ではプロセッサ203により実現される。MAC副層の処理モジュールは、受信回路202からの出力に応じて適宜MAC副層のフレームを組み立て、フレームの内容に応じて、上位層の処理モジュールに対して適宜プリミティブを発行する。なお、IEEE802.15.4規格では、MAC副層と上位層の間のインタフェイスとして、何種類かのプリミティブが定義されている。上位層の処理モジュールは、MAC層の処理モジュールから発行されたプリミティブに応じて、適宜上位層の処理を実行する。
【0049】
プロセッサ203は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Microprocessor Unit)でもよい。また、プロセッサ203は、タイマ204を内蔵しており、時間を計測することができる。
【0050】
R端末200はさらに、RAM(Random Access Memory)205と、不揮発性記憶装置206を有する。不揮発性記憶装置206は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリ装置であってもよいし、ハードディスク装置などの磁気ディスク装置であってもよい。
【0051】
そして、R端末200は、視覚的な表示を行う表示手段の一例としてディスプレイ207を有し、聴覚的な表示を行う表示手段の一例としてスピーカ208を有する。実施形態によっては、ディスプレイ207とスピーカ208の一方のみをR端末200が有していてもよい。
【0052】
以上のプロセッサ203、RAM205、不揮発性記憶装置206、ディスプレイ207、およびスピーカ208は、バス209により互いに接続されている。また、R端末200は、移動端末の一種なので、電池210から供給される電力によって動作する。そのため、R端末200に関しては、図8とともに後述する省電力のための制御が行われることが好ましい。
【0053】
R端末200全体の動作は、プロセッサ203により制御される。つまり、R端末200において、アンテナ201と受信回路202は無線受信手段の一例であり、プロセッサ203は、無線受信手段を制御する制御手段の一例である。プロセッサ203は、不揮発性記憶装置206に記憶されたプログラムをRAM205にロードし、RAM205をワーキングエリアとしても利用しながらプログラムを実行することによって、R端末200を図8のフローチャートにしたがって動作させる。上記プログラムは、例えば、ファームウェアのプログラムである。
【0054】
なお、実施形態によっては、汎用的なプロセッサ203の代わりに(またはプロセッサ203と組み合わせて)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路が利用されてもよい。また、実施形態によっては、受信回路202が物理層だけでなくMAC副層の処理も行い、プロセッサ203が上位層の処理のみを行ってもよい。
【0055】
さて、図1のED105a〜105cの各々は、本実施形態では、図2のED300のように構成される。具体的には、ED300は、無線電波の送受信用のアンテナ301と、送受信回路302と、プロセッサ303を有する。送受信回路302は、アンテナ301およびプロセッサ303と接続されている。
【0056】
アンテナ301と送受信回路302は、IEEE802.15.4規格の物理層で規定される送受信機能を実現するハードウェア要素である。送受信回路302は、アンテナ301から出力される受信RF信号に対して、AD変換や復調などの処理を行うとともに、プロセッサ303からフレーム形式で与えられるデータを、アンテナ301から送信するためのRF信号に変換する。
【0057】
IEEE802.15.4規格のMAC副層の処理を行う処理モジュールと、MAC副層の上位層の処理を行う処理モジュールは、本実施形態ではプロセッサ303により実現される。MAC副層の処理モジュールは、送受信回路302からの出力に応じて適宜MAC副層のフレームを組み立て、フレームの内容に応じて、上位層の処理モジュールに対して適宜プリミティブを発行する。また、MAC副層の処理モジュールは、上位層の処理モジュールから与えられるプリミティブに応じて適宜MAC副層のフレームを組み立て、フレームのデータを送受信回路302に出力する。
【0058】
プロセッサ303は、例えばCPUまたはMPUでもよい。また、プロセッサ303は、タイマ304を内蔵しており、時間を計測することができる。
ED300はさらに、R端末200のRAM205および不揮発性記憶装置206と同様の、RAM305および不揮発性記憶装置306を有する。
【0059】
また、本実施形態のED300は、RFID(Radio-Frequency Identification)リーダ307を有するが、実施形態によってはRFIDリーダ307がなくてもよい。以下では説明の便宜上、次の(1−1)〜(1−4)のように仮定する。
【0060】
(1−1)図1の無線通信システム100は、医療機関において待ち人数や待ち時間などの情報を各患者に知らせるための案内システムとして利用される。
(1−2)各患者の診察カードは、患者を識別するための患者IDが記憶されたRFIDタグが埋め込まれたカードである。
(1−3)ED300は、診察カードを装着するための不図示のスロットを有する。
(1−4)スロットに診察カードが差し込まれると、ED300の電源スイッチがオンになるとともに、RFIDリーダ307が診察カードから患者IDを読み取る。
【0061】
なお、R端末200も、診察カードを装着するための不図示のスロットを有していてもよい。しかし、その場合でも、詳しくは図8とともに後述する理由により、R端末200はRFIDリーダを備えなくてもよい。そのため、図2には、R端末200の中にRFIDリーダを図示していない。
【0062】
さて、ED300の説明に戻ると、ED300はさらに、R端末200のディスプレイ207およびスピーカ208と同様の、ディスプレイ308およびスピーカ309を有する。実施形態によっては、ディスプレイ308とスピーカ309の一方のみをED300が有していてもよい。
【0063】
以上のプロセッサ303、RAM305、不揮発性記憶装置306、RFIDリーダ307、ディスプレイ308、およびスピーカ309は、バス310により互いに接続されている。また、ED300も、R端末200と同様に移動端末の一種である。よって、ED300も電池311から供給される電力によって動作する。そのため、ED300に関しては、図7とともに後述する省電力のための制御が行われることが好ましい。
【0064】
ED300全体の動作は、プロセッサ303により制御される。つまり、ED300において、アンテナ301と送受信回路302は無線送受信手段の一例であり、プロセッサ303は、無線送受信手段を制御する制御手段の一例である。プロセッサ303は、不揮発性記憶装置306に記憶されたプログラムをRAM305にロードし、RAM305をワーキングエリアとしても利用しながらプログラムを実行することによって、ED300を図7のフローチャートにしたがって動作させる。上記プログラムは、例えば、ファームウェアのプログラムである。
【0065】
なお、実施形態によっては、汎用的なプロセッサ303の代わりに(またはプロセッサ303と組み合わせて)、ASICなどのハードウェア回路が利用されてもよい。また、実施形態によっては、送受信回路302が物理層だけでなくMAC副層の処理も行い、プロセッサ303が上位層の処理のみを行ってもよい。
【0066】
さて、図1のDM端末103aと103bの各々は、本実施形態では、図3のDM端末400のように構成される。具体的には、DM端末400は、無線電波の送受信用のアンテナ401と、送受信回路402と、プロセッサ403を有する。送受信回路402は、アンテナ401およびプロセッサ403と接続されている。
【0067】
アンテナ401および送受信回路402は、ED300のアンテナ301および送受信回路302と同様なので、説明を省略する。また、プロセッサ403も、ED300のプロセッサ303と同様に、MAC副層の処理モジュールと上位層の処理モジュールを実現する。プロセッサ403は、例えばCPUまたはMPUでもよい。また、プロセッサ403は、タイマ404を内蔵しており、時間を計測することができる。
【0068】
DM端末400はさらに、R端末200やED300と同様に、RAM405および不揮発性記憶装置406を有する。そして、以上のプロセッサ403、RAM405、および不揮発性記憶装置406は、バス407により互いに接続されている。もちろん、実施形態によっては、DM端末400が入力ボタンやディスプレイなどの入出力装置をさらに有していてもよい。
【0069】
ところで、図2と3を比較すると分かるとおり、DM端末400のハードウェア構成は、ED300からRFIDリーダ307とディスプレイ308とスピーカ309を省略した構成にほぼ相当する。ただし、本実施形態のDM端末400は、決められた場所に固定的に設置され、AC(Alternating Current)電源から電力を供給される。したがって、後述の図9に示すように、DM端末400においては、省電力化のためのスリープ制御を省略することで、制御が簡素化されていてもよい。
【0070】
DM端末400全体の動作は、プロセッサ403により制御される。つまり、DM端末400において、アンテナ401と送受信回路402は無線送受信手段の一例であり、プロセッサ403は、無線送受信手段を制御する制御手段の一例である。プロセッサ403は、不揮発性記憶装置406に記憶されたプログラムをRAM405にロードし、RAM405をワーキングエリアとしても利用しながらプログラムを実行することによって、DM端末400を図9のフローチャートにしたがって動作させる。上記プログラムは、例えば、ファームウェアのプログラムである。
【0071】
なお、実施形態によっては、汎用的なプロセッサ403の代わりに(またはプロセッサ403と組み合わせて)、ASICなどのハードウェア回路が利用されてもよい。また、実施形態によっては、送受信回路402が物理層だけでなくMAC副層の処理も行い、プロセッサ403が上位層の処理のみを行ってもよい。
【0072】
さて、図1のCN102aと102bの各々は、本実施形態では、図3のCN500のように構成される。具体的には、CN500は、無線電波の送受信用のアンテナ501と、送受信回路502と、プロセッサ503を有する。送受信回路502は、アンテナ501およびプロセッサ503と接続されている。
【0073】
アンテナ501および送受信回路502は、ED300のアンテナ301および送受信回路302と類似なので、説明を省略する。また、プロセッサ503も、ED300のプロセッサ303と同様に、MAC副層の処理モジュールと上位層の処理モジュールを実現する。プロセッサ503は、例えばCPUまたはMPUでもよい。また、プロセッサ503は、タイマ504を内蔵しており、時間を計測することができる。
【0074】
CN500はさらに、R端末200やED300やDM端末400と同様に、RAM505および不揮発性記憶装置506を有する。
また、CN500は、図1のサーバ106と接続するための有線接続インタフェイス507を有する。例えば、有線接続インタフェイス507は、有線LAN(Local Area Network)インタフェイスであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)インタフェイスであってもよい。つまり、CN500は、LANなどのネットワークを介して間接的にサーバ106に接続されてもよいし、USBケーブルなどのケーブルを介して直接的にサーバ106に接続されてもよい。場合によっては、有線接続インタフェイス507の代わりに、IEEE802.15.4とは別の無線規格(例えばIEEE802.11シリーズの規格)による無線インタフェイスが使われてもよい。
【0075】
そして、以上のプロセッサ503、RAM505、不揮発性記憶装置506、および有線接続インタフェイス507は、バス508により互いに接続されている。もちろん、実施形態によっては、CN500が入力ボタンやディスプレイなどの入出力装置をさらに有していてもよい。
【0076】
なお、本実施形態では、DM端末400と同様にCN500も、電池からではなくAC電源から電力を供給される。
CN500全体の動作は、プロセッサ503により制御される。つまり、CN500において、アンテナ501と送受信回路502は無線送受信手段の一例であり、プロセッサ503は、無線送受信手段を制御する制御手段の一例である。プロセッサ503は、不揮発性記憶装置506に記憶されたプログラムをRAM505にロードし、RAM505をワーキングエリアとしても利用しながらプログラムを実行することによって、CN500を図6のフローチャートにしたがって動作させる。上記プログラムは、例えば、ファームウェアのプログラムである。
【0077】
なお、実施形態によっては、汎用的なプロセッサ503の代わりに(またはプロセッサ503と組み合わせて)、ASICなどのハードウェア回路が利用されてもよい。また、実施形態によっては、送受信回路502が物理層だけでなくMAC副層の処理も行い、プロセッサ503が上位層の処理のみを行ってもよい。
【0078】
ところで、図1のサーバ106に関しては図示を省略したが、サーバ106は、CPUとRAMと不揮発性記憶装置を有するコンピュータである。サーバ106のCPUは、不揮発性記憶装置に記憶されたプログラムをRAMにロードし、RAMをワーキングエリアとしても利用しながらプログラムを実行することによって、サーバ106全体を制御する。上記プログラムは、例えば、アプリケーションプログラムである。
【0079】
サーバ106のRAMまたは不揮発性記憶装置上には、ユーザと、当該ユーザが携帯しているユーザ端末(つまりR端末200またはED300)と、当該ユーザ端末が参加しているCN500とを対応づけるデータベースが格納される。なお、詳しくは後述するが、ED300が参加しているCN500は認識可能だが、R端末200がどのCN500の近傍に位置しているかは認識不能である。よって、例えば、「ED300には具体的な1台のCN500のIDが対応づけられるが、R端末200には、どのCN500のIDでもない所定の値が対応づけられる」といったように、上記データベースが構成されていてもよい。
【0080】
また、サーバ106は、ユーザごとに配信情報を生成してもよい。あるいは、サーバ106は、他のシステム(例えば患者受付システムや電子カルテシステムなど)と連携することにより、他のシステムからユーザごとに異なる配信情報を取得してもよい。
【0081】
なお、サーバ106が配信情報を生成または取得するタイミングは、配信情報の内容に応じて、実施形態により異なっていてよい。サーバ106は、生成または取得した配信情報を、適宜1台または複数台のCN500に送信する。
【0082】
サーバ106の不揮発性記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)でもよいし、SSD(Solid-State Drive)であってもよい。また、サーバ106は、CN500との接続のためのインタフェイス(例えば有線LANインタフェイスまたはUSBインタフェイス)も有する。
【0083】
さらに、サーバ106は、キーボードやポインティングデバイスなどの入力装置と、ディスプレイやスピーカなどの出力装置を有していてもよい。もちろん、サーバ106は、光ディスク・光磁気ディスク・磁気ディスクなどの記憶媒体の駆動装置をさらに有していてもよい。
【0084】
なお、上記のような無線通信システム100中の個々の装置におけるRAMおよび不揮発性記憶装置、ならびに、駆動装置を介して読み書きされる記憶媒体は、いずれも有形の(tangible)媒体であり、信号搬送波のような一時的な(transitory)媒体ではない。
【0085】
さて、続いて、無線通信システム100内で送受信される各種フレームの形式について、図4を参照して説明する。なお、図4に示すフレームの個々のフィールドに設定されるデータの具体例については、図5〜9に関する説明の中で、適宜示すこととする。
【0086】
図4には、データフレーム600と、ビーコンフレーム700と、ACK(acknowledgment)フレーム800と、MACコマンドフレーム900の4種類のフレームが例示されている。これらのフレームの形式の詳細は、IEEE802.15.4規格で定義されている。
【0087】
なお、図4において各フレームの個々のフィールド内に示した括弧付きの数字は、フィールドの長さをオクテット単位で示している。長さが書かれていないフィールドは可変長である。
【0088】
データフレーム600は、MACヘッダとMACペイロードとMACフッタを含む。データフレーム600のMACヘッダは、2オクテットのフレームコントロール601と、1オクテットのシーケンス番号602と、アドレッシングフィールド(addressing fields)を含む。
【0089】
フレームコントロール601は、フレームのタイプを示すフレームタイプのサブフィールドなどを含む。シーケンス番号602には、データフレーム600を識別するための識別番号が設定される。
【0090】
データフレーム600のアドレッシングフィールドは、具体的には、宛先PANID603と、宛先アドレス604と、送信元PANID605と、送信元アドレス606を含む。なお、「PANID」は「Personal Area Network identifier」の略である。また、宛先PANID603と送信元PANID605のフィールド長は、0または2オクテットである。
【0091】
宛先アドレス604と送信元アドレス606のフィールド長は、IEEE802.15.4規格では、0、2、または8オクテットだが、以下では説明の便宜上、本実施形態では8オクテットのアドレスが使われるものとする。つまり、図1のCN102a〜102b、DM端末103a〜103b、R端末104a〜104e、およびED105a〜105cのそれぞれには、互いに異なる8オクテットのIDがアドレスとして予め割り当てられているものとする。もちろん、2オクテットのアドレスが使われる実施形態も可能である。
【0092】
また、本実施形態では、R端末200のIDがとり得る値の範囲と、ED300のIDがとり得る値の範囲は、重ならないものとする。例えば、「10進数に換算して100番から199番のIDはED300に割り当てられ、200番以上のIDはR端末200に割り当てられる」などの規則が予め決められているものとし、各装置のIDは、当該規則にしたがって割り当てられるものとする。
【0093】
なお、MACヘッダは、補助セキュリティヘッダ(auxiliary security header)を含んでもよいが、図4では簡単のため省略している。
データフレーム600のMACペイロードは、具体的にはデータペイロード607である。データペイロード607の形式と内容は任意である。データペイロード607の形式は、MAC副層の上位層に応じて適宜定義される。
【0094】
例えば、無線通信システム100は、医療機関において患者に情報を配信するための情報配信システムとして利用されてもよい。この場合、CN500から送信されるデータフレーム600のデータペイロード607には、待ち人数のデータが含まれていてもよいし、次にどの検査室に進めばよいかを示すデータが含まれてもよい。例えば、待ち人数が5人であることを示すために「wait=5」などの所定の形式がデータペイロード607において採用されてもよい。また、ED300から送信されるデータフレーム600のデータペイロード607には、ED300に差し込まれた診察カードからRFIDリーダ307により読み取られた患者IDが含まれていてもよい。
【0095】
また、データフレーム600のMACフッタは、具体的には、誤り検出のためのFCS(Frame Check Sequence)608である。
ビーコンフレーム700も、MACヘッダとMACペイロードとMACフッタを含む。ビーコンフレーム700のMACヘッダは、フレームコントロール701と、シーケンス番号702とアドレッシングフィールドを含み、アドレシッングフィールドは、送信元PANID703と送信元アドレス704を含む。例えば、CN102aが送信するビーコンフレーム700の送信元アドレス704には、CN102aのIDが設定される。
【0096】
ビーコンフレーム700のMACペイロードは、スーパフレーム定義(superframe specification)705と、GTS(Guaranteed Time Slot)706と、ペンディングアドレス707と、ビーコンペイロード708を含む。スーパフレーム定義705には、ビーコン周期の長さを規定する情報などが含まれる。また、GTS706には、最大で7個のスロットを定義することができる。
【0097】
ペンディングアドレス707には、ED300またはR端末200のID(すなわちアドレス)のリストが含まれる。ペンディングアドレス707には、最大で7個のIDを指定することができる。
【0098】
ペンディングアドレス707のリストに含まれるIDは、当該IDで識別されるED300またはR端末200に宛てた配信情報が、CN500でペンディングになっていることを示す。例えば、ED105b宛の配信情報とR端末104b宛の配信情報をサーバ106からCN102aが受け取ったとする。この場合、CN102aは、ED105bとR端末104bのIDを含むリストをペンディングアドレス707のフィールドに設定したビーコンフレーム700を送信する。
【0099】
したがって、ビーコンフレーム700を受信した各ED300は、当該ED300自身に宛てた配信情報があるか否かを、ペンディングアドレス707から認識することができる。同様に、ビーコンフレーム700を受信した各R端末200は、当該R端末200自身に宛てた配信情報があるか否かを、ペンディングアドレス707から認識することができる。
【0100】
また、上記のように本実施形態では、R端末200のIDがとり得る値の範囲と、ED300のIDがとり得る値の範囲が重ならない。よって、ビーコンフレーム700を受信した各DM端末400は、ペンディングアドレス707のリストに含まれる各IDについて、当該IDがED300のIDなのか、それともR端末200のIDなのかを、当該IDの値自体から判断することができる。
【0101】
ビーコンペイロード708はオプショナルなフィールドであり、省略されてもよい。また、ビーコンフレーム700のMACフッタは、誤り検出のためのFCS709である。
さて、ACKフレーム800は、MACペイロードを持たない。ACKフレーム800のMACヘッダは、フレームコントロール801とシーケンス番号802を含み、ACKフレーム800のMACフッタはFCS803を含む。シーケンス番号802により、ACKフレーム800がどのフレームに対する受信確認なのかが識別される。
【0102】
MACコマンドフレーム900は、データフレーム600と同様の形式のMACヘッダを含む。すなわち、MACコマンドフレーム900のMACヘッダは、フレームコントロール901とシーケンス番号902とアドレッシングフィールドを含む。そして、アドレッシングフィールドは、宛先PANID903と宛先アドレス904と送信元PANID905と送信元アドレス906を含む。
【0103】
また、MACコマンドフレーム900はMACペイロードとMACフッタを含む。MACペイロードは、具体的には1オクテットのコマンドフレームID907と、可変長のコマンドペイロード908を含み、MACフッタはFCS909を含む。
【0104】
コマンドフレームID907は、コマンドのタイプを示す。例えば、コマンドフレームID907により、MACコマンドフレーム900がCN500への参加要求のためのフレームなのか、CN500へのデータ要求のためのフレームなのか、それとも他の目的のフレームなのか、といったことが示される。コマンドペイロード908は、コマンドの内容を示す。
【0105】
続いて、図5〜9を参照して図1の無線通信システム100の動作について説明する。具体的には、まず、図5を参照して無線通信システム100の動作の一例を説明する。その後、図5のような動作を実現するために、無線通信システム100内の各装置が実行する処理について、図6〜9を参照して説明する。
【0106】
さて、図5は、図1の無線通信システム100の動作の一例を示すシーケンス図である。図5には、図1のR端末104b、CN102a、DM端末103a、ED105b、およびED105aの動作が例示されている。なお、図5の動作例は、以下の(2−1)〜(2−3)に示す場合の例である。
【0107】
(2−1)図5の動作が行われる期間において、R端末104bとED105bは、CN102aから送信される電波を受信することが可能な位置にある。
(2−2)ED105aは、今までCN102bの近くにあったが、ED105aを携帯するユーザの移動につれて、CN102bから離れ、CN102aに近づいてきた。そして、ED105aは、図5の動作の開始時点において、CN102aから送信される電波を受信することが可能な位置にある。
(2−3)CN102aは、サーバ106から、ED105b宛の配信情報とR端末104b宛の配信情報を受け取っている。すなわち、ED105b宛の配信情報とR端末104b宛の配信情報がCN102aにおいてペンディングになっている。
【0108】
また、本実施形態では、効率的な通信を実現するためにビーコンを利用した時分割通信が行われる。具体的には、本実施形態では、1ビーコン周期(すなわち隣り合う2つのビーコン間の時間)が、次の(3−1)〜(3−4)の期間に分割される。なお、以下ではビーコン周期の長さを「T」と表記する。
【0109】
(3−1)CN500(図5の例ではCN102a)がビーコンを送信するためのビーコン送信期間(以下、ビーコン送信期間の長さを「B」と表記する)
(3−2)CN500が任意のED300からCSMA−CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式で要求を受け付けるための要求受付期間(以下、要求受付期間の長さを「β」と表記する)
(3−3)S台(0≦S≦7)のユーザ端末(R端末200またはED300)が、時分割式に順々に、CN500から、各ユーザ端末に応じた配信情報を取得するための通信期間(以下、1台のユーザ端末あたりの通信期間の長さを「α」と表記する)
(3−4)CN500が、ユーザ端末(R端末200もしくはED300)またはDM端末400との間の通信以外の処理(例えば、サーバ106との間の通信や、CN500の内部処理など)を行うための処理期間(以下、処理期間の長さを「M」と表記する)
【0110】
つまり、(3−1)〜(3−4)によれば、ビーコン周期の長さTは、式(1)のように表すことができる。
T=B+β+α×S+M (1)
【0111】
例えば、T=500msかつB=1msでもよい。Sの値は、何台のユーザ端末宛の配信情報がCN500(図5の例ではCN102a)においてペンディングになっているかに応じて、可変である。また、βとMの値は、それぞれ、固定値でもよいし、可変値であってもよい。例えば、βとMの値がともに固定値の場合は、式(1)より、αは式(2)のように表される。
α=(T−B−β−M)/S (2)
【0112】
あるいは、βとMは可変値であってもよく、例えば、α=β=Mと定義されていてもよい。α=β=Mの場合、α、β、およびMは、式(3)のように表される。
α=β=M=(T−B)/(S+2) (3)
【0113】
もちろん、βとMの定義は実施形態に応じて適宜変更されてよい。βとMの一方が固定値で他方が可変値でもよい。βとMの定義に応じて、αの値は式(1)から適宜計算され得る。
【0114】
さて、図5のステップS101で、CN102aは、ビーコン(具体的には図4のビーコンフレーム700)を送信する。ビーコンはブロードキャストされるので、R端末104b、DM端末103a、ED105b、およびED105aのすべてが、ビーコンを受信する。また、上記(2−3)より、ステップS101で送信されるビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストには、少なくとも、ED105bのIDとR端末104bのIDが含まれる。
【0115】
ところで、ステップS101におけるビーコンの送信は、上記(3−1)のとおり、ビーコン周期の先頭のビーコン送信期間に行われる。そして、上記(3−2)のとおり、本実施形態では、ビーコン送信期間に続いて、長さβの要求受付期間が設けられている。図5の例では、ステップS101に続く要求受付期間で、CN102aに要求を送信するEDは、1台(すなわちED105a)だけだが、複数台のEDが要求を送信する場合、複数台のED間の衝突はCSMA−CA方式により解決される。
【0116】
図5の例では、具体的には、ステップS102〜S103に示す通信C1が、要求受付期間に行われる。すなわち、上記(2−2)のようにCN102aに近づいてきたED105aは、ステップS101のビーコンを受信すると、ステップS102でCN102aにハンドオーバ(HO)要求を送信する。すると、次のステップS103でCN102aは、HO要求を受け付けた旨の通知を、ED105aに送信する。
【0117】
なお、図5では簡単のため、ステップS102のHO要求が1本の矢印で示されている。しかし、HO要求は、MACコマンドフレーム900を用いてMAC副層で処理される要求と、データフレーム600を用いて上位層で処理される要求との組み合わせであってもよい。例えば、移動先のCN102aに対するMAC副層での参加要求(association request)のためにMACコマンドフレーム900が使われ、無線通信システム100全体に対するHO要求のためにデータフレーム600が使われてもよい。
【0118】
例えば、ED105aのプロセッサ303により実現される上位層の処理モジュールは、MCPS-DATA.requestプリミティブを発行してもよい(なお、「MCPS」は「MAC common part sublayer」の略である)。MCPS-DATA.requestプリミティブの引数の1つは、患者IDを含むデータであってもよい。すると、ED105aのプロセッサ303により実現されるMAC副層の処理モジュールは、患者IDをデータペイロード607に含むHO要求用のデータフレーム600を生成する。生成されたデータフレーム600は、送受信回路302とアンテナ301を介して送信される。
【0119】
同様に、ステップS103におけるHO要求に対する受付通知も、データフレーム600を用いて上位層で処理される通知であってもよい。つまり、HO要求を受信したCN102aにおいて、プロセッサ503により実現される上位層の処理モジュールがMCPS-DATA.requestプリミティブを発行してもよい。そして、その結果として、HO要求に対する受付通知用のデータフレーム600が、送受信回路502とアンテナ501を介して送信されてもよい。
【0120】
さて、図5の例には、上記(3−3)の通信期間のうち、最初の2台のユーザ端末に対応する部分だけが図示されている。また、図5では、上記(3−4)の処理期間が省略されている。
【0121】
具体的には、ステップS104〜S107に示す通信C2が、上記(3−3)の通信期間のうち1台目のユーザ端末に対応する、長さαの期間内に行われる。そして、ステップS108〜S111に示す通信C3が、上記(3−3)の通信期間のうち2台目のユーザ端末に対応する、長さαの期間内に行われる。ステップS104〜S111の詳細は以下のとおりである。
【0122】
ステップS104では、ED105bが、CN102aに対して、データ(具体的には、ED105bのIDと対応づけられた状態でサーバ106からCN102aが受け取った、ED105b宛の配信情報)の送信を要求する。なお、上記のとおり、ステップS101で送信されたビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストには、ED105bのIDが含まれている。そのため、ED105bのプロセッサ303は、「ED105b宛の配信情報がCN102aにおいてペンディングになっている」と認識することができる。
【0123】
具体的には、ED105bのプロセッサ303により実現される上位層の処理モジュールが、MLME-POLL.requestプリミティブを発行する(なお、「MLME」は「MAC sublayer management entity」の略である)。すると、ED105bのプロセッサ303により実現されるMAC副層の処理モジュールが、データ要求のMACコマンドフレーム900を生成する。なお、データ要求のMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906には、データの要求元であるED105bのIDが設定される。そして、データ要求のMACコマンドフレーム900は、ED105bの送受信回路302とアンテナ301を介して送信される。
【0124】
以上のようにして送信されたデータ要求は、CN102aにより受信される。すると、ステップS105でCN102aは、データ要求に対するACK(具体的にはACKフレーム800)を送信する。ACKフレーム800のシーケンス番号802には、ステップS104のデータ要求のMACコマンドフレーム900のシーケンス番号902と同じ値が設定される。
【0125】
さらに、CN102aはステップS106において、要求されたデータをED105bに宛てて送信する。具体的には、CN102aのプロセッサ503により実現される上位層の処理モジュールが、ED105b宛の配信情報を引数としてMCPS-DATA.requestプリミティブを発行する。
【0126】
すると、CN102aのプロセッサ503により実現されるMAC副層の処理モジュールが、ED105b宛の配信情報をデータペイロード607に含むデータフレーム600を生成する。生成されたデータフレーム600は、CN102aの送受信回路502とアンテナ501を介して送信される。なお、データフレーム600の宛先アドレス604には、ED105bのID(つまりステップS104のデータ要求のMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906に設定されていたID)が設定される。
【0127】
そして、ステップS104でデータを要求したED105bは、上記のようにしてCN102aから送信されたデータフレーム600を受信する。すると、ステップS107でED105bは、受信したデータフレーム600に対するACK(具体的にはACKフレーム800)を送信する。具体的には、ステップS107で送信されるACKフレーム800のシーケンス番号802には、ステップS106で送信されたデータフレーム600のシーケンス番号602と同じ値が設定される。
【0128】
以上のようにして、長さαの期間内に、ステップS104〜S107に示す通信C2が行われる。すると、次の期間(長さは同じくαである)には、ステップS108〜S111に示す通信C3が行われる。
【0129】
ステップS108では、ステップS101のビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストにIDが含まれているR端末104bに代わって、CN102aとペアをなすDM端末103aが、データ要求を送信する。つまり、R端末104b宛の配信情報(すなわち、R端末104bのIDと対応づけられた状態でサーバ106からCN102aが受け取った情報)の送信を、DM端末103aが、R端末104bのふりをして、CN102aに要求する。
【0130】
具体的には、DM端末103aのプロセッサ403により実現される上位層の処理モジュールは、ステップS101で受信されたビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストに含まれる各IDがR端末200のIDであるか否かを判断する。ここで、上記のとおり、本実施形態では、R端末200のIDがとり得る値の範囲と、ED300のIDがとり得る値の範囲が重ならない。よって、DM端末103aのプロセッサ403により実現される上位層の処理モジュールは、ペンディングアドレス707のリストに含まれるR端末104bのIDに関して、「当該IDは、ED300ではなくR端末200のIDである」と認識することができる。
【0131】
以上の認識にしたがって、ステップS108では、DM端末103aのプロセッサ403により実現される上位層の処理モジュールは、DM端末103aのIDを一時的にR端末104bのIDに書き換えて、MLME-POLL.requestプリミティブを発行する。すると、DM端末103aのプロセッサ403により実現されるMAC副層の処理モジュールが、データ要求のMACコマンドフレーム900を生成する。
【0132】
例えば、DM端末103aの本来のIDは、DM端末103aの不揮発性記憶装置406の所定の領域に格納されていてもよい。そして、DM端末103aの本来のIDは、DM端末103aの電源がオンになった後に行われる初期化の際に、不揮発性記憶装置406から読み出されて、MAC副層の処理モジュールからアクセス可能なRAM405上の所定の領域にコピーされてもよい。DM端末103aのIDの一時的な書き換えは、例えば、RAM405上の上記の所定の領域におけるIDの一時的な書き換えにより実現されてもよい。
【0133】
なお、データ要求のMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906には、上記のとおり一時的に書き換えられたDM端末103aのIDが設定される。すなわち、データの要求元を示す送信元アドレス906には、実際にMACコマンドフレーム900を送信するDM端末103aの本来のIDではなく、要求されるデータ(すなわち配信情報)の配信先であるR端末104bのIDが設定される。そして、生成されたMACコマンドフレーム900は、DM端末103aの送受信回路402とアンテナ401を介して送信される。
【0134】
以上のようにして送信されたデータ要求は、CN102aにより受信される。すると、ステップS109でCN102aは、データ要求に対するACK(具体的にはACKフレーム800)を送信する。ACKフレーム800のシーケンス番号802には、ステップS108のデータ要求のMACコマンドフレーム900のシーケンス番号902と同じ値が設定される。
【0135】
なお、以上のようにしてステップS109で送信されるACKフレーム800は、R端末104bによっても受信されるし、DM端末103aによっても受信される。
さらに、CN102aはステップS110において、要求されたデータをR端末104bに宛てて送信する。具体的には、CN102aのプロセッサ503により実現される上位層の処理モジュールが、R端末104b宛の配信情報を引数としてMCPS-DATA.requestプリミティブを発行する。すると、CN102aのプロセッサ503により実現されるMAC層の処理モジュールが、R端末104b宛の配信情報をデータペイロード607に含むデータフレーム600を生成する。
【0136】
生成されたデータフレーム600は、CN102aの送受信回路502とアンテナ501を介して送信される。なお、データフレーム600の宛先アドレス604には、R端末104bのID(つまり、ステップS108のデータ要求のMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906に設定されていたID)が設定される。
【0137】
以上のようにしてステップS110で送信されるデータフレーム600は、R端末104bにより受信されるだけでなく、もちろん、DM端末103aによっても受信される。したがって、ステップS111でDM端末103aは、ステップS110で送信されたデータフレーム600に対するACK(具体的にはACKフレーム800)を、R端末104bに代わって、CN102aへと送信する。具体的には、ステップS111で送信されるACKフレーム800のシーケンス番号802には、ステップS110で送信されたデータフレーム600のシーケンス番号602と同じ値が設定される。
【0138】
以上、図5を参照して説明したとおり、本実施形態では、データ要求に応じてCN102aがデータをユーザ端末に送信するプル型通信が行われる。ここで、R端末104bは、送信機能を持たないので、データ要求を送信することができない。しかし、本実施形態によれば、DM端末103aがR端末104bに代わってデータ要求を送信するので、R端末104bも、プル型の情報配信システムにおいて情報の配信を受けることができる。
【0139】
ところで、図1のCN・DMペア101aと101bは、いずれも、CN500とDM端末400が1対1に対応するペアの例である。そして、以上の図5の説明からも明らかなとおり、CN500とDM端末400は、1対1に対応することが望ましい。理由は以下のとおりである。
【0140】
ここで、N≧2として、仮に「CN500とDM端末400が1対Nに対応する」と仮定すると、同じ1台のCN500に対応するN台のDM端末400間で衝突(コリジョン)が発生する。なぜなら、N台のDM端末400が、同じ1台のR端末200に対応してそれぞれステップS108のようにデータ要求を送信しようとするからである。
【0141】
また、「CN500とDM端末400がN対1に対応する」という逆の仮定も不適切である。なぜなら、或る1台のCN500に対応するDM端末400は、当該CN500と通信可能でなければ、R端末200に代わってデータ要求やACKをCN500に送信する役目を果たすことができないからである。他方、複数台のCN500は、ユーザが移動し得る範囲をカバーするように互いに離して設置されるので、「1台のDM端末400がN台のCN500のすべてと通信可能である」とは想定しがたい。したがって、「CN500とDM端末400がN対1に対応する」という仮定は不適切である。
【0142】
したがって、本実施形態では、図1に例示するように、1対1に対応するCN500とDM端末400のペアが使われる。
続いて、図5に例示したような無線通信システム100の動作を実現するために、無線通信システム100内の各装置が行う処理について、図6〜9を参照して説明する。なお、「心臓ペースメーカ等の医療機器を装着したユーザでも、安心して情報配信サービスを受けられる」という本実施形態の効果は、主にR端末200とDM端末400によりもたらされるが、説明の都合上、CN500とED300の動作を先に説明する。また、本実施形態では各装置において上位層の処理モジュールとMAC層の処理モジュールが同じプロセッサにより実現されるので、以下では説明の簡単化のため、個々のステップにおける処理を、単純に、プロセッサによる処理として説明することがある。
【0143】
図6は、CN500の動作フローチャートである。例えば、図1のCN102aと102bはそれぞれ図6のフローチャートにしたがって動作する。なお、図6の処理は、CN500に電源が入っている間、実行され続ける。また、ステップS203〜S208は上記(3−2)で説明した要求受付期間における通信であり、ステップS210〜S212は上記(3−3)で説明した通信期間における通信である。
【0144】
まず、ステップS201でCN500のプロセッサ503は、長さTのビーコン周期が経過したらタイムアウトするように、CN500のタイマ504を設定する。そして、CN500は、ビーコン(具体的にはビーコンフレーム700)を送信する。
【0145】
ステップS201は図5のステップS101に対応する。また、ステップS201の処理は、上記(3−1)で説明した長さBのビーコン送信期間内に完了する。
なお、CN500は、図6の処理と並行して、適宜のタイミングで、ユーザ端末(R端末200またはED300)のIDと当該ユーザ端末宛の配信情報のペアを、有線接続インタフェイス507を介してサーバ106から受け取る。そして、CN500は、受け取ったIDと配信情報のペアを、RAM505に格納する。
【0146】
よって、CN500のRAM505に1個以上のIDが格納されている場合、CN500のプロセッサ503は、ステップS201で、RAM505に格納されているIDのリストをペンディングアドレス707に設定したビーコンフレーム700を生成する。CN500のRAM505に1個もIDが格納されていなければ、ペンディングアドレス707のリストは空である。生成されたビーコンフレーム700は、送受信回路502とアンテナ501により、送信される。
【0147】
そして、次のステップS202でCN500は、いずれかのED300からの割り込みがあるか否か判断する。具体的には、プロセッサ503は、送受信回路502から何も出力を受け取っていなければ「そもそも何も受信されていないので、割り込みもない」と判断する。
【0148】
逆に、プロセッサ503が送受信回路502から何らかの出力を受け取っている場合、プロセッサ503は、送受信回路502からの出力(つまり物理層からの出力)をMAC副層のフレーム形式に変換する。そして、プロセッサ503は、「変換により得られたフレームが、データ要求のためのMACコマンドフレーム900なのか、それとも割り込みのための他のフレームなのか」ということを判断する。
【0149】
データ要求のためのMACコマンドフレーム900が得られた場合、プロセッサ503は「割り込みがない」と判断する。そして、処理はステップS209に移行する。逆に、データ要求のためのMACコマンドフレーム900以外のフレームが得られた場合、プロセッサ503は「割り込みがある」と判断する。そして、処理はステップS203に移行する。
【0150】
ステップS203でCN500のプロセッサ503は、「ED300からの割り込みが、無線通信システム100への新規参加を求める参加要求なのか否か」ということを、受信されたフレームから判断する。例えば、ED300のRFIDリーダ307により読み取られた患者IDを含む所定形式のデータペイロード607を含むデータフレーム600が、参加要求として使われてもよい。その場合、プロセッサ503は、受信されたデータフレーム600のデータペイロード607の形式から、ED300からの割り込みが参加要求なのか否かを判断することができる。
【0151】
そして、ED300からの割り込みが参加要求であれば、処理はステップS204に移行する。逆に、ED300からの割り込みが参加要求でなければ、処理はステップS205に移行する。
【0152】
ステップS204でCN500は、参加要求の送信元のED300に、参加要求に対する参加受付を通知する。具体的には、CN500は、参加受付のためのフレームを送信する。さらに、ステップS204でCN500は、参加要求の送信元のED300のIDを、参加要求のデータペイロード607に含まれていた患者IDとともに、有線接続インタフェイス507を介して、サーバ106に通知する。その後、処理はステップS209に移行する。
【0153】
また、ステップS205でCN500のプロセッサ503は、「ED300からの割り込みが、他のCNから、図6の処理を実行している本CN500への、ハンドオーバ(HO)を示すHO要求なのか否か」ということを、受信されたフレームから判断する。例えば、患者IDを含む所定形式のデータペイロード607を含むデータフレーム600が、HO要求として使われてもよい。その場合、プロセッサ503は、受信されたデータフレーム600のデータペイロード607の形式から、ED300からの割り込みがHO要求なのか否かを判断することができる。
【0154】
そして、ED300からの割り込みがHO要求であれば、処理はステップS206に移行する。逆に、ED300からの割り込みがHO要求でなければ、処理はステップS207に移行する。
【0155】
ステップS206でCN500は、HO要求の送信元のED300に、HO要求に対するHO受付を通知する。具体的には、CN500は、HO受付のためのフレームを送信する。図5のステップS103は、ステップS206におけるHO受付の通知の一例である。
【0156】
さらに、ステップS206でCN500は、HO要求の送信元のED300のIDを、HO要求のデータペイロード607に含まれていた患者IDとともに、有線接続インタフェイス507を介して、サーバ106に通知する。その後、処理はステップS209に移行する。
【0157】
また、ステップS207でCN500のプロセッサ503は、「ED300からの割り込みが、ED300の利用が終了してED300が無線通信システム100から離脱することを示す離脱要求なのか否か」ということを、受信されたフレームから判断する。例えば、患者IDを含む所定形式のデータペイロード607を含むデータフレーム600が、離脱要求として使われてもよい。その場合、プロセッサ503は、受信されたデータフレーム600のデータペイロード607の形式から、ED300からの割り込みが離脱要求なのか否かを判断することができる。
【0158】
そして、ED300からの割り込みが離脱要求であれば、処理はステップS208に移行する。逆に、ED300からの割り込みが離脱要求でなければ、処理はステップS209に移行する。
【0159】
例えば、上記のように、ED300は、診察カード用のカードホルダを兼ねていてもよい。その場合、ED300は、診察カードがED300から抜き取られた後の最初のビーコンの受信を契機として、離脱要求を送信し、その後、電源を自動的にオフにしてもよい。つまり、CN500と通信可能な範囲内において或るED300から診察カードが抜き取られると、CN500は、上記(3−2)の要求受付期間中に、離脱要求を受信することになる。
【0160】
さて、ステップS208でCN500は、離脱要求の送信元のED300のIDを、離脱要求のデータペイロード607に含まれていた患者IDとともに、有線接続インタフェイス507を介して、サーバ106に通知する。その後、処理はステップS209に移行する。
【0161】
なお、ステップS204とS206とS208におけるサーバ106への通知により、サーバ106は、各ED300が現在どのCN500と通信可能な範囲に位置しているかを認識することができる。よって、サーバ106は、或るED300宛の配信情報を生成または取得したら、当該ED300が通信可能範囲に含まれるような1台のCN500を選び、選んだCN500にだけ、当該ED300のIDと当該ED300宛の配信情報を通知する。つまり、サーバ106が各CN500からの通知に基づいて各ED300の現在位置をCN500単位で管理することにより、効率の良い情報配信が可能となる。
【0162】
さて、ステップS209でCN500は、いずれかの端末からのデータ要求があるか否かを判断する。
なお、実際にデータ要求を送信するのは、図5のステップS104とS108に例示したように、ED300またはDM端末400である。他方、データ要求のMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906に要求元として設定されるIDは、ED300のIDまたはR端末200のIDである。
【0163】
ところが、「データ要求を実際に送信する端末自体のIDが、要求元として設定されているか否か」ということは、CN500には認識されない。つまり、CN500は、ステップS209〜S212において、単純に、「MACコマンドフレーム900の送信元アドレス906に設定されているIDが、要求元のIDである」と見なして動作するだけである。したがって、ステップS209における判断は、具体的には以下のように行われる。
【0164】
CN500のプロセッサ503は、送受信回路502から何も出力を受け取っていなければ、ステップS209で「データ要求はない」と判断する。逆に、プロセッサ503が送受信回路502から何らかの出力(つまり物理層からの出力)を受け取っている場合、プロセッサ503は、送受信回路502からの出力をMAC副層のフレーム形式に変換する。そして、プロセッサ503は、「変換により得られたフレームが、データ要求のためのMACコマンドフレーム900か否か」ということを判断する。例えば、プロセッサ503は、フレームコントロール901に含まれるタイプとコマンドフレームID907に基づき、ステップS209の判断を行ってもよい。
【0165】
そして、「いずれかの端末からのデータ要求がある」とプロセッサ503が判断した場合、処理はステップS210に移行する。逆に「どの端末からもデータ要求がない」とプロセッサ503が判断した場合、処理はステップS213に移行する。
【0166】
ステップS210でCN500は、データの要求元にACKを送信する。具体的には、CN500のプロセッサ503は、データ要求のMACコマンドフレーム900のシーケンス番号902の値をシーケンス番号802に設定したACKフレーム800を生成する。そして、送受信回路502とアンテナ501が、生成されたACKフレーム800を送信する。ステップS210の具体例は、図5のステップS105とS109である。
【0167】
次に、ステップS211でCN500は、データの要求元にデータを送信する。なお、本実施形態では、ビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストに基づいてED300またはDM端末400がデータ要求を送信する。よって、ステップS201に関する説明から理解されるとおり、CN500がデータ要求を受信した場合、CN500のRAM505には、データ要求元のIDと対応づけられた配信情報(すなわちペンディング状態の配信情報)が格納されている。
【0168】
そこで、ステップS211では、CN500のプロセッサ503が、データ要求元のIDと対応づけられてRAM505に格納されている配信情報をデータペイロード607として含むデータフレーム600を生成する。なお、データフレーム600の宛先アドレス604には、CN500が受信したデータ要求のMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906と同じ値が設定される。そして、生成されたデータフレーム600は、送受信回路502とアンテナ501により送信される。なお、ステップS211の具体例は、図5のステップS106とS110である。
【0169】
そして、次のステップS212でCN500は、ステップS211で送信したデータに対するACKを受信する。すなわち、ステップS211でCN500から送信されたデータフレーム600のシーケンス番号602と同じ値がシーケンス番号802に設定されたACKフレーム800が、アンテナ501と送受信回路502を介してステップS212で受信される。
【0170】
ステップS212の具体例は、図5のステップS107とS111である。ACKの受信後、処理はステップS213に移行する。
なお、図6では説明の簡単化のため図示を省略しているが、CN500は、適宜のリトライ制御を実行することが好ましい。つまり、CN500は、ステップS211での送信から所定時間以内にステップS212でACKフレーム800を受信することができなければ、ステップS211と同じデータフレーム600を再送信してもよい。
【0171】
ステップS213でCN500のプロセッサ503は、長さTのビーコン周期が経過したか否かを判断する。具体的には、ステップS201で設定されたタイマ504がまだタイムアウトしていなければ、ビーコン周期はまだ経過していないので、処理はステップS202に戻る。逆に、タイマ504が既にタイムアウトしていれば、ビーコン周期が経過しているので、処理はステップS201に戻る。
なお、実施形態によっては、タイマ504の代わりに絶対時刻を示す時計が利用されてもよいことは無論である。
【0172】
さて、図7は、ED300の動作フローチャートである。図1のED105a〜105cの各々は、図7のフローチャートにしたがって動作する。なお、ED300は、電池311から電力の供給を受けるので、電力消費を抑えるための省電力制御が行われることが好ましい。
【0173】
そこで、本実施形態のED300は、通信の必要がないときはスリープして、電力消費を抑える。そして、図7のフローチャートは、ステップS301でED300がスリープ状態から復帰する(すなわち起床する)ことから始まる。ED300が起床すると、処理はステップS302に移行する。なお、ED300の電源がオフの状態からオンの状態に変化した場合(つまり診察カードがED300の不図示のスロットに差し込まれた場合)も同様に、続いてステップS302以下の処理が行われる。
【0174】
ステップS302でED300は、ビーコン(具体的にはビーコンフレーム700)を受信するまで待つ。ビーコンフレーム700が受信されると、処理はステップS303に移行する。
【0175】
そして、ステップS303でED300のプロセッサ303は、タイマ304を始動する。具体的には、本実施形態では、タイマ304がビーコン周期の開始時点からの経過時間を示すように、プロセッサ303は、タイマ304に初期値を設定して、タイマ304を始動する。
【0176】
ここで、上記のとおりビーコン周期の長さはTであり、上記(3−1)で説明したビーコン送信期間の長さはBである。したがって、プロセッサ303は、タイマ304に初期値としてビーコン送信期間の長さBを設定して、タイマ304を始動させる。
【0177】
なお、ここでは説明の簡単化のため、「ビーコンフレーム700の実際の送信が完了する時点とビーコン送信期間の終了時点が一致する」と仮定している。そして、ステップS303でのタイマ304の初期値Bは、この仮定に基づいている。また、この仮定は、図8と9の説明においても同様である。
【0178】
しかし、実施形態によっては、例えばビーコンフレーム700の受信開始時点に基づいて、タイマ304に適宜の初期値が設定されてもよい。いずれにせよ、以下では、タイマ304がビーコン周期の開始時点からの経過時間を示すものとする。
【0179】
続いて、ステップS304でプロセッサ303は、ペンディングになっている配信情報の宛先の数(上記(3−3)に関して説明した、ユーザ端末の台数S)を、ビーコンフレーム700のペンディングアドレス707から認識する。IEEE802.15.4規格によれば、0≦S≦7である。
【0180】
また、次のステップS305でプロセッサ303は、CN500へのアクセス要求があるか否かを判断する。CN500へのアクセス要求とは、上記(3−2)の要求受付期間にCN500に対して送信される要求である。本実施形態では、具体的には、CN500へのアクセス要求は、参加要求、HO要求、離脱要求のいずれかである。
【0181】
例えば、ED300の電源がオフの状態からオンの状態に変化した後、初めてステップS305の処理が実行される場合に、プロセッサ303は、「アクセス要求(具体的には参加要求)がある」と判断してもよい。また、ED300から診察カードが抜き取られた後、初めてステップS305の処理が実行される場合に、プロセッサ303は、「アクセス要求(具体的には離脱要求)がある」と判断してもよい。
【0182】
あるいは、ED300が移動している場合、ED300が前回受信したビーコンフレーム700の送信元アドレス704と、ED300が今回ステップS302で受信したビーコンフレーム700の送信元アドレス704が、異なる場合もあり得る。この場合、プロセッサ303は、「アクセス要求(具体的にはHO要求)がある」と判断してもよい。
【0183】
何らかのアクセス要求がある場合、処理はステップS306に移行する。逆に、何のアクセス要求もなければ、処理はステップS308に移行する。
そして、ステップS306でED300は、要求をCN500に送信する。つまり、プロセッサ303が要求に応じた適宜のフレームを生成し、送受信回路302とアンテナ301がフレームを送信する。
【0184】
また、次のステップS307でED300は、ステップS306で送信した要求に対するACKを受信する。例えば、図5のステップS102とS103は、ステップS306とS307に対応する。
【0185】
なお、以上のステップS306〜S307における通信は、上記(3−2)で説明した、長さβの要求受付期間中に行われる。つまり、図7では説明が簡略化されているが、ステップS306での送信は、実際にはCSMA−CA方式で行われるので、ステップS306の処理はキャリアセンスなどの処理を含む。したがって、ED300は、適宜のリトライ制御を実行することが好ましい。つまり、ED300は、ステップS306での送信から所定時間以内にステップS307でACKを受信することができなければ、ステップS306と同じフレームを再送信してもよい。
【0186】
また、図7では説明の簡単化のため、ステップS307の受信の後、処理がステップS308に進むように表現されているが、ステップS306で離脱要求が送信された場合は、ED300は、送信後直ちに図7の処理を終了してもよい。他方、ED300がステップS306で参加要求もしくはHO要求を送信した場合か、または、アクセス要求が何もない場合には、ステップS308以下の処理が行われる。
【0187】
具体的には、ステップS308でプロセッサ303は、ステップS302で受信されたビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリスト中に、ED300自体のIDが含まれているか否かを判断する。なお、ED300自体のIDは、予め不揮発性記憶装置306に格納されており、ED300に電源が入れられたときの初期化の際などに、MAC副層の処理モジュールからアクセス可能なRAM305上の所定の領域にコピーされている。よって、プロセッサ303は、RAM305上の所定の領域を参照することで、ステップS308の判断を行うことができる。
【0188】
リスト中にED300自体のIDが含まれていた場合は、ED300宛の配信情報が存在する。よって、配信情報の取得のため、処理はステップS309に移行する。逆に、リスト中にED300自体のIDが含まれない場合は、ED300は、今回のビーコン周期の残りの時間は何もする必要がない。よって、消費電力抑制のため、処理はステップS315に移行する。
【0189】
ステップS309でED300のプロセッサ303は、アクセス時刻(以下「AT」と表記する)を算出する。なお、以下の説明においてアクセス時刻ATとは、ビーコン周期の開始時点を基準点(すなわちゼロ)とする時刻である。つまり、アクセス時刻ATは、ステップS303で設定されたタイマ304によって刻まれる時刻により表される。また、アクセス時刻ATから始まる長さαの期間が、時分割通信が行われる上記(3−3)の通信期間全体の中で、図7の処理を実行している本ED300に割り当てられる期間である。
【0190】
ここで、ED300自体のIDは、ペンディングアドレス707のリスト中に含まれるS個のIDのうち、n番目(1≦n≦S)のIDであるとする。また、ビーコン周期には、上記(3−1)〜(3−4)の4種類の期間が含まれ、4種類の期間の順序は、(3−1)〜(3−4)の順である。そして、ビーコン周期の長さTは式(1)のとおりである。よって、アクセス時刻ATは、式(4)のとおりである。
AT=B+β+(n−1)×α (4)
【0191】
なお、1台のユーザ端末あたりの通信期間の長さαは、実施形態によって、例えば式(2)によって表されることもあり得るし、式(3)によって表されることもあり得るし、他の式によって表されることもあり得る。また、要求受付期間の長さβも、上記のとおり、実施形態によって、固定値でもよいし、例えばα=βのように定義される可変値でもよい。しかし、いずれにせよ、プロセッサ303は、実施形態に応じた定義にしたがって、式(4)を用いてアクセス時刻ATを算出することができる。
【0192】
また、次のステップS310でプロセッサ303は、アクセス時刻ATまでのスリープ時間(以下「P1」と表記する)を算出する。ここで、タイマ304が現在示している時刻を「Now」と表記することにする。上記のとおり、本実施形態のタイマ304は、ビーコン周期の開始時点を基準とした時刻を示すので、プロセッサ303は式(5)によりスリープ時間P1を算出することができる。
P1=AT−Now (5)
【0193】
そして、プロセッサ303の制御にしたがい、ED300は、プロセッサ303が算出したスリープ時間P1だけ、ステップS311でスリープする。スリープ時間P1が経過すると、ED300はスリープ状態から復帰し(すなわち起床し)、処理はステップS312に移行する。
【0194】
ステップS312でED300は、CN500(具体的には、ステップS302で受信したビーコンフレーム700の送信元のCN500)に、データ要求のためのMACコマンドフレーム900を送信する。つまり、プロセッサ303により実現される上位層の処理モジュールが、MLME-POLL.requestプリミティブを発行する。すると、プロセッサ303により実現されるMAC副層の処理モジュールが、データ要求のMACコマンドフレーム900を生成する。なお、送信元アドレス906にはED300自体のIDが設定される。生成されたMACコマンドフレーム900は、送受信回路302とアンテナ301を介して送信される。図5のステップS104はステップS312の例である。
【0195】
なお、ステップS310からS312にかけて行われる内部処理(スリープ時間P1の算出、スリープ状態からの復帰、データ要求のMACコマンドフレーム900の生成など)にかかる時間(以下「δT1」と表記する)を無視することができない場合もあり得る。その場合、プロセッサ303は、前述のステップS310において、式(6)にしたがってスリープ時間P1を算出してもよい。
P1=AT−Now−δT1 (6)
【0196】
さて、ステップS312の次のステップS313でED300は、例えば図5のステップS105とS106のように、CN500からACKとデータを受信する。つまり、データ要求のMACコマンドフレーム900に対するACKフレーム800と、要求したデータをデータペイロード607に含むデータフレーム600を、ED300はステップS313で受信する。
【0197】
そして、プロセッサ303は、受信されたデータフレーム600のデータペイロード607(つまりED300宛の配信情報)に応じて、適宜ディスプレイ308とスピーカ309の一方または双方を制御する。例えば、データペイロード607が待ち人数を示す場合、プロセッサ303は、ビープ音を鳴らすようにスピーカ309を制御するとともに、「現在5人待ちです」などのメッセージを表示するようにディスプレイ308を制御してもよい。
【0198】
そして、次のステップS314でED300は、図5のステップS107のように、CN500にACKを送信する。具体的には、ステップS313で受信されたデータフレーム600のシーケンス番号602と同じ値をシーケンス番号802に設定したACKフレーム800をプロセッサ303が生成する。そして、送受信回路302とアンテナ301により、ACKフレーム800が送信される。そして、処理はステップS315に移行する。
【0199】
さて、ステップS315が実行されるのは、今回のビーコン周期の中ではED300が行う処理がもう存在しないときである。そこで、プロセッサ303はステップS315でスリープ時間(以下「P2」と表記する)を算出する。上記のとおり、本実施形態のタイマ304が示す時刻Nowは、ビーコン周期の開始時点を基準とした時刻である。よって、スリープ時間P2は、ビーコン周期の長さTと、適宜のマージン(以下「δT2」と表記する)を用いて、式(7)により算出される。
P2=T−Now−δT2 (7)
【0200】
なお、マージンの長さδT2は、スリープ時間P2の算出、スリープ状態への移行、および、スリープ状態からの復帰にそれぞれかかる時間の和以上でさえあれば、短いほど好ましい。
【0201】
スリープ時間P2の算出後、ステップS316でED300は、プロセッサ303の制御にしたがい、算出されたスリープ時間P2だけスリープする。すなわち、ED300は、次のビーコン受信の直前までステップS316でスリープする。
【0202】
なお、図7のフローチャートはステップS316で終了するが、スリープ時間P2が経過すると、再度ED300は図7のフローチャートにしたがって動作する。つまり、スリープ時間P2が経過すると、ED300はステップS301でスリープ状態から復帰し、ステップS302以下の処理を実行する。
また、実施形態によっては、タイマ304の代わりに絶対時刻を示す時計が利用されてもよいことは無論である。
【0203】
さて、図8は、R端末200の動作フローチャートである。図1のR端末104a〜104eの各々は、図8のフローチャートにしたがって動作する。
なお、図8のステップS401〜S404は、図7のステップS301〜S304と同様である。また、図8のステップS405は図7のステップS308と同様である。そして、図8のステップS406〜S409は、図7のステップS309〜S311およびステップS313と同様である。また、図8のステップS410〜S411は図7のステップS315〜S316と同様である。よって、以下では適宜説明を簡略化する。
【0204】
図8のフローチャートは、ステップS401でR端末200がスリープ状態から復帰する(すなわち起床する)ことから始まる。R端末200が起床すると、処理はステップS402に移行する。また、R端末200の電源がオフの状態からオンの状態に変化した場合も同様に、続いてステップS402以下の処理が行われる。
【0205】
ところで、本実施形態によれば、R端末200とED300では、電源がオンにされるときの状況に違いがあるので、ここでその違いについて説明する。
サーバ106は、送信機能を有するED300の位置を自動的に把握し、ED300と患者の対応関係を自動的に把握することができる。なぜなら、ED300により図7のステップS306の処理が行われ、CN500により図6のステップS203〜S208の処理が行われるからである。よって、例えば、無線通信システム100を運用する医療機関においては、使われていない任意のED300に患者が自分の診察カードを差し込みさえすれば、受付職員などが何ら関与しなくても、サーバ106が自動的に患者の受付処理を行うことが可能である。
【0206】
他方、サーバ106は、電波を発射しないR端末200の位置を把握することはできない。また、サーバ106は、R端末200と患者の対応関係を自動的に把握することもできない。そこで、R端末200への電源投入と、R端末200と患者の対応づけに関しては、無線通信システム100を運用する医療機関の受付職員が関わってもよい。
【0207】
例えば、ED300ではなくR端末200を使いたい患者(例えば、心臓ペースメーカを装着しているために、自らの身体の至近距離からの電波の発射に不安を感じる患者など)は、受付職員に診察カードを渡してもよい。すると、受付職員は、使われていない任意のR端末200を1台選んで当該R端末200の電源をオンにする。また、受付職員は、当該R端末200のIDと、診察カードに記憶されている患者IDを、サーバ106に認識させるために、適宜の作業を行う。
【0208】
例えば、各R端末200は、当該R端末200の不揮発性記憶装置206に記憶されているIDをサーバ106に読み取らせるためのインタフェイス(例えば、有線LANポートまたはUSBポートなど)を備えていてもよい。あるいは、R端末200のIDを表すバーコードを印刷したシールが、R端末200の表面に貼られていてもよい。
【0209】
受付職員は、上記インタフェイスを介してR端末200をサーバ106に接続する作業、または、バーコードリーダの操作などを行うことで、サーバ106にR端末200のIDを認識させることができる。また、受付職員は、サーバ106に接続された不図示のRFIDリーダに診察カードから患者IDを読み取らせるための操作を行うことで、患者IDをサーバ106に認識させることができる。
【0210】
例えば以上のような受付職員の関与の結果として、サーバ106は、R端末200と患者の対応関係を把握することが可能となる。つまり、サーバ106は、どのR端末200にどの患者に関する情報を配信すればよいのかを認識することが可能となる。
【0211】
受付職員は、以上のような作業を行った後に、R端末200の不図示のスロットに診察カードを差し込んでR端末200を患者に渡してもよい。すると、患者は、R端末200を介して情報配信サービスを受けることができるようになる。
【0212】
なお、ED300のRFIDリーダ307は、ED300と患者の対応関係をサーバ106が自動的に認識することを可能にするために設けられている。他方、R端末200と患者の対応関係は、例えば上記のように受付職員が関与することで、サーバ106に認識されるので、R端末200はRFIDリーダを備える必要がない。
【0213】
以上のように、R端末200とED300では、電源がオンにされるときの状況に違いがある。しかし、電源がオンにされた後または起床した後のED300におけるステップS302〜S304の処理と、電源がオンにされた後または起床した後のR端末200におけるステップS402〜S404の処理は同様である。
【0214】
すなわち、ステップS402でR端末200はビーコンフレーム700を受信するまで待つ。そして、ビーコンフレーム700が受信されると、処理はステップS403に移行する。例えば、図5のステップS101におけるR端末104bでのビーコンフレーム700の受信は、ステップS402の例である。
【0215】
そして、ステップS403でR端末200のプロセッサ203は、タイマ204に初期値としてビーコン送信期間の長さBを設定して、タイマ204を始動させる。つまり、タイマ204も、ビーコン周期の開始時点からの経過時間を示すように設定される。
【0216】
続いて、ステップS404でプロセッサ203は、ペンディングになっている配信情報の宛先の数Sを、ビーコンフレーム700のペンディングアドレス707から認識する。
その後、ステップS405でプロセッサ203は、ステップS402で受信されたビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリスト中に、R端末200自体のIDが含まれているか否かを判断する。なお、R端末200自体のIDは、予め不揮発性記憶装置206に格納されており、R端末200に電源が入れられたときの初期化の際などに、MAC副層の処理モジュールからアクセス可能なRAM205上の所定の領域にコピーされている。よって、プロセッサ203は、RAM205上の所定の領域を参照することで、ステップS405の判断を行うことができる。
【0217】
リスト中にR端末200自体のIDが含まれていた場合は、R端末200宛の配信情報が存在する。よって、配信情報の取得のため、処理はステップS406に移行する。逆に、リスト中にR端末200自体のIDが含まれない場合は、R端末200は、今回のビーコン周期の残りの時間は何もする必要がない。よって、消費電力抑制のため、処理はステップS410に移行する。
【0218】
ステップS406でR端末200のプロセッサ203は、図7のステップS309と同様に、式(4)にしたがってアクセス時刻ATを算出する。なお、R端末200のIDは、ペンディングアドレス707のリスト中に含まれるS個のIDのうち、n番目(1≦n≦S)のIDであるとする。
【0219】
また、次のステップS407でプロセッサ203は、アクセス時刻ATまでのスリープ時間P1を、図7のステップS310と同様に、式(5)または式(6)にしたがって算出する。なお、タイマ204が現在示している時刻を「Now」とし、ステップS407からS409にかけて行われる内部処理にかかる時間を「δT1」とする。
【0220】
そして、プロセッサ203の制御にしたがい、R端末200は、プロセッサ203が算出したスリープ時間P1だけ、ステップS408でスリープする。スリープ時間P1が経過すると、R端末200はスリープ状態から復帰し(すなわち起床し)、処理はステップS409に移行する。
【0221】
ステップS409でR端末200は、CN500(具体的には、ステップS402で受信したビーコンフレーム700の送信元のCN500)から、例えば図5のステップS109とS110のように、ACKとデータを受信する。なお、図5のステップS108に例示したように、DM端末400がR端末200の代わりにCN500にデータ要求を送信する。そのため、R端末200は、送信機能を持たないにもかかわらず、単にアクセス時刻ATに起床してデータの受信を受動的に待っているだけでACKとデータを受信することができる。
【0222】
すなわちステップS409でR端末200は、R端末200に代わってDM端末400が送信したデータ要求に対するACK(具体的にはACKフレーム800)をCN500から受信する。R端末200はさらに、当該データ要求に応じてCN500が送信したデータフレーム600も受信する。
【0223】
なお、DM端末400は、R端末200のIDをデータ要求のMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906に設定する。したがって、ステップS409でR端末200は、当該R端末200自体のIDが宛先アドレス604に設定されたデータフレーム600を受信することになる。
【0224】
R端末200のプロセッサ203は、受信されたデータフレーム600のデータペイロード607(つまりR端末200宛の配信情報)に応じて、適宜ディスプレイ207とスピーカ208の一方または双方を制御する。例えば、プロセッサ203は、ビープ音を鳴らすようにスピーカ208を制御するとともに、データペイロード607の内容に応じたメッセージ(例えば「現在5人待ちです」などのメッセージ)を表示するようにディスプレイ207を制御してもよい。
【0225】
なお、図5のステップS110とS111から明らかなように、今回のビーコン周期内でデータの受信後にR端末200が行う処理は、何もない。よって、ステップS409の受信の後、図8の処理はステップS410へと移行する。
【0226】
ステップS410でプロセッサ203は、図7のステップS315と同様に、式(7)によりスリープ時間P2を算出する。なお、マージンの長さδT2は、スリープ時間P2の算出、スリープ状態への移行、および、スリープ状態からの復帰にそれぞれかかる時間の和以上でさえあれば、短いほど好ましい。
【0227】
そして、ステップS411でR端末200は、プロセッサ203の制御にしたがい、算出されたスリープ時間P2だけスリープする。すなわち、R端末200は、次のビーコン受信の直前までステップS411でスリープする。
【0228】
なお、図8のフローチャートはステップS411で終了するが、スリープ時間P2が経過すると、再度R端末200は図8のフローチャートにしたがって動作する。つまり、スリープ時間P2が経過すると、R端末200はステップS401でスリープ状態から復帰し、ステップS402以下の処理を実行する。
【0229】
また、実施形態によっては、タイマ204の代わりに絶対時刻を示す時計が利用されてもよいことは無論である。
さて、図9は、DM端末400の動作フローチャートである。図1のDM端末103aと103bの各々は、図9のフローチャートにしたがって動作する。
【0230】
なお、図9のステップS501〜S503は、図7のステップS302〜S304と同様である。また、図9のステップS506〜S511は、図7のステップS309〜S314と似ているが、スリープ制御がない点や、一時的なIDの書き換えをともなう点や、受信したデータに応じた表示が不要な点などが異なる。また、図7のステップS309〜S314の一連の処理は、もし実行されるとすれば、1ビーコン周期あたりに1回だけ行われるが、図9のステップS506〜S511の一連の処理は、1ビーコン周期あたりに2回以上実行されることもある。
【0231】
さて、上記のとおりDM端末400はAC電源から電力の供給を受ける。よって、DM端末400においては、R端末200やED300のような省電力制御は不要である。図9のフローチャートは、省電力制御を省くことで簡素化された制御フローを示しており、DM端末400は、電源がオンにされると図9の処理を開始する。
【0232】
具体的には、ステップS501でDM端末400は、ビーコン(具体的にはビーコンフレーム700)を受信するまで待つ。ビーコンフレーム700が受信されると、処理はステップS502に移行する。
【0233】
そして、ステップS502でDM端末400のプロセッサ403は、タイマ404に初期値としてビーコン送信期間の長さBを設定して、タイマ404を始動させる。つまり、タイマ404も、ビーコン周期の開始時点からの経過時間を示すように設定される。
【0234】
続いて、ステップS503でプロセッサ403は、ペンディングになっている配信情報の宛先の数Sを、ステップS501で受信されたビーコンフレーム700のペンディングアドレス707から認識する。
【0235】
そして、ステップS504でプロセッサ403は、ペンディングアドレス707のリストに含まれるS個のIDに順番に注目するためのインデックス変数nを、1に初期化する。
【0236】
次のステップS505でプロセッサ403は、ペンディングアドレス707のリスト中のn番目のIDがR端末200のIDか否かを判断する。上記のとおり、本実施形態では、R端末200のIDがとり得る値の範囲と、ED300のIDがとり得る値の範囲が重ならないように予め決められている。よって、プロセッサ403は、ペンディングアドレス707のリストからn番目のIDを読み取り、読み取ったIDがどちらの範囲に属するかを判断する。
【0237】
もし、リスト中のn番目のIDがいずれかのED300のIDであれば、DM端末400はn番目のIDに関して何も行うことがない。よって、処理はステップS512に移行する。
【0238】
逆に、リスト中のn番目のIDがいずれかのR端末200のIDであれば、処理はステップS506に移行する。ステップS506〜S511の一連の処理は、DM端末400がR端末200に代わって行う送信処理を含む。
【0239】
具体的には、ステップS506でプロセッサ403は、図7のステップS309と同様に、式(4)にしたがってアクセス時刻ATを算出する。
また、次のステップS507でプロセッサ403は、DM端末400の端末IDを、一時的に、ペンディングアドレス707のリスト中のn番目のID(すなわち、R端末200のID)に書き換える。図5のステップS108に関して説明したように、ステップS507では、具体的には、例えば、不揮発性記憶装置406からRAM405の所定領域にコピーされたDM端末400の本来のIDが、リスト中のn番目のIDで上書きされる。
【0240】
そして、次のステップS508に示すように、DM端末400は、アクセス時刻ATになったら、CN500(具体的には、ステップS501で受信したビーコンフレーム700の送信元のCN500)に、データを要求する。
【0241】
つまり、タイマ404が示す時刻がアクセス時刻ATになったら、プロセッサ403により実現される上位層の処理モジュールが、MLME-POLL.requestプリミティブを発行する。あるいは、MACコマンドフレーム900の生成などの内部処理にかかる時間を無視することができない場合は、MLME-POLL.requestプリミティブの発行は、内部処理にかかる時間のぶんだけ、アクセス時刻ATよりも前の時刻に行われてもよい。
【0242】
いずれにせよ、MLME-POLL.requestプリミティブの発行に応じて、プロセッサ403により実現されるMAC副層の処理モジュールが、データ要求のMACコマンドフレーム900を生成する。なお、MACコマンドフレーム900の送信元アドレス906には、ステップS507で書き換えられたID(すなわち、R端末200のID)が設定される。生成されたMACコマンドフレーム900は、送受信回路402とアンテナ401を介して送信される。
【0243】
なお、図5のステップS108は、ステップS508の例である。また、ED300は図7のステップS311でアクセス時刻ATまでスリープするが、DM端末400はステップS508でアクセス時刻ATまで単に何もしないで待機すればよい。もちろん、実施形態によっては、プロセッサ403の制御にしたがって、DM端末400がステップS508でアクセス時刻ATまでスリープしてもよい。
【0244】
さて、上記のステップS508でのデータ要求の送信の後、DM端末400はステップS509において、CN500からACKとデータを受信する。図5のステップS109とS110に示したDM端末103aでの受信は、ステップS509の例である。具体的には、DM端末400は下記(4−1)と(4−2)のフレームを受信する。
【0245】
(4−1)ステップS508でDM端末400が送信したデータ要求のMACコマンドフレーム900のシーケンス番号902と同じ値がシーケンス番号802に設定された、ACKフレーム800。
(4−2)現在一時的にDM端末400のIDとして設定されているID(すなわちペンディングアドレス707のリスト中のn番目のID)が宛先アドレス604に設定された、データフレーム600。
【0246】
DM端末400のMAC副層の処理モジュールは、単純に、「(4−1)のACKフレーム800の受信は、ステップS508でのDM端末400からのMACコマンドフレーム900の送信が成功したことを示す」と認識する。図9では説明の簡単化のため省略しているが、例えば、ステップS508でのMACコマンドフレーム900の送信から所定時間以内にACKフレーム800が受信されない場合、DM端末400は適宜のリトライ制御を行うことが好ましい。
【0247】
ところで、無線通信では、例えば第1の装置が第2の装置にフレームを送信する場合に、無関係な第3の装置も、もし第1の装置からの電波が届く範囲に位置していれば、当該フレームを受信することがある。この場合、無関係な第3の装置は、受信したフレームの宛先のIDが第3の装置自体のIDと異なれば、フレームを破棄する。以上のようなフレームの破棄は、例えば、MAC副層の処理モジュールで行われてもよく、それにより、上位層の処理モジュールは、他の装置宛のフレームに関する処理を行わなくて済む。
【0248】
ここで、DM端末400のIDがステップS507で一時的に書き換えられていることに注目すると、上記(4−2)のデータフレーム600は、DM端末400のMAC副層の処理モジュールでは破棄されない。なぜなら、本実施形態ではMAC副層の上位層の処理モジュールによりIDの書き換えが行われ、MAC副層の処理モジュールは単純に「物理層の送受信回路402からの出力は、宛先アドレスがDM端末400自体のIDであることを示している」と認識するからである。
【0249】
そして、以上の認識にしたがって、ステップS510でDM端末400は、(4−2)のデータフレーム600に対するACKを送信する。具体的には、プロセッサ403により実現されるMAC副層処理モジュールが、(4−2)のデータフレーム600のシーケンス番号602に設定されている値をシーケンス番号802に設定したACKフレーム800を生成する。そして、生成されたACKフレーム800が、送受信回路402とアンテナ401を介して送信される。図5のステップS111は、ステップS510の例である。
【0250】
なお、上記の認識にしたがって、DM端末400のMAC副層の処理モジュールは、(4−2)のデータフレーム600の受信に応じたプリミティブを上位層の処理モジュールに対して発行する。プリミティブの引数には、データフレーム600のデータペイロード607などが含まれる。
【0251】
しかし、データペイロード607の意味上の宛先(換言すれば、本来の宛先)は、DM端末400自体ではなく、DM端末400に現在一時的に設定されているIDにより識別されるR端末200である。よって、MAC副層の処理モジュールから上記プリミティブを受け取った上位層の処理モジュールは、単に、受け取ったプリミティブを無視し、引数として与えられたデータペイロード607を破棄する。
【0252】
以上のような処理の後、ステップS511でDM端末400のプロセッサ403(具体的には、プロセッサ403により実現される上位層の処理モジュール)は、DM端末400の端末IDを元に戻す。すなわち、プロセッサ403は、不揮発性記憶装置406に格納されているDM端末400の本来のIDを読み出し、MAC副層の処理モジュールがDM端末400のIDを読み出すためのRAM405上の所定領域に、読み出した本来のIDを書き込む。そして、処理はステップS512に移行する。
【0253】
ステップS512でプロセッサ403は、n<Sであるか否かを判断する。
もし、n<Sであれば、ステップS501で受信されたビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリスト中にまだIDが残っている。そこで、処理はステップS513に移行する。
【0254】
逆に、n<Sでなければ(実際には、n=Sであれば)、ペンディングアドレス707のリストにはもうIDが残っていない。つまり、今回のビーコン周期でDM端末400が行う処理はもう存在しない。そこで、図9の処理はステップS501へと戻る。
【0255】
ステップS513でプロセッサ403は、インデックス変数nを1だけインクリメントする。そして、処理はステップS505に戻る。
なお、実施形態によっては、タイマ404の代わりに絶対時刻を示す時計が利用されてもよいことは無論である。
【0256】
ところで、図1〜9を参照して以上のとおり説明した本実施形態には、様々な利点がある。そこで、以下では本実施形態の利点について説明する。
第1の利点は、電波を発射する端末を携行すること自体に不安を感じるユーザであっても、安心して情報配信サービスを受けられる点である。つまり、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザであっても、電波を発射しないR端末200ならば安心して携行することができる。そして、当該ユーザは、R端末200を介して、無線通信システム100により提供される情報配信サービスを安心して受けることができる。
【0257】
上記のとおり、総務省により「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」が発表されている。よって、電波を発射する装置(すなわち、ED300、DM端末400、およびCN500)は、当該指針にしたがって製造され、運用されることが望ましい。指針にしたがって製造され、運用されていれば、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザであっても、安全にED300を携行して、ED300を介して情報配信サービスを受けることも可能である。
【0258】
しかし、たとえED300が、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザに携行されても当該医療機器に害を与えないように製造されていたとしても、ユーザは、自らが携行するED300が電波を発射すること自体に不安を抱くかもしれない。そして、そのような不安は、無根拠であるとも言いがたい。なぜなら、以下のような可能性があるからである。
【0259】
例えば、新たな医療機器や新たな端末が開発される実態に、指針の改訂が追いついているか否かを一般のユーザが判断することは困難である。さらに、一般のユーザが指針について熟知しているとは限らない。中には、誤って指針に沿わない使い方で端末を使ってしまうユーザもいるかもしれない。これらの可能性を考慮すると、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザが、自らが携行する端末から電波が発射されること自体を不安に感じることも大いにあり得る。
【0260】
しかし、R端末200はそもそも電波を発射しない。よって、ユーザは、R端末200端末ならば安心して携行することができる。また、R端末200は、単にユーザに安心感を与えるというだけでなく、実際に安全である。なぜなら、R端末200は、電波自体を発射しないからである。そして、R端末200からは電波自体が発射されない以上、たとえ従来の医療機器よりも電波の影響を受けやすい新規の医療機器が開発されたとしても、R端末200は、そのような新規の医療機器にとっても、実際に安全である。
【0261】
また、従来の携帯電話網における同報(ブロードキャスト)通信サービスでは、代表端末ではない移動通信端末が、一時的にあたかも受信専用端末であるかのように動作して、代表端末の通信を傍受することがある。しかし、実際には移動通信端末自体は送信機能を有しており、例えば基地局への位置登録のために電波を発射することもあるし、通話のために電波を発射することもある。したがって、このような移動通信端末は、本実施形態のR端末200とは異なり、電波の発射により心臓ペースメーカなどの医療機器に影響を与えるおそれがある。
【0262】
なお、図1の無線通信システム100を利用するユーザの周囲の環境には、他のユーザが携行するED300が存在するかもしれないし、所定の位置に設置されたDM端末400とCN500が存在するかもしれない。しかし、ユーザ自身が携行する端末は当該ユーザの身体にごく近接しているのに対し、他のユーザが携行するED300は、ある程度離れている。また、上記のとおり、DM端末400とCN500は、例えば天井などに設置されるので、ユーザからある程度離れている。
【0263】
そして、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザからはある程度離れたところにある装置(例えばED300やDM端末400やCN500)が発射する電波が、当該医療機器に与える影響は、事実上、無視することができる。また、ユーザ自身も、離れたところから発射される電波よりも、自らの身体のごく近くから発射される電波(例えば、ユーザ自身が首からぶら下げたりポケットに入れたりして携帯している端末から発射される電波)の方に、より強い不安を感じるであろう。
【0264】
本実施形態によれば、ユーザ自身が携帯するユーザ端末としてR端末200が使われるので、ユーザは安全に、かつ安心して、情報配信サービスを受けられる。
さて、本実施形態の第2の利点は、ユーザごとに異なる情報を配信することが可能な点である。すなわち、同じ情報が複数のユーザ端末にブロードキャストされる同報通信システムと比較すると、本実施形態の無線通信システム100は、より細かな粒度の情報配信サービスを提供することができる。同報通信システムは、例えば携帯電話網による緊急地震速報などの用途には適しているが、ユーザごとに異なる情報を配信する目的には適さない。
【0265】
本実施形態では、個々のユーザ端末(すなわちR端末200またはED300)に配信する対象の配信情報は、サーバ106によってユーザ端末ごとに生成または取得され、CN500を介してユーザ端末にデータフレーム600の形式で配信される。よって、本実施形態によれば、各ユーザは、当該ユーザに固有の情報を受け取ることができる。
【0266】
例えば、上述の例のように無線通信システム100が医療機関において利用されるとする。ここで、患者ごとに当該患者までの待ち人数は異なるし、当該患者が次に進むべき場所(例えば待合室、検査室、診察室、会計受付など)も、患者ごとに異なる。無線通信システム100によれば、そのように患者ごとに異なる情報の配信が可能である。もちろん、無線通信システム100は、ショッピングモール・遊園地・展示会会場など、医療機関以外の場所における情報配信サービスのために利用されてもよい。
【0267】
本実施形態の第3の利点は、多数のユーザがいても、リアルタイムに近い素早い情報配信が可能な点である。以下ではこの利点について、まず数値例を示し、その後、いくつか補足説明を行う。
【0268】
上記のとおり、ビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストには、最大で7個までIDを含めることができる。よって、ビーコン周期の長さTが例えば0.5秒だとすると、1台のCN500が1秒あたりに情報を配信することのできるユーザ端末の数は、最大で14(=7/0.5)台である。
【0269】
ここで、何らかの状況の変化が発生してから、当該変化に応じた情報が実際にユーザ端末に配信されるまでの遅延時間としてユーザが許容可能な時間を、便宜上「許容遅延時間」ということにする。許容遅延時間は無線通信システム100の用途に応じて異なり得る。例えば、無線通信システム100が医療機関で待ち人数の通知のために利用される場合、許容遅延時間は、数十秒程度かもしれない。
【0270】
仮に、許容遅延時間が60秒とすると、何らかの状況の変化にともなって、許容遅延時間以内に1台のCN500が当該変化に応じたユーザごとの情報を配信することのできるユーザ端末の数は、840(=14×60)台である。この840台という数は、実用上、十分に大きい。
【0271】
例えば、無線通信システム100が医療機関で待ち人数の通知のために利用されるとし、内科では現在80人の患者が待っているとする。内科で現在診察中の患者の診察が終わると(すなわち、状況が変化すると)、80人の患者それぞれの待ち人数は、1人ずつ減る。したがって、上記の状況の変化に応じて情報を配信する対象のユーザ端末の台数は、80台である。
【0272】
この80台という数は、上記の840台という数の10分の1にも満たない。そして、上記のようにビーコン周期の長さTが0.5秒の場合、80台のユーザ端末への情報配信は、たとえ1台のCN500から行われるとしても、6秒足らずで完了する。換言すれば、何らかの状況の変化に応じて情報を配信する対象のユーザ端末の台数によっては、許容遅延時間が数秒程度しかなくても、許容遅延時間以内の情報配信が十分に可能である。
【0273】
もちろん、上記数値例は単なる例示に過ぎない。しかし、本実施形態の第3の利点は、上記数値例からも十分に理解されるであろう。以上のとおり、本実施形態によれば、ユーザの数(つまりユーザ端末の数)が比較的多くても、ユーザが満足することのできる比較的短い遅延時間で、素早く新たな情報を個々のユーザ端末に配信することが可能である。
【0274】
そして、以上述べた第3の利点は、無線通信システム100内で自律分散的な時分割通信が行われることから得られる利点である。また、自律分散的な時分割通信が可能な理由は、ペンディングアドレス707を含むビーコンフレーム700が使われるからである。
【0275】
IEEE802.15.4規格では、2つの隣り合うビーコン間のスーパフレーム構造が定義されている。具体的には、1ビーコン周期の中に、端末が自由にCN500にアクセスを試みることのできる期間としてCAP(Contention Access Period)が定義されている。そして、CAP内では、複数台の端末間の競合がCSMA−CA方式により解決される。
【0276】
また、IEEE802.15.4規格によれば、1ビーコン周期の中には、CFP(Contention-Free Period)があってもよい。CFPはいくつかのGTSに分割され得る。つまり、CFP内では、GTSを予約した端末のみが、CN500と通信する。
【0277】
他方、本実施形態では、物理層とMAC副層の通信プロトコルとしてIEEE802.15.4規格が利用されてはいるが、CAP内で常に競合的な通信が行われるわけではない。具体的には、本実施形態では、CAPが上記(3−2)の要求受付期間と(3−3)の通信期間と(3−4)の処理期間に分割されており、複数台の端末間での競合とCSMA−CAによる解決は、(3−2)の要求受付期間でのみ発生する。そして、(3−3)の通信期間では、自律分散的な時分割通信が実現されており、競合は生じない。
【0278】
CSMA−CA方式の通信では、衝突(コリジョン)の発生に起因するタイムロスが避けられない。そのため、端末の数が多い場合は、通信効率の悪化を無視することができない。
【0279】
他方、本実施形態のように、ビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストにしたがって、自律分散的な時分割通信が行われれば、衝突は発生せず、衝突の発生に起因する通信効率の悪化も生じない。具体的には、本実施形態では、(3−3)の通信期間に含まれる長さαの各期間中には、衝突が発生しない。なぜなら、長さαの各期間中にCN500にデータ要求を送信する端末は、1台のED300または1台のDM端末400に限定されているからである。したがって、本実施形態では、通信効率の悪化が防止される。
【0280】
そして、以上のように通信効率の悪化が防止されるからこそ、本実施形態では、ペンディングアドレス707のリストにIDが含まれるS台のユーザ端末への情報配信が、1ビーコン周期内でほぼ確実に完了する。その結果、本実施形態によれば、例えば上記数値例に示したように、多数のユーザ端末に、比較的短い遅延時間で、状況の変化に応じた新たな情報をそれぞれ配信することが可能である。
【0281】
また、上記の数値例は1台のCN500から情報が配信される場合の例である。つまり、たとえ「1台のCN500だけから情報が配信される」と仮定しても、本実施形態によれば、上記数値例のように十分に短い遅延時間での新たな情報の配信が可能である。このことは、「R端末200の位置が管理不能であっても、情報配信に支障をきたさない」ということも意味する。詳しくは以下のとおりである。
【0282】
ED300は参加要求やHO要求などを送信するので、サーバ106は、CN500を介して、各ED300がどのCN500の近傍に位置するかを認識することができる。したがって、例えば図1の例では、サーバ106は、ED105bがCN102aと通信可能な範囲内に位置していることを認識しているので、ED105b宛の配信情報をCN102aにのみ送信すれば十分である。
【0283】
ところが、R端末200は送信機能を持たないので、各R端末200がどのCN500の近傍に位置するかをサーバ106が認識することはできない。よって、例えば図1の例では、サーバ106は、「R端末104bは、CN102aからの電波を受信することが可能な範囲に位置しているのか、それとも、CN102bからの電波を受信することが可能な範囲に位置しているのか」ということを認識していない。
【0284】
よって、サーバ106は、R端末104b宛の配信情報を、CN102aと102bの双方に送信する。そして、CN102aと102bはいずれも、R端末104bのIDをペンディングアドレス707に含むビーコンフレーム700を送信する。
【0285】
その結果、DM端末103aと103bの双方が、R端末104bに代わってデータ要求を送信し、CN102aと102bの双方が、R端末104b宛の配信情報をデータペイロード607に含むデータフレーム600を送信する。したがって、R端末104bは、CN102aからの電波を受信することが可能な範囲に位置していようが、CN102bからの電波を受信することが可能な範囲に位置していようが、データフレーム600を受信することができる。
【0286】
以上の図1の例のように、サーバ106にとってはR端末200の位置は不明なので、R端末200への情報配信のために、サーバ106は、無線通信システム100内のすべてのCN500に、当該R端末200宛の配信情報を送信する。そして、無線通信システム100内のすべてのDM端末400が、当該R端末200に代わってデータ要求を送信する。つまり、同じ配信情報が複数のCN500から重複して送信される。
【0287】
このような重複した送信が行われるにもかかわらず、本実施形態によれば、多数のR端末200に十分に短い遅延時間内に、新たな情報を配信することが可能である。
例えば、説明の簡単化のため、無線通信システム100ではユーザ端末としてR端末200のみが使われ、ED300は使われないとする。また、便宜上、無線通信システム100にはX台のCN500とX台のDM端末400が含まれるものとし(1≦X)、上記数値例と同じくビーコン周期の長さTが0.5秒であるとする。
【0288】
ここで、各R端末200宛の配信情報は、上記のとおりX台のCN500から重複して送信される。よって、「CN500がX台あることによって、配信にかかる時間が1/X倍になる」というわけではない。だが、重複送信によって支障が生じるわけではなく、情報は素早く配信される。すなわち、1台のCN500に関して計算した上記数値例から明らかなとおり、例えば仮に無線通信システム100内に840台のR端末200が存在したとしても、それら840台のR端末200のそれぞれに、60秒の許容遅延時間内に新たな情報が配信される。
【0289】
そして、無線通信システム100の用途にもよるが、840台もの多数のR端末200すべてに一度に影響するような状況の変化は、非常にまれである。例えば上記のように「内科では現在80人の患者が待っている」という状況が「内科では現在79人の患者が待っている」という状況に変化した場合、状況の変化に応じて情報を配信する対象は80台のR端末200だけに限られる。よって、X台のCN500からの重複送信が行われたとしても、「重複送信により通信効率が悪化し、その結果、遅延時間が増大する」などの問題は生じない。
【0290】
さて、本実施形態の第4の利点は、ユーザ端末(つまりR端末200とED300)の消費電力の抑制が可能な点である。R端末200は電池210から電力を得ており、ED300も電池311から電力を得ているので、ユーザ端末の消費電力の抑制は好ましい特徴である。
【0291】
本実施形態では、上記のように物理層とMAC副層のプロトコルとしてIEEE802.15.4規格が使われる。IEEE802.15.4規格は、フレーム長が最大で127オクテットと短い代わりに、低消費電力という特長がある。よって、R端末200、ED300、DM端末400、CN500は、いずれも低消費電力である。
【0292】
そして、IEEE802.15.4規格に由来する低消費電力の特長に加えて、本実施形態では、本実施形態ならではの消費電力削減も実現される。すなわち、本実施形態によれば、図7〜8に示すようにユーザ端末においてスリープ制御が行われるので、ユーザ端末の消費電力が抑制される。
【0293】
なお、図7〜8のスリープ制御が可能な理由は、無線通信システム100内で自律分散的な時分割通信が行われるからである。つまり、ビーコンフレーム700のペンディングアドレス707のリストの利用によって、各ユーザ端末は、アクセス時刻ATを算出して時分割通信に協力することが可能となる。そのため、本実施形態によれば、スリープ制御による一層の消費電力削減が実現される。
【0294】
また、本実施形態の第5の利点は、R端末200の製造コストが低く抑えられる点である。R端末200のアンテナ201および受信回路202は受信専用なので、例えばED300の送受信用のアンテナ301および送受信回路302と比較すると、回路規模が小さくて済み、回路規模が小さい分だけ製造コストも低い。
【0295】
さらに、送信機能のないR端末200は、日本の電波法の規制対象外である。したがって、R端末200は技術基準適合証明を受ける必要がない。よって、技術基準適合証明が不要な分だけ、R端末200の開発および試験にかかるコストも抑えられる。
【0296】
本実施形態の第6の利点は、ユーザ端末としてR端末200だけでなくED300も利用することで、効率の良い情報配信が可能になる点である。上記のように無線通信システム100にはED300が含まれなくてもよいが、ED300を利用することで情報配信の効率が向上する。理由は以下のとおりである。
【0297】
R端末200に配信する対象の配信情報がある場合、サーバ106は同じ配信情報を無線通信システム100内のすべてのCN500に送信する。そして、すべてのCN500が、同じ配信情報を含むデータフレーム600を送信する。このような重複があっても問題がないほどに、無線通信システム100では時分割方式により通信が効率よく行われることは、第3の利点に関して説明したとおりである。
【0298】
しかしながら、R端末200の代わりにED300を利用することで、上記のようなすべてのCN500からの重複送信を避けることができる。なぜなら、第3の利点に関して説明したように、ED300宛の配信情報は、サーバ106から1台のCN500にだけ送信されれば十分であり、重複送信の必要がないからである。そして、重複送信が減れば、無線通信システム100全体として通信は効率化される。その結果、無線通信システム100においては、より多くのユーザ端末により短い遅延時間で、それぞれのユーザ端末に応じた情報を配信することが可能となる。
【0299】
そして、無線通信システム100の用途にもよるが、心臓ペースメーカなどの医療機器を装着しているユーザは、全ユーザのうちの一部に過ぎない。よって、それらの一部のユーザ用にはR端末200を提供するとともに、残りの多くのユーザにはED300を提供することにより、上記第1の利点と無線通信システム100における通信の効率化とを両立させることができる。
【0300】
また、本実施形態の第7の利点は、ユーザ端末としてR端末200だけでなくED300も利用することで、ED300からサーバ106が情報を収集することも可能になる点である。つまり、図1〜9に示した本実施形態は、サーバ106がED300から情報を収集するように、変形することができる。
【0301】
サーバ106がED300から収集する情報(以下、便宜上「収集対象情報」ともいう)の種類は任意である。例えば、サーバ106は、各ED300で計測されたLQI(Link Quality Indicator)を収集してもよい。
【0302】
収集されたLQIに基づいて、例えば、システム管理者などにより「どのCN500からの電波も届きにくい場所はないか」などの検討が行われてもよい。その結果、CN500とDM端末400のペアの設置位置が調整されてもよい。
【0303】
もちろん、サーバ106は、LQI以外の任意の情報を、ED300からCN500を介して収集してもよい。例えば、ED300が不図示のセンサを有していてもよく、センサが検出したデータをサーバ106が収集してもよい。
【0304】
ED300からの情報の収集のため、本実施形態は、具体的には次のように変形されてもよい。すなわち、上記(3−2)の要求受付期間に、ED300がCN500への収集対象情報の送信を試みてもよい。なお、要求受付期間ではED300間の競合が生じ得る。よって、「収集対象情報が必ずCN500に受信されて、CN500からサーバ106に送信され、サーバ106に収集される」という保証はない。
【0305】
そこで、収集対象情報がより確実にサーバ106に収集されるようにするため、本実施形態は以下のように変形されてもよい。すなわち、ED300は、上記(3−2)の要求受付期間にCN500にGTS要求を送信してもよい。GTS要求を受信したCN500は、もしスロットを確保することができれば、次のビーコン周期に送信するビーコンフレーム700のGTS706に、確保したスロットに関する情報を含める。
【0306】
GTS要求を送信したED300は、受信したビーコンフレーム700のGTS706から、当該ED300にスロットが割り当てられたか否かを判断する。そして、もしスロットが割り当てられていれば、ED300は、割り当てられたスロット(すなわちGTS)において、CN500に収集対象情報を送信する。
【0307】
GTSはCFPに含まれるので、GTSで行われる収集対象情報の送信は、他のED300と競合しない。したがって、収集対象情報は確実にCN500に受信されてサーバ106に収集される。なお、以上のような変形例では、上記(3−2)〜(3−4)の期間に分割されたCAPの後に、1個以上のGTSを含むCFPが置かれる。
【0308】
ところで、以上のように様々な利点のある本実施形態やその変形例は、以下のように概括することもできる。
図1の無線通信システム100は、第1の送受信機としてのDM端末103aと、第1の送受信機との間で無線通信を行う第2の送受信機としてのCN102aと、互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機であるR端末104a〜104eとを含む。
【0309】
そして、図5のステップS108に例示するとおり、第1の送受信機としてのDM端末103aは、第2の送受信機としてのCN102aからの情報の配信を求める要求を、CN102aに無線で送信する。具体的には、DM端末103aは、複数台の受信機のうちの或る受信機(図5の例ではR端末104b)の識別情報(具体的にはID)を要求元として設定して、上記要求を送信する。また、要求元は、具体的にはMACコマンドフレーム900の送信元アドレス906により表される。
【0310】
第2の送受信機としてのCN102aは、第1の送受信機としてのDM端末103aから上記要求を受信すると、上記或る受信機(すなわちR端末104b)の識別情報と対応づけられた配信情報を、図5のステップS110に例示するように、無線で送信する。なお、この送信の際、CN102aは、R端末104bの識別情報を宛先(具体的には宛先アドレス604)として設定する。
【0311】
一方で、複数台の受信機であるR端末104a〜104eの各々(つまり各R端末200)は、次のように動作する。すなわち、各R端末200は、当該R端末200自体の識別情報が宛先として設定されて、第2の送受信機としてのCN102aから送信される配信情報を、受信する。
【0312】
また、以上の概括において、「或る受信機」がR端末104bの場合を例示したが、「或る受信機」は、具体的にはビーコンに識別情報が含まれる受信機のことである。
つまり、第2の送受信機としてのCN102aは、複数台の受信機のうち少なくとも1台の受信機の識別情報を含むビーコンを無線で送信する。すると、第1の送受信機としてのDM端末103aは、ビーコンに識別情報が含まれる受信機を、上記の「或る受信機」として認識する。
【0313】
例えば、図9のフローチャートによれば、ペンディングアドレス707のリスト中にIDが含まれるR端末が「或る受信機」として認識されて、当該R端末に関して、DM端末103aがデータ要求を送信する。このように、ビーコンは、第1の送受信機としてのDM端末103aに「どの受信機のふりをすればよいのか」ということを通知するための情報としても利用される。
【0314】
なお、各R端末200は、ビーコンの中に当該R端末200の識別情報が含まれる場合、当該受信機の識別情報が宛先として設定されて第2の送受信機としてのCN102aから配信情報が送信される時間帯を計算する。計算は、ビーコン内での当該受信機の識別情報の位置(具体的にはペンディングアドレス707のリスト中でのIDの位置)に基づいて、行われる。
【0315】
例えば、配信情報が送信される時間帯は、アクセス時刻ATから始まる長さαの時間帯である。よって、具体的には例えば図8のステップS406のように、リスト中でのIDの位置nに基づいて、アクセス時刻ATが計算される。
【0316】
そして、上記の計算を行ったR端末200は、当該R端末200自体を、計算された時間帯に無線電波の受信が可能な状態に制御する。例えば、図8のフローチャートによれば、アクセス時刻ATになるまでは、R端末200は、スリープするため無線電波の受信が可能な状態にはない。しかし、R端末200のプロセッサ203は、R端末200を、アクセス時刻ATには起床して無線電波の受信が可能な状態になるように、制御する。
【0317】
なお、図9のステップS504〜S513に例示するように、ビーコンが2台以上の受信機の識別情報を含むとき、第1の送受信機としてのDM端末103aは、当該2台以上の受信機のそれぞれについて、上記のように要求を送信する。また、要求の送信は、当該受信機の識別情報のビーコン内での位置に応じた時刻(具体的には、nの値に応じたアクセス時刻AT)に行われる。
【0318】
また、図1に示すように、無線通信システム100は、第1の送受信機と第2の送受信機のペアを複数含んでもよい。図1では、2つのCN・DMペア101aと101bが、無線通信システム100に含まれる。
【0319】
このように複数のペアが存在する場合、上記の「或る受信機」(例えばR端末104b)の識別情報を含むビーコンは、複数のペアの各々に含まれる第2の送受信機から(つまりCN102aと102bのそれぞれから)、送信される。そして、複数のペアの各々に含まれる第1の送受信機(つまりDM端末103aと103bのそれぞれ)は、ビーコンを受信すると、当該第1の送受信機とペアをなす第2の送受信機に、データ要求を送信する。なお、このような重複送信が障害にならないことは、上記第3の利点に関連して説明したとおりである。
【0320】
ところで、第1の送受信機としてのDM端末103aは、複数台の受信機のいずれかの識別情報が宛先として設定されて、第2の送受信機としてのCN102aから送信される配信情報を受信すると、受信した当該配信情報に対する受信確認を送信してもよい。受信確認は、具体的にはACKフレーム800であってもよい。なお、このような受信確認の送信は、図5のステップS111と図9のステップS510に例示されている。
【0321】
また、上記のとおり無線通信システム100は、第2の送受信機としてのCN500との間で無線通信を行う第3の送受信機としてのED300をさらに含んでいてもよい。第3の送受信機としてのED300は、第2の送受信機としてのCN500からの情報の配信を求める要求を、当該ED300の識別情報を要求元として設定して、CN500に送信する。第2の送受信機としてのCN500は、第3の送受信機としてのED300からの要求を受信すると、当該ED300の識別情報と対応づけられた配信情報を、当該ED300の識別情報を宛先として設定して、送信する。そして、第3の送受信機としてのED300は、当該ED300の識別情報が宛先として設定されてCN500から送信される配信情報を受信する。
【0322】
ここで、第3の送受信機としてのED300の識別情報を示すビットパターンと、複数台の受信機のうちの任意の1台(つまり任意のR端末200)の識別情報を示すビットパターンとでは、所定位置の少なくとも1ビットの値が異なることが好ましい。換言すれば、ED300のIDと、任意のR端末200のIDでは、とり得る値の範囲が異なることが好ましい。なぜなら、第1の送受信機としてのDM端末400が、識別情報自体から、当該識別情報がED300とR端末200のどちらを示すのかを判断することが可能となり、その結果、図9のステップS505の判断が簡単になるからである。
【0323】
また、各受信機(つまり各R端末200)は、当該受信機の識別情報と対応づけられた配信情報を受信すると、受信した配信情報に基づいて、例えばディスプレイ207またはスピーカ208のような表示手段による、聴覚的または視覚的な表示を行う。例えば、R端末200は、配信情報の内容に応じて、ビープ音を鳴らしたり、メッセージを音声的に読み上げたり、文字や画像を表示したりすることができる。ED300も、受信した配信情報の内容に応じて、同様の表示を行うことができる。
【0324】
なお、図2には、R端末200が有する表示手段の例として、ディスプレイ207とスピーカ208を例示し、ED300が有する表示手段の例として、ディスプレイ308とスピーカ309を例示した。しかし、R端末200とED300の各々は、表示手段の他の例として、例えば振動モータを有していてもよく、配信情報の内容に応じて振動モータによる振動を制御してもよい。振動モータによる振動は、触覚的な表示の例である。
【0325】
ところで、上記のような第1の送受信機としてのDM端末103aは、無線により他の送受信機(具体的にはCN102a)との間で情報を送受信する無線送受信手段の具体例として、例えば、アンテナ401と送受信回路402を有する。また、第1の送受信機としてのDM端末103aは、無線送受信手段を制御する制御手段の具体例として、例えば、プロセッサ403も有する。
【0326】
そして、互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機のうち少なくとも或る受信機(例えばR端末104b)の識別情報を含むビーコンを、上記の「他の送受信機」(つまりCN102a)から無線送受信手段が受信すると、制御手段は次のように動作する。すなわち、制御手段は、CN102aからの情報の配信を求める要求を、R端末104bの識別情報を要求元として設定してCN102aへと送信するよう、無線送受信手段を制御する。具体的には、例えば、制御手段としてのプロセッサ403は、MAC副層フレームを送受信回路402に出力することによって、無線送受信手段としての送受信回路402とアンテナ401の送信動作を制御してもよい。
【0327】
最後に、上記の実施形態および変形例に関して、さらに下記の付記を開示する。
(付記1)
第1の送受信機と、
前記第1の送受信機との間で無線通信を行う第2の送受信機と、
互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機と
を含み、
前記第1の送受信機は、前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を、前記複数台の受信機のうちの或る受信機の識別情報を要求元として設定して、前記第2の送受信機に無線で送信し、
前記第2の送受信機は、前記第1の送受信機から前記要求を受信すると、前記或る受信機の前記識別情報と対応づけられた配信情報を、前記或る受信機の前記識別情報を宛先として設定して、無線で送信し、
前記複数台の受信機の各々は、当該受信機の識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される配信情報を受信する
ことを特徴とする無線通信システム。
(付記2)
前記第2の送受信機は、前記複数台の受信機のうち少なくとも1台の受信機の識別情報を含むビーコンを無線で送信し、
前記或る受信機は、前記ビーコンに識別情報が含まれる受信機であり、
前記複数台の受信機の各々は、
前記ビーコンの中に当該受信機の前記識別情報が含まれる場合、前記ビーコン内での当該受信機の前記識別情報の位置に基づいて、当該受信機の前記識別情報が宛先として設定されて前記配信情報が前記第2の送受信機から送信される時間帯を計算し、
当該受信機を、前記時間帯に無線電波の受信が可能な状態に制御する
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
(付記3)
前記ビーコンが、前記複数台の受信機のうち2台以上の受信機の識別情報を含むとき、前記第1の送受信機は、前記2台以上の受信機のそれぞれについて、当該受信機の識別情報を要求元として設定して、前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を前記第2の送受信機に送信する
ことを特徴とする付記2に記載の無線通信システム。
(付記4)
前記第1の送受信機は、前記2台以上の受信機のそれぞれについて、当該受信機の前記識別情報の前記ビーコン内での位置に応じた時刻に、当該受信機の前記識別情報を要求元として設定した前記要求を送信する
ことを特徴とする付記3に記載の無線通信システム。
(付記5)
前記無線通信システムは、前記第1の送受信機と前記第2の送受信機のペアを複数含み、
複数の前記ペアの各々に含まれる前記第2の送受信機が、前記或る受信機の識別情報を含むビーコンを送信し、
複数の前記ペアの各々に含まれる前記第1の送受信機は、前記ビーコンを受信すると、当該第1の送受信機と前記ペアをなす前記第2の送受信機に前記要求を送信する
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
(付記6)
前記第1の送受信機は、前記複数台の受信機のいずれかの識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される配信情報を受信すると、受信した当該配信情報に対する受信確認を送信する
ことを特徴とする付記1から5に記載の無線通信システム。
(付記7)
前記第2の送受信機との間で無線通信を行う第3の送受信機をさらに備え、
前記第3の送受信機は、前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を、前記第3の送受信機の識別情報を要求元として設定して前記第2の送受信機に送信し、
前記第2の送受信機は、前記第3の送受信機からの前記要求を受信すると、前記第3の送受信機の前記識別情報と対応づけられた配信情報を、前記第3の送受信機の前記識別情報を宛先として設定して送信し、
前記第3の送受信機は、前記第3の送受信機の前記識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される前記配信情報を受信する
ことを特徴とする付記1から6のいずれか1項に記載の無線通信システム。
(付記8)
前記第3の送受信機の前記識別情報を示すビットパターンと、前記複数台の受信機のうちの任意の1台の前記識別情報を示すビットパターンとでは、所定位置の少なくとも1ビットの値が異なる
ことを特徴とする付記7に記載の無線通信システム。
(付記9)
前記複数台の受信機の各々は、
聴覚的または視覚的な表示を行う表示手段を備え、
当該受信機の前記識別情報と対応づけられた前記配信情報を受信すると、受信した前記配信情報に基づいて、前記表示手段による聴覚的または視覚的な表示を行う
ことを特徴とする付記1から8のいずれか1項に記載の無線通信システム。
(付記10)
第1の送受信機が、前記第1の送受信機との間で無線通信を行う前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を、互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機のうちの或る受信機の識別情報を要求元として設定して、前記第2の送受信機に無線で送信し、
前記第2の送受信機は、前記第1の送受信機から前記要求を受信すると、前記或る受信機の前記識別情報と対応づけられた配信情報を、前記或る受信機の前記識別情報を宛先として設定して、無線で送信し、
前記複数台の受信機の各々は、当該受信機の識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される配信情報を受信する
ことを特徴とする無線通信方法。
(付記11)
送受信機であって、
無線により他の送受信機との間で情報を送受信する無線送受信手段と、
互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機のうち少なくとも或る受信機の識別情報を含むビーコンを、前記他の送受信機から前記無線送受信手段が受信すると、前記他の送受信機からの情報の配信を求める要求を、前記或る受信機の前記識別情報を要求元として設定して前記他の送受信機へと送信するよう、前記無線送受信手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする送受信機。
【符号の説明】
【0328】
100 無線通信システム
101a、101b CN・DMペア
102a、102b、500 コーディネータ(CN)
103a、103b、400 ダミー端末(DM端末)
104a〜104e、200 受信専用端末(R端末)
105a〜105c、300 エンドデバイス(ED)
106 サーバ
201、301、401、501 アンテナ
202 受信回路
203、303、403、503 プロセッサ
204、304、404、504 タイマ
205、305、405、505 RAM
206、306、406、506 不揮発性記憶装置
207、308 ディスプレイ
208、309 スピーカ
209、310、407、508 バス
210、311 電池
302、402、502 送受信回路
307 RFIDリーダ
507 有線接続インタフェイス
600 データフレーム
601、701、801、901 フレームコントロール
602、702、802、902 シーケンス番号
603、903 宛先PANID
604、904 宛先アドレス
605、703、905 送信元PANID
606、704、906 送信元アドレス
607 データペイロード
608、709、803、909 FCS
700 ビーコンフレーム
705 スーパフレーム定義
706 GTS
707 ペンディングアドレス
708 ビーコンペイロード
800 ACKフレーム
900 MACコマンドフレーム
907 コマンドフレームID
908 コマンドペイロード
C1〜C3 通信

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送受信機と、
前記第1の送受信機との間で無線通信を行う第2の送受信機と、
互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機と
を含み、
前記第1の送受信機は、前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を、前記複数台の受信機のうちの或る受信機の識別情報を要求元として設定して、前記第2の送受信機に無線で送信し、
前記第2の送受信機は、前記第1の送受信機から前記要求を受信すると、前記或る受信機の前記識別情報と対応づけられた配信情報を、前記或る受信機の前記識別情報を宛先として設定して、無線で送信し、
前記複数台の受信機の各々は、当該受信機の識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される配信情報を受信する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第2の送受信機は、前記複数台の受信機のうち少なくとも1台の受信機の識別情報を含むビーコンを無線で送信し、
前記或る受信機は、前記ビーコンに識別情報が含まれる受信機であり、
前記複数台の受信機の各々は、
前記ビーコンの中に当該受信機の前記識別情報が含まれる場合、前記ビーコン内での当該受信機の前記識別情報の位置に基づいて、当該受信機の前記識別情報が宛先として設定されて前記配信情報が前記第2の送受信機から送信される時間帯を計算し、
当該受信機を、前記時間帯に無線電波の受信が可能な状態に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記無線通信システムは、前記第1の送受信機と前記第2の送受信機のペアを複数含み、
複数の前記ペアの各々に含まれる前記第2の送受信機が、前記或る受信機の識別情報を含むビーコンを送信し、
複数の前記ペアの各々に含まれる前記第1の送受信機は、前記ビーコンを受信すると、当該第1の送受信機と前記ペアをなす前記第2の送受信機に前記要求を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2の送受信機との間で無線通信を行う第3の送受信機をさらに備え、
前記第3の送受信機は、前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を、前記第3の送受信機の識別情報を要求元として設定して前記第2の送受信機に送信し、
前記第2の送受信機は、前記第3の送受信機からの前記要求を受信すると、前記第3の送受信機の前記識別情報と対応づけられた配信情報を、前記第3の送受信機の前記識別情報を宛先として設定して送信し、
前記第3の送受信機は、前記第3の送受信機の前記識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される前記配信情報を受信する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
第1の送受信機が、前記第1の送受信機との間で無線通信を行う前記第2の送受信機からの情報の配信を求める要求を、互いに異なる識別情報で識別される複数台の受信機のうちの或る受信機の識別情報を要求元として設定して、前記第2の送受信機に無線で送信し、
前記第2の送受信機は、前記第1の送受信機から前記要求を受信すると、前記或る受信機の前記識別情報と対応づけられた配信情報を、前記或る受信機の前記識別情報を宛先として設定して、無線で送信し、
前記複数台の受信機の各々は、当該受信機の識別情報が宛先として設定されて前記第2の送受信機から送信される配信情報を受信する
ことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−93734(P2013−93734A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234418(P2011−234418)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】