説明

無線通信システムにおけるハンドオーバ制御方法および装置

【課題】ハンドオーバ失敗後の再接続が拒否されても通信の品質劣化を低減することができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御方法および装置を提供する。
【解決手段】無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムにおいて、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させる(S404-S406, S407-S409, S410-S412)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システムに係り、特にセル間ハンドオーバの制御方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー方式に基づく移動通信網では、広域エリアに多数の基地局を配置し、各基地局が1〜10程度のセルと呼ばれる小ゾーンをカバー範囲として移動通信サービスを提供する。無線端末の移動時には、接続先のセルを順次切り替えるハンドオーバを行なうことにより通信の継続が可能となる。
【0003】
例えば、LTE(Long Term Evolution)/E-UTRAN (Evolved UTRAN)に関する3GPP(3rd Generation Partnership Program)技術仕様である非特許文献1の5.5.4.4.項には、ハンドオーバ判定に利用可能な測定報告イベントの発生条件として、Event A3 (Neighbor becomes offset better than serving)が規定されている。この報告イベントの開始条件と終了条件は、以下の式(1)、式(2)によって定義される。
【0004】
(Entering Condition)
Mn+Ofn+Ocn−Hys > Ms + Ofs + Ocs + Off ・・・ (1)
(Leaving Condition)
Mn+Ofn+Ocn+Hys < Ms + Ofs + Ocs + Off ・・・ (2)
式(1)において、Mnはハンドオーバ先となる隣接セルの無線品質の測定結果、Msは接続中のサービングセルの無線品質の測定結果である。LTEの場合、MnおよびMsの無線品質は、下りリファレンス信号の受信電力(Reference Signal Received Power, RSRP)またはRSRQ(Reference Signal Received Quality)であり、RSRQは総受信電力(RSSI)に対するRSRPの比率として定義される。また、式(1)中のOfnおよびOfsはそれぞれ隣接セルとサービングセルの動作周波数に対して付加するオフセット値である。また、OcnおよびOcsはそれぞれ隣接セルとサービングセルに対して付加するセル固有のオフセット値(Cell Individual Offset: CIO)である。基地局は自身が管理するセルの隣接リストに登録された隣接セルごとに、異なるCIOの値を設定することができる。なお、Hysは報告イベントの開始条件と終了条件との間で設定されるヒステリシスパラメータであり、Offはハンドオーバマージンを与えるオフセット値である。式(1)の条件を満たしたあと、所定の待ち時間(Time to Trigger: TTT)が経過するまで式(2)の条件を満たすことがなければ、無線端末から基地局に測定報告が送信される。
【0005】
無線端末や無線基地局による無線品質の測定値に基づき、自律的に基地局等のパラメータを変更するシステムはSelf Organizing Network (SON)と呼ばれており、3GPP等の標準化団体において規格化がすすめられている。従来、SONの1つのユースケースとして、上述したセル固有のオフセット値(CIO)や所定の待ち時間(TTT)等のハンドオーバパラメータを動的に調節する技術が知られている。
【0006】
たとえば特許文献1によれば、移動端末の測定報告に基づき、ハンドオーバパラメータ(Off、CIO、TTT等)を動的に調節することによって、遅すぎるハンドオーバ開始によるハンドオーバ失敗(Too Late Handover)、早すぎるハンドオーバの開始によるハンドオーバ失敗(Too Early Handover)を低減する方法が開示されている。例えば、隣接セルへのハンドオーバのタイミングが遅すぎて失敗するToo Late Handoverが発生した場合にはハンドオーバ待ち時間(TTT)およびオフセット値(Off)を低減してハンドオーバの成功率を改善する。逆にハンドオーバのタイミングが早すぎて失敗するToo Early Handoverが発生した場合には、ハンドオーバ待ち時間(TTT)およびオフセット値(Off)を増加することにより、ハンドオーバのタイミングを遅らせてハンドオーバの成功率を改善する。
【0007】
また、LTE仕様では、ハンドオーバ失敗等に伴うRadio Link Failure(無線リンク障害)の発生時、無線端末(UE: User Equipment)は基地局に対して再接続(RRC(Radio Resource Control) Re-establishment)を行なう。ここで、非特許文献1のSec. 5.3.1.3. に記載されているように、ハンドオーバ元の基地局は、ハンドオーバ先の他の基地局からUE Context Releaseの通知を受けるまで、UEの再接続に備えて一定期間UE Context(UEコンテキスト) (EPS bearer attributeおよびRRC context)を保持する。UE Contextが保持された基地局に対してUEが再接続を行なうと再接続は成功する。一方、UE Contextが保持されていない基地局に対してUEが再接続を行なうと再接続は拒否される。再接続が拒否される場合としては、主に以下の3つの場合が挙げられる。
【0008】
1)第1の基地局においてUEからのハンドオーバ要求(Event A3測定報告)を受信する前に無線リンクが切断され、UEが第2の基地局のセルに対して再接続を行なった場合。このとき、UE Contextは第1の基地局にしか存在しないので再接続は拒否される。このような、ハンドオーバ要求前の無線リンク切断も一種のハンドオーバ失敗とみなすことができる。
【0009】
2)第1の基地局から第2の基地局への最初のハンドオーバが成功し、第1の基地局が第2の基地局からUE Context Releaseを受信した後で無線リンクが切断され、UEが第1の基地局のセルに対して再接続をおこなった場合。第1の基地局はUE Context Releaseを受信した時点でUE Contextを削除しているため、再接続は拒否される。
【0010】
3)第1の基地局から第2の基地局への最初のハンドオーバが成功し、第2の基地局から第1の基地局がUE Context Releaseを受信した後で無線リンクが切断され、UEが第3の基地局のセルに対して再接続を行なった場合。UE Contextは第2の基地局にしか存在せず第3の基地局にはUE Contextが転送されていないため、 再接続は拒否される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第WO2010/002926号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】3GPP TS 36.331, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) Radio Resource Control (RRC); Protocol specification (Release 8)”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可される場合は、認証や権限付与の手順をスキップすることができるため、瞬断の時間が短く済みユーザは品質の劣化を体感しにくい。一方、ハンドオーバ失敗後に再接続が拒否される場合には、セル再選択からやり直しとなるため、瞬断の時間が長くなり、ユーザが体感する品質劣化につながり易い。
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載されたハンドオーバ最適化では、無線端末の再接続の許可または拒否を識別せずにハンドオーバパラメータを調整するため、瞬断が長い状態が残り易いという問題があった。
【0015】
そこで、本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ハンドオーバ失敗後の再接続が拒否されても通信の品質劣化を低減することができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるハンドオーバ制御方法は、無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御方法であって、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させることを特徴とする。
【0017】
本発明によるハンドオーバ制御装置は、無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御装置であって、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続先である基地局から通知されたハンドオーバ結果情報を収集するハンドオーバ統計情報格納手段と、前記収集されたハンドオーバ統計情報に基づいて、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させる制御手段と、
を有することを特徴とする。
【0018】
本発明による無線通信システムは、無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムであって、複数の基地局と前記複数の基地局を管理するネットワーク管理装置とを有し、前記基地局あるいは前記ネットワーク管理装置のいずれかが、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させるハンドオーバ制御装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハンドオーバ失敗後の再接続が拒否されても通信の品質劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態が適用される無線通信システムの一例を示すネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態による無線基地局の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態によるネットワーク管理システムの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施例による無線基地局が保持するハンドオーバ統計データベースの内部情報の一例を示す模式的データ構成図である。
【図5】本発明の第1実施例による無線基地局が保持するハンドオーバパラメータデータベースの内部情報の一例を示す模式的データ構成図である。
【図6】本発明の第1実施例による無線基地局のハンドオーバ失敗通知部が実行するハンドオーバ失敗通知処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1実施例による無線基地局のハンドオーバ統計分析部が実行するハンドオーバ統計分析処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施例による無線基地局が保持するハンドオーバ統計データベースの内部情報の一例を示す模式的データ構成図である。
【図9】本発明の第2実施例による無線基地局のハンドオーバ統計分析部が実行するハンドオーバ統計分析処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3実施例による無線基地局のハンドオーバ統計分析部が実行するハンドオーバ統計分析処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.一実施形態
本発明の一実施形態によれば、セル間のハンドオーバ失敗の事象を、たとえば基地局においてUE Contextが保持されていないために再接続が必ず拒否される場合とUE Contextが保持されており再接続が許可される場合とで分離して集計する。その結果を用いて、本発明によるハンドオーバ制御は、再接続が拒否されるハンドオーバ失敗に対するハンドオーバ閾値の調整を、再接続が許可されるハンドオーバ失敗に対するハンドオーバ閾値の調整よりも優先的に実行する。これによりハンドオーバ失敗後の再接続の可否に応じてハンドオーバパラメータの最適化が実施され、ユーザが体感する品質劣化を低減することができる。以下、本発明の実施形態および実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
1.1)システム
図1において、本発明の一実施形態による無線通信システムでは、有線網10内に位置するネットワーク管理システム20が基地局50−54と基地局60−64とを管理する。ここでは、基地局50−54の各々が3つのセルを管理するものとする。すなわち、基地局50は無線セルA1−A3で表されるエリアを、基地局51は無線セルA4−A6で表されるエリアを、基地局52は無線セルA7−A9で表されるエリアを、基地局53は無線セルA10−A12で表されるエリアを、基地局54は無線セルA13−A15で表されるエリアを、それぞれカバー範囲とする。また、基地局60−64は無指向性のアンテナを備えたオムニセルの基地局であり、それぞれ配下に1つのみのセルを収容するものとする。基地局60−64はそれぞれ無線セルB1−B5で表されるエリアをカバー範囲とする。
【0023】
ここでは、無線端末(UE)70、71および72がそれぞれ無線セルA3、A14およびA8の内部に位置し、それぞれ無線リンクを介して基地局50、54および51と無線信号の送受信を行なうものとする。
【0024】
ネットワーク管理システム20は、基地局50−54と基地局60−64を管理しハンドオーバパラメータを含む無線パラメータの初期値の設定と更新指示を行なう。また、基地局50−54と基地局60−64は、周期的にハンドオーバ特性を含むトラフィック品質を管理情報としてネットワーク管理システム20に転送する。
【0025】
1.2)基地局
基地局50−54および60−64の各々の内部構成は基本的には同様であるから、以下、基地局50を例示して基地局の内部構成を説明する。
【0026】
図2において、基地局50の送受信部101は、無線リンクを介して在圏する無線端末70と無線信号の送受信を行ない、また、有線リンクを介して基地局51等の他の基地局およびネットワーク管理システム20との間で信号の転送を行なう。呼制御部102は無線端末に対する発呼や着呼の制御、ハンドオーバ制御、無線リソースの割り当て等を実行する。無線端末ごとの通信コンテキストはUEコンテキスト(UE Context)データベース(DB)105に保存される。ハンドオーバパラメータデータベース(DB)106は、当該基地局が管理するセルごとにハンドオーバ制御のために用いる各種パラメータを保持する。ハンドオーバ統計データベース(DB)107は、単位時間あたりのハンドオーバ試行数、失敗数、失敗原因ごとの検出数を時系列情報として記録する。ハンドオーバ統計分析部103はハンドオーバ統計データベース107に格納された時系列情報を分析し、ハンドオーバ失敗率の高い隣接セルに対してハンドオーバパラメータの調整を行なう。なお、基地局50には図示されていない制御部があり、上記各処理を含む基地局全体の動作を制御している。
【0027】
1.3)ネットワーク管理システム
図3において、ネットワーク管理システム20の送受信部200は、管理対象とする配下の基地局との間でデータの送受信を行なう。ハンドオーバ統計収集部201は、配下の基地局からハンドオーバ統計等のトラフィック品質情報を定期的に収集し、ハンドオーバ統計データベース203に格納する。また、ハンドオーバ統計分析部202は、ハンドオーバ統計データベース203に保持されたハンドーバ統計の時系列情報を参照して分析する。そして、ハンドオーバ失敗率が高い場合には、当該隣接セルに対するハンドオーバパラメータを変更し、その変更を基地局に指示するとともに、ハンドオーバパラメータデータベース204に保存する。
【0028】
ここで、ネットワーク管理システム20におけるハンドオーバ統計データベース203に保存される情報は、対応する基地局におけるハンドオーバ統計データベース107の情報と同じである。また、ハンドオーバ統計分析部の機能は、それぞれの基地局に分散的に配置しても、ネットワーク管理システム20に集中的に配置してもよい。以下、説明の簡易化のため、ハンドオーバ統計の分析とパラメータの変更はすべて基地局が行なうものとし、ネットワーク管理システム20は単に長期的なデータを保持する機能のみを持つものとする。ただし、この機能配置を逆にしても差し支えない。
【0029】
2.第1実施例
以下、本発明の第1実施例によるハンドオーバ制御方法について図4〜図7を参照しながら説明する。
【0030】
2.1)ハンドオーバ統計情報
図4に示すように、本実施例において、ハンドオーバ統計データベース107は、ハンドオーバ元であるソースセル識別子301、ハンドオーバ先であるターゲットセル識別子303の組み合わせごとに時系列でハンドオーバ特性の統計情報が保存される。
【0031】
保存対象とする情報は、単位時間あたりのハンドオーバ試行数(n)310、ハンドオーバ失敗数(f)320、再接続が許可されたToo Late Handover数(u)330、再接続が拒否されたToo Late Handover数(v)340、再接続が許可されたToo Early Handover数(w)350、再接続が拒否されたToo Early Handover数(x)360、再接続が許可されたHO to a Wrong Cell数(y)370、および再接続が拒否されたHO to a Wrong Cell数(z)380である。この他、無線端末の再接続の要求から再接続の許可/拒否を経て無線端末が接続を完了するまでの時間が計測できる場合や、再接続前に無線端末が利用していたサービス種別を取得できる場合には、それらを併せて保存するようにしておいてもよい。瞬断の時間や瞬断が生じたサービス種別が取得できれば、実際にユーザが体感する通信品質の劣化に直接影響をおよぼす事象を低減するよう処理を改善できる。
【0032】
2.2)ハンドオーバパラメータ
図5に示すように、基地局におけるハンドオーバパラメータデータベース106に格納されるハンドオーバパラメータには、ソースセル識別子401ごとに設定されるTime to Trigger(TTT)値404およびA3 Offset値405と、ソースセル識別子401とターゲットセル識別子403との組み合わせごとに設定されるセル個別オフセット(Cell Individual Offset: CIO)値406とがある。図5に示す例では、ソースセルA1に対してはTTT=480ms、A3 Offset=1.5dB、ソースセルA2に対してはTTT=320ms、A3 Offset=1.5dBが設定されている。また、ソースセルとターゲットセルとの組み合わせに応じて、CIOの値として0dB、+1dB、-1dB、+5dBの値が設定されている。
【0033】
2.3)ハンドオーバ失敗通知処理
図6を参照しながら、本実施例による基地局におけるハンドオーバ失敗通知部104が実行するハンドオーバ失敗通知処理について説明する。
【0034】
ハンドオーバ失敗通知処理が開始されると(ステップS300)、無線端末UEからのハンドオーバ失敗後の再接続要求の受信あるいは他の基地局からのハンドオーバ失敗通知の受信を待つ。
【0035】
無線端末からハンドオーバ失敗後の再接続要求を受信した場合(ステップS301)、まず対応するUE Contextが自基地局内に存在するか否かを調べる(ステップS302)。LTE仕様に基づくシステムの場合、対応するUE Contextは、再接続要求に含まれるC-RNTIから調べることができる。UE Contextが存在した場合には(ステップS302;Yes)、無線端末へ再接続許可を送信する(ステップS303)。さらに再接続の契機となったハンドオーバの失敗前に、無線端末が別基地局と接続していた場合には(ステップS304;Yes)、ハンドオーバ元の基地局にハンドオーバ失敗(再接続許可)を通知し(ステップS305)、処理を終了する(ステップS307)。ハンドオーバ失敗前に無線端末が同一基地局内のセルと接続していた場合には(ステップS304;No)、処理を終了する(ステップS306)。
【0036】
一方、対応するUE Contextが自基地局内に存在しなかった場合(ステップS302;No)、無線端末へ再接続拒否を送信する(ステップS308)。次に、無線端末がハンドオーバ失敗前に別基地局と接続していた場合(ステップS309;Yes)、ハンドオーバ元の基地局にハンドオーバ失敗(再接続拒否)を通知し(ステップS310)、処理を終了する(ステップS312)。ステップS109においてハンドオーバ失敗前に接続していたセルが同一基地局内の場合には(ステップS309;No)、処理を終了する(ステップS311)。
【0037】
さらに、他の基地局からハンドオーバ失敗の通知を受信した場合には(ステップS313)、ハンドオーバ失敗原因(Too Late Handover, Too Early Handover、あるいはHO to a Wrong Cell)を分類し(ステップS314)、ハンドオーバ先のセルにおける再接続の許可または拒否の情報を取得し(ステップS315)、ハンドオーバ統計データベース107を更新して(ステップS316)、処理を終了する(ステップS317)。
【0038】
2.4)ハンドオーバ統計分析処理とパラメータ変更
図7を参照しながら、本実施例による基地局におけるハンドオーバ統計分析部103が実行するハンドオーバ統計分析処理について説明する。
【0039】
図7において、まず、ハンドオーバ統計分析処理を開始すると(ステップS400)、ハンドオーバ統計データベース107からソースセルとターゲットセルごとに保持された時系列の統計情報を取得する(ステップS401;Yes)。すべての統計情報を取得完了して統計情報がなければ(ステップS401;No)、処理を終了する(ステップS402)。
【0040】
次に、隣接セルに対するハンドオーバ失敗率(f[t]/n[t])が閾値Th0以上(f[t]/n[t] >= Th0)であるか否かを確認する (ステップS403)。閾値Th0未満であれば(ステップS403;No)、当該ターゲットセルに対するハンドオーバ品質に問題はないのでステップS401に戻る。ハンドオーバ失敗率が閾値Th0以上の場合(ステップS403;Yes)、Too Late Handover (再接続許可)の比率(u[t]/f[t])が閾値Th1より大きい(u[t]/f[t] > Th1)か否かをチェックする(ステップS404)。u[t]/f[t]が閾値Th1以下であれば(ステップS404;No)、続いてToo Late Handover (再接続拒否)の比率(v[t]/f[t])が閾値Th2より大きい(v[t]/f[t] > Th2)か否かを調べる (ステップS405)。いずれかの閾値を超過した場合には(ステップS404;YesまたはステップS405;Yes)、Too Late Handoverが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する(ステップS406)。Too Late Handoverを低減するには、例えば、TTTを低減するか、あるいはCIOを増加するというハンドオーバパラメータの調整を行なう。
【0041】
また、Too Late Handoverの比率がいずれの閾値も超過しなかった場合には(ステップS404;NoおよびステップS405;No)、続いてToo Early Handover (再接続許可)の比率(w[t]/f[t])が閾値Th3を超過する(w[t]/f[t] > Th3)か否かを調べ(ステップS407)、閾値Th3以下であれば(ステップS405;No)、続いてToo Early Handover (再接続拒否)の比率(x[t]/f[t])が閾値Th4を超過する(x[t]/f[t] > Th4)か否かを調べる(ステップS408)。いずれかの閾値を超過した場合には(ステップS407;YesまたはステップS408;Yes)、Too Early Handoverが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する(ステップS409)。Too Early Handoverを低減するには、例えば、TTTを増加するか、CIOを低減するというハンドオーバパラメータの調整をおこなう。
【0042】
さらに、Too Late Handover、Too Early Handoverのいずれの比率も閾値を超過しなかった場合には(ステップS404−S408のすべてでNo)、HO to a Wrong Cell (再接続許可)の比率(y[t]/f[t])が閾値Th5を超過する(y[t]/f[t]> Th5)か否かを調べる(ステップS410)。閾値Th5を超過していなければ(ステップS410;No)、続いてHO to a Wrong Cell (再接続拒否)の比率(z[t]/f[t])が閾値Th6を超過する(z[t]/f[t] > Th6)か否かを調べる(ステップS411)。いずれかの閾値を超過した場合には(ステップS410;YesまたはステップS411;Yes)、HO to a Wrong Cellが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する (ステップS412)。
【0043】
ここで、Th1 > Th2、Th3 > Th4、Th5 > Th6と設定しておくことにより、同じハンドオーバ失敗理由であっても、再接続が許可される場合に比べて再接続が拒否される場合に優先的にハンドオーバ調整がおこなわれることになる。その結果、再接続が拒否されるハンドオーバ失敗が低減できるため、瞬断がおこりにくくなり、ユーザが体感する品質を改善することができる。
【0044】
また、ステップS406、S409、S412において、単位時間あたりの再接続またはハンドオーバ失敗数の回数が多いほど、正の相関をなすようにハンドオーバパラメータの変更量を決定することにより、ハンドオーバの失敗に伴う通信品質の劣化を早く回復することができる。
【0045】
3.第2実施例
本発明の第2実施例によるハンドオーバ制御方法について図8および図9を参照しながら説明する。
【0046】
3.1)ハンドオーバ統計情報
図8に示すように、ハンドオーバ統計データベース107において、単位時間あたりのハンドーバ試行数310、ハンドオーバ失敗数320が、ハンドオーバ元のソースセルとハンドオーバ先のターゲットセルごとに記録される点は、図4に示した第1実施例におけるハンドオーバ統計データベース107と同様である。
【0047】
本発明の第2実施例では、単位時間あたりのToo Late Handover数(p)530、Too Early Handover数(q)550およびHO to a Wrong Cell数(r)570が、無線端末の再接続の許可および拒否によらず記録される。同一基地局に属するセル間の再接続は許可され、異なる基地局に属するセル間の再接続は拒否されるとみなすことにより、このような集計をおこなったとしても再接続が許可された事象と拒否される事象とを分けてカウントすることができる。
【0048】
3.2)ハンドオーバ統計分析とパラメータ変更
図9を参照しながら、本実施例による基地局におけるハンドオーバ統計分析部103が実行するハンドオーバ統計分析処理について説明する。
【0049】
図9において、まず、ハンドオーバ統計分析処理を開始すると(ステップS500)、ハンドオーバ統計データベース107からソースセルとターゲットセル毎に保持された時系列の統計情報を取得する(ステップS501;Yes)。すべての統計情報を取得完了して統計情報がなければ(ステップS501;No)、処理を終了する(ステップS502)。
【0050】
次に、隣接セルに対するハンドオーバ失敗率(f[t]/n[t])が閾値Th0以上(f[t]/n[t] >= Th0)であるか否かを確認する (ステップS503)。閾値Th0未満であれば(ステップS503;No)、当該ターゲットセルに対するハンドオーバ品質に問題はないのでステップS501に戻る。ハンドオーバ失敗率が閾値Th0以上の場合(ステップS503;Yes)、
ハンドオーバ元のソースセルとハンドオーバ先の隣接セルが同一基地局に属するかを調べ(ステップS504)、同一であれば再接続が許可されるとみなし、異なる場合には再接続が拒否されるとみなす。
【0051】
同一基地局で再接続が許可される場合には(ステップS504;Yes)、Too Late Handoverの比率(p[t]/f[t])が閾値Th1以上である(p[t]/f[t] > Th1)か否かを調べる(ステップS506)。異なる基地局で再接続が拒否される場合には(ステップS504;No)、Too Late Handoverの比率(p[t]/f[t])が閾値Th2以上である(p[t]/f[t] > Th2)か否かを調べる(ステップS505)。いずれかの閾値を超過した場合には(ステップS505;YesまたはステップS506;Yes)、Too Late Handoverが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する(ステップS507)。例えば、TTTを低減するか、CIOを増加するというハンドオーバパラメータの調整を行なう。
【0052】
また、同一基地局で再接続が許可される場合であって(ステップS504;Yes)、Too Late Handoverの比率が閾値Th1を超過しなかった場合には(ステップS506;No)、続いてToo Early Handoverの比率(q[t]/f[t])が閾値Th3を超過する(q[t]/f[t]> Th3)か否かを調べる(ステップS509)。異なる基地局で再接続が拒否される場合であって(ステップS504;No)、Too Late Handoverの比率が閾値Th2を超過しなかった場合には(ステップS505;No)、続いてToo Early Handoverの比率(q[t]/f[t])が閾値Th4を超過する(q[t]/f[t]> Th4)か否かを調べる(ステップS508)。いずれかの閾値を超過した場合には(ステップS508;YesまたはステップS509;Yes)、Too Early Handoverが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する (ステップS510)。例えば、TTTを増加するか、CIOを低減するというハンドオーバパラメータの調整を行なう。
【0053】
さらに、Too Late Handover、Too Early Handoverのいずれの比率も閾値を超過しなかった場合(ステップS505およびS508とステップS506およびS509のすべてでNo)、同一基地局内で再接続が許可される場合には(ステップS509;No)、HO to a Wrong Cellの比率(r[t]/f[t])が閾値Th5を超過する(r[t]/f[t] > Th5)か否かを調べる(ステップS512)。異なる基地局で再接続が拒否される場合には(ステップS508;No)、HO to a Wrong Cellの比率(r[t]/f[t])が閾値Th6を超過する(r[t]/f[t] > Th6)か否かを調べる(ステップS511)。いずれかの閾値を超過した場合には(ステップS512;YesおよびステップS511;Yes)、HO to a Wrong Cellが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する (ステップS513)。
【0054】
ここで、Th1 > Th2、Th3 > Th4、Th5 > Th6と設定しておくことにより、同じハンドオーバ失敗理由であっても、再接続が許可される場合に比べて再接続が拒否される場合に優先的にハンドオーバ調整を行なわせることができる。その結果、第1実施例と同様に、再接続が拒否されるハンドオーバ失敗が低減できるため、瞬断がおこりにくくなり、ユーザが体感する品質を改善することができる。さらに、第2実施例では、ハンドオーバ失敗通知時に再接続の許可と拒否を明示的に通知する必要がなく、ハンドオーバ統計データベース107において、それぞれの事象を分けてカウントしなくて済むため、処理に要する負荷を軽減できる。
【0055】
4.第3実施例
本発明の第3実施例によるハンドオーバ制御方法について図10を参照しながら説明する。本発明の第3実施例による基地局におけるハンドオーバ統計分析部103はハンドオーバ統計分析処理を実行する。ハンドオーバ統計データベース107の構成については、図4に示した第1実施例と同様とする。
【0056】
図10において、まず、ハンドオーバ統計分析処理を開始すると(ステップS600)、ハンドオーバ統計データベース107からソースセルとターゲットセルごとに保持された時系列の統計情報を取得する(ステップS601)。すべての統計情報を取得完了した場合には処理を終了する(ステップS602)。統計情報が取得されると(ステップS603;Yes)、続いて隣接セルに対するハンドオーバ失敗率(f[t]/n[t])が閾値Th0以上である(f[t]/n[t] >= Th0)か否かを確認する (ステップS603)。ここで閾値Th0未満であれば(ステップS603;No)、ステップS601に戻る。ハンドオーバ失敗率が閾値Th0以上であれば(ステップS603;Yes)、再接続が失敗するか否かに応じて重み付けしたハンドオーバ失敗数を計算する。
【0057】
ここで、再接続が失敗する場合に付加する重み付けパラメータをα、β、γ >= 1とし、重み付けしたハンドオーバ失敗原因ごとのハンドオーバ失敗事象の総和C[t]を
C[t] = u[t]+α*v[t]+w[t]+β*x[t]+y[t]+γ*z[t]
とする。また、重み付けしたToo Late Handoverの比率f_Too_Late[t]、重み付けしたToo Early Handoverの比率f_Too_Early[t]、重み付けしたHO to a Wrong Cellの比率f_HO_Wrong[t]をそれぞれ
f_Too_Late[t] = (u[t]+α*v[t])/C[t]
f_Too_Early[t] = (w[t]+β*x[t])/C[t]
f_HO_Wrong[t] = (y[t]+γ*z[t])/C[t]
により求める(ステップS604)。
【0058】
ここで、重み付けしたToo Late Handoverの比率が他のハンドオーバ失敗原因よりも多く、(f_Too_Late[t] > f_Too_Early[t] + margin) かつ(f_Too_Late[t] > f_HO_Wrong[t] + margin)が満たされる場合 (ステップS605;Yes)、Too Late Handoverが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する(ステップS606)。また、重み付けしたToo Early Handoverの比率が他のハンドオーバ失敗原因よりも多く、(f_Too_Early > f_Too_Late + margin) かつ(f_Too_Early > f_HO_Wrong + margin)を満たす場合には (ステップS607;Yes)、Too Early Handoverが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更 (ステップS608)。さらに重み付けしたHO to a Wrong Cellの比率が他のハンドオーバ失敗原因よりも多く、(f_HO Wrong > f_Too_Late + margin) かつ(f_HO_Wrong > f_Too_Early + margin)を満たす場合には (ステップS609;Yes)、HO to a Wrong Cellが減少する方向にハンドオーバパラメータを変更する (ステップS610)。
【0059】
このように再接続の許可・拒否に応じて重み付けしたハンドオーバ失敗事象をあわせて判定することにより、再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を優先的に軽減するだけでなく、総合的にハンドオーバ失敗の頻度を低減することが可能になる。
【0060】
5.効果
以上述べたように、本発明による無線通信システムによれば、再接続が拒否されるハンドオーバ失敗に対するハンドオーバ閾値の調整を優先的に行なうことにより、再接続が拒否されるハンドオーバ失敗の頻度を低くすることができる。それに従い、通信が瞬断される時間が短くなるため、ユーザが体感する通信品質を向上することができる。
【0061】
6.付記
上述した実施形態の一部あるいは全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
(付記1)
無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御方法であって、
ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させることを特徴とするハンドオーバ制御方法。
【0063】
(付記2)
ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続先である基地局から通知されたハンドオーバ結果情報を統計的に収集し、収集した統計情報と比較するためのハンドオーバ失敗に対するハンドオーバ閾値が、前記無線端末の再接続が拒否された場合と許可された場合とで異なって設定される、ことを特徴とする付記1に記載のハンドオーバ制御方法。
【0064】
(付記3)
ハンドオーバ失敗後に接続した基地局からハンドオーバ前に接続されていた基地局に対し、再接続の許可あるいは拒否および無線回線の問題による再接続の失敗を含む情報を通知することを特徴とする付記2に記載のハンドオーバ制御方法。
【0065】
(付記4)
ハンドオーバ失敗後、同一の基地局に属するセルに再接続を実行する場合よりも、異なる基地局に属するセルに対して無線端末が再接続を実行する場合の方が優先されることを特徴とする付記2または3に記載のハンドオーバ制御方法。
【0066】
(付記5)
ハンドオーバの失敗後における無線端末の再接続の許可または拒否に応じて単位時間あたりのハンドオーバ特性の統計を保持し、
再接続が拒否された場合のハンドオーバ特性の値を再接続が許可された場合のハンドオーバ特性の値に対して重み付けして支配的なハンドオーバ失敗原因を同定し、
前記同定された支配的なハンドオーバ失敗原因に応じてハンドオーバ閾値を変更する、
ことを特徴とする付記2−4のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御方法。
【0067】
(付記6)
単位時間あたりのハンドオーバの失敗数または無線端末の再接続の試行数に対して正の相関をなすようにハンドオーバ閾値の変更量を決定することを特徴とする付記2−5のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御方法。
【0068】
(付記7)
無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御装置であって、
ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続先である基地局から通知されたハンドオーバ結果情報を収集するハンドオーバ統計情報格納手段と、
前記収集されたハンドオーバ統計情報に基づいて、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させる制御手段と、
を有することを特徴とするハンドオーバ制御装置。
【0069】
(付記8)
前記制御手段が、収集した統計情報と比較するためのハンドオーバ失敗に対するハンドオーバ閾値を、前記無線端末の再接続が拒否された場合と許可された場合とで異なって設定することを特徴とする付記7に記載のハンドオーバ制御装置。
【0070】
(付記9)
ハンドオーバ失敗後に接続した基地局からハンドオーバ前に接続されていた基地局に対し、再接続の許可あるいは拒否および無線回線の問題による再接続の失敗を含む情報を通知することを特徴とする付記8に記載のハンドオーバ制御装置。
【0071】
(付記10)
ハンドオーバ失敗後、同一の基地局に属するセルに再接続を実行する場合よりも、異なる基地局に属するセルに対して無線端末が再接続を実行する場合の方が優先されることを特徴とする付記8または9に記載のハンドオーバ制御装置。
【0072】
(付記11)
ハンドオーバ統計情報格納手段がハンドオーバの失敗後における無線端末の再接続の許可または拒否に応じて単位時間あたりのハンドオーバ特性の統計を保持し、
前記制御手段が、再接続が拒否された場合のハンドオーバ特性の値を再接続が許可された場合のハンドオーバ特性の値に対して重み付けして支配的なハンドオーバ失敗原因を同定し、前記同定された支配的なハンドオーバ失敗原因に応じてハンドオーバ閾値を変更する、
ことを特徴とする付記8−10のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御装置。
【0073】
(付記12)
単位時間あたりのハンドオーバの失敗数または無線端末の再接続の試行数に対して正の相関をなすようにハンドオーバ閾値の変更量を決定することを特徴とする付記8−11のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御装置。
【0074】
(付記13)
付記7−12のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御装置を有する、前記無線通信システムにおける基地局。
【0075】
(付記14)
付記7−12のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御装置を有する、前記無線通信システムにおける基地局を管理するネットワーク管理システム。
【0076】
(付記15)
無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムであって、
複数の基地局と、
前記複数の基地局を管理するネットワーク管理装置と、
を有し、前記基地局あるいは前記ネットワーク管理装置のいずれかが、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させるハンドオーバ制御装置を有することを特徴とする無線通信システム。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、移動通信におけるカバレッジのハンドオーバパラメータの自律最適化を行なうSelf Organizing Networkに対応した基地局およびネットワーク管理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0078】
10 有線網
20 ネットワーク管理システム
50−54 基地局(3セル構成)
60−64 基地局(オムニセル構成)
70−72 無線端末
101 送受信部
102 呼制御部
103 ハンドオーバ統計分析部
104 ハンドオーバ失敗通知部
105 UE Contextデータベース(DB)
106 ハンドオーバパラメータデータベース(DB)
107 ハンドオーバ統計データベース(DB)
200 送受信部
201 ハンドオーバ統計収集部
202 ハンドオーバ統計分析部
203 ハンドオーバ統計データベース(DB)
204 ハンドオーバパラメータデータベース(DB)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御方法であって、
ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させることを特徴とするハンドオーバ制御方法。
【請求項2】
ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続先である基地局から通知されたハンドオーバ結果情報を統計的に収集し、収集した統計情報と比較するためのハンドオーバ失敗に対するハンドオーバ閾値が、前記無線端末の再接続が拒否された場合と許可された場合とで異なって設定される、ことを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ制御方法。
【請求項3】
ハンドオーバ失敗後に接続した基地局からハンドオーバ前に接続されていた基地局に対し、再接続の許可あるいは拒否および無線回線の問題による再接続の失敗を含む情報を通知することを特徴とする請求項2に記載のハンドオーバ制御方法。
【請求項4】
ハンドオーバ失敗後、同一の基地局に属するセルに再接続を実行する場合よりも、異なる基地局に属するセルに対して無線端末が再接続を実行する場合の方が優先されることを特徴とする請求項2または3に記載のハンドオーバ制御方法。
【請求項5】
ハンドオーバの失敗後における無線端末の再接続の許可または拒否に応じて単位時間あたりのハンドオーバ特性の統計を保持し、
再接続が拒否された場合のハンドオーバ特性の値を再接続が許可された場合のハンドオーバ特性の値に対して重み付けして支配的なハンドオーバ失敗原因を同定し、
前記同定された支配的なハンドオーバ失敗原因に応じてハンドオーバ閾値を変更する、
ことを特徴とする請求項2−4のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御方法。
【請求項6】
単位時間あたりのハンドオーバの失敗数または無線端末の再接続の試行数に対して正の相関をなすようにハンドオーバ閾値の変更量を決定することを特徴とする請求項2−5のいずれか1項に記載のハンドオーバ制御方法。
【請求項7】
無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムにおけるハンドオーバ制御装置であって、
ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続先である基地局から通知されたハンドオーバ結果情報を収集するハンドオーバ統計情報格納手段と、
前記収集されたハンドオーバ統計情報に基づいて、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させる制御手段と、
を有することを特徴とするハンドオーバ制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載のハンドオーバ制御装置を有する、前記無線通信システムにおける基地局。
【請求項9】
請求項7に記載のハンドオーバ制御装置を有する、前記無線通信システムにおける基地局を管理するネットワーク管理システム。
【請求項10】
無線端末がセル間でハンドオーバを行なうことができる無線通信システムであって、
複数の基地局と、
前記複数の基地局を管理するネットワーク管理装置と、
を有し、前記基地局あるいは前記ネットワーク管理装置のいずれかが、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が拒否されるハンドオーバ失敗を、ハンドオーバ失敗後に無線端末の再接続が許可されるハンドオーバ失敗よりも優先的に減少させるハンドオーバ制御装置を有することを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−70318(P2013−70318A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208778(P2011−208778)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】