説明

無線通信システムの中の正確な送信電力調整のための方法およびシステム

【課題】無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)における正確な送信電力調整のための方法の提供。
【解決手段】無線信号に電力を供給するために使用されるアンプの利得設定を調整することによって前記無線信号の電力レベルを粗調整することと、前記無線信号の電力レベルが最大許容電力レベルに接近するように、前記アンプに提供される情報信号の電圧レベルを調整することによって前記無線信号の電力レベルを微調整する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在の開示は、無線通信システムに一般に関係があり、さらに詳細には、無線通信システムの中の正確な送信電力調整のための方法および装置に関係がある。
【0002】
任意の無線通信システムでは、送信装置および受信装置がある。連邦通信委員会(FCC)のような規制団体は、様々な無線通信システムの送信装置のための最大の送信電力を指定する規則を制定する。携帯電話または移動体通信システムのようないくつかの無線通信システムは、それらが長距離電話で機能するべき周波数スペクトル中に十分な電力を割り当てているので、ピーク電力レベルで無線信号を送信する必要はない。さらに、これらの長距離システムの送信電力の微増は、比較して言えば、システムの全体的な範囲中に違いを生ずる付加的な範囲を提供しない。そのため、これらのシステムは、送信装置の電力増幅器のための微細な利得分解能を要求せず、したがって、電力増幅器利得分解能は約1.0dBの精度に最適化される。
【0003】
しかしながら、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)中に実施された超広帯域(UWB)通信システムのような他の無線通信システムは、非常に低い消費電力レベルで作動し、広帯域幅にわたって送信電力を拡散する。それらの通信距離を最大限にするために、UWBシステムは、規則によって許可された最大電力レベルで無線信号を送信する必要がある。これらの無線通信システムの中の送信電力を正確に調整するための処理は、送信装置の電力増幅器が良い利得分解能およびダイナミックレンジを同時に有しないので、困難である。この処理は、電圧や処理の変動と同様に温度に対する電力増幅器の変化が原因で、一層複雑になる。したがって、UWB通信システムの中の正確な送信電力調整のための方法およびシステムを有することは望ましいだろう。
【発明の概要】
【0004】
発明のより広い形式のうちの1つは、無線信号に電力を供給するために使用されるアンプの利得設定の調整によって前記無線信号の電力レベルを粗調整することと、前記無線信号の前記電力レベルが最大許容電力レベルに接近するように、前記アンプに提供される情報信号の電圧レベルを調整することによって前記無線信号の前記電力レベルを微調整することを含む無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)における無線信号の正確な送信電力調整のための方法を含む。
【0005】
発明のより広い形式の別のものは、無線信号に電力を供給するために使用されるアンプの利得設定を調整することによって前記無線信号の電力レベルを粗調整するための命令と、前記無線信号の前記電力レベルが最大許容電力レベルに接近するように、前記アンプに提供される情報信号の電圧レベルを調整することによって前記無線信号の前記電力レベルを微調整するための命令を含む、WPANにおける無線信号の正確な送信電力調整のためのコンピュータ実行命令を有するコンピュータ読取可能媒体を含む。
【0006】
発明のより広い形式のさらに別のものは、ディジタルベースバンド信号を提供するためのディジタル乗算器と、前記ディジタル乗算器を連結し、前記ディジタルベースバンド信号を受信して情報信号を生成するD−A変換器(DAC)と、前記DACに連結され、前記情報信号を受信して無線信号に電力を供給し、前記アンプの出力電力レベルを制御する利得設定を有するアンプと、前記アンプの前記利得設定を調整することによって前記無線信号の電力レベルを粗調整するための命令、および、前記無線信号の前記電力レベルが最大許容電力レベルに接近するように、前記情報信号の電圧レベルを調整することによって前記無線信号の前記電力レベルを微調整するための命令を有するメモリを含む超広帯域(UWB)システムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
現在の開示の局面は、添付の図とともに読む場合、以下の詳細な記述から最も理解される。
【図1】図1は、ここに示された実施例が実施されることができる超広帯域(UWB)システムとして実施された無線パーソナルネットワーク(WPAN)についての線図である。
【図2】図2は、図1のUWBシステムが中へ作動するUWB周波数スペクトルの中の複数の帯域の線図である。
【図3】図3は、図1のUWBシステムの中に使用されることができる送信装置についての単純化された線図である。
【図4】図4は、図3の送信装置の較正中に実行されることができる正確な送信電力調整のための方法のフローチャートである。
【図5】図5は、図3の送信装置の動作中に実行されることができる正確な送信電力調整のための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の開示は、様々な実施例の異なる特徴を実施するために、様々な実施例、すなわち例を提供することが理解されることになっている。構成要素と処理の特定の例は、現在の開示を単純化することについて以下に述べられる。これらは、もちろん単に例であって、制限するようには意図されない。さらに、現在の開示は、参照数字および/または様々な例の中の文字を繰り返すことができる。この繰り返しは単純さと明瞭さのためにあり、様々な実施例および/または議論した設定の間の関係を、それ自体の中に命令しない。
【0009】
図1を参照して、ここに示された実施例が実施されることができる無線パーソナルネットワーク(WPAN)100についての線図が説明される。WPAN100は超広帯域(UWB)システム110として実施される。UWBシステム110は、様々なUWB対応装置の間の無線通信を提供し、インターネットのような、より高レベルのネットワークとさらに接続するかもしれなお。UWBシステム110では、通信距離は、一般に短距離(例えば10メートル)にわたるものである。UWBシステム110は、UWB通信リンクかチャネル140を介して受信装置130にデータを送信するための送信装置120を含む。
【0010】
送信装置120は、情報送信のための直交周波数分割多重(OFDM)スキームを利用することができる。OFDMは、副搬送波がそれぞれ他の副搬送波に直交するように、キャリア間隔が選択されている無線マルチキャリア変調の方法である。この直交性は隣接チャネル干渉を回避し、復調器がそれらのもの以外の周波数を認識するのを防ぐ。
【0011】
OFDM信号は、それぞれの副搬送波が従来の変調スキーム(例えば直交振幅変調)で変調される複数の副搬送波を含む。示された実施例のUWBシステム110では、OFDM信号は、帯域あたり使用される128の副搬送波(トーンとも呼ばれる)を含み、その内、100はデータ副搬送波であり、12はパイロット情報のためのものであり、10は警戒トーンであり、また、6は情報を伝えない無効のトーンである。
【0012】
図2を参照して、図1のUWBシステム110の中に作動することができるUWB周波数スペクトル200の中の複数の帯域についての線図が説明される。UWBシステム110は、3.1と10.6GHzの間の無免許の周波数スペクトルを利用する。UWBシステム110は、WiMediaあるいはECMA-368/369のような規格に従う、物理的な(PHY)層を含む。PHY層は、UWB周波数スペクトル200をそれぞれ528MHzの帯域幅を持つ14の帯域201−204に分割する。14の帯域201−204は、5つの帯域グループへさらに定義され、この内、4つの帯域グループがそれぞれ3本の帯域を具備し、また、1つの帯域グループが2本の帯域を具備する。最初の4つの帯域グループのそれぞれの中で、PHY層は、時間周波数インターリービング(TFI)を使用する4つ時間周波数コード(TFC)、および、固定周波数インターリービング(FFI)を使用する3つのTFCを定義して、を定義し、したがって、PHY層は、帯域当たり7つまでのチャネルに関してサポートをする。5番目の帯域グループでは、PHY層はFFIを使用して、2つのTFCを定義する。従って、合計30のチャネルがPHY層の中に指定される。
【0013】
UWBシステム110に関しては、FCCは、図1の送信装置120のようなUWB送信装置が−41.3dBm/Mhzの最大電力スペクトル密度で送信することを要求する規則を制定する。これはどの所定のチャネルに関しても約−15dBmの最大許容電力レベルに変換する。例え送信された無線信号の平均電力が最大許容電力レベル未満でも、送信された無線信号のピーク電力レベルもまた、最大許容電力レベル未満でなければならない。ここに示された最大許容電力レベルは、例であって、最大許容電力レベルは、UWBシステムが実施される国(country)に次第であろうことが理解される。
【0014】
図3を参照して、図1の送信装置120についての単純化された線図が説明される。送信装置120は、UWBリンクを介して送信されるためのビデオデータのようなデータを提供するホストサブシステム302を含む。ホストサブシステム302は媒体アクセス制御(MAC)サブシステム304にデータを供給する。MACサブシステム304はWiMediaあるいはECMA-368/369のような規格に従うことができる。MACサブシステム302は、ホストサブシステム302とPHYベースバンドサブシステム306の間のインタフェースを提供する。MACサブシステムは、PHYベースバンドサブシステム306のための必要なフォーマットの中のディジタルデータを生成する。
【0015】
以前に記述されたように、PHYベースバンドサブシステム306は、WiMediaあるいはECMA-368/369のような規格に従うことができるPHY層で構成される。PHYベースバンドサブシステム306は、MACサブシステム304からディジタルデータを受信し、送信可能なフォーマットの中の情報信号の中へディジタルデータを処理する。PHYベースバンドサブシステム306は、D−A変換器(DAC)312に入力信号(例えばディジタルベースバンド信号)をスケーリングするための、プログラマブルディジタル乗算器310を含む。DACは、ディジタル入力信号を、送信のためのRFサブシステム320に提供されるアナログ情報信号に変換する。MACおよびPHYサブシステムが集積回路として実施されることができることが理解される。
【0016】
RFサブシステム320は情報信号を受信し、そして無線信号を生成するためにそれを処理する。以前に記述されたように、送信装置120は情報を送信するための直交周波数分割多重(OFDM)スキームを利用する。無線信号は、送信のための無線信号に電力を供給するために利得可変増幅器(VGA)322へ入力される。VGA322は、約20dBのダイナミックレンジを含む。しかしながら、増幅器が広いダイナミックレンジおよび良い分解能を同時に備えることは難しい。そのため、VGA322は、約1〜2dBのステップサイズの利得分解能を含む。VGA322はアナログコンポーネントであって、電圧と処理の変化と同様に、温度に対する利得変化にさらされる。例えば、最も悪い場合(worst cases)、VGA322が5dBまでの利得変動を経験することは観察された。RFサブシステム320は、RFサブシステムの温度を測定するための温度センサのようなセンサ324を含む。温度の変化については、VGA322は、後で詳細に説明されるような利得変動を補償するために然るべく調整されるだろう。あるいは、センサ324は、VGA322から来る無線信号の電力レベルの変化の測定のために温度センサの代わりに電力センサを随意的に含むことができる。さらに、センサは、VGA322から来る無線信号の電圧レベルの変化の測定のために温度センサの代わりに電圧センサをさらに含むことができる。
【0017】
送信装置120は、第1アンテナ332および第2アンテナ334を有する多重アンテナシステムを含む。送信装置120は、第1アンテナ332あるいは第2アンテナ334を通じて無線信号を選択的に駆動するためのスイッチ336を含む。送信装置120は、後で詳細に説明されるような送信装置の様々なコンポーネントを操作して制御するためのソフトウェアアルゴリズムおよびデータテーブルを有するメモリ340をさらに含む。送信装置120が、クロック、ミキサーおよびフィルタのような既に知られている様々な他のコンポーネントあるいは機能を含み、説明された送信装置120が、開示された実施例についてのよりよい理解を促進するために単純化されることが理解される。送信装置120がWPAN100の内の最大の通信距離を有するために、それは規則によって指定された最大許容送信電力レベル、あるいはそれに近いレベルで無線信号を送信しなければならない。送信装置は、下に詳細に記述されるように、較正および/または動作中に正確な送信電力調整によってこれを達成することができる。
【0018】
図4を参照して、図1および3のUWB送信装置120の較正中に実行されることができる正確な送信電力調整の方法400が説明される。較正は、既に知られているスペクトルアナライザのような試験装置で行なわれることができる。較正手順は、メモリ340に格納される初期/較正値を生成し、送信装置120の立ち上げおよび作動中に使用されることができる。
【0019】
方法400は、様々な規制団体によって指定された最大許容送信電力レベル、もしくはそれに近いレベルで動作する送信装置120を測定する。方法400は、送信電力レベルが送信装置120のアンテナから離れて測定されるステップ402から始まる。方法400は、RFサブシステム320の中の利得可変増幅器(VGA)322の利得設定を調整することによって、送信装置120の送信電力粗調整が行なわれるステップ404を継続する。送信装置120の送信電力レベルは、VGA322の利得設定によって約1あるいは2dBステップの中で粗調整され得る。RFサブシステム320は、約15dBの変動にVGA322の利得設定を調整する、5ビットの利得レジスタ(例えば、32の利得コード)を含む。それぞれの異なる周波数帯の異なる利得設定があり、したがって、帯域はそれぞれ、最良の利得設定のために独立して補正されることができる。RFサブシステム320はアナログチップとして実施され、このように、温度に対する利得変動にさらされる。そのため、RFサブシステム320の温度が、また測定され、後で詳細に説明されるような温度変化を補償するために使用されることができる。測定された送信電力レベルと最大許容送信電力レベルの間の差(例えば残差)は、以下の微細な送信電力調整ステップによって補正されることができる。さらに、残差はメモリに格納されるかもしれず、また、以下に述べられるような微細な送信電力調整は通常動作の間に行なわれることができる。
【0020】
方法400は、微細な送信電力調整が行なわれるステップ406を継続する。微細な送信電力調整はPHYベースバンドサブシステム306の中の様々なコンポーネントによって達成されることができる。従って、微細な送信電力調整は、すべての周波数帯に等しく利得を供給する。示された実施例では、微細な送信電力調整は、PHYベースバンドサブシステム306の中のD−A変換器(DAC)312の出力電圧レベルを調整することによって行なわれることができる。DAC312のアナログ出力(例えば情報信号)は送信装置120のRFサブシステム320へ入力される。そのため、DAC312の出力電圧レベルの変化は、送信装置120の全体的な送信電力レベルの対応する変化を引き起こす。DAC312は、DACの出力で5ビットのプログラマブル利得段(gain stage)を含む。これは、送信電力制御のために約0.25dBのステップサイズ分解能を供給することができる。
【0021】
あるいは、微細な送信電力調整は、ベースバンド補間回路のプログラマブル乗算器310を調整することによって随意的に行なわれることができる。プログラマブル乗算器の出力はDACの入力に供給される。このプログラマブル乗算器310は、ベースバンド外へエラーベクトル大きさ(error vector magnitude)(EVM)を最大限にするために理想的にセットされる。しかしながら、この乗算器の小さな変化はEVMに著しい影響を与えない可能性があり、したがって、乗算器310は、送信電力制御に関して約0.04dBのステップサイズ分解能を供給することができる。さらに、乗算器310はディジタルコンポーネントであり、送信電力レベルを制御することに際して、より良い予測性および精度を提供するRFサブシステム320のアナログコンポーネント(例えばVGA)に比べると、性能変動(例えば温度、電圧および処理変動)にさらされない。このように、送信装置120は、アンテナから離れて測定された送信電力レベルが最大許容電力レベルの0.04dBもしくはそれ未満にあるように較正されることができる。これは、WPAN100の中のUWB送信装置120のための最大範囲を提供する。微細な送信電力調整は、DACとディジタル乗算器の両方での調整によって、また行なわれることができることが理解される。
【0022】
方法400は、前のステップ402−406で測定された較正値がメモリ340に格納されるステップ408を継続する。これらの較正値は送信装置120の立ち上げおよび作動中に実施されるだろう。例え、方法400が単一のアンテナで示されても、方法400は、多重アンテナシステムで、また実現されることができることが理解される。例えば、送信装置120は第1の332あるいは第2のアンテナ334によって無線信号を送信することができる。そのため、第1の332および第2のアンテナ334は異なる電力レベルで送信することができる。前に記述されるような較正中に、送信装置120は、第1アンテナから離れる送信電力レベルを最大限にするために、第1アンテナ332に関して較正される。第1アンテナ332に関連した最大限の送信電力レベルが注目される。その後、送信装置120は第2アンテナ334で動作される。第1の332と第2のアンテナ334の間の送信電力レベルの中の差分は測定されてメモリに格納される。送信装置120は、電力差を補償することについて前に記述されるような粗いおよび微細な送信電力調整を自動的に行なうソフトウェアを含む。従って、これは、代替アンテナが使用される場合、送信装置120が最大許容電力レベルで送信し続けることを確かにする。
【0023】
図5を参照して、図1および図3のUWB送信装置120の作動中に実行されることができる正確な送信電力調整の方法500が説明される。以前に議論されたように、UWB送信装置120は図4の方法400によって較正された。方法500は、送信装置120が、較正中に判定されてメモリ340へ格納された初期値を使用して立ち上げられるステップ502から始まる。送信装置120のRFサブシステム320は、電圧と処理の変動のみならず温度変動にも非常に敏感なアナログコンポーネントを含む。例えば、VGA322は、熱が増加してRFサブシステム320の温度が上昇する場合、5dB以内の利得変動を示すことができる。これは、6dBより多い電力は、送信装置120が2倍遠くに送信することができることを意味し、6dBより低い電力は、送信装置120が半分遠くに送信することができることを意味する点で、UWBシステム110にとって重要な意義を持つ。さらに、送信装置120が最大許容送信電力レベルを超過して、また、それによって法規に準拠していない装置を作ることができる、という危険がある。
【0024】
方法500は、温度センサのようなセンサ324が、RFサブシステム320の現在温度を周期的にチェックされるステップ504を継続する。温度センサをチェックするための期間は、変化するかもしれず、MACスループットに悪影響を及ぼさないように構成される。例えば、温度センサは、スーパーフレーム単位で測定されることができる。さらに、微細な送信電力調整がベースバンドで行われるとすれば、以下の温度補償アルゴリズムは、ベースバンドレジスタが初期値にセットされることを保証するために、すべてのチャネル変化時に実行されることができる。あるいは、複数の温度読み取り値は、十分な時間が利用可能な場合、平均化されることができる。
【0025】
方法500は、電流センサ読み取り値に関連した送信電力レベルの中の変化があるかあるかどうかを送信装置120が判断するステップ506を継続する。例えば、温度センサは、RFサブシステム320の現在温度が、較正中にメモリ340に格納された記録された温度から変わったかどうかチェックする。以前に記述されたように、較正中に判定された初期/較正値はさらにRFサブシステム320の温度をさらに含んでいた。送信装置120のメモリ340は、RFサブシステム320のある種の特性を表わすデータテーブルを含む。例えば、データテーブルは、温度領域にわたったVGA322の電力出力間の関係(例えば電力出力対温度曲線)を含む。温度の増加があったと温度センサが判断する場合、送信電力レベルの対応する変化はデータテーブルによって判断することができる。
【0026】
方法500は、送信装置120が送信電力の対応する変化を補償することについて図4の中の前に記述されるような粗いおよび微細な送信電力調整を自動的に行なうソフトウェアを含むステップ508を継続する。利得変動は高い帯域に関するよりも低い帯域に関する方がより大きいので、補償の量も周波数に依存することがある。
【0027】
他の実施例では、温度センサの代わりに電力センサは、VGAから出力される無線信号の電力レベルの測定のために利用されることができる。そのため、送信装置は、無線信号の電力レベルの変化を補償することについて図4の中の前に記述されるような粗いおよび微細な送信電力調整を自動的に行なうソフトウェアを含む。さらに別の実施例では、温度センサの代わりに電圧センサは、VGAから出力される無線信号の電圧レベルの測定のために利用されることができる。そのため、送信装置は、無線信号の電圧レベルの変化を補償することについて図4の中の前に記述されるような粗いおよび微細な送信電力調整を自動的に行なうソフトウェアを含む。
【0028】
方法500は、前のステップ504−510で測定された現在の動作値で送信装置120のメモリ340が更新されるステップ510を継続する。送信装置120は作動中にステップ504−510を繰り返す。DAC出力および/または発振(oscillations)の中にエラーがあることができるので、どのような変動に関しても温度が更新されない状況があることができることが理解される。例えば、もし送信電力レベルで少なくとも0.25〜0.5dBの予期された変化がなければ、メモリ340は更新されないことができる。
【0029】
現在の開示の実施例は詳細に記述されたが、当業者は現在の開示の精神および範囲から外れずに、彼らが様々な変更、代用および代替をここに加えることができると理解するべきである。前にリストされた実施例およびステップの様々な異なるコンビネーションは、様々な順序あるいは並列の中で使用することができることが理解される。更に、いくつかの実施例に関して前に例証されて議論された特徴は、他の実施例に関して前に例証されて議論された特徴と結合することができる。従って、そのような変更はすべて本発明の範囲内に含まれるように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)における無線信号の正確な送信電力調整のための方法であって、
前記無線信号に電力を供給するために使用されるアンプの利得設定を調整することによって、前記無線信号の電力レベルを粗調整することと、
前記無線信号の前記電力レベルが最大許容電力レベルに接近するように、前記アンプに提供される情報信号の電圧レベルを調整することによって、前記無線信号の前記電力レベルを微調整することを具備する方法。
【請求項2】
前記情報信号の前記電圧レベルを前記微調整することは、
D−A変換器(DAC)の出力電圧レベルを調整することを含み、
前記DACは、前記情報信号を生成するように構成される、請求項1の方法。
【請求項3】
前記情報信号の前記電圧レベルを前記微調整することは、
D−A変換器(DAC)に提供されるディジタルベースバンド信号をスケーリングすることを含み、
前記DACは、前記ディジタルベースバンド信号からの前記情報信号を生成するように構成される、請求項1の方法。
【請求項4】
前記スケーリングすることは、ディジタル乗算器によって行なわれる、請求項3の方法。
【請求項5】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの変化をセンサによって検知することと、
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を補償するために前記無線信号の前記電力レベルの粗調整および微調整を行なうことをさらに具備する、請求項1の方法。
【請求項6】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を前記センサによって前記検知することは、
前記アンプの動作温度の変化を温度センサによって検知することと、
データテーブルによって、前記アンプの前記動作温度の前記検知された変化に相当する、前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を判定することを含み、
前記データテーブルは、温度領域にわたって前記アンプの前記出力電力レベルを表わすデータを含む、請求項5の方法。
【請求項7】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を前記センサによって前記検知することは、
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を前記センサによって前記検知することが、動作中に前記無線信号の電圧レベルの変化を電圧センサによって検知することを含むことと、
前記無線信号の前記電圧レベルの前記検知された変化に相当する、前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を判定することを含む、請求項5の方法。
【請求項8】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を前記センサによって前記検知することは、
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を電力センサによって検知することを含む、請求項5の方法。
【請求項9】
前記アンプは、約20dBのダイナミックレンジおよび約1−2dBのステップサイズを備えた出力電力レベルを含むように構成される、請求項1の方法。
【請求項10】
前記無線信号の電力レベルを前記微調整することは、約0.04から0.25dBのステップサイズの利得分解能を含む、請求項9の方法。
【請求項11】
前記WPANは、超広帯域(UWB)通信システムを含む、請求項1の方法。
【請求項12】
前記無線信号は、直交周波数分割多重(OFDM)信号である、請求項11の方法。
【請求項13】
無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)における無線信号の正確な送信電力調整のためのコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ読取可能媒体であって、
無線信号に電力を供給するために使用されるアンプの利得設定を調整することによって前記無線信号の電力レベルを粗調整するための命令と、
前記無線信号の前記電力レベルが最大許容電力レベルに接近するように、前記アンプに提供される情報信号の電圧レベルを調整することによって、前記無線信号の前記電力レベルを微調整するための命令を具備するコンピュータ読取可能媒体。
【請求項14】
前記情報信号の前記電圧レベルを微調整するための前記命令は、
D−A変換器(DAC)の出力電圧レベルを調整することを含み、
前記DACは、前記情報信号を生成するように構成される、請求項13のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項15】
前記情報信号の前記電圧レベルを微調整するための前記命令は、
D−A変換器(DAC)に提供されるディジタルベースバンド信号をスケーリングすることを含み、
前記DACは、前記ディジタルベースバンド信号からの前記情報信号を生成するように構成される、請求項13のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項16】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの変化をセンサによって検知するための命令と、
前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を補償するために前記無線信号の前記電力レベルの前記粗調整および微調整を行なうための命令をさらに具備する、請求項13のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項17】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を前記センサによって検知するための前記命令は、
前記アンプの動作温度の変化を温度センサによって検知するための前記命令と、
前記データテーブルによって、前記アンプの前記動作温度の前記変化に相当する、前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を判定するための命令を含み、
前記データテーブルは、温度領域にわたって前記アンプの出力電力レベルを表わす、請求項16のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項18】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を前記センサによって検知するための前記命令は、
動作中に前記無線信号の前記電圧レベルの変化を電圧センサによって検知するための命令と、
前記無線信号の前記電圧レベルの前記検知された変化に相当する、前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を判定するための命令を含む、請求項16のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項19】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を前記センサによって検知するための命令は、動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を電力センサによって検知することを含む、請求項16のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項20】
前記無線信号の送信のために第1アンテナから第2アンテナへ切り替える時、前記無線信号の前記電力レベルの変化を判定するための命令と、
前記切り替えに対応する、前記電力レベルの前記変化を補償するための命令をさらに具備する、請求項13のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項21】
ディジタルベースバンド信号を提供するためのディジタル乗算器と、
前記ディジタル乗算器を連結し、前記ディジタルベースバンド信号を受信して情報信号を生成するD−A変換器(DAC)と、
前記DACに連結され、前記情報信号を受信して無線信号に電力を供給し、出力電力レベルを制御する利得設定を有するアンプと、
前記アンプの前記利得設定を調整することによって前記無線信号の電力レベルを粗調整するための命令、および、前記無線信号の前記電力レベルが最大許容電力レベルに接近するように、前記情報信号の電圧レベルを調整することによって前記無線信号の前記電力レベルを微調整するための命令を有するメモリを具備する、超広帯域(UWB)システム。
【請求項22】
前記アンプに連結され、前記無線信号を送信するように構成された少なくとも1本のアンテナをさらに具備し、
前記メモリは、前記システムが、前記無線信号を送信するために第1アンテナから第2アンテナに切り替える時、前記無線信号の前記電力レベルの変化を判定するための命令と、前記切り替えに対応する、前記電力レベルの前記変化を補償するための命令をさらに含む、請求項21のシステム。
【請求項23】
前記無線信号の前記電力レベルを微調整するための命令を有する前記メモリは、
前記DACの出力電圧レベルを調整することによって前記無線信号の電力レベルを微調整するための命令を含む、請求項21のシステム。
【請求項24】
前記無線信号の前記電力レベルを微調整するための命令を有する前記メモリは、
前記ディジタル乗算器によって前記ディジタルベースバンド信号をスケーリングすることによって前記無線信号の前記電力レベルを微調整するための命令を含む、請求項21のシステム。
【請求項25】
動作中に前記無線信号の前記電力レベルの変化を検知するためのセンサをさらに具備し、
前記メモリは、動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記検知された変化を補償するための前記無線信号の前記電力レベルの粗調整および微調整のための命令をさらに含む、請求項21のシステム。
【請求項26】
前記センサは、前記アンプの動作温度の変化を検知するための温度センサを含み、
前記メモリは、前記データテーブルによって、前記アンプの前記動作温度の前記検知された変化に相当する、前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を判定するための命令をさらに含み、
前記データテーブルは、温度領域にわたって前記アンプの前記出力電力レベル間の関係を表わす、請求項25のシステム。
【請求項27】
前記センサは、動作中に前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を検知するための電力センサを含む、請求項25のシステム。
【請求項28】
前記センサは、動作中に前記無線信号の前記電圧レベルの変化を検知するための電圧センサを含み、
前記メモリは、前記無線信号の前記電圧レベルの前記変化に相当する、前記無線信号の前記電力レベルの前記変化を判定するための命令をさらに含む、請求項25のシステム。
【請求項29】
前記アンプは、約20dBのダイナミックレンジを備えた出力電力レベルを有するように構成される、請求項21のシステム。
【請求項30】
前記無線信号は、直交周波数分割多重(OFDM)信号である、請求項21のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−165393(P2012−165393A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−45183(P2012−45183)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【分割の表示】特願2010−520097(P2010−520097)の分割
【原出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】