説明

無線通信システムの通信制御方法、無線通信システムの端末装置および無線通信システムの基地局装置

【課題】ACK/NACK(受信結果確認情報)の伝送特性を改善する。
【解決手段】端末装置5は、基地局装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に基地局装置から受信した信号とに基づいて、基地局装置が第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定し、基地局装置が第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、基地局装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、送信電力が上限に達すると、第2の受信結果確認情報の送信方法を、第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムの通信制御方法および無線受信装置に関する。本発明は、例えば、受信データに対してACK(誤り無し)/NACK(誤り有り)信号を送信側に返信することが規定されているシステムに用いると好適である。
【背景技術】
【0002】
(1)再送制御とACK/NACK送信電力制御
現在、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、仕様検討が行なわれている次世代移動通システムであるLTE(Long Term Evolution)システムや、日本においてサービスが開始されたHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)システム、今後サービスの開始が予想されるHSUPA(High Speed Uplink Packet Access)システムでは、パケットの再送制御機能が規定されている。
【0003】
以下に、再送制御について説明する。
送信側(例えば、無線基地局)では、送信データにCRCを付加し符号化して変調を施した後、無線周波数に変換(アップコンバート)し、アンテナから受信側に対して送信する。
受信側(例えば、無線端末)では、アンテナで受信した信号を復調し、その復調結果を用いて復号を行なう。そして、その復号結果のCRCを確認し、誤りの有無を判別する。
【0004】
判別の結果、受信信号に誤りがない場合は、誤りなく受信できたことを示す信号であるACK(Acknowledgement)信号を受信結果確認情報として生成し、送信側に対して当該ACK信号を返送する。一方、誤りがある場合は、誤りを含んで受信されたことを示す信号であるNACK(Not Acknowledgement)信号を受信結果確認情報として生成し、これを送信側に返送する。なお、NACK信号は、NAK信号と記述される場合もある。
【0005】
送信側では、受信信号を復調、復号した後、前記受信結果確認情報(ACK/NACK信号)を抽出する。ACK信号(以下、単に「ACK」とも表記する)を受信、抽出した場合は、新たなデータを受信側に送信し、NACK信号(以下、単に「NACK」とも表記する)を受信、抽出した場合は、対応する送信済みのデータを受信側に対して再送する。以後、誤りなく伝送できるまで、再送を繰り返す。
【0006】
以上の再送制御により、データを誤りなく伝送することが可能となる。
なお、受信側は、送信側に対してACK/NACKを送信する際の送信電力を制御することができる。例えば、送信側から送られた制御信号を基に、受信側で送信電力値を算出し、これを基に、送信信号(ACK/NACK信号)のゲイン調整や振幅調整等を行なうことにより、ACK/NACK送信電力を制御する。
【0007】
(2)HSDPAシステムにおける再送制御とACK/NACK送信電力制御
前記のHSDPAシステムにおいても、再送制御機能が備えられる。
HSDPAシステムは、3GPPのW−CDMAシステムの仕様Rel’99に対して、下り高速パケット伝送機能を実現した改良版であり、Rel’5として検討され仕様化された(後記の非特許文献1,2,3,4参照)。
【0008】
HSDPAシステム(図43参照)では、無線基地局(Node B)(以下、BSとも表記する)から無線端末(UE)への下り方向(ダウンリンク)のデータを伝送するためのチャネルであるHS−DSCH(High Speed - Downlink Shared CHannel)と、それに付随したデータと制御信号(パイロット信号や送信電力制御(TPC)信号等)とを伝送する下り個別物理チャネル(A−DPCH:Associated - Dedicated Physical CHannel)と、UEからBSへの上り方向(アップリンク)の上り個別物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical CHannel)と、を用いて伝送を行なう。また、UEからBSに対してもDPCHを用いてデータと制御信号(個別パイロット信号や送信電力制御(TPC)信号等)とを伝送する(非特許文献1,2,3,4参照)
なお、HS−DSCHが付随したDPCHは、下りA−DPCHと呼ばれ、HS−DSCHが付随しない下りDPCHも存在する。また、DPCHは、データを伝送する無線チャネルであるDPDCH(Dedicated Physical Data CHannel)と、制御信号を伝送する無線チャネルであるDPCCH(Dedicated Physical Control CHannel)とから構成される。また、前記ACK/NACK信号は、HS−DPCCH(High Speed-Dedicated Physical Control CHannel)を用いて送信することができる。
【0009】
以下、HSDPAシステムにおける再送制御について説明する。
UEがBSからCPICH(Common Pilot Indicator CHannel)で伝送されるパイロット信号の受信電力を基に、無線回線特性(品質)の指標であるCQI(Channel Quality Indicator)を測定、算出し、HS−DPCCHを用いて返送する。
それぞれのUEからのCQIを受信したBSは、スケジューラで送信すべきUEを選択し、その送信方法(データサイズ、変調方式、符号化方法、プロセス番号等)を決定し、その情報と新規送信か再送かを示す指標とを含む制御信号を生成し、当該制御信号をHS−SCCH(High Speed - Shared Control CHannel)にてUEに伝送する。
【0010】
続いて、BSは、前記スケジューラで選択したUEに対して、前記決定した送信方法に従い送信するデータを選択し、このデータに対してCRCを付加し、符号化し、変調し、拡散した後、無線周波数に変換し、アンテナから、HS−DSCHにてUEへ送信する。このときのHS−DSCH送信電力値は、下記の(1)式に示すように、CPICH送信電力値PCPICHに対して、一定の電力オフセット値Γと、CQIによって決められた電力オフセット値Δとを基にして算出した送信電力値とすることができる(後記の非特許文献4参照)。
【0011】
【数1】

【0012】
なお、(1)式において、ΓはBSの上位装置(例えば基地局制御装置(RNC))から制御信号により与えられる値である。
また、前述のACK/NACK信号は、UEからBSに対して、HS−DPCCHを用いて伝送される。このとき、HS−DSCHによって伝送されたデータに対して、再送制御が実施される。
【0013】
例えば、BSは、送信データにCRCを付加して符号化し、変調、拡散した後、周波数変換し、アンテナからUEに送信する。UEでは、受信信号を、ベースバンド信号に変換し、逆拡散し復調した後、復号を行ない、CRCを確認し誤りの有無を確認する。
誤りがない場合は、ACK信号を生成し、誤りがある場合はNACK信号を生成する。このとき、ACKは+1、NACKは−1とし、送信しない場合(DTX)を0とした1ビットの制御信号として扱う。また、次表1に示すように、伝送特性の改善のために、符号化の際に、この制御信号を例えば10回繰り返すことにより、10ビットの信号とする。
【0014】
【表1】

【0015】
なお、上りデータ、TPC及びパイロットについては、上りDPCHを用いて伝送される。このとき、上りDPCHの送信電力は、例えば、下りA−DPCHで伝送されるパイロット信号を用いて、他セル及び自セルの干渉電力と信号電力の比であるSIRが一定となるよう制御する。
さらに、この上りDPCH送信電力に対して、例えば3dBを加算した電力を用いてACK/NACK送信を行なうHS−DPCCH送信電力制御を行なうことができる。
【0016】
また、ACK信号は+1であることから、基準となる送信電力よりも高い電力となり、NACK信号は−1であることから、基準となる送信電力よりも低い電力となる。
BSでは、受信信号をベースバンド信号に変換し、逆拡散、復調した後、それぞれが軟判定信号であり、上記10個の信号を加算し、加算結果が正である場合はACKと判断し、負である場合はNACKと判断する。また、加算結果が0である場合は、DTXと判断する。なお、判断に際しては、フェージング等による受信電力の変動を考慮し、受信電力やパイロット受信電力を平均受信電力とし、ACK/NACK判定を実施するのが好ましい。
【0017】
上りデータについては、上りDPCHを用いて伝送される。このとき、上りDPCHの送信電力は、例えば、下りA−DPCHで伝送されるTPC信号を用いて、他セル及び自セルの干渉電力と信号電力の比であるSIRが一定となるよう制御する。正確な電力制御については後記の非特許文献4に記載されている。
前述のように、上りDPCHは上りDPDCHと上りDPCCHで構成され、上りDPDCH送信電力は上りDPCCH送信電力によって、規定されている(非特許文献3,4参照)。
【0018】
【数2】

【0019】
ここで、βは、上位から与えられるゲインファクタであり、βhsは以下で規定されるゲインファクタである。
【0020】
【数3】

【0021】
(2)式を分かりやすくするため、式変形を行ない、以下の(5)式を得る。
【0022】
【数4】

【0023】
ここで、以下の(6),(7),(8)式による置き換えを行ない、(9)式を得る。
【0024】
【数5】

【0025】
HS−DPCCHで伝送されるACK/NACKに注目するため以下の(10)式による置換を実施する。
【0026】
【数6】

【0027】
(3)エンハンスドHSDPAシステムにおける再送制御
3GPPにおいて、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access)やF−DPCH(Fractional - Dedicated Physical CHannel)とともに、HSDPAの改良版がRel6として検討され仕様化された(後記の非特許文献5,6,7,8参照)。
この改良は、HSDPAシステムでのACK/NACKの誤判定を低減するためのもので、例えば図44に示すように、ACK/NACK信号の前にプレ(Pre)信号、後ろにポスト(Post)信号を付加することで、ACK/NACKの誤判定による障害の発生(詳細は後述する)を低減しようとするものである。
【0028】
ここで、プレ信号とポスト信号は、+1と−1の組み合わせで、その加算結果が−3となるよう組み合わせた信号である。この信号を用いることにより、前述のように加算結果が正か負かのみでACK/NACKを判断するのではなく、さらに、プレ/ポスト信号を用いてACK/NACKの判断を行なうことにより、ACK/NACKの判定精度を向上することができる(次表2参照)。
【0029】
【表2】

【0030】
(4)HSUPAシステム
HSUPAシステムは、上り高速パケット通信を実現するために検討されたシステムであり、従来の上りDPCH(Dedicated Physical CHannel)をパケット化しかつ高速化したE−DPCH(Enhanced - Dedicated Physical CHannel)と、ACK/NACK伝送を行なうE−HICH(Enhanced - HARQ Indicator CHannel)、及びE−AGCH(Enhanced - Absolute Grant CHannel)と、E−RGCH(Enhanced - Relative Grant CHannel)とを新設することで高速伝送を実現するものである。3GPPで検討され仕様化されている(非特許文献5,6,7,8参照)。
【0031】
(5)LTEシステム
LTE(Long Term Evolution)システムは、次世代移動通信システムとして3GPPにおいて検討されているシステムであり、HSDPAシステムやHSUPAシステムと同様に、パケット伝送を実施し、パケット伝送に対してACK/NACK伝送を実施するものである(後記の非特許文献9,10,11参照)。
【0032】
(6)その他の従来技術
なお、その他の従来技術として、下記の特許文献1及び2に記載された技術がある。
特許文献1には、無線通信ネットワークにおける基地局の送信電力を制御する方法として、第1の送信電力でもって電力制御コマンドを移動局に送信するステップと、第2の送信電力でもって非電力制御コマンド(レート制御コマンドや再送制御コマンド(ACK/NAK等))を前記移動局に送信するステップと、前記移動局が前記非電力制御コマンドに対して適切に応答したか否かの判定結果に基づいて、前記第1の送信電力を制御するステップとを実施することが記載されている。
【0033】
また、特許文献2には、通信データに対する応答信号を受信できなかった場合に、通信データの再受信の信頼性を向上させることを目的として、通信端末からの応答信号を受信できなかったと判断した場合に、その原因を判別し、通信データが通信端末へ到達せずに応答信号が送信さなかったと判断した場合に、通信データを送信する際の送信電力を増加制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特表2007−503169号公報
【特許文献2】特開2006−262357号公報
【非特許文献】
【0035】
【非特許文献1】3GPP TS25.211 V5.8.0
【非特許文献2】3GPP TS25.212 V5.10.0
【非特許文献3】3GPP TS25.213 V5.6.0
【非特許文献4】3GPP TS25.214 V5.11.0
【非特許文献5】3GPP TS25.211 V6.7.0
【非特許文献6】3GPP TS25.212 V6.10.0
【非特許文献7】3GPP TS25.213 V6.5.0
【非特許文献8】3GPP TS25.214 V6.11.0
【非特許文献9】3GPP TS36.211 V1.0.0
【非特許文献10】3GPP TS36.212 V1.0.0
【非特許文献11】3GPP TS36.213 V1.0.0
【非特許文献12】R1-021334
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
上述のように、上りDPCHの送信電力値にオフセットを与えた送信電力値で、ACK/NACKを伝送するHS−DPCCHの送信電力制御を行なうことができるが、セル端や高速移動時では、ACK/NACKの伝送特性が劣化し特性が劣化することが判明している(前記非特許文献1参照)。
この特性劣化により、UEからBSへの伝送に際して、次のような障害が発生する。
【0037】
(a)UEがACKを送信したにも関わらず、BSがNACKと判断した場合、BSは再送処理を実施してしまう。既に誤りになしで伝送できているため、無駄な伝送が行なわれてしまう。
(b)UEがNACKを送信したにも関わらず、BSがACKと判断した場合、BSは新規送信を実施し、再送すべきデータが送信されず、データ欠落を生じてしまう。
【0038】
(c)UEがACKを送信したにも関わらず、BSがDTXと判断した場合、BSはUEからの返送がないと判断し、再送処理を実施してしまう。(b)と同様に、既に誤りになしで伝送できているため、無駄な伝送が行なわれてしまう。
(d)UEがNACKを送信したにも関わらず、BSがDTXと判断した場合、BSはUEからの返送がないと判断し、再送処理を実施する。
【0039】
(e)UEがDTXであるにも関わらず、BSがACKと判断した場合、BSは、新規送信を実施するため、データ欠落を生じてしまう。
(f)UEがDTXであるにも関わらず、BSがNACKと判断した場合は、BSが、再送処理を実施してしまい、無駄な伝送が行なわれてしまう可能性がある。
前記(a)〜(c)の現象は、障害となってしまう。特に、(b)の場合、データが欠落してしまうことから、大きな問題となる。なお、以降、(a)乃至(d)をまとめてACK/NACK誤判定として記述する。(e)及び(f)の現象は、現状のHSDPAシステムにおいて、ACK/NACK送信は、HS−DSCH送信タイミングに対して一定間隔で行なわれるため、生じない。ただし、ACK/NACK送信タイミングを一定としない場合には、(e)及び(f)の場合も、ACK/NACK誤判定の一つに含まれるものとする。
【0040】
上述の障害は、セル端や高速移動時におけるACK/NACK送信電力制御が適切に動作していないことが原因であることも判明している(前記非特許文献12参照)。
一方、エンハンスドHSDPAシステムでは、プレ/ポスト信号をACK/NACKに付加するから、付加しない場合に比して前記ACK/NACK誤判定の発生を低減することができるが、新たに、以下の2点が検討事項となる。
【0041】
(1)消費電力の増加
プレ/ポスト信号を付加しない本来の信号と比較して最大3倍の信号を送信するため、最大で3倍の送信電力が必要となる。UEにおける消費電力の多くの部分を増幅器が占めているため、消費電力が増加する。また、そのために通話時間や待受時間が短縮するおそれがある。
【0042】
(2)上り干渉の増加
プレ/ポスト信号を付加しない本来の信号と比較して最大3倍の信号を送信するため、上り干渉が最大で単純に3倍となってしまう。よって、他のUEの伝送特性劣化が生じる。
そこで、本発明の目的の一つは、ACK/NACK(受信結果確認情報)の伝送特性を改善することにある。なお、前記特許文献1及び2は、ACK/NACKの伝送特性を改善する点について開示も示唆もしていない。
【0043】
また、ACK/NACK誤判定の発生率を低減することも本発明の目的の一つである。
さらに、干渉電力を低く抑えることも本発明の目的の一つである。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0044】
(1)第1の案として、例えば、基地局装置と、前記基地局装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記基地局装置へ送信する端末装置とをそなえた無線通信システムの通信制御方法であって、前記端末装置は、前記基地局装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記基地局装置から受信した信号とに基づいて、前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定し、前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記基地局装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する、無線通信システムの通信制御方法を用いることができる。
【0045】
(2)第2の案として、例えば、端末装置と、前記端末装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記端末装置へ送信する基地局装置とをそなえた無線通信システムの通信制御方法であって、前記基地局装置は、前記端末装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記端末装置から受信した信号とに基づいて、前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定し、前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記端末装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する、無線通信システムの通信制御方法を用いることができる。
【0046】
(3)第3の案として、例えば、基地局装置と、前記基地局装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記基地局装置へ送信する端末装置とをそなえた無線通信システムの前記端末装置であって、前記基地局装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記基地局装置から受信した信号とに基づいて、前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段にて、前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記基地局装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する制御手段と、をそなえた、無線通信システムの端末装置を用いることができる。
【0047】
(4)第4の案として、例えば、端末装置と、前記端末装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記端末装置へ送信する基地局装置とをそなえた無線通信システムの前記基地局装置であって、前記端末装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記端末装置から受信した信号とに基づいて、前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段にて、前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記端末装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する制御手段と、をそなえた、無線通信システムの基地局装置を用いることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、受信結果確認情報を無線送信装置へ送信する際の伝送特性を改善することができる。その結果、無線送信装置での受信結果確認情報の受信誤り(誤判定)の発生率を低減することができる。また、無線送信装置から無線受信装置へのスループットを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図11】第4実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図13】第5実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図14】第5実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の第6実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図16】第6実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図17】第6実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の第7実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図19】第7実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図20】第7実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するフローチャートである。
【図21】本発明の第8実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図22】図21に示すMSの動作を説明するフローチャートである。
【図23】本発明の第9実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図24】第9実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図25】第9実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するフローチャートである。
【図26】本発明の第10実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明する図である。
【図27】第10実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)の別の態様を説明する図である。
【図28】第10実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)の別の態様を説明する図である。
【図29】第10実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)の別の態様を説明する図である。
【図30】本発明の第11実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図31】第11実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図32】第11実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するフローチャートである。
【図33】本発明の第12実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明する図である。
【図34】第12実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)の別の態様を説明する図である。
【図35】本発明の第14実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図36】HSUPAシステムの構成図である。
【図37】本発明の第15実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図38】本発明の第15実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図39】第15実施形態に係るACK/NACK送信電力制御(補正)を説明するシーケンス図である。
【図40】本発明の第16実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図41】本発明の第18実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。
【図42】本発明の第18実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図である。
【図43】HSDPAシステムの構成図である。
【図44】エンハンスドHSDPAシステムにおけるACK/NACK信号のフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることはいうまでもない。例えば、以下に明示しない各実施形態の組み合わせを行なうことも可能である。
〔1〕第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図であり、図2は本発明の第1実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、図1に示すBS1と図2に示すUE5とで無線通信システムが構成される。
【0051】
なお、前記無線通信システムにおいて、BS1及びUE2はそれぞれ複数存在する場合もある。また、前記無線通信システムは、HSDPAシステム、HSUPAシステム、HSDPAシステムとHSUPAシステムとを統合したHSPAシステム、LTEシステムなどの各種移動通信システムのいずれでもよい。
さらに、下り通信に着目すれば、BS1は無線送信装置、UE5は無線受信装置としてそれぞれ位置付けられる。逆に、上り通信に着目すれば、UE5が無線送信装置、BS1が無線受信装置としてそれぞれ位置付けられる(以下、同じ)。
【0052】
(BS1の説明)
図1に示すBS1は、例えば、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、復調部16と、復号部17と、ACK/NACK抽出部18と、再送制御部19とをそなえる。
ここで、送信バッファ10は、UE5宛に送信すべきデータや制御信号をバッファするものであり、符号化部11は、前記送信バッファ10からのデータや制御信号を所定の符号化(誤り訂正符号化)方式で符号化するものである。
【0053】
変調部12は、当該符号化部11にて符号化された信号を所定の変調方式(例えば、QPSKや16QAM等)で変調するものであり、送信無線部13は、変調部12で変調された信号に対して、DA変換や無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、送信電力への電力増幅等の所定の送信無線処理を施すものである。
アンテナ14は、送信無線部13で得られた無線信号をUE5に向けて送信する一方、UE5から送信された無線信号を受信して受信無線部15へ出力するものである。
【0054】
受信無線部15は、アンテナ14で受信された信号に対して、低雑音増幅、ベースバンド信号への周波数変換(ダウンコンバート)、AD変換などの所定の受信無線処理を施すものであり、復調部16は、この受信無線処理後の受信信号を送信側(UE5)での変調方式に対応した復調方式で復調するものであり、復号部17は、復調部16で復調された受信信号を送信側(UE5)での符号化方式に対応した復号方式で復号するものである。
【0055】
ACK/NACK抽出部18は、前記復号部17による復号結果からACK信号又はNACK信号を抽出(検出)するものである。
再送制御部19は、前記ACK/NACK抽出部18からACK信号を受信した場合にはUE5宛の新規データをアンテナ14から送信すべく符号化部11に入力し、NACK信号を受信した場合には送信バッファ10に保持されている送信済みデータをアンテナ14から再送すべく符号化部11に入力するよう、送信バッファ10を制御するものである。
【0056】
(UE5の説明)
一方、図2に示すUE5は、例えば、アンテナ51と、受信無線部52と、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、送信無線部61とをそなえる。
【0057】
ここで、アンテナ51は、BS1から送信された無線信号を受信して受信無線部52に出力する一方、送信無線部61により得られた無線信号をBS1に向けて送信するものである。
受信無線部52は、アンテナ51からの受信無線信号に対して、低雑音増幅、ベースバンド信号への周波数変換(ダウンコンバート)、AD変換などの所定の受信無線処理を施すものである。
【0058】
復調部53は、この受信無線処理後の受信信号を送信側(BS1)での変調方式に対応した復調方式で復調するものである。
復号部54は、この復調部53で復調された受信信号を送信側(BS1)での符号化方式に対応した復号方式で復号するものである。
制御信号抽出部55は、復号部54による復号結果から制御信号を抽出するものである。
【0059】
誤り検出部58bは、復号部54にて復号された受信データのCRCを確認(CRC演算)することにより、受信データの誤りの有無を検出するものである。

ACK/NACK信号生成部58は、誤り検出部58bによる検出結果(CRC演算結果)が誤り無しであればOKと判断しACKを、誤り有りであればNGと判断しNACKを生成するものである。
【0060】
ACK/NACK誤判定検出部(判定手段)56は、再送制御部58aと協働して、BS1へ送信したACK/NACK(第1の受信確認結果情報)と、その後にBS1から受信した信号(下りデータ及び制御信号抽出部55で抽出された制御信号を含む)とに基づいて、BS1が前記ACK/NACKを誤って受信したか(ACK/NACK誤判定が生じたか)否かを検出(判定)するものである。
【0061】
好ましくは、BS1へ送信したACK/NACKの情報と、下り受信データに付加されている番号情報(プロセス番号)と、その下り受信データがBS1からの新規送信によるものか再送によるものかを示す情報とに基づいて、前記ACK/NACK誤判定の有無を判定する。つまり、UE5がBS1にNACK(ACK)を送信したにも関わらず、BS1から受信した同じプロセス番号の下りデータが「新規送信」(「再送」)によるものであると、UE5は、BS1がNACK(ACK)をACK(NACK)と誤判定したと判断する。
【0062】
下り受信データが新規送信か再送かは、(1)前回受信した下りデータと今回受信した下りデータとを比較することによって判断することもできるし、(2)下りデータに付随して送信される新規送信か再送かを示す制御信号(NDI:New Data Indicator)を基に判断することもできる。
前者(1)の場合には、UE5がある受信データに対してBS1に送信したACK/NACKの情報と、その受信データとを関連付けてメモリ等に記憶しておく。後者(2)の場合には、受信データの代わりに、BS1に送信したACK/NACKの情報とプロセス番号とを関連付けてメモリ等に記憶しておく。前記メモリは、例えば再送制御部58a内に具備してもよいし、再送制御部58aとは個別に設けてもよい(以降において同様)。
【0063】
そして、ACK/NACK誤判定検出部56は、前記メモリに記憶されたACK/NACKの情報と、新規送信か再送かを示す情報(NDI)と、プロセス番号との関係を確認し、BS1においてUE5の送信したACK/NACKが正確に判定されたか否かを確認する。
例えば、前記メモリにACKが記憶され、NDIが再送を示し、受信データ又はそのプロセス番号が前記メモリに記憶された受信データ又はプロセス番号と同じであった場合、UE5がACKを送信したにも関わらず、BS1はNACKと判断して同じデータを再送してしまったと判断する。
【0064】
逆に、前記メモリにNACKが記憶され、NDIが新規送信を示し、受信データ又はそのプロセス番号が前記メモリに記憶された受信データ又はプロセス番号と同じであった場合、UE5がNACKを送信したにも関わらず、BS1はACKと判断して新規データを送信してしまったと判断する。
このようにして、ACK/NACK誤判定検出部56は、UE5が送信したACK/NACKのBS1でのACK/NACK誤判定を検出する。
【0065】
再送制御部58aは、BS1に対するACK/NACK信号の送信(再送処理)を制御するものである。当該再送制御部58aは、ACK/NACK誤判定検出部56にてACK/NACK誤判定が検出された場合に、ACK/NACK信号の送信電力を制御する情報(例えば、ACK/NACKの送信電力値や送信電力補正値)を求める(算出する)機能を具備する。得られた制御情報は、送信電力制御部57に与えられる。
【0066】
ただし、当該機能は、送信電力制御部57が具備することとしてもよい。また、再送制御部58aと送信電力制御部57とは、機能的に単一の制御手段として構成してもよい(以降において同様)。
送信電力制御部57は、再送制御部58aと協働し、ACK/NACK誤判定検出部56にてACK/NACK誤判定が検出された場合に、送信無線部61を制御してBS1への送信条件の一つである送信電力を制御するものである。本例では、前記ACK/NACK誤判定が検出されると、ACK/NACKの送信電力を増加する方向に制御する。なお、当該送信電力制御は、例えば、送信無線部61の図示しない電力増幅器のゲインや信号振幅を調整することで実施する。
【0067】
符号化部59は、BS1への上り信号(BS1宛の送信データ、ACK/NACK信号等)を所定の符号化方式で符号化するものである。
変調部60は、符号化部59で符号化された上り信号を所定の変調方式(QPSKや16QAM等)で変調するものである。
送信無線部61は、前記変調後の上り信号に対して、DA変換や無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、送信電力への電力増幅等の所定の送信無線処理を施すものである。
【0068】
(動作説明)
以下、上述のごとく構成された無線通信システムの動作(ACK/NACK送信電力制御)について、図3に示すシーケンス図を参照しながら説明する。
送信側であるBS1では、符号化部11にて、UE5宛のCRCが付加された送信データやCRCが付加された制御信号及びパイロット信号(制御信号)が符号化され、その符号化結果が変調部12にて変調された後、送信無線部13にて前記所定の無線送信処理を施されて、アンテナ14からUE5に向けて送信される(ステップS1,S2)。
【0069】
一方、受信側であるUE5では、アンテナ51で受信された信号が、受信無線部52にて前記所定の受信無線処理を施されてベースバンド信号に変換された後、復調部53にて復調され、復号部54にて復号される。
その復号結果は、制御信号抽出部55と誤り検出部58bとに入力され、誤り検出部58bは、復号結果のCRCを確認し、受信データの誤りの有無を確認する(ステップS3)。その結果、受信データに誤りがなければ、ACK/NACK信号生成部58は、ACK信号を生成し、誤りがある場合にはNACK信号を生成する。
【0070】
一方、制御信号抽出部55では、前記復号結果から制御信号が抽出され、当該制御信号を基に送信電力制御部57がBS1へのACK/NACK信号の送信電力値Pt-1を算出
(決定)する(ステップS4)。
そして、当該送信電力値Pt-1を基に送信無線部61のアンプゲインや信号振幅が調整
されることにより、ACK/NACK信号生成部58にて生成されたACK/NACK信号の送信電力が制御される。
【0071】
即ち、ACK/NACK信号生成部58で生成されたACK/NACK信号は、符号化部59にて符号化され、変調部60にて変調された後、送信無線部61にて前記所定の送信無線処理を施されて前記送信電力値Pt-1にて、アンテナ51を介してBS1に向けて送信される(ステップS5)。
BS1は、UE5が送信した前記ACK/NACK信号を、アンテナ14にて受信し、受信無線部15にて前記所定の受信無線処理した後、復調部16にて復調し、復号部17にて復号する(ステップS6)。
【0072】
その復号結果は、ACK/NACK抽出部18に入力され、当該ACK/NACK抽出部18にてACK/NACK信号が抽出され、その抽出結果(ACKかNACKか)が再送制御部19に伝達される。
再送制御部19は、前記抽出結果がACKであれば、送信バッファ10から制御信号(パイロット信号)及び新規データを読み出して符号化部11に入力することで、パイロット信号と新規データとをUE5に向けて送信させる。NACKであれば、制御信号(パイロット信号)及び前回の送信データ(再送データ)を送信バッファ10から読み出して符号化部11に入力することで、パイロット信号と再送データとをUE5に向けて送信させる(ステップS7,S8)。
【0073】
さらに、UE5は、BS1から送信されたパイロット信号とデータ(新規又は再送データ)とをアンテナ51にて受信し、受信無線部52にて前記所定の受信無線処理を施してベースバンド信号に変換した後、復調部53にて復調し、復号部54にて復号する。その復号結果は、制御信号抽出部55と誤り検出部58bとに入力され、制御信号抽出部55では、前記復号結果から制御信号(プロセス番号、NDI等)を抽出してACK/NACK誤判定検出部56に伝達する。
【0074】
ACK/NACK誤判定検出部56は、既述のとおり、前記メモリに記憶された、前回BS1へ送信したACK/NACKの情報と、NDIと、データまたはプロセス番号との関係を確認し、BS1においてACK/NACKが正確に判定されたか否かを確認する(ステップS9)。
例えば、前回BS1へ送信したのがACKで、BS1からの受信NDIが再送を示し、受信データ又はそのプロセス番号が前回の受信データ又はプロセス番号と同じであった場合、UE5がACKを送信したにも関わらず、BS1はNACKと判断して同じデータを再送してしまったと判断する。
【0075】
逆に、前回送信したのがNACKで、受信NDIが新規送信を示し、受信データ又はそのプロセス番号が前回の受信データ又はプロセス番号と同じであった場合、UE5がNACKを送信したにも関わらず、BS1はACKと判断して新規データを送信してしまったと判断する。
このようなACK/NACK誤判定が生じたと判断した場合、ACK/NACK誤判定検出部56は、再送制御部58aに対して、ACK/NACK誤判定発生を通知する。この通知を受けた再送制御部58aは、前回のACK/NACK送信時(ステップS5)の送信電力値Pt-1を補正して今回のACK/NACK送信電力値Ptを求める(ステップS10)。
【0076】
例えば、ACK/NACK信号生成部58で生成された今回のACK/NACKの送信電力値Ptは、前回(新規送信時及び1回目の再送時)のACK/NACK送信電力値Pt-1よりも大きくする。このとき、好ましくは、送信電力増加による干渉の影響が許容される範囲で、かつ、ACK/NACK伝送特性が改善されるように、制御するのが好ましい。例えば、0.5dBステップで増加させる。ただし、ACK送信時とNACK送信時とで異なるステップ幅としてもよい。
【0077】
また、ACKとNACKのいずれかに応じて減少制御を行なうこともできる。例えば、NACKがBS1でACKと誤判定された場合には、受信データ欠落が発生するから、これをできるだけ回避するなら、NACKの送信電力値を増加し、ACKの送信電力値は減少させる制御が可能である。逆に、ACKがBS1でNACKと誤判定された場合には、BS1から無駄な送信が行なわれることになるから、これをできるだけ回避するなら、ACKの送信電力値を増加し、NACKの送信電力値は減少させる制御が可能である。
【0078】
さらに、このようなACK/NACK送信電力制御を行なった後、再度、ACK/NACK誤判定が検出された場合(ACK/NACK伝送特性が改善されない)には、第19実施形態にて後述するごとく、前回の送信電力値の制御量(ステップ幅)よりも大きな制御量で今回の送信電力値を制御することもできる。
なお、ACK/NACK送信電力値は、上りデータチャネル(DPCH)の送信電力値に対するオフセット値(制御量)として表すことができる。この場合、送信電力制御部57は、当該オフセット値を制御することで、ACK/NACK送信電力値(HS−DPCCH送信電力値)を制御することが可能となる。また、前記上りDPCHの送信電力値を制御することで、間接的にACK/NACK送信電力値を制御することも可能である。もっとも、オフセット値を用いずに、ACK/NACKの伝送に用いるHS−DPCCHの送信電力値を直接的に制御することも可能である。これらの点は、以降の説明においても同様である。
【0079】
前記オフセット値は、好ましくは、BS1において、複数のUE5から、ある時間に送信されるパイロット信号や、ACK/NACK、DPCHの伝送特性(例えばCIRやSIR)などを用いて干渉を算出し、当該干渉が閾値以下となる(前記干渉の影響が許容される範囲の)オフセット値を算出し、各UE5に対して事前に通知する。
つまり、UE5でのACK/NACKの送信電力制御は、UE5が算出した送信電力値や送信電力補正値に基づいて実施してもよいし、BS1が算出した送信電力値や送信電力補正値をUE5が受信することにより実施してもよい(以降の説明においても同様)。
【0080】
以上のようにして再送制御部58aは、ACK/NACK送信電力値Ptを求め、これを送信電力制御部57に通知する。送信電力制御部57は、通知されたACK/NACK送信電力値Ptを基に送信無線部61のアンプゲインや信号振幅を調整することにより、ACK/NACK信号生成部58にて生成された今回BS1へ送信(返信)すべきACK/NACK信号の送信電力を制御する。
【0081】
即ち、ACK/NACK信号生成部58で生成されたACK/NACK信号は、符号化部59にて符号化され、変調部60にて変調された後、送信無線部61にて前記所定の送信無線処理を施されて前記送信電力値Ptにて、アンテナ51を介してBS1に向けて送信され(ステップS11)、BS1で受信される(ステップS12)。
なお、図16に示す例では、1回目のデータ送信(実際には新規送信:ステップS2)後の、CRCによる誤り有無の確認(ステップS3)後、ACK/NACK送信電力を算出(ステップS4)しているが、両者(ステップS3とステップS4)の間でACK/NACK誤判定検出部56による検出処理を実施してもよい。ただし、新規送信であるため、誤判定はないと判断される。
【0082】
以上のように、本実施形態によれば、ACK/NACK誤判定が検出されると、ACK/NACKの送信電力を制御するので、ACK/NACK伝送特性を改善してACK/NACK誤判定の発生率を低減することができ、これにより、スループットを改善することができる。
なお、上述した実施形態では、ACK/NACKの送信条件の一つである送信電力を制御することでACK/NACK伝送特性の改善を図っているが、前記送信条件には、例えば、変調方式や符号化率などの送信方法が含まれることとして、変調方式の多値数を制御(小さく)したり、符号化率を制御(低下)したりすることで、ACK/NACK伝送特性の改善を図るようにしてもよい。この機能は、UE5の送信電力制御部57と兼用としてもよいし、UE5に送信方法制御部として個別にそなえることとしてもよい。これらの点は、以下に述べる実施形態においても同様である。
【0083】
また、以降の実施形態の説明において、ACK/NACK誤判定の例として、BS1がACKをNACKと解釈した場合、逆に、NACKをACKと解釈した場合のいずれか一方にしか言及しない場合があったとしても、いずれか一方にしか対応できないことを意味するものではない。特に断らない限り、既述のACK/NACK誤判定のすべてに対応することができる。
【0084】
〔2〕第2実施形態
(HSDPAシステムへの適用)
図4は本発明の第2実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図であり、図5は本発明の第2実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、図4に示すBS1と図5に示すUE5とで無線通信システム、ここではHSDPAシステムが構成される。なお、本例においても、BS1及びUE2はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0085】
(BSの説明)
図4に示すBS1は、例えば、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、拡散部12aと、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、逆拡散部16aと、復調部16と、復号部17と、ACK/NACK抽出部18と、再送制御部19と、スケジューラ20と、制御信号生成部21と、CQI抽出部22と、上りパイロット電力算出部24と、送信電力制御部25とをそなえる。
【0086】
ここで、送信バッファ10は、UE5宛の送信データをバッファするものであり、符号化部11は、UE5宛の送信データ及び制御信号生成部21で生成された制御信号(パイロット信号、プロセス番号、NDI、TPC信号等)を所定の符号化(誤り訂正符号化)方式にて符号化するものである。なお、ここでの制御信号には、HS−DSCHの送信に関する制御信号が含まれ、HS−SCCHを用いて伝送される。また、パイロット信号には、下り共通パイロット信号と、下り個別パイロット信号とが含まれる。下り共通パイロット信号は、CPICHで伝送され、下り個別パイロット信号は、DPCHを用いて伝送される。
【0087】
変調部12は、この符号化部12で符号化された信号を所定の変調方式(例えば、QPSKや16QAM等)で変調するものである。
拡散部12aは、変調部12で変調された信号を所定の拡散コードを用いて拡散するものである。
送信無線部13は、この拡散部12aで拡散された信号に対して、DA変換や無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、送信電力への電力増幅等の所定の送信無線処理を施すものである。
【0088】
アンテナ14は、送信無線部13で得られた無線信号をUE5に向けて送信する一方、UE5から送信された無線信号を受信して受信無線部15へ出力するものである。
受信無線部15は、アンテナ14で受信された信号に対して、低雑音増幅、ベースバンド信号への周波数変換(ダウンコンバート)、AD変換などの所定の受信無線処理を施すものである。
【0089】
逆拡散部16aは、前記受信無線処理を施された受信信号について前記所定の拡散コードのレプリカを用いて逆拡散するものである。
復調部16は、前記逆拡散後の受信信号を送信側(UE5)での変調方式に対応した復調方式で復調するものである。
復号部17は、この復調部16で復調された受信信号を送信側(UE5)での符号化方式に対応した復号方式で復号するものである。
【0090】
ACK/NACK抽出部18は、復号部17による復号結果から、UE5が送信したACK/NACK信号を抽出するものである。
再送制御部19は、このACK/NACK抽出部18による抽出結果(ACKかNACKか)に応じてスケジューラ19を制御して新規又は再送データの送信制御を行なうものである。
【0091】
スケジューラ20は、UE5宛の下り信号(送信データ、制御信号)の送信をスケジューリングするものである。即ち、再送制御部19からの制御及びCQI抽出部22で抽出されたCQIに基づいて、制御信号生成部21での制御信号の生成を制御するとともに、データの送信条件(データサイズ、変調方式、符号化方法、符号化率、プロセス番号等)を決定し、その決定に応じて、選択UE5宛データの送信バッファ10からの読み出し、符号化部11での符号化パラメータ(符号化方法、符号化率など)や変調部12での変調方式を制御する。
【0092】
制御信号生成部21は、スケジューラ20及び送信電力制御部25からの制御の下、UE5宛の制御信号(パイロット信号、プロセス番号、NDI、TPC信号等)を生成するものである。
CQI抽出部22は、復号部17による復号結果から、UE5が送信したCQIを抽出するものである。抽出されたCQIは、スケジューラ20に伝達され、当該CQIに応じた前記符号化パラメータの制御が、スケジューラ20によって実施される。
【0093】
上りパイロット電力算出部24は、逆拡散部16aによる逆拡散結果のパイロット信号成分(上りDPCHで伝送されるパイロット信号)の受信電力を測定(算出)するものである。得られた受信電力値は、送信電力制御部25に伝達され、当該受信電力値に基づく下り送信電力制御が、送信電力制御部25によって実施される。
送信電力制御部25は、送信無線部13におけるアンプゲインや信号振幅を制御することにより下り送信電力を制御するものである。例えば、上りパイロット電力算出部24で得られた前記受信電力値を基準にした、RNC等の上位装置からの送信電力制御信号に応じた下り送信電力制御を行なう。
【0094】
(UEの説明)
一方、図5に示すUE5は、例えば、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえる。
【0095】
ここで、アンテナ51は、BS1から送信された無線信号(下り信号)を受信して受信無線部52に出力する一方、送信無線部61により得られた無線信号(上り信号)をBS1に向けて送信するものである。
受信無線部52は、アンテナ51からの受信無線信号に対して、低雑音増幅、ベースバンド信号への周波数変換(ダウンコンバート)、AD変換などの所定の受信無線処理を施すものである。
【0096】
逆拡散部53aは、受信無線部52からの受信下り信号をBS1側で用いた拡散コードのレプリカを用いて逆拡散するものである。
復調部53は、この逆拡散後の受信信号を送信側(BS1)での変調方式に対応した復調方式で復調するものである。
復号部54は、この復調部53で復調された受信信号を送信側(BS1)での符号化方式に対応した復号方式で復号するものである。
【0097】
制御信号抽出部55は、復号部54による復号結果から制御信号を抽出するものである。
誤り検出部58bは、第1実施形態と同様にして、復号部54にて復号された受信データのCRCを確認(CRC演算)することにより、受信データの誤りの有無を検出するものである。
【0098】
ACK/NACK誤判定検出部56は、前記の第1実施形態と同様の判定手法により、BS1でACK/NACKの誤判定が生じたことを検出する機能を具備する。
送信電力制御部57は、第1実施形態と同様に、再送制御部58aと協働し、前記ACK/NACK誤判定検出部56での検出結果に基づいて送信無線部61を制御してBS1へのACK/NACKの送信電力を制御するものである。なお、当該送信電力制御は、例えば、送信無線部61の図示しない電力増幅器のゲインや信号振幅を調整することで実施する。
【0099】
再送制御部58aは、BS1に対するACK/NACK信号の送信(再送処理)を制御するもので、第1実施形態と同様に、ACK/NACK誤判定検出部56にてACK/NACK誤判定が検出された場合に、ACK/NACK信号の送信電力を制御する情報(例えば、ACK/NACKの送信電力値や送信電力補正値)を求める(算出する)機能を具備する。
【0100】
ACK/NACK信号生成部58は、復号部54による復号結果のCRCを確認し、その結果が誤り無しであればOKと判断しACKを、誤り有りであればNGと判断しNACKを生成するものである。
符号化部59は、BS1への上り信号(BS1宛の送信データ、ACK/NACK等)を所定の符号化方式で符号化するものである。
【0101】
変調部60は、符号化部59で符号化された上り信号を所定の変調方式(QPSKや16QAM等)で変調するものである。
拡散部60aは、この符号化部59からの上り符号化信号を所定の拡散コードで拡散するものである。
送信無線部61は、前記変調後の上り信号に対して、DA変換や無線周波数への周波数変換(アップコンバート)、送信電力への電力増幅等の所定の送信無線処理を施すものである。
【0102】
CQI測定部62は、逆拡散部53aによる逆拡散結果の下り共通パイロット信号(CPICH)成分を基に下り受信品質情報(CQI)を測定するものである。
CQI信号生成部63は、このCQI測定部62での測定結果からBS1に報告すべきCQI値を生成するものである。
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたHSDPAシステムの動作(ACK/NACK送信電力制御)について、図6に示すシーケンス図を用いて説明する。
【0103】
HSDPAシステムでは、BS1(Node B)からUE5に対してデータを伝送するための下りデータチャネルであるHS−DSCH(High Speed - Downlink Shared CHannel)を用いて下り高速パケット伝送を行なう。あるUE5に対してHS−DSCHを用いてパケット伝送を実施する場合を考える。
まず、BS1では、制御信号生成部21にて共通パイロット信号(制御信号)を生成し、これを変調部12で変調し、拡散部12aで所定の拡散コードを用いて拡散し、送信無線部13で前記送信無線処理し送信電力を調整し、アンテナ14からUE5に向けて共通パイロットチャネルであるCPICH(Common Pilot CHannel)の信号として送信する(ステップS21)。なお、CPICHの送信電力は一定である。
【0104】
このCPICH信号を受信したUE5は、当該CPICH信号について、受信無線部52でベースバンド信号へのダウンコンバート等を含む所定の受信無線処理を施し、逆拡散部53aにてBS1側で用いた前記拡散コードのレプリカを用いて逆拡散する。その逆拡散結果を基に、CQI測定部62にて、CPICHの信号電力が測定され、その測定結果に基づいて下り無線回線品質の指標であるCQIが測定、算出される(ステップS22)。
【0105】
得られたCQIは、CQI信号生成部63に伝達され、CQI信号生成部63にて、HSDPAにおける所定の上り信号フォーマットに従ったCQI信号が生成される。そして、当該CQI信号は、符号化部59にて符号化され、変調部60にて変調され、拡散部60aにて拡散された後、送信無線部61にて所定の無線送信処理を施されてアンテナ51からBS1に向けて送信される。その際、CQI信号は、上り個別制御チャネルであるHS−DPCCH(High Speed-Dedicated Physical Control CHannel)を用いて送信される(ステップS23)。
【0106】
このCQI信号の送信電力は、HS−DSCHとともに設定される上り個別チャネルであるUL−DPCH(Dedicated Physical CHannel)の送信電力値に一定のオフセットを加えた電力値とすることができる。UL−DPCHの送信電力値は、下り個別チャネルであるDL−DPCH(またはA−DPCH)で伝送される送信電力制御信号であるTPC(Transmission Power Control)信号を用いて、上りDPCHのSIRが一定となるよう制御された値である。
【0107】
一方、BS1では、アンテナ14を介してHS−DPCCHの信号を受信し、受信無線部15にてベースバンド信号へのダウンコンバート等を含む所定の受信無線処理を施し、逆拡散部16aにて逆拡散し、復調部16にて復調し、復号部17にて復号した後、CQI抽出部22でCQIを抽出し、抽出したCQIをスケジューラ20へ伝達する(ステップS24)。
【0108】
スケジューラ20には、BS1のサービスエリア(無線エリア)に位置する複数のUE5からのCQIが集約される。スケジューラ20は、例えばCQI値の順に送信を行なうべき対象のUE5を選択し、そのUE5への送信方法(データサイズ、変調方式、符号化方法、プロセス番号等)を決定する。また、スケジューラ20は、決定した情報(制御情報)に新規送信か再送かを示す指標(NDI)を加え、制御信号生成部21に制御信号を生成させる。また、スケジューラ20は、送信データに対してプロセス番号を生成する。
【0109】
HSDPAシステムでは、最大6チャンネルストップアンドウェイト方式のHARQ(Hybrid ARQ)を行なっており、それぞれのHARQに対してプロセス番号(最大8)を規定し、このプロセス番号を用いて再送するデータを特定(識別)することができる。
この制御信号は、符号化部11にて符号化され、変調部12にて変調され、拡散部12aにて拡散された後、送信無線部13にてアップコンバートや送信電力調整等を含む前記所定の送信無線処理を施されて、アンテナ14からUE5に向けて伝送される(ステップS25)。この制御信号の伝送には、下り共通制御チャネルであるHS−SCCH(High Speed - Shared Control CHannel)が用いられる。この際のHS−SCCHの送信電力値は、例えば、下りA−DPCH送信電力値に対して一定のオフセットを与えた送信電力値とする。ただし、送信するUE5に関わらず一定の送信電力値としてもよい。
【0110】
続いて、BS1は、スケジューラ20で選択したUE5に対して、前記決定した送信方法に従って送信データを選択し、選択UE5宛の送信データを送信バッファ10から符号化部11へ読み出すとともに、この送信データに対して符号部11でCRCを付加し、符号化する。
符号化された送信データは、変調部12にて変調され、拡散部12aにて拡散された後、送信無線部13にて所定の送信無線処理を施された上で、アンテナ14を介して、HS−DSCHの信号としてUE5に向けて送信される(ステップS26)。この際のHS−DSCH送信電力値は、例えば、下りA−DPCH送信電力値に対して一定の電力オフセット値とCQIとによって決められた電力オフセット値を基にして算出した送信電力値とする。
【0111】
一方、UE5は、アンテナ51を介して、前記HS−SCCHの信号を受信し、受信無線部52にて所定の受信無線処理を施し、逆拡散部53aにて逆拡散し、復調部53にて復調し、復号部54にて復号して、制御信号抽出部55にて制御信号を得る。UE5は、この制御信号に従い、受信系(復調方式、復号方式などの受信パラメータ)の設定を行なう。また、プロセス番号とNDIとを抽出し、前記メモリ等に記憶する。
【0112】
続いて、UE5は、HS−DSCHの信号を受信し、受信無線部52にて所定の受信無線処理を施し、HS−SCCHで受信した制御情報を基に、逆拡散部53aにて逆拡散し、復調部53で復調し、復号部54で復号する。また、誤り検出部58bにおいて、ヘッダを含んだデータに対して、付加されたCRCを基に誤りの有無を確認する(ステップS27)。
【0113】
その結果、誤りがない場合はACK/NACK信号生成部58にてACK信号を生成し、誤りがある場合はACK/NACK信号生成部58にてNACK信号を生成する。この結果は、プロセス番号及びNDIと関連付けて前記メモリ等に記憶される(ステップS28)。なお、HS−DSCHを受信していない場合は、ACK/NACK信号は生成せず、送信も行なわない。ただし、信号がない場合の値を0として扱う。
【0114】
前記生成されたACK/NACK信号は、符号化部59にて符号化され、変調部60にて変調され、拡散部60aにて拡散された後、送信無線部61にて送信電力調整を含む所定の送信無線処理を施された上で(ステップS29)、アンテナ51からBS1に向けて送信される(ステップS30)。その際、好ましくは、上りDPCHの送信電力値に対して、一定のオフセット値をもたせ、このオフセット値を反映した送信電力値にてUE5からBS1に対しHS−DPCCHの伝送を行なう。
【0115】
前記ACK/NACK信号を含むHS−DPCCH信号を受信したBS1は、当該信号について、受信無線部15にて所定の受信無線処理を施し、逆拡散部16aにて逆拡散し、復調部16にて復調し、復号部17にて復号する。その復号結果から、ACK/NACK抽出部18にてACK/NACK信号が抽出され、スケジューラ20に伝達される(ステップS31)。
【0116】
また、BS1は、前記ステップS21と同様にして、CPICH信号をUE5に向けて送信し(ステップS32)、UE5は、前記ステップS22,S23と同様にして、当該CPICH信号に基づいてCQIを測定し(ステップS33)、その測定結果をBS1に送信(報告)する(ステップS34)。
BS1は、スケジューラ20において、報告されたCQI値に基づいて前記ACK/NACK信号を受信したUE5に対する送信を決定した場合(ステップS35)、ACK信号を受信していれば、新たなデータを選択し新規送信として、既述の送信信号処理を行ないUE5に対して新規送信を行なう。NACK信号を受信していれば、送信済みの同じデータについて既述の送信信号処理を行ない、UE5に対して再送を行なう(ステップS38)。なお、かかるデータの新規送信及び再送に先立って、BS1は、前記ステップS25と同様に、送信方法等の制御信号をHS−SCCHを用いてUE5へ伝送する(ステップS36)。
【0117】
このHS−SCCH信号を受信したUE5は、既述の受信信号処理を実施する。その際、ACK/NACK誤判定検出部56にて、前記再送制御部に記憶した前回受信時のプロセス番号及びNDIと、今回のプロセス番号及びNDIとを比較してACK/NACKの誤判定の有無を確認する(ステップS37,S39,S40)。
好ましくは、ACK/NACK誤判定検出部56は、次表3に示すようなACK/NACK送信正誤表をテーブル形式のデータ等として図示しないメモリに保持し、当該正誤表に基づき、ACK/NACK誤判定の有無を検出する。
【0118】
【表3】

【0119】
即ち、この表3において「正」となった場合、UE5は、そのまま伝送を継続する。一方、「誤」となった場合は、BS1において、UE5からのACK返信をNACKとして受信したか、UE5からのNACK返信をACKとして受信したかのどちらかである。
そこで、前記表3において「誤」となる場合に対して、新たな送信電力制御を追加することによってACK/NACK伝送特性の改善を行なう。なお、表3において「正」となる場合には、例えば、下記の(11)式に示すように、上りDPCH送信電力値PUL-DPCHに対してオフセット電力値PHS-DPCCH_offsetを加えた電力値をACK/NACKの送信電力値とする。
【0120】
【数7】

【0121】
ここで、オフセット電力値PHS-DPCCH_offsetは、次の(12)式及び(13)式により、ACKとNACKとで個別に決めることができる。もっとも、ACKとNACKとで共通の値にしてもよい。
【0122】
【数8】

【0123】
BS1(又はその上位装置であるRNC)において、前記誤判定が発生した場合の補正値(送信電力補正情報)PHS-DPCCH_cを生成し制御信号としてBS1からUE5に対して事前に通知する。この制御信号は、下りの制御チャネル、好ましくは、下りA−DPCHや下りDPCH、HS−SCCHを使用して伝送することができる。
また、このACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cは、例えば0.5dB固定とする。なお、−0.5dBと負の値を設定してもよい。即ち、下記の(14)式及び(15)式、又は、下記の(16)式及び(17)式、又は、下記の(18)式及び(19)式、又は、下記の(20)式及び(21)式としてもよい。つまり、ACKとNACKとで送信電力を個別に制御することができる。
【0124】
【数9】

【0125】
【数10】

【0126】
【数11】

【0127】
【数12】

【0128】
このACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cを受信したUE5(送信電力制御部57)は、前記表3で「誤」とACK/NACK誤判定検出部56が判断した場合、第1実施形態と同様に、ACK/NACK伝送時の送信電力値を補正(制御)する(ステップS41)。その際、例えば、下記の(22)式に示すように、上りDPCH送信電力値PUL-DPCHと、オフセット送信電力値PHS-DPCCH_offsetと、ACK/NACK補正値PHS-DPCCH_cとを加算することで、ACK/NACK伝送時(ステップS42)の送信電力値P'ACK/NACKを算出する。
【0129】
【数13】

【0130】
以上により、BS1においてACK/NACK誤判定が生じた場合の、UE5からBS1へ送信するACK/NACKの伝送特性を改善することが可能となり、以降のBS1でのACK/NACK誤判定の発生率を低減することが可能となる(ステップS43)。したがって、下りデータの欠落や、BS1からUE5への無駄な下り伝送を削減することが可能となり、下りスループットを改善することができる。
【0131】
また、セル端や高速移動などの無線環境に変化がない場合において、ACK/NACK誤判定が繰り返し生じてしまうことも回避できる。
さらに、エンハンスドHSDPシステムにおけるようなプレ/ポスト信号をACK/NACKに付加する必要がないため、ACK/NACK送信に必要な電力を低く抑えることが可能となり、低消費電力化が可能となる。
【0132】
なお、図6に示す例では、ACK/NACK誤判定を、プロセス番号と、前回のACK/NACK信号と、NDIとを用いて実施しているが、プロセス番号と、前回のACK/NACK信号と、受信した下りデータの内容を比較した結果で新規送信か再送かを判断した結果とを用いて実施することも可能である。
再送であることを判断する方法としては、前回と今回の受信データを比較し、完全一致している場合に再送と判断してもよいし、閾値を設定し、受信データがその閾値以上一致していた場合に再送と判断してもよい。
【0133】
また、上述した例では、BS1(又はその上位装置)において前記補正値PHS-DPCCH_cを生成することとしているが、UE5の例えば送信電力制御部57において補正値PHS-DPCCH_cを生成してもよい。
〔3〕第3実施形態
(ACK/NACK誤判定通知)
図7は本発明の第3実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図であり、図8は本発明の第3実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、図7に示すBS1と図8に示すUE5とで無線通信システム、ここではHSDPAシステムが構成される。なお、本例においても、BS1及びUE2はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0134】
(BSの説明)
図7に示すBS1は、第2実施形態で図4に示したBS1におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、拡散部12aと、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、逆拡散部16aと、復調部16と、復号部17と、ACK/NACK抽出部18と、再送制御部19と、スケジューラ20と、制御信号生成部21と、CQI抽出部22と、上りパイロット電力算出部24と、送信電力制御部25とをそなえるほか、ACK/NACK誤判定信号(ACK/NACKエラー信号)抽出部23をそなえる。
【0135】
ここで、ACK/NACK誤判定信号抽出部23は、復号部17による復号結果から、UE5から送信されてきたACK/NACKエラー信号を抽出するものである。抽出したACK/NACKエラー信号は、送信電力制御部25に伝達され、当該ACK/NACKエラー信号に応じた、UE5からのACK/NACK信号の送信電力制御(上り送信電力制御)が、送信電力制御部25によって実施される。
【0136】
(UEの説明)
一方、図8に示すUE5は、第2実施形態で図4に示したBS1におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえるほか、ACK/NACKエラー信号生成部64をそなえる。
【0137】
このACK/NACKエラー信号生成部(通知手段)64は、ACK/NACK誤判定検出部56にて、第1及び第2実施形態で述べたように、BS1においてACK/NACK誤判定が生じたと判断された場合に、その旨(ACK/NACK誤判定の判定結果)をBS1に通知する信号(ACK/NACKエラー信号)を生成するものである。この信号は、単に誤判定の発生を通知する信号としてもよいが、好ましくは、既述の誤判定の内容(状態)を示す信号とする。例えば次表4に示すように4ビットの信号として定義することができる。
【0138】
【表4】

【0139】
なお、当該ACK/NACKエラー信号は、符号化部59にて符号化され、変調部60にて変調され、拡散部60aにて拡散された後、送信無線部61にて所定の送信無線処理を施されて、アンテナ51からBS1に向けて送信される。
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたHSDPAシステムの動作(送信電力制御)について、図9に示すシーケンス図を参照しながら説明する。ただし、図9においてステップS21〜S41の処理は、前記第2実施形態で図6により説明したステップS21〜S41の処理と同一若しくは同様である。
【0140】
そして、第1及び第2の実施形態にて述べたのと同様に、BS1においてACK/NACK誤判定が生じたとUE5(ACK/NACK誤判定検出部56)が判断した場合、UE5は、ACK/NACKエラー信号生成部64によりACK/NACKエラー信号を生成してBS1に送信する(ステップS42a)。
即ち、ACK/NACKエラー信号生成部64は、前記表4に従ってACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerror)を生成し、これが、符号化部59にて符号化され、変調部60にて変調され、拡散部60aにて拡散された後、送信無線部61にて所定の送信無線処理を施されて、アンテナ51からBS1へ送信される。
【0141】
なお、当該ACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerror)は、HS−DPCCH(上り個別制御チャネル)の信号としてBS1へ送信してもよいし、上りDPCH(上り個別チャネル)やUL−SCCH(上り共有制御チャネル)、UL−CCCH(上り共通制御チャネル)、UL−SCH(上り共通データチャネル)の信号として送信してもよい。また、ACK/NACK誤判定が生じたHS−DSCHデータ(下りデータチャネルで伝送されたデータ)を特定するために、そのプロセス番号を付加してBS1へ送信してもよい。
【0142】
また、当該ACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerror)の送信タイミングは、図9に示すように、補正後の送信電力値P'ACK/NACKでのACK/NACK信号の送信(ステップS42)前でもよいし、当該ACK/NACK信号の送信後でもよい。
さらには、当該ACK/NACK送信は行なわずに、OLE_LINK3ACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerrorOLE_LINK3)のみを送信することとしてもよい。
【0143】
一方、BS1は、UE5から前記ACK/NACKエラー信号を受信すると、これがACK/NACK誤判定信号抽出部23にて抽出されて、送信電力制御部25に伝達される。送信電力制御部25は、当該ACK/NACKエラー信号の内容(前記表4による定義)に基づいて、再送または新規送信を実施する。
また、BS1は、第1及び第2実施形態と同様にして、上りACK/NACKの送信電力制御を行なって、上りACK/NACK伝送特性の改善を行なう。例えば、第2実施形態と同様に、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c(あるいは、ACK/NACK送信電力値PACK/NACK)をUE5に通知する。
【0144】
以上のように、本例では、第1及び第2実施形態で述べたようにUE5にてACK/NACK誤判定が検出されると、当該UE5からBS1に対してACK/NACKエラー信号を通知するので、BS1は、ACK/NACKを誤判定したことを認識することが可能となる。したがって、以降のUE5宛の下りデータの欠落や無駄な下り伝送を削減することができる。また、上りACK/NACKの送信電力制御を容易に行なうことができる。
【0145】
なお、上述したUE5における動作は、BS1に適用してもよい。即ち、UE5からBS1への上りデータ送信に対する下りACK/NACK送信に対して前記ACK/NACK送信電力制御(補正)を実施してもよい。
〔4〕第4実施形態
(他UEの上り信号を基にオフセット補正値をUEに通知)
図10は本発明の第4実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図で、この図10に示すBS1と、図5又は図8に示したUE5とで無線通信システム(HSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE2はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0146】
図10に示すBS1は、第2実施形態で図4に示したBS1におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、拡散部12aと、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、逆拡散部16aと、復調部16と、復号部17と、ACK/NACK抽出部18と、再送制御部19と、スケジューラ20と、制御信号生成部21と、CQI抽出部22と、上りパイロット電力算出部24と、送信電力制御部25とをそなえるほか、干渉測定部26をそなえる。
【0147】
なお、BS1の通信相手として図8に示した構成(ACK/NACKエラー信号生成部64)を具備するUE5が含まれる場合には、図7に示したACK/NACK誤判定信号(ACK/NACKエラー信号)抽出部23もそなえられ、その機能、動作は第3実施形態にて既述の機能、動作と同一若しくは同様である。
ここで、干渉測定部26は、逆拡散部16aによる逆拡散結果から、UE5からBS1に伝送されたACK/NACK信号が、他のUE5が送信したACK/NACK信号に対して及ぼす影響(干渉)を測定するものである。その測定結果は、送信電力制御部25に伝達される。前記干渉は、上り信号、例えば、ある時間にUE5から送信される上りパイロット信号や、上りACK/NACK、上りDPCHの伝送特性(CIRやSIR等)を用いて測定することが可能である。
【0148】
そして、本例の送信電力制御部25は、前記干渉測定部26による測定結果を基に、前記ACK/NACK信号を受信したUE5または全てのUE5に対するACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cを算出して、当該補正値PHS-DPCCH_cを含む下り制御信号を制御信号生成部21に生成させる機能を具備する。なお、この制御信号も、下り制御チャネル、好ましくは、下りA−DPCHや下りDPCH、HS−SCCHを使用して伝送することができる。
【0149】
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたHSDPAシステムの動作(ACK/NACK送信電力制御)について、図11に示すシーケンス図を参照しながら説明する。ただし、図11において、ステップS31a,S31b,S31c,S41a,S43a,S43b,S43cを除いたステップS21〜S43の処理は、特に断らない限り、第2実施形態で図6により説明したステップS21〜S41の処理と同一若しくは同様であるから、以下では、ステップS31a,S31b,S31c,S41a,S43a,S43b,S43cに着目した動作を中心に説明する。
【0150】
本例のBS1は、UE5から送信されたACK/NACK信号(あるいは、第3実施形態で述べたACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerror))を受信すると(ステップS31,S43)、上りACK/NACK信号のSIRを干渉測定部27にて測定する(ステップS31a,S43a)。
そして、BS1の送信電力制御部25は、その結果を基に前記ACK/NACK信号を受信したUE5または全てのUE5に対するACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cを算出する(ステップS31b,S43b)。
【0151】
その算出方法としては、例えば、上りACK/NACK信号のSIRに関して閾値SIRthを設定し、当該閾値SIRthを超えないようACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cを決定することが考えられる。
また、例えば、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cの初期値を0.5dBとし、制御を繰り返し、閾値SIRthを超えない範囲でACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cが最大値をとるように制御を行なってもよい。
【0152】
さらには、ACKとNACKとで個別にオフセット電力値PHS-DPCCH_offsetを設定する場合には、上りACK/NACK信号のSIRに関して2つの閾値SIRth_upと閾値SIRth_downとを設定し、前記(5)式及び(6)式におけるΔACK及びΔNACKの制御を行ない、それぞれの閾値に近づくよう制御を繰り返してもよい。
BS1は、その後、上述のごとく求めたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cを含む下り制御信号を、制御信号生成部21に生成させて、符号化部11、変調部12、拡散部12a、送信無線部13、アンテナ14を通じて、当該UE5または全てのUE5に対して送信(通知)する(ステップS31c,S43c)。
【0153】
UE5は、既述のとおりのACK/NACK誤判定の有無を確認すると、BS1から通知された前記ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cを用いて、ACK/NACK送信電力制御を行なう(ステップS41a)。
例えば、UE5(ACK/NACK誤判定検出部56)においてACK/NACK誤判定を検出した場合、送信電力制御部57が、BS1から通知されたOLE_LINK1前記ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cOLE_LINK1を、ACK/NACK送信電力値PACK/NACKに反映させて補正し、ACK/NACK送信電力値P′ACK/NACKとして、UE5からBS1に対して、ACK/NACK信号を送信する(ステップS43)。
【0154】
つまり、本例では、UE5から送信されたACK/NACK信号が、他UE5からBS1への送信に対して及ぼす干渉の影響を考慮したACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cをBS1にて算出し、当該補正値PHS-DPCCH_cをBS1からUE5に通知することで、UE5は、この補正値PHS-DPCCH_cを用いてACK/NACK送信電力制御を行なうのである。
【0155】
したがって、本例においても、上りACK/NACKの伝送特性を改善することが可能となり、以降のBS1でのACK/NACK誤判定の発生率を低減することができる。これにより、UE5宛の下りデータ欠落や無駄な下り伝送を削減することが可能となり、下りスループットを改善することができる。
また、エンハンスドHSDPAシステムにおけるようなプレ/ポスト信号をACK/NACKに付加する必要がないため、送信電力を低く抑えることが可能となり、低消費電力化が可能となる。
【0156】
さらに、ACK/NACK送信による上り干渉を低減することが可能となる。この結果、他の上り通信の伝送特性を改善することが可能となる。
なお、本例では、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cをBS1において算出してUE5に通知しているが、例えば、BS1からは干渉測定部26による測定結果をUE5に通知し、UE5(例えば、送信電力制御部57)において、当該通知された測定結果に基づきACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_cを算出するようにしてもよい
〔5〕第5実施形態
(BSにおけるCQIを利用した制御)
図12は本発明の第5実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図で、この図12に示すBS1と、図5又は図8に示したUE5とで無線通信システム(HSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0157】
図12に示すBS1は、第2実施形態で図4に示したBS1におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、拡散部12aと、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、逆拡散部16aと、復調部16と、復号部17と、ACK/NACK抽出部18と、再送制御部19と、スケジューラ20と、制御信号生成部21と、CQI抽出部22と、上りパイロット電力算出部24と、送信電力制御部25とをそなえるほか、CQI記憶部27をそなえる。
【0158】
なお、本例においても、BS1の通信相手として図8に示した構成(ACK/NACKエラー信号生成部64)を具備するUE5が含まれる場合には、図7に示したACK/NACK誤判定信号(ACK/NACKエラー信号)抽出部23もそなえられ、その機能、動作は第3実施形態にて既述の機能、動作と同一若しくは同様である。
ここで、CQI記憶部27は、CQI抽出部22にて抽出されたCQI、即ち、UE5への下り送信(例えば、HS−DSCH送信)時(新規及び再送)に、スケジューラ20での送信対象のUE5の選択基準として使用されるCQIを記憶するものである。その記憶内容は、送信電力制御部25によって適宜参照される(読み出される)。
【0159】
そして、本例の送信電力制御部25は、CQI記憶部27に記憶された、複数回の下り送信にそれぞれ用いたCQIの差分CQIdiffを基に伝搬環境の変動を算出し、その差分CQIdiffに応じたACK/NACK送信電力補正値を求めて、下り制御信号としてUE5に送信する機能を具備する。なお、当該制御信号は、制御信号生成部21にて生成され、下りの制御チャネル、好ましくは、下りA−DPCHや下りDPCH、HS−SCCHを使用して伝送することができる。
【0160】
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたHSDPAシステムの動作(ACK/NACK送信電力制御)について、図13に示すシーケンス図及び図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。ただし、図13において、ステップS23a,S34a,S34b,S34cを除いたステップS21〜S43の処理は、特に断らない限り、第2実施形態で図6により説明したステップS21〜S41の処理と同一若しくは同様である。また、ステップS41aの処理は、図11により説明した処理と同一若しくは同様である。以下では、ステップS23a,S34a,S34b,S34cに着目した動作を中心に説明する。
【0161】
即ち、UE5は、既述のとおり、BS1から受信された下りパイロット信号を基にCQIを測定してBS1へ送信するが(図13のステップS22,S23,S33,S34)、BS1では、当該CQIがCQI抽出部22にて抽出されて、CQI記憶部27に逐次記憶される(ステップS23a,S34a)。なお、図13においては、UE5が1回目に送信したCQIをCQI、2回目に送信したCQIをCQIとしている。
【0162】
そして、BS1では、送信電力制御部25にて、これらのCQIとCQIとの差分CQIdiffを求め、当該差分CQIdiffに応じたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c2(=δ)を求め(ステップS34b)、これを下り制御信号にてUE5に送信する(ステップS34c)。
なお、図13では、この制御信号の送信をスケジューリング(ステップS35)の前に実施しているが、スケジューリングの後としてもよい。好ましくは、下りデータ送信(HS−DSCH)に対する上りACK/NACK送信(ステップS42)前までに、当該制御信号の送信を行なえばよい。
【0163】
ここで、BS1での当該ACK/NACK送信電力補正方法について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、ACK/NACK誤判定の有無に関わらず、BS1においてACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c2を算出し、UE5へ通知する場合を想定する。
BS1には、送信電力制御部25において、CQIの差分CQIdiffに関する閾値CQIdiff_thが図示しないメモリ等に予め設定される(ステップS51)。
【0164】
その後、送信電力制御部25は、CQI記憶部27から、前回のHS−DSCH送信に用いた下りCQIと、その次のHS−DSCH送信に用いた下りCQIとを読み出し(ステップS52,S53)、下記の(23)式により、これらの差分CQIdiffを求める(ステップS54)。なお、この差分CQIdiffが大きいほど、伝搬環境の変動が大きいと判断することができる。
【0165】
【数14】

【0166】
そこで、送信電力制御部25は、前記差分CQIdiffと前記閾値CQIdiff_thとを比較して、差分CQIdiffが閾値CQIdiff_thを超えている(CQIdiff>CQIdiff_th)か否かを確認し(ステップS55)、超えていれば、伝搬環境の変動(劣化)が大きいため、通常の上りDPCH電力制御をベースとしたHS−DPCCH送信電力値では、ACK/NACK誤判定が生じると判断して、差分CQIdiffに対応したACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c2をδとする(ステップS55のYESルートからステップ
S56)。
【0167】
一方、差分CQIdiffが閾値CQIdiff_th以下である(CQIdiff≦CQIdiff_th)場合、送信電力制御部25は、伝搬環境の変動(劣化)が小さいため、通常の上りDPCH電力制御をベースとしたHS−DPCCH送信電力値でも、ACK/NACK誤判定は生じないと判断して、差分CQIdiffに対応したACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c2を好ましくは0とする(ステップS55のNOルートからステップS57)。
【0168】
そして、送信電力制御部25は、得られたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c2を制御信号にてUE5に通知する(ステップS58)。なお、ACK/NACK送信電力値P″ACK/NACKを通知する場合は、下記の(24)式や(25式)により、ACK/NACK送信電力値P″ACK/NACKを求める(ステップS58)。
【0169】
【数15】

【0170】
即ち、得られたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c2をACK/NACK補正値PHS-DPCCH_cの一部として設定してもよいし、別なものとして設定してもよい。
そして、図13に示すように、BS1は、スケジューラ20にて、集約した各UE5からのCQIを基に、下り送信を行なう対象のUE5を選択(スケジューリング)し(ステップS35)、送信対象UE5への下り送信を開始する(ステップS36,S38)。
【0171】
UE5は、既述の実施形態と同様にACK/NACK誤判定を検出すると(ステップS37,S39,S40)、上述のごとくBS1から通知されたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c2(あるいは、送信電力値P″ACK/NACK)を基に、ACK/NACKの送信電力値を補正して、BS1へのACK/NACK送信を行なう(ステップS41,S42)。
【0172】
つまり、本例では、上りACK/NACKの伝送誤りが生じた場合、BS1において、UE5から通知された無線回線特性情報(CQI)を基に伝搬環境の変動を判断し、その変動に応じた、上りACK/NACKを伝送する際の送信電力補正値を算出し、これをUE5に通知し、この通知を受けたUE5が、当該補正値を基に上りACK/NACK送信の送信電力を制御する。
【0173】
したがって、第4実施形態と同様の効果ないし利点が得られるほか、ACK/NACK誤判定の発生率をさらに低減して、ACK/NACK伝送特性を改善することができる。
〔6〕第6実施形態
(UEにおけるCQIを利用した制御)
図15は本発明の第6実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、この図15に示すUE5と、図4又は図7又は図10に示したBS1とで無線通信システム(HSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0174】
図15に示すUE5は、第2実施形態で図5に示したUE5におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえるほか、CQI記憶部65をそなえる。
【0175】
ここで、CQI記憶部65は、CQI測定部62で測定されたCQIを記憶するものである。その記憶内容は、送信電力制御部57によって、適宜参照される(読み出される)。
そして、本例の送信電力制御部57は、このCQI記憶部65に記憶された、複数のCQI、好ましくは、ACK/NACK誤判定検出部56でのACK/NACK誤判定の検出前後のタイミングでのCQIに基づいて、ACK/NACK送信電力制御を行なう。例えば、ACK/NACK送信直前に測定したCQIと、ACK/NACK誤判定がACK/NACK誤判定検出部56にて検出された直後のACK/NACK送信直前のCQIとに基づいて、ACK/NACK送信電力制御を行なうことが可能である。
【0176】
つまり、第5実施形態ではBS1においてUE5から通知されたCQIを基にBS1が上りACK/NACKの送信電力制御を行なったのに対し、本例では、UE5において測定したCQIを基にUE5が上りACK/NACKの送信電力制御を行なう。
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたHSDPAシステムの動作(ACK/NACK送信電力制御)について、図16に示すシーケンス図及び図17に示すフローチャートを参照しながら説明する。ただし、図16において、ステップS23b,S34dを除いたステップS21〜S43の処理は、特に断らない限り、第2実施形態で図6により説明したステップS21〜S41の処理と同一若しくは同様である。また、ステップS41aの処理は、図11により説明した処理と同一若しくは同様である。以下では、ステップS23b,S34dに着目した動作を中心に説明する。
【0177】
即ち、UE5は、既述のとおり、BS1から受信された下りパイロット信号を基にCQIを測定してBS1へ送信するが(図16のステップS22,S23,S33,S34)、当該CQIをCQI記憶部65にそれぞれ記憶しておく(ステップS23b,S34d)。なお、本例(図16)においても、UE5が1回目に送信したCQIをCQI、2回目に送信したCQIをCQIとしている。
【0178】
そして、BS1は、スケジューラ20にて、集約した各UE5からのCQIを基に、下り送信を行なう対象のUE5を選択(スケジューリング)し(ステップS35)、送信対象UE5への下り送信を開始し(ステップS36,S38)、UE5は、既述の実施形態と同様にACK/NACK誤判定を検出すると(ステップS37,S39,S40)、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c3(あるいは、送信電力値)を算出して、補正したACK/NACKの送信電力値にて、BS1へのACK/NACK送信を行なう(ステップS41,S42)。
【0179】
ここで、UE5での当該ACK/NACK送信電力補正方法について、図17に示すフローチャートを用いて説明する。
UE5には、送信電力制御部57(再送制御部58aでもよい)において、CQIの差分CQIdiffに関する閾値CQIdiff_thが図示しないメモリ等に予め設定される(ステップS61)。
【0180】
その後、送信電力制御部57(あるいは再送制御部58a)は、CQI記憶部65から、ACK/NACK送信直前に測定したCQIと、ACK/NACK誤判定がACK/NACK誤判定検出部56にて検出された直後のACK/NACK送信直前のCQIとを読み出し(ステップS62,S63)、これらの差分CQIdiffを求める(ステップS64)。なお、本例においても、この差分CQIdiffが大きいほど、伝搬環境の変動が大きいと判断することができる。
【0181】
そこで、送信電力制御部57(あるいは再送制御部58a)は、前記差分CQIdiffと前記閾値CQIdiff_thとを比較して、差分CQIdiffが閾値CQIdiff_thを超えている(CQIdiff>CQIdiff_th)か否かを確認し(ステップS65)、超えていれば、伝搬環境の変動(劣化)が大きいため、通常の上りDPCH電力制御をベースとしたHS−DPCCH送信電力値では、ACK/NACK誤判定が生じると判断して、差分CQIdiffに対応したACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c3をδとして算出する(ステップS65のYESルートからステップS66)。
【0182】
一方、差分CQIdiffが閾値CQIdiff_th以下である(CQIdiff≦CQIdiff_th)場合、送信電力制御部57は、伝搬環境の変動(劣化)が小さいため、通常の上りDPCH電力制御をベースとしたHS−DPCCH送信電力値でも、ACK/NACK誤判定は生じないと判断して、差分CQIdiffに対応したACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c3を0とする(ステップS65のNOルートからステップS67)。
【0183】
そして、送信電力制御部57は、得られたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c3を基に、下記の(26)式や(27式)により、ACK/NACK送信電力値P″ACK/NACKを求める(ステップS68)。
【0184】
【数16】

【0185】
即ち、得られたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c3をACK/NACK補正値PHS-DPCCH_cの一部として設定してもよいし、別なものとして設定してもよい。
以上のように、本例では、受信側であるUE5がACK/NACK送信を行なった際の無線回線特性情報(CQI)を記憶しておき、送信側であるBS1におけるACK/NACK伝送誤りを検知した場合、記憶した以前のCQIと現状のCQIとを比較し、その比較結果を基にBS1へのACK/NACKを伝送する際の送信電力補正値を算出し、これを用いてACK/NACK送信を行なう。
【0186】
つまり、ACK/NACKの伝送誤りが生じた場合、受信側であるUE5において測定したCQI(無線回線特性)を基にACK/NACKを伝送する際の送信電力を制御する。したがって、第4実施形態と同様の効果ないし利点が得られるほか、この場合、UE5においてACK/NACK送信の直前に測定、算出したCQIを用いる、即ち、第5実施形態に比して、ACK/NACK送信に対して時間的により近いCQIを用いるため、第5実施形態に比して、ACK/NACK送信電力制御の制度を向上することができる。
【0187】
〔7〕第7実施形態
(UEにおけるACK/NACK送信電力値差分を用いた補正)
図18は本発明の第7実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、この図18に示すUE5と、図4又は図7又は図10に示したBS1とで無線通信システム(HSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0188】
図18に示すUE5は、第2実施形態で図5に示したUE5におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえるほか、ACK/NACK送信電力記憶部66をそなえる。
【0189】
ここで、このACK/NACK送信電力記憶部66は、BS1へのACK/NACK送信毎に、その時のACK/NACK送信電力値を記憶するものである。その記憶内容は、送信電力制御部57によって、適宜、参照される(読み出される)。
そして、本例の送信電力制御部57は、ACK/NACKの送信に際して、ACK/NACK送信電力値の差分に基づいてACK/NACK送信電力値の補正を行ない、送信電力制御を行なう機能を具備する。つまり、前記の第5及び第6実施形態では、CQIの差分を基に伝搬環境の変動を判断していたのに対し、本例では、ACK/NACK送信電力値の差分を基に伝搬環境の変動を判断する。なお、当該機能は、再送制御部58aに具備してもよい。
【0190】
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたHSDPAシステムの動作(ACK/NACK送信電力制御)について、図19に示すシーケンス図及び図20に示すフローチャートを参照しながら説明する。ただし、図19において、ステップS29aを除いたステップS21〜S43の処理は、特に断らない限り、第2実施形態で図6により説明したステップS21〜S41の処理と同一若しくは同様である。また、ステップS41aの処理は、図11により説明した処理と同一若しくは同様である。
【0191】
即ち、図19に示すように、HS−DSCH信号を受信し(ステップS26)、ACK/NACKを送信(ステップS30)したUE5(送信電力制御部57)は、そのACK/NACK送信電力値PACK/NACKをACK/NACK送信電力記憶部66に記憶する(ステップS29a)。
その後、UE5(送信電力制御部57あるいは再送制御部58a)は、次のHS−DSCH信号の受信(ステップS38)に対するACK/NACK送信(ステップS42)に際して、図20に示すように、前回のACK/NACK送信電力値PACK/NACKをACK/NACK送信電力記憶部66から読み出し、PACK/NACK_beforeとする(ステップS71)。
【0192】
ここで、ACK/NACK誤判定検出部56にてACK/NACK誤判定が検出された場合、送信電力制御部57(あるいは再送制御部58a)は、ACK/NACK誤判定が判明したデータに対して通常の算出方法で算出した(補正しない)ACK/NACK送信電力値をPACK/NACK_afterとする(ステップS72)。なお、通常の算出方法とは、例えば、上りDPCH送信電力値に対して、オフセット送信電力値を加算することである。
【0193】
そして、送信電力制御部57は、下記の(28)式に示すように、当該ACK/NACK送信電力値PACK/NACK_afterと、ACK/NACK誤判定を生じさせたACK/NACK送信電力値PACK/NACK_beforeとの差分PACK/NACK_diffを算出する(ステップS73)。
【0194】
【数17】

【0195】
送信電力制御部57は、さらに、得られた当該差分PACK/NACK_diffと、この差分PACK/NACK_diffに関する閾値PACK/NACK_diff_thとを比較して、算出した差分PACK/NACK_diffが閾値PACK/NACK_diff_thを超えている(PACK/NACK_diff>PACK/NACK_diff_th)か否かを確認する(ステップS74)。なお、閾値PACK/NACK_diff_thは、例えば、送信電力制御部57の図示しないメモリ等に予め設定、記憶されているものとする。
【0196】
その結果、超えていれば、送信電力制御部57は、伝搬環境の変動(劣化)が大きいと判断し、通常の上りDPCH電力制御をベースとしたHS−DPCCH送信電力値では、ACK/NACK誤判定が生じると判断して、算出した差分PACK/NACK_diffに対応したACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c4をδとして算出する(ステップS74のYESルートからステップS75)。
【0197】
一方、算出した差分PACK/NACK_diffが閾値PACK/NACK_diff_th以下(PACK/NACK_diff≦PACK/NACK_diff_th)であれば、送信電力制御部57は、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c4を0とする(ステップS74のNOルートからステップS76)。
送信電力制御部57は、このようにして求めたACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c4を用いて、下記の(29)式に示すように、ACK/NACK送信電力値P'''ACK/NACKを算出する(ステップS77)。このACK/NACK送信電力値P'''ACK/NACKは、ACK/NACK送信電力記憶部66に記憶される。
【0198】
【数18】

【0199】
なお、下記の(30)式に示すように、第5実施形態と同様、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c4をACK/NACK補正値PHS-DPCCH_cの一部として設定してもよい。
【0200】
【数19】

【0201】
また、別なものとして下記の(31)式で設定してもよい。
【0202】
【数20】

【0203】
更に、第5実施形態に本実施形態を適用し、下記の(32)式で設定してもよい。
【0204】
【数21】

【0205】
以上のように、本実施形態においても、ACK/NACK送信電力制御(補正)を実施することによって、ACK/NACK伝送特性が改善され、第4実施形態と同様の効果ないし利点が得られる。
なお、本例のACK/NACK送信電力制御(補正)は、UE5からACK/NACK送信電力値をBS1に伝送(通知)して、BS1側で実施することも可能である。
【0206】
また、上述した例では、ACK/NACK誤判定が検出された場合に、ACK/NACK送信電力補正を実施しているが、ACK/NACK誤判定の有無に関わらず、前記ACK/NACK送信電力補正を実施してもよい。
〔8〕第8実施形態
(UEにおける受信信号処理の削減)
図21は本発明の第8実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、この図21に示すUE5と、図4又は図7又は図10又は図12に示したBS1とで無線通信システム(HSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0207】
図21に示すUE5は、第2実施形態で図5に示したUE5におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえるほか、受信制御部67をそなえる。
【0208】
ここで、この受信制御部67は、BS1からの下り信号の受信処理を制御するものである。例えば、ACK/NACK誤判定検出部56の検出結果から、BS1に対してACKを送信したにも関わらずBS1から再送が行なわれると判断した場合に、下りデータ(HS−DSCH)の受信を行なわない、あるいは、下りデータの逆拡散、復調又は復号を行なわないように受信制御を行なう。なお、当該受信制御部67は、既述の各実施形態におけるUE5に適用することもできる。
【0209】
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたUE5の動作(受信処理削減)について、図22に示すフローチャートを参照しながら説明する。
即ち、UE5は、第1乃至第7実施形態で説明したように、ACK/NACK送信後の次の下りデータ受信に先立ってHS−SCCHを受信し(図6,図9,図11,図13,図16又は図19のステップS36)、ACK/NACK誤判定検出部56にて、プロセス番号(Pn)とNDIとを確認した結果(ステップS81,S82)、BS1にACKを送信したにも関わらず当該BS1から再送が行なわれると判断した場合、BS1においてACKを誤ってNACKと解釈したものと判断する(ステップS83のYESルート)。
【0210】
すると、UE5は、受信制御部76によって、例えば、HS−SCCH信号のみを受信し、HS−DSCH信号を受信しない、即ち、下りデータ伝送のための下り制御信号は受信するが、下りデータは受信しないように、下り受信処理を制御する。あるいは、下りデータ(HS−DSCH信号)を受信するが、逆拡散、復調又は復号を行なわないようにする。例えば、逆拡散部53a、復調部53、復号部54を制御し、これらの動作を停止するか、または電源を停止する(ステップS84)。また、既に下りデータを誤りなしに受信できたことから、再びACKを送信する。
【0211】
一方、BS1においてUE5からのACKを正しく受信し、UE5に対して新規データ送信が行なわれた場合、つまり、ACK/NACK誤判定が検出されない場合(ステップS84のNOルート)、UE5(受信制御部67)は、通常の受信処理を実施する(ステップS85)。
以降、UE5は、送信電力制御部57(あるいは再送制御部58a)により、第1乃至第7実施形態で説明したACK/NACK送信電力補正を行ない、BS1に対してACK/NACKを送信する。
【0212】
以上のように、本例によれば、UE5がBS1にACKを送信したにも関わらずBS1から無駄な再送が行なわれてしまう場合に、無駄な受信信号処理を削減することができるから、UE5の消費電力を削減することが可能となる。
なお、かかる受信信号処理の削減動作は、BS1での処理、即ち、上りデータの受信処理に適用することも可能である。
【0213】
〔9〕第9実施形態
(CQI及びACK/NACK送信電力制御値を用いた制御)
図23は本発明の第9実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、この図23に示すUE5と、図4又は図7又は図10に示したBS1とで無線通信システム(HSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0214】
この図23に示すUE5は、第2実施形態で図5に示したUE5におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえるほか、第6実施形態(図15)で説明したCQI記憶部65と、第7実施形態(図18)で説明したACK/NACK送信電力記憶部66とをそなえる。
【0215】
つまり、本例のUE5は、UE5で記憶したCQI及びACK/NACK送信電力値の双方に基づいて伝搬環境の変動を判断して、ACK/NACK送信電力の制御を行なう。
(動作説明)
以下、その動作(ACK/NACK送信電力制御)について、図24に示すシーケンス図及び図25に示すフローチャートを参照しながら説明する。ただし、図24において、ステップS23b,S29a,S34bを除いたステップS21〜S43の処理は、特に断らない限り、第2実施形態で図6により説明したステップS21〜S41の処理と同一若しくは同様である。また、ステップS41aの処理は、図11により説明した処理と同一若しくは同様である。さらに、ステップS23b,S34dでの処理は、第6実施形態で図16のステップS23b,S34dで説明した処理と同一若しくは同様の処理であり、ステップS29aでの処理は、第7実施形態で図19のステップS29aで説明した処理と同一若しくは同様の処理である。
【0216】
即ち、図24に示すように、UE5は、既述のとおり、BS1から受信された下りパイロット信号を基にCQIを測定してBS1へ送信するが(ステップS22,S23,S33,S34)、当該CQIをCQI記憶部65にそれぞれ記憶しておく(ステップS23b,S34d)。なお、本例(図24)においても、UE5が1回目に送信したCQIをCQI、2回目に送信したCQIをCQIとする。
【0217】
その後、UE5は、BS1からHS−DSCH信号を受信し(ステップS26)、これに対するACK/NACKを送信するが(ステップS30)、UE5(送信電力制御部57あるいは再送制御部58a)は、そのACK/NACK送信電力値PACK/NACKをACK/NACK送信電力記憶部66に記憶する(ステップS29a)。
BS1は、スケジューラ20にて、集約した各UE5からのCQIを基に、下り送信を行なう対象のUE5を選択(スケジューリング)し(ステップS35)、送信対象UE5への下り送信を開始し(ステップS36,S38)、UE5は、既述の実施形態と同様にACK/NACK誤判定を検出すると(ステップS37,S39,S40)、CQI差分CQIdiffとACK/NACK送信電力値差分PACK/NACK_diffとに基づいて、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c4(あるいは、送信電力値)を算出して、補正したACK/NACKの送信電力値にて、BS1へのACK/NACK送信を行なう(ステップS41,S42)。
【0218】
ここで、UE5での当該ACK/NACK送信電力補正方法について、図25に示すフローチャートを用いて説明する。なお、UE5には、CQI差分CQIdiffに関する閾値CQIdiff_thと、ACK/NACK送信電力値差分PACK/NACK_diffに関する閾値PACK/NACK_diff_thとが、例えば、送信電力制御部57(あるいは再送制御部58a)の図示しないメモリ等に予め設定、記憶されている。
【0219】
この図25に示すように、UE5の送信電力制御部57(あるいは再送制御部58a)は、HS−DSCH信号の受信に対するACK/NACK送信(図24のステップS38,S42)に先立って、CQI記憶部65から、ACK/NACK送信直前に測定したCQIと、ACK/NACK誤判定がACK/NACK誤判定検出部56にて検出された直後のACK/NACK送信直前のCQIとを読み出す(ステップS91,S92)。
【0220】
また、送信電力制御部57は、前回のACK/NACK送信電力値PACK/NACKをACK/NACK送信電力記憶部66から読み出し、PACK/NACK_beforeとする(ステップS93)。なお、これらのCQI,CQI及びACK/NACK送信電力値PACK/NACKの読み出しの順序は不問である。
ここで、ACK/NACK誤判定検出部56にてACK/NACK誤判定が検出された場合、送信電力制御部57は、CQIを基に通常の算出方法でACK/NACK送信電力値PACK/NACK_beforeを算出するとともに、CQIを基に通常の算出方法でACK/NACK送信電力値PACK/NACK_afterを算出する(ステップS94)。
【0221】
そして、送信電力制御部57は、これらのACK/NACK送信電力値PACK/NACK_afterとACK/NACK誤判定を生じさせたACK/NACK送信電力値PACK/NACK_beforeとの差分PACK/NACK_diffを下記の(33)式により算出する(ステップS95)。
【0222】
【数22】

【0223】
続いて、送信電力制御部57は、CQIとCQIとを比較し(ステップS96)、CQIがCQI以上であれば(ステップS96でYESであれば)、CQIを基に算出したACK/NACK送信電力値PACK/NACK_afterを仮のACK/NACK送信電力値PACK/NACK_tempとし(ステップS97)、そうでなければ(ステップS96でNOであれば)、CQIを基に算出したACK/NACK送信電力値PACK/NACK_beforeを仮のACK/NACK送信電力値PACK/NACK_tempとする(ステップS98)。
【0224】
そして、送信電力制御部57は、前記差分PACK/NACK_diffが前記閾値PACK/NACK_diff_thを超えているか否かを確認し(ステップS99)、超えていれば、伝搬環境の変動(劣化)が大きいと判断し、通常の上りDPCH電力制御をベースとしたHS−DPCCH送信電力値では、ACK/NACK誤判定が生じると判断して、算出した差分PACK/NACK_diffに対応したACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c5をδとして算出する(ステップS99のYESルートからステップS100)。
【0225】
一方、算出した差分PACK/NACK_diffが閾値PACK/NACK_diff_th以下(PACK/NACK_diff≦PACK/NACK_diff_th)であれば、送信電力制御部57は、ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c5を0とする(ステップS99のNOルートからステップS101)。
その上で、送信電力制御部57は、下記の(34)式に示すように、前記仮のACK/NACK送信電力値PACK/NACK_tempに、前記ACK/NACK送信電力補正値PHS-DPCCH_c5を加えて、補正後のACK/NACK送信電力値P''''ACK/NACKを算出する(ステップS102、図24のステップS41)。
【0226】
【数23】

【0227】
なお、このACK/NACK送信電力値P''''ACK/NACKは、次回の送信電力補正に備えてACK/NACK送信電力記憶部66に記憶される。
そして、UE5は、このACK/NACK送信電力値P''''ACK/NACKにてBS1へのACK/NACK送信を行なう(図24のステップS42)。
つまり、本例のUE5は、記憶した以前の無線回線特性情報(CQI)と現状の無線回線特性情報(CQI)とを比較し、無線回線特性が改善している場合には、現在の無線回線特性情報(CQI)を基にし、劣化している場合には記憶された以前の無線回線特性情報(CQI)を基にして、ACK/NACK送信電力値を算出し、当該電力値にてACK/NACK送信を行なうのである。
【0228】
したがって、ACK/NACK伝送特性を改善することができ、第4実施形態と同様の効果ないし利点が得られる。
なお、上述した動作についても、BS1での処理、即ち、上りデータに対する下りACK/NACK伝送に適用することが可能である。
〔10〕第10実施形態
(誤判定検出後のACK/NACK送信電力補正の継続)
既述の第1乃至第9実施形態では、プロセス番号が同じであることと、ACK/NACK誤判定が生じていることとを基にしてACK/NACK送信電力制御(補正)を実施しているため、同じプロセス番号の下りデータについて同じACK/NACK送信電力補正を実施することが前提となっている。
【0229】
例えば図26に示すように、プロセス番号=1の下りデータに着目すると、UE5は、2回目のACK/NACK送信電力補正を実施する場合、1回目の送信電力補正#1を基に送信電力補正#1′を実施する。なお、ここでの送信電力補正には、既述の実施形態で述べた補正方法のいずれを適用してもよい。ただし、1回目の送信電力補正#1をそのまま利用することも可能である。
【0230】
また、同じプロセス番号であっても、ACK/NACK誤判定が生じない場合は、ACK/NACK送信電力補正を実施しないことを前提としている(例えば図26のプロセス番号=3,4の下りデータに対するACK/NACK送信の場合)。
これに対し、本実施形態では、異なるプロセス番号の下りデータや、同じプロセス番号でACK/NACK誤判定が生じていない場合の下りデータに対してACK/NACK送信電力補正を実施する。
【0231】
例えば図27は、同じプロセス番号(=1)の下りデータについてACK/NACK誤判定が生じ、ACK/NACK送信電力補正を実施する場合を示している。以後、UE5(送信電力制御部57)は、同じプロセス番号の下りデータに対するACK/NACK送信において、ACK/NACK誤判定の有無に関わらず、1回目の送信電力補正#1を用いて送信を行なう。
【0232】
また、UE5(送信電力制御部57あるいは再送制御部58a)は、例えば図28に示すように、あるプロセス番号M(図28ではM=1)に対して、1回目のACK/NACK送信電力補正#1を実施した場合、同じプロセス番号Mの送信が生じるまで、ACK/NACK送信電力補正値を保持し、ACK/NACK誤判定が生じた場合、このACK/NACK送信電力補正値を用いてACK/NACK送信電力補正#1′を実施し、以後、同様に処理を実施することも可能である。
【0233】
更には、UE5(送信電力制御部57あるいは再送制御部58a)は、例えば図29に示すように、あるプロセス番号M(図29ではM=1)の下りデータについて1回目のACK/NACK送信電力補正#1を実施した後、異なるプロセス番号M(図29ではM=4)の下りデータについてもACK/NACK誤判定が生じて、ACK/NACK送信電力補正を実施することになった場合、1回目のOLE_LINK4ACK/NACK送信電力補正OLE_LINK4#1を基にプロセス番号Mの下りデータについてACK/NACK送信電力補正#2を実施し、以後、同様の処理を繰り返すこともできる。
【0234】
つまり、UE5は、ACK/NACK誤判定を検知しACK/NACK送信電力を補正した場合、以降の別な下りデータに対するACK/NACK送信に対しても送信電力を補正することができる。また、ACK/NACK誤判定を検知した下りデータに対するACK/NACK送信に対してだけ送信電力を補正することもできる。
以上のように、異なるプロセス番号の下りデータや、同じプロセス番号でACK/NACK誤判定が生じていない場合の下りデータに対して、第1乃至第9実施形態で述べたACK/NACK送信電力補正を適用することで、より多くのACK/NACKの伝送特性を改善することができる。したがって、ACK/NACK誤判定の発生率をさらに低減して、さらなるスループット向上を図ることが可能となる。
【0235】
なお、本例の動作についても、BS1での処理、即ち、上りデータに対する下りACK/NACK送信に適用することも可能である。
〔11〕第11実施形態
(NACKをACKと誤った場合の対応(欠落データの再送要求))
図30は本発明の第11実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図で、この図30に示すBS1と、例えば図8に示したUE5とで無線通信システム(HSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0236】
図30に示すBS1は、例えば、第2実施形態で図4に示したBS1におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、拡散部12aと、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、逆拡散部16aと、復調部16と、復号部17と、ACK/NACK抽出部18と、再送制御部19と、スケジューラ20と、制御信号生成部21と、CQI抽出部22と、上りパイロット電力算出部24と、送信電力制御部25と、第3実施形態で図7により前述したものと同一若しくは同様のACK/NACK誤判定信号抽出部23とをそなえるほか、上位再送要求信号生成部28をそなえる。
【0237】
ここで、この上位再送要求信号生成部28は、ACK/NACK誤判定信号抽出部23で抽出された既述のACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerror)(前記の表4参照)を基に、UE5からのNACKをBS1においてACKと誤判定したと判断した場合に、対象となった下りデータを保持している上位装置(例えば、RNCやゲートウェイノード等)、あるいはこれに相当する上位機能(例えば、BS1に内蔵された無線制御部)に対して、誤判定に対応する下りデータまたはそれを含む下りデータの再送を再送要求制御信号にて要求するものである。
【0238】
これは、UE5からBS1へNACKを送信したにも関わらずBS1でACKと誤判定した場合に生じる下りデータの欠落に対する対策である。
UE5から送信したNACKをBS1がACKと誤判定すると、BS1は再送を行なわずに新規データの送信を行なうため、本来再送すべき下りデータが再送されず欠落してしまう。これは、BS1は、ACKの受信により、対象となった下りデータの伝送が完了したと判断して、BS1内の送信バッファ10に記憶した下りデータを消去してしまうからである。
【0239】
その対策として、例えば、BS1において欠落したデータの判定を行なうことも考えられるが、その場合、欠落データ(例えば、MAC−PDU(Medium Access Control-Protocol Data Unit))を含んで構成されたデータ単位(RLC−PDU(Radio Link Control-Protocol Data Unit)やPDCP−PDU(Packet Data Convergence-Protocol Protocol Data Unit)などで、例えば4つのMAC−PDUでRLC−PDUが構成され、かつ、4つのRLC−PDUでPDCP−PDUが構成される)に対して、構成されるデータを揃える段階になって初めてデータ欠落の判定が可能となり、その後に再送を行なうことになるため、欠落データの再送処理時間が長くなる。
【0240】
そこで、本例では、ACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerror)を基にUE5からのNACKをBS1がACKと誤判定したと判断した場合に、上位再送要求信号生成部28により、早期に、誤判定の対象となった下りデータを保持している上位装置や機能に対応する下りデータまたはそれを含む下りデータの再送を要求できるようにしている。
以下、本例のHSDPAシステムの動作(欠落データの再送要求処理)について、図31に示すシーケンス図及び図32に示すフローチャートを参照しながら説明する。ただし、以下の説明において、前記の上位装置又は上位機能は、説明の便宜上、図31中に示すように「上位装置6」と総称する。また、図31において、BS1とUE5との間のシーケンス(ステップS21〜S43)は、特に断らない限り、第2実施形態で図6により説明したシーケンスと同一若しくは同様であるから、以下では、主に、BS1と上位装置6との間のシーケンスに着目した動作について説明する。
【0241】
図31に示すように、BS1は、UE5がNACKを送信(ステップS30)したにも関わらずACKと誤判定して新規送信を行なった(ステップS38)ことにより、ステップS42でUE5から送信されたACK/NACKエラー信号(ACK_NACKerror)を受信する(図32のステップS111)。
このACK/NACKエラー信号は、ACK/NACK誤判定信号抽出部23にて抽出され、送信電力制御部25と上位再送要求信号生成部28とに伝達される。
【0242】
上位再送要求信号生成部28は、当該ACK/NACKエラー信号の内容を前記表4に基づいて確認し、BS1がNACKをACKと誤判定したか(つまり、ACK/NACKエラー信号が“1100”か)否かを確認する(図31のステップS121、図32のステップS112)。
その結果、誤判定したと判断した場合、上位再送要求信号生成部28は、誤判定の対象となった下りデータを保持している上位装置6に対して、誤判定に対応するデータまたはそれを含むデータの再送を要求する(図31のステップS122、図32のステップS112のYESルートからステップS113)。
【0243】
即ち、上述のように構成されるデータを揃える段階になってからデータ欠落を判定するのではなく、NACKをACKと誤判定したことを検出した場合は、直ちに上位装置6に対して再送要求を行なう。なお、NACKをACKと誤判定していない場合は、上位装置6に対する再送要求は行なわない(図32のステップS112のNOルート)。
また、UE5からACK/NACKを受信していれば(図31のステップS123,S124)、新規送信あるいは再送として誤ってUE5に送信した下りデータを後の再送に備えて記憶しておく(図32のステップS114,S115)。
【0244】
上位装置6は、BS1から再送要求を受信すると、BS1に対して欠落データまたは欠落データを含んで構成されるデータ単位の送信を実施する(図31のステップS126、図32のステップS117)。好ましくは、当該再送は最優先で行なう。また、これと併せて、例えば、対象となった再送データの伝送の優先度を最も高くし、最優先とするなどの制御を実施することも可能である。
【0245】
なお、図31において、この間、UE5は、BS1からのパイロット信号を基にしたCQI測定、送信を行なう(ステップS125,S127,S128)。
さて、BS1は、上位装置6から再送された前記下りデータを受信すると(図32のステップS116)、スケジューラ20にて、当該下りデータについてのスケジューリングを行ない(図31のステップS129)、下り制御チャネル(HS−SCCH)の送信(図31のステップS130)後、当該下りデータを下りデータチャネル(HS−DSCH)にて対象UE5に送信する(図31のステップS132)。
【0246】
その際、スケジューラ20は、好ましくは、上位装置6からの再送データを最優先として扱い、対象UE5宛の下りデータ送信を優先的に選択する。また、当該下りデータについて、UE5からNACKが受信されなくなるまで、再送を繰り返し実施する(図31のステップS118の「NACK」ルート)。
なお、前記HS−SCCHを受信したUE5(ACK/NACK誤判定検出部56)は、既述のステップS37と同様に、ACK/NACK誤判定検出のためにNDIの確認を行なう(図31のステップS131)。
【0247】
また、図32に示すステップS113,S114,S115,S116の順序は、ステップS113の後にステップS116が実施され、ステップS114の後にステップS114の後にステップS115が実施される関係が保たれる限り、不問である。
以上のように、本例によれば、欠落したUE5宛の下りデータを補完するための時間(再送処理時間)を短縮することが可能となる。また、この結果、下りデータ伝送(HS−DSCH伝送)のスループットを改善することができる。
【0248】
〔12〕第12実施形態
(ACK/NACK送信電力補正の継続)
既述の第1乃至第10実施形態では、ACK/NACK誤判定が生じた場合のACK/NACK送信電力制御について説明した。本実施形態では、ACK/NACK誤判定が生じないように、ACK/NACK送信電力を制御することについて説明する。
【0249】
即ち、既述の第1乃至第10実施形態では、プロセス番号とNDIとに基づいてACK/NACK誤判定が生じたか否かを判断したが、ACK/NACK誤判定が生じたか否かの判定は行なわずに、ACK/NACK送信電力制御を行なうことも可能である。
例えば、前記第7実施形態のように、最初のACK/NACK送信電力値と、2回目のACK/NACK送信電力値とから、ACK/NACK送信電力補正値を算出し、これを基に、以降のACK/NACK送信電力制御を実施する。
【0250】
つまり、回線接続後の最初のACK/NACK伝送以降は、既述の第1乃至第10実施形態のACK/NACK送信電力制御を、ACK/NACK誤判定の有無に関わらず、継続して実施することが可能である。
以下、具体例について、図33及び図34を用いて説明する。
(具体例1)
図33に示すように、BS1とUE5との間の無線回線が確立し、最初の下りデータ伝送がプロセス番号=1で実施されたとする。その際、UE5(送信電力制御部57)は、ACK/NACK送信電力補正#1を実施する。このとき、ACK/NACK誤判定の有無は問わない。
【0251】
続いて、UE5(送信電力制御部57あるいは再送制御部58a)は、プロセス番号=2の下りデータ伝送に対するACK/NACK送信について、直前のプロセス番号=1のACK/NACK送信電力補正#1を基に、ACK/NACK送信電力補正#2を実施する。
以後、UE5(送信電力制御部57あるいは再送制御部58a)は、同様にして、プロセス番号=xの下りデータ伝送に対するACK/NACK送信について、プロセス番号=x−1の下りデータ伝送に対するACK/NACK送信電力補正#x−1を基に、ACK/NACK送信電力補正#xを実施する。
【0252】
なお、初回のACK/NACK送信電力補正#1については、所定の初期値を用いて実施することも可能である。また、初回の下りデータ伝送に対するACK/NACK送信に対しては、ACK/NACK送信電力補正#1を実施しないこととすることも可能である。
(具体例2)
また、例えば図34に示すように、初回のACK/NACK送信電力補正#1については、ACK/NACK誤判定の有無に関わらず、所定の初期値を用いてACK/NACK送信電力補正を実施し、以後、ACK/NACK誤判定が生じたプロセス番号(例えば、プロセス番号=2,4)の下りデータ伝送に対して、前回のACK/NACK送信電力補正#X−1を基に、ACK/NACK送信電力補正#Xを実施することも可能である。ACK/NACK誤判定が生じなかったプロセス番号(例えば、プロセス番号=3)の下りデータ伝送に対しては、前回のACK/NACK送信電力補正#xを維持する。
【0253】
以上により、ACK/NACKの伝送特性を改善することができ、ACK/NACK誤判定の発生率を低減することができる。また、下りスループットを向上することができる。
〔13〕第13実施形態
(CQIの送信電力制御)
前記の第1乃至第9実施形態で説明したHSDPAシステムでは、UE5からBS1への上りACK/NACK送信に、上り無線チャネルである上り個別制御チャネル(HS−DPCCH)が用いられる。このHS−DPCCHは、上りACK/NACK送信だけでなく、下り無線回線品質の指標であるCQIをUE5からBS1へ報告するのにも用いられる。
【0254】
したがって、第1乃至第9実施形態で説明した送信電力制御(補正)は、UE5からBS1へのCQI送信に適用することができる。
即ち、第1乃至第9実施形態で説明したように、ACK/NACK誤判定が生じ、ACK/NACK送信電力制御が実施された場合、同じHS−DPCCHを用いて伝送されるCQIの伝送特性も劣化していると判断できる。
【0255】
そこで、ACK/NACK誤判定が生じた場合(ACK/NACK誤判定検出部56にてACK/NACK誤判定が検出された場合)、UE5(送信電力制御部57あるいは再送制御部58a)は、第1乃至第9実施形態における送信電力補正を、BS1へのCQI送信に際しても実施する。
つまり、UE5は、ACK/NACK誤判定を検知した場合、ACK/NACK送信電力を補正するとともに、BS1へ送信する他の情報(CQI)の送信電力を補正する。
【0256】
これにより、ACK/NACKのみならず、CQIの伝送特性をも改善することが可能となる。
また、BS1では、スケジューラ20によるスケジューリング処理において、対象となるUE5が選択される可能性が高まる。選択の可能性が高くなることから、下りデータ伝送のスループットが改善される。
【0257】
なお、第1乃至第9実施形態で説明した送信電力補正は、上述したごとくACK/NACK送信及びCQI送信の双方に適用してもよいし、いずれか一方に選択的に適用してもよい。即ち、CQI送信についてのみ適用してもよい。
換言すれば、上り個別制御チャネルであるHS−DPCCHを用いてBS1へ送信される情報であれば、第1乃至第9実施形態で説明した送信電力補正を適用することが可能である。
【0258】
〔14〕第14実施形態
(エンハンスドHSDPAシステムへの適用)
エンハンスドHSDPAシステム(前記非特許文献5,6,7,8参照)では、図44により前述したように、ACK/NACK信号の前後にプレ/ポスト信号が挿入される。かかるエンハンスドHSDPAシステムに対しても、既述の第1乃至第12実施形態を適用することが可能である。
【0259】
図35は本発明の第14実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、この図35に示すUE5と、例えば、図4又は図7又は図10又は図12又は図30に示した構成と同様の構成を具備するBS1とで無線通信システム(エンハンスドHSDPAシステム)が構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0260】
この図23に示すUE5は、第2実施形態で図5に示したUE5におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえるとともに、既述のACK/NACK信号生成部58に代えて、ACK/NACK(Pre/Post)信号生成部58cをそなえる。
【0261】
ここで、ACK/NACK(Pre/Post)信号生成部58cは、誤り検出部58bによるCRCの確認結果(CRC演算結果)が、誤り無しであればOKと判断しACK信号を、誤り有りであればNGと判断してNACK信号を生成するとともに、図44に示したように、当該ACK/NACK信号の前にPre信号、後にPost信号を挿入(付加)する機能を具備する。
【0262】
したがって、UE5は、当該ACK/NACK(Pre/Post)信号生成部58cにより、BS1から受信された下りデータに対して、前後にPre/Post信号を付加したACK/NACK信号をBS1に送信する。
一方、BS1では、ACK/NACK抽出部18にて、前記ACK/NACK信号とPre/Post信号とを抽出し、再送制御部19にて、これらの信号に基づき、例えば前記表2に示したACK/NACKの判断を行なう。
【0263】
つまり、ACK/NACK信号に対するPre/Post信号の付加は、第1乃至第12実施形態で述べたACK/NACK送信電力補正動作に対して影響がない。
したがって、ACK/NACKの判定精度を向上することができ、既述のACK/NACK送信電力補正によるACK/NACKの伝送特性改善と相俟って、ACK/NACK誤判定の発生率を低減することができる。
【0264】
〔15〕第15実施形態
(HSUPAシステムへの適用例1)
HSUPAシステムは、上り高速パケット通信を実現する。即ち、上り(UL)DPCHをパケット化しかつ高速化したE−DPCH(Enhanced - Dedicated Physical CHannel)を新たに設けることで高速伝送を実現する(例えば、前記非特許文献5,6,7,8参照)。
【0265】
図36に、HSUPAシステムの構成例を示す。この図36に示すように、HSUPAシステムにおけるBS1からUE5への下り無線チャネルには、共通パイロットチャネル(CPICH),下り(DL)DPCH,E−HICH(E-DCH - Hybrid ARQ Indicator CHannel),E−RGCH(E-DCH Relative Grant Channel),E−AGCH(E-DCH Absolute Grant Channel)があり、上り無線チャネルには、上り(UL)DPCH,E−DPCHがある。
【0266】
なお、E−HICHは、上りデータ伝送に対する下り個別制御信号の伝送に用いられるチャネルであり、このE−HICHを用いて上りデータに対する下りACK/NACK信号が伝送される。E−RGCHは、UE5に割り当てられる上り無線リソース(伝送速度や送信電力)の相対値(UP/DOWN)を通知するのに用いられるチャネルであり、E−AGCHは、UE5に対して割り当てる上り無線リソースの絶対値を通知するのに用いられるチャネルである。
【0267】
前記の第1乃至第14実施形態においては、下りデータ伝送に対する上りACK/NACK信号(上り個別制御信号)の送信電力補正について説明したが、ここでは、上りデータ伝送に対する下り個別制御信号の送信電力補正について、図36に示すようなHSUPAシステムを例として説明する。
図37は本発明の第15実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図であり、図38は本発明の第15実施形態に係る無線端末(UE)の構成を示すブロック図で、これらの図37及び図38に示すBS1とUE5とで前記HSUPAシステムが構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0268】
(BSの説明)
図37に示すBS1は、例えば、第2実施形態で図4に示したBS1におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、拡散部12aと、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、逆拡散部16aと、復調部16と、復号部17と、スケジューラ20と、制御信号生成部21とをそなえるほか、上りパイロット電力測定部29と、ACK/NACK信号生成部30と、制御信号抽出部31と、ACK/NACK誤判定検出部32と、送信電力制御部33とをそなえる。
【0269】
ここで、上りパイロット電力測定部29は、逆拡散部16aでの逆拡散結果から、上り個別チャネル(DPCH)で伝送されるパイロット信号成分の受信電力を測定するもので、その測定結果を基に上りの無線回線品質の指標である上りCQIを求める機能を具備する。なお、得られたCQIは、スケジューラ20での上りデータ伝送の対象UE5を選択する基準として用いられる。
【0270】
ACK/NACK信号生成部30は、UE5から受信した上りデータを復号部17で復号した結果のCRCを確認し、その結果(CRC演算結果)が、誤り無しであればOKと判断してACK信号を、誤り有りであればNGと判断してNACK信号を生成するものである。生成したACK/NACK信号は、符号化部11、変調部12、拡散部12a、送信無線部13でそれぞれ所定の処理を施された上で、アンテナ14からE−HICHにてUE5に向けて送信される。
【0271】
制御信号抽出部31は、復号部17による復号結果から上り制御信号を抽出するものであり、ACK/NACK誤判定検出部32は、UE5へ送信したACK/NACKの情報と、UE5から受信した上り信号(上りデータ及び制御信号抽出部31で抽出された制御信号を含む)とに基づいて、BS1がUE5へ送信したACK又はNACKをUE5がNACK又はACKと誤判定したか否かを判定(検出)するものである。
【0272】
このACK/NACK誤判定の検出には、上りデータ(E−DPCH)に付随してUE5から送信されるRSN(Retransmission Sequence Number)(制御信号)を用いることができる。即ち、RSNは、再送処理回数をカウントする情報であるから、例えば、BS1がACKを送信したにも関わらず受信データのRSNが増加していればNACKと誤判定したと判断することができ、BS1がNACKを送信したにも関わらず受信データのRSNが初期値(例えば0)になっているか増加していなければACKと誤判定したと判断することができる。
【0273】
送信電力制御部33は、既述のUE5における送信電力制御部57(あるいは再送制御部58a)と同等の機能を具備し、ACK/NACK誤判定検出部32でACK/NACK誤判定の発生が検出されると、UE5への下りACK/NACKが伝送されるE−HICHの送信電力を制御(補正)するものである。その際、好ましくは、既述の実施形態において上りのACK/NACK送信で実施した補正方法と同等の補正方法を適用する。
【0274】
(UEの説明)
一方、図38に示すUE5は、例えば、第2実施形態で図4に示したBS1におけるものとそれぞれ同一若しくは同様の、アンテナ51と、受信無線部52と、逆拡散部53aと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、送信電力制御部57と、符号化部59と、変調部60と、拡散部60aと、送信無線部61とをそなえるほか、ACK/NACK抽出部67と、送信/再送制御部68とをそなえる。
【0275】
ここで、ACK/NACK抽出部67は、復号部54での復号結果から、BS1からE−HICHにて受信した下りACK/NACKを抽出するものであり、送信/再送制御部68は、このACK/NACK抽出部67で抽出されたACK/NACKに応じて、BS1に対する上り送信を制御するもので、ACKが受信、抽出されれば新規の上りデータの送信を実施し、NACKが受信、抽出されれば送信済みの上りデータの再送を実施する。なお、図38において、上りデータは、再送に備えて送信バッファ10にバッファされている。
【0276】
(動作説明)
以下、上述のごとく構成されたHSUPAシステムの動作(下りACK/NACK送信電力制御)について、図39に示すシーケンス図を用いて説明する。
図39に示すように、UE5は、上りパイロット信号を上りDPCHにて定期的あるいは不定期に繰り返しBS1へ送信する(ステップS141,S150)。
【0277】
BS1は、当該上りパイロット信号を受信すると、上りパイロット電力測定部29にてその受信電力を求め、当該受信電力を基に上りCQIを求める。この上りCQIは、スケジューラ20に伝達され、スケジューラ20は、当該上りCQIを用いて、上り送信の許可を与えるUE5を選択するとともに、そのUE5についての上り送信タイミングや送信方法(符号化率、変調方式など)を決定する(ステップS142,S151)。選択されたUE5、上り送信タイミング、送信方法等の情報(スケジューリング情報)は、制御信号生成部21に伝達される。
【0278】
制御信号生成部21は、スケジューラ20から受信した前記スケジューリング情報を含む制御信号を生成する。当該制御信号は、符号化部11、変調部12、拡散部12a、送信無線部13にてそれぞれ所定の処理を施された上で、アンテナ14から下り個別制御信号(例えば、E−DPCCHやE−AGCHの信号)としてUE5へ送信される(ステップS143,S152)。
【0279】
UE5は、前記下り個別制御信号を制御信号抽出部55にて抽出し、その制御信号に基づいてBS1に対する上りデータ伝送を実施する。即ち、前記制御信号で指定された上り送信タイミング、送信方法にて上りデータをE−DPCHにてBS1へ送信する(ステップS144,S153)。
1回目のE−DPCH信号をUE5から受信したBS1は、ACK/NACK信号生成部30にて、受信した上りデータのCRC、RSNを確認し、誤りの有無を判定し、誤りが無ければACKを生成し、誤りが有ればNACKを生成し、それぞれE−HICHにてUE5へ送信する(ステップS145,S146,S148)。
【0280】
ここで、E−HICHの送信電力制御は、前記非特許文献8において、UE5から伝送される制御信号かBS1が実施する電力制御によって実施されることが記述されているだけで、具体的な方法までは規定されていない。
そこで、例えば、HSDPAにおけるHS−DPCCHの送信電力制御と同様に、ACK/NACK送信電力値PACK/NACKは、下りDPCH送信電力値PDL_DPCHとE−HICH送信電力オフセット値PE-HICH_offsetとで算出されるものとし(ステップS147)、次の(35)式とする。これは、前述の非特許文献8の記述を満たすものである。
【0281】
【数24】

【0282】
また、前記オフセット値PE-HICH_offsetは、第2実施形態と同様、例えば下記の(36)式及び(37)式に示すように、0.5(dB)固定としてよい。ただし、ACKとNACKとで異なるオフセット値PE-HICH_offsetを設定してもよい。
【0283】
【数25】

【0284】
そして、UE5は、BS1からE−HICHにてACKを受信すれば、送信/再送制御部68により、新規の上りデータ伝送を、NACKを受信すれば送信済みの対象上りデータの再送を、それぞれE−DPCHにて実施する(ステップS148,S149,S153)。ただし、当該E−DPCHの送信は、UE5が、E−AGCHにて前記制御信号(上り送信許可)を受信することで可能となる(ステップS152)。
【0285】
BS1は、前記E−DPCHの信号を受信すると、制御信号抽出部31にてRSNを抽出し、ACK/NACK誤判定検出部32に通知する。ACK/NACK誤判定検出部32は、前回UE5へ送信したACK/NACKの情報と前記RSNとを基に、ACK/NACK誤判定の有無、即ち、BS1が送信したACK又はNACKをUE5がNACK又はACKと誤判定したか否かを確認する(ステップS154,S155)。
【0286】
その結果、ACK/NACK誤判定が検出されれば、BS1は、送信電力制御部33により、ACK/NACKの送信電力を補正(制御)する(ステップS156)。その際、例えば、下記の(38)式に示すように、下りDPCH送信電力値PUL-DPCHと、オフセット値PE-HICH_offsetと、ACK/NACK送信電力補正値PE-HICH_cとを加算することで、下りACK/NACK伝送(ステップS157)の送信電力値P''ACK/NACKを算出する(ステップS156)。
【0287】
【数26】

【0288】
ここで、前記補正値PE-HICH_cは、例えば下記の(39)式,(40)式に示すように、0.5(dB)固定としてよい。ただし、第2実施形態と同様に、−0.5(dB)と負の値を設定してもよい。
【0289】
【数27】

【0290】
以上により、UE5がBS1から受信したACKをNACK、あるいは、NACKをACKと誤ったと判断した後の、BS1からUE5へのACK/NACK返送において、その伝送特性を改善することが可能となり、BS1が送信したACKをNACK、あるいは、NACKをACKと誤判定する確率を低減することが可能となる(ステップS158)。これにより、無駄な下り伝送を削減することが可能となり、スループットを改善することができる。
【0291】
また、既述のPre/Post信号を付加する必要がないため、送信に必要な電力を低く抑えることが可能となり、低消費電力化が可能となる。
なお、本例のHSUPAシステムに、前記の第3及び/又は第4実施形態を適用することも可能である。即ち、ACK/NACK誤判定を検出したBS1からUE5へACK/NACKエラー信号を送信してもよいし、他BS1の下り信号を基にオフセット補正値をBS1に通知することも可能である。
【0292】
また、他の実施形態の送信電力制御(補正)を上りデータ伝送に対する下り個別制御信号に適用することも可能である。
〔16〕第16実施形態
(HSUPAシステムへの適用例2)
図40は本発明の第16実施形態に係る無線基地局(BS)の構成を示すブロック図である。この図40に示すBS1と、例えば図38に示したUE5とで、HSUPAシステムが構成される。なお、本例においても、BS1及びUE5はそれぞれ複数存在する場合もある。
【0293】
図40に示すBS1は、図37に示したBS1の構成に比して、上りパイロット電力記憶部34をさらにそなえる点が異なる。
ここで、この上りパイロット電力記憶部34は、上りパイロット電力測定部29で測定された上りパイロット電力値を記憶するものである。その記憶内容は、スケジューラ20によって適宜参照(読み出し)可能であり、スケジューラ20での受信対象のUE5の選択基準として使用される。
【0294】
そして、本例の送信電力制御部33は、スケジューラ20と連携して、上りパイロット電力記憶部34に記憶された、複数回の上りDPCH受信時の上りパイロット電力値の差分(上りパイロット電力差分)を基に伝搬環境の変動を算出し、その差分に応じた下りACK/NACK送信電力制御(補正)を行なう機能を具備する。
例えば、前記上りパイロット電力差分が所定の閾値を超えていれば、伝搬環境の変動(劣化)が大きいため、送信電力制御部33は、通常のE−HICH送信電力制御では、ACK/NACK誤判定が生じると判断して、上りパイロット電力差分に対応した下りACK/NACK(E−HICH)送信電力制御(補正)を実施する。
【0295】
逆に、前記上りパイロット電力差分が所定の閾値以下であれば、送信電力制御部33は、伝搬環境の変動(劣化)が小さいため、通常のE−HICH送信電力制御でも、ACK/NACK誤判定は生じないと判断して、ACK/NACK(E−HICH)送信電力値をそれまでの電力値に維持する。
このように、本実施形態によれば、下りACK/NACKの伝送誤りが生じた場合、BS1において上りパイロット電力を基に伝搬環境の変動を判断し、その変動に応じて下りACK/NACK伝送の送信電力を制御(補正)する。
【0296】
したがって、前記第15実施形態と同様の効果ないし利点が得られるほか、ACK/NACK伝送特性をさらに改善して、ACK/NACK誤判定の発生率を低減することができる。
〔17〕第17実施形態
(HSPAシステムへの適用例)
HSPAシステムとは、端的にいうと前記のHSDPAシステムとHSUPAシステムとを統合したシステムに相当する。よって、上りACK/NACK送信及び下りACK/NACK送信に対して、既述の第1乃至第13実施形態を適用することが可能である。
【0297】
なお、HSDPAシステムにおけるBS(UE)の構成は、それぞれ、各システムにおけるBS(MS)の機能を組み合わせた構成に相当する。また、上りACK/NACK送信電力制御(補正)に着目した処理シーケンスは、第2実施形態(図6)と同様であり、下りACK/NACK送信電力制御(補正)に着目した処理シーケンスは第15実施形態(図39)と同様である。したがって、それぞれのシステムで述べた効果ないし利点が得られる。
【0298】
ただし、HSPAシステムでは、上りCQI及び下りCQIがBS1に集約されるから、上りACK/NACK送信電力制御に上りCQIを用いることができる。したがって、下りCQIを用いる場合よりも上り伝搬環境を精度良く推定することができるから、第5実施形態で説明した下りCQIを用いた上りACK/NACK送信電力制御に比して、より高精度の電力制御が可能となる。
【0299】
なお、上りCQI及び下りCQIの双方(例えば、平均)を用いて、上り及び下りのACK/NACK送信電力のいずれか一方又は双方を制御することも可能である。
〔18〕第18実施形態
(LTEシステムへの適用例)
LTEシステムは、次世代移動通信システムとして3GPPにおいて検討が行なわれているシステムであり、前記のHSDPAシステムやHSUPAシステムと同様に、パケット伝送を実施し、パケット伝送に対してACK/NACK伝送を実施する(前記非特許文献9,10,11参照)。
【0300】
ここで、LTEシステムでは、HSDPAシステム及びHSUPAシステムに比して、多重方式が異なる。即ち、HSDPAシステム及びHSUPAシステムではCDMA方式を採用するのに対し、LTEシステムでは、上りはOFDMA(又はOFDM)方式、下りはSC(Single Carrier)−FDMAを採用する。そのため、LTEシステムでは、CDMA方式における拡散処理、逆拡散処理は不要であり、FFT処理及びIFFT処理を用いる。
【0301】
以下、既述のACK/NACK送信電力制御(補正)(例えば、第2実施形態)を、かかるLTEシステムに適用する例について説明する。
図41に、本発明の第18実施形態に係るLTEシステムにおける無線基地局(BS)の構成例、図42に、本発明の第18実施形態に係るLTEシステムにおける無線端末(UE)の構成例をそれぞれ示す。
【0302】
(BSの説明)
図41に示すBS1は、例えば、送信バッファ10と、符号化部11と、変調部12と、シリアル/パラレル(S/P)変換器12bと、IFFT(Inverse Fast Fourier Transformer)12cと、パラレル/シリアル(P/S)変換器12dと、ガードインターバル(GI)挿入部12eと、送信無線部13と、アンテナ14と、受信無線部15と、GI除去部16bと、S/P変換器16cと、FFT(Fast Fourier Transformer)16dと、P/S変換器16eと、復調部16と、復号部17と、ACK/NACK抽出部18と、再送制御部19と、スケジューラ20と、制御信号生成部21と、CQI抽出部22と、上りパイロット電力算出部24と、送信電力制御部25とをそなえる。
【0303】
ここで、LTEシステムにおけるBS1として特徴的な機能に着目して説明すると、送信系において、S/P変換器12bは、符号化部11で符号化され、変調部12で変調された信号(下り信号)をサブキャリア数に応じた並列データ(シンボル)にシリアル/パラレル変換するものである。前記並列データ(サブキャリア信号)は、所定ポイント数(512等)のIFFT12cに入力されてマッピングされることで、周波数領域の配置が行なわれる。
【0304】
IFFT12cは、前記サブキャリア信号をIFFT処理することによって、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換するものである。
P/S変換器12dは、IFFT12cの出力をパラレル/シリアル変換して時系列に出力するものである。
GI挿入部12eは、P/S変換器12dの出力に対して、所定のシンボル(OFDMシンボル)単位にガードインターバル(サイクリックプレフィクス)を挿入(付加)するものである。例えば、IFFT処理後の各OFDMシンボルの一部を巡回的にコピーし、各OFDMシンボルの先頭にサイクリックプレフィクス(CP)として挿入(付加)する。このCPは、シンボル間干渉を低減するガード区間としての役割をもつ。
【0305】
一方、受信系において、GI除去部16bは、受信無線部15で処理された上り信号から、UE5側で送信信号(シンボル)に対して上記と同様にして挿入(付加)されたGI(CP)を除去して、受信シンボルの有効信号成分(所定ポイント数のFFT対象のサンプル数)を抽出するものである。なお、有効信号成分の抽出区間(FFTウィンドウ)の開始タイミングは、受信信号と上りパイロット信号のレプリカ(パイロットレプリカ)との相関に基づいて検出することができる。
【0306】
S/P変換器16cは、GI除去部16bからの前記有効信号成分を、FFT16dでのFFTポイント数の並列データにシリアル/パラレル変換するものである。
FFT16dは、前記並列データに対して前記FFTポイント数のFFT処理を施して時間領域から周波数領域への信号に変換することにより、サブキャリア信号成分毎の受信信号を得るものである。
【0307】
P/S変換器16eは、このFFT16dにより得られたサブキャリア信号をパラレル/シリアル変換して時系列に出力するものである。なお、その出力信号は、復調部16と上りパイロット電力算出部24とに入力される。
以上の構成により、BS1は、OFDMA方式に準拠した下り信号の送信及び上り信号の受信を正しく行なうことができ、UE5が送信した上りACK/NACKをACK/NACK抽出部18にて抽出して、そのACK/NACKに応じた再送制御を再送制御部19により実施することができる。
【0308】
(UEの説明)
一方、図42に示すUE5は、例えば、アンテナ51と、受信無線部52と、GI除去部53bと、S/P変換器53cと、FFT53dと、P/S変換器53eと、復調部53と、復号部54と、制御信号抽出部55と、ACK/NACK誤判定検出部56と、送信電力制御部57と、ACK/NACK信号生成部58と、再送制御部58aと、誤り検出部58bと、符号化部59と、変調部60と、S/P変換器60bと、IFFT60cと、P/S変換器60dと、送信無線部61と、CQI測定部62と、CQI信号生成部63とをそなえる。
【0309】
ここで、BS1と同様に、LTEシステムにおけるUE1として特徴的な機能に着目して説明すると、受信系において、GI除去部53bは、BS1側のGI除去部16bと同様に、受信無線部52で処理された下り信号から、BS1(GI挿入部12e)において挿入されたGIを除去して、有効信号成分を抽出するものである。UE5での前記有効信号成分の抽出区間(FFTウィンドウ)の開始タイミングは、受信信号と下りパイロットレプリカとの相関に基づいて検出することができる。
【0310】
S/P変換器53cは、BS1側のS/P変換器16cと同様に、GI除去部53bからの前記有効信号成分を、FFT53dでのFFTポイント数の並列データにシリアル/パラレル変換するものである。
FFT53dは、BS1側のFFT16dと同様に、前記並列データに対して前記FFTポイント数のFFT処理を施して時間領域から周波数領域への信号に変換することにより、サブキャリア信号成分毎の受信信号を得るものである。
【0311】
P/S変換器53eは、BS1側のP/S変換器16eと同様に、FFT16dにより得られたサブキャリア信号をパラレル/シリアル変換して時系列に出力するものである。なお、その出力信号は、復調部53とCQI測定部62とに入力される。
一方、送信系において、S/P変換器60bは、符号化部59で符号化され、変調部60で変調された信号(上り信号)を、BS1側のS/P変換器12bと同様に、サブキャリア数に応じた並列データ(シンボル)にシリアル/パラレル変換するものである。UE5においても、前記並列データ(サブキャリア信号)は、所定ポイント数(512等)のIFFT53cに入力されてマッピングされることで、周波数領域の配置が行なわれる。
【0312】
IFFT60cは、BS1側のIFFT12cと同様に、前記サブキャリア信号をIFFT処理することによって、周波数領域の信号から時間領域の信号に変換するものである。
P/S変換器60dは、BS1側のP/S変換器12dと同様に、IFFT60cの出力をパラレル/シリアル変換して時系列に出力するものである。
【0313】
GI挿入部60eは、BS1側のGI挿入部12eと同様に、P/S変換器60dの出力に対して、所定のシンボル(OFDMシンボル)単位にガードインターバル(サイクリックプレフィクス)を挿入(付加)するものである。
以上の構成により、UE5は、OFDMA方式に準拠した上り信号の送信及び下り信号の受信を正しく行なうことができ、下り受信データに対するBS1へのACK/NACK返信、CQIの測定、報告、BS1から受信した制御信号に応じた処理などを適切に実施することができる。
【0314】
加えて、ACK/NACK誤判定検出部56にてACK/NACK誤判定が検出された場合に、既述の実施形態と同様にして上りACK/NACK送信電力の制御(補正)を送信電力制御部57によって実施することができる。その処理シーケンスについては、例えば、第2実施形態(図6)と同様である。また、下りACK/NACK伝送についてもHSUPAシステムの場合と同様にして適用可能である。
【0315】
LTEシステムでは、前記多重方式の相違により、HSDPAシステムに比べて、他セル干渉が大きくなることが懸念される。そのため、上りACK/NACK伝送特性が、HSDPAシステムよりも劣化する可能性があり、ACK/NACK誤判定の発生率が増加する可能性がある。したがって、前記ACK/NACK送信電力制御(補正)をLTEシステムにおいて実施することは有用である。
【0316】
また、LTEシステムでは、HSDPAシステム及びHSUPAシステムにおけるような個別チャネルがない。既述の実施形態のように、個別チャネルの送信電力制御値を基にACK/NACK送信電力値を制御することを前提とすると、LTEシステムでは同等の制御を行なえない可能性がある。
しかし、既述の個別DPCHを用いた電力制御は、DPCHを構成するDPCCHを用いて行なうため、少なくともDPCCHに相当するチャネルが存在すれば問題ない。DPCHが仮に存在しない場合でも、これに相当するチャネル、例えば、3GPPにおいて検討中のCCCH(Common Control CHannel)を用いて同様の電力制御が可能である。
【0317】
なお、LTEシステムにおいても、上り及び下りともパケット伝送であるから、既述のHSPAシステムへの適用と同様に、CQIを用いたACK/NACK送信電力制御の精度改善を図ることも可能である。
つまり、上りACK/NACK送信及び下りACK/NACK送信に対して、第1乃至第16実施形態を適用することができ、それぞれと同様の効果ないし利点を得ることが可能である。
【0318】
〔19〕第19実施形態
(ACK/NACK送信電力オフセットステップ可変)
第1実施形態にて前述したとおり、ACK/NACK送信電力制御を行なった後、再度、ACK/NACK誤判定が検出された場合(ACK/NACK伝送特性が改善されない)には、送信電力制御部25,57は、前回の送信電力値の制御量(ステップ幅)よりも大きな制御量で今回の送信電力値を制御することが可能である。
【0319】
例えば、ACK/NACK送信電力補正値(ステップ幅)を当初は0.5dBとし、補正後のACK/NACK送信電力にてACK/NACKを送信しても、再度ACK/NACK誤判定が生じた場合、ステップ幅を0.5dB増加して1.0dBとしてACK/NACKを送信する。以降、正しく受信されるまでACK/NACK送信電力補正値を補正する。
【0320】
つまり、ACK/NACK送信電力補正値の初期値を0.5dBとして、以降、ACK/NACK誤判定が生じる毎に、ACK/NACK送信電力補正値を0.5dBステップで可変(更新)する。
〔20〕第20実施形態
(ACK/NACK送信電力上限通知)
既述の実施形態において、UE5のACK/NACK送信電力値が上限に達してしまった場合は、その旨をUE5からBS1に対して通知する。この機能は、例えば、図8に示すACK/NACエラー信号生成部64の機能と兼用にしてもよいし、個別の通知信号生成部をUE5にそなえることで実現してもよい。
【0321】
この通知を受けたBS1は、ACK/NACK伝送に用いる変調方式や符号化方法等の送信方法を、伝送特性が改善される送信方法に変更し、その送信方法に関する情報を制御信号にてUE5に通知する。例えば、変調方式をより多値数の小さい方式(16QAMからQPSK等)に変更したり、符号化率を下げて(1/3から1/6等)誤り訂正符号の冗長度を上げたりすることで、ACK/NACKの伝送特性を改善することができる。
【0322】
BS1での当該送信方法の変更は、例えば既述のスケジューラ20にて行なうことができる。また、UE5からの前記通知は、例えば、図7に示すACK/NACK誤判定信号抽出部23にて抽出してもよいし、個別の通知信号抽出部をBS1にそなえて抽出することとしてもよい。
そして、UE5は、BS1から受信した前記制御信号を制御信号抽出部55にて抽出し、その内容に従い、ACK/NACKの送信方法を変更して、BS1にACK/NACKを送信する。このUE5での送信方法の変更は、符号化部59や変調部60の動作を制御することで実現できる。これらの動作を制御するのは、送信電力制御部57でもよいし、個別の制御部でもよい。
【0323】
以上により、UE5のACK/NACK送信電力値が上限に達した場合であっても、上りACK/NACKの伝送特性を改善することができ、BS1でのACK/NACK誤判定の発生率を低減することができる。
なお、ACK/NACK送信電力値が下限に達した場合、その旨をUE5からBS1へ通知して、上記とは逆の送信方法の変更を実施してもよい。
【0324】
〔21〕第21実施形態
(NACKをACKと誤判定した場合のUEの処理)
第1乃至第13実施形態において、BS1がUE5の送信したNACKをACKと誤判定し、BS1からUE5に対して新規データの送信を行ない、BS1においてNACKをACKと誤判定したとUE5が検出した場合、UE5は、前記NACKに対する下りデータの再送を受けていないから、受信した前記新規データに誤りがあるかないかに関わらず、BS1に対してNACKを返送する。
【0325】
つまり、UE5がNACKを送信したにも関わらず、BS1がACKと誤って受信してしまった場合、UE5は、BS1に対して対象となった下りデータの再送を要求する。
あるいは、UE5は、受信した前記新規データに対しては何も返送しないこととしてもよい。その場合、BS1は、UE5から一定時間何もUE5から返送されないことからNACKと判断する。
【0326】
以上により、NACKをACKと誤判定した場合のデータ欠落を防止することができる。
また、UE5は、受信した前記新規データの誤りの有無を判定し、当該新規データに対するACK又はNACKをBS1に返送するとともに、前回の下りデータに対するNACKを送信することとしてもよい。
【0327】
その際、好ましくは、今回の新規データに対するACK/NACKと、前回の下りデータに対するNACKとを区別するための識別信号を付加する。また、今回の新規データに対するACK/NACKと、前回の下りデータに対するNACKとは、時分割多重や、周波数分割多重、符号分割多重して送信してもよい。
これにより、NACKをACKと誤判定した場合のデータ欠落を防止することができるとともに、BS1及びUE5は、新規データに対する処理を進めることができる。
【0328】
なお、上りデータに対するBS1からUE5への下りACK/NACK伝送に関しても、上記と同様の制御が可能である。
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
〔22〕付記
(付記1)
無線送信装置と、前記無線送信装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記無線送信装置へ送信する無線受信装置とをそなえた無線通信システムの通信制御方法であって、
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記無線送信装置から受信した信号とに基づいて、前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定し、
その判定結果に応じて、前記無線送信装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信条件を制御する、
ことを特徴とする、無線通信システムの通信制御方法。
【0329】
(付記2)
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、
前記第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する、
ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0330】
(付記3)
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、
前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、その伝送特性が改善される送信方法に変更する、
ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0331】
(付記4)
前記無線受信装置は、
前記第2の受信結果確認情報の多値変調方式を多値数の小さい変調方式に変更する、
ことを特徴とする、付記3記載の無線通信システムの制御方法。
(付記5)
前記無線受信装置は、
前記第2の受信結果確認情報の符号化率を低下する方向に制御する、
ことを特徴とする、付記3記載の無線通信システムの制御方法。
【0332】
(付記6)
前記無線受信装置は、
前記判定結果を前記無線送信装置へ通知する、
ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システムの通信制御方法。
(付記7)
前記無線受信装置は、
前記第2の受信結果確認情報の送信電力により他の無線受信装置による受信結果確認情報の送信に与える干渉に関する情報又は当該情報に基づく送信電力補正情報を前記無線送信装置から受信し、
前記干渉に関する情報又は前記送信電力補正情報に基づいて、前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記2記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0333】
(付記8)
前記無線受信装置は、
前記無線基地局から受信した信号を基に測定した無線回線特性情報、又は、当該無線回線特性情報を前記無線基地局に通知することにより前記無線基地局で求められ受信した送信電力補正情報に基づいて、前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記2記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0334】
(付記9)
前記無線受信装置は、
前記第1の受信結果確認情報を送信した際の第1の無線回線特性情報と、前記第2の受信結果確認情報を送信する際の第2の無線回線特性情報とを比較し、
その比較結果に基づいて、前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記5記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0335】
(付記10)
前記無線受信装置は、
前記比較結果が無線回線特性の改善を示す場合には前記第2の無線回線特性情報に基づいて前記送信電力を制御し、
前記比較結果が無線回線特性の劣化を示す場合には前記第1の無線回線特性情報に基づいて前記送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記9記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0336】
(付記11)
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、その後に前記無線基地局から受信した信号のそれぞれに対する前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記2記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0337】
(付記12)
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、その後に前記無線基地局から受信した信号に誤りがある場合にのみ、当該信号に対する前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記2記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0338】
(付記13)
前記無線受信装置は、
前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記受信結果確認情報以外の情報であって前記無線送信装置へ送信すべき情報の送信電力も制御する、
ことを特徴とする、付記2記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0339】
(付記14)
前記無線受信装置は、
誤り無しを示す前記第1の受信結果確認情報を、前記無線送信装置が誤り有りを示す情報と誤って受信した、と判定した場合に、前記無線送信装置から再送されてきた信号の受信処理を停止する、
ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0340】
(付記15)
前記無線受信装置は、
誤り有りを示す前記第2の受信結果確認情報と、誤り無しを示す前記第2の受信結果確認情報とで個別に前記送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0341】
(付記16)
前記無線受信装置は、
前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、その伝送特性が改善される送信方法に変更する、
ことを特徴とする、付記2記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0342】
(付記17)
前記無線送信装置は、無線基地局であり、前記無線受信装置は、無線端末である、ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システムの通信制御方法。
(付記18)
前記無線送信装置は、無線端末であり、前記無線受信装置は、無線基地局である、ことを特徴とする、付記1記載の無線通信システムの通信制御方法。
【0343】
(付記19)
無線送信装置と、前記無線送信装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記無線送信装置へ送信する無線受信装置とをそなえた無線通信システムの前記無線受信装置であって、
前記無線送信装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記無線送信装置から受信した信号とに基づいて、前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段での判定結果に応じて、前記無線送信装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信条件を制御する制御手段と、
をそなえたことを特徴とする、無線通信システムの無線受信装置。
【0344】
(付記20)
前記制御手段は、
前記判定手段にて、前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する、送信電力制御部を具備することを特徴とする、付記19記載の無線通信システムにおける無線受信装置。
【0345】
(付記21)
前記制御手段は、
前記判定手段にて、前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、その伝送特性が改善される送信方法に変更する、送信方法制御部を具備することを特徴とする、付記19記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0346】
(付記22)
前記送信方法制御部は、
前記第2の受信結果確認情報の多値変調方式を多値数の小さい変調方式に変更する、
ことを特徴とする、付記21記載の無線通信システムの無線受信装置。
(付記23)
前記送信方法制御部は、
前記第2の受信結果確認情報の符号化率を低下する方向に制御する、
ことを特徴とする、付記21記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0347】
(付記24)
前記制御手段は、
前記判定手段による判定結果を前記無線送信装置へ通知する通知手段を具備することを特徴とする、付記19記載の無線通信システムの無線受信装置。
(付記25)
前記送信電力制御部は、
前記無線装置から受信した、前記第2の受信結果確認情報の送信電力により他の無線受信装置による受信結果確認情報の送信に与える干渉に関する情報又は当該情報に基づく送信電力補正情報に基づいて、前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記20記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0348】
(付記26)
前記送信電力制御部は、
前記無線基地局から受信した信号を基に測定した無線回線特性情報、又は、当該無線回線特性情報を前記無線基地局に通知することにより前記無線基地局で求められ受信した送信電力補正情報に基づいて、前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記20記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0349】
(付記27)
前記送信電力制御部は、
前記第1の受信結果確認情報を送信した際の第1の無線回線特性情報と、前記第2の受信結果確認情報を送信する際の第2の無線回線特性情報との比較結果に基づいて、前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記26記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0350】
(付記28)
前記送信電力制御部は、
前記比較結果が無線回線特性の改善を示す場合には前記第2の無線回線特性情報に基づいて前記送信電力を制御し、
前記比較結果が無線回線特性の劣化を示す場合には前記第1の無線回線特性情報に基づいて前記送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記27記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0351】
(付記29)
前記送信電力制御部は、
前記判定手段にて、前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、その後に前記無線基地局から受信した信号のそれぞれに対する前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記20記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0352】
(付記30)
前記送信電力制御部は、
前記判定手段にて、前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、その後に前記無線基地局から受信した信号に誤りがある場合にのみ、当該信号に対する前記第2の受信結果確認情報の送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記20記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0353】
(付記31)
前記送信電力制御部は、
前記判定手段にて、前記無線送信装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記受信結果確認情報以外の他の情報を前記無線送信装置へ送信する際の送信電力も制御する、
ことを特徴とする、付記20記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0354】
(付記32)
前記制御手段は、
前記判定手段が、誤り無しを示す前記第1の受信結果確認情報を、前記無線送信装置が誤り有りを示す情報と誤って受信した、と判定した場合に、前記無線送信装置から再送されてきた信号の受信処理を停止する受信制御手段を具備することを特徴とする、付記19記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0355】
(付記33)
前記送信電力制御部は、
誤り有りを示す前記第2の受信結果確認情報と、誤り無しを示す前記第2の受信結果確認情報とで個別に前記送信電力を制御する、
ことを特徴とする、付記20記載の無線通信システムの無線受信装置。
【0356】
(付記34)
前記制御手段は、
前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、その伝送特性が改善される送信方法に変更する、送信方法制御部を具備することを特徴とする、付記19記載の無線通信システムの無線受信装置。
【符号の説明】
【0357】
1 無線基地局(BS)
10 送信バッファ
11 符号化部
12 変調部
12a 拡散部
13 送信無線部
14 アンテナ
15 受信無線部
16 復調部
16a 逆拡散部
17 復号部
18 ACK/NACK抽出部
19 再送制御部
20 スケジューラ
21 制御信号生成部
22 CQI抽出部
23 ACK/NACK誤判定信号抽出部
24 上りパイロット電力算出部
25 送信電力制御部
26 干渉測定部
27 CQI記憶部
28 上位再送要求信号生成部
29 上りパイロット電力測定部
30 ACK/NACK信号生成部
31 制御信号抽出部
32 ACK/NACK誤判定検出部
33 送信電力制御部
34 上りパイロット電力記憶部
5 無線端末(UE)
51 アンテナ
52 受信無線部
53 復調部
53a 逆拡散部
54 復号部
55 制御信号抽出部
56 ACK/NACK誤判定検出部
57 送信電力制御部
58 ACK/NACK信号生成部
58a 再送制御部
58b 誤り検出部
58c ACK/NACK(Pre/Post)信号生成部
59 符号化部
60 変調部
60a 拡散部
61 送信無線部
62 CQI測定部
63 CQI信号生成部
64 ACK/NACKエラー信号生成部
65 CQI記憶部
66 ACK/NACK送信電力記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と、前記基地局装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記基地局装置へ送信する端末装置とをそなえた無線通信システムの通信制御方法であって、
前記端末装置は、
前記基地局装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記基地局装置から受信した信号とに基づいて、前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定し、
前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記基地局装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する、
ことを特徴とする、無線通信システムの通信制御方法。
【請求項2】
端末装置と、前記端末装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記端末装置へ送信する基地局装置とをそなえた無線通信システムの通信制御方法であって、
前記基地局装置は、
前記端末装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記端末装置から受信した信号とに基づいて、前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定し、
前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記端末装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する、
ことを特徴とする、無線通信システムの通信制御方法。
【請求項3】
基地局装置と、前記基地局装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記基地局装置へ送信する端末装置とをそなえた無線通信システムの前記端末装置であって、
前記基地局装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記基地局装置から受信した信号とに基づいて、前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて、前記基地局装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記基地局装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する制御手段と、
をそなえたことを特徴とする、無線通信システムの端末装置。
【請求項4】
端末装置と、前記端末装置から受信した信号に誤りが有るか無いかを示す受信結果確認情報を前記端末装置へ送信する基地局装置とをそなえた無線通信システムの前記基地局装置であって、
前記端末装置へ送信した第1の受信結果確認情報と、その後に前記端末装置から受信した信号とに基づいて、前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて、前記端末装置が前記第1の受信結果確認情報を誤って受信したと判定すると、前記端末装置へ送信する第2の受信結果確認情報の送信電力を増加制御する一方、前記送信電力が上限に達すると、前記第2の受信結果確認情報の送信方法を、前記第2の受信結果確認情報の伝送特性が改善される送信方法に変更する制御手段と、
をそなえたことを特徴とする、無線通信システムの基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公開番号】特開2012−143001(P2012−143001A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92026(P2012−92026)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2009−531990(P2009−531990)の分割
【原出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】