説明

無線通信システム及び無線通信システムにおけるネイバー情報の作成方法ならびに基地局

【課題】移動体通信システムでは、ハンドオーバを適切に実施するために、ネイバー情報が適宜更新されることが望ましい。しかしながら、人の作業として行うには、基地局数が増加すると大変な手間となり、端末側に新設局を自動感知する仕組みを持つシステムでない限り、自動的に新設局のネイバー情報を追加更新することが困難であった。
【解決手段】本発明では、日々変化するネイバー情報を、ネイバー情報よりも広範囲の基地局をサーチすることによって、更新することにより実現する。具体的には、サービング基地局にて端末に2段階サーチを指示して得たレポートに含まれるネイバー情報よりも広範囲の基地局の情報から、検出回数や測定値の代表値を集計し、ネイバー情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に無線通信システムでハンドオーバする際に用いられるネイバー情報の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体無線通信システムには、面として広がるサービスエリア内のいずれの場所においても端末が良好な通信を行えるように、ハンドオーバという仕組みが組み込まれている。ハンドオーバは、端末が、通信可能な複数の基地局のうち最も良好な通信が期待できる基地局を選択し、現在通信中の基地局から選択した基地局へ、通信の引き継ぎを行う工程のことを指す。現在通信中の基地局をサービング基地局、通信の引き継ぎを行う基地局をターゲット基地局と呼ぶ。
【0003】
ハンドオーバには、大きく分けて、「コントロールドハンドオーバ」と、「アンコントロールドハンドオーバ」の2種が存在する。
【0004】
「コントロールドハンドオーバ」では、サービング基地局は、ターゲット基地局となる周囲の基地局について、BS_ID(Base Station_ID基地局の識別子)と基地局の情報を対応付けた情報を、ネイバー情報として、サービスエリア内の端末に対して報知している。ネイバー情報には、周囲の基地局のプリアンブルのコード情報等が含まれている。このプリアンブルのコード情報を用いることで、端末は、周囲の基地局が送信しているプリアンブルを容易に検出できる。端末は、ネイバー情報を元に、周囲の基地局のプリアンブルを検出し、受信品質状況などを事前に把握している。端末は、現在通信中のサービング基地局よりも良好な通信が期待できる基地局が見つかった際には、ハンドオーバを開始する。コントロールドハンドオーバでは、端末がハンドオーバの要求を出す相手は、サービング基地局である。端末からハンドオーバ要求を受信したサービング基地局は、バックホール回線を通じて、ターゲット基地局と事前にその端末の通信に関する情報の引き継ぎを行う。この際に、ターゲット基地局は、端末がハンドオーバするために必要な情報をサービング基地局に対して回答している。サービング基地局は、ターゲット基地局とのネゴシエーションの結果、ターゲット基地局から受け取った情報を、端末に対して通知する。コントロールドハンドオーバでは、こうした事前のネゴシエーションにより、ハンドオーバに要する無線リソースの消費が小さく、ハンドオーバ時間を短縮することができる。
【0005】
一方、「アンコントロールドハンドオーバ」は、端末がネイバー情報にない基地局にハンドオーバする場合や、端末がコントロールドハンドオーバに失敗した場合に発生する。端末はターゲット基地局との“事前のネゴシエーション”を行わないまま、ターゲット基地局に対して接続要求であるレンジングリクエスト(RNG_REQ:Ranging Request)信号を送信し、ハンドオーバを要求する。アンコントロールドハンドオーバでは、端末とサービング基地局との通信に関する情報の引き継ぎが、ハンドオーバ後となる。そのため、コントロールドハンドオーバに比べ、ハンドオーバ時間が長くなり、ハンドオーバに要する無線リソースの消費が大きくなってしまう。
【0006】
アンコントロールドハンドオーバが、端末がネイバー情報にない基地局にハンドオーバする場合に発生することから、その発生頻度を減らすために、ネイバー情報を常に適切な内容とすることが望まれる。しかし、新しい基地局が設置されるなど、無線通信システム内の基地局の設置状況は日々変わってしまう。また、新しいビルの建設などの外的要因によってもハンドオーバの状況は変化する。そこで、基地局のネイバー情報を自動的に適切な内容に更新するための方法が必要であった。
【0007】
無線通信システムの標準化においては、ネットワーク設計及びネットワーク最適化プロセスを自動化するSON(Self Organizing Networks:セルフ・オーガナイジング・ネットワークス)という考え方が進んでいる。SONの議論の中で、ネイバー情報を自動的に更新する仕組みが検討されている。
一例として、非特許文献1、LTE(Long Term Evolution:ロングタームエボリューション)の22.3項では、端末が、基地局から受信したネイバー情報に含まれない新しい基地局を見つけた場合、端末は、その新しく見つけた基地局が報知する基地局情報を受信し、受信した基地局情報をサービング基地局に通知する仕組みが設けられている。新しく見つけた基地局の基地局情報を受信したサービング基地局は、受信した基地局情報を元に、ネイバー情報のネイバーリスト(周囲の基地局のBS_IDで構成されるリスト。基地局名なども含まれることがある。)に新しい基地局を追加する。さらに、追加した基地局についてネイバー情報の作成に必要な情報を、ゲートウェイなどを介して取得し、BS_IDに対応付けて格納してネイバー情報を更新する。この仕組みにより、サービング基地局は、ネイバー情報を自動的に更新し、最適なネイバー情報を構築することができる。
【0008】
一方、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access:ワイマックス)などの一部の標準では、端末がネイバー情報にない新しい基地局を見つけた場合、前述のLTEのような、端末がその新しく見つけた基地局が報知する基地局情報をサービング基地局に通知する仕組みが設けられていない。こうした標準では、サービング基地局側から測定対象の基地局のネイバー局情報を指示しないと、端末は基地局の受信品質の測定や、測定結果のレポートを挙げない仕組みとなっている。このため、上述のLTEのようなネイバー情報を自動更新する仕組みはない。また、端末が、新しく見つけた基地局の情報をサービング基地局に通知するシーケンスそのものがないため、ネイバー情報の自動更新の仕組みを作り込むことが困難であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】3GPP TS36.300 V10.4.0, 22.3項
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
移動体無線通信システムでは、ハンドオーバを適切に実施するために、ネイバー情報が適宜最適な内容に更新されることが望ましい。しかしながら、ネイバー情報の更新をオペレータが行うことは、基地局数が増加すると大変な手間となり現実的でない。他方、SONという考え方があるが、LTEに代表される標準では、端末がネイバー情報に存在しない新しい基地局を見つけた場合、端末は、その新しく見つけた基地局が報知する基地局情報を受信し、受信した基地局情報をサービング基地局に通知し、サービング基地局は端末から受信した新しい基地局の基地局情報に基いて必要な情報をゲートウェイを介して取得してネイバー情報を自動更新する仕組みがあるが、一部の標準では、そうした仕組みが具備されていない。
本発明は、上記に鑑み、端末が、新しく見つけた基地局の情報をサービング基地局に通知するシーケンスをもたないシステムにおいても、自動的にネイバー情報を更新できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、一例として、端末と無線により通信を行う複数の基地局と、それらの複数の基地局が接続されたゲートウェイ装置とを有し、基地局が、端末に対し、サーチ対象の基地局、サーチで測定する内容を指定して、サーチ指示を送信し、サーチ指示を受信した端末は、指定された基地局について、指定された測定内容の測定を行い、測定結果と測定対象の基地局識別子とを含むレポートをサーチを指示した基地局へ送信する仕組みを有する無線通信システムにおいて、基地局から基地局の通信エリア内の端末に対して、第1のサーチ指示として、基地局の周辺情報に登録された周辺局をサーチ対象としたサーチ指示を送信し、基地局は端末から第1のレポートを受信し、端末からの報告内容に基づいて、第1のサーチ指示で端末が測定可能であった周辺局の周辺情報に登録された基地局をサーチ対象とした、第2のサーチ指示を送信し、端末から第2のレポートを受信し、第1、第2のレポートに基づいて、ネイバー情報を作成するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、端末が、ネイバー情報にない新しい基地局を見つけても、新しく見つけた基地局の情報をサービング基地局に通知する仕組みを持たない標準を採用した無線通信システムにおいても、ネイバー情報を自動的に更新できるようになる。
よって、基地局を新設した際などに、周囲の基地局が新設の基地局を検知し、それぞれの基地局のネイバー情報に新たに設置された基地局を自動的に加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】移動体無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】基地局が送信している信号の内容を説明する図である。
【図3】移動体線通信システムにおけるネイバー情報の自動更新を説明する図である。
【図4】基地局が端末に対して送信するサーチ指示の内容について説明する図である。
【図5】サーチ指示動作を説明する図である。
【図6】基地局が報知しているネイバー情報の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例における基地局の処理を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例における基地局の構成を説明する図である。
【図9】本発明の一実施例における保守装置の構成を説明する図である。
【図10】本発明の一実施例における移動体無線通信システムの構成例である。
【図11】1次サーチを説明する図である。
【図12】2次サーチを説明する図である。
【図13】本発明の一実施例における2次サーチのサーチ対象基地局の選択方法の一例を説明する図である。
【図14】本発明の一実施例におけるネイバー局情報の取得動作を説明する図である。
【図15】本発明の一実施例におけるネイバー局情報の取得動作を説明する図である。
【図16】ネイバー局情報のやり取りを行うシーケンスを示す図である。
【図17】本発明の一実施例におけるネイバーリストおよびネイバー情報を更新処理を説明する図である。
【図18】2段階サーチによるレポートの集計例である。
【図19】2段階サーチによるレポートの集計例である。
【図20】2段階サーチによるレポートの集計例である。
【図21】移動体無線通信システム内でのネイバーリストの作成処理の機能分担について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
まず、図1、図2、図3、図4、図5を用いて、端末からの通知により、ネイバー情報を自動更新する仕組みを持つ移動体無線通信システムにおけるネイバー情報の更新方法(作成方法)について説明する。
【0015】
以下の説明では、ネイバーリスト、ネイバー局情報、ネイバー情報、近傍リスト、近傍情報 を、以下のように区別して用いる。
ネイバーリスト 予め設定した方法で選定した、端末がハンドオーバする可能性が高いと考えられる周囲の基地局のBS_IDのリスト。
ネイバー局情報 端末がハンドオーバする際に必要なプリアンブルのコードなどのネイバー局についての情報
ネイバー情報 ネイバーリストと、ネイバーリストの各基地局のネイバー局情報を対応付けた情報。基地局はこのネイバー情報を端末に報知情報として報知している。
近傍リスト 予め設定した距離以内に存在する基地局のBS_IDのリスト。
近傍情報 近傍リストと、近傍リストの各基地局のネイバー局情報を対応付けた情報。
【0016】
図1は、移動体無線通信システムの構成例を示す図である。
図1には、説明を簡単にするため、基地局は基地局101と基地局102の2つのみ示している。基地局101および102は、ゲートウェイ装置100と接続している。端末201は、基地局101と接続状態にあるため、基地局101が送信する信号Aないし信号D(信号A:プリアンブル、信号B:報知情報、信号C:制御情報、信号D:データ)を受信している。また、端末201は、基地局102が報知する信号A:プリアンブルも受信できる状態にある。
【0017】
次に、基地局が送信する信号の内容について説明する。
図2は基地局が送信している信号の内容を説明する図である。
ここでは、報知情報について説明する。図2に示すように、B:報知情報はさらに複数の情報に分けることができる。報知情報とは、基地局がサービスエリア内の複数の端末向けに一斉に送信している制御情報のことを指している。報知情報には、a:基地局情報、b:システム情報、c:リソース割当て情報、d:ネイバー情報が含まれる。報知情報に含まれる各信号の概要は以下の通りである。
a:基地局情報 基地局の識別子(=BS_ID)など、報知情報を送信している送信元の基地局の個別情報。
b:システム情報 オペレータの識別子など、システムの個別情報。
c:リソース割当て情報 単位伝送時間における無線リソースの割当て情報。
d:ネイバー情報 予め設定した方法で選定した端末がハンドオーバする可能性が高いと考えられる周囲の基地局の、BS_ID(ネイバーリスト)とそれらの基地局のプリアンブルのなどのネイバー局情報を対応付けた情報。
【0018】
端末201は、接続中の基地局が送信している報知情報に含まれるネイバー情報を受信することにより、接続中の基地局のネイバー局のBS_IDおよびネイバー局情報を入手する。ネイバー局情報として、例えばプリアンブルのコード番号等を得ることにより、プリアンブルの検出を加速し、ネイバー局のサーチを短時間に完了させることができる。
【0019】
端末の周辺に、ネイバー情報に含まれない基地局がある場合には、端末はその基地局のプリアンブルのコード番号を知らないため、プリアンブルの検出に時間がかかり、サーチを短時間に完了できない。そのため、ネイバー情報には、最新の状況でのネイバー局が登録されているべきである。しかし、必要以上に多くの基地局がネイバー情報に登録されてしまうと、ネイバー情報の情報量が多くなり、基地局から端末に報知する際に周波数リソースを消費することになる。また、端末側もそれだけ多くの基地局をサーチする必要があるため、電力消費が多くなり、さらには基地局へのレポートの情報量も多くなるなどの弊害が発生する。そのため、周辺のどの基地局までネイバー情報に登録するべきか、適正な範囲を見極める必要がある。 図3は、ネイバー情報の自動更新動作を説明する図である。
LTEに代表されるシステムにおいては、新設の基地局が現れた場合、以下のようにして自動的にネイバー情報が更新される。
図3において、端末201は基地局101と接続し、基地局101が送信している報知情報のネイバー情報を受信している。また、端末201は、稀に、周辺の基地局のプリアンブルを観測している。この周辺の基地局のプリアンブルの監視は、プリアンブルとして許容されている全種類のコードを全て観察することで可能となる。
【0020】
端末201は、周辺の基地局のプリアンブルのサーチを終えると、検出できたプリアンブルと、基地局101から受信したネイバー情報とを比較する。その結果、ネイバー情報に含まれない新設の基地局102が見つかったと判定する。ここで、端末201が新設の基地局を見つけた場合、端末201は、その新設の基地局102のBS_IDを受信し、受信したBS_IDを現在接続中の基地局101に報告する。基地局101は、端末から得られた情報から、現在のネイバー情報にない基地局が周辺にあることを検知することができる。基地局は、新しい基地局のBS_IDをネイバー情報のネイバーリストに追加するとともに、そのBS_IDを宛先にして、ネットワークを介して新設の基地局102のネイバー局情報を要求することができる。新設の基地局は、ネットワークを介して自分宛のネイバー局情報の送信要求があれば、ネイバー局情報を要求してきた基地局101のBS_ID宛てに、ネイバー局情報を返信する。これにより、端末201が接続していた基地局101は、新たな基地局102のネイバー局情報を入手することができ、ネイバー情報にその新たな局のネイバー局情報を加えることができる。
【0021】
図4は、基地局が端末に対して送信するサーチ指示について説明する図である。
基地局は制御信号として、端末個別にサーチ指示を送付することができる。サーチ指示には、サーチタイミングなどのサーチ条件、レポート内容指示、サーチ対象情報が含まれる。
ここで、サーチ条件とは、サーチの実施間隔、サーチの実施期間、サーチの実施条件(端末におけるサービング基地局からの受信状態がある条件になったときにサーチを実施する等の条件)を指定するものである。
レポート内容指示は、サーチ結果の中から基地局にレポートさせる内容を指定する指示である、例えばRSSI(Received Signal Strength Indication)やCINR(Carrier to Interference and Noise Ratio)をレポートさせる指示が可能である。
サーチ対象情報は、サーチ対象の基地局を指定する情報である。サーチ対象基地局として、ネイバー情報に含まれる基地局を指定することもできる。また、任意の複数の基地局を指定することもできる。
サーチ対象としてネイバー情報に含まれる基地局を指定した場合は、端末は既にネイバー情報を持っているため、サーチ指示の中でサーチ対象の基地局のプリアンブルのコード情報を端末に対して送付する必要はない。サーチ対象としてネイバー情報に含まれる基地局以外の基地局を指定した場合は、サーチ指示の中でサーチ対象の基地局のプリアンブルのコード情報を全て通知しなければならない。そのため、サーチ対象情報で、多くの基地局を指定することは、サーチ指示のメッセージのサイズが大きくなり、無線リソースを浪費することを意味する。また、サーチ対象として多くの基地局を指定すると、端末は、多くの基地局をサーチするため、サーチにそれだけ多くの時間と電力を浪費する。
【0022】
図5は、サーチ指示動作を説明する図である。
基地局101が端末201に対してサーチ指示を出すと、端末は指定されたサーチ条件、サーチ対象情報に従ってサーチを実施する。端末201はサーチ対象情報で指定された基地局を全てサーチして、サーチ対象の基地局プリアンブルを検出し、レポート内容指示で指定されたRSSIやCINRを測定する。端末201は、サーチ対象基地局のプリアンブルを検出できないこともある。端末201はサーチ対象基地局のプリアンブルを全てサーチし終わったら、基地局の検出結果とレポート内容指示で指定されたパラメータの測定結果をレポートとして基地局101に送付する。
【0023】
図6は、基地局が報知するネイバー情報の一例を示す図である。
図3説明したように、基地局は、新しい基地局のBS_IDをネイバー情報のネイバーリストに追加した場合に、そのBS_IDを宛先にして、ネットワークを介して新設の基地局のネイバー局情報を要求する。新設の基地局は、ネットワークを介して自分宛のネイバー局情報の送信要求があれば、ネイバー局情報を要求してきた基地局のBS_ID宛てに、ネイバー局情報600を返信する。基地局は、新設の基地局とバックホール回線にて、ゲートウェイ装置(ASN−GW)経由で通信を行い、ネイバー局情報600を入手する。基地局は、得られたネイバー局情報をネイバー情報に追加し、MOB_NBR−ADV_メッセージ601としてサービスエリア内の端末に対して更新したネイバー情報を報知する。
【0024】
以上説明したような、端末が、ネイバー情報にない新しい基地局を見つけた場合に、新しく見つけた基地局のBS_IDをサービング基地局に通知する仕組みを持つ標準を採用した移動体無線通信システムにおいては、ネイバー情報が自動的に更新される。
以下で説明する実施例では、端末が、ネイバー情報にない新しい基地局のBS_IDをサービング基地局に通知する仕組みを持たない標準を採用した無線通信システムにおいても、自動的にネイバー情報を更新できるようにするための構成を説明する。特徴的な構成を以下にまとめる。
【0025】
複数の基地局を含む移動体無線通信システムにおいて、端末は通信中の基地局からのサーチ指示に従って、サーチ対象情報で指定された周辺情報(ネイバー情報または近傍情報)に登録された基地局(ネイバー局または近傍局)について、1次サーチを実施し、指定された測定を行う。端末は、1次サーチ結果をサーチ指示を送信した基地局に報告する。基地局はサーチの結果に含まれるネイバー局または近傍局のネイバー情報または近傍情報を予めまたは定期的に取得してメモリに格納しており、端末に対して、ネイバー局または近傍局のネイバー情報または近傍情報に登録された基地局(ネイバー局のネイバー局=2次ネイバー局、ネイバー局の近傍局、近傍局のネイバー局、近傍局の近傍局=2次近傍局)をサーチ対象情報で指定して2次サーチを実施する。この2次サーチは、1次サーチ結果に基づいてサーチ対象情報が設定されるので、端末後とに異なるサーチ対象情報を含むことになる。端末は2次サーチ結果を基地局に報告する。ここに記載したサーチ方法を2段階サーチと呼ぶこととする。この2段階サーチにより、ネイバー情報または近傍情報に登録された基地局よりも、さらに広範囲の基地局のサーチを行うことができる。また、1次サーチでサーチ可能であったネイバー局または近傍局のネイバー情報または近傍情報に登録された基地局についてのみ、2次サーチを指示するため、2次サーチのサーチ対象情報は、端末毎に設定されるため、無駄に範囲を広げて必要以上に多くの基地局のサーチ指示、測定、報告を行うことがない。
【0026】
前述のネイバー局または近傍局のネイバー情報または近傍情報の取得は、予めまたは定期的にネイバー局または近傍局から取得しておく他、移動体無線通信システム内の全基地局のネイバー情報および近傍情報を管理している保守装置から取得して記憶しておくこともできる。
【0027】
または、保守装置がネイバー情報および全基地局の位置情報は管理しているが、近傍情報は管理していない場合には、保守装置に対して、中心となる基地局および距離の情報を送信し、その基地局局から一定の距離以内の基地局を保守装置に教えてもらい、その基地局局から一定の距離以内の基地局をサーチ対象情報で指定して、2次サーチを行なう。
【0028】
1次サーチ、2次サーチからなる2段階サーチによるサーチ結果の集計方法としては、各基地局がサーチ結果に含まれた回数をカウントする方法、サーチ結果を蓄積して、各基地局の受信品質情報(例えば、RSSIやCINR)の代表値(例えば、平均値や中央値)を演算し、上記回数のカウント結果や上記受信品質情報の代表値を求める方法が考えられる。
集計の結果を、カウント値については回数の多い順に並べ、受信品質情報については品質の良い順に並べ、例えば制限個数や閾値などの予め定めた基準に基づき、ネイバーリストおよびネイバー情報を再構成する。
ネイバーリストおよびネイバー情報の再構成は、基地局が、回数のカウント結果や上記受信品質情報の代表値を、保守装置に定期的に通知し、保守装置がネイバーリストおよびネイバー情報を更新し、基地局に通知する構成とすることも可能である。
【0029】
集計方法としては、各基地局がサーチ結果に含まれた回数をカウントする方法、サーチ結果を蓄積して、各基地局の受信品質情報(例えば、RSSIやCINR)の代表値(例えば、平均値や中央値)を演算し、上記回数のカウント結果や上記受信品質情報の代表値を求める方法のいずれか一方または両方を組み合わせて用いる。
【実施例1】
【0030】
次に、図7ないし図18を用いて、本発明の実施例を説明する。
図7は、本発明の一実施例における基地局の処理を説明するフローチャートである。
基地局は、基地局のサービスエリア内の各端末に対し、まず1次サーチを指示する。1次サーチ指示の内容は、サーチ条件としては、すぐにサーチを実施するこをを指示し、レポート内容指示では例えばRSSI、CINRの報告を指示する。サーチ対象情報としては、基地局のネイバー情報に含まれる基地局を指定する。(S701)
基地局から1次サーチの指示を受信した各端末は、サーチ指示で指定されたサーチ条件、サーチ対象情報に従って、ネイバー情報に含まる基地局についてサーチを行い、RSSI、CINRを測定する。ここで、ネイバー情報に登録されている基地局をネイバー局と呼ぶことにする。基地局のネイバー情報に登録されているネイバー局は、基地局の周囲に点在している。そのため、サーチ指示を受けた端末の位置によっては、その端末がネイバー情報に登録されたすべてのネイバー局を検出できるとは限らない。具体的には、基地局のサービスエリアのある一端に位置する端末は、基地局を中心とするサービスエリアの反対の端よりも外側に位置するネイバー局の信号は、検出できない場合がある。そのため、端末は、1次サーチ結果のレポートとして、RSSI、CINRを測定可能であったネイバー局については、ネイバー局のBS_IDと測定結果を、検出できなかったネイバー局についてBS_IDと検出できなかったことを通知する。基地局は、サービスエリア内の各端末より、レポートを受信する。(S702)
次に、基地局は、各端末から受信したレポートに基づいて、それぞれの端末がプリアンブルを受信可能なネイバー局を抽出する。(S703)
そして、それぞれの端末に対して、2次サーチ指示を行う。2次サーチでは、各端末に対して、サーチ条件としては、すぐにサーチを実施することを指示し、レポート内容指示では例えばRSSI、CINRの報告を指示する。サーチ対象情報としては、プリアンブルを受信可能であるとして抽出したネイバー局のネイバー情報に含まれる基地局(プリアンブルを受信可能であるとして抽出したネイバー局のネイバー局 以下の説明においては、2次ネイバー局と称する場合がある。)を指定する。このとき、ネイバー局のネイバー情報は、予め基地局がゲートウェイを介してネイバー局から受信していたものを、端末に通知する。(S704)
基地局から2次サーチの指示を受信した各端末は、サーチ指示で指定されたサーチ条件、サーチ対象情報に従って、2次ネイバー局のサーチを行い、RSSI、CINRを測定する。サーチ指示を受けた端末の位置によっては、すべての2次ネイバー局を検出できるとは限らない。端末は、2次サーチ結果のレポートとして、RSSI、CINRを測定可能であった2次ネイバー局について、BS_IDと測定結果を、検出できなかった2次ネイバー局についてBS_IDと検出できなかったことを通知する。基地局は、サービスエリア内の各端末より、レポートを受信する。(S705)
以上のようにして、本実施例では、ある基地局のネイバー情報に登録されているネイバー局だけでなく、ネイバー局のネイバー情報に登録された2次ネイバー局まで範囲を広げた2次サーチを行うことで、通常のサーチよりも広い範囲の基地局をサービスエリア内の端末に指示することで、ネイバー情報に含まれない周囲の基地局のBS_ID、RSSIやCINRなどの測定結果を取得することが可能となる。基地局は、このように、2次ネイバー局にまで範囲を広げた2次サーチを端末に実施させることで、自身のネイバー情報に含まれていない基地局のプリアンブルを検出し、ネイバーリストに新たなネイバー局を追加することが可能になる。基地局は、追加した基地局宛に、ネットワークを介してネイバー局情報の要求を行い、2次ネイバー局のネイバー局情報を取得し、ネイバー情報に追加することで、ネイバー情報の更新が可能である。
【0031】
以上の説明は、基地局が、サーチ対象情報をネイバー情報として、端末に対して1次サーチ指示、2次サーチ指示を送信する場合について説明しているが、このほか、1次サーチのサーチ対象情報として、ネイバー情報を指定し、2次サーチのサーチ対象情報としてネイバー局の近傍情報を指定することや、1次サーチのサーチ対象情報として、近傍情報を指定し、2次サーチのサーチ対象情報として近傍局の近傍情報を指定する場合、1次サーチのサーチ対象情報として、近傍情報を指定し、2次サーチのサーチ対象情報として近傍局のネイバー情報を指定する場合も考えられる。近傍情報は、たとえば、ネイバー情報が何らかの事情で取得できない場合に保守装置から取得してネイバー情報の代わりに用いることが考えられる。また、1次サーチの対象としては、サーチ指示でプリアンブルのコードを送信する必要がないので、報知済みのネイバー情報を用いる方が効率的と考えられる。
【0032】
次に、基地局の構成について説明する。
図8は、本発明の一実施例における基地局の構成を説明する図である。
基地局101は、高周波信号を処理する無線周波数処理(RF:Radio Frequency)部801、ベースバンド信号を処理する(BB:Base Band)部802、RF部とBB部を制御するコントロール(Cont:Control)部803から構成され、Cont部はメモリ(Memory)部805からデータを取得する構成である。1次サーチのサーチ指示の情報はMemory部805から取り出され、BB部802、RF部801を通って、サーチ指示として端末に送付される。端末からの1次サーチのレポートは、RF部801、BB部802を通ってCont部803に入り、そのレポート内容に応じて、Memory部805から2次サーチのサーチ対象情報を作成するための情報が取り出され、Cont部803において2次サーチのサーチ対象が決定される。2次サーチのサーチ指示の情報は1次サーチの場合と同様にして端末に送付される。
【0033】
次に、保守装置の構成について説明する。
図9は、本発明の一実施例における保守装置の構成を説明する図である。
保守装置110は基地局制御部601を有し、基地局制御部601は基地局データ管理制御部602と基地局情報データベース603を有する。基地局情報データベース603は、各基地局のネイバー情報や位置情報、近傍情報を保持することができ、基地局データ管理制御部602は基地局から送られて来るデータと基地局情報データベース603の情報を用いて、基地局情報データベース603の情報を更新することができ、更新結果を基地局に通知することができる。
【0034】
次に、図10ないし図17を用いて、本発明の一実施例における2段階のサーチの動作を説明する。
【0035】
図10は、本発明の一実施例における移動体無線通信システムの構成例を示す図である。
図10には、3つの基地局(基地局101、基地局102、基地局103)と端末201を図示しており、このうち基地局101が端末201と通信を行なっている。ここで、基地局101のネイバーリストおよびネイバー情報には、基地局102が登録されており、基地局103は登録されていないとする。基地局101、基地局102、基地局103は、図10には図示していないがゲートウェイ装置100と接続し、ゲートウェイ装置100を介して通信可能である。端末201は、基地局101が送信する信号(A:プリアンブル、B:報知情報、C:制御情報、D:データ)を受信している。
【0036】
図11は、1次サーチを説明する図である。
基地局101は、端末201に、C:制御情報によって1次サーチ指示を送信する(1)。図11には、端末は1つしか図示していないが、基地局101は、エリア内の複数の端末に対して、1次サーチ指示を行う。1次サーチ指示の内容としては、サーチ条件として、すぐにサーチを行うよう指定する。また、レポート内容指示としては例えばRSSI、CINRを指定する。サーチ対象情報には、基地局101のネイバー情報に含まれている基地局を指定する。
1次サーチ指示を受信した端末201は、サーチ指示の内容に従ってサーチを行う。ここで、基地局102は基地局101のネイバー情報に登録されている。そのため、端末201は、基地局101から受信したネイバー情報を参照して基地局102のネイバー局情報に含まれるプリアンブルのコード情報を用いて、基地局102が送信する信号 A:プリアンブルを検知し、サーチが可能である(2)。一方、基地局103は基地局101のネイバー情報に登録されていない。そのため、基地局103が送信する信号A:プリアンブルについては、ネイバー情報に基地局103が登録されていないため、プリアンブルのコード情報が分からず、端末201はすぐには検知できない。従って、端末201は基地局102が報知する信号A:プリアンブルをサーチした結果だけを基地局101にレポートする(3)。
【0037】
図12は、2次サーチを説明する図である。
図12には、端末はひとつしか図示していないが、基地局101は、エリア内の各端末に対して、以下に説明する端末201に対する処理と同様の処理を行う。
基地局101は、1次サーチ指示の応答として、端末201から受け取ったレポートの内容に基づき、ネイバー情報に含まれる基地局(ネイバー局)のうち、端末201がプリアンブルを受信可能なネイバー局である基地局102を抽出する。そして、端末201に対して、2次サーチ指示を行う(1)。2次サーチでは、端末201に対して、サーチ条件としては、すぐにサーチを実施することを指示し、レポート内容指示では例えばRSSI、CINRの報告を指示する。サーチ対象情報としては、プリアンブルを受信可能であるとして抽出した基地局102のネイバー情報に含まれる基地局(2次ネイバー局)を指定する。
【0038】
基地局から2次サーチの指示を受信した端末201は、サーチ指示で指定されたサーチ条件、サーチ対象情報に従って、2次ネイバー局のサーチを行い、RSSI、CINRを測定する(2)。端末201は、2次サーチ結果のレポートとして、RSSI、CINRを測定可能であった2次ネイバー局103について、BS_IDと測定結果を、検出できなかった2次ネイバー局についてBS_IDと検出できなかったことを通知する。基地局101は、端末201より、ネイバー局102のネイバー情報に登録された基地局のサーチ結果のレポートを受信する(3)。
【0039】
図13は、本発明の一実施例における2次サーチのサーチ対象基地局の選択方法の一例を説明する図である。
図13を用いて、2次サーチのサーチ対象基地局を選択する別の方法を説明する。
【0040】
基地局101は、ネットワークを介して、図示していない保守装置に対して、ネイバー局のBS_IDと、距離Lの情報を含めて、ネイバー局から一定の距離以内に存在する基地局の情報、すなわちネイバー局の近傍情報を要求するメッセージを送信する。保守装置は、移動体無線通信システム内に設定されている基地局の位置情報などの各種情報を管理している。保守装置は、基地局101からのメッセージを受信し、ネイバー局から半径L
以内の基地局を、保守装置が管理している情報に基づいて検索し、検索結果を近傍情報として基地局101に応答する。このようにして基地局101は予めネイバー情報のネイバー局の近傍情報を保持している。
図13には、端末はひとつしか図示していないが、基地局101は、エリア内の各端末に対して、以下に説明する端末201に対する処理と同様の処理を行う。
まず、前述の説明と同様に、基地局101は、端末201に1次サーチを指示し、1次サーチ結果のレポートを受信する。基地局101は、端末201から受け取ったレポートの内容に基づき、ネイバー情報に含まれる基地局(ネイバー局)のうち、端末201がプリアンブルを受信可能なネイバー局である基地局102を抽出する。
基地局101は、2次サーチのサーチ対象情報に、基地局102の近傍情報に基いて、基地局103を指定し、2次サーチ指示を端末201に送信する。
【0041】
図14は、ネイバー情報の取得動作を説明する図である。
基地局101は、ネイバー局102に対して、ゲートウェイ装置100を介して、ネイバー局102のネイバー情報を要求する。ネイバー局102は、基地局101に対してネイバー情報を応答する。移動体無線通信システム内の各基地局は、自局のネイバー情報に変更があった場合、自局のネイバー情報に含まれるネイバー局に対して、新しいネイバー情報を通知する。
【0042】
図15は、ネイバー情報の取得動作の別の例を説明する図である。
図15の例では、保守装置110は、移動体無線通信システム内の全基地局のネイバー情報を管理している。基地局101は、ゲートウェイ装置100を介して、保守装置110に対して、ネイバー局102のネイバー情報を要求する。保守装置110は、基地局101の要求に応答して、ネイバー局102のネイバー情報を送信する。
図13で説明したネイバー局102の近傍情報を保守装置から取得する場合の動作も、上記と同様である。
【0043】
図16は基地局間でネイバー局情報のやり取りを行うシーケンスを示す。
図11および図12で説明した2段階サーチ指示により、基地局101は、ネイバーリストに新しい基地局103のBS_IDを追加する。基地局101ではネイバーリストが更新された場合、ネイバーリストに登録された基地局103に対し、RADIO_CONFIG_UPDATE_REQメッセージ1601を送信し、ネイバー情報として報知するための基地局103のネイバー局情報を要求する。基地局103は、自身のネイバー局情報をRADIO_CONFIG_UPDATE_RSPメッセージ1602としてサービング基地局101に送信する。
【0044】
以上説明した実施例においては、基地局はサービスエリア内の複数端末に対して、1次サーチ指示、2次サーチ指示を送信するとして説明したが、1次サーチの結果、端末から受け取ったレポートのネイバー局毎のRSSI、CINRなどの測定結果に基づいて、端末の位置を推定し、予め決めた条件を満たす端末に対して2次サーチ指示を行うようにしてもよい。例えば、1次サーチ指示は、サービスエリア内の全端末に送信し、2次サーチは、1次サーチの結果、サービスエリアの境界部(周囲の基地局との境界に近い位置)に位置する端末に対して送信することも考えられる。
【0045】
また、以上説明した実施例において、新設局が、新設局のメモリにネイバー情報が何も設定されていない状態で新設された場合に、サービング基地局が1次サーチ、2次サーチともに、ネイバー情報を用いる場合には、自動的に周辺基地局にネイバー情報に追加されない特殊なケースも考えられなくもないが、この場合は、最低限の基地局のネイバー情報に新設の基地局を追加することで、上述の実施例で説明した自動的なネイバー情報の更新が同様に実施される。
【実施例2】
【0046】
前述の説明で、必要以上に多くの基地局がネイバー情報に登録されてしまうと、ネイバー情報の情報量が多くなり、報知する際に周波数リソースを消費することになる。また、端末側もそれだけ多くの基地局をサーチする必要があるため、電力消費が多くなり、さらには基地局へのレポートの情報量も多くなるなどの弊害が発生するため、周囲のどの基地局までネイバー情報に登録するべきか、適正な範囲を見極める必要があるという課題を述べた。以下、実施例2においては、適正な範囲のネイバーリスト、ネイバー情報を作成するための構成について、図17、18、19、20、21を用いて説明する。
【0047】
図17は、本発明の一実施例におけるネイバーリストおよびネイバー情報の更新処理を説明する図である。
基地局は接続している各端末の2段階サーチのレポートを収集し(S1701)、あるタイミングで収集したレポートを集計する(S1702)。例えば、一定時間毎に集計を行う。または、予め設定された時刻に、設定された時間帯のレポートを集計する。
基地局別の集計値から基地局に優先度を付けて、それを元にネイバーリストおよびネイバー情報を更新する(S1703)。更新したネイバーリストおよびネイバー情報は基地局に反映され(1704)、報知情報で端末に報知される。
【0048】
図18は、2段階サーチによるレポートの集計例である。
図18に示すように、2段階サーチのレポートの集計結果に基づいて、レポートに含まれている度にカウント数をインクリメントし、カウントの多い順番に並べ、一定の個数や閾値に基づいてネイバー局として選択して、新しいネイバーリストおよびネイバー除法を構成することができる。カウントは日々変化するので、集計期間を長めに取るか、過去のカウントを活かすように忘却平均などの計算を行うと効果的である。また、1次サーチの対象となる基地局と、2次サーチの対象となる基地局とではサーチされる回数が異なることが考えられるため、二次的なサーチの対象となる基地局のカウントは優遇する重み計算を行うことも効果的である。
【0049】
図19に、2段階サーチによるレポートの別の集計例を示す。
図19に示した表は、1次サーチのレポートと2次サーチのレポートから、2段階サーチで検出された基地局の品質評価値(例えば、RSSIやCINR)を、基地局別に集計して代表値(例えば、平均値や中央値)を算出した表である。代表値の高い順番に並べ、例えば、一定の個数制限や予め設定した閾値に基づいて、ネイバー局を選択し、新しいネイバーリストおよびネイバー情報を作成することができる。
品質評価値は日々変化するので、集計期間を長めに設定するか、過去のデータについてはデータを間引いてから代表値を算出すると効果的である。
【0050】
図20に、2段階サーチによるレポートのさらに別の集計例を示す。
図20では、図18で説明したカウントによる順位、図19で説明した複数種類の品質評価値の代表値による順位の2つを組み合わせて、ネイバー局を選択し、ネイバーリストおよびネイバー情報を更新する方法を説明している。ネイバーリストおよびネイバー情報を更新するために、図18で説明した報告回数のカウントによる順位と、図19で説明した品質評価値の代表値による順位を組み合わせることで、それぞれの方法のメリットを活かし、デメリットを補うことができる。組合せ方法の一つの例としては、図18、図19それぞれの方法で予め決めた個数のネイバー局をそれぞれ選択し、足し合わせてネイバーリストとする方法が考えられる。
【0051】
図21は、移動体無線通信システム内でのネイバーリストの作成処理の機能分担について説明する図である。
まず、2段階サーチのレポートは、基地局が収集する(1)。基地局は、レポートの集計までを行う(2)。基地局は、集計結果を保守装置に送付する(2’)。保守装置はネイバーリストおよびネイバー情報を管理しており、基地局から送られて来た集計結果を元にネイバーリストおよびネイバー情報を更新する(3)。保守装置は、更新したネイバーリストおよびネイバー情報を基地局に送付する(3’)。基地局は、保守装置から受信したネイバーリストおよびネイバー情報を基地局で管理しているネイバーリスト、ネイバー情報に反映させる(4)。
【符号の説明】
【0052】
100…ゲートウェイ装置、101、102、103…基地局装置、201…端末装置、110…保守装置、801…無線周波数処理部、802…ベースバンド部、803…コントロール部、804…データベース部、805…メモリ部、901…基地局制御部、902…基地局データ管理制御部、903…基地局データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と無線により通信を行う複数の基地局と、それらの複数の基地局が接続されたゲートウェイ装置とを有する無線通信システムであって、
前記無線通信システム内の各基地局は、各基地局のネイバー局の基地局識別子およびネイバー局の情報を対応付けたネイバー情報を端末に対して報知しており
また、基地局が、端末に対し、サーチ対象の周辺局、サーチで測定する内容を指定して、サーチ指示を送信し、サーチ指示を受信した端末は、指定された周辺局について、指定された測定内容の測定を行い、測定結果と測定対象の基地局識別子とを含むレポートを基地局に送信する仕組みを有しており、
基地局は、基地局の通信エリア内の端末に対して、第1のサーチ指示として、該基地局の周辺情報に登録された周辺局をサーチ対象としたサーチ指示を送信し、第1のサーチ指示を受信した端末は、サーチを実施して基地局に第1のレポートを送信し、
前記基地局は、端末から受信した第1のレポートに基づいて、前記端末に対して、前記周辺局の周辺情報に登録された2次周辺局をサーチ対象とした、第2のサーチ指示を送信し、第2のサーチ指示を受信した端末は、サーチを実施して基地局に第2のレポートを送信し、
前記基地局は、端末からの、第1、第2のレポートに基づいて、ネイバー情報を作成することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、前記基地局は、該基地局の通信エリア内の複数またはすべての端末に対して前記第1のサーチ指示および各々の端末の第1のサーチ指示の結果に基づく端末個別の第2のサーチ指示を送信することで、該基地局の通信エリア周囲の基地局をサーチすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムであって、前記基地局は、前記第1のサーチ指示の結果に基づいて、第2のサーチ指示を送信する端末を前記複数の端末から選択し、選択した端末に対して、第2のサーチ指示を送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3に記載の無線通信システムであって、
さらに、無線通信システム内の各基地局の周辺情報を含む基地局の情報を管理する保守装置を有し、該保守装置は無線通信システム内の各基地局に接続された構成であり、
前記周辺局の周辺情報は、前記保守装置から取得することを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3に記載の無線通信システムであって、
さらに、無線通信システム内の各基地局の周辺情報を含む基地局の情報を管理する保守装置を有し、該保守装置は無線通信システム内の各基地局に接続された構成であり、
前記周辺局の周辺情報は、前記周辺局から取得することを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3に記載の無線通信システムであって
前記第1、第2のレポートの集計方法として、各周辺局、各2次周辺局について、レポートに含まれた回数をカウントして集計し、カウント値に応じて、ネイバー情報の作成を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3に記載の無線通信システムであって
前記第1、第2のレポートの集計方法として、各周辺局、各2次周辺局について、レポートを蓄積して、各周辺局および各2次周辺局についてレポートに含まれる受信品質情報の代表値を演算し、代表値に応じて、ネイバー情報の作成を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項8】
前記第1、第2のレポートの集計方法として、前記請求項6または前記請求項7のどちらか一方または両方の集計方法を組合せて、ネイバー情報の作成を行うことを特徴とする無線通信システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3に記載の無線通信システムであって、前記周辺情報として、ネイバー情報または近傍情報を用いることを特徴とする無線通信システム。
【請求項10】
端末と無線により通信を行う複数の基地局と、それらの複数の基地局が接続されたゲートウェイ装置とを有し、基地局が、端末に対し、サーチ対象の周辺局、サーチで測定する内容を指定して、周辺局のサーチ指示を送信し、サーチ指示を受信した端末は、指定された周辺局について、指定された測定内容の測定を行い、測定結果と測定対象の基地局識別子とを含むレポートを基地局に送信する仕組みを有する無線通信システムにおけるネイバー情報の作成方法であって、
基地局から基地局の通信エリア内の端末に対して、第1のサーチ指示として、該基地局の周辺情報に登録された周辺局をサーチ対象としたサーチ指示を送信し、端末から第1のレポートを受信し、
端末から受信した第1のレポートに基づいて、端末が測定可能であった周辺局から該周辺局の周辺情報を前記ゲートウェイ装置を介して取得し、前記端末に対して、前記取得した周辺局の周辺情報に登録された2次ネイバー局をサーチ対象とした、第2のサーチ指示を送信し、端末から第2のレポートを受信し、
第1、第2のレポートに基づいて、ネイバー情報を作成することを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項11】
請求項10に記載のネイバー情報の作成方法であって、前記基地局は、該基地局の通信エリア内の複数またはすべての端末に対して前記第1のサーチ指示および各々の端末の第1のサーチ指示の結果に基づく端末個別の第2のサーチ指示を送信することで、該基地局の通信エリア周囲の基地局をサーチし、ネイバー情報を作成することを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項12】
請求項11に記載のネイバー情報の作成方法であって、前記基地局は、前記第1のサーチ指示の結果に基づいて、第2のサーチ指示を送信する端末を前記複数の端末から選択し、選択した端末に対して、第2のサーチ指示を送信することを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項13】
請求項10ないし請求項12に記載のネイバー情報の作成方法であって、
さらに、無線通信システム内の各基地局の周辺情報を含む基地局の情報を管理する保守装置を有し、
前記周辺局の周辺情報は、前記保守装置から取得することを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項14】
請求項10ないし請求項12に記載のネイバー情報の作成方法であって、
さらに、無線通信システム内の各基地局の周辺情報を含む基地局の情報を管理する保守装置を有し、
前記周辺局の周辺情報は、前記周辺局から取得することを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項15】
請求項10ないし請求項12に記載のネイバー情報の作成方法であって
前記第1、第2のレポートの集計方法として、各周辺局、各2次周辺局について、レポートに含まれた回数をカウントして集計し、カウント値に応じて、ネイバー情報の作成を行うことを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項16】
請求項10ないし請求項12に記載のネイバー情報の作成方法であって
前記第1、第2のレポートの集計方法として、各周辺局、各2次周辺局について、レポートを蓄積して、各周辺局および各2次周辺局についてレポートに含まれる受信品質情報の代表値を演算し、代表値に応じて、ネイバー情報の作成を行うことを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項17】
前記第1、第2のレポートの集計方法として、前記請求項15または前記請求項16のどちらか一方または両方の集計方法を組合せて、ネイバー情報の作成を行うことを特徴とするネイバー情報の作成方法。
【請求項18】
請求項10ないし請求項12に記載のネイバー情報の作成方法であって、前記周辺情報として、ネイバー情報または近傍情報を用いることを特徴とするネイバー情報の作成方法
【請求項19】
端末と無線回線により通信を行う基地局であって、
アンテナを介して端末と送受信する無線信号の処理を行う無線周波数部と、
無線周波数部と送受信するベースバンド信号の処理を行うベースバンド部と、基地局の電波が到達するサービスエリア内の端末に報知する周辺情報が少なくとも記憶されたメモリと、基地局の各部を制御する制御部とを少なくとも有し、
前記制御部は、予めまたは定期的に、前記周辺情報に登録された基地局の周辺情報をネットワークを介して取得して前記メモリに記憶し、
通信エリア内の端末に対して、第1のサーチ指示として、該基地局の周辺情報に登録された周辺局をサーチ対象としたサーチ指示を送信し、第1のサーチ指示を受信した端末から送信されてきた第1のレポートを受信し、
端末からの第1のレポートに基づいて、前記端末に対して、前記周辺局の周辺情報に登録された2次周辺局をサーチ対象とした、第2のサーチ指示を送信し、第2のサーチ指示を受信した端末から送信されてきた第2のレポートを受信し、
前期第1、第2のレポートに基づいて、ネイバー情報を作成することを特徴とする基地局。
【請求項20】
請求項19に記載の基地局であって、
通信エリア内の複数またはすべての端末に対して前記第1のサーチ指示および各々の端末の第1のサーチ指示の結果に基づく端末個別の第2のサーチ指示を送信することで、該基地局の通信エリア周囲の基地局をサーチし、ネイバー情報を作成することを特徴とする基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−98593(P2013−98593A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236623(P2011−236623)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】