説明

無線通信システム及び無線通信中継装置

【課題】通信を行うべき通信所同士が海洋や湖沼、河川などの水上を隔てて配置されている場合であっても、通信所同士の通信を簡便に実現可能な無線通信システム及び無線通信中継装置を提供する。
【解決手段】水上(海洋、湖沼、河川等)を隔てて配置される複数の通信所と、それらの間に配置され、通信所同士の無線通信を中継する中継装置2とを備える無線通信システムであって、中継装置2は、アンテナ2mを備えたバルーン(飛行体)2bと、水上に浮遊しながらバルーン2bを係留すると共に、バルーン2bのアンテナ2mで受信した信号を当該アンテナ2bから中継送信する制御部2c(中継処理手段)を備えるブイ(水上浮遊体)2aとを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋、湖沼、河川などの水上を隔てて配置された通信所同士の中継を行う無線通信システム及び無線通信中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ網の補完的利用や離島間通信などの目的で、ミリ波やマイクロ波帯の無線回線を利用した通信システム(FWA(Fixed Wireless Access))が知られている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−319447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したFWAは、既設の通信インフラに異常や故障が生じた場合や、通信インフラを有さない地域などで、仮設の通信インフラとしても使用することができる。
しかし、通信所同士が直接通信可能な距離には限界がある。そのため、長距離伝送を行う場合は通信所と通信所の間に中継装置が必要になるが、通信所同士が海洋や湖沼、河川などの水上を隔てて配置されている場合、中継装置を設置することができない。この場合、例えば通信所と通信所の間に船舶を停泊させるたり、ヘリコプターなどを飛行させて中継することが考えられる。しかし、船舶やヘリコプターを中継に使用することは、コストや必要人員を勘案すると簡便な手法とは言えない。
【0005】
一方、中継装置を使用しないで伝送距離の長い周波数帯や衛星回線を使用することも考えられるが、映像などの情報量の多いデータ伝送には不向きである。
【0006】
本願発明は、上述の背景からなされたものであって、通信を行うべき通信所同士が海洋や湖沼、河川などの水上を隔てて配置されている場合であっても、通信所同士の通信を簡便に実現可能な無線通信システム及び無線通信中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願の無線通信システムにあっては、水上を隔てて配置される複数の通信所と、前記複数の通信所の間に配置され、前記通信所同士の無線通信を中継する無線通信中継装置とを備える無線通信システムであって、前記無線通信中継装置は、アンテナを備えた飛行体と、水上に浮遊しながら前記飛行体を係留すると共に、前記飛行体のアンテナで受信した信号を前記飛行体のアンテナから中継送信する中継処理手段を備える水上浮遊体と、を備えるように構成した。
【0008】
また、本願の無線通信中継装置にあっては、水上を隔てて配置された複数の通信所の間に配置され、前記通信所同士の無線通信を中継する無線通信中継装置であって、アンテナが設置された飛行体と、水上に浮遊しながら前記飛行体を係留すると共に、前記飛行体のアンテナで受信した信号を前記飛行体のアンテナから送信する中継処理を行う中継処理手段を有する水上浮遊体と、を備えるように構成した。
【発明の効果】
【0009】
本願の無線通信システム及び無線通信中継装置によれば、通信を行うべき通信所同士が海洋や湖沼、河川などの水上を隔てて長距離離間している場合であっても、通信所同士の通信を簡便に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明に係る無線通信システムの概要を例示する図である。
【図2】図1に示した通信所の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した中継装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した通信所で行われる処理を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した通信所の表示部に表示される表示画面の一例である。
【図6】図1に示した通信所の表示部に表示される表示画面の一例である。
【図7】図1に示した通信所の表示部に表示される表示画面の一例である。
【図8】図1に示した中継装置で行われる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願発明の実施形態を説明する。
図1は、本願発明に係る無線通信システムの概要を例示する図である。
図1に示すように、本願発明に係る無線通信システムは、洋上に浮かぶ離島間を結ぶ通信インフラとして使用されるものであり、島Aと島Bにそれぞれ配置された通信所1−1,1−2を備える。通信所1−1と通信所1−2は、海洋(水上)を隔てて配置され、その距離は本実施例では約250kmとする。
尚、通信所1は、必ずしも島(地上)に配置される必要はなく、船舶などであってもよい。
【0012】
本願発明に係る無線通信システムは、さらに、通信所Aと通信所Bの間の海洋に配置された複数の中継装置(無線中継装置)2−1,2−2,2−3,2−4,2−5を備える。
【0013】
図1で、通信所1と中継装置2を結ぶ線、及び、中継装置2同士を結ぶ線は、当該線で結ばれたもの同士が通信可能な距離に存在し、リンクを形成できることを示している。図示の例では、通信所1−1は中継装置2−1,2−2と、中継装置2−1はさらに中継装置2−2,2−3,2−4,2−5と、中継装置2−2はさらに中継装置2−4と、中継装置2−3はさらに通信所1−2及び中継装置2−5と、中継装置2−4はさらに中継装置2−5と、中継装置2−5はさらに通信所1−2と無線で接続されている。
また、通信所1と中継装置2は、衛星Sとの間にアップリンク及びダウンリンクが形成され、衛星Sを介して通信することができる。尚、通信所A,Bには、中継装置2以外にも、その他の通信所が無線接続される。
【0014】
図2は、通信所1(及び、図1に示すその他の通信所)の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、通信所1は、制御部1a、位置検出手段としてのGPS(Global
Positioning System)1b、カメラ(赤外線カメラやEM-CCDカメラなど)1c、表示部(ディスプレイ)1d、操作者が操作するキーボードやマウスなどの指示入力部1eを備える。制御部1aは、CPUやメモリなどを備え、各種処理を実行する。制御部1aには、GPS1b、カメラ1c、表示部1d、指示入力部1eが接続される。
【0016】
通信所1はさらに、送受信回路1fと無線部1gと無指向性アンテナ1hからなる第1の通信系と、送受信回路1iと無線部1jと無指向性アンテナ1kからなる第2の通信系を備える。送受信回路1f,1iは、変復調処理などのベースバンド処理を行う。また、無線部1g,1jは、送信信号または受信信号の周波数変換(アップコンバート、ダウンコンバート)や電力増幅を行う。第1の通信系と第2の通信系は、それぞれ制御部1aに接続される。本実施例では、第1の通信系は第1のチャネル(通信回線)に使用され、第2の通信系は上記第1の通信系よりも通信可能距離が大きい第2のチャネル(通信回線)に使用される。尚、後述のように、通信所1では通信可能な通信所1と中継装置2の位置を把握することができるため、アンテナ1h,1kは指向性アンテナであってもよい。
【0017】
また、通信所1は外部ネットワークI/F(インターフェース)1mを備える。外部ネットワークI/F1mは、例えばEthernet(登録商標)に接続され、外部のコンピュータネットワークと通信を行う。さらに、通信所1は電源装置1nを備える。電源装置1nは上記した各部に接続され、例えば外部から供給されたACまたはDCを所定の電圧に変換して動作電源として供給する。
【0018】
続いて、中継装置2の構成について説明する。図3は、中継装置2の構成を示すブロック図である。
【0019】
図3に示すように、中継装置2は、水上に浮かぶブイ(水上浮遊体)2aと、ブイ2aに係留されたバルーン(飛行体)2bを備える。バルーン2aは、例えば気体充填部(図示せず)に水素やヘリウムガスなどが充填されたガスバルーンであり、空中に浮遊可能とされる。
中継装置2(具体的にはブイ2a)は、制御部2c、位置検出手段としてのGPS(Global
Positioning System)2d、波高計2e、風力・風向計2f、発光部2g、拡声装置(スピーカ)2hを備える。制御部2cは、CPUやメモリなどを備え、各種処理を実行する。制御部2cには、GPS2d、波高計2e、風力・風向計2f、発光部2g、拡声装置2hが接続される。また、バルーン2bには、カメラ(撮像手段)2iが設置される。
【0020】
さらに中継装置2は、送受信回路2jと無線部2kと無指向性アンテナ2mからなる第1の通信系と、送受信回路2nと無線部2pと無指向性アンテナ2qからなる第2の通信系を備える。それらのうち、第1の通信系の無線部2kとアンテナ2mはバルーン2bに搭載され、その他はブイ2aに搭載される。
【0021】
送受信回路2j,2nは、変復調処理などのベースバンド処理を行う。また、無線部2k,2pは、送信信号または受信信号の周波数変換や電力増幅を行う。第1の通信系と第2の通信系は、それぞれ制御部2cに接続される。中継装置2も通信所1と同様に、第1の通信系は第1のチャネルに使用され、第2の通信系は第2のチャネルに使用される。
【0022】
また、中継装置2のブイ2aには、ケーブル巻取部(例えばウィンチ)2rとアンカー巻取部(例えばウィンチ)2sが設置される。ケーブル巻取部2sは、制御部2cと第1の通信系の送受信回路2jなどに接続される。ケーブル巻取部2rは、バルーン2bに接続された係留ケーブル2tの巻取り、巻戻しを行う。尚、係留ケーブル2tには、第1の通信系の送受信回路2jと無線部2kを接続する無線通信用ケーブルと、制御部2cとカメラ2iを接続する画像用ケーブルと、後述する電源装置をバルーン2bに搭載された無線部2kとカメラ2iに接続する電源ケーブルとを含む。
【0023】
アンカー巻取部2sは、アンカーケーブル2wの巻取り、巻戻しを行う。アンカーケーブル2wの先端には、中継装置2を海洋の一定位置に係留するためのアンカー2xが取り付けられる。
【0024】
また、中継装置2は電源装置2yを備える。電源装置2yは、発電部2y1と、電源部2y2とから構成される。発電部2y1は、例えば太陽光発電、波力発電、風力発電、潮力発電等の発電装置である。電源部2y2は、バッテリと電源回路などからなり、発電部2y1が発電した電力、または、外部から供給された電力を蓄電して出力する。電源装置2yは、上記した各部に接続され、動作電源を供給する。
このように、中継装置2は発電部2y1を備えるため、長期間の運用が可能となる。
尚、図では発電部2y1をブイ2aに設置するようにしたが、発電部2y1が太陽光発電や風力発電の場合は、発電部2y1をバルーン2bに設置してもよい。
【0025】
ここで、中継装置2のブイ2aは、一例として、海面からの高さが約6m、重量が約10tである。また、バルーン2bの最大飛行高度は、約200mとする。
また、通信所1、及び、中継装置2で使用する第1のチャネルは、使用周波数帯域が5GHzであり、通信距離(直接通信距離)はバルーン2bの浮上時(高度200m)で約100km、バルーン2bの回収時(高度10m程度m)で約10km、スループット(上り/下り)は6Mbpsの無線チャネルであり、後述するアドホック通信に利用される。
これに対し、通信所1及び中継装置2で使用する第2のチャネルは、衛星Sを介して通信を行う衛星通信回線であり、通信可能距離(範囲)は第1のチャネルよりも大きく、通信所1および中継装置2が存在する地域をカバーする。
【0026】
次いで、中継装置2の配置について説明する。中継装置2は、船舶などに積載して運び、バルーン2bを浮上させたときの通信距離以下の間隔(より詳しくは、バルーン2bを浮上させたときの通信距離以下であり、かつ、バルーン2bを回収したときの通信距離以上の間隔)で配置して行く。尚、中継装置2を水上に投下したとき、自動または手動(遠隔操作含む)で中継装置2の電源を投入すると共に、アンカー巻取部2sを制御し、アンカー2xを水中に沈めて中継装置をその位置に係留する。また、中継装置2の設置時は、バルーン2bを浮上させるものとする。
【0027】
また、本実施例では、離島間通信(島Aと島Bとの通信)の信頼性向上のため、通信経路に冗長性を持たせるべく、各通信所1と各中継装置2が少なくとも2以上の局または装置と通信可能なように、中継装置2が配置される。
【0028】
続いて、通信所1で行われる処理について説明する。図4は、通信所1の処理を示すフローチャートである。図示の処理は、通信所1の電源投入後、制御部1aで実行される。尚、通信所1には、通信所1を操作する(他の通信所と通信を行う)操作者が配備されている。
【0029】
先ず、アドホックプロトコルを起動する(ステップ1)。本実施例では、アドホックプロトコルとしてOLSR(Optimized Link State Routing)プロトコルを採用する。OLSRは公知のルーティングプロトコルであるため、以下、その概要について簡単に説明する。
【0030】
OLSRは、常時経路情報を交換するプロアクティブ型のプロトコルであり、必要最小限の中継ノード(MPR)の集まりによってフラッディングを行うことが特徴である。OLSRでは、主にHELLOメッセージとTC(Topology Control)メッセージをやりとりすることで経路構築を行う。OLSRを使用したアドホック通信には、上記したように第1のチャネルが使用される。尚、第1のチャネルでは、通信方式として、例えば無線LANなどで使用されるCSMA/CAを使用する。
【0031】
HELLOメッセージは、各ノード(通信所1及び中継装置2)から送信され、自ノードのリンク情報やMPR、MPRセレクタなどの情報が含まれる。MPR(Multipoint Relay)とは、中継を担当するノードのことであり、効率的なフラッディングを行うために、各ノードが隣接ノードの1ホップ先のリンク情報などを参照して選択する。また、MPRセレクタとは、自ノードをMPRとして選択しているノードのことである。
【0032】
MPRを選択しただけでは、まだ通信経路は構築されない。そこで、OLSRにおいては、TCメッセージを使用してネットワーク全体のトポロジーを構築する。TCメッセージは、MPRセレクタ集合の情報が含まれ、MPRとして選択されている各ノードから送信される。TCメッセージは、MPRによってネットワーク全体にフラッディングされる。
【0033】
このTCメッセージにより、ネットワークのすべてのノードはMPRとそのMPRセレクタ集合の情報を取得することができる。各ノードは、それらの情報に基づき、宛先までの最短経路を算出して経路表を作成する。
【0034】
上記したOLSRプロトコルは、後述するように、中継装置2でも起動される。これにより、通信所1−1と通信所1−2は、中継装置2を介して音声や映像などの各種データの送受信が可能となる。また、通信所1と中継装置2との間で各種データのやり取りが可能となる。
【0035】
図4フローチャートの説明を続けると、次いでステータス情報収集信号を送信する(ステップ2)。このステータス情報収集信号は、上記した第1のチャネル(アドホック通信)によってネットワークに存在する通信所1と中継装置2に送信される。ここでステータス情報とは、通信所1がGPS1bで取得した位置情報や制御部1aで実行される自己診断の結果(アラームの有無)などの情報、また、中継装置2がGPS2dで取得した位置情報、波高計2eで取得した波高、風力・風向計2fで取得した風力と風向、電源装置2yのバッテリ残量、バルーン2bが浮上中であるか回収中であるか、制御部2cで実行される自己診断の結果(アラームの有無)などの情報である。
【0036】
次いで、受信したステータス情報とトポロジー情報(TCメッセージ)に基づき、表示画面を生成する(ステップ3)。
【0037】
図5は、通信所1の表示部1dに表示される表示画面の一例である。図5に示すように、表示画面30は、主表示エリア31と、中継装置ステータス表示エリア32と、個別ステータス表示エリア33とを備える。主表示エリア31は、通信タブ31aと映像タブ31bにより、通信ネットワークの表示と映像表示を切り替え可能とされる。
【0038】
通信タブ31aが選択されると、図5に示すように、通信ネットワークの状態が表示される。通信ネットワークの状態の表示には、通信所1及び中継装置2の位置とバルーン2dの状態(浮上中か回収中か)が表示される。図では、バルーン2dが回収中の中継装置2を丸(一重)で示し、バルーン2bが浮上中の中継装置2を二重丸で示す。また、通信ネットワークを表示する場合、外部ネットワークI/F1mを介して外部ネットワークから取得した、あるいは予め記憶している地図情報に、上記した通信所1及び中継装置2の位置及び状態を示すマークを重畳して表示する。
【0039】
また、中継装置ステータス表示エリア32には、例えば各中継装置の位置情報(座標または緯度経度)、バルーン2bの状態(浮上または回収)、電源の状態(出力電圧が正常(OK)であるか異常(NG))、アラームの有無が、文字表示される。また、個別ステータス表示エリア33には、選択されている中継装置2周辺の気象情報が表示される。気象情報としては、例えば天候、風、波高がある。天候は、例えば、当該中継装置2の位置情報に基づき、外部ネットワークI/F1mを介して外部ネットワークから取得した天候情報を表示する。また、風と波は、それぞれ当該中継装置2が風力・風向計2fで取得した風力と風向、波高計2eで取得した波高が表示される。
尚、個別ステータス表示エリア33に表示する中継装置2の選択は、主表示エリア31に表示されている通信所1または中継装置2のマークを指示入力部1eから選択する(例えばマウスでクリックする)、あるいは、中継装置ステータス表示エリア32に表示されている中継装置2の番号をクリックすることで行うことができる。
【0040】
また、表示画面30には天気図ボタン34と海上交通ボタン35が設けられる。天気図ボタン34をクリックすると、図6に示すように、通信ネットワークの状態に天気図が重畳して表示される。また、海上交通ボタン35をクリックすると、図7に示すように、通信ネットワークの状態に周辺の海上を交通する船舶の情報が重畳して表示される。尚、天気図及び海上交通の情報は、外部ネットワークI/F1mを介して外部ネットワークから取得する。
【0041】
図4フローチャートの説明に戻ると、バルーン2bの浮上または回収指示が入力されたか否か判断する(ステップ4)。バルーン2bの浮上または回収指示は、図5の表示画面30に表示される浮上ボタン36、回収ボタン37、決定ボタン38を指示入力部1eで操作することによって行われる。具体的には、主表示エリア31に表示されている通信所1または中継装置2のマークをクリックするか、中継装置ステータス表示エリア32に表示されている中継装置2の番号をクリックして指示を出す中継装置2を選択した上で、浮上ボタン36または回収ボタン37をクリックする。そして、決定ボタン38をクリックすることで、上記したバルーン2bの浮上または回収指示の入力が完了する。
【0042】
バルーン2bの浮上または回収指示が入力されると(ステップ4で肯定)、浮上指示信号または回収指示信号を送信する(ステップ5)。この浮上指示信号及び回収指示信号は、上記した第2のチャネル(衛星回線)を用い、衛星Sを介し、選択された中継装置2に送信される。浮上指示信号または回収指示信号には、中継装置2を指定するための情報が含まれている。
上述したように、中継装置2はバルーン2bを浮上させたときの通信距離以下の間隔(より詳しくは、バルーン2bを浮上させたときの通信距離以下であり、かつ、バルーン2bを回収したときの通信距離以上の間隔)で配置される。
そのため、バルーン2bを回収した中継装置2は第1のチャネルを使用したアドホック通信の対象外となることから、バルーン2bの浮上指示信号を受信できないおそれがある。そこで、浮上指示信号及び回収指示信号は、第2のチャネル(衛星回線)を用いて送信する。尚、浮上指示信号のみ第2のチャネルを使用し、回収指示信号は第1のチャネル(アドホック通信)を使用してもよい。
【0043】
本発明あっては、上記のように、通信所1から中継装置2のバルーン2bの浮上と回収を制御することが可能である。そのため、例えば気象条件が悪化したときにバルーン2bを回収させ、破損を防止することができる。
また、中継装置2の配置間隔を、バルーン2bを浮上させたときの通信距離以下であり、かつ、バルーン2bを回収したときの通信距離以上とした場合には、バルーン2bの浮上、回収により、アドホック通信に使用する中継装置2を適宜選択することができ、気象条件や電源、アラームの状態等に応じた運用が可能となる。
【0044】
図4フローチャートの説明を続けると、浮上指示信号または回収指示信号の送信を行った後、所定時間が経過したか判断する(ステップ6)。この所定時間は、バルーン2bの浮上、回収に要する時間に設定される。
【0045】
所定時間が経過したと判断されると(ステップ6で肯定)、ステータス情報収集信号を送信し(ステップ2)、表示画面を更新する(ステップ3)。
ステップ5で送信したのが浮上指示信号であれば、通信ネットワークの表示画面に丸で表示されていた中継装置2が二重丸の表示に変更され、そのステータスが中継装置ステータス表示エリア32に追加される。
一方、ステップ5で送信したのが回収指示信号であれば、次回のステータス情報収集信号は当該中継装置2には到達せず、通信所1はステータス情報を収集することはできない。この場合であっても、以前に取得した当該中継装置2の位置情報を保持しておき、当該中継装置を通信ネットワークの表示画面で丸によって表示する。また、新たなステータス情報が取得できなかったことをもって、当該中継装置2のステータス情報を中継装置ステータス表示エリア32から削除する。
【0046】
一方、上記したステップ4でバルーン2bの浮上または回収指示が入力されていないと判断されたとき(ステップ4で否定)、及び、ステップ6で所定時間が経過していないと判断されたとき(ステップ6で否定)は、ステータス情報収集指示が入力されたか否か判断する(ステップ7)。ステータス情報収集指示は、図5に示すステータス情報収集ボタン39をクリックすることで入力される。
【0047】
ステータス情報収集指示が入力されたときは(ステップ7で肯定)、ステータス情報収集信号を送信し(ステップ2)、表示画面を更新する(ステップ3)。一方、ステータス情報収集指示が入力されていないとき(ステップ7で否定)は、ステップ4に戻る。
【0048】
次いで、中継装置2の処理について、図8フローチャートを参照して説明する。図示の処理は、中継装置2の電源投入後、制御部2cで実行される。
【0049】
先ず、バルーン2bが浮上中か否か判断する(ステップ10)。バルーン2bが浮上中のとき(ステップ10で肯定)は、アドホックプロトコルを起動する(ステップ11)。中継装置2で使用するアドホックプロトコルは通信所1と同様にOLSRである。
【0050】
次いで、ステータス情報収集指示信号を受信したか否か判断する(ステップ12)。ステータス情報収集指示信号を受信したとき(ステップ12で肯定)は、自己が取得した各種ステータス情報を送信する(ステップ13)。ステータス情報の送信には、第1のチャネル(アドホック通信)を使用する。
【0051】
次いで、バルーン2bの回収指示信号を受信したか否か判断する(ステップ14)。バルーン2bの回収指示信号を受信したとき(ステップ14で肯定)は、ケーブル巻取部2rの動作を制御してバルーン2bの回収を行う(ステップ15)と共に、アドホックプロトコルの停止を行う(ステップ16)。
ここで、アドホックプロトコルの停止を行うのは、上述したように、バルーン2bを回収すると通信距離が不足してアドホック通信の対象外となるためである。
すなわち、通信所1からアドホック通信にて送信されたデータは、バルーン2bが浮上しているときにアンテナ2mで受信され、制御部2cで中継に必要な処理が施された後、アンテナ2mから次の中継装置2あるいは通信所1に中継送信される。
【0052】
尚、ステータス情報収集指示信号を受信していないとき(ステップ12で否定)はステップ13をスキップしてステップ14に進む。また、バルーン2bの回収指示信号を受信していないとき(ステップ14で否定)はステップ12に戻る。
【0053】
ステップ16でアドホックプロトコルを停止すると、バルーン2bの浮上指示信号を受信したか否か判断する(ステップ17)。バルーン2bの浮上指示信号は、上記したように第2のチャネル(衛星回線)を使用して受信する。浮上指示信号を受信していないとき(ステップ17で否定)はステップ17に戻る一方、浮上指示信号を受信したとき(ステップ17で肯定)は、ケーブル巻取部2rの動作を制御してバルーン2bを浮上させる(ステップ18)。バルーン2bを浮上させたのちは、ステップ11以降の処理に戻る。また、ステップ10でバルーン2bが浮上中でないと判断されたときもステップ17の処理に進む。
【0054】
このように、本発明にあっては、バルーン2bが回収中であるときはアドホックプロトコルを停止すると共に、通信所1からの浮上指示信号をアドホック通信のチャネルとは異なるチャネル(衛星回線)によって受信するように構成したことから、中継装置2の消費電力を抑えることができる。
また、発電部2y1により、電源部2y2の蓄電池を充電することができるため、長期間の運用が可能となる。
【0055】
続いて、通信所1及び中継装置2の、その他の機能について説明する。前述した図5に示すように、表示画面30の主表示エリア31には映像タブ31bが設けられる。映像タブ31bを選択すると、そのとき選択している(選択の手法のついては上述の通り)通信所1または中継装置2に対して映像送信指示信号を第1のチャネルを使用して(アドホック通信にて)送信する。
この映像送信指示信号を受信した通信所1または中継装置2は、カメラ1cまたはカメラ2iで撮像した画像のデータを指示元である通信所1に送信する。
また、図示は省略するが、通信所1にはカメラのパン・チルトボタンやズームボタンが設けられ、それらの操作に応じ、カメラ1c,2iへの制御信号が上記した映像送信指示信号と共に送信される。
【0056】
また、通信所1において図示しないボタン等を介して操作者から任意の中継装置2への発光指示が入力されると、通信所1は第1のチャネルを使用して発光指示信号を当該中継装置2に送信する。発光指示信号を受信した中継装置2は、発光部2gを発光させる。また、通信所1において図示しないマイクから入力した音声信号を任意の中継装置2宛に第1のチャネルで送信した場合、当該音声信号を受信した中継装置2は、音声信号を再生して拡声装置を鳴音させる。
これにより、例えば中継装置2から送信されてきた映像から当該中継装置2付近に不審者を確認したときに、当該不審者に対する発光や音声による威嚇をすることができる。また、海上交通の状態を表示した結果、ある中継装置の近傍に航行中の船舶を発見した場合に、発光や音声による衝突防止の注意喚起を行うことができる。
【0057】
以上のように、本発明にあっては、水上(海洋、湖沼、河川等)を隔てて配置される複数の通信所1と、それらの間に配置され、通信所1同士の無線通信を中継する中継装置2とを備える無線通信システムであって、中継装置2は、アンテナ2mを備えたバルーン(飛行体)2bと、水上に浮遊しながらバルーン2bを係留すると共に、バルーン2bのアンテナ2mで受信した信号を当該アンテナ2bから中継送信する制御部2c(中継処理手段)を備えるブイ(水上浮遊体)2aとを備えるように構成した。
これにより、通信を行うべき通信所同士が海洋や湖沼、河川などの水上を隔てて配置されている場合であっても、通信所同士の通信を簡便に実現することができる。
尚、上記の実施例にあっては、バルーン2bにアンテナ2mと無線部2kを設置するようにしたが、バルーン2bに設置するのはアンテナ2mだけであってもよい。また、バルーン2bに、さらに送受信回路2jを設置してもよい。
また、バルーン2bにアンテナ2mを設置して当該アンテナ2mで送受信するようにしたが、送信用と受信用のアンテナを設置するようにしてもよい。
また、飛行体はバルーンに限定されるものではなく、飛行船や気球などであってもよい。
また、水上浮遊体はブイに限定されるものではなく、簡易ボートなどであってもよい。
【0058】
また、本発明にあっては、バルーン2bはブイ2aにケーブル(係留ケーブル)2tで係留され、通信所1は、操作者からのバルーン2bの浮上または回収の指示を入力する指示入力部1eと、バルーン2bの浮上または回収の指示が入力されたとき、中継装置2に対してバルーン2bの浮上指示信号または回収指示信号を送信する浮上・回収指示信号送信手段(制御部1a、送受信回路1i、無線部1j、アンテナ1k、図4のステップ4,5)とを備え、ブイ2aは、係留ケーブル2tを巻き取るケーブル巻取部2rと、通信所1から送信された浮上指示信号または回収指示信号を受信したとき、当該信号の指示に応じてケーブル巻取部2rを制御してバルーン2bの浮上または回収を行う係留制御手段(制御部2c、図8のステップ14,15,17,18)とを備えるように構成した。
これにより、例えば気象条件が悪化したときにバルーン2bを回収させ、破損を防止することができる。
また、中継装置2の配置間隔を、バルーン2bを浮上させたときの通信距離以下であり、かつ、バルーン2bを回収したときの通信距離以上とした場合には、バルーン2bの浮上、回収により、アドホック通信に使用する中継装置2を適宜選択することができ、気象条件や電源、アラームの状態等に応じた運用が可能となる。
【0059】
尚、上記した実施例では、通信所1−1と通信所1−2の間に中継装置2をメッシュ状に配置してアドホック通信を行うようにしたが、通信所1−1と通信所1−2の距離によっては、1回の中継で通信が可能な場合もある。このような場合でも、各通信所1と通信可能な距離に複数、例えば4個の中継装置2を配置し、各中継装置2のバルーン2bの浮上と回収を行うようにしてもよい。
例えば、複数の中継装置2のうち、一つの中継装置2のバルーン2bを浮上させて通信を行う一方で、他の中継装置2はバルーン2bを回収し、その間に発電部2y1による充電を行うようにしてもよい。具体的な運用としては、バルーン2bを浮上中の中継装置2で電源切れなどのアラームが発生した場合、他の任意の中継装置2に対してバルーン2bの浮上指示信号を送信し、当該中継装置2を使用した通信の成立後、アラームが発生した中継装置2に対してバルーン2bの回収指示信号の送信を行う。これらの処理は、通信所1から手動で行ってもよいし、自動で行ってもよい。自動で行う場合には、中継装置2のバルーン2bの浮上と回収を制御する通信所1を、予め決定しておく。
これにより、電源の消耗した中継装置2を交互に充電を行うことができ、長期の運用が可能となる。また、中継装置2に故障が発生した場合でも、通信回線を維持したままメンテナンスや交換を行うことができる。
【0060】
また、本発明にあっては、通信所1は、操作者からの中継装置2の位置情報の収集指示を入力する指示入力部1eと、位置情報の収集指示が入力されたとき、中継装置2に対して位置情報収集信号を送信する位置情報収集信号送信手段(制御部1a、送受信回路1f、無線部1g、アンテナ1h、図4のステップ2,7)とを備え、中継装置2は、自己の位置を検出する位置検出手段(GPS2d)と、通信所1から送信された位置情報収集信号を受信したとき、位置検出手段(GPS2d)で検出した位置情報を通信所1に送信する位置情報送信手段(制御部2c、送受信回路2j、無線部2k、アンテナ2m、図8のステップ12,13)とを備え、通信所1はさらに、中継装置2から送信された位置情報を受信したとき、当該位置情報を表示部1dに表示する表示制御手段(制御部1a)を備えるように構成した。
これにより、通信所1では、水上に配置した中継装置2の位置を容易に把握することができ、通信経路を構築する上での中継装置2の過不足等を確認することができる。また、水上の中継装置2が潮流などで移動したことも確認することができ、通信経路のメンテナンスや中継装置2の撤収を行う上でも有用である。
【0061】
また、本発明にあっては、通信所1は、操作者からの中継装置2の位置情報の収集指示を入力する指示入力部1eと、位置情報の収集指示が入力されたとき、中継装置2に対して位置情報収集信号を送信する位置情報収集信号送信手段(制御部1a、送受信回路1f、無線部1g、アンテナ1h、図4のステップ2,7)とを備え、中継装置2は、自己の位置を検出する位置検出手段(GPS2d)と、通信所1から送信された位置情報収集信号を受信したとき、位置検出手段(GPS2d)で検出した位置情報を通信所1に送信する位置情報送信手段(制御部2c、送受信回路2j、無線部2k、アンテナ2m、図8のステップ12,13)とを備え、通信所1はさらに、中継装置2から送信された位置情報を受信したとき、当該位置情報を、バルーン2bが浮上中であるか回収中であるかを示す情報と共に表示部1dに表示する表示手段(制御部1a)を備えるように構成した。
これにより、信号の送受信(中継送信)を実行可能な中継装置2を把握することができる。
【0062】
また、本発明にあっては、複数の通信所1の間には、中継装置2が複数配置されると共に、通信所1と中継装置2は、アドホックプロトコルによる経路構築手段(制御部1a、制御部2c)を備えるように構成した。
これにより、中継装置2の配置や設置数が変更されても、経路構築が可能となる。また、経路が自動的に形成されるため、中継装置2の配置(設置)作業が容易になる。
【0063】
また、本発明にあっては、通信所1は、中継装置2でバルーン2bのアンテナ2mを使用して中継させるべきデータを送信するときは第1のチャネルを使用する一方、浮上指示信号または回収指示信号を送信するときは第1のチャネルよりも通信可能距離の大きい第2のチャネルを使用するように構成した。
これにより、バルーン2bを回収して第1のチャネル(アドホック通信)の通信距離が不足したとしても、中継装置2に対して浮上指示信号を送信することができる。尚、浮上指示信号または回収指示信号は、信号のデータ量としては少なく、また、頻繁には送信されないと考えられるため、衛星回線のトラフィック増を招くこともない。
【0064】
また、中継装置2は、通信所1との距離、及び、中継装置2との距離が、バルーン2bを浮上させた状態における第1のチャネルの通信距離以下で、かつ、バルーン2bを回収させた状態における第1のチャネルの通信距離以上となるように配置される。
これにより、アドホック通信に使用する中継装置2を適宜選択することができ、気象条件や電源、アラームの状態等に応じた運用が可能となる。
【0065】
また、本発明にあっては、水上を隔てて配置された複数の通信所1の間に配置され、通信所1同士の無線通信を中継する中継装置2であって、アンテナ2mが設置されたバルーン(飛行体)2bと、水上に浮遊しながらバルーン2bを係留すると共に、バルーン2bのアンテナ2mで受信した信号を当該アンテナ2mから送信する中継処理を行う中継処理手段(制御部2c)を有するブイ(水上浮遊体)2aとを備えるように構成した。
これにより、通信を行うべき通信所同士が海洋や湖沼、河川などの水上を隔てて長距離離間している場合であっても、通信所同士の通信を簡便に実現することができる。
尚、上記の実施例にあっては、バルーン2bにアンテナ2mと無線部2kを設置するようにしたが、バルーン2bに設置するのはアンテナ2mだけであってもよい。また、バルーン2bに、さらに送受信回路2jを設置してもよい。
また、バルーン2bにアンテナ2mを設置して当該アンテナ2mで送受信するようにしたが、送信用と受信用のアンテナを設置するようにしてもよい。
また、飛行体はバルーンに限定されるものではなく、飛行船や気球などであってもよい。
また、水上浮遊体はブイに限定されるものではなく、簡易ボートなどであってもよい。
【0066】
また、本発明にあっては、バルーン2bはブイ2aにケーブル(係留ケーブル)2tで係留され、ブイ2aは、ケーブル2tを巻き取るケーブル巻取部2rと、通信所1からの指示に応じてケーブル巻取部2rを制御してバルーン2bの浮上と回収を行う係留制御手段(制御部2c)とを備えるように構成した。
これにより、例えば気象条件が悪化したときにバルーン2bを回収させ、破損を防止することができる。
【0067】
また、本発明にあっては、中継装置2は、自己の位置を検出する位置検出手段(GPS2d)と、通信所1からの指示に応じ、位置検出手段(GPS2d)で検出した位置情報を通信所1に送信する位置情報送信手段(制御部2c、送受信回路2j、無線部2k、アンテナ2m)とを備えるように構成した。
これにより、通信所1では、水上に配置した中継装置2の位置を容易に把握することができ、通信経路を構築する上での中継装置2の過不足等を確認することができる。また、水上の中継装置2が潮流などで移動したことも確認することができ、通信経路のメンテナンスを行う上でも有用である。
【符号の説明】
【0068】
1・・・通信所、1a・・・制御部、1d・・・表示部、1e・・・指示入力部、1f・・・送受信回路、1g・・・無線部、1h・・・アンテナ、1i・・・送受信回路、1j・・・無線部、1k・・・アンテナ、2・・・中継装置、2a・・・ブイ(水上浮遊体)、2b・・・バルーン(飛行体)、2c・・・制御部、2d・・・GPS、2j・・・送受信回路、2k・・・無線部、2m・・・アンテナ、2n・・・送受信回路、2p・・・無線部、2q・・・アンテナ、2r・・・ケーブル巻取部、2t・・・係留ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上を隔てて配置される複数の通信所と、前記複数の通信所の間に配置され、前記通信所同士の無線通信を中継する無線通信中継装置とを備える無線通信システムであって、
前記無線通信中継装置は、
アンテナを備えた飛行体と、
水上に浮遊しながら前記飛行体を係留すると共に、前記飛行体のアンテナで受信した信号を前記飛行体のアンテナから中継送信する中継処理手段を備える水上浮遊体と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記飛行体は前記水上浮遊体にケーブルで係留され、
前記通信所は、操作者からの前記飛行体の浮上または回収の指示を入力する指示入力部と、前記飛行体の浮上または回収の指示が入力されたとき、前記無線通信中継装置に対して前記飛行体の浮上指示信号または回収指示信号を送信する浮上・回収指示信号送信手段とを備え、
前記水上浮遊体は、前記ケーブルを巻き取るケーブル巻取部と、前記通信所から送信された前記浮上指示信号または前記回収指示信号を受信したとき、当該信号の指示に応じて前記ケーブル巻取部を制御して前記飛行体の浮上または回収を行う係留制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記通信所は、操作者からの前記無線通信中継装置の位置情報の収集指示を入力する指示入力部と、前記位置情報の収集指示が入力されたとき、前記無線通信中継装置に対して位置情報収集信号を送信する位置情報収集信号送信手段とを備え、
前記無線通信中継装置は、自己の位置を検出する位置検出手段と、前記通信所から送信された前記位置情報収集信号を受信したとき、前記位置検出手段で検出した位置情報を前記通信所に送信する位置情報送信手段とを備え、
前記通信所はさらに、前記無線通信中継装置から送信された位置情報を受信したとき、当該位置情報を表示部に表示する表示制御手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信所は、操作者からの前記無線通信中継装置の位置情報の収集指示を入力する指示入力部と、前記位置情報の収集指示が入力されたとき、前記無線通信中継装置に対して位置情報収集信号を送信する位置情報収集信号送信手段とを備え、
前記無線通信中継装置は、自己の位置を検出する位置検出手段と、前記通信所から送信された前記位置情報収集信号を受信したとき、前記位置検出手段で検出した位置情報を前記通信所に送信する位置情報送信手段とを備え、
前記通信所はさらに、前記無線通信中継装置から送信された位置情報を受信したとき、当該位置情報を、前記飛行体が浮上中であるか回収中であるかを示す情報と共に表示部に表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記複数の通信所の間には、前記無線通信中継装置が複数配置されると共に、前記通信所と前記無線通信中継装置は、アドホックプロトコルによる経路構築手段を備えることを特徴とする請求項1から4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記通信所は、前記無線通信中継装置で前記飛行体のアンテナを使用して中継させるべきデータを送信するときは第1のチャネルを使用する一方、前記浮上指示信号または前記回収指示信号を送信するときは前記第1のチャネルよりも通信可能距離の大きい第2のチャネルを使用することを特徴とする請求項2または4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記無線通信中継装置は、前記通信所との距離、及び、他の無線通信中継装置との距離が、前記飛行体を浮上させた状態における前記第1のチャネルの通信距離以下で、かつ、前記飛行体を回収させた状態における前記第1のチャネルの通信距離以上となるように配置されることを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
水上を隔てて配置された複数の通信所の間に配置され、前記通信所同士の無線通信を中継する無線通信中継装置であって、
アンテナが設置された飛行体と、
水上に浮遊しながら前記飛行体を係留すると共に、前記飛行体のアンテナで受信した信号を前記飛行体のアンテナから送信する中継処理を行う中継処理手段を有する水上浮遊体と、
を備えることを特徴とする無線通信中継装置。
【請求項9】
前記飛行体は前記水上浮遊体にケーブルで係留され、
前記水上浮遊体は、前記ケーブルを巻き取るケーブル巻取部と、前記通信所からの指示に応じて前記ケーブル巻取部を制御して前記飛行体の浮上と回収を行う係留制御手段とを備えることを特徴とする請求項8に記載の無線通信中継装置。
【請求項10】
前記無線通信中継装置は、自己の位置を検出する位置検出手段と、前記通信所からの指示に応じ、前記位置検出手段で検出した位置情報を前記通信所に送信する位置情報送信手段とを備えることを特徴とする請求項8または9に記載の無線通信中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−166680(P2011−166680A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30314(P2010−30314)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】