無線通信システム及び車両の電子キーシステム
【課題】操作性を向上させることのできる無線通信システムを提供する。
【解決手段】この無線通信システムでは、携帯端末2のブルートゥース通信部20がその周辺の探索エリアに対して接続要求を行ったときに、携帯端末2の接続先となる複数の車両C1〜C5の車載機1のうち、探索エリア内に位置する車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立される。これにより、車載機1と携帯端末2との間で無線通信を行うことが可能となる。ここでは、携帯端末2のブルートゥース通信部20が、接続要求を行うに際して、複数の車両C1〜C5のうち、携帯端末2との距離が最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求を行う。
【解決手段】この無線通信システムでは、携帯端末2のブルートゥース通信部20がその周辺の探索エリアに対して接続要求を行ったときに、携帯端末2の接続先となる複数の車両C1〜C5の車載機1のうち、探索エリア内に位置する車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立される。これにより、車載機1と携帯端末2との間で無線通信を行うことが可能となる。ここでは、携帯端末2のブルートゥース通信部20が、接続要求を行うに際して、複数の車両C1〜C5のうち、携帯端末2との距離が最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの通信装置の間で無線通信を行う無線通信システム及び車両の電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの近距離無線通信を用いることにより、ユーザが所持する携帯端末と、パーソナルコンピュータやラジカセ等の周辺機器との間で無線通信を行うシステムが周知である。このような無線通信システムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。
【0003】
図11に示すように、この特許文献1に記載の無線通信システムでは、複数の通信可能エリアA,Bが予め設定されるとともに、各通信可能エリアA,Bにおいてブルートゥースにより無線接続可能な周辺機器の情報が携帯端末40に記憶されている。具体的には、図中に示すように、通信可能エリアAでは周辺機器50,51が無線接続可能であること、また、通信可能エリアBでは周辺機器52が無線接続可能であること、といった周辺機器位置情報が携帯端末40に記憶されている。そして、ユーザが、携帯端末40と周辺機器との間で無線接続を確立するために、接続要求を行うための操作を携帯端末40に対して行ったとすると、携帯端末40は、まず、自身の現在位置をGPS(Global Positioning System)により検出する。また、検出した現在位置に基づいて、自身が上記通信可能エリアA,Bのいずれに位置しているかを判定する。そして、例えば携帯端末40が通信可能エリアAに位置していると判定した場合には、上記周辺機器位置情報に基づいて、通信可能エリアAに対応する周辺機器50,51の名称を携帯端末40の表示部に表示する。このとき、ユーザが携帯端末40を操作して例えば周辺機器50を選択したとすると、携帯端末40と周辺機器50との間でブルートゥース接続が確立されて、それらの間で無線通信を行うことが可能となる。このような構成によれば、ユーザが携帯端末40と各周辺機器50〜52との間で無線接続を確立する際に、携帯端末40の現在位置において無線接続可能な周辺機器のみが携帯端末40の表示部に表示されるため、接続不可能な周辺機器をユーザが誤って選択してしまうことがない。このため、利便性が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−263506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような無線通信システムでは、上述のように、携帯端末40と各周辺機器50〜52とを無線接続する際に、ユーザは、携帯端末40を操作して無線接続可能な周辺機器を携帯端末40の表示部に表示させた後、接続したい周辺機器を選択する必要がある。そしてこのような操作が、携帯端末40と周辺機器50〜52とを無線接続する際の操作性の悪化を招く一つの要因となっている。
【0006】
なお、このような課題は、2つの通信装置の間の無線通信がブルートゥースにより行われる無線通信システムに限らず、無線通信を行うにあたり、それらの間で無線接続を確立する工程が必要となる無線通信システムに共通する課題である。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作性を向上させることのできる無線通信システム及び車両の電子キーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1通信装置がその周辺の探索エリアに対して接続要求を行ったときに、前記第1通信装置の接続先となる複数の第2通信装置のうち、前記探索エリア内に位置する第2通信装置と前記第1通信装置との間で無線接続が確立されることにより、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で無線通信を行うことが可能となる無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記接続要求を行うに際して、前記複数の第2通信装置のうち、当該第1通信装置との距離が最も近い第2通信装置に対して前記接続要求を行うことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、第1通信装置が、接続要求の際に、自身に最も近い第2通信装置に対して接続要求を行う。このため、ユーザによる複数の第2通信装置のいずれかを選択する操作を必要とすることなく、第1通信装置と第2通信装置との間で無線接続が確立される。これにより、無線接続が確立されるまでの時間を短縮することができるため、操作性が向上するようになる。
【0010】
そしてこの場合、請求項2に記載の発明によるように、前記第1通信装置には、その位置を検出する第1位置検出手段が設けられるとともに、前記複数の第2通信装置には、その位置を検出する第2位置検出手段がそれぞれ設けられ、前記第1通信装置と前記複数の第2通信装置との間の距離が、前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置、及び前記第2位置検出手段を通じて検出される第2通信装置の位置に基づいて演算される、といった構成を採用することが有効であり、これにより、第1通信装置と複数の第2通信装置との間の距離を容易に求めることができるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、前記第2位置検出手段を通じて検出される位置の情報を前記複数の第2通信装置からそれぞれ取得して管理する管理サーバを更に備え、前記第1通信装置は、前記管理サーバとの通信を通じて前記複数の第2通信装置の位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記複数の第2通信装置との距離をそれぞれ演算することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、第1通信装置は、管理サーバから複数の第2通信装置の最新の位置情報を逐次取得することができるため、複数の第2通信装置との間の距離を精度良く演算することができる。これにより、距離の最も近い第2通信装置を正確に判定することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記管理サーバから前記複数の第2通信装置の位置情報を取得する処理を予め設定された周期で行うことを要旨とする。
【0014】
同構成によるように、管理サーバから複数の第2通信装置の位置情報を取得する処理を第1通信装置が予め定められた周期で行うこととすれば、第1通信装置は、接続要求を行うよりも前に複数の第2通信装置の位置情報を予め取得することができる。これにより、第1通信装置では、接続要求を行う際に、複数の第2通信装置との距離を即座に演算することができるため、応答性が向上するようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記第2通信装置との無線接続が確立されているときに同第2通信装置からその位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記第2通信装置との距離を演算することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、第1通信装置は第2通信装置から位置情報を直接取得することができるため、上述した管理サーバが不要となる。これにより、第2通信装置では、管理サーバに位置情報を送信する必要がなくなるため、その消費電力を低減することができるようになる。
【0017】
そしてこの場合、請求項6に記載の発明によるように、車両に設けられた通信装置と携帯端末に設けられた通信装置との間の無線通信を通じて前記車両にかかる各種制御が実行される車両の電子キーシステムにおいて、前記携帯端末の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第1通信装置が用いられるとともに、前記車両の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第2通信装置が用いられる、といった構成を採用することが有効であり、これにより、車両に設けられた車載機と携帯端末との間で無線通信接続が確立されるまでの時間を短縮することができるため、電子キーシステムとしての利便性が大幅に向上するようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる無線通信システム及び車両の電子キーシステムによれば、操作性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる無線通信システムの第1の実施形態について同システムを利用した車両の電子キーシステムの概要を模式的に示す平面図。
【図2】同第1の実施形態の無線通信システムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【図3】同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のメモリに記憶されているブルートゥース通信の際に用いられる情報の一例を示す図。
【図4】(a)は、同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のメモリに記憶されている通信履歴の一例を示す図であり、(b)は、携帯端末と車両との間の距離に基づいて通信履歴が並び替えられる様子を示す図。
【図5】同第1の実施形態の無線通信システムについて管理サーバの車両情報データベースに記憶されている情報の一例を示す図。
【図6】同第1の実施形態の無線通信システムについて管理サーバが各車両の車載機から位置情報を取得する手順を示すシーケンス図。
【図7】同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末が管理サーバから全車両の位置情報を取得する手順を示すシーケンス図。
【図8】同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のブルートゥース通信部と車載機のブルートゥース通信部との間でブルートゥース接続が確立される様子を示すシーケンス図。
【図9】本発明にかかる無線通信システムの第2の実施形態について同システムを利用した車両の電子キーシステムのシステム構成を示すブロック図。
【図10】同第2の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のブルートゥース通信部と車載機のブルートゥース通信部との間でブルートゥース接続が確立される様子を示すシーケンス図。
【図11】従来の無線通信システムについてその概要を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる無線通信システムを適用した車両の電子キーシステムの一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかる車両の電子キーシステムの概要について説明する。
【0021】
図1に示すように、この電子キーシステムでは、携帯電話機として機能する携帯端末2をユーザが操作して電子キーシステムアプリケーションを立ち上げると、携帯端末2に搭載されたブルートゥース通信部20が起動する。このとき、ブルートゥース通信部20は、携帯端末2を中心とする半径数メートル程度の探索エリアEに対して接続要求を行う。そして、ユーザが自身の所有する車両C1〜C5に乗車しようとして携帯端末2を所持した状態で車両ドアに近づくことにより、ブルートゥース通信部20の探索エリアEに車両のドアノブ4の内部に設けられたブルートゥース通信部10が進入したとする。このとき、同ブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続(無線接続)が確立される。これにより、車両C1〜C5に設けられた車載機1と携帯端末2との間で無線通信を行うことが可能となって、ユーザによる携帯端末2の操作を通じて車両ドアを施錠及び解錠することができるようになる。なお、本実施携帯では、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間のペアリングは事前に行われている。また、本実施形態では、携帯端末2のブルートゥース通信部20が第1通信装置となるとともに、車載機1のブルートゥース通信部10が第2通信装置となっている。
【0022】
一方、この電子キーシステムには、各車両C1〜C5の車載機1から通信ネットワーク等を介して各車両C1〜C5の位置情報を収集するとともに、収集した各車両C1〜C5の位置情報を管理する管理サーバ3が設けられている。そして、この電子キーシステムでは、携帯端末2が通信ネットワークを介して管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得することができるようになっている。
【0023】
次に、図2を参照して、本発明にかかる電子キーシステムの構成、動作について詳述する。
車載機1は、上記ブルートゥース通信部10の他、通信ネットワークを介して管理サーバ3と通信を行うためのネットワーク通信部11を備えている。また、車載機1は、車両の位置、より詳細には車両の緯度及び経度を検出する第2位置検出手段としてのGPS12を備えている。そして、GPS12により検出される車両の位置情報をネットワーク通信部11を介して管理サーバ3に送信する処理が、車載機1に設けられた車載制御部13により実行される。具体的には、車載制御部13は、管理サーバ3が車両の位置情報を取得するために送信する要求をネットワーク通信部11を介して取得すると、GPS12を通じて車両の位置を検出するとともに、検出した位置情報をネットワーク通信部11を介して管理サーバ3に送信する。また、車載制御部13は、ブルートゥース通信部10とブルートゥース通信部20との間で無線接続が確立されているときに、携帯端末2から送信される施錠指令信号あるいは解錠指令信号をブルートゥース通信部10を介して受信すると、ドアロック機構14を駆動させて車両ドアの施錠あるいは解錠を行う。
【0024】
一方、携帯端末2も、上記ブルートゥース通信部20に加え、通信ネットワークを介して管理サーバ3と通信を行うためのネットワーク通信部21を備えている。また、携帯端末2は、ユーザによる入力操作が行われる操作部22、及び携帯端末2の位置、より詳細には携帯端末2の緯度及び経度を検出する第1位置検出手段としてのGPS23を備えている。そして、ネットワーク通信部21を介して管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得する処理が、携帯端末2に設けられた携帯端末制御部24により実行される。具体的には、携帯端末制御部24は、所定時刻(例えば午前「0」時)になると、ネットワーク通信部21を介して管理サーバ3に車両の位置情報の送信を要求することで、管理サーバ3から全ての車両C1〜C5の位置情報を取得し、取得した位置情報を内蔵する不揮発性のメモリ24aに記憶する。なお、メモリ24aには、ブルートゥース通信の際に用いられる情報や、ブルートゥース通信の履歴等が記憶されている。ここで、ブルートゥース通信の際に用いられる情報は、図3に示すように、各車両C1〜C5の名称、それらのブルートゥース通信部10に対応したブルートゥースアドレスA1〜A5、パスキーP1〜P5、及びリンクキーR1〜R5からなる。パスキーP1〜P5は、各車両C1〜C5のブルートゥース通信部20と通信を行う際の認証に用いられる情報である。また、リンクキーR1〜R5は、各車両C1〜C5のブルートゥース通信部20と接続を確立する際に用いられる情報である。一方、通信履歴は、図4(a)に示すように、各車両C1〜C5の名称と、それらに搭載されたブルートゥース通信部10と最後に通信を行った時刻t1〜t5となる。なお、通信履歴では、通信時刻が直近の車両ほど上位となるように配列される。また、図4(a)に示す通信履歴には、上記管理サーバ3から取得される各車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報も併せて登録されている。
【0025】
また、携帯端末制御部24は、ユーザによる操作部22の操作に基づき電子キーアプリケーションを立ち上げると、次のように動作する。まず、携帯端末制御部24は、GPS23を通じて携帯端末2の現在位置を検出するとともに、検出した携帯端末2の現在位置と、先の図4(a)に例示した通信履歴に登録されている各車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報とから、携帯端末2と各車両C1〜C5との間の距離をそれぞれ演算する。そして、距離の短い車両が上位となるように、すなわち携帯端末2からの距離の近い車両が上位となるように通信履歴を並び替える。具体的には、先の図4(a)に示すように携帯端末2と各車両C1〜C5との間のそれぞれの距離として距離d1〜d5が演算されたとするとき、各距離d1〜d5に「d5<d3<d1<d2<d4」なる関係が存在したとする。この場合には、通信履歴を、図4(b)に示すように、「車両C5→車両C3→車両C1→車両C2→車両C4」の順に並び替える。なお、距離が同一の車両が複数存在する場合には、最終通信時刻t1〜t5の近い車両が上位となるように通信履歴を並び替える。そして、携帯端末制御部24は、ブルートゥース通信部20を起動させて通信履歴の最も上位となっている車両、すなわち携帯端末2までの距離が最も近い車両に対応するブルートゥースアドレス、パスキー、及びリンクキーを用いて、ブルートゥース通信部10の探索を行う。すなわち、携帯端末2までの距離が最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求を行う。これにより、例えば図4(b)に例示したように通信履歴が並び替えられた場合には、車両C5に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求が行われることとなる。そして、車両に搭載されたブルートゥース通信部10と携帯端末2に搭載されたブルートゥース通信部20との間で無線接続を確立することができた場合には、携帯端末制御部24は、操作部22に対する操作に基づき施錠指令信号あるいは解錠指令信号を車載機1に送信する。
【0026】
また一方、先の図2に示すように、管理サーバ3は、通信ネットワークを介して車載機1及び携帯端末2と通信を行うためのネットワーク通信部30、及び各車両C1〜C5の位置情報が記憶された車両情報データベース32を備えている。車両情報データベース32には、図5に示すように、各車両C1〜C5の名称と、それらの緯度及び経度を示す位置S1〜S5の情報とが関連付けされて記憶されている。そして、ネットワーク通信部30を介して各車両C1〜C5の車載機1から位置情報を取得する処理が、管理サーバ3に設けられた管理制御部31により実行される。管理制御部31は、車両の位置情報の要求を、ネットワーク通信部30を介して各車両C1〜C5の車載機1に対して所定の周期(例えば1時間周期)で行う。そして、車両C1〜C5の車載機1からそれぞれ送信される車両の位置情報をネットワーク通信部30を介して取得した場合には、取得した車両の位置情報を車両情報データベース32に記憶する。また、管理制御部31は、携帯端末2が車両の位置情報を取得するために送信する要求をネットワーク通信部30を介して取得すると、車両情報データベース32に記憶されている全ての車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報をネットワーク通信部30を介して携帯端末2に送信する。
【0027】
以下、図6〜図8を参照して、本実施形態にかかる電子キーシステムの動作例(作用)について説明する。はじめに、図6を参照して、管理サーバ3が各車両C1〜C5からそれらの位置情報を取得する手順について説明する。
【0028】
図6に示すように、まず、管理サーバ3により、所定の周期(例えば1時間の周期)で車両C1に搭載された車載機1に対して車両の位置情報の要求が行われる(ステップS1)。そして、車両C1の車載機1は、管理サーバ3から車両の位置情報の要求があると(ステップS2)、GPS12により車両C1の位置を検出するとともにステップS3)、検出された車両C1の位置情報を管理サーバ3に送信する(ステップS4)。これにより、管理サーバ3は、車両C1の位置情報を取得すると(ステップS5)、取得した位置情報に基づいて車両情報データベース32に記憶されている車両C1の位置情報を更新する(ステップS6)。また、管理サーバ3は、ステップS6の処理以降、同様の要求を車両C2〜C5の順に行って、車両C2〜C5の位置情報の取得、並びに車両情報データベース32の更新を行う。
【0029】
次に、図7を参照して、携帯端末2が管理サーバ3から全車両C1〜C5の位置を取得する手順について説明する。
図7に示すように、携帯端末2では、まず、定時刻(例えば午前「0」時)になると(ステップS10:YES)、管理サーバ3に対して全車両の位置情報の要求が行われる(ステップS11)。このとき、管理サーバ3は、携帯端末2から全車両の位置情報の要求があると(ステップS12)、車両情報データベース32に記憶されている全ての車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報を携帯端末2に送信する(ステップS13)。そして、携帯端末2は、全ての車両C1〜C5の位置情報を取得すると(ステップS14)、取得した位置情報に基づいてメモリ24aに記憶されている全ての車両C1〜C5の位置情報を更新する(ステップS15)。
【0030】
これにより、携帯端末2では、管理サーバ3から全車両C1〜C5の最新の位置情報を一日周期で取得することができるため、車両C1〜C5との間の距離を精度良く演算することができる。このため、距離の最も近い車両を正確に判定することが可能となる。
【0031】
次に、図8を参照して、ユーザの乗車に際して車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立される手順、並びに車載機1と携帯端末2との間の無線通信を通じて車両ドアの解錠が行われる手順について説明する。
【0032】
図8に示すように、ユーザにより携帯端末2の操作部22が操作されて電子キーシステムアプリケーションが立ち上げられたとすると(ステップS20)、携帯端末2は、まず、上記GPS23により携帯端末2の現在位置を検出する(ステップS21)。そして、検出された携帯端末2の現在位置と、メモリ24aに記憶されている全ての車両C1〜C5の位置とから、携帯端末2と各車両C1〜C5との距離d1〜d5をそれぞれ演算するとともに(ステップS22)、演算された距離d1〜d5に基づいて、先の図4及び図5を参照して説明したように通信履歴の並び替えを行う(ステップS23)。そして、携帯端末2のブルートゥース通信部20は、通信履歴の最も上位の車両、すなわち携帯端末2に最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対応する接続要求を上記探索エリアEに対して行う(ステップS24)。なおここでは、通信履歴が先の図4(b)に例示したように並び替えられることにより、通信履歴の最も上位の車両が車両C5となった場合について例示している。このとき、接続要求が車両C5に搭載されたブルートゥース通信部20によって受信されたとすると(ステップS25)、車両C5のブルートゥース通信部20から接続要求応答が行われる(ステップS26)。これにより、携帯端末2のブルートゥース通信部20と車両C5のブルートゥース通信部10との間でブルートゥース接続が確立される(ステップS27)。その後、ユーザが携帯端末2の操作部22に対して解錠操作を行ったとすると(ステップS28)、携帯端末2から車両C5の車載機1に解錠指令信号が送信される(ステップS29)。そして、車両C5の車載機1は、携帯端末2から送信された解錠指令信号を受信すると(ステップS30)、車両ドアの解錠を行う(ステップS31)。なお、ユーザが携帯端末2の操作部22に対して施錠操作を行った際にも、本実施形態にかかる電子キーシステムは図8に例示した動作に準じた動作を行う。
【0033】
これにより、ユーザが携帯端末2の操作部22を操作して電子キーシステムアプリケーションを立ち上げると、携帯端末2に最も近い車両に対応するブルートゥース通信部10に対して自動的に接続要求が行われる。このため、ユーザが車両C1〜C5のいずれかを選択する操作を行うことなく、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立される。これにより、ブルートゥース接続が確立されるまでの時間を短縮することができるため、操作性が向上するようになる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の電子キーシステムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)携帯端末2では、ブルートゥース通信部20の接続要求を行うに際して、複数の車両C1〜C5のうち、距離の最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求を行うこととした。これにより、ユーザが車両C1〜C5のいずれかを選択する操作を行うことなく、車両のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立されるため、操作性が向上するようになる。
【0035】
(2)車載機1のGPS12により検出される車両C1〜C5の位置、及び携帯端末2のGPS23により検出される携帯端末2の位置に基づいて、携帯端末2と各車両C1〜C5との間の距離を演算することとした。これにより、携帯端末2と各車両C1〜C5との間の距離を容易に求めることができるようになる。
【0036】
(3)各車両C1〜C5の車載機1から車両の位置情報を取得して管理する管理サーバ3を設けることとした。そして、携帯端末2では、管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を周期的に取得するとともに、取得された各車両C1〜C5の位置情報、及びGPS23を通じて検出される携帯端末2の位置情報に基づいて、各車両C1〜C5との距離を演算することとした。これにより、携帯端末2は、管理サーバ3から各車両C1〜C5の最新の位置情報を逐次取得することができるため、各車両C1〜C5との距離を精度良く演算することができるようになる。また、携帯端末2では、接続要求を行うよりも前に各車両C1〜C5の位置情報を予め取得することができるため、接続要求を行う際に、各車両C1〜C5との間の距離を即座に演算することができる。これにより、応答性が向上するようになる。
【0037】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかる無線通信システムを車両の電子キーシステムに適用した第2の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、先の図2に対応する図として、車両の電子キーシステムのシステム構成を示したものである。なお、図9において、先の図2に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それらの要素についての重複する説明は割愛する。
【0038】
本実施形態では、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立されているときに、携帯端末2が車載機1から車両の位置情報を取得するようにしている。具体的には、図9に示すように、携帯端末制御部24は、携帯端末2のブルートゥース通信部20と車載機1のブルートゥース通信部10との間でブルートゥース接続が確立されたとき、車両の位置情報の要求をブルートゥース通信部20を介して車載機1に対して行う。そして、車載制御部13は、車載機1からの車両の位置情報の要求をブルートゥース通信部10を介して取得すると、GPS12を通じて車両の位置を検出するとともに、検出した車両の位置情報をブルートゥース通信部10を介して携帯端末2に送信する。これにより、携帯端末制御部24は、ブルートゥース通信部20を介して車両の位置情報を取得するとともに、取得した位置情報に基づいてメモリ24aに記憶されている車両の位置情報を更新する。
【0039】
以下、図10を参照して、本実施形態にかかる電子キーシステムの動作例について説明する。なお、図10に示すシーケンスチャートにおいて、先の図8に示した処理と同一の処理については同一の符号を付しており、それらの処理についての重複する説明は割愛する。
【0040】
図10に示すように、携帯端末2のブルートゥース通信部20と車両C5のブルートゥース通信部10との間でブルートゥース接続が確立されると(ステップS27)、携帯端末2は、車両C5の車載機1に対して車両の位置情報の送信要求を行う(ステップS32)。そして、車両C5の車載機1は、携帯端末2から車両の位置情報の送信要求があると(ステップS33)、GPS12により車両C5の位置情報を検出するとともに(ステップS34)、検出された車両C5の位置情報を携帯端末2に送信する(ステップS35)。そして、携帯端末2は、車両C5の位置情報を取得すると(ステップS36)、取得した位置情報に基づいてメモリ24aに記憶されている車両C5の位置情報を更新する(ステップS37)。なお、携帯端末2は、同様の処理を各車両C1〜C4についても行う。
【0041】
これにより、携帯端末2は、各車両C1〜C5の車載機1から位置情報を直接取得することができるため、上述した管理サーバ3が不要となる。よって、車載機1では、管理サーバ3に位置情報を送信する必要がなくなるため、各車両C1〜C5の消費電力を低減することができるようになる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の電子キーシステムによれば、上記第1の実施形態による(1)及び(2)の効果と同等の効果、あるいはこれらに準じた効果が得られるようになるとともに、以下のような効果が得られるようになる。
【0043】
(4)携帯端末2では、そのブルートゥース通信部20と車載機1のブルートゥース通信部10とのブルートゥース接続が確立されているときに、車両の位置情報を車載機1から取得することとした。これにより、上記管理サーバ3が不要となるため、車載機1では、管理サーバ3に位置情報を送信する必要がなくなる。このため、各車両C1〜C5の消費電力を低減することができるようになる。
【0044】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、携帯端末2が管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得する時期を所定時刻に設定したが、例えば1時間の周期に設定してもよい。また、管理サーバ3が各車両C1〜C5の車載機1から車両の位置情報を取得する周期についても適宜変更することが可能である。
【0045】
・上記第1の実施形態では、携帯端末2が管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得するタイミングを所定時刻に設定することとしたが、これに代えて、例えば電子キーシステムアプリケーションの立ち上げ時に設定してもよい。これにより、携帯端末2は、接続要求を行う直前に、管理サーバ3から各車両C1〜C5の最新の位置情報を取得することができるため、各車両C1〜C5と携帯端末2との間の距離を精度良く演算することができる。このため、距離の最も近い車両をより正確に判定することが可能となる。また、例えば携帯端末2に振動センサを設けた上で、該振動センサにより携帯端末2の振動が検出されたときに、携帯端末2が管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得してもよい。
【0046】
・上記第2の実施形態では、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立されることを条件に携帯端末2が車載機1から車両の位置情報を取得することとした。これに代えて、車両ドアの施錠あるいは解錠が行われることを条件に携帯端末2が車載機1から車両の位置情報を取得してもよい。
【0047】
・上記各実施形態では、車載機1と携帯端末2との間の無線通信の方式として、ブルートゥース通信を用いることとしたが、例えばZigBee(登録商標)などの無線通信方式を用いてもよい。
【0048】
・上記各実施形態では、車載機1とブルートゥース通信を行う携帯端末として、携帯電話機の機能を有する携帯端末を用いることとしたが、これに代えて、電話機能を有していない携帯端末を用いることも可能である。
【0049】
・上記各実施形態では、本発明にかかる無線通信システムを、車両の電子キーシステムに適用することとしたが、これに代えて、例えばパーソナルコンピュータやヘッドセットなどの周辺機器を携帯端末により遠隔操作する各種の無線通信システムに適用することが可能である。
【0050】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記接続要求を行う直前に、前記管理サーバから前記複数の第2通信装置のそれぞれの位置情報を取得することを特徴とする無線通信システム。同構成によるように、第1通信装置が接続要求を行う直前に管理サーバから複数の第2通信装置の位置情報を取得することとすれば、第1通信装置は、接続要求の際に、複数の第2通信装置の最新の位置情報を取得することができる。これにより、第1通信装置と複数の第2通信装置との間の距離を精度良く演算することができるため、距離の最も近い通信装置をより正確に判定することができるようになる。
【符号の説明】
【0051】
A,B…通信可能エリア、E…探索エリア、C1〜C5…車両、1…車載機、2…携帯端末、3…管理サーバ、4…ドアノブ、10,20…ブルートゥース通信部、11,21,30…ネットワーク通信部、12,23…GPS、13…車載制御部、14…ドアロック機構、22…操作部、24…携帯端末制御部、24a…メモリ、31…管理制御部、32…車両情報データベース、40…携帯端末、50〜52…周辺機器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの通信装置の間で無線通信を行う無線通信システム及び車両の電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの近距離無線通信を用いることにより、ユーザが所持する携帯端末と、パーソナルコンピュータやラジカセ等の周辺機器との間で無線通信を行うシステムが周知である。このような無線通信システムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。
【0003】
図11に示すように、この特許文献1に記載の無線通信システムでは、複数の通信可能エリアA,Bが予め設定されるとともに、各通信可能エリアA,Bにおいてブルートゥースにより無線接続可能な周辺機器の情報が携帯端末40に記憶されている。具体的には、図中に示すように、通信可能エリアAでは周辺機器50,51が無線接続可能であること、また、通信可能エリアBでは周辺機器52が無線接続可能であること、といった周辺機器位置情報が携帯端末40に記憶されている。そして、ユーザが、携帯端末40と周辺機器との間で無線接続を確立するために、接続要求を行うための操作を携帯端末40に対して行ったとすると、携帯端末40は、まず、自身の現在位置をGPS(Global Positioning System)により検出する。また、検出した現在位置に基づいて、自身が上記通信可能エリアA,Bのいずれに位置しているかを判定する。そして、例えば携帯端末40が通信可能エリアAに位置していると判定した場合には、上記周辺機器位置情報に基づいて、通信可能エリアAに対応する周辺機器50,51の名称を携帯端末40の表示部に表示する。このとき、ユーザが携帯端末40を操作して例えば周辺機器50を選択したとすると、携帯端末40と周辺機器50との間でブルートゥース接続が確立されて、それらの間で無線通信を行うことが可能となる。このような構成によれば、ユーザが携帯端末40と各周辺機器50〜52との間で無線接続を確立する際に、携帯端末40の現在位置において無線接続可能な周辺機器のみが携帯端末40の表示部に表示されるため、接続不可能な周辺機器をユーザが誤って選択してしまうことがない。このため、利便性が向上するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−263506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような無線通信システムでは、上述のように、携帯端末40と各周辺機器50〜52とを無線接続する際に、ユーザは、携帯端末40を操作して無線接続可能な周辺機器を携帯端末40の表示部に表示させた後、接続したい周辺機器を選択する必要がある。そしてこのような操作が、携帯端末40と周辺機器50〜52とを無線接続する際の操作性の悪化を招く一つの要因となっている。
【0006】
なお、このような課題は、2つの通信装置の間の無線通信がブルートゥースにより行われる無線通信システムに限らず、無線通信を行うにあたり、それらの間で無線接続を確立する工程が必要となる無線通信システムに共通する課題である。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作性を向上させることのできる無線通信システム及び車両の電子キーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1通信装置がその周辺の探索エリアに対して接続要求を行ったときに、前記第1通信装置の接続先となる複数の第2通信装置のうち、前記探索エリア内に位置する第2通信装置と前記第1通信装置との間で無線接続が確立されることにより、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で無線通信を行うことが可能となる無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記接続要求を行うに際して、前記複数の第2通信装置のうち、当該第1通信装置との距離が最も近い第2通信装置に対して前記接続要求を行うことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、第1通信装置が、接続要求の際に、自身に最も近い第2通信装置に対して接続要求を行う。このため、ユーザによる複数の第2通信装置のいずれかを選択する操作を必要とすることなく、第1通信装置と第2通信装置との間で無線接続が確立される。これにより、無線接続が確立されるまでの時間を短縮することができるため、操作性が向上するようになる。
【0010】
そしてこの場合、請求項2に記載の発明によるように、前記第1通信装置には、その位置を検出する第1位置検出手段が設けられるとともに、前記複数の第2通信装置には、その位置を検出する第2位置検出手段がそれぞれ設けられ、前記第1通信装置と前記複数の第2通信装置との間の距離が、前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置、及び前記第2位置検出手段を通じて検出される第2通信装置の位置に基づいて演算される、といった構成を採用することが有効であり、これにより、第1通信装置と複数の第2通信装置との間の距離を容易に求めることができるようになる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、前記第2位置検出手段を通じて検出される位置の情報を前記複数の第2通信装置からそれぞれ取得して管理する管理サーバを更に備え、前記第1通信装置は、前記管理サーバとの通信を通じて前記複数の第2通信装置の位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記複数の第2通信装置との距離をそれぞれ演算することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、第1通信装置は、管理サーバから複数の第2通信装置の最新の位置情報を逐次取得することができるため、複数の第2通信装置との間の距離を精度良く演算することができる。これにより、距離の最も近い第2通信装置を正確に判定することができるようになる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記管理サーバから前記複数の第2通信装置の位置情報を取得する処理を予め設定された周期で行うことを要旨とする。
【0014】
同構成によるように、管理サーバから複数の第2通信装置の位置情報を取得する処理を第1通信装置が予め定められた周期で行うこととすれば、第1通信装置は、接続要求を行うよりも前に複数の第2通信装置の位置情報を予め取得することができる。これにより、第1通信装置では、接続要求を行う際に、複数の第2通信装置との距離を即座に演算することができるため、応答性が向上するようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記第2通信装置との無線接続が確立されているときに同第2通信装置からその位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記第2通信装置との距離を演算することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、第1通信装置は第2通信装置から位置情報を直接取得することができるため、上述した管理サーバが不要となる。これにより、第2通信装置では、管理サーバに位置情報を送信する必要がなくなるため、その消費電力を低減することができるようになる。
【0017】
そしてこの場合、請求項6に記載の発明によるように、車両に設けられた通信装置と携帯端末に設けられた通信装置との間の無線通信を通じて前記車両にかかる各種制御が実行される車両の電子キーシステムにおいて、前記携帯端末の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第1通信装置が用いられるとともに、前記車両の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第2通信装置が用いられる、といった構成を採用することが有効であり、これにより、車両に設けられた車載機と携帯端末との間で無線通信接続が確立されるまでの時間を短縮することができるため、電子キーシステムとしての利便性が大幅に向上するようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる無線通信システム及び車両の電子キーシステムによれば、操作性を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる無線通信システムの第1の実施形態について同システムを利用した車両の電子キーシステムの概要を模式的に示す平面図。
【図2】同第1の実施形態の無線通信システムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【図3】同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のメモリに記憶されているブルートゥース通信の際に用いられる情報の一例を示す図。
【図4】(a)は、同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のメモリに記憶されている通信履歴の一例を示す図であり、(b)は、携帯端末と車両との間の距離に基づいて通信履歴が並び替えられる様子を示す図。
【図5】同第1の実施形態の無線通信システムについて管理サーバの車両情報データベースに記憶されている情報の一例を示す図。
【図6】同第1の実施形態の無線通信システムについて管理サーバが各車両の車載機から位置情報を取得する手順を示すシーケンス図。
【図7】同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末が管理サーバから全車両の位置情報を取得する手順を示すシーケンス図。
【図8】同第1の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のブルートゥース通信部と車載機のブルートゥース通信部との間でブルートゥース接続が確立される様子を示すシーケンス図。
【図9】本発明にかかる無線通信システムの第2の実施形態について同システムを利用した車両の電子キーシステムのシステム構成を示すブロック図。
【図10】同第2の実施形態の無線通信システムについて携帯端末のブルートゥース通信部と車載機のブルートゥース通信部との間でブルートゥース接続が確立される様子を示すシーケンス図。
【図11】従来の無線通信システムについてその概要を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる無線通信システムを適用した車両の電子キーシステムの一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。はじめに、図1を参照して、本実施形態にかかる車両の電子キーシステムの概要について説明する。
【0021】
図1に示すように、この電子キーシステムでは、携帯電話機として機能する携帯端末2をユーザが操作して電子キーシステムアプリケーションを立ち上げると、携帯端末2に搭載されたブルートゥース通信部20が起動する。このとき、ブルートゥース通信部20は、携帯端末2を中心とする半径数メートル程度の探索エリアEに対して接続要求を行う。そして、ユーザが自身の所有する車両C1〜C5に乗車しようとして携帯端末2を所持した状態で車両ドアに近づくことにより、ブルートゥース通信部20の探索エリアEに車両のドアノブ4の内部に設けられたブルートゥース通信部10が進入したとする。このとき、同ブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続(無線接続)が確立される。これにより、車両C1〜C5に設けられた車載機1と携帯端末2との間で無線通信を行うことが可能となって、ユーザによる携帯端末2の操作を通じて車両ドアを施錠及び解錠することができるようになる。なお、本実施携帯では、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間のペアリングは事前に行われている。また、本実施形態では、携帯端末2のブルートゥース通信部20が第1通信装置となるとともに、車載機1のブルートゥース通信部10が第2通信装置となっている。
【0022】
一方、この電子キーシステムには、各車両C1〜C5の車載機1から通信ネットワーク等を介して各車両C1〜C5の位置情報を収集するとともに、収集した各車両C1〜C5の位置情報を管理する管理サーバ3が設けられている。そして、この電子キーシステムでは、携帯端末2が通信ネットワークを介して管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得することができるようになっている。
【0023】
次に、図2を参照して、本発明にかかる電子キーシステムの構成、動作について詳述する。
車載機1は、上記ブルートゥース通信部10の他、通信ネットワークを介して管理サーバ3と通信を行うためのネットワーク通信部11を備えている。また、車載機1は、車両の位置、より詳細には車両の緯度及び経度を検出する第2位置検出手段としてのGPS12を備えている。そして、GPS12により検出される車両の位置情報をネットワーク通信部11を介して管理サーバ3に送信する処理が、車載機1に設けられた車載制御部13により実行される。具体的には、車載制御部13は、管理サーバ3が車両の位置情報を取得するために送信する要求をネットワーク通信部11を介して取得すると、GPS12を通じて車両の位置を検出するとともに、検出した位置情報をネットワーク通信部11を介して管理サーバ3に送信する。また、車載制御部13は、ブルートゥース通信部10とブルートゥース通信部20との間で無線接続が確立されているときに、携帯端末2から送信される施錠指令信号あるいは解錠指令信号をブルートゥース通信部10を介して受信すると、ドアロック機構14を駆動させて車両ドアの施錠あるいは解錠を行う。
【0024】
一方、携帯端末2も、上記ブルートゥース通信部20に加え、通信ネットワークを介して管理サーバ3と通信を行うためのネットワーク通信部21を備えている。また、携帯端末2は、ユーザによる入力操作が行われる操作部22、及び携帯端末2の位置、より詳細には携帯端末2の緯度及び経度を検出する第1位置検出手段としてのGPS23を備えている。そして、ネットワーク通信部21を介して管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得する処理が、携帯端末2に設けられた携帯端末制御部24により実行される。具体的には、携帯端末制御部24は、所定時刻(例えば午前「0」時)になると、ネットワーク通信部21を介して管理サーバ3に車両の位置情報の送信を要求することで、管理サーバ3から全ての車両C1〜C5の位置情報を取得し、取得した位置情報を内蔵する不揮発性のメモリ24aに記憶する。なお、メモリ24aには、ブルートゥース通信の際に用いられる情報や、ブルートゥース通信の履歴等が記憶されている。ここで、ブルートゥース通信の際に用いられる情報は、図3に示すように、各車両C1〜C5の名称、それらのブルートゥース通信部10に対応したブルートゥースアドレスA1〜A5、パスキーP1〜P5、及びリンクキーR1〜R5からなる。パスキーP1〜P5は、各車両C1〜C5のブルートゥース通信部20と通信を行う際の認証に用いられる情報である。また、リンクキーR1〜R5は、各車両C1〜C5のブルートゥース通信部20と接続を確立する際に用いられる情報である。一方、通信履歴は、図4(a)に示すように、各車両C1〜C5の名称と、それらに搭載されたブルートゥース通信部10と最後に通信を行った時刻t1〜t5となる。なお、通信履歴では、通信時刻が直近の車両ほど上位となるように配列される。また、図4(a)に示す通信履歴には、上記管理サーバ3から取得される各車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報も併せて登録されている。
【0025】
また、携帯端末制御部24は、ユーザによる操作部22の操作に基づき電子キーアプリケーションを立ち上げると、次のように動作する。まず、携帯端末制御部24は、GPS23を通じて携帯端末2の現在位置を検出するとともに、検出した携帯端末2の現在位置と、先の図4(a)に例示した通信履歴に登録されている各車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報とから、携帯端末2と各車両C1〜C5との間の距離をそれぞれ演算する。そして、距離の短い車両が上位となるように、すなわち携帯端末2からの距離の近い車両が上位となるように通信履歴を並び替える。具体的には、先の図4(a)に示すように携帯端末2と各車両C1〜C5との間のそれぞれの距離として距離d1〜d5が演算されたとするとき、各距離d1〜d5に「d5<d3<d1<d2<d4」なる関係が存在したとする。この場合には、通信履歴を、図4(b)に示すように、「車両C5→車両C3→車両C1→車両C2→車両C4」の順に並び替える。なお、距離が同一の車両が複数存在する場合には、最終通信時刻t1〜t5の近い車両が上位となるように通信履歴を並び替える。そして、携帯端末制御部24は、ブルートゥース通信部20を起動させて通信履歴の最も上位となっている車両、すなわち携帯端末2までの距離が最も近い車両に対応するブルートゥースアドレス、パスキー、及びリンクキーを用いて、ブルートゥース通信部10の探索を行う。すなわち、携帯端末2までの距離が最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求を行う。これにより、例えば図4(b)に例示したように通信履歴が並び替えられた場合には、車両C5に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求が行われることとなる。そして、車両に搭載されたブルートゥース通信部10と携帯端末2に搭載されたブルートゥース通信部20との間で無線接続を確立することができた場合には、携帯端末制御部24は、操作部22に対する操作に基づき施錠指令信号あるいは解錠指令信号を車載機1に送信する。
【0026】
また一方、先の図2に示すように、管理サーバ3は、通信ネットワークを介して車載機1及び携帯端末2と通信を行うためのネットワーク通信部30、及び各車両C1〜C5の位置情報が記憶された車両情報データベース32を備えている。車両情報データベース32には、図5に示すように、各車両C1〜C5の名称と、それらの緯度及び経度を示す位置S1〜S5の情報とが関連付けされて記憶されている。そして、ネットワーク通信部30を介して各車両C1〜C5の車載機1から位置情報を取得する処理が、管理サーバ3に設けられた管理制御部31により実行される。管理制御部31は、車両の位置情報の要求を、ネットワーク通信部30を介して各車両C1〜C5の車載機1に対して所定の周期(例えば1時間周期)で行う。そして、車両C1〜C5の車載機1からそれぞれ送信される車両の位置情報をネットワーク通信部30を介して取得した場合には、取得した車両の位置情報を車両情報データベース32に記憶する。また、管理制御部31は、携帯端末2が車両の位置情報を取得するために送信する要求をネットワーク通信部30を介して取得すると、車両情報データベース32に記憶されている全ての車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報をネットワーク通信部30を介して携帯端末2に送信する。
【0027】
以下、図6〜図8を参照して、本実施形態にかかる電子キーシステムの動作例(作用)について説明する。はじめに、図6を参照して、管理サーバ3が各車両C1〜C5からそれらの位置情報を取得する手順について説明する。
【0028】
図6に示すように、まず、管理サーバ3により、所定の周期(例えば1時間の周期)で車両C1に搭載された車載機1に対して車両の位置情報の要求が行われる(ステップS1)。そして、車両C1の車載機1は、管理サーバ3から車両の位置情報の要求があると(ステップS2)、GPS12により車両C1の位置を検出するとともにステップS3)、検出された車両C1の位置情報を管理サーバ3に送信する(ステップS4)。これにより、管理サーバ3は、車両C1の位置情報を取得すると(ステップS5)、取得した位置情報に基づいて車両情報データベース32に記憶されている車両C1の位置情報を更新する(ステップS6)。また、管理サーバ3は、ステップS6の処理以降、同様の要求を車両C2〜C5の順に行って、車両C2〜C5の位置情報の取得、並びに車両情報データベース32の更新を行う。
【0029】
次に、図7を参照して、携帯端末2が管理サーバ3から全車両C1〜C5の位置を取得する手順について説明する。
図7に示すように、携帯端末2では、まず、定時刻(例えば午前「0」時)になると(ステップS10:YES)、管理サーバ3に対して全車両の位置情報の要求が行われる(ステップS11)。このとき、管理サーバ3は、携帯端末2から全車両の位置情報の要求があると(ステップS12)、車両情報データベース32に記憶されている全ての車両C1〜C5の位置S1〜S5の情報を携帯端末2に送信する(ステップS13)。そして、携帯端末2は、全ての車両C1〜C5の位置情報を取得すると(ステップS14)、取得した位置情報に基づいてメモリ24aに記憶されている全ての車両C1〜C5の位置情報を更新する(ステップS15)。
【0030】
これにより、携帯端末2では、管理サーバ3から全車両C1〜C5の最新の位置情報を一日周期で取得することができるため、車両C1〜C5との間の距離を精度良く演算することができる。このため、距離の最も近い車両を正確に判定することが可能となる。
【0031】
次に、図8を参照して、ユーザの乗車に際して車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立される手順、並びに車載機1と携帯端末2との間の無線通信を通じて車両ドアの解錠が行われる手順について説明する。
【0032】
図8に示すように、ユーザにより携帯端末2の操作部22が操作されて電子キーシステムアプリケーションが立ち上げられたとすると(ステップS20)、携帯端末2は、まず、上記GPS23により携帯端末2の現在位置を検出する(ステップS21)。そして、検出された携帯端末2の現在位置と、メモリ24aに記憶されている全ての車両C1〜C5の位置とから、携帯端末2と各車両C1〜C5との距離d1〜d5をそれぞれ演算するとともに(ステップS22)、演算された距離d1〜d5に基づいて、先の図4及び図5を参照して説明したように通信履歴の並び替えを行う(ステップS23)。そして、携帯端末2のブルートゥース通信部20は、通信履歴の最も上位の車両、すなわち携帯端末2に最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対応する接続要求を上記探索エリアEに対して行う(ステップS24)。なおここでは、通信履歴が先の図4(b)に例示したように並び替えられることにより、通信履歴の最も上位の車両が車両C5となった場合について例示している。このとき、接続要求が車両C5に搭載されたブルートゥース通信部20によって受信されたとすると(ステップS25)、車両C5のブルートゥース通信部20から接続要求応答が行われる(ステップS26)。これにより、携帯端末2のブルートゥース通信部20と車両C5のブルートゥース通信部10との間でブルートゥース接続が確立される(ステップS27)。その後、ユーザが携帯端末2の操作部22に対して解錠操作を行ったとすると(ステップS28)、携帯端末2から車両C5の車載機1に解錠指令信号が送信される(ステップS29)。そして、車両C5の車載機1は、携帯端末2から送信された解錠指令信号を受信すると(ステップS30)、車両ドアの解錠を行う(ステップS31)。なお、ユーザが携帯端末2の操作部22に対して施錠操作を行った際にも、本実施形態にかかる電子キーシステムは図8に例示した動作に準じた動作を行う。
【0033】
これにより、ユーザが携帯端末2の操作部22を操作して電子キーシステムアプリケーションを立ち上げると、携帯端末2に最も近い車両に対応するブルートゥース通信部10に対して自動的に接続要求が行われる。このため、ユーザが車両C1〜C5のいずれかを選択する操作を行うことなく、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立される。これにより、ブルートゥース接続が確立されるまでの時間を短縮することができるため、操作性が向上するようになる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の電子キーシステムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)携帯端末2では、ブルートゥース通信部20の接続要求を行うに際して、複数の車両C1〜C5のうち、距離の最も近い車両に搭載されたブルートゥース通信部10に対して接続要求を行うこととした。これにより、ユーザが車両C1〜C5のいずれかを選択する操作を行うことなく、車両のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立されるため、操作性が向上するようになる。
【0035】
(2)車載機1のGPS12により検出される車両C1〜C5の位置、及び携帯端末2のGPS23により検出される携帯端末2の位置に基づいて、携帯端末2と各車両C1〜C5との間の距離を演算することとした。これにより、携帯端末2と各車両C1〜C5との間の距離を容易に求めることができるようになる。
【0036】
(3)各車両C1〜C5の車載機1から車両の位置情報を取得して管理する管理サーバ3を設けることとした。そして、携帯端末2では、管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を周期的に取得するとともに、取得された各車両C1〜C5の位置情報、及びGPS23を通じて検出される携帯端末2の位置情報に基づいて、各車両C1〜C5との距離を演算することとした。これにより、携帯端末2は、管理サーバ3から各車両C1〜C5の最新の位置情報を逐次取得することができるため、各車両C1〜C5との距離を精度良く演算することができるようになる。また、携帯端末2では、接続要求を行うよりも前に各車両C1〜C5の位置情報を予め取得することができるため、接続要求を行う際に、各車両C1〜C5との間の距離を即座に演算することができる。これにより、応答性が向上するようになる。
【0037】
<第2の実施形態>
続いて、本発明にかかる無線通信システムを車両の電子キーシステムに適用した第2の実施形態について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、先の図2に対応する図として、車両の電子キーシステムのシステム構成を示したものである。なお、図9において、先の図2に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それらの要素についての重複する説明は割愛する。
【0038】
本実施形態では、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立されているときに、携帯端末2が車載機1から車両の位置情報を取得するようにしている。具体的には、図9に示すように、携帯端末制御部24は、携帯端末2のブルートゥース通信部20と車載機1のブルートゥース通信部10との間でブルートゥース接続が確立されたとき、車両の位置情報の要求をブルートゥース通信部20を介して車載機1に対して行う。そして、車載制御部13は、車載機1からの車両の位置情報の要求をブルートゥース通信部10を介して取得すると、GPS12を通じて車両の位置を検出するとともに、検出した車両の位置情報をブルートゥース通信部10を介して携帯端末2に送信する。これにより、携帯端末制御部24は、ブルートゥース通信部20を介して車両の位置情報を取得するとともに、取得した位置情報に基づいてメモリ24aに記憶されている車両の位置情報を更新する。
【0039】
以下、図10を参照して、本実施形態にかかる電子キーシステムの動作例について説明する。なお、図10に示すシーケンスチャートにおいて、先の図8に示した処理と同一の処理については同一の符号を付しており、それらの処理についての重複する説明は割愛する。
【0040】
図10に示すように、携帯端末2のブルートゥース通信部20と車両C5のブルートゥース通信部10との間でブルートゥース接続が確立されると(ステップS27)、携帯端末2は、車両C5の車載機1に対して車両の位置情報の送信要求を行う(ステップS32)。そして、車両C5の車載機1は、携帯端末2から車両の位置情報の送信要求があると(ステップS33)、GPS12により車両C5の位置情報を検出するとともに(ステップS34)、検出された車両C5の位置情報を携帯端末2に送信する(ステップS35)。そして、携帯端末2は、車両C5の位置情報を取得すると(ステップS36)、取得した位置情報に基づいてメモリ24aに記憶されている車両C5の位置情報を更新する(ステップS37)。なお、携帯端末2は、同様の処理を各車両C1〜C4についても行う。
【0041】
これにより、携帯端末2は、各車両C1〜C5の車載機1から位置情報を直接取得することができるため、上述した管理サーバ3が不要となる。よって、車載機1では、管理サーバ3に位置情報を送信する必要がなくなるため、各車両C1〜C5の消費電力を低減することができるようになる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両の電子キーシステムによれば、上記第1の実施形態による(1)及び(2)の効果と同等の効果、あるいはこれらに準じた効果が得られるようになるとともに、以下のような効果が得られるようになる。
【0043】
(4)携帯端末2では、そのブルートゥース通信部20と車載機1のブルートゥース通信部10とのブルートゥース接続が確立されているときに、車両の位置情報を車載機1から取得することとした。これにより、上記管理サーバ3が不要となるため、車載機1では、管理サーバ3に位置情報を送信する必要がなくなる。このため、各車両C1〜C5の消費電力を低減することができるようになる。
【0044】
<他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、携帯端末2が管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得する時期を所定時刻に設定したが、例えば1時間の周期に設定してもよい。また、管理サーバ3が各車両C1〜C5の車載機1から車両の位置情報を取得する周期についても適宜変更することが可能である。
【0045】
・上記第1の実施形態では、携帯端末2が管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得するタイミングを所定時刻に設定することとしたが、これに代えて、例えば電子キーシステムアプリケーションの立ち上げ時に設定してもよい。これにより、携帯端末2は、接続要求を行う直前に、管理サーバ3から各車両C1〜C5の最新の位置情報を取得することができるため、各車両C1〜C5と携帯端末2との間の距離を精度良く演算することができる。このため、距離の最も近い車両をより正確に判定することが可能となる。また、例えば携帯端末2に振動センサを設けた上で、該振動センサにより携帯端末2の振動が検出されたときに、携帯端末2が管理サーバ3から各車両C1〜C5の位置情報を取得してもよい。
【0046】
・上記第2の実施形態では、車載機1のブルートゥース通信部10と携帯端末2のブルートゥース通信部20との間でブルートゥース接続が確立されることを条件に携帯端末2が車載機1から車両の位置情報を取得することとした。これに代えて、車両ドアの施錠あるいは解錠が行われることを条件に携帯端末2が車載機1から車両の位置情報を取得してもよい。
【0047】
・上記各実施形態では、車載機1と携帯端末2との間の無線通信の方式として、ブルートゥース通信を用いることとしたが、例えばZigBee(登録商標)などの無線通信方式を用いてもよい。
【0048】
・上記各実施形態では、車載機1とブルートゥース通信を行う携帯端末として、携帯電話機の機能を有する携帯端末を用いることとしたが、これに代えて、電話機能を有していない携帯端末を用いることも可能である。
【0049】
・上記各実施形態では、本発明にかかる無線通信システムを、車両の電子キーシステムに適用することとしたが、これに代えて、例えばパーソナルコンピュータやヘッドセットなどの周辺機器を携帯端末により遠隔操作する各種の無線通信システムに適用することが可能である。
【0050】
<付記>
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記接続要求を行う直前に、前記管理サーバから前記複数の第2通信装置のそれぞれの位置情報を取得することを特徴とする無線通信システム。同構成によるように、第1通信装置が接続要求を行う直前に管理サーバから複数の第2通信装置の位置情報を取得することとすれば、第1通信装置は、接続要求の際に、複数の第2通信装置の最新の位置情報を取得することができる。これにより、第1通信装置と複数の第2通信装置との間の距離を精度良く演算することができるため、距離の最も近い通信装置をより正確に判定することができるようになる。
【符号の説明】
【0051】
A,B…通信可能エリア、E…探索エリア、C1〜C5…車両、1…車載機、2…携帯端末、3…管理サーバ、4…ドアノブ、10,20…ブルートゥース通信部、11,21,30…ネットワーク通信部、12,23…GPS、13…車載制御部、14…ドアロック機構、22…操作部、24…携帯端末制御部、24a…メモリ、31…管理制御部、32…車両情報データベース、40…携帯端末、50〜52…周辺機器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置がその周辺の探索エリアに対して接続要求を行ったときに、前記第1通信装置の接続先となる複数の第2通信装置のうち、前記探索エリア内に位置する第2通信装置と前記第1通信装置との間で無線接続が確立されることにより、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で無線通信を行うことが可能となる無線通信システムにおいて、
前記第1通信装置は、前記接続要求を行うに際して、前記複数の第2通信装置のうち、当該第1通信装置との距離が最も近い第2通信装置に対して前記接続要求を行う
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1通信装置には、その位置を検出する第1位置検出手段が設けられるとともに、前記複数の第2通信装置には、その位置を検出する第2位置検出手段がそれぞれ設けられ、前記第1通信装置と前記複数の第2通信装置との間の距離が、前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置、及び前記第2位置検出手段を通じて検出される第2通信装置の位置に基づいて演算される
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2位置検出手段を通じて検出される位置の情報を前記複数の第2通信装置からそれぞれ取得して管理する管理サーバを更に備え、前記第1通信装置は、前記管理サーバとの通信を通じて前記複数の第2通信装置の位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記複数の第2通信装置との距離をそれぞれ演算する
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1通信装置は、前記管理サーバから前記複数の第2通信装置の位置情報を取得する処理を予め設定された周期で行う
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1通信装置は、前記第2通信装置との無線接続が確立されているときに同第2通信装置からその位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記第2通信装置との距離を演算する
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
車両に設けられた通信装置と携帯端末に設けられた通信装置との間の無線通信を通じて前記車両にかかる各種制御が実行される車両の電子キーシステムにおいて、
前記携帯端末の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第1通信装置が用いられるとともに、前記車両の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第2通信装置が用いられる
ことを特徴とする車両の電子キーシステム。
【請求項1】
第1通信装置がその周辺の探索エリアに対して接続要求を行ったときに、前記第1通信装置の接続先となる複数の第2通信装置のうち、前記探索エリア内に位置する第2通信装置と前記第1通信装置との間で無線接続が確立されることにより、前記第1通信装置と前記第2通信装置との間で無線通信を行うことが可能となる無線通信システムにおいて、
前記第1通信装置は、前記接続要求を行うに際して、前記複数の第2通信装置のうち、当該第1通信装置との距離が最も近い第2通信装置に対して前記接続要求を行う
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第1通信装置には、その位置を検出する第1位置検出手段が設けられるとともに、前記複数の第2通信装置には、その位置を検出する第2位置検出手段がそれぞれ設けられ、前記第1通信装置と前記複数の第2通信装置との間の距離が、前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置、及び前記第2位置検出手段を通じて検出される第2通信装置の位置に基づいて演算される
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第2位置検出手段を通じて検出される位置の情報を前記複数の第2通信装置からそれぞれ取得して管理する管理サーバを更に備え、前記第1通信装置は、前記管理サーバとの通信を通じて前記複数の第2通信装置の位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記複数の第2通信装置との距離をそれぞれ演算する
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1通信装置は、前記管理サーバから前記複数の第2通信装置の位置情報を取得する処理を予め設定された周期で行う
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1通信装置は、前記第2通信装置との無線接続が確立されているときに同第2通信装置からその位置情報を取得するとともに、該取得された前記複数の第2通信装置の位置情報、及び前記第1位置検出手段を通じて検出される前記第1通信装置の位置情報に基づいて、前記第2通信装置との距離を演算する
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
車両に設けられた通信装置と携帯端末に設けられた通信装置との間の無線通信を通じて前記車両にかかる各種制御が実行される車両の電子キーシステムにおいて、
前記携帯端末の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第1通信装置が用いられるとともに、前記車両の通信装置として、請求項1〜5のいずれか一項に記載の第2通信装置が用いられる
ことを特徴とする車両の電子キーシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−225091(P2012−225091A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95078(P2011−95078)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
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