説明

無線通信システム,無線通信方法,発信制御装置,及び通信装置

【課題】どのような場所であっても、無線通信を行なう通信装置の動作を制限するエリアを高精度に設定できるようにして、かかるエリア内における通信装置の動作の管理を確実に実行できるようにする。
【解決手段】通信装置20の位置を検出させるための位置検出用電波を発信する複数の発信器10−1〜10−4をそなえ、通信装置20が、複数の発信器10−1〜10−4から発信された位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の位置検出用電波に基づいて、通信装置20の位置を検出する検出部と、この検出部によって検出された通信装置20の位置に応じた所定の動作態様で動作する処理部とをそなえて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定領域において、無線通信を行なう通信装置の動作態様を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話など、無線通信を行なう通信装置(通信端末)を所有する所有者が急増しており、公共交通機関,医療機関,映画館,劇場等では、施設内における、通信装置の利用や無線通信機能などの動作を制限することが要求されている。
施設内において、通信装置の無線通信機能を制限したい場合には、その無線通信に用いる電波(例えば、携帯電話の場合は基地局からの電波)がその施設内に届かないように、電波を遮断することが考えられる。
【0003】
例えば、電車内における携帯電話の利用を制限した場合には、電車に電波を通さないガラスを使用するなどして、電車内に基地局等からの電波が届かなくなる対策を行なうことが考えられる。
この対策によれば、携帯電話による通話等は制限できる。しかしながら、携帯電話では、電波を遮断してしまうと、携帯電話が自ら発信する電波の出力が逆に大きくなってしまい、かかる対策では電波の出力を制限することはできない。
【0004】
そこで、GPS(Global Positioning System)を利用して通信装置の位置情報を取得し、取得した位置情報を用いて通信装置の利用を制限する技術(例えば、下記特許文献1参照)や、通信装置に利用を制限させる(所望の動作モードに切り替えさせる)ための特定信号を含む電波を発信する発信器を、通信装置の利用を制限したいエリア内に設ける技術(例えば、下記特許文献2参照)がある。
【特許文献1】特開2002−209243号公報
【特許文献2】特開2004−193867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術のように、GPSを利用する技術は、屋根がある場所や地下など、人工衛星からの電波が届き難い、もしくは、届かない場所では利用することができない。例えば、トンネル内を走行する電車や地下を走行する地下鉄では上記特許文献1の技術の利用は困難である。
また、上記特許文献2の技術のように、通信装置の利用を制限したいエリアに、通信装置に所望の動作モードに切り替えさせるための特定信号を含む電波を発信する発信器を設ける技術では、発信器から発信される電波の発信エリアを細かく設定することはできないので、通信装置の利用を制限したいエリアを精度良く設定することが困難である。
【0006】
例えば、発信器を電車内に設置して電車内を利用制限エリアに設定した場合には、その電車が駅のホームに停車しているときは、その電車近傍のホームにもかかる発信器からの電波が届いてしまい、利用制限エリアではないホームも利用制限エリアになってしまうおそれがある。
また、発信器を複数設ける場合には、複数の発信器からの電波の発信エリア間に谷間ができてしまうおそれがあり、この谷間では、電波が届かず通信装置の利用を制限できない。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、どのような場所であっても、無線通信を行なう通信装置の動作を制限するエリアを高精度に設定できるようにして、かかるエリア内における通信装置の動作の管理を確実に実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、無線通信を行なう通信装置をそなえるとともに、この通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を発信する複数の発信器をそなえ、前記通信装置が、前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出部と、この検出部によって検出された前記通信装置の位置を基に、管理領域に応じた所定の動作態様で動作する処理部とをそなえて構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
なお、前記複数の発信器が、前記位置検出用電波として、前記管理領域内の特定領域を示す電波を発信するように構成され、前記通信装置の前記処理部が、前記検出部によって検出された前記通信装置の位置が、前記特定領域内であるか否かを判定する判定部と、該判定部による判定結果に応じて前記所定の動作態様を決定する動作態様決定部とをそなえて構成されていることが好ましい(請求項2)。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の無線通信方法は、無線通信可能な通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を複数の発信器のそれぞれから発信する発信手順と、前記通信装置が、前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出手順と、この検出手順において検出された前記通信装置の位置を基に、管理領域に応じた所定の動作態様で動作する動作手順とを含むことを特徴としている(請求項3)。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の発信制御装置は、通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を発信する複数の発信器と接続され、前記位置検出用電波として、前記通信装置に所定の動作を実行させる特定領域を示す電波を発信するよう前記複数の発信器を制御することを特徴としている(請求項4)。
また、上記目的を達成するために、本発明の通信装置は、通信装置の動作を管理すべき管理領域にそなえられた複数の発信器のそれぞれから発信される位置検出用電波を受信しうるものであって、前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出部と、この検出部によって検出された前記通信装置の位置に応じた所定の動作態様で動作する処理部とをそなえて構成されていることを特徴としている(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、通信装置の検出部が、複数の発信器からの位置検出用電波のそれぞれを受信すると、受信した複数の位置検出用電波に基づいて、通信装置の端末位置を算出し、通信装置の処理部が、検出部によって検出された端末位置を基に管理領域に応じた所定の動作態様で動作するので、検出部は、通信装置の端末位置を必ず高精度に検出することができ、処理部は端末位置に応じた所望の動作態様で確実に動作をすることができる。
【0013】
また、本発明によれば、管理領域内に上記発信器をそなえることにより、例えば、上述した特許文献1の技術のように、電波が届かない等の理由により通信装置の端末位置が検出できなくなることがなくなり、検出部は管理領域内における端末位置を確実に検出することができ、その結果、端末位置に基づく通信装置の処理部の動作の管理(制限)を確実に行なうことができるようになる。
【0014】
さらに、本発明によれば、検出部が端末位置を確実に検出でき、その端末位置に基づいて、処理部が所定の動作態様で確実に動作できるので、管理領域における動作を制限する使用制限エリアを高精度に設定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕本発明の一実施形態について
まず、図1を参照しながら、本発明の一実施形態としての無線通信システム1の構成について説明する。
図1に示すように、本無線通信システム1は、中空の直方体構造物(ここでは電車車両)2と、この構造物2内にそなえられた複数(4つ以上;ここでは4つ)の発信装置(発信器)10−1〜10−4と、発信制御装置(発信制御部)11と、無線通信を行なう通信装置(通信端末)としての携帯電話20とから構成される。
【0016】
本無線通信システム1では、電車車両(以下、単に車両という)2内のすべての領域が、携帯電話(以下、単に端末という)20の動作を管理すべき管理領域であり、本無線通信システム1は、この管理領域内における所定の特定領域(以下、使用制限エリアという)Rにおける端末20の動作を制限(ここでは、無線通信機能を停止)するものである。
複数の発信装置10−1〜10−4(以下、複数の発信装置10−1〜10−4のそれぞれを特に区別しない場合には、単に発信装置10という)のそれぞれは、端末20に、端末20の位置(端末位置)を検出させるための位置検出用電波(後述する図2参照)を発信するものである。
【0017】
なお、端末20の位置とは、図1に示す車両2の左下手前に設定された原点Q(Q(x,y,z)=(0,0,0))に対する相対的な3次元座標である。また、以下の説明において、位置とは、原点Qに対する3次元座標を意味する。
ここで、図2を参照しながら、複数の発信装置10のそれぞれが発信する位置検出用電波のデータ構造について説明すると、位置検出用電波には、以下の(a)〜(f)の情報が含まれている。
【0018】
(a)管理領域(ここでは車両2内)を特定するための情報としてのグループの番号(HEX(ヘックス)1桁)。
(b)自身(当該発信装置)を特定するための装置番号(HEX1桁)。
(c)自身(当該発信装置)の位置(発信装置位置;HEX6桁)。
(d)端末20の動作を制限する使用制限エリアR(HEX12桁)。
【0019】
(e)当該位置検出用電波の発信時刻(HEX6桁)。
(f)チェックサム(HEX1桁)。
なお、上記(c)の発信装置位置は、管理領域における原点Qに対する相対的な位置情報(3次元座標(x,y,z))であり、x,y,zの比率は均等である。例えば、xを“1cm=1”とした場合には、y,zも“1cm=1”とする。
【0020】
さらに、上記(d)の使用制限エリアRは、ここでは、図1に破線で示す領域(使用制限エリア)Rを示す情報として、2つの頂点R1,R2の位置からなる。
ここでは、使用制限エリアRが直方体であるため、対角線上の2つの頂点R1,R2を、使用制限エリアRを示す情報とすることにより、端末20は、頂点R1,R2の位置に基づいて、使用制限エリアRを認識することができる。
【0021】
また、図1に示すように、発信制御装置11は、複数の発信装置10による位置検出用電波の発信を制御するものであり、図3に示すごとく、基準時計12をそなえて構成されている。
基準時計12は、複数の発信装置10が発信する位置検出用電波の上記(e)の発信時刻を決定するためのものである。
【0022】
そして、発信制御装置11は、複数の発信装置10のそれぞれに対して、位置検出用電波を発信させるべく、発信要求信号を、基準時計12に基づく複数の発信装置10のそれぞれの発信時刻とともに、信号線13−1〜13−4を用いて送信する。これにより、複数の発信装置10のそれぞれは、発信制御装置11から発信要求信号を受け取ると、位置検出用電波を発信する。
【0023】
ここで、これらの信号線13−1〜13−4は、同一の長さになるように構成されていることが好ましく、これにより、発信制御装置11が発信要求信号と発信時刻とを発信してから複数の発信装置10のそれぞれに到達するまでの時間が、それぞれで同一になり、その結果、発信制御装置11が発信要求信号を送信してから、その発信要求信号を受け取った発信装置10が位置検出用電波を発信するまでの時間が、複数の発信装置10のすべてにおいて同一になる。
【0024】
これにより、発信制御装置11によって決定された発信時刻と、複数の発信装置10が実際にその発信時刻を位置検出用電波として発信する時刻との僅かな誤差が、すべての発信装置10−1〜10−4間で同一になり、その結果、携帯電話20による端末位置の検出を高精度に行なうことができる。
また、発信制御装置11は、図4に示すごとく、所定時間間隔(ここでは100ms)で複数の発信装置10−1〜10−4に対して順に発信要求信号を送信するように構成され、複数の発信装置10のそれぞれは、発信制御装置11からの発信要求信号を受け取ると、順次、位置検出用電波を発信するように構成されている。
【0025】
なお、上述のごとく、送信ライン13−1〜13−4のそれぞれが同一の長さで構成されることにより、各発信装置10からの位置検出用電波の発信間隔が、発信制御装置11が発信要求信号を送信する所定時間間隔(ここでは100ms)と同じになり、これにより、位置検出用電波を受信する端末20による端末位置検出処理を、所定時間間隔で安定して実行することができる。
【0026】
端末20は、図5に示すごとく、受信部21,送信部22,検出部23,及び処理部26をそなえて構成されている。
受信部21はアンテナ(図示略)を介して電波を受信するものであり、少なくとも複数の発信装置10からの位置検出用電波をそれぞれ受信する。
なお、受信部21は、端末20の通常の処理(通話や電子情報の受信)のための電波を受信するものであってもよい。
【0027】
送信部22はアンテナを介して電波を送信(発信)するものであり、この送信部22は端末20の本来の処理(通話や電子情報の送信)のための電波を発信するものであってもよい。
検出部23は、受信部21が複数の発信装置10から発信された位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信部21によって受信された複数(ここでは4つ)の位置検出用電波に基づいて、自分自身の位置(端末位置)を検出するものである。
【0028】
なお、検出部23は、複数の発信装置10のいずれかからの位置検出用電波を受信部21が受信するたびに、まず、その位置検出用電波が正常に受信されたか否かを、その位置検出用電波のチェックサム(上記(f)の情報)を用いて検査する。
さらに、検出部23は、複数の発信装置10のいずれかの位置検出用電波に含まれる使用制限エリアRを示す情報(頂点R1,R2の座標)に基づいて、使用制限エリアRを算出して認識する。
【0029】
また、検出部23は、伝搬時間算出部(算出部)24及び専用時計25をそなえて構成されている。
伝搬時間算出部24は、受信部21が位置検出用電波を受信するたび(より具体的には、検出部23によって位置検出用電波を正常に受信したことが確認されるたび)に、その位置検出用電波が発信装置10から発信されてから受信部21が受信するまでにかかった、当該位置検出用電波の当該発信装置10から端末20までの伝搬時間を算出するものである。
【0030】
具体的には、伝搬時間算出部24は、位置検出用電波が示す当該位置検出用電波の発信時刻(上記(e)の情報)と、専用時計25に基づく当該位置検出用電波の受信時刻とに基づいて、この受信時刻をかかる発信時刻から差し引くことによって、当該位置検出用電波の伝搬時間を算出する。
そして、検出部23は、すべての発信装置10−1〜10−4からの位置検出用電波を受信し、伝搬時間算出部24が、これらすべての位置検出用電波の伝搬時間を算出すると、端末位置を算出する。
【0031】
つまり、検出部23は、複数の発信装置10からの位置検出用電波の伝搬速度をc、4つの発信装置10−1〜10−4にかかる伝搬時間算出部24によって算出された伝搬時間のそれぞれを順にt1,t2,t3,t4、基準時計12と専用時計25との時刻の誤差をΔt、及び4つの発信装置10−1〜10−4の発信装置位置(位置検出用電波に含まれる上記(c)の情報)のそれぞれを順に(x1,y1,z1),(x2,y2,z2),(x3,y3,z3),(x4,y4,z4)とすると、次式(1)〜(4)に基づいて、端末位置(x,y,z)を算出する。
【0032】
(ct1−cΔt)2=(x−x12+(y−y12+(z−z12
・・・(1)
(ct2−cΔt)2=(x−x22+(y−y22+(z−z22
・・・(2)
(ct3−cΔt)2=(x−x32+(y−y32+(z−z32
・・・(3)
(ct4−cΔt)2=(x−x42+(y−y42+(z−z42
・・・(4)
このように、検出部23は、複数の発信装置10のそれぞれからの位置検出用電波に基づく情報を、それぞれ一つの式に代入して、4つの連立方程式(1)〜(4)を解くことによって、端末位置(x,y,z)を算出する。
【0033】
なお、上記式(1)〜(4)において、基準時計12と専用時計25との時刻の誤差Δtも未知数であり、検出部23は、4つの発信装置10−1〜10−4からの位置検出用電波に基づいて4つの連立方程式を作ることにより、この時刻の誤差Δtを考慮した端末位置(x,y,z)を算出することができ、その結果、算出された端末位置(x,y,z)は非常に高精度なものになる。
【0034】
換言すると、検出部23が、時間の誤差Δtに基づいて厳密な端末位置(x,y,z)を算出すべく、本無線通信システム1は、4つの発信装置10−1〜10−4をそなえ、検出部23が、4つの連立方程式(1)〜(4)を解くことによって端末位置(x,y,z)を算出するようになっている。
処理部26は、検出部23によって検出された端末20の端末位置を基に管理領域に応じた所定の動作態様で動作するものであり、判定部27,動作態様決定部28,及び切換部29をそなえて構成されている。
【0035】
判定部27は、検出部23によって検出された端末位置が、使用制限エリアR内であるか否かを判定するものであり、複数の発信装置10の位置検出用電波に含まれる使用制限エリアRを示す情報(上記(d)の情報)に基づいて、検出部23によって算出された端末位置(x,y,z)が、2つの頂点R1,R2によって特定される領域R内であるか否かを判定する。
【0036】
動作態様決定部28は、判定部27による判定結果に応じて、処理部26のとるべき所定の動作態様を決定するものであり、判定部27によって端末位置(x,y,z)が使用制限エリアR内であると判定された場合には、受信部21及び送信部22(特に送信部22)を用いた無線通信機能を制限する動作態様を、処理部26がとるべき所定の動作態様であると決定する。なお、ここでは、無線通信機能を制限する動作態様として、送信部22による電波の出力を停止する動作態様が決定される。
【0037】
一方、判定部27によって端末位置(x,y,z)が使用制限エリアR内であると判定された場合には、動作態様決定部28は、無線通信機能を制限しない通常の動作態様を、処理部26がとるべき所定の動作態様であると決定する。
切換部29は、処理部26の動作態様を、動作態様決定部28によって決定された動作態様に切り換えるものである。
【0038】
ここで、図6に示すフローチャート(ステップS1〜S6)を参照しながら、検出部23及び処理部26の動作手順について説明すると、まず、複数の発信装置10のそれぞれが位置検出用電波を発信し(発信手順)、受信部21によってこれら発信装置10からの位置検出用電波が受信される(ステップS1)と、検出部23は位置検出用電波が正常に受信されたことをチェックサム(上記(f)の情報)を用いて確認し、さらに、その位置検出用電波に含まれる、グループ番号(上記(a)の情報)及び装置番号(上記(b)の情報)に基づいて、同一グループ(ここでは管理領域(車両2)内の複数の発信装置10−1〜10−4からなるグループ)の異なる4つの発信装置10−1〜10−4のそれぞれから位置検出用電波を受信したか否かを判断する(ステップS2)。
【0039】
つまり、検出部23は、グループ番号と装置番号とに基づいて、複数の発信装置10−1〜10−4のすべてから4つの位置検出用電波を受信したか否かを判定する。
ここで、まだ、すべての発信装置10−1〜10−4から位置検出用電波を受信していなければ(ステップS2のNoルート)、上記ステップS1の前の待機状態に処理をリターンする一方、すべての発信装置10−1〜10−4から位置検出用電波を受信していれば(ステップS2のYesルート)、検出部23は、上記式(1)〜(4)に基づいて、自身の端末位置を算出する(ステップS3;検出手順)。
【0040】
つまり、検出部23は、すべての発信装置10−1〜10−4から位置検出用電波を受信した(ここでは4つの位置検出用電波を受信した)ことを確認すると、端末20の端末位置の算出を実行する。
そして、検出部23によって端末位置が算出されると、処理部26の判定部27が、算出された端末20の端末位置が、使用制限エリアR内であるか否かを、4つの位置検出用電波におけるいずれかの使用制限エリアRを指定する情報(上記(d)の情報)に基づいて判定する(ステップS4;判定手順)。
【0041】
ここで、判定部27が、端末20の端末位置が使用制限エリアR内であると判定すると(ステップS4のYesルート)、動作態様決定部28によって無線通信機能を制限する動作態様が決定され(動作態様決定手順)、切換部29が処理部26の動作を、決定された動作態様(ここでは送信部22による出力電波停止)に切り換えて(ステップS5)、上記ステップS1の前の待機状態にリターンする。
【0042】
一方、判定部27が、端末20の端末位置が使用制限エリアR内ではないと判定すると(ステップS4のNoルート)、動作態様決定部28によって動作態様が決定され、切換部29が処理部26の動作を、決定された動作態様(ここでは送信部22が電波を出力する通常の動作態様)に切り換えて(ステップS6)、上記ステップS1の前の待機状態にリターンする。
【0043】
なお、上記ステップS6の処理は、当該処理の前に処理部26が、無線通信機能が制限された動作態様をとっていれば、動作態様を通常のものに切り換える処理になるが、当該処理の前に処理部26が通常の動作態様をとっていれば、切換部29によって動作態様は切り換えられず、そのまま維持することになる。
【0044】
このように、本発明の一実施形態としての無線通信システム1によれば、位置検出用電波を発信する複数(ここでは4つ)の発信装置10が管理領域である車両2内にそなえられ、端末20の検出部23が、複数の発信装置10からの位置検出用電波のそれぞれを受信すると、受信した複数の位置検出用電波に基づいて、管理領域内における端末20の端末位置を算出し(検出手順)、この端末位置に応じた動作態様で端末20の処理部26が動作する(動作手順)ので、検出部23は、端末20(自分自身)の端末位置を必ず高精度に検出することができ、処理部26は端末位置に応じた所望の動作態様で確実に動作をすることができる。
【0045】
つまり、本発明の一実施形態としての無線通信システム1によれば、管理領域内に複数の発信装置10をそなえるので、例えば、上述した特許文献1の技術のように、電波が届かない等の理由により端末20の端末位置が検出できなくなることがなく、検出部23は端末位置を確実に検出することができ、その結果、端末位置に基づく端末20の処理部26の動作の管理(制限)を確実に行なうことができる。
【0046】
さらに、処理部26が、検出部23によって検出された端末位置に応じた所定の動作態様で確実に動作できる、すなわち、管理領域における動作を制限する使用制限エリアRを高精度に設定できることになる。
なお、本無線通信システム1によれば、4つの発信装置10をそなえ、検出部23が、3次元位置を検出するので、平面だけでなく高さを加味した使用制限エリアRを設定できる。したがって、本無線通信システム1をビルなどの建設物に適用する場合には、フロアを考慮して例えばフロア毎に使用制限エリアを設定することができる。
【0047】
また、複数の発信装置10のそれぞれが、位置検出用電波として当該発信装置10の発信装置位置と当該位置検出用電波の発信時刻とを示す電波を発信し、検出部23が、複数の発信装置10の発信装置位置と、発信時刻に基づく伝搬時間とに基づいて端末位置を検出するので、検出部23によれば、確実に且つ高精度に端末位置を検出することができる。
【0048】
さらに、検出部23は、発信制御装置11がそなえる基準時計12と位置検出用電波の受信時刻を検知するための専用時計25との時刻の誤差Δtに基づいて、端末位置を検出するので、非常に高精度に端末位置を検出することができる。
また、複数の発信装置10が、位置検出用電波として使用制限エリアRを示す電波(頂点R1,R2)を発信し、処理部26が、検出部23によって検出された端末位置と、位置検出用電波に含まれる使用制限エリアR(つまり、頂点R1,R2から認識される使用制限エリアR)とに基づいて、所定の動作態様で動作するので、使用制限エリアRを非常に高精度に設定することができる。
【0049】
つまり、発信装置10が使用制限エリアRを座標点で指定するので、使用制限エリアRを、非常に細かい設定が可能になる。
しかも、使用制限エリアRを直方体とする場合には、頂点R1,R2の座標を変更するだけで、使用制限エリアRを容易に変更することができるので、汎用性も非常に高い。例えば、時間帯などによって、使用制限エリアRを容易に変更(解除,拡大,縮小,及び移動等)することができる。
【0050】
また、端末20の処理部26の判定部27が、検出部23によって算出された端末位置が、位置検出用電波に含まれる使用制限エリアR内であるか否かを判定し、動作態様決定部28が、判定部27の判定結果に応じて所定の動作態様を決定するので、処理部26を所望の動作態様で確実に動作させることができる。
さらに、複数の発信装置10が、位置検出用電波として当該発信装置10が所属する(つまり、管理領域を特定するための情報としての)グループの番号を示す電波を発信し、検出部23が、位置検出用電波のグループ番号に基づいて、同一グループにおける所定数(ここでは4つ)の発信装置10から位置検出用電波を受信したか否かを判断するので、より確実な動作管理を実行することができる。
【0051】
つまり、車両2に隣接する車両においても、本無線通信システム1が適応されている場合など、近くで異なる管理領域の使用制限エリアR´(図示略)を示す位置検出用電波が発信されており、受信部21がこの異なる管理領域の使用制限エリアR´を示す位置検出用電波を受信してしまった場合であっても、検出部23がグループ番号に基づいて発信元を判断するので、かかる位置検出用電波に基づいて誤った位置検出や動作管理を行なうことを抑止できる。
【0052】
換言すると、発信装置10が発信する位置検出用電波にグループ番号を含めることにより、端末20の受信部21による受信範囲等を考慮することなく、他のグループの(つまり、異なる管理領域における使用制限エリアR´を指定する)発信装置10´(図示略)を発信装置10に隣接して配設することができ、一つの車両2内に複数の使用制限エリアR,R´を設けることや、連続する車両(管理領域)に使用制限エリアR,R´をそれぞれ設けることなどが可能になる。
【0053】
なお、車両2に本無線通信システム1を適用する場合には、車両2が他の電車車両とすれ違うことがあり、その際、他の車両にそなえられた発信装置10´からの位置検出用電波を、車両2内の端末20が受信してしまうおそれがあるが、この場合であっても、位置検出用電波にグループ番号を含めることによって、端末位置の誤検出や誤った動作管理を行なってしまうことがなくなる。
【0054】
また、複数の発信装置10が、位置検出用電波として当該発信装置10の装置番号を示す電波を発信し、検出部23が、位置検出用電波の装置番号に基づいて、所定数(ここでは4つ)の発信装置10から位置検出用電波を受信したか否かを判断するので、より確実な動作管理を実行することができる。
【0055】
〔2〕本発明の変形例について
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
以下に、本発明の第1〜第3変形例及びその他の変形例について説明する。
〔2−1〕本発明の第1変形例について
上述した実施形態では、4つの発信装置10をそなえ、検出部23が、端末位置として3次元位置を検出するように構成した例をあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示すごとく、3つ以上(ここでは3つ)の発信装置10−1〜10−3をそなえ、2次元位置に基づく処理を実行するように構成してもよい。
【0056】
つまり、本発明の第1変形例としての無線通信システム1aでは、発信装置10が位置検出用電波において使用制限エリアRaとして2つの頂点Ra1,Ra2を発信する。すなわち、高さ方向(z軸方向)を考慮しない2次元の矩形の使用制限エリアRaを設定し、図5に示すごとく端末20aの検出部23aが、3つの発信装置10からの位置検出用電波に基づいて、次式(5)〜(7)を用いて、2次元の端末位置(x,y)を算出するように構成される。なお、次式(5)〜(7)において、既述の符号と同一の符号は、同一もしくは略同一のものを示している。
【0057】
(ct1−cΔt)2=(x−x12+(y−y12 ・・・(5)
(ct2−cΔt)2=(x−x22+(y−y22 ・・・(6)
(ct3−cΔt)2=(x−x32+(y−y32 ・・・(7)
これにより、本発明の第1変形例としての無線通信システム1aによれば、2次元で各種処理を実行する以外は、上述した本発明の一実施形態としての無線通信システム1と同様の作用効果を得ることができる。
【0058】
〔2−2〕本発明の第2変形例について
また、上述した実施形態では、4つの発信装置10をそなえ、検出部23が、基本時計12と専用時計25との時刻の誤差Δtに基づいて端末20の端末位置を検出するように構成した例をあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図8に示すごとく、3つ以上(ここでは3つ)の発信装置10−1〜10−3をそなえ、かかる時刻の誤差Δtを考慮せずに処理を実行してもよい。
【0059】
つまり、本発明の第2変形例としての無線通信システム1bでは、図5に示すごとく端末20bの検出部23bが、3つの発信装置10からの位置検出用電波に基づいて、次式(8)〜(10)を用いて、端末位置(x,y,z)を算出するように構成される。なお、次式(8)〜(10)において、既述の符号と同一の符号は、同一もしくは略同一のものを示している。
【0060】
(ct12=(x−x12+(y−y12+(z−z12 ・・・(8)
(ct22=(x−x22+(y−y22+(z−z22 ・・・(9)
(ct32=(x−x32+(y−y32+(z−z32 ・・・(10)
これにより、本発明の第2変形例としての無線通信システム1bによれば、かかる時刻の誤差Δtを考慮しないこと以外は、上述した本発明の一実施形態としての無線通信システム1と同様の作用効果を得ることができる。
【0061】
さらに、本無線通信システム1bによれば、上述した本発明の一実施形態としての無線通信システム1に対して、発信装置10の数を減らすことができ、ハードウェア資源を低減させて低コスト化することができる。
【0062】
〔2−3〕本発明の第3変形例について
さらに、本発明の第3変形例として、上述した本発明の一実施形態に対する上述した第2変形例の変更を、上述した第1変形例に適用してもよい。つまり、図9に示すごとく、本発明の第3変形例としての無線通信システム1cが、2つ以上(ここでは2つ)の発信装置10−1,10−2をそなえ、2次元位置に基づく処理を実行するとともに、基本時計12と専用時計25との時刻の誤差Δtを考慮せずに処理を実行してもよい。
【0063】
つまり、図5に示すごとく端末20cの検出部23cが、2つの発信装置10からの位置検出用電波に基づいて、次式(11),(12)を用いて、端末位置(x,y)を算出するように構成される。なお、次式(11),(12)において、既述の符号と同一の符号は、同一もしくは略同一のものを示している。
(ct12=(x−x12+(y−y12 ・・・(11)
(ct22=(x−x22+(y−y22 ・・・(12)
これにより、本発明の第3変形例としての無線通信システム1cによれば、かかる時刻の誤差Δtを考慮しないこと以外は、上述した本発明の第1変形例としての無線通信システム1aと同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
さらに、本無線通信システム1cによれば、上述した本発明の第1変形例としての無線通信システム1aに対して、発信装置10の数を減らすことができ、ハードウェア資源を低減させて低コスト化することができる。
【0065】
〔2−4〕その他の変形例
さらに、上述した実施形態では、複数の発信装置10のそれぞれが、位置検出用電波に使用制限エリアR(R´,Ra)を含めて発信する例をあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、位置検出用電波に使用制限エリアR(R´,Ra)は含めずに、端末20(20a〜20c)が使用制限エリアR(R´,Ra)を保持、もしくは、インターネット等によって取得するように構成してもよい。
【0066】
また、例えば、複数の発信装置10のうちのいずれか一つの発信装置10だけが位置検出用電波に使用制限エリアR(R´,Ra)を含めて発信するように構成してもよい。
なお、上述した実施形態では、通信装置20(20a〜20c)として、携帯電話を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、通信装置20としては、無線通信を行なう端末であればよい。
【0067】
さらに、上述した実施形態では、複数の発信装置10が指定する使用制限エリアR(R´,Ra)は一つである例をあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一つのグループにおける発信装置10が複数の使用制限エリアR(R´,Ra)を指定するように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、発信制御装置11をそなえ、複数の発信装置10のそれぞれが、発信制御装置11によって制御されて位置検出用電波を発信するように構成された例をあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発信制御装置11をそなえずに、複数の発信装置10のそれぞれが基本時計12をそなえ、各発信装置が独自に位置検出用電波を発信するように構成してもよい。
【0068】
なお、上述した実施形態では、使用制限エリアR(R´,Ra)内における、端末20の所定の動作態様として、電波の出力を停止する動作態様を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用制限エリアR(R´,Ra)内における所定の動作態様は、端末20が取りうるすべての動作に関して種々設定することができる。例えば、処理部26で実行されるアプリケーションプログラムの起動開始や起動禁止、あるいは、端末20の電源オン/オフや端末20の休止状態への移行を、所定の動作態様として設定しても良い。
【0069】
さらに、上述した実施形態では、無線通信システム1,1a〜1cにおける構造物2として電車車両を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明における構造物2としては、電車以外の公共交通機関,ビル,建造物など、構造物であれば良い。
なお、上述した実施形態で説明したように、本発明の無線通信システム1,1a〜1cは、構造物に対して適用されるとは限らず、遊園地やテーマパーク等の屋外の所定領域を管理領域として適用することもできる。
【0070】
また、上述した、検出部23,23a〜23c,伝搬速度算出部24,処理部26,判定部27,動作態様決定部28,及び切換部29としての機能は、コンピュータ(端末20,20a〜20cもしくは端末20,20a〜20c内のCPU(Central Processing Unit),情報処理装置,各種端末を含む)が所定のアプリケーションプログラム(動作制御プログラム)を実行することによって実現されてもよい。
【0071】
そのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RWなど),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD−RW,DVD+R,DVD+RWなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体から動作制御プログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。
【0072】
また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とをそなえている。
【0073】
上記動作制御プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、検出部23,23a〜23c,伝搬速度算出部24,処理部26,判定部27,動作態様決定部28,及び切換部29としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0074】
なお、本実施形態としての記録媒体としては、上述したフレキシブルディスク,CD,DVD,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスクのほか、ICカード,ROMカートリッジ,磁気テープ,パンチカード,コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ),外部記憶装置等や、バーコードなどの符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0075】
〔3〕付記
(付記1)
無線通信を行なう通信装置をそなえるとともに、
該通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を発信する複数の発信器をそなえ、
前記通信装置が、
前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出部と、
該検出部によって検出された前記通信装置の位置を基に、管理領域に応じた所定の動作態様で動作する処理部とをそなえて構成されていることを特徴とする、無線通信システム。
【0076】
(付記2)
前記複数の発信器のそれぞれが、前記位置検出用電波として、当該発信器の位置を示す電波と当該位置検出用電波の発信時刻を示す電波とを発信するように構成され、
前記通信装置の前記検出部が、前記位置検出用電波の前記発信器の位置と、前記発信時刻に基づく当該位置検出用電波が前記発信器から発信されてから当該通信装置によって受信されるまでの伝搬時間とに基づいて、前記通信装置の位置を検出することを特徴とする、付記1記載の無線通信システム。
【0077】
(付記3)
基準時計をさらにそなえ、
前記複数の発信器のそれぞれが、前記基準時計に基づいて前記発信時刻を決定することを特徴とする、付記2記載の無線通信システム。
(付記4)
基準時計をさらにそなえ、
前記発信器を3以上そなえ、当該3以上の発信器のそれぞれが、前記基準時計に基づいて前記発信時刻を決定するように構成され、
前記通信装置が、前記伝搬時間を算出するための専用時計をそなえるとともに、
前記通信装置の前記検出部が、前記基準時計と前記専用時計との時刻の誤差に基づいて、前記通信装置の位置を検出することを特徴とする、付記2記載の無線通信システム。
【0078】
(付記5)
基準時計をさらにそなえ、
前記発信器を4以上そなえ、当該4以上の発信器のそれぞれが、前記基準時計に基づいて前記発信時刻を決定するように構成され、
前記通信装置が、前記伝搬時間を算出するための専用時計をそなえるとともに、
前記通信装置の前記検出部が、前記基準時計と前記専用時計との時刻の誤差に基づいて、前記通信装置の位置を検出することを特徴とする、付記2記載の無線通信システム。
【0079】
(付記6)
前記複数の発信器による前記位置検出用電波の発信を制御する発信制御部をそなえ、
該発信制御部が、前記基準時計に基づいて決定される前記発信時刻と前記位置検出用電波の発信要求信号とを、前記複数の発信器のそれぞれに送信するように構成され、
前記複数の発信器のそれぞれは、前記発信制御部からの前記発信要求信号を受け取ると、前記位置検出用電波を発信することを特徴とする、付記3〜付記5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【0080】
(付記7)
前記複数の発信器のそれぞれと前記発信制御部とを結ぶ前記発信要求信号を送信するための信号線の長さが、それぞれ同一になるように構成されていることを特徴とする、付記6記載の無線通信システム。
(付記8)
前記複数の発信器が、前記位置検出用電波として、前記管理領域内の特定領域を示す電波を発信するように構成され、
前記通信装置の前記処理部が、前記検出部によって検出された前記通信装置の位置が、前記特定領域内であるか否かを判定する判定部と、該判定部による判定結果に応じて前記所定の動作態様を決定する動作態様決定部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記1〜付記7のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【0081】
(付記9)
前記通信装置の前記処理部の前記動作態様決定部が、前記判定部によって前記特定領域内であると判定された場合には、無線通信機能を制限する動作態様を前記所定の動作態様として決定することを特徴とする、付記8記載の無線通信システム。
(付記10)
前記複数の発信器のそれぞれが、前記位置検出用電波として、前記管理領域を特定するため情報を示す電波を発信するように構成されていることを特徴とする、付記1〜付記9のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【0082】
(付記11)
付記1〜付記10のいずれか1項に記載の無線通信システムを適用され、前記複数の発信器をそなえられた前記管理領域を有することを特徴とする、構造物。
(付記12)
無線通信可能な通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を複数の発信器のそれぞれから発信する発信手順と、
前記通信装置が、前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出手順と、
該検出手順において検出された前記通信装置の位置を基に、管理領域に応じた所定の動作態様で動作する動作手順とを含むことを特徴とする、無線通信方法。
【0083】
(付記13)
前記発信手順が、前記位置検出用電波として、前記管理領域内の特定領域を示す電波を発信するように構成され、
前記動作手順が、前記検出手順において検出された前記通信装置の位置が、前記特定領域内であるか否かを判定する判定手順と、該判定手順における判定結果に応じて前記所定の動作態様を決定する動作態様決定手順とを含んでいることを特徴とする、付記12記載の無線通信方法。
【0084】
(付記14)
通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を発信する複数の発信器と接続され、
前記位置検出用電波として、前記通信装置に所定の動作を実行させる特定領域を示す電波を発信するよう前記複数の発信器を制御することを特徴とする、発信制御装置。
【0085】
(付記15)
通信装置の動作を管理すべき管理領域にそなえられた複数の発信器のそれぞれから発信される位置検出用電波を受信しうる通信装置であって、
前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出部と、
該検出部によって検出された前記通信装置の位置に応じた所定の動作態様で動作する処理部とをそなえて構成されていることを特徴とする、通信装置。
【0086】
(付記16)
前記複数の発信器のそれぞれが、前記位置検出用電波として、当該発信器の位置を示す電波と当該位置検出用電波の発信時刻を示す電波とを発信するように構成され、
前記位置検出用電波が示す当該位置検出用電波の発信時刻に基づいて、当該位置検出用電波が当該発信器から発信されてから当該通信装置によって受信されるまでの伝搬時間を算出する算出部をそなえ、
前記検出部が、前記算出部によって算出された前記伝搬時間と、前記位置検出用電波が示す当該発信器の位置とに基づいて、前記通信装置の位置を検出することを特徴とする、付記15記載の通信装置。
【0087】
(付記17)
前記算出部が前記伝搬時間を算出するための専用時計をそなえ、
前記検出部が、前記位置検出用電波が示す当該位置検出用電波の発信時刻を決定するための基準時計と前記専用時計との時刻の誤差に基づいて、前記通信装置の位置を検出することを特徴とする、付記16記載の通信装置。
【0088】
(付記18)
前記処理部が、
前記検出部によって検出された前記通信装置の位置が、前記位置検出用電波が示す特定領域内であるか否かを判定する判定部と、
該判定部による判定結果に応じて前記所定の動作態様を決定する動作態様決定部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記15〜付記17のいずれか1項に記載の通信装置。
【0089】
(付記19)
前記複数の発信器が、前記位置検出用電波として、前記管理領域内の特定領域を示す電波を発信するように構成され、
前記処理部が、前記検出部によって検出された前記通信装置の位置が、前記特定領域内であるか否かを判定する判定部と、該判定部による判定結果に応じて前記所定の動作態様を決定する動作態様決定部とをそなえて構成されていることを特徴とする、付記15〜付記17のいずれか1項に記載の通信装置。
【0090】
(付記20)
通信装置の動作を管理すべき管理領域にそなえられた複数の発信器のそれぞれから発信される位置検出用電波を受信しうる通信装置において、当該通信装置の位置(以下、通信装置の位置という)に応じた所定の動作態様で動作する機能を当該通信装置に実現させるための動作制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
前記動作制御プログラムが、
前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、前記通信装置の位置を検出する検出部、及び、
該検出部によって検出された前記通信装置の位置に応じた所定の動作態様で動作する処理部として、前記通信装置を機能させることを特徴とする、動作制御プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態としての無線通信システムの構成を説明するための図である。
【図2】本発明の一実施形態としての無線通信システムの複数の発信装置のそれぞれによって発信される位置検出用電波のデータ構造例を説明するための図である。
【図3】本発明の一実施形態としての無線通信システムの複数の発信装置及び発信制御装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態としての無線通信システムの複数の発信装置及び発信制御装置の動作例を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態としての無線通信システムの通信装置の要部構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態としての無線通信システムの通信装置の検出部及び処理部の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第1変形例としての無線通信システムの構成を説明するための図である。
【図8】本発明の第2変形例としての無線通信システムの構成を説明するための図である。
【図9】本発明の第3変形例としての無線通信システムの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0092】
1,1a〜1c 無線通信システム
2 電車車両(構造物)
10,10−1〜10−4 発信装置(発信器)
11 発信制御装置(発信制御部)
12 基本時計
13−1〜13−4 信号線
20,20a〜20c 携帯電話(通信装置)
21 受信部
22 送信部
23,23a〜23c 検出部
24 伝搬速度算出部(算出部)
25 専用時計
26 処理部
27 判定部
28 動作態様決定部
29 切換部
R,Ra 使用制限エリア(特定領域)
R1,R2,Ra1,Ra2 頂点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行なう通信装置をそなえるとともに、
該通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を発信する複数の発信器をそなえ、
前記通信装置が、
前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出部と、
該検出部によって検出された前記通信装置の位置を基に、管理領域に応じた所定の動作態様で動作する処理部とをそなえて構成されていることを特徴とする、無線通信システム。
【請求項2】
前記複数の発信器が、前記位置検出用電波として、前記管理領域内の特定領域を示す電波を発信するように構成され、
前記通信装置の前記処理部が、前記検出部によって検出された前記通信装置の位置が、前記特定領域内であるか否かを判定する判定部と、該判定部による判定結果に応じて前記所定の動作態様を決定する動作態様決定部とをそなえて構成されていることを特徴とする、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
無線通信可能な通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を複数の発信器のそれぞれから発信する発信手順と、
前記通信装置が、前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出手順と、
該検出手順において検出された前記通信装置の位置を基に、管理領域に応じた所定の動作態様で動作する動作手順とを含むことを特徴とする、無線通信方法。
【請求項4】
通信装置に当該通信装置の位置を検出させるための位置検出用電波を発信する複数の発信器と接続され、
前記位置検出用電波として、前記通信装置に所定の動作を実行させる特定領域を示す電波を発信するよう前記複数の発信器を制御することを特徴とする、発信制御装置。
【請求項5】
通信装置の動作を管理すべき管理領域にそなえられた複数の発信器のそれぞれから発信される位置検出用電波を受信しうる通信装置であって、
前記複数の発信器から発信された前記位置検出用電波をそれぞれ受信すると、受信した複数の前記位置検出用電波に基づいて、当該通信装置の位置を検出する検出部と、
該検出部によって検出された前記通信装置の位置に応じた所定の動作態様で動作する処理部とをそなえて構成されていることを特徴とする、通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−259017(P2007−259017A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80125(P2006−80125)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】