説明

無線通信システム

【課題】衝突を回避しながらスループットを向上可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】グループGr1を構成する無線装置6,7,12,13は、バーストモード移行通知をアクセスポイントAPから受信すると、アクセスポイントAPへのパケットの送信を試みる。そして、例えば、無線装置7は、パケットの送信権を獲得すると、パケットをアクセスポイントAPへ送信する。無線装置6,12,13は、無線装置7からのパケットを受信すると、バースト状態へ移行し、無線装置6,12,13間の優先順位に従ってパケットを連続してアクセスポイントAPへ送信する。アクセスポイントAPは、無線装置7,6,12,13からのパケットを順次受信し、無線装置7,6,12,13からのパケットの受信の成功/不成功を示すブロック確認応答を無線装置6,7,12,13へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線通信システムに関し、特に、複数の無線装置が1つの無線装置へパケットを連続して送信する無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、互いに干渉エリア内に存在する複数の無線装置が同一の無線メディアを用いて同時にパケットを送受信するとパケットの衝突が発生する。
【0003】
このようなパケットの衝突を回避するため、無線通信システムでは、各無線装置による無線メディアへのアクセス制御を行なうMAC(Media Access Control)プロトコルが用いられる。例えば、IEEE802.11規格の無線LAN(Local Area Network)では、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれる方式をMACプロトコルとして用いている。
【0004】
CSMA/CAでは、各無線装置は、パケットを送信しようとする無線装置が他の無線装置の送信状態を確認する機能(キャリアセンス機能)と、同時に通信しようとする無線装置間の衝突を回避する機能(バックオフ機能)とを有している。
【0005】
これらの機能により、各無線装置は、他の無線装置が送信するパケットと自己が送信しようとするパケットとの衝突を避けるように通信する。
【0006】
しかし、このMACプロトコルの問題点として次の問題点が指摘されてきた。
(1)同時に通信を行なおうとする無線装置の個数が増加すると、パケットの衝突が避けられなくなり、スループットが低下する。
(2)衝突を回避するためのプロトコル処理や、パケットに付加するヘッダによるオーバーヘッドが大きい。特に、サイズが小さいパケットを送信する場合には、オーバーヘッドの割合が大きくなり、帯域の有効利用が損なわれる。
【0007】
これらの問題点を解決するために、パケットのバースト送信という技術が提案されている(非特許文献1)。この技術は、ある無線装置が他の無線装置へパケットを送信する際に、1つのパケットの送信成功を確認した後に他にも同一の無線装置宛てのパケットが存在する場合、ある決められた時間の間、連続的にこれらのパケットを送信し続ける技術である。
【0008】
より具体的には、無線装置Aは、無線装置B宛てのパケットPKT1〜PKT4を保持しているとする。無線装置Aは、CSMA/CAに従い(DIFS秒のキャリアセンス+CW秒のバックオフ)、パケットPKT1を送信したとする。通常のCSMA/CAでは、無線装置Aは、パケットPKT1の送信完了後、もう一度、CSMA/CAに従い、チャネルにアクセスし、パケットPKT2を送信する。
【0009】
これに対し、バースト送信では、無線装置Aは、パケットPKT1の送信成功を確認(つまり、無線装置BからACK(Acknowledge)を受信)した後、一定時間後(SIFS)に直ちにパケットPKT2を送信する。更に、無線装置Aは、パケットPKT2の送信も成功すれば、パケットPKT3およびパケットPKT4と、決められたパラメータ時間T内であれば連続的に送信を行なう。
【0010】
非特許文献1では、連続して送信されたパケットに対して逐一ACKを送信せずに、複数のパケットを連続的に送信した後に、受信側から1回で受信確認(ブロックACK)を行なう方法も規定されている。
【0011】
また、複数のパケットを結合して送信する技術も提案されている(非特許文献2)。この技術は、上記のように、ある一つの無線装置から他の無線装置へ複数のパケットを送信する場合に、それらの複数のパケットを結合して送信する技術である。
【0012】
非特許文献2では、MPDU(MAC Protocol Data Unit)およびMSDU(Master Storage Data Unit)等の異なるパケット単位でパケットを結合する方法が規定されている。
【0013】
また、非特許文献2では、1対1の通信におけるパケット結合のみが規定されているが、一つの無線装置から複数の無線装置への複数のパケットを結合する方法も提案されている(非特許文献3)。
【0014】
上述したバースト送信またはパケット結合方式を用いると、1つの無線装置が複数のパケットを一度のチャネルアクセスで送信することができ、各無線装置のパケット送信に必要なチャネルアクセス数を低減できる。これにより、チャネルにかかる負荷量を低減できる。また、1つのパケットを送信するのに必要な処理オーバーヘッド(例えば、DIFSやCW期間)も低減できる。更に、パケットの結合を用いれば、1つのパケット送信に必要なMACヘッダのオーバーヘッドも低減できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】IEEE Standard for Information technology − Telecommunications and information exchange between systems − Local and metropolitan area networks − Specific requirements Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) specifications Amendment 8: Medium Access Control (MAC) Quality of Service Enhancements.
【非特許文献2】Draft STANDARD for Information Technology-Telecommunications and information exchange between systems-Local and metropolitan area networks-Specific requirements-Part 11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) specifications: Amendment: Enhancements for Higher Throughput.
【非特許文献3】K. Lee, S. Yun, I. Kang, and H. Kim, “Hop-by-Hop Frame Aggregation for VoIP on Multi-Hop Wireless Networks,” in Proc. IEEE ICC 2008, Beijing, China, May 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、上述した従来の方式は、同一の無線装置から発生するパケットのみを対象にしているため、上述した従来の方式を複数の無線装置が保持する複数の送信パケット間に適用することが困難である。その結果、複数の無線装置が1つの送信先へ複数のパケットを送信する場合のスループットが低下するという問題がある。
【0017】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、衝突を回避しながらスループットを向上可能な無線通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明によれば、無線通信システムは、第1の無線装置と、複数の第2の無線装置とを備える。第1の無線装置は、複数の無線装置がパケットを時分割で連続して送信するバーストモードへ移行するか否かを判定するとともに、バーストモードへ移行すると判定したとき、バーストモード移行通知を送信し、バーストモードでパケットを受信する。複数の第2の無線装置は、第1の無線装置からのバーストモード移行通知の受信に応じて、パケットを時分割で連続して第1の無線装置へ送信する。
【0019】
好ましくは、第1の無線装置は、無線通信のスループットが第1の閾値よりも小さく、かつ、自己にアクセスする第2の無線装置の個数が第2の閾値よりも大きいとき、バーストモードへ移行すると判定する。
【0020】
好ましくは、第1の無線装置は、スループットが第1の閾値以上であるとき、または自己にアクセスする第2の無線装置の個数が第2の閾値以下であるとき、またはスループットが第1の閾値以上であり、かつ、自己にアクセスする第2の無線装置の個数が第2の閾値以下であるとき、バーストモードの解除を通知するバーストモード解除通知を複数の第2の無線装置へ送信する。複数の第2の無線装置の各々は、バーストモード解除通知に応じてバーストモードを解除する。
【0021】
好ましくは、第1の無線装置は、複数の第2の無線装置の相互間における無線通信品質に基づいて複数の第2の無線装置をグループに分けるか否かを判定し、複数の第2の無線装置をグループに分けると判定したとき、複数の第2の無線装置の相互間における無線通信品質に基づいて同一グループに属する第2の無線装置間で相互にパケットを検知および復号できるように複数の第2の無線装置をグループに分け、そのグループ分けの結果をバーストモード移行通知とともに複数の第2の無線装置へ送信する。複数の第2の無線装置の各々は、バーストモード移行通知およびグループ分けの結果を受信し、同一グループに属する他の第2の無線装置と協働してパケットを時分割で連続して第1の無線装置へ送信する。
【0022】
好ましくは、第1の無線装置は、複数の第2の無線装置をグループに分けることができないと判定したとき、バーストモードの解除を指示するバーストモード解除通知を複数の第2の無線装置へ送信する。複数の第2の無線装置の各々は、バーストモード解除通知に応じてバーストモードを解除する。
【0023】
好ましくは、第1の無線装置は、複数の第2の無線装置をグループに分けると判定したとき、複数の第2の無線装置を各グループに属する第2の無線装置の個数が許容値以下であり、かつ、できる限り少ない個数のグループに分けるとともに、そのグループ分けした各グループにおいて各第2の無線装置がパケットを送信する優先順位を決定し、グループ分けされたグループの名称、各グループに属する第2の無線装置の識別子および各グループにおける各第2の無線装置の優先順位をバーストモード移行通知とともに複数の第2の無線装置へ送信する。複数の第2の無線装置の各々は、バーストモード移行通知、グループの名称、各グループに属する第2の無線装置の識別子および各グループにおける各第2の無線装置の優先順位を受信し、自己と同じグループに属する他の第2の無線装置がパケットを第1の無線装置へ送信したことを検知したとき、自己の優先順位に従ってパケットを第1の無線装置へ送信する。
【0024】
好ましくは、同一グループに属するn(nは2以上の整数)個の第2の無線装置は、n個の第2の無線装置の全てが第1の無線装置へ送信するパケットを保持している場合、優先順位の高い順にパケットを第1の無線装置へ送信し、n個の第2の無線装置のうちのi(iは正の整数)個の第2の無線装置が第1の無線装置へ送信するパケットを保持していないとき、i個の第2の無線装置を除いた残りの第2の無線装置の優先順位に従ってパケットを第1の無線装置へ送信する。
【0025】
好ましくは、i個の第2の無線装置は、n−i個の第2の無線装置の全てがパケットを第1の無線装置へ送信するまで待機する。
【0026】
好ましくは、同一グループに属するn(nは2以上の整数)個の第2の無線装置の各々は、他のグループに属する第2の無線装置が第1の無線装置へ送信したパケットを受信したとき、他のグループに属する全ての第2の無線装置がパケットを第1の無線装置へ送信するまで待機する。
【0027】
好ましくは、第1の無線装置は、バーストモードでパケットを受信したとき、パケットを受信したことを示す確認応答をバーストモードでパケットを送信した第2の無線装置へ送信する。
【発明の効果】
【0028】
この発明による無線通信システムにおいては、第1の無線装置がバーストモードへ移行するか否かを判定し、バーストモードへ移行すると判定したとき、バーストモード移行通知を複数の第2の無線装置へ送信する。そして、複数の第2の無線装置は、第1の無線装置からのバーストモード移行通知に応じてパケットを時分割で連続して第1の無線装置へ送信する。
【0029】
従って、この発明によれば、複数の第2の無線装置から送信された複数のパケットの衝突を回避しながらスループットを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
【図2】図1に示す無線装置の構成図である。
【図3】図1に示すアクセスポイントの構成図である。
【図4】信号受信テーブルの構成図である。
【図5】受信状況テーブルの構成図である。
【図6】信号受信テーブルの作成方法を説明するための図である。
【図7】受信状況テーブルの具体例を示す図である。
【図8】グループ分けの具体例を示す図である。
【図9】バックオフ時間を用いた協調バースト連送方法の具体例を示す図である。
【図10】バックオフ時間を用いた協調バースト連送方法の他の具体例を示す図である。
【図11】AIFSを用いた協調バースト連送方法の具体例を示す図である。
【図12】AIFSを用いた協調バースト連送方法の他の具体例を示す図である。
【図13】ブロック確認応答Block ACKを用いない協調バースト連送方法の具体例を示す図である。
【図14】バーストモードにおける送信パケットを有する無線装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】バーストモードにおける送信パケットを有しない無線装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】アクセスポイントの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0032】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム100は、アクセスポイントAPと、無線装置1〜16とを備える。
【0033】
アクセスポイントAPおよび無線装置1〜16は、無線通信空間に配置される。より具体的には、無線装置1〜16は、アクセスポイントAPの通信範囲内に配置されるとともに、相互に無線通信を直接行なうことができる範囲内に配置される。
【0034】
アクセスポイントAPは、無線装置1〜16の各々と無線通信を行なう。そして、アクセスポイントAPは、無線装置1〜16との間の通信方式を複数の無線装置がパケットを時分割で連続して送信するバーストモードへ移行すべきか否かを後述する方法によって判定する。
【0035】
アクセスポイントAPは、無線装置1〜16との間の通信方式をバーストモードへ移行すべきと判定した場合、バーストモード移行通知を生成して無線装置1〜16へ送信する。そして、アクセスポイントAPは、後述する方法によって、バーストモードにおいて無線装置1〜16と無線通信を行なう。
【0036】
また、アクセスポイントAPは、無線装置1〜16との間の通信方式をバーストモードへ移行すべきでないと判定した場合、バーストモード解除通知を生成して無線装置1〜16へ送信する。そして、アクセスポイントAPは、通常の通信方式に従って無線装置1〜16と無線通信を行なう。
【0037】
無線装置1〜16の各々は、アクセスポイントAPと無線通信を行なう。そして、無線装置1〜16の各々は、アクセスポイントAPからバーストモード移行通知を受信すると、後述する方法によって、アクセスポイントAPとバーストモードで無線通信を行なう。
【0038】
また、無線装置1〜16の各々は、アクセスポイントAPからバーストモード解除通知を受信すると、通信方式をバーストモードから通常の通信方式に切換え、通常の通信方式に従ってアクセスポイントAPと無線通信を行なう。
【0039】
図2は、図1に示す無線装置1の構成図である。図2を参照して、無線装置1は、アンテナ21と、送受信手段22と、テーブル作成手段23と、信号受信テーブル24と、通信制御手段25と、通信手段26とを含む。
【0040】
アンテナ21は、アクセスポイントAPまたは他の無線装置2〜16からパケットを受信し、その受信したパケットを送受信手段22へ出力する。また、アンテナ21は、アクセスポイントAPからビーコンフレームBconを受信し、その受信したビーコンフレームBconを送受信手段22へ出力する。
【0041】
更に、アンテナ21は、送受信手段22からパケットを受け、その受けたパケットをアクセスポイントAPへ送信する。
【0042】
送受信手段22は、アンテナ21が他の無線装置2〜16からパケットを受信したとき、そのパケットを受信したときの受信信号強度RSSIと、そのパケットの送信元アドレス(=MACアドレス)とを検出し、その検出した受信信号強度RSSIおよび送信元アドレスを対応付けてテーブル作成手段23へ出力する。
【0043】
また、送受信手段22は、アンテナ21から受けたパケットを通信制御手段25へ出力する。
【0044】
更に、送受信手段22は、アンテナ21からビーコンフレームBconを受け、その受けたビーコンフレームBconを通信制御手段25へ出力する。
【0045】
更に、送受信手段22は、通信手段26からパケットを受け、その受けたパケットをアンテナ21を介してアクセスポイントAPへ送信する。この場合、送受信手段22は、通信制御手段25からの制御に従って、通信手段26から受けたパケットをバーストモードでアクセスポイントAPへ送信し、または通信手段26から受けたパケットを通常の通信方式でアクセスポイントAPへ送信する。
【0046】
テーブル作成手段23は、相互に対応付けられた受信信号強度RSSIおよび送信元アドレスを送受信手段22から受ける。そして、テーブル作成手段23は、受信信号強度RSSIおよび送信元アドレスに基づいて、各送信元の無線装置ごとに受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを演算する。この場合、テーブル作成手段23は、数秒間に検出された受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを演算する。
【0047】
テーブル作成手段23は、各無線装置ごとに受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを演算すると、その平均値RSSI_AVEと送信元アドレスとを相互に対応付けて信号受信テーブル24を作成する。
【0048】
信号受信テーブル24は、各送信元の無線装置と受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEとを対応付けて格納する。
【0049】
通信制御手段25は、信号受信テーブル24を周期Treport毎に読み出し、その読み出した信号受信テーブル24を通信手段26へ出力する。
【0050】
また、通信制御手段25は、送受信手段22からビーコンフレームBconを受ける。そして、通信制御手段25は、送受信手段22から受けたビーコンフレームBconがバーストモード移行通知を含むとき、後述する方法によって、パケットをバーストモードでアクセスポイントAPへ送信するように送受信手段22を制御する。また、通信制御手段25は、送受信手段22から受けたビーコンフレームBconがバーストモード解除通知を含むとき、後述する方法によって、パケットを通常の通信方法でアクセスポイントAPへ送信するように送受信手段22を制御する。更に、通信制御手段25は、送受信手段22から受けたパケットを通信手段26へ出力する。
【0051】
通信手段26は、通信制御手段25から信号受信テーブル24を周期Treport毎に受ける。そして、通信手段26は、信号受信テーブル24を受けると、その受けた信号受信テーブル24をデータ部に含むパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段22へ出力する。
【0052】
この周期Treportは、想定される無線装置1〜16の移動環境によって決定される。例えば、無線LANのように無線装置が高速移動を行なわない環境では、周期Treportは、数秒程度(例えば、1秒)に設定される。
【0053】
また、通信手段26は、通信制御手段25からパケットを受ける。そして、通信手段26は、その受けたパケットの送信先が無線装置1であるとき、そのパケットを受理する。
【0054】
更に、通信手段26は、通常のデータをデータ部に含むパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段22へ出力する。
【0055】
なお、図1に示す無線装置2〜16の各々も、図2に示す無線装置1と同じ構成からなる。
【0056】
図3は、図1に示すアクセスポイントAPの構成図である。図3を参照して、アクセスポイントAPは、アンテナ31と、送受信手段32と、通信制御手段33と、テーブル作成手段34と、受信状況テーブル35と、通信手段36とを含む。
【0057】
アンテナ31は、無線装置1〜16からパケットを受信し、その受信したパケットを送受信手段32へ出力する。また、アンテナ31は、送受信手段32からパケットを受け、その受けたパケットを無線装置1〜16へ送信する。更に、アンテナ31は、送受信手段32からビーコンフレームBconを受け、その受けたビーコンフレームBconを無線装置1〜16へ送信する。
【0058】
送受信手段32は、アンテナ31からパケットを受け、その受けたパケットを通信制御手段33へ出力する。また、送受信手段32は、通信手段36からパケットを受け、その受けたパケットをアンテナ31へ出力する。更に、送受信手段32は、通信制御手段33からビーコンフレームBconを受けると、その受けたビーコンフレームBconをアンテナ31を介して無線装置1〜16へ送信する。
【0059】
通信制御手段33は、送受信手段32からパケットを受ける。そして、通信制御手段33は、その受けたパケットが信号受信テーブル24を含むとき、パケットをテーブル作成手段34へ出力する。一方、通信制御手段33は、その受けたパケットが通常のデータを含むとき、パケットを通信手段36へ出力する。
【0060】
また、通信制御手段33は、ビーコンフレームBconを生成し、その生成したビーコンフレームBconを送受信手段32およびアンテナ31を介して無線装置1〜16へ送信する。
【0061】
更に、通信制御手段33は、送受信手段32から受けたパケットの送信元を検出することによって、アクセスポイントAPにアクセスする無線装置の個数N(Nは正の整数)を検出する。そして、通信制御手段33は、1秒間当たりに送受信手段32から受けたデータのビット数を計測することによって無線装置1〜16からアクセスポイントAPへパケットを送信するときのスループットTHPを検出する。
【0062】
そうすると、通信制御手段33は、その検出した無線装置の個数NおよびスループットTHPに基づいて、バーストモードへ移行するか否かを判定する。より具体的には、通信制御手段33は、無線装置の個数Nがしきい値Nthよりも大きく、かつ、スループットTHPがしきい値THPthよりも小さいとき、バーストモードへ移行すると判定する。また、通信制御手段33は、無線装置の個数Nがしきい値Nth以下であるとき、またはスループットTHPがしきい値THPth以上であるとき、または無線装置の個数Nがしきい値Nth以下であり、かつ、スループットTHPがしきい値THPth以上であるとき、バーストモードへ移行しないと判定する。
【0063】
なお、しきい値Nthは、例えば、10であり、しきい値THPthは、例えば、3Mbpsである。
【0064】
通信制御手段33は、バーストモードへ移行すると判定したとき、受信状況テーブル35を参照して、後述する方法によって、無線装置1〜16をグループ化できるか否かを更に判定する。
【0065】
通信制御手段33は、無線装置1〜16をグループ化できると判定したとき、受信状況テーブル35を参照して、後述する方法によって、無線装置1〜16をグループ化し、そのグループ化の結果であるグループ構成を生成する。そして、通信制御手段33は、バーストモード移行通知を生成し、その生成したバーストモード移行通知およびグループ構成をビーコンフレームBconに含めて送受信手段32およびアンテナ31を介して無線装置1〜16へ送信する。
【0066】
一方、通信制御手段33は、無線装置1〜16をグループ化できないと判定したとき、バーストモード移行通知を生成せず、無線装置1〜16へ何も出力しない。
【0067】
また、通信制御手段33は、バーストモードへ移行しないと判定したとき、バーストモード解除通知を生成し、その生成したバーストモード解除通知をビーコンフレームBconに含めて送受信手段32およびアンテナ31を介して無線装置1〜16へ送信する。
【0068】
テーブル作成手段34は、通信制御手段33からパケットを受け、その受けたパケットに含まれる信号受信テーブル24を検出する。そして、テーブル作成手段34は、その検出した信号受信テーブル24に基づいて、後述する方法によって、受信状況テーブル35を作成する。
【0069】
受信状況テーブル35は、無線装置1〜16の相互間における受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを受信状況として格納する。
【0070】
通信手段36は、通信制御手段33からパケットを受け、その受けたパケットがアクセスポイントAP宛てのデータを含むとき、そのパケットを受理する。
【0071】
また、通信手段36は、無線装置(無線装置1〜16のいずれか)宛てのパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段32へ出力する。
【0072】
図4は、信号受信テーブルの構成図である。図4を参照して、信号受信テーブル24は、無線装置のアドレスと、受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEとを含む。無線装置のアドレスおよび平均値RSSI_AVEは、相互に対応付けられる。
【0073】
無線装置のアドレスは、パケットの送信元のMACアドレスからなる。受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEは、信号受信テーブル24を作成する無線装置が無線装置のアドレスによって指定された無線装置からパケットを受信したときの受信信号強度の平均値からなる。
【0074】
図5は、受信状況テーブルの構成図である。図5を参照して、受信状況テーブル35は、無線装置のアドレス1と、無線装置のアドレス2と、受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEとを含む。
【0075】
無線装置のアドレス1および無線装置のアドレス2の各々は、無線装置1〜16のMACアドレスからなる。受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEは、パケットを受信した無線装置における受信信号強度の平均値からなる。
【0076】
図6は、信号受信テーブル24の作成方法を説明するための図である。なお、図6においては、無線装置1における信号受信テーブル24の作成について説明する。
【0077】
図6を参照して、無線装置1は、最初、信号受信テーブル24−0(図6の(a)参照)を保持している。
【0078】
無線装置1の送受信手段22は、アンテナ21を介して無線装置2からパケットPKT1を受信すると、そのパケットPKT1を受信したときの受信信号強度RSSI1を検出するとともに、パケットPKT1の送信元(=無線装置2)のMACアドレスMAC2を検出する。
【0079】
そして、無線装置1の送受信手段22は、その検出した受信信号強度RSSI1およびMACアドレスMAC2を対応付けてテーブル作成手段23へ出力する。
【0080】
無線装置1の送受信手段22は、数秒間にアンテナ21を介して無線装置2から受信した複数のパケットの各々について、受信信号強度RSSIとMACアドレスMAC2とを検出し、その検出した受信信号強度RSSIおよびMACアドレスMAC2を対応付けてテーブル作成手段23へ出力する。
【0081】
そうすると、無線装置1のテーブル作成手段23は、送受信手段22から複数の受信信号強度RSSIとMACアドレスMAC2とを受け、その受けた複数の受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVE1=10dBmを演算する。そして、無線装置1のテーブル作成手段23は、MACアドレスMAC2を信号受信テーブル24−0の無線装置のアドレスの欄に格納し、平均値RSSI_AVE1=10dBmをMACアドレスMAC2に対応する受信信号強度の平均値の欄に格納して信号受信テーブル24−1(図6の(b)参照)を作成する。
【0082】
その後、無線装置1の送受信手段22およびテーブル作成手段23は、無線装置3〜16の各々から受信したパケットについて上述した動作を繰返し実行し、信号受信テーブル24−2(図6の(c)参照)を作成する。
【0083】
図7は、受信状況テーブル35の具体例を示す図である。アクセスポイントAPの送受信手段32は、信号受信テーブル24−2を含むパケットを無線装置1からアンテナ31を介して受信し、その受信したパケットを通信制御手段33へ出力する。
【0084】
そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、送受信手段32からパケットを受け、その受けたパケットが信号受信テーブル24−2を含むので、そのパケットをテーブル作成手段34へ出力する。
【0085】
アクセスポイントAPのテーブル作成手段34は、通信制御手段33からパケットを受け、その受けたパケットから送信元のMACアドレスMAC1および信号受信テーブル24−2を検出する。
【0086】
そして、アクセスポイントAPのテーブル作成手段34は、MACアドレスMAC1および信号受信テーブル24−2に基づいて、無線装置1と、無線装置2〜16との間の受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEがそれぞれ10dBm,8dBm,9dB,・・・,12dBm,3dBm,5dBm,7dBmであることを検出する。
【0087】
そうすると、アクセスポイントAPのテーブル作成手段34は、MACアドレスMAC1とMACアドレスMAC2とが交差する欄(図7中の第1行第2列)に10dBmを格納する。また、アクセスポイントAPのテーブル作成手段34は、MACアドレスMAC1とMACアドレスMAC2とが交差する欄に8dBmを格納する。以下、同様にして、アクセスポイントAPのテーブル作成手段34は、MACアドレスMAC1とMACアドレスMAC3〜MAC16とが交差する欄にそれぞれ9dB,・・・,12dBm,3dBm,5dBm,7dBmを格納する。
【0088】
これによって、受信状況テーブル35−1の第1行目が完成する。
【0089】
アクセスポイントAPのテーブル作成手段34は、無線装置2〜16の各々から受信した信号受信テーブル24に基づいて、同様にして、2つの無線装置間の受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを格納して受信状況テーブル35−1を完成する。
【0090】
アクセスポイントAPにおけるグループ化できるか否かの判定方法について説明する。アクセスポイントAPの通信制御手段33は、受信状況テーブル35を参照して、無線装置1〜16をグループ化できるか否かを判定する。より具体的には、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEのしきい値RSSIthを設定し、その設定したしきい値RSSIthよりも大きい平均値RSSI_AVEを有する複数の無線装置が存在すれば、グループ化できると判定する。
【0091】
例えば、受信状況テーブル35が図7に示す受信状況テーブル35−1からなる場合、しきい値RSSIthがRSSIth=0dBmであれば、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、無線装置1〜16の相互間の全てがしきい値RSSIth=0dBmよりも大きい受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを有するので、無線装置1〜16の全てを同一のグループにグループ化できると判定する。
【0092】
また、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、しきい値RSSIth=5dBmであれば、無線装置1,2,13,16の相互間の全てがしきい値RSSIth=5dBmよりも大きい受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを有するので、無線装置1,2,13,16を同一のグループにグループ化できる判定する。
【0093】
この場合、無線装置3,4,14,15を同一のグループにグループ化できない。無線装置3は、無線装置1との間ではしきい値RSSIth=5dBmよりも大きい平均値RSSI_AVE=8dBmを有するが、無線装置2との間の平均値RSSI_AVEは、しきい値RSSIth=5dBmよりも小さい3dBmであるからである。また、無線装置4は、無線装置1との間ではしきい値RSSIth=5dBmよりも大きい平均値RSSI_AVE=9dBmを有するが、無線装置2との間の平均値RSSI_AVEは、しきい値RSSIth=5dBmよりも小さい4dBmであるからである。更に、無線装置14は、無線装置1との間ではしきい値RSSIth=5dBmよりも小さい平均値RSSI_AVE=3dBmを有するからである。更に、無線装置15は、無線装置1,2との間ではしきい値RSSIth=5dBm以下の平均値RSSI_AVE=5dBmを有するからである。
【0094】
一方、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、どの無線装置に対してもグループ化できる無線装置が存在しない場合、グループ化できないと判定する。
【0095】
このように、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、相互間でしきい値RSSIthよりも大きい平均値RSSI_AVEを有する複数の無線装置が存在するか否かを判定することにより、グループ化できるか否かを判定する。
【0096】
なお、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、同一グループに属する無線装置間で互いのパケットを検知および復号できるようにしきい値RSSIthを設定する。これは、後述するバーストモードにおけるパケットの送信において、同一グループに属する各無線装置が同一グループ内の他の無線装置から送信されたパケットを確実に受信できるようにするためである。
【0097】
引き続いて、グループ化の方法について説明する。
【0098】
[グループ化の方法1]
このグループ化の方法1は、グループ内の無線装置の数が許容値以下であり、かつ、生成されるグループ数をできる限り少なくする方法である。グループ化の方法1においては、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、各グループ内の無線装置の個数が同一グループ内に属することができる無線装置の最大個数Nmax以下であり、かつ、生成されるグループ数Ngが最も少なくなるようなグループ分けのパターンを抽出する。なお、最大個数Nmaxは、予め、アクセスポイントAPの通信制御手段33に設定されている。
【0099】
例えば、受信状況テーブル35が図7に示す受信状況テーブル35−1からなり、しきい値RSSIth=0dBm、かつ、Nmax=4である場合、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、Ng=4となるようなグループ化のパターンを抽出する。そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが一種類しか存在しなければ、その一種類のパターンをグループ化の結果とする。一方、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが複数存在する場合、その複数のパターンから1つのパターンを任意に選択し、その選択した1つのパターンをグループ化の結果とする。
【0100】
[グループ化の方法2]
このグループ化の方法2は、グループ内の無線装置の数が許容値以下であり、かつ、生成されるグループ数をできる限り少なくし、かつ、グループ内の無線装置間の受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEの特性が与えられた条件を満たすようにする方法である。
【0101】
グループ化の方法2においては、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ化の方法1と同じように、各グループ内の無線装置の個数が同一グループ内に属することができる無線装置の最大個数Nmax以下であり、かつ、生成されるグループ数Ngが最も少なくなるようなグループ分けのパターンを抽出する。
【0102】
そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが一種類しか存在しなければ、その一種類のパターンをグループ化の結果とする。
【0103】
一方、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが複数存在する場合、その複数のパターンから1つのパターンを次の基準のいずれかを用いてグループ化の結果として選択する。
【0104】
STD1)それぞれのパターンにおいて、グループ内の無線装置間の平均値RSSI_AVEの最小値を検出し、その検出した最小値が最大となるパターンをグループ化の結果として選択する。
【0105】
STD2)それぞれのパターンにおいて、グループ内の無線装置間の平均値RSSI_AVEの平均値を検出し、その検出した平均値が最大となるパターンをグループ化の結果として選択する。
【0106】
[グループ化の方法3]
このグループ化の方法3は、グループ内の無線装置の数が許容値以下であり、かつ、生成されるグループ数をできる限り少なくし、更に、グループ内の無線装置のトラフィック量が与えられた条件を満たすようにする方法である。
【0107】
グループ化の方法3においては、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ化の方法1と同じように、各グループ内の無線装置の個数が同一グループ内に属することができる無線装置の最大個数Nmax以下であり、かつ、生成されるグループ数Ngが最も少なくなるようなグループ分けのパターンを抽出する。
【0108】
そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが一種類しか存在しなければ、その一種類のパターンをグループ化の結果とする。
【0109】
一方、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが複数存在する場合、その複数のパターンから1つのパターンを次の方法を用いてグループ化の結果として選択する。
【0110】
それぞれのパターンにおいて、各グループ内の無線装置のトラフィック量の総和を計算し、最大のトラフィック量を検出する。そして、この最大トラフィック量が最も大きいパターンをグループ化の結果とする。
【0111】
[グループ化の方法4]
このグループ化の方法4は、グループ内の無線装置の数が許容値以下であり、かつ、生成されるグループ数をできる限り少なくし、かつ、グループ内の無線装置間の受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEおよびグループ内の無線装置のトラフィック量が与えられた条件を満たすようにする方法である。
【0112】
グループ化の方法4においては、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ化の方法1と同じように、各グループ内の無線装置の個数が同一グループ内に属することができる無線装置の最大個数Nmax以下であり、かつ、生成されるグループ数Ngが最も少なくなるようなグループ分けのパターンを抽出する。
【0113】
そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが一種類しか存在しなければ、その一種類のパターンをグループ化の結果とする。
【0114】
一方、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ数Ngが最小となるパターンが複数存在する場合、その複数のパターンから1つのパターンを次の方法を用いてグループ化の結果として選択する。
【0115】
グループ内の平均値RSSI_AVEの最小値または平均値RSSI_AVEの平均値をMRSSIとする。また、各グループ内の無線装置のトラフィック量の総和をMTrafficとする。
【0116】
そして、MRSSIおよびMTrafficを用いて新たなメトリックMを次式によって定義する。
【0117】
=w×MTraffic+w×MRSSI・・・(1)
なお、式(1)において、wおよびwは、トラフィック量および受信信号強度の平均値RSSI_AVEのどちらをより優先的に考慮するかを決定するための係数であり、任意の値からなる。
【0118】
アクセスポイントAPの通信制御手段33は、異なるグループ化のパターンにおいて、各グループ内におけるメトリックMを式(1)を用いて演算する。そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、異なるグループ化のパターンにおけるメトリックMの平均値または最大値を計算し、その計算した平均値または最大値が最大となるパターンをグループ化の結果とする。
【0119】
[グループ化の方法5]
このグループ化の方法5は、グループ化が可能な無線装置の個数に基づいた方法である。
【0120】
グループ化の方法5においては、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、全ての無線装置をグループ化の対象となる無線装置のセットとする。
【0121】
(1)そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ化対象セットに含まれる全ての無線装置の中から、グループ化が可能な無線装置の個数が最大である無線装置を1つ選択する。なお、グループ化が可能な無線装置の個数が最大である無線装置が複数存在する場合、その複数の無線装置から1つの無線装置を任意に選択する。
【0122】
(2)アクセスポイントAPの通信制御手段33は、上記(1)において抽出した無線装置とグループ化が可能な無線装置の個数がNmax以上存在する場合には、この無線装置に対する平均値RSSI_AVEが大きいグループ化が可能な無線装置から順にNmax−1個の無線装置を選択し、上記(1)で選択した無線装置を含めてNmax個の無線装置からなる一つのグループを形成する。一方、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループ化が可能な無線装置の個数がNmaxよりも少ない場合には、全てのグループが可能な無線装置と、上記(1)で選択した無線装置とからなる一つのグループを形成する。そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、このグループを形成した無線装置をグループ化対象セットから除く。
【0123】
(3)アクセスポイントAPの通信制御手段33は、上記(1),(2)の処理をグループ化対象セットの全ての無線装置が除外されるまで繰り返す。
【0124】
アクセスポイントAPの通信制御手段33は、上述したグループ化の方法1〜5のいずれかの方法を用いて無線装置1〜16をグループ化する。
【0125】
なお、上述したグループ化の方法1〜5は、グループ内の無線装置の数が許容値以下に抑え、かつ、グループ数が最小になるように無線装置1〜16をグループ化する方法である。このように、グループ数が最小になるように無線装置1〜16をグループ化することによって、無線装置1〜16がアクセスポイントAPへパケットを送信するときのスループットを向上できる。なぜなら、後述するように、同一グループに属する無線装置は、パケットを連続してアクセスポイントAPへ送信し、1つのグループに属する無線装置がパケットを連続してアクセスポイントAPへ送信しているとき、他のグループに属する無線装置は、パケットを送信しない。つまり、チャネルの競合は、グループ間でのみ発生し、グループ数が少ない方が無線装置1〜16全体のスループットを向上できるからである。
【0126】
アクセスポイントAPの通信制御手段33は、無線装置1〜16をグループ化した後、各グループ内における無線装置の優先度を設定する。この場合、アクセスポイントAPは、ランダムに優先度を設定してもよいし、無線装置のMACアドレス、要求トラフィック量およびQoS(Quality of Service)に従って優先度を設定してもよい。より具体的には、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、無線装置のMACアドレスに従って優先度を設定する場合、例えば、MACアドレスの数値の小さい順、またはMACアドレスの数値の大きい順に優先度を高く設定する。また、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、要求トラフィック量に従って優先度を設定する場合、要求トラフィック量が多い順に優先度を高く設定する。更に、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、QoSに従って優先度を設定する場合、QoSの高い順に優先度を高く設定する。
【0127】
アクセスポイントAPの通信制御手段33は、各グループ内における無線装置の優先度を設定すると、グループ構成Gcompを生成する。このグループ構成Gcompは、グループの名称、グループサイズGs、同一グループに属する無線装置の識別子ID(=MACアドレス)、および各グループにおける無線装置の優先順位PRTYからなる。そして、グループサイズは、グループに含まれる無線装置の個数からなる。
【0128】
そうすると、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、全てのグループに対するグループ構成Gcompおよびバーストモード移行通知をビーコンフレームBconに含めて無線装置1〜16へ送信する。
【0129】
無線装置1〜16の各々は、バーストモード移行通知およびグループ構成をアクセスポイントAPから受信すると、後述する方法によって、他の無線装置と協働してパケットを時分割で連続的にアクセスポイントAPへ送信する。
【0130】
また、無線装置1〜16の各々は、バーストモード解除通知をアクセスポイントAPから受信すると、バーストモードから通常の通信モードへ移行する。
【0131】
図8は、グループ分けの具体例を示す図である。図8を参照して、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、上述したグループ化の方法1〜5のいずれかの方法を用いて無線装置1〜16を4個のグループGr1〜Gr4に分けたとする。
【0132】
そうすると、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、グループGr1に対するグループ構成Gcomp1=[Gr1/4/MAC6,MAC7,MAC12,MAC13/MAC6>MAC7>MAC12>MAC13]を生成する。ここで、“Gr1”は、グループの名称であり、“4”は、グループGr1のグループサイズであり、“MAC6,MAC7,MAC12,MAC13”は、同一グループに属する無線装置の識別子であり、“MAC6>MAC7>MAC12>MAC13”は、グループGr1における無線装置の優先順位PRTYである。また、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、同様にして、グループGr2〜Gr4に対してそれぞれグループ構成Gcomp2=[Gr2/4/MAC8,MAC9,MAC10,MAC11/MAC8>MAC9>MAC10>MAC11],Gcomp3=[Gr3/4/MAC1,MAC5,MAC14,MAC15/MAC1>MAC5>MAC14>MAC15],Gcomp4=[Gr4/4/MAC2,MAC3,MAC4,MAC16/MAC2>MAC3>MAC4>MAC16]を生成する。
【0133】
そして、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、バーストモード移行通知およびグループ構成Gcomp1〜Gcomp4をビーコンフレームBconに含めて無線装置1〜16へ送信する。
【0134】
そうすると、無線装置1〜16は、バーストモード移行通知およびグループ構成Gcomp1〜Gcomp4をアクセスポイントAPから受信し、その受信したグループ構成Gcomp1〜Gcomp4に基づいて、無線装置6,7,12,13がグループGr1に属し、無線装置8〜11がグループGr2に属し、無線装置1,5,14,15がグループGr3に属し、無線装置2〜4,16がグループGr4に属することを検知する。また、無線装置1〜16は、グループ構成Gcomp1〜Gcomp4に基づいて、自己が属するグループ(グループGr1〜Gr4のいずれか)における優先順位を検知する。
【0135】
バーストモードにおけるパケットの送信方法について説明する。なお、以下においては、図8に示すグループGr1を例にしてバーストモードにおけるパケットの送信方法について説明する。
【0136】
[バーストモードにおけるパケットの協調バースト連送方法1]
この協調バースト連送方法1は、バックオフ時間を用いる方式である。無線装置6,7,12,13の通信制御手段25は、アクセスポイントAPから受信したビーコンフレームBconをアンテナ21および送受信手段22を介してアクセスポイントAPから受信すると、その受信したビーコンフレームに含まれるバーストモード移行通知およびグループ構成Gcomp1〜Gcomp4を取り出す。そして、無線装置6,7,12,13の通信制御手段25は、その取り出したグループ構成Gcomp1に基づいて、グループGr1が無線装置6,7,12,13から構成されること、無線装置6,7,12,13がグループGr1に属すること、および無線装置6、無線装置7、無線装置12および無線装置13の順に優先順位が高いことを検知する。
【0137】
そうすると、無線装置6,7,12,13の通信制御手段25は、バーストモード移行通知および検知結果に基づいて、グループGr1内において最初のパケット送信を検知した後、協調バースト連送モードでパケットをアクセスポイントAPへ送信するように送受信手段22を制御する。
【0138】
また、無線装置6,7,12,13の通信制御手段25は、グループ構成Gcomp2〜Gcomp4に基づいて、無線装置8〜11がグループGr2に属し、無線装置1,5,14,15がグループGr3に属し、無線装置2〜4,16がグループGr4に属することを検知する。そして、無線装置6,7,12,13の通信制御手段25は、その検知結果を送受信手段22へ出力する。
【0139】
(i)グループ内の全ての無線装置が送信パケットを保持している場合
図9は、バックオフ時間を用いた協調バースト連送方法の具体例を示す図である。無線装置6,7,12,13の通信手段26は、アクセスポイントAP宛てのパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段22へ出力する。
【0140】
そして、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、CSMA/CA方式に従ってパケットの送信を試みる。また、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、他の無線装置から送信されたパケットの受信を試みる。
【0141】
その結果、無線装置6,7,12,13のいずれかの送受信手段22は、パケットの送信権を獲得する。例えば、無線装置7の送受信手段22がパケットの送信権を獲得するものとする。
【0142】
そうすると、無線装置7の送受信手段22は、マックヘッダMH7とデータDA7とからなるパケットPKT_7をアクセスポイントAPへ送信する。
【0143】
そして、無線装置6,12,13の送受信手段22は、無線装置7から送信されたパケットを受信する。
【0144】
その後、無線装置6,12,13の送受信手段22は、自己のDIFS(Distributed Inter Frame Space)やSIFS(Short Inter Frame Space)と言うIFS(Inter Frame Space)の値を全て“0”に設定し、グループGr1内における優先度に応じてバックオフ時間を設定し、バースト状態へ移行する。この場合の優先度は、バースト状態へ移行する契機を作った無線装置7を除く無線装置6,12,13間における優先度である。
【0145】
より具体的には、無線装置6,12,13の送受信手段22は、グループGr1内の無線装置6,7,12,13のうち、バースト状態へ移行する契機を作った無線装置7を除いた無線装置6,12,13間で最も優先度が高い無線装置のバックオフ時間を1スロット分の時間に設定し、2番目に優先度が高い無線装置のバックオフ時間を2スロット分の時間に設定し、以下、同様にして、優先度の高い順に各無線装置のバックオフ時間を設定する。
【0146】
即ち、無線装置6,12,13間では、無線装置6、無線装置12、および無線装置13の順に優先度が高いので、無線装置6の送受信手段22は、バックオフ時間を1スロット分に設定し、無線装置12の送受信手段22は、バックオフ時間を2スロット分に設定し、無線装置13の送受信手段22は、バックオフ時間を3スロット分に設定する。
【0147】
そうすると、無線装置6の送受信手段22は、無線装置7がパケットを送信した後、1スロット分のバックオフ時間が“0”になると、マックヘッダMH6とデータDA6とからなるパケットPKT_6をアクセスポイントAPへ送信する。この時点で、無線装置12,13におけるバックオフ時間は、それぞれ、1スロット分および2スロット分にカウントダウンされている。
【0148】
そして、無線装置12の送受信手段22は、無線装置6がパケットPKT_6を送信した後、1スロット分のバックオフ時間が“0”になると、マックヘッダMH12とデータDA12とからなるパケットPKT_12をアクセスポイントAPへ送信する。この時点で、無線装置13におけるバックオフ時間は、1スロット分にカウントダウンされている。
【0149】
更に、無線装置13の送受信手段22は、無線装置12がパケットPKT_12を送信した後、1スロット分のバックオフ時間が“0”になると、マックヘッダMH13とデータDA13とからなるパケットPKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。
【0150】
そして、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、それぞれパケットPKT_7,PKT_6,PKT_12,PKT_13を送信した後、ブロック応答確認Block ACKを待つ状態に入る。
【0151】
アクセスポイントAPの送受信手段32は、無線装置7からのパケットPKT_7を最初に受信すると、バックオフ時間をグループGr1内の無線装置6,7,12,13の個数分のスロット時間に設定する。
【0152】
即ち、アクセスポイントAPの送受信手段32は、バックオフ時間を4スロット分の時間に設定する。そして、アクセスポイントAPの送受信手段32は、全てのIFSを“0”に設定し、1スロット分の空きチャネルを検出する毎にバックオフ時間をカウントダウンする。
【0153】
また、アクセスポイントAPの通信手段36は、パケットPKT_7,PKT_6,PKT_12,PKT_13の受信成功または受信不成功を含むブロック応答確認Block ACKを生成し、その生成したブロック応答確認Block ACKを送受信手段32へ出力する。
【0154】
そして、アクセスポイントAPの送受信手段32は、自己のバックオフ時間が“0”になると、最後に受信したパケットPKT_13の受信完了時間からSIFSだけ経過したか否かを判定する。
【0155】
アクセスポイントAPの送受信手段32は、パケットPKT_13の受信完了時間からSIFSだけ経過していれば、ブロック応答確認Block ACKを直ちに無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0156】
一方、アクセスポイントAPの送受信手段32は、パケットPKT_13の受信完了時間からSIFSだけ経過していなければ、パケットPKT_13の受信完了時間からSIFSだけ経過したときにブロック応答確認Block ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0157】
そして、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信し、バースト状態を解除し、協調バースト連送モードへ戻る。その後、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、送信パケットを保持している場合、CSMA/CA方式に従ってそれぞれパケットPKT_6,PKT_7,PKT_12,PKT_13のアクセスポイントAPへの送信を試みる。
【0158】
この場合、バックオフ時間やIFSの値は、バースト状態へ移行する前の値にリセットされる。
【0159】
また、バーストモードにおいて最初にパケットをアクセスポイントAPへ送信した無線装置7の送受信手段22は、パケット送信の結果の成否に従って通常のCSMA/CAと同様の手順により、CW、IFSおよびバックオフ時間の値を設定する。
【0160】
各無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、協調バースト連送モード中に同一グループGr1の無線装置からのパケットを受信する度に、上述した方法によってバースト状態へ移行してパケットの協調バースト連送を行なう。
【0161】
上述したように、無線装置6,12,13は、無線装置7がパケットPKT_7をアクセスポイントAPへ送信した後、時分割で連続してパケットPKT_6,PKT_12,PKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。
【0162】
従って、パケットPKT_6,PKT_12,PKT_13の衝突を回避しながらアクセスポイントAPへパケットを送信するときのスループットを向上できる。
【0163】
なお、アクセスポイントAPは、無線装置6,7,12,13へパケットを送信する場合、通常の通信方式に従ってパケットを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0164】
(ii)グループ内の一部の無線装置が送信パケットを保持していない場合
以下においては、グループGr1の無線装置12が送信パケットを保持していない場合を例にして協調バースト連送方法1を説明する。
【0165】
図10は、バックオフ時間を用いた協調バースト連送方法の他の具体例を示す図である。送信パケットを保持していない無線装置12の送受信手段22は、協調バースト連送モード中に同一グループGr1内の他の無線装置から送信されたパケットを受信した場合、グループGr1内の全ての無線装置6,13がパケットのバースト送信を行ない、かつ、ブロック応答確認Block ACKをアクセスポイントAPから受信するまでの時間をNAVとして設定する。
【0166】
そして、無線装置12の送受信手段22は、その設定したNAVの期間中(当該バースト連送期間中)に送信パケットを通信手段26から受けてもパケットを送信しない。また、無線装置12の送受信手段22は、アクセスポイントAPからブロック確認応答Block ACKを受信すると、NAVを解除する。
【0167】
無線装置7の送受信手段22は、上述したようにパケットの送信権を獲得し、パケットPKT_7を最初にアクセスポイントAPへ送信する。
【0168】
そして、無線装置6の送受信手段22は、無線装置7がパケットPKT_7のアクセスポイントAPへの送信を完了してから1スロット分のバックオフ時間が経過すると、パケットPKT_6をアクセスポイントAPへ送信する。
【0169】
また、無線装置13の送受信手段22は、無線装置6がパケットPKT_6のアクセスポイントAPへの送信を完了してから2スロット分のバックオフ時間が経過すると、パケットPKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。無線装置13の送受信手段22が2スロット分のバックオフ時間が経過するとパケットPKT_13を送信するのは、無線装置6がパケットPKT_6のアクセスポイントAPへの送信を完了してから2スロット分のバックオフ時間が経過すると、無線装置13の送受信手段22におけるバックオフ時間が“0”になるからである。
【0170】
その後、アクセスポイントAPの送受信手段32は、上述した方法によってブロック確認応答Block ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0171】
そして、無線装置6,7,13の送受信手段22は、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信してバースト状態を解除し、協調バースト連送モードへ戻る。また、無線装置12の送受信手段22は、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信してNAVを解除し、協調バースト連送モードへ戻る。
【0172】
このように、同一グループGr1内における一部の無線装置12が送信パケットを保持していない場合、無線装置6,13は、無線装置7がパケットPKT_7をアクセスポイントAPへ送信した後、時分割で連続してパケットPKT_6,PKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。
【0173】
従って、パケットPKT_6,PKT_13の衝突を回避しながらアクセスポイントAPへパケットを送信するときのスループットを向上できる。
【0174】
(iii)他のグループからの送信パケットを受信した場合
グループGr1に属する無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、自己がパケットを送信する前に、例えば、グループGr2に属する無線装置8からパケットを受信すると、グループGr2に属する無線装置8〜11の個数に基づいて、グループGr2に属する無線装置8〜11の全てが上述した協調バースト連送方法によってパケットをアクセスポイントAPへ送信してから、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信するまでの時間をNAVとして設定する。
【0175】
そして、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、通信手段26から受けたパケットの送信の試みをNAVが終了するまで停止する。
【0176】
その後、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、その設定したNAVの期間が経過すると、またはアクセスポイントAPからブロック確認応答Block ACKを受信すると、その設定したNAVを解除し、協調バースト連送モードへ戻る。
【0177】
[バーストモードにおけるパケットの協調バースト連送方法2]
この協調バースト連送方法2は、AIFS(Arbitration Inter Frame Space)を用いる方法である。
【0178】
(i)グループ内の全ての無線装置が送信パケットを保持している場合
図11は、AIFSを用いた協調バースト連送方法の具体例を示す図である。協調バースト連送方法2においては、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、グループ構成Gcomp1〜Gcomp4およびグループGr1内における最初のパケット送信を検知するまでは、上述した協調バースト連送方法1と同じ動作を行なう。
【0179】
その後、無線装置6,12,13の送受信手段22は、自己のバックオフ時間を“0”に設定し、グループGr1内における優先度に応じてAIFSを設定する。
【0180】
より具体的には、無線装置6,12,13の送受信手段22は、グループGr1内の無線装置6,7,12,13のうち、バースト状態へ移行する契機を作った無線装置7を除いた無線装置6,12,13間で最も優先度が高い無線装置のAIFSをAIFSの制御可能な最小単位×1に設定し、2番目に優先度が高い無線装置のAIFSをAIFSの制御可能な最小単位×2に設定し、以下、同様にして、優先度の高い順に各無線装置のAIFSをAIFSの制御可能な最小単位×(優先順位)に設定する。
【0181】
即ち、無線装置6,12,13間では、無線装置6、無線装置12、および無線装置13の順に優先度が高いので、AIFSの制御可能な最小単位が5μ秒である場合、無線装置6の送受信手段22は、無線装置6のAIFS_6を5μ秒×1=5μ秒に設定し、無線装置12の送受信手段22は、無線装置12のAIFS_12を5μ秒×2=10μ秒に設定し、無線装置13の送受信手段22は、無線装置13のAIFS_13を5μ秒×3=15μ秒に設定する。
【0182】
そうすると、無線装置6の送受信手段22は、無線装置7がパケットを送信した後、5μ秒のAIFS_6(AIFSの最小単位)が経過すると、マックヘッダMH6とデータDA6とからなるパケットPKT_6をアクセスポイントAPへ送信する。
【0183】
そして、無線装置12の送受信手段22は、無線装置6がパケットPKT_6を送信した後、10μ秒のAIFS_12(AIFSの最小単位×2)が経過すると、マックヘッダMH12とデータDA12とからなるパケットPKT_12をアクセスポイントAPへ送信する。
【0184】
更に、無線装置13の送受信手段22は、無線装置12がパケットPKT_12を送信した後、15μ秒のAIFS_13(AIFSの最小単位×3)が経過すると、マックヘッダMH13とデータDA13とからなるパケットPKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。
【0185】
そして、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、ブロック応答確認Block ACKを待つ状態に入る。
【0186】
アクセスポイントAPの通信手段36は、パケットPKT_7,PKT_6,PKT_12,PKT_13の受信成功または受信不成功を含むブロック応答確認Block ACKを生成し、その生成したブロック応答確認Block ACKを送受信手段32へ出力する。
【0187】
アクセスポイントAPの送受信手段32は、(a)グループGr1内で設定され得る最長のAIFS時間のチャネル空きを検知した後にパケット送信を検知しない場合、または(b)グループGr1において最も優先度が低い無線装置のパケットを受信した場合に、ブロック確認応答Block ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0188】
より具体的には、上記(a)の場合、アクセスポイントAPの送受信手段32は、最長のAIFSがSIFSよりも長いとき、ブロック確認応答Block ACKを直ちに無線装置6,7,12,13へ送信し、最長のAIFSがSIFS以下である場合、SIFSの経過後にブロック確認応答Block ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0189】
また、上記(b)の場合、アクセスポイントAPの送受信手段32は、グループGr1において最も優先度が低い無線装置13からのパケットPKT_13を受信した後、SIFSが経過すると、ブロック確認応答Block ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0190】
そして、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信し、バースト状態を解除し、協調バースト連送モードへ戻る。その後、無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、送信パケットを保持している場合、CSMA/CA方式に従ってそれぞれパケットPKT_6,PKT_7,PKT_12,PKT_13のアクセスポイントAPへの送信を試みる。
【0191】
各無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、協調バースト連送モード中に同一グループGr1の無線装置からのパケットを受信する度に、上述した方法によってバースト状態へ移行して協調バースト連送を行なう。
【0192】
なお、上記(a)の場合にアクセスポイントAPがブロック確認応答Block ACKを送信するのは、グループGr1内において優先度が最も低い無線装置13が送信パケットを保持しない場合、またはパケットPKT_13が無線通信環境等によってアクセスポイントAPへ到達しない場合もあるからである。
【0193】
また、無線装置6,12,13は、自己のAIFSをSIFS+スロット長×(優先順位)によって決定してもよい。
【0194】
上述したように、AIFSを用いる場合も、無線装置6,12,13は、無線装置7がパケットPKT_7をアクセスポイントAPへ送信した後、時分割で連続してパケットPKT_6,PKT_12,PKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。
【0195】
従って、パケットPKT_6,PKT_12,PKT_13の衝突を回避しながらアクセスポイントAPへパケットを送信するときのスループットを向上できる。
【0196】
(ii)グループ内の一部の無線装置が送信パケットを保持していない場合
図12は、AIFSを用いた協調バースト連送方法の他の具体例を示す図である。送信パケットを保持していない無線装置12の送受信手段22は、協調バースト連送モード中に同一グループGr1内の他の無線装置から送信されたパケットを受信した場合、グループGr1内の全ての無線装置6,13がパケットのバースト送信を行ない、かつ、ブロック応答確認Block ACKをアクセスポイントAPから受信するまでの時間をNAVとして設定する。
【0197】
そして、無線装置12の送受信手段22は、その設定したNAVの期間中(当該バースト連送期間中)に送信パケットを通信手段26から受けてもパケットを送信しない。また、無線装置12の送受信手段22は、アクセスポイントAPからブロック確認応答Block ACKを受信すると、NAVを解除する。
【0198】
無線装置7の送受信手段22は、上述したようにパケットの送信権を獲得し、パケットPKT_7を最初にアクセスポイントAPへ送信する。
【0199】
そして、無線装置6の送受信手段22は、無線装置7がパケットPKT_7のアクセスポイントAPへの送信を完了してから5μ秒のAIFSが経過すると、パケットPKT_6をアクセスポイントAPへ送信する。
【0200】
また、無線装置13の送受信手段22は、無線装置6がパケットPKT_6のアクセスポイントAPへの送信を完了してから15μ秒のAIFSが経過すると、パケットPKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。無線装置13の送受信手段22が15μ秒のAIFSが経過するとパケットPKT_13を送信するのは、無線装置6がパケットPKT_6のアクセスポイントAPへの送信を完了してから15μ秒のAIFSが経過すると、バックオフに入り、ここで、無線装置13の送受信手段22におけるバックオフ時間が“0”に設定されているからである。
【0201】
その後、アクセスポイントAPの送受信手段32は、上述した方法によってブロック確認応答Block ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0202】
そして、無線装置6,7,13の送受信手段22は、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信してバースト状態を解除し、協調バースト連送モードへ戻る。また、無線装置12の送受信手段22は、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信してNAVを解除し、協調バースト連送モードへ戻る。
【0203】
このように、同一グループGr1内における一部の無線装置12が送信パケットを保持していない場合、無線装置6,13は、無線装置7がパケットPKT_7をアクセスポイントAPへ送信した後、時分割で連続してパケットPKT_6,PKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。
【0204】
従って、パケットPKT_6,PKT_13の衝突を回避しながらアクセスポイントAPへパケットを送信するときのスループットを向上できる。
【0205】
(iii)他のグループからの送信パケットを受信した場合
グループGr1に属する無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、上述した協調バースト連送方法1における「(iii)他のグループからの送信パケットを受信した場合」と同様の動作を行なう。
【0206】
[バーストモードにおけるパケットの協調バースト連送方法3]
この協調バースト連送方法3は、ブロック確認応答Block ACKを用いない方法である。
【0207】
(i)グループ内の全ての無線装置が送信パケットを保持している場合
図13は、ブロック確認応答Block ACKを用いない協調バースト連送方法の具体例を示す図である。
【0208】
無線装置7の送受信手段22は、上述したように、グループGr1内において最初にパケットPKT_7をアクセスポイントAPへ送信する。
【0209】
そして、無線装置6,12,13の送受信手段22は、無線装置7からのパケットPKT_7を受信すると、協調バースト連送モードへ移行し、バックオフを用いる方式においては、上述した協調バースト連送方法1における方法によってバックオフ時間を設定し、AIFSを用いる方式においては、上述した協調バースト連送方法2における方法によってAIFS_6,AIFS_12,AIFS_13を設定する。
【0210】
また、無線装置6,12,13の送受信手段22は、パケットPKT_7の送信に対する確認応答ACKをアクセスポイントAPから受信するまでNAVを設定する。
【0211】
アクセスポイントAPの送受信手段32は、無線装置7からのパケットPKT_7を受信すると、その受信したパケットPKT_7を通信制御手段33を介して通信手段36へ出力し、通信手段36から確認応答ACKを受ける。
【0212】
そして、アクセスポイントAPの送受信手段32は、パケットPKT_7の受信後、SIFSが経過すると、確認応答ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0213】
無線装置7の送受信手段22は、確認応答ACKをアクセスポイントAPから受信し、その受信した確認応答ACKを通信制御手段25を介して通信手段26へ出力する。
【0214】
また、無線装置6,12,13の送受信手段22は、確認応答ACKをアクセスポイントAPから受信し、その確認応答ACKの受信に応じて、NAVを解除する。そして、無線装置6,12,13のうちの最も優先度が高い無線装置6の送受信手段22は、確認応答ACKの受信後、待機時間が経過すると、パケットPKT_6をアクセスポイントAPへ送信する。
【0215】
なお、この待機時間は、バックオフ時間を用いる方式では、1スロットからなり、AIFSを用いる方式では、AIFSの制御可能な最小単位からなる。
【0216】
無線装置7,12,13の送受信手段22は、無線装置6からのパケットPKT_6を受信すると、パケットPKT_6に対する確認応答ACKをアクセスポイントAPから受信するまでNAVを設定する。
【0217】
そして、アクセスポイントAPは、パケットPKT_6を受信した後、上述した方法によって確認応答ACKを無線装置6,7,12,13へ送信する。
【0218】
無線装置6の送受信手段22は、アクセスポイントAPから受信した確認応答ACKを通信制御手段25を介して通信手段26へ出力する。また、無線装置7,12,13の送受信手段22は、アクセスポイントAPから確認応答ACKを受信すると、NAVを解除する。
【0219】
以後、上述した動作が繰返し実行され、無線装置12,13は、無線装置12および無線装置13の順にパケットPKT_12,PKT_13をアクセスポイントAPへ送信する。
【0220】
(ii)グループ内の一部の無線装置が送信パケットを保持していない場合
この場合、グループGr1に属する無線装置6,7,12,13は、上述した協調バースト連送方法1または協調バースト連送方法2における「(ii)グループ内の一部の無線装置が送信パケットを保持していない場合」と同じ動作を行なう。
【0221】
(iii)他のグループからの送信パケットを受信した場合
この場合、グループGr1に属する無線装置6,7,12,13の送受信手段22は、上述した協調バースト連送方法1における「(iii)他のグループからの送信パケットを受信した場合」と同様の動作を行なう。
【0222】
なお、図8に示すグループGr2に属する無線装置8〜11、グループGr3に属する無線装置1,5,14,15、およびグループGr4に属する無線装置2〜4,16も、上述した協調バースト連送方法1〜協調バースト連送方法3のいずれかの協調バースト連送方法を用いてパケットをバーストモードでアクセスポイントAPへ送信する。
【0223】
図14は、バーストモードにおける送信パケットを有する無線装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0224】
図14を参照して、一連の動作が開始されると、各無線装置1〜16は、バーストモード移行通知をアクセスポイントAPから受信したか否かを判定する(ステップS1)。そして、各無線装置1〜16は、バーストモード移行通知をアクセスポイントAPから受信すると、CSMA/CAに従ってチャネルにアクセスする(ステップS2)。
【0225】
その後、各無線装置1〜16は、パケットの送信権を獲得したか否かを判定する(ステップS3)。
【0226】
ステップS3において、パケットの送信権を獲得したと判定されたとき、各無線装置1〜16は、バースト状態へ移行し(ステップS4)、パケットをアクセスポイントAPへ送信する(ステップS5)。そして、各無線装置1〜16は、ブロック確認応答Block ACKの待ち状態となる(ステップS6)。
【0227】
その後、各無線装置1〜16は、ブロック確認応答Block ACKを受信したか否かを判定する(ステップS7)。
【0228】
ステップS7において、ブロック確認応答Block ACKを受信したと判定されると、各無線装置1〜16は、バースト状態を解除する(ステップS8)。
【0229】
一方、ステップS7において、ブロック確認応答Block ACKを受信していないと判定されたとき、各無線装置1〜16は、バースト状態を解除し、パケットの再送を準備する(ステップS9)。
【0230】
一方、ステップS3において、送信権を獲得していないと判定されたとき、各無線装置1〜16は、他の無線装置からパケットを受信する(ステップS10)。そして、各無線装置1〜16は、他の無線装置が自己と同一グループに属するか否かを判定する(ステップS11)。
【0231】
ステップS11において、他の無線装置が自己と同一グループに属すると判定されたとき、各無線装置1〜16は、バースト状態へ移行し、優先順位に従ってバックオフ時間またはIFSの値を設定する(ステップS12)。
【0232】
そして、各無線装置1〜16は、その設定したバックオフ時間またはIFSに従ってパケットを送信し(ステップS13)、ブロック確認応答Block ACKの待ち状態となる(ステップS14)。
【0233】
その後、各無線装置1〜16は、ブロック確認応答Block ACKを受信したか否かを判定する(ステップS15)。
【0234】
ステップS15において、ブロック確認応答Block ACKを受信したと判定されると、各無線装置1〜16は、バースト状態を解除する(ステップS16)。
【0235】
一方、ステップS15において、ブロック確認応答Block ACKを受信していないと判定されたとき、各無線装置1〜16は、バースト状態を解除し、パケットの再送を準備する(ステップS17)。
【0236】
一方、ステップS11において、他の無線装置が自己と同一グループに属さないと判定されたとき、各無線装置1〜16は、他の無線装置が属するグループの全ての無線装置の個数に応じたNAVを設定する(ステップS18)。
【0237】
その後、NAVがタイムアウトし、またはブロック確認応答Block ACKを受信し(ステップS19)、一連の動作は、ステップS2へ戻る。
【0238】
そして、ステップS8、ステップS9、ステップS16およびステップS17のいずれかの後、一連の動作が終了する。
【0239】
このように、アクセスポイントAPへ送信するパケットを保持している無線装置1〜16は、アクセスポイントAPからバーストモード移行通知を受信し、かつ、パケットの送信権を獲得すると、バースト状態へ移行してパケットをアクセスポイントAPへ送信する(ステップS3〜ステップS5参照)。
【0240】
また、最初にパケットをアクセスポイントAPへ送信した無線装置以外の同一グループに属する無線装置は、最初にパケットをアクセスポイントAPへ送信した無線装置からのパケットを受信すると、バースト状態へ移行し、自己の優先順位に従って異なるタイミングでパケットをアクセスポイントAPへ送信する(ステップS10〜ステップS13参照)。
【0241】
その結果、同一グループに属する無線装置は、時分割で連続してパケットをアクセスポイントAPへ送信する。
【0242】
従って、パケットの衝突を回避しながら、スループットを向上できる。
【0243】
図15は、バーストモードにおける送信パケットを有しない無線装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【0244】
図15を参照して、一連の動作が開始されると、各無線装置1〜16は、他の無線装置からパケットを受信し(ステップS21)、自己が属するグループのグループサイズ(グループに属する無線装置の個数)に従ってNAVを設定する(ステップS22)。
【0245】
そして、各無線装置1〜16は、ブロック確認応答Block ACKをアクセスポイントAPから受信したか否かを判定する(ステップS23)。
【0246】
ステップS23において、ブロック確認応答Block ACKを受信したと判定されたとき、各無線装置1〜16は、NAVを解除する(ステップS24)。
【0247】
一方、ステップS23において、ブロック確認応答Block ACKを受信していないと判定されたとき、時間の経過に伴ってNAVがタイムアウトする(ステップS25)。
【0248】
そして、ステップS24またはステップS25の後、一連の動作が終了する。
【0249】
このように、送信パケットを保持しない無線装置は、自己と同じグループに属する他の無線装置の全てがパケットを送信し終わるまで待機状態となるので、同一グループに属する他の無線装置の協調バースト連送を妨げることはない。
【0250】
図16は、アクセスポイントの動作を説明するためのフローチャートである。図16を参照して、一連の動作が開始されると、アクセスポイントAPは、自己にアクセスする無線装置の個数Nがしきい値Nthよりも大きく、かつ、自己にパケットを送信するときのスループットTHPがしきい値THPthよりも小さいことを検出することによって協調バースト連送の必要性を検知する(ステップS31)。
【0251】
そして、アクセスポイントAPは、上述した方法によって無線装置1〜16のグループ化を実行する(ステップS32)。
【0252】
その後、アクセスポイントAPは、バーストモード移行通知を無線装置1〜16へ送信し、グループ構成を無線装置1〜16へ通知する(ステップS33)。
【0253】
そして、協調バースト連送が実行される(ステップS34)。その後、アクセスポイントAPは、協調バースト連送解除通知が必要であるか否かを判定する(ステップS35)。
【0254】
ステップS35において、協調バースト連送解除通知が必要でないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS34へ戻る。
【0255】
一方、ステップS35において、協調バースト連送解除通知が必要であると判定されたとき、アクセスポイントAPは、バーストモード解除通知を無線装置1〜16へ送信し、協調バースト連送モードの解除を各無線装置1〜16に指示する(ステップS36)。
【0256】
これによって、各無線装置1〜16は、協調バースト連送モードを解除し、通常のモードへ移行する。
【0257】
そして、ステップS36の後、一連の動作は終了する。
【0258】
このように、アクセスポイントAPが協調バースト連送の必要性を検知すると、協調バースト連送モードへ移行するように無線装置1〜16に指示するので、複数の無線装置が協調バースト連送を行うことができる。
【0259】
上記においては、各無線装置1〜16のテーブル作成手段23は、数秒間における受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを演算して信号受信テーブル24を作成すると説明したが、この場合、平均値RSSI_AVEを移動平均によって演算してもよい。
【0260】
また、上記においては、信号受信テーブル24は、2つの無線装置間における受信信号強度RSSIの平均値RSSI_AVEを格納すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、信号受信テーブル24は、2つの無線装置間における受信信号強度RSSIの瞬時値を格納してもよく、2つの無線装置間におけるパケット損失率を格納してもよく、一般的には、2つの無線装置間における無線通信品質を格納してもよい。
【0261】
そして、信号受信テーブル24が2つの無線装置間における受信信号強度RSSIの瞬時値を格納する場合、受信状況テーブル35も2つの無線装置間における受信信号強度RSSIの瞬時値を格納し、信号受信テーブル24が2つの無線装置間におけるパケット損失率を格納する場合、受信状況テーブル35も2つの無線装置間におけるパケット損失率を格納し、信号受信テーブル24が2つの無線装置間における無線通信品質を格納する場合、受信状況テーブル35も2つの無線装置間における無線通信品質を格納する。
【0262】
アクセスポイントAPの通信制御手段33は、受信状況テーブル35を参照して、上述した方法によって無線装置1〜16をグループに分けるか否かを判定する。従って、一般的には、アクセスポイントAPの通信制御手段33は、2つの無線装置間における無線通信品質に基づいて、上述した方法によって無線装置1〜16をグループに分けるか否かを判定する。
【0263】
更に、上記においては、各無線装置1〜16は、信号受信テーブル24をアクセスポイントAPへ定期的(周期Treport)に送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、各無線装置1〜16は、自己が保持する信号受信テーブル24に新たな無線装置が追加された時にアクセスポイントAPへ信号受信テーブル24を送信するようにしてもよい。
【0264】
即ち、図1に示す無線通信システム100において、新たな無線装置17が発生し、無線装置1が無線装置17からアクセスポイントAPへのパケット送信を検知したとする。この場合、無線装置1は、無線装置17を新たなエントリーとして信号受信テーブル24−2(図6の(c)参照)に追加するので、この新規エントリーの追加をトリガーとして信号受信テーブル24をアクセスポイントAPへ送信する。
【0265】
また、アクセスポイントAPが協調バースト連送モードへ移行すると判定した時点で信号受信テーブル24の送信要求をビーコンフレームBconに挿入し、各無線装置1〜16がビーコンフレームBconに含まれる信号受信テーブル24の送信要求に応じて信号受信テーブル24をアクセスポイントAPへ送信するようにしてもよい。
【0266】
更に、上記においては、アクセスポイントAPは、通常の通信方式でパケットを無線装置1〜16へ送信すると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、アクセスポイントAPは、バーストモードでパケットを無線装置1〜16へ送信するようにしてもよい。
【0267】
更に、上記においては、無線通信システム100は、アクセスポイントAPと、アクセスポイントAPとの間で無線通信を行なう無線装置1〜16とからなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、無線通信システム100は、複数の無線装置が自律的にネットワークを構成するアドホックネットワークからなっていてもよい。
【0268】
この場合、受信側の1個の無線装置が上述したアクセスポイントAPの機能を果たし、送信側の複数の無線装置が上述した無線装置1〜16の機能を果たす。従って、アドホックネットワークにおいて、複数の無線装置が1個の無線装置へパケットを送信する場合に、上述した協調バースト連送を適用可能である。
【0269】
なお、この発明の実施の形態においては、アクセスポイントAPは、「第1の無線装置」を構成する。
【0270】
また、この発明の実施の形態においては、無線装置1〜16は、「複数の第2の無線装置」を構成する。
【0271】
更に、この発明の実施の形態においては、しきい値THPthは、「第1の閾値」を構成し、しきい値Nthは、「第2の閾値」を構成する。
【0272】
更に、この発明の実施の形態においては、無線装置6,7,12,13は、「n(nは2以上の整数)個の第2の無線装置」を構成し、無線装置12は、「i(iは正の整数)個の第2の無線装置」を構成し、無線装置6,13は、「n−i個の第2の無線装置」を構成する。
【0273】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0274】
この発明は、衝突を回避しながらスループットを向上可能な無線通信システムに適用される。
【符号の説明】
【0275】
1〜16 無線装置、21,31 アンテナ、22,32 送受信手段、23,34 テーブル作成手段、24 信号受信テーブル、25,33 通信制御手段、26,36 通信手段、35 受信状況テーブル、100 無線通信システム、AP アクセスポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線装置がパケットを時分割で連続して送信するバーストモードへ移行するか否かを判定するとともに、前記バーストモードへ移行すると判定したとき、バーストモード移行通知を送信し、前記バーストモードで前記パケットを受信する第1の無線装置と、
前記第1の無線装置からのバーストモード移行通知の受信に応じて、パケットを時分割で連続して前記第1の無線装置へ送信する複数の第2の無線装置とを備える無線通信システム。
【請求項2】
前記第1の無線装置は、無線通信のスループットが第1の閾値よりも小さく、かつ、自己にアクセスする前記第2の無線装置の個数が第2の閾値よりも大きいとき、前記バーストモードへ移行すると判定する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記第1の無線装置は、前記スループットが前記第1の閾値以上であるとき、または自己にアクセスする前記第2の無線装置の個数が前記第2の閾値以下であるとき、または前記スループットが前記第1の閾値以上であり、かつ、自己にアクセスする前記第2の無線装置の個数が前記第2の閾値以下であるとき、前記バーストモードの解除を通知するバーストモード解除通知を前記複数の第2の無線装置へ送信し、
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記バーストモード解除通知に応じて前記バーストモードを解除する、請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第1の無線装置は、前記複数の第2の無線装置の相互間における無線通信品質に基づいて前記複数の第2の無線装置をグループに分けるか否かを判定し、前記複数の第2の無線装置をグループに分けると判定したとき、前記複数の第2の無線装置の相互間における無線通信品質に基づいて同一グループに属する第2の無線装置間で相互にパケットを検知および復号できるように前記複数の第2の無線装置をグループに分け、そのグループ分けの結果を前記バーストモード移行通知とともに前記複数の第2の無線装置へ送信し、
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記バーストモード移行通知およびグループ分けの結果を受信し、同一グループに属する他の第2の無線装置と協働して前記パケットを時分割で連続して前記第1の無線装置へ送信する、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1の無線装置は、前記複数の第2の無線装置をグループに分けることができないと判定したとき、前記バーストモードの解除を指示するバーストモード解除通知を前記複数の第2の無線装置へ送信し、
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記バーストモード解除通知に応じて前記バーストモードを解除する、請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1の無線装置は、前記複数の第2の無線装置をグループに分けると判定したとき、前記複数の第2の無線装置を各グループに属する第2の無線装置の個数が許容値以下であり、かつ、できる限り少ない個数のグループに分けるとともに、そのグループ分けした各グループにおいて各第2の無線装置がパケットを送信する優先順位を決定し、前記グループ分けされたグループの名称、各グループに属する第2の無線装置の識別子および各グループにおける各第2の無線装置の優先順位を前記バーストモード移行通知とともに前記複数の第2の無線装置へ送信し、
前記複数の第2の無線装置の各々は、前記バーストモード移行通知、前記グループの名称、前記各グループに属する第2の無線装置の識別子および前記各グループにおける各第2の無線装置の優先順位を受信し、自己と同じグループに属する他の第2の無線装置が前記パケットを前記第1の無線装置へ送信したことを検知したとき、自己の優先順位に従って前記パケットを前記第1の無線装置へ送信する、請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
同一グループに属するn(nは2以上の整数)個の第2の無線装置は、前記n個の第2の無線装置の全てが前記第1の無線装置へ送信するパケットを保持している場合、前記優先順位の高い順に前記パケットを前記第1の無線装置へ送信し、前記n個の第2の無線装置のうちのi(iは正の整数)個の第2の無線装置が前記第1の無線装置へ送信するパケットを保持していないとき、前記i個の第2の無線装置を除いた残りの第2の無線装置の優先順位に従って前記パケットを前記第1の無線装置へ送信する、請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記i個の第2の無線装置は、n−i個の第2の無線装置の全てが前記パケットを前記第1の無線装置へ送信するまで待機する、請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項9】
同一グループに属するn(nは2以上の整数)個の第2の無線装置の各々は、他のグループに属する第2の無線装置が前記第1の無線装置へ送信したパケットを受信したとき、前記他のグループに属する全ての第2の無線装置が前記パケットを前記第1の無線装置へ送信するまで待機する、請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第1の無線装置は、前記バーストモードで前記パケットを受信したとき、前記パケットを受信したことを示す確認応答を前記バーストモードでパケットを送信した第2の無線装置へ送信する、請求項1に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−278693(P2010−278693A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128415(P2009−128415)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「異種無線システム動的利用による信頼性向上技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】