説明

無線通信システム

【課題】乗務員が車両に確実に乗車していることを確認可能とし、乗務員が応答可能な車両に対してのみ、配車指令を発する様にして、返答遅れ、返答無しの状態を解消し、管理センタからの配車が確実に行える様にし、配車効率の向上を図る。
【解決手段】基地局11,12,13と、移動局31,32,33,34を備えた所要数の車両とを有し、前記移動局の情報をポーリングにより収集する無線通信システムに於いて、前記車両は乗務員の着席状態を検知する着席有無検知手段を有し、前記基地局が収集する情報には空車/実車、車両の位置情報、前記着席有無検知手段による乗務員の着席有無情報が含まれ、前記基地局からは前記情報に基づき空車で、前記着席有無検知手段により乗務員の着席有が確認された車両の内、配車場所に最も近い車両に配車指令を発せられる様構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信システム、例えば業務用無線によるタクシー配車用AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システム等の無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地上の絶対座標(緯度、経度)を知り得る測位システムとしてGPS(Global Positioning System)があり、多方面に広く利用されている。例えば、タクシー配車用AVM(Automatic Vehicle Monitoring)システムに於ける車両(タクシー)の現在位置を把握する手段としてGPSが使用され、配車管理センタでタクシーの現在位置を把握することで、効率的な配車が行える様にしている。
【0003】
従来のタクシー配車用AVMシステムについて概略を説明する。
【0004】
従来のタクシー配車用AVMシステムでは、管理センタ、少なくとも1つの基地局、車両に搭載された移動局によって構成され、移動局は現在位置をリアルタイムで取得するGPSを具備している。
【0005】
管理センタは基地局を通して移動局にポーリング信号を発し、移動局はポーリング信号を受信したことでポーリング応答信号を発する。ポーリング応答信号には、移動局(車両)の現在位置、空車/実車の情報が含まれ、管理センタはポーリング応答信号に基づき、車両の現在位置、空車/実車の状態を管理し、配車要求があった場合、顧客に最も近い空車の車両を検索して、該当車両に配車指令を発する。該当車両は配車指令に対して、了解信号を管理センタに返答することで配車が完了する様になっている。
【0006】
従来のタクシー配車用AVMシステムでは、乗務員の状態に拘らず、配車指令が発せられると該当車両は配車指令に従わなければならない様なシステムとなっており、乗務員が配車指令に対応できない状態、例えば、乗務員が食事中等の理由で車両から離れていた場合でも、配車指令は発せられたままである。その結果、返答が遅れ配車完了が遅れたり、或は返答がない場合は管理センタが配車指令を再度送信するか、或は管理センタが配車不適と判断して異なる車両に配車指令を発するか等しており、配車効率が低下する。更に、顧客への車両の到着が遅れ、サービスの低下の要因となっている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−318044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み、乗務員が車両に確実に乗車していることを確認可能とし、乗務員が応答可能な車両に対してのみ、配車指令を発する様にして、返答遅れ、返答無しの状態を解消し、管理センタからの配車が確実に行える様にし、配車効率の向上を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基地局と、移動局を備えた所要数の車両とを有し、前記移動局の情報をポーリングにより収集する無線通信システムに於いて、前記車両は乗務員の着席状態を検知する着席有無検知手段を有し、前記基地局が収集する情報には空車/実車、車両の位置情報、前記着席有無検知手段による乗務員の着席有無情報が含まれ、前記基地局からは前記情報に基づき空車で、前記着席有無検知手段により乗務員の着席有が確認された車両の内、配車場所に最も近い車両に配車指令を発せられる様構成した無線通信システムに係るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基地局と、移動局を備えた所要数の車両とを有し、前記移動局の情報をポーリングにより収集する無線通信システムに於いて、前記車両は乗務員の着席状態を検知する着席有無検知手段を有し、前記基地局が収集する情報には空車/実車、車両の位置情報、前記着席有無検知手段による乗務員の着席有無情報が含まれ、前記基地局からは前記情報に基づき空車で、前記着席有無検知手段により乗務員の着席有が確認された車両の内、配車場所に最も近い車両に配車指令を発せられる様構成したので、乗務員が乗車していない車両は配車対象から外れるので、返答遅れ、返答無しの状態が解消され、配車効率の向上が図れるという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0012】
先ず、図1に於いて、本発明が実施されるタクシー配車用AVMシステムの概要を説明する。
【0013】
1は管理センタであり、電話、或はインターネットからの配車要求に対応する。11,12,13,…は基地局(以下基地局を代表とする場合は基地局11とする)であり、前記管理センタ1と前記基地局11,12,13,…とは専用回線3によって接続されている。
【0014】
前記基地局11,12,13,…は、それぞれ通信可能なエリア、即ち通信ゾーン21,22,23,…を有している。
【0015】
又、図中、31,32,33,…は移動局(以下移動局を代表する場合は移動局31とする)を示し、4はGPS衛星を示し、前記移動局31,32,33,…は、それぞれGPS受信機41,42,43,…(以下GPS受信機を代表する場合はGPS受信機41とする)を有し、該GPS受信機41,42,43,…は前記GPS衛星4からの位置信号を受信して、前記GPS受信機41,42,43,…自身の現在位置を検出できる様になっている。又、該GPS受信機41,42,43,…は検出した現在位置を記憶する様になっている。
【0016】
図2に示される様に、前記管理センタ1は、前記基地局から前記移動局全てに対して順番にポーリング信号Pを発する様になっており、各移動局31,32,33,…は、ポーリング信号Pを受信すると、ポーリング応答信号R1 ,R2 ,R3 ,…を発し、前記管理センタ1は前記基地局を介して前記各移動局31,32,33,…のポーリング応答信号R1 ,R2 ,R3 ,…を検知する様になっている。
【0017】
前記管理センタ1から発せられるポーリング信号Pは、図2(A)に示される様に信号種別部5a、ポーリング車番指定部5b、予備部5cによって構成され、前記種別部5aはポーリング信号Pであることを示す情報、前記ポーリング車番指定部5bは送信すべき車両を指定し、移動局の動態情報を収集する為の情報となっており、前記予備部5cは予備の空きビットである。
【0018】
又、前記移動局、例えば前記移動局31が前記ポーリング信号Pを受信した際に発するポーリング応答信号R1は、図2(B)に示される様に、信号種別部6a、動態情報6b、位置情報6cから構成され、前記信号種別部6aはポーリング応答信号R1であることを示す情報、前記動態情報6bは前記移動局31の空車/実車、車速情報、車両の異常、更に乗務員が乗車しているかどうかの車両動態情報であり、又前記位置情報6cは前記移動局31がGPSから入手する自動車の現在位置(緯度、経度)である。
【0019】
ここで、乗務員が乗車しているかどうかの情報は、シートに設けられた接触式のSW、或は光センサ等の非接触SW等によって、乗務員がシートに座っているかどうかを検知し、検知結果が信号化されたものである。
【0020】
図3に示される様に、前記基地局11,12,13,…から前記各移動局31,32,33,…に対応したポーリング信号P1 〜Pn (車両数がn台)が時系列で発信され、前記移動局31,32,33,…からはポーリング応答信号R1 〜Rn が順次発信される。全ての前記移動局31,32,33,…からのポーリング応答信号Rを受信することでポーリングの1周期Tが完了し、ポーリング周期は配車が完了する迄繰返し実行される。尚、図示される様に、ポーリング周期Tには休止期間が含まれている。
【0021】
次に、図4により、無線通信システムの概略の構成を説明する。
【0022】
前記基地局11は、基地側無線機51、基地側制御部52、表示部53、操作部54を具備し、更に前記基地側制御部52は演算処理部55、ポーリング信号生成部56、車両管理部データベース57を有している。
【0023】
前記移動局31は、移動側無線機61、移動側制御部62、シートSW63、動態情報検出手段64、操作・表示部65、GPS受信装置66を具備し、又前記移動側制御部62はポーリング信号受信部67、データ生成部68を有し、前記GPS受信装置66は位置検出部69、地図データベース70を具備している。
【0024】
以下、本発明の作用について説明する。
【0025】
顧客から配車要求が前記管理センタ1に入ると、前記基地側制御部52に於いて、前記車両管理部データベース57のデータに基づき図2(A)に示されるポーリング信号Pを作成する。前記基地局11は、前記基地側無線機51より前記移動局31にポーリング信号Pを発する。
【0026】
前記移動局31が、前記移動側無線機61によりポーリング信号Pを受信すると、前記移動側制御部62はポーリング応答信号Rを作成する為の情報を収集する。情報としては、乗務員が運転席にいるかどうか(車両に乗車しているかどうか)の情報が前記シートSW63によって検出され、又、車両が空車/実車、或は走行状態等の動態情報がスピードメータ、料金メータ等の前記動態情報検出手段64によって検出され、更に前記移動局31の現在位置情報は、前記GPS衛星4から前記GPS受信装置66が受信し、前記位置検出部69で座標が測定され、又測定された座標と前記地図データベース70により現在地が演算される。
【0027】
前記データ生成部68に於いて、前記シートSW63及び前記動態情報検出手段64に基づき前記データ生成部68が前記動態情報6bを作成し、更に前記GPS受信装置66からの現在位置算出結果に基づき前記位置情報6cが作成され(図2(B)参照)、前記ポーリング応答信号Rとして前記移動側無線機61より前記基地局11に発信する。
【0028】
該基地局11は前記基地側無線機51を介してポーリング応答信号Rを受信し、前記基地側制御部52に於いて、得られたポーリング応答信号R1 〜Rn の動態情報6bから、空車であるかどうか、前記乗務員がシートに着席しているかどうかが判断され、空車であり又前記位置情報6cに基づき乗務員がシートに着席している車両の内で、最も顧客に近い車両を検索し、該当車両(移動局31)に配車指令を発する。
【0029】
配車指令は該当車両の移動局31によって受信され、配車指令が前記操作・表示部65に表示され、乗務員は前記操作・表示部65の配車指令を確認し、該操作・表示部65より了解信号を前記管理センタ1に返答することで配車が完了する様になっている。又、前記管理センタ1に配車の返答をすることで、該管理センタ1から顧客の位置情報等が該当車両(移動局31)に送信される。
【0030】
前記ポーリング応答信号Rの動態情報6bには、乗務員がシートに着席しているかどうかの判断も入っているので、乗務員が配車指令に対応できない状態、例えば、乗務員が食事中等の理由で車両から離れていた場合は、配車の対象から外され、乗務員が応答可能な車両に対してのみ、配車指令が発せられるので、直ちに、確実に返答が得られ、前記管理センタ1からの配車が迅速に、且つ確実に行え、配車効率の向上が図れる。
【0031】
図5により、配車の具体例を説明する。
【0032】
前記基地局11の前記通信ゾーン21に前記移動局31,32,33,34が存在するとして、前記移動局33,34は実車状態で、前記移動局31,32が空車とする。ポーリング応答信号Rの位置情報からは、前記移動局31が顧客に最も近い位置にあるが、シートSWがOFFとなっている。この為、顧客からは前記移動局31より遠いが、シートSWがONである前記移動局32に配車指令が発生さられる。
【0033】
この結果、前記管理センタ1がポーリング応答信号Rを得る迄の、待ち時間がなくなり、実質的な配車時間が短縮され、顧客に対するサービスも向上する。
【0034】
尚、シートSWの代りに光センサ等により乗務員の着席の有無を検出する様にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明が実施されるタクシー配車用AVMシステムの概要説明図である。
【図2】(A)(B)は該タクシー配車用AVMシステムに用いられるポーリング信号及びポーリング応答信号の説明図である。
【図3】ポーリング信号とポーリング応答信号との関係を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に於ける基地局と移動局の概略ブロック構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に於ける配車の具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 管理センタ
3 専用回線
4 GPS衛星
11 基地局
21 通信ゾーン
31 移動局
41 GPS受信機
51 基地側無線機
52 基地側制御部
55 演算処理部
56 ポーリング信号生成部
61 移動側無線機
62 移動側制御部
63 シートSW
64 動態情報検出手段
66 GPS受信装置
67 ポーリング信号受信部
68 データ生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、移動局を備えた所要数の車両とを有し、前記移動局の情報をポーリングにより収集する無線通信システムに於いて、前記車両は乗務員の着席状態を検知する着席有無検知手段を有し、前記基地局が収集する情報には空車/実車、車両の位置情報、前記着席有無検知手段による乗務員の着席有無情報が含まれ、前記基地局からは前記情報に基づき空車で、前記着席有無検知手段により乗務員の着席有が確認された車両の内、配車場所に最も近い車両に配車指令を発せられる様構成したことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−97320(P2010−97320A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266218(P2008−266218)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】