説明

無線通信システム

【課題】無線通信リソースの有効利用を図る。
【解決手段】中継局3が、無線端末4−2からの、当該中継局と無線端末との間の無線チャネル状態に関する情報を受信し、受信した情報をもとに、当該中継局を介した無線基地局2と無線端末との間で使用する無線通信方式の変更の要否を判断し、無線通信方式の変更が必要であると判断された場合にのみ、当該中継局と無線端末との間の無線チャネル状態に関する情報および無線通信方式のうちの少なくとも一方を関連情報として無線基地局に通知し、無線基地局が、通知された関連情報をもとに、中継局を介した当該無線基地局と無線端末との間で使用する無線通信方式を変更するとともに、無線通信方式が変更された通信におけるスケジューリング情報を生成し、生成したスケジューリング情報を中継局に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、例えば、IEEE802.16に規定されたシステムにおいて用いて好適の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WCDMA,CDMA2000等のシステムに代表されるように、現在、無線通信路を介して通信を行なう無線通信システムが世界的に普及している。このような無線通信システムにおいては、サービスエリアに対して無線基地局(BS;Base Station)が設置され、無線端末は、この無線基地局を介して他の通信装置(通信端末)と通信を行なう。
図18は、無線基地局101が、そのカバーエリア(セル)100内において複数の無線端末(MS;Mobile Station)102と接続するP−MP(Point to Multipoint)型の接続形態を示す。高速無線データ通信の規格であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.16においては、通信の形態として、この図18に示すようなP−MP形態を規定している。そして、802.16WGでは,主に固定通信用途向けの802.16d仕様(802.16−2004)と、移動通信用途向けの802.16e仕様(802.16e−2005)と、の2種類を規定している。
【0003】
この図18に示すようなP−MP型の接続形態においては、サービスエリアが無線基地局101のセル100内に制限され、セル100の境界(セルエッジ)においては無線環境が良好でないため高速通信が困難であることが多い。
この問題を解消するため、IEEE802.16WGでは、無線基地局と無線端末との間で中継を行なうリレー局(RS;Relay Station)の検討を行なうタスクグループ802.16jを立ち上げ、目下検討されている最中である。
【0004】
なお、上述のIEEE802.16に関する事項は、例えば以下の非特許文献1から3に開示されている。
また、以下の特許文献1には、リレー局を介した中継システムにおいて、無線基地局がリレー局と無線端末間の通信におけるスケジューリングを決定し、リレー局は、無線基地局からリレー局と無線端末間におけるスケジューリング情報を受信し、そのスケジューリング情報に基づいて、リレー局と無線端末間における通信制御を実行する技術について開示する。このとき、スケジューリング処理を無線基地局が集中的に実行するため、リレー局は簡易な実装で足りるようになっている。
【0005】
この特許文献1に記載された技術においては、リレー局と無線端末との間の通信におけるスケジューリングを無線基地局で全て行なう場合、リレー局は無線端末から受信した信号およびデータの内容を変更せずに無線基地局に中継する必要が生じる。これは、無線基地局が、リレー局に代わってリレー局と無線端末間のスケジューリングを行なうためには、リレー局が受信した無線端末の情報が無線基地局で必要であるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−74325号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】IEEE Std802.16−2004
【非特許文献2】IEEE Std802.16e−2005
【非特許文献3】2006年電子情報通信学会総合大会 B−5−140“IEEE802.16中継システムにおける多重MAP(マップ)の効果”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先に説明した背景技術によれば、無線端末は無線基地局と直接又は中継局を介して無線通信を行なうことができる。
しかし、無線基地局が、リレー局に代わってリレー局と無線端末間のスケジューリングを行なうために、リレー局が受信した無線端末の情報が無線基地局で必要となるため、無線通信リソースである帯域の消費が増大する。
【0009】
そこで、本発明の目的の1つは、無線通信リソースの有効利用を図ることである。
なお、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果をそうすることも本発明の他の目的の1つとして位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)例えば、無線端末と、前記無線端末と無線通信する無線基地局と、前記無線端末と前記無線基地局とを中継する中継局と、を有する無線通信システムであって、該中継局が、前記無線端末からの、当該中継局と前記無線端末との間の無線チャネル状態に関する情報を受信する無線チャネル状態受信部と、該無線チャネル状態受信部で受信した前記情報をもとに、当該中継局を介した前記無線基地局と前記無線端末との間で使用する無線通信方式の変更の要否を判断する判断部と、該判断部で前記無線通信方式の変更が必要であると判断された場合にのみ、当該中継局と前記無線端末との間の無線チャネル状態に関する情報および前記無線通信方式のうちの少なくとも一方を関連情報として前記無線基地局に通知する通知部と、をそなえるとともに、該無線基地局が、該通知部から通知された前記関連情報をもとに、前記中継局を介した当該無線基地局と前記無線端末との間で使用する無線通信方式を変更するとともに、前記無線通信方式が変更された通信におけるスケジューリング情報を生成するスケジューリング情報生成部と、該スケジューリング情報生成部で生成した前記スケジューリング情報を前記中継局に送信する送信部と、をそなえた、無線通信システムを用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線通信リソースの有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の各実施形態が適用される無線通信システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態が適用される無線フレームフォーマットの一例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態における信号シーケンスを示す図である。
【図4】第1実施形態の信号シーケンスに対する対比例としての信号シーケンスを示す図である。
【図5】第1実施形態における中継局を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態における中継局の記憶部で記憶する情報を示す図である。
【図7】第1実施形態における中継局の通知部で生成する制御メッセージの構成例を示す図である。
【図8】第1実施形態における無線基地局を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態における信号シーケンスを示す図である。
【図10】第2実施形態における中継局を示すブロック図である。
【図11】第2実施形態における中継局の記憶部で記憶する情報を示す図である。
【図12】第2実施形態における中継局の通知部で生成する制御メッセージの構成例を示す図である。
【図13】第2実施形態における無線基地局を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態における信号シーケンスを示す図である。
【図15】第3実施形態における中継局を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態における中継局の記憶部で記憶する情報を示す図である。
【図17】第3実施形態における中継局の通知部で生成する制御メッセージの構成例を示す図である。
【図18】無線通信システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態を説明する。
〔a〕本発明の各実施形態が適用される無線通信システムの構成例の説明
図1は本発明の各実施形態が適用される無線通信システムの構成例を示す図である。この図1に示す無線通信システム1は、無線基地局(BS)2と、中継局(リレー局;RS)3と、複数(ここでは2つ)の無線端末(MS♯1,MS♯2)4−1,4−2と、をそなえている。尚、以下においては、無線端末4−1,4−2について区別しない場合には単に無線端末4と記載する。
【0014】
そして、無線基地局2のカバーエリア2a内に存在する無線端末4−1が無線基地局2と無線信号のやり取り(通信)を行なうとともに(BS−MSリンク)、無線基地局2のカバーエリア2a外の無線端末4−2が、中継局3を介して無線基地局2と無線通信を行なうことができるようになっている(BS−RSリンクおよびRS−MSリンク)。尚、無線端末4としては、移動に適したいわゆるMSのほか、固定的な利用に適した無線装置のいずれを用いることもできる。
【0015】
図2に、本実施形態が適用される無線フレームフォーマットの一例として、上述の無線基地局2,中継局3および無線端末4−1,4−2相互においての無線通信のための無線フレームフォーマットを示す。尚、ここでは、IEEE Std802.16d,eに対応した無線フレームフォーマットを例としてあげるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
図2において、Tx,Rxはそれぞれ送信,受信を意味する。従って、BS2はプリアンブル(P)をフレームの先頭として、DL/UL MAP(マップ),MMRバースト♯1,♯2,下りバーストT4−1を順に送信している。尚、MMRバースト♯1は、無線基地局2から図1中においては図示しない中継局への送信データとし、MMRバースト♯2は、図1中に図示された中継局3への送信データとし、下りバースト4−1は、図1中無線端末4−1への送信データとする。
【0017】
プリアンブル(P)は、無線端末4−1,4−2,中継局3が無線基地局2に同期することを可能とするために無線基地局2のエリア内に送信する同期信号であり、所定の既知パターンとして一定周期で送信される。尚、図2において、UP Link Sub-frame(アップ・リンク・サブ・フレーム)が終わると、再びDown Link Sub-frame(ダウン・リンク・サブ・フレーム)の送信がプリアンブから開始される。
【0018】
無線端末4は、予め複数種類のプリアンブルのパターンを記憶しておき、各パターンのうち最も受信品質(例えば受信レベル)が良好なものを通信先の無線基地局2として選択することができる。
無線方式として例えばOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplexing Access)を利用する場合には、無線基地局2は送信データを各サブキャリアに割り振って、複数のサブキャリアを用いて送信を行なうが、プリアンブルについても所定のパターンで各サブキャリアに割り振り送信することができる。無線端末4は、その所定のサブキャリアの組み合わせを受信して既知のプリアンブル信号とのマッチングをとって、最も良好なプリアンブルを送信する無線基地局2に対して同期を取ることができる。
【0019】
Down Link Sub-frame(ダウン・リンク・サブ・フレーム)のプリアンブルの送信に続くのは、DL/UL MAP(マップ)であり、中継局3,無線端末4−1に対して送信受信タイミング,送受信チャネル,無線通信方式(変調方式、符号化方式、符号化レート等)などの送受信動作を制御するための制御データ(MAP(マップ)データ)を格納する領域である。このMAP(マップ)データは、DL MAP(マップ)データとUL MAP(マップ)データとを含み、DL MAP(マップ)データは下りサブフレームの構造を定義し、UL MAP(マップ)データは上りサブフレームの構造を定義する。
【0020】
DL MAP(マップ)データは、中継局3に対する送信データであるMMR♯2の領域(無線端末4−2宛のMAP(マップ)データ、送信データ等を含む)についての送信タイミング,送信チャネル(受信側にとっての受信タイミング、受信チャネル)および無線通信方式等を通知するためのデータと、無線端末4−1に対する送信データであるT4−1の領域についての送信タイミング,送信チャネル(受信側にとっての受信タイミング、受信チャネル)および無線通信方式等を通知するためのデータと、を含む。尚、図1中においては図示を省略した中継局に対する送信データである図2中のMMR♯1領域における制御データについても含まれることになる。
【0021】
一方、UL MAP(マップ)データは、無線端末4−1からのRNG(Ranging(レンジング)信号)やCQI(Channel Quality Indicator)を受信する領域(受信タイミング,受信チャネル(送信側にとっての送信タイミング、送信チャネル)や無線通信方式等を通知するためのMAP(マップ)データと、中継局3からのMMR♯2(図示しない中継局からのMMR♯1)を受信する領域(受信タイミング,受信チャネル(送信側にとっての送信タイミング、送信チャネル)や無線通信方式等を通知するためのMAP(マップ)データと、を含む。
【0022】
ここで、Ranging(レンジング)信号は既知信号であり、無線基地局2において(又は中継局3を介して無線基地局2において)受信され、受信タイミングずれ(位相ずれ)や受信周波数ずれの他、必要な送信電力の増減情報を求めた結果を、Adjustment(アジャストメント)情報として無線基地局2に報告する。この例では無線端末4−1からのRNGは、無線基地局2のRNG受信期間で直接受信され、無線端末4−2からのRNGは、中継局3のRNG受信期間で受信され、上りリンクのMMR♯2を通じて無線基地局2へ送信される。
【0023】
CQIは、プリアンブル又はパイロット信号(下りバーストデータ等に含まれる既知信号)等の既知信号について無線端末4がCINR(Career to Interference and Noise Ratio)等の受信品質の測定を行なった結果を報告するための送信期間を示す。無線基地局2は、例えば自身の配下の無線端末4−1から受信したCQI情報に基づいて変調方式、符号化方式、符号化レート等の送信パラメータを変更する。
【0024】
すなわち、受信品質が良好な場合には、伝送速度を上げる方向の制御を行なう一方、受信品質が劣化した場合には、伝送速度を下げる方向の制御を行なう。
ところで、中継局3は、図1に示す無線端末4−2のように無線基地局2の形成するエリア外の無線端末4−2に対してサービスを提供するために、プリアンブルや、DL/UL MAP(マップ)を送信する。即ち、無線端末4−2は、無線基地局2から送信されるプリアンブル等を受信できないため、中継局3から送信されたプリアンブル等を受信することで、中継局3が送信する無線フレームに同期できるようにしているのである。尚、中継局3が送信するプリアンブルは、無線基地局2が送信するプリアンブルと異なるものでもよいし、同じものでもよい。
【0025】
中継局3が送信するDL/UL MAP(マップ)は、中継局3配下の無線端末4−2との間で無線通信を行なう領域(送受信タイミング、チャネル)、無線通信方式を規定するもので、下りリンクのMMR♯2で伝送されてくるデータに由来し、無線基地局2が送信するDL/UL MAP(マップ)の内容とは異なるものとすることができる。
したがって、無線端末4−2は、中継局3から送信されるプリアンブル(P)を受信して同期を確立し、プリアンブルを基準に受信したDL MAP(マップ)に含まれる下りバーストT4−2の送信領域、無線通信方式を検出するので、T4−2をその領域、無線通信方式で受信する。同様に、受信したUL MAP(マップ)に含まれるRNG,CQI,T4−2の送信領域、無線通信方式を取得して各種データを送信する。
【0026】
そして、中継局3は通知したUL MAP(マップ)データに従いRNG,CQI,T4−2を受信し、これらのデータについて上りリンクのMMR♯2を通じて無線基地局2に送信する。
以上のように、中継局3を導入することで、無線端末4−2の無線通信をサポートすることができるが、無線基地局2においては、無線端末4−1,中継局3との通信のためのDL/UL MAP(マップ)だけでなく、無線端末4−2向けのDL/UL MAP(マップ)を生成するために、中継局3が受信した無線端末4−2の情報を無線基地局2で受け取っている。
【0027】
本実施形態においては、中継局3と無線基地局2との間での上り/下りのリンクMMR♯2で伝送する情報量を抑制することができるようにする。
〔b〕第1実施形態の説明
・第1実施形態における信号シーケンスの概略
図3は本発明の第1実施形態において、無線基地局2から送出するBW Request Code(リクエスト・コード)およびその応答信号についての信号シーケンスを示す図であり、図4は第1実施形態の信号シーケンスに対する対比例としての信号シーケンスを示す図である。尚、図3,図4に示す場合においては、中継局3,3′においてそれぞれ3つの無線端末4−21〜4−23と接続しているものとする。
【0028】
なお、BW Request Code(リクエスト・コード)は、無線端末4からネットワークに対してデータを送信したい場合に、例えば図2の上りリンクのRNG領域において、無線端末4から(図4の中継局3′又は図3の中継局3を介して)無線基地局2に対して最初に送るべきコードである。無線端末は、複数種類のコードの中から1つを選択して送信する。そして、このBW Request Code(リクエスト・コード)に対する応答であるCDMA Allocation(アロケーション)IEは、UL MAP(マップ)内に定義された情報であって、当該BW Request Code(リクエスト・コード)を送信した無線端末4に対して、当該無線端末4からBW Requestを送出するためのフレーム領域(送受信タイミング)および通信方式を通知するためのものである。このCDMA Allocation(アロケーション)IEを受け取った無線端末4は、当該CDMA Allocation(アロケーション)IEで指定されるフレーム領域(送信タイミング)および通信方式で、ネットワークに対してデータを送信するための帯域要求であるBW Requestを無線基地局2に対して送信できるようになる。
【0029】
ここで、図4に示す中継局3′のように、無線基地局2においてBW Request Code(リクエスト・コード)に対応した帯域割り当てをUL MAP(マップ)を通じて行なうためには、複数の無線端末4−21〜4−23からBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3を受信した場合には、その受信の都度、各BW Request Code(リクエスト・コード)の情報(例えばコードの種類)を、それぞれの受信タイミング(フレーム番号,フレーム位置)の情報とともに、無線基地局2に中継する必要が生じることが想定される。
【0030】
即ち、図4に示す無線基地局2では、これらのBW Request Code(リクエスト・コード)に関連する情報をその都度受けて、BW Request Code(リクエスト・コード)に対する応答(CDMA Allocation(アロケーション)IE(Information Element);図中においては、CDMA Alloc IEと記載)を含んだスケジューリング情報(DL/UL MAP(マップ))を生成することができるようにしている。
【0031】
これに対して、図3に示す第1実施形態にかかる中継局3によれば、各々の無線端末4−21〜4−23からBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3を受信した場合において、無線基地局2での上記スケジューリング情報の生成のために、受信タイミングの情報(即ち無線端末4からの送信タイミングの情報)を含む各BW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3の全情報を送信することなく、単一のBW Request Message(リクエスト・メッセージ)として、図4の場合の全情報よりも集約した情報を無線基地局2に送信するようになっている。
【0032】
具体的には、中継局3は、接続している複数の無線端末4−21〜4−23からBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3を受信した場合、各々のBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3と無線フレームにおけるBW Request Code(リクエスト・コード)の受信位置の情報(無線端末からの信号の受信により得られる情報)を記憶しておく。そして、中継局3は、BW Request Code(リクエスト・コード)の情報を集約した情報として、例えば受信した各BW Request Code(リクエスト・コード)そのもののパターンではなく、受信したBW Request Code(リクエスト・コード)の数の情報をBW Request Message(リクエスト・メッセージ)として無線基地局2に送信する。尚、自身の中継局3で記憶する、BW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3の受信タイミングの情報については、無線基地局2に対する送信を省略する。
【0033】
無線基地局2においては、受信した中継局3からのBW Request Code(リクエスト・コード)の数から、その分だけのCDMA Allocation(アロケーション)IEの領域を確保し、UL MAP(マップ)を生成する。即ち、無線基地局2は、各BW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3を送信した無線端末4−21〜4−23への応答となるCDMA Allocation(アロケーション)IEx3において個別にBW Request Code(リクエスト・コード)の受信フレーム位置の情報の具体的な書き込みを行なわずに、当該割り当てのための領域を確保した応答R1(UL MAP(マップ)中でのCDMA Allocation(アロケーション)IE)を出力する。通常、CDMA Allocation(アロケーション)IEには、BW Request Code(リクエスト・コード)の値や無線端末4−21〜4−23がBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3を送信したときの無線フレームの位置を記述するが、第1実施形態における無線基地局2では、それらの情報を把握していないため、その領域への情報の記述は省略されるようになっている。
【0034】
すなわち、CDMA Allocation(アロケーション)IEに書き込まれるべき、無線端末4−21〜4−23がBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3を送信したときの無線フレームの位置については、前述したように中継局3において記憶している。そこで、中継局3では、無線基地局2からのUL MAP(マップ)中のCDMA Allocation(アロケーション)IE領域にこれらの内容を書き込み、個別にBW Requestのフレーム位置を割り当てる。尚、割り当ての優先度としては、Codeの到着順や、重要度等を尺度として定めることができる。
【0035】
中継局3では、このようにBW Requestのフレーム位置が割り当てられた応答としてのCDMA Allocation(アロケーション)IE♯1〜♯3を、UL MAP(マップ)において送信する(R2参照)。各無線端末4−21〜4−23では、受信したUL MAP(マップ)の内容から、自身が送出したBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3に対応する応答CDMA Allocation(アロケーション)IE♯1〜♯3の内容を読み出すことにより、その後のBW Requestを送信するために指定されたフレーム位置や無線通信方式を得ることができる。
【0036】
これにより、特に中継局3から無線基地局2に対するBW Request Code(リクエスト・コード)に関連した情報の伝送量を削減し、上りリンクの無線通信リソースであるMMR♯2を効率的に使用することができるようになる。
・第1実施形態における中継局の構成
第1実施形態における中継局3は、上述のごとき無線通信リソースの効率化を図るための機能に着目すると、図5に示す中継局3Aのように、受信部301,Code受信部302,記憶部303,集約部304,通知部305,送信部306,UL MAP(マップ)抽出部307および中継部308をそなえている。
【0037】
ここで、受信部301は、無線端末4−2(図1参照、図3においては4−21〜4−23)および無線基地局2から信号又はメッセージをなす無線信号を受信する。又、Code受信部302は、受信部301で受信した信号又はメッセージから、例えば上述の無線端末4−2からのBW Request Code(リクエスト・コード)(帯域要求信号)のごときコード(Code)を抽出する。具体的には、コードを受信したときのフレーム番号およびコード値,そのコードを受信したときの無線フレームの位置の情報として、シンボル(symbol)とサブチャネル(subchannel)の情報を検出する。
【0038】
したがって、上述の受信部301およびCode受信部302により、複数の無線端末4−21〜4−23からの信号およびメッセージを受信するとともに、受信した信号およびメッセージの情報を記憶部303に格納する端末側信号受信部を構成する。又、上述の受信部301により、無線基地局2と当該中継局3Aを介した複数の無線端末4のそれぞれとの間の通信におけるスケジューリング情報を無線基地局2から受信する基地局側信号受信部を構成する。
【0039】
記憶部303は、複数の無線端末4−21〜4−23からの信号およびメッセージの情報を記憶する。具体的には、Code受信部302で受信した帯域要求信号の情報として、帯域要求信号の種類および位置情報を通信制御情報として格納しておく。例えば図6に示すように、Code受信部302で抽出、検出したコード番号、フレーム番号、そのコードを受信したときの無線フレームの位置の情報であるシンボルとサブチャネルの情報を記憶する。さらに、記憶部303は、複数の無線端末4−21〜4−23との通信制御のための通信制御情報(この場合には、スケジューリング情報であるDL/UL MAP(マップ)を生成するための情報)を記憶する。
【0040】
集約部304は、複数の無線端末4−21〜4−23からの信号およびメッセージの情報を集約する。具体的には、Code受信部302で上述のごとき無線端末4−2からのBW Request Code(リクエスト・コード)を受信した場合、そのフレーム内で受信したBW Request Code(リクエスト・コード)の数をカウントし、カウントしたBW Request Code(リクエスト・コード)の数の情報を制御メッセージとして無線基地局2に送出すべく通知部305に渡す。
【0041】
これにより、通知部305では、集約部304からのBW Request Code(リクエスト・コード)の数の情報をもとに制御メッセージを生成するようになっており、送信部306では、通知部305で生成した制御メッセージを無線基地局2に宛てて無線送信するようになっている。尚、制御メッセージ送信用の帯域は,中継局3Aが無線端末4−2からBW Request Code(リクエスト・コード)を受信する契機に無線基地局2から割り当てられるものとする。
【0042】
通知部305で生成する制御メッセージの構成例を図7に示す。制御メッセージには、この図7に示すように、送信元の識別情報となる中継局3AのID情報(RS ID)、本制御メッセージの種別(タイプ)の情報(Message Type)、中継局3AがBW Request Code(リクエスト・コード)を受信したときのフレーム番号(Frame Number)およびそのときのBW Request Code(リクエスト・コード)の個数のカウント値(No. BW Request Code)を含めることができる。
【0043】
したがって、上述の通知部305および送信部306により、集約部304で集約した情報を、スケジューリング情報であるDL/UL MAP(マップ)の生成のために無線基地局2に送信する基地局側信号送信部を構成する。
また、UL MAP(マップ)抽出部307は、受信部301で受信した無線基地局2からの信号のうちで、UL MAP(マップ)を抽出する。
【0044】
BW Request Code(リクエスト・コード)に対する応答であるCDMA Allocation(アロケーション)IEは、このUL MAP(マップ)中に含まれている。そして、中継部308においては、UL MAP(マップ)抽出部307で抽出されたUL MAP(マップ)を中継するが、特に、CDMA Allocation(アロケーション)IEの情報については、記憶部303で記憶されている情報に変換してから、送信部306を通じて無線端末4−2に中継を行なう。
【0045】
前述したように、無線端末4−21〜4−23がBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3を送信したときの無線フレームの位置の情報やフレーム番号、およびコード値などについては、中継局3Aの記憶部303で記憶される一方、集約部304での集約処理により、記憶部303で記憶されたこれらの情報については、無線基地局2へ送出する内容(図7の制御メッセージの内容)からは省略されている。従って、無線基地局2からのUL MAP(マップ)に含まれるCDMA Allocation(アロケーション)IEには、これらの情報は含まれていない。
【0046】
中継部308では、UL MAP(マップ)抽出部307で抽出したUL MAP(マップ)中のCDMA Allocation(アロケーション)IE領域に、記憶部303で記憶されているこれらの内容(無線フレームの位置の情報やフレーム番号、およびコード値等)を書き込むことで補完し、無線端末4−2から送出すべきBW Requestのフレーム位置を個別に割り当てることができる。このように内容が補完されたCDMA Allocation(アロケーション)IEについては、送信部306を通じて無線端末4に送信することができる。尚、割り当ての優先度としては、Codeの到着順や、重要度等を尺度として定めることができる。
【0047】
したがって、上述の中継部308により、受信部301で受信した(無線基地局2からの)スケジューリング情報について、記憶部303で記憶している通信制御情報に応じて内容を補完する補完部を構成する。即ち、補完部としての中継部308は、受信部301で受信したスケジューリング情報について、記憶部303で記憶している帯域要求信号の種類および位置情報を補完するのである。
【0048】
また、送信部306は、中継部308で内容が補完されたスケジューリング情報を複数の無線端末4−21〜4−23に送信する端末側信号送信部を構成する。
・第1実施形態における無線基地局2の構成
また、第1実施形態における無線基地局2については、上述のごとき無線通信リソースの効率化を図るための機能に着目すると、図8に示す無線基地局2Aのように、受信部201,制御メッセージ抽出部202,スケジューリング部203,NWインタフェース部204,バッファ部205および送信部206をそなえている。
【0049】
ここで、受信部201は、中継局3Aや無線端末4−1(図1参照)からの信号またはメッセージをなす無線信号を受信するものであり、中継局3Aにおける基地局側信号送信部をなす送信部306からの情報を受信する。又、制御メッセージ抽出部202は、受信部201において受信した信号またはメッセージのうちで、制御メッセージの情報を抽出するものである。例えば、制御メッセージ抽出部202においては、中継局3Aにおいて図7に示すようなBW Request Code(リクエスト・コード)の数を通知するための制御メッセージの内容を抽出するようになっている。
【0050】
スケジューリング部203は、制御メッセージ抽出部202で抽出された制御メッセージに記述されている内容からスケジューリング情報であるDL/UL MAP(マップ)を生成する。例えば、制御メッセージ抽出部202において、図7に示すようなBW Request Code(リクエスト・コード)の数を通知するための制御メッセージを抽出した場合においては、スケジューリング部203では、そのBW Request Code(リクエスト・コード)の数分の領域のCDMA Allocation(アロケーション)IEを生成し、UL MAP(マップ)に追加する。このとき、生成したCDMA Allocation(アロケーション)IEには、BW Request Code(リクエスト・コード)に対する応答をなす具体的な情報は含まれていない。
【0051】
したがって、上述のスケジューリング部203は、受信部201で受信した情報をもとに、スケジューリング情報であるDL/UL MAP(マップ)を、前述の中継局3Aの中継部308で補完すべき情報を除いて生成するスケジューリング情報生成部である。換言すれば、スケジューリング部203は、受信部201で受信した情報をもとに、スケジューリング情報を、受信部201で受信した情報に集約された帯域要求信号数分の帯域割り当てを行なって生成するようになっている。
【0052】
NWインタフェース部204は、受信部201で受信した無線端末4からのデータを例えば他のネットワークへ送出すべくインタフェース処理を行なうとともに、他のネットワークからの無線端末4宛の信号についてインタフェース処理を行なうものである。又、バッファ25は、NWインタフェース部204からのデータやスケジューリング部203で生成されたDL/UL MAP(マップ)について、定められたタイミングで送信部206から送信すべくバッファリングを行なうものである。
【0053】
送信部206は、バッファ25からの信号又はメッセージについて、中継局3Aや無線端末4−1に対して送信するものである。例えば、スケジューリング部203で生成したスケジューリング情報を中継局3Aに送信する。
・作用効果
第1実施形態においては、中継部3Aおよび無線基地局2Aがそれぞれ上述のごとく構成されているので、例えば図3の信号シーケンスに示すように、中継局3Aにおいて無線端末4−2からのBW Request Code(リクエスト・コード)♯1〜♯3の情報が集約された制御メッセージとして無線基地局2に送信されるとともに、無線基地局2からのCDMA Allocation(アロケーション)IEについて、内容を補完しながら無線端末4−2に送信することができる。
【0054】
具体的には、中継局3Aの受信部301およびCode受信部302で、複数の無線端末4−21〜4−23からの信号およびメッセージとして、BW Request Code(リクエスト・コード)を受信し、受信したBW Request Code(リクエスト・コード)の情報であるコード番号,フレーム位置およびフレーム番号の情報を、無線端末4−21〜4−23と当該中継局3Aとの間の通信制御のための通信制御情報として記憶部303で記憶する。更に、集約部304において、無線端末4−21〜4−23からのBW Request Code(リクエスト・コード)の情報を集約するとともに、通知部305および送信部306により、この集約した情報を、無線基地局2に送信する(図3の"BW Request Message(リクエスト・メッセージ)"、図7参照)。
【0055】
また、無線基地局2では、受信部201および制御メッセージ抽出部202において、上述の集約した情報を中継局3Aから受信し、スケジューリング部203で、この受信した集約した情報をもとに、当該無線基地局2と中継局3Aを介した無線端末4−21〜4−23のそれぞれとの間の通信のためのスケジューリング情報(UL MAP(マップ)のCDMA Allocation(アロケーション)IE)を生成して、バッファ部205および送信部206で、上述のごとく生成したスケジューリング情報を中継局3Aに送信する(図3のR1参照)。このとき、生成したスケジューリング情報をなすCDMA Allocation(アロケーション)IEには、BW Request Code(リクエスト・コード)に対する応答をなす具体的な情報を含めない(即ち空欄としておく)。
【0056】
中継局3Aの受信部301およびUL MAP(マップ)抽出部307により、無線基地局2で送信されたスケジューリング情報を受信し、中継部308で、受信した前記スケジューリング情報について、記憶部303に記憶している通信制御情報に応じて内容を補完する(即ち、BW Request Code(リクエスト・コード)に対する応答をなす具体的な情報を盛り込む)。そして、送信部306により、内容が補完されたスケジューリング情報を無線端末4−21〜4−23に送信する(図3のR2参照)。
【0057】
なお、各無線端末4−21〜4−23においては、受信したUL MAP(マップ)内のCDMA Allocation(アロケーション)IEのフレーム位置情報から、自身が送出したBW Request Code(リクエスト・コード)に対する応答であるCDMA Allocation(アロケーション)IEを抽出する。これにより、その後、各無線端末4−21〜4−23においては、UL MAP(マップ)においてUp Link Sub-frameでの指定された領域で、BW Requestを送信することができる。
【0058】
このように、本発明の第1実施形態によれば、中継局3で無線端末4−21〜4−23対応のUL MAP(マップ)の情報を補完することができるので、無線通信リソースの有効利用を図ることができる利点がある。
なお、上述の第1実施形態においては、中継局3Aで複数の無線端末4−21〜4−23を収容する場合について説明しているが、本発明によればこれに限定されず、一の無線端末を収容している場合においても、同様に無線通信リソースの有効利用を図ることができる。
【0059】
〔b〕本発明の第2実施形態の説明
第1実施形態においては、中継局3を導入する場合において、帯域要求信号として無線端末4−2からBW Request Code(リクエスト・コード)を送信し、無線基地局2から応答としてUL MAP(マップ)におけるCDMA Allocation(アロケーション)IEを送信する場合について説明したが、第2実施形態においては、無線端末4−2からRanging Code(レンジング・コード)を送信し、無線基地局2から応答としてDL MAP(マップ)におけるRNG−RSPを送信する場合について説明する。
【0060】
なお、Ranging Code(レンジング・コード)は、図1に示す無線基地局2に対して無線端末4−1が送信することにより、当該無線端末4−1での送信電力、送信タイミングや送信周波数を制御するための指示(RNG−RSP)を無線基地局2から受け取るためのものである。
本実施形態のように中継局3を導入する場合においては、無線基地局2のカバーエリア外であって中継局3のカバーエリアに存在する無線端末4−2は、中継局3と無線接続を開始する段階においてRanging Code(レンジング・コード)を送信し、中継局3からの応答(RNG−RSP)を通じて送信電力制御等を受けるようになっている。このとき、中継局3がRNG−RSPを無線端末4−2に送信するために、無線基地局2からのDL MAP(マップ)を通じて帯域の割り当てを受ける必要がある。従って、中継局3では無線端末4−2からのRanging Code(レンジング・コード)に関連する情報を無線基地局2に送信する必要がある。
【0061】
ここで、中継器3を導入する場合においては、中継局3で複数の無線端末4−21〜4−23からRanging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3を受信すると、無線基地局2においてRanging Code(レンジング・コード)に対応した帯域割り当てをDL MAP(マップ)を通じて行なうために、その受信の都度、各Ranging Code(レンジング・コード)の情報を、それぞれの受信タイミング(フレーム番号,フレーム位置)の情報とともに、無線基地局2に中継する必要が生じることが想定される。
【0062】
これに対し、第2実施形態においては、以下に示すように中継局3から無線基地局2に送信するRanging Code(レンジング・コード)に関連する情報を集約するとともに、中継局3においてRNG−RSPを生成することを通じて、帯域の有効利用を図るものである。
・第2実施形態における信号シーケンスの概略
図9は本発明の第2実施形態において、無線端末4−21〜4−23から送出するRanging Code(レンジング・コード)およびその応答信号についての信号シーケンスを示す図である。各々の無線端末4−21〜4−23からRanging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3を受信した場合においては、無線基地局2での上記DL MAP(マップ)の生成のために、受信タイミングの情報(即ち無線端末4からの送信タイミングの情報)を含む各Ranging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3の全情報を送信することなく、単一のRS Ranging Message(レンジング・メッセージ)として、第1実施形態の図3の場合と同様、Ranging Code(レンジング・コード)に関連する全情報よりも集約した情報を無線基地局2に送信するようになっている。
【0063】
具体的には、中継局3は、接続している複数の無線端末4−21〜4−23からRanging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3を受信した場合、各々のRanging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3と無線フレームにおけるRanging Code(レンジング・コード)の受信位置の情報とともに無線端末4−21〜4−23への電力・タイミングその他周波数等の調整情報(無線端末4−21〜4−23からの送信電力、位相その他周波数を調整するための制御情報)を記憶しておく。
【0064】
そして、中継局3は、Ranging Code(レンジング・コード)の情報を集約した情報として、例えば第1実施形態の場合に倣い、受信した各Ranging Code(レンジング・コード)そのもののパターンではなく、受信したRanging Code(レンジング・コード)の数の情報をRS Ranging Message(レンジング・メッセージ)として無線基地局2に送信する。尚、上述のごとく自身の中継局3で記憶する、Ranging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3の受信タイミングや電力等の調整のための情報については、無線基地局2に対する送信を省略する。
【0065】
無線基地局2においては、受信した中継局3からのRanging Code(レンジング・コード)の数から、その分だけのRNG−RSPの領域をフレーム中のデータ領域内で確保し、DL MAP(マップ)を生成する。即ち、無線基地局2は、各Ranging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3を送信した無線端末4−21〜4−23への応答R3として、DL MAP(マップ)中で当該RNG−RSPのための領域を指定する。尚、無線基地局2においては、中継局3から送信電力や送信タイミング等の制御情報を受け取っていないので、指定された領域RNG−RSPには個別の制御情報の書き込みは行なわない。
【0066】
すなわち、RNG−RSPに書き込まれるべき、無線端末4−21〜4−23に対する送信電力制御情報や位相制御情報または周波数制御情報は、前述したように中継局3において記憶している。そこで、中継局3では、DL MAP(マップ)で指定されたRNG−RSP領域にこれらの内容を書き込み、RNG−RSP♯1〜♯3として、無線端末4−21〜4−23ごとに個別に送信電力制御情報や送信タイミング(位相)の制御情報等を通知する。
【0067】
これにより、特に中継局3から無線基地局2に対するRanging Code(レンジング・コード)に関連した情報の伝送量を削減し、上りリンクの無線通信リソースであるMMR♯2を効率的に使用することができるようになる。
・第2実施形態における中継局の構成
第2実施形態における中継局3は、上述のごとき無線通信リソースの効率化を図るための機能に着目すると、図10に示す中継局3Bのように、受信部311,Code受信部312,記憶部313,集約部314,通知部315,送信部316,DL MAP(マップ)抽出部317および中継部318をそなえている。
【0068】
ここで、受信部311は、無線端末4−2(図1参照、図9においては4−21〜4−23)および無線基地局2から信号又はメッセージをなす無線信号を受信する。又、Code受信部312は、受信部311で受信した信号又はメッセージから、例えば上述の無線端末4−2からのRanging Code(レンジング・コード)のごときコード(Code)を抽出する。
【0069】
具体的には、Code受信部312では、コードを受信したときのフレーム番号およびコード値,そのコードを受信したときの無線フレームの位置情報として、シンボル(symbol)とサブチャネル(subchannel)の情報を検出する。特に、無線端末4−21〜4−23からのRanging Code(レンジング・コード)を受信部311で受信した場合には、そのRanging Code(レンジング・コード)の受信信号から受信電力および受信タイミングを測定し、測定結果を基に生成した無線端末4−2への電力・タイミング調整情報を記憶部313に記憶する。
【0070】
したがって、上述の受信部311およびCode受信部312により、複数の無線端末4−21〜4−23からの信号およびメッセージを受信するとともに、受信した信号およびメッセージの情報を記憶部313に格納する端末側信号受信部を構成する。特にCode受信部312は、複数の無線端末4−21〜4−23からの電力/タイミング調整用信号であるRanging Code(レンジング・コード)を受信するとともに、前記受信したRanging Code(レンジング・コード)から、対応する無線端末4−21〜4−23のための電力/タイミング調整情報を生成し、生成した電力/タイミング調整情報とともに、Ranging Code(レンジング・コード)としての種類(コード種別)および位置情報を通信制御情報として記憶部313に格納する。
【0071】
又、上述の受信部311により、無線基地局2と当該中継局3Bを介した複数の無線端末4−21〜4−23のそれぞれとの間の通信におけるスケジューリング情報(DL/UL MAP(マップ))を無線基地局2から受信する基地局側信号受信部を構成する。
さらに、記憶部313は、複数の無線端末4−21〜4−23との通信制御のための通信制御情報(この場合には、スケジューリング情報であるDL/UL MAP(マップ)を生成するための情報)を記憶する。具体的には図11に示すように、Code受信部312で受信したRanging Code(レンジング・コード)に関連する情報として、Code受信部312で抽出、検出したコード番号(Code)、フレーム番号(Frame Number)、そのコードを受信したときの無線フレームの位置の情報であるシンボル(Symbol)とサブチャネル(Subchannel)の情報を記憶するとともに、電力/タイミング調整情報として、タイミング調整情報(Timing)および電力調整情報(Power)を記憶する。
【0072】
集約部314は、無線基地局2に対して送信すべき、複数の無線端末4−21〜4−23からの電力/タイミング調整用信号を集約する。具体的には、Code受信部312で上述のごとき無線端末4−21〜4−23からの電力/タイミング調整用信号であるRanging Code(レンジング・コード)を受信した場合、そのフレーム内で受信したRanging Code(レンジング・コード)の数をカウントし、カウントしたRanging Code(レンジング・コード)の数の情報を制御メッセージとして無線基地局2に送出すべく通知部315に渡す。
【0073】
これにより、通知部315では、集約部314からのRanging Code(レンジング・コード)の数の情報をもとに制御メッセージを生成するようになっており、送信部316では、通知部315で生成した制御メッセージを無線基地局2に宛てて無線送信するようになっている。尚、制御メッセージ送信用の帯域は,中継局3Bが無線端末4−2からRanging Code(レンジング・コード)を受信する契機に無線基地局2から割り当てられるものとする。
【0074】
通知部315で生成する制御メッセージの構成例を図12に示す。制御メッセージには、この図10に示すように、送信元の識別情報となる中継局3BのID情報(RS ID)、本制御メッセージの種別(タイプ)の情報(Message Type)、中継局3BがRanging Code(レンジング・コード)を受信したときのフレーム番号(Frame Number)およびそのときのRanging Code(レンジング・コード)の個数のカウント値(No. Ranging Code)を含めることができる。
【0075】
したがって、上述の通知部315および送信部316により、集約部314で集約した情報を、スケジューリング情報であるDL/UL MAP(マップ)の生成のために無線基地局2に送信する基地局側信号送信部を構成する。
また、DL MAP(マップ)抽出部317は、受信部311で受信した無線基地局2からの信号のうちで、DL MAP(マップ)を抽出する。
【0076】
Ranging Code(レンジング・コード)に対する電力・タイミング調整情報は、このDL MAP(マップ)で領域が指定されたRNG−RSPの領域に書き込まれる。そして、中継部318においては、DL MAP(マップ)抽出部317で抽出されたDL MAP(マップ)を中継するが、特に、コードを送信した無線端末に由来する無線フレームの位置の情報(シンボルおよびサブチャネル)については、記憶部313に記憶されている内容でDL MAP(マップ)を補完する。更に、中継部318では、このDL MAP(マップ)で指定されたRNG−RSPの領域に、該当の無線端末4−21〜4−23への電力/タイミング調整情報を書き込む。このようにDL MAP(マップ)およびRNG−RSPの内容が書き込まれた信号を、送信部316を通じて無線端末4−21〜4−23に送信する。
【0077】
前述したように、無線端末4−21〜4−23がRanging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3を送信したときの無線フレームの位置情報やフレーム番号、およびコード値などについては、中継局3Aの記憶部313で記憶される一方、無線基地局2へ送出する内容(図12の制御メッセージの内容)からは省略されている。
中継部318では、DL MAP(マップ)抽出部317で抽出したDL MAP(マップ)の内容を、記憶部313で記憶されているこれらの内容(無線フレームの位置の情報やフレーム番号、およびコード値等)を書き込むことで補完するとともに、無線端末4−21〜4−23への電力/タイミング調整情報を、上述のDL MAP(マップ)で指定されたRNG−RSP領域に書き込むようになっている。
【0078】
したがって、上述の中継部318により、受信部311で受信した(無線基地局2からの)スケジューリング情報について、記憶部313で記憶している通信制御情報に応じて内容を補完する補完部を構成する。即ち、補完部としての中継部318は、受信部311で受信したスケジューリング情報であるDL MAP(マップ)について、記憶部313で記憶している前記電力/タイミング調整用信号の種類および位置情報を補完する。
【0079】
また、端末側信号送信部としての送信部316は、中継部318で内容が補完されたスケジューリング情報であるDL MAP(マップ)を送信するとともに、RNG−RSP領域を通じて、Code受信部312で生成した電力/タイミング調整情報を複数の無線端末4−21〜4−23へ送信するようになっている。
これにより、各無線端末4−21〜4−23においては、各々が送信したRanging Code(レンジング・コード)に対する電力/タイミング調整情報を、DL MAP(マップ)を参照しながらRNG−RSP領域から抽出して、抽出した調整情報に従った送信電力およびタイミングで信号を送信することができるようになる。
・第2実施形態における無線基地局2の構成
また、第2実施形態における無線基地局2については、上述のごとき無線通信リソースの効率化を図るための機能に着目すると、図13に示す無線基地局2Bのように、受信部211,制御メッセージ抽出部212,スケジューリング部213,NWインタフェース部214,バッファ部215および送信部216をそなえている。
【0080】
ここで、受信部211は、中継局3Aや無線端末4−1(図1参照)からの信号またはメッセージをなす無線信号を受信するものであり、中継局3Bにおける基地局側信号送信部をなす送信部316からの情報を受信する。又、制御メッセージ抽出部212は、受信部211において受信した信号またはメッセージのうちで、制御メッセージの情報を抽出するものである。例えば、制御メッセージ抽出部212においては、中継局3Bにおいて図12に示すようなRanging Code(レンジング・コード)の数を通知するための制御メッセージの内容を抽出するようになっている。
【0081】
スケジューリング部213は、制御メッセージ抽出部212で抽出された制御メッセージに記述されている内容からスケジューリング情報であるDL/UL MAP(マップ)を生成する。例えば、制御メッセージ抽出部212において、図12に示すようなRanging Code(レンジング・コード)の数を通知するための制御メッセージを抽出した場合においては、スケジューリング部213では、そのRanging Code(レンジング・コード)の数分に相当するRNG−RSPをDL MAP(マップ)により確保する。このとき、DL MAP(マップ)においては、無線フレームの位置の情報やフレーム番号、およびコード値等については記載されておらず、又、RNG−RSPには、Ranging Code(レンジング・コード)に対する応答をなす具体的な電力/タイミング調整情報は含まれていない。
【0082】
したがって、上述のスケジューリング部213は、受信部211で受信したRanging Code(レンジング・コード)の数を通知するメッセージをもとに、スケジューリング情報であるDL MAP(マップ)を、前述の中継局3Bの中継部318で補完すべき情報を除いて生成するスケジューリング情報生成部である。換言すれば、スケジューリング部213では、受信部211で受信した情報をもとに、スケジューリング情報であるDL MAP(マップ)を、受信部211で受信した情報に集約されたRanging Code(レンジング・コード)の数分の帯域割り当てを行なって生成するようになっている。
【0083】
NWインタフェース部214は、受信部211で受信した無線端末4からのデータを例えば他のネットワークへ送出すべくインタフェース処理を行なうとともに、他のネットワークからの無線端末4宛の信号についてインタフェース処理を行なうものである。又、バッファ25は、NWインタフェース部214からのデータやスケジューリング部213で生成されたDL/UL MAP(マップ)について、定められたタイミングで送信部216から送信すべくバッファリングを行なうものである。
【0084】
送信部216は、バッファ25からの信号又はメッセージについて、中継局3Bや無線端末4−1に対して送信するものである。即ち、上述のごとくスケジューリング部213で生成され、RNG−RSP領域が指定されたDL MAP(マップ)を中継局3Bや端末4−1に送信する。
・作用効果
第2実施形態においては、中継部3Bおよび無線基地局2Bがそれぞれ上述のごとく構成されているので、例えば図9の信号シーケンスに示すように、中継局3Bにおいて無線端末4−21〜4−23からのRanging Code(レンジング・コード)♯1〜♯3の情報が集約された制御メッセージを無線基地局2Bに送信するとともに、無線基地局2BからのDL MAP(マップ)について、内容を補完しつつ、DL MAP(マップ)で指定されたRNG−RSP領域に個々の無線端末4−21〜4−23に対する電力/タイミング調整情報を送信することができる。
【0085】
具体的には、中継局3Bの受信部311およびCode受信部312で、複数の無線端末4−21〜4−23からの信号およびメッセージとして、例えばRanging Code(レンジング・コード)を受信すると、受信したRanging Code(レンジング・コード)の情報であるコード番号,フレーム位置およびフレーム番号の情報を、無線端末4−21〜4−23と当該中継局3Bとの間の通信制御のための通信制御情報として記憶部313で記憶する。更に、Code受信部312では、受信したRanging Code(レンジング・コード)の受信信号から受信電力および受信タイミングを測定し、測定結果を基に生成した無線端末4−21〜4−23への電力/タイミング調整情報を記憶部313に記憶する。
【0086】
さらに、集約部314において、無線端末4−21〜4−23からのRanging Code(レンジング・コード)の情報を集約するとともに、通知部315および送信部316により、この集約した情報を、無線基地局2Bに送信する(図9の"RS Ranging Message(レンジング・メッセージ)"、図12参照)。
また、無線基地局2Bでは、受信部211および制御メッセージ抽出部212において、上述の集約した情報を中継局3Bから受信し、スケジューリング部213で、この受信した集約した情報をもとに、当該無線基地局2Bと中継局3Bを介した無線端末4−21〜4−23のそれぞれとの間の通信のためのスケジューリング情報(DL MAP(マップ))を生成して、バッファ部215および送信部216で、上述のごとく生成したスケジューリング情報を中継局3Bに送信する(図9のR3参照)。このとき、DL MAP(マップ)で指定されたRNG−RSP領域には、Ranging Code(レンジング・コード)に対する応答としての具体的な電力/タイミング調整情報は含めておらず、実質的に空欄となっている。
【0087】
中継局3Bの受信部311およびDL MAP(マップ)抽出部317により、無線基地局2Bで送信されたスケジューリング情報を受信し、中継部318で、受信した前記スケジューリング情報であるDL MAP(マップ)について、記憶部313に記憶している通信制御情報に応じて内容を補完するとともに、RNG−RSP領域に各無線端末4−21〜4−23への電力/タイミング調整情報を書き込む。そして、送信部316により、内容が補完されたスケジューリング情報とともに、電力/タイミング調整情報をRNG−RSP領域を通じて無線端末4−21〜4−23に送信する。
【0088】
なお、各無線端末4−21〜4−23においては、各々が送信したRanging Code(レンジング・コード)に対する電力/タイミング調整情報を、DL MAP(マップ)の内容を参照しながらRNG−RSP領域から抽出して、抽出した調整情報に従った送信電力およびタイミングで信号を送信することができるようになる。
このように、本発明の第2実施形態によれば、中継局3で無線端末4−21〜4−23対応のDL MAP(マップ)の情報を補完するとともに、RNG−RSP領域に電力/タイミング調整情報を書き込むことができるので、無線基地局2Bに送出すべき情報を減少させて、無線通信リソースの有効利用を図ることができる利点がある。
【0089】
なお、上述の第2実施形態においては、中継局3Bで複数の無線端末4−21〜4−23を収容する場合について説明しているが、本発明によればこれに限定されず、一の無線端末を収容している場合においても、同様に無線通信リソースの有効利用を図ることができる。
〔c〕第3実施形態の説明
第3実施形態においては、前述の第1,第2実施形態の場合と同様に、無線基地局2および無線端末4をそなえるとともに、中継局3が導入された無線通信システムにおいて、中継局3でCQI(Channel Quality Indicator)レポートを受信する場合について説明する。なお、CQIレポートは、無線端末4−2での無線信号品質を、中継局3を介して無線基地局2に通知するためのものである。無線基地局2においては、無線端末4−2からCQIレポートを一定周期間隔で受け取って、変動するCQIの値に基づいて最適な無線通信方式に適応的に切り替えることができる。例えば、受信品質が良好であれば高速通信に適した無線通信方式とする一方、受信品質が良好でない場合には低速であるがノイズ環境に比較的耐性のある無線通信方式とすることができる。尚、例えば、このCQIには、受信信号について復号せずに測定可能な品質指標値であるCINR(Career to Interference and Noise Ratio)がある。
・第3実施形態における信号シーケンスの概略
図14は本発明の第3実施形態において、無線端末4−2(図1参照)から送出するCQIレポートおよびその応答信号についての信号シーケンスを示す図である。この図14に示すように、中継局3は、接続している無線端末4−2から一定周期で受信するCQIレポートRP1〜RP4を受信した場合に、その都度、中継局3が記憶している前回のCQIレポート情報と比較を行なう。尚、ここでは中継局3に接続する一の無線端末4−2からのCQIレポートを受信した場合に着目して説明するが、複数の無線端末4−2が接続している場合においても同様である。
【0090】
そして、この比較の結果、中継局3と無線端末4−2間で使用する無線通信方式を変更した方が良いと判断した場合にのみ、無線基地局2に中継局3と無線端末4−2間で使用する無線通信方式の情報を通知する。例えば、中継局3では、無線端末4−2からのCQIレポートRP3の内容に基づいて、過去に受信したCQIレポート(例えば直前のRP2)の内容と比較して、無線通信方式を変更すべきかを判断するとともに、変更後の無線通信方式についても定めるようになっている。そして、この無線通信方式についての変更情報を通知するようになっている(MS Burst Profile Info)。
【0091】
無線基地局2は、変更された無線端末4−21〜4−23からの無線通信方式の情報に基づいてスケジューリングを行ない、DL/UL MAP(マップ)を生成し、中継局3に送信する。これにより、中継局3と無線基地局2との間で通信すべき情報量を削減し、無線通信の有効利用を図っている。
・第3実施形態における中継局の構成
第3実施形態における中継局3は、上述のごとき無線通信リソースの効率化を図るための機能に着目すると、図15に示す中継局3Cのように、受信部321,CQI受信部322,記憶部323,判断部324,通知部325および送信部326をそなえている。
【0092】
ここで、受信部311は、無線端末4−2および無線基地局2から信号又はメッセージを受信する。又、CQI受信部322は、受信部321で受信した無線端末4−2からの信号又はメッセージから、無線チャネルの状態を示す信号またはメッセージであるCQIレポートを抽出する。従って、上述の受信部321およびCQI受信部322は、無線端末から受信する信号およびメッセージの情報を受信する端末側受信部を構成する。
【0093】
記憶部323は、CQI受信部322で受信した無線端末4−2からのCQIレポートの内容について、無線端末4−2毎に記憶するものである。図16に記憶部323にて記憶する情報を示す。この図16に示すように、記憶部323においては、後述の判断部324による書き込み作用を通じて、当該中継局3と接続する無線端末4−2毎に、無線端末のID情報であるMS ID,CINR値およびそのCINR値に適した無線通信方式(Burst Profile)のインデックス値も併せて保持するようになっている。
【0094】
また、判断部324は、CQI受信部322で受信した情報をもとに、無線端末4−2から受信した信号およびメッセージに関連する関連情報を無線基地局2へ通知すべきか否かを判断するものである。即ち、CQI受信部322において受信したCQI情報、即ち当該中継局3と無線端末4−2間の無線チャネル状態に関する情報をもとに、当該中継局3と無線端末4−2間で使用する無線通信方式の変更が必要である場合に、無線チャネル状態に関連する情報(関連情報)を無線基地局2に通知すべきであると判断する。
【0095】
具体的には、判断部324においては、まずCQI受信部322で受信した情報に適した無線通信方式を、記憶部323に含まれる図示しないテーブルを参照することにより抽出・選択する。つまり、CINR値に応じて、例えば比較的高品質の場合には、比較的高速伝送に適した無線通信方式を抽出・選択する一方、比較的低品質の場合には比較的低速伝送に適しつつノイズ耐性の比較的強い無線通信方式を抽出・選択する。尚、この選択される無線通信方式としては、変調方式や符号化方式、符号化率等をパラメータ(要素)とすることができる。
【0096】
そして、このようにして抽出・選択された無線通信方式と、記憶部323で記憶されている(直前に受信したCQIレポートにおけるCINR値から抽出された無線通信方式と、の相違を判断する。この判断の結果、無線通信方式が相違していれば、当該中継局3と無線端末4−2間で使用する無線通信方式を、新規に抽出・選択した無線通信方式を変更する必要がある判断する一方、上述の判断の結果、無線通信方式が同じであれば、当該中継局3と無線端末4−2間で使用する無線通信方式を変更する必要がないと判断する。
【0097】
なお、判断部324においては、上述のごとき無線通信方式の判断が終了すると、その都度、該当する無線端末4−2のID情報に対応付けて、CINR値および抽出・選択した無線通信方式について記憶部323に書き込むことができる。
通知部325は、判断部324において、無線端末4−2から受信した無線チャネルの状態に関連する情報である、無線通信方式の変更情報を無線基地局2に通知すべきである(即ち無線通信方式を変更すべきである)と判断した場合に、関連情報としての無線通信方式の変更情報を制御メッセージとして生成し、後段の送信部326に出力する。送信部326は、通知部325で生成した制御メッセージを無線基地局2に宛てに送信する。従って、上述の無線通信方式の変更情報は、通知部325および送信部326が協働することにより無線基地局2に通知される。
【0098】
一方、判断部324において無線通信方式の変更情報を通知する必要がない(即ち無線通信方式を変更する必要がない)と判断した場合には、関連情報としての無線通信方式の変更情報は通知部325および送信部326を通じて通知しない。
図17は、中継局3Cから無線基地局2に送信する無線通信方式の変更のための制御メッセージの情報例を示す。この制御メッセージの情報としては、制御メッセージの送信元を示す中継局3のID(RS ID),本制御メッセージを示すタイプ(Message Type),無線通信方式の変更が必要と判断した無線端末のID(MS ID)および変更すべき無線通信方式のインデックス値(Burst Profile)により構成することができる。
【0099】
なお、無線基地局2は、受信した制御メッセージを基に,中継局3と無線端末4−2間で使用する無線通信方式を認識し、それを基にDL/UL MAP(マップ)を生成する。
・作用効果
第3実施形態においては、中継部3Cが上述のごとく構成されているので、中継局3Cでは、接続している無線端末4−2から一定周期で受信するCQIレポートRP1〜RP4を受信した場合に、その都度無線基地局2に対してUL/DL MAP(マップ)作成のために、そのCQIレポートの内容を送信することなく、CQIの内容に基づき無線通信方式を変更する必要があると判断したときのみ、無線基地局2に対して送信すればよくなる。
【0100】
すなわち、中継局3Cの判断部324で、記憶部323が記憶している前回のCQIレポート情報と、今回のCQIのレポートから得られた無線通信方式情報の比較を行なう。そして、この比較の結果、中継局3Cと無線端末4−2間で使用する無線通信方式を変更した方が良いと判断した場合にのみ、無線基地局2に中継局3と無線端末4−2間で使用する無線通信方式の情報を制御メッセージ通知する。
【0101】
このように、第3実施形態によれば、中継局3Cにおいて無線端末4−2から送信されてくるCQIレポートの内容に関連する制御メッセージを送信する機会を、CQIレポートの受信の都度で送信するよりも減らすことができるので、無線基地局2Bに送出すべき情報を減少させて、無線通信リソースの有効利用を図ることができる利点がある。
〔b〕その他
なお、上述した実施形態にかかわらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0102】
たとえば、上述の第1,第2実施形態における中継局3A,3Bにおいては、記憶部303,313において無線端末4−2からの上り方向の信号又はメッセージの情報を通信制御情報として記憶しているが、本発明によればこれに限定されず、例えば、補完部でスケジューリング情報として補完すべき情報が既知であれば、無線端末4−2からの上り方向の信号又はメッセージの情報ではなく、あらかじめこれを記憶部303,313にて記憶しておくこととしてもよい。
【0103】
さらに、本発明の中継局によれば、上述のBW Request Code(リクエスト・コード)のごとき帯域要求信号や、Ranging Code(レンジング・コード)のごとき電力/タイミング調整用信号以外の信号についても、集約部で集約することが可能であり、これにより帯域の有効利用を図ることができる。
また、上述した実施形態の開示により、当業者であれば本発明の装置を製造することは可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 無線通信システム
2,2A,2B 無線基地局
2a カバーエリア
3,3A〜3C 中継局
4−1,4−2,4−21〜4−23 無線端末
100 カバーエリア
101 無線基地局
102 無線端末
201,211 受信部
202,212 制御メッセージ抽出部
203,213 スケジューリング部
204,214 NWインタフェース部
205,215 バッファ部
206,216 送信部
301,311,321 受信部
302,312,322 Code受信部
303,313,323 記憶部
304,314 集約部
305,315,325 通知部
306,316,326 送信部
307 UL MAP(マップ)抽出部
308,318 中継部
317 DL MAP(マップ)抽出部
324 判断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と、前記無線端末と無線通信する無線基地局と、前記無線端末と前記無線基地局とを中継する中継局と、を有する無線通信システムであって、
該中継局が、
前記無線端末からの、当該中継局と前記無線端末との間の無線チャネル状態に関する情報を受信する無線チャネル状態受信部と、
該無線チャネル状態受信部で受信した前記情報をもとに、当該中継局を介した前記無線基地局と前記無線端末との間で使用する無線通信方式の変更の要否を判断する判断部と、
該判断部で前記無線通信方式の変更が必要であると判断された場合にのみ、当該中継局と前記無線端末との間の無線チャネル状態に関する情報および前記無線通信方式のうちの少なくとも一方を関連情報として前記無線基地局に通知する通知部と、をそなえるとともに、
該無線基地局が、
該通知部から通知された前記関連情報をもとに、前記中継局を介した当該無線基地局と前記無線端末との間で使用する無線通信方式を変更するとともに、前記無線通信方式が変更された通信におけるスケジューリング情報を生成するスケジューリング情報生成部と、
該スケジューリング情報生成部で生成した前記スケジューリング情報を前記中継局に送信する送信部と、をそなえた、
ことを特徴とする、無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−142987(P2012−142987A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−63224(P2012−63224)
【出願日】平成24年3月21日(2012.3.21)
【分割の表示】特願2008−540847(P2008−540847)の分割
【原出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】