説明

無線通信システム

【課題】中継器の接続間隔を長くして中継器の数を減らすことができ、更なる低コスト化を図ることができる無線通信システムを提供する。
【解決手段】基地局11から送信された信号を漏洩同軸ケーブル12で多段接続した中継器13a,13bにて中継すると共に基地局11と移動機14との間で通信を行う無線通信システム10において、中継器11は、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を中継器11に接続された漏洩同軸ケーブル12に出力する機能を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局から送信された信号を漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial Cable;LCX)で多段接続した中継器にて中継すると共に移動機と通信を行う無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車無線、地下鉄構内でのPHS基地局などでは、同軸ケーブルの外部導体に電波を漏らすスリットを設けてなる漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いた無線通信システムが実用化されている。
【0003】
漏洩同軸ケーブルを用いた無線通信システムは、1台の送信機で長距離をカバーでき、また、金属反射物や障害物が多い環境であっても安定的に通信が行えると言う利点がある。更に、通信エリアを漏洩同軸ケーブルの周辺に限定できるので不必要なエリアに電波を漏らさず、高いセキュリティを実現できると言う利点もある。
【0004】
従来の漏洩同軸ケーブルを用いた無線通信システムとしては、図10に示すように、漏洩同軸ケーブル101が接続されたそれぞれの前置増幅器102に対して基地局103からの信号線104を接続し、漏洩同軸ケーブル101を介して基地局103と移動機105とで通信を行うものがある。
【0005】
また、図11に示すように、複数の中継器111を漏洩同軸ケーブル101で多段接続し、各中継器111で信号を増幅することで通信範囲を増やしたものもある。ここで、図11中のグラフは信号の伝送距離と電力(信号の強度)との関係を表し、L6は基地局103から送信された漏洩同軸ケーブル101内を伝播する信号の強度を示し、L7は漏洩同軸ケーブル101から所定の距離だけ離れた場所の移動機105の受信信号強度を示し、L8は移動機105の最小受信感度を示す。
【0006】
図10に示した構成では、基地局103から送信する信号を漏洩同軸ケーブル101とは別のケーブル(信号線104)で各前置増幅器102まで伝送する必要があり、アンテナとなる漏洩同軸ケーブル101と信号線104の2種類のケーブルが必要であった。
【0007】
これに対し、図11に示した構成では、漏洩同軸ケーブル101がアンテナと信号線とを兼ねるため、部品点数の削減を図ることができ、図10の構成に比べて低コスト化が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−295433号公報
【特許文献2】特開平11−186943号公報
【特許文献3】特開2004−328121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、漏洩同軸ケーブルは、信号を電波として少しずつ漏洩させながら伝送するので、伝送距離が長くなるほど漏洩同軸ケーブル内を伝播する信号の強度が低下し、移動機が受信する信号強度が低下する(図11中のグラフ参照)。
【0010】
基地局から送信されて漏洩同軸ケーブル内を伝播する信号が漏洩同軸ケーブルから放射され、漏洩同軸ケーブルから所定の距離にある移動機の受信信号強度が移動機の最小受信感度を下回ると、その地点では漏洩同軸ケーブルと移動機との間で通信が行えなくなってしまうので、基地局から送信されて漏洩同軸ケーブル内を伝播する信号の強度が移動機の最小受信感度を下回る前に信号を増幅する必要があった。
【0011】
そのため、中継器の接続間隔を長くすることができず、中継器の数が多くなってしまい、無線通信システムの構築に掛かるコストの更なる低減は困難であった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、中継器の接続間隔を長くして中継器の数を減らすことができ、更なる低コスト化を図ることができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するために創案された本発明は、基地局から送信された信号を漏洩同軸ケーブルで多段接続した中継器にて中継すると共に前記基地局と移動機との間で通信を行う無線通信システムにおいて、前記中継器は、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を前記中継器に接続された漏洩同軸ケーブルに出力する機能を有する無線通信システムである。
【0014】
前記移動機は、受信した信号をベースバンド信号に変換する受信機能を有すると良い。
【0015】
前記移動機は、受信した信号をベースバンド信号に変換すると共に、中継される信号の周波数とは異なる周波数で信号を送信する送受信機能を有し、前記中継器は、前記移動機から送信された信号が入力されたとき、入力された信号を前記基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力する機能を有しても良い。
【0016】
前記移動機は、受信した信号をベースバンド信号に変換すると共に、受信した信号の周波数と同じ周波数で信号を送信する送受信機能を有し、前記中継器は、前記移動機から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を前記基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力する機能を有しても良い。
【0017】
また、本発明は、基地局と移動機との間で通信を行うために前記基地局から直列に接続される複数の漏洩同軸ケーブル間に配置されて信号の中継を行う中継器であって、前記漏洩同軸ケーブルから入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を前記漏洩同軸ケーブルに出力する中継器である。
【0018】
基地局側の漏洩同軸ケーブルに接続され、基地局側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号と基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力する信号とを電気的に分離する第1の送受切替器と、前記第1の送受切替器に接続された第1の増幅器と、前記増幅器に接続され、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する周波数変換回路と、前記周波数変換回路に接続された第2の増幅器と、前記第2の増幅器に接続され、入力された信号を複数の経路に分配して出力する電力分配器と、を有すると良い。
【0019】
前記電力分配器の出力ポートの一つに接続され、後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号と後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルに出力する信号とを電気的に分離する第2の送受切替器と、前記電力分配器の出力ポートの他の一つに接続され、複数の経路からの信号を合成する電力合成器と、前記電力合成器に接続され、入力された信号を増幅して前記第1の送受切替器に出力する第3の増幅器と、を有すると良い。
【0020】
前記第2の送受切替器と前記電力合成器の入力ポートの一つとが接続され、前記移動機から送信され入力された信号を前記第2の送受切替器で分離し、前記電力合成器と前記第3の増幅器と前記第1の送受切替器とを介して、周波数を変換することなく基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力すると良い。
【0021】
基地局側の漏洩同軸ケーブルに接続された第1のサーキュレータと、前記第1のサーキュレータに接続された第1の増幅器と、前記第1の増幅器に接続され、入力された信号を複数の経路に分配して出力する第1の電力分配器と、前記第1の電力分配器の出力ポートの一つに接続され、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する第1の周波数変換回路と、前記第1の周波数変換回路に接続された第2の増幅器と、前記第2の増幅器に接続され、入力された信号を複数の経路に分配して出力する第2の電力分配器と、前記第2の電力分配器の出力ポートの一つに接続された第2のサーキュレータと、前記第2のサーキュレータ及び前記第1の電力分配器の出力ポートの他の一つに接続され、複数の経路からの信号を合成する第1の電力合成器と、前記第1の電力合成器に接続され、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する第2の周波数変換回路と、前記第2の周波数変換回路及び前記第2の電力分配器の出力ポートの他の一つに接続され、複数の経路からの信号を合成する第2の電力合成器と、前記第2の電力合成器に入力ポートが接続されると共に前記第1のサーキュレータに出力ポートが接続された第3の増幅器と、を有しても良い。
【0022】
前記第2のサーキュレータと前記第1の電力分配器のとの間に接続された第4の増幅器を有すると良い。
【0023】
前記第1のサーキュレータは、基地局側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号を前記第1の増幅器に出力すると共に前記第3の増幅器から入力された信号を基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力し、前記第2のサーキュレータは、前記第2の電力分配器から入力された信号を後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルへ出力すると共に後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号を前記第4の増幅器に出力すると良い。
【0024】
前記漏洩同軸ケーブルから入力された移動機から基地局への信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する共に、基地局から移動機への信号の周波数を異なる周波数に変換して出力すると良い。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、中継器の接続間隔を長くして中継器の数を減らすことができ、更なる低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】図1の無線通信システムにおける中継器の構成を示す図である。
【図3】図1の無線通信システムにおける移動機の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図5】図4の無線通信システムにおける中継器の構成を示す図である。
【図6】図4の無線通信システムにおける移動機の構成を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図8】図7の無線通信システムにおける中継器の構成を示す図である。
【図9】図7の無線通信システムにおける移動機の構成を示す図である。
【図10】従来の漏洩同軸ケーブルを用いた無線通信システムの構成を示す図である。
【図11】従来の漏洩同軸ケーブルを用いた無線通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0028】
先ず、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムを説明する。
【0029】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る無線通信システム10は、基地局11から送信された信号を漏洩同軸ケーブル12で多段接続した中継器(図1では、第1及び第2の中継器13a,13b)にて中継すると共に基地局11と移動機14との間で通信を行うものである。
【0030】
基地局11は、信号を送信するための送信機を有しており、その送信機と移動機14との間で漏洩同軸ケーブル12と第1及び第2の中継器13a,13bを介した通信が行われる。
【0031】
第1及び第2の中継器13a,13bは、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を第1及び第2の中継器13a,13bに接続された漏洩同軸ケーブル12に出力する機能を有することを特徴とする。
【0032】
図2に示すように、第1及び第2の中継器13a,13bは、基地局11側の漏洩同軸ケーブル12に接続されたデュプレクサ(送受切替器)21と、デュプレクサ21に接続されたアンプ(増幅器)22と、アンプ22に接続されたヘテロダイン回路(周波数変換回路)23と、ヘテロダイン回路23に接続されたアンプ24と、アンプ24に接続されたパワーディバイダ(電力分配器)25と、パワーディバイダ25に接続されたバンドパスフィルタ26とを有する。
【0033】
デュプレクサ21は、基地局11側の漏洩同軸ケーブル12から入力された信号と基地局11側の漏洩同軸ケーブル12に出力する信号とを電気的に分離するためのものである。
【0034】
アンプ22,24は、入力された信号を所定の増幅率で増幅して出力するためのものである。
【0035】
ヘテロダイン回路23は、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換して出力するためのものであり、ローカルオシレータ(局部発振器)27と、アンプ22とローカルオシレータ27からの信号が入力されるミキサ(混合器)28と、ミキサ28からの信号が入力されるバンドパスフィルタ29とを有する。
【0036】
ローカルオシレータ27は、局部周波数の信号を生成するためのものであり、ミキサ28は、ヘテロダイン回路23に入力された信号の周波数とローカルオシレータ27で生成された局部周波数との和又は差を出力するためのものである。
【0037】
バンドパスフィルタ29は、不要な周波数の信号を除去し、特定の周波数の信号のみを通過させるためのものである。
【0038】
このヘテロダイン回路23は、ヘテロダイン回路23に入力された信号とローカルオシレータ27で生成された信号とをミキサ28で混合することで、ヘテロダイン回路23に入力された信号の周波数を異なる周波数に変換すると共に、バンドパスフィルタ29を介して特定の周波数の信号のみを出力する。
【0039】
パワーディバイダ25は、入力された信号を2つの経路に分配して出力するためのものであり、パワーディバイダ25の一方の出力ポートにはバンドパスフィルタ26を介して漏洩同軸ケーブル12が接続され、他方の出力ポートはデュプレクサ21に接続される。
【0040】
バンドパスフィルタ26は、不要な周波数の信号を除去し、特定の周波数の信号のみを通過させると共に漏洩同軸ケーブル12から上記特定の周波数の信号と異なる周波数の信号を除去し、基地局と反対側に接続された隣接する中継器からの信号が入力されることを防ぐためのものである。
【0041】
この第1及び第2の中継器13a,13bは、基地局11側の漏洩同軸ケーブル12から入力された信号をデュプレクサ21で分離すると共にアンプ22で増幅し、増幅された信号の周波数をヘテロダイン回路23で異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号をアンプ24で増幅すると共にパワーディバイダ25で分配し、一方はデュプレクサ21を介して、他方はバンドパスフィルタ26を介して第1及び第2の中継器13a,13bに接続された基地局11側及び後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12にそれぞれ出力する。
【0042】
例えば、第1の中継器13aは、基地局11側の漏洩同軸ケーブル12から入力された信号の周波数f1を周波数f2に変換し、第1の中継器13aに接続された基地局11側及び後段の中継器13b側の漏洩同軸ケーブル12にそれぞれ出力する。
【0043】
一方、第2の中継器13bは、前段の中継器13a側の漏洩同軸ケーブル12から入力された信号の周波数f2を周波数f1に変換し、第2の中継器13bに接続された前段の中継器13a側及び後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12にそれぞれ出力する。
【0044】
つまり、第1及び第2の中継器13a,13bは、基地局11から送信された信号を周波数f1とf2に交互に変換して中継を行う。
【0045】
なお、図2中の周波数f1とf2は、第1の中継器13aにおける各所での周波数を示すものであり、第2の中継器13bでは、入力される信号の周波数と出力される信号の周波数が第1の中継器13aとは逆である。つまり、図2中の周波数f1とf2が逆になる。
【0046】
移動機14は、基地局11から送信された信号を漏洩同軸ケーブル12を介して受信するためのものであり、受信した信号をベースバンド信号に変換する受信機能を有する。
【0047】
図3に示すように、移動機14は、アンテナ31と、アンテナ31に接続されたバンドパスフィルタ32と、バンドパスフィルタ32に接続されたアンプ33と、ローカルオシレータ34と、アンプ33とローカルオシレータ34からの信号が入力されるミキサ35a,35bと、ミキサ35a,35bからの信号が入力されるローパスフィルタ36a,36bと、ローパスフィルタ36a,36bに接続されたA/D変換器37a,37bと、A/D変換器37a,37bに接続されたベースバンド部38とを有する。
【0048】
アンテナ31は、信号を受信するためのものである。バンドパスフィルタ32は、アンテナ31で受信された信号のうち、特定の周波数の信号のみを通過させるためのものである。
【0049】
アンプ33は、入力された信号を所定の増幅率で増幅して出力するためのものである。
【0050】
ローカルオシレータ34は、局部周波数の信号を生成するためのものであり、ミキサ35a,35bは、ローカルオシレータ34で生成された局部周波数とアンプ33から入力された信号の周波数との和又は差を出力するためのものである。
【0051】
ローパスフィルタ36a,36bは、高周波帯域の雑音を除去し、ベースバンド信号のみを通過させるためのものである。A/D変換器37a,37bは、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するためのものである。
【0052】
ベースバンド部38は、オシレータ34で生成される信号の局部周波数を制御するための周波数制御回路39を有する。例えば、周波数制御回路39は、オシレータ34で生成される信号の局部周波数を周波数f1又はf2用に制御する。
【0053】
この移動機14は、アンテナ31で受信された信号のうちバンドパスフィルタ32を介して特定の周波数の信号のみを通過させ、通過させた信号をアンプ33で増幅し、増幅された信号をオシレータ34とミキサ35a,35bとによりベースバンド信号に変換すると共にローパスフィルタ36a,36bで雑音を除去した後、ベースバンド信号をA/D変換器37a,37bによりデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をベースバンド部38で処理する。
【0054】
例えば、移動機14は、周波数f1とf2の信号のみを取り出し、取り出された信号をベースバンド信号に変換し、これに基づいて何らかの処理を行う。
【0055】
再び図1を参照し、図1中のグラフは信号の伝送距離と電力(信号の強度)との関係を表し、L1は第1の中継器13aから送信された漏洩同軸ケーブル12内を伝播する信号(周波数f2)の強度を示し、L2は基地局11から送信された漏洩同軸ケーブル12内を伝播する信号(周波数f1)の強度を示し、L3は第1の中継器13aから送信された信号(周波数f2)の移動機14での受信強度を示し、L4は移動機14の最小受信感度を示し、L5は基地局11から送信された信号(周波数f1)の移動機14での受信強度を示す。
【0056】
無線通信システム10では、少なくともL3とL5の交点AがL4を上回っていれば、基地局11と第1の中継器13aの間のいずれの地点にいても漏洩同軸ケーブル12と移動機14との間で通信が行える。例えば、基地局11に近い地点P1では周波数f1で通信が行え、第1の中継器13aに近い地点P2では周波数f2で通信が行える。
【0057】
つまり、図11に示した従来の無線通信システムでは、基地局から送信されて漏洩同軸ケーブル内を伝播する信号の強度が移動機の最小受信感度を下回ると、その地点では漏洩同軸ケーブルと移動機との間で通信が行えなくなってしまうのに対し、無線通信システム10では、基地局11から送信されて漏洩同軸ケーブル12内を伝播する信号(周波数f1)の強度が移動機14の最小受信感度を下回ったとしても、第1の中継器13aから送信されて漏洩同軸ケーブル12内を伝播する信号(周波数f2)により通信が行える。
【0058】
従って、基地局11から送信される信号の強度が従来と同じであり、且つ、基地局11から送信される信号と第1の中継器13aから送信される信号とが同じ強度であれば、従来に比べて中継器間の距離を約2倍に伸ばすことができる。そのため、従来と同じ伝送距離であれば中継器の数を約1/2に減らすことができ、更なる低コスト化を図ることができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムを説明する。ここでは、第1の実施の形態に係る無線通信システム10と同様の機能を有する部材には同様の符号(添え字を変更したものも含む)を付して説明を省略する。
【0060】
図4に示すように、第2の実施の形態に係る無線通信システム40は、基地局41と移動機42との間での周波数分割複信(Frequency Division Duplex;FDD)による双方向通信を可能としたものである。
【0061】
基地局41は、送信機に加えて信号(例えば、周波数f3の信号)を受信するための受信機を有しており、送信機及び受信機と移動機42との間で、漏洩同軸ケーブル12と第1及び第2の中継器43a,43bを介した通信が行われる。
【0062】
移動機42は、受信した信号をベースバンド信号に変換すると共に、中継される信号の周波数とは異なる周波数で信号を送信する送受信機能を有する。
【0063】
第1及び第2の中継器43a,43bは、移動機42から送信された信号が入力されたとき、入力された信号を基地局41側の漏洩同軸ケーブル12に出力する機能を有する。
【0064】
つまり、無線通信システム40は、第1の実施の形態に係る無線通信システム10と比較して、主に、基地局41、移動機42、第1及び第2の中継器43a,43bの構成が異なる。
【0065】
図5に示すように、第1及び第2の中継器43a,43bは、基地局41側の漏洩同軸ケーブル12に接続されたデュプレクサ21と、デュプレクサ21に接続されたアンプ22と、アンプ22に接続されたヘテロダイン回路23と、ヘテロダイン回路23に接続されたアンプ24と、アンプ24に接続されたパワーディバイダ25と、パワーディバイダ25の一方の出力ポートに接続されたデュプレクサ51と、パワーディバイダ25の他方の出力ポートに接続されたパワーコンバイナ(電力合成器)52と、パワーコンバイナ52に接続されたアンプ53とを有する。
【0066】
デュプレクサ51は、後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12から入力された信号と後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12に出力する信号とを電気的に分離するためのものである。
【0067】
パワーコンバイナ52は、2つの経路からの信号を合成するためのものである。アンプ53は、入力された信号を所定の増幅率で増幅して出力するためのものであり、その出力ポートがデュプレクサ21に接続される。
【0068】
この第1及び第2の中継器43a,43bは、基地局41又は前段の中継器から送信された信号が入力されたとき、入力された信号をデュプレクサ21で分離すると共にアンプ22で増幅し、増幅された信号の周波数をヘテロダイン回路23で異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号をアンプ24で増幅すると共にパワーディバイダ25で分配する。分配した信号の一方は、パワーコンバイナ52、アンプ53、デュプレクサ21を介して中継器43aに接続された基地局41側の漏洩同軸ケーブル12に出力し、分配した信号の他方は、デュプレクサ51を介して第2の中継器43bに接続された後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12に出力する。
【0069】
例えば、第1の中継器43aは、基地局41から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f1を周波数f2に変換し、第1の中継器43aに接続された基地局41側及び後段の中継器43b側の漏洩同軸ケーブル12にそれぞれ出力する。
【0070】
一方、第2の中継器43bは、前段の中継器43aから送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f2を周波数f1に変換し、第2の中継器43bに接続された前段の中継器43a側及び後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12にそれぞれ出力する。
【0071】
更に、第1及び第2の中継器43a,43bは、移動機42から送信された信号が入力されたとき、入力された信号をデュプレクサ51で分離し、パワーコンバイナ52、アンプ53、デュプレクサ21を介して基地局41側の漏洩同軸ケーブル12に出力する。
【0072】
例えば、第1の中継器43aは、移動機42から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f3を周波数を変換することなく基地局41側の漏洩同軸ケーブル12に出力する。
【0073】
一方、第2の中継器43bは、移動機42から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f3を周波数を変換することなく前段の中継器43a側の漏洩同軸ケーブル12(すなわち、基地局41側の漏洩同軸ケーブル12)に出力する。
【0074】
つまり、第1及び第2の中継器13a,13bは、基地局11から送信された信号を周波数f1とf2に交互に変換して中継を行うと共に、移動機42から送信された信号を周波数を変換することなく基地局11に向けて中継する。
【0075】
なお、図5中の周波数f1とf2は第1の中継器43aにおける各所での周波数を、周波数f3は移動機42が送信する信号の周波数を示すものであり、第2の中継器43bでは、入力される信号の周波数と出力される信号の周波数が第1の中継器43aとは逆である。つまり、図5中の周波数f1とf2が逆になり、周波数f3は変わらない。
【0076】
図6に示すように、移動機42は、アンテナ31と、アンテナ31に接続されたデュプレクサ61と、デュプレクサ61に接続された受信回路62と、デュプレクサ61に接続された送信回路63と、受信回路62及び送信回路63に接続されたベースバンド部38とを有する。デュプレクサ61は、アンテナ31から入力された信号とアンテナ31に出力する信号とを電気的に分離するためのものである。
【0077】
受信回路62は、受信した信号を直交復調するためのものであり、デュプレクサ61に接続されたアンプ33aと、ローカルオシレータ34と、ローカルオシレータ34に接続されたπ/2移相器64aと、アンプ33aとπ/2移相器64aからの信号が入力されるミキサ35aと、アンプ33aとローカルオシレータ34からの信号が入力されるミキサ35bと、ミキサ35a,35bからの信号が入力されるローパスフィルタ36a,36bと、ローパスフィルタ36a,36bに接続されたA/D変換器37a,37bとを有する。
【0078】
π/2移相器64aは、ローカルオシレータ34からの信号にπ/2の位相差を持たせるためのものである。
【0079】
送信回路63は、送信する信号を直交変調するためのものであり、デュプレクサ61に接続されたアンプ33bと、ローカルオシレータ65と、ローカルオシレータ65に接続されたπ/2移相器64bと、ローカルオシレータ65からの信号が入力されるミキサ35cと、π/2移相器64bからの信号が入力されるミキサ35dと、ミキサ35c,35dに接続されたローパスフィルタ36c,36dと、ローパスフィルタ36c,36dに接続されたD/A変換器66a,66bとを有する。
【0080】
ローカルオシレータ65は、特定の局部周波数の信号を生成するためのものである。π/2移相器64bは、ローカルオシレータ65からの信号にπ/2の位相差を持たせるためのものである。また、D/A変換器66a,66bは、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換するためのものである。
【0081】
この移動機42は、アンテナ31で受信された信号をデュプレクサ61で分離すると共にアンプ33aで増幅し、増幅された信号をオシレータ34とπ/2移相器64aとミキサ35a,35bとによりベースバンド信号に変換すると共にローパスフィルタ36a,36bで雑音を除去した後、ベースバンド信号をA/D変換器37a,37bによりデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をベースバンド部38で処理する。
【0082】
例えば、移動機42は、信号を受信したとき、周波数f1とf2の信号のみを取り出し、取り出された信号をベースバンド信号に変換し、これに基づいて何らかの処理を行う。
【0083】
また、移動機42は、ベースバンド部38からのデジタル信号をD/A変換器66a,66bによりアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ36c,36dで雑音を除去すると共にオシレータ65とπ/2移相器64bとミキサ35c,35dとにより特定の周波数の信号に変換し、その特定の周波数の信号をアンプ33bで増幅すると共にデュプレクサ61で分離し、アンテナ31で送信する。
【0084】
例えば、移動機42は、信号を送信するとき、ベースバンド信号の周波数を周波数f3に変換し、アンテナ31で送信する。
【0085】
以上のような構成の無線通信システム40によれば、第1の実施の形態に係る無線通信システム10と同様に、中継器の接続間隔を長くして中継器の数を減らすことができ、更なる低コスト化を図ることができる。更に、基地局41と移動機42との間での周波数分割複信による双方向通信が可能となる。
【0086】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る無線通信システムを説明する。ここでは、第1又は第2の実施の形態に係る無線通信システム10,40と同様の機能を有する部材には同様の符号(添え字を変更したものも含む)を付して説明を省略する。
【0087】
図7に示すように、第3の実施の形態に係る無線通信システム70は、基地局71と移動機72との間での時分割複信(Time Division Duplex;TDD)による双方向通信を可能としたものである。
【0088】
基地局71は、送信機に加えて信号(例えば、周波数f1又はf2の信号)を受信するための受信機を有しており、送信機及び受信機と移動機72との間で、漏洩同軸ケーブル12及び中継器73a,73bを介した通信が行われる。
【0089】
移動機72は、受信した信号をベースバンド信号に変換すると共に、受信した信号の周波数と同じ周波数で信号を送信する送受信機能を有する。
【0090】
中継器73a,73bは、移動機72から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を基地局71側の漏洩同軸ケーブル12に出力する機能を有する。
【0091】
つまり、無線通信システム70は、第1の実施の形態に係る無線通信システム10と比較して、主に、基地局71、移動機72、中継器73a,73bの構成が異なる。
【0092】
図8に示すように、第1及び第2の中継器73a,73bは、基地局71側の漏洩同軸ケーブル12に接続されたサーキュレータ81と、サーキュレータ81に接続されたアンプ22と、アンプ22に接続されたパワーディバイダ82と、パワーディバイダ82の一方の出力ポートに接続されたバンドパスフィルタ83と、パワーディバイダ82の他方の出力ポートに接続されたバンドパスフィルタ84と、バンドパスフィルタ83に接続されたヘテロダイン回路23aと、ヘテロダイン回路23aに接続されたアンプ24と、アンプ24に接続されたパワーディバイダ25と、パワーディバイダ25の一方の出力ポートに接続されたサーキュレータ85と、サーキュレータ85に接続されたアンプ86と、アンプ86に接続されたバンドパスフィルタ87と、バンドパスフィルタ84及びバンドパスフィルタ87に接続されたパワーコンバイナ52と、パワーコンバイナ52に接続されたヘテロダイン回路23bと、ヘテロダイン回路23b及びパワーディバイダ25の他方の出力ポートに接続されたパワーコンバイナ88と、入力ポートがパワーコンバイナ88に接続されると共に出力ポートがサーキュレータ81に接続されたアンプ53とを有する。
【0093】
サーキュレータ81は、基地局71側の漏洩同軸ケーブル12から入力された信号をアンプ22に出力し、アンプ53から入力された信号を基地局71側の漏洩同軸ケーブル12に出力するためのものであり、サーキュレータ85は、パワーディバイダ25から入力された信号を後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12へ出力し、後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12から入力された信号をアンプ86に出力するためのものである。
【0094】
パワーディバイダ82は、入力された信号を2つの経路に分配して出力するためのものである。バンドパスフィルタ83,84,87は、不要な周波数の信号を除去し、特定の周波数の信号のみを通過させるためのものである。アンプ86は、入力された信号を所定の増幅率で増幅して出力するためのものである。パワーコンバイナ88は、2つの経路からの信号を合成するためのものである。
【0095】
この第1及び第2の中継器73a,73bは、基地局71又は前段の中継器から送信された信号が入力されたとき、入力された信号をサーキュレータ81を介してアンプ22に出力し、アンプ22で増幅された信号をパワーディバイダ82で分配し、分配した一方の信号からバンドパスフィルタ83で特定の周波数の信号を取り出すと共にその信号の周波数をヘテロダイン回路23aで異なる周波数に変換し、分配した他方の信号からバンドパスフィルタ84で特定の周波数の信号を取り出すと共にパワーコンバイナ52に出力し、ヘテロダイン回路23aで周波数が変換された信号をアンプ24で増幅すると共にパワーディバイダ25で分配する。分配した信号の一方はパワーコンバイナ88、アンプ53、サーキュレータ81を介して基地局71側の漏洩同軸ケーブル12に出力し、分配した信号の他方はサーキュレータ85を介して第1及び第2の中継器73a,73bに接続された後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12に出力する。
【0096】
例えば、第1の中継器73aは、基地局71から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f1を周波数f2に変換し、第1の中継器73aに接続された基地局71側及び後段の中継器73b側の漏洩同軸ケーブル12にそれぞれ出力する。
【0097】
一方、第2の中継器73bは、前段の中継器73aから送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f2を周波数f1に変換し、第2の中継器73bに接続された前段の中継器73a側及び後段の中継器側の漏洩同軸ケーブル12にそれぞれ出力する。
【0098】
更に、第1及び第2の中継器73a,73bは、移動機72から送信された信号が入力されたとき、入力された信号をサーキュレータ85を介してアンプ86に出力し、アンプ86で増幅された信号からバンドパスフィルタ87で特定の周波数の信号を取り出すと共に取り出された信号をパワーコンバイナ52でバンドパスフィルタ84から入力された信号と合成し、合成された信号の周波数をヘテロダイン回路23bで異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号をパワーコンバイナ88でパワーディバイダ25から入力された信号と合成すると共にアンプ53で増幅し、増幅された信号をサーキュレータ81を介して基地局71側の漏洩同軸ケーブル12に出力する。
【0099】
例えば、第1の中継器73aは、移動機72から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f2を周波数f1に変換し、基地局71側の漏洩同軸ケーブル12(すなわち、基地局71側の漏洩同軸ケーブル12)に出力する。
【0100】
一方、第2の中継器73bは、移動機72から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数f1を周波数f2に変換し、前段の中継器73b側の漏洩同軸ケーブル12に出力する。
【0101】
つまり、第1及び第2の中継器73a,73bは、基地局71から送信された信号を周波数f1とf2に交互に変換して中継を行うと共に、移動機72から送信された信号を周波数f1とf2に交互に変換して基地局71に向けて中継する。
【0102】
なお、図8中の周波数f1とf2は第1の中継器73aにおける各所での周波数を示す。特に、fx(U)は周波数fxのアップリンク信号(移動機72から基地局71への信号)を示し、fx(D)は周波数fxのダウンリンク信号(基地局71から移動機72への信号)を示す。第2の中継器73bでは、入力される信号の周波数と出力される信号の周波数が第1の中継器73aとは逆である。つまり、図8中の周波数f1とf2が逆になる。
【0103】
図9に示すように、移動機72は、アンテナ31と、アンテナ31に接続されたバンドパスフィルタ91と、バンドパスフィルタ91に接続されたスイッチ92と、スイッチ92に接続された受信回路93と、スイッチ92に接続された送信回路94と、受信回路93及び送信回路94に接続されたベースバンド部38とを有する。
【0104】
バンドパスフィルタ91は、不要な周波数の信号を除去し、特定の周波数の信号のみを通過させるためのものである。スイッチ92は、バンドパスフィルタ91と受信回路93、或いはバンドパスフィルタ91と送信回路94に経路を切り換えるためのものである。
【0105】
受信回路93及び送信回路94は、基本的に第2の実施の形態に係る無線通信システム40における受信回路62及び送信回路63と同様の構成であり、1つのローカルオシレータ34で受信回路93と送信回路94の両方の局部周波数を生成する点のみが異なる。
【0106】
この移動機72は、アンテナ31で受信された信号をアンプ33aで増幅し、増幅された信号をオシレータ34とπ/2移相器64aとミキサ35a,35bとによりベースバンド信号に変換すると共にローパスフィルタ36a,36bで雑音を除去した後、ベースバンド信号をA/D変換器37a,37bによりデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をベースバンド部38で処理する。
【0107】
例えば、移動機72は、信号を受信したとき、周波数f1又はf2の信号のみを取り出し、取り出された信号をベースバンド信号に変換し、これに基づいて何らかの処理を行う。
【0108】
また、移動機72は、ベースバンド部38からのデジタル信号をD/A変換器66a,66bによりアナログ信号に変換し、ローパスフィルタ36c,36dで雑音を除去すると共にオシレータ65とπ/2移相器64bとミキサ35c,35dとにより受信した信号と同じ周波数の信号に変換し、その信号をアンプ33bで増幅すると共にスイッチ92を切り換えてアンテナ31で送信する。
【0109】
例えば、移動機72は、位置P1で信号を送信するとき、ベースバンド信号の周波数を周波数f1に変換し、アンテナ31で送信する。また、位置P2で信号を送信するとき、ベースバンド信号の周波数を周波数f2に変換し、アンテナ31で送信する。
【0110】
以上のような構成の無線通信システム70によれば、第1及び第2の実施の形態に係る無線通信システム10,40と同様に、中継器の接続間隔を長くして中継器の数を減らすことができ、更なる低コスト化を図ることができる。更に、基地局71と移動機72との間での時分割複信による双方向通信が可能となる。
【0111】
なお、前述の実施の形態は、中継器や移動機の回路構成を限定するものではなく、本発明を実施するための一例である。
【符号の説明】
【0112】
10 無線通信システム
11 基地局
12 漏洩同軸ケーブル
13a,13b 中継器
14 移動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局から送信された信号を漏洩同軸ケーブルで多段接続した中継器にて中継すると共に前記基地局と移動機との間で通信を行う無線通信システムにおいて、
前記中継器は、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を前記中継器に接続された漏洩同軸ケーブルに出力する機能を有することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記移動機は、受信した信号をベースバンド信号に変換する受信機能を有する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記移動機は、受信した信号をベースバンド信号に変換すると共に、中継される信号の周波数とは異なる周波数で信号を送信する送受信機能を有し、
前記中継器は、前記移動機から送信された信号が入力されたとき、入力された信号を前記基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力する機能を有する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記移動機は、受信した信号をベースバンド信号に変換すると共に、受信した信号の周波数と同じ周波数で信号を送信する送受信機能を有し、
前記中継器は、前記移動機から送信された信号が入力されたとき、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を前記基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力する機能を有する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
基地局と移動機との間で通信を行うために前記基地局から直列に接続される複数の漏洩同軸ケーブル間に配置されて信号の中継を行う中継器であって、
前記漏洩同軸ケーブルから入力された信号の周波数を異なる周波数に変換し、周波数が変換された信号を前記漏洩同軸ケーブルに出力することを特徴とする中継器。
【請求項6】
基地局側の漏洩同軸ケーブルに接続され、基地局側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号と基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力する信号とを電気的に分離する第1の送受切替器と、
前記第1の送受切替器に接続された第1の増幅器と、
前記増幅器に接続され、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する周波数変換回路と、
前記周波数変換回路に接続された第2の増幅器と、
前記第2の増幅器に接続され、入力された信号を複数の経路に分配して出力する電力分配器と、
を有する請求項5記載の中継器。
【請求項7】
前記電力分配器の出力ポートの一つに接続され、後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号と後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルに出力する信号とを電気的に分離する第2の送受切替器と、
前記電力分配器の出力ポートの他の一つに接続され、複数の経路からの信号を合成する電力合成器と、
前記電力合成器に接続され、入力された信号を増幅して前記第1の送受切替器に出力する第3の増幅器と、
を有する請求項6記載の中継器。
【請求項8】
前記第2の送受切替器と前記電力合成器の入力ポートの一つとが接続され、
前記移動機から送信され入力された信号を前記第2の送受切替器で分離し、前記電力合成器と前記第3の増幅器と前記第1の送受切替器とを介して、周波数を変換することなく基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力する請求項7記載の中継器。
【請求項9】
基地局側の漏洩同軸ケーブルに接続された第1のサーキュレータと、
前記第1のサーキュレータに接続された第1の増幅器と、
前記第1の増幅器に接続され、入力された信号を複数の経路に分配して出力する第1の電力分配器と、
前記第1の電力分配器の出力ポートの一つに接続され、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する第1の周波数変換回路と、
前記第1の周波数変換回路に接続された第2の増幅器と、
前記第2の増幅器に接続され、入力された信号を複数の経路に分配して出力する第2の電力分配器と、
前記第2の電力分配器の出力ポートの一つに接続された第2のサーキュレータと、
前記第2のサーキュレータ及び前記第1の電力分配器の出力ポートの他の一つに接続され、複数の経路からの信号を合成する第1の電力合成器と、
前記第1の電力合成器に接続され、入力された信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する第2の周波数変換回路と、
前記第2の周波数変換回路及び前記第2の電力分配器の出力ポートの他の一つに接続され、複数の経路からの信号を合成する第2の電力合成器と、
前記第2の電力合成器に入力ポートが接続されると共に前記第1のサーキュレータに出力ポートが接続された第3の増幅器と、
を有する請求項5記載の中継器。
【請求項10】
前記第2のサーキュレータと前記第1の電力分配器のとの間に接続された第4の増幅器を有する請求項9記載の中継器。
【請求項11】
前記第1のサーキュレータは、基地局側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号を前記第1の増幅器に出力すると共に前記第3の増幅器から入力された信号を基地局側の漏洩同軸ケーブルに出力し、
前記第2のサーキュレータは、前記第2の電力分配器から入力された信号を後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルへ出力すると共に後段の中継器側の漏洩同軸ケーブルから入力された信号を前記第4の増幅器に出力する請求項10記載の中継器。
【請求項12】
前記漏洩同軸ケーブルから入力された移動機から基地局への信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する共に、基地局から移動機への信号の周波数を異なる周波数に変換して出力する請求項11記載の中継器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−169922(P2012−169922A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30018(P2011−30018)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】