説明

無線通信ネットワークへの移動通信端末の接続を可能にするための方法およびシステム

【課題】異種またはマルチRAT無線通信ネットワークにどの無線通信ネットワークへの接続する方法を提供する。
【解決手段】地理的エリア100内で利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報を地理的エリア中にブロードキャストするステップを含み、その情報は、地理的エリア内の移動通信端末110の現在位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末によって使用されるように意図される方法。その情報は、地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子に関連して、その無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、広義には移動電話通信ネットワークおよびワイヤレスデータネットワークを含む、無線通信ネットワークの分野に関する。より詳細には、本発明は、移動通信端末、たとえば携帯電話が無線通信ネットワークにどのように接続するかについての態様に関する。
【背景技術】
【0002】
新しい通信技術および規格の導入により、異種無線通信ネットワーク状況がますます一般的になってきている。
異種無線通信ネットワーク状況とは、たとえば1つ若しくは複数のGSM(登録商標)(移動通信用グローバルシステム)システム、1つ若しくは複数のGPRS(汎用パケット無線サービス)システム、1つ若しくは複数のUMTS(ユニバーサル移動体通信システム)システム、1つ若しくは複数のWLAN(ワイヤレスローカルエリアネットワーク)又は他のタイプのワイヤレスデータネットワークのような、異なる規格に準拠する2つ以上の異なる無線通信システムが共存する地理的エリアである。異なる無線通信システムは同じまたは異なるテレコムサービスプロバイダに属することがある。
【0003】
異なる無線通信システムは通常、通信プロトコルの最下層、特に物理層、データリンク層、ネットワーク層およびトランスポート層でさえ互いに異なるので、異種無線通信ネットワーク状況はマルチRAT(無線アクセス技術)システムであることが極めて多い。
【0004】
異種無線通信ネットワーク状況で動作することができるマルチモード移動通信端末は当技術分野で知られており、すでに市販されている。たとえば、デュアルモード携帯電話はUMTS規格とGSM(登録商標)規格の両方をサポートする。
【0005】
再構成可能な移動通信端末も当技術分野で知られており、これらは、使用中、サポートされる無線通信規格を変更するように再構成できる(たとえば、ある時間に、GSM(登録商標)規格をサポートするように構成された再構成可能な移動通信端末はUMTS規格をサポートするように再構成できる)。
【0006】
異種またはマルチRAT状況では、マルチモードおよび/または再構成可能な移動通信端末は、最適なRATに接続することができなければならない。電源が入れられたとき、移動通信端末は、それが位置する地理的エリア内でどれが最適なRATであるか、またはその特定の地理的エリア内に存在するRATがどの周波数範囲を利用するかについて認識しない。この後者の側面は特に重大であり、なぜなら、DSA(Dynamic Spectrum Allocation)技術またはFSM(Flexible Spectrum Management)技術が実装されている場合、RATの周波数範囲は、たとえばネットワークオペレータの好ましいポリシーに従ってアプリオリに確立されず、時間的に変化することが可能だからである。したがって、移動通信端末は、その現在位置においてどれが利用可能なRATであるかを検出するために周波数範囲全体を走査しなければならず、端末がキャンピングのために必要とする時間に著しい影響を及ぼし、移動通信端末のような電池式ハンドヘルドデバイスに大切なリソースである電力を大量に消費する。
【0007】
L.T.LeおよびA.H.Aghvami「Performance of an accessing and allocation scheme for download channel in SDR(SDRにおけるダウンロードチャネルのためのアクセスおよび割り当て方式のパフォーマンス)」ワイヤレス通信網会議、シカゴ、2000、2巻、517〜521ページには、すべてのブ ロードキャストメッセージとシグナリングメッセージの交換のため、および再構成可能な移動通信端末の再構成のためのソフトウェアダウンロードの手順のために使用される、GPDCH(Global Pilot and Download CHannel)と呼ばれる通信チャネルの方式が提示されている。アプリオリに知られる周波数帯域内の通信チャネルの可用性は、移動通信端末のタスクを円滑にし、それにより、そのようなチャネルを介して送信されるメッセージから、どれが利用可能なRATであるか、それぞれの周波数帯域、異なるテレコムオペレータについての指示を得ることができる。
【0008】
文献「Cognitive Pilot Channel(認知パイロットチャネル)」、P.Cordierら、第15回ワイヤレス・ワールド・リサーチ・フォーラム、2005年12月8〜9日、パリには、周波数帯域、RAT、サービス、負荷状況などに関する関連情報をブロードキャストすることによって、最適なネットワークへの接続に役立つ十分な情報を移動端末に提供するための通信チャネル、いわゆる「CPC」(「認知パイロットチャネル」)を確立するための2つの可能な解決策が提示されている。
【0009】
第1の提案された解決策によれば、CPCは、多数の異なるメッシュを含む広いゾーン上でブロードキャストされ、CPCは、このエリアのすべてのメッシュのためのデータを含み、メッシュごとに、CPCは、そのメッシュにおいて利用可能なオペレータ、それらの好ましい技術および対応する周波数帯域を含む。あるメッシュに位置する端末は、スイッチが入ると、それ自体で、GPS(全地球測位システム)を使用してその位置を決定する。その位置についての知識のおかげで、端末は、そのメッシュにおいて利用可能な技術、これらのRATを展開するオペレータ、および対応する周波数帯域に関する情報をCPCから取り出すことができる。このようにして、端末は、関連するオペレータおよびネットワークとの接続を確立する。
【0010】
P.Cordierらの文献で提案された第2の解決策は、国レベルCPC(レベル1)、オペレータレベルCPC(レベル2)およびネットワークレベルCPC(レベル3)をもつマルチレベル階層構造を有するCPCに対するものである。レベル1CPCは、移動端末領域の近くにいるのは誰(オペレータ)か、レベル2CPCがどの周波数で作動しているかを示し、レベル2CPCは、どのRATがオペレータによってどの周波数で作動しているかを知らせ、レベル3CPCはRAT情報を示す。
【0011】
前述のP.Cordierらの文書と同様に、P.Houzeら「Common Pilot Channel for network selection(ネットワーク選択のための共通パイロットチャネル)」、VTC2006−Spring、2006年IEEE第63回移動体技術会議、2006年5月、67〜71ページには、利用可能なネットワークとの接続を開始するために調和周波数帯域内に共通パイロットチャネル(CPC)をおく概念が記載されている。1つのブロードキャストチャネルによってカバーされるエリアはメッシュに分割され、メッシュごとに、各オペレータは対応する情報、すなわち利用可能な技術および対応する周波数帯域を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
出願人は、ネットワークへの移動端末のキャンピングを円滑にするためのCPCのようなチャネルを利用する概念は優れているが、そのようなチャネルを実装するための提案された解決策は満足のいくものではないことがわかった。
【0013】
特に、P.Cordierらの文献で提案され、P.Houzeらの文書に同様に開示されている第1の解決策は、送信される情報が非常に冗長であるので、通信帯域幅を効率的に使用しない。当該の地理的エリアの隣接するメッシュ内で同じRATが利用可能であることにかかわらず、メッシュは互いに別個であると考えられるので、メッシュごとに、CPCは、そのメッシュにおいて利用可能なオペレータ、それらの好ましい技術および対応する周波数帯域に関する情報を伝達する。このことは、CPCに対してより大きい帯域幅を確保することを強要することになり、CPC専用の帯域幅はペイロードを輸送するために使用できないので、1つの望ましくないことである。言い換えれば、一般的なRATでは、RATの存在の情報が、そのRATによってカバーされるあらゆるメッシュに対して複製されることにより、帯域幅が大量に浪費され、GSM(登録商標)およびUMTSのような、一般に広域カバレージを特徴とするシステムの場合、システムが存在するメッシュの数、したがってそのシステムの存在に関する情報が複製される回数が多いので、帯域幅の浪費は特に著しい。
【0014】
P.Cordierらの文献で提案された第2の解決策の制限は、単一のレベルのCPCの場合と比較して、RATにアクセスするために必要な時間がより長いこと、およびテレコムオペレータが自身のCPCをブロードキャストするための認可された帯域幅の一部を犠牲にしなければならないことにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
出願人は、前述の第1の提案された解決策に対して、移動端末によるネットワークへの接続を円滑にするための情報を伝達するために使用されるチャネルを確立するための帯域幅要件を大幅に低減することができる、CPCを実装するためのより効率的な解決策を見つけた。特に、出願人は、当該の地理的エリアをいくつかの異なるメッシュに細分し、次いであらゆる単一のメッシュに対して、どのRATがその中で利用可能であるかを特定する代わりに、既存のRATに関する情報を伝達して、RATごとに、そのRATによってカバーされるエリアを決定するように適合されたデータ(たとえば、地理的座標)を提供する方がはるかに優れていることを発見した。言い換えれば、本発明によれば、当該の地理的エリアは、結果として、(場合によっては重複する)可変サイズの部分に細分され、各部分は、当該の地理的エリア内に存在するRATのカバレージエリアに応じて対応する。
【0016】
本発明の一態様によれば、地理的エリア内で利用可能な、利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報を前記地理的エリア中にブロードキャストするステップを含み、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末によって使用されるように意図される、無線通信ネットワークへの移動通信端末の接続を可能にするための方法が提供される。
【0017】
前記情報は、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子に関連して、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む。
【0018】
前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークは、前記地理的エリア内で利用可能な無線アクセスネットワークのリストを含むことができる。
前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、前記地理的エリア内の少なくとも1つの地理的ポイントの地理的座標を含むことができる。前記データは、長さの指示も含むことができる。前記少なくとも1つポイントは円の中心とすることができ、前記長さの指示は円の半径を規定し、前記円は、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を記述する。前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、少なくとも2つの地理的ポイントの地理的座標であって地理的エリアのカバレージの範囲を記述する多角形の頂点を規定する前記地理的座標を含んでもよい。
【0019】
無線アクセスネットワークが地理的エリア全体をカバーする場合、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、無線アクセスネットワークが地理的エリア全体をカバーすることの指示を含むことができる。
【0020】
無線アクセスネットワークの識別子は、文字列の形式をとることができる。
前記のブロードキャストに対し、帯域外ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域の外部の周波数帯域内に位置する前記チャネルを利用することができる。代替的に、帯域内ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域内の周波数帯域内に位置する前記チャネルを利用してもよい。前記帯域内ブロードキャスト通信チャネルは、当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークのうちの1つの論理チャネルとして規定できる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、前記地理的エリア内で利用可能な、利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報の地理的エリア中のブロードキャストを制御するように適合されたネットワーク機能を含み、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末によって使用されるように意図される、無線通信ネットワークが提供される。前記情報は、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、少なくとも1つの無線アクセスネットワークについて、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む。
【0022】
前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークは、前記地理的エリア内で利用可能な無線アクセスネットワークのリストを含むことができる。
前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、前記地理的エリア内の少なくとも1つの地理的ポイントの地理的座標を含むことができる。前記データは、長さの指示も含むことができる。特に、少なくとも1つの地理的ポイントの前記地理的座標は円の中心の地理的位置を規定することができ、前記長さの指示は円の半径を規定し、前記円は、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を記述する。前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、少なくとも2つの地理的ポイントの地理的座標であって地理的エリアのカバレージの範囲を記述する多角形の頂点を規定する前記地理的座標を含んでもよい。無線アクセスネットワークが地理的エリア全体をカバーする場合、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、無線アクセスネットワークが地理的エリア全体をカバーすることの指示を含むことができる。
【0023】
前記無線アクセスネットワークの識別子は、文字列の形式をとることができる。
前記のブロードキャストに対し、帯域外ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域の外部の周波数帯域内に位置する前記チャネルを利用することができる。代替的に、帯域内ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域内の周波数帯域内に位置する前記チャネルが利用される。帯域内ブロードキャスト通信チャネルは、当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークのうちの1つの論理チャネルとして規定できる。
【0024】
本発明の第3の態様によれば、地理的エリア中にブロードキャストされる前記地理的エリア内で利用可能な、利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報を無線通信ネットワークから受信するように適合された移動通信端末であって、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末によって使用されるように意図される、移動通信端末が提供される。前記移動通信端末前記情報を受信するように適合された受信機を含み、前記情報は、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、前記識別子に関連して、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、前記地理的エリア内で利用可能な、利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報を地理的エリア中にブロードキャストするように適合された、無線通信ネットワークの無線基地局であって、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末によって使用されるように意図される、無線通信ネットワークの無線基地局が提供される。前記情報は、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子に関連して、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む。
【0026】
前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークは、前記地理的エリア内で利用可能な無線アクセスネットワークのリストを含むことができる。
前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、前記地理的エリア内の少なくとも1つの地理的ポイントの地理的座標を含むことができる。前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータは、長さの指示をも含むことができる。特に、少なくとも1つの地理的ポイントの前記地理的座標は円の中心の地理的位置を規定することができ、前記長さの指示は円の半径を規定することができ、前記円は、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を記述する。前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、少なくとも2つの地理的ポイントの地理的座標であって地理的エリアのカバレージの範囲を記述する多角形の頂点を規定する前記地理的座標を含んでもよい。無線アクセスネットワークが地理的エリア全体をカバーする場合、前記無線アクセスネットワークによる地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データは、無線アクセスネットワークが地理的エリア全体をカバーすることの指示を含むことができる。
【0027】
前記無線アクセスネットワークの識別子は、文字列の形式をとることができる。
前記のブロードキャストに対し、帯域外ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域の外部の周波数帯域内に位置する前記チャネルを利用することができる。代替的に、帯域内ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域内の周波数帯域内に位置する前記チャネルを利用してもよい。帯域内ブロードキャスト通信チャネルは、当該の前記地理的エリア内に存在する無線アクセスネットワークのうちの1つの論理チャネルとして規定できる。
【0028】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照する、単に非限定的な例として与えられる実施形態についての以下の詳細な説明を読むことによって明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が有利に適用される、異種またはマルチRAT無線通信ネットワーク状況を概略的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるシステムのアーキテクチャを概略的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による通信プロトコルのアーキテクチャを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの一般的な構造を概略的に示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による移動端末キャンピング手順の主なステップを示す概略流れ図である。
【図6】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの第1のタイプの一部の構造を概略的に示す図である。
【図7】本発明の一実施形態における、図5のキャンピング手順の屋外キャンピング手順部分の主なステップを示す概略流れ図である。
【図8A】本発明の一実施形態における、図5のキャンピング手順の屋内キャンピング手順部分の主なステップを示す概略流れ図である。
【図8B】本発明の一実施形態における、図5のキャンピング手順の屋内キャンピング手順部分の主なステップを示す概略流れ図である。
【図8C】本発明の一実施形態における図5のキャンピング手順の屋内キャンピング手順部分の主なステップを示す概略流れ図である。
【図9】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの第2のタイプの一部の構造を概略的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの第3のタイプの一部の構造を概略的に示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの第4のタイプの一部の構造を概略的に示す図である。
【図12】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの第5のタイプの一部の構造を概略的に示す図である。
【図13】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの第6のタイプの一部の構造を概略的に示す図である。
【図14】本発明の一実施形態による通信プロトコルのメッセージの第7のタイプの一部の構造を概略的に示す図である。
【図15】本発明の一実施形態における、移動端末を再構成するためのソフトウェアモジュールのダウンロードの手順の間に交換されるメッセージを概略的に示すシグナリング図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を参照すると、図1には、本発明が有利に適用される、異種またはマルチRAT無線通信状況が概略的に示されている。当該の地理的エリア100は、無線信号の観点から、同じまたは異なるテレコムオペレータによって管理される、RATj、RATk、RATm、RATnの異なるRATを実装する2つ以上、図示の例では4つの異なる無線アクセスネットワーク(RAN)によってカバーされる。それらの異なるRATは、たとえば、GSM(登録商標) RAT、GSM(登録商標)/GPRS RAT、GSM(登録商標)/GPRS/EDGE RAT、UMTS FDD(周波数分割複信)RAT、UMTS TDD(時分割複信)RAT、WLAN(たとえば、IEEE802.11a/b/g)RAT、CDMA2000 RAT、IS−95 RATを含む。RANの数および特定のタイプは、本発明にとって限定的ではない。各RANは、前記RANのテレコムオペレータ所有者の配備選択に依存するそれぞれのカバレージエリア105j、105k、105m、105nを有する。
【0031】
参照番号110は、異なるRATで、具体的にはRATj、RATk、RATm、RATnの4つの異なるRATのうちの2つ以上で作動することが可能なマルチモードおよび/または再構成可能な移動通信端末を示す。
【0032】
一般に、異種無線通信状況に属するネットワークに接続するために、移動端末110は、移動端末の現在位置でどれが利用可能なRATであるかを知り、最適なRATを選択する必要がある。移動端末が再構成可能な端末であり、利用可能なRATがその現在の構成によってサポートされない場合、移動端末は、その構成の変更に必要なソフトウェアをダウンロードすることができる。再構成可能な端末は、たとえば、参照により本明細書に組み込まれる、公開国際出願第WO2006/045334号に記載されている。
【0033】
本発明によれば、異種無線通信ネットワークに接続するタスクを円滑にするために移動通信端末によって利用される情報を当該の地理的エリア100中に伝達するために、以下RASD(Radio Aware and Software Download)チャネルと呼ぶ専用の通信チャネルと、関連する通信プロトコルとが確立される。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態によるシステムのアーキテクチャを機能ブロックの観点から示す。RASDチャネルを介して送信/受信するための複数のRASDトランシーバノードまたは局205が当該の地理的エリア100中に配備され、一般的なトランシーバ局205はそれぞれの無線カバレージエリア210を有する。RASDトランシーバ局205は、たとえばGSM(登録商標)のBTS(基地トランシーバ局)またはUMTSのノードB、あるいは再構成可能なMSBS(マルチスタンダード基地局)のような、移動電話通信ネットワークの基地局と同様のトランシーバ局である。RASDトランシーバ局205はまた、異種ネットワークの異なるRATのトランシーバ局と共存することができる。
【0035】
RASDトランシーバ局205はRASDコントローラノード215とワイヤレスおよび/または有線の通信関係にある。RASDコントローラノード215は、RASDトランシーバ局205によって送信される情報コンテンツを管理する役目を果たすネットワーク機能を実装する。RASDコントローラノード215はまた、後で詳細に説明するように、移動通信端末110によって発行され、RASDチャネルを介して送信される情報要求、具体的には異種無線通信状況のRATによる当該エリアのカバレージ100に関する情報の要求を搬送するメッセージを管理する役目を果たす。さらに、RASDコントローラノード215は、再構成可能な移動通信端末をその移動通信端末の現在位置に存在するRATで作動するように適合させるために、移動通信端末を再構成するように適合された有効なソフトウェアの、再構成可能な移動通信端末へのダウンロードを処理する役目を果たす。
【0036】
RASDコントローラノード215は、たとえばネットワーク操作および管理機能によって与えられるネットワーク計画データ220から、当該エリア100内に存在する異なるRATと、それらの無線カバレージに関する情報とを得ることができる。
【0037】
参照番号225は、たとえばGPSのような地理的位置特定システムを示し、移動通信端末110は、当該のエリア内のそれらの位置を決定するためにそのシステムを利用するように適合される。
【0038】
好ましくは、移動通信端末110は短距離ワイヤレス、たとえば無線通信機能を有し、たとえば、移動通信端末110はブルートゥースインターフェース、ZigBeeインターフェース、HomeRFインターフェース、IRインターフェースなどを備え、それらによって移動通信端末110は最大100メートルの距離の範囲内に位置する近接移動通信端末、または他のローカル装置と直接通信することができる。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態によるRASD通信プロトコルのアーキテクチャを図式的に示す。プロトコルスタックの最下位レベル(特に、OSIスタックの第1層および第2層、すなわち物理層および接続層)は、RASDコントローラノード215(ブロック305−c)と、一般的なRASDトランシーバ局205(ブロック305−s)と、移動通信端末110(ブロック305−t)とに実装される。RASDプロトコルは、RASDコントローラノード215(ブロック310−c)と、移動通信端末110(ブロック310−t)とに実装されるRASD制御プロトコル層(OSIスタックの第3レベル)をさらに含む。特に移動通信端末および一般的なRASDトランシーバ局における最下位プロトコル層の特定の実装は、それ自体限定的ではない。特に、物理層を実装するためには、既存のRATの1つ、たとえば(あらゆる無線チャネルに対して、200KHzに等しい帯域幅を確立する)GSM(登録商標)を利用するか、または専用のRASD無線層を規定することができる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、当該の地理的エリア100中にブロードキャストするためにRASDコントローラノード215によってRASDトランシーバ局205に提供される情報は、利用可能なRATのタイプ(たとえば、GSM(登録商標)、GSM(登録商標)/GPRS、GSM(登録商標)/GPRS/EDGE、UMTS FDD、UMTS TDD、IEEE802.11a/b/g、CDMA2000、IS−95)を含む。RATごとに、RASDコントローラノード215は前記RATのカバレージエリアに関する指示をさらに与える。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、RASDチャネルを介して当該のエリア中にブロードキャストされる指示である、既存のRATの各々のカバレージエリアに関する指示が、既存のRATの各々に関して、データの形式で与えられ、そのデータから、対応するRATのカバレージエリア、たとえば、RATのカバレージエリアを表す仮想の円の中心の座標(緯度と経度)、および円の半径の測定値(たとえば、メートルまたは他の長さの単位において)、またはRATのカバレージエリアを表す仮想の長方形の対角線の2つの隅の座標(緯度と経度)、あるいはRATのカバレージエリアを表す仮想の多角形の頂点の座標(緯度と経度)などを得ることができる。当該の地理的エリアの所与のゾーンには2つ以上のRATが存在するので、カバレージに関するこれらの指示は、互いに重なることがあるそれぞれのRATによるそれぞれのカバレージエリアを規定する。
【0042】
このように、RASDチャネルを介してブロードキャストされるデータの量、したがってRASDチャネル帯域幅要件は、特に、当該の地理的エリアをゾーンに細分し、ゾーンごとに、そのゾーン内で利用可能なRATに関する情報をブロードキャストする解決策と比較して、相対的に限定されている。実際に、特に、GSM(登録商標)およびUMTSのように広域カバレージを有するシステムの場合、当該の地理的エリアが細分されるあらゆるゾーン(そのサイズは比較的小さくなければならない)に対して、どのRATがその中で利用可能であるかに関する情報を繰り返すことは大きな冗長をもたらす(これらの場合、GSM(登録商標)システムまたはUMTSシステムのカバレージエリアを構成するいくつかのゾーンのすべてに対して同じ情報「GSM(登録商標)」または「UMTS」を繰り返されなければならない)。
【0043】
本発明の一実施形態による一般的なRASDプロトコルメッセージの構造を図4に示す。全体的に400で示したRASDプロトコルメッセージは、メッセージのタイプの指示を含むように意図されたフィールド405(「MESSAGE_TYPE」)と、メッセージが、すべての移動通信端末に向けられたブロードキャストメッセージ(値「BROADCAST」)であるか、特定の移動通信端末に向けられたシングルキャストメッセージ(値「SINGLECAST」)であるかを指定する値を含むように意図されたフィールド410(「MESSAGE_SCOPE」)と、フィールド410中に含まれる値が、メッセージがシングルキャストメッセージであることを指定する場合に存在し、メッセージが向けられる移動通信端末の識別子を含むように意図された任意選択のフィールド415(「UE_ID」)と、メッセージ400の情報コンテンツを含むように意図されたフィールド420(「SPECIFIC_DATA」)とを含む。
【0044】
以下で、図5を参照しながら、一般的なRASDトランシーバ局205によってカバーされ、移動通信端末110が位置するエリア210内で利用可能なRATのうちの1つに移動通信端末110が接続できるようにする、本発明の一実施形態によるキャンピングアルゴリズムについて説明する。移動通信端末110は、複数の異なるRATで作動することが可能なマルチモードハンドセットであると仮定する。また、移動通信端末が接続しなければならないRATに応じて、移動通信端末は再構成可能であり、すなわちその無線通信機能が再プログラムでき、その端末の再プログラミングに必要な有効なソフトウェアモジュールがその端末で利用可能でない場合、その端末は、その必要な有効なソフトウェアモジュールをダウンロードする「オーバ・ザ・エア」(「OTA」)が可能であると仮定する。
【0045】
RASDコントローラノード215は、各RASDトランシーバ局205に、それぞれのエリア210内の異なるRATの無線カバレージに関する情報を送信するためのカバレージ情報ブロードキャスト手順(ブロック501)を定期的に開始する。その情報は、RASDトランシーバ局205がそれぞれのエリア210中にブロードキャストするブロードキャストメッセージである「COVERAGE INFORMATION」メッセージ中に含まれる。
【0046】
「COVERAGE INFORMATION」メッセージは、図4に示す一般的な構造を有し、「SPECIFIC_DATA」フィールド420は、1つまたは複数のブロック(「COVERAGE INFORMATION BLOCK」、すなわち「CIB」)を各RATに対して1つ含む。一般的な「CIB」の構造を図6に概略的に示す。「CIB」600は、最高6つのフィールド605、610、615、620、625および627を含む。フィールド605(「RAT_TYPE」)は、RATのタイプに関する指示を含むように意図される。たとえば、「RAT_TYPE」フィールド605は、値「GSM(登録商標)」、「GSM(登録商標)/GPRS」、「GSM(登録商標)/GPRS/EDGE」、「UMTS FDD」、「UMTS TDD」、「IEEE802.11a/b/g」、「CDMA2000」、「IS−95」のリストから選択される値を含むことができる。フィールド610(「COVERAGE_EXT」)は、当該のRATが当該のRASDトランシーバ局205のエリア210全体をカバーするのか(値「GLOBAL」)、またはそのRATがエリア210の一部のみをカバーするのか(値「LOCAL」)を指定する値を含むように意図される。フィールド615(「COVERAGE_AREA」)は任意選択であり、「COVERAGE_EXT」フィールド610に含まれる値が「LOCAL」に等しい場合のみ存在する。「COVERAGE_AREA」フィールド615は、当該のRATのカバレージエリアを指定するように適合されたデータを含むように意図される。たとえば、上記のように、カバレージエリアは仮想の円として表すことができ、その場合「COVERAGE_AREA」フィールド615は3つのサブフィールド630(「CENTER_LAT」)、635(「CENTER_LONG」)および640(「RADIUS」)を含む。サブフィールド630およびサブフィールド635は、それぞれのRATのカバレージエリアを規定するために使用される仮想の円の中心の座標(緯度と経度)に関する指示を含むように意図され、フィールド640は仮想の円の半径の測定値(たとえば、メートルにおいて)を含むように意図される。フィールド620(「OPERATOR_ID」)は、そのRATを管理するテレコムオペレータの識別子を含むように意図される。フィールド625(「RF_BAND」)は、当該のRATに割り当てられた周波数帯域の指示を含むように意図される。「RF_BAND」フィールド620は、3つのサブフィールド645(「INIT_FREQ」)、650(「FINAL_FREQ」)および655(「CH_BAND」)を含むことができる。サブフィールド645およびサブフィールド650は、RATに割り当てられた周波数帯域の最初の周波数および最後の周波数(たとえば、KHz単位)を示す値を含むように意図され、フィールド655は、当該のRATに割り当てられた各チャネルの帯域幅(たとえば、KHz単位)を指定する値を含むように意図される。フィールド627(「PRIORITY」)は、当該のRATに割り当てられた優先順位を指定する値を含むように意図される。「CIB」600のこれらのフィールド内で指定された優先順位値は、「COVERAGE INFORMATION」メッセージ内の「CIB」600の順序を決定するために使用でき、それにより、より高い優先順位を有するRATに関する「CIB」600は、より低い優先順位を有するRATに関する「CIB」600より優先する。
【0047】
RASDコントローラノード215は、たとえば、「COVERAGE INFORMATION」メッセージを所定の周期性で(たとえば、GSM(登録商標)の第1層および第2層を使用すると仮定すると、480msごとに)送信することができる。ブロードキャストのために選択された時間周期が「COVERAGE INFORMATION」メッセージ全体を送信するのに十分ではない場合、RASDコントローラノード215は次の「COVERAGE INFORMATION」メッセージの送信を、「COVERAGE INFORMATION」メッセージ全体の送信を完了するのに必要なだけ、その選択された時間周期の複数倍、遅らせることができる。
【0048】
図5に戻って、RASDコントローラノード215は、移動通信端末から受信する要求をリッスンし(ブロック503)、要求が受信された場合(ブロック503の出口分岐Y)、その要求は処理される(ブロック505)。受信されない場合(ブロック503の出口分岐N)、RASDコントローラノード215は再びカバレージ情報ブロードキャスト手順を開始する(ブロック501)。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、キャンピングアルゴリズムは、たとえば屋内環境にあるので、GPS信号が移動通信端末によって受信されないために、移動通信端末がその地理的位置を確認することができない状況に対処するように適合される。
【0050】
具体的には、一般的な移動通信端末110の電源が入ると(ブロック507)、移動通信端末は、GPS信号を受信しているかどうかを確認する(ブロック509)。一般に移動通信端末が屋外に位置するときに生じる、はいの場合(ブロック509の出口分岐Y)、移動通信端末110は屋外キャンピング手順を開始し(ブロック511)、一般に移動通信端末が屋内に位置するときに生じる、いいえの場合(ブロック509の出口分岐N)、移動通信端末がGPS信号を受信しなければ、移動通信端末110は屋内キャンピング手順を開始する(ブロック513)。次いでキャンピング手順が終了する(ブロック515)。
【0051】
屋外キャンピング手順および屋内キャンピング手順について、それぞれ図7と、図8A、図8Bおよび図8Cの概略流れ図を用いて、以下で詳細に説明する。
図7を参照すると、屋外キャンピング手順では、移動通信端末110は、端末110が位置するエリアをカバーするRASDトランシーバ局205によって送信されるRASDチャネル上でその無線受信機を同調させる(ブロック701)。
【0052】
移動通信端末110は、RASDトランシーバ局205によってブロードキャストされた「COVERAGE INFORMATION」メッセージを受信し、その情報コンテンツを復号し、受信した「COVERAGE INFORMATION」メッセージの1つまたは複数の「CIB」600に含まれる情報を記憶する(ブロック703)。
【0053】
次いで、移動通信端末110は、GPS信号を利用してその位置を決定する(ブロック705)。
次いで、移動通信端末110は、受信した「COVERAGE INFORMATION」メッセージに含まれていた「CIB」600の走査を開始する(ブロック707)。
【0054】
第1の「CIB」600から開始して、移動通信端末110は、「COVERAGE_EXT」フィールド610に含まれる値が、検査された「CIB」600の対応するRATがエリア210全体をカバーすることを意味する「GLOBAL」に等しいかどうかをチェックする(ブロック709)。はいの場合、移動通信端末110は、それが検査された「CIB」600の「RAT_TYPE」フィールド605内で指定されたRAT用に構成されているかどうかをチェックし(ブロック711)、構成されている場合(ブロック711の出口分岐Y)、移動通信端末110はそのRATに接続し(ブロック713)、屋外キャンピング手順が終了する。好ましい一実施形態では、移動通信端末110は、フィールド620内の識別子によって示されるテレコムオペレータが好ましいテレコムオペレータのリスト、たとえばその端末のSIM(加入者識別モジュール)内に記憶されている前記リストの1つであるかどうかをチェックし、はいの場合、移動通信端末は、そのRATを選択し、いいえの場合、別のRATを探索することができる。最終的に、利用可能なRATのいずれも好ましいテレコムオペレータに属さない場合、端末は第1の利用可能なRATを選択する。
【0055】
代わりに、移動通信端末110がそのRAT用に構成されていない場合(ブロック711の出口分岐N)、端末は、そのRAT用に自己再構成するための必要な有効なソフトウェアモジュールをすでに備えているかどうかを確認する(ブロック715)。はいの場合(出口分岐Y)、移動通信端末110は、指定されたRAT用に自己再構成し(ブロック717)、そのRATに接続し(ブロック713)、いいえの場合(ブロック715の出口分岐N)、さらなる「CIB」600がある場合(ブロック719、出口分岐Y)、別のRATに関する次の「CIB」600を選択し、上記の動作を繰り返し、さらなる「CIB」600がない場合(ブロック719、出口分岐N)、移動通信端末110は、端末再構成ダウンロード手順(ブロック721)を開始して、最高優先順位RATで動作するようにその端末を再構成する(ブロック723)ために必要なソフトウェアモジュールをダウンロードし、次いでそのRATに接続する(ブロック713)。
【0056】
ブロック709に戻って、「COVERAGE_EXT」フィールド610に含まれる値が、当該のRATがエリア210全体をカバーするわけではないことを意味する「LOCAL」に等しい場合(出口分岐N)、移動通信端末110は、その移動端末が位置するエリア210内のそのRATのカバレージエリアを決定するように適合された指示が提供される「COVERAGE_AREA」フィールド615をチェックする(ブロック725)。たとえば、RATカバレージエリアを表す仮想の円の中心の座標および半径を指定するデータを利用して、移動通信端末110はRATカバレージエリアを決定する。次いで、移動通信端末110は(GPS信号を利用してブロック705で決定した)その現在位置がRATカバレージエリア内にあるかどうかを決定する(ブロック727)。はいの場合、移動通信端末110は、ブロック711〜723によって図示された上記の同じ動作を実行する。代わりに、移動通信端末110が、その現在位置がRATカバレージエリア内にないと判定した場合(ブロック727の出口分岐N)、移動通信端末110は、次の記憶した「CIB」600がもしあれば(ブロック719の出口分岐Y)、それに移動し(ブロック707)、いま説明した同じ方法でそれを検査し、または後で説明する端末再構成ダウンロード手順を開始し(ブロック721)、次いで最高優先順位RATに接続する(ブロック723)。
【0057】
本発明の好ましいが、限定的ではない一実施形態による屋内キャンピング手順を図8A、図8Bおよび図8Cの流れ図に図示する。GPS信号がないと判定した後、移動通信端末110は(オフにされる前に受信した)前の「COVERAGE INFORMATION」メッセージとともに受信した利用可能なカバレージ情報データがそのメモリ内にあるかどうかをチェックする(ブロック801)。はいの場合(出口分岐Y)、移動通信端末110は、そのメモリ内に記憶されている「CIB」600の走査を開始する(ブロック803)。記憶した「CIB」600のうちの最初の「CIB」600から開始して、移動通信端末110は、「COVERAGE_EXT」フィールド610に含まれる値が「GLOBAL」に等しいかどうかをチェックする(ブロック805)。はいの場合(出口分岐Y)、移動通信端末110は、それが検査された「CIB」600の「RAT_TYPE」フィールド605内で指定されたRAT用に構成されているかどうかをチェックし(ブロック807)、構成されている場合(ブロック807の出口分岐Y)、移動通信端末110はそのRATに接続し(ブロック809)、屋内キャンピング手順が終了する。代わりに、移動通信端末110がそのRAT用に構成されていない場合(ブロック807の出口分岐N)、端末は、そのRAT用に自己再構成するために必要なソフトウェアモジュールをすでに備えているかどうかを確認する(ブロック811)。はいの場合(出口分岐Y)、移動通信端末110は、指定されたRAT用に自己再構成し(ブロック813)、そのRATに接続し(ブロック809)、いいえの場合(ブロック811の出口分岐N)、さらなる「CIB」600がある場合(ブロック815、出口分岐Y)、別のRATに関する次の「CIB」600を選択し、上記の動作を繰り返す。
【0058】
同様に、「COVERAGE_EXT」フィールド610に含まれる値が「LOCAL」に等しく(ブロック805の出口分岐N)、さらなる「CIB」600がある場合、移動通信端末は次の「CIB」600を選択し、上記の動作を繰り返す。
【0059】
言い換えると、たとえばGPS信号がないために、移動通信端末がその位置を決定することができないとき、移動端末が、RASDチャネルを介して前回受信した情報に基づいて、それが位置するエリア210を全体的にカバーするRATがあることを確認した場合、移動端末はそのRATに接続しようとするが、エリア210全体ではなくその一部のみをカバーするRATによってカバーされるエリア210の部分には移動端末がないことがあるために、移動端末はそのRATに接続しようとしない。
【0060】
さらなる「CIB」600がない場合(ブロック815、出口分岐N)、またはそのメモリ内に利用可能なカバレージ情報データがない場合(ブロック801の出口分岐N)、移動通信端末110は、近接移動通信端末との通信を確立しようと試みるために短距離無線通信セッションを開始し、そこから、欠落したまたは更新されたカバレージ情報データを得ることができる(ブロック817)。
【0061】
移動通信端末110は、近接移動端末から応答を受信するとすぐに、他の近接移動端末から受信する可能なさらなる応答を無視し、応答した移動端末とカバレージ情報要求手順を開始する(ブロック819)。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、カバレージ情報要求手順は、短距離無線通信要求に応答した近接移動端末に「COVERAGE INFORMATION REQUEST」メッセージを送信することを、移動通信端末110に要求する。
【0063】
「COVERAGE INFORMATION REQUEST」メッセージは、図4に示した一般的な構造を有し、図9に概略的に示した「SPECIFIC_DATA」フィールド420は、移動通信端末によって特定されるRATの指示を含むように意図されるフィールド905(「IDENT_RAT_TYPE」)と、移動通信端末によって実行されるフィールド905内で指定されたRATの無線信号レベルに関する測定値のリストを含むように意図されるフィールド910(「RAT_MEASURES」)とを備える。フィールド910の情報要素の各々(各測定値に対して1つの情報要素)は、それに関して測定が実行されたRATトランシーバ局の識別子を含むように意図されるフィールド915(「BTS_ID」)と、フィールド915内で指定されたトランシーバ局に対して行われた測定から得られた値を含むように意図されるフィールド920(「MEASURED_LEVEL」)とからなる。
【0064】
カバレージ情報要求手順を開始する移動通信端末110によって送信される「COVERAGE INFORMATION REQUEST」メッセージは、未定義値(これらのデータは近接移動端末には不要である)に設定されるすべてのフィールドを有する。
【0065】
移動通信端末110から「COVERAGE INFORMATION REQUEST」メッセージを受信する近接移動端末は、それに応答して「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージを返信する。
【0066】
「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージは、図4に示す一般的な構造を有するシングルキャストメッセージであり、「SPECIFIC_DATA」フィールド420は、メッセージに含まれる1つまたは複数の「RIB」(「RAT INFORMATION BLOCKS」)のリストを含むように意図されるフィールドを含む。一般的な「RIB」1000の構造を図10に示す。それは、RATのタイプに関する指示(「GSM(登録商標)」、「GSM(登録商標)/GPRS」、「GSM(登録商標)/GPRS/EDGE」、「UMTS FDD」、「UMTS TDD」、「IEEE802.11a/b/g」、「CDMA2000」、「IS−95」)を含むように意図されるフィールド1005(「RAT_TYPE」)を含み、フィールド1007(「OPERATOR_ID」)は、そのRATを管理するテレコムオペレータの識別子を含むように意図され、フィールド1010(「RF_BAND」)は、当該のRATに割り当てられた周波数帯域の指示を含むように意図され、その「RF_BAND」フィールド1010は3つのサブフィールド1020(「INIT_FREQ」)、1025(「FINAL_FREQ」)および1030(「CH_BAND」)を含むことができ、サブフィールド1020およびサブフィールド1025は、RATに割り当てられた周波数帯域の最初の周波数および最後の周波数(たとえば、KHz単位)を示す値を含むように意図され、フィールド1030は、当該のRATに割り当てられた各チャネルの帯域幅(たとえば、KHz単位)を指定する値を含むように意図されており、フィールド1025(「PRIORITY」)は、当該のRATに割り当てられた優先順位を指定する値を含むように意図される。「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージの「SPECIFIC_DATA」フィールド420内では、異なる「RIB」1000は、好ましくは、優先順位値の高いものから順に順序付けられる。
【0067】
当該の移動通信端末110によって開始される短距離無線通信セッションに応答した近接移動通信端末は、利用可能な情報を有する場合、「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージのフィールドに記入される。
【0068】
移動通信端末110は、近接移動端末から「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージを受信すると、「RIB」のリストを含むフィールドがそのメッセージに含まれているかどうかをチェックし、前記リストが空でない場合、「RIB」のリストの走査を開始する。(最高優先度を割り当てられているRATに対応する)第1の「RIB」1000が選択される(ブロック821)。移動通信端末110は、それが検査された「RIB」1000の「RAT_TYPE」フィールド1005内で指定されたRAT用に構成されているかどうかをチェックし(ブロック823)、構成されている場合(ブロック823の出口分岐Y)、移動通信端末110はそのRATに接続し(ブロック825)、屋外キャンピング手順が終了する。好ましい一実施形態では、移動通信端末110は、フィールド620内の識別子によって示されるテレコムオペレータが好ましいテレコムオペレータのリスト、たとえばその端末のSIM(加入者識別モジュール)内に記憶されている前記リストの1つであるかどうかをチェックすることができ、はいの場合、移動通信端末はそのRATを選択することができ、いいえの場合は別のRATを探索できる。最終的に、利用可能なRATがどれも好ましいテレコムオペレータに属さない場合、端末は第1の利用可能なRATを選択することができる。代わりに、移動通信端末110がそのRAT用に構成されていない場合(ブロック823の出口分岐N)、端末は、そのRAT用に自己構成するために必要なソフトウェアモジュールをすでに備えているかどうかを確認する(ブロック827)。はいの場合(出口分岐Y)、移動通信端末110は、指定されたRAT用に自己構成し(ブロック829)、そのRATに接続し(ブロック825)、いいえの場合(ブロック827の出口分岐N)、さらなる「RIB」1000がある場合(ブロック831、出口分岐Y)、別のRATに関する次の「RIB」1000を選択し、上記の動作を繰り返す。
【0069】
近接移動端末によって受信された「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージ内にさらなる「RIB」1000がない場合、またはメッセージに含まれる「RIB」のリストを含むフィールドが前記リストは空であると示す場合、または、短距離無線通信要求への応答が受信されない場合(ブロック831、出口分岐N)、移動通信端末110はRASDコントローラノード215とカバレージ情報要求手順を開始する(ブロック833)。
【0070】
移動通信端末110は最初に、それが現在それ用に構成されているRATに関して、無線信号レベルの測定を実行する(ブロック835)。
次いで、移動通信端末110は、RASDチャネルを介してRASDコントローラノード215に「COVERAGE INFORMATION REQUEST」メッセージ(図面ではM1)を送信する(ブロック837)。移動通信端末110によって送信された「COVERAGE INFORMATION REQUEST」メッセージ内の、フィールド905およびフィールド910は、その端末が現在それ用に構成されているRATのタイプと、その移動端末によって実行された測定の結果とを含むように設定される。具体的には、移動通信端末110は、移動通信端末によって特定されたRATの指示をフィールド905(「IDENT_RAT_TYPE」)内に入れ、フィールド905内で指定されたRATの無線信号レベルに関する、移動通信端末110によって実行された測定のリストをフィールド910(「RAT_MEASURES」)内に入れる「COVERAGE INFORMATION REQUEST」をコンパイルする。具体的には、測定ごとに、移動通信端末は、それに関して測定が実行されたRATトランシーバ局の識別子をフィールド915(「BTS_ID」)内に入れ、フィールド915内で指定されたトランシーバ局に関して行われた測定から得られた値をフィールド920(「MEASURED_LEVEL」)内に入れる。
【0071】
RASDコントローラノード215は、「COVERAGE INFORMATION REQUEST」メッセージを受信し、それに含まれる情報を利用して移動通信端末110を位置特定する(ブロック839)。任意の位置特定技術、たとえば三角測量技術が利用できる。RASDコントローラノード215は、移動通信端末110を位置特定すると、端末性能交換手順を開始する(ブロック841)。端末性能交換手順では、移動通信端末110に「CAPABILITY INFORMATION REQUEST」メッセージ(図面ではM2)を送信する。「CAPABILITY INFORMATION REQUEST」メッセージは、図4に示す一般的な構造を有するシングルキャストメッセージであり、「SPECIFIC_DATA」フィールド420は空である。
【0072】
「CAPABILITY INFORMATION REQUEST」メッセージを受信すると、移動通信端末110は端末性能交換手順を開始し(ブロック843)、移動通信端末110は、RASDコントローラノード215に返信される「CAPABILITY INFORMATION RESPONSE」メッセージ(図面ではM3)をコンパイルする。
【0073】
「CAPABILITY INFORMATION RESPONSE」メッセージは、図4に示した一般的な構造を有するシングルキャストメッセージである。「SPECIFIC_DATA」フィールド420は、図11に示した構造を有し、それは、移動通信端末110によってサポートされる可能な再構成を示す値を含むように意図されるフィールド1105(「RECONF_TYPE」)を含む。フィールド1105が含む値は、移動通信端末110がマルチモード端末であり、異なる作動モードで(すなわち、異なるRATで動作するように)再構成できることを示す「MULTI−MODE」、移動通信端末がモードを変更するためにソフトウェア再構成できることを示す「SOFTWARE」、移動通信端末110が前の2つの構成タイプの両方をサポートすることを示す「ANY」である。フィールド1110(「SUPPORTED_RATs」)は、フィールド1105に含まれる値が「MULTI−MODE」か「ANY」である場合に存在し、その端末によってサポートされるRATを指定する。このフィールドは、たとえば、値「GSM(登録商標)」、「GSM(登録商標)/GPRS」、「GSM(登録商標)/GPRS/EDGE」、「UMTS FDD」、「UMTS TDD」、「IEEE802.11a/b/g」、「CDMA2000」、「IS−95」をとることができる。フィールド1115(「MODEL_TYPE」)は、移動通信端末110のタイプの指示を含むように意図され、フィールド1105に含まれる値が「MULTI−MODE」か「ANY」である場合に存在する。
【0074】
移動通信端末110がRASDコントローラノード215に送信する「CAPABILITY INFORMATION RESPONSE」メッセージが、「ANY」に設定された「RECONF_TYPE」フィールド1105と、「GSM(登録商標)」に設定された「SUPPORTED_RATs」フィールド1110と、端末110のモデルを指定する「MODEL_TYPE」フィールド1115とを有すると仮定する。
【0075】
「CAPABILITY INFORMATION RESPONSE」メッセージを受信すると、RASDコントローラノード215は、当該の例ではGSM(登録商標) RATに接続するためのソフトウェアモジュールを移動通信端末110に送信するために端末再構成ダウンロード手順を開始する(ブロック845)。
【0076】
端末再構成ダウンロード手順は、図15のシグナリング図に概略的に示すように、移動通信端末110に「SOFTWARE DOWNLOAD INDICATION」メッセージおよび「DATA BLOCK」メッセージを送信することを必要とする。
【0077】
「SOFTWARE DOWNLOAD INDICATION」メッセージは、図4に示した一般的な構造を有するシングルキャストメッセージである。「SPECIFIC_DATA」フィールド420は、図12に示した構造を有し、それは、ダウンロードされているソフトウェアモジュールによってサポートされるRATを示す値を含むように意図されるフィールド1205(「RAT_TYPE」)(「RAT_TYPE」フィールド1205の値は、たとえば「GSM(登録商標)」、「GSM(登録商標)/GPRS」、「GSM(登録商標)/GPRS/EDGE」、「UMTS FDD」、「UMTS TDD」、「IEEE802.11a/b/g」、「CDMA2000」、「IS−95」である)と、そのコンテンツが送信される無線ブロックの数を示すフィールド1210(「NUM_BLOCKS」)とを含む。「NUM_BLOCKS」フィールドに含まれる値は、受信ウィンドウのサイズを決定するために移動通信端末によって使用される。
【0078】
「DATA BLOCK」メッセージは、図4に示した一般的な構造を有するシングルキャストメッセージである。「SPECIFIC_DATA」フィールド420は、図13に示した構造を有し、それは、フィールド1315(「DATA」)に含まれる無線ブロックのシーケンス番号を示す値を含むように意図されるフィールド1305(「BLOCK_NUM」)と、フィールド1315のサイズ(たとえば、バイト単位)を示す値を含むように意図されるフィールド1310(「BLOCK_LENGTH」)とを含み、フィールド1315は無線ブロックのデータを含む。
【0079】
RASDコントローラ215から第1の「SOFTWARE DOWNLOAD INDICATION」メッセージを受信すると、移動通信端末110は端末再構成ダウンロード手順を開始する(ブロック847)。
【0080】
移動通信端末110は、RASDコントローラ215から受信したメッセージに応答して、RASDコントローラノードからのメッセージの受信を肯定応答するまたは否定応答するために「DATA ACK」メッセージをRASDコントローラ215に送信する。「DATA ACK」メッセージは、図4に示した一般的な構造を有し、「SPECIFIC_DATA」フィールド420は図14に示した構造を有し、それは、肯定応答した無線ブロックのシーケンス番号を含むように意図されるフィールド1405(「BLOCK_NUM」)と、その無線ブロックの受信が肯定応答されたかどうかの指示を含むように意図されるフィールド1410とを含む。
【0081】
端末再構成ダウンロード手順が完了すると、移動通信端末110の位置を知っているRASDコントローラノード215は、RIBリストを含むように意図されたメッセージフィールド内に、移動端末110が位置するエリア内に存在するRATに関する情報を含む「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージ(図面ではM4)を生成し、移動通信端末110に送信する(ブロック849)。
【0082】
移動通信端末110は、「COVERAGE INFORMATION RESPONSE」メッセージを受信すると、「RIB」のリストの走査を開始する。(最高優先度を割り当てられているRATに対応する)第1の「RIB」1000が選択される(ブロック851)。移動通信端末110は、それが検査された「RIB」1000の「RAT_TYPE」フィールド1005内で指定されたRAT用に構成されているかどうかをチェックし(ブロック853)、構成されている場合(ブロック853の出口分岐Y)、移動通信端末110はそのRATに接続し(ブロック855)、屋内キャンピング手順が終了する。好ましい一実施形態では、移動通信端末110は、フィールド620内の識別子によって示されるテレコムオペレータが好ましいテレコムオペレータのリスト、たとえばその端末のSIM(加入者識別モジュール)内に記憶されている前記リストの1つであるかどうかをチェックすることができ、はいの場合、移動通信端末はそのRATを選択することができ、いいえの場合は別のRATを探索できる。最終的に、利用可能なRATがどれも好ましいテレコムオペレータに属さない場合、端末は第1の利用可能なRATを選択することができる。代わりに、移動通信端末110がそのRAT用に構成されていない場合(ブロック853の出口分岐N)、端末は、そのRAT用に自己構成するために必要なソフトウェアモジュールをすでに備えているかどうかを確認する(ブロック857)。はいの場合(出口分岐Y)、移動通信端末110は、指定されたRAT用に自己構成し(ブロック859)、そのRATに接続し(ブロック855)、いいえの場合(ブロック857の出口分岐N)、さらなる「RIB」1000がある場合(ブロック861、出口分岐Y)、別のRATに関する次の「RIB」1000を選択し、移動通信端末が使用することができるRATが見つかるまで上記の動作を繰り返す。
【0083】
本発明は、DSA技術が実装される状況を含む任意の異種無線通信状況で一般に適用可能であり、それによってテレコムオペレータは、認可帯域を自由に利用して、それを同じまたは異なるRATに割り当てることが可能なサブバンドに分割することができる。DSA技術を用いると、たとえば異なるシステムにおけるトラフィック負荷に応じて、ネットワーク構成をかなり可変にすることができる。(要求の数が利用可能な無線リソースを上回るので)異種状況のシステムの1つが輻輳である状況では、未使用の無線リソース、たとえば(同じシステムまたは異なるシステムに属する)隣接するネットワークセルの空き搬送波を使用することができる。たとえば、公開国際出願第WO2006/064302号に記載されているGSM(登録商標)システムのBTSを再構成するための方法および搬送波割り当てのための方法が採用できる。その場合、ネットワーク無線リソースを管理するネットワークエンティティ(すなわち、無線リソース管理(RRM)サーバ)は、スペクトル割り当ておよびそれぞれのRATに関する情報をRASDコントローラノード215に与えることができ、それによりRASDコントローラノードはネットワーク無線構成の変更を移動通信端末に知らせることができる。一般的な移動通信端末は、RATがどのように動的に再割り当てされるかについて心配することなく、RASDチャネルを介してRASDコントローラノードから受信した情報に基づいて、その端末が位置するエリア内で利用可能なRATの1つにアクセスすることができる。
【0084】
本発明は、2つ以上のテレコムオペレータが存在する異種無線通信状況にも適用できる。RASDチャネルを介してRASDコントローラノードから受信した情報を利用して、移動通信端末は、その端末が加入しているテレコムオペレータにどの周波数が認可され、管理されているのかを検出するためにスペクトル全体を走査する代わりに、直接その情報を得ることができ、キャンピングのために必要な時間を低減することができる。加入しているテレコムオペレータの周波数が特定されると、移動通信端末は、どのRATに接続するかを決定するために上記の通りに進行することができる。
【0085】
RASDチャネルは「帯域外」チャネルでも「帯域内」チャネルでもよい。第1の場合、RASDチャネルは、テレコムオペレータに割り当てられた認可帯域の外部の周波数帯域内のチャネルであり、RASDチャネルを介した通信のために、任意の無線輸送技術、場合によっては異種ネットワークのRATの1つを利用することができる。第2の場合(帯域内チャネル)は、テレコムオペレータに割り当てられた認可帯域内の周波数帯域をRASDチャネル専用とすることができる。代替的に、テレコムオペレータが割り当てられた周波数の1つを喪失することを回避するために、RASDチャネルを「論理」チャネルとして実装することができる(たとえば、BCCH、PBCCH、CPICHのように、すでに既存のチャネルを介して送信される新しいプロトコルメッセージを規格に導入すべきであり、または新しい共通の論理制御チャネルを確立してもよい)。
【0086】
本発明について、その例示的な一実施形態に言及しながら本明細書で説明した。たとえば付随する必要を満たすために、すべて添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で、記載の実施形態のいくつかの変更、ならびに異なる実施形態が可能であることを当業者なら容易に理解されよう。
【0087】
たとえば、GPSの代わりに、たとえばGalileo、Assisted GPS、Glonassのような、様々な地理的位置特定システムを使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークへの移動通信端末(110)の接続を可能にするための方法であって、
地理的エリア(100)内で利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報を前記地理的エリア中にブロードキャストするステップを含み、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために前記移動通信端末によって使用されるように意図され、
前記情報が、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークの前記識別子に関連して、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークが、前記地理的エリア内で利用可能な無線アクセスネットワークのリストを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、前記地理的エリア内の少なくとも1つの地理的ポイントの地理的座標を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、長さの指示を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの地理的ポイントの前記地理的座標が円の中心の地理的位置を規定し、前記長さの指示が前記円の半径を規定し、前記円が、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの前記範囲を記述する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、少なくとも2つの地理的ポイントの地理的座標であって前記地理的エリアのカバレージの前記範囲を記述する多角形の頂点を規定する前記地理的座標を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記無線アクセスネットワークが前記地理的エリア全体をカバーする場合、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、前記無線アクセスネットワークが前記地理的エリア全体をカバーすることの指示を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記無線アクセスネットワークの前記識別子が文字列の形式である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ブロードキャストする前記ステップが、帯域外ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域の外部の周波数帯域内に位置する前記チャネルを利用するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ブロードキャストする前記ステップが、帯域内ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域内の周波数帯域内に位置する、前記チャネルを利用するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ブロードキャスト通信チャネルが、当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークのうちの1つの論理チャネルとして規定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
地理的エリア(100)内で利用可能な、利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報の前記地理的エリア中のブロードキャストを制御するように適合されたネットワーク機能(215)を含む無線通信ネットワークであって、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末(110)によって使用されるように意図され、
前記情報が、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークの前記識別子に関連して、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む無線通信ネットワーク。
【請求項13】
前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークが、前記地理的エリア内で利用可能な無線アクセスネットワークのリストを含む、請求項12に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項14】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、前記地理的エリア内の少なくとも1つの地理的ポイントの地理的座標を含む、請求項12または13に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項15】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、長さの指示を含む、請求項14に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項16】
少なくとも1つの地理的ポイントの前記地理的座標が円の中心の地理的位置を規定し、前記長さの指示が前記円の半径を規定し、前記円が、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの前記範囲を記述する、請求項15に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項17】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、少なくとも2つの地理的ポイントの地理的座標であって前記地理的エリアのカバレージの前記範囲を記述する多角形の頂点を規定する前記地理的座標を含む、請求項14に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項18】
前記無線アクセスネットワークが前記地理的エリア全体をカバーする場合、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、前記無線アクセスネットワークが前記地理的エリア全体をカバーすることの指示を含む、請求項12から17のいずれか一項に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項19】
前記無線アクセスネットワークの前記識別子が文字列の形式である、請求項12から18のいずれか一項に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項20】
前記ブロードキャストに対し、帯域外ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域の外部の周波数帯域内に位置する前記チャネルが利用される、請求項12から19のいずれか一項に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項21】
前記ブロードキャストに対し、帯域内ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域内の周波数帯域内に位置する前記チャネルが利用される、請求項12から19のいずれか一項に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項22】
前記ブロードキャスト通信チャネルが、当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークのうちの1つの論理チャネルとして規定される、請求項21に記載の無線通信ネットワーク。
【請求項23】
無線通信ネットワークから、地理的エリア(100)中への情報のブロードキャストであって前記地理的エリア内で利用可能な、利用可能な無線アクセスネットワークに関する前記情報のブロードキャストを受信するように適合された移動通信端末であって、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末によって使用されるように意図され、
前記移動通信端末が前記情報を受信するように適合された受信機を含み、前記情報は、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークの前記識別子に関連して、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む、移動通信端末。
【請求項24】
地理的エリア内で利用可能な、利用可能な無線アクセスネットワークに関する情報を前記地理的エリア中にブロードキャストするように適合された、無線通信ネットワークの無線基地局であって、前記情報は、前記地理的エリア内の現在の移動通信端末の位置をどの無線アクセスネットワークがカバーするかを決定するために移動通信端末によって使用されるように意図され、
前記情報が、前記地理的エリア内で利用可能な少なくとも1つの無線アクセスネットワークの識別子と、前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークの前記識別子に関連して、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合されたデータとを含む無線基地局。
【請求項25】
前記少なくとも1つの無線アクセスネットワークが、前記地理的エリア内で利用可能な無線アクセスネットワークのリストを含む、請求項24に記載の無線基地局。
【請求項26】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、前記地理的エリア内の少なくとも1つの地理的ポイントの地理的座標を含む、請求項24または25に記載の無線基地局。
【請求項27】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、長さの指示を含む、請求項26に記載の無線基地局。
【請求項28】
少なくとも1つの地理的ポイントの前記地理的座標が円の中心の地理的位置を規定し、前記長さの指示が前記円の半径を規定し、前記円が、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの前記範囲を記述する、請求項27に記載の無線基地局。
【請求項29】
前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、少なくとも2つの地理的ポイントの地理的座標であって前記地理的エリアのカバレージの前記範囲を記述する多角形の頂点を規定する前記地理的座標を含む、請求項26に記載の無線基地局。
【請求項30】
前記無線アクセスネットワークが前記地理的エリア全体をカバーする場合、前記無線アクセスネットワークによる前記地理的エリアのカバレージの範囲を決定するように適合された前記データが、前記無線アクセスネットワークが前記地理的エリア全体をカバーすることの指示を含む、請求項24から29のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項31】
前記無線アクセスネットワークの前記識別子が文字列の形式である、請求項24から30のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項32】
前記のブロードキャストに対し、帯域外ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域の外部の周波数帯域内に位置する前記チャネルが利用される、請求項24から31のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項33】
前記のブロードキャストに対し、帯域内ブロードキャスト通信チャネルであって当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークに割り当てられた認可帯域内の周波数帯域内に位置する前記チャネルが利用される、請求項24から32のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項34】
前記ブロードキャスト通信チャネルが、当該の前記地理的エリア内に存在する前記無線アクセスネットワークのうちの1つの論理チャネルとして規定される、請求項33に記載の無線基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−59086(P2013−59086A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−242449(P2012−242449)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2010−500081(P2010−500081)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(503148270)テレコム・イタリア・エッセ・ピー・アー (87)
【Fターム(参考)】