説明

無線通信局

【課題】 拡散コードを使用して無線通信を行う無線通信局において、外部から拡散コードを解読され通信データを復調されないようにすることを目的とする。
【解決手段】 通信衛星100は、準天頂衛星300から発信される、拡散コードを含む通信データを受信し、拡散コード取得部115は、受信した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを拡散コード記憶部180に記憶する。同様に、受信端末200も拡散コードを拡散コード記憶部280に記憶する。通信衛星100は、拡散部125で、拡散コード記憶部180に記憶される拡散コードを使用してユーザデータを拡散し、拡散したユーザデータを送信し、受信端末200は、通信衛星100から送信されたユーザデータに対して、逆拡散部214で、拡散コード記憶部280に記憶される拡散コードを使用してユーザデータを逆拡散する。これにより、無線通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散コードを使用して無線通信を行う無線通信局に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信局間で行われる無線通信、例えば、携帯電話の無線通信では、CDMA(Code Division Multiple Access)という無線通信方式が使用されている。
CDMAでは、送信側で、通信データを、周波数のスペクトラムを拡散したアナログデータに変調して送信し、受信側で、受信したアナログデータを元の周波数のスペクトルに逆拡散した通信データに復調することで通信を行う。
ここで、周波数のスペクトラムを拡散することをスペクトラム拡散(拡散)という。
スペクトラム拡散では、スペクトラム拡散コード(拡散コード)を元のデータに乗算することでスペクトラム拡散されたデータを生成し、スペクトラム拡散されたデータは、拡散時と同一のスペクトラム拡散コードを乗算しなければ、元のデータに復元されない。拡散された通信データを元のデータに復元することを逆拡散という。
このため、スペクトラム拡散を使用する通信には、同一周波数帯で多重通信が行える、秘匿性が高い、ノイズの影響を受けづらいといった長所があり、スペクトラム拡散を使用した通信に対して、いろいろな研究がされている。
【0003】
例えば、従来技術は、通信データをスペクトラム拡散コードによる変調手段でスペクトラム拡散し通信衛星に向けて送信する。このとき、これを送信する基地局は、周辺局と呼ばれ複数あるものとして仮定されていて、復調は、中心局と呼ばれる1局のみが行うものと仮定されている。
このとき、複数の周辺局からの信号を多重化する必要があるがこの多重化は中心局から周辺局に送信する信号にフレームタイミングの基準となるユニークワードを多重して送信し、周辺基地局はそれぞれが持っているスペクトラム拡散コードに、このユニークワードを多重して送信し、周辺基地局はそれぞれが持っているスペクトラム拡散コードに、このユニークワードをフレームタイミング基準として変調を行い送信する。
中心局は、かつて自分の送信したユニークワードはわかっており受信の際にこれをやはりフレームタイミング信号として逆拡散することにより複数の周辺局からの信号を分離することが可能となる。
これにより、各周辺局のフレームタイミングによる多重通信の実施と、通信を開始するための同期時間の短縮を図っている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平05−316008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術は、スペクトラム拡散で使用する拡散コードに通信の開始初期において用意したものをそのまま使っている。
スペクトラム拡散の秘匿性は、この拡散コードによるところが大きく、外部からこれが解読された場合、外部で通信データの復調が行える。
すなわち、情報の秘匿がくずれるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、外部から拡散コードを解読され通信データを復調されないように、秘匿性を保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線通信局は、拡散コードを記憶する拡散コード記憶部と、拡散コードを含む通信データの電波を取り込む第1アンテナ部と、第1アンテナ部を介して通信データを受信する受信部と、受信部が受信した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを拡散コード記憶部に記憶する拡散コード取得部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新たに拡散コードを取得することができ、新たに取得した拡散コードで通信データの拡散を行うことにより、無線通信の秘匿性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における無線通信システムの構成図である。
通信衛星100と受信端末200とが、準天頂衛星300から拡散コードを随時取得し、取得した拡散コードにより、通信するユーザデータを拡散または逆拡散して、無線通信を行うことを図1に基づいて説明する。
【0009】
図1において、無線通信システムは、通信衛星100がユーザデータを含む電波を発信し、受信端末200が通信衛星100から発信された電波を受信し、受信した電波からユーザデータを取得する。
ここで、通信衛星100は、ユーザデータを拡散し、受信端末200は、拡散されたユーザデータを逆拡散する。
また、通信衛星100が行う拡散と、受信端末200が行う逆拡散とで使用する拡散コードは、準天頂衛星300から随時、通信衛星100と受信端末200とに発信される電波に含まれている。
【0010】
通信衛星100は、以下のものを備える。
拡散コードを記憶する拡散コード記憶部180。
準天頂衛星300から発信される、拡散コードを含む通信データの電波を取り込む第1アンテナ部111。
第1アンテナ部111を介して、拡散コードを含む通信データの電波を受信する受信部112。
受信部112が受信した、拡散コードを含む通信データの電波をデジタルデータに変換するA/D(Analog/Digital)部113。
A/D部113が変換したデジタルデータの通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを拡散コード記憶部180に記憶する拡散コード取得部115。
また、通信衛星100は、地上の通信端末でも構わない。
【0011】
受信端末200に送信するユーザデータを含む通信データを入力とし、拡散コード記憶部180に記憶される拡散コードを使用して、入力した通信データを拡散する拡散部125。
拡散部125が拡散した通信データをアナログデータ(電波として送信するためのデータ)に変換するD/A(Digital/Analog)部124。
D/A部が変換した通信データのアナログデータを、衛星を使用した無線通信を行うためにアップコンバートする(周波数を上げる)U/C(Up/Converter)部123。
U/C部123が周波数を上げた、ユーザデータを含む通信データのアナログデータを出力するユーザデータ送信部122。
ユーザデータ送信部122が出力したユーザデータを含む通信データのアナログデータを電波として発信する第2アンテナ部121。
【0012】
受信端末200は、以下のものを備える。
拡散コードを記憶する拡散コード記憶部280。
準天頂衛星300から発信される、拡散コードを含む通信データの電波を取り込む第1アンテナ部211。
第1アンテナ部211を介して、拡散コードを含む通信データの電波を受信する受信部212。
受信部212が受信した、拡散コードを含む通信データの電波をデジタルデータに変換するA/D(Analog/Digital)部213。
A/D部213が変換したデジタルデータの通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを拡散コード記憶部280に記憶する拡散コード取得部215。
【0013】
通信衛星100から発信された、ユーザデータを含む通信データの電波を取り込む第2アンテナ部221。
第2アンテナ部221を介して、ユーザデータを含む通信データの電波を受信するユーザデータ受信部222。
ユーザデータ受信部222が受信したユーザデータを含む通信データの電波(通信衛星100のU/C部123で周波数を上げられた電波)をダウンコンバートする(元の周波数に下げる)D/C(Down/Converter)部223。
A/D部224は、D/C部223で元の周波数に戻された、ユーザデータを含む通信データの電波をデジタルデータに変換する。
A/D部224が変換した、デジタルデータであるユーザデータを含む通信データ(通信衛星100の拡散部125で拡散された通信データ)を逆拡散して、元の通信データに復元する逆拡散部214。
逆拡散部214が逆拡散により復元した通信データからユーザデータを取得し、取得したユーザデータを出力するユーザデータ取得部225。
【0014】
準天頂衛星300は、通信衛星100が拡散コード記憶部180で記憶し、拡散部125で拡散処理に使用し、さらに、受信端末200が拡散コード記憶部280で記憶し、逆拡散部214で逆拡散処理に使用する拡散コードを含む、通信データの電波を、通信衛星100と受信端末200とに発信する。
この準天頂衛星300は、赤道面から約45度の傾斜角になるように地球の自転に合わせて1日に1周回している。なお、赤道面からの傾斜角は、設計により任意に設定してよい。また、一例として、昇交点赤経(赤道面との交点)において、120度ずつ離れるように3機が配置されている。地表面上に投影される準天頂衛星軌道の軌跡は地上を固定して考えた場合に、準天頂衛星300は赤道上を交点とする「8の字」または「涙的型」を描くように周回している。3機の準天頂衛星300は、軌道面を異にするが8時間毎に交代(会合)することにより、切れ目なく日本上空に位置している。また、地域を日本で考えた場合、迎角が70度以上の準天頂衛星300が常に存在することになる。切れ目なく日本上空に位置しているため、迎角が70度以上の準天頂衛星300が常に存在し、通信衛星100や受信端末200などの受信者が地上で準天頂衛星300から電波を受ける際、ビルの谷間でも電波を遮られることが少ない。
【0015】
次に、準天頂衛星300から随時送信される拡散コードにより、通信衛星100は受信端末200に送信するユーザデータを拡散し、受信端末200は通信衛星100から送信された拡散されたユーザデータを逆拡散して、通信衛星100と受信端末200とが無線通信する処理の流れを、図2、図3、図4に基づいて説明する。
【0016】
図2は、実施の形態1における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100から受信端末200に、ユーザデータを拡散して送信する無線通信の処理の流れを図2に基づいて説明する。
【0017】
ここで、通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、同一の拡散コードである拡散コードAを記憶している。
【0018】
通信衛星100は、受信端末200に送信するユーザデータを含む通信データを入力する(S101)。
【0019】
通信衛星100の拡散部125は、拡散コード記憶部180に記憶される拡散コードAを使用して、入力したユーザデータを含む通信データを拡散する(S102)。
【0020】
通信衛星100のD/A部124は、拡散されたユーザデータを含む通信データ(拡散ユーザデータ)をアナログデータ(電波として送信するためのデータ)に変換する(S103)。
【0021】
通信衛星100のU/C部123は、アナログデータに変換された拡散ユーザデータ(アナログユーザデータ)の周波数を、衛星を使用した無線通信を行うために変換(アップコンバート)する(S104)。
【0022】
通信衛星100のユーザデータ送信部122は、第2アンテナ部121を介して、アップコンバートされたアナログユーザデータの電波を送信する(S105)。
【0023】
受信端末200のユーザデータ受信部222は、第2アンテナ部221を介して、通信衛星100から送信されたアナログユーザデータの電波を受信する(S106)。
【0024】
受信端末200のD/C部223は、通信衛星100で周波数を変換(アップコンバート)されたアナログユーザデータの周波数を元の周波数に変換(ダウンコンバート)する(S107)。
【0025】
受信端末200のA/D部224は、ダウンコンバートされたアナログデータであるアナログユーザデータを元のデジタルデータ(拡散ユーザデータ)に変換する(S108)。
【0026】
受信端末200の逆拡散部214は、拡散ユーザデータを、拡散コード記憶部280に記憶される拡散コードAで逆拡散する(S109)。
ここで、拡散ユーザデータの逆拡散に使用する拡散コードAと、通信衛星100がユーザデータの拡散に使用した拡散コードAとは同じ拡散コードである。
【0027】
受信端末200のユーザデータ取得部225は、逆拡散で元のデータに復元された通信データからユーザデータを取得し、取得したユーザデータを出力する(S110)。
【0028】
これにより、通信衛星100から受信端末200に、拡散されたユーザデータを送信する無線通信を行う。
【0029】
図3は、実施の形態1における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100と受信端末200とが、準天頂衛星300から拡散コードを含む通信データの電波を受信する処理の流れを図3に基づいて説明する。
【0030】
ここで、準天頂衛星300は、通信衛星100と受信端末200とに、拡散コードBを含んだ通信データの電波を発信する。
また、通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、図2の説明において、ユーザデータの拡散(S102)、拡散ユーザデータの逆拡散(S109)に使用された拡散コードAを記憶している。
【0031】
通信衛星100の受信部112は、第1アンテナ部111を介して、準天頂衛星300から発信された拡散コードBを含んだ通信データの電波を受信する(S111)。
【0032】
通信衛星100のA/D部113は、拡散コードBを含んだ通信データの電波をデジタルデータに変換する(S112)。
【0033】
通信衛星100の拡散コード取得部115は、デジタルデータに変換された通信データから拡散コードBを取得し、取得した拡散コードBを拡散コード記憶部180に記憶する(S113)。
ここで、拡散コードBの記憶により、拡散コード記憶部180に記憶されていた拡散コードAは拡散コードBで更新される。
【0034】
受信端末200も、通信衛星100と同様に、準天頂衛星300から発信された拡散コードBを含む通信データの電波を受信し、受信した電波から拡散コードBを取得し、取得した拡散コードBで拡散コード記憶部280に記憶される拡散コードAを更新する(S114〜S116)。
【0035】
通信衛星100の第1アンテナ部111は、受信端末200の第1アンテナ部211に対応し、同様な機能を持つ。
通信衛星100の受信部112は、受信端末200の受信部212に対応し、同様な機能を持つ。
通信衛星100の拡散コード取得部115は、受信端末200の拡散コード取得部215に対応し、同様な機能を持つ。
通信衛星100の拡散コード記憶部180は、受信端末200の拡散コード記憶部280に対応し、同様な機能を持つ。
【0036】
これにより、通信衛星100と受信端末200とが、準天頂衛星300から発信された拡散コードを含む通信データの電波を受信し、受信した電波から拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する。
【0037】
図4は、実施の形態1における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100から受信端末200に、ユーザデータを拡散して送信する無線通信の処理の流れを図4に基づいて説明する。
【0038】
ここで、通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、図3の説明において更新された拡散コードである拡散コードBを記憶している。
【0039】
通信衛星100から受信端末200に、拡散されたユーザデータを送信する処理の流れは、図2の説明と同様である。
但し、通信衛星100で行うユーザデータの拡散(S118)と、受信端末200で行う拡散ユーザデータの逆拡散(S125)とで使用する拡散コードは、図3の説明において更新された拡散コードの拡散コードBである。
【0040】
これにより、通信衛星100と受信端末200とは、準天頂衛星300から随時発信される拡散コードを含む通信データの電波から、拡散コードを取得し、取得した拡散コードにより、ユーザデータの拡散、逆拡散をして無線通信を行う。
【0041】
ここで、実施の形態1において、準天頂衛星300が、通信衛星100と受信端末200とが拡散、逆拡散に使用する拡散コードを含む通信データの電波を送信する利点を、図5と図6とに基づいて説明する。
【0042】
図5は、実施の形態1における準天頂衛星300の送信する拡散コードの利用を示す図である。
図5において、通信データ(送信側では送信データ、受信側では受信データ)は、送信側で、準天頂衛星300の送信する拡散コードにより拡散された送信データになり、受信側で、準天頂衛星300の送信する拡散コード(送信側の拡散に使用された拡散コードと同一の拡散コード)により逆拡散された元のデータ(受信データ)に復元される。
拡散コードにより拡散されたデータは、拡散に使用された同一の拡散コードで逆拡散しなければ元のデータに復元できない。
このため、送信側と受信側とは、通信データの通信の際、準天頂衛星300から送信された新たな拡散コードを使用することで、同一の拡散コードを使用することと比べ、通信の秘匿性を向上することができる。
【0043】
図6は、準天頂衛星300と通信衛星A310との違いを示す図である。
図6において、通信衛星A310の発信する電波は、建物により遮断され、受信端末200には届いていないが、準天頂衛星300の発信する電波は、建物に遮断されることなく、受信端末200に届いている。
通信衛星A310は、静止衛星であり、赤道上空に位置する。
準天頂衛星300は、対象物に対して真上近くに位置する。
例えば日本の場合、通信衛星A310は、地面から48度以下の高さに位置するが、準天頂衛星300は、地面から60度以上の高さに位置する。
このため、準天頂衛星300が拡散コードを含む通信データの電波を送信することにより、建物により電波が届かず、送信側と受信側とで拡散コードを更新できないというような不具合を減らすことができる。
但し、建物のような障害物が無いといった通信環境においては、通信衛星A310や地上に設置された(移動するものも含む)無線通信局も、随時新たな拡散コードを送信する機能を果たすことができるため、準天頂衛星300の代わりに使用しても構わない。
【0044】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、準天頂衛星300から発信される電波において、拡散コードを含む通信データが拡散されていない場合を説明した。
実施の形態2では、準天頂衛星300から発信される電波において、拡散コードを含む通信データが拡散されている場合を説明する。
【0045】
図7は、実施の形態2における無線通信システムの構成図である。
実施の形態2における無線通信システムの構成について、図7に基づいて説明する。
図7の説明において、図1と異なる構成について説明し、その他の構成については図1の説明と同様であるものとする。
【0046】
準天頂衛星300から発信される電波において、拡散コードを含む通信データは、拡散されている。
【0047】
通信衛星100は、A/D部113がデジタルデータに変換した、準天頂衛星300から発信された電波に対して、拡散コードを含む通信データを、拡散コード記憶部180に記憶される拡散コードで逆拡散して、元の通信データに復元する逆拡散部114を備える。
【0048】
通信衛星100の拡散コード取得部115は、逆拡散部114が逆拡散して復元した通信データに含まれる拡散コードを拡散コード記憶部180に記憶する。
【0049】
受信端末200の逆拡散部214は、A/D部213がデジタルデータに変換した、準天頂衛星300から発信された電波に対して、拡散コードを含む通信データを、拡散コード記憶部280に記憶される拡散コードで逆拡散して、元の通信データを復元する。
【0050】
受信端末200の拡散コード取得部215は、逆拡散部214が逆拡散して復元した通信データに含まれる拡散コードを拡散コード記憶部280に記憶する。
【0051】
次に、準天頂衛星300から随時発信される電波に対して、拡散された通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを使用して、通信衛星100は、受信端末200に送信するユーザデータを拡散し、受信端末200は通信衛星100から送信されたユーザデータを逆拡散してユーザデータを取得することで無線通信を行う、通信衛星100と受信端末200との処理の流れを以下に説明する。
【0052】
通信衛星100から受信端末200に、拡散されたユーザデータを送信する無線通信の処理の流れは、図2、図4と同様である。
【0053】
図8は、実施の形態2における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100と受信端末200とが、拡散された、拡散コードを含む通信データの電波を、準天頂衛星300から受信し、受信した電波に対して、拡散された通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する処理の流れを図8に基づいて説明する。
【0054】
ここで、準天頂衛星300は、通信衛星100と受信端末200とに、拡散した、拡散コードBを含む通信データの電波を発信する。
ここで、通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、拡散コードAを記憶している。
【0055】
通信衛星100の受信部112は、第1アンテナ部111を介して、準天頂衛星300から発信された拡散された、拡散コードBを含んだ通信データの電波を受信する(S201)。
【0056】
通信衛星100のA/D部113は、拡散コードBを含んだ通信データの電波をデジタルデータに変換する(S202)。
【0057】
通信衛星100の逆拡散部114は、デジタルデータに変換された通信データを、拡散コード記憶部180に記憶される拡散コードAで逆拡散して、元の通信データに復元する(S203)。
【0058】
通信衛星100の拡散コード取得部115は、逆拡散された通信データから拡散コードBを取得し、取得した拡散コードBを拡散コード記憶部180に記憶する(S204)。
ここで、拡散コードBの記憶により、拡散コード記憶部180に記憶されていた拡散コードAは拡散コードBで更新される。
【0059】
受信端末200も、通信衛星100と同様に、準天頂衛星300から発信された拡散コードBを含む通信データの電波から拡散コードBを取得し、取得した拡散コードBで拡散コード記憶部280に記憶される拡散コードAを更新する(S205〜S208)。
【0060】
通信衛星100の逆拡散部114は、受信端末200の逆拡散部214に対応し、同様な機能を持つ。
【0061】
これにより、通信衛星100と受信端末200とは、拡散された、拡散コードを含む通信データを準天頂衛星300から受信し、受信した通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する。
【0062】
上記実施の形態2において、準天頂衛星300から発信される電波において、拡散コードを含む通信データが拡散されていることにより、準天頂衛星300と、通信衛星100および受信端末200との間の、拡散コードの通信の秘匿性を向上することができる。
これにより、通信衛星100と受信端末200との通信の秘匿性も向上する。
【0063】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、通信衛星100と受信端末200とが、一つの拡散コードを記憶し、記憶された一つの拡散コードで、準天頂衛星300から発信される電波に対して、拡散された、拡散コードを含む通信データを逆拡散し、ユーザデータを含む通信データを拡散および逆拡散する場合を説明した。
実施の形態3では、通信衛星100と受信端末200とが、複数の拡散コードを記憶し、準天頂衛星300から発信される電波に対して、拡散された、拡散コードを含む通信データの逆拡散と、ユーザデータを含む通信データの拡散および逆拡散とで、拡散コードを使い分ける場合を説明する。
【0064】
図9は、実施の形態3における無線通信システムの構成図である。
実施の形態3における無線通信システムの構成を図9に基づいて説明する。
図9の説明において、図7と異なる構成について説明し、その他の構成については図7の説明と同様であるものとする。
【0065】
通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、第1から第n(nは2以上の整数)の拡散コードを記憶する。
準天頂衛星300から発信される通信データの電波において、通信データは、第i(i=2,3,4,・・・,n)の拡散コードで拡散された第i−1の拡散コードと、その階層データ(第i−1の値)とを含む。
通信衛星100は、拡散する拡散コードと、拡散される拡散コードとの階層関係を記憶するコード階層記憶部199を備える。
また、受信端末200も同様にコード階層記憶部299を備える。
通信衛星100の逆拡散部114と、受信端末200の逆拡散部214とは、第iの拡散コードで拡散された第i−1の拡散コードを、第iの拡散コードで逆拡散して復元する。
【0066】
実施の形態3における、準天頂衛星300から随時発信される電波に含まれる拡散コードにより、通信衛星100は受信端末200に送信するユーザデータを拡散し、受信端末200は通信衛星100から送信されたユーザデータを逆拡散してユーザデータを取得することで無線通信を行う、通信衛星100と受信端末200との処理の流れを、図10、図11、図12、図13に基づいて説明する。
【0067】
図10は、実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100から受信端末200に、ユーザデータを拡散して送信する無線通信の処理の流れを図10に基づいて説明する。
【0068】
ここで、通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、ユーザデータの拡散、逆拡散に使用する第1階層の拡散コードである拡散コードDと、第1階層の拡散コードの拡散、逆拡散に使用する第2階層の拡散コードである拡散コードEと、第2階層の拡散コードの拡散、逆拡散に使用する第3階層の拡散コードである拡散コードCとを記憶している。
【0069】
通信衛星100は、受信端末200に送信するユーザデータを含む通信データを入力する(S301)。
【0070】
通信衛星100の拡散部125は、コード階層記憶部199を参照し、第1階層の拡散コード(拡散コードD)を示すデータを取得する。
通信衛星100の拡散部125は、拡散コード記憶部180に記憶される第1階層の拡散コードである拡散コードDを使用して、入力したユーザデータを含む通信データを拡散する(S302)。
【0071】
通信衛星100のD/A部124は、拡散されたユーザデータを含む通信データ(拡散ユーザデータ)をアナログデータ(電波として送信するためのデータ)に変換する(S303)。
【0072】
通信衛星100のU/C部123は、アナログデータに変換された拡散ユーザデータ(アナログユーザデータ)の周波数を、衛星を使用した無線通信を行うために変換(アップコンバート)する(S304)。
【0073】
通信衛星100のユーザデータ送信部122は、第2アンテナ部121を介して、アップコンバートされたアナログユーザデータの電波を送信する(S305)。
【0074】
受信端末200のユーザデータ受信部222は、第2アンテナ部221を介して、通信衛星100から送信されたアナログユーザデータの電波を受信する(S306)。
【0075】
受信端末200のD/C部223は、通信衛星100で周波数を変換(アップコンバート)されたアナログユーザデータの周波数を元の周波数に変換(ダウンコンバート)する(S307)。
【0076】
受信端末200のA/D部224は、ダウンコンバートされたアナログユーザデータを元のデジタルデータ(拡散ユーザデータ)に変換する(S308)。
【0077】
受信端末200の逆拡散部214は、コード階層記憶部299を参照し、第1階層の拡散コード(拡散コードD)を示すデータを取得する。
受信端末200の逆拡散部214は、拡散ユーザデータを、拡散コード記憶部280に記憶される第1階層の拡散コードである拡散コードDで逆拡散する(S309)。
ここで、拡散ユーザデータの逆拡散に使用する拡散コードDと、通信衛星100がユーザデータの拡散に使用した拡散コードDとは同じ拡散コードである。
【0078】
受信端末200のユーザデータ取得部225は、逆拡散で元のデータに復元されたユーザデータを出力する(S310)。
【0079】
これにより、通信衛星100から受信端末200に、拡散されたユーザデータを送信する無線通信を行う。
【0080】
図11は、実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
実施の形態3における、通信衛星100と受信端末200とが、拡散された、拡散コードを含む通信データの電波を準天頂衛星300から受信し、受信した電波に対して、通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する処理の流れを図11に基づいて説明する。
【0081】
ここで、準天頂衛星300から発信される電波は、第3階層の拡散コードである拡散コードCで拡散した、第2階層の拡散コードである拡散コードAを含んだ通信データの電波である。
また、通信衛星100の拡散コード記憶部180とコード階層記憶部199と、受信端末200の拡散コード記憶部280とコード階層記憶部299とは、図10の説明における状態と同じである。
【0082】
通信衛星100の受信部112は、第1アンテナ部111を介して、準天頂衛星300から発信された、第2階層の拡散コードである拡散コードAを含む通信データの電波を受信する(S311)。
ここで、拡散コードAを含む通信データは、第3階層の拡散コードである拡散コードCで拡散されている。
【0083】
通信衛星100のA/D部113は、拡散コードAを含んだ通信データの電波をデジタルデータに変換する(S312)。
【0084】
通信衛星100の逆拡散部114は、コード階層記憶部199を参照し、第3階層の拡散コード(拡散コードC)を示すデータを取得する。
通信衛星100の逆拡散部114は、デジタルデータに変換された通信データを、拡散コード記憶部180に記憶される第3階層の拡散コードである拡散コードCで逆拡散して、元の通信データに復元する(S313)。
【0085】
通信衛星100の拡散コード取得部115は、逆拡散された通信データから第2階層の拡散コードである拡散コードAを取得し、取得した拡散コードAを拡散コード記憶部180に記憶する。
また、通信衛星100の拡散コード取得部115は、コード階層記憶部199に記憶される第2階層の拡散コードを示すデータを、拡散コードAを示すデータで更新する(S314)。
ここで、拡散コードAの記憶により、拡散コード記憶部180に記憶されていた第2階層の拡散コードである拡散コードEは拡散コードAで更新される。
【0086】
受信端末200も、通信衛星100と同様に、準天頂衛星300から発信された拡散コードAを含む通信データの電波から拡散コードAを取得し、取得した拡散コードAで、拡散コード記憶部280に記憶される拡散コードEを更新する(S315〜S318)。
【0087】
通信衛星100の逆拡散部114は、受信端末200の逆拡散部214に対応し、同様な機能を持つ。
【0088】
これにより、通信衛星100と受信端末200とは、拡散された、拡散コードを含む通信データを準天頂衛星300から受信し、受信した通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する。
【0089】
図12は、実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
実施の形態3における、通信衛星100と受信端末200とが、拡散された、拡散コードを含む通信データを準天頂衛星300から受信し、受信した通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する処理の流れを図12に基づいて説明する。
【0090】
ここで、準天頂衛星300から発信される電波は、第2階層の拡散コードである拡散コードAで拡散した、第1階層の拡散コードである拡散コードBを含んだ通信データの電波である。
また、通信衛星100の拡散コード記憶部180とコード階層記憶部199と、受信端末200の拡散コード記憶部280とコード階層記憶部299とは、図11の説明において拡散コードを更新後の状態である。
【0091】
通信衛星100と受信端末200とは、図11の説明と同様な処理を行う。
すなわち、準天頂衛星300から発信された電波に対して、第2階層の拡散コードである拡散コードAで拡散された、第1階層の拡散コードである拡散コードBを含む通信データを、第2階層の拡散コードである拡散コードAで逆拡散して第1階層の拡散コードである拡散コードBを取得する。
さらに、取得した第1階層の拡散コードである拡散コードBは、記憶されていた第1階層の拡散コードである拡散コードDに代わって記憶される。
【0092】
図13は、実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100から受信端末200に、ユーザデータを拡散して送信する無線通信の処理の流れを図13に基づいて説明する。
【0093】
ここで、通信衛星100の拡散コード記憶部180とコード階層記憶部199と、受信端末200の拡散コード記憶部280とコード階層記憶部299とは、図12の説明において拡散コードを更新後の状態である。
【0094】
通信衛星100から受信端末200に、拡散されたユーザデータを送信する処理の流れは、図10の説明と同様である。
但し、通信衛星100で行うユーザデータの拡散(S328)と、受信端末200で行う拡散ユーザデータの逆拡散(S335)とでは、図12の説明において更新された第1階層の拡散コードの拡散コードBを使用する。
【0095】
これにより、通信衛星100と受信端末200とは、準天頂衛星300から随時発信される拡散コードを含む通信データを受信し、受信した通信データに含まれる拡散コードを使用し、ユーザデータを拡散、逆拡散して無線通信を行う。
【0096】
上記実施の形態3において、準天頂衛星300から発信される拡散コードを含む通信データの電波において、通信データが拡散されることに加え、各拡散コードが、拡散する拡散コードと拡散される拡散コードとの階層関係にあることにより、準天頂衛星300と、通信衛星100および受信端末200との間の、拡散コードの通信の秘匿性をさらに向上することができる。
これにより、通信衛星100と受信端末200との通信の秘匿性も向上する。
外部から拡散コードを解読されても、拡散コードの階層関係がわからなければ、準天頂衛星300から発信される拡散コードを含む通信データも、通信衛星100と受信端末200との間で通信されるユーザデータを含む通信データも、拡散前の元のデータに復元することができないためである。
【0097】
上記実施の形態3では、各拡散コードの階層を示すデータが、準天頂衛星300から発信される通信データに含まれ、この通信データに含まれる各拡散コードの階層を示すデータを記憶し、記憶した各拡散コードの階層を示すデータにより、拡散コードの階層関係を判断しているが、拡散コードの階層関係の判断方法はこれに限らない。
例えば、準天頂衛星300と通信衛星100と受信端末200とで、定期的に、記憶している拡散コードの階層関係を入れ替えても構わない。
第1階層の拡散コードが第2階層の拡散コードになり、第2階層の拡散コードが第3階層の拡散コードになり、第3階層の拡散コードが第1階層の拡散コードになるようなことである。
【0098】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、通信衛星100と受信端末200とが、拡散コードの階層関係を記憶し、記憶した階層関係に従い、準天頂衛星300から発信される電波に対して、拡散された、拡散コードを含む通信データを逆拡散して、逆拡散した通信データから拡散コードを取得する場合を説明した。
実施の形態4では、通信衛星100と受信端末200とが、拡散コードの拡散方法を記憶し、記憶した拡散方法に従うことで、準天頂衛星300から発信される電波に対して、拡散された、拡散コードを含む通信データを逆拡散して、逆拡散した通信データから拡散コードを取得する場合を説明する。
【0099】
図14は、実施の形態4における無線通信システムの構成図である。
実施の形態4における無線通信システムの構成を図14に基づいて説明する。
図14の説明において、図7と異なる構成について説明し、その他の構成については図7の説明と同様であるものとする。
【0100】
通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、異なる拡散コードを複数記憶する。
通信衛星100は、準天頂衛星300から発信される電波に対して、拡散された、拡散コードを含む通信データを逆拡散する方法として、逆拡散に使用する拡散コードを示すデータを記憶する拡散方法記憶部190を備える。
また、受信端末200も同様に拡散方法記憶部290を備える。
通信衛星100の逆拡散部114と、受信端末200の逆拡散部214とは、逆拡散に使用する拡散コードを示すデータを参照し、参照したデータが示す拡散コードを使用して逆拡散する。
【0101】
次に、準天頂衛星300から随時発信される電波に対して、拡散された通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを使用して、通信衛星100は、受信端末200に送信するユーザデータを拡散し、受信端末200は通信衛星100から送信されたユーザデータを逆拡散してユーザデータを取得することで無線通信を行う、通信衛星100と受信端末200との処理の流れを以下に説明する。
【0102】
通信衛星100から受信端末200に、拡散されたユーザデータを送信する無線通信の処理の流れは、図2、図4と同様である。
【0103】
図15は、実施の形態4における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100と受信端末200とが、拡散された、拡散コードを含む通信データの電波を準天頂衛星300から受信し、受信した電波に対して、通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する処理の流れを図15に基づいて説明する。
【0104】
ここで、準天頂衛星300から発信される電波は、拡散された、拡散コードBを含む通信データの電波である。
また、通信衛星100の拡散コード記憶部180と、受信端末200の拡散コード記憶部280とは、拡散コードAと拡散コードCと拡散コードDとを記憶している。
また、通信衛星100の拡散方法記憶部190と、受信端末200の拡散方法記憶部290とは、逆拡散方法として、逆拡散に使用する拡散コードCを示すデータを記憶している。
【0105】
通信衛星100の受信部112は、第1アンテナ部111を介して、準天頂衛星300から発信された、拡散コードBを含む通信データの電波を受信する(S401)。
ここで、通信データは拡散されている。
【0106】
通信衛星100のA/D部113は、拡散コードBを含んだ通信データの電波をデジタルデータに変換する(S402)。
【0107】
通信衛星100の逆拡散部114は、拡散方法記憶部190に記憶されている逆拡散に使用する拡散コードを示すデータ(拡散コードCを示すデータ)を参照する。
通信衛星100の逆拡散部114は、デジタルデータに変換された通信データを、拡散コード記憶部180に記憶される拡散コードCで逆拡散して、元の通信データに復元する(S403)。
【0108】
通信衛星100の拡散コード取得部115は、逆拡散された通信データから拡散コードBを取得し、取得した拡散コードBを拡散コード記憶部180に記憶する(S404)。
【0109】
受信端末200も、通信衛星100と同様に、準天頂衛星300から発信された、拡散コードBを含む通信データの電波から拡散コードBを取得し、取得した拡散コードBを拡散コード記憶部280に記憶する(S405〜S408)。
【0110】
通信衛星100の逆拡散部114は、受信端末200の逆拡散部214に対応し、同様な機能を持つ。
【0111】
これにより、通信衛星100と受信端末200とは、拡散された、拡散コードを含む通信データの電波を準天頂衛星300から受信し、受信した電波に対して、通信データを逆拡散し、逆拡散した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する。
【0112】
ここで、通信衛星100の拡散方法記憶部190と、受信端末200の拡散方法記憶部290とに記憶される、逆拡散に使用する拡散コードを示すデータは、任意の方法で決めて良い。
例えば、逆拡散に使用する拡散コードを示すデータが、準天頂衛星300から発信される電波に含まれ、そのデータで、逆拡散に使用する拡散コードを示すデータを更新しても良い。
また、記憶される複数の拡散コードに順番を設け、設けた順番に沿って定期的に、逆拡散に使用する拡散コードを示すデータを変更しても良い。
【0113】
上記実施の形態4において、準天頂衛星300から発信される、拡散コードを含む通信データが拡散されることに加えて、通信衛星100の逆拡散部114と、受信端末200の逆拡散部214とが、複数の拡散コードの中から、準天頂衛星300から発信された、拡散コードを含む通信データの逆拡散に使用する拡散コードを、選択することにより、準天頂衛星300と、通信衛星100および受信端末200との間の、拡散コードの通信の秘匿性を向上することができる。
これにより、通信衛星100と受信端末200との通信の秘匿性も向上する。
【0114】
実施の形態5.
上記実施の形態では、通信衛星100と受信端末200とは、準天頂衛星300から発信される、拡散コードを含む通信データの電波から拡散コードを取得し、取得した拡散コードで拡散、逆拡散を行う場合を説明した。
実施の形態5では、複数の発信元が拡散コードを含む通信データの電波を発信し、通信衛星100と受信端末200とは、発信元を切り換え、切り換えた発信元から発信される、拡散コードを含む通信データの電波から拡散コードを取得し、取得した拡散コードで拡散、逆拡散を行う場合を説明する。
【0115】
図16は、実施の形態5における無線通信システムの構成図である。
準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とが、拡散コードを含む通信データの電波を発信し、通信衛星100と受信端末200とは、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される、拡散コードを含む通信データの電波のいずれか一つから拡散コードを取得し、取得した拡散コードで、ユーザデータを含む通信データを拡散、逆拡散して無線通信を行うことを図16に基づいて説明する。
図16の説明において、図1と異なる構成について説明し、その他の構成については図1の説明と同様であるものとする。
【0116】
通信衛星100の第1アンテナ部111は、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される、拡散コードを含む通信データの電波を取り込む。
ここで、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される通信データの電波に含まれる拡散コードは、それぞれ異なる拡散コードとする。
【0117】
通信衛星100は、第1アンテナ部111が取り込んだ電波の発信元を切り換えて、第1アンテナ部111が取り込んだ複数の電波から、切り換えた発信元の電波を出力する切換部116を備える。
【0118】
通信衛星100の受信部112は、切換部116が出力した電波を受信する。
【0119】
また、受信端末200も同様に切換部216を備える。
【0120】
次に、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とから随時発信される、拡散コードを含む通信データの電波から拡散コードを取得し、取得した拡散コードを使用して、通信衛星100は、受信端末200に送信するユーザデータを拡散し、受信端末200は通信衛星100から送信されたユーザデータを逆拡散してユーザデータを取得することで無線通信を行う、通信衛星100と受信端末200との処理の流れを以下に説明する。
【0121】
通信衛星100から受信端末200に、拡散されたユーザデータを送信する無線通信の処理の流れは、図2、図4と同様である。
【0122】
図17は、実施の形態5における無線通信システムの処理の流れを示す図である。
通信衛星100と受信端末200とが、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される、拡散コードを含む通信データの電波を受信し、受信した電波から拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する処理の流れを図17に基づいて説明する。
【0123】
ここで、準天頂衛星300は、通信衛星100と受信端末200とに、拡散コードBを含んだ通信データの電波を発信する。
また、通信衛星A310は、通信衛星100と受信端末200とに、拡散コードCを含んだ通信データの電波を発信する。
また、通信衛星B320は、通信衛星100と受信端末200とに、拡散コードDを含んだ通信データの電波を発信する。
【0124】
通信衛星100の第1アンテナ部111は、準天頂衛星300から発信された、拡散コードBを含む通信データの電波と、通信衛星A310から発信された、拡散コードCを含む通信データの電波と、通信衛星B320から発信された、拡散コードDを含む通信データの電波とを取り込む(S501)。
【0125】
通信衛星100の切換部116は、第1アンテナ部111が取り込んだ電波を発信した発信元を切り換える(S502)。
【0126】
通信衛星100の切換部116が、電波の発信元を準天頂衛星300に切り換えた場合、
通信衛星100の切換部116は、準天頂衛星300から発信された、拡散コードBを含む通信データの電波を出力する。
通信衛星100の受信部112は、準天頂衛星300から発信された、拡散コードBを含んだ通信データの電波を受信する。
通信衛星100のA/D部113は、拡散コードBを含んだ通信データの電波をデジタルデータに変換する(S503)。
【0127】
通信衛星100の拡散コード取得部115は、デジタルデータに変換された通信データから拡散コードBを取得し、取得した拡散コードBを拡散コード記憶部180に記憶する(S504)。
ここで、拡散コードBの記憶により、拡散コード記憶部180に記憶されていた拡散コードは拡散コードBで更新される。
【0128】
通信衛星100の切換部116が、電波の発信元を通信衛星A310に切り換えた場合、
通信衛星100の切換部116が、電波の発信元を準天頂衛星300に切り換えた場合と同様に、通信衛星100のA/D部113は、通信衛星A310から発信された、拡散コードCを含んだ通信データの電波をデジタルデータに変換し(S505)、拡散コード取得部115は、拡散コードCを拡散コード記憶部180に記憶する(S506)。
また、拡散コードCの記憶により、拡散コード記憶部180に記憶されていた拡散コードは拡散コードCで更新される。
【0129】
通信衛星100の切換部116が、電波の発信元を通信衛星B320に切り換えた場合、
通信衛星100の切換部116が、電波の発信元を準天頂衛星300に切り換えた場合と同様に、通信衛星100のA/D部113は、通信衛星B320から発信された、拡散コードDを含んだ通信データの電波をデジタルデータに変換し(S507)、拡散コード取得部115は、拡散コードDを拡散コード記憶部180に記憶する(S508)。
また、拡散コードDの記憶により、拡散コード記憶部180に記憶されていた拡散コードは拡散コードDで更新される。
【0130】
受信端末200も、通信衛星100と同様に、切換部216が切り換えた発信元から発信された拡散コードを、拡散コード記憶部280に記憶する(S509〜S516)。
【0131】
これにより、通信衛星100と受信端末200とが、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される電波のいずれか一つから、拡散コードを取得し、取得した拡散コードを記憶する。
【0132】
ここで、通信衛星100の切換部116と、受信端末200の切換部216とが行う拡散コードを含む通信データの電波の発信元切換は、任意の方法で行って良い。
例えば、切り換える発信元を示すデータが、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される電波に含まれ、この電波に含まれるデータを記憶し、記憶した、切り換える発信元を示すデータに従い、発信元切換をしても良い。
また、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とに切り換える順番を設け、切り換える順番に沿って、定期的に発信元を切り換えても良い。
【0133】
また、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される、拡散コードを含む通信データの電波において、拡散コードを含む通信データは拡散されていない。
しかし、上記実施の形態2と上記実施の形態3と上記実施の形態4とのそれぞれで説明している、拡散コードを含む通信データの拡散方法などにより、準天頂衛星300と通信衛星A310と通信衛星B320とのそれぞれから発信される、拡散コードを含む通信データの電波に対して、拡散コードを含む通信データを拡散しても良い。
【0134】
上記実施の形態5において、拡散コードを含む通信データの電波の発信元を切り換え、切り換えた発信元が発信する電波に含まれる拡散コードにより拡散、逆拡散を行うことにより、準天頂衛星300と、通信衛星100および受信端末200との間の、拡散コードの通信の秘匿性を向上することができる。
これにより、通信衛星100と受信端末200との通信の秘匿性も向上する。
また、拡散コードを含む通信データの電波を発信する一つの発信元が故障しても、他の発信元から新たな拡散コードを取得して、秘匿性の高い無線通信を行うことができる。
【0135】
図18は、各実施の形態における通信衛星100と受信端末200とのハードウェア構成図である。
図18において通信衛星100と受信端末200とは、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)911を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続されている。
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、磁気ディスク装置920は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
【0136】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム(OS)921、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923は、CPU911、OS921により実行される。
【0137】
上記プログラム群923には、各実施の形態の説明において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。
ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の判断結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明するものが、「〜ファイル」として記憶されている。
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータの入出力を示し、そのデータの入出力のためにデータは、磁気ディスク装置920に記録される。あるいは、信号線やその他の伝送媒体により伝送される。
【0138】
また、各実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、ハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。
【0139】
また、各実施の形態を実施するプログラムは、磁気ディスク装置920、FD、光ディスク、CD(コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(Digital Versatile Disk)等のその他の記録媒体による記録装置を用いて記憶されても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】実施の形態1における無線通信システムの構成図。
【図2】実施の形態1における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図3】実施の形態1における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図4】実施の形態1における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図5】実施の形態1における準天頂衛星300の送信する拡散コードの利用を示す図。
【図6】準天頂衛星300と通信衛星A310との違いを示す図。
【図7】実施の形態2における無線通信システムの構成図。
【図8】実施の形態2における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図9】実施の形態3における無線通信システムの構成図。
【図10】実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図11】実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図12】実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図13】実施の形態3における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図14】実施の形態4における無線通信システムの構成図。
【図15】実施の形態4における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図16】実施の形態5における無線通信システムの構成図。
【図17】実施の形態5における無線通信システムの処理の流れを示す図。
【図18】各実施の形態における通信衛星100と受信端末200とのハードウェア構成図。
【符号の説明】
【0141】
100 通信衛星、111 第1アンテナ部、112 受信部、113 A/D部、114 逆拡散部、115 拡散コード取得部、121 第2アンテナ部、122 ユーザデータ送信部、123 U/C部、124 D/A部、125 拡散部、180 拡散コード記憶部、190 拡散方法記憶部、199 コード階層記憶部、200 受信端末、211 第1アンテナ部、212 受信部、213 A/D部、214 逆拡散部、215 拡散コード取得部、221 第2アンテナ部、222 ユーザデータ受信部、223 D/C部、224 A/D部、225 ユーザデータ取得部、290 拡散方法記憶部、299 コード階層記憶部、300 準天頂衛星、310 通信衛星A、320 通信衛星B、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散コードを使用する無線通信局において、
拡散コードを記憶する拡散コード記憶部と、
拡散コードを含む通信データの電波を取り込む第1アンテナ部と、
第1アンテナ部を介して通信データを受信する受信部と、
受信部が受信した通信データから拡散コードを取得し、取得した拡散コードを拡散コード記憶部に記憶する拡散コード取得部と
を備えたことを特徴とする無線通信局。
【請求項2】
上記無線通信局は、さらに、
上記拡散コード記憶部に記憶される拡散コードで、上記受信部が受信した拡散コードを含む通信データを逆拡散処理する逆拡散部を備え、
上記拡散コード取得部は、逆拡散部が逆拡散処理した通信データに含まれる拡散コードを拡散コード記憶部に記憶することを特徴とする請求項1記載の無線通信局。
【請求項3】
上記無線通信局において、
上記拡散コード記憶部は第1から第n(nは2以上の整数)の拡散コードを記憶し、
上記受信部が受信する通信データは、第i(2≦i≦n)の拡散コードで拡散された第i−1の拡散コードを含み、
上記逆拡散部は、第iの拡散コードで拡散された第i−1の拡散コードを第iの拡散コードで逆拡散処理を行い、
上記拡散コード取得部は、上記逆拡散部が逆拡散処理して得られた第i−1の拡散コードを上記拡散コード記憶部に記憶することを特徴とする請求項2記載の無線通信局。
【請求項4】
上記無線通信局は、さらに、
上記逆拡散部が行う逆拡散処理に使用する拡散コードの選択方法に関するデータを記憶する逆拡散方法記憶部を備え、
上記拡散コード記憶部は異なる拡散コードを複数記憶し、
上記逆拡散部は、逆拡散方法記憶部に記憶される、拡散コードの選択方法に関するデータに基づいて、上記拡散コード記憶部に記憶される複数の拡散コードから、逆拡散処理に使用する拡散コードを選択し、選択した拡散コードを使用して逆拡散処理を行うことを特徴とする請求項2記載の無線通信局。
【請求項5】
上記無線通信局において、
上記逆拡散方法記憶部に記憶される、拡散コードの選択方法に関するデータは、使用する拡散コードを示すデータであり、
上記逆拡散部は、上記拡散コード記憶部に記憶される複数の拡散コードから、拡散コードの選択方法に関するデータが示す使用する拡散コードを選択し、選択した拡散コードを使用して逆拡散処理を行うことを特徴とする請求項4記載の無線通信局。
【請求項6】
上記無線通信局において、
第1アンテナ部は、準天頂衛星から発信される電波を取り込むことを特徴とする請求項1記載の無線通信局。
【請求項7】
上記無線通信局は、さらに、
ユーザデータを含む通信データの電波を発信する第2アンテナ部と、
上記拡散コード記憶部に記憶される拡散コードを使用して通信データを拡散処理する拡散部と、
拡散部が拡散処理した通信データの電波を、第2アンテナ部を介して送信するユーザデータ送信部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の無線通信局。
【請求項8】
上記無線通信局は、さらに、
ユーザデータを含む通信データの電波を取り込む第2アンテナ部と、
第2アンテナ部を介して通信データを受信するユーザデータ受信部と、
通信データからユーザデータを取得するユーザデータ取得部とを備え、
上記逆拡散部は、ユーザデータ受信部の受信した通信データを逆拡散処理し、
ユーザデータ取得部は、上記逆拡散部が逆拡散処理した通信データからユーザデータを取得し、取得したユーザデータを出力することを特徴とする請求項1記載の無線通信局。
【請求項9】
上記無線通信局は、さらに、
第1アンテナ部が取り込む電波を切り換える切換部を備え、
上記無線通信局において、
第1アンテナ部は、複数の発信元から電波を取り込み、
切換部は、電波の発信元を切り換えて、第1アンテナ部が取り込んだ複数の電波から、切り換えた発信元の電波を出力し、
上記受信部は、切換部が出力した電波を受信することを特徴とする請求項1記載の無線通信局。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−5391(P2006−5391A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176404(P2004−176404)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】