説明

無線通信方法及びシステム、基地局

【課題】 通信規格の異なる無線システム間でハンドオーバを実施した場合に、QoSサービスが継続可能な確率を高める。
【解決手段】 移動部A10が、通信規格の異なる無線技術を使用する無線システムA及びB間でハンドオーバを実施する際に、ハンドオーバ実施前にハンドオーバ先の無線システムBでQoSサービスを継続可能か問い合わせて、継続可能であればハンドオーバを実施する。また、リソースに余裕がある無線システムの基地局に対して優先的にハンドオーバを実施することにより、異なる無線システム間でQoSサービスを分散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信方法及びシステム、基地局に係り、特に、異なる無線通信の(標準)規格・プロトコル等を使用するシステム間を移動機がサービスを継続しながらハンドオーバ可能な無線通信方法及びシステム、基地局に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムには、標準規格の異なる複数のシステムが存在している。例えば、3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)のHRPD(High Rate Packet Data)システム、3GPPのE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)システムなどが混在する場合が想定される。これらの規格の異なる無線通信システムで通信を行うことが出来るエリアを跨いて移動機が移動した場合などに、移動機が現在行っているサービスを継続しながら無線通信システムの切替えを行うためのインタワーク技術に対する取り組みも始まっている。例えば、HRPDシステムとE−UTRANシステムのインタワークに関する標準規格は、非特許文献1あるいは非特許文献2で定められている。
【0003】
図1は、複数の無線システムが存在するエリアを表した図である。この図は、複数の無線通信システムが混在するエリアの例であり、移動機が無線システムA〜Dの基地局(1〜5)と通信する際の無線品質の良いエリアを表している。図1において、無線システムAの基地局(1、2)はE−UTRANに対応した基地局、無線システムBの基地局3は3G無線システムに対応した基地局、無線システムCの基地局4はWiMAXに対応した基地局、無線システムDの基地局5はWi−Fiに対応した基地局を想定している。移動機Aはこれら全ての無線通信システムで通信可能な機能を備えており、サービスを継続しながら無線通信システム間をハンドオーバ可能となっている。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】The 3rd Generation Partnership Project(3GPP) Specifications、[online]、The 3rd Generation Partnership Project、[平成23年1月27日検索]、インターネット<URL: http://www.3gpp.org/−specifications−>
【非特許文献2】The 3rd Generation Partnership Project 2(3GPP2) Specifications、[online]、The 3rd Generation Partnership Project 2、[平成23年1月27日検索]、インターネット<URL:http://www.3gpp2.org/Public_html/specs/index.cfm>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図2は、本発明及び実施形態に関連する無線通信システム間のハンドオーバシーケンスの例である。
この例では、移動機A10は無線システムAの基地局1と無線システムBの基地局3との両方のエリアに位置している場合を想定している。移動機A10は、無線システムAの基地局1とベストエフォートフローの無線コネクションを確立しており(ステップ100)、無線システムAの基地局1でQoS(Quality of Service:サービス品質)を保証したサービス(以下、QoSサービス呼ぶ場合がある。)を行っている。また、移動機A10は、無線システムAの基地局1からのパイロット信号と、無線システムBの基地局3からのパイロット信号を受信している(ステップ101、102)。移動機Aは、無線システムA、Bからのパイロット信号の電波強度を測定し、接続中の無線システムAの基地局1に対してその報告を行う(ステップ103)。無線システムAの基地局1は、移動機が報告してきた無線システムAの電波強度と、無線システムBの電波強度を比較しハンドオーバを実施すべきか判定する(ステップ104)。基地局1は、無線システムBの基地局3にハンドオーバすべきと判定した場合には、移動機A10に対してハンドオーバの実施を指示する(ステップ105)。ハンドオーバ指示を受け取った移動機A10は、無線システムBの基地局3へのハンドオーバを実施し(106)、ベストエフォートフローの無線コネクションを確立する(107)。これにより、ベストエフォートフローに割り当てられているサービスはハンドオーバ後も継続可能となる。ここで、移動機A10が無線システムAの基地局1で行っていたQoSサービスを継続したい場合、移動機A10は無線システムBの基地局3に対してQoSフローの確立要求を行う(ステップ108)。無線システムBの基地局3はQoSフロー確立判定(ステップ109)を行い、結果、QoSの品質を保証可能な無線リソースを確保できないなどの理由により確立不可と判定した場合には、QoSフローの確立失敗を移動機A10に通知する(ステップ110)。
図2に示した、ハンドオーバシーケンスでは、ハンドオーバ実施判定(ステップ104)において、無線システムBの基地局3でQoSサービスを継続可能か考慮していないため、無線システムBの基地局3にてQoSフローに割当てるリソースに空きがない場合には、ハンドオーバ後のQoSフローの確立(ステップ109)に失敗し、QoSサービスが継続できなくなるという課題がある。このようなハンドオーバ方式では、QoSフローの確立は移動機とハンドオーバ先の無線システムとの間で行われ、ハンドオーバ元の無線システムの基地局では感知していなかった。

このように、従来は、無線通信の(標準)規格・プロトコル等の異なる無線システム間でのハンドオーバを実施した場合に、ハンドオーバ先のシステムでQoSフローの追加に失敗すると、QoSサービスが継続できなくなる場合があった。

本発明は、以上の点に鑑み、無線通信の(標準)規格・プロトコル等(以下、通信規格と呼ぶ場合がある。)の異なる無線システム間でのハンドオーバを実施した場合に、QoSサービスが継続可能な確率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に、通信規格が異なる無線技術を使用する無線通信システム間でハンドオーバを実施する際に、ハンドオーバ実施前にハンドオーバ先のシステムでQoSサービスを継続可能か問い合わせて、継続可能であればハンドオーバを実施する。また、本発明は、リソースに余裕がある無線システムの基地局に対して優先的にハンドオーバを実施することにより、異なる無線通信システム間でQoSサービスを分散させることができる。
【0007】
本発明の第1の解決手段によると、
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける無線通信方法、及び、無線通信システムであって、
ハンドオーバ元の第1の基地局は、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報毎に予め定められたサービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報を元に、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局を選択するハンドオーバ候補選択を実施し、
前記第1の基地局は、該ひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信した第2の基地局は、サービス品質情報に該当するサービスのためのリソースが確保可能であるか否かを判断し、該判断の結果を含むリソース確認応答を、前記第1の基地局に送信し、
前記第1の基地局は、前記第2の基地局から、リソースが確保可能であることを示すリソース確認応答を受信すると、前記移動機を前記第2の基地局へハンドオーバすることを特徴とする無線通信方法、及び、無線通信システムが提供される。
【0008】
本発明の第2の解決手段によると、
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける無線通信方法、及び、無線通信システムであって、
ハンドオーバ元の第1の基地局は、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信したひとつ又は複数の他の基地局は、要求されたサービス品質を保証可能なフロー数を計算するサービス品質リソース確認処理を行い、サービス品質情報に対する保証可能なフロー数をリソース確認応答メッセージに含めて前記第1の基地局に送信し、
前記第1の基地局は、前記ひとつ又は複数の他の基地局からリソース確認応答を受信すると、サービス品質情報毎に予め定められた、サービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報に、受信したフロー数を重み付けすることにより、サービス品質毎にハンドオーバの実施先として適しているか否かの指標であるハンドオーバ実施先メトリックを算出し、ハンドオーバ実施先メトリックに基づきハンドオーバ候補の無線システムの第2の基地局を選択するハンドオーバ実施先判定を行い、前記移動機を前記第2の基地局へハンドオーバすることを特徴とする無線通信方法、及び、無線通信システムが提供される。
【0009】
本発明の第3の解決手段によると、
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける基地局であって、
ハンドオーバ元の前記基地局は、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報毎に予め定められたサービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報を元に、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局を選択するハンドオーバ候補選択を実施し、
前記基地局は、該ひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信した他の基地局のいずれかが、サービス品質情報に該当するサービスのためのリソースが確保可能であるか否かを判断し、該判断の結果を含むリソース確認応答を、前記基地局に送信した場合、
前記基地局は、前記他の基地局のいずれかから、リソースが確保可能であることを示すリソース確認応答を受信すると、前記移動機を前記他の基地局へハンドオーバすることを特徴とする基地局が提供される。
【0010】
本発明の第4の解決手段によると、
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける基地局であって、
ハンドオーバ元の前記基地局は、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信したひとつ又は複数の他の基地局が、要求されたサービス品質を保証可能なフロー数を計算するサービス品質リソース確認処理を行い、サービス品質情報に対する保証可能なフロー数をリソース確認応答メッセージに含めて前記第基地局に送信した場合、
前記基地局は、前記ひとつ又は複数の他の基地局からリソース確認応答を受信すると、サービス品質情報毎に予め定められた、サービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報に、受信したフロー数を重み付けすることにより、サービス品質毎にハンドオーバの実施先として適しているか否かの指標であるハンドオーバ実施先メトリックを算出し、ハンドオーバ実施先メトリックに基づきハンドオーバ候補の無線システムの前記他の基地局のいずれかを選択するハンドオーバ実施先判定を行い、前記移動機を前記他の基地局のいずれかへハンドオーバすることを特徴とする基地局が提供される。

【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ハンドオーバ先のシステムでQoSサービスが継続可能な状態の時にハンドオーバすることにより、QoSサービスが継続可能な確率を高めることができる。また、本発明によると、システム間でQoSサービスを分散させ、特定のシステムに負荷が集中することによる品質劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】複数の無線システムが存在するエリアを表した図である。
【図2】本発明に関連する、システム間ハンドオーバシーケンスの例を示した図である。
【図3】本発明による第一の実施形態のシステム間ハンドオーバシーケンスを示した図である。
【図4】フォワードリンクの送信電力割当ての例を表した図である。
【図5】フォワードリンクのどの周波数帯をどのエリアのユーザに割当てるかを表した図である。
【図6】システムプロファイルメモリの説明図である。
【図7】QoS管理メモリの説明図である。
【図8】本発明による実施形態におけるシステム構成図である。
【図9】本発明による第一の実施形態の基地局の機能ブロック図である。
【図10】ハンドオーバ候補選択(ステップ204、209)についてのフローチャート図である。
【図11】本発明による第二の実施形態のシステム間ハンドオーバシーケンスを示した図である。
【図12】確認結果格納メモリの説明図である。
【図13】実施先判定メトリック格納メモリの説明図である。
【図14】ハンドオーバ実施先判定(ステップ416)についてのフローチャート図である。
【図15】QoSリソース確認要否判定フラグを記憶した判定フラグメモリの例である。
【図16】本発明による第一の実施形態のQoSリソース確認処理のフローチャート図である。
【図17】本発明による第二の実施形態のQoSリソース確認処理のフローチャート図である。
【図18】本発明による第二の実施形態の基地局の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明はこの実施の形態に限定されない。

1.第一の実施形態

1−1.システム・装置
図8は、本実施形態の動作を説明するためのシステム構成を示している。本システムは、移動機A10、無線システムAの基地局1、無線システムAの移動管理装置6、無線システムBの基地局3、無線システムBの移動管理装置7、監視装置8、バックボーンネットワーク9を備える。基地局1、3は、移動機A10と無線を使用したデータ通信を行う。移動機管理装置6、7は、移動機A10の呼情報管理、移動管理を行う。また、移動機管理装置6、7は、IPネットワークを経由して移動機A10との間でデータ転送を行う機能も具備する。監視装置8ではサービス運用状況を把握するために各装置から呼処理動作の統計情報を収集する。監視装置8はそれぞれのシステム独立に接続されていても良いし、両方接続されていても良い。無線システムAの基地局1と無線システムBの基地局3との間では、移動機A10のハンドオーバに必要な呼処理情報の転送が行われる。
【0014】
第一の実施形態では、システム間ハンドオーバ候補の選択をハンドオーバ元の基地局で保持しているハンドオーバ先の無線通信システムのプロファイル情報を使用して決定する。
図9に、第一の実施形態における基地局の機能ブロック図を示す。基地局は、無線通信インタフェース20、有線ネットワークインタフェース21、データ処理部22、呼処理制御部23、ハンドオーバ制御部24、QoSリソース確認部25、QoSリソース管理部26、QoS情報管理部27を備える。
無線通信インタフェース20は、無線信号に対する変復調処理と、無線プロトコル処理を行う。有線ネットワークインタフェース21は、移動機管理装置、監視装置、および他基地局との間の有線ネットワーク通信を行う。移動機との間の無線コネクションの確立は呼処理制御部23により行われる。移動機との間で送受信するトラフィックデータはデータ処理部22で処理され、QoSフローに対しては保証すべき遅延、帯域が確保されるようにトラフィック制御を行う。ハンドオーバ制御部24は、移動機が測定した周辺基地局の電波状況を移動機から周期的に受信し、無線状態が良い基地局をハンドオーバ候補として選択する。また、ハンドオーバ制御部24は、ハンドオーバ候補の選択には、QoSサービスの継続に適したシステムか判定するために、ハンドオーバ先の無線通信システムのプロファイル情報を使用する。図6(後述)のように、プロファイル情報は、システムプロファイルメモリ28に格納されており、ハンドオーバメトリック情報を含む。ハンドオーバ制御部24は、ハンドオーバ時にQoSサービスの継続が必要な場合には、ハンドオーバ候補基地局でQoSサービスが継続可能か問い合わせを行い、継続可能な場合にハンドオーバ先基地局として決定しハンドオーバを行う。QoS情報管理部27は、移動機が実施しているQoS情報を管理しており、ハンドオーバ実施時にQoSサービスの継続が必要かどうかの判定を行う。図7(後述)のように、QoS情報は、QoS管理メモリ29に格納されておりQoSクラス毎に保証が必要な品質情報を含む。QoSリソース確認部25は、QoSサービスの継続が必要な場合、有線ネットワークインタフェース21を経由して、ハンドオーバ候補先の基地局に対してリソース確認要求メッセージを送信し、ハンドオーバ候補基地局でQoSリソースを確保可能か問い合わせる。QoSリソース管理部26は、基地局が確立可能な最大許容フロー数、及び、QoSサービスに割当可能なリソース数を管理しており、リソース確認要求メッセージを受信した場合に、QoSフローの割当が可能か判定し、有線ネットワークインタフェース21を経由して、リソース確認応答メッセージを送信する。
【0015】
図6は、システムプロファイルメモリの説明図である。
このシステムプロファイルメモリは、ハンドオーバ候補決定に使用するハンドオーバメトリックの例を示す(詳細は後述)。システムプロファイルメモリ28は、各無線システムに対して、各QoSクラス(例、QCI(QoS Class Identifier))に応じたサービスを実施するのに適したシステムであるかどうかを表す指標であるメトリックを含む前記プロファイル情報を記憶する。

図7は、QoS管理メモリの説明図である。
このQoS管理メモリは、QoSクラス(例、QCI)毎に保証が必要な品質の例を示す。QoS管理メモリ29は、QoSクラスに対応して、プライオリティ、QoS保証が必要な通信品質(例、ディレイバジェット(許容遅延)、パケットロス率、保証ビットレート等)を記憶する。
【0016】
1−2.動作概要
図3は、本発明の第一の実施形態によるハンドオーバシーケンスである。以下に、図3を参照してハンドオーバシーケンス動作を説明する。
この例では、移動機A10は無線システムAの基地局1と無線システムBの基地局3との両方のエリアに位置している場合を想定している。移動機A10は、無線システムAの基地局1とベストエフォートフローの無線コネクションを確立しており(ステップ200)、無線システムAの基地局1でQoSサービスを行っている。また、移動機A10は、無線システムAの基地局1からのパイロット信号と、無線システムBの基地局3からのパイロット信号を受信している(ステップ201、202)。移動機A10は、無線システムA、Bからのパイロット信号の電波強度を測定し接続中の無線システムAの基地局1に対して報告を行う(ステップ203)。無線システムAの基地局1は、電波強度に基づいてハンドオーバ実施判定(ステップ220)を行う。例えば、基地局1の電波強度が予め定められた閾値より低くなった場合、他の基地局の電波強度が予め定められた閾値より低くなった場合、基地局1と他の基地局との電波強度の差が他の基地局の方が予め定められた閾値より高くなった場合等、適宜実施することができる。無線システムAの基地局1は、ハンドオーバ実施が必要と判断した場合には、ハンドオーバ候補選択(ステップ204)を行う。図3では無線システムA、Bの2つのシステムを想定しているが、他にもハンドオーバ可能な無線システムが存在する場合には、ハンドオーバ候補選択の対象に含めることも可能である。この場合、複数の無線システムの基地局の中から、最も電波強度の良いものを選択する。ハンドオーバ候補選択の結果、ハンドオーバ候補として無線システムBの基地局3が選択され、移動機A10が実施しているQoSサービスの継続が必要な場合、無線システムBの基地局3に対して、継続したいQoSフローのQoS情報を含めたリソース確認要求メッセージを送信する(ステップ205)。QoS情報にはQoSを保証するための許容遅延(例、許容パケット遅延)、保証ビットレートの情報が含まれる。これらのQoS情報を例えば非特許文献1で定義されているQCIのようなQoSクラスとして送信しても良い。無線システムBの基地局3は、QoSリソース確認処理により、要求されたQoSを保証可能か確認する(ステップ221)。
【0017】
図16は、QoSリソース確認処理のフローチャートを示している。この処理は、例えばQoSリソース管理部26が実行する。

QoSリソース管理部26は、最初にリソース確認要求メッセージで通知されたQoSフローを追加した後のトータルフロー数がその基地局で確立可能な最大許容フロー数以下であるか判定する(ステップ601)。例えば、基地局では、予め最大許容フロー数が設定され、現在確立されているフロー数を管理して把握しているため、フロー数を1加算又はQoSクラス情報等により定められる数を加算した場合に最大許容フロー数以内であるか否かを判定すればよい。最大許容フロー数以下であれば、QoSリソース管理部26は、例えば図7に示したQoS管理メモリを参照して、QoS情報で特定された保証ビットレートで送信可能な無線リソースを確保可能かどうか判定する(ステップ602)。無線リソースを確保可能であれば、QoSリソース管理部26は、QoS情報で特定された許容遅延内にパケットを転送可能であるか判定する(ステップ603)。許容遅延内にパケットを転送可能であれば、QoSリソース管理部26は、QoSフロー追加可(ステップ604)として処理を終了する。それ以外の場合には、QoSリソース管理部26は、QoSフロー追加不可として処理を終了する。
【0018】
図3に戻り、QoSリソース確認処理の結果がリソースを確保不可の場合には、QoSリソース確保不可であることをリソース確認応答メッセージで返す(ステップ206)。リソース確認応答を受信した無線システムAの基地局1は、QoS追加不可の場合には、該基地局に対してハンドオーバ実施しないと判断する(ステップ207)。複数の無線システムの基地局をハンドオーバ候補選択の対象に含めた場合には、ステップ207でハンドオーバ実施しないと判断した無線システムの基地局を除いて、再度ステップ204のハンドオーバ候補選択から実施して、ハンドオーバ先を決定しても良い。ハンドオーバ実施しないと判断した場合、ハンドオーバ実施判定にて再びハンドオーバ実施が必要と判断されるまで、ハンドオーバ動作は停止する。
【0019】
無線システムAの基地局1は、移動機A10から電波強度報告の受信を継続的に行い(ステップ208)、ハンドオーバ実施判定にて再びハンドオーバ実施が必要と判断されると(ステップ222)、ハンドオーバ候補選択を行う(ステップ209)。ハンドオーバ候補として無線システムBの基地局3が再度選択され、移動機A10が実施しているQoSサービスの継続が必要な場合、無線システムBの基地局3に対して、継続したいQoSフローのQoS情報を含めたリソース確認要求メッセージを送信する(ステップ210)。無線システムBの基地局3は、図16で説明したように、QoSリソース確認処理により、要求されたQoSを保証可能なリソースを確保可能か確認し(ステップ223)、リソースを確保可能な場合には、QoSリソース確保可であることをリソース確認応答メッセージで返す(ステップ211)。リソース確認応答を受信した無線システムAの基地局1は、QoS追加可の場合には、該基地局に対してハンドオーバ実施すると判断し(ステップ212)、移動機A10に対して無線システムBの基地局3へのハンドオーバ指示を行う(ステップ213)。移動機A10は、無線システムBの基地局3へハンドオーバを実施し(ステップ214)、ベストエフォートフローの無線コネクションを確立する(ステップ215)。次に、移動機A10は、QoSフローの確立要求を行い(ステップ216)、無線システムBの基地局3は、QoSフロー確立判定結果が確立可であれば(ステップ217)、QoSフロー確立成功通知を行う(ステップ218)。その後、QoSフローの無線コネクションを確立し、QoSサービスを継続する(ステップ219)。
【0020】
図3のハンドオーバシーケンスでは、ハンドオーバ実施判定を行う前に、ハンドオーバ候補先の無線システムの基地局に対してリソース確認要求(ステップ205、210)を行っており、その応答がQoS追加可(ステップ211)である場合にハンドオーバを実施することにより、QoSフロー確立判定(ステップ217)でQoSフロー確立可となる確率を高めている。リソース確認要求には、継続したいQoS情報を含めて送信しており、QoS追加可としてリソース確認応答を返す場合には、無線システムBの基地局3内に要求されたリソースを予約しておくことも可能である。予約したリソースは、QoSフロー確立要求(ステップ216)を受信するまで確保しておくが、一定期間QoS確立要求が送られて来ない場合には解放し、他のユーザが使用できるようにすることもできる。
また、ステップ206で、無線システムBの基地局3がQoSリソース確保不可であることをリソース確認応答メッセージで返す場合に、無線システムBの基地局3が同一無線システム内の他の基地局のリソース使用状況などに応じてハンドオーバ先として最適な基地局を選択可能である場合には、ハンドオーバ先リダイレクション情報としてリソース確認応答メッセージ内に含めて通知することも可能である。ハンドオーバ先リダイレクション情報を受信した無線システムAの基地局1は、リダイレクション先の基地局に対してハンドオーバ可能である場合には、リダイレクション先の基地局に対して再度リソース確認要求を実施し、ハンドオーバシーケンスを継続することができる。ただし、ハンドオーバ候補の基地局でQoS追加不可の状態が続くことにより、ハンドオーバ実施不可の状態が続く場合には、従来通り無線強度に応じたハンドオーバ条件が成立した時点で最適な基地局にハンドオーバを実施するようにしてもよい。
【0021】
1−3.ハンドオーバ候補選択(ステップ204、209)

ハンドオーバ候補選択(ステップ204、209)は、無線システムA内の複数の基地局と、図1で示した無線システムA以外の無線通信システムである無線システムB、C、Dの基地局とを、候補として行うことができる。ただし、以下の説明では、一例として、主に異なる無線通信システム間の候補選択に着目して説明する。システム間のハンドオーバ候補選択はシステム間のハンドオーバが必要となる条件が成立した場合にのみ実施するものとする。
図3のシーケンスでは、ステップ207でハンドオーバ実施しないと判定した場合、その後、ハンドオーバ実施判定(ステップ222)、ハンドオーバ候補選択(ステップ209)が繰り返されるため、無線コネクション確立中の基地局から受信する電波品質が劣化した状態から本シーケンスを開始した場合には、ハンドオーバ先の選択処理を実施している間に無線品質が劣化していき、十分な候補選択が行われないままハンドオーバを実施せざるをえない状態になる場合が考えられるかもしれない。また、セル境界では他セルからの干渉による品質劣化により、十分なQoS保証を得られない可能性もあるかもしれない。よって、ハンドオーバ候補選択は、従来のシステム内のハンドオーバと比較して接続中の基地局の電波品質が良い状態から開始するとよい。以下にハンドオーバ候補選択の実施タイミングの一例を説明する。
【0022】
図4は、無線システムAの基地局が送信するフォワードリンクの送信電力割当の例を示している。無線システムAの基地局1は、セルに近い場所にいる移動機に対しては送信電力を小さくした割当帯域A30、セル境界にいるユーザに対しては送信電力を大きくした割当帯域C32を使用して無線リソースの割当を行い、中間の移動機に対しては割当帯域B31を割当てるものとする。逆に、無線システムAの基地局2は、セルに近い場所にいる移動機に対しては送信電力を小さくした割当帯域C32、セル境界にいるユーザに対しては送信電力を大きくした割当帯域A30を使用して無線リソースの割当を行い、中間の移動機に対しては割当帯域B31を割当てるものとする。
【0023】
図5は、フォワードリンクのどの周波数帯をどのエリアのユーザに割当てるかを表した図である。この図は、図4のように送信出力の割当を決定した場合に、無線システムAの基地局1と無線システムAの基地局2のどのエリアで割当帯域A、B、Cが使用されるかを表している。基地局間でセル境界に割当てる周波数帯域を別にすることでセル境界の移動機に対する電波環境を改善させている。例えば、移動機A10がセル境界へ移動した場合、送信電力を大きくした割当帯域C32に移動機A10をスケジューリングすることにより、セル境界のユーザのQoS品質を確保するように動作する。セルに近い場所にいる移動機から受信する電波強度は大きく、セル境界の移動機から受信する電波強度は小さいことから、移動機をどの帯域の無線リソースに割当てるかどうかは、移動機から受信する電波強度を元に判断するものとする。ただし、セル境界の移動機が多くなると、割当帯域C32の無線リソースが不足する可能性があり、セル境界のユーザに対しても割当帯域B31、割当帯域A32を使用した無線リソースの割当を行わなければならない可能性がある。この場合、セル境界のユーザからすると電波環境が悪くなってしまうことになり、QoSの維持にも影響を与える可能性がある。このため、ハンドオーバ候補選択は、移動機への割当に必要な送信電力が、割当帯域A30から割当帯域B31のように変化したことを契機に実施し、セル境界の帯域に割当てる移動機のQoSフロー数が大きくならないようにハンドオーバ制御を行うようにすることができる。また、上述のような移動機への割当に必要な送信電力をクラス分けし、クラス間を移動した場合に無線システム間のハンドオーバ候補選択を実施する確率を指定し、セル境界に近づくに従って実施確率を高めることにより、段階的にシステム間ハンドオーバを行うことにより、セル境界でQoSに割当てるリソース数を減らすとともに、必要以上のシステム間ハンドオーバが発生するのを防ぐことも可能である。
【0024】
ハンドオーバ候補選択は、システム毎の優先度に基づいて実施することも可能である。
図6は、ハンドオーバ候補選択で使用するハンドオーバメトリックの例である。図6の情報は、予め設定しておくことができる。ハンドオーバメトリックは移動機が実施中のQoSサービスを継続するためにどの無線システムを選択するのが適しているかの判定に使用し、ハンドオーバ元の基地局内でハンドオーバ先無線通信システムのプロファイル情報として保持する。非特許文献1によると、QoSサービスに必要とされる品質はQoSクラス毎に定義され、各QoSクラスにはQCIと呼ばれる識別情報が割り当てられている。QCIを用いて、例えば、図6のように音声、ストリーミングビデオ、ファイル転送の各サービスに対して、それぞれ1、4、9のQCIを割り当てた場合を考える。QCIが1、4、9のサービスに対して保証すべきQoS品質の定義は、図7のようになっている。図7のプライオリティは値が小さい方が優先度が高く、QCIの値が1、4、9の順に優先度が高い。ディレイバジェットはQoS保証に必要とされる許容遅延を規定しており、この遅延を超えないようにパケット転送を行う必要がある。パケットロス率はサービスの継続に必要とされるロス率を規定しており、主に無線伝送でのパケットロスがこの値を超えないようにパケット転送を行う必要がある。ビットレート保証はQCIが1、4の場合に必要であり、QCIとは別に保証すべきビットレートを設定する必要がある。
図6のハンドオーバメトリックは、各無線システムに適しているQoSサービスをQCI毎にまとめたものである。メトリック値は最小値0、最大値7であり、値が大きい順にQoSサービスに適した無線システムであることを表す。また、値が0の場合には対象無線システムをハンドオーバ候補から無条件に外すものとする。図6では無線システム毎にハンドオーバメトリックを定義したが、基地局毎に定義しても良い。
図6の無線システムAは、例えばE−UTRANシステムに相当し、全てのサービスに適しているが、サービス展開を始めたばかりで品質が安定していない場合があるためメトリックは中間的な値である4を設定している。無線システムBは、例えば3G無線システムに相当し、セル半径が広く、サービスエリアも広く安定しているため、音声サービスに相当するQCI=1のサービスに最も適した無線システムとなっており、メトリックは全無線システム内で最も大きい6を設定している。ただし、無線システムBは、無線スループット性能が他システムに比べて劣る場合があるため、それ以外のQCIに対するメトリックは小さく、2を設定している。無線システムCは、例えばWiMAXシステムに相当し、サービスエリアはある程度広いが、主にデータ通信を目的としたシステムのため、音声サービスは行わないものとし、QCI=1のメトリックは0を設定している。無線システムCは、無線スループット性能が高いため、QCI=4、9のサービスに適しており、メトリックは高めの5を設定している。無線システムDは、例えばWi−Fiシステムに相当し、サービスエリアは狭いが、無線スループットが高いため、大量のトラフィックを一斉に転送する場合に向いており、QCI=9のサービスに対しては、メトリックを7に設定している。無線システムDは、音声サービスを行わないものとし、QCI=1のメトリックは0を設定している。
【0025】
図10は、ハンドオーバ候補選択(ステップ204、209)についてのフローチャート図である。この図は、図6のハンドオーバメトリックを用いた場合の、ハンドオーバ候補選択の一例を示す。ここでは、ある一定の受信品質を満たした無線システムを対象に行われるものとする。以下に、フローチャートの各ステップの動作を説明する。この処理は、例えばハンドオーバ制御部24が実行する。
ハンドオーバ制御部24は、ハンドオーバ候補選択を実施する移動機が実施中のひとつ又は複数のサービスを、図7に示したQoS管理メモリを参照し、QCIのプライオリティが高い順にソートする(ステップ301)。次に、ハンドオーバ制御部24は、図6に示したシステムプロファイルメモリを参照し、プライオリティが高いQCI順に、ハンドオーバメトリックを比較し、メトリックが最大のシステムを選択する(ステップ302)。ここで最もプライオリティが高いQCIのメトリックが複数システムで同じ値の場合には、ハンドオーバ制御部24は、次にプライオリティの高いQCIのメトリックを比較することにより、メトリックが最大のシステムを選択する。すべてのQCIのメトリックが同じ値の場合には、ハンドオーバ制御部24は、ランダムに選択する。次に、ハンドオーバ制御部24は、選択したシステムでサービス実施中のいずれかのQCIに対するハンドオーバメトリックに0のものがあるかどうかを判定することにより、選択したシステムでQoSサービスが実施可能かを判定する(ステップ303)。ステップ303の判定結果が、QoS実施可能である場合には、ハンドオーバ制御部24は、選択したシステムをハンドオーバ候補に決定し、ハンドオーバ候補選択処理を終了する。ステップ303の判定結果で、QoS実施不可のサービスがある場合には、ハンドオーバ制御部24は、選択したシステムをハンドオーバ候補から除外する(ステップ305)。選択したシステムをハンドオーバ候補から除外した場合、ハンドオーバ制御部24は、全てのハンドオーバ候補を除外したかどうか判定する(ステップ306)。全てのハンドオーバ候補を除外した場合には、ハンドオーバ制御部24は、システム間ハンドオーバ候補なし(ステップ307)として処理を終了する。全てのハンドオーバ候補が除外されていない場合には、ハンドオーバ制御部24は、ステップ302にてハンドオーバメトリックが最大のシステムを再選択し、終了条件が成立するまで処理を継続する。
例えば、QCI=4(ストリーミングビデオ)、QCI=9(ファイル転送)のサービスを実施中の移動機A10が、ハンドオーバ候補選択を行う場合に、図6のハンドオーバメトリックを用いて、図10のフローチャートを適用すると以下のようになる。QCIのプライオリティが、QCI=4の場合には5、QCI=9の場合には9のため、QCI=4,QCI=9の順に優先度は高くなる(ステップ301相当)。QCI=4に対してハンドオーバメトリックが最大のシステムを選択すると、無線システムCが最も値の大きい5となっており、無線システムCをハンドオーバメトリック最大のシステムとして選択する(ステップ302相当)。移動機A10がサービス実施中のQCI4、9に対して、無線システムCのハンドオーバメトリックが0であるかを確認すると、両方5が設定されておりサービスは実施可能と判定する(ステップ303相当)。これにより、無線システムCをハンドオーバ候補に決定する(ステップ304相当)。
【0026】
2.第二の実施形態

2−1.システム・装置

システムについては、第一の実施形態で説明したものと同様である。

図18に、第二の実施形態における基地局の機能ブロック図を示す。QoSリソース確認部25は、他無線システムからQoSサービスを保証可能なフロー数を取得し、後述の図12に示すようなフロー数情報を確認結果格納メモリ18に格納する。ハンドオーバ制御部24は、確認結果格納メモリ18の情報と、システムプロファイルメモリ28に格納されているハンドオーバメトリック情報を用いて算出した、後述の図13に示すような実施先判定メトリックを実施先判定メトリック格納メモリ19に格納し、ハンドオーバ実施先の選択を行う。詳細な動作は、後述の図11のシーケンスで説明する。
なお、第二の実施形態において、第一の実施形態と同じ参照番号のブロックや構成は、上述したものと同様である。
【0027】
図12は、確認結果格納メモリの説明図である。
確認結果格納メモリ18は、各無線システムに対して、各QoSクラス(例、QCI)に応じて、ハンドオーバ時にQoS保証が可能なフロー数を記憶する。
図13は、実施先判定メトリック格納メモリの説明図である。
実施先判定メトリック格納メモリ19は、各無線システムに対して、各QoSクラス(例、QCI)に応じて、算出されたハンドオーバ実施先メトリックを記憶する。
【0028】
2−2.動作概要

図11は、本発明の第二の実施形態によるハンドオーバシーケンスである。第二の実施形態では、システム間ハンドオーバ候補の選択をハンドオーバ先のリソースの空き情報を使用して行う。
以下に、図11の形態におけるハンドオーバシーケンス動作を説明する。
この例では、移動機A10は無線システムAの基地局1と無線システムBの基地局3との両方のエリアに位置している場合を想定している。移動機A10は無線システムAの基地局1とベストエフォートフローの無線コネクションを確立しており(ステップ400)、無線システムAの基地局1でQoSサービスを行っている。また、移動機A10は、無線システムAの基地局1、無線システムBの基地局3、無線システムCの基地局4からのパイロット信号を受信している(ステップ401〜403)。移動機A10は、無線システムA、B、Cからのパイロット信号の電波強度を測定し接続中の無線システムAの基地局1に対して報告を行う(ステップ404)。無線システムAの基地局1は、電波強度に基づいてハンドオーバ実施判定(ステップ417)を行う。例えば、基地局1の電波強度が予め定められた閾値より低くなった場合、他の基地局の電波強度が予め定められた閾値より低くなった場合、基地局1と他の基地局との電波強度の差が他の基地局の方が予め定められた閾値より高くなった場合等、適宜実施することができる。無線システムAの基地局1は、ハンドオーバ先の基地局で移動機A10が実施しているQoSサービスの継続が必要で、無線システムBの基地局3、無線システムCの基地局4の電波強度が一定以上と判断した場合に、無線システムBの基地局3、無線システムCの基地局4に対してリソース確認要求を送信する(ステップ405、406)。リソース確認要求には、継続したいQoSフローのQoS情報を含めて送信する。QoS情報にはQoSを保証するための許容パケット遅延(例、許容パケット遅延)、保証ビットレートの情報が含まれる。これらのQoS情報を例えば非特許文献1で定義されているQCIのようなQoSクラス情報として送信しても良い。リソース確認要求を受信した無線システムBの基地局3、無線システムCの基地局4は、QoSリソース確認処理を行い、要求されたQoSを保証可能なフロー数を計算する(ステップ418、419)。
【0029】
図17は、QoSリソース確認処理のフローチャートを示している。この処理は、例えばQoSリソース管理部26が実行する。また、本フローチャートはQoSフロー毎に実施する。
QoSリソース管理部26は、最初に保証可能なQoSフロー数を0に初期化する(ステップ701)。次に、QoSリソース管理部26は、リソース確認要求メッセージで通知されたQoSフローを追加した後のトータルフロー数がその基地局で確立可能な最大許容フロー数以下であるか判定する(ステップ702)。例えば、基地局では、予め最大許容フロー数が設定され、現在確立されているフロー数を管理して把握しているため、フロー数を1加算又はQoSクラス情報等により定められる数を加算した場合に最大許容フロー数以内であるか否かを判定すればよい。最大許容フロー数以下であれば、QoSリソース管理部26は、例えば図7に示したQoS管理メモリを参照して、QoS情報で特定された保証ビットレートで送信可能な無線リソースを確保可能かどうか判定する(ステップ703)。無線リソースを確保可能であれば、QoSリソース管理部26は、例えば図7に示したQoS管理メモリを参照して、QoS情報で特定された許容遅延内にパケットを転送可能であるか判定する(ステップ704)。許容遅延内にパケットを転送可能であれば、QoSリソース管理部26は、保証可能なQoSフロー数に1を加えてカウントアップする(ステップ705)。QoSリソース管理部26は、該基地局でのリソース状態を、QoSフローを追加した場合の仮のリソース状態に更新し(ステップ706)、再度ステップ702から実施することにより、QoS保証可能な限りフロー数のカウントアップを継続する。ステップ702〜704の条件が成立しなくなった場合に、QoSリソース管理部26は、処理を終了する。
【0030】
図11に戻り、QoSリソース管理部26は、QoSリソース確認処理を終えると、計算した保証可能なフロー数をリソース確認応答メッセージに含めて送信する(ステップ407、408)。
図12は、各無線システム基地局でハンドオーバ時にQoS保証が可能なフロー数の例を示しており、他無線システムからQoSを保証可能なフロー数を取得した結果は、確認結果格納メモリ18に格納する。

リソース確認応答を受信した無線システムAの基地局1は、ハンドオーバ実施先判定(ステップ416)を行う。ハンドオーバ実施先判定で無線システムBの基地局3が選択された場合、移動機A10に対して無線システムBの基地局3へのハンドオーバ指示を行う(ステップ409)。移動機A10は無線システムBの基地局3へハンドオーバを実施し(ステップ410)、ベストエフォートフローの無線コネクションを確立する(ステップ411)。次に、移動機A10はQoSフローの確立要求を行い(ステップ412)、無線システムBの基地局3はQoSフロー確立判定結果が確立可であれば(ステップ413)、QoSフロー確立成功通知を行う(ステップ414)。その後、QoSフローの無線コネクションを確立し、QoSサービスを継続する(ステップ415)
【0031】
図11のハンドオーバシーケンスでは、ハンドオーバ実施先判定(ステップ416)において、各無線システム内でQoSサービスを保証可能なフロー数を用いて判定を行うことにより、QoSフロー確立可となる確率を高めるとともに、各システムで実施するQoSフローを分散することが可能となる。リソース確認要求には、継続したいQoS情報を含めて送信しており、リソース確認応答を返す場合には、各無線システムの基地局にて要求されたリソースを予約しておくことも可能である。予約したリソースは、QoSフロー確立要求(ステップ412)を受信するまで確保しておくが、一定期間QoS確立要求が送られて来ない場合には解放し、他のユーザが使用できるようにすることもできる。
【0032】
2−3.ハンドオーバ実施先判定(ステップ416)

図14は、ハンドオーバ実施先判定(ステップ416)についてのフローチャート図である。ハンドオーバ実施先判定(ステップ416)の例を、図14のフローチャートを用いて説明する。図14の判定例では、各無線システム内でQoSサービスを保証可能なフロー数と、図6のハンドオーバメトリックの値を用いて、判定に使用するメトリックをハンドオーバ実施先判定メトリックとして再計算し、ハンドオーバ実施先判定を行っている。実施先判定メトリックは次式により算出される。

実施先判定メトリック =QoSサービスを保証可能なフロー数 × ハンドオーバメトリック

以下に、図14のフローチャートの各ステップの動作を説明する。この処理は、例えばハンドオーバ制御部24が実行する。
ハンドオーバ制御部24は、ハンドオーバ候補選択を実施する移動機が実施中のひとつ又は複数のサービスを、図7に示したQoS管理メモリを参照し、QCIのプライオリティが高い順にソートする(ステップ501)。次に、ハンドオーバ制御部24は、図6に示したシステムプロファイルメモリと図12に示した確認結果格納メモリを参照し、各無線システムに対して、QoSクラス(例、QCI)毎にハンドオーバ実施先となる基地局毎に実施先判定メトリックを算出する(ステップ502)。ここで、図13は、実施先判定メトリックの算出結果の例を示している。図6のハンドオーバメトリックと、図12に示す各無線システム基地局でハンドオーバ時にQoS保証が可能なフロー数を用いた場合に算出される実施先判定メトリックは図13のようになり、ハンドオーバ制御部24は、算出された実施先判定メトリックを実施先判定メトリック格納メモリ19に格納する。次に、ハンドオーバ制御部24は、プライオリティが高いQCI順に、実施先判定メトリックを比較し、メトリックが最大の基地局を選択する(ステップ503)。ここで最もプライオリティが高いQCIのメトリックが複数基地局で同じ値の場合には、ハンドオーバ制御部24は、次にプライオリティの高いQCIのメトリックを比較することにより、メトリックが最大の基地局を選択する。また、ハンドオーバ制御部24は、すべてのQCIのメトリックが同じ値の場合には、ランダムに選択する。次に、ハンドオーバ制御部24は、選択した基地局でサービス実施中のいずれかのQCIに対するハンドオーバメトリックに0のものがあるかどうかを判定することにより、選択した基地局でQoSサービスが継続可能かを判定する(ステップ504)。ステップ504の判定結果が、QoS継続可能である場合には、ハンドオーバ制御部24は、選択した基地局をハンドオーバ実施先として決定し、ハンドオーバ実施先判定処理を終了する。ステップ505の判定結果で、QoS継続不可のサービスがある場合には、ハンドオーバ制御部24は、選択した基地局をハンドオーバ実施先から除外する(ステップ506)。選択した基地局をハンドオーバ実施先から除外した場合、ハンドオーバ制御部24は、全てのハンドオーバ実施先候補の基地局を除外したかどうか判定する(ステップ507)。全てのハンドオーバ実施先候補を除外した場合には、ハンドオーバ制御部24は、システム間ハンドオーバ実施先なし(ステップ508)として処理を終了する。全てのハンドオーバ実施先候補が除外されていない場合には、ハンドオーバ制御部24は、ステップ503にて実施先判定メトリックが最大の基地局を再選択し、終了条件が成立するまで処理を継続する。
【0033】
例えば、QCI=4(ストリーミングビデオ)、QCI=9(ファイル転送)のサービスを実施中の移動機A10が、ハンドオーバ実施先判定を行う場合に、図13の実施先判定メトリックを用いて、図14のフローチャートを適用すると以下のようになる。QCIのプライオリティは、QCI=4の場合には5、QCI=9の場合には9のため、QCI=4,QCI=9の順に優先度は高くなる(ステップ501相当)。QCI=4に対して図13の実施先判定メトリックが最大の基地局を選択すると、無線システムBの基地局3と無線システムD基地局5が最も値の大きい64となっており、まずはこの2つが選択される。この2つの基地局に対して、QCI=9の実施先判定メトリックが最大の基地局を選択すると、無線システムBの基地局3が128、無線システムD基地局5が112であり、無線システムBの基地局3が選択される(ステップ503相当)。移動機A10がサービス実施中のQCI4、9に対して、無線システムBの基地局3のハンドオーバメトリックが0であるかを確認すると、両方5が設定されておりサービスは実施可能と判定する(ステップ504相当)。これにより、無線システムBの基地局3をハンドオーバ実施先に決定する(ステップ505相当)。
【0034】
なお、ハンドオーバ実施先判定で、ハンドオーバ実施先で確保可能なQoSリソース数が0の状態が続くことにより、システム間ハンドオーバ実施先なし(ステップ508)と判定される状況が続く場合には、従来通り無線強度に応じたハンドオーバ条件が成立した場合にハンドオーバを実施することができる。この場合、ハンドオーバ実施先判定を行った基地局はQoSリソースの確保に失敗したことを統計情報として収集し、監視装置8に対して報告する。監視装置8では蓄積された統計情報を元に、ハンドオーバ実施時にQoSサービスが継続されないエリアとして特定し、そのエリアに基地局を新たに設置するなどしてエリアの最適化を実施することができる。
【0035】
2−4.セル半径又は送信電力による処理
また、ハンドオーバ先の決定には、移動機の移動速度を考慮し、高速移動の場合にはセル半径が広いシステムを選択することも可能である。この場合、各基地局のメモリにセル半径をハンドオフ元の基地局に事前に設定しておく。この場合には、図14のハンドオーバ実施先判定フローチャートのステップ502の実施先判定メトリックを、次式により算出する。セル半径はエリアの広さを表す指標であり、各基地局の送信電力に置き換えてもよい。

実施先判定メトリック = QoSサービスを保証可能なフロー数 × ハンドオーバメトリック × 該基地局のセル半径

GPS情報やジャイロセンサーなどを用いることにより移動機が高速移動状態であることを判断し、ある一定以上の速さで移動していると判断した場合に、セル半径を考慮した実施先判定メトリックを使用してハンド―オーバ実施先判定を行うことができる。これにより、高速移動中の移動機はセル半径の広い基地局に対してハンドオーバを実施する確率が高まる。
【0036】
2−5.QoS保証の必要ない移動機

また、ベストエフォートサービスのみを実施している移動機など、QoS保証の必要がない移動機に対しては、図11のリソース確認要求(ステップ405、406)を実施せずにハンドオーバ実施することも可能である。

図15は、QoSリソース確認要否判定フラグを記憶した判定フラグメモリの例である。リソース確認要求をスキップ可能かどうかは、図15に示すQoSリソース確認要否判定フラグを元に実施する。本フラグ情報は、システムプロファイルメモリ28内に事前に格納しておく。
この処理は、例えばハンドオーバ制御部24が実行することができる。
ハンドオーバ制御部24は、システムプロファイルメモリ内の判定フラグメモリを参照し、フラグが1であればスキップ可、0であればスキップ不可とする。図15の例では、無線システムDのQCI=9のサービスに対して1が設定されており、QCI=9のサービスのみを実施している移動機は、リソース確認要求を実施せずに無線システムDにハンドオーバを実施可能である。この場合、ハンドオーバ制御部24は、図11のハンドオーバ実施判定(ステップ417)にてリソース確認要求をスキップ可能であること判断すると、リソース確認要求を実施せずに、ハンドオーバ実施先判定(ステップ416)を行い、無条件に無線システムDの基地局を選択し、移動機に対してハンドオーバ指示を行う。無線システムDは、例えばWi−Fiを想定しており、セル半径は狭いが無線スループットは高いため、そのエリア内のベストエフォートトラフィックを無条件に無線システムDに流し、データオフロードを実施することが可能である。なお、QoSに適さない無線システムに対してハンドオーバした後、QoSサービスを開始した移動機は、QoSサービスの起動に伴い、再びQoS保証に適したシステムを選択してハンドオーバを実施する。

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は無線通信方式、無線通信規格、標準規格、プロトコル等の異なるシステム間のハンドオーバーに適宜適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1〜2 無線通信システムAの基地局
3 無線通信システムBの基地局
4 無線通信システムCの基地局
5 無線通信システムDの基地局
6 無線システムAの移動管理装置
7 無線システムBの移動管理装置
8 監視装置
9 バックボーンIPネットワーク
10 移動機A
18 確認結果格納メモリ
19 実施先判定メトリック格納メモリ

20 無線通信インタフェース
21 有線ネットワークインタフェース
22 データ処理部
23 呼処理制御部
24 ハンドオーバ制御部
25 QoSリソース確認部
26 QoSリソース管理部
27 QoS情報管理部
28 システムプロフィルメモリ
29 QoS管理メモリ
30 無線システムAの基地局の割当帯域A
31 無線システムAの基地局の割当帯域B
32 無線システムAの基地局の割当帯域C
100〜110 従来のハンドオーバシーケンスのステップ
200〜223 第一の実施形態のハンドオーバシーケンスのステップ
300〜308 ハンドオーバ候補選択フローチャートのステップ
400〜419 第二の実施形態のハンドオーバシーケンスのステップ
500〜509 ハンドオーバ実施先判定フローチャートのステップ
600〜606 第一の実施形態のQoSリソース確認処理フローチャートのステップ
700〜707 第二の実施形態のQoSリソース確認処理フローチャートのステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける無線通信方法であって、
ハンドオーバ元の第1の基地局は、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報毎に予め定められたサービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報を元に、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局を選択するハンドオーバ候補選択を実施し、
前記第1の基地局は、該ひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信した第2の基地局は、サービス品質情報に該当するサービスのためのリソースが確保可能であるか否かを判断し、該判断の結果を含むリソース確認応答を、前記第1の基地局に送信し、
前記第1の基地局は、前記第2の基地局から、リソースが確保可能であることを示すリソース確認応答を受信すると、前記移動機を前記第2の基地局へハンドオーバすることを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける無線通信方法であって、
ハンドオーバ元の第1の基地局は、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信したひとつ又は複数の他の基地局は、要求されたサービス品質を保証可能なフロー数を計算するサービス品質リソース確認処理を行い、サービス品質情報に対する保証可能なフロー数をリソース確認応答メッセージに含めて前記第1の基地局に送信し、
前記第1の基地局は、前記ひとつ又は複数の他の基地局からリソース確認応答を受信すると、サービス品質情報毎に予め定められた、サービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報に、受信したフロー数を重み付けすることにより、サービス品質毎にハンドオーバの実施先として適しているか否かの指標であるハンドオーバ実施先メトリックを算出し、ハンドオーバ実施先メトリックに基づきハンドオーバ候補の無線システムの第2の基地局を選択するハンドオーバ実施先判定を行い、前記移動機を前記第2の基地局へハンドオーバすることを特徴とする無線通信方法。

【請求項3】
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおいて、
ハンドオーバ元の第1の基地局は、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報毎に予め定められたサービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報を元に、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局を選択するハンドオーバ候補選択を実施し、
前記第1の基地局は、該ひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信した第2の基地局は、サービス品質情報に該当するサービスのためのリソースが確保可能であるか否かを判断し、該判断の結果を含むリソース確認応答を、前記第1の基地局に送信し、
前記第1の基地局は、前記第2の基地局から、リソースが確保可能であることを示すリソース確認応答を受信すると、前記移動機を前記第2の基地局へハンドオーバすることを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおいて、
ハンドオーバ元の第1の基地局は、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信したひとつ又は複数の他の基地局は、要求されたサービス品質を保証可能なフロー数を計算するサービス品質リソース確認処理を行い、サービス品質情報に対する保証可能なフロー数をリソース確認応答メッセージに含めて前記第1の基地局に送信し、
前記第1の基地局は、前記ひとつ又は複数の他の基地局からリソース確認応答を受信すると、サービス品質情報毎に予め定められた、サービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報に、受信したフロー数を重み付けすることにより、サービス品質毎にハンドオーバの実施先として適しているか否かの指標であるハンドオーバ実施先メトリックを算出し、ハンドオーバ実施先メトリックに基づきハンドオーバ候補の無線システムの第2の基地局を選択するハンドオーバ実施先判定を行い、前記移動機を前記第2の基地局へハンドオーバすることを特徴とする無線通信システム。

【請求項5】
前記サービス品質情報は、サービス品質クラスであり、
前記第1の基地局は、
各無線システムに対し、各サービス品質クラスに応じて、サービスを実施するのに適しているか否かの指標を示すメトリックを前記プロファイル情報として格納するシステムプロファイルメモリを備え、
前記第1の基地局は、前記ハンドオーバ候補選択処理を実施する際、前記システムプロファイルメモリを参照して、前記移動機が実施中のひとつ又は複数のサービスのサービス品質クラスのうち、プライオリティが高いサービス品質クラス順にメトリックの値が大きい無線システムをハンドオーバ候補の無線システムとして選択することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記サービス品質情報は、サービス品質クラスであり、
前記第2の基地局は、
サービス品質クラスに対応して、サービス品質保証が必要な通信品質を記憶したサービス品質管理メモリを備え、
前記第1の基地局は、サービス品質保証が必要な通信品質を含む前記リソース確認要求を送信し、
前記第2の基地局は、前記リソース確認要求を受信すると、前記サービス品質管理メモリを参照して、該リソース確認要求に含まれる前記通信品質を確保可能か判断し、判断結果を前記リソース確認応答に含めて返すことを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第2の基地局は、要求されたリソースを確保可能な場合に、該ユーザが実際にハンドオーバを実施するまでリソースを予約して確保することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記リソース確認要求によるサービス品質のサービスの継続に必要なリソースを予約した基地局は、一定期間該ユーザが実際にハンドオーバしてこない場合には予約解除することを特徴とする請求項7に記載の無線通信システム。

【請求項9】
前記サービス品質情報は、サービス品質クラスであり、
前記第1の基地局は、
各無線システムに対し、各サービス品質クラスに応じて、サービスを実施するのに適しているか否かの指標を示すメトリックを前記プロファイル情報として格納するシステムプロファイルメモリを備え、
前記第1の基地局は、サービス品質保証が必要な通信品質を含む前記リソース確認要求を送信し、
前記第2の基地局は、前記リソース確認要求を受信すると、サービス品質クラス毎に現在リソース確保可能なリソース数を含むリソース確認応答を返し、
前記第1の基地局は、前記ハンドオーバ候補選択処理を実施する際、前記システムプロファイルメモリを参照して、各無線システムの基地局に対してサービス品質クラス毎に、メトリックをリソース確保可能なフロー数で重みづけしたハンドオーバ実施先メトリックを算出し、前記移動機が実施中のひとつ又は複数のサービスのサービス品質クラスのうち、プライオリティが高いサービス品質クラス順に、重みづけしたハンドオーバ実施先メトリックの値が大きい無線システムをハンドオーバ候補の無線システムとして選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記ハンドオーバ先決定に使用するメトリックに対して、移動機の移動速度、基地局のセル半径又は送信電力に対応する指標を、さらに重み付けすることを特徴とする請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第1の基地局は、
移動局のサービス品質クラスに従い、ベストエフォートサービスのみを実施していることを示す判定フラグメモリを備え、
前記第1の基地局は、前記ハンドオーバ実施判定において、前記判定フラグメモリを参照し、移動局がベストエフォートサービスのみを実施していると判断すると、前記リソース確認要求を行わずに該当する無線システムの基地局へハンドオーバすることを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。

【請求項12】
前記リソース確認要求にて、サービス品質リソースの確保が出来ない場合には、サービス品質リソースの確保に失敗したことを通知することを特徴とする請求項3又は4に記載の無線通信システム。
【請求項13】
ハンドオーバ先基地局の選択は、移動機に対する送信電力の変更を契機に行うこと、又は、移動機が通信中の無線システム基地局のセル境界に近づく従って確率的に実施することを特徴とする請求項3又は4に記載の無線通信システム。

【請求項14】
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける基地局であって、
ハンドオーバ元の前記基地局は、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報毎に予め定められたサービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報を元に、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局を選択するハンドオーバ候補選択を実施し、
前記基地局は、該ひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信した他の基地局のいずれかが、サービス品質情報に該当するサービスのためのリソースが確保可能であるか否かを判断し、該判断の結果を含むリソース確認応答を、前記基地局に送信した場合、
前記基地局は、前記他の基地局のいずれかから、リソースが確保可能であることを示すリソース確認応答を受信すると、前記移動機を前記他の基地局へハンドオーバすることを特徴とする基地局。
【請求項15】
異なる無線通信方式又は無線通信規格を使用する無線システム間でサービスを中断せずにハンドオーバ可能な無線通信システムにおける基地局であって、
ハンドオーバ元の前記基地局は、ハンドオーバ候補の無線システムのひとつ又は複数の他の基地局に対して、前記移動機が継続するサービスを保証するための、各無線システムの通信品質を表すサービス品質情報を含み、該サービスの継続に必要なリソースを確保するための要求であるリソース確認要求を送信し、
リソース確認要求を受信したひとつ又は複数の他の基地局が、要求されたサービス品質を保証可能なフロー数を計算するサービス品質リソース確認処理を行い、サービス品質情報に対する保証可能なフロー数をリソース確認応答メッセージに含めて前記第基地局に送信した場合、
前記基地局は、前記ひとつ又は複数の他の基地局からリソース確認応答を受信すると、サービス品質情報毎に予め定められた、サービスを実施するために適しているか否かを表す指標であるプロファイル情報に、受信したフロー数を重み付けすることにより、サービス品質毎にハンドオーバの実施先として適しているか否かの指標であるハンドオーバ実施先メトリックを算出し、ハンドオーバ実施先メトリックに基づきハンドオーバ候補の無線システムの前記他の基地局のいずれかを選択するハンドオーバ実施先判定を行い、前記移動機を前記他の基地局のいずれかへハンドオーバすることを特徴とする基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−222609(P2012−222609A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86352(P2011−86352)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】