説明

無線通信装置及び再送方法

【課題】 再送要求があった場合の無線リソースを効率的に使用できる無線通信装置及び再送方法を実現すること。
【解決手段】 HS−DSCH品質推定部116でダウンリンクシェアードチャネルの回線品質を推定すると共に、再送用品質推定器117で前回のパケット送信で不足している所要品質を推定し、MCS割り当て部118でこの所要品質に相当する品質が相手局で得られるような符号化率及び変調方式の割り当てを行うようにしたことにより、再送要求があった場合でも相手局から不足品質の情報を受け取ることなく、無線リソースを効率的に使用できる無線通信装置100を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無線通信装置及び再送方法に関し、例えば回線品質に応じて適応的に変調方式及び符号化レートを変更する無線通信装置及び再送方法に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、より高速なIMT−2000のパケット伝送方式として、下りのピーク伝送速度の高速化、低伝送遅延、高スループット化等を目的としたHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)と呼ばれる方式が検討されている。そして、HSDPAを支援する技術として、3GPP(3rd Generation PartnershipProject)TR25.848 "Physical layer aspects of UTRA High Speed Downlink Packet Access、TR25.858 "HSDPA Physical Layer Aspects"には、AMC(Adaptive Modulation and Coding:適応変調符号化方式)と呼ばれる伝送方式が開示されている。
【0003】このAMC技術は、回線品質の変動に応じて、変調方式や誤り訂正符号化レートを適応的にかつ高速に変更する技術である。AMC技術では、回線品質が良好なほど、高速の変調方式を用い、誤り訂正符号化レートを大きくすることで、伝送レートを高速にする。具体的には、移動局(または基地局)で随時移動局毎の下りの伝搬品質を測定し、基地局ではその測定結果に基づいて、情報を伝送すべき移動局と最適な伝送レートを決定し、情報伝送する。伝送レートに関係するものとして、変調方式(たとえば、QPSK(Quaternary Phase Shift Keying)や16QAM(Quaternary Amplitude Modulation))、符号化レート(たとえば、1/3でターボ符号化し、パンクチャ(puncture)またはリピティション(repetition)することで符号化率を変更する)が検討されている。
【0004】このようにAMC技術を用いれば、移動局から送信される回線の測定結果に基づいて、適応的に変調方式や符号化レートを決定するようにしているので、回線状態に応じて所望の誤り率を満たす最大限のデータを伝送できる。この結果、伝送効率と誤り率を両立させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、AMC技術においては、回線品質の測定や推定において誤差が大きい場合や回線品質の時間的な変動が早い場合には、受信側で所望の品質が得られず、同一データの再送が必要となる場合がある。この場合、再送するときの変調方式及び符号化レートによっては、再送回数が増えたり、過剰なリソースを使用して送信したりすることになり、無線リソースが無駄に使用される欠点がある。
【0006】本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、再送要求があった場合の無線リソースを効率的に使用できる無線通信装置及び再送方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため本発明の無線通信装置は、以下の構成を採る。
【0008】(1)通信相手局から再送要求があった場合に、再送データを再送するようになされた無線通信装置であって、相手局との間の回線品質を検出する回線品質検出手段と、送信データに対して、回線品質検出手段により得られた回線品質に応じた変調処理、符号化処理、拡散処理、拡散符号多重処理又は送信電力制御処理等の相手局での復元データの品質に影響を与える処理を施す送信信号処理手段と、信号処理された送信データの相手局での品質不足分を算出することにより、再送信号の所要品質を推定する再送品質推定手段と、再送品質推定手段により得られた所要品質に基づいて、再送時における送信信号処理手段による前記復元データの品質に影響を与える各処理の処理要素を割り当てる割り当て手段と、を具備する構成を採る。
【0009】この構成によれば、再送品質推定手段によって前回の送信での品質不足分である再送信号の所要品質が推定され、割り当て手段によって不足品質に応じた変調方式、符号化レート、拡散率、拡散符号多重数又は送信電力等が割り当てられて前記不足分を補う品質の再送信号が形成される。かくして、実質的に相手局で必要となる所要品質を過不足無く満たす再送信号を送信できるようになり、この結果、再送回数が増加したり、過剰なリソースを使用して送信したりすることなく、無線リソースを効率的に使用できるようになる。また再送品質推定手段により再送時の所要品質を推定するようにしているので、相手局から所要品質を送ってもらうことなく再送時の所要品質を得ることができ、この分だけ一段と無線リソースを効率的に使用できるようになる。
【0010】(2)本発明の無線通信装置は、再送品質推定手段は、送信信号処理手段により信号処理されて送信された送信データが相手局で受信されたときの回線品質と、その送信時に割り当て手段により割り当てられた各処理の処理要素との関係に基づいて、相手局での品質不足分を算出する構成を採る。
【0011】この構成によれば、回線品質情報と処理要素との対応関係に基づいて、容易に再送時における品質不足分(所要品質)を推定できるようになる。
【0012】(3)本発明の無線通信装置は、再送品質推定手段は、送信信号処理手段により信号処理されて送信された送信データが相手局で受信されたときの回線品質と、送信信号処理手段による信号処理の基となった回線品質とに基づいて、信号処理された送信データの相手局での品質不足分を算出する構成を採る。
【0013】この構成によれば、前回の送信時の送信信号処理手段による処理要素を割り当てる基となった回線品質と、その信号が実際に相手局に受信されたときの回線品質とに基づいて、容易に再送時における品質不足分(所要品質)を推定できるようになる。
【0014】(4)本発明の無線通信装置は、回線品質検出手段は、相手局で得られた共通パイロットチャネルの回線品質報告値を相手局から受信して抽出する手段と、共通パイロットチャネルの回線品質報告値からダウンリンクシェアードチャネルの回線品質を推定するダウンリンクシェアードチャネル品質推定手段とを具備する構成を採る。
【0015】この構成によれば、別途新たなチャネルを設けることなく、実際に使われているチャネルのみを用いて、ダウンリンクシェアードチャネルの回線品質を良好に検出することができる。この結果、チャネル数を増加させずに、(1)〜(3)の処理を良好に行うことができるようになる。
【0016】(5)本発明の無線通信装置は、回線品質検出手段は、自局が送信する個別物理チャネルの送信電力に基づいて、送信データが送信されるダウンリンクシェアードチャネルの回線品質を推定する構成を採る。
【0017】この構成によれば、個別物理チャネルの送信電力に基づいてダウンリンクシェアードチャネル(HSDPAにおけるHS−DSCHを含む)の回線品質を推定するので、相手局から回線品質に関する情報を受け取らずに(1)〜(3)の処理を行うことができる。
【0018】(6)本発明の無線通信装置は、再送品質推定手段により推定された再送信号の所要品質が所定値以上の場合に、相手局に対して前回までの受信データを削除することを指示する信号を送信する手段を具備する構成を採る。
【0019】この構成によれば、前回までにあまりにも悪い品質のパケットデータを受信している場合には、そのパケットデータが原因となって、合成しても十分な品質の復調データを得ることができず、再送回数が増加してしまう点に着目して、再送品質推定手段により推定された所要品質が所定値以上の場合(つまり前回までの受信品質が所定値以下の場合)には、相手側で保存している受信パケットデータを削除することを指示する信号を送信し、そのパケットデータについては最初の送信からやり直す。この結果、再送回数を有効に低減させることができるようになる。
【0020】(7)本発明の無線通信装置は、送信信号処理手段の処理を再送時に変更しない場合、回線品質検出手段により得られる品質値が所定以上の値になるまで再送データの送信を停止させ、所定の回線品質が得られたときに再送データを送信する送信タイミング制御手段を具備する構成を採る。
【0021】この構成によれば、例えば、再送信号についての伝送レートが規制されていて、送信信号処理手段が回線品質に応じて再送データに対して、前記不足分に応じた処理を行うことができない状況下でも無駄な再送回数を増やしたり、無駄に再送を遅らせたりすることなく相手局に所要品質のデータを与えることができるようになる。
【0022】(8)本発明の再送方法は、通信相手局から再送要求があった場合に、再送データを再送するようになされた再送方法であって、相手局との間の回線品質を検出する回線品質検出ステップと、送信データに対して、回線品質検出ステップで得られた回線品質に応じた変調処理、符号化処理、拡散処理、拡散符号多重処理又は送信電力制御処理等の相手局での復元データの品質に影響を与える処理を施す送信信号処理ステップと、信号処理された送信データの相手局での品質不足分を算出することにより、再送信号の所要品質を推定する再送品質推定ステップと、再送時に送信信号処理ステップを繰り返し、再送品質推定ステップで得られた所要品質を満たすように、再送時での送信信号処理ステップにおける復元データの品質に影響を与える各処理の処理要素を割り当てる割り当てステップと、を含むようにする。
【0023】この方法によれば、再送品質推定ステップで前回の送信での品質不足分である再送信号の所要品質が推定され、割り当てステップで不足品質に応じた変調方式、符号化レート、拡散率、拡散符号多重数又は送信電力等が割り当てられて前記不足分を補う品質の再送信号が形成される。かくして、実質的に相手局で必要となる所要品質を過不足無く満たす再送信号を送信できるようになり、この結果、再送回数が増加したり、過剰なリソースを使用して送信したりすることなく、無線リソースを効率的に使用できるようになる。また再送品質推定ステップで再送時の所要品質を推定するようにしているので、相手局から所要品質を送ってもらうことなく再送時の所要品質を得ることができ、この分だけ一段と無線リソースを効率的に使用できるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の骨子は、相手局で得られた回線品質情報や自局での送信電力値等に基づいて、相手局での受信データ品質不足分を自局で推定し、再送信号の品質がこの不足分に相当するものとなるように変調方式、符号化率、拡散率、拡散符号多重数、送信電力等の割り当てを行うようにしたことである。これにより、再送信号として、過剰な品質でデータを送ったり、再送回数を増やしたりすることなく、無線リソースを効率的に使用することができるようになる。
【0025】以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】(実施の形態1)図1において、100は全体として、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置を示す。無線通信装置100は、AMC技術を用いることにより回線品質や送信データ量に応じて適応的に変調方式及び符号化レートを変化させるようになっている。この実施の形態の場合、無線通信装置100は移動通信システムにおける基地局に設ける場合について説明するが、無線通信装置100は通信端末に設けるようにしてもよい。
【0027】無線通信装置100は、バッファ101、送信フレーム作成部102、符号化部103、変調部104、拡散部105、送信無線部106、アンテナAN、受信無線部111、逆拡散部112、復調部113、復号化部114、報告値抽出部115、HS−DSCH品質推定部116、再送用品質推定器117、MCS(Modulation and Coding Scheme)割り当て部118及びスケジューリング部120を有する。ここでは、複数の通信相手局に対する送信データを扱うことができるようにするため、送信無線部106、アンテナAN、受信無線部111及びスケジューリング部120以外の各部101〜106、111〜118は、それぞれ複数設けられている。
【0028】まず無線通信装置100の送信系について説明する。無線通信装置100は、各ユーザに対する送信データを一旦バッファ101に蓄積し、蓄積した送信データを送信フレーム作成部102でフレーム化した後、符号化部103に送出する。
【0029】無線通信装置100は、符号化部103で送信データを符号化した後、変調部104で符号化後の送信データを変調する。ここで符号化部103および変調部104は送信信号処理手段として機能し、割り当て手段としてのMCS割り当て部118での割り当て結果(符号化率と変調方式)に従って、それぞれ、誤り訂正符号化処理、変調処理が行われる。
【0030】符号化率については、たとえば、1/3で符号化し、パリティの部分をパンクチャまたはリピティションすることで符号化率を変更し、変調方式については、たとえば、QPSKと16QAMの中から選択する。ここでの伝送レート(符号化率と変調方式)の決定は、前回取得された回線品質に基づくものである。MCS割り当て部118の処理については、後で詳述する。変調後の送信データは、拡散部105へ出力される。
【0031】拡散部105では、通信相手局ごとに異なる拡散コードを用いて変調後の各相手局宛の送信データを拡散する。拡散後の送信データは、送信無線部106へ出力され、ここで、アップコンバートなどの所定の無線処理が施された後、アンテナANから無線送信される。
【0032】次に無線通信装置100の受信系について説明する。無線通信装置100は、アンテナ109で、相手局から無線送信された信号を受信して、受信無線部111へ出力する。受信無線部111では、アンテナ105で受信した信号に対してダウンコンバートなどの所定の無線処理を施す。受信無線部111の出力信号(ベースバンド信号)は、逆拡散部112へ出力される。
【0033】逆拡散部112では、拡散コードを用いて受信信号を逆拡散し、復調部113で、逆拡散後の受信信号を復調する。復調後の受信信号は復号化部114へ出力される。復号化部114では、復調後の受信信号を復号化する。復号化された情報は報告値抽出部115へ出力される。
【0034】報告値抽出部115では、復号化された情報から相手局ごとの報告値を抽出する。抽出された報告値のうち回線品質を表す報告値は、HS−DSCH品質推定部116に送出されると共に、スケジューリング部120に送出される。ここで報告値とは、たとえば、通信相手局である通信端末で測定されたCPICH(共通パイロットチャネル)のCIR(Carrier to Interference Ratio)やSIR(Signal to Interference Ratio)、品質に基づいたTFRC(Transport Format and Resource Combination)のような情報などである。また報告値でなくても、実施の形態2でも説明するように、送信電力制御されている個別チャネル(たとえば、DPCH(Dedicated Physical Channel))の送信電力などでも回線品質を知ることが可能である。
【0035】また報告値抽出部115では、相手局からのACK(ACKnowledgment:肯定応答)/NACK(Negative ACKnowledgment:否定応答)情報を抽出し、これをスケジューリング部120に送出する。
【0036】スケジューリング部120は、NACK信号により再送要求を認識し、再送時点のトラフィック状況や回線品質に応じてスケジューリングを決定し、このスケジューリングで再送を行うように制御する。具体的には、決定したスケジューリングに合わせてバッファ101から再送データを出力させる。加えて、スケジューリング部120は、MCS割り当て部118及び再送用品質推定器117に送信タイミングを通知する。
【0037】回線品質検出手段としてのHS−DSCH品質推定部116は、報告値抽出部115から入力されたCPICHの回線品質に基づいてデータパケットを伝送するためのチャネルであるHS−DSCHの相手局との間の回線品質を推定する。具体的には、CPICHとHS−DSCHでは、送信電力等が異なるので回線品質も当然異なる。HS−DSCH品質推定部116では、この送信電力等の差や比に基づいて、相手局との間のHS−DSCHの回線品質を推定する。HS−DSCH品質推定部116は、推定結果を再送用品質推定器117及びMCS割り当て部118に送出する。
【0038】MCS割り当て部118は、HS−DSCH品質推定部116により得られた推定結果と、再送用品質推定器117により得られた推定結果とに基づいて、符号化率及び変調方式を割り当てる。
【0039】再送用品質推定器117は、MCS割り当て部118からの割り当て情報(符号化率、変調方式)と、HS−DSCH部116からのこの割り当て情報で信号処理して送信したデータパケットが相手局で受信された際のHS−DSCH推定結果とに基づいて、再送時に必要となる所要品質を推定する。
【0040】この実施の形態の場合、再送用品質推定器117及びMCS割り当て部118は、図2に示すように構成されている。MCS割り当て部118は、割り当て用品質算出部118BとMCS決定部118Aとにより構成されている。またMCS決定部118Aはしきい値判定部118Dと割り当てテーブル118Cとにより構成されている。
【0041】割り当て用品質算出部118Bには、HS−DSCH品質算出部116から最も新しいHS−DSCHの回線品質情報が入力されると共に、再送用品質推定器117により推定された再送時の所要品質を入力される。ここで以下でも説明するが、再送用品質推定器117から出力される所要品質とは、再送時に必要となる所要品質であり、この実施の形態の場合には、前回までに送信した品質の不足分をパーセントで表した値である。
【0042】割り当て用品質算出部118Bは、HS−DSCH品質推定部116からの現在のHS−DSCHの回線品質と再送時に必要となる品質不足分に基づき、割り当て用品質を算出する。例えば、前回の送信で相手局での復号に必要な品質の70%の品質が受信されたとすると、再送用品質推定器117では、再送時には残り30%の品質が必要であるといった推定結果が得られる。
【0043】割り当て用品質算出部118Bでは、MCS決定部118Aで、この30%以上に相当する符号化率及び変調方式が決定されるような仮想的なHS−DSCHの回線推定値を算出する。つまり、MCS決定部118Aにより30%以上の品質が割り当てられるためには、MCS決定部118Aに、実際の回線品質の(100/30)倍の回線推定値が入力されればよい。つまりHS−DSCH品質推定部116の推定値をXとし、再送用品質推定器117により得られる再送時の所要品質をY%とし、割り当て用品質算出部118Bから出力される値をZとすると、Z=X×(100/Y)となる。
【0044】しきい値判定部118Dは複数のしきい値を有し、割り当て用品質算出部118Bにより算出された値をしきい値判定する。割り当てテーブル118Cは、回線品質をアドレスとして、各アドレスに変調方式と符号化率が対応付けられたROM(Read Only Memory)により構成されている。すなわち、割り当てテーブル118Cには、現在の回線品質がある値であれば、この変調方式及びこの符号化率を割り当てれば、相手局で必要な品質の復元データが得られるであろう、回線品質と変調方式及び符号化率との対応関係が記憶されている。
【0045】図3に、しきい値判定部118Dと割り当てテーブル118Cとの関係の一例を示す。しきい値判定部118Dは、Th1〜Th5の5つのしきい値を有し、割り当て用品質算出部118Bにより得られた算出値をしきい値判定する。この結果、例えば算出値がTh1以上でTh2未満の場合には、割り当てテーブル118CによりQPSKと1/4の符号化率が割り当てられる。また算出値がTh4以上でTh5未満の場合には、割り当てテーブル118Cにより16QPSKと1/2の符号化率が割り当てられる。因みに、しきい値Th1未満の場合には送信は行われない。
【0046】再送用品質推定器117は、所要品質算出部117A及び所要品質記憶部117Bから構成されている。所要品質算出部117Aは、MCS割り当て部118により割り当てられた符号化率及び変調方式と、その符号化率及び変調方式を割り当てて送信した時点で測定された報告値からHS−DSCHの回線品質とから、実際の送信で不足した所要品質を推定する。この推定処理は、所要品質算出部117Aに、ある回線品質に対してどの符号化率及び変調方式を用いれば、相手局でどの程度の受信品質が得られるかの情報を記憶させておけば、容易に実現することができる。
【0047】再送用品質推定器117は、このようにして所要品質算出部117Aによって算出した前回の送信までで不足している受信品質(所要品質)を所要品質記憶部117Bに記憶する。所要品質記憶部117Bは、最も新しく記憶された所要品質を割り当て用品質算出部118Bに送出する。また2回目以上の再送時には、所要品質記憶部117Bに記憶された前回の再送時の所要品質が所要品質算出部117Aに送出される。つまり、所要品質算出部117Aでは、1回目の再送時には、割り当てテーブル118Cからの符号化率及び変調方式の情報とHS−DSCH品質推定部116からの回線品質情報から100%の所要品質に対してどのくらいの不足分があるかを算出し、2回目以降の再送時には、前回の不足分に対してさらにどれくらいの品質不足分があるかを算出する。
【0048】かくして、HS−DSCH品質推定部116、MCS割り当て部118及び再送用品質推定器117においては、先ず、あるパケットデータの最初の送信時には、HS−DSCH品質推定部116により推定されたHS−DSCHの回線品質が割り当て用品質算出部118Bを介してそのままMCS決定部118Aに入力される。そしてMCS決定部118Aが回線品質に応じた符号化率及び変調方式を割り当てる。
【0049】一方、1回目の再送時には、所要品質算出部117Aが初回送信時に割り当てられた符号化率及び変調方式と、初回のパケットデータを相手局が受け取ったときの回線品質とから、相手局での品質の不足分を算出する。そして、その不足分を1回目の再送における所要品質として、所要品質記憶部117Bに記憶させる。そして所要品質記憶部117Bは、スケジューリング部120から再送のタイミングを知らせる信号を入力すると、記憶した所要品質を割り当て用品質算出部118Bに送出する。割り当て用品質算出部118Bは、HS−DSCH品質推定部116により推定された最新のHS−DSCHの回線品質と、再送時に必要となる所要品質とから、所要品質に相当する符号化率及び変調方式が割り当てられるような仮想的な回線品質を算出する。MCS決定部118Aでは、この仮想的な回線品質に応じた符号化率及び変調方式を割り当て、この符号化率及び変調方式で信号処理された再送パケットデータが送信される。
【0050】さらに、2回目以降の再送時では、所要品質算出部117Aが、前回の再送時に割り当てられた符号化率及び変調方式と、前回の再送によるパケットデータを相手局が受け取ったときの回線品質と、所要品質記憶部117Bに記憶されている前回の再送での所要品質から、今回の再送での相手局での受信品質の不足分を算出する。後の処理は、1回目の再送時と同様なので説明を省略する。
【0051】このようにして、HS−DSCH品質推定部116、MCS割り当て部118及び再送用品質推定器117によれば、相手局から送られてくるCPICHの品質情報だけから、再送時に必要となる相手局での品質不足分(所要品質)を的確に推定して、この所要品質に見合った再送パケットデータを送信することができる。
【0052】次に、この無線通信装置100の動作について、図1及び図4を用いて説明する。図4では、図1の構成でなる無線通信装置100を有する基地局が通信端末と通信している場合について説明する。また図4では、通信端末での受信品質が所要品質を満たさず、再送要求がなされる場合について説明する。
【0053】先ず時点tm1で通信端末から回線品質情報(例えばCPICHのCIR)が基地局に送信され、基地局はこの回線品質情報を時点tb1で受け取ると、当該回線品質情報に基づいて通信端末での回線品質が所要品質以上となるような変調方式及び符号化レートにより送信データを変調処理及び符号化して時点tb2でデータパケットを送信する。
【0054】移動局はこのデータパケットを時点tm2で受信すると受信処理を行い、復号後に誤りが検出された場合には、時点tm3で回線品質情報と、NACK信号を送出する。因みに実際に、通信端末は、回線品質情報をNACK信号とは関係なく送っているが、ここでは説明を簡単化するために同時に送っているものとする。
【0055】基地局は、時点tb3で回線品質情報及びNACK信号を受信すると、時点tb2で送信したデータと同一のデータを再送する処理に入る。このとき基地局の無線通信装置100は、時点tb2で送信したデータパケットに割り当てた符号化率及び変調方式と、時点tb3で相手局から報告されたデータパケットを受け取ったときの回線品質とから、前回の送信(時点tb2での送信)での品質不足分を求める。
【0056】因みに、この不足分は、時点tb1で相手局から受け取った回線品質と、時点tb3で受け取った回線品質の差分に基づいて算出するようにしても良い。
【0057】無線通信装置100は、スケジューリングにより再送を行うタイミングになるまで再送データに対する符号化率及び変調方式の割り当てを待機する。そして再送を行うタイミングになると、その直前に移動局から報告された受信品質情報に基づき、現在の回線状態で前回の送信(時点tb2での送信)での品質不足分を移動局に伝送できるような符号化率及び変調方式により再送データを信号処理して時点tb4で再送データパケットを送信する。
【0058】通信端末は、この再送データパケットを時点tm4で受信すると、このデータパケットを前回受信したデータパケットと合成して復調することにより、所要品質の受信データを得ることができる。
【0059】以上の構成によれば、HS−DSCH品質推定部116でダウンリンクシェアードチャネルの回線品質を推定すると共に、再送用品質推定器117で前回のパケット送信で不足している所要品質を推定し、MCS割り当て部118でこの所要品質に相当する品質が相手局で得られるような符号化率及び変調方式の割り当てを行うようにしたことにより、再送要求があった場合でも相手局から不足品質の情報を受け取ることなく、無線リソースを効率的に使用できる無線通信装置100を実現できる。
【0060】なおこの実施の形態では、相手局での復元データの品質に影響を与える処理を施す送信信号処理手段として符号化部103および変調部104を例にとって説明したが、このように相手局での復元データの品質に影響を与える処理としては、他にも拡散部105による拡散率、拡散符号多重数や送信無線部106による送信電力等がある。従って、本発明は、不足品質に応じて符号化率や変調方式の割り当てを制御することに限らず、不足品質に応じて拡散率、拡散符号多重数及び送信電力の割り当てを制御するようにしても、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。これは後述する実施の形態についても同様である。
【0061】また上述の実施の形態では、送信信号処理手段(符号化部103、変調部104)により信号処理されて送信された送信データが相手局で受信されたときの回線品質と、その送信時に割り当て手段(MCS割り当て部118)により割り当てられた各処理の処理要素(符号化率、変調方式)との関係に基づいて、相手局での品質不足分を算出するようにしたが、本発明はこれに限らず、以下のようにして品質不足分を算出するようにしても良い。
【0062】つまり、送信信号処理手段(実施の形態の場合、符号化部103、変調部104)により信号処理されて送信された送信データが相手局で受信されたときの回線品質と、送信信号処理手段(実施の形態の場合、符号化部103、変調部104)による信号処理の基となった回線品質とに基づいて、信号処理された送信データの相手局での品質不足分を算出するようにしても良い。
【0063】なおこの実施の形態では、不足品質として、不足分をパーセントで表わした値としたが、本発明はこれに限らず、不足分の値そのものを使用した構成に変更しても同じことが実現可能である。
【0064】さらにこの実施の形態では、MCS決定部118Aとして、回線品質に基づいた変調方式と符号化率が対応付けられたROM(Read Only Memory)を使用しているが、本発明はこれに限らず、回線品質に基づいて変調方式と符号化率が決められるのであれば、特に構成は制限されない。
【0065】(実施の形態2)図1との対応部分に同一符号を付して示す図5において、200は全体として、本発明の実施の形態2に係る無線通信装置を示す。無線通信装置200は、実施の形態1の無線通信装置100が相手局から受信したCPICHの回線品質情報に基づいて、再送信号の所要品質を推定したのに対して、相手局に送信するDPCHの送信電力値に基づいて再送信号の所要品質を推定するようになされている。
【0066】ここで一般に、DPCHの送信電力は、回線品質に基づき回線品質が悪いほど大きな送信電力となるように制御される。この点に着目して、この実施の形態では、DPCHの送信電力に基づいてDSCHの回線品質を推定することにより、相手局からの受信品質情報を受け取ることなく品質不足分を求めるようになされている。
【0067】実際上、無線通信装置200では、送信電力情報検出部201がDPCHの送信電力を検出し、HS−DSCH品質推定部202がDPCHの送信電力に基づきHS−DSCHの回線品質を推定する。具体的には、DPCHの送信電力が大きいほどHS−DSCHの回線品質が悪いと推定する。HS−DSCH品質推定部202は推定した回線品質情報をMCS割り当て部204及び再送用品質推定器203に送出する。
【0068】次に図6を用いて、無線通信装置200の再送動作について説明する。無線通信装置200は、まずステップST1において、HS−DSCH品質推定部202が送信電力情報検出部201で検出されたDPCHの送信電力に基づき、相手局との間のHS−DSCHの回線品質を求め、MCS割り当て部204がこの回線品質に基づいて割り当て可能な符号化率と変調方式の組合せを推定する。そして続くステップST2でその変調符号化率及び変調方式を割り当てる。
【0069】具体的には、DPCHの送信電力が小さい場合にはHS−DSCHの回線品質が良いと判断し、多値数の多い変調方式及び高レートの符号化率を割り当てる。これに対してDPCHの送信電力が大きい場合にはHS−DSCHの回線品質が悪いと判断し、多値数の低い変調方式及び低レートの符号化率を割り当てる。
【0070】次にステップST3において、MCS割り当て部204がステップST1で割り当て可能と推定した符号化率及び変調方式でパケットデータを送信した場合の相手局での所要品質を保存する。例えばステップST1で回線品質が5[dB]であり、割り当てた符号化率及び変調方式でパケットデータを送信したときの相手局での所要品質が3[dB]であった場合には、この3[dB]を保存する。
【0071】ステップST4では、再び、HS−DSCH品質推定部202が送信電力情報検出部201により検出されたDPCHの送信電力に基づいて相手局との間のHS−DSCHの回線品質を推定し、これを保存する。無線通信装置200は、ステップST4の処理とほぼ同時に、ステップST2で割り当てた変調方式及び符号化率でパケットデータを送信する。
【0072】ステップST5では、相手局から送られてくるACK/NACK信号に基づいてスケジューリング部120で受信判定処理を行い、ACK信号を受信した場合にはそのパケットデータの送信処理を完了する。これに対して、NACK信号を受信した場合にはステップST6に移って、そのパケットデータの再送処理を行う。
【0073】ステップST6では、MCS割り当て部204が、ステップST3で保存した所要品質とステップST4で保存した送信時の回線品質から再送時に必要となる受信品質、つまり前回の送信で不足している所要品質を推定する。ここでステップST1で回線品質に応じて適切な伝送レートを割り当てたにも拘わらず、何故ステップST5で再送要求があったかを考えると、ステップST1で符号化率及び変調方式を割り当ててからステップST4での実際のパケット送信までに時間差があり、その間に回線品質が(悪い方に)変動したためと考えられる。これを考慮して、無線通信装置200では、ステップST6において、ステップST3で保存した所要品質からステップST4で保存した実際の送信時点の推定回線品質を引いた値を再送時に相手局で必要な受信品質(不足分)であると推定する。
【0074】ステップST7では、HS−DSCH品質推定部202が、DPCHの現時点の送信電力に基づき相手局との間の現時点のHS−DSCHの回線品質を求める。そしてMCS割り当て部204が、この回線品質とステップST6で推定した再送時に相手局で必要となる所要品質とに基づいて、割り当て可能な符号化率及び変調方式を推定する。そしてステップST2に移って、再送データに対して、ステップST7で推定した符号化率及び変調方式の割り当て処理を行う。この結果、相手局からの情報を一切受け取らずに、再送データをより過不足無い品質で再送することができるようになる。
【0075】以上の構成によれば、DPCHの送信電力に基づいてHS−DSCHの回線品質を推定して変調方式及び符号化レートを割り当てると共に、再送要求があった場合にも、DPCHの送信電力に基づいて前回のパケット送信による相手局での品質の不足分を推定し、再送信号がこの品質の不足分を補う品質となるように変調方式及び符号化レートの割り当てを行うようにしたことにより、相手局からの情報を一切受け取らずに、再送要求があった場合でも無線リソースを効率的に使用できる無線通信装置200を実現できる。
【0076】なおこの実施の形態では、DPCHの送信電力に基づいてHS−DSCHの相手局での受信品質を推定し、変調方式及び符号化レートを割り当てる場合について述べたが、パケットデータの相手局での受信品質を推定する情報は送信電力に限らず、例えばDPCHの拡散率や伝送レートに基づいてHS−DSCHで送信するパケットデータの相手局での受信品質を推定してもよく、要は、相手局の受信品質に応じて制御されている情報に基づいてパケットデータの相手局での受信品質を推定すればよい。
【0077】(実施の形態3)図1との対応部分に同一符号を付して示す図7において、300は全体として、本発明の実施の形態3に係る無線通信装置を示す。無線通信装置300は、初期化シグナリング発生器301を有することを除いて、実施の形態1の無線通信装置100と同様の構成でなる。
【0078】初期化シグナリング発生器301は、再送用品質推定器117により推定された再送信号の所要品質が所定値以上の場合に、相手局に対して前回までに送信されたパケットデータを削除することを指示する信号を発生し、これを送信フレーム作成部102に送出する。送信フレーム作成部102は送信フレーム中の所定位置に初期化信号を挿入する。
【0079】これにより初期化信号を受信した相手局は、受信バッファに蓄積していたパケットデータを削除する。ここで上述したように無線通信装置300からのパケットデータを受信して復調する相手局では、受信品質が所要値を満たさないパケットデータは一旦バッファに蓄積しておき、再送されたパケットデータと蓄積したパケットデータを合成して復調することで、所要品質を満たす復調データを得るようになされている。
【0080】しかし、それまでに受信したパケットデータの受信品質があまりにも悪いときには、このパケットデータが原因となって、再送信号を合成しても十分な品質の復調データを得ることができないことがある。これを考慮して、この実施の形態では、再送信号に所定値以上の所要品質が求められる場合には、相手側で保存している受信パケットデータを削除することを指示する信号を送信し、そのパケットデータについては最初の送信からやり直すようになされている。
【0081】以上の構成によれば、実施の形態1に加えて、再送信号として所定値以上の品質が求められる場合に、相手局に保存されたパケットデータを削除することを指示する信号を相手局に送信するようにしたことにより、実施の形態1の効果に加えて、再送回数を一段と少なくして一段と無線リソースを効率的に使用できる無線通信装置300を実現できる。
【0082】(実施の形態4)図1との対応部分に同一符号を付して示す図8において、400は全体として、本発明の実施の形態4に係る無線通信装置の構成を示す。無線通信装置400は、スケジューリング部401のスケジューリング処理が異なることを除いて、実施の形態1の無線通信装置100と同様の構成でなる。
【0083】無線通信装置400は、再送中は伝送レートを変更できないシステムに適用された場合に、再送回数を増やすことなく相手局が所要受信品質を得ることができるような構成となっている。
【0084】スケジューリング部401には、HS−DSCH品質推定部116により推定された相手局との間のHS−DSCHの回線品質情報が入力されると共に、再送用品質推定器117から再送信号の所要品質を示す情報が入力される。
【0085】スケジューリング部401は、HS−DSCH品質推定部116により推定される回線品質が、再送用品質推定器117から入力された再送信号の所要品質を送ることができる品質になったときに再送信号を送信させるようになっている。つまり、この実施の形態のスケジューリング部401は、再送に関して不足品質をも加味したスケジューリングを行う。これにより、再送信号についての伝送レートが規制されていて、回線品質に応じて再送データについての変調方式及び符号化レートを適応的に変えることができない状況下でも再送回数を増やすことなく相手局に所要受信品質のデータを与えることができる。
【0086】以上の構成によれば、再送信号についての伝送レートが規制されていて、回線品質に応じて再送データについての変調方式及び符号化レートを適応的に変えることができない状況下でも、無駄な再送回数を増やすことなく相手局に所要受信品質のデータを与えることができる無線通信装置400を実現できる。
【0087】なお、ここでは、再送時に送信信号処理手段で処理を変更できない場合にのみ説明したが、変更できる場合でも使用してよく、上述した実施の形態1から3の方法と組み合わせて使用しても良い。つまり再送に関して不足品質をも加味したスケジューリングを行うようにすれば、一段と伝送効率を向上させることができるようになる。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、相手局で得られた回線品質情報や自局での送信電力値等に基づいて、相手局での受信データ品質不足分を自局で推定し、再送信号の品質がこの不足分に相当するものとなるように変調方式、符号化率、拡散率、拡散符号多重数、送信電力等の割り当てを行うようにしたことことにより、実質的に相手局で必要となる所要品質を過不足無く満たす再送信号を送信できるようになる。この結果、再送回数が増加したり、過剰な品質でデータを送信したりすることなく、無線リソースを効率的に使用できる無線通信装置及び再送方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図2】再送用品質推定器及びMCS割り当て部の詳細構成を示すブロック図
【図3】しきい値判定部と割り当てテーブルとの関係の一例を示す図
【図4】実施の形態1の動作の説明に供する図
【図5】実施の形態2に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図6】実施の形態2の動作の説明に供するフローチャート
【図7】実施の形態3に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【図8】実施の形態4に係る無線通信装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
100、200、300、400 無線通信装置
101 バッファ
103 符号化部
104 変調部
115 報告値抽出部
116、202 HS−DSCH推定部
117、203 再送用品質推定器
118、204 MCS(Modulation and Coding Scheme)割り当て部
120、401 スケジューリング部
201 送信電力情報検出部
301 初期化シグナリング発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信相手局から再送要求があった場合に、再送データを再送するようになされた無線通信装置であって、相手局との間の回線品質を検出する回線品質検出手段と、送信データに対して、前記回線品質検出手段により得られた回線品質に応じた変調処理、符号化処理、拡散処理、拡散符号多重処理又は送信電力制御処理等の相手局での復元データの品質に影響を与える処理を施す送信信号処理手段と、前記信号処理された送信データの相手局での品質不足分を算出することにより、再送信号の所要品質を推定する再送品質推定手段と、前記再送品質推定手段により得られた所要品質に基づいて、再送時における前記送信信号処理手段による前記復元データの品質に影響を与える各処理の処理要素を割り当てる割り当て手段と、を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】 前記再送品質推定手段は、前記送信信号処理手段により信号処理されて送信された送信データが相手局で受信されたときの回線品質と、その送信時に前記割り当て手段により割り当てられた各処理の処理要素との関係に基づいて、相手局での品質不足分を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】 前記再送品質推定手段は、前記送信信号処理手段により信号処理されて送信された送信データが相手局で受信されたときの回線品質と、前記送信信号処理手段による信号処理の基となった回線品質とに基づいて、前記信号処理された送信データの相手局での品質不足分を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】 前記回線品質検出手段は、相手局で得られた共通パイロットチャネルの回線品質報告値を相手局から受信して抽出する手段と、前記共通パイロットチャネルの回線品質報告値からダウンリンクシェアードチャネルの回線品質を推定するダウンリンクシェアードチャネル品質推定手段と、を具備する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】 前記回線品質検出手段は、自局が送信する個別物理チャネルの送信電力に基づいて、前記送信データが送信されるダウンリンクシェアードチャネルの回線品質を推定する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】 前記再送品質推定手段により推定された再送信号の所要品質が所定値以上の場合に、相手局に対して前回までの受信データを削除することを指示する信号を送信する手段を具備する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】 前記送信信号処理手段の処理を再送時に変更しない場合、前記回線品質検出手段により得られる品質値が所定以上の値になるまで再送データの送信を停止させ、所定の回線品質が得られたときに再送データを送信する送信タイミング制御手段を具備する、ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】 通信相手局から再送要求があった場合に、再送データを再送するようになされた再送方法であって、相手局との間の回線品質を検出する回線品質検出ステップと、送信データに対して、前記回線品質検出ステップで得られた回線品質に応じた変調処理、符号化処理、拡散処理、拡散符号多重処理又は送信電力制御処理等の相手局での復元データの品質に影響を与える処理を施す送信信号処理ステップと、前記信号処理された送信データの相手局での品質不足分を算出することにより、再送信号の所要品質を推定する再送品質推定ステップと、再送時に前記送信信号処理ステップを繰り返し、前記再送品質推定ステップで得られた所要品質を満たすように、再送時での送信信号処理ステップにおける前記復元データの品質に影響を与える各処理の処理要素を割り当てる割り当てステップと、を含む再送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2003−264873(P2003−264873A)
【公開日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−63720(P2002−63720)
【出願日】平成14年3月8日(2002.3.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】