説明

焦点検出装置及び方法

【課題】 外部測定方式の直接測定AFによって、高速に動体に対して合焦し続けること。
【解決手段】 撮像手段から得られた撮像信号の画像に含まれる動体を検出し、複数の測定エリアを含む、前記撮像手段と異なる位置に配置された取得手段により、各測定エリアに含まれる被写体までの距離に関する情報を予め設定された周期で取得し、前記複数の測定エリアの内、前記動体に対応した1以上の測定エリアを選択し、選択された測定エリアから得られた前記動体までの距離に関する情報に基づいて、前記動体が合焦状態となるようにフォーカスレンズを駆動する制御信号を生成する。選択された測定エリアから得られた距離に関する情報と、次の周期で各測定エリアから得られた距離に関する情報とがそれぞれ示す距離の差に基づいて、測定エリアを選択し直す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動焦点検出技術に関する
【背景技術】
【0002】
従来より、TTL(Through The Lens)方式のオートフォーカス(AF)方式が提案されている。このAF方式では、フォーカスレンズを動かしながら撮像信号の高周波成分を抽出し、この高周波成分が最大になるフォーカスレンズの位置(山の頂点)を探して合焦点を検出する。以後、この方式のAFを撮像信号AFと呼ぶ。この撮像信号AF方式は、自動焦点検出のためのメカ部材等の必要が無いため、低コストで実現できる。また、撮像信号から合焦度の判断を行うために、精度が高く、さらに経時変化が無いなどの特徴がある。特に、高画素の撮像素子での撮影などでは、ピント精度に対する要求が高いため、メカ部材の経時変化の影響を受けない撮像信号AFは有効である。
【0003】
一方、この撮像信号AF方式は、山の頂点、すなわち合焦点を判別するために、フォーカスレンズの駆動可能範囲を端から端までスキャンをして山の形を把握するか、もしくは、いわゆる山登り動作を行うため、以下のような欠点がある。先ず、スキャンで山の形を把握した場合、ピントがボケたり合ったりする動作が見えてしまうために、動画撮影やモニタに映し出されている状態では不適切であるという欠点がある。また、山登り動作は、動画撮影やモニタでのプレビュー動作で一般的に用いられるが、フォーカスレンズの位置が合焦点から遠く離れた位置にあって、そこから移動を開始する場合は、山の形状が平坦な部分からの開始になる。そのような場合、山の頂上の方向がどちらであるかの判別が難しく、山の頂上がある方向を間違えると、山の頂上とは逆の端まで行ってから戻るなど、ピントが合うまで画像が見苦しくなるとともに、合焦するまでの時間が大幅にかかってしまう。
【0004】
一方、赤外線三角測距方式や瞳分割位相差検出方式を用いた、TTLや外部方式のオートフォーカス(以下、直接測定AFと呼ぶ。)方式も提案されている。この直接測定AF方式では、直接被写体までの距離に関する情報を得ることが可能であり、合焦点の位置を検出するためのスキャン動作や山登り動作を必要としないため、高速に合焦点が判別できるという特徴がある。ただし、焦点検出のためのメカ部材などが必要になるためコストがかかると共に、撮像系とは異なる系で測定するため、経時変化や温度変化により合焦位置が狂いやすいという欠点を持っている。
【0005】
また、上述した2つのAF方式を組み合わせて、お互いの欠点を補うようにシステムを構成することで、高精度で高速なオートフォーカスを実現するハイブリッドAFが提案されている。
【0006】
しかし、撮像信号AFのための撮像系と直接測定AFのための撮像系とが、光学的に異なる位置に配置されている場合、2つの撮像系の間に視差(パララックス)が生じるという問題点がある。そして、このパララックスのため、直接測定AFの測定対象領域が、所望の被写体を含まない領域となる場合がある。こういった問題に対して、撮像信号AFのための撮像対象領域と直接測定AFの測定対象領域とが重なるようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
一方、主要被写体として撮像画面内の動体に対して合焦を行いたいという要望がある。この要望に対しては、画面内の固定の位置に対応する複数の測距センサを備え、画面内での動体の移動にあわせて適切な測距センサを選択するという技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−26804号公報
【特許文献2】特開2001−194578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、被写体が動体である場合に、被写体に対して高速に測距ができる外部測定方式の直接測定AFを適用しようとした場合、上述したパララックスが問題となって、うまく直接測定AFを適用できないという課題がある。
【0010】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、外部測定方式の直接測定AFによって、高速に動体に対して合焦し続けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の焦点検出装置は、撮像手段から得られた撮像信号の画像に含まれる動体を検出する動体検出手段と、複数の測定エリアを含み、各測定エリアに含まれる被写体までの距離に関する情報を予め設定された周期で取得する、前記撮像手段と異なる位置に配置された取得手段と、前記複数の測定エリアの内、前記動体に対応した1以上の測定エリアを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された測定エリアから得られた前記動体までの距離に関する情報に基づいて、前記動体が合焦状態となるようにフォーカスレンズを駆動する制御信号を生成する生成手段とを有し、前記選択手段は、選択した測定エリアから得られた距離に関する情報と、次の周期で各測定エリアから得られた距離に関する情報とがそれぞれ示す距離の差に基づいて、測定エリアを選択し直す。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部測定方式の直接測定AFによって、高速に動体に対して合焦し続けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態におけるカメラの概略構成を示すブロック図。
【図2】実施の形態における直接測定AFモジュールの構成及び動作原理の説明図。
【図3】直接測定AFモジュールの設置レイアウト例を表した図。
【図4】撮像光学系とAF光学系とのパララックスを説明する図。
【図5A】実施の形態における自動焦点検出動作を説明するフローチャート。
【図5B】実施の形態における自動焦点検出動作を説明するフローチャート。
【図6】動体エリアに対する測定エリアの選択処理を説明するフローチャート。
【図7】各距離での動体と測定エリアとの重なり具合を示す図。
【図8】画像中に動体が無い場合のエリア選択方法を説明するフローチャート。
【図9】測定エリアと中央エリアとの重なり具合を説明する図。
【図10】被写体距離に応じたクロス率の変化を説明する図。
【図11】第1の実施形態における測定エリアの設定処理を説明するフローチャート。
【図12】第1の実施形態における動体の撮像面方向の移動と測定エリアの重なり方を示す図。
【図13】第2の実施形態における測定エリアの設定処理を説明するフローチャート。
【図14】第2の実施形態における動体の光軸方向の移動を示す図。
【図15】第2の実施形態における光軸方向に移動している動体と、測定エリアの重なり方を示す図。
【図16】測定エリアを複数同時に使用する場合の説明図。
【図17】別の測定エリアの割り当て方を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態における自動焦点検出装置を搭載したカメラ(撮像装置)の構成を示すブロック図である。なお、ここで言うカメラとは、動画や静止画を撮影して、テープや固体メモリ、光ディスクや磁気ディスク等のさまざまなメディアに記録する、いわゆるビデオカメラやデジタルスチルカメラ等を総称している。カメラ内の各ユニットは、バス260を介して接続されており、各ユニットはメインCPU251によって制御される構造になっている。
【0016】
レンズユニット201には、固定1群レンズ202、ズームレンズ211、絞り203、固定3群レンズ221、フォーカスレンズ231が含まれる。これらの光学部材を通して、撮像素子241上に被写体像を結像して撮像を行う。ズーム制御回路213は、メインCPU251の指示に従いズームモータ212を介してズームレンズ211を駆動して焦点距離を変える。
【0017】
撮像素子241に結像された被写体像は光電変換され、得られた電気信号は撮像信号処理回路242で画像信号TVSに整えられて、AF信号処理回路234及び動体検出処理回路235に入力される。AF信号処理回路234は、撮像信号AF(山登りAF)制御のための評価値FVと、合焦度を表すIFA信号を生成し、フォーカス制御回路233へ入力する。動体検出処理回路235では、画像信号TVSから動体に対応する部分を探索し、見つかった場合には、撮像信号内における動体部(動体エリア)の位置及び大きさを、フォーカス制御回路233へ入力する。
【0018】
一方、レンズユニット201の外部に設けられている直接測定AF検出モジュール230は、被写体距離に関する情報(距離情報)である信号P(X)(Xは、後述する測定エリアを表す。)を算出してフォーカス制御回路233へ入力する。この被写体距離に関する情報の算出は、直接測定AF用の瞳分割光学系238を通して位相差検出器としてのセンサ239へ結像された2つの被写体像の位相差を検出することにより行う。フォーカス制御回路233では、上述したようにして得られた信号P(X)と、評価値FV及び合焦度IFA、動体検出結果による動体の位置及び大きさに基づいて制御信号によりフォーカスモータ232を介してフォーカスレンズ231を駆動する。これにより、オートフォーカス(AF)を実現する。
【0019】
撮像信号処理回路242で整えられた画像信号TVSは、一時的にRAM254に蓄積される。RAM254に蓄積された画像信号TVSは、撮影した画像の記録が指示されている場合には画像圧縮解凍回路253にて圧縮処理され、画像記録用メディア257に記録される。これと並行して、RAM254に蓄積された画像信号TVSは、画像処理回路252にて表示に最適なサイズに縮小または拡大処理されて、モニタディスプレイ250に表示される。これにより、動画撮影時には、リアルタイムで撮影画像を撮影者に対してフィードバックすることができる。つまり、動画撮影の場合には、液晶画面にずっと動画が出ているという状態になる。また、静止画撮影時には、撮像した一枚の画像を撮影直後に、モニタディスプレイに所定時間だけ撮影画像を表示することで撮影画像の確認を行うことが可能となる。
【0020】
操作スイッチ256は使用者が指示を行うための操作を行うためのものである。259は電源バッテリーであり、電源管理回路258により適切な電源管理が施されて、カメラ全体に安定した電源供給が行される。
【0021】
なお、これらの動作に先立って、カメラがOFF状態から起動すると、フラッシュメモリ255に格納されていたプログラムがRAM254の一部にロードされる。メインCPU251はこのRAM254にロードされたプログラムに従って上述した動作を行う。
【0022】
次に、レンズユニット201に対して外部に設けられた、本実施の形態における直接測定AF検出モジュール230の構成及び動作原理について、図2を参照して説明する。
【0023】
301は被写体、239Lおよび239Rは、それぞれ、センサ239を構成する、光電変換センサが並んで配置された、左右のセンサアレイ(以下、「ラインセンサ」と呼ぶ。)である。左ラインセンサ239L、右ラインセンサ239Rには、それぞれ、直接測定AF用の瞳分割光学系238を構成する、左AFセンサレンズ238L及び右AFセンサレンズ238Rが配置されている。被写体301からの光束はそれぞれの光路を通り、左AFセンサレンズ238L及び右AFセンサレンズ238Rを介して、左ラインセンサ239L、右ラインセンサ239Rに入射する。ここでは、これら左AFセンサレンズ238L、右AFセンサレンズ238R、左ラインセンサ239L、右ラインセンサ239Rを直接測定AF検出モジュール230としている。直接測定AF検出モジュール230から被写体301までの距離lは、直接測定AF検出モジュール230の基線長B、焦点距離f、右ラインセンサ239Rを基準とした左ラインセンサ239Lの位相差をnとしたとき、
l=B×f/n
【0024】
で求めることができる。この結果に基づいて、被写体距離に関する情報としての距離lまたは位相差nの関数として、フォーカスレンズ231の合焦位置までの繰り出し量を求めることができる。
なお、左ラインセンサ239Lおよび右ラインセンサ239Rは、3つに分割されており、左側から、測定エリアL(左)、C(中央)、R(右)とする。そして被写体距離に関する情報としての距離lは、測定エリアごとに求められ、信号P(X)(XはL、C、Rのどれか)としてフォーカス制御回路233に入力される。なお、左AFセンサレンズ238Lと右AFセンサレンズ238Rは、個々のカメラで基線長Bがほぼ一定(所定の値)になるように、一体成型されている。一体成型(ワンパッケージ化)することで、分解したり外部からの衝撃などで基線長がずれることを防げるためである。図2でいうと、2つのレンズの中心間距離(レンズの後ろにある2つのセンサの相互距離)がある一定の値になる。
【0025】
図3は、直接測定AF検出モジュール230の設置レイアウト例を表した図である。図3は、カメラを被写体側から見た正面図で、撮像光学系としてのレンズユニット201の左側に、AF光学系としての直接測定AF検出モジュール230が設置されている。なお、これは一例であって、直接測定AF検出モジュール230を右側や斜め上/下に設置しても構わないが、ここでは、図3に示すようにレンズユニット201の左側に設置された場合を例にとって説明を行う。図3に示すように直接測定AF検出モジュール230を設置した場合、距離変化に対して撮像光学系とAF光学系とで視差(パララックス)が発生する。
【0026】
図4は、図3に示すレイアウトにおけるパララックスを説明する図である。ここでは、撮像素子241とセンサ239(左ラインセンサ239Lと右ラインセンサ239Rの両方)に写り込む被写体側の領域を、近距離(例えば1m)、中距離(例えば3m)、遠距離(例えば100m)で考える。近距離では、被写体側の領域502の像が撮像素子241の撮像エリアに投影され、領域512の像がラインセンサ239の測定エリアL(左)、C(中央)、R(右)にそれぞれ投影される。また、中距離では領域503の像が撮像素子241の撮像エリアに投影され、領域513の像がラインセンサ239の測定エリアL(左)、C(中央)、R(右)にそれぞれ投影される。そして、遠距離では、領域504が撮像素子241の撮像エリアに投影され、領域514がラインセンサ239の測定エリアL(左)、C(中央)、R(右)の位置にそれぞれ投影される。
【0027】
図4に示すように、近距離(1m)では、測定エリア領域512は、撮像エリア502に対して右よりに位置している。この場合、測定エリア領域512の内、測定エリアL及びCが撮像エリア502と重なっており、測定エリアRは撮像エリア502とはほぼ重なっていない状態となる。中距離(3m)では、測定エリア領域513と、撮像エリア503の中心がほぼ一致し、測定エリアL、C、Rは、全て撮像エリア503と重なっている状態となる。そして、遠距離(100m)では、測定エリア領域514は、撮像エリア504に対して左よりに位置している。この場合、測定エリア領域514の内、測定エリアC及びRが撮像エリア504と重なっており、測定エリアLは撮像エリア504とはほぼ重なっていない状態となる。
【0028】
なお、上述の図4によるパララックスに関する説明では、ズームレンズ211をある位置に固定し、撮像画像の画角を固定していることを前提としている。ズームレンズ211を移動させて焦点距離を変えると、撮像画像の画角は変化するため、その場合には、撮像エリアと測定エリアとの重なり方は変わってくる。従って、本実施の形態のカメラでは、ズームレンズ211の各位置の画角に対し、撮像エリアと測定エリアとの重なり方の情報をフラッシュメモリ255にデータとして保持しているものとする。
【0029】
<第1の実施形態>
図5A及び図5Bは、第1の実施形態における、上記構成を有するカメラにおける自動焦点検出動作を説明するためのフローチャートである。なお、特に指示しない限り、メインCPU251の制御により動作する。また、本実施の形態では、AFモードとして、以下の3つのモードを切り替えて制御を行う。1つ目はAFモードは、直接測定AFにより合焦した後、撮像信号AFにより合焦状態を保持する「通常AFモード」である。「通常AFモード」は、直接測定AFで大まかに合焦し、撮像信号AFで微調整するというモードである。また、2つ目は、動体に対して直接測定AFを行い続け、高速に動体に合焦し続ける「動体ハイスピードAFモード」である。そして、3つ目は、撮像信号AFで動体に対して一旦合焦を行うモードである「プレ動体AFモード」である。「プレ動体AFモードは」、「動体ハイスピードAFモード」を行う前に動体部分の検知を画像処理的に行う必要があるため、動体部分を検知したあと、撮像信号AFで動体部分に合焦するためのモードである。そして、「動体ハイスピードAFモード」は、「プレ動体AFモード」を経た後に行われる。合焦レンズ位置から動体までの距離を算出し、その距離にあわせて動体と重なる直接測定AFにおける測定エリア(R、C、L)を同定し、そのエリアを使って直接測定AFでAFを行うモードである。
【0030】
自動焦点検出動作が開始されると、まず、AFの状態を表すAFMODEに1を代入する(S11)。なお、AFMODEとしては以下の3つの状態を有し、AFMODE=1であれば直接測定AFを使用して合焦処理を行い、AFMODE=2では撮像信号AFを使用して合焦処理を行う。また、AFMODE=3では合焦が完了した状態を前提として、合焦判定値に変化がないかを監視して、変化があった場合にはAFMODE=1、またはAFMODE=2として合焦処理に移行する処理を行っている。ここで、AFMODE = 1は、直接測定AFを行う動作であって、「動体ハイスピードAFモード」、または「通常AFモード」の合焦度が低い場合に対応する。また、AFMODE = 2は「プレ動体AFモード」、または「通常AFモード」の合焦度が高い時のコントラストAF動作時に対応する。また、AFMODE = 3は どの「動体ハイスピードAFモード」「プレ動体AFモード」「通常AFモード」に関わらず、合焦度が非常に高くてAF動作を行わずフォーカスレンズが動かない場合に対応する。
【0031】
続いて、撮像信号処理回路242による画像信号処理、AF信号処理回路234によるAF信号処理、センサ239の出力に基づく位相差検出処理を同期して行う(S12)。そして、AF信号処理回路234から評価値FVと合焦度を表すIFA信号を、直接測定AF検出モジュール230からは被写体距離に関する情報を示す信号P(L)、P(C)、P(R)を取得する(S13)。また、このときに動体が検出された状態であれば、動体エリアに対する評価値FVとIFA信号も取得する。S14では、直接測定AFに利用するセンサ239の測定エリアを設定する。ここで行われる処理については、詳細に後述する。
【0032】
S15では、動体検出処理回路235が撮像信号処理回路242から受け取った画像信号TVSに対して動体検出処理を行う。この処理では、被写体となる動体が存在するかどうかの判定と、動体が存在する場合には、画面中における動体(動体エリア)の位置及び大きさの算出を行う。そして動体が存在する場合(S16でYES)、S17に進み、動体が存在しない場合(S16でNO)、S27に進む。
【0033】
S17では、「動体ハイスピードAFモード」を示す動体AF_FLAGがONであるかどうかを判定する。動体AF_FLAGがONであった場合、すでに動体ハイスピードAFを行うための測定エリアが選択済みで、動体ハイスピードAFを行っている状態であるので、図5BのS30に進む。一方、動体AF_FLAGがOFFであると判定された場合、S18に移り、動体エリアの合焦度を示すIFA信号が、所定の値IFAdより大きいかどうかの判定を行う。これは動体エリアに対して適切に合焦しているかどうかの判定であり、適切に合焦していないと判断した場合、S25に移る。この場合、動体は検出されているが、動体エリアに対して適切な合焦を行えていない。そのため、撮像信号AFのみで動体に対して一旦合焦を行うモードである「プレ動体AFモード」に移行するために、プレ動体AF_FLAGをONにする(S25)。そして、撮像信号AFを行うためAFMODEに2を代入して(S26)、図5BのS30に進む。つまり、直接測定AFのみで動体にあわせ続ける「動体ハイスピードAFモード」に入りたいが、動体までの距離情報を得ていないため、撮像信号AFでまず動体に対して合焦する「プレ動体AFモード」に入る。
【0034】
一方、動体エリアに対する合焦が適切であると判断された場合(S18でYES)、S19に移り、動体ハイスピードAFを行うための動体エリアに対する測定エリア選択処理を行う。
【0035】
図6は、S19で行われる、本実施の形態における動体エリアに対する測定エリア選択処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【0036】
まず、動体検出処理回路235から得られている動体エリアの位置及び大きさを取得する(S61)。次に、現状で動体に対して合焦が適切になされていることから、現在のズームレンズ211の位置とフォーカスレンズ231の位置とから、カメラから動体までの距離(動体距離)を算出する(S62)。そして、動体距離より、動体距離にある被写体に対して、測定エリアが、撮像エリアに対してどのような配置になっているかを求める(S63)。これは、図4を参照して上述したように、動体距離が近距離(1m)、中距離(3m)、遠距離(100m)の何れであるかによって、測定エリアと撮像エリアとの重なり方が変わるからである。
【0037】
次に、動体エリアに最も重なる測定エリアを選択する(S64)。図7に示す例では、動体距離が1mの場合には、測定エリアLが最も動体エリア700と重なるので、測定エリアLを選択する。動体距離が3mの場合には、測定エリアCが最も動体エリア700と重なるので、測定エリアCを選択する。また、動体距離が100mの場合には、測定エリアRが最も動体エリア700と重なるので、測定エリアRを選択する。そして、動体エリアと選択した測定エリアの重なり具合を、予め保持しておいた閾値と比較する(S65)。重なり具合が閾値以上であれば、S64で選択した測定エリアに対応する測定エリアL、C、Rのいずれかを使用する測定エリアとしてXに代入し、閾値未満であれば、S64で選択した測定エリアに対応する測定エリアを用いないものとして、図5のS19に戻る。
【0038】
以上の処理により、撮像画像中に動体があった場合、動体部分に対して直接測定AFを行うための測定エリアを選択することができる。
【0039】
ついで、図5AのS20では、S19で動体に対して適切な測定エリアの選択が行えたかどうかの判定を行い、選択できた場合には、動体AF_FLAGをONにし(S21)、プレ動体AF_FLAGをOFFにする(S22)。S23では動体ハイスピードAF時には使用しない、AFMODE=2の状態であるかどうかを判定する。もしAFMODEが2の状態ならば1にする(S24)。AFMODEが2でない場合は、動体ハイスピードAFにより合焦を行っている状態(AFMODE=1)か、動体ハイスピードAFによる合焦が済んだ状態(AFMODE=3)なので、AFMODEは変更せずに図5BのS30に進む。
【0040】
また、動体が無いと判定された場合(S16でNO)、検出された動体に対する適切な測定エリアが選択できなかったと判定された場合(S20でNO)には、S27に移る。S27では、動体に関係なく、測定エリアL、C、Rの内、できる限り撮像領域の中央に位置する測定エリアを選択する。図8は図5AのS27で行われる測定エリア選択処理の具体的なアルゴリズムを示すフローチャート、図9は撮像エリア900内に設定された中央エリア901と、測定エリア902との重なり具合を示すクロス率の計算方法を説明する図である。
【0041】
図9において、aは測定エリアCの幅を、bは中央エリア901と測定エリアCが重なっている部分の幅を示す。図9の測定エリアCの、被写体距離に応じたクロス率CC(被写体距離)は次のように表される。
CC(被写体距離)=b/a
【0042】
測定エリアL及び測定エリアRそれぞれの、被写体距離に応じたクロス率LC(被写体距離)、RC(被写体距離)に関しても同様に求めることができる。
【0043】
図10は、クロス率の被写体距離による変化を表したグラフである。本実施の形態のカメラでは、このグラフに対応したパラメータを予め保持している。横軸が被写体距離で、縦軸がクロス率である。1m近辺では測定エリアLのクロス率LCが最大になり、3m近辺で測定エリアCのクロス率CCが最大になり、100m近辺で測定エリアRのクロス率RCが最大になる。また、被写体距離D1を境にして測定エリアLのクロス率LCより測定エリアCのクロス率CCが大きくなり、被写体距離D2を境に測定エリアCのクロス率CCより測定エリアRのクロス率RCの方が大きくなる。
【0044】
以上、図9、図10の説明を踏まえた上で、図8を参照して測定エリア選択処理のアルゴリズムを説明する。
【0045】
まず、S71において測定エリアCの信号P(C)に対応する距離D(C)がD1より大きく、かつ、D2よりも小さいと判断されると、S74へ進んで測定エリアCを選択する。そうでない場合(S71でNO)にはS72へ進む。このように、測定エリアCについてまず確認するのは、測定エリアCを他の測定エリアよりも優先しているからで、これは動画撮影の場合、一般的に撮影者が意図する主要被写体が画面の中央にくることが多いためである。
【0046】
S72では、測定エリアLの信号P(L)に対応する距離D(L)がD1以下かどうかを調べ、D1以下の場合はS75へと進んで、測定エリアLを選択する。一方、S72で信号P(L)に対応する距離D(L)がD1より大きい場合は、ステップS73へと進む。
【0047】
S73では、測定エリアRの信号P(R)に対応する距離D(R)がD2以上かどうかを調べ、D2以上の場合はS76へと進んで、測定エリアRを選択する。一方、S73で信号P(R)に対応する距離D(R)がD2未満の場合は、S74へと進んで、測定エリアCを選択する。ここで、測定エリアCを選択するのは、測定エリアCを他の測定エリアよりも優先するためである。従って、図8のフローチャートでは、S72で測定エリアL、S73で測定エリアRについて判断したが、この順番は逆でもよい。すなわち、S72において測定エリアR、S73において測定エリアLについて判断してもよい。その場合には、測定エリアRの方が測定エリアLよりも優先されることになる。このように測定エリアCが優先されるということは、本実施の形態においては、図4から分かるように、被写体距離3mが優先されるということになる。
【0048】
以上のようにして、動体が検出されなかった場合の測定エリアの選択を終えると、図5AのステップS27に戻る。そして、S28において動体AF_FLAGにOFFを代入して動体ハイスピードAFをOFFにすると共に、プレ動体AF_FLAGにもOFFを代入する。
【0049】
次に、図5BのS30以降の処理について説明する。まず、S30ではAFMODEの値を判断する。カメラを作動させた直後はAFMODEが1なので、S31に進む。S31では、S19またはS27において選択された測定エリアから得られた信号P(X)と、現在のフォーカスレンズ231の位置に基づいて、フォーカスレンズ231のレンズ駆動方向と速度を決定する。つまり、信号P(X)に対応する合焦位置にフォーカスレンズ231の位置が近づく方向に、距離が離れている場合は高速で、距離が近い場合は低速で、というように、方向と速度を決定する。次に、S32では信号P(X)に対応する合焦位置と現在のフォーカスレンズ231の位置が一致したかどうかの合焦判断を行う。合焦と判断した場合、フォーカスレンズ231の駆動を停止すると決定する(S33)。そして、動体AF_FLAGがONであれば(S34でYES)、AFMODEに3を(S35)、動体AF_FLAGがOFFであれば(S34でNO)、AFMODEに2を代入する(S36)。これは、本実施の形態においては、動体ハイスピードAFを行わない通常AFモードであれば、直接測定AFでの合焦の後に撮像信号AFでの合焦を行うが、動体ハイスピードAFを行う場合は常に動体に直接測定AFでの合焦を行うためである。この後、S49に進んでモータを停止する。また、S32で合焦ではないと判断された場合は、S49に進んで、S31で決定された方向に、決定された速度でフォーカスレンズ231を駆動する。S49の後は、図5AのS12に戻り、以後、上述した処理を撮像素子の読み出し周期(撮像信号処理周期)に同期して繰り返す。
【0050】
また、S30でAFMODEが2の場合には、S37へと分岐する。S37では、現状でプレ動体AFモードであるかどうかの判定を行うため、プレ動体AF_FLAGをチェックする。プレ動体AFモードでないと判断された場合、S38に進む。S38では、S13で取得した評価値FVが、前回取得した評価値FVと比較して増加しているか減少しているかを判断する。なお、アルゴリズム中には記述していないが、前回の評価値FVは例えばRAM254に保持しているものとする。評価値FVが増加している場合はS49に進み、増加していない場合はS39へ進む。S39では、フォーカスレンズ231の駆動方向を逆転すると決定し、S40で評価値FVのピークを通過した後の減少かどうかを判別する。S40でピークを通過していないと判断した場合はS49へ進み、ピークを通過したと判断した場合はS41でAFMODEに3を代入してから、S49へ進む。
【0051】
また、S37において、現在プレ動体AFモードであると判定された場合には、S42に進み、動体エリア内の評価値FVが前回の評価値FVよりも増加したかを判断し、増加していなければ、S39に進んで上述した処理を行う。増加していればS49に進む。このように動体領域のみの評価値FVを判断に用いることにより、撮像信号AFで動体領域部分に対する合焦を行うこととなる。
【0052】
S30でAFMODEが3と判定した場合はS43へ進み、評価値FVのピーク位置へとフォーカスレンズ231を戻して停止する(合焦と判断)。S44では、評価値FVがピークとなるフォーカスレンズ231の位置(合焦位置)での評価値FVのレベルからどのくらい変化したかを監視する。並行して信号P(X)に対応する合焦位置から変化したかどうかの監視も行う。変化していない場合はS49へ進み、合焦状態を維持する。一方、変化した場合は、S45でIFA信号が合焦度の閾値IFAthよりも小さいかどうかの判別(大ぼけか、小ぼけかの判断)を行い、小さい場合は、大きくぼけていると判断して、S46に進む。そしてS46においてAFMODEに1を代入してS49へ進む(AFMODE1からの再起動)。一方、S45でIFA信号がIFAth以上の場合はぼけ量が小さいと判断してS47に移り、動体AF_FLAGがONであればS46に移行する。OFFならばS48へ移行してAFMODEに2を代入してから、S49に進む。この場合、AFMODE2からの再起動となる。
【0053】
図11は、第1の実施形態における、図5Aのフローチャート中、S14における直接測定AFに利用するセンサ239の測定エリアの設定処理を示すフローチャートである。
【0054】
ここで、第1の実施形態で想定する動作を、図12を用いて説明する。例えば図4に示すような中距離(例えば3m)に動体があるものとする。この場合、図12(a)で撮像エリア503の領域1801から領域1802に動く動作は、次の動作に相当する。即ち、図12(b)で示すように、測定エリアCに対応するセンサ239の測定エリアCで正しく測距できる状態から、測定エリアRに対応するセンサ239の測定エリアRで正しく測距できる状態に移行することに相当する。本第1の実施形態では、このような場合に適切に測定エリアを変更することを目的とする。
【0055】
まず、図11のS101において、現在、動体AF_FLAGがONになっているかどうかを判定する。ONの場合はS102に移り、OFFの場合はそのまま処理を終了して、図5AのS15に進む。
【0056】
S102では、動体AFを行っている動体エリアの測距結果である、P(X)(Xは測定エリアを表す。)の時間的な履歴を見て、急激に変化していないかどうかを判定する。ここでは予め変化判定用の閾値を内部で保持しているものとする。ここで急激な変化があった場合はS103に移り、変化がなかった場合には処理を終了して、図5AのS15に進む。S103では現在測定に使用している測定エリアXの変化前の測距データP(X)と、測定エリアX以外の測定エリアYの現在の測距データP(Y)との差分の絶対値を計算し、この値が閾値Pthより小さいかどうかを判定する。ここで小さいと判定された場合、測定エリアXで測距してきた動体が測定エリアYに移った可能性が高いため、測定エリアをYに変更して(S104)、図5Aの処理に戻る。
【0057】
S103で大きいと判定された場合は、S105に移り、測定エリアX及びY以外の測定エリアZについて、同様の判定処理を行う。S105にて、現在測定に使用している測定エリアXの変化前の測距データP(X)と、測定エリアZの現在の測距データP(Z)との差分の絶対値を計算し、この値が閾値Pthより小さいかどうかを判定する。ここで小さいと判定された場合は測定エリアをZに変更する(S106)。S105で大きいと判定された場合、動体を検知できるエリアを見失ったと判断し、S107において、動体AF_FLAG、プレ動体AF_FLAGともにOFFを代入し、動体ハイスピードAFモードから抜け、通常モードで動作を行うことになる。
【0058】
以上の通り本第1の実施形態によれば、撮像画面に対して平行に移動する動体に対しても、直接測定AF方式で高速に合焦を行うことができる。また、動体を測距できる測定エリアを見失った場合においても、通常AFモードに戻り、適切な処理に移ることができる。
【0059】
<第2の実施形態>
図13は、第2の実施形態における、図5Aのフローチャート中、S14における直接測定AFに利用するセンサ239の測定エリアの設定処理を示すフローチャートである。この処理は、上述した第1の実施形態で説明した図11の処理の代わりに行われる。これ以外は第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
本第2の実施形態で想定する動作を、図14及び図15を用いて説明する。なお、図4と同様の構成には同じ参照番号を付している。ここでは、図14で示すように、動体がカメラに対して垂直に近づいてくる場合を考える。例えば、中距離(3m)、近距離(1m)の距離で、動体が画面中央に位置するように撮像される場合を想定すると、図15に示すように、撮像画面上では動体が同じ位置で大きさのみが変わっているように見える。しかしながら、図15のように、適切な測定エリアは異なっていることがわかる。図15(a)に示すように3mでは測定エリアCが適切であり、図15(b)に示すように1mでは測定エリアLが適切である。本第2の実施形態では、このような場合に適切に測定エリアに対応する、センサ239の測定エリアを設定することを目的とする。
【0061】
先ず、図13のS201において、現在、動体AF_FLAGがONになっているかどうかを判定する。ONの場合はS202に移り、OFFの場合はそのまま処理を終了して、図5AのS15に進む。
【0062】
S202では、現在の測定エリアXでの測定距離データP(X)の測定履歴より、動体の撮像画面に対する垂直な方向の速度を求める。次にS203において、現在の測定エリア、現在の被写体との距離、そして被写体のスピードより、動体に対して適切な測定エリアが、今後どのように変化するかを予測する。
【0063】
例えば測定エリアL、C、Rから信号P(X)に対応する被写体距離が以下の1)→2)→3)のように時系列で変化する場合を考える。
1) L:10m、C:3m、R:7m
2) L:10m、C:2.5m、R:7m
3) L:2m、C:10m、R:7m
【0064】
この場合、動体が1)、2)において接近していることを示し、3)で示す時間において、適切なエリアがCからLに移行することが予測できる。このように、動体の撮像画面に対する垂直方向の移動スピードから、予め適切な測定エリアを予測することができる。
【0065】
この場合、動体のスピードが一定速運動、減速運動、加速運動をしている場合、また、ズームレンズの位置による画角の違いに応じて適切な計算式で算出してもよいし、ルックアップテーブルを参照する形にしても良い。このように、S203において動体に対する適切な測定エリアの予測を行うものとする。
【0066】
続くS204においては、現在の時間と過去のS203において算出された予測から、測定エリアを変更するべきかどうかの判定を行う。過去のS203で算出された測定エリアと現在の予測された測定エリアが異なる場合はS205に進み、測定エリアXをS203で求めた適切な測定エリアに変更して、処理を終了し、図5AのS14に戻る。一方、S204で同じであると判定された場合は、測定エリアの変更は行わずに図5AのS14に戻る。
【0067】
上記の通り、本第2の実施形態によれば、撮像画面に対して垂直に移動する動体に対しても、直接測定AF方式で高速に合焦を行うことができる。
【0068】
なお、上述した第1の実施形態と第2の実施形態は、組み合わせて用いてもよい。
【0069】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、動体までの距離を測定する測距領域として、1つの測定エリアを割り当てる場合について説明したが、1以上の測定エリアであれば良く、2つ以上のエリアを割り当てるようにしても良い。画角によっては、図16に示すように撮像エリアに対して、直接測定AFの測定エリアが2302のように配置される場合がある。この場合、動体エリア2301に対して測定エリア2302のC、Rの両エリアを使用した方が精度の良い測定が可能となる。
【0070】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、直接測定AF検出モジュール230のセンサ239の測定エリアをL、C、Rの3つに分けたが、L、C、Rそれぞれの持つ画素センサを自由に組み合わせて測定エリアを作る構成としても良い。例えば、図17に示すように、測定エリア2502のL、C、Rのそれぞれのエリアは、それぞれ40の画素センサで構成されているものとする。この配置に対し、動体エリア2501が配置された場合、動体エリア2501に過不足なく画素を割り当ててセンサエリアを構成したほうが精度の良い測定が可能となる。図17の例では、「エリアCの10〜40の画素と、エリアRの1〜15までの画素」といった画素選択を行い、その画素群を新たに動体に対する適切な測定エリアとする。
【0071】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、合焦対象の動体が1つの場合を想定したが、複数動体があった場合、大きさ、画面上の位置などで優先順位をつけ、一つを選ぶようにして実施することも可能である。
【0072】
また、上述した第1及び第2の実施形態では動体検知を常に行って、動いているものに対してのみ直接測定AFを行う形になっている。これに対し、検知した動体部分が時間に対して動きを伴わなくなっても、既に検知している動体の輝度情報より現在取得している画像の中で輝度の相関の高い部分を動体と認識し、その部分に対して直接測定AFを行うようにしても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段から得られた撮像信号の画像に含まれる動体を検出する動体検出手段と、
複数の測定エリアを含み、各測定エリアに含まれる被写体までの距離に関する情報を予め設定された周期で取得する、前記撮像手段と異なる位置に配置された取得手段と、
前記複数の測定エリアの内、前記動体に対応した1以上の測定エリアを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された測定エリアから得られた前記動体までの距離に関する情報に基づいて、前記動体が合焦状態となるようにフォーカスレンズを駆動する制御信号を生成する生成手段とを有し、
前記選択手段は、選択した測定エリアから得られた距離に関する情報と、次の周期で各測定エリアから得られた距離に関する情報とがそれぞれ示す距離の差に基づいて、測定エリアを選択し直すことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
撮像手段から得られた撮像信号の画像に含まれる動体を検出する動体検出手段と、
複数の測定エリアを含み、各測定エリアに含まれる被写体までの距離に関する情報を予め設定された周期で取得する、前記撮像手段と異なる位置に配置された取得手段と、
前記複数の測定エリアの内、前記動体に対応した1以上の測定エリアを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された測定エリアから得られた前記動体までの距離に関する情報に基づいて、前記動体が合焦状態となるようにフォーカスレンズを駆動する制御信号を生成する生成手段とを有し、
前記選択手段は、前記選択した測定エリアから得られた距離に関する情報と、前記選択した測定エリアから次の周期で得られる距離に関する情報に基づいて、更に次の周期における前記動体までの距離を予測し、該予測した動体までの距離に基づいて、測定エリアを選択し直すことを特徴とする焦点検出装置。
【請求項3】
前記撮像手段から得られた撮像信号から、合焦度を算出する算出手段を更に有し、
前記生成手段は、前記測定エリアが選択される前に、前記合焦度に基づいて前記制御信号を生成し、
前記選択手段は、測定エリアが選択されていない状態から測定エリアを選択する際に、前記合焦度に基づいて合焦状態となったフォーカスレンズの位置と、前記動体の位置とに基づいて測定エリアを選択することを特徴とする請求項1または2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記選択手段が前記測定エリアを選択し直せなかった場合、前記生成手段は前記合焦度に基づいて前記制御信号を生成することを特徴とする請求項3に記載の焦点検出装置。
【請求項5】
動体検出手段が、撮像手段から得られた撮像信号の画像に含まれる動体を検出する動体検出ステップと、
取得手段が、複数の測定エリアを含む、前記撮像手段と異なる位置に配置された取得手段により、各測定エリアに含まれる被写体までの距離に関する情報を予め設定された周期で取得する取得ステップと、
選択手段が、前記複数の測定エリアの内、前記動体に対応した1以上の測定エリアを選択する選択ステップと、
生成手段が、前記選択ステップで選択された測定エリアから得られた前記動体までの距離に関する情報に基づいて、前記動体が合焦状態となるようにフォーカスレンズを駆動する制御信号を生成する生成ステップと、
前記選択手段が、前記選択ステップで選択された測定エリアから得られた距離に関する情報と、次の周期で各測定エリアから得られた距離に関する情報とがそれぞれ示す距離の差に基づいて、測定エリアを選択し直す変更ステップと
を有することを特徴とする焦点検出方法。
【請求項6】
動体検出手段が、撮像手段から得られた撮像信号の画像に含まれる動体を検出する動体検出ステップと、
取得手段が、複数の測定エリアを含む、前記撮像手段と異なる位置に配置された取得手段により、各測定エリアに含まれる被写体までの距離に関する情報を予め設定された周期で取得する取得ステップと、
選択手段が、前記複数の測定エリアの内、前記動体に対応した1以上の測定エリアを選択する選択ステップと、
生成手段が、前記選択ステップで選択された測定エリアから得られた前記動体までの距離に関する情報に基づいて、前記動体が合焦状態となるようにフォーカスレンズを駆動する制御信号を生成する生成ステップと、
前記選択手段が、前記選択ステップで選択された測定エリアから得られた距離に関する情報と、前記選択された測定エリアから次の周期で得られる距離に関する情報に基づいて、更に次の周期における前記動体までの距離を予測する予測ステップと、
前記選択手段が、該予測した動体までの距離に基づいて、測定エリアを選択し直す変更ステップと
を有することを特徴とする焦点検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−65098(P2011−65098A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218000(P2009−218000)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】