説明

焦点検出装置

【課題】被写体の明るさに関係なく、焦点検出用画像信号の出力を安定させる。
【解決手段】複数のラインセンサ、複数のモニタセンサを配置したAFモジュールにおいて、各モニタセンサを複数の微小センサによって構成し、複数のAGC検出部を設ける。そして、各微小センサからのモニタ信号と閾値とを複数の微小センサに応じた複数のAGC検出部において比較する。AGC検出部200にメモリ容量206を設け、閾値電圧をメモリ容量206に保持させる。ラインセンサの電荷蓄積開始から所定時間に到達すると、新たな閾値電圧を設定し、メモリ容量206に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフ型カメラなどの撮影装置に搭載される焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフ型カメラでは、自動焦点調節(AF)機構として位相差方式の焦点検出装置が搭載されている。焦点検出装置の被写体像が投影されるエリアには、ラインセンサをそれぞれ並列させた複数のラインセンサ群が2つ1組となって2次元的に配置されている。各ラインセンサは、複数のフォトダイオードを並列させた配置構成であり、各フォトダイオードに生じる信号電荷は画素信号として読み出される。
【0003】
通常、ラインセンサは電荷蓄積型センサであり、ラインセンサの傍に配置されるモニタセンサによって電荷蓄積時間(積分時間)が調整される(例えば、特許文献1、2参照)。フォトダイオードなどの光電変換素子を備えたモニタセンサは、モニタ対象となっているフォトダイオードの光強度(光量)をリアルタイムで検出する。
【0004】
モニタセンサから出力されるモニタ信号は、AGC回路などにおいて閾値と比較される。そして、モニタ信号が閾値を超えると、対応するラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させる。これにより、適正な出力範囲でラインセンサのフォトダイオードから画素信号が出力される。
【0005】
ラインセンサの各フォトダイオードの受ける光量は被写体の明るさ分布によって異なるため、ラインセンサの電荷蓄積時間はそれぞれ独立して制御される。そのため、先に電荷蓄積の終了したラインセンサでは、一時的にキャパシタ等のメモリ部に蓄積電荷が格納される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、一連の画素信号が被写体像の画像信号として出力される。この画像信号に基づいてデフォーカス量を求める演算処理が行われる。
【0006】
被写体輝度が低く、所定時間過ぎてもモニタ信号が閾値を超えない場合、電荷蓄積を強制的に終了させ、画素信号にゲインをかけることによってラインセンサの出力レベルを一定レベルに保つ(特許文献3参照)。そこでは、最大許容できる電荷蓄積時間(最大積分時間)までに電荷蓄積席が終了しない場合、閾値を段階的に下げながら、電荷蓄積終了時点でのモニタ信号と閾値とを比較する。
【0007】
積分終了時点でのモニタ信号レベルに相当する閾値が決定されると、その閾値に合わせてゲイン値を設定し、ラインセンサから読み出す画素信号を増幅処理する。例えば、最大積分時間経過時のモニタ信号の出力レベルが、設定閾値の1/4〜1/2の範囲に相当する出力レベルである場合、対応するラインセンサの画素信号が2倍ゲインされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−238771号公報
【特許文献2】特開2004−272238号公報
【特許文献3】特開2006−145792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
各モニタセンサの出力特性、暗電流特性などは個々のモニタセンサで異なり、また、設定される閾値の電圧レベルが低いと、閾値の信号レベルが安定しない。そのため、被写体輝度が低く、モニタセンサから出力されるモニタ信号の出力レベルが低い場合、モニタ信号と閾値との比較を精度よく行うことが難しい。
【0010】
しかしながら、すべてのモニタセンサに対して同一の閾値を設定するため、モニタ信号と閾値とを比較するAGC回路などにおいて、細かな信号レベル調整(補正)を行える回路構成になっておらず、適正なゲインによって画素信号を安定出力させることができない。
【0011】
したがって、モニタセンサを使用する焦点検出装置においては、被写体輝度が低くても、各モニタセンサのモニタ信号と閾値とを正確に検知、比較することが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の焦点検出装置は、焦点検出装置は一眼レフ型カメラなどの撮影装置に適用可能であって、被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、前記複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、それぞれ対応するモニタセンサから出力されるモニタ信号の信号レベルと閾値とを比較し、モニタ信号が閾値を超えると、対応するラインセンサの電荷蓄積を終了させるための信号を出力する複数の電荷蓄積終了検出部とを備える。
【0013】
電荷蓄積終了検出部は、例えば比較器を有するAGC回路などによって構成される。また、ラインセンサ全体をカバーするモニタセンサを配置させる場合、パターンの輝度変化を細かく検出するため、それぞれ光電変換素子と画素信号読み出し回路を有し、対応するラインセンサの所定領域をモニタリングする複数の微小センサ部によって各モニタセンサを構成してもよい。
【0014】
本発明では、モニタセンサの数に合わせて設けられる複数の電荷蓄積終了検出部各々が、閾値を格納するメモリ(キャパシタなど)と、モニタ信号と前記メモリに格納された閾値とを比較する比較器とを備える。電荷蓄積終了検出部内部で閾値が電圧値として保持されるため、レベルの安定した閾値とモニタ信号とが常に比較される。また、オフセット、補正処理などを回路特性に合わせて確実に行うことが可能であり、閾値とモニタ信号の正確な比較に基づいた電荷蓄積時間調整が行われる。
【0015】
さらに、各モニタセンサのモニタ信号に対して別々の閾値が設定可能であるため、測距ゾーンごとに異なる閾値設定など、電荷蓄積時間調整をラインセンサ毎、あるいはラインセンサの所定領域毎に制御することが可能であり、様々な被写体輝度パターンに対しても電荷蓄積終了タイミングが精度よく検出される。
【0016】
画素信号のゲイン出力を一定にするためには、電荷蓄積開始から所定時間(ここでは、モニタレベル検知時間という)に到達すると、その時のモニタ信号の出力レベルに基づき、電荷蓄積を許容する時間の到達前に各ラインセンサの電荷蓄積終了を実現させる閾値(以下、適正閾値という)を設定するのが望ましい。この場合、ラインセンサ電荷蓄積の間制御回路などからのコマンドに従ってモニタ信号と閾値との比較を一度停止し、前記メモリに新たな閾値を格納(書き換え)可能なように構成するのがよい。
【0017】
例えば、電荷蓄積終了検出部にトランジスタゲートなどによって構成する回路切替手段を設け、前記メモリに格納された閾値が前記比較器に入力される状態と、閾値を前記メモリに格納可能な状態とを切り替える。電荷蓄積開始から所定時間経過後に回路の切替を行うことが可能となり、新たな閾値をメモリに格納する間、比較器の出力が停止される。
【0018】
迅速な閾値設定を簡易な回路構成によって実現するため、電荷蓄積終了検出部に閾値設定部を設けるのが好ましく、段階的に値の異なる一連の閾値の中から閾値を選択的に設定するのがよい。前記閾値設定部によって設定された閾値が前記メモリに格納され、比較器に入力される。
【0019】
閾値電圧設定部を、段階的に値の異なる一連の抵抗値を閾値として選択的に出力可能なタップによって構成すると、タップ設定の閾値と実際に比較器に入力される閾値との間にずれが生じ、特に、閾値が小さくて信号レベルが低い場合にずれが顕著になる。そのため、電荷蓄積終了検出部に閾値オフセット調整部を設け、前記タップから出力される閾値と前記メモリに格納される閾値との間のオフセットを補正するのがよい。
【0020】
複数のモニタセンサの黒レベルをそれぞれ検知する複数のOB(Optical Black)モニタセンサを設けた場合、対応するOBモニタセンサから出力されるOBモニタ信号と、対応するモニタセンサから出力されるモニタ信号との間にオフセットが生じる。そのため、各電荷蓄積終了検出部のメモリが、差分を保持可能であるのが望ましい。例えば、タップなどのスイッチによって構成され、電荷蓄積開始前に差分値を比較器からの出力反転によって判断させるモニタオフセット調整部を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0021】
このように本発明によれば、被写体の明るさに関係なく、焦点検出用画像信号の出力を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施形態であるデジタルカメラの模式的内部構成図である。
【図2】焦点検出部の基板配置を示した図である。
【図3】焦点検出部のブロック図である。
【図4】ラインセンサ、モニタセンサ、AGC回路の接続関係を示した図である。
【図5】ラインセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。
【図6】図5の画素信号読み出し回路の模式的な断面図である。
【図7】モニタセンサの電気回路図である。
【図8】電荷蓄積期間中のモニタ信号と閾値との関係を示した図である。
【図9】モニタセンサから出力されるモニタ信号の出力レベルと、ゲイン調整される画素信号の出力レベルとの関係を示した図である。
【図10】AGC検出部の内部構成を概略的に示した回路図である。
【図11】ACG検出部の電気回路図である。
【図12】AGC検出部の動作を示したタイミングチャートである。
【図13】設定される閾値電圧と実際に出力される閾値電圧との非線形関係を示した図である。
【図14】システムコントロール回路によって実行されるモニタ信号オフセット調整処理を示したフローチャートである。
【図15】システムコントロール回路によって実行される焦点検出時の電荷蓄積時間制御処理を示したフローチャートである。
【図16】ラインセンサ群に規定される測距ゾーンを示した図である。
【図17】列回路の電気回路図である。
【図18】画素信号読み出し動作のタイミングチャートである。
【図19】第2の実施形態における電荷蓄積期間中のモニタ信号と閾値電圧との関係を示した図である。
【図20】第2の実施形態におけるモニタ信号とゲイン調整される画素信号の出力レベルとの関係を示した図である。
【図21】第2の実施形態における電荷蓄積時間制御処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本実施形態について説明する。
【0024】
図1は、第1の実施形態であるデジタルカメラの模式的内部構成図である。
【0025】
一眼レフ型デジタルカメラ10は、本体12と、本体12に着脱自在な交換レンズ14とを備え、本体12内部には、ペンタゴナルダハプリズム(以下、ペンタプリズムという)16、クイックリターンミラー18、フォーカルプレーンシャッタ20、CCDなどの撮像素子22が設けられている。
【0026】
ROM36、RAM37、CPU38を含むシステムコントロール回路30は、カメラ10の撮影動作を制御し、周辺制御回路32、表示部33、AFモジュール24、測光IC23、EEPROM39等に制御信号を出力する。周辺制御回路32は、フォーカルプレーンシャッタ20、絞り(図示せず)、撮像素子22など露光機構を制御し、また、レンズメモリ13からレンズ情報を取得する。
【0027】
電源ボタン(図示せず)の操作によってカメラ10がON状態になると、撮影可能な撮影モードに設定される。撮影光学系15を通った光は、クイックリターンミラー18によってペンタプリズム16の方向へ導かれ、被写体像がピント板17に形成される。ユーザーは、ファインダ窓(図示せず)を通して被写体像を視認する。撮影のためレリーズボタン(図示せず)が半押しされると、ペンタプリズム16の傍に配置される測光IC23が、TTL測光方式に従い、被写体の明るさを検出する。また、クイックリターンミラー18の下方に配置されるAFモジュール24が、位相差方式に従って合焦状態を検出する。
【0028】
撮影光学系15を通った光の一部は、クイックリターンミラー18を透過し、サブミラー19によってAFモジュール24に導かれる。AFモジュール24は、コンデンサーレンズ26、セパレータレンズ27、視野マスク29、焦点検出部40を備え、撮像面(撮像素子22の受光面)と等価な位置(共役面)に配置された視野マスク29によって分割された被写体像は、セパレータレンズ27によって焦点検出部40に再結像される。焦点検出部40は、対になって投影された被写体像の画像信号を出力する。
【0029】
システムコントロール回路30は、AFモジュール24から送られてくる画像信号に基づき、デフォーカス量および焦点調節を行う。すなわち、AFモジュール24によって検出されるデフォーカス量およびピントずれの方向に従い、AFモータドライバ34へ制御信号を出力する。AFモータ35は、AFモータドライバ34からの駆動信号に基づき、撮影光学系15内のフォーカシングレンズをシフトさせる。合焦状態に達するまで一連の焦点検出、レンズ駆動が行われる。
【0030】
レリーズ半押し状態において焦点調整が行われ、被写体の明るさが検出されると、システムコントロール回路30は、露出値、すなわちシャッタースピードおよび絞り値を演算、決定する。そしてレリーズボタンが全押しされると、一連の記録動作処理が実行される。すなわち、クイックリターンミラー18、絞り、およびシャッタ20の動作によって被写体像が撮像素子22に形成され、1フレーム分の画像信号が撮像素子22から信号処理回路25へ出力される。信号処理回路25ではデジタル画像データが生成され、画像データがEEPROM39へ格納される。
【0031】
図2は、焦点検出部の基板配置を示した図である。
【0032】
焦点検出部40は、CMOS型ラインセンサを複数配設させた一体型基板によって構成される。焦点検出部40の表面には、被写体像の縦方向に沿った基板上下方向にラインセンサ群EA1、EA2が設置され、被写体像の横方向に沿った基板左右方向にラインセンサ群EB1、EB2が設置されている。ラインセンサ群EA1、EA2、およびEBA1、EB2はそれぞれ基板中心部を挟んで互いに対向する。
【0033】
視野マスク29、コンデンサーレンズ26、セパレータレンズ27を含む結像光学系は、瞳分割によって2組の被写体像対を形成し、ラインセンサ群EA1、EA2の配置された投影領域、およびラインセンサ群EB1、EB2の配置された投影領域に対し、一対の被写体像をそれぞれ結像させる。
【0034】
各ラインセンサ群は、所定間隔で左右もしくは上下方向に並ぶ複数のラインセンサによって構成され、ラインセンサ群EA1、EA2のラインセンサは左右方向に沿って並列し、ラインセンサ群EB1、EB2のラインセンサは上下方向に沿って並列している。各ラインセンサは、複数のフォトダイオード、画素信号読み出し回路(ともにここでは図示せず)を備える。
【0035】
ラインセンサ群EA1は、9つのラインセンサLSA1〜LSA9によって構成されており、基準ラインセンサとして機能する。一方、ラインセンサ群EA2を構成するラインセンサLSA11〜LSA19は、参照ラインセンサとして機能する。同様に、ラインセンサ群EB1を構成するラインセンサLSB1〜LSB5は基準センサ、ラインセンサ群EB2を構成するラインセンサLSB6〜LSB10は参照ラインセンサとして機能する。
【0036】
ラインセンサ群EA1のLSA1〜LSA9、ラインセンサ群EB1のラインセンサLSB1〜LSB5の側には、電荷転送用の垂直シフトレジスタVSR1〜VSR9、VSS1〜VSS5が設置されており、ラインセンサ群EA2、EB2の各ラインセンサに対しても、垂直シフトレジスタVSR11〜VSR19、VSS6〜VSS10が同様に配置されている。
【0037】
ラインセンサ群EA1、EB1には、一連のモニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5がそれぞれ対応するラインセンサの側に配置されている。モニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5は、複数の微小センサをラインセンサに沿って並列させた構成であり、対応するラインセンサの領域を複数のエリアに分割してモニタリングする。
【0038】
モニタセンサLMA1〜LMA9は、それぞれラインセンサLSA1〜LSA9の側面に沿ってライン状に配置され、対応するラインセンサの受ける光量(光強度)と同じ光量を受け、光量に応じた信号をモニタ信号として出力する。モニタセンサLMB1〜LMB5も、ラインセンサLSB1〜LSB5の受光量をモニタリングするためモニタ信号を出力する。
【0039】
また、ラインセンサ群EA1、EB1の各モニタセンサの傍には、暗電流成分を検知するOB(Optical Black)モニタセンサOBA1〜OBA9、OBB1〜OBB5が配置されており、検出される暗電流成分に基づいてモニタセンサから出力されるモニタ信号が補正される。
【0040】
AGC回路42は、各モニタセンサから逐次出力されるモニタ信号値を閾値と比較し、オートゲインコントロールによってラインセンサの積分時間を制御する。閾値は、焦点検出に必要な光量が対象となるラインセンサに入射しているか否かを判断する指標値であり、ラインセンサのオーバフローを防ぐように設定されている。
【0041】
モニタ信号値が閾値を超えると、積分終了を示すモニタ信号が論理回路44に送られる。論理回路44は、対応するラインセンサ、すなわちモニタリング対象となっているラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させるための制御信号を出力する。ラインセンサに制御信号が送信されると、電荷蓄積が終了するとともに、一時的に電荷がラインセンサ内で格納される。
【0042】
ラインセンサの電荷蓄積時間は、ライセンサのモニタリング対象エリア毎に独立制御されており、被写体の光強度分布に応じて各ラインセンサの電荷蓄積時間が調整される。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、各ラインセンサの垂直シフトレジスタ、および電荷転送機能をもつ列回路45、46の水平シフトレジスタによって画素信号が順番に読み出されていく。これにより、各ラインセンサの画素信号読み出し回路(ここでは図示せず)において蓄積電荷が電圧変換、増幅処理され、画素信号が出力される。
【0043】
各ラインセンサから読み出された一連の画素信号は、列回路45、46においてノイズ除去処理、増幅処理される。そして、一連の画素信号は、被写体像の画像信号としてシステムコントロール回路30へ送られる。システムコントロール回路30では、対になっているラインセンサ群の画像信号に基づいて位相差が検出され、デフォーカス量が求められる。
【0044】
図3は、焦点検出部のブロック図である。図4は、ラインセンサ、モニタセンサ、AGC回路の接続関係を示した図である。図3、図4を用いて、ラインセンサの電荷蓄積時間(積分時間)の制御について説明する。
【0045】
なお、図3では、垂直方向に沿って延びるラインセンサ対LSA5、LSA15、水平方向に沿って延びるラインセンサ対LSB3、LSB8と、それに応じたモニタセンサLMA5およびLMB3のみを図示し、それ以外のラインセンサ、モニタセンサは省略している。また、図4では、ラインセンサの電荷蓄積終了タイミングをわかりやすく説明のため、図2に示す実際の配置とは異なる配置でラインセンサ、モニタセンサを図示している。
【0046】
ラインセンサLSA5は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路PSA5を挟んで向かい合うフォトダイオード対を上下方向に沿って並べた構成であり、ラインセンサ用画素信号読み出し回路によって各フォトダイオードから電荷が読み出される。他のラインセンサLSA15、LSB3、LSB8も同様に画素信号読み出し回路PSA15、PSB3、PSB8を挟んで向かい合うフォトダイオード対を並列させた構成になっている。
【0047】
ラインセンサLSA5の傍に配置されたモニタセンサLMA5は、フォトダイオードを有する微小センサを垂直方向に沿って複数個並べた構成であり、モニタセンサ用画素信号読み出し回路(ここでは図示せず)によって蓄積電荷が読み出される。ラインセンサLSB3の傍に配置されたモニタセンサLSB3も同様の構成になっている。
【0048】
AGC回路42HSは、モニタセンサLMB3から出力されるモニタ信号の電圧レベルが閾値を超えるか否かを検知し、閾値に達すると電荷蓄積(積分)終了を知らせるモニタ信号を論理回路44に出力する。モニタリング対象となっているラインセンサLSB3の電荷蓄積時間(積分時間)は、AGC回路42HSによって調整される。AGC回路42HSの閾値は、ラインセンサLSB3のダイナミックレンジを考慮した値に設定されており、論理回路44からのVMS信号によって設定される。モニタセンサLMA5をモニタリングするAGC回路42V5も同様の構成である。
【0049】
図4では、1つのラインセンサLSB3を図示している。対向位置にあるモニタセンサLMB3は、それぞれフォトダイオードを有する複数の微小センサから構成されており、ここでは、便宜上3つの微小センサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9から構成されるものとする。
【0050】
上述したように、ラインセンサLSB3は、多数のフォトダイオード対を配列させた構成であり、モニタセンサLMB3の微小センサM1〜M9は、それぞれ割り当てられた所定数のフォトダイオードの領域についてモニタリングを行っている。
【0051】
ここでは、3つの測距ゾーンSZ1〜SZ3がラインセンサLSB3に対して規定されており、AGC回路42HSは、モニタセンサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9とそれぞれ接続されるモニタセンサ群42H31、42H32、42H33から構成されており、測距ゾーンSZ1〜SZ3の積分時間をそれぞれ調整する。モニタセンサ群42H31、42H32、42H33は、微小センサM1〜M3、M4〜M6、M7〜M9からの出力信号をそれぞれ検知するため、測距ゾーンSZ1〜SZ3に合わせて3つのモニタセンサ検出部AGC1〜AGC3、AGC4〜AGC6、AGC7〜AGC9をそれぞれ備えている。
【0052】
ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1を例に挙げると、瞳分割による一対の被写体像が焦点検出部40に投影されると、ラインセンサLSA1の測距ゾーンSZ1およびモニタセンサM1〜M3に電荷が蓄積される。3つの微小センサM1〜M3に入力される光量は、被写体の明るさ分布によってそれぞれ異なるため、モニタセンサ検出部AGC1〜AGC3が積分終了を知らせるモニタ信号を出力するタイミングは異なる。
【0053】
例えば、モニタセンサM1〜M3の微小センサM1に強い光が入射する一方で微小センサM2、M3に入射する光が弱い場合、検出部AGC1に入力するモニタ信号の電圧値が検出部AG2、AG3よりも先に閾値を超え、電荷蓄積終了を知らせるモニタ信号を論理回路44へ出力する。
【0054】
論理回路44は、検出部AGC1から終了信号を受けると、ラインセンサLSB3の測距ゾーンの電荷蓄積を終了させる。ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1の各フォトダイオードに蓄積された電荷は、電荷蓄積容量(ここでは図示せず)に一時的に格納される。検出部AGC2、あるいは検出部AGC3が最も早く積分終了のモニタ信号を出力した場合も、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ1の電荷蓄積が同様に終了する。
【0055】
このようなラインセンサの電荷蓄積が、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ2、SZ3についても、同じように行われる。すなわち、微小センサM4〜M6、M7〜M9のいずれかにおいて閾値を超えるモニタ信号が出力されると、ラインセンサLSB3の測距ゾーンSZ2、SZ3の電荷蓄積をその時点で終了する。
【0056】
すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると(あるいはその前に所定時間が経過すると)、各ラインセンサから画素信号が出力される。上下方向にあるラインセンサ群EA1、EA2(図2参照)から出力される画素信号は、列回路46に転送される(図2、3参照)。一方、左右方向にあるラインセンサ群EB1、EB2から出力される画素信号は、列回路45へ転送される。
【0057】
列回路45、46においては、出力された画素信号に対してノイズ除去、増幅処理が画素信号に対して行われる。これにより、ラインセンサ群EA1、EA2に対する一対の被写体像に応じた画像信号は、オフセット回路64においてオフセットされた後、出力切替回路66を通じてシステムコントロール回路30へ出力される。一方、ラインセンサ群EB1、EB2に対する一対の被写体像に応じた画像信号は、オフセット回路62においてオフセットされた後、出力切替回路68を通じてシステムコントロール回路30へ出力される。
【0058】
システムコントロール回路30は、論理回路44の動作を制御するとともに、各AGC回路からのモニタ信号を選択的に検知する。モニタ出力選択回路56では、システムコントロール回路30により指定されたモニタ信号が出力され、出力切替回路68からシステムコントロール回路30に送られる。また、OBモニタ出力選択回路52から選択的に出力されるOBモニタ信号は、出力切替回路66を介してシステムコントロール回路30に送られる。なお、OBモニタ信号、モニタ信号は、レベルシフト回路53、55によってそれぞれ出力信号の基準電位がシフトされる。
【0059】
論理回路44は、ラインセンサの電荷蓄積を終了させるとき、選択回路58を通じて電荷蓄積終了を知らせる信号をシステムコントロール回路30に出力する。また、すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、選択回路60を通じて電荷蓄積終了を知らせる信号をシステムコントロール回路30へ送る。システムコントロール回路30は、これらのモニタ信号、終了信号に基づいて、各ラインセンサの積分時間、AGC回路のゲインを制御する。
【0060】
図5は、ラインセンサ用画素信号読み出し回路の電気回路図である。図6は、図5の画素信号読み出し回路の模式的な断面図である。図7は、モニタセンサの電気回路図である。
【0061】
図5には、ラインセンサLSB3における一組のフォトダイオード対120Aj、120Bjおよびそれに接続されるラインセンサ用画素信号読み出し回路130jに関する回路構成を示している。フォトダイオード対120Aj、120Bjは、ともにラインセンサ用画素信号読み出し回路130jと接続されている。
【0062】
ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、不要電荷の掃き出しをスイッチ制御するアンチブルーミングゲート(ABG)121A、121B、一時的に電荷を格納する電荷蓄積容量(MEM)124A、124B、フォトダイオード対120Aj、120Bjに蓄積された電荷を電荷蓄積容量124A、124Bに転送する転送ゲート(TG)122A、122Bを備える。
【0063】
さらに、ラインセンサ用画素信号読み出し回路130jは、FDA(Floating Diffusion Amplifier)に基づく電荷検出機構を備え、電荷注入されるフローティングディフュージョン(FD)125、電荷蓄積容量124A、124Bの蓄積電荷を転送するフローティングディフュージョンゲート(FDG)123A、123B、リセットゲート(RG)26、ソースフォロアアンプ127、および選択ゲート128を備える。
【0064】
図6には、フォトダイオード120Aj付近の焦点検出部40の基板断面が図示されている。n−sub基板の上にp型層(p−well)を形成し、その上にpn接合のフォトダイオード120Ajが構成される。また、フォトダイオード120Ajの表面にp層を形成することにより、埋め込み型フォトダイオードが構成される。電荷蓄積容量124Aも同様のMOS型ダイオードの構成になっている。
【0065】
なお、フォトダイオード120Ajの上方には開口部(図示せず)が設けられており、開口部を除く部分を遮光膜で覆うことによってフォトダイオード120Aj以外の光入射が防止されている。
【0066】
アンチブルーミングゲート(ABG)121A、転送ゲート(TG)122A、フローティングディフュージョンゲート(FDG)123A、リセットゲート(RG)124Aは、それぞれ表面に電荷転送電極(ゲート電極)を配設したトランジスタによって構成されており、それぞれ電荷読み出しタイミングに合わせてパルス信号が入力される。
【0067】
転送ゲート(TG)122A、フローティングディフュージョンゲート(FDG)123Aの開閉により、電荷蓄積容量124A、およびn層から成るフローティングディフュージョン(FD)125にそれぞれ電荷が転送される。また、アンチブルーミングゲート(ABG)121Aの開閉により、フォトダイオード120Ajの不要電荷が、n層129を介してドレインとなる電源VDDAに掃き出される。
【0068】
図7には、フォトダイオード120Ajをモニタリングする微小センサ140mを示している。フォトダイオード142に接続されるモニタセンサ用画素信号読み出し回路144は、アンチブルーミングゲート(ABG)151、転送ゲート(TG)152、リセットゲート(RG)154、さらには電荷蓄積容量(MEM)153、ソースフォロアアンプ155を備える。
【0069】
被写体からの光がラインセンサに到達すると、フォトダイオード120Aj、120Bjの光電変換によって信号電荷(画素信号)が生じ、光量に応じて電荷が蓄積されていく。一方、モニタセンサ140mの光電変換部142に生じる信号電荷は、電荷蓄積153を介して図2、3に示したAGC回路へ随時出力される。
【0070】
モニタ信号が閾値を超えると、フォトダイオード120Ajの電荷蓄積が終了し、蓄積電荷は転送ゲート122A、122Bを通って電荷蓄積容量123A、123Bに一時的に転送される。他のフォトダイオード対の電荷蓄積がすべて終了するまで、蓄積電荷は電荷蓄積容量123A、123Bにそれぞれ保存される。
【0071】
他のラインセンサの電荷蓄積が終了すると、フォトダイオード120Aj、120Bjにおいて生じ、電荷蓄積容量123A、123Bにそれぞれ格納されていた電荷は、別々に、または混合されてフローティングディフュージョン(FD)125に注入される。そして、ソースフォロアアンプ127によって画素信号(電圧信号)が出力される。画素信号が出力されると、リセットゲート126の動作によってフローティングディフュージョン124がリセットされる。
【0072】
図8は、電荷蓄積期間中のモニタ信号と閾値との関係を示した図である。図9は、モニタセンサから出力されるモニタ信号の出力レベルと、ゲイン調整される画素信号の出力レベルとの関係を示した図である。図8、図9を用いて、AGC回路の閾値設定、および画素信号に対するゲイン設定について説明する。
【0073】
モニタセンサから出力されるモニタ信号の出力レベルは、被写体の輝度によって変化し、被写体が非常に明るいときには出力レベルがAGC回路の閾値をすぐに超える一方、非常に暗いときには電荷が十分蓄積されず、あらかじめ定められた電荷蓄積許容時間(以下、最大積分時間という)Tlimになっても出力レベルが閾値を超えない。図8には、被写体輝度に応じたモニタ信号の出力レベル(A)〜(F)を示している。
【0074】
(A)のモニタ信号の場合、最大積分時間Tlimの到達前にモニタ信号があらかじめ設定されている閾値VMSを超え、対応するラインセンサの電荷蓄積が電荷軸積時間TAで終了する。一方、(B)〜(F)に示すモニタ信号は、最大積分時間Tlimを超えても閾値VMSを超えない。これらモニタ信号によってモニタリングされるラインセンサでは、被写体の輝度が低いためにラインセンサから出力される画素信号の出力レベルが非常に小さい。そのため、ラインセンサから読み出された画素信号に対してゲインをかける。
【0075】
閾値VMSは、ラインセンサから画素信号を適正に出力できる範囲の限界値を示す。ここで、閾値VMSに対して1/2、1/4、1/8、1/16、1/32倍の閾値(1/2VMS、1/4VMS、1/8VMS、1/16VMS、VMS/32)を段階的に設定可能とし、最大積分時間Tlimにおけるモニタ信号の出力レベルと比較すると、(B)のモニタ信号は適正出力範囲の1/2〜1の範囲、(C)のモニタ信号は適正出力範囲の1/4〜1/2の範囲にある。
【0076】
(B)のモニタ信号の場合、VMSの代わりにVMS/2を閾値として設定し、ラインセンサの画素信号のゲインを2倍に設定すれば、最大積分時間Tlimの前に電荷蓄積が終了するとともに、画素信号の出力レベルが適正なレベルになる。また、(C)のモニタ信号の場合、VMS/4を閾値として設定し、ラインセンサの画素信号のゲインを4倍に設定すれば、最大積分時間前に電荷蓄積が終了するとともに画素信号の出力レベルが適正レベルになる。同様に、(D)、(E)、(F)のモニタ信号の場合、VMS/8、VMS/16、VMS/32を閾値として設定し、8、16、32倍のゲインを掛けることによって、画素信号の出力レベルが適正になる。
【0077】
本実施形態では、最大積分時間Tlimの到達前に電荷蓄積を終了させ、画素信号に対して適切なゲインを掛けるため、電荷蓄積を開始してから最大積分時間Tlimに到達する以前の所定時間Ts(以下、レベル検知時間という)に達すると、その時点でのモニタ信号の出力レベルを調べ、モニタ信号の出力レベルが適正範囲のどのレベルであるか、そして、どの閾値を設定すれば最大積分時間Tlimの内に電荷蓄積が終了するか判断する。ここでは、最大積分時間Tlimの半分の時間をレベル検知積分時間Tsとしている。
【0078】
6つの閾値VMS〜VMS/32の中から1つの閾値が設定されると、画素信号はその設定された閾値に合わせてゲイン処理される。例えば、モニタ信号の出力レベルが(C)の場合、AGC回路のVMS/4が閾値として設定される。そして、ラインセンサから読み出される画素信号に対して4倍のゲインが掛けられる。一方、モニタ信号の出力レベルが(A)の場合、VMSがそのまま閾値として設定され、画素信号がそのまま出力される。
【0079】
図9には、被写体の輝度レベルを横軸で示し、一連の閾値、ゲインに対する積分時間、画素信号の出力レベルを縦軸に示している。レベル検知時間Ts経過時に閾値を設定し直すため、被写体が暗くてモニタ信号の出力レベルが非常に小さくても、レベル検知時間Ts〜最大積分時間Tlimの間でラインセンサの電荷蓄積が終了する。
【0080】
モニタ信号の出力レベルが閾値を超えるタイミングは出力レベルに応じて異なるため、蓄積電荷量も出力レベルによって異なる。その結果、蓄積電荷に応じた画素信号とゲインと掛け合わせた画素信号の出力レベルは、被写体の明るさに依らずほぼ一定Voの値に維持される。
【0081】
なお、図4で説明したように、同じラインセンサで他のAGC検出部が先に電荷蓄積終了タイミングになると、その時点で電荷蓄積が終了する。この場合、その時点でのモニタ信号の出力レベルを閾値VMS、1/2VMS、・・・・と順に比較し、出力レベルに相当する閾値を決定し、その閾値に応じてゲインを決定する。
【0082】
図10は、AGC検出部の内部構成を概略的に示した回路図である。図11は、ACG検出部の電気回路図である。ここでは、図3に示したAGC回路42V5に設けられた1つのAGC検出部の内部構成を説明する。
【0083】
AGC検出部200は、コンパレータ(比較器)202、引き算器204、メモリ容量206を備える。引き算器204は、対応するOBモニタセンサから出力されるOBモニタ信号OBMと、閾値信号VMSとの差分“VMS−OBM”を出力する(ただし、閾値信号(電圧)と最初に設定される閾値電圧値については、ともに“VMS”と以下表記する)。これにより、閾値電圧の基準レベルが黒レベルに合わせてオフセット調整される。コンパレータ202は、基準レベルをオフセット調整させた閾値VMS’(=VMS−OBM)と、接続されている微小センサから送られてくるモニタ信号MONとを比較する。
【0084】
上述したように、ラインセンサの電荷蓄積開始直後は、モニタ信号MONの出力レベルが閾値VMS’より小さく、コンパレータ202はHighレベルの信号を出力する。そして時間経過とともにモニタ信号MONの出力レベルが閾値VMS’を超えると、コンパレータ202は反転信号を論理回路44、システムコントロール回路30へ出力する。メモリ容量206は、閾値VMSを保持するキャパシタであり、閾値VMSは必要に応じて書き換え可能である。
【0085】
図11では、AGC検出部200の内部構成をより詳細に示している。AGC検出部200は、閾値電圧設定部208、モニタ信号オフセット調整部210、閾値電圧オフセット調整部212を備え、さらに、コンパレータ202、メモリ容量206へ送る信号を切り替えるトランジスタゲート(Φa1、Φa2)212、214、およびモニタ信号入力を切り替えるトランジスタゲート(ΦMON)216を備える。
【0086】
閾値電圧設定部208は、閾値電圧を選択的に出力するタップ(スイッチ群)によって構成されており、閾値電圧設定部208を制御することで、いずれか一つの閾値電圧が選択的に設定される。ここでは、VMS/64、VMS/32、VMS/16、VMS/8、VMS/4、VMS/2、VMS、および0Vに相当するVSM0の閾値電圧が設定可能である。
【0087】
モニタ信号オフセット調整部210は、微小センサとOBモニタセンサとのオフセットを調整するためのタップであり、焦点検出が行われる前にモニタ信号オフセット調整部210を使ったモニタ信号オフセット調整が行われる。閾値電圧オフセット調整部212は、閾値電圧の非線形性を補正するためのタップである。
【0088】
まず、モニタ信号のオフセット調整について説明する。焦点検出前において、ゲート(Φa1)212、ゲート(ΦMON)216をON状態、ゲート(Φa1)214をOFF状態に設定するとともに、閾値電圧設定部208では、閾値電圧VMS0(=0V)となる0A番のスイッチを接続する。そして、モニタ信号オフセット調整部210の0番から31番までの各スイッチを順番に接続させていく。
【0089】
微小センサの信号出力位置とOBモニタセンサの信号出力位置は異なるため、その出力信号(電圧)の基準レベルは必ずしも一致せず、バラツキが生じる。このバラツキをなくして基準レベルを一致させるためのオフセット調整が行われる。
【0090】
0A番のスイッチが接続されると、ゲート(Φa1)212がOFF状態、ゲート(Φa2)214がON状態に切り替えられる。これにより、OBモニタ信号とオフセットメモリ調整部210から送られてくる0番に応じた電圧VOFとを加算した信号と、モニタセンサからのモニタ信号がコンパレータ202に入力される。
【0091】
コンパレータ202の出力信号が反転するまで、ゲート(Φa1)212、ゲート(Φa2)214を切り替えながらモニタ信号オフセット調整部210の各スイッチを順番に切り替えていく。コンパレータ202の出力信号が反転したとき、そのオフセット電圧VOFがメモリ容量206に保持される。このオフセット調整を、焦点検出前に各モニタセンサに対してそれぞれ実行する。
【0092】
図12は、AGC検出部の動作を示したタイミングチャートである。
【0093】
焦点検出が実行開始されると、閾値電圧設定部208において閾値電圧VMSの信号を出力する7A番のスイッチを接続させて、閾値信号VMSを引算器206へ入力させる。そして、ゲート(Φa1)212をOFF状態、ゲート(Φa2)214をON状態、ゲート(MON)216をON状態にすることによって、モニタ信号MONの出力レベルと、OBモニタ信号を差し引いた閾値電圧VMS’(=VMS−OBM)とをコンパレータ202において比較する。
【0094】
上述したように、レベル検知期間Tsに達すると、モニタ信号の出力レベルと閾値電圧とを比較するように回路が切り替えられる。ゲート(Φa1)212をON状態、ゲート(Φa2)214をOFF状態にし、また、ゲート(MON)216をOFF状態にすることにより、コンパレータ202ではモニタ信号と閾値との比較が一端停止される。
【0095】
この期間(リフレッシュ期間)、新たに設定する閾値電圧がメモリ容量206に格納可能であり、閾値電圧設定部208では、閾値電圧がVMSからVMS/2に切り替えられる。そして、コンパレータ202では、(VMS/2−OBM)とモニタ信号MONとがコンパレータ202において比較される。ただし、モニタ信号とOBモニタ信号のオフセット電圧VOFはメモリ容量206に保持され続けている。
【0096】
コンパレータ202から反転信号が出力されるまで、閾値電圧がVMS/2〜VMS/64へ順に切り替えられる。コンパレータ202から反転信号が出力されると、そのとき設定されていた閾値電圧が新たな閾値電圧として設定される。
【0097】
そして、再びゲート(Φa1)212をOFF状態、ゲート(Φa2)214をON状態に切り替える。コンパレータ202では、新たに設定された閾値電圧とOBモニタ信号との差分(VMS−OBM)がモニタ信号MONと比較される。そして、コンパレータ202から反転信号が出力されると、電荷蓄積を終了する。
【0098】
図13は、設定される閾値電圧と実際に出力される閾値電圧との非線形関係を示した図である。図13に示すように、閾値電圧が低く設定されると、引算器204に入力する電圧がずれて線形性を維持できない。これは、タップ回路の特性に起因する。そのため、図11に示す閾値電圧オフセット調整部212によって、補正分に応じた電圧をコンパレータ202に入力させる。
【0099】
閾値電圧オフセット調整部212では、0B〜7Bのスイッチを切り替えることによって出力電圧が切り替わる。閾値電圧のオフセット値は、あらかじめ実験により定められており、閾値電圧設定部28において閾値電圧が設定されると、その閾値電圧に応じたオフセット電圧を出力するスイッチが接続される。
【0100】
図14は、システムコントロール回路30によって実行されるモニタ信号オフセット調整処理を示したフローチャートである。
【0101】
上述したように、閾値電圧VMS0=0Vを設定し、モニタ信号オフセット調整部210のスイッチを順番に接続させ、モニタ信号とOBモニタ信号の出力信号レベルを比較する(S101〜S105)。そして、コンパレータ202が反転信号を出力すると、そのときのスイッチ接続によって出力される電圧をオフセット電圧VOFとして設定する(S106〜S108)。
【0102】
図15は、システムコントロール回路によって実行される焦点検出時の電荷蓄積時間制御処理を示したフローチャートである。
【0103】
閾値電圧VMSが設定された状態で電荷蓄積が開始される。レベル検知時間Tsに到達するまでにモニタ信号の出力レベルが閾値電圧VMSを超えていない場合、信号の比較を一度停止し、閾値電圧とそのレベル検知時間Tsでのモニタ信号の出力レベルVmonとが比較される(S201〜S208)。なお、後述するように、同じ測距ゾーンのAGC検出部については、同じ閾値電圧信号VMSが設定される。
【0104】
出力レベルVmonが閾値電圧より大きいとき、その閾値電圧を新たに設定するとともに、その閾値電圧に応じたゲインを設定する。そして、再びモニタ信号の出力レベルをモニタリングする(S208〜S214)。モニタ信号の出力レベルが閾値電圧を超えると、ラインセンサの電荷蓄積(積分)を終了させる(S215〜S217)。そして、画素信号を読み出すとき、設定したゲインによって画素信号を増幅処理する(S218)。後述するように、画素信号のゲイン設定は測距ゾーンごとに切り替えて行われる。
【0105】
図16は、ラインセンサ群に規定される測距ゾーンを示した図である。図17は、列回路(図2参照)の電気回路図である。図18は、画素信号読み出し動作のタイミングチャートである。図16〜図18を用いて、全画素信号を読み出すときのゲイン設定について説明する。
【0106】
図16には、ラインセンサ群EA1(図2参照)を構成するラインセンサLSA1〜LSA9に対して規定される測距ゾーンDAが示されている。測距ゾーンDAは、モニタセンサの各微小センサがモニタリングするエリア領域に相当し、各ラインセンサを横断するように測距ゾーンDAがラインセンサ配列方向に沿って定められる。
【0107】
ラインセンサ群EA1の画素信号を読み出すとき、ライセンサ配列方向(左右方向)を主走査方向として順番に画素信号を読み出す。上述したように、各ラインセンサはフォトダイオード対を上下方向に並べた構成になっており、フォトダイオード対をラインセンサ上部から下部に向けて順番にライン走査し、画素信号を読み出す。ラインセンサ群EA1の場合、LSA1〜LSA9までの1ライン分のフォトダイオード対から画素信号が順に読み出される。ラインセンサ群EA2も同様に画素信号が読み出される。
【0108】
一方、ラインセンサLSB1〜LSAB5から構成されるラインセンサ群EB1については、上下方向を主走査方向として画素信号が読み出される。主走査ライン上にあるフォトダイオード対の画素信号がラインセンサLSB1からLSB5に向けて順次読み出され、1ライン分の画素信号が読み出されると次のラインに走査が移る。ラインセンサ群EB1に規定される測距ゾーンDBは、微小センサのモニタリング対象エリアに合わせて規定される。ラインセンサ群EB2も同様の画素信号読み出しが行われる。
【0109】
本実施形態では、測距ゾーンDA、DBごとに所定の閾値電圧が設定されている。すなわち、各ラインセンサの同じ測距ゾーンにある微小センサには、同じ閾値電圧が設定される。画素信号の読み出しゲインに関しても同様であり、測距ゾーンDAそれぞれの閾値電圧に応じたゲイン値が定められる。このような閾値電圧に従い、画素信号を読み出す走査についても、次の測距ゾーンへ走査が移る度にゲインを設定変更する。
【0110】
図17には、図5に示すフォトダイオード対120Aj、120Bjの画素信号読み出し回路130jと、列回路46(図2、3参照)の一部回路を図示している。列回路46は、クランプスイッチ(CL)304、容量Cc1のキャパシタ305、容量Cc2の可変キャパシタ306、増幅器(AMPc)308を備えたゲイン設定部302を有し、システムコントロール回路30からの制御信号に基づいて可変キャパシタ306の容量が変化する。
【0111】
フォトダイオード120Aj、120Bjから読み出される画素信号のゲインは、キャパシタ305、可変キャパシタ306の容量比“Cc1/Cc2”によって定められる。ここでは、1、2、4、8、16、32倍のいずれかのゲインが可変キャパシタ306によって設定される。定められたゲイン値に従い、画素信号は増幅器308においてゲイン処理される。
【0112】
スイッチ(ΦR)312の切り替えによってリセット信号がキャパシタ318に保持される一方、スイッチ(ΦS)310の切り替えによって読み出された画素信号がキャパシタ306に保持される。そして、スイッチ(ΦT)314によって画素信号とリセット信号の差分が差動アンプ320に入力し、スイッチ(ΦRDn)321を通って画素信号が外部に出力される。差動アンプ320には、出力オフセット調整部322が接続されており、黒レベルに応じて画素信号がオフセット調整される。
【0113】
図18には、列回路46の各スイッチの切り替えタイミングが示されている。映像期間JLでは、所定ライン上のフォトダイオード対の画素信号を読み出している。ここでは、各ラインセンサの一方の側のフォトダイオードから画素信号をまとめて先に読み出し、他方の側のフォトダイオードの画素信号を後から読み出す。転送期間JLでは、シフトレジスタによって画素信号が画素信号読み出し回路から列回路46へ転送される。
【0114】
ゲイン設定部302の可変キャパシタ306は、転送期間JKの間に容量変更されるように構成されている。具体的には、走査中に測距ゾーンが切り替わる転送期間Qにゲインがシステムコントロール回路30、論理回路40によって変更される。転送期間Qを過ぎると次の測距ゾーンの走査が始まり、新たに設定されたゲイン値によって画素信号が増幅処理される。
【0115】
このように本実施形態によれば、複数のラインセンサLSA1〜LSA9、LSA11〜LSA19、LSAB1〜LSAB5、LSAB6〜LSAB10と複数のモニタセンサLMA1〜LMA9、LMB1〜LMB5を配置したAFモジュール24の焦点検出部40において、各モニタセンサが、測距ゾーンDA、DBによって規定されるラインセンサの所定領域をそれぞれモニタリングする複数の微小センサから構成される。そして、各微小センサにAGC検出部が接続され、焦点検出のとき、微小センサからのモニタ信号と閾値VMSとがAGC検出部において比較される(図3、4参照)。
【0116】
電荷蓄積開始からレベル検知時間Tsが経過すると、一度モニタ信号と閾値との比較を停止し、その時点でのモニタ信号の出力レベルを閾値VMS〜VMS/32まで順に比較する。そして出力レベルに該当する閾値を新たに設定し、設定し直した閾値電圧とモニタ信号とをAGC検出部において比較する。モニタ信号が閾値を超えると、AGC検出部は電荷蓄積を終了させる反転信号を出力し、対応するラインセンサの電荷蓄積が終了する。
【0117】
閾値電圧は、微小センサごと、すなわち測距ゾーンごとに設定され、ラインセンサから読み出される画素信号に対するゲインも、測距ゾーン毎に定められる。画素信号をラインセンサから読み出すとき、ラインセンサ配列方向を主走査方向としてライン走査し、測距ゾーンが次の測距ゾーンへ移るときにゲインを変更する。
【0118】
電荷蓄積途中で閾値を再設定するため、最大積分時間の到達前に電荷蓄積終了を迎えることが可能となり、また、電荷蓄積時間がモニタ信号の出力レベルに相当するため、従来のように一定積分時間後にゲインをかけたときに生じるような画素信号出力レベルのバラツキがなく、被写体の輝度レベルが低くても安定したゲイン出力レベルを維持した画素信号を抽出することが可能となって、精度よく焦点検出することができる。
【0119】
また、タップで構成される閾値電圧設定部208によって段階的に閾値を変えながらモニタ信号の出力レベルを判断するため、電荷蓄積中でも迅速にモニタ信号出力レベルを判別することが可能となる。
【0120】
さらに、閾値電圧設定、ゲイン設定が測距ゾーンごとに行われるため、様々な被写体の輝度パターンに対しても迅速にラインセンサの電荷蓄積時間を早めに調整することが可能となり、焦点検出までの時間を短縮させることができる。
【0121】
なお、レベル検知時間Tsは任意の時間に設定可能である。また、閾値電圧もVMSの1/2に限定されず、段階的に大きい閾値から順番にモニタ信号と比較させるようにすればよい。
【0122】
一方、本実施形態では、各AGC検出部にメモリ容量が設けられ、閾値電圧が保持される。レベル検知時間Tsに到達すると、保持されていた閾値電圧がリフレッシュされ、新たな閾値電圧が保持される。
【0123】
AGC検出部ごとに閾値電圧を保持するメモリを設けることで、各AGC検出部で閾値を独自に設定可能であり、閾値電圧レベルが非常に低くてもモニタ信号との比較を正確に行い、広いダイナミックレンジで画素信号出力を安定化させることができる。特に、電荷蓄積中に閾値を再保持するため、キャパシタの容量を抑えることができる。また、測距ゾーン毎の閾値電圧設定を容易に設定可能としている。
【0124】
モニタ信号とOBモニタ信号とのオフセット電圧がモニタ信号オフセット調整部210において調整され、メモリ容量206に保持される。これにより、あらたなメモリを用意することなく閾値電圧とモニタ信号が適正に比較される。
【0125】
また、閾値電圧設定部208のタップ回路構成に起因する設定閾値と実際の出力閾値電圧との非線形性に対し、閾値電圧オフセット調整部212において補正される。これにより、低い閾値電圧の場合でも正確な出力電圧となってモニタ信号と比較される。
【0126】
次に、図19〜図21を用いて、第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。第2の実施形態では、2回に渡ってモニタ信号の出力レベルを検出し、閾値を2回設定する。それ以外の構成については、第1の実施形態と実質的に同じである。
【0127】
図19は、第2の実施形態における電荷蓄積期間中のモニタ信号と閾値電圧との関係を示した図である。図20は、第2の実施形態におけるモニタ信号とゲイン調整される画素信号の出力レベルとの関係を示した図である。
【0128】
第2の実施形態では、2つのレベル検知時間Tm、Tsが設定されており、それぞれ最大積分時間Tlimの1/4、1/2に相当する。電荷蓄積開始から第1のレベル検知時間Tmが経過すると、3つの閾値VMS/2、VMS/4、VMS/8とモニタ信号とが比較される。
【0129】
(A)のモニタ信号の場合、第2のレベル検知時間Ts(=Tlim/2)が経過する前に出力レベルが閾値VMS/2を超える。そのため、閾値VMS//2を新たな閾値として設定することによって、レベル検知時間Tsが経過する前にラインセンサの電荷蓄積を終了させルことが可能であり、この場合、画素信号読み出しのとき2倍のゲインをかければよい。(B)のモニタ信号の場合、レベル検知時間Tsが経過する前に出力レベルが閾値VMS/4を超えることから、閾値VMS/4が新たな閾値として設定される。
【0130】
一方、(C)〜(F)のモニタ信号の場合、出力レベルが閾値VMS/8以下であることしか明らかになっておらず、どの閾値を再設定すればレベル検知時間Ts前に電荷蓄積を終了させることができるかこの時点で判断できない。そのため、2回目のレベル検知時間Tsが経過するときに残りの閾値とモニタ信号とを比較する。
【0131】
レベル検知時間Tsでは、第1の実施形態と同様、モニタ信号とすべての閾値とを比較し、出力レベルに応じて新たな閾値電圧が設定される。これにより、最大積分時間Tlimまでにモニタ信号が閾値電圧に到達し、対応するラインセンサの電荷蓄積が終了する。図20に示すように、画素信号の出力レベルは、どの被写体の明るさに対しても安定する。なお、なお、レベル検知時間としてTs=Tlim/4に設定してもよい。
【0132】
図21は、第2の実施形態における電荷蓄積時間制御処理を示したフローチャートである。
【0133】
電荷蓄積開始後に第1のレベル検知積分時間Tmが経過すると、モニタ信号と閾値電圧との比較を停止し、その時点でのモニタ信号出力レベルVmonと3つの閾値電圧VMS/2、VMS/4、VMS/8とが比較される。モニタ信号出力レベルがVMS/8より上であれば、ラインセンサの電荷蓄積終了を実現させる閾値電圧に設定され、それに合わせてゲインが設定される(S301〜S313)。
【0134】
一方、モニタ信号出力レベルVmonが閾値電圧VMS/8以下の場合、閾値電圧VMS/8を設定し、モニタ信号出力レベルVmonと閾値電圧VSM/8との比較が開始される(S310〜S312)。そして、レベル検知時間Tsに到達すると、モニタ信号出力レベルVomと閾値電圧VMS/2〜Vms/32とが比較される(S316〜S321)そして、電荷蓄積を終了させる閾値電圧が設定される(S322〜S325)。すべてのラインセンサの電荷蓄積が終了すると、設定されたゲインで画素信号が読み出される(S326〜S329)。
【0135】
このように第2の実施形態では、最大積分時間到達前に2回のレベル検知時間を設定し、閾値再設定を2回行う。これにより、比較的モニタ信号出力レベルが大きい場合、ラインセンサの電荷蓄積時間をさらに早めることが可能となり、モニタ信号出力レベルの低い残りのモニタセンサ、微小センサに対してのみ電荷蓄積時間調整をするだけで済む。なお、最大積分時間までのレベル検知回数は2回に限定されず、さらなる回数を設定してもよい。
【0136】
第1、第2の実施形態では、ラインセンサを測距ゾーンに従って領域分割し、測距ゾーンに合わせて複数の微小センサを配置させたモニタセンサを構成しているが、閾値を電荷蓄積中に再設定する制御処理だけを考慮すれば、測距ゾーンごとにモニタセンサを分けず、 各AGC回路にメモリを設けず、同じ閾値を設定してもよい。
【0137】
また、各AGC検出部にメモリ容量を設ける構成だけを考慮すれば、閾値再設定の制御処理を行わず、従来のように最大積分時間経過後の閾値とモニタ信号との比較を行う構成にしてもよい。
【0138】
測距については、多点測距、あるいは画面中心部のみ測距するように構成してもよく、ラインセンサ数、ラインセンサ群の数、および、ラインセンサの配列方向は任意である。また、一眼レフ型カメラ以外のカメラに適用してもよく、携帯電話などカメラ機能を備えた撮影装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0139】
10 一眼レフ型デジタルカメラ
24 AFモジュール(焦点検出装置)
30 システムコントロール回路(電荷蓄積時間制御手段)
40 焦点検出部(画像信号出力手段)
42 AGC回路(電荷蓄積終了検出部、電荷蓄積時間制御手段)
44 論理回路(電荷蓄積時間制御手段)
120Aj、120Bj フォトダイオード(光電変換素子)
130j ラインセンサ用画素信号読み出し回路
140m 微小センサ(モニタセンサ)
200 AGC検出部(電荷蓄積終了検出部)
202 コンパレータ(比較器)
204 引算器
206 メモリ容量(メモリ)
208 閾値電圧設定部
210 モニタ信号オフセット調整部
212 閾値電圧オフセット調整部
302 ゲイン設定部
LSA1〜LSA9 ラインセンサ
LMA1〜LAM9 モニタセンサ
M1〜M3 微小センサ
AGC1〜AGC9 AGC検出部
VMS 閾値(閾値電圧、適正閾値)
Vmon モニタ信号出力レベル
VOF オフセット閾値電圧
Tm レベル検知時間
lim 最大積分時間(電荷蓄積許容時間)
PSA5 ラインセンサ用画素信号読み出し回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像の投影領域に並ぶ複数のラインセンサと、
前記複数のラインセンサの側にそれぞれ配置され、それぞれ対応するラインセンサの受光量をモニタリングする複数のモニタセンサと、
それぞれ対応するモニタセンサから出力されるモニタ信号の信号レベルと閾値とを比較し、モニタ信号が閾値を超えると、対応するラインセンサの電荷蓄積を終了させるための信号を出力する複数の電荷蓄積終了検出部と、
各ラインセンサから画素信号を読み出し、増幅処理して出力する画像信号出力手段とを備え、
前記電荷蓄積終了検出部が、閾値を格納するメモリと、モニタ信号と前記メモリに格納された閾値とを比較する比較器とを有することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
ラインセンサ電荷蓄積の間、前記メモリに新たな閾値を格納可能であることを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
前記電荷蓄積終了検出部が、前記メモリに格納された閾値が前記比較器に入力される状態と、新たな閾値を前記メモリに格納可能な状態とを切り替える回路切替手段を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項4】
前記電荷蓄積終了検出部が、段階的に値の異なる一連の閾値の中から閾値を選択的に設定する閾値設定部をさらに有し、
前記閾値設定部によって設定された閾値が前記メモリに格納されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項5】
前記閾値電圧設定部が、段階的に値の異なる一連の抵抗値を閾値として選択的に出力可能なタップを有し、
前記電荷蓄積終了検出部が、前記タップから出力される閾値と前記メモリに格納される閾値との間のオフセットを補正する閾値オフセット調整部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項6】
前記複数のモニタセンサの黒レベルをそれぞれ検知する複数のOB(Optical Black)モニタセンサをさらに有し、
各電荷蓄積終了検出部のメモリが、対応するOBモニタセンサから出力されるOBモニタ信号と、対応するモニタセンサから出力されるモニタ信号との差分を保持可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項7】
前記複数のモニタセンサ各々が、それぞれ光電変換素子と画素信号読み出し回路を有し、対応するラインセンサの所定領域をモニタリングする複数の微小センサ部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項8】
前記メモリが、キャパシタを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の焦点検出装置。
【請求項9】
請求項1に記載された焦点検出装置を備えた撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−107621(P2011−107621A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265268(P2009−265268)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】