説明

焼成食品用チョコレート及び当該チョコレートを用いた焼成食品

【課題】
焼成耐性を有する焼成食品用チョコレートを提供することである。
焼成後にチョコレートの形状が保持されている、かつ、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがない焼成食品を提供することである。
【解決手段】
本発明の焼成食品用チョコレートは、総油分含量が20.0〜32.2質量%、総油分含量に対するカカオ固形原料由来の固形分含量の比率が0.56以上であることを特徴とする。
本発明の焼成食品は、焼成食品用チョコレートを含む焼成食品生地を焼成して得られることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パン、焼き菓子等の焼成前の焼成食品生地に含ませた状態で焼成食品生地と共に焼成される焼成食品用チョコレート及び当該チョコレートを用いたパン、焼き菓子等の焼成食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、チョコレート自体の他に、チョコレートとパン、焼き菓子等の焼成食品とを組み合わせたチョコレート複合食品にも利用される。
チョコレート複合食品は、予め焼成した焼成食品とチョコレートを組み合わせることで製造する場合と、チョコレートを焼成前の焼成食品生地に含ませた状態でチョコレートと焼成食品生地とを共に焼成することで製造する場合がある。
【0003】
後者のチョコレート複合食品の場合、焼成時にチョコレートが高温下に曝されるため、用いるチョコレートには、焼成後にチョコレートの形状が保持される(焼き残り)ことや焼成後にチョコレートからの油の染み出しによるチョコレートの白色化が起こらないこと等の焼成耐性が必要とされる。
【0004】
チョコレートに焼成耐性を付与するための手段として、澱粉性原料、乾燥卵白等の熱凝固性蛋白、調製乳清タンパク質加工品、微粒二酸化ケイ素を用いること(例えば、特許文献1〜5)等が提案されている。
【0005】
しかし、特許文献1〜5はチョコレートに焼成耐性を付与することはできるが、用いる成分はいずれもチョコレートの風味や食感に影響を及ぼすことがあるため、本来のチョコレートの風味や食感を損なう可能性があった。
そこで、特別な成分を使用せずとも、焼成耐性を有するチョコレートが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−189058号公報
【特許文献2】特開2000−270775号公報
【特許文献3】特開2000−166475号公報
【特許文献4】特開2000−270774号公報
【特許文献5】特開平6−90665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、焼成耐性(焼成後にチョコレートの形状が保持される(焼き残り)、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがない)を有する焼成食品用チョコレートを提供することである。
また、本発明の目的は、焼成後にチョコレートの形状が保持されている(焼き残り)、かつ、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがない焼成食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、チョコレート中の総油分含量及び総油分含量に対するカカオ成分由来の固形分含量の比率を特定割合にすることで、チョコレートに焼成耐性を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明は、総油分含量が20.0〜32.2質量%、総油分含量に対するカカオ固形原料由来の固形分含量の比率が0.56以上である焼成食品用チョコレートである。
本発明の第2の発明は、テンパリング型チョコレートである第1の発明に記載の焼成食品用チョコレートである。
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の焼成食品用チョコレートを含む焼成食品生地を焼成して得られる焼成食品である。
本発明の第4の発明は、前記焼成食品がデニッシュ又はクロワッサンである第4の発明に記載の焼成食品である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、焼成耐性(焼成後にチョコレートの形状が保持される、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがない)を有する焼成食品用チョコレートを提供することができる。
また、本発明によると、焼成後にチョコレートの形状が保持されている、かつ、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがない焼成食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の焼成食品用チョコレートは、総油分含量が20.0〜32.2質量%、総油分含量に対するカカオ成分由来の固形分含量の比率が0.56以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明において、焼成食品用チョコレート(焼き残りチョコレート)とは、パン、焼き菓子等の焼成前の焼成食品生地に混ぜる、練り込む、挟む、包む等により、焼成食品生地中に含ませた状態で焼成食品生地と共に焼成される用途に使用するチョコレートのことである。
【0013】
本発明において、チョコレートとは、少なくとも油脂と糖類とを含む油脂加工食品を指すものであり、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(以下、表示規約とする)(全国チョコレート業公正取引協議会)のチョコレート生地、純チョコレート生地、純ミルクチョコレート、準チョコレート生地に限定されるものではない。また、チョコレートの種類としては、ダークチョコレート、ミルクチョコレート等が挙げられる。
【0014】
本発明の焼成食品用チョコレートは、表示規約のチョコレート生地、純チョコレート生地、純ミルクチョコレート生地であることが好ましく、表示規約のチョコレート生地、純チョコレート生地であることがより好ましい。
なお、表示規約のチョコレート生地とは、カカオ分が全質量の35質量%以上(ココアバターが全質量の18質量%以上)であって、水分が全質量の3質量%以下のものである(ただし、カカオ分が全質量の21質量%以上(ココアバターが全質量の18質量%以上)、かつ、カカオ分と乳固形分の合計が全質量の35質量%以上となる範囲内(乳脂肪が全質量の3質量%以上)でカカオ分の代わりに、乳固形分を使用することができる。)。また、表示規約の純チョコレート生地とは、表示規約のチョコレート生地のうち、以下の1)〜5)を満たすものである。また、表示規約の純ミルクチョコレート生地とは、表示規約のチョコレート生地のうち、以下の1)〜7)を満たすものである。
1)カカオ分としてカカオマスとココアバターのみを使用
2)脂肪(油脂)としてココアバターと乳脂肪のみを使用
3)糖類としてショ糖のみを使用(ショ糖は全質量の55質量%以下)
4)レシチンが全質量の0.5質量%以下
5)バニラ系の香料、レシチン以外の食品添加物を含まない
6)乳固形分が全質量の14質量%以上
7)乳脂肪が全質量の3.5質量%以上
ここで、カカオ分とは、カカオニブ、カカオマス、ココアバター、ココアケーキ、ココアパウダーの水分を除いた合計量をいう。
【0015】
本発明の焼成食品用チョコレート中における総油分含量は20.0〜32.2質量%であり、25.0〜32.0質量%であることが好ましく、28.0〜32.0質量%であることがより好ましく、29.0〜31.5質量%であることが最も好ましい。本発明において、総油分とは、チョコレート中の全油脂、すなわち、配合される油脂と配合される含油原料中に含まれる油脂とを合計した油脂の総量のことである。また、本発明において、含油原料とは、油脂を含んでいる原料のことであり、具体的には、ココアバターを含むカカオマス、カカオニブ、ココアパウダー、ココアケーキや乳脂を含む全脂粉乳等が挙げられる。例えば、カカオマス(油分55質量%)40質量%、ココアバター10質量%含有するチョコレート中における総油分含量は32質量%となる。焼成食品用チョコレート中における総油分含量が前記範囲にあると、焼成後にチョコレートの形状が保持されたものとなる。
【0016】
本発明の焼成食品用チョコレートに配合される油脂としては、通常チョコレートに使用される油脂であれば特に制限されることはないが、ココアバター(カカオ脂)、乳脂肪、パーム油、シア脂、イリッペ脂、サル脂、パーム核油、ヤシ油やこれらの加工油脂(分別油、水素添加油、エステル交換油)が好ましく、ココアバター、乳脂肪、テンパリング型ハードバターがより好ましい。ここで、テンパリング型ハードバターとは、ココアバターと同様にSUS型トリアシルグリセロール(1,3位が飽和脂肪酸、2位が不飽和脂肪酸であるトリアシルグリセロール)を多く含む油脂であり、具体的には、パーム中融点、シアステアリン、サル脂、サルステアリン、イリッペ脂等が挙げられる。
【0017】
本発明の焼成食品用チョコレートはカカオ固形原料を含有する。本発明において、カカオ固形原料とは、カカオ豆から得られるものであって固形分を含むものとする。カカオ固形原料としては、カカオマス、カカオニブ、ココアパウダー、ココアケーキを例示することができるが、カカオマスを使用することが好ましい。なお、本発明におけるカカオ固形原料は、ココアバターを含むものであるため、含油原料に相当するものである。
本発明の焼成食品用チョコレート中におけるカカオ固形原料含量は35.0〜50.0質量%であることが好ましく、37.0〜48.0質量%であることが好ましく、40.0〜46.5質量%であることが好ましく、42.0〜45.0質量%であることが最も好ましい。
【0018】
総油分に占めるココアバター、テンパリング型ハードバターの割合が高いチョコレートは、油脂の結晶形を安定な結晶とするために、通常テンパリング処理が行われるため、テンパリング型チョコレートと呼ばれる。
本発明の焼成食品用チョコレートは、テンパリング型チョコレートであることが好ましい。焼成食品用のテンパリング型チョコレートは、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがより起こりやすい。しかし、本発明の焼成食品用チョコレートは、テンパリング型チョコレートであっても、焼成後にチョコレートからの油の染み出しが起こりにくいものである。
【0019】
本発明の焼成食品用チョコレートは、総油分に占めるココアバター、テンパリング型ハードバター及び乳脂肪の合計の割合が60.0〜100.0質量%であることが好ましく、80.0〜100.0質量%であることがより好ましく、90.0〜100.0質量%であることが更に好ましく、100.0質量%であることが最も好ましい。
また、本発明の焼成食品用チョコレートは、総油分に占めるココアバター及び乳脂肪の合計の割合が50.0〜100.0質量%であることが好ましく、65.0〜100.0質量%であることがより好ましく、90.0〜100.0質量%であることが更に好ましく、100.0質量%であることが最も好ましい。
また、本発明の焼成食品用チョコレートは、総油分に占めるココアバターの割合が45.0〜100.0質量%であることが好ましく、65.0〜100.0質量%であることがより好ましく、90.0〜100.0質量%であることが更に好ましく、100.0質量%であることが最も好ましい。
【0020】
本発明の焼成食品用チョコレート中におけるカカオ固形原料由来の固形分含量は15.0〜30.0質量であることが好ましく、16.0〜25.0質量%であることがより好ましく、18.0〜22.0質量%であることが更に好ましく、18.5〜20.0質量%であることが最も好ましい。本発明において、カカオ固形原料由来の固形分とは、カカオ固形原料から油分、水分を除いた固形分の総量のことである。例えば、カカオマス(固形分45質量%)40質量%、ココアパウダー(固形分90質量%)20質量%含有するチョコレート中におけるカカオ固形原料由来の固形分含量は36質量%となる。焼成食品用チョコレート中におけるカカオ固形原料由来の固形分含量が前記範囲にあると、焼成後のチョコレートは良好な口溶けを保ちつつ、形状も保持されたものとなる。
【0021】
本発明の焼成食品用チョコレート中における総油分含量に対するカカオ固形原料由来の固形分含量の比率(カカオ固形原料由来の固形分含量/総油分含量)が0.56以上であり、0.58〜1.00であることが好ましく、0.60〜0.80であることがより好ましく、0.60〜0.70であることが最も好ましい。焼成食品用チョコレート中における総油分含量に対するカカオ固形原料由来の固形分含量の比率が前記範囲にあると、焼成後のチョコレートは形状が保持され、油の染み出しも抑えられたものとなる。
【0022】
本発明の焼成食品用チョコレート中における水分含量は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。
【0023】
本発明の焼成食品用チョコレートに使用される糖類としては、糖、糖アルコール等が挙げられる。糖類の具体例としては、例えば、ショ糖(砂糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリン等を例示することができるが、ショ糖を使用することが好ましい。焼成食品用チョコレート中の糖類含量は、好ましくは45〜54質量%であり、より好ましくは47〜52質量%である。
【0024】
本発明の焼成食品用チョコレートには、乳固形分、乳化剤、香料を使用することができる。
乳固形分の具体例としては、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー等を例示することができる。本発明の焼成食品用チョコレート中の乳固形分含量は、好ましくは3〜30質量%であり、より好ましくは4〜25質量%である。
乳化剤の具体例としては、レシチン、リゾレシチン(酵素分解レシチン)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等を例示することができるが、レシチンを使用することが好ましい。本発明の焼成食品用チョコレート中の乳化剤含量は、好ましくは0.2〜0.7質量%であり、より好ましくは0.3〜0.6質量%である。
香料の具体例としては、バニラ系の香料、ミルク系の香料、チョコレート系の香料等を例示することができるが、バニラ系の香料を使用することが好ましい。本発明の焼成食品用チョコレート中の香料含量は、好ましくは0.01〜0.10質量%であり、より好ましくは0.02〜0.06質量%である。
【0025】
本発明の焼成食品用チョコレートは、特別な成分を使用せずとも焼成耐性を有するものである。しかし、本発明の焼成食品用チョコレートには、その他の成分として、上記成分以外にも焼成食品用チョコレートに配合可能な成分であれば特に制限されることなく配合することができる。また、その他の成分の配合量は、焼成食品用チョコレートに通常配合される範囲で配合することができる。その他の成分の具体例としては、色素、澱粉類、ガム類、熱凝固性蛋白(大豆粉、大豆蛋白等)、各種粉末類、ナッツペースト等を例示することができる。
【0026】
本発明の焼成食品用チョコレートは、通常のチョコレートの製造条件及び製造方法により製造することができる。具体的には、混合、微粒化(ロールリファイニング等)、コンチング、テンパリング、冷却、成形等を行い製造することができる。なお、非テンパリング型チョコレートの場合、テンパリングを行う必要はない。
【0027】
本発明の焼成食品用チョコレートの形状は、特に制限されることないが、チップ状、チャンク状、粒状、板状であることが好ましい。
【0028】
本発明の焼成食品用チョコレートは、焼成耐性を有することから、焼成食品に好適に利用することができる。
【0029】
本発明の焼成食品は、本発明の焼成食品用チョコレートを含む焼成食品生地を焼成することで得られることを特徴とする。より詳しくは、本発明の焼成食品は、本発明の焼成食品用チョコレートを焼成前の焼成食品生地に混ぜる、練り込む、挟む、包む等により、チョコレートが焼成食品生地中に含まれた状態でチョコレートと焼成食品生地とを共に焼成することで得られることを特徴とする。
【0030】
本発明の焼成食品は、小麦粉等の穀粉を主成分とする生地(焼成食品生地)を焼成することで得られるものであれば特に限定されないが、パン生地、焼き菓子生地を焼成することで得られるパン、焼き菓子等を例示することができる。本発明の焼成食品の具体例としては、デニッシュ、クロワッサン、食パン、ロールパン、ブリオッシュ等のパン、クッキー、ビスケット、クラッカー、プレッツェル、ウェハース、サブレ・ケーキ等の焼き菓子を例示することができる。
【0031】
特に本発明の焼成食品は、焼成食品生地中の油分含量が10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、15〜35質量%であることが更に好ましく、15〜20質量%であることが最も好ましい。焼成食品生地中の油分含量が10質量%以上の焼成食品としては、デニッシュ、クロワッサン等が好ましい。通常焼成食品生地中の油分含量が多い焼成食品は、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがより起こりやすい。しかし、本発明の焼成食品は、焼成食品生地中の油分含量が多い焼成食品であっても、焼成後にチョコレートからの油の染み出しが起こりにくいものである。
【0032】
本発明の焼成食品は、本発明の焼成食品用チョコレートを焼成前の焼成食品生地に混ぜる、練り込む、挟む、包む等により、チョコレートが焼成食品生地中に含まれた状態でチョコレートと焼成食品生地とを共に焼成すること以外は、通常の焼成食品の製造条件及び製造方法により製造することができる。
【0033】
本発明の焼成食品は、配合されたチョコレートが焼成耐性を有するため、焼成後にチョコレートの形状が保持されている、かつ、焼成後にチョコレートからの油の染み出しがないものである。
【実施例】
【0034】
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例になんら制限されるものではない。
【0035】
<チョコレートの評価1:デニッシュパンでの評価>
表1〜2の配合にて、常法により原料を混合、微粒化(ロールリファイニング)、コンチング、テンパリング、冷却を行った後、約5×5×5mmとなるような直方体(チャンク状)に成形することでチョコレートを得た。
市販のデニッシュパン用生地(製品名:デニッシュシート、製造者:富澤商店、油分含量:18質量%)50gに対して、得られた各チョコレート25gを当該生地に練り込むことでチップチョコ入りデニッシュパン生地を得た。得られたチップチョコ入りデニッシュパン生地をオーブンで焼成することでチップチョコ入りデニッシュパンを得た。
焼成後、室温(約25℃)にて1時間放置した後、チップチョコ入りデニッシュパンのチョコレートの形状(焼き残り)及びチョコレートからの油の染み出しを目視で下記基準により評価した。結果を表1〜2に示す。
なお、実施例1、2のチョコレート、比較例1、5、6のチョコレートは表示規約の純チョコレート生地に相当し、比較例2〜4のチョコレートは表示規約のチョコレート生地に相当する。また、全てのチョコレートは水分含量が1質量%以下であった。また、全てのチョコレートはテンパリング型チョコレートである。
【0036】
<焼成後のチョコレートの形状(焼き残り)評価基準>
○・・・チョコレートの形状が保持されている
△・・・チョコレートの形状があまり残っていない
×・・・チョコレートの形状が残っていない
【0037】
<焼成後のチョコレートからの油の染み出し評価>
○・・・チョコレートから油が染み出していない
△・・・チョコレートから若干油が染み出している
×・・・チョコレートから油が染み出している
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
表2から明らかなように、総油分含量、カカオ固形原料由来の固形分含量/総油分含量が規定の範囲内である実施例1、2のチョコレートを使用したデニッシュパンは、両評価項目共に良好な結果であった。
一方、表1〜2から明らかなように、総油分含量、カカオ固形原料由来の固形分含量/総油分含量が規定の範囲を外れる比較例1〜6のチョコレートを使用したデニッシュパンは、両評価項目共に良好な結果となったものはなかった。
【0041】
<チョコレートの評価2:ロールパンでの評価>
表3の配合のロールパン生地30gに対して、実施例1、2のチョコレート10gを当該生地に練り込むことでチップチョコ入りロールパン生地を得た。得られたチップチョコ入りロールパン生地をオーブンで焼成することでチップチョコ入りロールパンを得た。
焼成後、室温(約25℃)にて1時間放置した後、チップチョコ入りロールパンのチョコレートの形状(焼き残り)及びチョコレートからの油の染み出しを目視で上記基準により評価した。結果を表4に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
表4から明らかなように、総油分含量、カカオ固形原料由来の固形分含量/総油分含量が規定の範囲内である実施例1、2のチョコレートを使用したロールパンは、両評価項目共に良好な結果であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
総油分含量が20.0〜32.2質量%、総油分含量に対するカカオ固形原料由来の固形分含量の比率が0.56以上である焼成食品用チョコレート。
【請求項2】
テンパリング型チョコレートである請求項1に記載の焼成食品用チョコレート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の焼成食品用チョコレートを含む焼成食品生地を焼成して得られる焼成食品。
【請求項4】
前記焼成食品がデニッシュ又はクロワッサンである請求項4に記載の焼成食品。

【公開番号】特開2012−70710(P2012−70710A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219918(P2010−219918)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【出願人】(397059157)大東カカオ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】