説明

照明制御付き対話型入力装置

対話型入力装置(20)は、対象領域の複数の画像を取得する少なくとも1つの撮像装置(60、62)と、各々が対象領域を照明する複数の放射源(40〜44、64、66)と、異なる放射源からの寄与に基づいている別個の複数の画像フレームを生成することができるように、複数の放射源と少なくとも1つの撮像装置との動作を調整するコントローラとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して対話型入力装置に関し、特に照明制御付き対話型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが能動ポインタ(光、音、または他の信号を放射するポインタなど)、受動ポインタ(指、円筒、他の物体など)、またはたとえばマウスやトラックボールなどの他の適切な入力装置を使用してアプリケーションプログラムにインクを入力できるようにする対話型入力装置が公知である。この対話型入力装置には、参照によってその内容が援用される本出願の譲受人であるカナダ、アルバータ州、カルガリーのSMART Technologies ULCに譲渡された特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8に開示されているようなポインタ入力を登録するためにアナログ抵抗技術またはマシン・ビジョン技術を使用しているタッチパネルを有するタッチ装置、ポインタ入力を登録するために電磁技術、容量技術、音声技術、または他の技術を使用しているタッチパネルを有するタッチ装置、タブレットパーソナルコンピュータ(PC)、ラップトップPC、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、および他の同様の装置が含まれるがこれらには限定されない。
【0003】
対話型入力装置においてタッチ表面に対してポインタを検出するのを容易にするために、さまざまな照明方式が検討されてきた。たとえばCarrol他の特許文献9は、複数の光電変換器が組み込まれている光電タッチパネル用の動的レベルシフタを開示している。動的レベルシフタは、タッチパネルの通常の動作中は、各光電変換器が放射エネルギーのパルスを受信できる期間の直前に周辺光のレベルを周期的に検知する。そのような期間中の各光電変換器の出力は、放射エネルギーパルスの有無を示している信号を、周辺光の変動とは無関係に生成するために、前回の周辺光の期間の出力と比較される。
【0004】
Doeringの特許文献10は、明るい周辺光の状態でも、1つまたは2つ以上の光ビームがいつ遮られたかを検出するために、変調された複数の光ビームを利用するタッチパネル装置を開示している。タッチパネル装置は周辺が定められているタッチ感知表示面を有している。多数の発光要素と受光要素とが表示面を囲んでいる。これら発光要素および受光要素は、発光要素と受光要素の選択された複数の対によって定まる複数の光路が表示面を横切って、交差する光路の格子を定めるように配置されている。走査回路が、発光要素と受光要素の選択された複数の対を順番にイネーブルにし、発光された光の振幅を所定のパターンに従って変調する。現在イネーブルな受光素子が所定のパターンに従って変調されている出力信号を生成していないと、フィルタが遮断光路信号を生成する。フィルタが、表示面の周辺内で互いに交差する光路に対応する少なくとも2つの遮断光路信号を生成していると、コンピュータが、物体が表示面に隣接しているかどうかを判定し、もしそうならば、該物体の位置を求める。
【0005】
Tohの特許文献11は、異なる照明技術を、対象物体を含むシーンに同時に適用できるようにする画像取得装置を開示している。1つの位置内では、異なる照明技術によって照明されている多数の画像が、複数の画像の各々を取得するための特定の波長帯域を選択することによって取得される。典型的な用途では、背面照明と前面照明の両方が、物体を照明するために同時に使用され、異なる画像解析方法が、取得された複数の画像に適用される。
【0006】
Ogawaの特許文献12は、ポインタ機器を認識して、指またはポインタを使用した入力を可能にする光学デジタイザを開示している。光学デジタイザは、光線を放射する光源と、座標面の周辺に配置されて、ポインタ機器の撮像後にポインタ機器の画像を電気信号に変換する撮像装置と、撮像装置によって変換された電気信号を処理後に指示位置を計算する計算装置とを有している。偏光装置が、光源によって放射された光線を第1の偏光光線または第2の偏光光線に偏光する。切り替え装置が、座標面上の照射光を第1の偏光光または第2の偏光光に切り換える。再帰反射特性を備えている再帰反射材料が座標面の枠の位置に取り付けられている。透過軸を備えている偏光フィルムが第1の偏光光線を透過させる。判定装置が、ポインタ機器の画像が第1の偏光光線によって取得されたときにポインタ機器を第1のポインタ機器と判定し、ポインタ機器の画像が第2の偏光光線によって取得されたときにポインタ機器を第2のポインタ機器と判定する。
【0007】
Kingの特許文献13は、目標の所望の複数の特徴を、該目標について関心のある情報を抽出するために、該目標の画像を1つまたは2つ以上の異なる照明条件下で取得し、かつ画像解析を使用することによって、見分けるようにマシン・ビジョン装置の能力を改善する方法と装置とを開示している。紫外光が、該目標の様々な特徴を強調表示するために、単独で、および/または光軸上のまたは低角度の直接照明と組み合わせて使用される。目標とカメラとの間に配置されている1つまたは2つ以上のフィルタが、カメラによって取得される1つまたは2つ以上の画像から不要な光を取り除くのを助ける。画像は、従来の画像解析技術によって解析してもよく、結果は記録されるかコンピュータ表示装置上に表示される。
【0008】
Newtonの特許文献14は、前部表面と、後部表面と、複数の縁と、内部体積とを有しているタッチパネルを開示している。エネルギー源がタッチパネルの第1の縁の近くに配置され、タッチパネルの内部体積内を伝搬するエネルギーを放射するように構成されている。拡散反射器が、内部体積から漏れたエネルギーの少なくとも一部を反射して拡散するようにタッチパネルの前部方面の近くに配置されている。少なくとも1つの検出器が、タッチパネルの第1の縁の近くに配置され、タッチパネルの前部表面にわたって拡散するように反射されたエネルギーの強度レベルを検出するように構成されている。タッチパネルの第1の縁の近くに離れて位置する2つの検出器によって、単純な3角測量技術を使用してタッチ位置の計算することができる。
【0009】
Nakamura他の特許文献15は、物体が画面に接触したかどうかを判定する精度と、該物体の座標位置を計算する精度との両方を向上させるために画像内の複数のエッジを検出するエッジ検出回路を開示している。接触判定回路が、物体が画面に接触したかどうかを判定する。校正回路が、外光に応答して複数の光学センサの感度を制御して、それによって、複数の光学センサの駆動条件が複数の光学センサの出力値に基づいて変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許明細書第5,448,263号
【特許文献2】米国特許明細書第6,141,000号
【特許文献3】米国特許明細書第6,337,681号
【特許文献4】米国特許明細書第6,747,636号
【特許文献5】米国特許明細書第6,803,906号
【特許文献6】米国特許明細書第7,232,986号
【特許文献7】米国特許明細書第7,236,162号
【特許文献8】米国特許明細書第7,274,356号
【特許文献9】米国特許明細書第4,243,879号
【特許文献10】米国特許明細書第4,893,120号
【特許文献11】米国特許明細書第6,346,966号
【特許文献12】米国特許明細書第6,498,602号
【特許文献13】米国特許出願公開第2003/0161524号
【特許文献14】米国特許出願公開第2005/0248540号
【特許文献15】米国特許出願公開第2006/0170658号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述の特許文献は、照明技術を使用している装置を開示しているが、対話型入力装置におけるユーザ入力の検出を向上させる照明技術の改良が望まれている。したがって、本発明の目的は、照明制御付きの新規な対話型入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、一態様では、対象領域の複数の画像を取得する少なくとも1つの撮像装置と、各々が対象領域を照明する複数の放射源と、別個の複数の画像フレームを、異なる放射源からの寄与に基づいている生成できるように、複数の放射源と少なくとも1つの撮像装置との動作を調整するコントローラとを有する対話型入力装置が提供される。
【0013】
一実施態様において、各放射源は別個の切り換えパターンに従ってオンとオフとが切り換えられる。複数の別個の切り換えパターンと撮像装置のフレームレートは、周辺光と点滅している光源からの影響を実質的に取り除くように選択されている。複数の別個の切り換えパターンは実質的に直交しており、複数のWalsh符号に従ってもよい。
【0014】
他の態様によれば、対象領域の重なっている複数の画像を複数の異なる位置から取得する少なくとも2つの撮像装置と、対象領域を照明する、各撮像装置に組み合わされた放射源と、複数の放射源に対応している複数の別個の切り換えパターンを使用して複数の撮像装置の複数のフレームレートのタイミングを設定し、異なる複数の放射源からの複数の寄与に基づいて複数の画像フレームを生成するように取得された複数の画像フレームを復調するコントローラと、対象領域内のポインタの位置を求めるために、個別の複数の画像フレームを処理する処理構造と、を有する対話型入力装置が提供される。
【0015】
さらに他の態様によれば、対象領域の複数の画像を取得する少なくとも1つの撮像装置と、各々が対象領域を照明する複数の放射源とを有する対話型入力装置において、複数の画像フレームを生成する方法であって、概ね直交している別個の切り換えパターンに従って各放射源をオンとオフにすることと、撮像装置のフレームレートを別個のパターンに同期させることと、異なる複数の放射源からの複数の寄与に基づいて複数の画像フレームを生成するために複数の画像フレームを復調することとを有する、複数の画像フレームを生成する方法が提供される。
【0016】
またさらに他の態様によれば、対象領域の複数の画像を取得する少なくとも1つの撮像装置と、対象領域を照明する複数の放射源とを有する対話型入力装置における撮像方法であって、複数の放射源の出力を変調することと、撮像装置のフレームレートを変調されている放射源の出力に同期させることと、異なる複数の放射源からの複数の寄与に基づいて複数の画像フレームを生成するために複数の画像フレームを復調することとを有する撮像方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】照明制御付き対話型入力装置の斜視図である。
【図2】図1の対話型入力装置の概略正面図である。
【図3】図1の対話型入力装置の一部の概念的な斜視図である。
【図4】図1の対話型入力装置の一部の概略図である。
【図5】サブフレーム取得時の画像センサと赤外光源のオン/オフのタイミングパターンの図である。
【図6】さまざまな画像サブフレームの組み合わせによる画像フレームの生成を示す概略図である。
【図7】図4に示されている変調照明コントローラの概略図である。
【図8】図7の変調照明コントローラの一部を構成するサブフレームコントローラの概略図である。
【図9】図7の変調照明コントローラの一部を構成している復調器の概略図である。
【図10】図7の変調照明コントローラの一部を構成している光出力インターフェイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、実施形態を、添付の図面を参照してより詳しく説明する。
【0019】
ここで図1から4を参照すると、ユーザが「インク」などの入力をアプリケーションプログラムに対して行うことができるようにする対話型入力装置が図示され、全体に参照番号20が付けられている。本実施形態では、対話型入力装置20は、たとえばプラズマテレビ、液晶ディスプレイ(LCD)装置、フラットパネル表示装置、陰極線管などの表示ユニット(不図示)に接続され、表示ユニットの表示面24を囲んでいる組み立て体22を有している。組み立て体22は表示面24の近くの対象領域に移動させられたポインタを検出するためにマシン・ビジョンを使用し、1つまたは2つ以上のアプリケーションプログラムを実行するコンピュータ26とユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブル28を通して通信する。コンピュータト26は組み立て体22の出力を処理し、表示ユニットに出力された画像データを、表示面24に表示された画像がポインタ動作を反映するように調整する。このようにして、組み立て体22とコンピュータ26は、表示面24の近くのポインタ動作が、書き込みまたは描画として記録され、あるいはコンピュータ26によって実行される1つまたは2つ以上のアプリケーションプログラムの実行を制御するのに使用されるのを可能にする。
【0020】
組み立て体22は表示ユニットに一体化され、または取り付けられて、表示面24を囲む枠アセンブリを有している。枠アセンブリは、3つの照明されているベゼル部分40〜44、4つの角部品46、およびツールトレイ部分48を有している。ベゼル部分40、42は表示面24の対向している各側縁に沿って延び、ベゼル部分44は表示面24の上部縁に沿って延びている。照明されているベゼル部分40から44は、表示面24に隣接する対象領域内に位置するポインタが、放出された赤外線によって背後から照明されるように赤外線照明を放つように調節することができる赤外線(IR)光源を表示面周辺に構成している。ベゼル部分40から44は、参照によってその内容が援用される本出願の譲受人であるカナダ、アルバータ州、カルガリーのSMART Technologies ULCに譲渡された米国特許明細書第6,972,401号に開示されている種類のものであってよい。ツールトレイ部分48は表示面24の下部縁に沿って延び、1つまたは2つ以上のペンツールPを支持している。表示面24の左上の角と右上の角に隣接している2つの角部品46は、ベゼル部分40と42をベゼル部分44に結合している。表示面24の左下の角と右下の角に隣接している2つの角部品46はベゼル部分40と42をツールトレイ部分48に結合している。表示面24の左下の角と右下の角に隣接している角部品46はベゼル部分40と42をツールトレイ部分48に結合している。
【0021】
本実施形態では、表示面24の左下と右下の角に隣接している2つの角部品46は、異なる位置から概ね表示面24全体を見渡す2つの画像センサ60と62を収容している。画像センサ60と62はMT9V023というモデル番号でMicronによって製造されている種類で、BoowonによってBW25Bというモデル番号で製造されている、該画像センサに98度の視野をもたらす880nmレンズに取り付けられている。もちろん、当業者は、他の市販の画像センサまたはカスタム画像センサを使用してもよいことを理解するであろう。表示面24の左下と右下の角に隣接している2つの角部品46の各々は、関連する画像センサの近くに位置している赤外線光源64、66も収容している。赤外線光源64と66は、対象領域内に位置するポインタが、放射された赤外放射線によって前部が照明されるように、赤外照明を放射するように調整することができる。
【0022】
画像センサ60と62は、照明されているベゼル部分40と44と赤外線光源64と66の動作を光制御回路72〜76を通して制御する変調照明コントローラ70と通信する。各光制御回路72〜76は、パワートランジスタとバラスト抵抗とを有している。光制御回路72は、照明されているベゼル部分40〜46に付属しており、光制御回路74は赤外線光源64と組み合わされ、光制御回路76は赤外線光源66と組み合わされている。光制御回路72〜76のトランジスタとバラスト抵抗は、組み合わされている赤外線光源と電源との間で作動する。変調照明コントローラ70は水晶発振器78からクロック入力を入力し、マイクロプロセッサ80と通信する。マイクロプロセッサ80は、USBケーブル28を通してコンピュータ26とも通信する。
【0023】
変調照明コントローラ70は、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)などの集積回路上に実装されていることが好ましい。あるいは、変調照明コントローラ70は、汎用のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)チップまたは他の適切なプロセッサ上に実装されていてもよい。
【0024】
対話型入力装置20は、たとえばユーザの指F、円柱、または他の適切な物体などの受動ポインタだけではなく、表示面24の近くで、2つの画像センサ60と62の視野内に移動されられた再帰反射性または高反射のペン先を有する能動ペンツールPをも検出するように構成されている。一般に、動作中は、照明されているベゼル部分40〜44、赤外線光源64、および赤外線光源66は、変調照明コントローラ70によって各々が別個のパターンでオンとオフとにされる(つまり変調される)。これら複数のオンとオフの切り換えパターンは、それらが概ね直交するように選択される。その結果、1つの切り換えパターンと他の切り換えパターンとの相互相関を取った場合、結果は実質的にゼロであり、切り換えパターンとそれ自身との相互相関を取った場合、結果は正の利得となる。これによって、複数の画像フレームを、照明されているベゼル部分40〜44と赤外線光源64と66とを同時にアクティブに(作動)した状態で画像センサ60と62によって取得し、かつ処理されたこれら複数の画像フレームが、複数の赤外線光源のうちの選択された1つからの寄与だけを含む別個の画像フレームを生成するようにすることができる。
【0025】
本実施形態では、符号分割多重アクセス(CDMA)通信システムで使用されるようなWalsh符号の直交の性質が、異なる光源からの画像への寄与を分離できるように、照明されているベゼル部分40〜44と赤外線光源64と66とを変調するために使用されている。たとえば、Walsh符号W1={1,−1,1,−1,1,−1,1,−1}とW2={1,1,−1,−1,1,1,−1,−1}は直交しており、これは、対応している両要素の積を取り、合計すると、結果がゼロになることを意味する。理解されるように、光源は負の強度をとることができない。そのため、照明されているベゼル部分40〜44、赤外線光源64、および赤外線光源66は、値が1のWalsh符号ビットはオン状態を示し、値が0のWalsh符号ビットはオフ状態を示している、個別の修正されたWalsh符号MWxに従って各々が変調照明コントローラ70によってオンとオフにされる。特に、照明されているベゼル部分40〜44は修正されたWalsh符号MW1={1,0,1,0,1,0,1,0}に従ってオンとオフにされる。赤外線光源64は修正されたWalsh符号MW2={1,1,0,0,1,1,0,0}に従ってオンとオフにされる。赤外線光源66は修正されたWalsh符号MW3={1,0,0,1,1,0,0,1}に従ってオンとオフとにされる。理解されるように、Walsh符号の負のビット値をゼロ値に置き換えることによってIR照明に対してDCバイアスが生じる。
【0026】
復調時に、Walsh符号W1={1,−1,1,−1,1,−1,1,−1}、W2={1,1,−1,−1,1,1,−1,−1}、およびW3={1,−1,−1,1,1,−1,−1,1}が用いられる。これらのWalsh符号は、これらが960Hzのサブフレームレートにおいて、スペクトルゼロをDC、120Hz、240Hz、および360Hzにおいて有しているので、興味深い。その結果、これらのWalsh符号の相関が取られると、DC、120Hz、240Hz、および360Hzの周波数が取り除かれ、外部の定常光(たとえば太陽光)の影響、修正されたWalsh符号MWxによって生じたDCバイアス、共通の周波数、すなわち北アメリカでは120Hzで点滅する光源(たとえば蛍光光源と白熱光源など)の影響を取り除くことができる。対話型入力装置20が、照明が異なる周波数で点滅する異なった環境で使用されると、サブフレームレートはこの点滅する光の影響を取り除くように調整される。
【0027】
画像センサ60と62は、毎秒あたりの960個のフレーム(fps)がサブフレームレートで8個のサブフレームが取得されることで各画像センサが120Hzのフレームレートになるように、照明されているベゼル部分40〜44、赤外線光源64、および赤外線光源66のオン/オフ切り換えパターンに同期して変調照明コントローラ70によって動作させられる。図5は複数の赤外線光源のオン/オフ切り換えパターンと、画像センサ60と62のサブフレームの取得レートとを示している。画像センサ60と62によって取得された複数のサブフレームは、図6に示されているように、変調照明コントローラ70によって異なる組み合わせに組み合わされて、結果として得られた複数の画像フレーム、すなわち照明されているベゼル部分40〜44によって放射された赤外照明の寄与だけに実質的に基づく、各画像センサ60、62からの画像フレーム90、赤外線光源64によって放射された赤外照明の寄与だけに実質的に基づく、画像センサ60からの画像フレーム92、赤外線光源66によって放射された赤外照明の寄与だけに実質的に基づく、画像センサ62からの画像フレーム94、照明されているベゼル部分40〜44、赤外線光源64、赤外線光源66、および周辺光によって放射された赤外照明の寄与に基づく、各画像センサ60、62からの画像フレーム96を生成する。
【0028】
変調照明コントローラ70によって生成された結果として得られた複数の画像フレームは次にマイクロプロセッサ80に転送される。これら複数の画像フレームを受信すると、マイクロプロセッサ80は、これら画像フレームを、各画像センサ60、62に対して生成された、照明されているベゼルフレーム40〜44によって放射された赤外照明の寄与だけに実質的に基づいて調べ、ポインタの存在を検出する。これらの画像フレームについては、照明されているベゼル部分40〜44はこれら複数の画像フレーム内に明るい帯として現れる。サブフレームの取得中にポインタが表示面24の近くにあると、ポインタは、照明されているベゼル部分40〜44によって放射されたバックライトの赤外照明を隠すことになる。その結果、ポインタは各画像フレーム内に明るい帯を遮る暗い領域として現れる。
【0029】
マイクロプロセッサ80は各画像センサ60、62によって対で出力された連続する画像フレームを処理する。画像センサからの画像フレームの対が使用できる場合、マイクロプロセッサ80は該画像フレームを減算処理して差分画像フレームを構成し、次に該サブ画像フレームを処理し、ポインタが該差分画像フレーム内に存在する可能性を表わす不連続値を生成する。ポインタが表示面24の近くに存在していない場合、これら複数の不連続値は大きい。ポインタが表示面24の近くに存在している場合、これら不連続値のうちのいくつかが閾値未満になり、該差分画像フレーム内にポインタが存在することを容易に判定することができる。
【0030】
各差分画像フレームについて前記不連続値を生成するために、マイクロプロセッサ80は画像フレームの各画素列内の複数の画素の強度値を合計することによって、画像フレームについて垂直強度プロファイル(VIPbezel)を計算する。ポインタが存在しない場合、VIPbezel値は画像フレームの全ての画素列について大きいままになる。しかし、ポインタが画像フレーム内に存在していると、VIPbezel値は、画像フレーム内のポインタの位置に相当する領域における小さい値に低下する。各画像フレームについてVIPbezel値によって定まる、結果として得られたVIPbezel曲線が、VIPbezel曲線がポインタの存在を示す閾値未満に低下しているどうかを判定するために調べられ、もし低下しているならば、VIPbezel曲線内でポインタの対向している両側を示している左右のエッジを検出する。
【0031】
特に、各画像フレーム内の左と右のエッジを見つけるために、VIPbezel曲線の1次微分が勾配曲線∇VIPbezel(x)を生成するために計算される。VIPbezel曲線がポインタの存在を示す閾値よりも下に下がると、結果として得られた勾配曲線∇VIPbezel(x)は、VIPbezel曲線の低下によって構成されるエッジを表わす負のピークと正のピークとが境界になっている領域を含むことになる。これら2つのピーク、したがって該領域の2つの境界を検出するために、勾配曲線∇VIPbezel(x)はエッジ検出器に委ねられる。
【0032】
特に、閾値Tがまず勾配曲線∇VIPbezel(x)に適用され、各位置xについて勾配曲線∇D(x)の絶対値が閾値よりも小さい場合、勾配曲線∇VIPbezel(x)の値は、以下に表されるように、ゼロに設定される。
【0033】
【数1】

【0034】
閾値を適用する手続きに続けて、閾値が適用された勾配曲線∇VIPbezel(x)はポインタの対向する側部を表わす負のスパイクと正のスパイクとを含んでおり、その他の部分はゼロである。左と右のエッジは次に閾値が適用された勾配曲線∇VIPbezel(x)の2つの非ゼロのスパイクからそれぞれ検出される。左のエッジを計算するために、重心距離CDleftが、以下の式に従って、ピクセル列Xleftから始まる、閾値が適用された勾配曲線∇VIPbezel(x)の左のスパイクから計算される。
【0035】
【数2】

【0036】
ここで、xiは勾配曲線∇VIPbezel(x)の左のスパイク内のi番目のピクセル列のピクセル列番号、iは1から閾値が適用された勾配曲線∇VIPbezel(x)の左のスパイクの幅まで反復され、Xleftは、値がゼロ(0)から系の雑音に基づいて経験的に求められた閾値だけ異なっている、勾配曲線∇VIPbezel(x)上の値に対応している画素列である。閾値が適用された勾配曲線∇VIPbezel(x)の左のエッジは次にXleft+CDleftと等しいと判定される。
【0037】
右のエッジを計算するために、重心距離CDrightが、以下の式に従って、ピクセル列Xrightから開始して、閾値が適用された勾配曲線∇VIPbezel(x)の右のスパイクから計算される。
【0038】
【数3】

【0039】
ここで、xjは勾配曲線∇VIPbezel(x)の右のスパイク内のj番目のピクセル列のピクセル列番号、jは1から閾値が適用された勾配曲線∇D(x)の右のスパイクの幅まで反復され、Xrightは、値がゼロ(0)から、系の雑音に基づいて経験的に求められた閾値だけ異なっている、勾配曲線∇VIPbezel(x)上の値に対応している画素列である。閾値が適用された勾配曲線の右のエッジは次にXright+CDrightと等しいと判定される。
【0040】
閾値が適用された勾配曲線∇VIPbezel(x)の左と右のエッジがいったん計算されると、特定された左と右のエッジの中間点が計算され、それによって差分画像フレーム内のポインタの位置が求められる。
【0041】
ポインタが、実質的に、照明されているベゼル40〜44によって放射された赤外照明の寄与だけに基づいて複数の画像フレーム内で検出されると、実質的に、赤外線光源64によって放射された赤外照明の寄与だけに基づいている複数の画像フレームおよび実質的に、赤外線光源66によって放射された赤外照明の寄与だけに基づいている複数の画像フレームは、ポインタがペンツールPである角うかを判定するために処理される。理解されるように、ポインタがペンツールPであると、ペンツールPは、ペンツールの再帰反射性のペン先によって赤外線光源に向かって戻る、したがって画像センサ60と62に向かう放射された赤外照明の反射のために、各画像センサによって取得された画像フレーム内の暗い背景上に明るい領域として現れることになる。ポインタが指Fであると、ポインタはこれらの画像フレーム内の少なくとも1つに実質的により暗く現れる。
【0042】
ペンツールPが存在すると判定されると、複数の画像フレームは、ペンツールPのこれら複数の画像フレーム内の位置を求めるために前述したのと同様に処理される。
【0043】
複数の画像フレーム内のポインタの位置が求められた後、コントローラ120は、該複数の画像フレーム内の複数のポインタ位置を用いて、Morrison等の引用文献5に記載されているような公知の方法で三角測量を使用して表示面24に対する、(x、y)座標でのポインタの位置を計算する。計算されたポインタ座標は次にマイクロプロセッサ80によってUSBケーブル28を通してコンピュータ26に送られる。コンピュータ26は受信したポインタ座標を処理し、必要ならば、表示面24に表示されている画像がポインタの動作を反映するように、表示ユニットに出力される画像出力を更新する。このようにして、ポインタの、表示面24との相互作用を書き込みまたは描画として記録したり、コンピュータ30上で実行される1つまたは2つ以上のアプリケーションプログラムの実行を制御するために使用したりすることができる。
【0044】
変調照明コントローラ70の構成要素とその動作とを特に図7から10を参照して説明する。ここで、図7を参照すると、変調照明コントローラ70をより良く示されている。図からわかるように、変調照明コントローラ70は水晶発振器78によって出力された複数のクロック信号を受け取る画像センサコントローラ100を有している。画像センサコントローラ100は、画像センサのサブフレームレートを設定するために複数のタイミング信号を画像センサ60と62に出力し、PIXCLK、LED、Frame_Valid、およびLine_Valid信号線を通してサブフレームコントローラ102に接続されている。画像センサコントローラ100は、複数の復調器、この場合は6個の変調器104a〜104fとも通信する。特に、画像センサコントローラ100は、CAM1DATA線を通して復調器104a〜104cに接続され、CAM2DATA線を通して復調器104d〜104fに接続されている。画像センサコントローラ100は、PIXCLK信号線を通して復調器104a〜104fにも接続されている。復調器104a〜104fは、出力インターフェイス106にD信号線、A信号線信号線、およびOEx信号線を通して接続されている。出力インターフェイス106は、線108を通してサブフレームコントローラ102に、PIXCLK信号線を通して画像センサコントローラ100に、そしてマイクロプロセッサ80にも接続されている。
【0045】
サブフレームコントローラ102は、subframe_D、EN、およびaddress信号線を通して復調器104a〜104fの各々に接続されている。サブフレームコントローラ102は、光制御インターフェイス110〜114の各々にもsubframe_LおよびEXP信号線を通して接続されている。光制御インターフェイス110〜114は、PIXCLK信号線にも接続されている。光制御インターフェイス110は光制御回路72に接続されており、光制御インターフェイス112は光制御回路74に接続されており、光制御インターフェイス114は光制御回路76に接続されている。
【0046】
図8はサブフレームコントローラ102をよりよく示している。図からわかるように、サブフレームコントローラ102は、画像センサコントローラ100から延びているLED、Frame_Valid、PIXCLK、およびLine_Valid信号線を受け入れる4つの入力端子150〜156を有している。特に、入力端子150はLED信号線を受け入れ、入力端子152はPIXCLK信号線を受け入れ、入力端子154はFrame_Valid信号線を受け入れ、入力端子156はLine_Valid信号線を受け入れている。サブフレームコントローラ102は、6つの出力端子、すなわちEXP出力端子160、subframe_L出力端子162、subframe_D出力端子164、INT出力端子166、address出力端子168、およびEN出力端子170も有している。3ビットカウンタ180がLED入力端子150に接続されているその入力と、subframe_L出力端子162に接続されているその出力とを有している。ラッチ182の入力はLED入力端子150にも接続されている。ラッチ182の出力はEXP出力端子160に接続されている。ラッチ182の制御入力は、PIXCLK入力端子152に接続されている。PIXCLK入力端子152は、1対のラッチ184と186の制御入力とカウンタ188の制御入力にも接続されている。ラッチ184のD入力は、インバータ190を通してカウンタ188のゼロ入力に接続されている。ラッチ184のQ入力はゲート192の反転入力とラッチ186のD入力とに接続されている。ラッチ186のQ入力はゲート192の非反転入力に接続されている。ゲート192の出力はゲート194の一方の入力に接続されている。ゲート194の他方の入力は、コンパレータ196の出力に接続されている。ゲート194の出力はINT出力端子166に接続されている。
【0047】
ラッチ200の制御入力はLED入力端子150にも接続されている。ラッチ200のD入力は、subframe_L出力端子162に接続されている。ラッチ200のQ入力はラッチ202のD入力に接続されている。ラッチ202の制御入力はFrame_Valid入力端子154に接続されて、そのQ入力はsubframe_D出力端子164とコンパレータ196の入力とに接続されている。カウンタ188のEN入力はLine_Valid入力端子156に接続され、カウンタ188の出力ピンはアドレス出力端子168に接続されている。Line_Valid入力端子156はEN出力端子170にも直接接続されている。
【0048】
図9は復調器104a〜104fの1つをよりよく示している。図からわかるように、該復調器は7つの入力端子210、すなわちサブフレーム入力端子、データ入力端子212、EN入力端子214、PIXCLK入力端子216、アドレス入力端子218、OE入力端子220、およびA入力端子222を有している。復調器は1つのD出力端子224も有している。ラッチ230は、データ入力端子に接続されているその入力と、拡張ユニット232の入力に接続されているその出力とを有している。ラッチ230制御入力はPIXCLK入力端子216に接続されている。拡張ユニット232の出力は代数加算/減算ユニット234のB入力に接続されている。代数ユニット234のA入力は、マルチプレクサ236の出力に接続されている。代数ユニット234の出力は、2部分メモリユニットの形態の作業バッファ240のDA入力に接続されている。マルチプレクサ236の一方の入力は、0入力242に接続され、マルチプレクサ236の他方の入力ピンは作業バッファ240のDB入力と2部分メモリユニットの形態の出力バッファ250のDA入力との間を延びている信号線244に接続されている。マルチプレクサ236の制御入力はコンパレータ254の出力とゲート256の一方の入力との間を延びている信号線252に接続されている。コンパレータ254の入力とルックアップテーブル258の入力とはサブフレーム入力端子210に接続されている。ルックアップテーブル258の出力は代数ユニット234の制御入力に接続されている。ルックアップテーブル258の論理値1はWalsh符号ビット値の「1」を示しており、代数ユニット234に加算を実行するように命令する。ルックアップテーブル258の論理値0はWalsh符号ビット値の「−1」を示しており、代数ユニット234に減算を実行するように命令する。この例では、ルックアップテーブル258はベゼル部分40〜44からの照明の復調可能にするWalsh符号W1:{1,−1,1,−1,1,−1,1,−1}、赤外線光源64からの照明の復調を可能にするWalsh符号W2:{1,1,−1,−1,1,1,−1,−1}、および赤外線光源66からの照明の復調を可能にするWalsh符号W3:{1,−1,−1,1,1,−1,−1,1}を使用してプログラムされている。周辺光を含む全ての放射された赤外照明に基づいている画像フレームを取得できるようにするためには、ルックアップテーブル250はWalsh符号W0:{1,1,1,1,1,1,1,1}を使用してプログラムされている。
【0049】
ゲート256の他方の入力は、ラッチ262の出力と作業バッファ240のWEA入力との間を延びている信号線260に接続されている。ゲート256の出力は出力バッファ250のWEA入力に接続されている。ラッチ262の入力はEN入力端子214に接続されており、ラッチ262の制御入力はPIXCLK入力端子216に接続されている。PIXCLK入力端子216は作業バッファ240および出力バッファ250の制御入力にもそれぞれ接続されているだけでなく、ラッチ264の制御入力にも接続されている。ラッチ264の入力はアドレス入力端子218に接続されている。ラッチ264の出力は作業バッファ240および出力バッファ250の2つのAA入力にそれぞれ接続されている。アドレス入力端子218は作業バッファ240のAB入力にも接続されている。出力バッファ250のOEB入力およびAB入力はOE入力端子220およびA入力端子222にそれぞれ接続されている。
【0050】
図10は、光制御インターフェイス110〜114の1つをよりよく示している。図からわかるように、光制御インターフェイスはSF入力端子280、EXP入力端子282、およびCLK入力端子284を有している。光制御インターフェイスは1つの出力端子286も有している。8×1ルックアップテーブル290の入力はSF入力端子280に接続されている。ルックアップテーブル290の出力はゲート292の1つの入力に接続されている。ゲート292の第2の入力はEXP入力端子282に接続され、ゲート292の第3の入力はパルス発生器294のQ入力に接続されている。パルス発生器294のT入力はEXP入力端子282に接続され、パルス発生器294の制御入力はCLK入力端子284に接続されている。ゲート292の出力は出力端子286に接続されている。ルックアップテーブル290はサブフレームの取得時の対応する赤外線光源のオン/オフ状態を定めている、各サブフレームについてのWalsh符号の状態を格納している。したがって、照明されているベゼル部分40〜44については、光制御インターフェイス110のルックアップテーブル290は、修正されたWalsh符号MW1={1,0,1,0,1,0,1,0}を使用してプログラムされている。赤外線光源64については、光制御インターフェイス112のルックアップテーブル290は、修正されたWalsh符号MW2={1,1,0,0,1,1,0,0}を使用してプログラムされている。赤外線光源66については、光制御インターフェイス114のルックアップテーブル290は、修正されたWalsh符号MW3={1,0,0,1,1,0,0,1}を使用してプログラムされている。
【0051】
動作については、復調器104aと104dは、実質的にベゼル部分40〜44によって放射された赤外照明だけに基づいている画像センサ60と62からの画像フレームを出力するようにプログラムされている。復調器104bは、実質的に赤外線光源64によって放射された赤外照明にだけ基づいている画像センサ60からの画像フレームを出力するようにプログラムされており、復調器104eは、実質的に赤外線光源66によって放射された赤外照明にだけ基づいている画像センサ62からの画像フレームを出力するようにプログラムされている。復調器104cと104fは、すべての赤外線光源によって放射された赤外照明だけでなく周辺光に基づいている画像センサ60と62からの画像フレームを出力するようにプログラムされている。これらの画像フレームは、マイクロプロセッサ80に対象領域の変調されていない像を供給し、マイクロプロセッサが画像センサの露光制御と、さらに場合によっては物体の分類を実行するのを可能にする。
【0052】
光出力インターフェイス110〜114は割り当てられている修正されたWalsh符号MWxに従って出力信号をそれらに関連する赤外線光源に出力する。前述のように、複数のWalsh符号は画像センサ60と62の露光時間と同期している。
【0053】
画像センサコントローラ100は、制御信号を画像センサ60と62の各々に出力し、画像サブフレームを画像センサ60と62の各々から取得する。水晶発振器78からのクロック信号は、両方の画像センサのためのクロック信号を生成するために使用される。画像センサ60と62は、それらがそれらの画像サブフレームを同時に露光し、サブフレームデータを同時に伝達するように駆動される。本実施形態の両画像センサは、サブフレームデータをそれぞれCAM1DATAデータ線とCAM2DATAデータ線上に、画素クロック信号をPIXCLK信号線上に、サブフレームが露光されていることを示す信号をLED信号線上に、サブフレームがクロック信号に従って出力されていることを示す信号をFRAME_VALID信号線上に、これら複数のデータ線が有効な画素情報を有していることを示す信号をLINE_VALID信号線上に出力する。画像センサは、非線形関数または他の適切な圧縮方法を使用して10ビットのワード(0〜1023)に圧縮される12ビットの解像度(0〜4095)を有している。10ビットのデータ線は、結果として得られる非線形関数がWalsh符号の性質を破壊することを防止するために、復調の前に解凍される。
【0054】
出力インターフェイス106は結果として得られた複数の画像フレームを得るためにマイクロプロセッサ80に必要な信号を出力する。出力インターフェイスの形態は、使用されているマイクロプロセッサの種類と選択されている転送モードとに依存している。INT線上の内部信号は、新しいサブフレームが復調器104a〜104fにおいて使用可能になったときにサブフレームコントローラ102によって生成される。出力インターフェイス106は、OE1信号線を通しての第1の復調器104aの出力を可能にする。出力インターフェイス106は次に、アドレス(A)を順番に生成して、各画素のデータ(D)を読み、結果をシリアル化して、結果をマイクロプロセッサ80に送る。上記のプロセスは、全ての画素情報がマイクロプロセッサ80に転送されるまで、5つの残りの出力イネーブル線OE2〜OE6を使用して他の5つの復調器104b〜104fについて繰り返される。
【0055】
サブフレームコントローラ102には、同期の維持とサブフレームの計数の役割がある。3ビットカウンタ180は、画像センサ60と62によって現在露光されているサブフレーム番号(0〜7)を、subframe_L線を通して光出力インターフェイス110〜114に出力する。カウンタ180は、各画像センサの露光の開始時にLED線上の信号によってインクリメントされ、最後のサブフレームの後にゼロに戻る。画像センサ60と62からのデータは、露光の終了の後(LED信号の立ち下がりエッジ)ある時間まではクロックに同期して読み出されない(not clocked out)。ラッチ300と202はサブフレームのカウントをFRAME_VALID信号の次の正のエッジまで遅延させ、この情報は、ラッチ300と302が現在どのサブフレームを処理しているかを示すために復調器104a〜104fに送られる。EXP信号は光出力インターフェイス110〜114に、それらがそれらに関連している赤外線光源をオンできるように、出力される。EXP信号は、赤外線光源が作動しているときにsubframe_L信号線が安定していることを確保すようにラッチ182によってわずかに遅延させられる。
【0056】
カウンタ188は各サブフレーム内で、各画素に対して一意のアドレスを出力する。該カウンタは各サブフレームの開始時にゼロにされ、有効な画素が読み込まれるたびにインクリメントされる。このアドレスは、CAM1DATAデータ線とCAM2DATA線とが何時であるかを示す有効(EN)と共に各復調器104a〜104fに送られる。
【0057】
有効なデータは、各サブフレーム0の最後に復調器104a〜104fから得られる。ラッチ184と186およびゲート192は1つの正のパルスを各FRAME_VALID信号の最後に出力する。コンパレータ196とゲート194は、この正のパルスがサブフレーム0の最後にだけ通過できるようにする。これによって、INT信号線上の信号を出力インターフェイス106に出力し、これは新しい結果としての画像フレームを送る準備ができていることを示す。
【0058】
作業バッファ240は、複数の中間画像フレームを格納するために使用される。新しい画素が、ルックアップテーブル258に格納されている選択されたWalsh符号に従がって、代数ユニット234を使用して作業バッファ240に加算され、または減算される。
【0059】
サブフレーム0の間、画像センサデータは直接作業メモリ240に転送される。コンパレータ254はサブフレーム0の間は論理1を出力し、これがマルチプレクサ236に代数ユニット234のA入力を強制的に0にさせる。ルックアップテーブル258の出力は、サブフレーム0の間は常に論理1であり、そのため、代数ユニット234は常に入力Bを入力A(ゼロ)に加算することになり、入力Bを作業バッファ240に事実上コピーする。PIXCLKの正の各エッジの位置で、画像センサからの生データがラッチ230にラッチされ、そのアドレスがラッチ264にラッチされ、その有効状態(EN)はラッチ262にラッチされる。前述のように、画像センサからのデータは、圧縮されている10ビットの形態であり、これは処理の前に元の線形の12ビットに展開しなければならない。これは、展開ユニット232によって行われる。展開ユニット232は、追加の上位3ビットも追加して処理中にアンダーフローエラーまたはオーバーフローエラーを防止する15ビットの符号付きフォーマットを生成する。データが有効(ラッチ262の出力がハイ)であると、展開されたデータは代数ユニット234を修正されずに通過して、作業バッファ240内にDA入力を経て画素アドレスAAの位置にラッチされることになる。サブフレーム0の最後に、最初のサブフレーム全体が作業バッファ240にラッチされる。
【0060】
残りのサブフレーム(1〜7)内の画素データは作業バッファ240内の対応している画素値に加算されるか、画素値から減算されなければならない。DATA信号、ADDRESS信号、およびEN信号はラッチ230、264、および262にラッチされるが、その画素の現在の作業値は作業バッファ240のDB入力にラッチされる。コンパレータ254はこれらのサブフレーム内では論理0になり、この結果マルチプレクサ236は該画素の現在の作業値を代数ユニット234のA入力に入力する。ルックアップテーブル258は、値1のWalsh符号ビットは加算を表し、値0のWalsh符号ビットは減算を表すWalsh符号に従って入力Bの新しい画像データを現在の作業値に加算するか作業値から減算するかを判定する。結果は次に、次のクロックサイクルで作業バッファ240の同じアドレスにDA入力を通して戻される。
【0061】
すべての8つのサブフレームの処理後、作業バッファ240は最終的な結果の画像フレームを含んでいる。次のサブフレームのサブフレーム0の間に、この結果の画像フレームは出力バッファ250に転送される。サブフレーム0は作業バッファ240のDB入力からの出力を使用しないので、この同じポートは結果の画像フレームの出力バッファ250への転送に使用される。ゲート256は、サブフレーム0の間、出力バッファ250のAポートの書き込みイネーブル入力(WEA)をイネーブルにする。作業バッファ240からのデータは次に、次の入力サブフレームによって上書きされる直前に出力バッファ250に転送される。出力バッファ250のDB線、アドレス線、および出力イネーブルOB線が次に使用されて、結果の画像フレームが出力インターフェイス106を通してマイクロプロセッサ80へ転送される。
【0062】
露光信号(EXP)がハイになる直前に、サブフレームコントローラ102は露光中の現在のサブフレーム(SF)を設定する。ルックアップテーブル290がゼロ(0)を出力すると、ゲート292はこのサブフレームに対して対応する赤外線光源をオフのままにする。ルックアップテーブルが1を出力すると、対応する赤外線光源がオンに切り換えられる。オンの期間は、パルス発生器294によって定められる。トリガ(T)によって起動されるパルス発生器294は正のパルスを所与の数のクロック周期(この場合画素クロック)の長さ出力する。該パルスの最後、すなわち画像センサの露光時間が終了したときに、ゲート292は対応する赤外線光源をオフに切り換える。
【0063】
パルス発生器294は、各赤外線光源の影響を他の光源とセンサの積分時間とは独立して動的に調整できるようにして、所望のバランスを得る。各赤外線光源のパルス時間は一定に維持されているので、画像センサ60と62の露光時間を、変調されている画像フレーム(復号器104a、104b、104d、および104e)に影響することなく、最適な周辺光画像(復号器104cと104f)を得るように調整することができる。両画像センサの可能な最小積分時間は、3つの赤外線光源の最も長いパルス時間に等しい。2つの画像センサの可能な最大積分時間は画素が飽和し始める点であって、この場合、復調方式は失敗する。
【0064】
前述の実施形態では、Walsh符号が赤外線光源を変調および復調するのに使用されている。当業者は、たとえば、OOK、FSK、ASK、PSK、QAM、MSK、CPM、PPM、TCM、OFDM、FHSS、またはDSSS通信装置で使用されているデジタル符号などの他のデジタル符号を複数の赤外線光源の変調と復調に使用してもよいことを理解するであろう。
【0065】
画像センサは、表示面の下部の角に隣接して配置されているものとして示されているが、当業者は、画像センサが表示面に対する異なる位置に配置されてもよいことを理解するであろう。ツールトレイ部分を有する必要は無く、必要ならば、照明されているベゼル部分に置き換えてもよい。また、照明されているベゼル部分40〜44および光源64と66を赤外線光源として記述したが、当業者は他の適切な放射源を使用してもよいことを理解するであろう。
【0066】
対話型入力装置20を、再帰反射または高反射ペン先を有しているペンツールを検出するとして説明したが、当業者は、対話型入力装置が表示面24の近くにあるときに信号を出力する能動ポインタを検出できることを理解するであろう。たとえば、対話型入力装置は、2008年5月9日に出願され、アルバータ州、カルガリーのSMART Technologies ULCに譲渡された、「Interactive Input System And Pen Tool Therefor(対話型入力装置とそのためのペンツール)」という名称の、Bolt等に対する米国特許出願第12/118,535号に記述されているような赤外放射を放射する能動ペンツールを検出してもよい。
【0067】
本実施形態では、ペンツールが表示面24の近くに移動させられると、能動ペンツールが、120Hz、240Hz、および360Hzに等しい周波数の成分を有している変調された信号を出力する。これらの周波数は、Walsh符号がスペクトルゼロをこれらの周波数で有するので選択されている。その結果、能動ペンツールによって出力された変調された光は、対象領域内での能動ペンツールの存在を検出するための処理中に取り除かれ、そのため、ポインタ検出には影響しない。ポインタの存在が検出されると、マイクロプロセッサ80は全ての赤外線光源によって放射された赤外照明だけでなく周辺光に基づいて画像フレームをフーリエ変換して、DCバイアスと、照明されているベゼル部分からの寄与を表している画像フレームの480Hz成分とが取り除かれる。マイクロプロセッサ80は次に結果としての画像フレームを、その顕著な成分が120Hz、240Hz、および360Hzの位置に存在しているどうかを調べる。存在している場合、これらの周波数での信号パターンが能動ペンツールを識別するためにマイクロプロセッサ80によって使用される。
【0068】
理解されるように、能動ペンツールによって放射された変調された信号を、能動ペンツールを特定するためにマイクロプロセッサ80によって使用することができるので、表示面24の近くで複数の能動ペンツールの検出が容易になる。ポインタ検出の間に、明るい帯を遮っている2つまたは3つ以上の暗い領域が検出されると、能動ペンツールによって出力された変調されている光を、変調されている信号成分が120Hz、240Hz、および360Hzに等しい周波数の位置にあるかどうかを判定し、それによって個々の能動ペンツールを特定することができるように、独立して処理することができる。これは、能動ペンツールによって出力された変調された信号が互いに干渉するのを防止し、各能動ペンツールを表示面24上に表示されている画像に関連付け、能動ペンツール入力を正しく処理することができるようにする。
【0069】
対話型入力装置はもちろん他の形態を取ってもよい。たとえば、前述の援用されているBolt他の特許出願に記述されているように、照明されているベゼル部分を再帰反射または高反射ベゼルに置き換えてもよい。しかし、当業者は、放射変調技術が基本的に、干渉を減少させ各放射源に関連している情報を分離できるようにするために、複数の放射源を有しているいかなる対話型入力装置に適用してもよいことを理解するであろう。
【0070】
実施形態を、図面を参照して説明したが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定まる本発明の要旨と範囲から逸脱することなく変形や修正が可能なことを理解することであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域の複数の画像を取得する少なくとも1つの撮像装置と、
各々が前記対象領域を照明する複数の放射源と、
別個の複数の画像フレームを異なる前記放射源からの寄与に基づいて生成することができるように、前記の複数の放射源と少なくとも1つの前記撮像装置の動作を調整するコントローラと、
を有する対話型入力装置。
【請求項2】
各放射源は別個の切り換えパターンに従ってオンとオフとが切り換えられる、請求項1に記載の対話型入力装置。
【請求項3】
前記の複数の別個の切り換えパターンは実質的に直交している、請求項2に記載の対話型入力装置。
【請求項4】
前記の複数の別個の切り換えパターンと前記撮像装置のフレームレートは、周辺光と点滅している複数の光源とからの影響を実質的に取り除くように選択されている、請求項2または3に記載の対話型入力装置。
【請求項5】
前記の複数の別個の切り換えパターンは複数のWalsh符号に従う、請求項4に記載の対話型入力装置。
【請求項6】
前記の複数の放射源は少なくとも3つの放射源を含む、請求項3に記載の対話型入力装置。
【請求項7】
前記複数の放射源の少なくとも1つは、前記対象領域内に配置されているポインタを背面照明する、請求項3に記載の対話型入力装置。
【請求項8】
前記複数の放射源の少なくとも1つは、前記対象領域内に配置されているポインタを前面照明する、請求項3に記載の対話型入力装置。
【請求項9】
前記複数の放射源の2つは、前記対象領域内に配置されているポインタを前面照明する、請求項8に記載の対話型入力装置。
【請求項10】
前記対象領域の複数の画像を異なる位置から取得する少なくとも2つの撮像装置と、各前記撮像装置に関連する放射源と、を有する、請求項4に記載の対話型入力装置。
【請求項11】
各放射源はそれぞれの前記各撮像装置の近くに配置されている、請求項10に記載の対話型入力装置。
【請求項12】
前記対象領域内に配置されている前記ポインタを背面照明する前記放射源は前記対象領域の近くの照明されているベゼルである、請求項7に記載の対話型入力装置。
【請求項13】
前記対象領域は多角形であって、前記照明されているベゼルは前記対象領域の多数の辺に沿って延びている、請求項12に記載の対話型入力装置。
【請求項14】
前記対象領域は概ね長方形であり、前記照明されているベゼルは前記対象領域の少なくとも3つの辺に沿って延びており、前記の複数の撮像装置は前記対象領域の複数の対向している角に隣接して配置されている、請求項13に記載の対話型入力装置。
【請求項15】
前記の複数の放射源は赤外放射および可視放射の一方を放射する、請求項4に記載の対話型入力装置。
【請求項16】
前記対象領域内のポインタの位置を求めるために、別個の複数の前記画像フレームを処理する処理構造をさらに有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の対話型入力装置。
【請求項17】
前記の複数の放射源は赤外放射を放射する、請求項16に記載の対話型入力装置。
【請求項18】
対象領域の重なっている複数の画像を、異なる複数の位置から取得する少なくとも2つの撮像装置と、
前記対象領域を照明する、前記各撮像装置と組み合わされた放射源と、
前記の複数の放射源に割り当てられている複数の別個の切り換えパターンを使用して複数の前記撮像装置の複数のフレームレートを設定し、異なる複数の前記放射源からの複数の寄与に基づいて複数の画像フレームを生成するように取得された複数の画像フレームを復調するコントローラと、
前記対象領域内のポインタの位置を求めるために、別個の複数の前記画像フレームを処理する処理構造と、
を有する対話型入力装置。
【請求項19】
複数の前記別個の切り換えパターンは実質的に直交している、請求項18に記載の対話型入力装置。
【請求項20】
複数の前記別個の切り換えパターンと前記撮像装置の複数のフレームレートは、周辺光と点滅している光源とからの影響を実質的に取り除くように選択される、請求項19に記載の対話型入力装置。
【請求項21】
複数の前記別個の切り換えパターンは複数のWalsh符号に従う、請求項20に記載の対話型入力装置。
【請求項22】
複数の前記放射源は赤外放射および可視放射の一方を放射する、請求項18から21のいずれか1項に記載の対話型入力装置。
【請求項23】
前記対象領域を少なくとも部分的に囲んでいる背面照明放射源をさらに有する、請求項18から22のいずれか1項に記載の対話型入力装置。
【請求項24】
前記対象領域を少なくとも部分的に囲んでいる反射ベゼルをさらに有する、請求項18から22のいずれか1項に記載の対話型入力装置。
【請求項25】
前記反射ベゼルは再帰反射材料を有する、請求項24に記載の対話型入力装置。
【請求項26】
対象領域の複数の画像を取得する少なくとも1つの撮像装置と、各々が前記対象領域を照明する複数の放射源とを有する対話型入力装置において、複数の画像フレームを生成する方法であって、
概ね直交している別個の切り換えパターンに従って各前記放射源をオンとオフとにすることと、
前記撮像装置のフレームレートを前記別個のパターンに同期させることと、
異なる複数の放射源からの複数の寄与に基づいて複数の画像フレームを生成するために複数の取得された画像フレームを復調することと、
を有する、複数の画像フレームを生成する方法。
【請求項27】
対象領域の複数の画像を取得する少なくとも1つの撮像装置と、前記対象領域を照明する複数の放射源とを有する対話型入力装置における撮像方法であって、
複数の前記放射源の出力を変調することと、
前記撮像装置のフレームレートを変調されている前記放射源の出力に同期させることと、
異なる複数の前記放射源からの複数の寄与に基づいて複数の画像フレームを生成するために複数の取得された画像フレームを復調することと、
を有する撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−523119(P2011−523119A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507768(P2011−507768)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000634
【国際公開番号】WO2009/135313
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(592221263)スマート テクノロジーズ ユーエルシー (15)
【氏名又は名称原語表記】SMART TECHNOLOGIES ULC
【Fターム(参考)】