照明器具
【課題】器具本体の向きを調節することができる照明器具を提供する。
【解決手段】接続器2は、器具本体3の取付ベース30に取り付けられる。取付ベース30には接続器2の器体20が回動自在に保持される円筒状の取付筒32が形成されており、取付筒32の内周面と器体20のボディ21の外周面とが対向し接続器2のボディ21の周壁上端部から略全周に亙って突設された鍔状片21aの下面が取付筒32の上端縁に当接することにより位置決めされる。器具本体3の上面側には、器体20のカバー22が嵌合される嵌合孔51が穿孔された薄板状の金属板よりなる器具取付板5が固定ねじ53を用いて固定される。接続器2は、器具取付板5の嵌合孔51周部と上記取付筒32の上端縁との間に上記鍔状片21aが挟まれた形で取付ベース30に取り付けられる。
【解決手段】接続器2は、器具本体3の取付ベース30に取り付けられる。取付ベース30には接続器2の器体20が回動自在に保持される円筒状の取付筒32が形成されており、取付筒32の内周面と器体20のボディ21の外周面とが対向し接続器2のボディ21の周壁上端部から略全周に亙って突設された鍔状片21aの下面が取付筒32の上端縁に当接することにより位置決めされる。器具本体3の上面側には、器体20のカバー22が嵌合される嵌合孔51が穿孔された薄板状の金属板よりなる器具取付板5が固定ねじ53を用いて固定される。接続器2は、器具取付板5の嵌合孔51周部と上記取付筒32の上端縁との間に上記鍔状片21aが挟まれた形で取付ベース30に取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、天井直付け型の照明器具、天井吊り下げ型の照明器具、施工面に既設された配線器具(例えば、引掛シーリング)を利用して取り付けられる照明器具など種々の照明器具が提供されている。また、この種の照明器具に熱線センサや明るさセンサなどのセンサを付加してセンサの検知出力に基づいて光源(照明負荷)を自動的に点灯・消灯させるようにしたものも提供されている。
【0003】ところで、この種の照明器具では、器具本体の形状、器具本体におけるセンサの位置などによっては見栄えやセンサの検知範囲の調整などの目的から、器具本体の向きを調節可能にすることが望まれている。例えば、焦電素子などよりなる熱線センサを用いてトイレへの人の出入りを検出し、光源(照明負荷)を自動的に点灯・消灯させるようにした照明器具では、人のわずかな動きを検知することができるように熱線センサの検知範囲を調整できるようにすることが望まれている。
【0004】この種の照明器具の一例として、図12に示す構成のものがある。図12に示す構成の照明器具は、木ねじよりなる取付ねじ83を用いて天井面などの施工面80に直付けされる取付ベース30’を有する器具本体3’と、白熱電球よりなるランプ7と、取付ベース30’の下面側に配設されランプ7の口金7aを支持する円筒状であって外周面に螺旋状のねじ山6aが形成されたランプソケット6’と、ランプソケット6’に螺嵌されるナット状のホルダ4を用いて取付ベース30’に取り付けられる下面が開口した円筒状のセード60’とを備えている。なお、セード60’の上面にはランプソケット6’が挿通される挿通孔64が穿孔されており、挿通孔64に挿通されたランプソケット6’にホルダ4を螺嵌することでセード60’が取付ベース30’に取り付けられるようになっている。
【0005】また、図12に示す構成の照明器具は、ランプ7を点灯させる点灯回路(図示せず)、点灯回路におけるランプ7への給電路に挿入されるスイッチ要素(図示せず)、検知エリア内の人の存否を検知する焦電素子などよりなる熱線センサ(図示せず)、周囲の明るさを検出する明るさセンサ(図示せず)、熱線センサおよび明るさセンサの出力に基づいてスイッチ要素を制御する信号処理部(図示せず)などの部品が実装された回路基板が収納される直方体状の回路収納部31’を備えている。ここに、熱線センサおよび明るさセンサの検知面側には椀状のフレネルレンズよりなるレンズ9が配設されており、レンズ9は回路収納部31’の下面から突出している。ところで、回路収納部31’は、セード60’に一体に形成された有底角筒状のカバー70に納装されており、レンズ9は、カバー70の底壁に穿孔された開口窓71を通して露出するようになっている。
【0006】なお、図12に示す構成の照明器具は、商用電源よりなる交流電源に接続されて天井裏に先行配線され施工面80に穿孔された電源穴80aから引き出された電源線81を介して給電される。
【0007】これに対し、天井面などの施工面に固定された配線器具を利用して電源が供給される照明器具として、図13に示す構成のものも知られている。なお、図1212に示す構成と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0008】図13に示す構成の照明器具は、天井面などの施工面に固定された配線器具たる引掛シーリング1に接続器2’を用いて取り付けられる。ここに、接続器2’は、先端部がL字状である一対の引掛栓刃29を有している。なお、図13にはボディ11が直方体状に形成された引掛シーリング1を図示してあるが、引掛シーリング1としては図14に示すようにボディ11が有底円筒状に形成されたものもある。
【0009】引掛シーリング1のボディ11の底壁の周部には引掛栓刃29が挿入される一対の引掛栓刃挿入口19が開口されている。ここにおいて、両引掛栓刃挿入口19はボディ11の底壁の中心を中心とする一つの円弧上に形成され、それぞれ弧状に形成されている。
【0010】一方、接続器2’は、上面が開口した直方体状のボディ21’を備えており、引掛シーリング1に取り付けるには、各引掛栓刃29をそれぞれ引掛栓刃挿入口19の幅広部19a(図14参照)から引掛栓刃挿入口19に挿入した後にボディ21’を回転させ、引掛栓刃29の先端部を引掛栓刃挿入口19の幅狭部19b(図14参照)の周縁に重複させることにより、引掛栓刃29の先端部を引掛シーリング1のボディ11内に設けられた引掛刃受部(図示せず)に保持させるようになっている。
【0011】また、図13に示す構成の照明器具の器具本体3”の取付ベース30”には、下面側に接続器2’のボディ21の底壁から連続一体に突設された筒状部21cを保持するホルダ44が設けられるとともに、接続器2’から導出された接続線41の先端の接続器側コネクタ42が結合される本体側コネクタ43が設けられており、さらに、上方が開放された略コ字状の取付台38が取り付けられている。この取付台38には、ランプソケット6’が取着されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような照明器具は、照明本体3’,3”を取り付けた後に、施工面に平行な面内で器具本体3’、3”を回動させることができず(つまり、器具本体3’,3”の向きを変えることができず)、熱線センサの検知範囲を調整できないという不具合があった。また、回路収納部31’の位置によっては見栄えが悪くなってしまうこともあった。
【0013】本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、器具本体の向きを調節することができる照明器具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記目的を達成するために、器具本体と、施工面に固定された給電用の配線器具と器具本体との機械的および電気的な接続に用いられる接続器と、接続器の器体の一部が嵌合される嵌合孔が形成され器具本体における施工面側に固定される器具取付板と、少なくとも配線器具および接続器を介して給電される光源とを備え、接続器は、円筒状の器体を有し器体の軸方向における施工面側の所定部位に鍔状片が形成され、器具本体は、接続器の器体が回動自在に保持される円筒状の取付筒が形成され、取付筒の上端縁と器具取付板の嵌合孔の周部との間に鍔状片が挟まれてなることを特徴とするものであり、器具本体に機械的に接続された接続器を施工面に固定された配線器具に取り付けた後でも接続器の器体を回転軸として利用して器具本体を施工面に平行な面内で回動させることができるので、器具本体の向きを回動させるための部材を別途に用意することなく器具本体の向きを調節することができる。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の発明において、接続器の器体の外周面に器体の軸方向に平行な器体側リブが突設され、取付筒の内周面に上記器体側リブが係合する凹凸部が形成されているので、器具本体を回動させるためには器体側リブと凹凸部との係合が脱するためのトルクが必要となるから、器具本体が不用意に回動されるのを防ぐことができる。
【0016】請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記器体側リブを8個備えるとともに上記凹凸部を2つ備え、各器体側リブは器体の周方向において等間隔で離間して突設され、各凹凸部は取付筒の軸方向に平行に突設され取付筒の周方向において隣接した複数の本体側リブからなり、各凹凸部は取付筒の周方向における両端と取付筒の中心軸とで囲まれる扇形の中心角が45°に設定され、取付筒の中心軸を挟む位置に形成されているので、取付筒と器体との位置に関わらず器具本体を回動させる際に必要なトルクを略一定にすることができる。
【0017】請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、光源への給電路に挿入されたスイッチ要素と、検知エリア内の人の存否に応じた出力が得られる熱線センサと、熱線センサの検知出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部とを備え、少なくとも熱線センサは器具本体の要所に配設されているので、施工面に平行な面内で器具本体を回動させることで熱線センサの検知範囲を調整することができる。
【0018】請求項5の発明は、請求項4の発明において、器具本体に取り付けられる筒状のセードと、熱線センサの検知面側に熱線センサを覆う形で配設される検知エリア調整用のレンズとを備え、レンズが上記セードの下端縁よりも上方に位置しているので、レンズが目立ちにくく見栄えが良くなる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本実施形態の照明器具を図1R>1ないし図10を参照しながら説明する。
【0020】本実施形態の照明器具は、天井面などの施工面に固定された引掛シーリング1(図1(b)参照)と器具本体3との機械的および電気的な接続に用いられる接続器2と、接続器2が器具取付板5を利用して取り付けられる取付ベース30を有する器具本体3と、接続器2に結合されたランプソケット6と、ランプソケット6に口金7aが保持される白熱電球よりなるランプ7と、取付ベース30の下面側に着脱自在に取り付けられるセード60とを備えている。なお、図1(b)に示す引掛シーリング1は上面(図1(b)における上面)が開口した有底円筒状のボディ11を備えており、施工面にボディ11の上端面を当接させた形で木ねじ84を用いて固定されている。
【0021】図1(b)に示す引掛シーリング1の構成は図14に示した従来構成と略同じであって、ボディ11の底壁の周部には引掛栓刃29(図1(a)および図4R>4参照)が挿入される一対の引掛栓刃挿入口19(図14R>4参照)が開口されている。ここにおいて、両引掛栓刃挿入口19はボディ11の底壁の中心を中心とする一つの円弧上に形成され、それぞれ弧状に形成されている。
【0022】一方、接続器2は、図4および図5に示すように、器体20の上面から先端部がL字状である一対の引掛栓刃29が突出しており、引掛シーリング1に機械的および電気的に接続される。接続器2の器体20は合成樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート=PET)製であって、図4ないし図8に示すように、上面が開口した円筒状のボディ21と、ボディ21の開口を塞ぐ円板状のカバー22とを結合して構成されており、カバー22の上面から上記一対の引掛栓刃29および一つのロック爪24が突出している。ここにおいて、引掛栓刃29はカバー22の周部においてカバー22の中心を通る一つの直線上にカバー22の中心を挟む位置で上方へ突出している。また、ロック爪24は、カバー22の上面において、一方の引掛栓刃29の突出位置からカバー22の周方向に沿ってずれた位置から突出しており、器体20を引掛シーリング1に結合した状態で当該一方の引掛栓刃29が挿入される引掛栓刃挿入口19の幅広部19aに入り込むようになっている。
【0023】ここにおいて、ロック爪24は、ボディ21の底壁から連続一体に突設された円筒状の取付台21bの側方に設けられたロック解除釦25の操作に連動してカバー22の上面から進退するようになっており、器体20を引掛シーリング1に結合した状態では、ロック解除釦25を押圧操作することにより、ロック爪24が引掛栓刃挿入口19の幅広部19aから退出し、押圧操作をやめるとロック爪24が引掛栓刃挿入口19の幅広部19aからボディ11内へ進出するようになっている。また、ロック爪24は、上方からの押圧力によってカバー22の上面からの突出量が小さくなるように下方へ移動し、該押圧力が解除されると元の位置に戻るようになっている。
【0024】接続器2を引掛シーリング1に取り付けるには、先端部がL字状である引掛栓刃29を引掛栓刃挿入口19の幅広部19aから引掛栓刃挿入口19に挿入するとともにロック爪24の先端を引掛シーリング1のボディ11に押し付けた後に器体20を回転させ、引掛栓刃29の先端部を引掛栓刃挿入口19の幅狭部19bの周縁に重複させることにより、引掛栓刃29の先端部を引掛シーリング1のボディ11内に設けられた引掛刃受部(図示せず)に保持させるようになっている。なお、ロック爪24は、この回転の途中でボディ11による押圧力が解除されて先端部が引掛栓刃挿入口19の幅広部19aに入り込むようになっている。
【0025】接続器2は、上記取付台21bの下端部に円筒状のランプソケット6が結合されており、器具本体3の取付ベース30に取り付けられる。
【0026】器具本体3は合成樹脂(例えば、ABS樹脂)製であって、取付ベース30には、接続器2の器体20が回動自在に保持される円筒状の取付筒32が形成されており、取付筒32の内周面と器体20のボディ21の外周面とが対向し接続器2のボディ21の周壁上端部から略全周に亙って突設された鍔状片21aの下面が取付筒32の上端縁に当接することにより位置決めされる。さらに、器具本体3の上面側には、器体20のカバー22が嵌合される嵌合孔51が穿孔された薄板状の金属板よりなる器具取付板5が固定ねじ53を用いて固定される。
【0027】器具取付板5は、固定ねじ53が挿通される挿通孔が穿孔されたL字状の取付片52が折曲形成されており、固定ねじ53を取付片52の上記挿通孔に挿通して取付ベース30のボス36のねじ孔に螺合させることで器具本体3に対して固定される。ここにおいて、接続器2は、器具取付板5の嵌合孔51周部と上記取付筒32の上端縁(つまり、取付ベース30)との間に上記鍔状片21aが挟まれた形で取付ベース30に取り付けられる。
【0028】また、本実施形態の照明器具は、ランプ7を点灯させる点灯回路(図示せず)、ランプ7への給電路に挿入されるスイッチ要素(図示せず)、検知エリア内の人の存否を検知する焦電素子よりなる熱線センサ8(図1(b)参照)、周囲の明るさを検出するCdSよりなる明るさセンサ(図示せず)、熱線センサ8および明るさセンサの出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部(図示せず)を備えている。ここに、信号処理部は、明るさセンサにより検出した明るさが規定値以下の状態で熱線センサ8による検知出力が得られると、ランプ7を点灯させ、熱線センサ8による検知出力が得られなくなってから所定時間(例えば30秒)後にランプ7を消灯させるようになっている。この所定時間(以下、点灯保持時間と称す)は、第1の可変抵抗器VR1(図1(b)参照)の抵抗値を調整することによって変更できるようになっている。一方、明るさセンサにより検出した明るさが規定値を越えると熱線センサ8による検知出力があっても上記スイッチ要素をオフに保つようになっている。この規定値は、第2の可変抵抗器(図示せず)の抵抗値を調整することによって変更できるようになっている。したがって、周囲が明るくてランプ7の点灯が不要であるときに熱線センサ8の検知結果にかかわらずランプ7を消灯させておくことが可能になり、無駄な電力消費を少なくすることができる。
【0029】点灯回路、スイッチ要素、信号処理部などの構成部品が実装された第1の回路基板45と、人感センサ8、明るさセンサ、第1の可変抵抗器VR1、第2の可変抵抗器などが実装された第2の回路基板46とは、器具本体3の回路収納部31内に収納される。回路収納部31は、上面が開口した有底筒状であって、取付ベース30に連続一体に形成されている。回路収納部31の上面は、上述の器具取付板5の一部により閉塞される。ここに、第1の回路基板45は厚み方向が図1(b)における左右方向に一致するように回路収納部31内に配設され(つまり、回路収納部31内に立設され)、第2の回路基板46は厚み方向が図1(b)における上下方向に一致し且つ熱線センサ8および明るさセンサそれぞれの検知面が下方を向くように回路収納部31内に配設される。また、第2の回路基板46の下面側には、熱線センサ8および明るさセンサの両方を覆う椀状のレンズ9が配設されている。レンズ9は、透光性を有し且つ熱線が透過しやすい高密度ポリエチレンなどの材料によって形成されたフレネルレンズであって、複数の焦点を有していて熱線センサ8の検知領域を複数の領域に分割するようになっている。したがって、トイレなどの人の動きの少なく空間においても人のわずかな動きを検知できるのである。図1(b)中のAは熱線センサ8の検知エリアを示す。
【0030】なお、レンズ9の一部、第1の可変抵抗器VR1のつまみ17、第2の可変抵抗器のつまみ18はそれぞれ回路収納部31の底壁に穿孔された露出孔31a,77,78を通して露出している。ここにおいて、回路収納部31は、上下方向において下面がセード60の下端縁よりも上方に位置するように形成されており、各つまみ17,18の下端およびレンズ9の下端は、いずれもセード60の下端縁よりも上方に位置している。したがって、照明器具を図1(b)の右斜め下側から見たときにレンズ9や各つまみ17,18が目立ちにくくなり見栄えが良くなる。なお、各つまみ17,18の下端およびレンズ9の下端をセード60の下端縁よりも上方に位置させるという技術思想は、図11に示すように器具本体3が木ねじよりなる取付ねじ83を用いて施工面に固定される照明器具にも適用できることは勿論である。図11において図1と同様の構成要素には同一の符号を付してあり、図11中に一点鎖線で示す矢印Cはトイレに入ってきた人の目線を表したものであり、実線で示す矢印Dはランプ7の光を示す。
【0031】セード60は、下面が開口した円筒状に形成されている。セード60を器具本体3に取り付けるには、器具本体3の取付ベース30の周部の下端面から突設された3つのL字状の係止爪34それぞれをセード係止爪挿入口61の幅広部61aから係止爪挿入口61に挿入した後にセード61を図2における矢印Bの向きに回転させ、係止爪34の先端部を係止爪挿入口61の幅狭部61bの周縁に係止させるようになっている。
【0032】ところで、接続器2のボディ21の外周面には、取付ベース30の取付筒32の内周面との間の距離を他の部位よりも小さくする8つの器体側リブ23がボディ21の周方向において等間隔で離間して形成されている。ここに、各器体側リブ23はボディ21の軸方向(上下方向)に沿って形成されている。要するに、図8R>8示すように、隣り合う2つの器体側リブ23と器体20の中心軸とで囲まれた扇形の中心角は45°になっている。
【0033】一方、取付ベース30の取付筒32の内周面には、接続器2のボディ21の外周面との間の距離を他の部位よりも小さくする複数の本体側リブ33aよりなり隣接する本体側リブ33a間に接続器2の器体側リブ23が係合する2つの凹凸部33が取付筒32の中心軸を挟む位置に形成されている。各凹凸部33それぞれを構成する複数の本体側リブ33aは取付筒32の周方向において隣接して形成されている。ここに、各本体側リブ33aは取付筒32の軸方向(上下方向)に沿って形成されている。また、図9に示すように、取付筒32の周方向における凹凸部33の両端それぞれと取付筒32の中心軸とで囲まれた扇形の中心角は45°になっている。
【0034】しかして、本実施形態では、接続器2の器体20が取付筒32に回動自在に保持され器具本体3と器具取付板5との間に接続器2のボディ21の鍔状片21aが挟まれているので、接続器2を引掛シーリング1に取り付けた状態でも、接続器2を回動軸として器具本体3を回動させることができ、熱線センサ8および明るさセンサそれぞれの検知範囲を調整することができる。また、接続器2のボディ21の器体側リブ23が取付筒32に設けられた凹凸部33の隣り合う本体側リブ33a間に凹凸係合しているので、器具本体3を回動させるためには接続器2の器体側リブ23が凹凸部33の本体側リブ33aを乗り越えるのに必要な回転トルクが必要となるから、器具本体3が不用意に回転してしまうのを防ぐことができる(例えば、セード60を図2の矢印Bの向きやその逆方向に回転させる際に器具本体3が回動するのを防ぐことができる)。ここにおいて、器具本体3を回動させる際には、接続器側コネクタ42を第1の回路基板45に接続された本体側コネクタ43(図2および図4参照)から外しておくことにより、接続線41に過大な力がかかるのを防ぐことができる。なお、接続器2から導出されている接続線41は4本であって、2本が商用電源から一対の引掛栓刃29を介して上記点灯回路などへ給電するためのものであり、残りの2本が上記点灯回路からランプソケット6への給電用のものである。
【0035】
【発明の効果】請求項1の発明は、器具本体と、施工面に固定された給電用の配線器具と器具本体との機械的および電気的な接続に用いられる接続器と、接続器の器体の一部が嵌合される嵌合孔が形成され器具本体における施工面側に固定される器具取付板と、少なくとも配線器具および接続器を介して給電される光源とを備え、接続器は、円筒状の器体を有し器体の軸方向における施工面側の所定部位に鍔状片が形成され、器具本体は、接続器の器体が回動自在に保持される円筒状の取付筒が形成され、取付筒の上端縁と器具取付板の嵌合孔の周部との間に鍔状片が挟まれてなるものであり、器具本体に機械的に接続された接続器を施工面に固定された配線器具に取り付けた後でも接続器の器体を回転軸として利用して器具本体を施工面に平行な面内で回動させることができるので、器具本体の向きを回動させるための部材を別途に用意することなく器具本体の向きを調節することができるという効果がある。
【0036】請求項2の発明は、請求項1の発明において、接続器の器体の外周面に器体の軸方向に平行な器体側リブが突設され、取付筒の内周面に上記器体側リブが係合する凹凸部が形成されているので、器具本体を回動させるためには器体側リブと凹凸部との係合が脱するためのトルクが必要となるから、器具本体が不用意に回動されるのを防ぐことができるという効果がある。
【0037】請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記器体側リブを8個備えるとともに上記凹凸部を2つ備え、各器体側リブは器体の周方向において等間隔で離間して突設され、各凹凸部は取付筒の軸方向に平行に突設され取付筒の周方向において隣接した複数の本体側リブからなり、各凹凸部は取付筒の周方向における両端と取付筒の中心軸とで囲まれる扇形の中心角が45°に設定され、取付筒の中心軸を挟む位置に形成されているので、取付筒と器体との位置に関わらず器具本体を回動させる際に必要なトルクを略一定にすることができるという効果がある。
【0038】請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、光源への給電路に挿入されたスイッチ要素と、検知エリア内の人の存否に応じた出力が得られる熱線センサと、熱線センサの検知出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部とを備え、少なくとも熱線センサは器具本体の要所に配設されているので、施工面に平行な面内で器具本体を回動させることで熱線センサの検知範囲を調整することができるという効果がある。
【0039】請求項5の発明は、請求項4の発明において、器具本体に取り付けられる筒状のセードと、熱線センサの検知面側に熱線センサを覆う形で配設される検知エリア調整用のレンズとを備え、レンズが上記セードの下端縁よりも上方に位置しているので、レンズが目立ちにくく見栄えが良くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】同上の下面図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の要部分解斜視図である。
【図5】同上の要部斜視図である。
【図6】同上の要部説明図である。
【図7】同上の要部説明図である。
【図8】同上の要部下面図である。
【図9】同上の器具本体の下面図である。
【図10】同上の斜視図である。
【図11】他の照明器具を示し、(a)は断面図、(b)は下面図である。
【図12】従来例を示す分解斜視図である。
【図13】他の従来例を示す分解斜視図である。
【図14】引掛シーリングの斜視図である。
【符号の説明】
2 接続器
3 器具本体
20 器体
21 ボディ
21a 鍔状片
22 カバー
30 取付ベース
32 取付筒
51 嵌合孔
53 固定ねじ
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、天井直付け型の照明器具、天井吊り下げ型の照明器具、施工面に既設された配線器具(例えば、引掛シーリング)を利用して取り付けられる照明器具など種々の照明器具が提供されている。また、この種の照明器具に熱線センサや明るさセンサなどのセンサを付加してセンサの検知出力に基づいて光源(照明負荷)を自動的に点灯・消灯させるようにしたものも提供されている。
【0003】ところで、この種の照明器具では、器具本体の形状、器具本体におけるセンサの位置などによっては見栄えやセンサの検知範囲の調整などの目的から、器具本体の向きを調節可能にすることが望まれている。例えば、焦電素子などよりなる熱線センサを用いてトイレへの人の出入りを検出し、光源(照明負荷)を自動的に点灯・消灯させるようにした照明器具では、人のわずかな動きを検知することができるように熱線センサの検知範囲を調整できるようにすることが望まれている。
【0004】この種の照明器具の一例として、図12に示す構成のものがある。図12に示す構成の照明器具は、木ねじよりなる取付ねじ83を用いて天井面などの施工面80に直付けされる取付ベース30’を有する器具本体3’と、白熱電球よりなるランプ7と、取付ベース30’の下面側に配設されランプ7の口金7aを支持する円筒状であって外周面に螺旋状のねじ山6aが形成されたランプソケット6’と、ランプソケット6’に螺嵌されるナット状のホルダ4を用いて取付ベース30’に取り付けられる下面が開口した円筒状のセード60’とを備えている。なお、セード60’の上面にはランプソケット6’が挿通される挿通孔64が穿孔されており、挿通孔64に挿通されたランプソケット6’にホルダ4を螺嵌することでセード60’が取付ベース30’に取り付けられるようになっている。
【0005】また、図12に示す構成の照明器具は、ランプ7を点灯させる点灯回路(図示せず)、点灯回路におけるランプ7への給電路に挿入されるスイッチ要素(図示せず)、検知エリア内の人の存否を検知する焦電素子などよりなる熱線センサ(図示せず)、周囲の明るさを検出する明るさセンサ(図示せず)、熱線センサおよび明るさセンサの出力に基づいてスイッチ要素を制御する信号処理部(図示せず)などの部品が実装された回路基板が収納される直方体状の回路収納部31’を備えている。ここに、熱線センサおよび明るさセンサの検知面側には椀状のフレネルレンズよりなるレンズ9が配設されており、レンズ9は回路収納部31’の下面から突出している。ところで、回路収納部31’は、セード60’に一体に形成された有底角筒状のカバー70に納装されており、レンズ9は、カバー70の底壁に穿孔された開口窓71を通して露出するようになっている。
【0006】なお、図12に示す構成の照明器具は、商用電源よりなる交流電源に接続されて天井裏に先行配線され施工面80に穿孔された電源穴80aから引き出された電源線81を介して給電される。
【0007】これに対し、天井面などの施工面に固定された配線器具を利用して電源が供給される照明器具として、図13に示す構成のものも知られている。なお、図1212に示す構成と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0008】図13に示す構成の照明器具は、天井面などの施工面に固定された配線器具たる引掛シーリング1に接続器2’を用いて取り付けられる。ここに、接続器2’は、先端部がL字状である一対の引掛栓刃29を有している。なお、図13にはボディ11が直方体状に形成された引掛シーリング1を図示してあるが、引掛シーリング1としては図14に示すようにボディ11が有底円筒状に形成されたものもある。
【0009】引掛シーリング1のボディ11の底壁の周部には引掛栓刃29が挿入される一対の引掛栓刃挿入口19が開口されている。ここにおいて、両引掛栓刃挿入口19はボディ11の底壁の中心を中心とする一つの円弧上に形成され、それぞれ弧状に形成されている。
【0010】一方、接続器2’は、上面が開口した直方体状のボディ21’を備えており、引掛シーリング1に取り付けるには、各引掛栓刃29をそれぞれ引掛栓刃挿入口19の幅広部19a(図14参照)から引掛栓刃挿入口19に挿入した後にボディ21’を回転させ、引掛栓刃29の先端部を引掛栓刃挿入口19の幅狭部19b(図14参照)の周縁に重複させることにより、引掛栓刃29の先端部を引掛シーリング1のボディ11内に設けられた引掛刃受部(図示せず)に保持させるようになっている。
【0011】また、図13に示す構成の照明器具の器具本体3”の取付ベース30”には、下面側に接続器2’のボディ21の底壁から連続一体に突設された筒状部21cを保持するホルダ44が設けられるとともに、接続器2’から導出された接続線41の先端の接続器側コネクタ42が結合される本体側コネクタ43が設けられており、さらに、上方が開放された略コ字状の取付台38が取り付けられている。この取付台38には、ランプソケット6’が取着されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のような照明器具は、照明本体3’,3”を取り付けた後に、施工面に平行な面内で器具本体3’、3”を回動させることができず(つまり、器具本体3’,3”の向きを変えることができず)、熱線センサの検知範囲を調整できないという不具合があった。また、回路収納部31’の位置によっては見栄えが悪くなってしまうこともあった。
【0013】本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、器具本体の向きを調節することができる照明器具を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記目的を達成するために、器具本体と、施工面に固定された給電用の配線器具と器具本体との機械的および電気的な接続に用いられる接続器と、接続器の器体の一部が嵌合される嵌合孔が形成され器具本体における施工面側に固定される器具取付板と、少なくとも配線器具および接続器を介して給電される光源とを備え、接続器は、円筒状の器体を有し器体の軸方向における施工面側の所定部位に鍔状片が形成され、器具本体は、接続器の器体が回動自在に保持される円筒状の取付筒が形成され、取付筒の上端縁と器具取付板の嵌合孔の周部との間に鍔状片が挟まれてなることを特徴とするものであり、器具本体に機械的に接続された接続器を施工面に固定された配線器具に取り付けた後でも接続器の器体を回転軸として利用して器具本体を施工面に平行な面内で回動させることができるので、器具本体の向きを回動させるための部材を別途に用意することなく器具本体の向きを調節することができる。
【0015】請求項2の発明は、請求項1の発明において、接続器の器体の外周面に器体の軸方向に平行な器体側リブが突設され、取付筒の内周面に上記器体側リブが係合する凹凸部が形成されているので、器具本体を回動させるためには器体側リブと凹凸部との係合が脱するためのトルクが必要となるから、器具本体が不用意に回動されるのを防ぐことができる。
【0016】請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記器体側リブを8個備えるとともに上記凹凸部を2つ備え、各器体側リブは器体の周方向において等間隔で離間して突設され、各凹凸部は取付筒の軸方向に平行に突設され取付筒の周方向において隣接した複数の本体側リブからなり、各凹凸部は取付筒の周方向における両端と取付筒の中心軸とで囲まれる扇形の中心角が45°に設定され、取付筒の中心軸を挟む位置に形成されているので、取付筒と器体との位置に関わらず器具本体を回動させる際に必要なトルクを略一定にすることができる。
【0017】請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、光源への給電路に挿入されたスイッチ要素と、検知エリア内の人の存否に応じた出力が得られる熱線センサと、熱線センサの検知出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部とを備え、少なくとも熱線センサは器具本体の要所に配設されているので、施工面に平行な面内で器具本体を回動させることで熱線センサの検知範囲を調整することができる。
【0018】請求項5の発明は、請求項4の発明において、器具本体に取り付けられる筒状のセードと、熱線センサの検知面側に熱線センサを覆う形で配設される検知エリア調整用のレンズとを備え、レンズが上記セードの下端縁よりも上方に位置しているので、レンズが目立ちにくく見栄えが良くなる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本実施形態の照明器具を図1R>1ないし図10を参照しながら説明する。
【0020】本実施形態の照明器具は、天井面などの施工面に固定された引掛シーリング1(図1(b)参照)と器具本体3との機械的および電気的な接続に用いられる接続器2と、接続器2が器具取付板5を利用して取り付けられる取付ベース30を有する器具本体3と、接続器2に結合されたランプソケット6と、ランプソケット6に口金7aが保持される白熱電球よりなるランプ7と、取付ベース30の下面側に着脱自在に取り付けられるセード60とを備えている。なお、図1(b)に示す引掛シーリング1は上面(図1(b)における上面)が開口した有底円筒状のボディ11を備えており、施工面にボディ11の上端面を当接させた形で木ねじ84を用いて固定されている。
【0021】図1(b)に示す引掛シーリング1の構成は図14に示した従来構成と略同じであって、ボディ11の底壁の周部には引掛栓刃29(図1(a)および図4R>4参照)が挿入される一対の引掛栓刃挿入口19(図14R>4参照)が開口されている。ここにおいて、両引掛栓刃挿入口19はボディ11の底壁の中心を中心とする一つの円弧上に形成され、それぞれ弧状に形成されている。
【0022】一方、接続器2は、図4および図5に示すように、器体20の上面から先端部がL字状である一対の引掛栓刃29が突出しており、引掛シーリング1に機械的および電気的に接続される。接続器2の器体20は合成樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート=PET)製であって、図4ないし図8に示すように、上面が開口した円筒状のボディ21と、ボディ21の開口を塞ぐ円板状のカバー22とを結合して構成されており、カバー22の上面から上記一対の引掛栓刃29および一つのロック爪24が突出している。ここにおいて、引掛栓刃29はカバー22の周部においてカバー22の中心を通る一つの直線上にカバー22の中心を挟む位置で上方へ突出している。また、ロック爪24は、カバー22の上面において、一方の引掛栓刃29の突出位置からカバー22の周方向に沿ってずれた位置から突出しており、器体20を引掛シーリング1に結合した状態で当該一方の引掛栓刃29が挿入される引掛栓刃挿入口19の幅広部19aに入り込むようになっている。
【0023】ここにおいて、ロック爪24は、ボディ21の底壁から連続一体に突設された円筒状の取付台21bの側方に設けられたロック解除釦25の操作に連動してカバー22の上面から進退するようになっており、器体20を引掛シーリング1に結合した状態では、ロック解除釦25を押圧操作することにより、ロック爪24が引掛栓刃挿入口19の幅広部19aから退出し、押圧操作をやめるとロック爪24が引掛栓刃挿入口19の幅広部19aからボディ11内へ進出するようになっている。また、ロック爪24は、上方からの押圧力によってカバー22の上面からの突出量が小さくなるように下方へ移動し、該押圧力が解除されると元の位置に戻るようになっている。
【0024】接続器2を引掛シーリング1に取り付けるには、先端部がL字状である引掛栓刃29を引掛栓刃挿入口19の幅広部19aから引掛栓刃挿入口19に挿入するとともにロック爪24の先端を引掛シーリング1のボディ11に押し付けた後に器体20を回転させ、引掛栓刃29の先端部を引掛栓刃挿入口19の幅狭部19bの周縁に重複させることにより、引掛栓刃29の先端部を引掛シーリング1のボディ11内に設けられた引掛刃受部(図示せず)に保持させるようになっている。なお、ロック爪24は、この回転の途中でボディ11による押圧力が解除されて先端部が引掛栓刃挿入口19の幅広部19aに入り込むようになっている。
【0025】接続器2は、上記取付台21bの下端部に円筒状のランプソケット6が結合されており、器具本体3の取付ベース30に取り付けられる。
【0026】器具本体3は合成樹脂(例えば、ABS樹脂)製であって、取付ベース30には、接続器2の器体20が回動自在に保持される円筒状の取付筒32が形成されており、取付筒32の内周面と器体20のボディ21の外周面とが対向し接続器2のボディ21の周壁上端部から略全周に亙って突設された鍔状片21aの下面が取付筒32の上端縁に当接することにより位置決めされる。さらに、器具本体3の上面側には、器体20のカバー22が嵌合される嵌合孔51が穿孔された薄板状の金属板よりなる器具取付板5が固定ねじ53を用いて固定される。
【0027】器具取付板5は、固定ねじ53が挿通される挿通孔が穿孔されたL字状の取付片52が折曲形成されており、固定ねじ53を取付片52の上記挿通孔に挿通して取付ベース30のボス36のねじ孔に螺合させることで器具本体3に対して固定される。ここにおいて、接続器2は、器具取付板5の嵌合孔51周部と上記取付筒32の上端縁(つまり、取付ベース30)との間に上記鍔状片21aが挟まれた形で取付ベース30に取り付けられる。
【0028】また、本実施形態の照明器具は、ランプ7を点灯させる点灯回路(図示せず)、ランプ7への給電路に挿入されるスイッチ要素(図示せず)、検知エリア内の人の存否を検知する焦電素子よりなる熱線センサ8(図1(b)参照)、周囲の明るさを検出するCdSよりなる明るさセンサ(図示せず)、熱線センサ8および明るさセンサの出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部(図示せず)を備えている。ここに、信号処理部は、明るさセンサにより検出した明るさが規定値以下の状態で熱線センサ8による検知出力が得られると、ランプ7を点灯させ、熱線センサ8による検知出力が得られなくなってから所定時間(例えば30秒)後にランプ7を消灯させるようになっている。この所定時間(以下、点灯保持時間と称す)は、第1の可変抵抗器VR1(図1(b)参照)の抵抗値を調整することによって変更できるようになっている。一方、明るさセンサにより検出した明るさが規定値を越えると熱線センサ8による検知出力があっても上記スイッチ要素をオフに保つようになっている。この規定値は、第2の可変抵抗器(図示せず)の抵抗値を調整することによって変更できるようになっている。したがって、周囲が明るくてランプ7の点灯が不要であるときに熱線センサ8の検知結果にかかわらずランプ7を消灯させておくことが可能になり、無駄な電力消費を少なくすることができる。
【0029】点灯回路、スイッチ要素、信号処理部などの構成部品が実装された第1の回路基板45と、人感センサ8、明るさセンサ、第1の可変抵抗器VR1、第2の可変抵抗器などが実装された第2の回路基板46とは、器具本体3の回路収納部31内に収納される。回路収納部31は、上面が開口した有底筒状であって、取付ベース30に連続一体に形成されている。回路収納部31の上面は、上述の器具取付板5の一部により閉塞される。ここに、第1の回路基板45は厚み方向が図1(b)における左右方向に一致するように回路収納部31内に配設され(つまり、回路収納部31内に立設され)、第2の回路基板46は厚み方向が図1(b)における上下方向に一致し且つ熱線センサ8および明るさセンサそれぞれの検知面が下方を向くように回路収納部31内に配設される。また、第2の回路基板46の下面側には、熱線センサ8および明るさセンサの両方を覆う椀状のレンズ9が配設されている。レンズ9は、透光性を有し且つ熱線が透過しやすい高密度ポリエチレンなどの材料によって形成されたフレネルレンズであって、複数の焦点を有していて熱線センサ8の検知領域を複数の領域に分割するようになっている。したがって、トイレなどの人の動きの少なく空間においても人のわずかな動きを検知できるのである。図1(b)中のAは熱線センサ8の検知エリアを示す。
【0030】なお、レンズ9の一部、第1の可変抵抗器VR1のつまみ17、第2の可変抵抗器のつまみ18はそれぞれ回路収納部31の底壁に穿孔された露出孔31a,77,78を通して露出している。ここにおいて、回路収納部31は、上下方向において下面がセード60の下端縁よりも上方に位置するように形成されており、各つまみ17,18の下端およびレンズ9の下端は、いずれもセード60の下端縁よりも上方に位置している。したがって、照明器具を図1(b)の右斜め下側から見たときにレンズ9や各つまみ17,18が目立ちにくくなり見栄えが良くなる。なお、各つまみ17,18の下端およびレンズ9の下端をセード60の下端縁よりも上方に位置させるという技術思想は、図11に示すように器具本体3が木ねじよりなる取付ねじ83を用いて施工面に固定される照明器具にも適用できることは勿論である。図11において図1と同様の構成要素には同一の符号を付してあり、図11中に一点鎖線で示す矢印Cはトイレに入ってきた人の目線を表したものであり、実線で示す矢印Dはランプ7の光を示す。
【0031】セード60は、下面が開口した円筒状に形成されている。セード60を器具本体3に取り付けるには、器具本体3の取付ベース30の周部の下端面から突設された3つのL字状の係止爪34それぞれをセード係止爪挿入口61の幅広部61aから係止爪挿入口61に挿入した後にセード61を図2における矢印Bの向きに回転させ、係止爪34の先端部を係止爪挿入口61の幅狭部61bの周縁に係止させるようになっている。
【0032】ところで、接続器2のボディ21の外周面には、取付ベース30の取付筒32の内周面との間の距離を他の部位よりも小さくする8つの器体側リブ23がボディ21の周方向において等間隔で離間して形成されている。ここに、各器体側リブ23はボディ21の軸方向(上下方向)に沿って形成されている。要するに、図8R>8示すように、隣り合う2つの器体側リブ23と器体20の中心軸とで囲まれた扇形の中心角は45°になっている。
【0033】一方、取付ベース30の取付筒32の内周面には、接続器2のボディ21の外周面との間の距離を他の部位よりも小さくする複数の本体側リブ33aよりなり隣接する本体側リブ33a間に接続器2の器体側リブ23が係合する2つの凹凸部33が取付筒32の中心軸を挟む位置に形成されている。各凹凸部33それぞれを構成する複数の本体側リブ33aは取付筒32の周方向において隣接して形成されている。ここに、各本体側リブ33aは取付筒32の軸方向(上下方向)に沿って形成されている。また、図9に示すように、取付筒32の周方向における凹凸部33の両端それぞれと取付筒32の中心軸とで囲まれた扇形の中心角は45°になっている。
【0034】しかして、本実施形態では、接続器2の器体20が取付筒32に回動自在に保持され器具本体3と器具取付板5との間に接続器2のボディ21の鍔状片21aが挟まれているので、接続器2を引掛シーリング1に取り付けた状態でも、接続器2を回動軸として器具本体3を回動させることができ、熱線センサ8および明るさセンサそれぞれの検知範囲を調整することができる。また、接続器2のボディ21の器体側リブ23が取付筒32に設けられた凹凸部33の隣り合う本体側リブ33a間に凹凸係合しているので、器具本体3を回動させるためには接続器2の器体側リブ23が凹凸部33の本体側リブ33aを乗り越えるのに必要な回転トルクが必要となるから、器具本体3が不用意に回転してしまうのを防ぐことができる(例えば、セード60を図2の矢印Bの向きやその逆方向に回転させる際に器具本体3が回動するのを防ぐことができる)。ここにおいて、器具本体3を回動させる際には、接続器側コネクタ42を第1の回路基板45に接続された本体側コネクタ43(図2および図4参照)から外しておくことにより、接続線41に過大な力がかかるのを防ぐことができる。なお、接続器2から導出されている接続線41は4本であって、2本が商用電源から一対の引掛栓刃29を介して上記点灯回路などへ給電するためのものであり、残りの2本が上記点灯回路からランプソケット6への給電用のものである。
【0035】
【発明の効果】請求項1の発明は、器具本体と、施工面に固定された給電用の配線器具と器具本体との機械的および電気的な接続に用いられる接続器と、接続器の器体の一部が嵌合される嵌合孔が形成され器具本体における施工面側に固定される器具取付板と、少なくとも配線器具および接続器を介して給電される光源とを備え、接続器は、円筒状の器体を有し器体の軸方向における施工面側の所定部位に鍔状片が形成され、器具本体は、接続器の器体が回動自在に保持される円筒状の取付筒が形成され、取付筒の上端縁と器具取付板の嵌合孔の周部との間に鍔状片が挟まれてなるものであり、器具本体に機械的に接続された接続器を施工面に固定された配線器具に取り付けた後でも接続器の器体を回転軸として利用して器具本体を施工面に平行な面内で回動させることができるので、器具本体の向きを回動させるための部材を別途に用意することなく器具本体の向きを調節することができるという効果がある。
【0036】請求項2の発明は、請求項1の発明において、接続器の器体の外周面に器体の軸方向に平行な器体側リブが突設され、取付筒の内周面に上記器体側リブが係合する凹凸部が形成されているので、器具本体を回動させるためには器体側リブと凹凸部との係合が脱するためのトルクが必要となるから、器具本体が不用意に回動されるのを防ぐことができるという効果がある。
【0037】請求項3の発明は、請求項2の発明において、上記器体側リブを8個備えるとともに上記凹凸部を2つ備え、各器体側リブは器体の周方向において等間隔で離間して突設され、各凹凸部は取付筒の軸方向に平行に突設され取付筒の周方向において隣接した複数の本体側リブからなり、各凹凸部は取付筒の周方向における両端と取付筒の中心軸とで囲まれる扇形の中心角が45°に設定され、取付筒の中心軸を挟む位置に形成されているので、取付筒と器体との位置に関わらず器具本体を回動させる際に必要なトルクを略一定にすることができるという効果がある。
【0038】請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、光源への給電路に挿入されたスイッチ要素と、検知エリア内の人の存否に応じた出力が得られる熱線センサと、熱線センサの検知出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部とを備え、少なくとも熱線センサは器具本体の要所に配設されているので、施工面に平行な面内で器具本体を回動させることで熱線センサの検知範囲を調整することができるという効果がある。
【0039】請求項5の発明は、請求項4の発明において、器具本体に取り付けられる筒状のセードと、熱線センサの検知面側に熱線センサを覆う形で配設される検知エリア調整用のレンズとを備え、レンズが上記セードの下端縁よりも上方に位置しているので、レンズが目立ちにくく見栄えが良くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】同上の下面図である。
【図3】同上の分解斜視図である。
【図4】同上の要部分解斜視図である。
【図5】同上の要部斜視図である。
【図6】同上の要部説明図である。
【図7】同上の要部説明図である。
【図8】同上の要部下面図である。
【図9】同上の器具本体の下面図である。
【図10】同上の斜視図である。
【図11】他の照明器具を示し、(a)は断面図、(b)は下面図である。
【図12】従来例を示す分解斜視図である。
【図13】他の従来例を示す分解斜視図である。
【図14】引掛シーリングの斜視図である。
【符号の説明】
2 接続器
3 器具本体
20 器体
21 ボディ
21a 鍔状片
22 カバー
30 取付ベース
32 取付筒
51 嵌合孔
53 固定ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 器具本体と、施工面に固定された給電用の配線器具と器具本体との機械的および電気的な接続に用いられる接続器と、接続器の器体の一部が嵌合される嵌合孔が形成され器具本体における施工面側に固定される器具取付板と、少なくとも配線器具および接続器を介して給電される光源とを備え、接続器は、円筒状の器体を有し器体の軸方向における施工面側の所定部位に鍔状片が形成され、器具本体は、接続器の器体が回動自在に保持される円筒状の取付筒が形成され、取付筒の上端縁と器具取付板の嵌合孔の周部との間に鍔状片が挟まれてなることを特徴とする照明器具。
【請求項2】 接続器の器体の外周面に器体の軸方向に平行な器体側リブが突設され、取付筒の内周面に上記器体側リブが係合する凹凸部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】 上記器体側リブを8個備えるとともに上記凹凸部を2つ備え、各器体側リブは器体の周方向において等間隔で離間して突設され、各凹凸部は取付筒の軸方向に平行に突設され取付筒の周方向において隣接した複数の本体側リブからなり、各凹凸部は取付筒の周方向における両端と取付筒の中心軸とで囲まれる扇形の中心角が45°に設定され、取付筒の中心軸を挟む位置に形成されてなることを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】 光源への給電路に挿入されたスイッチ要素と、検知エリア内の人の存否に応じた出力が得られる熱線センサと、熱線センサの検知出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部とを備え、少なくとも熱線センサは器具本体の要所に配設されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】 器具本体に取り付けられる筒状のセードと、熱線センサの検知面側に熱線センサを覆う形で配設される検知エリア調整用のレンズとを備え、レンズが上記セードの下端縁よりも上方に位置してなることを特徴とする請求項4記載の照明器具。
【請求項1】 器具本体と、施工面に固定された給電用の配線器具と器具本体との機械的および電気的な接続に用いられる接続器と、接続器の器体の一部が嵌合される嵌合孔が形成され器具本体における施工面側に固定される器具取付板と、少なくとも配線器具および接続器を介して給電される光源とを備え、接続器は、円筒状の器体を有し器体の軸方向における施工面側の所定部位に鍔状片が形成され、器具本体は、接続器の器体が回動自在に保持される円筒状の取付筒が形成され、取付筒の上端縁と器具取付板の嵌合孔の周部との間に鍔状片が挟まれてなることを特徴とする照明器具。
【請求項2】 接続器の器体の外周面に器体の軸方向に平行な器体側リブが突設され、取付筒の内周面に上記器体側リブが係合する凹凸部が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】 上記器体側リブを8個備えるとともに上記凹凸部を2つ備え、各器体側リブは器体の周方向において等間隔で離間して突設され、各凹凸部は取付筒の軸方向に平行に突設され取付筒の周方向において隣接した複数の本体側リブからなり、各凹凸部は取付筒の周方向における両端と取付筒の中心軸とで囲まれる扇形の中心角が45°に設定され、取付筒の中心軸を挟む位置に形成されてなることを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】 光源への給電路に挿入されたスイッチ要素と、検知エリア内の人の存否に応じた出力が得られる熱線センサと、熱線センサの検知出力に基づいて上記スイッチ要素を制御する信号処理部とを備え、少なくとも熱線センサは器具本体の要所に配設されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】 器具本体に取り付けられる筒状のセードと、熱線センサの検知面側に熱線センサを覆う形で配設される検知エリア調整用のレンズとを備え、レンズが上記セードの下端縁よりも上方に位置してなることを特徴とする請求項4記載の照明器具。
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2001−126527(P2001−126527A)
【公開日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−307531
【出願日】平成11年10月28日(1999.10.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(392000567)朝日ナショナル照明株式会社 (100)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年10月28日(1999.10.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【出願人】(392000567)朝日ナショナル照明株式会社 (100)
【Fターム(参考)】
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