説明

照明装置および画像形成装置

【課題】反射部材の反射面が導光体の上端よりも上方に位置するようこれらの反射部材及び導光体を配置する必要がある。
【解決手段】一実施形態によれば、透過光による画像の読取領域を照明する光源と、この光源の光を長手方向に導き、この光を直接前記読取領域の方向に射出し、前記光を前記長手方向に交差し前記読取領域の方向と異なる方向に射出し、前記光を拡散又は反射する光拡散面部が形成された導光体と、前記光拡散面部から出射され前記長手方向に線状の縦断面を持つ出射光束を前記読取領域に向けて反射する反射面を有し前記導光体に対向して設けられ、前記反射面上で前記長手方向に亘って局所的に所定以上の照度が分布する受光面領域の高さ位置が前記導光体の上端高さ以下である反射部材と、を備えたことを特徴とする照明装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は照明装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機に用いられる画像読取装置は主走査方向に1ライン分の画像を読取る。画像読取装置は、光源から原稿に対し、縦断面内で主走査方向に沿って線状の光を照射し、原稿からの反射光をレンズ等により集光してイメージセンサ等に入射させている。
【0003】
画像読取装置は照明装置を用いる。画像の凹凸によって、影が生じないようにする為に、照明装置は、画像の読取領域外の光束をこの読取領域へ折返す機構を持つ。従来、原稿台ガラスと、長手状の導光本体及びこの導光本体の端部に設けられ発光素子などの光源を有する導光体と、この導光体からの縦断面内で線状の出射光束を画像読取領域へ反射し画像読取領域に対して導光体と反対側に配置された反射部材とを備えた照明装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−252340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、反射部材の反射面が導光体の上端よりも上方に位置するようにこれらの反射部材及び導光体を配置する必要がある。
【0006】
反射面を導光体の上端よりも高く配置しなければならないという制約によって、導光体を原稿台ガラスに近づけた配置を照明装置はとることができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、透過光による画像の読取領域を照明する光源と、この光源の光を長手方向に導き、この光を直接前記読取領域の方向に射出し、前記光を前記長手方向に交差し前記読取領域の方向と異なる方向に射出し、前記光を拡散又は反射する光拡散面部が形成された導光体と、前記光拡散面部から出射され前記長手方向に線状の縦断面を持つ出射光束を前記読取領域に向けて反射する反射面を有し前記導光体に対向して設けられ、前記反射面上で前記長手方向に亘って局所的に所定以上の照度が分布する受光面領域の高さ位置が前記導光体の上端高さ以下である反射部材と、を備えたことを特徴とする照明装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る照明装置を含む画像読取装置の構成例を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る照明装置の主走査方向に直交する縦断面構造を示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る照明装置の主走査方向に直交する縦断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態に係る照明装置および画像形成装置について、図1乃至図4を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る照明装置は画像読取装置に差入れられる原稿を照明する照明装置である。第1の実施形態に係る画像形成装置はスキャナを有するデジタル複写機である。
【0011】
図1はデジタル複写機の構成図である。デジタル複写機10は本体11、スキャナ12(画像読取装置)、画像処理部13、印刷部14、定着器15、給紙部16、搬送機構17、二次転写部18、コントローラ19及び原稿搬送部20を備える。スキャナ12は原稿面を走査し、画像データを出力する。画像処理部13はスキャナ12からの3色の画像データから4印刷色へ変換し、画像データを補正する。
【0012】
印刷部14はシート上に画像を形成しシートを出力する。この印刷部14は、ベルト21、イエロー(Y)用の画像形成プロセスユニット22Y、マゼンタ(M)用の画像形成プロセスユニット22M、シアン(C)用の画像形成プロセスユニット22C、ブラック(K)用の画像形成プロセスユニット22K及びレーザ露光装置23を有する。ベルト21は中間転写ベルトである。ベルト21を駆動ローラ29が駆動する。
【0013】
画像形成プロセスユニット22Yは、感光体ドラム24、帯電器25、現像器26、一次転写ローラ27、及び除電器28を有する。感光体ドラム24は、時計回りに回転駆動されるドラムと、このドラムの外周面上の感光体とを有する。帯電器25は感光体ドラム24を帯電させる。帯電器25は感光体ドラム24上の帯電量を変化させる。現像器26は感光体ドラム24上の静電潜像を現像する。現像器26は二成分現像剤により満たされた容器内にマグネットローラを有する。マグネットローラ及び感光体ドラム24がともに回転し、現像器26は磁気ブラシにより静電潜像へトナーを供給する。更にドラム回転方向下流において一次転写ローラ27は感光体ドラム24上のトナー像をベルト21上に転写する。除電器28は感光体ドラム24上の電荷を除去する。画像形成プロセスユニット22M、22C、22Kの構成は、画像形成プロセスユニット22Yの構成と実質同じである。
【0014】
定着器15は未定着のトナー像をシート上に定着させる。給紙部16は、それぞれその中にシートをセットされる。搬送機構17は給紙部16からのシートを印刷部14へ供給する。二次転写部18は、シートに、ベルト21上のトナー像を転写する。二次転写部18からのシートを定着器15は加熱し加圧する。搬送機構17は定着後のシートを本体11内の排紙トレイへ排紙する。
【0015】
コントローラ19は、全体の制御を司るCPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリー・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)及びCPU、ROM、RAM間を接続するバスラインを備える。コントローラ19はスキャナ12を含む印刷部14による画像形成プロセスを制御する。ROMはスキャナ12の制御内容を記憶する。RAMはCPUによって演算される種々のデータを一時的に記憶する。
【0016】
デジタル複写機10又はスキャナ12は本体11の上部に原稿台ガラス30(原稿台)を有する。原稿台ガラス30は、原稿を載置しこの原稿による散乱光によって読取り対象の画像を生成する。原稿台ガラス30は読取領域を持つ主面及びこの主面と反対側の裏面を有する。原稿搬送部20は原稿台ガラス30の上方に設けられこのスキャナ12に原稿を差入れる。原稿搬送部20は一束の原稿を1枚ずつ原稿台ガラス30上に搬送し、この原稿台ガラス30上に原稿を位置決めする。原稿搬送部20にはオートマティックドキュメントフィーダ(ADF)が用いられる。
【0017】
スキャナ12について更に述べる。図2はスキャナ12の構成例を示す図である。同図中、既述の符号はそれらと同じ要素を表す。スキャナ12は原稿搬送部20が送る原稿D、又は原稿台ガラス30上に置かれた原稿面を走査する。スキャナ12は、読取った画像情報をアナログ信号に変換する。スキャナ12は、原稿面を照明し、原稿面を主走査方向、副走査方向にそれぞれ走査し、光像を生成する。主走査方向とは本体11の本体奥行き方向を指す。副走査方向とは主走査方向に直交する方向を指す。
【0018】
スキャナ12は、照明装置31(本実施形態に係る照明装置)を内蔵し左右に動かす第1キャリッジ32、この第1キャリッジ32の移動方向とは逆方向に動かされる第2キャリッジ33、レンズ34、CCD(charge coupled device[光電変換素子])センサ35、及び駆動モータ36を備えている。プラテンカバー37は原稿搬送部20の一部である。CCDセンサ35に入力された情報に基づいて、レーザ露光装置23は感光体ドラム24に静電潜像を作成するレーザ光を発光する。
【0019】
図3は照明装置31の主走査方向に直交する縦断面構造を示す図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。図2、図3に示されるように、照明装置31は、原稿台ガラス30の透過光による画像の読取領域Pを照明する光源38と、光源38の光を長手方向に導きこの光を直接読取領域Pの方向及び長手方向に直交し読取領域Pの方向と異なる方向に射出する導光体39と、導光体39に形成され光を拡散又は反射する光拡散面部40と、光拡散面部40から出射され長手方向に線状の縦断面を持つ出射光束を読取領域Pに向けて反射する反射面41を有する反射部材42とを備えている。この反射部材42の反射面41上で長手方向に亘って局所的に高い照度が分布する受光面領域Rの高さ位置が導光体39の上端高さ位置と同じか、又は導光体39の上端高さ位置よりも下方になるようになっている。すなわち、この反射部材42の反射面41上で長手方向に亘って局所的に所定以上の照度が分布する受光面領域Rの高さ位置が前記導光体39の上端高さ以下である。所定以上の照度とは、原稿を読取する際に十分な照度以上のことを意味する。
【0020】
光源38は導光体39の長手方向の一方、例えば本体フロント側の一端面に設けられている。光源38には例えば光源ユニットが用いられる。光源ユニットは、基板と、この基板上に取付けられた1個または複数個の発光ダイオード(LED)とを備えており、この発光ダイオードから光を導光体39の一端面から入射する。
【0021】
導光体39は、主走査方向を長手方向とし光源光束を長手方向に導光しそれぞれ長手方向に長尺な少なくとも2つの光射出面から光束を出射するものである。導光体39は、主走査方向に長尺柱状であり光を長手方向に導く導光本体43と、導光本体43の一部を覆うケース部材44とを備える。導光本体43は透明媒質からなる。導光本体43はアクリルやポリカーボネートなどの光透過率の高い樹脂または光学ガラスの成型品である。導光本体43には具体的には導光体プリズムが用いられる。ケース部材44は高い光反射率を有する金属プレートである。ケース部材44には例えば白色樹脂、表面に塗料を塗布した部材が用いられる。あるいはケース部材44には高い反射率を有する金属の板が用いられ、具体的にはアルミニウム板やステンレス板などが挙げられる。導光体39は、ケース部材44と反射部材42とが一体となった構造を有してもよい。
【0022】
導光体39は更に、光源38の光を反射する光反射領域45と、光反射領域45と対向し反射光を直接光として読取領域Pの方向に射出する第1射出面46と、長手方向に直交し反射部材42の方向に光を射出する第2射出面47とを備えている。光反射領域45は例えば微小な凹凸加工や印刷されたパターンである。第1射出面46、第2射出面47は導光本体43のうち、ケース部材44により覆われていない露出部分であり何れも主走査方向に長い。導光体39は多面体構造を有する。導光体39の主走査方向に直交する縦断面の断面形状は多角形状である。つまり導光体39は、主走査方向に対応した長手方向の側面を第1射出面46とし、この第1射出面46に対向する面に光反射領域45を形成している。
【0023】
光拡散面部40は光を拡散又は反射して光束を第2射出面47に向けて射出する面領域又は部位である。光拡散面部40は光散乱構造を有する。光散乱構造とは例えば細溝や略半球状の凹凸、又は印刷されたパターンを指す。光拡散面部40は例えば導光本体43側に形成される。光拡散面部40は導光体39に第2射出面47と対向した状態で形成されている。
【0024】
反射部材42は原稿台ガラス30の下面48側において導光体39に対向して設けられている。この反射部材42の反射面41は光拡散面部40から第2射出面47を通って出射された出射光束を上方の読取領域Pに向けて反射する。この出射光束は長手方向に線状の縦断面を持つ面状光束である。反射面41には光反射特性が高い光沢を有する部材が用いられる。本実施形態では、この反射面41上で長手方向に亘って局所的に高い照度が分布する受光面領域Rの高さ位置が第1射出面46の面高さ(導光体の上端高さ)と実質同じ、又はこの第1射出面46の面高さよりも下方になるようになっている。反射面41上では長手方向に所定の照度分布が生成されるようになっている。図3には、反射面41上の照度分布を縦断面内で可視化したとして描いた照度分布特性Dが示されている。照度分布特性Dは局所的にピークを有する。受光面領域Rはこのピーク状に高い照度が長手方向に亘って分布している矩形領域である。
【0025】
光拡散面部40は垂直面に対して傾斜している。主走査方向軸を含む光拡散面部40の直交面が水平面よりも下方を向くように光拡散面部40は傾斜している。あるいは光拡散面部40は光散乱構造によって拡散光を水平面に対して鋭角的な拡散角度で下方へ指向させるようにしている。光拡散面部40自体の傾斜、又は拡散光の光軸を水平面よりも下方へ指向させること、あるいはこの傾斜及びこの指向の両方により光拡散面部40からの射出光の光軸は、副走査方向と略平行又は水平面よりも下方を向くようになっている。これによって受光面領域Rの高さが第1射出面46の面高さと実質同じか、又はこの面高さよりも下方に位置するようになっている。
【0026】
また、反射部材42は導光体39の上端と同じかこの上端よりも下方に位置するように、原稿台ガラス30及び導光体39に対して配置されている。ここで導光体39の第1射出面46及び原稿台ガラス30の裏面間の最短距離をL1とし、原稿台ガラス30の裏面及び反射面の上端の間の最短距離をL2としたとき、照明装置31は、L1≦L2なる関係になるように原稿台ガラス30、導光体39及び反射部材42を配置してある。L1は導光体39の移動に対して非接触に保つために予め決められる値である。L2は原稿台ガラス30の主面上において第1射出面46からの直接光の光量及び第2射出面47からの反射光の光量を均等に予め決められる値である。
【0027】
また、図2のスキャナ12を構成する第1キャリッジ32及び第2キャリッジ33は、駆動モータ36からの往復駆動力を、ベルトやプーリを介して互いに逆向きに受取って、原稿台ガラス30のガラス面に平行に移動するようにしている。
【0028】
第1キャリッジ32は、読取光軸に沿って設けられ原稿からの反射光を導く折返し用のミラー49を有する。第2キャリッジ33は折返し用のミラー50、51を有し、これらのミラー50、51を駆動力により動かす。第1キャリッジ32、第2キャリッジ33が副走査方向へ移動することに伴い、原稿に対する読取位置Pは左から右へ移動する。ミラー50の面法線と、ミラー51の面法線とが直交するようにこれらのミラー50、51は第2キャリッジ33に設けられている。ミラー51はミラー50からの反射光をレンズ34へ導く。レンズ34は反射光を集める結像レンズであり、光ビームをCCDセンサ35の面上に結像させる。
【0029】
CCDセンサ35は原稿から反射されてきた光情報を受光する。CCDセンサ35は例えば4列のラインセンサからなり、モノクロ画像信号及びRGBのカラー画像信号を画像処理部13へ出力する。駆動モータ36にはステッピングモータが用いられる。駆動モータ36は、コントローラ19からパルス信号により駆動される。
【0030】
コントローラ19の制御のうちスキャナ制御系は、CCDセンサ35を制御するCCDセンサ制御回路と、原稿に光を照射する照明装置31を制御する光源制御回路、駆動モータ36を制御するモータ制御回路と、シェーディング補正やガンマ補正などのデータを記憶している画像補正部と、CCDセンサ35から入力されたデータに対して拡大縮小処理や解像度変換などの画像処理を行う画像処理部12とを備え、これらをバス接続させている。スキャナ制御系は、原稿読取り条件の設定画面などが表示される表示器を制御する表示器制御回路と、読取り開始を指示する読取開始釦を含みその他解像度設定などの各種釦を有するキーパネル58を制御するキーパネル制御回路と、画像処理部が処理したデータ等をスキャナ制御系の外部へ送出すとともにスキャナ制御系の外部からの指示情報等を受取るインターフェースなどとを備え、これらをバス接続させている。
【0031】
上述の構成の照明装置31を含むスキャナ12に対し、原稿は、原稿搬送部20によって送られる。あるいは人がプラテンカバー37を開いて原稿台ガラス30上に原稿を戴置する。図2において原稿Dは原稿台ガラス30上に読取られる面を下にして置かれる。プラテンカバー37を閉めることで原稿Dは原稿台ガラス30上に押さえつけられる。
【0032】
キーパネル58への操作入力によりスキャナ12は照明の動作を始める。図3において光源38から照射された光は導光体39に入射する。導光本体43は、この導光本体43内部を進行する光波を導光本体43の空気との境界面において全反射させながら長手方向に進行させる。導光体39の内部を進む光波は光拡散面部40に当たり、光波は第1射出面46、第2射出面47から導光本体43の外部に出射する。
【0033】
その際、第1射出面46から出射した光束の光軸は、原稿台ガラス30に向けられており、読取領域Pに直接向かう。一方、第2射出面47から出射した光束の光軸は反射部材42に向けられており、反射部材42を介して読取領域Pに向かう。この時、第2射出面47から出射した光束の内、局所的に照度が強い線を光束の光軸とすると、光軸が副走査方向と略平行、又は副走査方向よりも下方へ向けられるため、照明装置31は、反射部材42を導光体光源(光源38及び導光体39)よりも下方に配置することが出来るようになる。照明装置31はL1≦L2の関係も満たす。
【0034】
また、第1射出面46からの直接光束の光量と、第2射出面47からの反射光束の光量とが、原稿台ガラス30上の画像の読取領域Pにおいて重畳される。図3において副走査方向に直交する垂直面で原稿台ガラス30を切断したとすると(同図の読取光軸はこの垂直面を本体フロント側から本体リア側に向かって見たときの直線に相当する)、間接的な反射光束は主に左上方向に向かって照射され、直接光束は主に右上方向に向かって照射される。CCDセンサ35が副走査方向に感度の幅を持つため、原稿台ガラス30の上面の画像の読取領域Pでは2方向からの光束により光分布が生じる。光分布を重ねることにより、副走査方向の例えば見開き状態の書籍のコピーで左右一対のページ画像の再現性が高められる。さらに副走査方向の照明領域に所定の幅を持たせることができるため、スキャナ12の部品や原稿が動いたときに生じる誤差が吸収される。
【0035】
照明装置31は、光源38から原稿に主走査方向に長い線状の光を照射する。照明装置31は原稿Dを長手方向にライン上に照射する。原稿Dからの反射光をミラー49、50、51がそれぞれ折返す。ミラー49はレンズ34を介して反射光をCCDセンサ35に入射する。スキャナ12は主走査方向に1ライン分の画像を読取る。スキャナ制御系は原稿面からCCDセンサ35までの光路長が常に一定になるように第1キャリッジ32、第2キャリッジ33を駆動制御する。スキャナ制御系は駆動モータ36によって、第1キャリッジ32の副走査速度:第2キャリッジ33の副走査速度が2:1になるように速度を制御する。スキャナ制御系は駆動モータ36を読取りタイミング信号に同期させ、図2中の左から右の方向へ第1キャリッジ32を動かす。原稿上を照明装置31からの反射光が副走査方向に走査される。
【0036】
原稿台ガラス30上に置かれた原稿Dは、CCDセンサ35における主走査画像領域ごとに順次読取られる。CCDセンサ35は、原稿からの反射光である光強度に応じた信号に光電変換する。このとき、各要素と光電変換されたCCDセンサ35からの出力電圧と、第1キャリッジ32の移動速度との間には下式(1)、(2)の関係が成立する。
E=S×I×α×t (1)
V=0.0254/(t×R) (2)
ここでEはCCDセンサ35の出力値(V)を表し、SはCCDセンサ35の感度V/(lx・s)を表す。Iは原稿面の照度(lx)を表す。αは原稿面の照度からCCDセンサ35までの照度低下係数を表す。このαは原稿の反射率、ミラー49〜51のミラー49〜51の間で同じ反射率、レンズ34の透過率等が考慮された値を持つ。tは1ライン当たりの処理時間(s)を表す。Vは第1キャリッジ32の速度(m/s)を表す。Rは読取解像度(dpi)を表す。「×」、「・」は乗算を表す。
【0037】
このように、反射部材42が導光体39の第1射出面46よりも下方に位置するように反射部材42及び導光体39を配置できる。第1キャリッジ32、第2キャリッジ33が往復移動したときに、照明装置31と原稿台ガラス30との接触を避けられる。照明装置31は一つの光源38を用いて、反射部材42をガラス下面に極力近づけつつ、直接光と反射光との各光量のバランスを調節すること、及び反射光の光量を確保することを実現できるようになる。
【0038】
一般的に導光体光源からの直接光と、反射部材からの間接光とは同等の照度を有することが望ましい。従来例では、間接光の照度を十分に得る為に、L1とL2との間はL1>L2により関係付けられていた。そのため、従来例では、照明の効率を上げる為に導光体光源を原稿台ガラスに近づけることが難しかった。
【0039】
これに対して照明装置31では、図3のように、L1≦L2の関係が成立するため、反射部材42の上端と原稿台ガラス30の下面との間のマージンを狭くすることができる。光は、光強度が光路距離に応じて落ちるという特性を有する。照明装置31と原稿台ガラス30とが接触せずに、この照明装置31は導光体光源を原稿台ガラス30に極力近づけることができる。光路距離を増大させずに照明装置31は原稿面を照明することができ、光源38による照明効率を向上させることができる。
【0040】
また、予めL1の値を、照明装置31の個々の部品の公差、これらの部品のアセンブリ公差、駆動モータ36の振動等が発生したとしても、照明装置31が原稿台ガラス30に当たらないように決めておくことによって、スキャナ12が画像を読取る際、第1キャリッジ32、第2キャリッジ33が動いても、照明装置31は原稿台ガラス30に接触しない。
【0041】
照明装置31は一つの導光体光源(導光体39及び光源38)を有する。導光体光源が一つであるため、照明装置31は読取領域Pにおいて直接光の光量と、間接光である反射光の光量とを均等に配分し、照射の濃淡や照度ばらつきを抑えている。照明装置31は反射面41の上端を低くし、反射面41の上端が導光体39の第1射出面46の面高さよりも低くなるように導光体39を原稿台ガラス30に寄せて配置することができる。各光量のバランスを調節し、及び導光体39からの光束のうちの反射部材42へ向かう光束の光量を確保することができるようになる。
【0042】
導光体39が原稿台ガラス30に近づくため、光路距離の4乗に応じて光強度が落ちることが避けられ、導光体光源による照明の効率を向上させることができる。従来例では反射面が上方へ突き出ていたため、導光体光源と原稿台ガラスとを接触させずにこの導光体光源を原稿台ガラスに近づけて配置することができない。
【0043】
本実施形態に係る照明装置及び画像形成装置によれば、反射部材42と原稿台ガラス30とが接触すること無しに、導光体光源の照明の効率を高く維持しつつ、照明装置31を原稿台ガラス30に近づける配置をとることができるようになる。
【0044】
(第2の実施形態)
実施の形態に係る照明装置は導光体39の形状と異なる形状を持つ導光体を用いてもよい。上記第1の実施形態では多面体構造において一つの光拡散面部40から2方向へ直接光と反射光とが出射されていた。第2の実施形態に係る照明装置はそれぞれこの光拡散面部40に相当する2面の光拡散面部を有する。一方の光拡散面部が直接光を読取領域Pへ出射し、他方の光拡散面部が間接光のための光束を反射部材42へ出射する点で、本実施形態は一つの光拡散面部40だけを持つ第1の実施形態と異なる。第2の実施形態に係る照明装置はスキャナ12への原稿の照明装置である。第2の実施形態に係る画像形成装置はデジタル複写機10である。これら以外について本実施形態に係る照明装置及び画像形成装置は、第1の実施形態の例と実質同じ構成を有する。
【0045】
図4は本実施形態に係る照明装置の主走査方向に直交する縦断面構造を示す図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。
【0046】
照明装置52は、原稿台ガラス30の透過光による画像の読取領域Pを照明する光源38(図2)と、光源光を長手方向に導く導光本体53を有しこの導光本体53により光を直接読取領域Pの方向及び長手方向に直交し読取領域Pの方向と異なる方向に射出する導光体54と、それぞれこの導光体54に形成され光を拡散又は反射する光拡散面部55(第1光拡散面部)及び光拡散面部56(第2光拡散面部)と、これらの光拡散面部55、56から出射された長手方向に線状の縦断面を持つ出射光束を読取領域Pに向けて反射する反射面41を有し導光体54に対向して設けられた反射部材42とを備えている。この反射部材42の反射面41上で長手方向に亘って局所的に高い照度が分布する受光面領域Rの上端高さ位置が導光体54の上面の高さと同じ、又はこの高さよりも下方になるようになっている。導光体54は光を直接読取領域Pの方向へ射出する射出面57を形成されている。光拡散面部55、56は光を反射し又は拡散する曲面である。
【0047】
このような構成の照明装置52では、導光体54が少なくとも2つの光拡散面部55、56を有している。光源38から照射された光は、導光体54の長手方向の一端面及び他の端面のうち何れか一方又は両方より入射する。光は導光体54の内部で反射しながら、導光体54を長手方向に進む。導光体54の内部を進む光は、光拡散面部55、56に当たる。導光体54はこの光を射出面57から外部に射出する。
【0048】
その際、第1の光拡散面部51からの光束の光軸は、原稿台ガラス30に向けられており、この光束は読取領域Pに直接向かう。一方、第2の光拡散面部52からの光束の光軸は反射部材42に向けられており、この光束は反射部材42を介して読取領域Pに向かう。この時、射出面57から出射した光束の内、局所的に照度が強い線を光束の光軸とすると、光軸が副走査方向と略平行、又は副走査方向よりも下方へ向けられるため、照明装置52は、反射部材42を導光体光源(光源38及び導光体54)よりも下方に配置することが出来るようになる。照明装置52はL1≦L2とすることが可能となる。
【0049】
(その他)
尚、上記の実施形態は実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0050】
照明装置31、52は、印刷部14と組み合わせて、画像形成装置とした構成でもよい。ここで、画像形成装置とは例えば、デジタル複合機、MFP(multi function peripheral)やカラープリンタを指す。
【0051】
上記の実施形態では、光源38は導光体39の装置フロント側に設けられていたが、光源38は導光体39の本体リア側の一端面に設けられてもよい。光源38は導光体39の両側の端面に設けられてもよい。副走査断面の形状は図3に示したものに限定するものではない。
【0052】
透明な原稿台として樹脂材を用いても良い。ケース部材44は金属プレートであったが、ケース部材44の内壁面に塗布された反射性を持つ塗料など、光を反射させるものであれば用いてもよい。導光本体43が光を全反射させることが可能な媒質を用いる場合、この導光本体43を覆うためのケース部材44を必ずしも設ける必要はない。反射部材42は、反射面41と、この反射面41以外の部分とを別部材によって構成してもよい。この場合、実施形態に係る照明装置は、反射部材42と原稿台ガラス30との間の最短距離L2として、反射面41の上端と原稿台ガラス30との間の最短距離を使う。反射面41に反射性を持つ塗料を塗布してもよい。反射面41は平面の代わりに、凹面あるいは凸面を用いることができる。光拡散面部55、56は面上に微細な凹凸を施したり、多面体状にされてもよい。
【0053】
本実施形態として、スキャナ23は画像形成装置の一部として説明をしたが、これに限定されず、スキャナ23自身を画像形成装置と定義してもよい。
【0054】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
10…デジタル複写機(画像形成装置)、12…スキャナ、14…印刷部、23…レーザ露光装置、38…光源、39…導光体、40…光拡散面部、41…反射面、42…反射部材、43…導光本体、45…光反射領域、46…第1射出面、47…第2射出面、52…照明装置、53…導光本体、54…導光体、55…光拡散面部(第1光拡散面部)、56…光拡散面部(第2光拡散面部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過光による画像の読取領域を照明する光源と、
この光源の光を長手方向に導き、この光を直接前記読取領域の方向に射出し、前記光を前記長手方向に交差し前記読取領域の方向と異なる方向に射出し、前記光を拡散又は反射する光拡散面部が形成された導光体と、
前記光拡散面部から出射され前記長手方向に線状の縦断面を持つ出射光束を前記読取領域に向けて反射する反射面を有し前記導光体に対向して設けられ、前記反射面上で前記長手方向に亘って局所的に所定以上の照度が分布する受光面領域の高さ位置が前記導光体の上端高さ以下である反射部材と、を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
原稿による散乱光によって前記画像を生成し前記読取領域を持つ主面およびこの主面と反対側の裏面を有する透明な原稿台を更に備え、前記導光体は前記光を前記読取領域の方向へ射出する第1射出面および前記光を前記異なる方向に射出する第2射出面を備え、
前記導光体の前記第1射出面および前記原稿台の裏面を前記導光体の移動に対して非接触に保つためのこれらの第1射出面および原稿台裏面間の距離をL1とし、前記原稿台の主面上において前記第1射出面からの直接光の光量および前記第2射出面からの反射光の光量を実質均等にさせるための前記原稿台裏面および前記反射面の上端の間の距離をL2としたとき、L1≦L2なる関係になるように前記原稿台、前記導光体および前記反射部材が配置されたことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記導光体は複数の面部を含む多面体構造を有し、前記光拡散面部は光散乱構造を有する少なくとも2つの第1光拡散面部および第2光拡散面部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
請求項1記載の照明装置と、
前記照明装置から反射された光を反射するミラーと、
前記ミラーにより反射された光を受光する電荷結合素子と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記電荷結合素子に入力された情報に基づいて、感光体ドラムに静電潜像を作成するレーザ光を発光するレーザ露光装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−90197(P2013−90197A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229865(P2011−229865)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】