説明

照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサ

【課題】 光源の配向特性に偏差がある場合や光源と導光体との設置位置にばらつきがある場合でも導光体の入射領域に対して光量の均一性を確保した照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサを提供する。
【解決手段】 光源1と、光源1からの光を読み取り幅方向に導光しながら光を被照射体12に照射する導光体5と、多数の貫通穴4bを設けた、入射面部4cと出射面部4d、及び入射面部4cと出射面部4dとの間に位置する経路変換部4eを有し、入射面部4cの貫通穴4bに光ファイバ線4aを挿入し、入射面部4cの中心側にある光ファイバ線4aを経路変換部4eで屈曲させて出射面部4dの外周側に配置し、入射面部の外周側にある光ファイバ線4aを経路変換部4eで屈曲させて出射面部4dの中心側に配置する、光源1と導光体5との間に介在する光経路変換手段4とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複写機、ファクシミリなどの画像を読み取る画像入力装置、またカラー画像や紙幣認識等の特殊媒体を施した画像を読み取るための画像入出力装置に用いられる照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
原稿などの画像を読み取るイメージセンサなどに使用される照明光学系として、例えば、特開平6−222216号公報図1(特許文献1参照)には導光レンズ1の受光部3に形成された凹面部4がLED発光体5に対面するように構成されている導光レンズが開示されている。
【0003】
特開平5−136940号公報図1(特許文献2参照)には、光ファイバ8の端部81に対向してLED素子9を配置し、筐体5の内部に配置された光ファイバ8は、コア部82、クラッド部83、クラッド部83を除去した部分84および遮光部85から構成されている密着型イメージセンサが開示されている。
【0004】
特開2009−104032号公報図6(特許文献3参照)には、光ファイバ束23の受光端23aが、EL発光体22のEL基材に対向するようにし、光ファイバ束23の反対側の端部である投光端23bからの光を原稿P方向に向けた照明装置が開示されている。
【0005】
特開2002−288644号公報図1(特許文献4参照)には、光ファイバー単繊維を平行かつ端面を揃えて複数の層からなるシート状に配列してライン状の出射端面5を形成したライン型ライトガイド1の出射端面5の外側に、反射平面を有する一対の反射部材2を出射端面5を挟んで反射平面が光ファイバーと平行(光軸と平行)になるように配置して反射空間19を設けた照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−222216号公報(第1図、〔段落0016〕)
【特許文献2】特開平5−136940号公報(第1図、〔段落0007〕)
【特許文献3】特開2009−104032号公報(第6図、〔段落0031〕)
【特許文献4】特開2002−288644号公報(第1図、〔段落0008〕)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のものでは導光レンズ1が大きくなることや照明の配向特性に制限があるという課題があった。
【0008】
特許文献2に記載のものでは光ファイバ8の径により配向特性に制限があるという課題があった。
【0009】
また、特許文献3に記載のものでは点光源の導光限界があり、画像読取装置が長い場合には高価なEL発光体22が多数必要であるという課題があった。
【0010】
特許文献4に記載のものでは光源6からの光が出射端4から広がるので均一な光を伝搬できないという課題があった。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、光源の配向特性に偏差がある場合や光源と導光体との設置位置にばらつきがある場合でも導光体の入射領域に対して光量の均一性を確保した照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の照明装置は、光源と、光散乱層を有し、前記光源からの光を読み取り幅方向に導光しながら前記光散乱層で反射又は散乱した光を被照射体に照射する導光体と、マトリック状に多数の貫通穴を設けた、入射面部と出射面部、及び前記入射面部と前記出射面部との間に位置する経路変換部を有し、前記入射面部の貫通穴に細長の光ファイバ線を挿入し、前記入射面部の中心側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の外周側に配置し前記入射面部の外周側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の中心側に配置する前記光源と前記導光体との間に介在する光経路変換手段とを備えたものである。
【0013】
請求項2に記載の照明装置は、前記光経路変換手段の前記入射面部と前記出射面部とは、互いに直交している請求項1に記載のものである。
【0014】
請求項3に記載の照明装置は、前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より大きいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より低い請求項1又は2に記載のものである。
【0015】
請求項4に記載の照明装置は、前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より小さいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より高い請求項1又は2に記載のものである。
【0016】
請求項5に記載の密着型イメージセンサは、光源と、光散乱層を有し、前記光源からの光を読み取り幅方向に導光しながら前記光散乱層で反射又は散乱した光を被照射体に照射する導光体と、マトリック状に多数の貫通穴を設けた、入射面部と出射面部、及び前記入射面部と前記出射面部との間に位置する経路変換部を有し、前記入射面部の貫通穴に細長の光ファイバ線を挿入し、前記入射面部の中心側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の外周側に配置し前記入射面部の外周側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の中心側に配置する前記光源と前記導光体との間に介在する光経路変換手段と、被照射体で反射した光を収束するレンズ体と、このレンズ体で収束した光を受光するセンサと、前記光源、前記導光体、前記光経路変換手段、前記レンズ体、及び前記センサを収納又は保持する筐体とを備えたものである。
【0017】
請求項6に記載の密着型イメージセンサは、前記光経路変換手段の前記入射面部と前記出射面部とは、互いに直交している請求項5に記載のものである。
【0018】
請求項7に記載の密着型イメージセンサは、前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より大きいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より低い請求項5又は6に記載のものである。
【0019】
請求項8に記載の密着型イメージセンサは、前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より小さいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より高い請求項5又は6に記載のものである。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、光源と導光体との間に光経路変換手段を用いることにより、光源の配向特性に偏差がある場合や光源と導光体との位置決めにばらつきがある場合でも導光体の入射領域に対して光量の均一性を確保した照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1による密着形イメージセンサの組み立て展開図である。
【図2】この発明の実施の形態1による密着型イメージセンサの断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による照明装置の要部断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の正面図である。
【図5】この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の側面断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1による照明装置の別実施例による光経路変換手段の側面断面図である。
【図7】この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の製造方法を説明する図であり、図7(a)は入射面研磨工程、図7(b)はファイバ位置変換工程、図7(c)は出射面研磨工程、図7(d)は樹脂モールド工程を示す。
【図8】矩形のホルダと矩形の光経路変換手段を用いた場合の説明図である。
【図9】矩形の光経路変換手段を用いた場合の説明図である。
【図10】簡易な光経路変換手段の構成を説明する図である。
【図11】簡易な光経路変換手段の構成を説明する図である。
【図12】この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の入出力特性を説明する図である。
【図13】この発明の実施の形態2による密着型イメージセンサの側面の断面図である。
【図14】この発明の実施の形態3による照明装置の光経路変換手段の正面図であり、図14(a)は入射面部の正面図、図14(b)は出射面部の正面図である。
【図15】この発明の実施の形態3による照明装置の要部断面図である
【図16】この発明の実施の形態3による照明装置の別実施例の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、この発明の実施の形態1による密着型イメージセンサの組み立て展開図である。図1において、1は点光源によって構成した光源であり、例えばLEDチップや汎用のモール型LEDなどの発光体である。2は光源1を搭載した基板、3は基板2に貼り付けられ、光源1に電源を供給するフレキシブル基板である。
【0023】
4は光ファイバ線を多数収納した光経路変換手段であり、ガラス材やアクリル樹脂などの透明部材で構成された光ファイバなどの微細な導光材を多数束ねたものである。5はガラス材やアクリル樹脂などの透明部材によって構成された導光体であり、本実施例では円柱状の棒状形状のものを用いている。5aは導光体5に接触して設けた光散乱層(光反射層)、6は内部に空洞部を有するホルダであり、この空洞内の一端側に光源1が配置され、光経路変換手段4を介して他端側は導光体5の端部を嵌め合わせて固定する。したがって、ホルダ6の一端側は光源1を搭載した基板2で密閉され、他端側は導光体5で密閉される。7は光源1及び導光体5などを収納又は保持する筐体である。
【0024】
8はガラス材やアクリルなどの透明部材で構成され、密着型イメージセンサ(CIS)の内部を保護する透過体、8aは透過体8上の主走査方向(読み取り幅方向)の読み取り位置を示す仮想のものである。9はロッドレンズアレイなどを用いたレンズ体であり、原稿などの被照射体からの散乱光を入射し、その散乱光を収束し結像させるものである。10はレンズ体9の光軸上に配置し、レンズ体9で収束された光を受光するセンサ(受光部)であり、半導体チップなどで構成された光電変換部、その他の駆動回路等からなる。11はセンサ10で受光した光電変換出力を信号処理するセンサ基板であり、外部コネクタや信号処理回路などを搭載している。図中、同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0025】
図2は、この発明の実施の形態1による密着型イメージセンサの図1に示すA−A部分の断面図である。図2において、12は原稿や紙幣などの被照射体を示す。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0026】
次に動作について説明する。図1及び図2において、ホルダ6内に配置された光源1から照射された光は、光経路変換手段4の入射面を照射し、光経路変換手段4を通過してその出射面から導光体5の入射領域を照射する。導光体5には光を散乱又は反射させる光散乱層5aが導光体5にシルク印刷手段又は凹凸の溝形成手段などで主走査方向に延在させて形成する。
【0027】
導光体5から出射した光は透過体8上の読み取り位置8aにある被照射体12を照射し、被照射体12からの反射光は透過体8を透過して、レンズ体9で収束され、センサ10で受光される。センサ基板11はセンサ10実装面の反対側に設けられ、センサ10や光源1を駆動する電源回路、信号処理回路であるASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの電子部品が搭載されている。
【0028】
通常、センサ10は複数個搭載され、SI(スタート)信号とCLK(クロック)信号とを受けて駆動する。センサ10上の受光部で光電変換された各画素の信号出力をシフトレジスタからの開閉信号でもってアナログスイッチ群で順次開閉し、出力信号として外部に画像信号として送出する。また、被照射体12に対する各ライン毎の出力をCLK信号に同期した読み出し信号に基づいて順次、又は同時にアナログ信号として信号処理回路に送出する。
【0029】
図3は、この発明の実施の形態1による照明装置の要部断面図である。図3において、光源1から出射した光は、光経路変換手段4に入射し、光経路変換手段4の中を導光しながら導光体5の方向、すなわち導光体5の端部入射領域に伝搬される。光経路変換手段4は入射側と出射側にてファイバの配列が異なる構成となっている。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。なお、6aはホルダ6に設けられ、基板2を介して筐体7とホルダ6とを位置決め固定する突起部である。
【0030】
図4は、この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の正面図である。
図4において、4aは直径0.06〜0.1mm程度の光を伝送する細長のファイバ(光ファイバ線)、4bはファイバ4aを挿入する貫通穴であり、直径0.1mmのファイバ4aでは、貫通穴4bの穴径は0.14mmとなり、0.28mmピッチで光経路変換手段4に形成されている。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0031】
図5は、この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の側面断面図である。図5において、光経路変換手段4は、光を入射する面(入射面)を有する入射面部4c、光を出射する面(出射面)を有する出射面部4d、及び入射面部4cと出射面部4dとを接続する経路変換部4eからなる。入射面部4c及び出射面部4dは、対向して設置され、金属又は樹脂の円筒形のブロック材にミーリング加工を施し、等ピッチで穴あけ加工される。経路変換部4eは、入射面部4cの光が入射する入射面と反対側に一方が固定され、出射面部4dの光が出射する出射面と反対側(入射側)に他方が固定され、光経路変換手段4としての構造体となる。
【0032】
入射面部4cの個々の貫通穴4bにファイバ4aを挿入し、出射側に出てきたファイバ4aを出射面部4dの個々の貫通穴4bと接続する。入射面部4cの中心に近い領域に挿入されたファイバ4aは出射面部4dの外周の貫通穴4bに挿入し、入射面部4cの外周に近い領域に挿入されたファイバ4aは出射面部4dの中心に近い領域に挿入する。入射面部4c及び出射面部4dの中心に近い領域と外周に近い領域以外に挿入されたファイバ4aは適宜挿入する。例えば、図5では、経路変換部4eの光伝送方向中心軸に対して両側のそれぞれでファイバ4aを交わらせ、振り分けして配列変換している。ファイバ4aは細長であり、弾性を有するので屈曲性がある。
【0033】
図6は、この発明の実施の形態1による照明装置の別実施例による光経路変換手段の側面断面図である。図6では、経路変換部4eの光伝送方向中心軸に関係なくファイバ4aを交わらせて配列変換している。
【0034】
いずれの場合でも、入射面部4cの貫通穴4bにファイバ4aを挿入してから入射面部4cの中心側にある光ファイバ4aを経路変換部4eで屈曲させて出射面部4dの外周側に配置し、入射面部4cの外周側にある光ファイバ4aを経路変換部4eで屈曲させて出射面部4dの中心側に配置するようにする。
【0035】
図7は、この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の製造方法を説明する図である。図7において、図7(a)は入射面研磨工程、図7(b)はファイバ位置変換工程、図7(c)は出射面研磨工程、図7(d)は樹脂モールド工程を示す。図中、図5と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0036】
まず、入射面研磨工程では、入射面部4cの入射面の所定位置に設けられた貫通穴4bにファイバ4aを挿入する。貫通穴4bはマトリックス(格子)状に設置され、図4に示す例ではマトリックスに対して千鳥状に構成されているので、ファイバ4aを貫通穴4bに等ピッチで自動挿入する。ファイバ4aを挿入後、入射面部4cの入射面をポリッシュ又はバフ研磨を行い、その後、#2000紙サンドペーパで鏡面仕上げを行って入射面を平滑にする。
【0037】
次にファイバ位置変換工程では、入射面部4cから露出したファイバ4aを接着剤で仮止めし、ファイバ4aの他端を入射面部4cと対向する出射面部4dの所定位置に挿入する。ここで入射面部4cの中心側にある光ファイバ4aを経路変換部4eで屈曲させて出射面部4dの外周側に配置し、入射面部4cの外周側にある光ファイバ4aを経路変換部4eで屈曲させて出射面部4dの中心側に配置するようにする。その後、出射面部4dに挿入したファイバ4aを接着剤で仮止めする。
【0038】
次に出射面研磨工程では、出射面部4dの出射面から露出したファイバ4aを裁断し、その後、出射面部4dの出射面をポリッシュ又はバフ研磨を行い、その後、#2000紙サンドペーパで鏡面仕上げを行って出射面を平滑にする。
【0039】
次に樹脂モールド工程では、経路変換部4eにある交差(クロス)するファイバ4aを固定するために光経路変換手段4を回転させながらディスペンサ装置を用いて経路変換部4eに光硬化型シリコン材を充填し、その後、紫外線照射してファイバ4a同士を固定すると共に入射面部4cと出射面部4dとを経路変換部4eを介して直接固定する。その後、ファイバ4aがプラスチック材である場合では、300〜350℃で30分程度アニールし、光経路変換手段4の入射面と反射面の研磨歪を除去すると共にくもり止めし、ファイバ4aの入出力端部における透過率の低下を軽減する。
【0040】
実施の形態1では、円筒型の光経路変換手段4を用いて説明したが、ホルダ6に収納する光経路変換手段4を図8に示すように矩形のホルダ60の中に矩形の光経路変換手段40を収納しても同様の効果がある。例えば、図9に示す矩形の光経路変換手段40では、図10、図11に示すように極薄のプリント配線板やウレタンなどの基材41、42を加工してファイバ用の溝を設け、2個のプリント配線板にファイバを挿入し、それらを積層することで簡易な光経路変換手段40を構成することができる。比較的径が大きいファイバを用いる場合や光経路変換手段を低密度で構成する場合には安価に製作できる。
【0041】
図12は、この発明の実施の形態1による照明装置の光経路変換手段の入出力特性を説明する図である。光源1から照射された光は光経路変換手段4の入射面では光の伝送方向と直交する面において光量分布の大きな偏差があるが、経路変換部4eでファイバ4aの経路を水平配線からクロス配線にすることで光経路変換手段4の出射面では、光量分布は大幅に改善され、均一な光量分布となることが解かる。
【0042】
以上から実施の形態1によれば、光源1と導光体5との間に光経路変換手段4を介在させることにより、光源1の配向特性に偏差がある場合や光源1と導光体5との位置決めなどにばらつきがある場合でも導光体5の入射領域に対して光量の均一性を確保した照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【0043】
実施の形態2.
【0044】
この発明の実施の形態2について図13を用いて説明する。図13はこの発明の実施の形態2による密着型イメージセンサの側面断面図である。6bは光経路変換手段4をホルダ6に挿入するホルダ6に設けられた円形の溝部である。70は光経路変換部4、ホルダ6、レンズ体9及びセンサ基板11を収納又は保持する筐体である。図中、図1と同一符号は、同一又は相当部分を示す。図13では、光源1はセンサ基板11に載置され、読み取り幅方向に対して直角に光源1からの光が照射される。したがって、光経路変換手段4の入射面部4cと出射面部4dとは、光経路変換手段4を介して互いに直交して対向配置する構成となる。
【0045】
実施の形態1の図7(d)に示す後工程である樹脂モールド工程において、光経路変換手段4の入射面部4cと出射面部4dとをあらかじめ直交させて設置固定してからシリコン材を経路変換部4eの隙間に充填し硬化させることで入射面部4cと出射面部4dとが直交する光経路変換手段4を製作する。すなわち、屈曲した光経路変換手段4を製作する。
【0046】
光源1は、センサ基板11の長手方向(読み取り幅方向)両端部の短手方向に両側に載置され、センサ10は、センサ基板11の中央部に長手方向に搭載される。円筒状のホルダ6は、筐体70と固定するため、一部円形状の溝部6bを設けて、この溝部6bに光経路変換手段4を挿入してから屈曲させる構造としているが、長溝状の切り欠きでもよく、光経路変換手段4は導光体5を嵌め合わせるホルダ6の反対側端部外部に設置しても良い。
【0047】
したがって、実施の形態2による照明装置では、光源1の発光方向の主軸と導光体5の長手方向の軸が並行ではない構成であっても光源1をセンサ基板11に載置することにより基板2やフレキシブル基板3を用いない構造で照明装置し、省力化を図る構造となっている。その他の構成・動作については、実施の形態1で説明したものに準ずるので説明を省略する。
【0048】
以上から実施の形態2によれば、光源1と導光体5との間に経路変換部4eが屈曲した光経路変換手段4を用いることにより、光源1の配向特性に偏差がある場合や光源1と導光体5との位置決めにばらつきがある場合でも導光体5の入射領域に対して光量の均一性を確保した照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【0049】
実施の形態3.
【0050】
実施の形態1及び2では、主として光経路変換手段4、40の入射面部と出射面部とが断面同一形状のもので説明したが、実施の形態3では相似状又は異なる形状である場合について説明する。
【0051】
この発明の実施の形態3について図14を用いて説明する。図14はこの発明の実施の形態3による照明装置の光経路変換手段の正面図であり、図14(a)は入射面部4cの入射面の正面図、図14(b)は出射面部4dの出射面の正面図である。図14では、入射面部4cの大きさは3.2mmであるのに対して出射面部4dは、2.9mmであり、出射面部4dの出射面は、入射面部4cの入射面より所定倍率縮小している。
【0052】
このような構成においては、入射面部4cに挿入するファイバ4aの挿入密度が高密度になると出射面部4dに挿入する密度が同一密度で挿入することが困難になる。したがって、あらかじめ出射面部4dに挿入するファイバ4aと同一本数の入射面部4cに挿入するファイバ4aを入射面部4cにまばらに配置し、経路変換部4eにおけるクロス配線による設置位置の変換を容易にする。
【0053】
すなわち、光経路変換手段4の入射面部4cの入射面面積が出射面部4dの出射面面積より大きいときは、入射面部4cの貫通穴4bの設置密度を出射面部4dの貫通穴4bの設置密度より低くする。逆に光経路変換手段4の入射面部4cの入射面面積が出射面部4dの出射面面積より小さいときは、入射面部4cの貫通穴4bの設置密度を出射面部4dの貫通穴4bの設置密度より高くすることにより、クロス配線の変換が容易になる。
【0054】
図15は、この発明の実施の形態3による照明装置の要部断面図である。図15では、光源1の照射領域が広くこれに対応して光経路変換手段4の入射面部4cの入射面も広くする一方、導光体5の光入射領域に合わせて光経路変換手段4の出射面部4dの出射面面積を狭くし、照射効率を向上させる。そして光経路変換手段4の入射面部4cとホルダ6とを嵌め合わせる構造としている。
【0055】
図16は、この発明の実施の形態3による照明装置の別実施例の要部断面図である。図16では、光源1の照射領域が広くこれに対応して光経路変換手段4の入射面部4cの入射面も広くする一方、導光体5の光入射領域に合わせて光経路変換手段4の出射面部4dの出射面は狭くし、照射効率を向上させる。
【0056】
そしてホルダ6の空洞部に光経路変換手段4を収納し、出射面部4dを導光体5と同一径とし、出射面部4dの出射領域と導光体5の入射領域とを合わせると共にホルダ6の他端側で光経路変換手段4の出射面部4dとホルダ6とを嵌め合わせ、且つ導光体5とホルダ6とを嵌め合わせる構造としている。その他の構成・動作については、実施の形態1で説明したものに準ずるので説明を省略する。
【0057】
図15に示す照明装置では、導光体5の入射領域より出射面部4dの出射領域ほうが狭いので光経路変換手段4をホルダ6の内部に適宜収納することでホルダ6に突起などを設けなくても伝送方向に対して直角方向の光量分布のばらつきを軽減できるという効果を奏する。また、図16に示す照明装置では、光経路変換手段4と導光体5とが同径であるので配向特性の偏差がない平行光をそのまま導光体5に入射させるので効率の良い照明装置を得るという効果がある。
【0058】
なお、光経路変換手段4は光の伝搬方向に対して可逆性があり、図15及び図16では、入射面部4cの入射面面積が大きい場合について説明したが、入射面部4cの入射面面積を出射面部4dの出射面面積より小さくしても光源1の照射領域が狭い場合には照明装置としての適用が可能である。
【0059】
以上から実施の形態3によれば、光源1と導光体5との間に光経路変換手段4を用いることにより、光源1の配向特性に偏差がある場合や光源1と導光体5との位置決めにばらつきがある場合でも導光体5の入射領域に対して光量の均一性を確保した照明装置及びそれを用いた密着型イメージセンサを得る効果がある。
【符号の説明】
【0060】
1・・光源(LED) 2・・基板 3・・フレキシブル基板
4・・光経路変換手段 4a・・ファイバ(光ファイバ線) 4b・・貫通穴
4c・・入射面部 4d・・出射面部 4e・・経路変換部
5・・導光体 5a・・光散乱層(光反射層)
6・・ホルダ 6a・・突起部 6b・・溝
7・・筐体 8・・透過体 8a・・読み取り位置 9・・レンズ体
10・・センサ(受光部) 11・・センサ基板 12・・被照射体(原稿)
40・・光経路変換手段 41・・基材 42・・基材
60・・ホルダ 70・・筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、光散乱層を有し、前記光源からの光を読み取り幅方向に導光しながら前記光散乱層で反射又は散乱した光を被照射体に照射する導光体と、マトリック状に多数の貫通穴を設けた、入射面部と出射面部、及び前記入射面部と前記出射面部との間に位置する経路変換部を有し、前記入射面部の貫通穴に細長の光ファイバ線を挿入し、前記入射面部の中心側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の外周側に配置し前記入射面部の外周側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の中心側に配置する前記光源と前記導光体との間に介在する光経路変換手段とを備えた照明装置。
【請求項2】
前記光経路変換手段の前記入射面部と前記出射面部とは、互いに直交している請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より大きいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より低い請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より小さいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より高い請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項5】
光源と、光散乱層を有し、前記光源からの光を読み取り幅方向に導光しながら前記光散乱層で反射又は散乱した光を被照射体に照射する導光体と、マトリック状に多数の貫通穴を設けた、入射面部と出射面部、及び前記入射面部と前記出射面部との間に位置する経路変換部を有し、前記入射面部の貫通穴に細長の光ファイバ線を挿入し、前記入射面部の中心側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の外周側に配置し前記入射面部の外周側にある前記光ファイバ線の一部又は全部を前記経路変換部で屈曲させて前記出射面部の中心側に配置する前記光源と前記導光体との間に介在する光経路変換手段と、被照射体で反射した光を収束するレンズ体と、このレンズ体で収束した光を受光するセンサと、前記光源、前記導光体、前記光経路変換手段、前記レンズ体、及び前記センサを収納又は保持する筐体とを備えた密着型イメージセンサ。
【請求項6】
前記光経路変換手段の前記入射面部と前記出射面部とは、互いに直交している請求項5に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項7】
前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より大きいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より低い請求項5又は6に記載の密着型イメージセンサ。
【請求項8】
前記光経路変換手段の前記入射面部の入射面面積が前記出射面部の出射面面積より小さいときは、前記入射面部の貫通穴の設置密度が前記出射面部の貫通穴の設置密度より高い請求項5又は6に記載の密着型イメージセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−166211(P2011−166211A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23167(P2010−23167)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】