説明

照明装置及び内視鏡装置

【課題】光の状態を監視して、出力される光を被検体に安定的に照射することが可能であるとともに、異常があった場合には、その原因を特定することが可能な照明装置及び内視鏡装置を提供する。
【解決手段】照明装置1aは、挿入部2の基端側に設けられ、供給される電流に応じてレーザ光を発する光源部6aと、光源部6aに電流を供給する光源駆動部7と、挿入部2の基端側から先端側へ配設されて、光源部6aからのレーザ光を先端側へ導光する照明用ライトガイド6bと、照明用ライトガイド6bの先端に設けられ、レーザ光を励起光として照明光を射出する蛍光部材6cと、光源部6aから発せられるレーザ光の光量である入力側光量を検出する入力側光検出部11と、蛍光部材6cから射出される照明光の光量である出力側光量を検出する出力側光検出部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の内部に挿入し、内部を照明する照明装置及び被検体の内部を観察する内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工業用分野においては機械構造の内部など、医療用分野においては患者の体内など、被検体の内部を観察するために、内視鏡装置が広く用いられている。このような内視鏡装置は、被検体の内部に挿入する挿入部を有し、挿入部の先端に観察手段が設けられていることで、被検体の内部を観察することが可能となっている。また、内視鏡装置においては、さらにレーザ光や紫外光を照射可能な装置が内蔵されていて、これらを被検体に照射することで、蛍光観察を行う場合や、観察手段によって観察しながら被検体に加工処理を施す場合がある。また、内視鏡装置によって観察する被検体の内部は、観察手段によって観察するのに十分な明るさを有していないことが多い。このため、内視鏡装置には、被検体の内部を照明するための照明装置が内蔵されている場合がある。
【0003】
このような照明装置としては、レーザ光を発する光源部と、光源から発せられたレーザ光を導光するライトガイドと、ライトガイドによって導光されたレーザ光を励起光として照明光を発する蛍光部材とを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような照明装置によれば、ハロゲンランプなどの光源を使用した場合に比べて小型で消費電力を抑えることができるものとされている。
【特許文献1】特開2006−296656号公報
【特許文献2】特開2006−288535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2の内視鏡装置では、内蔵されている照明装置は、光源部、ライトガイド及び蛍光部材と、複数の部材によって構成されていて、いずれかが劣化または損傷してしまった場合には、白色で所望の光量の照明光を被検体に照明することができなくなってしまう。より具体的には、光源部が劣化または損傷してしまった場合には、十分な光量でレーザ光を発することができず、それ故に蛍光部材を十分な光量のレーザ光で励起させることができずに照明光の光量が低下してしまう。また、ライトガイドが損傷してしまった場合には、光源部から所望の光量でレーザ光を発したとしても、レーザ光を減衰させてしまうことなく蛍光部材に到達させることができず、照明光の光量が低下してしまう。また、蛍光部材が劣化または損傷してしまった場合には、蛍光部材に所望の光量でレーザ光を照射したとしても、十分な光量で照明光を発することができない。あるいは、蛍光部材が損傷してしまうことで、ライトガイドによって導光されたレーザ光が透過して外部に照射されてしまう。
【0005】
そして、特許文献1、2の内視鏡装置では、上記のように何らかの原因によって照明光の光量が低下しても、被検体の観察像によって定性的に確認できるのみで、その原因が光源部か、ライトガイドか、あるいは、蛍光部材なのか特定することはできなかった。また、蛍光部材の損傷が原因でレーザ光が透過してしまった場合には、レーザ光が被検体に直接的に照射されてしまう恐れがあった。
これは、内視鏡装置にレーザ光や紫外光を照射する装置が内蔵されている場合も同様で、装置の構成に損傷等が発生してしまった場合、被検体の蛍光状態や加工状態によって定性的に確認できるのみで、その原因がどの構成なのか特定することができない問題があった。
【0006】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、光の状態を監視して、出力される光を被検体に安定的に照射することが可能であるとともに、異常があった場合には、その原因を特定することが可能な照明装置及び内視鏡装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、被検体の内部に挿入される挿入部を有して前記被検体の内部を照明する照明装置であって、前記挿入部の基端側に設けられ、供給される電流に応じてレーザ光を発する光源部と、該光源部に電流を供給する光源駆動部と、前記挿入部の基端側から先端側へ配設されて、前記光源部からの前記レーザ光を先端側へ導光する照明用ライトガイドと、前記照明用ライトガイドの先端に設けられ、前記レーザ光を励起光として照明光を射出する蛍光部材と、前記光源部から発せられる前記レーザ光の光量である入力側光量を検出する入力側光検出部と、前記蛍光部材から射出される前記照明光の光量である出力側光量を検出する出力側光検出部とを備えることを特徴としている。
【0008】
この発明に係る照明装置によれば、光源駆動部から供給される電流によって光源部からレーザ光を発し、ライトガイドによって導光して蛍光部材を励起することで、蛍光部材から照明光を射出させて被検体を照明することができる。ここで、照明光を照射している間、入力側光検出部及び出力側光検出部によって、光源部から発せられるレーザ光の光量である入力側光量、及び、蛍光部材から射出される照明光の光量である出力側光量を定量的に監視することができ、常時においては安定した光量の照明光によって被検体を照明することができる。そして、異常があった場合には、入力側光量と出力側光量との両者を監視することで、異常の発生を把握するとともに、入力側、すなわち光源部に原因があるのか、出力側、すなわち蛍光部材に原因があるのか、若しくは中間のライトガイドに原因があるのか特定することができる。
【0009】
また、上記の照明装置において、検出された前記入力側光量と前記出力側光量とに基づいて前記光源駆動部を制御する制御部を備えることがより好ましいとされている。
【0010】
この発明に係る照明装置によれば、制御部によって入力側光量及び出力側光量に基づいて光源駆動部から供給される電流量を調整して、被検体に照明される照明光の光量を自動的に安定した状態に保つことができるとともに、異常があった場合には自動的に原因を特定することができる。
【0011】
さらに、上記の照明装置において、前記制御部は、前記入力側光量と前記出力側光量との関係が予め設定された範囲外となった場合に、前記光源部への電流の供給を停止させることがより好ましいとされている。
【0012】
この発明に係る照明装置によれば、制御部によって入力側光量と出力側光量との関係が予め設定された範囲外かどうか確認することで、異常の有無及び原因の特定を行うことができる。また、異常が確認された場合には、光源部への電流の供給を停止させることで、異常が発生した部位のそれ以上の劣化、損傷を防ぎ、また、蛍光部材に原因がある場合においてレーザ光が外部に照射されてしまうことを防ぐことができる。
【0013】
また、上記の照明装置において、前記出力側光検出部は、前記出力側光量として、前記照明光の光量をそれぞれ異なる波長領域に分離して検出可能に複数の光センサを有することを特徴としている。
【0014】
この発明に係る照明装置によれば、出力側光検出部の複数の光センサによって異なる波長領域に分離して照明光の光量を検出することで、より詳細に異常の原因を特定することができる。
【0015】
また、上記の照明装置において、前記出力側光検出部は、前記出力側光量として、前記照明光の内、前記光源部から発せられる前記レーザ光と略等しい波長の光量を検出する第一の光センサを有することがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係る照明装置によれば、出力側光検出部の第一の光センサによって、照明光の内、レーザ光と略等しい波長の成分の光量を検出することで、光源部からのレーザ光が所望の光量で蛍光部材に照射されているかどうか、また、蛍光部材を通過して外部に照射されていないかどうか、より好適に検出することができる。
【0017】
また、上記の照明装置において、前記出力側光検出部は、前記出力側光量として、前記照明光の内、前記光源部から発せられる前記レーザ光の波長以外の波長の光量を検出する第二の光センサを有することがより好ましいとされている。
【0018】
この発明に係る照明装置によれば、出力側光検出部の第二の光センサによって、照明光の内、レーザ光の波長以外の成分の光量を検出することで、レーザ光によって好適に励起されて所望の光量の照明光が出力されているか、より好適に検出することができる。
【0019】
また、上記の照明装置において、前記挿入部の先端側から基端側へ配設されて、前記蛍光部材からの照明光を基端側へ導光する検出用ライトガイドを備え、前記出力側光検出部は、前記検出用ライトガイドの基端に設けられて、該検出用ライトガイドによって導光された前記照明光を検出することがより好ましいとされている。
【0020】
この発明に係る照明装置によれば、検出用ライトガイドによって照明光が導光されることで、照明光の光量である出力側光量を挿入部の基端側で検出することができ、挿入部内に出力側光検出部を設ける必要が無い。このため、挿入部の細径化を図ることができる。
【0021】
また、本発明は、上記の照明装置と、前記挿入部の先端に設けられ、前記被検体の内部を観察する観察手段とを備えることを特徴としている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、上記照明装置によって、常時においては安定した光量の照明光によって被検体を照明しながら被検体の内部を観察手段によって観察することができるとともに、照明装置に異常があった場合には、異常の発生を把握するとともに、原因の特定をすることができる。
【0022】
また、本発明は、被検体の内部に挿入される挿入部を有して前記被検体の内部を観察する内視鏡装置であって、前記挿入部の基端側に設けられ、供給される電流に応じてレーザ光を発する光源部と、該光源部に電流を供給する光源駆動部と、前記挿入部の基端側から先端側へ配設されて、前記光源部からの前記レーザ光を先端側へ導光するライトガイドと、前記光源部から発せられる前記レーザ光の光量である入力側光量を検出する入力側光検出部と、前記ライトガイドで導光された前記レーザ光の光量である出力側光量を検出する出力側光検出部と、検出された前記入力側光量と前記出力側光量との関係に基づいて予め設定された制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。
【0023】
この発明に係る内視鏡装置によれば、光源駆動部から供給される電流によって光源部からレーザ光を発し、ライトガイドによって導光することで、被検体にレーザ光を照射することができる。ここで、レーザ光を照射している間、制御部、入力側光検出部及び出力側光検出部によって、光源部から発せられるレーザ光の光量である入力側光量、及び、ライトガイドに導光されたレーザ光の光量である出力側光量を定量的かつ自動的に監視することができ、常時においては安定した光量のレーザ光を被検体に照射することができる。そして、異常があった場合には、入力側光量と出力側光量との両者を監視することで、異常の発生を自動的に把握するとともに、入力側、すなわち光源部に原因があるのか、出力側のライトガイドに原因があるのか自動的に特定することができる。
【0024】
被検体の内部に挿入される挿入部を有して前記被検体の内部を観察する内視鏡装置であって、前記挿入部の基端側に設けられ、供給される電流に応じて紫外光を発する光源部と、該光源部に電流を供給する光源駆動部と、前記挿入部の基端側から先端側へ配設されて、前記光源部からの前記紫外光を先端側へ導光するライトガイドと、前記光源部から発せられる前記紫外光の光量である入力側光量を検出する入力側光検出部と、前記ライトガイドで導光された前記紫外光の光量である出力側光量を検出する出力側光検出部と、検出された前記入力側光量と前記出力側光量との関係に基づいて予め設定された制御を行う制御部とを備えることを特徴としている。
【0025】
この発明に係る内視鏡装置によれば、光源駆動部から供給される電流によって光源部から紫外光を発し、ライトガイドによって導光することで、被検体に紫外光を照射することができる。ここで、紫外光を照射している間、制御部、入力側光検出部及び出力側光検出部によって、光源部から発せられる紫外光の光量である入力側光量、及び、ライトガイドに導光された紫外光の光量である出力側光量を定量的かつ自動的に監視することができ、常時においては安定した光量の紫外光を被検体に照射することができる。そして、異常があった場合には、入力側光量と出力側光量との両者を監視することで、異常の発生を自動的に把握するとともに、入力側、すなわち光源部に原因があるのか、出力側のライトガイドに原因があるのか自動的に特定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の照明装置及び内視鏡装置によれば、入力側光検出部と出力側光検出部とを備えることで、入力側光量と出力側光量とに基づいて、光の状態を監視して、出力される光を被検体に安定的に照射することができるとともに、異常があった場合には、その原因を特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る実施形態について、図1から図11を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る内視鏡装置1は、被検体の内部に挿入される細長の挿入部2と、挿入部2の基端側に設けられた装置本体部3と、装置本体部3に接続されたモニタ4とを備える。挿入部2は、可撓性を有する軟性タイプのものでも良いし、一定の形状を保持する硬性タイプのものでも良い。挿入部2及び装置本体部3には、挿入部2の先端側の被検体を観察するための観察手段5と、観察手段5によって観察される被検体を照明する照明手段6とが設けられていて、内視鏡装置1は、挿入部2と照明手段6と後述する制御部8とを有する照明装置1aを備えた構成となっている。
【0028】
観察手段5は、より詳しくは、挿入部2の先端に露出して設けられた対物光学系5aと、挿入部2の内部において対物光学系5aの結像位置に設けられた撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)5bと、装置本体部3に内蔵された映像信号処理回路5cと、挿入部2に配設されてCCD5bと映像信号処理回路5cとを接続する信号ケーブル5dとを有する。そして、対物光学系5aによって結像された被検体の観察像は、CCD5bによって電気信号に変換されて画像信号として信号ケーブル5dによって伝送される。伝送された画像信号は、映像信号処理回路5cによって映像信号に生成されて、装置本体部3に接続されたモニタ4に出力して映像として映し出すことが可能である。
【0029】
また、照明手段6は、装置本体部3に内蔵されていてレーザ光を発する光源部であるレーザダイオード6aと、挿入部2に基端側から先端側に配設された照明用ライトガイド6bと、挿入部2の先端内部に設けられた蛍光部材6cと、挿入部2の先端に露出して設けられた照明用光学系6dとを有する。レーザダイオード6aは、電流が供給されることにより特定波長のレーザ光を発することが可能であり、本実施形態では、例えば青色レーザを発することが可能である。また、照明用ライトガイド6bは、軟性の光ファイバである。そして、レーザダイオード6aは、照明用ライトガイド6bの基端と接続されていて、これによりレーザダイオード6aから発せられるレーザ光は、照明用ライトガイド6bの先端、すなわち挿入部2の先端側まで導光される。また、蛍光部材6cは、照明用ライトガイド6bの先端に接続されていて、照明用ライトガイド6bによって導光されたレーザ光は、蛍光部材6cに照射され、これにより蛍光部材6cは、励起されて、レーザ光の光量に応じた光量の白色光である照明光を先端側に射出する。射出される照明光は、照明用光学系6dによって集束されて先端側を照明することになる。
【0030】
また、図1に示すように、装置本体部3には、レーザダイオード6aに電流を供給する光源駆動部7と、光源駆動部7から供給される電流量を制御する制御部8とが内蔵されているとともに、制御部8には操作部9が接続されている。操作部9には、装置全体の電源のオン・オフを行う電源用スイッチ9aと、照明手段6による照明光のオン、オフを行う照明用スイッチ9bと、照明用スイッチ9bがオンの状態において照明光の光量の調整を行う照明用ツマミ9cとが設けられている。そして、電源用スイッチ9aがオンの状態である場合には、操作部9による操作によって、制御部8を介して照明手段6による照明のオン、オフ及び光量の調整を手動で行うことが可能となっている。なお、本実施形態では、操作部9の照明用ツマミ9cによって照明光の光量をレベル0(光量ゼロ)及びレベル1から最大光量のレベル8までの8段階に調整することができ、照明用ツマミ9cを操作することによって、操作部9は、各レベルn(nは0から8までの整数(以下、同じ))と対応する調光指令値dimn(nは整数)を制御部8に出力する。
【0031】
光源駆動部7は、後述する制御部8から出力される電流指令値In(nは整数)をDA変換するDAコンバータ7aと、DAコンバータ7aでDA変換された電流指令値Inを増幅する増幅器7bと、増幅された電流指令値Inに基づいて対応する電流量でレーザダイオード6aに電流を供給する電流制限回路7cとを有する。そして、レーザダイオード6aは、電流指令値In(電流量)に応じた光量でレーザ光を発することとなる。なお、電流制限回路7cとレーザダイオード6aとの間にはシャント7dが介挿されていて、電流制限回路7cからレーザダイオード6aに供給される電流量が検出されていて、検出信号として出力される。出力された検出信号は、増幅器7e及びADコンバータ7fを介して制御部8に入力されていて、制御部8は検出された電流量に基づいてフィードバック制御を行っている。また、電流制限回路7cと増幅器7bとの間には電流遮断回路7gが介挿されていて、制御部8は、電流遮断回路7gへ遮断信号を出力することが可能であり、電流遮断回路7gは、遮断信号に基づいて、電流制限回路7cへの電流指令値Inの入力を遮断して、レーザダイオード6aへの電流の供給を停止させることが可能である。
【0032】
また、図1に示すように、挿入部2及び装置本体部3には、照明手段6におけるレーザ光及び照明光の光量を検出する光検出手段10が設けられている。より詳しくは、光検出手段10は、入力側光量として、レーザダイオード6aから発せられるレーザ光の光量PLDを検出する入力側光検出部11と、出力側光量として蛍光部材6cから射出される照明光の光量を検出する出力側光検出部12とを備えている。入力側光検出部11は、レーザ光と略等しい波長の光量を検出可能なフォトダイオードであり、照明用ライトガイド6bの基端外周面に設けられていて、内部から外周面に漏出するレーザ光の一部を検出するが可能である。
【0033】
また、出力側光検出部12は、装置本体部3に内蔵されていて、照明光の内、レーザ光と略等しい波長の光量PFLを検出するフォトダイオードである第一の光センサ12aと、照明光の内、レーザ光の波長以外の波長の光量PFOを検出するフォトダイオードである第二の光センサ12bとを有する。ここで、挿入部2には、先端側から基端側へ軟性の光ファイバである検出用ライトガイド13が配設されていて、基端にはビームスプリッタ14を介して出力側光検出部12の第一の光センサ12a及び第二の光センサ12bが接続されている。また、照明手段6の照明用光学系6dの側部には、照明用光学系6dからの照明光の一部が入光するプリズム15が設けられていて、検出用ライトガイド13の先端が接続されている。このため、プリズム15に入光した照明光は、検出用ライトガイド13によって基端側へ導光され、装置本体部3の内部においてビームスプリッタ14によって分光されて出力側光検出部12の第一の光センサ12a及び第二の光センサ12bに入力される。これにより、第一の光センサ12a及び第二の光センサ12bによって照明光の各波長領域の光量PFL、PFOが検出されることとなる。そして、光検出手段10において、入力側光検出部11、並びに、出力側光検出部12の第一の光センサ12a及び第二の光センサ12bで検出された各光量PLD、PFL、PFOは、検出信号として出力され、各増幅器16a、16b、16cで増幅されるとともに、各ADコンバータ17a、17b、17cでAD変換されて制御部8に入力される。
【0034】
制御部8は、図示しないが、各種演算処理を行うCPU、各種演算処理を行うためのプログラムが記録されているROM、記録手段であるRAMなどを有している。制御部8のRAMには、操作部9から出力される上記の各調光指令値dimnについて、最小調光指令値dim(min)(本実施形態では、dim0)と、最大調光指令値dim(max)(本実施形態では、dim8)が記録されていて、制御部8はこれらに基づいて入力された調光指令値dimnが正常値かどうか判断することができる。また、制御部8のRAMには、各調光指令値dimnと対応して、レーザダイオード6aからのレーザ光の光量として予定される基準光量値PLDn(nは整数)と、蛍光部材6cから射出される照明光の内、レーザ光と略等しい波長の光量として予定される基準光量値PFLn(nは整数)と、レーザ光の波長以外の波長の光量として予定される基準光量値PFOn(nは整数)とが記録されている。さらに制御部8のRAMには、各調光指令値dimnと対応して光源駆動部7からレーザダイオード6aに供給する電流量を表していて、光源駆動部7へ出力する電流指令値In(nは整数)が記録されている。そして、図2に示すように、調光指令値dimnと、電流指令値Inと、基準光量値PLDn、PFLn、PFOnとは、関係付けられて、一つのテーブルTとして作成され、制御部8のRAMに記録されている。すなわち、制御部8は、入力される調光指令値dimnに基づいて、テーブルTを参照して、所望の基準光量値PLDn、PFLn、PFOnとなる電流指令値Inを光源駆動部7に出力することが可能である。なお、テーブルTにおいて、初期電流指令値In0(nは整数)は、初期状態(出荷時)において基準光量値PLDn、PFLn、PFOnを実現する電流指令値Inを表わしている。さらに、制御部8のRAMには、レーザダイオード6aに供給される電流の上限を表わす上限電流値Imaxと下限を表わす下限電流値Iminとが記録されている。ここで、電流指令値Inは、上限電流値Imax以下に設定され、また、下限電流値Iminは0に設定されている。
【0035】
また、制御部8のRAMには、レーザ光の基準光量値PLDnに対して、検出されるレーザ光の光量PLDの許容値ΔPLDが記録されている。さらに、図3に示すように、制御部8のRAMには、レーザダイオード6aから発せられるレーザ光の光量PLDと、レーザ光によって蛍光部材6cから射出される照明光においてレーザ光の波長と略等しい波長の光量PFLとの関係を示すグラフMが記録されている。図3において、実線M1は、出荷時における光量PLDと光量PFLとの関係を示している。また、点線M2は、レーザ光の光量PLDとの関係において、照明光の内、レーザ光の波長と略等しい波長の光量PFLの上限を表わしていて、また、一点鎖線M3は、下限を表わしている。
【0036】
また、図4に示すように、制御部8のRAMには、レーザダイオード6aから発せられるレーザ光の光量PLDと、レーザ光によって蛍光部材6cから射出される照明光においてレーザ光の波長以外の波長の光量PFOとの関係を示すグラフNが記録されている。図4において、実線N1は、出荷時における光量PLDと光量PFOとの関係を示している。また、点線N2は、レーザ光の光量PLDとの関係において、照明光の内、レーザ光の波長以外の波長の光量PFOの上限を表わしていて、また、一点鎖線N3は、下限を表わしている。そして、制御部8は、図3及び図4に示すグラフM、Nと、光検出手段10による検出結果に基づいて、照明手段6の状態を監視し、光源駆動部7を制御している。
次に、本実施形態の内視鏡装置1の作用、及び、照明光の射出を開始する場合と、照明光の射出を連続的に行っている場合とのそれぞれにおける制御部8の制御の詳細について説明する。
【0037】
図5に示すように、操作部9の電源用スイッチ9aがオフでシステム停止中の状態(ステップS1)から電源用スイッチ9aをオンとすると、システムの起動準備が開始され(ステップS2)、システムが起動した状態となる(ステップS3)。また、電源用スイッチ9aをオフにすれば、再びシステム停止中の状態となる(ステップS1)。システム起動中の状態(ステップS3)において、電源用スイッチ9aをオンにした直後では、照明用スイッチ9bはオフの状態であり、照明手段6は消灯中の状態である(ステップS4)。なお、この状態で何らかの原因により動作不良が検出されるとエラーモードに移行し、制御部8は、光源駆動部7の電流遮断回路7gに遮断信号を出力する。これによりレーザダイオード6aへの電流の供給は強制的に遮断されて、照明用スイッチ9bをオンとしてもレーザダイオード6aからレーザ光が発することは無く、すなわち蛍光部材6cから照明光は射出されない(ステップS5)。
【0038】
また、消灯中の状態(ステップS4)から、操作部9の照明用スイッチ9bをオンの状態にすれば、制御部8は点灯準備としてキャリブレーションを開始する(ステップS6)。なお、電源用スイッチ9aをオンにすると、照明用スイッチ9bが自動的にオンとなるような設定としても良い。ここで、何らかの原因により動作不良が検出されるとエラーモードに移行する(ステップS5)。
【0039】
一方、キャリブレーションが完了すると、照明手段6は照明用ツマミ9cで調整された光量で点灯した状態となる(ステップS7)。この状態で制御部8は、照明手段6の状態を常に監視して(ステップS8)、動作不良が確認されると、エラーモードに移行し、レーザダイオード6aへの電流の供給は強制的に遮断されて、蛍光部材6cからの照明は停止する(ステップS5)。次に、点灯準備開始時(ステップS6)及び点灯状態(ステップS7)のそれぞれにおける制御フローの詳細について説明する。
【0040】
まず、ステップS6における点灯準備開始時、すなわち、照明光の射出を開始する時における制御フローについて、図6から図8に基づいて説明する。図6に示すように、まず、制御部8は、初期状態で操作部9の照明用ツマミ9cがいずれのレベルに設定されているかに係らず、調光指令値dimnをn=1〜8まで小さい値から順に設定していく。すなわち、最初の状態では調光指令値dimnを“n=0”に設定する(図6:ステップS11)。次に、nに1だけ加算、すなわちn=1として(図6:ステップS12)、加算した調光指令値dim1と対応する電流指令値を出力して光源駆動部7からレーザダイオード6aに電流を供給させる。この際、制御部8は、図2に示すテーブルTを参照して、調光指令値dim1と対応する初期電流指令値I10を抽出する。そして、制御部8は、この初期電流指令値I10よりも十分小さい値から電流指令値Iを漸増させ、すなわち光源駆動部7からレーザダイオード6aに供給する電流量を漸増させて(図6:ステップS13、図7(a))、レーザダイオード6aから発せられるレーザ光の光量PLDを増大させていく(図7(b)。
【0041】
この際、制御部8は、出力する電流指令値Iと、光源駆動部7からレーザダイオード6aに供給される電流量が対応しているかどうかシャント7dから検出される電流値に基づいて監視している。また、漸増させている電流指令値が上限電流値Imax以下かどうか監視している(図6:ステップS14、図8(a))。ここで、図8において、(a)の点A1及び(b)の点B1に示すように、電流指令値Iが上限電流値Imaxよりも大きくなった場合には、レーザダイオード6aが劣化または損傷して異常であると判断して(図6:ステップS19)終了し、図5に示すステップS5に移行する。このため、上限電流値Imaxを上回る電流をレーザダイオード6aに供給して、レーザダイオード6aの劣化または損傷が促進されてしまうのを防ぐことができる。なお、本実施形態では、上限電流値Imaxは、単一の値とされているが、各電流指令値Inと対応して複数有するものとしても良い。
【0042】
一方、電流指令値Iが上限電流値Imax以下である場合には、レーザダイオード6aから発せられるレーザ光の光量PLD及びレーザ光によって励起され蛍光部材6cから射出される照明光の光量PFL、PFOの監視を行う(図6:ステップS15)。すなわち、図3に示すグラフMを参照して、検出されたレーザ光の光量PLDと、照明光の内、レーザ光と略等しい波長の光量PFLとの関係が範囲M4に位置しているか確認し、また、図4に示すグラフNを参照して、検出されたレーザ光の光量PLDと、照明光の内、レーザ光の波長以外の波長の光量PFOとの関係が範囲N4に位置しているか確認する(図6:ステップS15a)。そして、グラフM、Nにおいて、レーザ光の光量PLDに対して照明光の光量PFL、PFOが、範囲M4、N4の外側に位置している場合には、異常と判断して(図6:ステップS19)終了し、図5に示すステップS5に移行する。なお、ステップS15a及びステップS15aで異常と判断して移行した時のステップS19の詳細については、図11に示す点灯時におけるステップS33〜ステップS35までと同様であるので、その詳細な説明は後述の点灯時において行う。
【0043】
さらに、テーブルTを参照して現在の調光指令値dim1と対応するレーザ光の基準光量値PLD1と、入力側光検出部11で検出されたレーザ光の光量PLDとの比較を行う(図6:ステップS15b、図7(b))。そして、検出されたレーザ光の光量PLDが基準光量値PLD1よりも小さい場合には、再度ステップS13に移行して、電流指令値Iを漸増させていく(図7(a))。
【0044】
一方、図7(b)の点B2に示すように、検出されたレーザ光の光量PLDが基準光量値PLD1と略等しくなり、また、図3及び図4に示すグラフM、Nにおいて範囲M4、N4内である場合には、次のステップS16に移行して、制御部8は、テーブルTにおいて、調光指令値dim1と対応する電流指令値I1を、検出された光量PLDと基準光量値PLD1とが等しくなった時(図7(a)に示す点A2)の電流指令値(図7(b):点B2)に書き換える。次に、現在設定されている調光指令値dimnが最大調光指令値dim(max)である調光指令値dim8であるかどうか判断する(ステップS17)。そして、現在は、調光指令値は、“dimn=dim1(n=1)”であることから、再びステップS12に移行し、nに1だけ加算して、すなわち調光指令値dim2として上記工程を繰り返す。このようにして、調光指令値dim1からdim8まで上記工程を行って、ステップS17で調光指令値が“dimn=dim8(n=8)”であると確認できたら、点灯準備が終了し、点灯状態となる(図5:ステップS7)。
【0045】
以上のように、蛍光部材6cからの照明光の射出を開始するに際して、予め記録されたテーブルTの電流指令値Inの書き換えを行うことで、レーザダイオード6aが劣化や損傷によって状態が変化していても、操作部9の照明用ツマミ9cの各レベル、すなわち調光指令値dimnと対応して、常に基準光量値PLDnと略等しい値で光量を安定させてレーザダイオード6aからレーザ光を発することができ、それ故に蛍光部材6cから所望の光量で安定して照明光を照射することができる。ここで、上記キャリブレーションにおいては、レーザ光及び照明光の光量が小さい調光指令値dim1から順に行い、また、各調光指令値dimnにおいて電流指令値Inの調整を小さい値から漸増させて行っている。このため、レーザダイオード6aや蛍光部材6cに劣化や損傷があっても、急に、大光量でレーザダイオード6aからレーザ光が発せられ、また、蛍光部材6cから大光量の照明光が射出されてしまうことがない。また、蛍光部材6cに損傷があってレーザ光が外部に透過されてしまう状態になっていたとしても、大光量のレーザ光が外部に照射されてしまうことを防ぐことができる。より詳しくは、図3、図4及び図7(b)に示すように、調光指令値dimnが小さい順から行い、また、電流指令値Iの調整を小さい値から漸増させて行うことで、レーザ光が外部に直接照射されても、レーザ光の安全クラス1(JIS C 6802−1)を満たす限界の光量PLDth以下の光量の段階で、異常の有無を判断することができる。
【0046】
また、制御部8は、上記キャリブレーションを行うとともに、グラフM、Nに基づいて、レーザ光の光量PLDと、照明光の光量PFL、PFOとの関係も監視している。このため、キャリブレーション時においてレーザ光の光量PLDが小さい状態であったとしても、レーザ光の光量PLDと照明光の光量PFL、PFOとの相対評価に基づいて、照明光の異常な状態を検知することができ、レーザ光及び照明光の光量PLD、PFL、PFOが小さい状態で使用を中止することができる。
【0047】
なお、上記キャリブレーションにおいては、図7(a)、(b)に示すように、各調光指令値dimn毎に段階的に行うものとしているが、これに限ることは無く、図9(a)、(b)に示すように、電流指令値Iを連続的に漸増させながら、レーザ光の光量PLDを監視するようにしても良い。そして、レーザ光の光量PLDが各調光指令値dimnと対応するレーザ光の基準光量値PLDnと等しくなったら、その時の電流指令値Iを各調光指令値dimnと対応する電流指令値Inとして順次書き換えていけば良い。
【0048】
次に、図5に示す点灯状態(ステップS7)における制御フローについて説明する。図10に示すように、点灯状態において操作部9の照明用ツマミ9cのレベルを変更すると、操作部9から制御部8へ対応する調光指令値dimnが出力され、制御部8は、この調光指令値dimnを受信する(図10:ステップS21)。次に、制御部8は、受信した調光指令値dimnが予め記録されている最小調光指令値dim(min)と最大調光指令値dim(max)との間であるか確認する(図10:ステップS22)。ここで、何らかの原因により調光指令値dimnが最小調光指令値dim(min)より小さい、または、最大調光指令値dim(max)より大きかった場合には、受信した信号にエラーがあったとして(図10:ステップS27)、図5に示すステップS5に移行して終了する。
【0049】
また、調光指令値dimnが最小調光指令値dim(min)以上、最大調光指令値dim(max)以下であった場合には、テーブルTから調光指令値dimnと対応する電流指令値Inを読み出す(図10:ステップS23)。次に、制御部8は、下限電流値Iminを読み出して、電流指令値Inが下限電流値Imin以上かどうか確認する(図10:ステップS24)。何らかの原因によって電流指令値Inが下限電流値Iminより小さい場合には、電流指令値Inを下限電流値Iminに設定し(図10:ステップS24a)、設定した電流指令値Inを光源駆動部7へ出力する(図10:ステップS26)。電流指令値Inが下限電流値Imin以上であった場合には、制御部8は、上限電流値Imaxを読み出して電流指令値Inが上限電流値Imax以下かどうか確認する(図10:ステップS25)。何らかの原因によって電流指令値Inが上限電流値Imaxよりも大きい場合には、電流指令値Inを上限電流値Imaxに設定し(図10:ステップS25a)、設定した電流指令値Inを光源駆動部7へ出力する(図10:ステップS26)。また、電流指令値Inが上限電流値Imax以下である場合には、この電流指令値Inを光源駆動部7へ出力する(図10:ステップS26)。
【0050】
すなわち、電流指令値Inが下限電流値Iminから上限電流値Imaxの範囲である場合には、その電流指令値Inが出力され、また、下限電流値Iminから上限電流値Imaxの範囲外である場合には、下限電流値Iminまたは上限電流値Imaxに再設定されて電流指令値Inが出力される。そして、出力された電流指令値Inに対応する電流量で光源駆動部7からレーザダイオード6aに電流が供給され、レーザダイオード6aからはレーザ光が発せられる。ここで、上記のようにキャリブレーションを行ってテーブルTの書き換えを行っていることから、電流指令値Inに応じた電流が供給されることによって、調光指令値dimnと対応する基準光量値PLDnと略等しい光量PLDでレーザ光を発することができる。このため、照明用ライトガイド6b及び蛍光部材6cが良好な状態である場合には、レーザ光の光量PLDに応じた光量の照明光が蛍光部材6cから射出されて、被検体を照明することができる。
【0051】
次に、図5のステップS8に示す点灯状態における照明手段6の監視を行う制御フローの詳細について、図11に基づいて説明する。図11に示すように、制御部8には、光検出手段10の入力側光検出部11で検出されたレーザ光の光量PLD、並びに、出力側光検出部12の第一の光センサ12a及び第二の光センサ12bで検出された照明光の各光量PFL、PFOがそれぞれ入力され(図11:ステップS31)、制御部8は各検出結果を監視している。すなわち、制御部8は、記録されている許容値ΔPLDを読み出して、検出されたレーザ光の光量PLDが、現在の基準光量値PLDnに対して+ΔPLD〜−ΔPLDの範囲であるかどうかの判断を行う(図11:ステップS32)。+ΔPLD〜−ΔPLDの範囲外である場合には、異常と判断して(図11:ステップS35)、図5に示すステップS5に移行する。このようなケースとしては、キャリブレーション後、レーザダイオード6aが劣化若しくは損傷、または、光源駆動部7が損傷した場合などが考えられる。
【0052】
次に、レーザ光の光量PLDが+ΔPLD〜−ΔPLDの範囲内である場合には、図3に示すグラフMを読み出して、レーザ光の光量PLDと、照明光の内、レーザ光と略等しい波長の光量PFLとの関係が、範囲M4内であるかどうか判断する(図11:ステップS33)。そして、範囲M4外である場合には、異常と判断して(図11:ステップS35)、図5に示すステップS5に移行する。このようなケースとしては、上限線M2を超えている場合には、蛍光部材6cが損傷して照明用ライトガイド6bで導光されるレーザ光の一部が透過して直接外部に漏れ出していて、出力側光検出部12の第一の光センサ12aでレーザ光を直接検出している場合などが考えられる。また、下限線M3を超えている場合には、照明用ライトガイド6bが破損していて、レーザ光の一部または全部が蛍光部材6cまで到達していなく、特にレーザ光と同波長の光量が低下している場合などが考えられる。あるいは、蛍光部材6cからは好適に照明光が射出されているものの、検出用ライトガイド13が損傷していることによって検出が正確に行われていない場合などが考えられる。
【0053】
次に、グラフMにおいて範囲M4内である場合には、図4に示すグラフNを読み出して、レーザ光の光量PLDと、照明光の内、レーザ光の波長以外の波長の光量PFOとの関係が、範囲N4内であるかどうか判断する(図11:ステップS34)。そして、範囲N4外である場合には、異常と判断して(図11:ステップS35)、図5に示すステップS5に移行する。このようなケースとしては、上限線N2を超えている場合には、蛍光部材6cが損傷して、照明光の出力が増大してしまった場合などが考えられる。また、下限線N3を超えている場合には、蛍光部材6cが損傷してレーザ光による励起が好適に行われずに、照明光の出力が低下してしまった場合などが考えられる。あるいは、蛍光部材6cからは好適に照明光が射出されているものの、検出用ライトガイド13が損傷していることによって検出が正確に行われていない場合などが考えられる。なお、図3に示すグラフMにおいて下限線M3を超えていて、かつ、図4に示すグラフNにおいて下限線N3を超えている場合には、検出用ライトガイド13の損傷の疑いが高いと判断することができる。一方、グラフNにおいて範囲N4内である場合には、レーザ光及び照明光のいずれも異常ではないと判断して、再び図5に示すステップS7に移行して、点灯状態を維持するとともに、図11に示す制御フローを繰り返し行うこととなる。
【0054】
以上のように、点灯時において、入力側光検出部11及び出力側光検出部12によって、レーザダイオード6aから発せられるレーザ光の光量PLD、及び、蛍光部材6cから射出される照明光の光量PFL、PFOを定量的に監視することができ、常時においては、制御部8によって自動的に安定した光量を保って蛍光部材6cから射出される照明光によって被検体を照明することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、制御部8は、入力側のレーザ光の光量PLDと、出力側の照明光の光量PFL、PFOの両者を監視して、両者の関係が予め設定された範囲外かどうか確認している。このため、異常があった場合には、制御部8によってより確実に異常の発生を把握するとともに、入力側、すなわちレーザダイオード6aに原因があるのか、出力側、すなわち蛍光部材6cに原因があるのか、中間に位置する照明用ライトガイド6bに原因があるのか、若しくは、検出側の検出用ライトガイド13などに原因があるのかを、より正確かつ詳細に特定することができる。また、異常があった場合には、検出結果に基づいて制御部8によってレーザダイオード6aへの電流の供給を自動的に停止させることで、その原因に応じて、レーザ光や照明光が大光量で射出され、また、レーザ光が蛍光部材6cを透過して外部に照射されてしまうのを防ぐことができる。特に、光検出手段10において、出力側光検出部12は、第一の光センサ12aと第二の光センサ12bとによって、レーザ光と略等しい波長と、それ以外の波長と、複数の波長領域に分離して照明光の光量を検出しているので、より正確かつ詳細に異常の原因を特定することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0057】
なお、照明手段6において、レーザダイオード6aは、装置本体部3に内蔵されているものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、挿入部2の内部に設けられるものとしても良く、自身から発するレーザ光を先端側の蛍光部材6cに照射可能に搭載されているであれば良い。また、照明用ライトガイド6bには、軟性の光ファイバが用いられているものとしたが、これに限るものでは無く、挿入部2が硬性タイプのように湾曲変形しない場合には、硬性のロッドレンズなどを用いるものとしても良い。これは、光検出手段10の検出用ライトガイド13においても同様である。また、蛍光部材6cは、挿入部2の先端に設けられるものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、挿入部2の中間位置に設けられていて、蛍光部材6cの先端側に配設されたライトガイドによって照明光を先端側に導光して照明するようにしても良い。
【0058】
また、光検出手段10において、入力側光検出部11は、照明用ライトガイド6bの基端外周面に設けられているものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、レーザダイオード6aに内蔵されたタイプとしても良い。あるいは、照明用ライトガイド6bを基端で分岐させて、分岐された一方に接続するものとしても良い。あるいは、照明用ライトガイド6bの先端に設けるものとしても良い。さらには、照明用ライトガイド6bの基端と先端など複数箇所に設けるものなどとしても良い。この場合には、照明用ライトガイド6bの入出力両側で検出することで、照明用ライトガイド6bの異常をより好適に検出することができるという利点を有する。
【0059】
さらに、光検出手段10において、出力側光検出部12は、装置本体部3に内蔵されていて、検出用ライトガイド13によって導光された照明光を検出するものとしているが、これに限るものでは無い。例えば、挿入部2の先端において、蛍光部材6cの先端側に設けられていて、蛍光部材6cから射出される照明光を直接的に検出するものとしも良い。しかしながら、検出用ライトガイド13によって照明光を基端側へ導光して装置本体部3の内部で検出することで、挿入部2の細径化を図ることができる。また、出力側光検出部12は、第一の光センサ12a及び第二の光センサ12bで構成されるものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、一つの光センサによって所定の波長領域、若しくは、全波長について光量を検出するものとしても良い。また、照明光の波長領域をさらに細分化して多数の光センサによって検出するものとしても良い。このようにすることで、照明光の状態をより詳細に検出することができる。
【0060】
また、上記のように点灯準備時(図5:ステップS6、図6)では、制御部8は、テーブルTを利用して、調光指令値dimnと対応するレーザ光の基準光量値PDLnを基準として、電流指令値を調整していたが、これに限るものでは無い。照明光の光量を基準(基準光量値)としても良く、照明光の特定の波長領域の光量を基準としても良い。また、上記のように、テーブルTは、調光指令値dimnと対応づけられた表であるものとしたが、これに限るものでは無い。単に、電流指令値I(電流量)と、レーザ光または照明光の光量とを関係付けたグラフとしても良く、キャリブレーションによって該グラフの相関性を修正するものとしても良い。さらに、制御部8は、点灯準備時においてテーブルTのキャリブレーションを行うものとしたが、これに限るものでは無く、単に電流指令値Iを漸増させて、操作部9の照明用ツマミ9cの調整位置に対応するレーザ光または照明光の光量となるように設定するものとしても良い。
【0061】
また、上記のように点灯時(図5:ステップS7、S8、図10、図11)では、制御部8は、テーブルTを利用して、入力されたdimnに対応する電流指令値Inを出力し、これに応じて対応する光量でレーザ光または照明光を照射するものとし、基準光量値に対して光量が許容値内であれば、光量を変化させないものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、電流指令値Inを出力しながら、検出されたレーザ光及び照明光の光量PLD、PFL、PFOによってフィードバック制御を行って基準光量値と略等しくなるように、常に電流指令値Inを調整するものとしても良い。
【0062】
また、点灯準備時及び点灯時いずれにおいても、図3及び図4に示すグラフM、Nに基づいて、レーザ光の光量PLDと、照明光の光量PFL、PFOとの関係を監視するものとしたが、これに限るものでは無い。照明光の光量PFL、PFOについて、いずれか一方のみを監視しても良い。しかしながら、上記のように図3及び図4に示すグラフM、Nによって監視することで、照明光をより詳細に評価して光量を設定することができ、また、異常がある場合には正確かつ詳細に原因を特定することができる。
【0063】
また、以上のように、本実施形態の内視鏡装置1は、制御部8によって検出結果を監視して、自動的に光源駆動部7から供給される電流を制御するものとしたが、これに限るものでは無い。単に光検出手段10による検出結果をディスプレイ表示して、操作者がディスプレイ表示に基づいて照明の調整や停止を行うものとしても良い。少なくとも、光検出手段10が入力側光検出部11及び出力側光検出部12を有して、入力側のレーザ光の光量及び出力側の照明光の光量を検出可能であることで、照明光によって被検体を安定的に照明することができるとともに、異常があった場合にはその原因を好適に特定することができる。
【0064】
また、上記内視鏡装置1においては、照明手段6を備えて照明光を照射可能な構成とし、入力側光量として入力側光検出部11によってレーザ光の光量を検出し、また、出力側光量として出力側光検出部12によって照明光の光量を検出するものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、レーザ光を被検体に照射する手段として、レーザ光を発する光源部と、挿入部2に配設されて光源部からのレーザ光を挿入部2の先端側まで導光するライトガイドとを備える内視鏡装置にも適用可能である。あるいは、レーザ光に代えて紫外光を被検体に照射する手段としても適用可能である。すなわち、これらの内視鏡装置において、入力側光量として、入力側光検出部によって光源部から発せられるレーザ光(紫外光)を検出し、また、出力側光量として、出力側光検出部によってライトガイドを導光されたレーザ光(紫外光)を検出する。これにより、制御部によって入力側光量と出力側光量とを定量的にかつ自動的に監視することができ、常時においては安定した光量のレーザ光(紫外光)を被検体に照射することができる。また、異常があった場合には、入力側光量と出力側光量との両者を監視することで、異常の発生を自動的に把握するとともに、入力側、すなわち光源部に原因があるのか、出力側のライトガイドに原因があるのか自動的に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態の内視鏡装置を示す全体構成図である。
【図2】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部に記録されたテーブルを示す表である。
【図3】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部に記録されたレーザの光量と、照明光の内、レーザ光の波長と略等しい波長の光量との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部に記録されたレーザの光量と、照明光の内、レーザ光の波長以外の波長の光量との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部による制御全体を示すフロー図である。
【図6】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部による制御の内、点灯準備中におけるキャリブレーションの詳細を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施形態の内視鏡装置において、キャリブレーション時の(a)時間と電流指令値との関係を示すグラフ、(b)時間とレーザ光の光量との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態の内視鏡装置において、キャリブレーションで電流指令値が上限電流値となった時の(a)時間と電流指令値との関係を示すグラフ、(b)時間とレーザ光の光量との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部の制御の変形例として、キャリブレーション時の(a)時間と電流指令値との関係を示すグラフ、(b)時間とレーザ光の光量との関係を示すグラフである。
【図10】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部による制御の内、点灯中における照明の制御の詳細を示すフロー図である。
【図11】本発明の実施形態の内視鏡装置において、制御部による制御の内、点灯中における光量の監視の詳細を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0066】
1 内視鏡装置
1a 照明装置
2 挿入部
6a 光源部
6b 照明用ライトガイド(ライトガイド)
6c 蛍光部材
7 光源駆動部
8 制御部
11 入力側光検出部
12 出力側光検出部
12a 第一の光センサ(光センサ)
12b 第二の光センサ(光センサ)
13 検出用ライトガイド
I、In 電流指令値(電流量)
PLD レーザ光の光量(入力側光量)
PFL、PFO 照明光の光量(出力側光量)
M、N グラフ(入力側光量と出力側光量との関係)
M4、N4 範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部に挿入される挿入部を有して前記被検体の内部を照明する照明装置であって、
前記挿入部の基端側に設けられ、供給される電流に応じてレーザ光を発する光源部と、
該光源部に電流を供給する光源駆動部と、
前記挿入部の基端側から先端側へ配設されて、前記光源部からの前記レーザ光を先端側へ導光する照明用ライトガイドと、
前記照明用ライトガイドの先端に設けられ、前記レーザ光を励起光として照明光を射出する蛍光部材と、
前記光源部から発せられる前記レーザ光の光量である入力側光量を検出する入力側光検出部と、
前記蛍光部材から射出される前記照明光の光量である出力側光量を検出する出力側光検出部とを備えることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
検出された前記入力側光量と前記出力側光量とに基づいて前記光源駆動部を制御する制御部を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置において、
前記制御部は、前記入力側光量と前記出力側光量との関係が予め設定された範囲外となった場合に、前記光源部への電流の供給を停止させることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の照明装置において、
前記出力側光検出部は、前記出力側光量として、前記照明光の光量を異なる波長領域に分離して検出可能に複数の光センサを有することを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の照明装置において、
前記出力側光検出部は、前記出力側光量として、前記照明光の内、前記光源部から発せられる前記レーザ光と略等しい波長の光量を検出する第一の光センサを有することを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の照明装置において、
前記出力側光検出部は、前記出力側光量として、前記照明光の内、前記光源部から発せられる前記レーザ光の波長以外の波長の光量を検出する第二の光センサを有することを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の照明装置において、
前記挿入部の先端側から基端側へ配設されて、前記蛍光部材からの照明光を基端側へ導光する検出用ライトガイドを備え、
前記出力側光検出部は、前記検出用ライトガイドの基端に設けられて、該検出用ライトガイドによって導光された前記照明光を検出することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の照明装置と、
前記挿入部の先端に設けられ、前記被検体の内部を観察する観察手段とを備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
被検体の内部に挿入される挿入部を有して前記被検体の内部を観察する内視鏡装置であって、
前記挿入部の基端側に設けられ、供給される電流に応じてレーザ光を発する光源部と、
該光源部に電流を供給する光源駆動部と、
前記挿入部の基端側から先端側へ配設されて、前記光源部からの前記レーザ光を先端側へ導光するライトガイドと、
前記光源部から発せられる前記レーザ光の光量である入力側光量を検出する入力側光検出部と、
前記ライトガイドで導光された前記レーザ光の光量である出力側光量を検出する出力側光検出部と、
検出された前記入力側光量と前記出力側光量との関係に基づいて予め設定された制御を行う制御部とを備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
被検体の内部に挿入される挿入部を有して前記被検体の内部を観察する内視鏡装置であって、
前記挿入部の基端側に設けられ、供給される電流に応じて紫外光を発する光源部と、
該光源部に電流を供給する光源駆動部と、
前記挿入部の基端側から先端側へ配設されて、前記光源部からの前記紫外光を先端側へ導光するライトガイドと、
前記光源部から発せられる前記紫外光の光量である入力側光量を検出する入力側光検出部と、
前記ライトガイドで導光された前記紫外光の光量である出力側光量を検出する出力側光検出部と、
検出された前記入力側光量と前記出力側光量との関係に基づいて予め設定された制御を行う制御部とを備えることを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−301874(P2008−301874A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149111(P2007−149111)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】