説明

照明装置

【課題】LEDユニットを装置本体の前面側に所定の配置関係で面状配設することによって床面等の被照射面を均等な照度で照明することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、複数のLED素子21,21…が円周上に面状配設された円盤状のLEDユニット20,20…を1区画19あたり3個面状配設し、複数の区画19が互いに隣接するように一列状並設された装置本体10を具備しており、LEDユニット20,20…は中心点が正三角形を形成しており、互いに隣接する区画19内の3個のLEDユニット20,20…がなす正三角形の向きが上下反対となるように交互に向きが異なるように配置されているので、床面等の被照射面を均等な照度で照明することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば演出効果を得るために舞台やスタジオなどの高所に配設される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の照明装置の一例としては、白熱電球や蛍光ランプを収容した複数の灯体を一列状に並設した横長状の照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この横長状の照明装置は、舞台やスタジオなどの高所に吊り下げられて、床面等の被照射面を均等な照度で照明するように設計されている。
【0003】
この特許文献1記載の照明装置の光源を高効率、長寿命のLED(発光ダイオード)に代える試みが検討されている。特に、LED素子自体に所定の配光特性が備わっていれば、上記特許文献1記載の照明装置のように反射板を装置本体内に収容する必要がなく、LED素子を装置本体の前面側に面状に配設することで上記特許文献1記載の照明装置と同等の照明効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−203973号公報 図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
横長状の照明装置の前面側にLED素子を面状に配設するためには、所定寸法のLEDユニットを新たに設計して装置本体に組み込むことになるが、このLEDユニットは照明装置の品種毎に開発する必要がある。この開発に要する手間を省略するためには、共通化されたLEDユニットを品種に応じた数だけ面状に配設していく設計を行うのが効率的である。
【0006】
しかし、共通化されたLEDユニットを単純に面状配置しただけでは、床面等の被照射面を均等な照度で照明できない場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、LEDユニットを装置本体の前面側に所定の配置関係で面状配設することによって床面等の被照射面を均等な照度で照明することが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明装置は、複数のLED素子が円周上に面状配設された円盤状のLEDユニットと;前面側に前記LEDユニットを1区画あたり3個面状配設し、複数の区画が互いに隣接するように一列状並設された装置本体と;を具備しており、前記LEDユニットは1区画内の上方および下方のいずれか一方側に当該区画の並設方向に沿って2個、他方側には一方側の2個のLEDユニットに挟まれた中間位置に1個が配置されて合計3個のLEDユニットの中心点が正三角形を形成しており、互いに隣接する区画内の3個のLEDユニットがなす正三角形の向きが上下反対となるように交互に向きが異なるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明において、LEDユニットとは、複数のLED(発光ダイオード)素子が円周上に配設された実装表面を有する基板等の支持基体を有しており、外観が円盤状を呈するユニットであることを意味する。
【0010】
装置本体は、前面側にLEDユニットが装着可能な区画を有しており、この区画が一列方向に連続する構成を有していれば、内部構造や外観形状は特に制限されない。装置本体の各区画は装置本体から分離可能であってもよいし、装置本体としては一体的な構成であってLEDユニットの配置関係を定義する上で便宜的に区画されたものであってもよい。
【0011】
複数のLEDユニットを面状配置する場合に、例えば4個のLEDユニットの中心点が矩形状をなすように面状配置するとLEDユニットに囲まれた中央の隙間面積が大きくなり、この隙間部分は非発光領域であるため被照射面に照度むらが発生する可能性がある。また、4個のLEDユニットの中心点が矩形状をなすように面状配置した場合には、隣接する区画のLEDユニットとの距離が短くなり、互いの温度影響を受けやすくなる。
【0012】
これに対し、3個のLEDユニットの中心点が正三角形を形成することによって非発光領域である中央の隙間面積を比較的小さくすることが可能となり、互いに隣接する区画内の3個のLEDユニットがなす正三角形の向きを上下反対となるように交互に向きが異なるように配置することによって被照射面に照度むらが発生を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の照明装置によれば、装置本体の互いに隣接する区画内の3個のLEDユニットがなす正三角形の向きが上下反対となるように交互に向きが異なるように配置されているので、床面等の被照射面を均等な照度で照明することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置の下方投光状態の正面図。
【図2】図1により示す第1の実施形態に係る照明装置の正面図。
【図3】図1により示す第1の実施形態に係る照明装置の上面図。
【図4】図1により示す第1の実施形態に係る照明装置の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。これら複数の添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態に係る照明装置の斜視図、図2は図1により示す照明装置の正面図、図3は同上面図、図4は同概略断面図である。
【0017】
照明装置1は、舞台やスタジオなどの高所にバトン装置などによって吊り下げられて、床面等の被照射面を均等な照度で照明するボーダーライトと称される照明装置である。
【0018】
照明装置1は、略矩形箱状の金属製筐体からなる装置本体10を有しており、この装置本体10には光照射部分である前面部11を有している。装置本体10は、その断面が五角形を有しており、底面12と背面13とは直交しているが、前面部11と底面12とが交わる部分の角度が40〜60°となるように前面部11の上端が背面13側に傾斜するように形成されている。前面部11と底面12との間には前面部11と直交する下端面14が形成されており、この下端面14には複数の通気孔15が形成されている。前面部11と背面13との間には前面部11と直交する上面16が形成されている。装置本体10の両端には端板17が設けられている。
【0019】
装置本体10の前面部11には、前面部11を一列状の複数の区画に区分けする区画板18が5箇所に設けられている。区画板18によって、前面部11には6つの区画19が略正方形状に形成されている。
【0020】
装置本体10の前面部11に設けられた6つの区画19には、3個のLEDユニット20がそれぞれ配設されている。LEDユニット20は、LED素子21が実装された円盤状の基板22とこの基板22の表面に設けられた合成樹脂製の白色反射体23とからなる。基板22には、6個のLED素子21が基板22の実装表面上に円周状に実装されている。反射体23は、6個のLED素子21それぞれの周囲を囲むすり鉢状の反射面が形成されており、基板22とほぼ同一径を有する円盤状の樹脂成形品である。
【0021】
LEDユニット20は、区画19の上方および下方のいずれか一方側に区画19の並設方向(装置本体の長手方向)に沿って2個、他方側には一方側の2個のLEDユニット20,20に挟まれた中間位置に1個が配置されている。また、この合計3個のLEDユニット20の中心点が正三角形を形成するように配置されている。さらに、LEDユニット20は、互いに隣接する区画19,19内の3個のLEDユニット20がなす正三角形の向きが上下反対となるように交互に向きが異なるように配置されている。
【0022】
装置本体10内には、ヒートシンク31が収容されている。このヒートシンク31は、前面部11の裏面側に3個のLEDユニット20と熱的に接続された状態で取付けられており、3個のLEDユニット20の放熱を1個のヒートシンク31で賄っている。ヒートシンク31は通気孔15と背面13に設けられた放熱孔とによって通気されて効果的に放熱される。また、装置本体10内にはLEDユニット20,20…の点灯用電源32が配設されている。装置本体10の前面部11の前端面には平板状の投光性カバー33が装着されている。
【0023】
本実施形態の照明装置1は、複数のLEDユニット20,20…を面状配置する場合に、被照射面を均等な照度で照明することを可能としている。例えば4個のLEDユニット20,20…の中心点が矩形状をなすように面状配置するとLEDユニット20,20…に囲まれた中央の隙間面積が大きくなり、この隙間部分は非発光領域であるため被照射面に照度むらが発生する可能性がある。また、4個のLEDユニット20,20…の中心点が矩形状をなすように面状配置した場合には、隣接する区画のLEDユニット20,20…との距離が短くなり、互いの温度影響を受けやすくなる。
【0024】
これに対し、3個のLEDユニット20,20…の中心点が正三角形を形成することによって非発光領域である中央の隙間面積を比較的小さくすることが可能となり、互いに隣接する区画内の3個のLEDユニット20,20…がなす正三角形の向きを上下反対となるように交互に向きが異なるように配置することによって被照射面に照度むらが発生を抑制することが可能となる。
【0025】
本実施形態の照明装置によれば、装置本体の互いに隣接する区画内の3個のLEDユニット20,20…がなす正三角形の向きが上下反対となるように交互に向きが異なるように配置されているので、床面等の被照射面を均等な照度で照明することが可能となる。
【0026】
なお、本発明の照明装置は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。例えば、前述した実施形態において、舞台用照明装置として床面を照明するボーダーライトを例示したが、舞台のホリゾント幕を上方から照明するアッパーホリゾントライトやロアーホリゾントライト等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1…照明装置、11…前面部、19…区画、20…LEDユニット、21…LED素子21。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED素子が円周上に面状配設された円盤状のLEDユニットと;
前面側に前記LEDユニットを1区画あたり3個面状配設し、複数の区画が互いに隣接するように一列状並設された装置本体と;
を具備しており、前記LEDユニットは1区画内の上方および下方のいずれか一方側に当該区画の並設方向に沿って2個、他方側には一方側の2個のLEDユニットに挟まれた中間位置に1個が配置されて合計3個のLEDユニットの中心点が正三角形を形成しており、互いに隣接する区画内の3個のLEDユニットがなす正三角形の向きが上下反対となるように交互に向きが異なるように配置されていることを特徴とする照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−205487(P2010−205487A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48015(P2009−48015)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】