説明

照明装置

【課題】光学素子を使用して面光源から射出された光を2π以上の立体角を照射するコンパクトな照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、面光源と入射面203、第1及び第2の出射面を備えた光学素子103とを含み、発光面201の中心、縁の点をP1、P2とし、P1を通り発光面に垂直な軸を光軸として、光学素子は光軸付近が窪んだ形状を有し、光学素子の断面において、P1に対して光軸から15度の位置にある第1の出射面205上の点をP3、P2から光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点をP4、P1とP2とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面の光軸から最も離れた点のX座標は、P2の値の1.5倍以上であり、第1の出射面は、X座標がP3の値以上である領域の80%以上の領域で、P1からの入射角が臨界角以上であり、X座標がP4の値以下である領域の80%以上の領域で、P2からの入射角が臨界角より小さく構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源を使用した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、輝度が大幅に向上した発光ダイオード(LED)は、エネルギー消費量が小さいことから、従来の白熱電球に代わり、照明装置(LED電球)用の光源として使用され始めている。この際、LED電球の配光分布特性として、従来の白熱電球と同様であることが求められている。
【0003】
しかし、青色LEDのチップはランバーシアンに近い発光分布特性を有するため、青色LEDと蛍光体を利用した白色もしくは電球色などのLED光源も、ほぼランバーシアンに近い配光分布特性を有する。ここで、ランバーシアンとは、発光強度の観測角に対する分布が、観測角のcos(余弦)に比例する発光分布のことである。したがって、LEDを光源として使用した場合に、白熱灯のように、光が光源の後ろ側に回り込むような照射、すなわち、2π以上の立体角の照射を行うことはできず、また発光面の正面方向の光強度が強くなってしまう。そこで、LEDを使用して、2π以上の立体角に対して、種々の方向に十分な量の光を照射するためには、大きく分けて二つの手段が考えられる。一つ目は、LEDチップを種々の方向に向けて立体的に配置する方法であるが、製造上コストが増し、またLEDの熱設計といった点においても問題が生じる。二つ目は、光源の正面に、光の方向を制御するための光学素子を配置する方法であるが、効率良く理想の配光分布を作り出すような光学素子は存在しなかった。
【0004】
一方、従来技術において、光源から射出される光の経路を光学素子によって変更する照明装置が開発されている。しかし、従来の照明装置は、点光源を使用したもの(たとえば、特許文献1及び2)か、面光源を使用したものでも、光源の大きさに対して十分に大きな光学素子を用い、コリメート性能を高くするために焦点距離を可能な限り長く設定することで、光を一定の方向に照射するもの(たとえば、特許文献3)であった。
【0005】
また、一般的に、コリメート以外の(たとえば光線を分散させる)目的であっても、光源の大きさに対して光学素子の大きさが大きければ大きいほど、光線の方向を制御しやすい。これは、光学素子の光学面が、光源から遠い位置にあるほど、光学面上の任意の位置に入射する光線の方向は一意に決まるため、すべての光線を自由に制御できるようになるからである。逆に、光源の大きさに対して光学素子の大きさが同程度である場合、光学素子の光学面は光源の近くにあるため、光学面上の任意の位置に入射する光線の方向は様々な方向を向いており、すべての光線を自由に制御することは不可能である。
【0006】
このように、光学素子を使用して、LEDなどの面光源から射出された光を2π以上の立体角に対して、種々の方向に十分な量の光を照射するように配光するコンパクトな照明装置は開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US6543911B1
【特許文献2】US6899443B2
【特許文献3】特開2008−226702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、光学素子を使用して、LEDなどの面光源から射出された光を2π以上の立体角を照射するように配光するコンパクトな照明装置に対するニーズがある。
【0009】
本発明の一つの態様による照明装置は、面光源と、該面光源の発光面に対向して配置される入射面、該入射面に対向する第1の出射面及び該入射面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む。該発光面の中心を第1の点、該発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有し、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点から射出して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面の該光軸から最も離れた点のX座標は、第2の点の値の1.5倍以上であり、第1の出射面は、X座標が第3の点の値以上である領域の80%以上の領域で、第1の点から射出した光の入射角が臨界角以上であり、X座標が第4の点の値以下である領域の80%以上の領域で、第2の点から射出した光の入射角が臨界角より小さいように構成されている。
【0010】
本態様の照明装置において、第1の出射面のX軸方向の大きさは、発光面のX軸方向の大きさの1.5倍以上である。発光面の第1の点から射出し、第1の出射面の、X座標が第3の点の値以上である領域に至る光の大部分は全反射し、発光面の第2の点から射出し、第1の出射面の、X座標が第4の点の値以下である領域に至る光の大部分は屈折する。発光面の第1の点P1と第2の点P2との間の点から射出した光は、そのX座標によって、第1の出射面で全反射する光及び屈折する光の比率が定まる。一般的に、光を射出する点のX座標が第1の点に近づくと、第1の出射面で全反射する光の比率が高くなり、光を射出する点のX座標が第2の点に近づくと、第1の出射面で屈折する光の比率が高くなる。したがって、第1の出射面を上記のように構成することにより、面光源上の種々の点から射出する光のうち第1の出射面で全反射する光と屈折する光の比率を適切に定めることができる。
【0011】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、発光面の縁の点とは、光軸を含む断面において、光軸から最も離れた発光面上の点である。
【0012】
このように本発明は、第1及び第2の点から射出する光の経路に着目して出射面の形状を適切に定め、かつ、面光源のX軸方向の大きさに対する光学素子のX軸方向の大きさの比を適切に定めることにより、面光源から射出された光を2π以上の立体角を照射するように配光するコンパクトな照明装置が得られるという新たな知見に基づくものである。
【0013】
本発明の一つの態様による照明装置は、面光源と、該面光源の発光面に対向して配置される入射面、該入射面に対向する第1の出射面及び該入射面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む。該発光面の中心を第1の点、該発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有する。該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の出射面が、第1の点に対して該光軸から25度乃至60度の見込み角の領域において、第1の出射面は、第1及び第2の点を結ぶ直線に対する角度が20度以下の角度をなす領域を有し、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点から射出して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点から射出して第3の点に至る光線の第1の出射面への入射角をθ13、第2の点から射出して第3の点に至る光線の第1の出射面への入射角をθ23、第1の点から射出して第4の点に至る光線の第1の出射面への入射角をθ14、第2の点から射出して第4の点に至る光線の第1の出射面への入射角をθ24、臨界角をθcとして、
【数1】

である。
【0014】
式(1)乃至(3)が満たされることにより、第1の出射面において、全反射する光と屈折する光の比率が適切に定められ、前方方向のみならず横方向及び後方方向に一様に光を照射することができる。
【0015】
本発明の一つの実施形態において、さらに
【数2】

である。
【0016】
本実施形態によれば、第1の出射面において、全反射する光と屈折する光の比率がより適切になる。
【0017】
本発明の一つの実施形態において、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、X座標が第3の点の値以上の領域において、第1の出射面は、第1の点から射出する光をすべて全反射させるように構成されている。
【0018】
本実施形態によれば、前方方向のみならず横方向及び後方方向により一様に光を照射することができる。
【0019】
本発明の一つの実施形態において、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、X軸方向の第3の点と第4の点との間の領域において、第1の出射面は、第2の点から射出する光をすべて屈折させるように構成されている。
【0020】
本実施形態によれば、前方方向のみならず横方向及び後方方向により一様に光を照射することができる。
【0021】
本発明の一つの実施形態において、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、X軸方向の第3の点と第4の点との間の領域において、第1の出射面は、第3の点と第4の点とを結ぶ直線に関して、該面光源の反対側に位置する。
【0022】
本実施形態によれば、前方方向のみならず横方向及び後方方向により一様に光を照射することができる。
【0023】
本発明の一つの実施形態において、該発光面の面積をAとし、第1の出射面の面積をBとして、
【数3】

である。
【0024】
本実施形態によれば、前方方向のみならず横方向及び後方方向により一様に光を照射することができる。
【0025】
本発明の一つの実施形態において、該発光面の面積をAとし、第1の出射面の該面光源と平行な面への射影面積をCとして、
【数4】

である。
【0026】
本実施形態によれば、前方方向のみならず横方向及び後方方向により一様に光を照射することができる。
【0027】
本発明の一つの実施形態において、該発光面の面積をAとし、該光学素子の高さをDとして、
【数5】

である。
【0028】
本実施形態によれば、前方方向のみならず横方向及び後方方向により一様に光を照射することができる。
【0029】
本発明の一つの実施形態において、該発光面の面積をAとし、第1の出射面の窪みの深さをEとして、
【数6】

である。
【0030】
本実施形態によれば、前方方向のみならず横方向及び後方方向により一様に光を照射することができる。
【0031】
本発明の一つの実施形態において、第1の出射面が、該第3の点より該光軸に近い領域に、光拡散のための突起構造を備えている。
【0032】
本実施形態によれば、光軸付近に集まる光線を拡散させることができる。
【0033】
本発明の一つの実施形態において、該発光面と該入射面とが間隔を隔てて分離されている。
【0034】
本実施形態によれば、該入射面における光の屈折を利用でき、光線制御の自由度が増す。
【0035】
本発明の一つの実施形態において、該発光面の面積をAとし、該発光面と該入射面との間隔をFとして、
【数7】

である。
【0036】
本実施形態によれば、入射面に取り込まれる光線の割合を最大限に確保することができる。
【0037】
本発明の一つの実施形態において、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面のXに関する導関数が連続である。
【0038】
本実施形態によれば、光線ムラを抑えることができる。
【0039】
本発明の一つの実施形態において、第1の出射面及び第2の出射面の少なくとも一部の領域に微小凹凸形状を施している。
【0040】
本実施形態によれば、より一様に光を照射することができる。
【0041】
本発明の一つの実施形態において、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第2の出射面が直線状の部分を有する。
【0042】
本実施形態による照明装置の光学素子は、第1の出射面と第2の出射面との境界付近に発生しやすい光線ムラを抑えることができる。
【0043】
本発明の一つの実施形態において、該光学素子が、第1の出射面及び第2の出射面の境界付近に光拡散用光学面を備えている。
【0044】
本実施形態によれば、第1の出射面と第2の出射面との境界付近に発生しやすい光線ムラを抑えることができる。
【0045】
本発明の一つの実施形態において、該光拡散用光学面が、曲率半径Rの凹形状であり、該発光面の面積をAとして、
【数8】

である。
【0046】
本実施形態による照明装置の光学素子の光拡散用光学面は、十分な光拡散機能を有する。
【0047】
本発明の一つの実施形態において、該光学素子が、第1の出射面及び第2の出射面の境界付近に、外側に延びた導光部を備えている。
【0048】
本実施形態において、導光部は第1の出射面と第2の出射面との境界付近に発生しやすい光線ムラを抑える機能を果たす。
【0049】
本発明の一つの実施形態において、該光源および該光学素子を覆うカバーを備え、該カバーが該導光部によって該光学素子に接続されている。
【0050】
本実施形態によれば、第1の出射面と第2の出射面との境界付近に発生しやすい光線ムラを抑えながら、光源からの熱の問題を解決した照明装置が得られる。
【0051】
本発明の一つの実施形態において、該光学素子が、該光軸を中心とする無限回回転対称体である。
【0052】
本実施形態によれば、該光軸に垂直な断面内において、該光軸を中心とする各放射方向に一様な照射を行うことができる。
【0053】
本発明の一つの実施形態において、該光軸の周囲の回転対称な形状から、180°以下の扇形に切り出した部分を利用している。
【0054】
本実施形態によれば、用途に合わせてより適切な形状の照明装置が得られる。
【0055】
本発明の一つの実施形態において、該光軸の周囲の回転対称な形状から、180°以下の扇形に切り出した部分を利用し、該光学素子の切断面が曲面である。
【0056】
本実施形態によれば、用途に合わせてより適切な形状の照明装置が得られる。
【0057】
本発明の一つの実施形態において、該光学素子の該光軸に垂直な断面の形状が、該光軸を中心とする放射方向によって異なる照射を行なうように放射方向によって異なるように構成されている。
【0058】
本実施形態によれば、該光軸に垂直な断面内において、該光軸を中心とする放射方向によって異なる照射を行なうことができる。
【0059】
本発明の一つの態様による照明装置は、面光源と、該面光源の発光面に対向して配置される入射面、該入射面に対向する第1の出射面及び該入射面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む照明装置であって、
第2の出射面の該入射面に近い領域は、該発光面に対して垂直の方向から外れた方向に射出された光線の一部を内部全反射により導光することで、該光学素子内部において、該発光面からの距離がHであり、該発光面に平行な平面に該発光面を投射した形状の仮想発光面を形成するように構成され、Hは、該発光面の面積をAとして、
【数9】

を満たし、該仮想発光面の中心を通過する前記光軸から15度の見込み角の光線が存在する範囲の値であり、該仮想発光面の中心を第1の点、該仮想発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該仮想発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有し、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点を通過して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点を原点とし、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面の該光軸から最も離れた点のX座標は、第2の点の値の1.5倍以上であり、第1の出射面は、X座標が第3の点の値以上である領域の80%以上の領域で、第1の点を通過した光の入射角が臨界角以上であり、X座標が第4の点の値以下である領域の80%以上の領域で、第2の点を通過した光の入射角が臨界角より小さいように構成された照明装置。
【0060】
本態様の照明装置において、該光源から離れた高い位置で後方方向に光線を向けることができ、該光源の後方方向に多くの光を導くことが可能となる。
【0061】
本発明の一つの態様による照明装置は、面光源と、該面光源の発光面に対向して配置される入射面、該入射面に対向する第1の出射面及び該入射面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む照明装置であって、第2の出射面の該入射面に近い領域は、該発光面に対して垂直の方向から外れた方向に射出された光線の一部を内部全反射により導光することで、該光学素子内部において、該発光面からの距離がHであり、該発光面に平行な平面に該発光面を投射した形状の仮想発光面を形成するように構成され、Hは、該発光面の面積をAとして、
【数10】

を満たし、該仮想発光面の中心を通過する前記光軸から15度の見込み角の光線が存在する範囲の値であり、該仮想発光面の中心を第1の点、該仮想発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該仮想発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有し、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点に対して該光軸から25度乃至60度の見込み角の領域において、第1の出射面は、第1及び第2の点を結ぶ直線に対する角度が20度以下の角度をなす領域を有し、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点を通過して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点と第3の点を通る線分と、第2の点と第3の点を通る線分が成す角度をθ132、第1の点と第4の点を通る線分と、第2の点と第4の点を通る線分が成す角度をθ142、臨界角をθcとして、
【数11】

である照明装置。
【0062】
本態様の照明装置において、該光源から離れた高い位置で後方方向に光線を向けることができ、該光源の後方方向に多くの光を導くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態による照明装置の構成を示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態による光学素子の光軸を含む断面形状を示す図である。
【図2B】図2Aに示された断面形状を有する回転対称体を得るために、回転軸(光軸)の周囲に回転させる図形の形状を示す図である。
【図2C】図2Bに一部が示された楕円の全体を示す図である。
【図3】光学素子の第1の出射面の、光軸を含む断面の形状を説明するための図である。
【図4A】第1の点P1から射出して、第1の出射面に至る光線の経路を示す図である。
【図4B】第2の点P2から射出して、第1の出射面に至る光線の経路を示す図である。
【図5】本実施形態による照明装置において、屈折光がカバーする領域及び全反射光がカバーする領域を概念的に示す図である。
【図6】本実施形態による照明装置の具体的な形状を示す図である。
【図7A】本実施形態による照明装置の周囲の相対照度分布を示す図である。
【図7B】光軸に対する角度を説明するための図である。
【図8A】前方方向の照射光の経路を示す図である。
【図8B】光軸に対して90°より小さなある角度をなす方向の照射光の経路を示す図である。
【図8C】光軸に対して90°より小さく、図8Bの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。
【図8D】光軸に対して90°より小さく、図8Cの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。
【図8E】光軸に対してほぼ90°の角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。
【図8F】光軸に対して90°より大きなある角度をなす方向の照射光の経路を示す図である。
【図8G】光軸に対して90°より大きく、図8Fの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。
【図8H】光軸に対して90°より大きく、図8Gの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。
【図9】他の実施形態による光学素子の具体的な形状(光軸を含む断面形状)を示す図である。
【図10】さらに他の実施形態による光学素子の具体的な形状(光軸を含む断面形状)を示す図である。
【図11】第1の出射面と第2の出射面との境界付近に光拡散用光学面を設けた光学素子の実施形態を示す図である。
【図12】光学素子の窪みの底部付近の種々の形態を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態による光学素子の光軸を含む断面形状を示す図である。
【図14】光源が半球状の透明材料により封止されている照明装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、本発明の一実施形態による照明装置の構成を示す図である。本実施形態による照明装置は、面光源101と光学素子103とを含む。面光源101は、たとえば、面発光タイプのLED(Light Emitting Diode)チップ単体、また、面発光タイプのLEDチップを面上に配列したもの、OLED(Organic Light-Emitting Diode)、LEP(Light Emitting Polymer)などである。面光源101は、円形であってもよい。また、LEDチップを面上に配列する場合、該面は曲率を有していてもよい。また、たとえば、LEDチップを配列した面光源が半球状の透明な材料(たとえば、シリコン樹脂など)で封止されたものであってもよい。光学素子103は、たとえば、円形の面光源101の円の中心を通り、面光源101の面に垂直な軸に関して無限回回転対称な形状を有する。この軸を光軸と呼称する。
【0065】
光学素子103の入射面203は、面光源101の発光面201に対向している。光学素子103は、入射面203に対向する第1の出射面205と、入射面203及び第1の出射面205をつなぎ、側面を構成する第2の出射面207をさらに含む。第1の出射面205は、周縁部に比較して光軸周辺が窪んでいる。第1の出射面205の形状については後で詳細に説明する。
【0066】
面光源101の発光面積をAであらわす。ここで、発光面積とは、たとえば、複数のLEDチップを配列した場合は、その配列されている領域の面積を指す。また、LEDチップが蛍光体などで封止されている場合は、実質的に光線が通過しているとされる領域の面積を指す。本実施形態においては、面光源101は、半径r及び面積A(=πr)の円形の発光面を備える。
【0067】
光学素子103の第1の出射面205及び第2の出射面207の面積の合計をBで表す。また、第1の出射面205の、面光源101に平行な平面への射影面積をCで表す。
【0068】
第1の出射面205の、発光面201を含む平面から最も離れた点から発光面201を含む平面までの光軸方向の距離をDで表す。
【0069】
第1の出射面205の、窪みの深さをEで表す。図1において、窪みの深さEは、第1の出射面205の最も高い位置の点と最も低い位置の点との光軸方向の距離である。
【0070】
発光面201と入射面203との間隔をFで表す。
【0071】
図2Aは、本実施形態による光学素子103の光軸を含む断面形状を示す図である。
【0072】
図2Bは、図2Aに示された断面形状を有する回転対称体を得るために、回転軸(光軸)の周囲に回転させる図形の形状を示す図である。図2Bの数字の単位はミリメータである。図2Bにおいて囲われた数字は、第1の出射面205の断面の楕円形状を指定するものである。一般的に、第1の出射面205の断面は、楕円形状でなくともよい。
【0073】
図2Cは、図2Bに一部が示された楕円の全体を示す図である。図2B及び図2Cにおいて囲われた数字は、具体的に楕円の中心位置、長軸長さ及び短軸長さを示す。
【0074】
図3は、光学素子103の第1の出射面205の、光軸を含む断面の形状を説明するための図である。光学素子103は、図2A及び図2Bに示した形状を有するものとする。図3において、光軸と発光面201との交点を第1の点P1とする。また、発光面201の円周上の点を第2の点P2とする。さらに、第1の点P1に対して光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面205上の点を第3の点P3とする。さらに、第2の点P2において発光面201に立てた垂線と第1の出射面205の断面を示す線との交点を第4の点P4とする。
【0075】
第1の点P1から射出して第3の点P3に至る光線の第1の出射面205への入射角をθ13、第2の点P2から射出して第3の点P3に至る光線の第1の出射面205への入射角をθ23、第1の点P1から射出して第4の点P4に至る光線の第1の出射面205への入射角をθ14、第2の点P2から射出して第4の点P4に至る光線の第1の出射面205への入射角をθ24とする。面光源101の半径は、r=4(ミリメータ)、臨界角は、θc=39.1°である。ここで、幾何学的関係から以下の式が得られる。
【0076】
(1)θ13−θ23 = 35.9°
(2)θ14−θ24 = 26.6°
(3)(θ14−θ24)/(θ13−θ23) = 0.74
(4)θ13 = 61.7°
(5)θ23 = 25.8°
(6)B/A = 17.08
(7)C/A = 6.25
(8)D/r = 2.38
(9)E/r = 1.48
(10)F/r = 0.025
【0077】
第1の出射面205の光軸から最も離れた点のX座標は、10(ミリメータ)であり、第2の点P2のX座標は、4(ミリメータ)である。したがって、両者の比は、2.5である。
【0078】
θ13は、61.7°であり、θ14は、56.0°である。このように、第1の点P1から射出して、第1の出射面205の第3の点P3と第4の点P4の間の領域に至る光線の第1の出射面205への入射角は、臨界角θc=39.1°よりも大きい。したがって、第1の点P1から射出して、第1の出射面205の第3の点P3と第4の点P4の間の領域に至る光線は、第1の出射面205で全反射する。さらに、本実施形態において、第1の点P1から射出して、第1の出射面205の、第3の点P3よりも外側の全領域に至る光線は、第1の出射面205で全反射する。
【0079】
θ23は、25.8°であり、θ24は、29.4°である。このように、第2の点P2から射出して、第1の出射面205の第3の点P3と第4の点P4の間の領域に至る光線の第1の出射面205への入射角は、臨界角θc=39.1°よりも小さい。したがって、第2の点P2から射出して、第1の出射面205の第3の点P3と第4の点P4の間の領域に至る光線は、第1の出射面205で全反射することなく屈折する。さらに、本実施形態において、第2の点P2から射出して、第1の出射面205の、第4の点P4よりも光軸側の全領域に至る光線は、第1の出射面205で全反射することなく屈折する。
【0080】
光軸及び第2の点を含む、光学素子103の断面において、第1の点に対して光軸から25度以上の見込み角の少なくとも一部の領域において、第1の出射面205は、第1点P1及び第2の点P2を結ぶ直線に対する角度が20度以下である。
【0081】
発明者は、第1の出射面205を以下のように構成することによって、面光源上の種々の点から射出する光のうち第1の出射面205で全反射する光と屈折する光の比率を適切に定め、前方方向のみならず横方向及び後方方向にできるだけ一様に光を照射することができるとの知見を得た。すなわち、光軸及び第2の点P2を含む、光学素子103の断面において、第1の点P1を原点、第1の点P1と第2の点P2とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面205は、X座標が第3の点P3の値以上である領域の80%以上の領域で、第1の点P1から射出した光が全反射し、X座標が第4の点P4の値以下である領域の80%以上の領域で、第2の点P2から射出した光が全反射することなく屈折するように構成する。このように構成すると、発光面201の第1の点P1から射出し、第1の出射面205の第3の点P3より外側の領域に至る光線の大部分は、第1の出射面205で全反射し、発光面201の第2の点P2から射出し、第1の出射面205の第4の点P4より光軸側の領域に至る光線の大部分は、第1の出射面205で屈折する。発光面201の第1の点P1と第2の点P2との間の点から射出し、第1の出射面205に至る光線は、そのX座標によって、第1の出射面205で全反射する光及び屈折する光の比率が定まる。一般的に、光を射出する点のX座標が第1の点P1に近づくと、第1の出射面205で全反射する光の比率が高くなり、光を射出する点のX座標が第2の点P2に近づくと、第1の出射面205で屈折する光の比率が高くなる。したがって、上記のように第1の出射面205を構成することにより、面光源上の種々の点から射出する光のうち第1の出射面205で全反射する光と屈折する光との比率を適切に定めることができる。
【0082】
また、第1の出射面205の光軸から最も離れた点のX座標と、第2の点P2のX座標との比を変えることによって、第1の出射面205で全反射する光と屈折する光との比率をさらに調整することができる。一般的に、両者の比は1.5以上であるのが好ましい。
【0083】
ここで、「80%以上の領域」とは、X座標の領域で「80%以上の領域」である。また、「80%以上の領域」としたのは、特異点の周辺など一部の例外的領域を除く趣旨である。
【0084】
さらには、第1の出射面205の光軸から最も離れた点のX座標と、第2の点P2のX座標との比が2.0以上であれば、より効率よく光源の後方方向まで光を分布させることができる。
【0085】
一般的に、第1の出射面205の形状は、以下のように定めることができる。ここで、光軸及び第2の点P2を含む断面における第1の出射面205の形状をプロファイルと呼称する。最初に、プロファイルは、第3の点P3及び第4の点P4を結ぶ直線で表せるとする。θ13及びθ14が臨界角以上となり、θ24及びθ24が臨界角より小さくなるように直線の傾きを定める。このように定めると、第1の点P1から、第3の点P3より外側の直線上の点に入射する光線の入射角は臨界角より大きくなり、光線は全反射する。また、第2の点P2から、第4の点P4より光軸側の直線上の点に入射する光線の入射角は臨界角より小さくなり、光線は屈折する。
【0086】
第1の出射面205で全反射する光の割合を増加させるには以下の処理を行う。第2の点P2から射出して第4の点P4に向かう光線の、第1の出射面205への入射角が大きくなるようにすることによって、第1の点P1と第2の点P2の間の任意の点から射出した光線が、第1の出射面205で全反射する割合が増加する。また、第1の出射面205の光軸から最も離れた点のX座標と、第2の点P2のX座標との比を増加させることにより、上記の全反射する光の割合はさらに増加する。
【0087】
第1の出射面205で全反射して後方方向へ照射される光の割合を増加させるには以下の処理を行う。θ24が臨界角未満である条件を満たしながら、第4の点P4付近及びそれより外側のプロファイルのX軸に対する傾きを小さくし、第1の出射面205の光軸から最も離れた点のX座標と、第2の点P2のX座標との比を増加させながら光源から遠ざけることにより、第1の出射面205で全反射して後方方向へ照射される光の割合は増加する。
【0088】
第1の出射面205で屈折する光の割合を増加させるには以下の処理を行う。θ13が臨界角以上である条件を満たしながら、第3の点P3付近及びそれより光軸側のプロファイルのX軸に対する傾きを小さくすることによって、第1の点P1から射出され、第1の出射面205の、第3の点P3より光軸側の領域に至る光の内、屈折する光の割合が増加する。
【0089】
また、別の観点から面光源上の種々の点から射出する光のうち第1の出射面205で全反射する光と屈折する光の比率を適切に定め、前方方向のみならず横方向及び後方方向にできるだけ一様に光を照射するには、以下の式が満たされる必要がある。
【数12】

【0090】
式(1)の上限を上回るか式(2)の下限を下回る範囲においては、第1の出射面205の光軸付近の窪みの勾配が急すぎるため、正面方向に抜ける光線が少なくなってしまい、第1の出射面205において、全反射する光と屈折する光の比率が適切にならない。また、式(1)の下限を下回るか式(2)の上限を上回る範囲においては、第1の出射面205の光軸付近の窪みの勾配が緩やかすぎるため、ほとんどの光線が正面方向に抜けてしまい、第1の出射面205において、全反射する光と屈折する光の比率が適切にならない。また、式(3)の条件が満たされない場合も、第1の出射面205において、全反射する光と屈折する光の比率が適切にならない。
【0091】
さらに、
【数13】

であれば、第1の出射面205において、全反射する光と屈折する光の比率がより適切になる。
【0092】
さらに、
【数14】

であれば、第1の出射面205において、全反射する光と屈折する光の比率がより適切になるように、第1の出射面205の第3の点P3付近の形状が定められる。
【0093】
さらに、
【数15】

であれば、第1の出射面205において、全反射する光と屈折する光との比率がより適切になる。
【0094】
さらに、光源の大きさに対する光学素子の大きさの比に関しては、以下の式が満たされるのが好ましい。
【数16】

式(6)乃至式(9)の各項が下限値より小さな値になると、面光源の前方方向に進む光が多くなり、上限値より大きな値となると、面光源の横方向から後方方向に進む光が多くなる。
【0095】
さらに、
【数17】

であれば、より好ましい配光分布となる。
【0096】
さらに、以下の式が満たされるのが好ましい。
【数18】

式(10)の項が上限値より大きな値となると、入射面203に取り込まれる光線の割合が低下する。
【0097】
図4Aは、第1の点P1の近傍の点から射出して、第1の出射面205に至る光線の経路を示す図である。図4Aにおいて、第1の点P1の近傍の点から射出して、第1の出射面205の光軸付近の領域に至る光線は全反射することなく屈折して前方へ進む。ただし、一般的には、第1の点P1の近傍の点から射出して、第1の出射面205の光軸付近の領域に至る光線は全反射する場合もある。第1の点P1の近傍の点から射出して、第1の出射面205の光軸付近の領域以外の領域に至る光線は全反射して横方向または後方へ進む。図4Aにおいて、第1の出射面205で全反射することなく屈折する光線を実線で示し、全反射する光線を点線で示した。
【0098】
図4Bは、第2の点P2から射出して、第1の出射面205に至る光線の経路を示す図である。図4Bにおいて、第2の点P2から射出して、第1の出射面205の第4の点P4より光軸に近い領域に至る光線は、全反射することなく屈折して前方へ進む。第2の点P2から射出して、第1の出射面205の周縁部に至る光線は第1の出射面205で全反射する。ただし、一般的には、第2の点P2から射出して、第1の出射面205の周縁部に至る光線は第1の出射面205で全反射しない場合もある。図4Bにおいて、第1の出射面205で全反射することなく屈折する光線を実線で示し、全反射する光線を点線で示した。
【0099】
図5は、本実施形態による照明装置において、屈折光による照射領域及び全反射光による照射領域を概念的に示す図である。面光源101から射出して、第1の出射面205で屈折した光は、前方方向を照射する。面光源101から射出して、第1の出射面205で全反射した光は、側方及び後方方向を照射する。
【0100】
図6は、本実施形態による照明装置100の具体的な形状を示す図である。面光源101は、半径4ミリメータの円形である。光学素子103の入射面203は、半径5.5ミリメータの円形である。光学素子103の形状は、図2A及び図Bに示したものである。光学素子103は、屈折率1.585の透明材料(たとえば、エポキシ樹脂)から構成される。ただし、一般的には、光学素子を構成する材料としては、対象とする波長に対して透明であればどのようなものでも使用することができる。
【0101】
図7Aは、本実施形態による照明装置100の周囲の相対照度分布を示す図である。相対照度は、光源の中心(第1の点P1に相当する点)を中心とした半径500ミリメータの球面上のものである。図7Aのグラフの横軸は、光軸に対する角度を表し、縦軸は相対照度を表す。また、横軸に記載されている−500乃至+500の数値は、発光面201を原点として光軸方向を負方向とした位置座標Yに対応し、0°乃至180°の数値は、発光面201を原点とした半径500ミリメータの球面上で、位置座標Yに対応する点を原点から見た際の、光軸方向からの角度θであり、θ=360/(2π)×cos−1(−Y/500)の関係がある。図7Aのグラフの相対照度は、光軸に対する角度が0°から約160°までの範囲で、平均値の1/2以上の値を示し、光軸に対する角度が約30°から約140°までの範囲で、平均値の2/3以上の値を示している。
【0102】
図7Bは、光軸に対する角度を説明するための図である。光軸に対する角度とは、光源の中心から延びる直線が光軸となす角度である。たとえば、光軸に対する角度90°の相対照度とは、光源の中心から水平方向に延びる直線が、上記の球面と交差する点における相対照度である。光軸に対する角度0°は、面光源101の正面方向(前方方向)であり、光軸に対する角度180°は、面光源101の裏面方向(後方方向)である。
【0103】
図8A乃至図8Hは、照射方向ごとに光線の経路を示した図である。
【0104】
図8Aは、前方方向の照射光の経路を示す図である。ほとんどの光線は、第1の出射面205で屈折して正面方向に進む。
【0105】
図8Bは、光軸に対して90°より小さなある角度をなす方向の照射光の経路を示す図である。第1の出射面205で屈折して前方に進む光線と、第1の出射面205で全反射し、第2の出射面207で屈折して前方に進む光線とが存在する。
【0106】
図8Cは、光軸に対して90°より小さく、図8Bの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。光線の約半分は、第1の出射面205で全反射し、第2の出射面207で屈折して前方に進む光線である。
【0107】
図8Dは、光軸に対して90°より小さく、図8Cの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。光線のほとんどは、第1の出射面205で全反射し、第2の出射面207で屈折して前方に進む光線である。
【0108】
図8Eは、光軸に対してほぼ90°の角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。光線のほとんどは、第1の出射面205で全反射し、第2の出射面207で屈折してほぼ横方向に進む光線である。
【0109】
図8Fは、光軸に対して90°より大きなある角度をなす方向の照射光の経路を示す図である。光線のほとんどは、第1の出射面205で全反射し、第2の出射面207で屈折して後方に進む光線である。
【0110】
図8Gは、光軸に対して90°より大きく、図8Fの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。光線のほとんどは、第1の出射面205で全反射し、第2の出射面207で屈折して後方に進む光線である。
【0111】
図8Hは、光軸に対して90°より大きく、図8Gの場合よりも大きな角度をなす方向の照射光の光線の経路を示す図である。光線のほとんどは、第1の出射面205で全反射し、第2の出射面207で屈折して後方に進む光線である。
【0112】
図9は、他の実施形態による光学素子の具体的な形状(光軸を含む断面形状)を示す図である。図9に示した実施形態では、第1の出射面を示す曲線または折れ線が、面光源と反対側に凸となっている。
【0113】
図10は、さらに他の実施形態による光学素子の具体的な形状(光軸を含む断面形状)を示す図である。図10に示した実施形態では、第1の出射面を示す曲線または折れ線の一部が、面光源側に凸となっている。
【0114】
図11は、光学素子の第1の出射面205と第2の出射面207との境界付近に光拡散用光学面206を設けた光学素子の実施形態を示す図である。経路の異なる光線が干渉する領域では光線ムラが発生しやすい。そこで、この光線ムラを緩和する手段として、レンズパワーが連続に変化しない領域の境界付近に光を拡散させるための光拡散用光学面を設けた。光拡散用光学面は一定の曲率半径Rの凹形状であり、
【数19】

であるのが好ましい。上限値を超えた場合には、光拡散作用が小さくなる。
【0115】
図12は、光学素子の窪みの底部付近の種々の形態を示す図である。たとえば、図12(c)に示すように、窪みの底部に突起物251を設けることにより、光軸付近に集まる光線を拡散させることができる。
【0116】
図13は、本発明の一実施形態による照明装置の構成を示す図である。本実施形態による照明装置は、面光源101と光学素子103とを含む。面光源101の発光面201から射出した光線は、入射面203から光学素子103に入射し、光源の全光量の半分以上の光線は、入射面203と第1の出射面205との間の第2の射出面208の入射面203に近い側の面での全反射により、光軸方向に導光され、仮想発光面301を形成する。仮想発光面301は、光学素子103の内部において、発光面201からの距離がHであり、201に平行な平面に発光面201を投射した形状であり、Hは、該発光面の面積をAとして、
【数20】

を満たし、該仮想発光面の中心を通過する前記光軸から15度の見込み角の光線が存在する範囲の値である。仮想発光面301を通過した光線は主に、第1の射出面205で屈折し、光学素子103の外部に射出される経路と、第1の射出面205で全反射された後、第2の射出面208で屈折し、光学素子103の外部に射出される回路を辿る。これにより、面光源101の後方方向に多くの光を導くことが可能となる。
【0117】
上記の実施形態において、光学素子は、無限回回転対称体である。光学素子が、無限回回転対称体である場合には、光軸(回転軸)と垂直な面内において、光軸を中心として放射状に一様な照射が行なわれる。しかし、一般的に、光学素子は、無限回回転対称体である必要はない。光軸を含む断面において上記の条件を満たしながら、光軸の周りの角度によって形状を変化させることにより、光軸の周りの角度によって異なった照射を行うことができる。
【0118】
図14は、面光源101が半球状の透明な封止部材501により封止されている照明装置の実施形態を示す図である。封止部材501と光学素子103とが干渉しないように、光学素子103の入射面203は、半球状に窪んでいる。このような構成により、透明な封止部材501により封止されている面光源101を使用する場合でも、面光源101からの光を効率よく光学素子103に取り込むことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
面光源と、該面光源の発光面に対向して配置される入射面、該入射面に対向する第1の出射面及び該入射面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む照明装置であって、
該発光面の中心を第1の点、該発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有し、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点から射出して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点を原点とし、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面の該光軸から最も離れた点のX座標は、第2の点の値の1.5倍以上であり、第1の出射面は、X座標が第3の点の値以上である領域の80%以上の領域で、第1の点から射出した光の入射角が臨界角以上であり、X座標が第4の点の値以下である領域の80%以上の領域で、第2の点から射出した光の入射角が臨界角より小さいように構成された照明装置。
【請求項2】
面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む照明装置であって、
該発光面の中心を第1の点、該発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有し、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点に対して該光軸から25度乃至60度の見込み角の領域において、第1の出射面は、第1及び第2の点を結ぶ直線に対する角度が20度以下の角度をなす領域を有し、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点から射出して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点から射出して第3の点に至る光線の第1の出射面への入射角をθ13、第2の点から射出して第3の点に至る光線の第1の出射面への入射角をθ23から射出して第4の点に至る光線の第1の出射面への入射角をθ24、臨界角をθcとして、
【数1】

である照明装置。
【請求項3】
さらに
【数2】

である請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、X座標が第3の点の値以上の領域において、第1の出射面は、第1の点から射出する光をすべて全反射させるように構成された請求項1から3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、X軸方向の第3の点と第4の点との間の領域において、第1の出射面は、第2の点から射出する光をすべて屈折させるように構成された請求項1から3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、X軸方向の第3の点と第4の点との間の領域において、第1の出射面は、第3の点と第4の点とを結ぶ直線に関して、該面光源の反対側に位置する請求項1から3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
該発光面の面積をAとし、第1の出射面の面積をBとして、
【数3】

である請求項1から6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項8】
該発光面の面積をAとし、第1の出射面の該光源面への射影面積をCとして、
【数4】

である請求項1から6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項9】
該発光面の面積をAとし、該光学素子の高さをDとして、
【数5】

である請求項1から6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項10】
該発光面の面積をAとし、第1の出射面の窪みの深さをEとして、
【数6】

である請求項1から6のいずれかに記載の照明装置。
【請求項11】
第1の出射面が、該第3の点より該光軸に近い領域に、光拡散のための突起構造を備えた請求項1から10のいずれかに記載の照明装置。
【請求項12】
該発光面と該入射面とが間隔を隔てて分離されている請求項1から11のいずれかに記載の照明装置。
【請求項13】
該発光面の面積をAとし、該発光面と該入射面との間隔をFとして、
【数7】

である請求項12に記載の照明装置。
【請求項14】
該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面のXに関する導関数が連続である請求項1から13のいずれかに記載の照明装置。
【請求項15】
第1の出射面及び第2の出射面の少なくとも一部の領域に微小凹凸形状を施した請求項1から14のいずれかに記載の照明装置。
【請求項16】
該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第2の出射面が直線状の部分を有する請求項1から15のいずれかに記載の照明装置。
【請求項17】
該光学素子が、第1の出射面及び第2の出射面の境界付近に光拡散用光学面を備えた請求項16に記載の照明装置。
【請求項18】
該光拡散用光学面が、曲率半径Rの凹形状であり、該発光面の面積をAとして、
【数8】

である請求項17に記載の照明装置。
【請求項19】
該光学素子が、第1の出射面及び第2の出射面の境界付近に、外側に延びた導光部を備えた請求項16に記載の照明装置。
【請求項20】
該光源および該光学素子を覆うカバーを備え、該カバーが該導光部によって該光学素子に接続された請求項19に記載の照明装置。
【請求項21】
該光学素子が、該光軸を中心とする無限回回転対称体である請求項1から20のいずれかに記載の照明装置。
【請求項22】
該光軸の周囲の回転対称な形状から、180°以下の扇形形状に切り出した部分を利用した請求項21に記載の照明装置。
【請求項23】
該光学素子の、該扇形形状に切り出した切断面が曲面である請求項22に記載の照明装置。
【請求項24】
該光学素子の該光軸に垂直な断面の形状が、該光軸を中心とする放射方向によって異なる照射を行なうように、放射方向によって異なるように構成された請求項1から20のいずれかに記載の照明装置。
【請求項25】
面光源と、該面光源の発光面に対向して配置される入射面、該入射面に対向する第1の出射面及び該入射面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む照明装置であって、
第2の出射面の該入射面に近い領域は、該発光面に対して垂直の方向から外れた方向に射出された光線の一部を内部全反射により導光することで、該光学素子内部において、該発光面からの距離がHであり、該発光面に平行な平面に該発光面を投射した形状の仮想発光面を形成するように構成され、Hは、該発光面の面積をAとして、
【数9】

を満たし、該仮想発光面の中心を通過する前記光軸から15度の見込み角の光線が存在する範囲の値であり、
該仮想発光面の中心を第1の点、該仮想発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該仮想発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有し、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点を通過して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点を原点とし、第1の点と第2の点とを結ぶ軸をX軸として、第1の出射面の該光軸から最も離れた点のX座標は、第2の点の値の1.5倍以上であり、第1の出射面は、X座標が第3の点の値以上である領域の80%以上の領域で、第1の点を通過した光の入射角が臨界角以上であり、X座標が第4の点の値以下である領域の80%以上の領域で、第2の点を通過した光の入射角が臨界角より小さいように構成された照明装置。
【請求項26】
面光源と、該面光源の発光面に対向して配置される入射面、該入射面に対向する第1の出射面及び該入射面と第1の出射面とをつなぐ第2の出射面を備えた光学素子と、を含む照明装置であって、
第2の出射面の該入射面に近い領域は、該発光面に対して垂直の方向から外れた方向に射出された光線の一部を内部全反射により導光することで、該光学素子内部において、該発光面からの距離がHであり、該発光面に平行な平面に該発光面を投射した形状の仮想発光面を形成するように構成され、Hは、該発光面の面積をAとして、
【数10】

を満たし、該仮想発光面の中心を通過する前記光軸から15度の見込み角の光線が存在する範囲の値であり、
該仮想発光面の中心を第1の点、該仮想発光面の縁の点を第2の点とし、第1の点を通り、該仮想発光面に垂直な軸を該光学素子の光軸として、該光学素子の第1の出射面は、周縁に対して該光軸付近が窪んだ形状を有し、該光軸及び第2の点を含む、該光学素子の断面において、第1の点に対して該光軸から25度乃至60度の見込み角の領域において、第1の出射面は、第1及び第2の点を結ぶ直線に対する角度が20度以下の角度をなす領域を有し、第1の点に対して前記光軸から15度の見込み角の位置にある第1の出射面上の点を第3の点とし、第2の点を通過して光軸に平行に進む光線が第1の出射面と交差する点を第4の点とし、第1の点と第3の点を通る線分と、第2の点と第3の点を通る線分が成す角度をθ132、第1の点と第4の点を通る線分と、第2の点と第4の点を通る線分が成す角度をθ142、臨界角をθcとして、
【数11】

である照明装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−100134(P2011−100134A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251150(P2010−251150)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【分割の表示】特願2010−529162(P2010−529162)の分割
【原出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(597073645)ナルックス株式会社 (38)
【Fターム(参考)】