説明

煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品

【課題】電子レンジによる煮魚調理が可能な、煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品を提供する。
【解決手段】マイクロ波調理用加工食品3は、調味された魚介類材料1と、調味された魚介類材料1とは分離して備えられていてマイクロ波調理時に魚介類材料1に添加するための調理用調味液2とがセットされ、冷凍されてなるものである。魚介類材料としては、魚類の他、イカ・タコ・貝類といった軟体類や、エビ・カニ等も含まれる。また、魚介類材料は1種類だけではなく2種類以上を含む場合もある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品に係り、特に、電子レンジ調理用として冷蔵または冷凍状態にて供用可能であって、煮魚仕様の電子レンジ調理が可能な、マイクロ波調理用加工食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭においては、調理の手間や時間を省くための簡便な調理方法として、電子レンジで加熱するだけで喫食できる加工食品の需要がますます高まり、かかる食品の開発は活発に行われ、また製造・販売量も増加している。また、電子レンジを調理器具として用いるための容器や道具なども開発・製品化され、販売されている。
【0003】
電子レンジを使用した食品の加熱調理の原理は、食品にマイクロ波が照射されることで食品中の水分子がマイクロ波を吸収して振動・回転し、その摩擦熱によって食品の温度が上昇し加熱される、というものであり、短時間での加熱調理が可能である。
【0004】
さて、煮魚は家庭でも人気の高いメニューであるが、調理する手間や調理時間が長くかかることや、少量での調理には適さないことなどから、多くの家庭が核家族化し、かつ女性の社会進出が一般化している現在の状況においては、食卓に上る頻度が少なくなってきたメニューの一つであるといえる。
【0005】
なお、かかる時代背景下、電子レンジ調理を前提とした煮魚食品については、従来さまざまな技術的取り組みがなされている。このうち後掲特許文献1に開示されている技術は、電子レンジでの煮魚調理における煮崩れ防止および生臭さ解消を目的として、L−アスコルビン酸、カテキン、酵素処理ルチン、酵素分解リンゴ抽出物、コメヌカ酵素分解物、セイヨウワサビ抽出物、セージ抽出物、チャ抽出物、生コーヒー豆抽出物、ヒマワリ種子抽出物、フェルラ酸、ブドウ種子抽出物、ヤマモモ抽出物、ユーカリ葉抽出物、エンジュ抽出物およびローズマリー抽出物からなる群から選ばれる1種または2種以上を配合した煮魚調味液を用いて調理する、という技術である。
【0006】
また特許文献2に開示されている技術は、電子レンジ調理によって生魚からインスタントに煮魚を調理可能とするために、固形食品素材および調味液からなる調理素材が、電子レンジによる加熱調理時袋内部の膨張した気体を排出できる防水性調理袋の中に収容され密封された形態の食品を提案している。そしてこの技術によれば、外観良好で、食感ならびに風味等に優れた煮魚を容易に調理可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−291437号公報「煮魚調味液及び該調味液を使用した煮魚調理方法」
【特許文献2】特開平8−224059号公報「電子レンジ加熱調理用調理素材」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて電子レンジによる加熱調理においては、上述の原理のとおり、食品中の水分子の振動・回転による摩擦熱で温度が上昇し加熱されるため、加熱調理は短時間でなされるものの、煮魚や煮物のように加熱しながら味を浸透させて食品の中心部分までしっかりと味を含ませる料理の調理方法としては不向きであった。また、加熱時間を長く保持して調理することが難しいため、魚介類特有の魚臭や生臭さを除去できないという欠点があった。前掲の各特許文献開示技術において、それぞれ生臭さ解消などの一応の解決策が提案されてはいるものの、それらによる効果は十分ではない。
【0009】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、魚介類を未加熱処理の状態から電子レンジで加熱調理した際に、短時間で食品の中心部分まで味が染み込み、かつ魚介類特有の臭みもなく、しかもふっくらとした食感の煮魚に仕上げることのできる、煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品を提供することである。
【0010】
すなわち換言すれば、電子レンジによる煮魚調理が可能な、煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品を提供することである。さらに本発明の課題は、電子レンジ調理用として冷蔵または冷凍状態にて供用可能な煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者らは上記課題に対して鋭意検討したところ、前処理した魚介類に、たとえば米発酵調味料、しょうゆ、糖類、魚介エキス、香辛料等を配合した調味液に予め浸漬して下味付けしたものと、これとは別に調製された煮魚用調味液とをセットとして準備しておくという方法を着想した。そして、電子レンジでの調理時にこれらを同時に容器に入れて加熱することによって、短時間でしかも素材の中心部まで味の染み込んだ、ふっくらとした食感の煮魚が調理できることを見出し、これに基づいて、本発明を完成した。すなわち、上述の課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0012】
(1) 調味された魚介類材料と、該魚介類材料とは分離して備えられていてマイクロ波調理時に該魚介類材料に添加するための調理用調味液と、がセットされてなり、マイクロ波調理によって煮魚様を呈し得る、煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。
(2) 前記魚介類材料の調味は、該魚介類材料の下味用調味液への浸漬によりなされていることを特徴とする、(1)に記載の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。
【0013】
(3) 前記魚介類材料が冷凍されていることを特徴とする、(1)または(2)に記載の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。
(4) 魚介類材料とは異なる食材が、前記調味された魚介類材料と一緒の状態で、または分離された状態で含まれていることを特徴とする、(1)ないし(3)のいずれかに記載の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。
【発明の効果】
【0014】
本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品は上述のように構成されるため、これによれば、魚介類を未加熱処理の状態から電子レンジで加熱調理した際に、短時間で食品の中心部分まで味が染み込み、かつ魚介類特有の臭みもなく、しかもふっくらとした食感の煮魚に仕上げることができる。すなわち、電子レンジによる煮魚調理が可能となる。
【0015】
つまり本発明によれば、従来の電子レンジ調理における食品の中心部分までしっかりと味を含ませられないことや、魚介類特有の魚臭や生臭さを除去できないといった問題を全て解消し、好ましい食味・食感の煮魚を得ることができる。
【0016】
また、本発明による加工食品は、生つまり未加熱状態の魚介類から電子レンジ調理によって初めて煮魚の状態を得られるものである。したがって本発明によれば、出来合の物の温め直しでは得られない出来立て感や充実度、満足感を得ることができる。さらに本発明によれば、電子レンジ調理用として冷蔵または冷凍状態にて供用することが可能である。
【0017】
また、本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品によれば、1人前等の少量の単位でも提供可能であるため、従来は難しかった1人前等の少量の調理であっても簡便に行うことができ、おいしい煮魚を調理することができる。したがって、家庭における煮魚の需要・消費拡大を図ることができる。
【0018】
実際、本発明によるマイクロ波調理用加工食品は、電子レンジでの加熱調理に要する時間はせいぜい、4〜5分間程度である。また、魚介類材料および調理用調味液が冷凍された状態で提供される場合であっても、せいぜいこれに解凍時間が加わる程度である。したがって調理は簡便であり、少人数の家庭や単身者、職場での調理などにも便利であり、手軽に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品の基本構成を示す概念図である。
【図2】実施例1の電子レンジ調理後の状態を示す写真である。
【図3】実施例2の電子レンジ調理後の状態を示す写真である。
【図4】実施例3の電子レンジ調理後の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明について、図も用いてさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品の基本構成を示す概念図である。図示するように本マイクロ波調理用加工食品3は、調味された魚介類材料1(以下、単に「魚介類材料1」ともいう。)と、魚介類材料1とは分離して備えられていてマイクロ波調理時に魚介類材料1に添加するための調理用調味液2とがセットされてなるものであることを、主たる構成とする。
【0021】
かかる構成により本発明マイクロ波調理用加工食品3によれば、調味された魚介類材料1を容器に取り、さらにこれに調理用調味液2を添加した状態でもってマイクロ波調理に供することにより、煮魚様の仕上がり、すなわち煮魚様の外観・食感・物性および香味を備えた状態を得ることができる。
【0022】
本発明に係る魚介類材料1には、カレイ・アカウオ・サバ・ブリ・サンマ・メバル・タラ・フカヒレなどといった魚類のみならず、煮魚仕様となり得るものである限り、イカ・タコ・貝類といった軟体類も、またエビ・カニ・ウニ・クジラ、その他、海水・淡水・汽水域から得られる食用可能な水棲動物が広く含まれる。また魚介類材料1の形態は、まるごと(元の形態のまま)であっても、フィーレ・開き・切り身・殻剥き・その他、魚介類材料1を食用とするための何らかの処理がなされたものであってもよい。また、調味されたものである限り、生鮮品であっても冷凍状態を経たものであってもよい。
【0023】
なお、本願において「煮魚仕様」との表現を用いるが、上述のとおり本発明に係る魚介類材料1は魚類以外を含む広範なものである。したがって、「煮魚仕様」とは、狭く魚類のみに係るものではなく、本発明に係る魚介類材料を原料として構成される本発明マイクロ波調理用加工食品がマイクロ波調理によって呈し得る、煮られた状態と同様の形態のことを、広く指すものである。
【0024】
調味された魚介類材料1における具体的な調味の内容は、特に限定されず、甘味、鹹味、酸味、苦味、旨味といった味の種類、その強弱、種類、具体的な調味料の選択、各味の配合などの構成は、自由に行うことができる。
【0025】
調味された魚介類材料1における調味方法は、魚介類材料の下味用調味液への浸漬によりなされているものとすることができる。本発明は煮魚仕様の加工食品である。したがって、一般の煮魚調理において実現されるところの、煮汁中の味成分が魚介類材料の内部に浸透している状態と同等の状態が、マイクロ波調理によって提供されることが望ましい。かかる理由から、魚介類材料が所定の下味用調味液に浸漬されることによって、調味された魚介類材料1となっていることが望ましいものである。
【0026】
この場合、魚介類材料1にかかる下味用調味液の具体的な内容は特に限定されず、甘味、鹹味、酸味、苦味、旨味、ハーブ等による清涼な香味といった香味の種類、その強弱、種類、具体的な調味料の選択、各味の配合などの構成は、自由に行うことができる。特に、調理用調味液2の組成と下味用調味液の組成との間に、たとえば主要な調味料が共通して用いられるなどといった、相互に調和する点が存在する程度によって、マイクロ波調理時がなされた後の煮魚様の状態を、より望ましく実現することができる。また、調味液の種類・濃度・量・時間・液温など、魚介類材料を下味用調味液に浸漬する具体的条件は特に限定されず、適件は適宜に設定することができる。
【0027】
調理用調味液2は専用の袋に入れられるなどして、調味された魚介類材料1とは分離して備えられるが、マイクロ波調理の際に魚介類材料1に添加される。すなわち、調理用の容器に調味された魚介類材料1と調理用調味液1の両者が入れられて、マイクロ波調理が開始される。それによって、調理用調味液2は加熱されつつ、調味された魚介類材料1中にも浸透していき、魚介類材料1を煮る調理がなされる。
【0028】
調理用調味液2の具体的な内容は特に限定されず、甘味、鹹味、酸味、苦味、旨味、ハーブ等による清涼な香味といった香味の種類、その強弱、種類、具体的な調味料の選択、各味の配合などの構成は、自由に行うことができる。特に、魚介類材料1にかかる下味用調味液の組成と調理用調味液2の組成との間に、たとえば主要な調味料が共通して用いられるなどといった、相互に調和する点が存在する程度によって、マイクロ波調理時がなされた後の煮魚様の状態を、より望ましく実現することができる。
【0029】
本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品3には、魚介類材料1が冷凍された状態のものも含む。なおこの場合、魚介類材料1は調理用調味液2とセットされて本加工食品3は構成されるため、魚介類材料1とともに調理用調味液2もまた一緒に冷凍された状態となる。
【0030】
本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品3は、魚介類材料とは異なる食材(図示せず)が、調味された魚介類材料1と一緒の状態で、または分離された状態で含まれたものとすることもできる。たとえば、異種食材としてサトイモを含むものとしてイカと里芋の煮付け、ダイコンを含むものとしてブリ大根、ネギその他を含むものとしてマダラの潮煮、マカロニ・チーズ・マッシュルーム等を含むものとしてエビグラタン風煮、レモングラス等のハーブ類がエビに加えられるものとしてトムヤムクン風煮、などである。
【0031】
なお、本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品3の調味された魚介類材料1は、以上例示したように1種類の魚介類材料のみではなく、2種類以上の魚介類材料からなるものであってもよい。たとえば、タラ・エビ・カキ等複数の魚介類を含むものとして寄せ鍋風煮、アンコウ(身肉)とアン肝(肝臓)とを含むものとしてアンコウ鍋風煮、アイナメ・クロソイ・ムール貝・エビ等を含むものとしてブイヤベース風煮、などである。
【0032】
本発明の原理は、魚介類材料以外のタンパク質を主成分とする食材に対しても適用することが可能である。たとえば、魚介類材料に替えて畜肉、鶏肉、加工食品(ちくわ・かまぼこ、ハム・ソーセージなど)等を用いることで、煮魚仕様の仕上がりを得ることの可能なマイクロ波調理用加工食品とすることもできる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。また、本発明を完成するに到った実験過程の一部を説明する中で、実施例について説明する。
<1 カレイの煮付け>
1.−1 実施例1:カレイの煮付け
下記配合により、前処理したアサバカレイの切り身を調味液に1夜(16時間)浸漬して下味を付け、液切り後に−40℃のフリーザーに入れ、急速凍結した。
アサバカレイ切り身(10切れ) 1000g
濃口醤油 100g
砂糖 100g
米発酵調味料 50g
かつおエキス 10g
昆布エキス 5g
おろししょうが 10g
水 325g
【0034】
電子レンジ調理時に使用する調味料として、下記配合により調味液を作成し、カレイ切り身1枚(約100g)当りの分量として30gを小袋に充填包装して、添付調味液を作製した。
砂糖 60g
濃口醤油 60g
米発酵調味料 30g
かつおエキス 7g
昆布エキス 3g
おろししょうが 5g
水 335g
【0035】
味付け冷凍したアサバカレイの切り身1切れ(約100g)を深めの皿に載せ、添付調味料30gをその上からかけ、軽くラップ掛けをして電子レンジ加熱(500W 4分30秒間)に供した。中心温度が80℃以上になっていることを確認し、実施例1とした。そして、比較官能評価を行った。なお、調味液60gアサバカレイの切り身が浸る程度に添付調味料を用いるとすれば60gを要するが、本実施例での使用量は、浸かり切らない量である30gとした。
【0036】
1.−2 比較例1(カレイの煮付け 下味なし・通常の煮込み)
味付けをしていない生の状態のアサバカレイの切り身10切れ(約1000g)を、実施例1の漬込み(浸漬)の配合と同様の配合割合で鍋に入れ、ガスコンロを使用して中火で25分間煮込み、比較例1とした。そして、比較評価を行った。
【0037】
1.−3 比較例2(カレイの煮付け 下味なし・調味液使用しマイクロ波調理)
同じく味付けをしていない冷凍のアサバカレイの切り身1切れ(約100g)を深めの皿に載せ、実施例1で使用した添付調味液と同様の配合割合の調味液60g(カレイの切り身が浸る程度の分量)を上からかけ、軽くラップ掛けをして電子レンジ加熱(500W 4分30秒間)に供した。中心温度が80℃以上になっていることを確認し、比較例2とした。そして、同様に比較評価を行った。
【0038】
1.−4 官能評価の比較
実施例1、比較例1および2について、調理後に専門家5パネルによる官能比較評価を行った。評価の基準は下記の5段階減点法とした。評価結果を表1に示す(基準は、以下の各表において同じ)。
5:煮魚としての香味や食感が極めて良好である
4:煮魚としての香味や食感が良好である
3:煮魚としての香味や食感が概ね良好である
2:煮魚としての香味や食感がやや劣る
1:煮魚としての香味や食感が著しく劣る
【0039】
【表1】






【0040】
表に示すように実施例1は、味が魚の中まで浸透し、魚特有の臭みも感じられず、ふっくらとした煮魚の食感があった。特に食感は、実際にガス火によって煮込んだ比較例1(従来の煮魚)に比べてむしろ良好だった。また、調理時間が従来の煮魚に比べて大幅に短縮された。なお、図2は、実施例1の電子レンジ調理後の状態を示す写真である。
【0041】
また比較例1は、味の浸透度合いが良好で、魚の臭みもなかった。また、食感も良好ではあったものの、実施例1には劣るものだった。さらに、実施例1の電子レンジ調理と比較すると、調理時間が著しく長くかかった。
【0042】
また比較例2は、味の浸透はほとんどなく、煮魚本来の香味に乏しい結果となった。また、加熱されて熱が通った状態でも、魚特有の生臭さが感じられ、好ましくなかった。
【0043】
<2 サバの味噌煮>
2.−1 実施例2:サバの味噌煮
国産マサバを前処理し、約60gの切り身とした。この切り身を使用し、下記配合により調味液を作成し、2日間(約40時間)漬込み後液切りし、−40℃のフリーザーに入れ、急速凍結した。
サバ切り身 1000g
赤味噌 130g
砂糖 130g
米発酵調味料 20g
酵母エキス 10g
たん白加水分解物 10g
おろししょうが 30g
水 260g
【0044】
電子レンジ調理時に使用する調味料として、下記配合により調味液を作成し、サバ切り身1枚(約60g)当りの分量として20gを小袋に充填包装して、添付調味液を作製した。
砂糖 170g
赤味噌 120g
清酒 30g
酵母エキス 5g
砂糖カラメル 3g
キサンタンガム 1g
加工デンプン 5g
水 450g
【0045】
味付け冷凍したサバの切り身2切れ(約120g)を深めの皿に載せ、添付調味料40gをその上からかけ、軽くラップ掛けをして電子レンジ加熱(500W 4分30秒間)に供した。中心温度が80℃以上になっていることを確認し、実施例2とした。そして、実施例1等と同様にして官能評価を行った。
【0046】
2.−2 官能評価
評価の結果、味噌の味も魚の中に十分に染み込んでいて良好であり、サバ特有の臭みもなく、ふっくらとしたサバ味噌煮の食感を有していた。さらに、実施例1と同様に調理時間が短く、簡便に調理できるものだった。なお、図3は、実施例2の電子レンジ調理後の状態を示す写真である。
【0047】
<3 ブリの照り煮>
3.−1 実施例3:ブリの照り煮
国産のブリを前処理し、約60gの切り身とした。この切り身を使用し、下記配合により調味液を作成し、一夜(約16時間)漬込み後液切りし、−40℃のフリーザーに入れ、急速凍結した。
ブリ切り身 1000g
濃口醤油 100g
砂糖 50g
異性化液糖 50g
米発酵調味料 20g
砂糖カラメル 10g
水 370g
【0048】
電子レンジ調理時に使用する調味料として、下記配合により調味液を作成し、ブリ切り身1枚(約60g)当りの分量として15gを小袋に充填包装して、添付調味液を作製した。
砂糖 180g
濃口醤油 130g
水あめ 50g
みりん 30g
砂糖カラメル 15g
魚介エキス 10g
酵母エキス 10g
増粘多糖類 10g
加工デンプン 10g
水 555g
【0049】
味付け冷凍したブリの切り身2切れ(約120g)を皿に載せ、添付調味料30gをその上からかけ、軽くラップ掛けをして電子レンジ加熱(500W 4分30秒間)に供した。中心温度が80℃以上になっていることを確認し、実施例3とした。そして、実施例1等と同様に官能評価を行った。
【0050】
3.−2 官能評価
評価の結果、味も魚の中に十分に染み込んでいて良好であり、全体的に照りの良い、きれいな、好ましい外観の煮物に仕上がった。また、食感もふっくらとしていた。さらに、実施例1および2と同様に調理時間が短く、簡便に調理できるものだった。なお、図4は、実施例3の電子レンジ調理後の状態を示す写真である。
以上、実施例1、2および3の官能評価の結果を表2にまとめた。
【0051】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品によれば、従来の電子レンジ調理における食品の中心部分までしっかりと味を含ませられないことや、魚介類特有の魚臭や生臭さを除去できないといった問題を全て解消し、好ましい食味・食感の煮魚を提供することができる。また、出来合の物の温め直しでは得られない出来立て感や充実度、満足感を得ることができる上、従来は難しかった1人前等の少量の調理であっても簡便に行うことができるため、煮魚の消費拡大を図ることもできる。したがって、食品加工分野および関連産業分野において、利用性が極めて高い発明である。
【符号の説明】
【0053】
1…調味された魚介類材料
2…調理用調味液
3…煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品






【特許請求の範囲】
【請求項1】
調味された魚介類材料と、該魚介類材料とは分離して備えられていてマイクロ波調理時に該魚介類材料に添加するための調理用調味液と、がセットされてなり、マイクロ波調理によって煮魚様を呈し得る、煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。
【請求項2】
前記魚介類材料の調味は、該魚介類材料の下味用調味液への浸漬によりなされていることを特徴とする、請求項1に記載の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。
【請求項3】
前記魚介類材料が冷凍されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。
【請求項4】
魚介類材料とは異なる食材が、前記調味された魚介類材料と一緒の状態で、または分離された状態で含まれていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の煮魚仕様のマイクロ波調理用加工食品。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−161287(P2012−161287A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24472(P2011−24472)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(511034011)合食フローズン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】