熱アシスト磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置
【課題】 高い発光強度が得られる近接場光発生素子、近接場光発生素子を用いることで十分に記録媒体の加熱を行うことが可能な熱アシスト磁気ヘッド並びにヘッドジンバルアセンブリ、及び加熱効率を上げることで高密度の書き込みを可能とするハードディスク装置を提供する。
【解決手段】 先端部8ATと第1誘電体8Bとの間には、第2誘電体8Cが介在している。金属体8Aが媒体対向面を除いて完全にコア4内に埋め込まれている場合には、第2誘電体8Cはコア4内に埋め込まれている。第1誘電体8Bの屈折率n1は、第2誘電体8Cの屈折率n2よりも高い。
【解決手段】 先端部8ATと第1誘電体8Bとの間には、第2誘電体8Cが介在している。金属体8Aが媒体対向面を除いて完全にコア4内に埋め込まれている場合には、第2誘電体8Cはコア4内に埋め込まれている。第1誘電体8Bの屈折率n1は、第2誘電体8Cの屈折率n2よりも高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録方式により信号の書き込みを行う熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びこのHGAを備えたハードディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、磁気抵抗(MR)効果素子等の磁気検出素子と電磁コイル素子等の磁気記録素子とを積層した構造である複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられており、これらの素子によって磁気記録媒体である磁気ディスクにデータ信号が読み書きされる。
【0003】
一般に、磁気記録媒体は、いわば磁性微粒子が集合した不連続体であり、それぞれの磁性微粒子は単磁区構造となっている。ここで、1つの記録ビットは、複数の磁性微粒子から構成されている。従って、記録密度を高めるためには、磁性微粒子を小さくして、記録ビットの境界の凹凸を減少させなければならない。しかし、磁性微粒子を小さくすると、体積減少に伴う磁化の熱安定性の低下が問題となる。
【0004】
磁化の熱安定性の目安は、KUV/kBTで与えられる。ここで、KUは磁性微粒子の磁気異方性エネルギー、Vは1つの磁性微粒子の体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度である。磁性微粒子を小さくするということは、まさにVを小さくすることであり、そのままではKUV/kBTが小さくなって熱安定性が損なわれる。この問題への対策として、同時にKUを大きくすることが考えられるが、このKUの増加は、記録媒体の保磁力の増加をもたらす。これに対して、磁気ヘッドによる書き込み磁界強度は、ヘッド内の磁極を構成する軟磁性材料の飽和磁束密度でほぼ決定されてしまう。従って、保磁力が、この書き込み磁界強度の限界から決まる許容値を超えると書き込みが不可能となってしまう。
【0005】
このような磁化の熱安定性の問題を解決する方法として、KUの大きな磁性材料を用いる一方で、書き込み磁界印加の直前に記録媒体に熱を加えることによって、保磁力を小さくして書き込みを行う、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この方式は、磁気ドミネント記録方式と光ドミネント記録方式とに大別される。磁気ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は電磁コイル素子であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)に比べて大きくなっている。一方、光ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は光放射部であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)とほぼ同じとなっている。すなわち、磁気ドミネント記録方式は、空間分解能を磁界に持たせているのに対し、光ドミネント記録方式は、空間分解能を光に持たせている。
【0006】
このような熱アシスト磁気ヘッド記録装置として、特許文献1及び2及び非特許文献1には、媒体対向面に導電性の板状の近接場光発生部を配置し、これに対して媒体側とは反対の側から光を照射することにより近接場光を発生させる熱アシスト磁気ヘッドが開示されている。近接場光発生部の一端には尖った先端部が形成されており、近接場光は主としてこの先端部から放射される。なお、特許文献1の図3では、近接場光発生部としての金属膜の隣に別の金属膜を配置している。
【特許文献1】特開2001−255254号公報
【特許文献2】特開2003−114184号公報
【非特許文献1】T. Matsumoto et al., Near−Field Optical Probe with A Beaked MetallicPlate for Thermally Assisted magnetic Recording, pp. 6−7, MORIS2006 WORKSHOP TechnicalDigest, June 6−8, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の熱アシスト磁気ヘッドにおいては、近接場光の発光強度が十分ではなく、更なる改善が期待されている。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高い発光強度が得られる近接場光発生素子、近接場光発生素子を用いることで十分に記録媒体の加熱を行うことが可能な熱アシスト磁気ヘッド並びにヘッドジンバルアセンブリ、及び加熱効率を上げることで高密度の書き込みを可能とするハードディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明に係る近接場光発生素子は、光の入射に応答して近接場光を発生する近接場光発生素子において、先端部を有する金属体と、金属体の先端部の突出方向の延長線上に離隔して配置された第1誘電体と、先端部と第1誘電体との間に介在する第2誘電体とを備え、第1誘電体の屈折率は、第2誘電体の屈折率よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
金属体に光が入射すると金属原子が入射光に応じて共鳴し、先端部から近接場光が発生する。金属体の突出方向に単に第1誘電体が位置すると、周囲が空気の場合よりも光強度が低下する場合があるが、先端部と第1誘電体との間に低屈折率の第2誘電体を介在させると光強度が通常よりも増加する現象が観察された。
【0011】
特に、先端部と第1誘電体との間の最短距離が、1nm以上100nm以下に設定されることで、光強度の十分な増加を達成することができる。
【0012】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、上記近接場光発生素子と、光が入力される光入射面と、金属体が形成された光出射面を有するコアと、コアの周囲に形成されたクラッドと、光の入射に応答して近接場光発生素子によって加熱される磁気記録領域に磁界を与える磁気記録素子とを備えることを特徴とする。
【0013】
コアの光入射面から入射した光は、光出射面に設けられた近接場光発生素子に照射される。上述の近接場光発生素子は、光の入射に応じて高強度の近接場光を発生するので十分に記録媒体の加熱を行うことできる。
【0014】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、上述の熱アシスト磁気ヘッドと、熱アシスト磁気ヘッドが取り付けられたサスペンションとを備えている。本ヘッドジンバルアセンブリにおいては、熱アシスト磁気ヘッドが、高強度の近接場光を発生するので、これをハードディスク装置に組み込んだ場合には、高密度の光を発生することができる。
【0015】
また、本発明に係るハードディスク装置は、上述のヘッドジンバルアセンブリと、近接場光発生素子に対向する磁気記録媒体とを備える。上述のハードディスク装置によれば、ヘッドジンバルアセンブリの熱アシスト磁気ヘッドによる加熱効率が上がるため、保持力の高い磁性微粒子を磁気記録媒体に用いることができ、したがって、高密度の書き込みをすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の近接場光発生素子によれば、高い発光強度が得られ、したがって、この近接場光発生素子を搭載した熱アシストヘッド及びヘッドジンバルアセンブリによれば、十分に記録媒体の加熱を行うことでき、ハードディスク装置によれば、高密度の書き込みを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施の形態に係る近接場光発生素子、熱アシスト磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置について説明する。同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【0019】
ハードディスク装置100は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源であるレーザダイオードを制御するための記録再生及び発光制御回路(制御回路)13を備えている。
【0020】
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして揺動可能であり、この軸16に沿った方向に積層されている。各駆動アーム14の先端部には、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。
【0021】
図2は、HGA17の斜視図である。同図は、HGA17の媒体対向面Sを上にして示してある。
【0022】
HGA17は、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
【0023】
なお、HGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
【0024】
図3は、図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【0025】
サスペンション20の先端部に熱アシスト磁気ヘッド21が取り付けられている。熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダー1と光源ユニット2とを貼りあわせてなる。スライダー1は、スライダー基板1AのYZ平面上に形成された磁気ヘッド部1Bを備えている。磁気ヘッド部1Bの−Z方向のXY平面は媒体対向面Sを成している。一方、光源ユニット2は、光源支持基板2AのYZ平面上に絶縁層2Bを備えており、絶縁層2BのYZ平面上に発光素子3が固定されている。
【0026】
磁気ヘッド部1Bは、絶縁体内埋設された複数の素子を備えている。これらの素子は、電流の供給によって磁界を発生する螺旋状のコイル5と、コイル5において発生した磁束を媒体対向面Sまで導くようにコイル中心から延びた主磁極6と、媒体対向面S上に露出した磁気感応面を有する磁気抵抗効果素子(MR素子)7と、周囲の絶縁体をクラッドとしてZ軸方向に沿って延びる導波路のコア4である。
【0027】
なお、主磁極6は媒体対向面S上に露出しているが、主磁極6は磁気ディスク10の表面にある記録領域Rに磁界を与えることができる位置であれば、媒体対向面S上に露出している必要はない。また、主磁極6の近傍には必要に応じて副磁極が設けられ、主磁極6からの磁力線が記録領域Rを介して副磁極に流れるようにしてもよい。
【0028】
コア4は、発光素子3からの光が入射する光入射面4AをZ軸の正方向のXY平面上に有しており、負方向のXY平面、すなわち媒体対向面S上に光出射面4Bを備えている。発光素子3は、本例では端面発光型のレーザダイオードであり、XY平面に平行な端面から出射されたレーザ光は、光入射面4Aを介してコア4内に入り、光出射面4B上に形成された近接場光発生素子8に照射される。
【0029】
近接場光発生素子8は、入射光に共鳴して近接場光を発生し、この近接場光によって記録領域Rが加熱される。加熱された記録領域Rに主磁極6からの磁力線が入ると、記録領域Rに情報が書き込まれる。
【0030】
磁気ヘッド部1BのX軸の負方向のYZ平面上には、複数の電極パッドからなる電極パッド群G1が形成されている。それぞれの電極パッドは、コイル5の両端、MR素子7の上下の電極に接続されている。MR素子7は、磁化の向きが固定された固定層と、周辺の磁界に応じて磁化の向きが偏向するフリー層を積層してなり、フリー層と固定層の磁化の向きの相違に応じて、磁気抵抗が変化する。すなわち、記録領域Rの周囲に発生する磁界に感応して、MR素子7の磁気抵抗が変化し、電極パッド群G1の中の一対の電極パッド間を流れる電流が変化する。なお、フリー層のY軸方向両端にはハードマグネットが配置されている。
【0031】
書き込み時には、電極パッド群G1の中の別の一対の電極パッド間に電流を流し、コイル5の両端間を電流が流れるようにする。なお、磁気記録素子は垂直磁気記録型のものが好ましい。電極パッド群G1内の電極パッドは、サスペンション20上に形成された第2の電極パッド群G2に電気的に接続され、配線部材203を介して外部に接続されている。なお、配線部材203に接続される第2の電極パッド群G2には、発光素子3に駆動電流を供給するための一対の電極パッドも含まれており、この電極パッド間に駆動電流を流すことで、発光素子3は発光する。
【0032】
なお、コア4の形状としては様々ものが挙げられるが、本例ではZ軸に沿って直線的に延びている。なお、説明の明確化のため、コア4は発光素子3からの光の光路と同一符号で示している。
【0033】
スライダー基板1A及び光源支持基板2Aは、例えばアルティック(Al2O3−TiC)から構成されている。これらの基板1A,2Aに熱伝導性が高い基板を使用した場合には、基板が放熱機能を有することになる。光源支持基板2AのZ軸の正方向側のXY面は、サスペンション20の裏面に貼り付けられている。
【0034】
磁気ヘッド部1BはMR素子7、クラッド、コア4、コイル5及び主磁極6をX軸に沿って積層してなるが、この積層方向はトラック内の記録領域Rの配列方向に沿っており、トラック幅はY軸に平行である。
【0035】
図4は、近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【0036】
近接場光発生素子8は、寸法が500nm以下の近接場光発生部(プラズモン・プローブ)としての金属体8Aと、金属体8Aに近接した誘電体8Bを備えている。金属体8Aの媒体対向面S側の表面は露出している。
【0037】
発光素子3からの光が金属体8Aに照射されることで近接場光が発生する。金属体8Aに光を照射すると、金属体8Aを構成する金属内の電子がプラズマ振動し、その先端部において電界の集中が生じる。この近接場光の拡がりQは、金属体8Aの先端部8ATの半径程度となるため、この先端部8ATの半径rをトラック幅以下とすれば、擬似的に出射光が回折限界以下にまで絞り込まれた効果を奏する。なお、説明の便宜上、各要素の寸法は実際のものとは異なって記載されている。
【0038】
また、金属体8Aは、主磁極6に近い方に位置する先端部8ATと、主磁極6から遠い方に位置する基端部分8ABとからなり、近接場光は金属体8Aの先端部8ATに集中して発生する。これらの位置は逆であってもよい。
【0039】
先端部8ATと第1誘電体8Bとの間には、第2誘電体8Cが介在している。金属体8Aが媒体対向面を除いて完全にコア4内に埋め込まれている場合には、第2誘電体8Cはコア4内に埋め込まれている。第1誘電体8Bの屈折率n1は、第2誘電体8Cの屈折率n2よりも高い。金属体8Aの側面が若干露出している場合には、第2誘電体8Cは磁気ヘッド部周囲の気体となる。この気体としては、空気が挙げられるが、窒素や希ガスなどが含まれている場合もある。
【0040】
以上のように、上述の近接場光発生素子8は、光の入射に応答して近接場光を発生する近接場光発生素子において、先端部8ATを有する金属体8Aと、金属体8Aの先端部8ATの突出方向(X軸負方向)の延長線上に離隔して配置された第1誘電体8Bと、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間に介在する第2誘電体8Cとを備え、第1誘電体8Bの屈折率n1は、第2誘電体8Cの屈折率n2よりも大きい。
【0041】
金属体8Aに光が入射すると金属原子が入射光に応じて共鳴し、先端部8ATから近接場光が発生する。金属体8Aの突出方向に単に第1誘電体8Bが位置すると、周囲が空気(気体)の場合よりも光強度が低下する場合があるが、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間に低屈折率の第2誘電体8Cを介在させると、光強度が通常よりも増加する現象が観察された。
【0042】
なお、第1誘電体8BのX軸方向の寸法X1、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間の離隔距離(第2誘電体8CのX軸方向厚み)X2、金属体8AのX軸方向の寸法X3、第1誘電体8BのY軸方向の寸法Y1、金属体8Aの寸法Y3、第1誘電体8Bの厚みZ1、金属体8Aの厚みZ3の好適範囲は以下の通りであり、この場合には十分な近接場光を発生することができる。
(好適な寸法の範囲)
X1:5nm以上300nm以下
X2:1nm以上100nm以下
X3:10nm以上300nm以下
Y1:10nm以上500nm以下
Y3:10nm以上500nm以下
Z1:10nm以上100nm以下
Z3:10nm以上100nm以下
【0043】
特に、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間の最短距離X2が、1nm以上100nm以下に設定されることで、光強度の十分な増加を達成することができる。
【0044】
金属体8Aは均一な材料からなることとしてもよいが、異なる材料からなる複数の金属領域8A1,8A2から構成されることともよい。本例では、金属体8Aは、先端部8ATを含む第1金属領域8A1と、基端部8ABを含む第2金属領域8A2とから構成されていることとする。第1金属領域8A1の材料(a)及び第2金属領域8A2の材料(b)に採用できる材料の組み合わせ(a,b)は、以下の組み合わせ群から選択することができる。
【0045】
材料の組み合わせ(a,b)=(Ag,Al)、(Au,Al)、(Au,Ru)、(Au,Pt)、(AuCu,Pt)、(AuCu,In)、(AuCu,Al)、(AuCu,Pd)、(Au,Pd)、(Au,In)、(Au,Rh)、(AuCu,Rh)、(Ag,In)、(Ag,Rh)、(Ag,Ru)、(Ag,Pt)、(Al,Rh)、(Al,Ru)、(Al,Pt)。
【0046】
また、第1誘電体8Bの材料としては以下のものを採用することができる。但し、括弧内は、材料の可視光に対する屈折率n1を示す。
・SiO2(n1=1.5)
・TiO2(n1=3.0)
・Ta2O5(n1=2.2)
・HfO(n1=1.96)
【0047】
第2誘電体8Cの材料としては、固体又は気体を採用することができる。
【0048】
図5は、図4における先端部近傍のV−V矢印断面図であり、第2誘電体8Cが固体の場合を示す。本例の場合、離隔距離X2は、第2誘電体8Cの厚みに相当している。
【0049】
この場合、第2誘電体8Cの材料としては、以下のものを採用することができる。但し、括弧内は、材料の可視光に対する屈折率n1を示す。
・空気(n2=1.0)
・SiO2(n2=1.5)
・Al2O3(n2=1.6)
・MgO(n2=1.72)
【0050】
図6は、第2誘電体8Cが気体の場合における図4の先端部近傍のV−V矢印断面図である。本例の場合、離隔距離X2は、金属体8Aと第1誘電体8Bとの間には気体が充填されたギャップを示している。
【0051】
この場合、第2誘電体8Cの材料としては、一例として以下のものを採用することができる。但し、括弧内は、材料の可視光に対する屈折率n1を示す。
・ 空気(n2=1)
・ 二酸化炭素(n2=1.0005)
【0052】
なお、上述のように選択された材料は、n1>n2の関係を満たす。
【0053】
図7は、金属体8Aへの入射光の波長と近接場光の光強度(a.u.)の関係示すグラフである。
【0054】
入射光の波長700nmにおいて、最も高い光強度を示すデータは*C、最も低い光強度を示すデータは*B、中間の光強度を示すデータは*Aである。
【0055】
これらのデータの条件は以下の通りである。
(1)共通条件
・金属体8Aの形状(図4に示した三角形)
・各要素の寸法
X1:100nm
X2:3nm
X3:100nm
Y1:117nm
Y3:117nm
Z1:30nm
Z3:30nm
・金属体8Aの材料(a,b)=(Ag,Al)
・AgのX方向長50nm
・AlのX方向長50nm
・入射光の波長:400nm〜800nm
・第2誘電体8Cの屈折率n2=1.5
・第2誘電体8Cの材料=SiO2
(2)データごとの条件
・第1誘電体8Bの屈折率
*A:n1=1.5(第1誘電体なし)
・第1誘電体8Bの材料=第2誘電体8Cの材料
*B:n1=1.0
・第1誘電体8Bの材料=Air(材料なし)
*C:n1=2.1
・第1誘電体8Bの材料=Ta2O5
【0056】
以上のグラフから、n1>n2の条件を満たす場合(=*C)、波長700nmにおいて光強度4500(a.u.)以上が得られている。単純に、屈折率の低い第1誘電体8Bのみを配置した場合(=*B)、何も配置しない場合(=*A)よりも光強度が低下している。n1>n2の条件を満たす場合、入射光波長600nm〜800nmの範囲において、常に光強度が高くなっている。
【0057】
グラフを詳細に検討すると、共鳴波長は700nm付近に存在し、プラズモンピーク付近で鏡映効果が観察される。この結果から、プラズモンが強く現れる波長領域で第1誘電体8Bの屈折率(∝誘電率)n1が周囲に存在する第2誘電体8Cの屈折率n2より低い場合には、第1誘電体8Bが存在しない場合よりも、光強度は低くなることが分かる。また、プラズモンが強く現れる波長領域で第1誘電体8Bの屈折率n1が周囲に存在する第2誘電体8Cの屈折率n2より高い場合には、第1誘電体8Bが存在しない場合よりも、光強度は高くなることが分かる。
【0058】
図8〜図13は、共鳴ピーク波長における近接場光の入射光に対する波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【0059】
入射光の波長から数十nmほどシフトした位置に近接場光の強度ピークが現れる。各図のグラフの条件及び結果は、以下の通りである。なお、記載しない条件は上記条件と同一である。
(図8のグラフ:n1=n2:X2=5nm)
・n1=1.5(第1誘電体なし:材料=第2誘電体と同一)
・n2=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・結果:ピークの光強度=1.1×103(V/m)2
(図9のグラフ:n1>n2:X2=5nm)
・n1=2.2(材料=Ta2O5)
・n2=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・結果:ピークの光強度=1.2×103(V/m)2
(図10のグラフ:n1<n2:X2=5nm)
・n1=1.0(材料=空気(材料なし))
・n2=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・結果:ピークの光強度=1.0×103(V/m)2
(図11のグラフ:n1=n2:X2=5nm)
・n1=2.2(第1誘電体なし:材料=第2誘電体と同一)
・n2=2.2(材料=Ta2O5)
・結果:ピークの光強度=6.5×102(V/m)2
(図12のグラフ:n1>n2:X2=5nm)
・n1=3.0(材料=TiO2)
・n2=2.2(材料=Ta2O5)
・結果:ピークの光強度=8.0×102(V/m)2
(図13のグラフ:n1<n2:X2=5nm)
・n1=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・n2=2.2(材料=Ta2O5)
・結果:ピークの光強度=5.5×102(V/m)2
【0060】
以上のように、いずれの場合においても、n1>n2の条件を満たす場合、高い光強度が得られている。
【0061】
次に、上述の近接場光発生素子8の製造方法について図14及び図15を用いて説明する。なお、図14の(a−1)、(b−1)、(c−1)、(d−1)、(e−1)、(f−1)は中間体のXY断面図であり、(a−2)、(b−2)、(c−2)、(d−2)、(e−2)、(f−2)は中間体の斜視図である。また、図15の(a−1)、(b−1)、(c−1)、(d−1)、(e−1)は中間体のXY断面図であり、(a−2)、(b−2)、(c−2)、(d−2)、(e−2)は中間体の斜視図である。各層の堆積にはスパッタ法を用いる。
【0062】
まず、図14(a−1),(a−2)に示すように、下部クラッドとなる第1層(Al2O3)L1上に、第1のコアとなる第2層(TaOx)L2、金属体8Aとなる第3層(Au)L3及び第4層(AuCu)L4を順次堆積する。なお、金属体8Aの堆積にはメッキ法を用いてもよい。
【0063】
次に、図14(b−1),(b−2)に示すように、露出した第4層L4の上面にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によってパターニングすることで、Z軸に沿って延びたレジストパターンRPを形成する。レジストパターンRPは根元が幅方向に沿って抉られた形状を有しており、所謂アンダーカットが形成されている。
【0064】
次に、図14(c−1),(c−2)に示すように、レジストパターンRPをマスクとして、第4層L4の表面から第2層L2が露出するまでイオンミリングを行い、レジストパターンRP直下の金属層を残して周辺の層を除去する。アンダーカットのレジストパターンRP直下の金属層は、これを構成する第3層L3及び第4層L4が基板表面に対して斜めから衝突するイオンによってエッチングされるため、断面が略三角形状に変化する。
【0065】
次に、図14(d−1),(d−2)に示すように、レジストパターンRPをマスクとして、第2層L2の表面上に第2のコアとなる第5層(TaOx)L5を堆積する。この堆積により、第3層L3及び第4層L4は、第5層L5内に埋設される。さらに、このレジストパターンRPを剥離する。
【0066】
次に、図14(e−1),(e−2)に示すように、基板表面上に新たなフォトレジストを塗布し、その媒体対向面側の領域が残留するレジストパターンRPを形成する。このレジストパターンRPをマスクとして、媒体対向面とは反対側の領域を第2層L2の表面が露出するまでイオンミリングして、媒体対向面とは反対側の第5層L5及び金属層を除去する。
【0067】
次に、図14(f−1),(f−2)に示すように、前工程のレジストパターンRPをマスクとして、第5層L5の除去によって露出した第2層L2の表面上に、第3のコアとなる第6層(TaOx)L6を堆積する。
【0068】
次に、図15(a−1),(a−2)に示すように、新たに形成された第6層L6上にのみ図示しないレジストパターンを形成し、これをマスクとして、媒体対向面側の領域に位置する第5層L5及び第4層L4上に第2誘電体層8Cとなる第7層L7及び第1誘電体層8Bとなる第8層L8を順次堆積する。
【0069】
次に、図15(b−1),(b−2)に示すように、第4のコアとなる第9層(TaOx)L9を基板の露出表面上に堆積する。
【0070】
次に、図15(c−1),(c−2)に示すように、金属層に沿ってZ軸に延びる図示しないレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、基板の表面から第1層L1の表面が露出するまでエッチングを行い、マスク周辺領域に存在する第9層L9、第8層L8、第7層L7、第6層L6、第5層L5、第2層L2を除去する。このエッチングにはRIE(反応性イオンエッチング)を用いる。RIE時のエッチングガスはCl2+BCl3である。
【0071】
次に、図15(d−1),(d−2)に示すように、上部クラッドとなる第10層(Al2O3)L10を露出した第1層L1の表面及び第9層L9の表面上に堆積する。
【0072】
次に、図15(e−1),(e−2)に示すように、金属層を構成する第3層L3及び第4層L4が所望のZ軸方向厚さになるまで、媒体対向面側から基板をラッピングして研磨する。これにより、近接場光発生素子を形成することができる。なお、図6のように金属体8Aと第1誘電体8Bの間の固体誘電体を除去する場合には、媒体対向面側から固体誘電体に対して選択的にドライエッチングが行われるようにイオンミリングを行うか、媒体対向面を化学機械研磨する際の研磨剤を適当に選択することによって、選択的に固体誘電体を除去すればよい。すなわち、固体誘電体の硬度は、周辺の金属体8A及び第1誘電体8Bよりも低く設定されている。
【0073】
図16は、金属体8Aの平面形状(XY平面形状)の変形例を示す平面図である。なお、図面上側の頂点が先端部8ATを示している。
【0074】
図16(1−1)の金属体8Aは三角形状であり、単一の材料からなる。
【0075】
図16(2−1)の金属体8Aは三角形の底辺を外側に膨らむ曲線8Rに変更した扇形状であり、単一の材料からなる。
【0076】
図16(3−1)の金属体8Aは三角形の底辺側の領域を長方形SQに変更した形状であり、単一の材料からなる。
【0077】
図16(4−1)の金属体8Aは長方形SQの一辺に連続する半円形SSの領域を備えた形状であり、単一の材料からなる。長方形SQから最も遠い位置が先端部8ATとなる。
【0078】
図16(1−2)は、図16(1−1)の金属体8Aの三角形の底辺と斜辺の成す角部Cを丸く加工したものである。
【0079】
図16(2−2)は、図16(2−1)の金属体8Aの底部曲線と斜辺の成す角部Cを丸く加工したものである。
【0080】
図16(3−2)は、図16(3−1)の長方形領域SQの角部Cを丸く加工したものである。
【0081】
図16(4−2)は、図16(3−1)の長方形領域SQの角部Cを丸く加工したものである。
【0082】
図16(1−3)の金属体8Aは、図16(1−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、上述のように先端部8AT側の第1金属領域8A1と基端部側の第2金属領域8A2からなる。
【0083】
図16(2−3)の金属体8Aは、図16(2−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、先端部8AT側の第1金属領域8A1と基端部側の第2金属領域8A2からなる。
【0084】
図16(3−3)の金属体8Aは、図16(3−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、三角形TAの第1金属領域8A1と長方形SQの第2金属領域8A2からなる。
【0085】
図16(4−3)の金属体8Aは、図16(4−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、半円形SSの第1金属領域8A1と長方形SQの第2金属領域8A2からなる。
【0086】
図16(5−3)の金属体8Aは、金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、三角形TAを第1金属領域8A1から構成し、三角形TAの底辺側の領域が長方形SQの第2金属領域8A2内に含まれるようにしたものである。
【0087】
図16(6−3)の金属体8Aは、金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、四角形SQ1を第1金属領域8A1から構成し、その1つの頂点を先端部8ATとし、先端部8ATとは反対側の領域が、長方形SQの第2金属領域8A2内に含まれるようにしたものである。
【0088】
図16(1−4)、(2−4)、(3−4)、(4−4)、(5−4)、(6−4)は、それぞれ、図16の(1−3)、(2−3)、(3−3)、(4−3)、(5−3)、(6−3)の第2金属領域8A2の角部Cを丸く加工したものである。
【0089】
上述のように、角部Cを丸く加工した場合、この角部Cに電界集中が生じにくくなるため、不要な発光が抑制される。なお、先端部8ATの曲率半径r(図4参照)は、角部Cの曲率半径よりも小さく設定される方が好ましい。
【0090】
図17は、曲率半径rを変えた場合の第1誘電体8BのX方向長X1と近接場光の光強度(a.u.)との関係を示すグラフである。入射光の波長は500nmである。
【0091】
データ*Dは曲率半径r=30nmの場合の光強度、データ*Eは曲率半径r=50nmの場合の光強度、データ*Fは曲率半径r=10nmの場合の光強度、データ*Gは曲率半径r=10nmの場合の光強度を示す。なお、*D,*E,*F,*Gは、X2=5nmの場合のデータを示す。
【0092】
なお、データ*GのX1を100nmにした構造が、図9のグラフであり、その他のデータ*D、*E、*Fは、n1=1.5,n2=1.0の構造のものである。
【0093】
同グラフから分かるように、先端部8ATの曲率半径rが小さくなるほど発光強度が高くなる傾向にある。また、第1誘電体8Bの長さX1が長くなるほど、発光強度が高くなる傾向にあるが、曲率半径rが10nmの場合(*F)には、X1=70nm〜140nmの範囲で光強度が低下している。光強度の一般的な増加傾向から判断すると、X方向の長さX1は25nm以上あることが好ましい。
【0094】
以上、説明したように、上述の熱アシスト磁気ヘッドは、高屈折率の第1誘電体8Bを備えた近接場光発生素子8と、光が入力される光入射面4Aと、金属体8Aが形成された光出射面4Bを有するコア4と、コア4の周囲に形成されたクラッド(第1層L1,第10層L10(図15参照)と、光の入射に応答して近接場光発生素子8によって加熱される磁気記録領域R(図4参照)に磁界を与える磁気記録素子(主磁極6、コイル5)とを備えている。コア4の光入射面4Aから入射した光は、光出射面4Bに設けられた近接場光発生素子8に照射される。近接場光発生素子8は、光の入射に応じて高強度の近接場光を発生するので十分に記録媒体(磁気ディスク10の記録領域R)の加熱を行うことできる。
【0095】
また、上述のHGA17は、上述の熱アシスト磁気ヘッド21と、熱アシスト磁気ヘッド21が取り付けられたサスペンション20とを備えている。HGA17においては、熱アシスト磁気ヘッド21が、高強度の近接場光を発生するので、これをハードディスク装置100に組み込んだ場合には、高密度の光を発生することができる。
【0096】
このハードディスク装置100は、HGA17と、近接場光発生素子8に対向する磁気記録媒体としての磁気ディスク10とを備えており、HGA17リの熱アシスト磁気ヘッド21による加熱効率が上がるため、保持力の高い磁性微粒子を磁気記録媒体に用いることができ、したがって、高密度の書き込みをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【図2】HGA17の斜視図である。
【図3】図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【図4】近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【図5】図4における先端部近傍のV−V矢印断面図であり
【図6】第2誘電体8Cが気体の場合における図4の先端部近傍のV−V矢印断面図である。
【図7】金属体8Aへの入射光の波長と近接場光の光強度(a.u.)の関係示すグラフである。
【図8】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図9】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図10】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図11】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図12】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図13】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図14】製造方法を説明するための図である。
【図15】製造方法を説明するための図である。
【図16】金属体8Aの平面形状の変形例を示す平面図である。
【図17】曲率半径rを変えた場合の第1誘電体8BのX方向長X1と近接場光の光強度(a.u.)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
1・・・スライダー、1A・・・スライダー基板、100・・・ハードディスク装置、1B・・・磁気ヘッド部、2・・・光源ユニット、2A・・・光源支持基板、2B・・・絶縁層、3・・・発光素子、4・・・コア、4B・・・光出射面、4A・・・光入射面、5・・・コイル、8A・・・・金属体、8・・・近接場光発生素子、8A1,8A2・・・金属領域、8AT・・・先端部、8B・・・誘電体、8C・・・誘電体、10・・・磁気ディスク、11・・・スピンドルモータ、12・・・アセンブリキャリッジ装置、14・・・各駆動アーム、14・・・駆動アーム、16・・・ピボットベアリング軸、20・・・サスペンション、21・・・熱アシスト磁気ヘッド、200・・・ロードビーム、201・・・フレクシャ、202・・・ベースプレート、203・・・配線部材、204・・・タング部、PR・・・レジストパターン、R・・・記録領域、r・・・曲率半径、S・・・媒体対向面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録方式により信号の書き込みを行う熱アシスト磁気ヘッド、この熱アシスト磁気ヘッドを備えたヘッドジンバルアセンブリ(HGA)及びこのHGAを備えたハードディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置の高記録密度化に伴い、薄膜磁気ヘッドのさらなる性能の向上が要求されている。薄膜磁気ヘッドとしては、磁気抵抗(MR)効果素子等の磁気検出素子と電磁コイル素子等の磁気記録素子とを積層した構造である複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられており、これらの素子によって磁気記録媒体である磁気ディスクにデータ信号が読み書きされる。
【0003】
一般に、磁気記録媒体は、いわば磁性微粒子が集合した不連続体であり、それぞれの磁性微粒子は単磁区構造となっている。ここで、1つの記録ビットは、複数の磁性微粒子から構成されている。従って、記録密度を高めるためには、磁性微粒子を小さくして、記録ビットの境界の凹凸を減少させなければならない。しかし、磁性微粒子を小さくすると、体積減少に伴う磁化の熱安定性の低下が問題となる。
【0004】
磁化の熱安定性の目安は、KUV/kBTで与えられる。ここで、KUは磁性微粒子の磁気異方性エネルギー、Vは1つの磁性微粒子の体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度である。磁性微粒子を小さくするということは、まさにVを小さくすることであり、そのままではKUV/kBTが小さくなって熱安定性が損なわれる。この問題への対策として、同時にKUを大きくすることが考えられるが、このKUの増加は、記録媒体の保磁力の増加をもたらす。これに対して、磁気ヘッドによる書き込み磁界強度は、ヘッド内の磁極を構成する軟磁性材料の飽和磁束密度でほぼ決定されてしまう。従って、保磁力が、この書き込み磁界強度の限界から決まる許容値を超えると書き込みが不可能となってしまう。
【0005】
このような磁化の熱安定性の問題を解決する方法として、KUの大きな磁性材料を用いる一方で、書き込み磁界印加の直前に記録媒体に熱を加えることによって、保磁力を小さくして書き込みを行う、いわゆる熱アシスト磁気記録方式が提案されている。この方式は、磁気ドミネント記録方式と光ドミネント記録方式とに大別される。磁気ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は電磁コイル素子であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)に比べて大きくなっている。一方、光ドミネント記録方式においては、書き込みの主体は光放射部であり、光の放射径はトラック幅(記録幅)とほぼ同じとなっている。すなわち、磁気ドミネント記録方式は、空間分解能を磁界に持たせているのに対し、光ドミネント記録方式は、空間分解能を光に持たせている。
【0006】
このような熱アシスト磁気ヘッド記録装置として、特許文献1及び2及び非特許文献1には、媒体対向面に導電性の板状の近接場光発生部を配置し、これに対して媒体側とは反対の側から光を照射することにより近接場光を発生させる熱アシスト磁気ヘッドが開示されている。近接場光発生部の一端には尖った先端部が形成されており、近接場光は主としてこの先端部から放射される。なお、特許文献1の図3では、近接場光発生部としての金属膜の隣に別の金属膜を配置している。
【特許文献1】特開2001−255254号公報
【特許文献2】特開2003−114184号公報
【非特許文献1】T. Matsumoto et al., Near−Field Optical Probe with A Beaked MetallicPlate for Thermally Assisted magnetic Recording, pp. 6−7, MORIS2006 WORKSHOP TechnicalDigest, June 6−8, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の熱アシスト磁気ヘッドにおいては、近接場光の発光強度が十分ではなく、更なる改善が期待されている。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高い発光強度が得られる近接場光発生素子、近接場光発生素子を用いることで十分に記録媒体の加熱を行うことが可能な熱アシスト磁気ヘッド並びにヘッドジンバルアセンブリ、及び加熱効率を上げることで高密度の書き込みを可能とするハードディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明に係る近接場光発生素子は、光の入射に応答して近接場光を発生する近接場光発生素子において、先端部を有する金属体と、金属体の先端部の突出方向の延長線上に離隔して配置された第1誘電体と、先端部と第1誘電体との間に介在する第2誘電体とを備え、第1誘電体の屈折率は、第2誘電体の屈折率よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
金属体に光が入射すると金属原子が入射光に応じて共鳴し、先端部から近接場光が発生する。金属体の突出方向に単に第1誘電体が位置すると、周囲が空気の場合よりも光強度が低下する場合があるが、先端部と第1誘電体との間に低屈折率の第2誘電体を介在させると光強度が通常よりも増加する現象が観察された。
【0011】
特に、先端部と第1誘電体との間の最短距離が、1nm以上100nm以下に設定されることで、光強度の十分な増加を達成することができる。
【0012】
また、本発明に係る熱アシスト磁気ヘッドは、上記近接場光発生素子と、光が入力される光入射面と、金属体が形成された光出射面を有するコアと、コアの周囲に形成されたクラッドと、光の入射に応答して近接場光発生素子によって加熱される磁気記録領域に磁界を与える磁気記録素子とを備えることを特徴とする。
【0013】
コアの光入射面から入射した光は、光出射面に設けられた近接場光発生素子に照射される。上述の近接場光発生素子は、光の入射に応じて高強度の近接場光を発生するので十分に記録媒体の加熱を行うことできる。
【0014】
また、本発明に係るヘッドジンバルアセンブリは、上述の熱アシスト磁気ヘッドと、熱アシスト磁気ヘッドが取り付けられたサスペンションとを備えている。本ヘッドジンバルアセンブリにおいては、熱アシスト磁気ヘッドが、高強度の近接場光を発生するので、これをハードディスク装置に組み込んだ場合には、高密度の光を発生することができる。
【0015】
また、本発明に係るハードディスク装置は、上述のヘッドジンバルアセンブリと、近接場光発生素子に対向する磁気記録媒体とを備える。上述のハードディスク装置によれば、ヘッドジンバルアセンブリの熱アシスト磁気ヘッドによる加熱効率が上がるため、保持力の高い磁性微粒子を磁気記録媒体に用いることができ、したがって、高密度の書き込みをすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の近接場光発生素子によれば、高い発光強度が得られ、したがって、この近接場光発生素子を搭載した熱アシストヘッド及びヘッドジンバルアセンブリによれば、十分に記録媒体の加熱を行うことでき、ハードディスク装置によれば、高密度の書き込みを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施の形態に係る近接場光発生素子、熱アシスト磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置について説明する。同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【0019】
ハードディスク装置100は、スピンドルモータ11の回転軸の回りを回転する複数の磁気記録媒体である磁気ディスク10、熱アシスト磁気ヘッド21をトラック上に位置決めするためのアセンブリキャリッジ装置12、この熱アシスト磁気ヘッド21の書き込み及び読み出し動作を制御し、さらに後に詳述する熱アシスト磁気記録用のレーザ光を発生させる光源であるレーザダイオードを制御するための記録再生及び発光制御回路(制御回路)13を備えている。
【0020】
アセンブリキャリッジ装置12には、複数の駆動アーム14が設けられている。これらの駆動アーム14は、ボイスコイルモータ(VCM)15によってピボットベアリング軸16を中心にして揺動可能であり、この軸16に沿った方向に積層されている。各駆動アーム14の先端部には、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)17が取り付けられている。各HGA17には、熱アシスト磁気ヘッド21が、各磁気ディスク10の表面に対向するように設けられている。磁気ディスク10の表面に対向する面が熱アシスト磁気ヘッド21の媒体対向面S(エアベアリング面とも呼ばれる)である。なお、磁気ディスク10、駆動アーム14、HGA17及び熱アシスト磁気ヘッド21は、単数であってもよい。
【0021】
図2は、HGA17の斜視図である。同図は、HGA17の媒体対向面Sを上にして示してある。
【0022】
HGA17は、サスペンション20の先端部に、熱アシスト磁気ヘッド21を固着し、さらにその熱アシスト磁気ヘッド21の端子電極に配線部材203の一端を電気的に接続して構成される。サスペンション20は、ロードビーム200と、このロードビーム200上に固着され支持された弾性を有するフレクシャ201と、フレックシャの先端に板ばね状に形成されたタング部204と、ロードビーム200の基部に設けられたベースプレート202と、フレクシャ201上に設けられておりリード導体及びその両端に電気的に接続された接続パッドからなる配線部材203とから主として構成されている。
【0023】
なお、HGA17におけるサスペンションの構造は、以上述べた構造に限定されるものではないことは明らかである。なお、図示されていないが、サスペンション20の途中にヘッド駆動用ICチップを装着してもよい。
【0024】
図3は、図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【0025】
サスペンション20の先端部に熱アシスト磁気ヘッド21が取り付けられている。熱アシスト磁気ヘッド21は、スライダー1と光源ユニット2とを貼りあわせてなる。スライダー1は、スライダー基板1AのYZ平面上に形成された磁気ヘッド部1Bを備えている。磁気ヘッド部1Bの−Z方向のXY平面は媒体対向面Sを成している。一方、光源ユニット2は、光源支持基板2AのYZ平面上に絶縁層2Bを備えており、絶縁層2BのYZ平面上に発光素子3が固定されている。
【0026】
磁気ヘッド部1Bは、絶縁体内埋設された複数の素子を備えている。これらの素子は、電流の供給によって磁界を発生する螺旋状のコイル5と、コイル5において発生した磁束を媒体対向面Sまで導くようにコイル中心から延びた主磁極6と、媒体対向面S上に露出した磁気感応面を有する磁気抵抗効果素子(MR素子)7と、周囲の絶縁体をクラッドとしてZ軸方向に沿って延びる導波路のコア4である。
【0027】
なお、主磁極6は媒体対向面S上に露出しているが、主磁極6は磁気ディスク10の表面にある記録領域Rに磁界を与えることができる位置であれば、媒体対向面S上に露出している必要はない。また、主磁極6の近傍には必要に応じて副磁極が設けられ、主磁極6からの磁力線が記録領域Rを介して副磁極に流れるようにしてもよい。
【0028】
コア4は、発光素子3からの光が入射する光入射面4AをZ軸の正方向のXY平面上に有しており、負方向のXY平面、すなわち媒体対向面S上に光出射面4Bを備えている。発光素子3は、本例では端面発光型のレーザダイオードであり、XY平面に平行な端面から出射されたレーザ光は、光入射面4Aを介してコア4内に入り、光出射面4B上に形成された近接場光発生素子8に照射される。
【0029】
近接場光発生素子8は、入射光に共鳴して近接場光を発生し、この近接場光によって記録領域Rが加熱される。加熱された記録領域Rに主磁極6からの磁力線が入ると、記録領域Rに情報が書き込まれる。
【0030】
磁気ヘッド部1BのX軸の負方向のYZ平面上には、複数の電極パッドからなる電極パッド群G1が形成されている。それぞれの電極パッドは、コイル5の両端、MR素子7の上下の電極に接続されている。MR素子7は、磁化の向きが固定された固定層と、周辺の磁界に応じて磁化の向きが偏向するフリー層を積層してなり、フリー層と固定層の磁化の向きの相違に応じて、磁気抵抗が変化する。すなわち、記録領域Rの周囲に発生する磁界に感応して、MR素子7の磁気抵抗が変化し、電極パッド群G1の中の一対の電極パッド間を流れる電流が変化する。なお、フリー層のY軸方向両端にはハードマグネットが配置されている。
【0031】
書き込み時には、電極パッド群G1の中の別の一対の電極パッド間に電流を流し、コイル5の両端間を電流が流れるようにする。なお、磁気記録素子は垂直磁気記録型のものが好ましい。電極パッド群G1内の電極パッドは、サスペンション20上に形成された第2の電極パッド群G2に電気的に接続され、配線部材203を介して外部に接続されている。なお、配線部材203に接続される第2の電極パッド群G2には、発光素子3に駆動電流を供給するための一対の電極パッドも含まれており、この電極パッド間に駆動電流を流すことで、発光素子3は発光する。
【0032】
なお、コア4の形状としては様々ものが挙げられるが、本例ではZ軸に沿って直線的に延びている。なお、説明の明確化のため、コア4は発光素子3からの光の光路と同一符号で示している。
【0033】
スライダー基板1A及び光源支持基板2Aは、例えばアルティック(Al2O3−TiC)から構成されている。これらの基板1A,2Aに熱伝導性が高い基板を使用した場合には、基板が放熱機能を有することになる。光源支持基板2AのZ軸の正方向側のXY面は、サスペンション20の裏面に貼り付けられている。
【0034】
磁気ヘッド部1BはMR素子7、クラッド、コア4、コイル5及び主磁極6をX軸に沿って積層してなるが、この積層方向はトラック内の記録領域Rの配列方向に沿っており、トラック幅はY軸に平行である。
【0035】
図4は、近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【0036】
近接場光発生素子8は、寸法が500nm以下の近接場光発生部(プラズモン・プローブ)としての金属体8Aと、金属体8Aに近接した誘電体8Bを備えている。金属体8Aの媒体対向面S側の表面は露出している。
【0037】
発光素子3からの光が金属体8Aに照射されることで近接場光が発生する。金属体8Aに光を照射すると、金属体8Aを構成する金属内の電子がプラズマ振動し、その先端部において電界の集中が生じる。この近接場光の拡がりQは、金属体8Aの先端部8ATの半径程度となるため、この先端部8ATの半径rをトラック幅以下とすれば、擬似的に出射光が回折限界以下にまで絞り込まれた効果を奏する。なお、説明の便宜上、各要素の寸法は実際のものとは異なって記載されている。
【0038】
また、金属体8Aは、主磁極6に近い方に位置する先端部8ATと、主磁極6から遠い方に位置する基端部分8ABとからなり、近接場光は金属体8Aの先端部8ATに集中して発生する。これらの位置は逆であってもよい。
【0039】
先端部8ATと第1誘電体8Bとの間には、第2誘電体8Cが介在している。金属体8Aが媒体対向面を除いて完全にコア4内に埋め込まれている場合には、第2誘電体8Cはコア4内に埋め込まれている。第1誘電体8Bの屈折率n1は、第2誘電体8Cの屈折率n2よりも高い。金属体8Aの側面が若干露出している場合には、第2誘電体8Cは磁気ヘッド部周囲の気体となる。この気体としては、空気が挙げられるが、窒素や希ガスなどが含まれている場合もある。
【0040】
以上のように、上述の近接場光発生素子8は、光の入射に応答して近接場光を発生する近接場光発生素子において、先端部8ATを有する金属体8Aと、金属体8Aの先端部8ATの突出方向(X軸負方向)の延長線上に離隔して配置された第1誘電体8Bと、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間に介在する第2誘電体8Cとを備え、第1誘電体8Bの屈折率n1は、第2誘電体8Cの屈折率n2よりも大きい。
【0041】
金属体8Aに光が入射すると金属原子が入射光に応じて共鳴し、先端部8ATから近接場光が発生する。金属体8Aの突出方向に単に第1誘電体8Bが位置すると、周囲が空気(気体)の場合よりも光強度が低下する場合があるが、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間に低屈折率の第2誘電体8Cを介在させると、光強度が通常よりも増加する現象が観察された。
【0042】
なお、第1誘電体8BのX軸方向の寸法X1、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間の離隔距離(第2誘電体8CのX軸方向厚み)X2、金属体8AのX軸方向の寸法X3、第1誘電体8BのY軸方向の寸法Y1、金属体8Aの寸法Y3、第1誘電体8Bの厚みZ1、金属体8Aの厚みZ3の好適範囲は以下の通りであり、この場合には十分な近接場光を発生することができる。
(好適な寸法の範囲)
X1:5nm以上300nm以下
X2:1nm以上100nm以下
X3:10nm以上300nm以下
Y1:10nm以上500nm以下
Y3:10nm以上500nm以下
Z1:10nm以上100nm以下
Z3:10nm以上100nm以下
【0043】
特に、先端部8ATと第1誘電体8Bとの間の最短距離X2が、1nm以上100nm以下に設定されることで、光強度の十分な増加を達成することができる。
【0044】
金属体8Aは均一な材料からなることとしてもよいが、異なる材料からなる複数の金属領域8A1,8A2から構成されることともよい。本例では、金属体8Aは、先端部8ATを含む第1金属領域8A1と、基端部8ABを含む第2金属領域8A2とから構成されていることとする。第1金属領域8A1の材料(a)及び第2金属領域8A2の材料(b)に採用できる材料の組み合わせ(a,b)は、以下の組み合わせ群から選択することができる。
【0045】
材料の組み合わせ(a,b)=(Ag,Al)、(Au,Al)、(Au,Ru)、(Au,Pt)、(AuCu,Pt)、(AuCu,In)、(AuCu,Al)、(AuCu,Pd)、(Au,Pd)、(Au,In)、(Au,Rh)、(AuCu,Rh)、(Ag,In)、(Ag,Rh)、(Ag,Ru)、(Ag,Pt)、(Al,Rh)、(Al,Ru)、(Al,Pt)。
【0046】
また、第1誘電体8Bの材料としては以下のものを採用することができる。但し、括弧内は、材料の可視光に対する屈折率n1を示す。
・SiO2(n1=1.5)
・TiO2(n1=3.0)
・Ta2O5(n1=2.2)
・HfO(n1=1.96)
【0047】
第2誘電体8Cの材料としては、固体又は気体を採用することができる。
【0048】
図5は、図4における先端部近傍のV−V矢印断面図であり、第2誘電体8Cが固体の場合を示す。本例の場合、離隔距離X2は、第2誘電体8Cの厚みに相当している。
【0049】
この場合、第2誘電体8Cの材料としては、以下のものを採用することができる。但し、括弧内は、材料の可視光に対する屈折率n1を示す。
・空気(n2=1.0)
・SiO2(n2=1.5)
・Al2O3(n2=1.6)
・MgO(n2=1.72)
【0050】
図6は、第2誘電体8Cが気体の場合における図4の先端部近傍のV−V矢印断面図である。本例の場合、離隔距離X2は、金属体8Aと第1誘電体8Bとの間には気体が充填されたギャップを示している。
【0051】
この場合、第2誘電体8Cの材料としては、一例として以下のものを採用することができる。但し、括弧内は、材料の可視光に対する屈折率n1を示す。
・ 空気(n2=1)
・ 二酸化炭素(n2=1.0005)
【0052】
なお、上述のように選択された材料は、n1>n2の関係を満たす。
【0053】
図7は、金属体8Aへの入射光の波長と近接場光の光強度(a.u.)の関係示すグラフである。
【0054】
入射光の波長700nmにおいて、最も高い光強度を示すデータは*C、最も低い光強度を示すデータは*B、中間の光強度を示すデータは*Aである。
【0055】
これらのデータの条件は以下の通りである。
(1)共通条件
・金属体8Aの形状(図4に示した三角形)
・各要素の寸法
X1:100nm
X2:3nm
X3:100nm
Y1:117nm
Y3:117nm
Z1:30nm
Z3:30nm
・金属体8Aの材料(a,b)=(Ag,Al)
・AgのX方向長50nm
・AlのX方向長50nm
・入射光の波長:400nm〜800nm
・第2誘電体8Cの屈折率n2=1.5
・第2誘電体8Cの材料=SiO2
(2)データごとの条件
・第1誘電体8Bの屈折率
*A:n1=1.5(第1誘電体なし)
・第1誘電体8Bの材料=第2誘電体8Cの材料
*B:n1=1.0
・第1誘電体8Bの材料=Air(材料なし)
*C:n1=2.1
・第1誘電体8Bの材料=Ta2O5
【0056】
以上のグラフから、n1>n2の条件を満たす場合(=*C)、波長700nmにおいて光強度4500(a.u.)以上が得られている。単純に、屈折率の低い第1誘電体8Bのみを配置した場合(=*B)、何も配置しない場合(=*A)よりも光強度が低下している。n1>n2の条件を満たす場合、入射光波長600nm〜800nmの範囲において、常に光強度が高くなっている。
【0057】
グラフを詳細に検討すると、共鳴波長は700nm付近に存在し、プラズモンピーク付近で鏡映効果が観察される。この結果から、プラズモンが強く現れる波長領域で第1誘電体8Bの屈折率(∝誘電率)n1が周囲に存在する第2誘電体8Cの屈折率n2より低い場合には、第1誘電体8Bが存在しない場合よりも、光強度は低くなることが分かる。また、プラズモンが強く現れる波長領域で第1誘電体8Bの屈折率n1が周囲に存在する第2誘電体8Cの屈折率n2より高い場合には、第1誘電体8Bが存在しない場合よりも、光強度は高くなることが分かる。
【0058】
図8〜図13は、共鳴ピーク波長における近接場光の入射光に対する波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【0059】
入射光の波長から数十nmほどシフトした位置に近接場光の強度ピークが現れる。各図のグラフの条件及び結果は、以下の通りである。なお、記載しない条件は上記条件と同一である。
(図8のグラフ:n1=n2:X2=5nm)
・n1=1.5(第1誘電体なし:材料=第2誘電体と同一)
・n2=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・結果:ピークの光強度=1.1×103(V/m)2
(図9のグラフ:n1>n2:X2=5nm)
・n1=2.2(材料=Ta2O5)
・n2=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・結果:ピークの光強度=1.2×103(V/m)2
(図10のグラフ:n1<n2:X2=5nm)
・n1=1.0(材料=空気(材料なし))
・n2=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・結果:ピークの光強度=1.0×103(V/m)2
(図11のグラフ:n1=n2:X2=5nm)
・n1=2.2(第1誘電体なし:材料=第2誘電体と同一)
・n2=2.2(材料=Ta2O5)
・結果:ピークの光強度=6.5×102(V/m)2
(図12のグラフ:n1>n2:X2=5nm)
・n1=3.0(材料=TiO2)
・n2=2.2(材料=Ta2O5)
・結果:ピークの光強度=8.0×102(V/m)2
(図13のグラフ:n1<n2:X2=5nm)
・n1=1.5(材料=SiO2 (不純物添加なし)
・n2=2.2(材料=Ta2O5)
・結果:ピークの光強度=5.5×102(V/m)2
【0060】
以上のように、いずれの場合においても、n1>n2の条件を満たす場合、高い光強度が得られている。
【0061】
次に、上述の近接場光発生素子8の製造方法について図14及び図15を用いて説明する。なお、図14の(a−1)、(b−1)、(c−1)、(d−1)、(e−1)、(f−1)は中間体のXY断面図であり、(a−2)、(b−2)、(c−2)、(d−2)、(e−2)、(f−2)は中間体の斜視図である。また、図15の(a−1)、(b−1)、(c−1)、(d−1)、(e−1)は中間体のXY断面図であり、(a−2)、(b−2)、(c−2)、(d−2)、(e−2)は中間体の斜視図である。各層の堆積にはスパッタ法を用いる。
【0062】
まず、図14(a−1),(a−2)に示すように、下部クラッドとなる第1層(Al2O3)L1上に、第1のコアとなる第2層(TaOx)L2、金属体8Aとなる第3層(Au)L3及び第4層(AuCu)L4を順次堆積する。なお、金属体8Aの堆積にはメッキ法を用いてもよい。
【0063】
次に、図14(b−1),(b−2)に示すように、露出した第4層L4の上面にフォトレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によってパターニングすることで、Z軸に沿って延びたレジストパターンRPを形成する。レジストパターンRPは根元が幅方向に沿って抉られた形状を有しており、所謂アンダーカットが形成されている。
【0064】
次に、図14(c−1),(c−2)に示すように、レジストパターンRPをマスクとして、第4層L4の表面から第2層L2が露出するまでイオンミリングを行い、レジストパターンRP直下の金属層を残して周辺の層を除去する。アンダーカットのレジストパターンRP直下の金属層は、これを構成する第3層L3及び第4層L4が基板表面に対して斜めから衝突するイオンによってエッチングされるため、断面が略三角形状に変化する。
【0065】
次に、図14(d−1),(d−2)に示すように、レジストパターンRPをマスクとして、第2層L2の表面上に第2のコアとなる第5層(TaOx)L5を堆積する。この堆積により、第3層L3及び第4層L4は、第5層L5内に埋設される。さらに、このレジストパターンRPを剥離する。
【0066】
次に、図14(e−1),(e−2)に示すように、基板表面上に新たなフォトレジストを塗布し、その媒体対向面側の領域が残留するレジストパターンRPを形成する。このレジストパターンRPをマスクとして、媒体対向面とは反対側の領域を第2層L2の表面が露出するまでイオンミリングして、媒体対向面とは反対側の第5層L5及び金属層を除去する。
【0067】
次に、図14(f−1),(f−2)に示すように、前工程のレジストパターンRPをマスクとして、第5層L5の除去によって露出した第2層L2の表面上に、第3のコアとなる第6層(TaOx)L6を堆積する。
【0068】
次に、図15(a−1),(a−2)に示すように、新たに形成された第6層L6上にのみ図示しないレジストパターンを形成し、これをマスクとして、媒体対向面側の領域に位置する第5層L5及び第4層L4上に第2誘電体層8Cとなる第7層L7及び第1誘電体層8Bとなる第8層L8を順次堆積する。
【0069】
次に、図15(b−1),(b−2)に示すように、第4のコアとなる第9層(TaOx)L9を基板の露出表面上に堆積する。
【0070】
次に、図15(c−1),(c−2)に示すように、金属層に沿ってZ軸に延びる図示しないレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして、基板の表面から第1層L1の表面が露出するまでエッチングを行い、マスク周辺領域に存在する第9層L9、第8層L8、第7層L7、第6層L6、第5層L5、第2層L2を除去する。このエッチングにはRIE(反応性イオンエッチング)を用いる。RIE時のエッチングガスはCl2+BCl3である。
【0071】
次に、図15(d−1),(d−2)に示すように、上部クラッドとなる第10層(Al2O3)L10を露出した第1層L1の表面及び第9層L9の表面上に堆積する。
【0072】
次に、図15(e−1),(e−2)に示すように、金属層を構成する第3層L3及び第4層L4が所望のZ軸方向厚さになるまで、媒体対向面側から基板をラッピングして研磨する。これにより、近接場光発生素子を形成することができる。なお、図6のように金属体8Aと第1誘電体8Bの間の固体誘電体を除去する場合には、媒体対向面側から固体誘電体に対して選択的にドライエッチングが行われるようにイオンミリングを行うか、媒体対向面を化学機械研磨する際の研磨剤を適当に選択することによって、選択的に固体誘電体を除去すればよい。すなわち、固体誘電体の硬度は、周辺の金属体8A及び第1誘電体8Bよりも低く設定されている。
【0073】
図16は、金属体8Aの平面形状(XY平面形状)の変形例を示す平面図である。なお、図面上側の頂点が先端部8ATを示している。
【0074】
図16(1−1)の金属体8Aは三角形状であり、単一の材料からなる。
【0075】
図16(2−1)の金属体8Aは三角形の底辺を外側に膨らむ曲線8Rに変更した扇形状であり、単一の材料からなる。
【0076】
図16(3−1)の金属体8Aは三角形の底辺側の領域を長方形SQに変更した形状であり、単一の材料からなる。
【0077】
図16(4−1)の金属体8Aは長方形SQの一辺に連続する半円形SSの領域を備えた形状であり、単一の材料からなる。長方形SQから最も遠い位置が先端部8ATとなる。
【0078】
図16(1−2)は、図16(1−1)の金属体8Aの三角形の底辺と斜辺の成す角部Cを丸く加工したものである。
【0079】
図16(2−2)は、図16(2−1)の金属体8Aの底部曲線と斜辺の成す角部Cを丸く加工したものである。
【0080】
図16(3−2)は、図16(3−1)の長方形領域SQの角部Cを丸く加工したものである。
【0081】
図16(4−2)は、図16(3−1)の長方形領域SQの角部Cを丸く加工したものである。
【0082】
図16(1−3)の金属体8Aは、図16(1−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、上述のように先端部8AT側の第1金属領域8A1と基端部側の第2金属領域8A2からなる。
【0083】
図16(2−3)の金属体8Aは、図16(2−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、先端部8AT側の第1金属領域8A1と基端部側の第2金属領域8A2からなる。
【0084】
図16(3−3)の金属体8Aは、図16(3−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、三角形TAの第1金属領域8A1と長方形SQの第2金属領域8A2からなる。
【0085】
図16(4−3)の金属体8Aは、図16(4−1)の金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、半円形SSの第1金属領域8A1と長方形SQの第2金属領域8A2からなる。
【0086】
図16(5−3)の金属体8Aは、金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、三角形TAを第1金属領域8A1から構成し、三角形TAの底辺側の領域が長方形SQの第2金属領域8A2内に含まれるようにしたものである。
【0087】
図16(6−3)の金属体8Aは、金属体8Aを二種類の材料から構成したものであり、四角形SQ1を第1金属領域8A1から構成し、その1つの頂点を先端部8ATとし、先端部8ATとは反対側の領域が、長方形SQの第2金属領域8A2内に含まれるようにしたものである。
【0088】
図16(1−4)、(2−4)、(3−4)、(4−4)、(5−4)、(6−4)は、それぞれ、図16の(1−3)、(2−3)、(3−3)、(4−3)、(5−3)、(6−3)の第2金属領域8A2の角部Cを丸く加工したものである。
【0089】
上述のように、角部Cを丸く加工した場合、この角部Cに電界集中が生じにくくなるため、不要な発光が抑制される。なお、先端部8ATの曲率半径r(図4参照)は、角部Cの曲率半径よりも小さく設定される方が好ましい。
【0090】
図17は、曲率半径rを変えた場合の第1誘電体8BのX方向長X1と近接場光の光強度(a.u.)との関係を示すグラフである。入射光の波長は500nmである。
【0091】
データ*Dは曲率半径r=30nmの場合の光強度、データ*Eは曲率半径r=50nmの場合の光強度、データ*Fは曲率半径r=10nmの場合の光強度、データ*Gは曲率半径r=10nmの場合の光強度を示す。なお、*D,*E,*F,*Gは、X2=5nmの場合のデータを示す。
【0092】
なお、データ*GのX1を100nmにした構造が、図9のグラフであり、その他のデータ*D、*E、*Fは、n1=1.5,n2=1.0の構造のものである。
【0093】
同グラフから分かるように、先端部8ATの曲率半径rが小さくなるほど発光強度が高くなる傾向にある。また、第1誘電体8Bの長さX1が長くなるほど、発光強度が高くなる傾向にあるが、曲率半径rが10nmの場合(*F)には、X1=70nm〜140nmの範囲で光強度が低下している。光強度の一般的な増加傾向から判断すると、X方向の長さX1は25nm以上あることが好ましい。
【0094】
以上、説明したように、上述の熱アシスト磁気ヘッドは、高屈折率の第1誘電体8Bを備えた近接場光発生素子8と、光が入力される光入射面4Aと、金属体8Aが形成された光出射面4Bを有するコア4と、コア4の周囲に形成されたクラッド(第1層L1,第10層L10(図15参照)と、光の入射に応答して近接場光発生素子8によって加熱される磁気記録領域R(図4参照)に磁界を与える磁気記録素子(主磁極6、コイル5)とを備えている。コア4の光入射面4Aから入射した光は、光出射面4Bに設けられた近接場光発生素子8に照射される。近接場光発生素子8は、光の入射に応じて高強度の近接場光を発生するので十分に記録媒体(磁気ディスク10の記録領域R)の加熱を行うことできる。
【0095】
また、上述のHGA17は、上述の熱アシスト磁気ヘッド21と、熱アシスト磁気ヘッド21が取り付けられたサスペンション20とを備えている。HGA17においては、熱アシスト磁気ヘッド21が、高強度の近接場光を発生するので、これをハードディスク装置100に組み込んだ場合には、高密度の光を発生することができる。
【0096】
このハードディスク装置100は、HGA17と、近接場光発生素子8に対向する磁気記録媒体としての磁気ディスク10とを備えており、HGA17リの熱アシスト磁気ヘッド21による加熱効率が上がるため、保持力の高い磁性微粒子を磁気記録媒体に用いることができ、したがって、高密度の書き込みをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】実施の形態に係るハードディスク装置の斜視図である。
【図2】HGA17の斜視図である。
【図3】図1に示した熱アシスト磁気ヘッド21の近傍の拡大斜視図である。
【図4】近接場光発生素子8の近傍の斜視図である。
【図5】図4における先端部近傍のV−V矢印断面図であり
【図6】第2誘電体8Cが気体の場合における図4の先端部近傍のV−V矢印断面図である。
【図7】金属体8Aへの入射光の波長と近接場光の光強度(a.u.)の関係示すグラフである。
【図8】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図9】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図10】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図11】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図12】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図13】波長変位(nm)と光強度の関係を示すグラフである。
【図14】製造方法を説明するための図である。
【図15】製造方法を説明するための図である。
【図16】金属体8Aの平面形状の変形例を示す平面図である。
【図17】曲率半径rを変えた場合の第1誘電体8BのX方向長X1と近接場光の光強度(a.u.)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
1・・・スライダー、1A・・・スライダー基板、100・・・ハードディスク装置、1B・・・磁気ヘッド部、2・・・光源ユニット、2A・・・光源支持基板、2B・・・絶縁層、3・・・発光素子、4・・・コア、4B・・・光出射面、4A・・・光入射面、5・・・コイル、8A・・・・金属体、8・・・近接場光発生素子、8A1,8A2・・・金属領域、8AT・・・先端部、8B・・・誘電体、8C・・・誘電体、10・・・磁気ディスク、11・・・スピンドルモータ、12・・・アセンブリキャリッジ装置、14・・・各駆動アーム、14・・・駆動アーム、16・・・ピボットベアリング軸、20・・・サスペンション、21・・・熱アシスト磁気ヘッド、200・・・ロードビーム、201・・・フレクシャ、202・・・ベースプレート、203・・・配線部材、204・・・タング部、PR・・・レジストパターン、R・・・記録領域、r・・・曲率半径、S・・・媒体対向面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の入射に応答して近接場光を発生する近接場光発生素子において、
先端部を有する金属体と、
前記金属体の前記先端部の突出方向の延長線上に離隔して配置された第1誘電体と、
前記先端部と前記第1誘電体との間に介在する第2誘電体と、
を備え、
前記第1誘電体の屈折率は、前記第2誘電体の屈折率よりも大きいことを特徴とする近接場光発生素子。
【請求項2】
前記先端部と前記第1誘電体との間の最短距離は、1nm以上100nm以下に設定されることを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の近接場光発生素子と、
光が入力される光入射面と、前記金属体が形成された光出射面を有するコアと、
前記コアの周囲に形成されたクラッドと、
光の入射に応答して前記近接場光発生素子によって加熱される磁気記録領域に磁界を与える磁気記録素子と、
を備えることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の熱アシスト磁気ヘッドと、
前記熱アシスト磁気ヘッドが取り付けられたサスペンションと、
を備えることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のヘッドジンバルアセンブリと、
前記近接場光発生素子に対向する磁気記録媒体と、
を備えることを特徴とするハードディスク装置。
【請求項1】
光の入射に応答して近接場光を発生する近接場光発生素子において、
先端部を有する金属体と、
前記金属体の前記先端部の突出方向の延長線上に離隔して配置された第1誘電体と、
前記先端部と前記第1誘電体との間に介在する第2誘電体と、
を備え、
前記第1誘電体の屈折率は、前記第2誘電体の屈折率よりも大きいことを特徴とする近接場光発生素子。
【請求項2】
前記先端部と前記第1誘電体との間の最短距離は、1nm以上100nm以下に設定されることを特徴とする請求項1に記載の近接場光発生素子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の近接場光発生素子と、
光が入力される光入射面と、前記金属体が形成された光出射面を有するコアと、
前記コアの周囲に形成されたクラッドと、
光の入射に応答して前記近接場光発生素子によって加熱される磁気記録領域に磁界を与える磁気記録素子と、
を備えることを特徴とする熱アシスト磁気ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の熱アシスト磁気ヘッドと、
前記熱アシスト磁気ヘッドが取り付けられたサスペンションと、
を備えることを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のヘッドジンバルアセンブリと、
前記近接場光発生素子に対向する磁気記録媒体と、
を備えることを特徴とするハードディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−257819(P2008−257819A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101041(P2007−101041)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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