説明

熱ローラ用温度センサー

【課題】 傾斜する温度検出素子挿入穴を形成した熱ローラ本体への温度検出素子の挿入および温度検出素子に接続されたリード線の回転駆動軸内への挿通が簡単に行えるようにすること。
【解決手段】 ローラ本体1の傾斜した温度検出素子挿入穴13に挿入する傾斜部18aと傾斜部18aに連接するローラ本体1の軸心方向にU字状に折り曲げた折曲部18bとU字状の折曲部18bに連接し前記回転駆動軸2内を挿通する直線部18cを備えた鋼管18内に、温度検出素子と温度検出素子に接続したリード線とを、傾斜部18aの先端位置に配置して挿入して温度センサーを構成し、U字状の折曲部18bの弾性力に抗して挟圧変形し、ローラ本体1の温度検出素子挿入穴13と回転駆動軸2の挿通孔2aに押し込む

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱ローラ用温度センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
回転駆動軸に固定され、表面に被処理物を当接して加熱あるいは奪熱などの熱処理する内部に熱源を装備した熱ローラ装置は周知である。図3は熱源を誘導発熱機構とした熱ローラ装置の一例の構成を示すもので、1はローラ本体で、これに回転駆動軸2が連結されており、軸受ケース3の軸受4によって回転自在に支持されている。軸受ケース3には固定盤5がねじ6によって固定されており、固定盤5はローラ本体1の開口面にこれを覆うように相対して配置されている。
【0003】
固定盤5にはローラ本体1と同軸の誘導コイル7などからなる磁束発生機構8が支持されている。なお、鉄心を使用する場合にはその鉄心を固定盤5に固定すれば良い。誘導コイル7を交流電流で励磁すれと、ローラ本体1の周壁に電流が誘起して発熱する。
【0004】
ローラ本体1の周壁10の内部に複数のジャケット室11が設けられており、その各ジャケット室11の内部に気液二相の熱媒が封入されている。各ジャケット室11はローラ本体1の軸心方向に沿って延び、その両端部において連通する連通溝12が周壁10の内部に形成され、その連通溝12はローラ本体1の円周方向に沿っている。
【0005】
そして、図4に示すようにローラ本体1の端部には、ローラ本体1の端面から連通溝12の下方を通り、隣り合うジャケット室11の間に到達する傾斜した温度検出素子挿入穴13が形成され、その温度検出素子挿入穴13にリード線17に接続した温度検出素子16が挿入され、リード線17はローラ本体1の端面から導出されている。
【特許文献1】特開2000−36378号公報
【0006】
従来、ローラ本体1の端面から導出したリード線17は、ローラ本体1の端面に固定した後、回転駆動軸2内を挿通し、回転駆動軸2に取り付けた例えば回転変成機の回転側の1次コイルに接続し、回転変成機の固定側の2次コイルから温度検出信号を導出している。
【0007】
以上のように温度検出素子16にリード線17のみを接続した温度センサーでは、傾斜した温度検出素子挿入穴13への挿入は容易であるが、回転駆動軸2内を挿通することがきわめて不便であり、温度センサーの装着に多くの手間を要するといった問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、温度検出素子とこの素子に接続したリード線とを、温度検出素子挿入穴に挿入する傾斜部と回転軸内を挿通する直線部とを備えた鋼管内に挿入して温度センサーを構成し、温度検出素子挿入穴への挿入と回転軸駆動内への挿入を一度の手間で可能にし、斯かる問題を解消する点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、回転駆動軸と、前記回転駆動軸に固定され端面から表面に向けて傾斜する温度検出素子挿入穴を形成した熱ローラ本体とを有し、前記回転軸内を挿通するリード線に接続した温度検出素子を前記温度検出素子挿入穴に挿入する熱ローラ用温度センサーにおいて、前記温度検出素子とリード線とを、前記温度検出素子挿入穴に挿入する傾斜部と前記傾斜部に連接する前記ローラ本体の軸心方向にU字状に折り曲げた折曲部と前記折曲部に連接し前記回転駆動軸内を挿通する直線部とを有する鋼管内に挿入してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
発明では、温度検出素子挿入穴に挿入する傾斜部とこの傾斜部に連接するローラ本体の軸心方向にU字状に折り曲げた折曲部とこの折曲部に連接する回転軸内を挿通する直線部とを有する鋼管内に、温度検出素子とリード線を挿入して温度センサーを構成しているので、温度センサーをローラ本体に装着する際、U字状の折曲部の弾性力に抗して挟圧し、傾斜部の先端をローラ本体の温度検出素子挿入穴の開口に、また、直線部の先端を回転駆動軸の挿通孔の開口に位置させ、これを押し込むことにより簡単に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
傾斜する温度検出素子挿入穴を形成した熱ローラ本体への温度検出素子の挿入および温度検出素子に接続されたリード線の回転駆動軸内への挿通が簡単に行えるようにする目的を、ローラ本体の傾斜した温度検出素子挿入穴に挿入する傾斜部と傾斜部に連接するローラ本体の軸心方向にU字状に折り曲げた折曲部と折曲部に連接し前記回転駆動軸内を挿通する直線部を備えた鋼管内に装着することにより実現した。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る温度センサーを装着したローラ本体の断面図、図2は本発明の実施例に係る温度センサーの正面図である。図1において、1はローラ本体であり、図3および図4に示すローラ本体と同様に、周壁の内部に複数の気液二相の熱媒を封入するジャケット室(図示なし)が設けられており、各ジャケット室はローラ本体1の軸心方向に沿って延び、その両端部において連通する連通溝(図示なし)が周壁の内部に形成され、その連通溝はローラ本体1の円周方向に沿っている。そして、ローラ本体1の端部には、ローラ本体1の端面1aから連通溝の下方を通り、隣り合うジャケット室の間に到達する傾斜した温度検出素子挿入穴13が形成されている。
【0013】
2はローラ本体1を固定した回転駆動軸で、端面で開口し軸心に沿って伸びる貫通孔2aが形成されている。回転駆動軸2の端部は、図3に示す回転駆動軸2と同様に軸受ケース3の軸受4によって回転自在に支持され、図示しないモータにより回転駆動する。また、その端部には図示しない温度検出信号を固定側へ導出する回転変成機の回転側の1次コイルが固定されている。
【0014】
18は鋼管で、ローラ本体1の傾斜した温度検出素子挿入穴13の傾斜に沿う傾斜部18aと傾斜部に連接するローラ本体1の軸心方向にU字状に折り曲げた折曲部18bと折曲部に連接し回転駆動軸2の貫通孔2a内を挿通する直線部18cとを備えている。鋼管18の内部には、図2に示すように傾斜部18aの先端に熱電対などの温度検出素子16が配置され、温度検出素子16に接続されたリード線17が各部内を経由して外部に導出されている。すなわち温度センサーは、温度検出素子16とこの温度検出素子16に接続したリード線17とを鋼管18内に挿入して構成されている。なお、19は鋼管の継ぎ手である。
【0015】
以上のように構成した温度センサーは、ローラ本体1に装着する際、U字状の折曲部18bの弾性力に抗して挟圧変形し、傾斜部18aの先端をローラ本体1の温度検出素子挿入穴13の開口に、また、直線部18cの先端を回転駆動軸2の挿通孔2aの開口に位置させて押し込む。これにより温度検出素子16は所定の位置に配置され、温度検出素子16に接続したリード線17は回転駆動軸2内を挿通して回転変成機の1次コイルの位置まで導出することができる。装着後ローラ本体1の最端部を蓋20で覆う。
【0016】
なお、以上の実施例では、温度センサのU字状の折曲部18bの曲げ方向をローラ本体の軸心方向に一致させているが、その曲げ方向はローラ本体の軸心方向に限られるものでなく、たとえば軸心方向に対して直角方向であってもよい。
【0017】
また、本発明に係る温度センサーは図3に示す片持式の誘導発熱ローラのみに適用されるものではなく、ローラ本体をその両端で支持する、いわゆる両持式の誘導発熱ローラについても、また、誘導発熱ローラのみならず加熱源をヒータあるいは熱媒流体とする加熱又は奪熱ローラについても適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る温度センサーを装着したローラ本体の断面図である。
【図2】本発明の実施例に係る温度センサーの平面図である。
【図3】誘導発熱ローラ装置の断面図である。
【図4】従来の温度センサーを装着したローラ本体の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 熱ローラ本体
2 回転駆動軸
13 温度検出素子挿入穴
16 温度検出素子
17 リード線
18 鋼管
18a 傾斜部
18b 折曲部
18c 直線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動軸と、前記回転駆動軸に固定され端面から表面に向けて傾斜する温度検出素子挿入穴を形成した熱ローラ本体とを有し、前記回転軸内を挿通するリード線に接続した温度検出素子を前記温度検出素子挿入穴に挿入する熱ローラ用温度センサーにおいて、前記温度検出素子とリード線とを、前記温度検出素子挿入穴に挿入する傾斜部と前記傾斜部に連接する前記ローラ本体の軸心方向にU字状に折り曲げた折曲部と前記折曲部に連接し前記回転駆動軸内を挿通する直線部とを有する鋼管内に挿入してなることを特徴とする熱ローラ用温度センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−173065(P2006−173065A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367948(P2004−367948)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000110158)トクデン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】