説明

熱ロール

【課題】従来技術に関連する複雑なロール構造を改善し、伝熱特性を改善することによって弱点を低減するために、新規なロールシェルを提供する。
【解決手段】繊維状ウェブの処理のための、例えば、熱ロールと熱ロールと接触する裏当部材との間に接触する、即ち、ニップ内にある繊維状ウェブをプレス加工及び/又はカレンダ加工するための、或いは、熱ロールのシェル表面上の繊維状ウェブを乾燥し及び/又は冷却するための繊維状ウェブ成形機の加熱可能な及び/又は冷却可能なロール、即ち、熱ロール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状ウェブ成形機に関し、有利に、紙、板紙、及び/又は、パルプ成形機、並びに、それらと関連する光沢機のような仕上げ機器のような、紙、板紙、パルプ、又は、類似ウェブの処理のための装置に関する。
【0002】
本発明は、繊維状ウェブの処理のための、例えば、熱ロールと熱ロールと接触する裏当部材との間に接触する、即ち、ニップ内にある繊維状ウェブをプレス加工及び/又はカレンダ加工するための、或いは、熱ロールのシェル表面上の繊維状ウェブを乾燥し及び/又は冷却するための繊維状ウェブ成形機の加熱可能な及び/又は冷却可能なロール、即ち、熱ロールに関する。
【0003】
本発明は、繊維状ウェブの処理のための装置内の熱ロールにも関し、熱ロールは、回転する円筒形シェルと、1つ又はそれ以上の部分から成り、シェル内に配置された本体と、シェルの内面及び本体の外面によって定められる少なくとも1つの伝熱媒体流路と、伝熱媒体と、伝熱媒体を流路に通すため、及び、伝熱媒体を流路から除去するための伝熱媒体運搬手段と、伝熱媒体を用いてシェルを加熱し及び/又は冷却するために伝熱媒体の流れを制御するための手段とを含む。
【0004】
本発明は、さらに、請求項35及び38の前提部分に従った繊維状ウェブの処理用の熱ロールに関する。
【0005】
本発明は、さらに、請求項57及び58の前提部分に従った繊維状ウェブの処理用の熱ロールを用いるための方法に関する。
【0006】
本発明は、さらに、請求項60及び63の前提部分に従った繊維状ウェブの処理用の熱ロールを製造するための方法に関する。
【0007】
本発明は、請求項78及び81の前提部分に従った繊維状ウェブの処理用の熱ロールにも関する。
【0008】
本発明は、請求項101の前提部分に従った繊維状ウェブの処理用の熱ロールの半製品にも関する。
【0009】
本発明は、低光沢で滑らかな繊維状ウェブを製造するための、具体的には、仕上げのための請求項103の前提部分に従った熱ロールにも関する。
【背景技術】
【0010】
チルド鋳鉄又は鋼から全体的に熱ロールを製造することは既知である。フィンランド国特許第106054号から、粉末冶金手段によって全体的に又は部分的に熱ロールを製造することも既知である。
【0011】
従来技術として、カレンダ加工における熱ロールの今日の伝熱能力は、50〜250kW/mであることが述べられている要求が余り強くない用途では、チルドロールを用いることが可能であるのに対し、要求の強い使用場所では、鋼ロールを要求する。
【0012】
熱溶射金属又はセラミック塗膜のような異なる塗膜が熱ロールの表面の摩耗及び腐食の制御のために既知である(Papermaking Science and Technology, Papermaking Part,第80−81頁)。
【0013】
欧州公報第598737−B2号によれば、チルドロールの最高の比伝熱容量は、22kW/mである。しかしながら、技術的強度に関して、鋼ロールの限界はより高く、例えば、TOKUDENロールの比伝熱容量は、約50kW/mである。オイルで加熱される鋼ロールの伝熱能力は、高温オイルの利用可能性によって実際上は制限され、その温度は今日約300℃である。
【0014】
繊維状ウェブ成形機において、熱ロールは高い伝熱容量を有さなければならず、カレンダ加工では、150〜400kW/m程度の高さにさえなる。将来の繊維状ウェブ成形機において、長ニップ及び運転速度の増大を伴う衝撃乾燥における所要伝熱容量は大幅により高く、500〜800kW/mのオーダである。1.0〜1.5mの間である普通のロール直径を用いると、これは約30〜260kW/mの比伝熱容量を意味する。
【0015】
伝熱能力を向上するために、少なくとも1つの材料層が特に良好に熱を移動するよう、銅、アルミニウム、銅合金、アルミニウム合金、又は、それらの均等物のような、異なる材料の2つ又はそれ以上の材料層でロールシェルを構成することが提案されており、有利な合金成分は、Sn、Zr、及び、Crである。欧州公報第723612−B2号は、異なる材料層から成るロールシェルを記載している。最外側の材料層は、熱を特に良好に伝導する薄い銅又はアルミニウム層であり、内側負荷軸受ベースは鋼又はその類似物から成る。欧州公報第597814号に見られるように、伝熱媒体を伝導する伝熱路をプレス部ロールのロールシェル内に配置することがさらに提案されている。
【0016】
フィンランド国特許第106054号は、2つ又はそれ以上の層から熱ロールを製造することを提案しており、外側層の熱伝導率は内側層の熱伝導率よりも高い。さらに、該特許は、粉末冶金製造方法を提案している。
【0017】
先行技術は次の点を特徴とする。
− ロール又はロールの負荷軸受ベースは鋼又はその均等物から成り、その伝熱特性は最上ではない(典型的には、材料の熱伝導率はλ<60W/mK)。
− ロールの伝熱特性を向上するために、ロールのシェルは、熱を良好に伝導する材料層及び/又は伝熱路を備え、よって、ロールの構造は技術的に複雑であり、よって、高価である。
− 伝熱路は、外面から約40〜80mmの距離でロールシェル内に位置し、よって、今日使用されている材料を用いるならば、大きな温度差(ΔT)がロールシェル内に創成され、それは高い動作容量で高いオイル温度を招く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の1つの実施態様の1つの特徴によれば、目標は従来技術に関連する弱点を低減することである。
【0019】
本発明の他の実施態様の他の特徴によれば、目標は、余り複雑でないロールの技術的構造を作成し、ロールの伝熱特性を向上するために、新規なロールシェルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの目的は本発明に従った熱ロールによって達成され、熱ロールは、選択的な被覆及び/又は表面処理層を除き、熱ロールのシェルが、熱を良好に伝導し且つ熱伝導率λが>70W/mKである1つの金属材料から成ることを概ね特徴とする。
【0021】
本発明の1つの実施態様によれば、シェルの金属材料は、銅、アルミニウム、又は、それらの類似物である。本発明の他の実施態様によれば、シェルの金属材料は、銅又はアルミニウム合金又はコンポジションメタルである。例えば、スズ、クロム、及び/又は、ジルコニウムを銅又はアルミニウムと合金化することによって、有利な銅及びアルミニウム合金又はコンポジションメタルを生成し得る。このようにして、十分に強力であり且つ低い表面圧力の多様なプレス及びカレンダ加工用途を可能にする銅及びアルミニウム合金又はコンポジションメタルを生成することが可能である。シェルの材料に特に適した材料はCuCrZr(銅−クロム−ジルコニウム)であり、これの典型的な物理値は、8〜10g/cmの密度、300〜350W/mKの熱伝導率、及び、100〜150GPaの弾性係数である。
【0022】
上述のように、1つの金属から成る金属シェル上には、選択的に、黒鉛被覆、金属又はセラミック硬化被膜のような被膜又は表面処理があり、それはロールの耐摩耗性を向上し、その厚さは典型的には最大で5mmである。具体的には、厚さが0.01〜2mmの従来的な硬化被膜を用いることが可能である。本発明に従った熱ロールは、高い伝熱容量を備えた被覆又は表面処理金属熱ロールである。被膜又は表面処理なしでは、高い伝熱容量を備えた熱ロールは未塗布又は非表面処理金属熱ロールである。
【0023】
中央の中心通路を用いた、或いは、熱ロールのシェルに設けられた流路に用いた既知の方法を用いて、本発明に従った熱ロールを加熱又は冷却し得る。内部及び/又は外部誘導によって加熱も可能である。TOKUDEN型の誘導加熱技法が加熱に特に適している。よって、本発明に従った熱ロールは、加熱構造の選択に制約を置かない。
【0024】
本発明に従ったロールのシェルは熱を良好に伝導する1つの金属から成るので、シェルの厚さをより厚くすることが可能であり、よって、同一の伝熱容量を維持しながら、従来的なロールよりも伝熱距離を長くすることが可能である。このようにして、ロール内の伝熱媒体の流路のシステムはより複雑でなくなり、周辺通路は必ずしも必要でさえなく、それらのことはロール構造を実質的に単純化する。
【0025】
本発明の熱ロールの用途の場所として紙又は板紙成形機の仕上げ区画内に位置するカレンダ加工を具体的に述べ得る。カレンダ加工では、加熱ロールを用いてウェブをプレスすることによって、紙の所望の最終特性が達成される。用途の場所は、多ロールカレンダ、長ニップカレンダ、ベルトカレンダ、ソフトカレンダ、及び、具体的には、シューカレンダ、及び、熱ロールが高い伝熱容量を有することを必要とする金属ベルトカレンダの様々な変形を含む既知のカレンダ構造を含む。
【0026】
本発明に従った熱ロールを適用し得る他の場所は、紙及び板紙成形機のプレス区画内で用いられるプレス、具体的には、熱間プレス又は効率的な脱水を生む所謂衝撃プレスを含む。さらに、本発明に従った熱ロールを繊維状ウェブ成形機内で適用し得る他の場所として、具体的には、乾燥被膜の付着プロセスにおける、乾燥区画内で用いられる乾燥シリンダ及び被覆区画の熱ロールを述べ得る。
【0027】
本発明に従った熱ロールの加熱及び冷却遅延は短く、よって、本発明に従った熱ロールは、高い運転速度を供える繊維状ウェブ成形機、及び/又は、運転即ち繊維状ウェブのMD方向及び/又は横方向即ち繊維状ウェブの運転方向に対するするCD方向において繊維状ウェブ内の大幅な湿度変化がある、或いは、ロールの加熱制御を調節する実質的な必要がある繊維状ウェブ成形機に特に適している。
【0028】
よって、本発明は繊維状ウェブの処理用の装置内の熱ロールにも関し、熱ロールは、回転する円筒形シェルと、1つ又はそれ以上の部分から成り且つシェル内部に配置された本体と、シェルの内面及び本体の外面によって定められる少なくとも1つの伝熱媒体流路と、伝熱媒体と、伝熱媒体を流路に通すため及び伝熱媒体を流路から除去するための伝熱媒体搬送手段と、伝熱媒体を用いてシェルを加熱及び/又は冷却するために伝熱媒体の流れを制御するための手段とを含む。
【0029】
この種類の熱ロールは、例えば、米国特許文献第4,658,486号及び第6,289,797号から既知である。
【0030】
一般的に、鋼又は鋳鉄から成る所謂周辺ボア付きの管状ロールが熱ロールとして用いられ、ロール内を流れる伝熱媒体は水又はオイルのいずれかである。典型的には、周辺ボアは、軸方向にロールシェル内に穿孔され、且つ、ロールの外面から約50〜70mmの距離に配置された通路である。周辺穿孔付きロールに関する問題は、複雑な製造プロセス、主として、高価であり且つ表面からの通路の距離が一定で熱の分布が均一であるよう正確に遂行するのが困難な周辺穿孔である。通路内を流れる伝熱媒体が流動中に冷却する傾向にあることも周辺ボアの典型的な問題であり、よって、シェル内で発生する加熱効果はロールの軸方向において不均一である。これを回避するために、流れを加速することによって流路の冷端部での伝熱を向上する試みから、通路の壁上に支持される移動部分は時折周辺ボア内に配置される。さらに、オイルを異なる周辺通路内の反対方向に案内可能であり、それは軸方向における全体的な加熱硬化を均一化する。周辺ボア付きロールの1つの既知の問題は、円周方向における周期的変化がボアの配置に従ってロールシェルの温度分布内に創成される傾向にあることでもあり、それは温度膨張がロールの外径における周期変化、所謂波動効果を招き、それは次いでターニング(barring)問題を引き起こし得る。
【0031】
管状ロールの中心部の容積、即ち、所謂中心通路が流路として働く、熱ロールの中心通路構造も既知である。中心通路内の流れの伝熱を増進するために、及び、伝熱の軸方向均一性を保証するために、シェルの内面上に支持され且つ流れを間隙流として軸方向に通らせる移動部分を用いることも既知である。間隙流は、流路の横方向領域の減少に伴って流れが適切に加速し、伝熱を適切な程度に増進させるよう配置されるよう努められる。中心通路構造が用いられるとき、周辺ボア付きロールに典型的な周期的「波動擾乱」は起こらないことが留意されるべきである。
【0032】
よって、上述の熱ロール構造は、上述のオイル加熱構造を用いて、繊維状ウェブを、CD方向、即ち、繊維状ウェブの横方向にプロファイル化することを可能にしない。典型的には、繊維状ウェブの製造及び仕上げに関連して、厚さ、即ち、ウェブのカリパー、及び、紙の印刷の場合には、追加的に、表面特性、具体的には、光沢の双方についてプロファイル化する必要が生じる。これらの状況では、ウェブのCD方向プロファイル化のために、外部作動手段が用いられなければならず、そのような作動手段は、例えば、熱ロールの表面温度に局地的な影響を及ぼす空気吹付け、プロファイル化誘導加熱手段、又は、他の均等な作動手段である。
【0033】
さらに、主として限定的なオイル温度(典型的には350℃未満)及び熱ロールのシェル材料の低い熱伝導率の故に、上述の熱ロール構造の伝熱容量は今日の生産プロセスに鑑みると限定的過ぎると言い得る。
【0034】
以前、伝熱を改良するための熱ロールのシェルの構造上の改良が提案された。1つの提案によれば熱ロールのシェルが径方向に設けられ、銅若しくはアルミニウムのような熱を良好に伝導する金属、銅若しくはアルミニウム合金若しくはコンポジションメタル(例えば、CuCrZr)、又は、熱を良好に伝導する他の金属又は合金のような少なくとも材料層を備える。この種類の改良された熱伝導率の熱ロールは、長ニップカレンダ加工及びベルトカレンダ加工のような要求の高いプロセスに適しており、その関係で、300〜350℃の温度範囲を超えて上昇されなければならないオイルの温度なしに、所要熱容量は200〜300kW/mのオーダである。他の提案によれば、上述の金属のような熱を良好に伝導する材料でロールシェル全体を製造し得るので、比較的厚いシェルをさえ備える中心ボア付きロールが要求の高いプロセス条件に適する。第三の提案によれば、周辺通路を製造段階にロールの外面に特に近接して前もって構成し得るよう、熱ロールのシェルを(粉末冶金手段のような)特別な製造方法によって製造可能であり、よって、伝熱距離は短くなる。
【0035】
本発明の一般的な目的は、上述の欠点を是正することであり、その特別な目的は、具体的には以下の手段によって、熱ロールのための簡単で効率的な伝熱構造を提供することである。
【0036】
− 周辺ボア付きロールを本発明のロールと置換して、中心通路構造が、衝撃乾燥及びカレンダ加工、具体的には、長ニップ、ベルト、及び、金属ベルトカレンダ加工のような要求の高いプロセスに適するよう、簡単であるとして既知の中心通路構造の伝熱流の機能を改良することによって。
【0037】
− 多くの空間を占める外部作動手段なしに、CD方向におけるプロファイル化の単純な方法を提供することによって。
【0038】
− 試験済みの安価なオイル加熱技法を適用することによって。
【0039】
本発明のこの記載及び請求項において、熱ロールは、例えば、繊維状ウェブのプレス、乾燥、被覆、又は、カレンダ加工、又は、冷却のような、繊維状ウェブ成形機における繊維状ウェブの処理を意図するロールを意味し、伝熱媒体を用いてロールを加熱及び/又は冷却し得る。熱ロールのシェル部分の表面、より簡潔には、シェルの温度は、繊維状ウェブの処理プロセスの本質に依存して変化し、典型的には20〜350℃の範囲内である。生産性を向上するために、繊維状ウェブの処理機器の運転速度を一定に上昇する必要があるので、熱ロールから繊維状ウェブへの伝熱容量の向上の必要が生じている。
【0040】
本発明の好適実施態様の有利な特徴によれば、目的は、効率的なプロセスによっても必要とされる高い加熱及び/冷却能力を、空間を余り占めない簡単で且つ有利な技術的構造を用いて生成し得るよう、流路及び流れ案内部材のような伝熱手段の新規且つ発明性のある構造、及び、熱ロール内のロールシェルその自体である。
【0041】
本発明の好適実施態様の第二の特徴によれば、中心穿孔ロールを要求の高い用途で用い得るよう、伝熱媒体の流速を増大し且つ栓流を防止するために、中心ボア付き熱ロールの中心通路内に伝熱媒体の流れを配置するための新規で且つ発明性のある構造を提供することが目的である。
【0042】
本発明の好適実施態様の第三の特徴によれば、伝熱媒体の流れを用いて、繊維状ウェブの横方向、即ち、CD方向において、繊維状ウェブに対するプロファイル化効果をもたらすことを目的とする。
【0043】
本発明の好適実施態様の第四の特徴によれば、目的は、例えば、カレンダ加工、具体的には、長ニップ、ベルト、及び、金属ベルトカレンダ加工、湿式プレス、被覆、具体的には、乾式被覆を付着するためのプロセス、及び、衝撃乾燥のような、大きな伝熱を必要とする用途における本発明に従った熱ロールの使用である。
【0044】
これらの目的は本発明によって達成され、その特徴的機能は添付の組の請求項において定められる。
【0045】
本発明は、伝熱媒体を熱ロールの1つ以上の軸方向位置で流路に供給し且つ流路から除去し得るよう、伝熱媒体の入口及び出口が熱ロールの伝熱媒体運搬手段にそれぞれ接続されているという新規で且つ発明性のある基本的着想に概ね基づいている。
【0046】
本発明の1つの実施態様によれば、伝熱媒体の流れを増進するために、シェル及び本体の壁面間に速度差が配置される。
【0047】
本発明の1つの実施態様によれば、熱ロールの本体は非回転である。
【0048】
本発明の1つの実施態様によれば、軸方向におけるシェルの温度をプロファイル化するために、少なくとも1つの流路において、流路の高さ、即ち、流れ間隙の間隙距離、又は、流れ方向における流れ間隙の長さは、ロールの軸長に亘る少なくとも1つの地点で調節可能である。
【0049】
本発明の1つの実施態様によれば、流れ間隙内の間隙距離を調節するために、伝熱媒体を制御するための手段は、径方向において移動可能であり、或いは、それらの形状を前記方向において調節し得る。
【0050】
本発明の1つの実施態様によれば、流れ間隙における間隙距離を所望範囲内で調節するために、伝熱媒体を制御するための手段は、軸方向又は円周方向に移動可能であり、或いは、それらのサイズ及び形状を前記方向において変化し得る。
【0051】
本発明の1つの実施態様によれば、伝熱媒体を制御するための手段は、流路内で作用し且つシェルの内面に向かって或いはシェルの内面から離れて移動可能である絞り又は移動部から成る。
【0052】
本発明の1つの実施態様によれば、熱ロールの本体はその形状又はサイズを調節可能である。
【0053】
本発明の1つの実施態様によれば、流れ間隙における間隙距離は、約1〜50mmであり、有利には5〜25mmである。
【0054】
本発明の1つの実施態様によれば、間隙内の流れを制限する絞り手段は、伝熱媒体の入口及び出口の間の流路内に配置されている。1つの実施態様によれば、この絞り手段は調節可能である。
【0055】
本発明の1つの実施態様によれば、伝熱媒体を流路に供給する分配路のシステムにおける流速及び流量は、ロールの軸方向に対して位置特異的な方法で調節可能である。
【0056】
本発明の1つの実施態様によれば、熱ロールの全長に亘るシェルの温度又はシェルの熱膨張を均一に又はプロファイル化された方法で制御するために、熱ロールは、シェルの内面と本体の外面との間の領域に、伝熱媒体の流路内の速度を制御するための手段を含む。
【0057】
本発明の1つの実施態様によれば、伝熱媒体を流路に供給する分配路のシステム内の伝熱媒体の温度は、ロールの軸方向に対して位置特異的な方法で調節可能である。
【0058】
本発明の1つの実施態様によれば、シェルの材料は、銅、スズ、アルミニウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、又は、熱を良好に伝導する均等な金属材料、又は、これらの材料の少なくとも2つから成る合金又はコンポジションメタルのような、熱を良好に伝導する金属材料である。1つの実施態様によれば、金属材料合金はCuCrZrである。
【0059】
本発明の1つの実施態様によれば、ロールシェルの材料は、主として、鋳鉄又は鋼のような鉄基合金である。
【0060】
本発明の1つの実施態様によれば、本体の自由回転を防止するために、固定支持部が熱ロールのシェルの内側に配置された本体のために配置され、或いは、熱ロールに対して偏心した質量中心が本体内に配置されている。
【0061】
本発明に従った熱ロールの使用は、カレンダ加工、特に、大きな伝熱を要求する用途における長ニップ、ベルト、及び、金属ベルトカレンダ加工、湿式プレス、衝撃乾燥、及び、被覆を可能にする。
【0062】
本発明の1つの実施態様によれば、長さ及び/又は高さ調節可能な流路の流れ間隙は、流路内の流れを加速させ、且つ、伝熱の効果を増進させる。有利な間隙距離は、約1〜50mmの範囲内であり、好ましくは、約5〜25mmの範囲内である。さらに、流路の高さ又は長さを軸方向に調節することによって、熱ロールの全長に亘るシェルの温度分布を均一に或いは制御された方法でプロファイル化することによって制御するために、流れ及び/又は伝熱を軸方向において位置特異的な方法で調節することが可能になる。その関係で、ロールの内部本体にプロファイル化ブロック又は流れガイドがあるのが有利であり、それらの1つは、例えば、本体部に接続され、且つ、径、円周、又は、軸方向に移動可能な突出部である。そのようなプロファイル化ブロックは、本発明の1つの実施態様において、伝熱媒体の流れの移動可能な絞り及び/又は移動部を形成する。
【0063】
本発明の1つの実施態様によれば、伝熱媒体の流れは、絞り又は移動部を用いて、流路内で制御され、それを用いて、伝熱媒体の間隙流路を狭く及び/又は低くし得る。狭くされた通路内の生じる強制的な流れは加速し、その結果、流れの境界層はより薄くなり、擾乱のレベルが上昇し、伝熱媒体からシェルへの伝熱を増進させる。換言すれば、制御手段を用いて流路内の伝熱媒体の流れを加速及び/又は絞ることによって伝熱を制御し得る。
【0064】
シェルの回転動作は、熱ロールシェルの特性の回転方向における流れ間隙内の伝熱媒体の流れに寄与し、この流れはロールの内部本体をさらに回転する傾向があるので、この効果は、ロール本体内に偏心した質量中心を配置すること、或いは、ロール本体の固定支持を用いることのいずれかによって、本発明の1つの実施態様に従って相殺される。前者の場合には、自由に軸支されたロール本体の自由回転は防止される。
【0065】
本発明の1つの実施態様によれば、シェルの金属材料は、有利に、銅、アルミニウム、若しくは、熱を良好に伝導する均等な金属材料、又は、熱を良好に伝導する金属材料合金若しくはコンポジションメタルである。鋳鉄、鋼、又は、類似物のような従来的な材料でシェルを作成し得る。有利な金属材料合金は、例えば、銅又はアルミニウム合金又はコンポジションメタルであり、その関係で、例えば、Cr、Sn、Zrは有利な合金材料である。シェルのための1つの特に有利な金属材料合金は、CuCrZrである。
【0066】
シェルが熱を良好に伝導するとき、及び、伝熱媒体の流路が流れ制御手段を含むとき、従来的な周辺ボアを熱ロールから省略可能であり、本発明に従った熱ロールを大きな伝熱を必要とする用途に用い得る。これらの用途は、例えば、カレンダ加工、具体的には、長ニップ、ベルト、及び、金属ベルトカレンダ加工、湿式プレス、衝撃乾燥、及び、被覆に関連するプロセス段階である。
【0067】
本発明の1つの有利な実施態様によれば、熱ロールの主要部は、ロールのシェル部分によって、及び、それ自体の内側にシェルによって定められる容積によって形成され、その容積は伝熱媒体の流路として働き、シェルとは別個であり流れを移動し制御する1つ又はそれ以上の本体部分が容積内に追加的に配置される。
【0068】
本発明の1つの実施態様によれば、伝熱媒体の流れを増進するために、ロールシェルの内壁と本体部分の外壁との間に相互の速度差が配置される。
【0069】
本発明に従った熱ロールにおいて、伝熱媒体の流れは、シェル部分と本体部分との間の流れ間隙を通るよう配置され、その方向は実質的にロールの周縁の回転方向、即ち、円周方向にあり、よって、流れ間隙内の流れがロールの回転動作に対して主として軸方向である従来的な熱ロールと異なる。ロールの円周方向における流れは、流動する間に冷却するオイルが熱ロールの軸方向における温度差を引き起こさないという利点をもたらす。流れ媒体の進入開口及び退去開口、即ち、流れ媒体の入口開口及び出口開口は、熱ロールの中心部分、即ち、本体部分との関係で実質的にロールの幅全体に亘って配置される。本発明の有利な実施態様によれば、流れは、ロールの円周長の著しい部分に亘って狭い流れ間隙内を通り、それは円周長の少なくとも20%であり、よって、流れ間隙の高さは1〜50mmであり、有利には5〜25mmである。シェル内側の本体部分は特に有利に実質的に非回転であり、よって、伝熱媒体の流れは流れ間隙内の流れ通路を通るよう配置され、流れ間隙には、反対の壁間の著しい速度差があり、それによって、強力なずり磁場が流れ内に創成され、それは伝熱に効果的に利益をもたらす。有利な実施態様によれば、実際上は、非回転本体と回転シェルとの間に20〜30m/sの速度差があり、それはオイルの平均流速が固定本体部分と回転シェル部分との双方に対して10〜15m/sであることを意味する。このように、流速は従来的な周辺通路及び中心通路流の流速(1〜4m/s)よりも著しく高く、それはより大きな擾乱、よって、より効率的な伝熱を意味する。ずり磁場によって必要とされるエネルギー及びシェルと本体との間の速度差によってもたらされる擾乱は、シェルの回転動作から得られる。
【0070】
オイル入口開口及び出口開口を適切に配置することによって、及び、適切な絞り又は障害部分を入口開口と出口開口との間の領域に配置することによって、シェルの回転動作は、障害部分のない出口開口と入口開口との間のその部分に大幅なポンプ効果を生み、ポンプ効果のエネルギーはシェルの回転動作から取られる。別個のポンプの必要は低減され、高い流速が達成され、それは大きな伝熱容量を意味する。換言すれば、ロールそれ自体がポンプとして作用する。加えて、ポンプ効果は、より多くの容量も必要とされる丁度そのときに、速度増大に伴って増進される。
【0071】
シェルを熱を良好に伝導する材料から製造することによって(λ>70W/mK)、熱ロールのシェルの伝熱特性を有効に構成し得る。例えばCuCrZrからシェルを製造し得る。
【0072】
少なくとも以下の方法で、間隙流の伝熱をCD方向に制御し得る、即ち、プロファイル化可能である。
【0073】
− 分配路のシステムから来るオイルの温度を局地的にCD方向にプロファイル化することによって。
【0074】
− 例えば、プロファイル化ブロックによって絞りの度合いをCD方向に局地的に変えることによって、入口又は出口通路内の流量をプロファイル化することによって。
【0075】
− 例えば、ロールの本体部分を移動又は屈曲することによって、或いは、ロールの本体部分のある部分の形状又はサイズを調節することによって、或いは、本体部分に接続された別個の作動手段を規制することによって機械的に、流れ間隙の高さ又は流れ方向の長さを局地的に制御することによって。
【0076】
− 例えば、磁気的又は電気粘性液体が伝熱媒体として作用する場合に、磁場又は電場を用いて、流れ間隙内を流れる伝熱媒体の粘性を制御することによって。この液体は、例えば、国際公開公報第WO02/064886号に記載されている。
【0077】
伝熱構造を従来的な周縁穿孔されたロールと組み合わせ得る。その関係で、周辺ボアと中心通路の双方を使用することが可能である。勿論、従来的に既知のプロファイル化方法も本発明で意図される熱ロールと共に用い得る。
【0078】
本発明は、請求項34及び37の前提部分に従った繊維状ウェブの処理を目的とした熱ロール、請求項56及び57の前提部分に従った繊維状ウェブの処理を目的として熱ロールを使用する方法、請求項59及び62の前提部分に従った繊維状ウェブの処理を目的とした熱ロールの製造、請求項77及び80の前提部分に従った繊維状ウェブの処理を目的とした熱ロール、及び、請求項100の前提部分に従った繊維状ウェブの処理を目的とした熱ロールの半製品にも関する。
【0079】
ここで、熱ロールは、紙、パルプ、板紙ウェブ、及び、均等な繊維状ウェブの製造において用いられる繊維状ウェブ作動装置において使用される加熱可能な熱ロールを意味し、そのシェルは多層状又は層状である。そのような熱ロールは、例えば、次のものを含む。
− プレス区画内のロール、具体的には、衝撃プレス内のロール。
− 乾燥区画内の乾燥シリンダ。
− 機械カレンダ、所謂、「ブレーカースタック」カレンダ、ソフトカレンダ、多ニップカレンダ、スーパーカレンダ、長ニップカレンダ、及び/又は、ベルトカレンダ、又は、金属ベルトカレンダ、又は、繊維状ウェブ成形機の他のカレンダ。
− 繊維状ウェブ成形機の被覆区画内の熱ロール。
【0080】
ここで、多層状又は層状熱ロールは、互いに可視的、物理的、化学的、冶金的に区別可能又は分離可能な材料層を含む熱ロールシェル構造を意味する。各材料層は独自の個別の材料特性を有し、それは隣接層の特性と異なり得る。熱ロールのシェルの層は、製造技法の観点で層状の全体である熱ロールのシェルの各層又はシェル材料の部分を意味し、その層状の全体の材料特性は、製造技法によって作成され且つその内側又は外側に位置する層の特性と同一であり得る。
【0081】
熱ロールの動作の2つの原則的な目的は、十分な熱を繊維状ウェブに移動し、繊維状ウェブ成形機内で処理される繊維状ウェブのための支持面として作用することである。
【0082】
熱ロールのシェル内に位置し且つ殆どの場合熱ロールシェルの表面部分に位置する周辺ボアから成る伝熱流路内を流れる加熱オイルを用いた、オイル加熱が熱ロール内の加熱システムとして最も一般的に用いられている。水及び上記も他の従来的な伝熱媒体である。熱ロールの中心通路、即ち、中心線に先行された通路、又は、熱ロールの中空内側部分も伝熱媒体のための流路として用いられる。
【0083】
前述に加え、抵抗器及び外側からの誘導加熱によって達成される加熱を用いることが既知である。熱ロールは、単に内側からの誘導加熱によっても加熱される。そのような熱ロールは、例えば、TOKUDENロールである。TOKUDENロールでは、鋼シェルが統合誘導コイルに設けられた固定シャフトの周りを回転する。温度分布を均一化するために、部分的に液体で充填された通路が回転する鋼シェル内に配置される。
【0084】
チルド鋳鉄又は鋼のいずれかが従来技術の熱ロールのシェル材料として主として用いられており、よって、熱ロール全体のシェルは、原理的には、熱的に1つ且つ同一の材料から成る。今日の熱ロールは主として周辺ボア付きチルド又は鋼ロールである。
【0085】
多層チルドロールにおいて、
− 約10〜30mmの厚さを有する外側層は典型的に鋳鉄から成り、有利には、20〜25W/mKの範囲内の熱膨張率λを備える「チルド鋳」鉄である。
− この下には、中間層、所謂「まだら」層があり、その厚さは典型的には約20〜30mmであり、20〜50W/mKの範囲内のλを備える。
− 内側部分、即ち、最内側層は、典型的には、約45〜60W/mKの範囲内の熱伝導率λを備える所謂ねずみ鋳物から成る。
【0086】
よって、原則として、多層シェルを備える既知のチルドロールでは、熱伝導率は外側に向かって減少する。鋼ロールでは、シェルにわたる有効熱電率λ、即ち、熱伝導率の有効平均値は、材料に依存して、約20〜40K/mKの範囲内にある。
【0087】
周辺ボアは、中心線から測定されると、概ね外面から少なくとも55〜60mmの距離にある。よって、チルドロールでは、実際上、それらは中間層の直ぐ下の内側層内、即ち、ねずみ鋳物内にある。この重要な理由は、より硬い材料の境界面は穿孔するのが容易なことである。ボアの数及び直径は変化する。典型的には、少なくとも20〜50個のボアがあり、それらの直径は約30〜40mmである。
【0088】
材料の強度不足、脆弱性、及び、非均一性は、チルドロールの顕著な問題である。強度不足及び脆弱性の故に、材料は高い引張応力に耐えない。それは激しい加熱又は冷却状況に発生し得るもので、具体的には、繊維状ウェブプロセス中の誤差及び緊急状況を含む。例えば、熱ロールの内側から外側面を通ってウェブへ又はウェブから熱ロールの外側面を通じて熱ロールへの大きな伝熱、或いは、熱ロールの冷却/加熱は、全てシェル内、具体的には、材料層の境界面(複数を含む)内に大きな温度差を引き起こし、異なる熱応力及び熱膨張は高い剪断力を引き起こし、それは熱ロールを破壊し得る。高い剪断力を回避するために、今日の熱ロールはゆっくりと冷却及び加熱される。これはプロセス遅延を招き、それは製造コスト及び製造問題を増大する。
【0089】
チルドロールの材料の不均一性及び不安定性は回転するロールの力学に問題を引き起こし、よって、振動、とりわけ、「ターニング」及び平衡が特に多ニップカレンダで問題となる。1つの理由は製造技法によって引き起こされる単一層の厚さの変化であり、よって、熱ロールは加熱されると屈曲する、即ち、非対称熱膨張の故に、冷時に良好に均衡を保たれる熱ロールは屈曲可能であり、動作温度で均衡不良とされ得る。次いで、ねずみ鋳物から成るのが典型的な内側層の不安定性は、例えば、移動及び処理中に加えられる負荷(屈曲)が、小さな恒久的な変形(たわみ)を生む原因となり、熱ロールが回転する間(振動)に最終使用場所でのみ見られる。
【0090】
チルドロールに関係して直面する問題を回避するために、最も要求の高いプロセス状況における鋼材料の使用が増大してきた。その場合には、利点は、とりわけ、より良好な均一性及び安定性及び材料特性の大幅により高い強度を含む。
【0091】
チルドロール及び鋼ロールの双方の製造技法に関連する問題は、周辺ボアが高価で作成が困難であることである。多数のボアが必要とされ、且つ、温度分布が十分に均一にされるために、及び、ボアの場所及び不整列が余り重要でなくなるために、それらは熱ロールの表面から比較的離れて配置されなければならない。ロールシェルに長手の孔を穿孔することは困難である。異なる方向から2つの対向する孔を穿孔することが通常必要である。加熱の均一性並びに加熱及び冷却段階を迅速化するために、今日なされているようりも大きな数の流路をシェルに穿孔することが有利である。これまでのところ、技法の要求の高い本質の故に及びコストの故に、そのようにすることは可能ではない。
【0092】
チルドロールにおいて、ボアは柔らかい内側層、即ち、典型的には、所謂ねずみ鋳物に配置される。材料の熱伝導がチルドロール及び鋼ロールの双方で比較的貧弱であるので、高いオイル温度がボアと表面との間の長い伝熱距離から不可避的に得られる。
【0093】
流路の直径は、それらの全長に亘って概ね一定である。しかしながら、伝熱の均一性の観点からすると、通路の場所及び断面領域並びにそれらの壁の円周長は、流れ動作の方向における加熱オイル温度の変化に対応して変化する。従来技術に従えば、これは、結果として断面領域の減少及び流速の上昇を伴う別個の絞り部分を用いて流れを絞ることによって、或いは、粗面化、溝削り、伸び等によって壁の領域をより大きくすることによって、通路とロールシェルの外面との間の距離を変えることによって達成される。軸方向における加熱温度の差を均一化するのにしばしば用いられる方法は、隣接する流路における流れ方向を異なる方向に配置することでもある。
【0094】
熱ロールの外面までの伝熱距離熱は短くなるので、ロールの外面に近接して流路を配置することは有利である。しかしながら、その場合には、所謂波動現象、即ち、ロールの場合、熱ロールの加熱路によって引き起こされる熱膨張の局地的相違、及び、波動状に変化する熱ロールの外面の温度変化に起因する熱ロールの丸みプロファイルの起伏を最小限化するために、流路の比較的密度の高い空間を使用する必要があるということが問題になる。
【0095】
波動現象は、ロール振動を誘発することで知られ、プロセス中に処理される紙の特性に有害な影響を及ぼし、それは、とりわけ、紙における光沢及び厚さの差として可視的であり得る。
【0096】
既知の熱ロールの問題は、十分に迅速な熱ロールの冷却の欠如でもある。例えば、ロールの取替えに関係して、不必要なプロセス遅延を回避するために、熱ロールは迅速に冷却されなければならない。電気を用いて達成される加熱構造の欠点は、冷却システムの欠如である。
【0097】
例えば内部誘導加熱を備えるTOKUDENロールのような内側から加熱されるロールの1つの大きな問題は、厚いシェルを原因とする比較的高い伝熱抵抗である。シェル材料の低い熱伝導率の故に、熱ロールの内側部分と熱ロールの外側部分との間の温度差は大きく、容易に100℃のオーダである。これはこの種類のTOKUDENロールにおける特別な問題であり、そこでは、ロールの表面は加熱に晒され、外面までの伝熱距離は大きい。よって、シェルの伝熱は特定の容量密度(ユニット領域毎)を制限するので、同一の総容量(ニップ容量)を達成するために、より大きなロール直径を用いることが必要である。
【0098】
新しいカレンダ加工外面は、プロセス中に、熱ロールから繊維状ウェブへの大きな熱容量移動を必要とし、それは熱ロールシェルの材料の熱特性が大きな重要性を有することを意味する。同様に、熱衝撃に対する材料の抵抗も重要である。
【0099】
上述の種類の既知の熱ロールの問題は、新しいカレンダ加工方法、即ち、熱間多ニップカレンダ加工又は長ニップカレンダ加工を用いるとき、湿潤な高速移動ウェブへの熱容量移動が極めて僅かであることである。典型値は、200〜250℃の熱ロールシェルの所望表面温度、及び、熱ロールのシェル中の150〜250kW/mの熱容量である。もしプロセスがニップ前の水を用いたウェブ保湿を含むならば、熱容量は400kW/mほどでさえあり得る。
【0100】
従来技術の熱ロール構造の問題は、単にオイル加熱によって生成される熱容量が、熱ロールの表面温度を、<300〜350℃の体感オイル温度及び<1.5mの体感ロール直径を備える十分に高いレベルに維持し得ないことである。熱容量を増大するために、多ニップカレンダには外部誘導加熱を収容する空間がなく、オイル加熱の温度と比べると外部誘導加熱の価格は今日未だ競争力がない。
【0101】
破壊での伸び、引張応力、熱伝導特性のような材料特性に関して、単なるチルド鋳鉄、例えば、ねずみ鋳鉄から成る熱ロールは、熱応力が材料の特性を越えるので、上述の種類の大きな熱容量の移動に適さない。チルド鋳造プロセスにおいて、一定数の不均一な材料特性が常に創成され、それは、熱ロールが加熱/冷却されるときの撓み誤差、並びに、高速回転時の均衡及び振動問題も引き起こす。今日完全に鋼から作成される熱ロールの材料の強度特性は再び大きな温度差を許容するが、加熱オイルの上述の最高の体感温度は、達成される熱容量を制限する。既知の構造において、オイルと達成される熱ロールの表面温度との間の大きな温度差は、熱ロールシェル材料の材料の貧弱な伝熱特性、及び、長い伝熱距離に大きく起因し、それは熱流速の密度を制限する。
【0102】
プロセスの高い熱容量の要求の故に、十分な熱容量が、熱ロールのシェルを通じてニップに移動され、さらに、処理される繊維状ウェブに移動されることが保証されるよう、熱ロールシェルの熱伝導率は、実質的に向上されるべきである。伝熱を増進するために、熱ロールシェルの外面と伝熱領域との間の伝熱距離も減少されるべきである。
【0103】
本発明の一般的な目的は、上述の欠点及び弱点を解消し或いは実質的に低減することであり、且つ、熱ロールの伝熱特性を向上することである。
【0104】
本発明の1つの特徴によれば、一般的な目的は、動作及び伝熱の特性がより効果的にされる新規で且つ発明性のある熱ロールを提供することであり、具体的には、目的は以下を向上することである。
− 熱ロールの内側から熱ロールの外面への伝熱。
− 熱ロールの外面から熱ロールへの伝熱。
− 熱ロールシェルの加熱。
− 熱ロールシェルの冷却。
【0105】
本発明の特徴に従えば、一般的な目的は、繊維状ウェブの処理を意図する熱ロールを用いるための方法を提供することである。
【0106】
本発明の特徴に従えば、一般的な目的は、熱ロールを製造するための新規で且つ発明性のある方法を提供することである。
【0107】
本発明の特徴に従えば、一般的な目的は、新規で且つ発明性のある熱ロールの半製品を提供することである。
【0108】
これらの目的は本発明によって達成され、それらの特徴的な特別の機能は添付の組の請求項において定められる。
【0109】
本発明の実施態様によれば、熱ロールは、製造技法を用いて、少なくとも2つの異なる材料層が、熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に配置され、材料層は、それらの製造技法に関して異なる段階において或いは異なる方法によって製造されること、並びに、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限された或いは材料層の境界ゾーン内に位置付けられた伝熱媒体流路があることを概ね特徴とする。
【0110】
本発明の実施態様によれば、熱ロールは、材料層が、少なくとも2つの材料層の熱伝導率が相互に異なるよう、当該熱ロールの前記シェル内に径方向に内側に次々に配置されること、並びに、前記材料層の少なくとも1つの内部に或いは前記材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限された又は前記材料層の境界ゾーン内に位置付けられた伝熱媒体流路があり、前記材料層の熱伝導率が相互に異なることを概ね特徴とする。
【0111】
本発明に従った熱ロールを用いるための第一の方法は、熱ロールから、熱ロールのシェルは、製造技法を用いて、径方向に内側に次々に配置される、少なくとも2つの異なる材料層を含み、材料層は、それらの製造技法に関して、異なる段階において或いは異なる方法によって製造され、伝熱媒体流路のシステムは、少なくとも1つの材料層内に配置され、或いは、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限され、或いは、材料層の境界ゾーン内に位置し、伝熱媒体の温度が<350℃に維持されるよう、100〜300kW/mの範囲内、好ましくは200〜250kW/mの範囲内の熱容量が、繊維状ウェブに移動されることを概ね特徴とする。
【0112】
本発明に従った熱ロールを用いるための第二の方法は、熱ロールから、熱ロールのシェルは、径方向に内側に次々に位置し、且つ、熱伝導率の異なる少なくとも2つの材料層を含み、伝熱媒体流路のシステムは、少なくとも1つの材料層内に位置し、或いは、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限され、或いは、材料層の境界ゾーン内に位置し、伝熱媒体の温度が<350℃に維持されるよう、100〜300kW/mの範囲内、好ましくは、200〜250kW/mの範囲内の熱容量が繊維状ウェブに移動されることを概ね特徴とする。
【0113】
本発明に従った熱ロールを製造するための第一の方法は、製造技法において、異なる少なくとも2つの材料層が、熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に配置され、材料層は、製造技法に関して、異なる段階において或いは異なる方法によって製造されること、並びに、伝熱媒体流路が、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限されるよう或いは前記材料層の境界ゾーン内に位置付けられるよう配置されていることを概ね特徴とする。
【0114】
本発明に従った熱ロールを製造するための第二の方法は、異なる材料層が熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に層内に配置され、材料層の少なくとも2つの熱伝導率が相互に異なること、並びに、伝熱媒体流路が、少なくとも1つの材料層内に、或いは、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限されるよう、或いは、材料層の境界ゾーン内に位置付けられるよう配置されていることを概ね特徴とする。
【0115】
本発明の実施態様に従った熱ロールは、製造技法において、異なる少なくとも2つの材料層が、熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に配置され、材料層は、製造技法に関して、異なる段階において或いは異なる方法によって製造されること、並びに、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限された或いは材料層の境界ゾーン内に位置付けられた伝熱媒体流路があることを概ね特徴とする。
【0116】
本発明の実施態様に従った熱ロールは、材料層は熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に段階又は層に配置され、少なくとも2つの材料層の熱伝導率が互いに異なること、並びに、少なくとも1つの材料層内に、或いは、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限された或いは材料層の境界ゾーン内に位置付けられた伝熱媒体流路があることを概ね特徴とする。
【0117】
本発明に従った熱ロールの半製品は、熱ロールのシェル用の材料層の内面及び/又は外面は凹部又は溝を備え、伝熱媒体流又は伝熱媒体流管を受容するために、凹部又は溝が、外側材料層の内面又は内側材料層の外面と共に、流路を形成するよう、凹部又は溝の断面プロファイル形状は、熱ロールのシェル内に形成されるべき流路の断面プロファイルの一部を構成することを概ね特徴とする。
【0118】
本発明の実施態様に従った熱ロールのシェルの構造は、熱ロールの動作特性を向上するために、材料の特性、具体的には、熱伝導率及び機械的強度が、熱ロールの径方向に層毎状に変化するよう設計される。熱伝導率及び機械的強度に関する最善を同時に同一材料で達成することは一般的に可能ではないので、本発明のこの構成によれば、全体的な見地から最良の特性を有する材料が、熱ロールの径方向周辺における個別の各層のために選択される。
【0119】
本発明の実施態様によれば、最良の熱伝導率を備える材料層は、流路のシステムと、伝熱層を形成するために可能な限り大きな領域内のシェル外面との間に配置されるのが最も好ましい。これは伝熱における効率をもたらし、よって、流動媒体、有利にはオイルと、表面との間の温度が低くなる。異なる層のための材料の組み合わせを選択するとき、熱ロールの使用に関連して創成される強度及び熱膨張及び応力状態は制限として考慮される。
【0120】
本発明の実施態様の特に本質的な機能は、熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に配置される材料層であり、1つの実施態様によれば、それらの少なくとも2つの熱伝導率は異なる。
【0121】
本発明は、熱伝導率が異なる層で同一であるよう、熱ロールシェルの層を配置することも可能にするので、製造技法に関して異なるシェルの層の材料は、例えば、化学的に同一の従来的な材料、例えば、有利に鋼から成る。
【0122】
本発明に従ってシェル内に或いは熱ロールのシェルの伝熱層内に配置される伝熱媒体の流路は、例えば、主として熱ロールの中心軸と平行な軸方向に延びる或いは熱ロールの軸に対して螺旋状に走る伝熱ボア又は伝熱管であり得る。伝熱媒体の流路も、熱ロールの軸方向回転軸の周りを螺旋状に回りながら熱ロールのシェル内を走り得る。
【0123】
熱ロールのある材料層及び流路の形成において、有利な製造方法として、熱間静水圧プレス、即ち、HIP方法を使用することが可能であり、「熱間プレス」という用語は、以後この関係で用いられる。
【0124】
本発明の実施態様によれば、事前に製造段階に、熱ロールのシェル内に流路を配置し、よって、現寸の熱ロールの大規模な穿孔を回避することが好ましい。しかしながら、流路は、チップ除去のないシェル又は熱ロールのシェルのある層の製造との関係で直接的に直ぐに仕上げられる必要は必ずしもないが、例えば、熱間プレスとの関係では、ロールが組み立てられる時にドリル開口される案内溝又は管又は軟金属を流路の場所内に残すことは可能である。幾つかの同軸ロール区画から成る熱ロールを組み立てることによって熱ロールを製造することによって、現寸の熱ロールの穿孔を回避し得る。その場合には、現寸の熱ロール内で螺旋状に走る伝熱媒体流路を提供するために、熱ロールの回転軸と平行な軸方向に対して斜角で伝熱媒体の流管を穿孔し得る。
【0125】
本発明の有利な実施態様によれば、熱ロールシェルの外面と熱ロールの伝熱領域との間の伝熱距離は短く、ウェブ領域外側の伝熱を制限するために、伝熱をより正確にウェブ領域に制限することが可能である。
【0126】
本発明の特に本質的な機能は、熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に層内に配置された層状の全体によって構成され、その全体の第一実施態様によれば、製造技法に関して異なる少なくとも2つの材料層は、熱ロールのシェル内に径方向に内側に次々に配置され、それらの材料層は、それらの製造技法に関して、異なる段階において或いは異なる方法によって製造され、材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限された或いは材料層の境界ゾーン内に位置付けられた伝熱媒体流路がある。よって、製造技法に関して異なるシェルの層の材料は、例えば、化学的に同一の従来的な材料、例えば、有利に鋼から成り得る。
【0127】
本発明は、少なくとも2つの材料層の熱伝導率が相互に異なり、少なくとも1つ材料層内に或いは材料層の少なくとも1つによってそれ自体の内側に制限された或いは材料層の境界ゾーン内に位置付けられた伝熱媒体流路があるよう、層状の全体を内側に次々に形成するために、1つの実施態様に従った熱ロールのシェルの層を層内に径方向に配置することも可能にする。
【0128】
熱ロールの表面には、かなり薄い材料層、例えば、所望の強度、靱性、硬度、耐摩耗性、表面品質、又は、他の類似の特性をもたらし、且つ、伝熱層として作用する材料層の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有し得る鋼シェルがあり得る。本発明の1つの実施態様によれば、ロールシェルの全体的な熱伝導率が過剰に低められないよう、熱ロールのロールシェルの外面を形成する材料層は、伝熱層として作用する材料層よりも薄く維持されるよう努められる。よって、表面層を極めて薄くさえし得るし、表面を形成する可能であれば硬く脆弱な材料層が粘着するために、もしその内側で伝熱層として作用する材料層がニップ荷重を通じて生じる応力及び熱ロールの熱応力に耐えるその機械的強度に関して十分であるならば、例えば、クロムめっき層又は他の硬化被膜又はセラミック層であり得る。勿論、本発明に従った熱ロールをロールシェルの被覆層なしにも製造し得る。
【0129】
熱ロールの表面には、かなり薄い材料層、例えば、所望の強度、靱性、硬度、耐摩耗性、表面品質、又は、他の類似の特性をもたらし、且つ、表面層の内側状の材料層の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する鋼シェルがあり得る。その材料層は特別な伝熱層として作用し得る。何故ならば、それはその材料に関して極めて熱伝導的であるからであるが、表面層及び表面層の内側上の層の熱伝導率及び/又は他の材料特性も類似であり得る。もし熱ロールのロールシェルの外面が余り熱伝導的でない材料層によって形成されるならば、ロールシェルの全体的な熱伝導率が過剰に低められないために、伝熱層として作用する材料層よりも薄く維持されるよう努められる。
【0130】
本発明に従って伝熱特性に関して最適化された熱ロールを用いることで、熱ロールを利用する繊維状ウェブの動作装置、具体的には、多ニップカレンダ、スーパーカレンダ、ソフトカレンダ、長ニップカレンダ、及び、ベルトカレンダ又は金属ベルトカレンダ、並びに、機械カレンダ、所謂「ブレーカースタック」カレンダ、又は、繊維状ウェブ成形機の乾燥又は仕上げ部内の均等のカレンダのようなカレンダ、並びに、具体的には、プレス区画内の衝撃プレス、乾燥区画内の乾燥シリンダ、具体的には乾式被覆固定プロセスにおける被覆に関連する装置を高い熱容量のために設計可能であり、熱ロールシェルの表面温度を上昇するために、及び、所望の熱容量を処理される繊維状ウェブに移動するために、オイル加熱に加えて他の加熱方法を使用することを必要としない。
【0131】
熱ロールのシェルの層状全体、即ち、層の外側又は内側に、有利に異なる製造技法を用いて、所望であれば、段階において、例えば、1回に1層毎に、例えば、熱間静水圧プレスを用いて、同一又は類似材料の他の層を付着することが可能である。そのような熱ロールの層状構造は、シェルの層が層毎状に制御されることを可能にする。よって、伝熱を増進することが望ましい場所で、熱を良好に伝導する材料を構造内に配置し得る。熱を貧弱に伝導する材料を、場合によっては、伝熱を妨害するのが望ましい場所で、構造内に配置し得る。その上、流路をシェルの表面に近接して配置することも可能になり、よって、本発明の1つの目的に従って、熱ロールのシェルを通じたニップへの熱容量の移動、さらに、処理される繊維状ウェブへの熱容量の移動を増進する見地から、熱ロールのシェルの外面と伝熱領域との間で伝熱距離を低減し得る。
【0132】
よって、本発明は、製造のための、具体的には、低光沢であり且つ滑らかな繊維状ウェブの仕上げのための請求項102の前提部分に従った熱ロールにも関する。
【0133】
艶消し紙及び板紙製品は、例えば、印刷紙、芸術紙、及び、写真紙のような、極めて高レベルの品質が求められる用途で用いられることが多い低光沢で滑らかな製品である。本質的な機能は、表面の低光沢、艶消し品質であり、それにも拘わらず、それは高品質であり且つ光沢のある印刷結果を可能にする。
【0134】
既知のように、セラミック被膜を備える多孔で小縮尺の粗面ロールを用いて紙をカレンダ加工することによって、高品質の艶消し紙を製造し得る。セラミック被膜ロールは、例えば、公開されたフィンランド国特許出願第971542号に記載されている。1つのそのようなセラミック被膜はその商品名によってValMattである。
【0135】
ロールの表面は多孔/粗面であるので、たとえ直線荷重又は温度が上げられても、紙はより光沢があるようにはならないが、むしろ逆に、表面の艶消し品質がより際立つようになると考えられ得る。他方、滑らかさ及び密度が上昇し、それも印刷結果の観点から必要である。
【0136】
もし製造速度を上昇することが望ましければ、滑らかさを達成するために、直線荷重及び温度又はカレンダの熱容量が上げられなければならない。高速で、熱ロールの伝熱は問題となり、それは多くのカレンダ加工用途において運転速度を制限する。
【0137】
伝熱を増進するために、異なる構造が提案され、それらの構造の1つは、例えば、長い伝熱ゾーンを含む金属ベルトカレンダである。フィンランド国特許出願第20031230号は、伝熱を増進する熱ロールを開示しており、その熱ロールのシェルは、熱を良好に伝導し且つセラミック被膜を含み得る材料から製造される。フィンランド国特許出願第20031231号は、伝熱を増進するための熱ロールを熱ロールを開示しており、その熱ロールのシェルは流路を備え、フィンランド国特許出願第20031232号及び第20031233号において、熱ロールのシェルは2つの異なる材料層から製造される。第990691号は、シェルが粉末冶金方法を用いて製造される熱ロールを開示している。
【0138】
本発明の一般的な目的は、従来技術に関連する弱点を低減し、改良された伝熱特性を備えた熱ロールを提供し、熱ロールを用いた方法を提供することであり、その熱ロールを方法を用いて、低光沢で滑らかな印刷紙及び板紙製品を有利に且つ効率的に製造することが可能である。
【0139】
これらの目的は、特徴的機能が添付の組の請求項で定められる本発明によって達成される。
【0140】
本発明に従った熱ロールは、独立項102の特徴部分に述べられているものを主として特徴とする。
【0141】
本発明の他の特徴、特徴的機能、及び利点に関しては、組の請求項の従属項及び記載の以下の特定部分が参照され、それは有利と考えられる本発明の実施態様の一部及びそれらがどのように実施されるかを例示の目的でのみ詳細に記載する。
【0142】
以下に、添付の特許図面を参照して、一部の有利な実施態様を用いた実施例によって本発明を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明に従った未塗布熱ロールの実施態様を示す断面図である。
【図2】本発明に従った熱ロールの実施態様を示す断面図である。
【図3】本発明に従った周辺通路を備える未塗布熱ロールの実施態様を示す断面図である。
【図4】本発明に従った周辺通路を備える熱ロールの実施態様を示す断面図である。
【図5】本発明の実施態様に従った中心通路とシェルの外側に位置する誘導加熱機とを備える熱ロールを示す打面図である。
【図6】本発明の実施態様に従った中心通路とシェルの内側に位置する誘導加熱機とを備える熱ロールを示す断面図である。
【図7】本発明に従った熱ロールの実施態様を示す縦断面図である。
【図8】図7に示される熱ロールの断面図である。
【図9】本発明の他の実施態様に従った熱ロールを示す断面図である。
【図10】本発明の一部の実施態様において用い得る熱ロールシェルの層及び流路を示す断面図である。
【図11】本発明の有利な第一実施態様に従った熱ロールシェルの溝付き最内側層を示す部分断面図である。
【図12】図11に示されるシェルの最内側層、及び、最内側層を取り囲み且つ伝熱層として作用する材料層を示す部分断面図である。
【図13】本発明の第一実施態様に従って伝熱特性に関して最適化され、且つ、伝熱媒体のための流路を備える熱ロールのシェルを示す部分断面図である。
【図14A】部分が組み合わされ、且つ、本発明の有利な第二実施態様に従って伝熱特性に関して最適化された熱ロールを示す展開斜視図である。
【図14B】2つの適合部分の境界面に形成された流路形状を示す部分断面図である。
【図15】本発明の第三実施態様に従った熱ロールシェルを示す部分断面図である。
【図16】本発明の第三実施態様の変形に従った熱ロールシェルを示す部分断面図である。
【図17】本発明の第一実施態様に従った熱ロールのシェル内の温度分布を例示的に示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0144】
図1を参照すると、図1は本発明に従った未塗布熱ロールの実施態様を示す断面である。
【0145】
図1に示される実施態様の熱ロールには、伝熱媒体のための径方向中心のボア又は通路2と、中心通路2を定め、1つの金属から成る材料層1で全体的に形成される熱ロールシェルとがあり、材料層の外面4は、繊維状ウェブの処理ために、繊維状ウェブと接触している。
【0146】
本発明によれば、金属材料層1の熱伝導率は特に良好であり、それは材料層1の熱伝導率λが>70W/mKであることを意味する。そのような特に良好な熱伝導率の故に、ロールは、高い伝熱容量を有し、150〜400kW/mと同じ程の高さでさえある。しかしながら、将来の繊維状ウェブ成形機においては、衝撃乾燥機(図5参照)及び長ニップが熱ロールに関連付けられ、且つ、繊維状ウェブ成形機の運転速度が上昇すると、さらに大幅により高い伝熱容量が必要とされ、500〜800kW/mと同じ程の高さでさえあることが留意されるべきである。直径が1.0〜1.5mの範囲内である本発明の1つの実施例に従った用途において、比伝熱容量は30〜260kW/mの範囲内である。
【0147】
図2を参照すると、それは本発明に従った熱ロールの実施態様の断面図である。
【0148】
図2の実施態様において、熱ロールは硬化被膜を有し、それはロールの耐摩耗性を向上し、黒鉛若しくは金属の硬化被膜又はそれらの類似物から成る。硬化被膜の厚さは5mm未満であり、典型的には0.01〜2mmである。
【0149】
図2の実施態様の熱ロールには、伝熱媒体のための径方向中心のボア又は通路2と、中心通路2を取り囲み、且つ、1つの金属から成る材料層1と材料層上に配置される硬化被膜とによって形成される熱ロールシェルがあり、硬化被膜の外面5は、繊維状ウェブの処理のために、繊維状ウェブと直接的に接触している。
【0150】
よって、熱ロールの中心通路2は、伝熱媒体のための流路として作用する。この通路2は、移動部、流れガイド、又は、例えば、粗面化若しくは溝削りによって中心通路2の表面を適切に成形することによるような、流れ及び伝熱を向上する既知の機器を備え得る。中心通路のシステムは、その直径における、或いは、より一般的には、その断面流れ領域における軸方向に可変でもあり得る。ロールシェルを通過する熱流速が軸方向(CD方向)に均一であるよう、流れを増進し制御することが一般的に必要である。
【0151】
図2の実施態様において、本発明によれば、金属材料層1の熱伝導率は特に良好であり、それは材料層1の熱伝導率λが、>70W/mKであることを意味する。そのような特に良好な熱伝導率の故に、ロールは高い伝熱容量を有し、150〜400kW/mと同じ程の高さでさえある。しかしながら、将来の繊維状ウェブ成形機においては、衝撃乾燥機(図5参照)及び長ニップが熱ロールに関連付けられ、且つ、繊維状ウェブ成形機の運転速度が上昇すると、さらに大幅により高い伝熱容量が必要とされ、500〜800kW/mと同じぐらいの高さでさえあることが留意されるべきである。直径が1.0〜1.5mの範囲内である本発明の1つの実施例に従った用途において、比伝熱容量は30〜260kW/mの範囲内である。
【0152】
図3を参照すると、それは本発明に従った周辺通路を備える未塗布熱ロールの実施態様を示す断面図である。
【0153】
図3の実施態様の熱ロールには、伝熱媒体のための径方向中心のボア又は通路2と、中心通路2を取り囲み且つ全体的に1つの金属から成る材料層1から成る熱ロールシェルとがあり、材料層の外面4は、繊維状ウェブの処理のために、繊維状ウェブと直接的に接触している。
【0154】
本発明によれば、金属材料層1の熱伝導率は特に良好であり、それは材料層1の熱伝導率λが、>70W/mKであることを意味する。そのような特に良好な熱伝導率の故に、ロールは高い伝熱容量を有し、150〜400kW/mと同じ程の高さでさえある。しかしながら、将来の繊維状ウェブ成形機においては、衝撃乾燥機(図5参照)及び長ニップが熱ロールに関連付けられ、且つ、繊維状ウェブ成形機の運転速度が上昇すると、さらに大幅により高い伝熱容量が必要とされ、500〜800kW/mと同じ程の高さでさえあることが留意されるべきである。直径が1.0〜1.5mの範囲内である本発明の実施例に従った用途において、比伝熱容量は30〜260kW/mの範囲内である。
【0155】
伝熱特性を強化するために、図3の実施態様における熱ロールシェルの材料層1は、回転軸と平行な或いは熱ロールの回転軸の方向から逸れた周辺又はシェル通路3を備えることで、中心ボア又は通路2に加え、この通路を通じて伝熱媒体を通し得る。
【0156】
図3の実施態様に従った周辺通路3は、移動部、流れガイド、又は、シェル通路3の内面を適切に成形することによるような、流れ及び伝熱を制御する機器と備え得る。通路3はそれらの直径における、或いは、より一般的には、それらの断面流れ領域における軸方向に可変でもあり得る。システムの通路から得られる熱流速通過がロールの軸方向(CD方向)に均一であるべきであるために、流れを増進することが一般的に必要である。
【0157】
従来的な熱ロールにおけるように、伝熱媒体がシェル通路のシステム内のみを流させられるよう、図3及び4のロール構造を用い得る。
【0158】
図4を参照すると、それは本発明に従った周辺通路3を備えた熱ロールの実施態様の断面図である。
【0159】
図4の実施態様において、熱ロールは硬化被膜5を有し、それはロールの耐摩耗性を向上し、黒鉛、金属、セラミック、又は、それらの類似物の硬化被膜から成る。硬化被膜の厚さは5mm未満であり、典型的には、0.01〜2mmである。
【0160】
図4の実施態様の熱ロールには、伝熱媒体のための径方向中心のボア又は通路2と、通路を取り囲み且つ1つの金属の材料層1から成る熱ロールシェルと、材料層1上に配置された硬化被膜とがある。繊維状ウェブの処理のために、硬化被膜の外面5は繊維状ウェブと直接的に接触している。
【0161】
図4の実施態様において、本発明によれば、金属材料層1の熱伝導率は特に良好であり、それは材料層1の熱伝導率λが、>70W/mKであることを意味する。そのような特に良好な熱伝導率の故に、ロールは高い伝熱容量を有し、150〜400kW/mと同じぐらいの高さでさえある。しかしながら、将来の繊維状ウェブ成形機においては、衝撃乾燥機(図5参照)及び長ニップが熱ロールに関連付けられ、且つ、繊維状ウェブ成形機の運転速度が上昇すると、さらに大幅により高い伝熱容量が必要とされ、500〜800kW/mと同じぐらいの高さでさえあることが留意されるべきである。直径が1.0〜1.5mの範囲内である本発明の実施例に従った用途において、比伝熱容量は30〜260kW/mの範囲内である。
【0162】
伝熱特性を強化するために、図4の実施態様における熱ロールシェルの金属材料層1は、回転軸と平行な或いは熱ロールの回転軸の方向から逸れた周辺又はシェル通路3を備えることで、中心ボア又は通路2に加え、この通路を通じて伝熱媒体を通し得る。
【0163】
本発明に従ったロールのシェル部分を製造する方法としてそれ自体既知の方法を用い得る。フィンランド国特許第106054号に開示されているように、鋳造技術の方法を用いて、切削及び鍛造による粉末冶金手段を用いて、全体的に或いは部分的にロールを製造し得る。
【0164】
シェル部に関して用いられるのと同一の既知の方法によって、本発明に従ったロールの端部及びシャフト部を製造し得る。シェルと同一材料で端部を製造し得るが、特に有利には、それらは鋼のような負荷に良く耐える金属から製造される。
【0165】
周辺通路3の機械加工を容易化するために、熱ロールが、例えば、穿孔によって形成される軸方向又は螺旋状に延びる通路を備えるロール区画から成るよう、熱ロールが、その回転軸の方向における部分から成るのが有利であり、ロール区画が次々に配置されるときに、その通路は、熱ロールの全長又は選択的長さ/部分に亘って延びる周辺通路を形成する。ロールシェルは、例えば、フィンランド国特許第106054号から既知のような粉末冶金方法によって製造されるのが特に有利であり、その場合には、周辺通路のシステムをシェルの製造との関連で製造し得る。
【0166】
図5を参照すると、それは、中心通路と、本発明に従ったシェル外側に配置された誘導加熱機とを備える熱ロールを備えている。
【0167】
図5の実施態様の熱ロールには、伝熱媒体のための径方向中心のボア又は通路2と、中心通路2を取り囲み且つ全体的に1つの金属から成る材料層1から成る熱ロールシェルとがあり、材料層の外面4は、繊維状ウェブの処理のために、繊維状ウェブに直接的に接触している。
【0168】
図5の実施態様において、本発明によれば、金属材料層1の熱伝導率は特に良好であり、それは材料層1の熱伝導率λが、>70W/mKであることを意味する。そのような特に良好な熱伝導率の故に、ロールは高い伝熱容量を有し、150〜400kW/mと同じ程の高さでさえある。しかしながら、将来の繊維状ウェブ成形機においては、衝撃乾燥機及び長ニップが熱ロールに関連付けられ、且つ、繊維状ウェブ成形機の運転速度が上昇すると、さらに大幅により高い伝熱容量が必要とされ、500〜800kW/mと同じぐらいの高さでさえあることが留意されるべきである。直径が1.0〜1.5mの範囲内である本発明の実施例に従った用途において、比伝熱容量は30〜260kW/mの範囲内である。
【0169】
伝熱特性を強化するために、図5の実施態様における熱ロールのシェルの金属材料層1は、回転軸と平行な或いは熱ロールの回転軸の方向から逸れた周辺又はシェル通路3を備え、その通路は必要に応じて構成され得るが、必ずしも必要ではなく、中心ボア又は通路2に加え、その通路を通じて伝熱媒体を通し得る。ロールシェルを制御された方法で迅速に冷却するのが望ましいときに、例えば、点検運転停止が必要となるときに、周辺通路を誘導加熱と関連してロールの冷却のために用いるのが特に有利である。加えて、図5の実施態様に従った熱ロールは、外部誘導加熱機6を備え、それは熱ロールシェルの外面4上に直接的に作用する。誘導加熱機を、例えば、図6に示されるように、熱ロールの内部誘導加熱機として配置し得ること、並びに、誘導加熱機又は複数の誘導加熱機を熱ロールの内部及び外部の双方に配置し得ることも留意されるべきである。
【0170】
周辺通路3の機械加工を容易化するために、熱ロールが、例えば、穿孔によって形成される軸方向又は螺旋状の通路を備えるロール区画から成るよう、熱ロールが、その回転軸の方向における部分から成るのが有利であり、ロール区画が次々に配置されるときに、その通路3は、熱ロールの全長又は選択的長さ/部分に亘って延びる周辺通路を形成する。ロールシェルは、粉末冶金方法によって製造されるのが有利であり、その場合には、流れ媒体をシェル部の製造との関連で形成し得る。
【0171】
図6を参照すると、それは中心通路及び本発明の実施態様に従ったシェル内部に配置された誘導加熱機を備える熱ロールを示している。
【0172】
図6の実施態様の熱ロールには、伝熱媒体のための径方向中心のボア又は通路2と、中心通路2を取り囲み且つ全体的に1つの金属から成る材料層1から成る熱ロールシェルとがあり、材料層の外面4は、繊維状ウェブの処理のために、繊維状ウェブに直接的に接触している。
【0173】
図6の実施態様において、本発明によれば、金属材料層1の熱伝導率は特に良好であり、それは材料層1の熱伝導率λが>70W/mKであることを意味する。そのような特に良好な熱伝導率の故に、ロールは高い伝熱容量を有し、150〜400kW/mと同じぐらいの高さでさえある。しかしながら、将来の繊維状ウェブ成形機においては、衝撃乾燥機及び長ニップが熱ロールに関連付けられ、且つ、繊維状ウェブ成形機の運転速度が上昇すると、さらに大幅により高い伝熱容量が必要とされ、500〜800kW/mと同じぐらいの高さでさえあることが留意されるべきである。直径が1.0〜1.5mの範囲内である本発明の実施例に従った用途において、比伝熱容量は30〜260kW/mの範囲内である。
【0174】
伝熱特性を強化するために、図6の実施態様における熱ロールのシェルの金属材料層1は、回転軸と平行な或いは熱ロールの回転軸の方向から逸れた周辺又はシェル通路3を備え、その通路は、図6中に破線で示されるように、必要に応じて構成され得るが、必ずしも配置される必要はなく、中心ボア又は通路2に加え、その通路を通じて伝熱媒体を通し得る。ロールシェルを制御された方法で迅速に冷却するのが望ましいときに、例えば、点検運転停止が必要となるときに、周辺通路を誘導加熱と関連してロールの冷却のために用いるのが特に有利である。加えて、図6の実施態様に従った熱ロールは、外部誘導加熱機7を備え、それは熱ロールのシェル上に作用する。
【0175】
例証として、1つの例示的な実施態様に従ったカレンダの熱ロールにおいて達成可能な特定値としてそれを述べ得る:
【0176】
− 直径は有利に 1500mm、例えば0.8〜2mであり得る。
− シェル厚さは有利に 100mm、50〜250mmであり得る。
− オイル温度は有利に 300℃、100〜400℃であり得る。
− ロール表面温度 250℃、100〜380℃であり得る。
− (ウェブへの)比熱 250kW/m、150〜400kW/mであり得る。
− 比熱容量 53kWm、24〜260kW/mであり得る。
【0177】
例証として、他の例示的な実施態様に従ったプレス又は衝撃プレスの熱ロールにおいて達成可能な特定値としてそれを述べ得る:
【0178】
− 直径は有利に 1500mm、例えば0.8〜2mであり得る。
− シェル厚さは有利に 100mm、50〜250mmであり得る。
− オイル温度は有利に 50〜400℃。
− ロール表面温度 50〜380℃。
− (ウェブへの)比熱 150〜800kW/m。
− 比熱容量 24〜320kW/m
【0179】
本発明に従った構成において用い得る被覆層は、例えば、黒鉛、金属、又は、セラミックの硬化被膜であり得る。その厚さは5mm未満、有利には0.01〜2mm、特に有利には0.01〜0.5mmである。塗膜は、硬化クロムめっき、溶射塗膜(例えば、HVOF)、又は、被覆溶接又はレーザ被覆法であり得る。
【0180】
図7を参照する。図面は、本発明の実施態様に従った熱ロールの縦断面図である。熱ロールは、回転シェル11と、ロール本体12とを含み、ロール本体は非回転であるか、或いは、シェルの回転動作速度と少なくとも実質的に異なる回転動作を伴って回転し、よって、ロール本体12とシェル11との間に間隙を定める対向表面は明らかな速度差を有する。
【0181】
熱ロールは、ロール本体12とシェル11との間の伝熱媒体のために、ロール本体12の長手及び円周方向に、少なくとも1つの流路13を備える。伝熱媒体は分配路16(複数を含む)から流路13に通り、分配路の入口導管は、熱ロールの幅全体に亘って実質的に同時に、熱ロールの端部にあり、伝熱媒体は流路から伝熱媒体の放出路17に除去され、放出路の放出導管も、熱ロールの幅全体に亘って実質的に同時に、熱ロールの端部にある。
【0182】
図8及び9を参照する。伝熱媒体は伝熱媒体供給手段によって流路に通り、伝熱媒体供給手段は、分配路16(複数を含む)、及び、分配路に接続された入口131(複数を含む)、並びに、放出路17(複数を含む)、及び、放電通路に接続された出口132(複数を含む)を含む。伝熱媒体は、少なくとも1つの伝熱媒体入口131を通じて、少なくとも1つの分配路16から流路13に通り、伝熱媒体は、少なくとも1つの伝熱媒体出口132を通じて、流路13から少なくとも1つの放出路17に除去される。分配路16(複数を含む)と流路13との間の流れ部、及び/又は、流路13と放出路17(複数を含む)の間の流れ部には、流路13内の伝熱媒体の流れ及び/又は温度を制御するために、熱ロールの軸方向に、位置特異的な弁又は他の類似絞り手段があり得る。入口131及び/又は出口132の形状は本発明にとって本質的ではなく、流路13を分配路16及び/又は放出路17と流れ連絡に接続するために、異なる通路設計を用い得る。
【0183】
流路13内の伝熱媒体の流れを流れ制御手段14によって制御し得ることが本発明の特徴である。熱い加熱媒体の導入及び除去はロールの幅全体に亘って生じるので、顕著な温度差が熱ロールの軸方向に創成され得ず、或いは、少なくとも温度差を制御することはより容易である。本発明の構造によれば、伝熱媒体の流れは、シェル11と本体12との間の流路13の流れ間隙15に通るよう構成され、流れ間隙内には、流れ間隙内を軸方向に通る流れの代わりに、ロールの実質的に円周方向に特定の移動部があり得る。上述の移動部は、例えば、図8及び9に示される流れ制御手段14である。熱ロールの円周方向における流れは、流動時に冷却を行うオイルが、熱ロールの軸方向における温度差を引き起こさないという利点をもたらす。流れ媒体の進入開口及び退去開口、即ち、流れ媒体の入口開口131及び出口開口132は、熱ロールの実質的に幅全体に亘って、熱ロールの中心部、即ち、本体12と関連して配置される。その場合には、流路13内の伝熱媒体の流れ及び/又は温度を制御することによって、シェル11の表面温度は、制御された方法で均一に或いは可変に、熱ロールの全長に亘って制御される。これは繊維状ウェブがシェル加熱によって外形描写されることを可能にする。
【0184】
別個の制御手段14を用いて成形される別個の流れ間隙15なしでも、流れが通路13内に起こり得ることが留意されるべきであり、その場合には、流れシステムは、本体部12及びシェルの壁の成形によってのみ決定される。流れに関して満足し得る方法で、具体的には、本体部12に関して壁の成形を選択し得るし、単純な構造をさらに達成する。
【0185】
プロファイル化効果は、流路13、即ち、流れ間隙15の高さに加え、流路13の長さも調節することによって、本発明の1つの実施態様に従って達成される。本発明によれば、流れ間隙15は、概ね、シェル11の内面と本体12の外面との間に定められる。具体的には、流れ間隙の絞り部は、シェル11とシェル11の方向に向けられた流れ間隙の周面との間に形成される。制御手段14は移動可能なので、流れ間隙15の高さを調節することが可能になり、それを閉塞することさえ可能になる。幾つかの制御手段を円周方向に連続的に配置すること、或いは、それらの絞り効果を他の方法で流れ方向に継続し得ることをさらに考え得る。よって、図8及び9に示される有利な実施態様において、流れ間隙15の高さ及び/又は長さ、即ち、間隙内の流れを調節する目的のために、各制御手段14は、ブロック素子、即ち、プロファイル化ブロック14によって形成され、それは軸方向に位置特異的であり、ロール本体内に配置され、且つ、径方向、円周方向、又は、軸方向において流れ間隙を操作する。
【0186】
代替的に、伝熱媒体の流路13内の流れ間隙15の高さ及び/又は長さを調節し、繊維状ウェブが外形描写されることを可能にする伝熱媒体の流れ制御手段14は、例えば、プロファイル化ブロック内に配置され、径方向又は円周方向に移動可能な関節突出部(図示せず)、即ち、プロファイル化部である。
【0187】
一般的に、伝熱媒体内の流れ通路13内の流れ間隙15の高さ及び/又は長さを調節し、繊維状ウェブがプロファイル化されるのを可能にする伝熱媒体の流れ制御手段14、即ち、プロファイル化部は、移動可能である或いはその形状を変える伝熱媒体流れ絞り及び/又は移動部14であり、それを用いることによって、流路13の流れ間隙15の高さ及び/又は流路13の長さを少なくとも調節し得る。
【0188】
本発明の有利な実施態様において、ロール本体12とシェル11との間の流路内の伝熱媒体の流れの制御は、絞り及び/又は移動部14によって達成される。少なくとも1つの絞り及び/又は移動部14が、ロール本体12の長手方向及び/又は円周方向に連続的に流路内に配置されている。各絞り及び/又は移動部は、それ自体とシェル11との間の径方向に1つ又はそれ以上の流れ間隙15を形成し、その間隙距離は1〜50mmであり、有利には約5〜25mmである。
【0189】
この間隙距離及び流れ間隙15の長さは、伝熱計算に基づいて、円周方向に十分に長いような寸法とされる。しかしながら、有利に、流れ間隙は、内周の長さの20%を超える部分において有効である。流れ間隙15の機能は、間隙流からロールシェル11の内面への伝熱は効率的であるように、極めて乱れた混合流が最も有利に創成されるよう伝熱媒体の流れを加速することである。
【0190】
本発明によれば、具体的には、乱れた混合流をもたらすために、プロファイル化部が流路内にストレートフェースで鋭角の障害を形成すること、及び、熱ロールの回転方向におけるプロファイル化部のプロファイルが、流れ間隙15の対向部におけるそれぞれの領域の外形と有利に合致することを推奨できる。プロファイル化部、即ち、移動部14が本発明に従って流路13内において径方向及び/又は円周方向にも追加的に移動可能であるとき、極めて乱れた伝熱媒体の混合流を発生するよう、流路13の流れ間隙15の間隙距離を調節可能であり、それは伝熱媒体からシェル11への伝熱を増進する。例えば、シェル11の内面及び/又はロール本体12の外面の少なくとも部分的な溝削り、粗面成形、又は、他の種類の成形によって、伝熱媒体流の乱流をさらに増進可能であり、それは流れの乱流を増進する。
【0191】
伝熱流媒体の入口開口131及び出口開口132を例えば図8に示されるように構成することによって、及び、絞り手段及び/障害部18が本体12の外面とシェル11の内面との間の流路13の相当部分を絞る(或いは全部閉塞する)よう、適切な絞り手段又は障害部18を流路13内のこれらの開口の間に配置することによって、ロールのシェル11と本体12との相対的回転動作が、顕著なポンプ作用を生み出し、そのためのエネルギーはシェル11の回転動作から取られる。入口開口131と出口開口132との間に配置され、且つ、調節可能、例えば、ロールの径方向に移動可能な絞り手段18は、流動する伝熱媒体内の圧力差を増進する。別個のポンプの必要は低減され、大きな通過流が達成され、それは高い伝熱容量を意味する。よって、熱ロールそれ自体はポンプとして作用する。その上、ポンプ作用は、まさにより多くの容量も必要とされるときに、速度の上昇に伴って増進される。
【0192】
図9を参照する。多くの場合、本体12は固定的であるよう適合される。図面の実施態様において、本体12は回転し、例えば、本体12はその両端で軸支されている。回転の中心軸POの周りのこの種類の本体12の自由回転は、本発明に従った本体12の幾何学的な中心軸POから位置ずれするよう配置された質量中心PMによって防止又は阻止されている、即ち、本体12は偏心している。
【0193】
熱ロールシェル11に対して移動可能なロール本体12も実現可能である。よって、流路13の流れ間隙15の高さ、即ち、間隙距離を、例えば、シェル11に対して熱ロール本体12を移動すること、屈曲すること、熱ロール本体12の形状又はサイズを調節すること、或いは、本体12に接続された別個の作動手段を調節することのいずれかによって機械的に調節することが可能である。さらに、ロールシェルの内部にあり、且つ、流れを制御し移動する本体部12は、流路内の間隙距離を調節するための別個の可動作動手段を必要とすることなく、全体的又は部分的にサイズ又は形状を調節可能である。
【0194】
シェルは回転するので、シェル11のこの内面は流れの一部をそれに「引き付け」、中心部12は完全に又は殆ど静的であるので、中心部12の外面は流れを遅くする。その関係で、ロールシェル11の内面上の流速、及び、本体12の外面上の流速は、相互に大幅に異なり、そのため、流速の大きな差に起因する極めて強力なずり磁場が創成される。ずりの故に、流れ及び伝熱境界層はより薄くなり、乱流がより容易に発生し、伝熱が向上される。流路13の流れ間隙15内の熱ロールの円周方向における伝熱媒体の流れは、熱ロールの本体12を回転する傾向にあるが、これは、本体12内に偏心質量中心PMを配置すること、又は、本体12の固定支持を用いることのいずれかによって、本発明の1つの実施態様に従って相殺される。その場合には、回転するよう軸支された本体12は、非回転に留まるか、或いは、シェル11よりも大幅に遅く回転する。
【0195】
図10乃至17は、繊維状ウェブの処理のために用いられ、且つ、シェル内部に配置され、よって、有利に伝熱手段を用いることによって、内部で加熱可能又は冷却可能な伝熱手段を備える熱ロール10’、20’、101’を例証している。熱ロール10’,20’,101’のシェルは、少なくとも2つの、一部の実施態様では3つの材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’を含む。最外側の材料層の表面14a’,24a’は、繊維状ウェブ又はワイヤと接触している。
【0196】
本発明に従って伝熱特性に関して最適化された熱ロール10’,20’,101’は、1つの部分、又は、軸方向における幾つかのロール区画から成る。少なくとも2つの、一部の実施態様では、有利に3つの材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’が、熱ロール10’,20’,101’のシェル内に次々に径方向に配置されている。
【0197】
本発明の第一実施態様によれば、少なくとも2つの異なる材料層11’,13’,14’,21’,24’が、製造技法を用いて、熱ロールのシェル内に次々に径方向に配置され、その材料層は、異なる段階におけるそれらの製造技法に関して或いは異なる方法によって製造され、よって、1つの実施態様によれば、熱ロールのシェル内の各材料層の熱伝導率は20〜70W/mKの範囲内にある。
【0198】
本発明の第二実施態様によれば、材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’は、熱ロールのシェル内に次々に径方向に配置されており、少なくとも2つの材料層の熱伝導率は互いに異なり、よって、1つの実施態様によれば、熱伝導率が互いに異なる材料層の少なくとも1つは、伝熱層13’,23’であり、それらは熱を特に良好に伝導する金属材料であり、熱ロールのシェルに亘る熱ロールの有効熱伝導率λは、>70K/mKである。
【0199】
加えて、少なくとも1つの材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’内に、或いは、段階状若しくは層状に製造された又は段階状若しくは層状に組み立てられた又はそれ自体の内部に少なくとも1つの材料層によって境界付けられた又は2つの材料層の境界ゾーン内の材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’内に、伝熱媒体流路15’,25’,30’,151’,152’がある。
【0200】
本発明の1つの有利な実施態様によれば、流路の少なくとも一部が、有利に熱ロールの外面から最大50mmの距離に、より有利に10〜40mmの距離に配置されるようにシェルの表面層14’,24’の外面14a’,24a’と熱ロールの流路のシステムとの間の伝熱距離が短く構成されるよう、熱ロールは、伝熱媒体流路15’,25’,151’,152’のシステムを含む。
【0201】
伝熱及び熱の均一な分配を増進するために、熱ロール10’,20’,101’は、伝熱のための伝熱手段を含む。
【0202】
− 図10乃至14Bに示されるように、伝熱手段は、熱ロール10’,20’の内部層11’,21’と繊維状ウェブと接触し且つ伝熱層13’,23’を形成する表面層14’,24’との間に配置された材料層を含み、本発明の1つの実施態様に従えば、それは内部層11’、21’の熱伝導率よりも高い熱伝導率の材料である。本発明の1つの実施態様に従えば、伝熱層13’,23’の材料は、有利に熱を特に良好に伝導し、且つ、>70W/mKの有効熱伝導率を有する材料である。
【0203】
− 図15に示されるように、伝熱手段は、熱ロール101’の最内側層を形成するよう構成され、且つ、伝熱層13’を形成する材料層を含み、本発明の1つの実施態様に従えば、それは繊維状ウェブと接触し、且つ、伝熱層13’を取り囲む表面層14’の熱伝導率よりも高い熱伝導率の材料である。伝熱層13として作用するこの材料層の材料は、熱を特に良好に伝導し、且つ、>70W/mKの有効熱伝導率を有する材料であり得る。
【0204】
− 図16に示されるように、伝熱手段は熱ロール101’の材料層を含む。その材料層は、より熱伝導的であり、且つ、熱を特に良好に伝導し、>70W/mK’の有効熱伝導率を有する本発明の1つの実施態様に従った材料の伝熱層13’を形成し、その材料層は、余り熱伝導的でない最内側層11’の外側にある。最内側層11’の材料は、内部誘導加熱との関係で最適に選択される。
【0205】
熱を特に良好に伝導する層13’,23’を、例えば、例えば、CuCrZrのような銅合金で製造し得る。伝熱層13’,23’の材料として、真鍮、スズ、アルミニウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、ニッケル、鋼、又は、それらの類似物も使用可能である。伝熱層の材料も、上述の金属を包含する合金又はコンポジションメタルであり得る。
【0206】
伝熱及び熱の均一な分布を増進するために、熱ロール10’,20’,101’は、伝熱のための伝熱手段を含み、その伝熱手段は、伝熱に影響を及ぼし、伝熱媒体流路と熱ロールの外面との間にさえ部分的に位置する層を含む。
【0207】
− 図10乃至14Bに示されるように、伝熱手段は、熱ロール10’,20’の内側層11’,21’と、繊維状ウェブに接触し、且つ、本発明の1つの実施態様に従い、内側層11’,21’の熱伝導率よりも高い熱伝導率の材料である表面層14’,24’との間に配置された材料層13’,23’とを含む。本発明の1つの実施態様によれば、表面層の内側上の層13’,23’の材料は、熱を特に良好に伝導し、>70W/mKの有効熱伝導率を有する材料である。表面層及び表面層の内側上の層の熱伝導率及び/又は他の材料特性は類似し得るので、層外側上の表面層14’,24’と表面層の内側上の表面13’,23’とは、製造技法という意味の層状全体を構成し、同一の材料特性を有し得る。よって、1つの実施態様によれば、熱ロールシェルの材料層の熱伝導率は、20〜70W/mKの範囲内である。
【0208】
− 図15に示されるように、伝熱手段は、熱ロール101’の最内側層を形成するよう配置され、且つ、本発明の1つの実施態様に従えば、繊維状ウェブと接触し、伝熱層13’を取り囲む表面層14’の熱伝導率よりも高い熱伝導率の材料の材料層13’を含む。伝熱層13として竿得するこの材料層の材料は、熱を特に良好に伝導し、且つ、>70W/mKの有効熱伝導率を有する材料であり得る。
【0209】
− 図16に示されるように、伝熱手段は熱ロール101’の材料層を含む。その材料層は、より熱伝導的であり、且つ、熱を特に良好に伝導し、>70W/mK’の有効熱伝導率を有する本発明の1つの実施態様に従った材料の伝熱層13’を形成し、その材料層は、余り熱伝導的でない最内側層11’の外側にある。最内側層11’の材料は、内部誘導加熱との関係で最適に選択される。
【0210】
本発明の1つの実施態様によれば、熱を特に良好に伝導する層13’,23’を、例えば、例えば、CuCrZrのような銅合金で製造し得る。伝熱層13’,23’の材料として、真鍮、スズ、アルミニウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、ニッケル、鋼、又は、それらの類似物も使用可能である。伝熱層の材料も、上述の金属を包含する合金又はコンポジションメタルであり得る。よって、伝熱層の材料を鋼のような従来的な材料であり得る。
【0211】
伝熱手段は流路も含み、その中を、オイル、水、上記、空気、又は、他の類似の流動するガス状又は液状伝熱媒体のような伝熱媒体が流れている。本発明に従って配置された伝熱手段は、熱ロールの加熱の場合に、流動媒体から熱ロールの外面14a’,24a’への伝熱を増進するよう作用し、相応して、それらは、熱ロールの冷却の場合に、熱ロールから流動媒体への伝熱を増進するよう作用する。熱は、伝熱媒体を用いて、シェル内部に位置する流路15’,25’,151’,152’を通じて、或いは、熱ロールの中心通路30を通じて、或いは、代替的に、有利に熱ロールの中心通路30とシェル内部に位置する流路15’,25’,151’,152’との双方を通じて、熱ロールから及び/又は熱ロールへ伝導される。
【0212】
具体的には、熱ロールの加熱及び冷却段階に関連して、例えば、運転状態から保守状態への移行又はその逆があるとき、熱ロール内の熱応力が大きくなり過ぎないために、シェル通路及び中心通路を通じて、熱ロールを加熱/冷却することが有利である。熱ロールが良好な熱伝導率を有する材料層内又はその直ぐ近傍に位置するシェル通路を通じてだけ加熱/冷却されるとき、温度変化が相当程度材料層に向けられているので、熱ロールの熱応力は高過ぎるレベルに上昇し、それは伝熱層として作用し得る。熱ロールの加熱又は冷却の期間中、熱応力が構造中に疲労を引き起こさない範囲に留まるよう熱ロール内部の温度差を均一にするために、伝熱層として作用する材料層の内側上又は外側上に位置するより熱伝導的でない材料層内で、別個の伝熱路システムを用いるのが有利である。熱ロールのう内部のために、他の方法で、例えば、内部誘導加熱によって熱を生成可能であり、よって、上述のように、流路内を流動する伝熱媒体を用いて、冷却を達成し得る。
【0213】
本発明に従った熱ロール10’,20’,101’のシェル構造は、熱ロールの動作特性を向上するために、材料の特性、具体的には、熱伝導率及び機械的強度が、熱ロール10’,20’,101’の径方向において層毎状に変化されるよう設計される。熱伝導率及び機械的強度に関する最善を同一材料を用いて同時に達成するのは一般的に可能でないので、本発明の構成に従い、全体的見地から最良の特性を有する材料が、熱ロール10’,20’,101’の径方向外周における各領域のために選択される。
【0214】
図10は、本発明の1つの実施態様に従った熱ロールのシェルの典型的な異なる材料層と、流路の場所又はそれらを熱ロールのシェル内に配置することがどのように可能であるかとを例証している。図示の3つの層の代わりに、本発明に従った熱ロールは、より多くの層、例えば4つの層、又は、図15に示されるような2つの層も含み得る。本発明の実施態様に依存して、所与の材料層は、主として耐負荷層の機能、又は、主として伝熱層の機能を有すること可能であり、或いは、所与の材料層は、耐負荷層及び伝熱層の双方の作用を有することが可能である。
【0215】
図10の実施例において、熱ロールのベース層として作用する内側層11’は、耐負荷材料層11’から成る。内側層11’の周りに配置され且つ伝熱層13’を形成する材料層の作用は、熱ロールに、そして、熱ロールの表面層14’に、そして、熱ロールシェルの外面14a’に流れ込む伝熱媒体を用いて導入される熱容量を効率的に移動することである。流路が幾つかの異なるレベルにあり得るし、熱ロールは、シェル内部のことなる層に位置する流路15’,151’,152’のような流路と、熱ロールシェル内側の中心通路30’とを有し得る。
【0216】
図10に示される熱ロールの原理の断面図の左手部分には、内側層11’と熱ロールのシェルの伝熱層13’が相互に結合する境界面の領域に、即ち、それらの境界ゾーンの領域に、2つの隣接する流路15がある。その流路は、部分的に伝熱層13’に延び、部分的に内側層11’に延びている。その場合には、流路は、内側層の外面及び外側層の内面に対向関係に位置する凹部又は溝12’から成る。
【0217】
熱ロールは、図10の断面図の右手部分に示されるような伝熱層内に実質的に位置する流路151’も備える。その流路は、この実施例では、伝熱層13’又は伝熱層によって完全に取り囲まれている表面層の内側上の層13’の完全に内側にある。
【0218】
熱ロールは、高い熱伝導性の材料層又は伝熱層の内側又は外側にある流路も備え得る。図10の実施例では、流路152’は、その全体が伝熱層13’によって取り囲まれた内側層11’の内側にあり、伝熱層13’の内側には、例えば、内側層11’に形成されたボアによって流路152’が形成されている。流路も等しく上手にその全体が伝熱層を取り囲む表面層内にあり得る。伝熱層の外側には、例えば、表面層に形成されたボアによって流路が形成されている。
【0219】
より一般的に、図14Bは、4つの流路15’を用いて、熱ロール10’を形成する2つの適合部分の境界面に形成される流路形状を示している。図14Bに示されるように、流路15’の全体を内側層Iの外面に作成された凹部又は溝12iによって形成可能であり、熱ロールの径方向における層Iの外面からの凹部又は溝12iの深さを、例えば、流路の伝熱領域を所望になるよう構成するとき、或いは、伝熱媒体の流速を所望になるよう構成するときに適切になるよう選択可能であり、或いは、流路15’の全体を外側層Oの内面に作成された凹部又は溝12oによって形成可能であり、層Oの内面からの凹部又は溝の深さを適切になるよう選択可能であり、或いは、流路15’は内側層I及び外側層Oの双方に適する部分的又は全体的に一致する流れ溝12i,12oから成り得る。
【0220】
流路は、図10の実施例によれば、管を備える流路を事後的に設けることによって、或いは、製造、例えば、熱間プレスに関連して、伝熱層13’の内側の流管16’をシェルの他の層の内側又は2つの層の境界ゾーン内に形成された流路15’,151’,152’の内側に配置することによって、流管16’を備え得る。よって、熱ロールの外面から径方向に選択的な距離で熱ロールのシェル内に配置された流路15’は、流路152’として管を備え得る。以下に記載されるように、流路15’,151’,152’の配置を本発明に従って異なる方法で達成し得る。材料層の測定、並びに、流路の測定及び配置密度は、とりわけ、選択されるべき材料配置によって、及び、各使用場所に移動されるべき熱容量によって決定される。
【0221】
図11乃至13は、本発明の第一の有利な実施態様の一連の図であり、そこでは、熱ロール10’は3つの層から成り、それらは次々に上に配置され、それらは異なる材料であり或いはあり得る。熱ロールのシェルの構造は、熱ロールの動作特性を向上するために、材料の特性、具体的には、熱伝導率及び機械的強度が熱ロール10’の径方向において層毎状に変化するよう設計される。熱伝導率及び機械的強度に関する最善を同一材料で同時に達成することは一般的に可能ではないので、本発明の構成によれば、全体から見て最良の特性を有する材料が、多層熱ロール10’の各層のために選択される。
【0222】
図11に示されるように、熱ロール10’のベース層として作用する内側層11’は、中実な耐負荷材料層11’から成り、それはこの実施例では比較的堅く、有利に管状部11’である。内側層11’の内面11b’は、それ自体の内側に、熱ロール10’の中心通路30’を定める。この実施例では、内側層11’は、熱ロールそれ自体の重量、ニップ力、及び、他の外部力によって引き起こされる負荷の大部分を支持する。円筒形の内側層11’は、屈曲に十分に耐える強く頑丈な材料から成るが、熱伝導率に関しては必ずしも良好である必要はなく、対称的に、とりわけ、熱ロールのシェル内に設けられた流路を通じて加熱及び/又は冷却するに過ぎないとき、断熱容量は、繊維状ウェブの処理プロセスのために、及び、熱ロールの軸受構造(図示せず)へ、そして、そこを通じた機械のフレーム構造への伝熱を防止するために、熱を適切に制限するのに有利であり得る。
【0223】
図11は、熱ロール10’の内側層11’を示している。内側層の外面11a’は凹部又は溝12’を備え、それらは流路のために有利であるよう設計された位置にあり、且つ、より硬い材料にあるので、後に流路15’が形成されるときに穿孔を案内する型として働き得る。具体的には、熱の均一な移動及び分配を保証するために、溝12’は最善な配置及び寸法とされている。溝12’は、例えば、機械加工によって、例えば、切削又は穿孔によって、或いは、熱間プレスのような鍛造又はプレスによって、或いは、エッチング処理によって、熱ロールのベースを形成する内側層11’に作成される。図11乃至13に示される熱ロール10’のシェルの表面層の内側上の層/伝熱層及び内側層に、流路(図示せず)もあり得る。流路が、例えば、内側層11に作成されたボアに形成されるよう、流路はその全体が伝熱層13’によって取り囲まれた内側層内にあり得るし、或いは、流路は同等に良好にその全体が内側層11’を取り囲む伝熱層13’にあり得る。
【0224】
図12は、熱ロールの半製品を示す部分断面図であり、そこでは、材料層は図11に示されるシェル10’の溝付き内側層11’の周りに配置されており、材料層は外側面13a’を有する伝熱層13’を形成している。材料/伝熱層13’又は伝熱層13’の主要部を形成し且つこの例示的実施態様では熱ロール10’の最良の熱伝導率を有する材料層13’の内側面13b’は、外側層11a’の形状及び図12中の内側層11’の溝12’に適合している。図12中の領域BBの拡大詳細が図12の右側に示され、そこでは、内側層11’の外面に配置された溝12’には、伝熱層13’の材料のような、内側層11’の材料よりも有利に軟らかな材料がある。半製品の溝12’は、より硬い材料の溝を案内溝として用いて、例えば、穿孔によって開口される。よって、ロール構造の完成ボアは、例えば、ドリル開口された詳細を図12の左側に示す部分断面AAのようである。
【0225】
代替的に、伝熱層13’は、例えば、図14Bに示されるように、円筒形の形状であり得る。その場合には、図12に示される製造の1つの可能な中間段階において、それは溝12’の領域まで延びない。一般的には、表面層14’の内面14b’及び/又は表面層14’の内側上のある層の内面には、凹部又は溝12’があり得る。凹部又は溝12’が内側材料層の外面と共に流路15’を形成するよう、その断面プロファイル形状は、流路15’の断面プロファイルの一部を構成している。表面層14’の内側上に位置するある材料層の外面にも、凹部又は溝12’があり得る。凹部又は溝12’が外側材料層の内面と共に流路15’を形成し得るよう、その断面プロファイル形状は、流路15’の断面プロファイルの一部を構成し得る。より一般的には、熱ロールシェルの材料層の内面及び/又は外面は、流路15’を形成するよう、或いは、流管16’を受容するよう、凹部又は溝12’を備え得る。
【0226】
図13は、本発明の第一実施態様に従った熱ロール10’のシェルの部分断面図であり、シェルは伝熱特性に関して最適化され、流路15を備える。表面層の内側上の層/伝熱層13’は耐水表面層14’によって取り囲まれ、その層厚は表面層の内側上の層/伝熱層の層厚よりもほぼ薄く、その画面14a’の特性及び表面品質は、摩耗、プロセス、及び、使用によって設定される他の要件を満足する。流動する伝熱媒体のためにロール10’のシェル内に位置する流路15’は、この場合には、熱ロール10’の軸と主として平行な或いは殆ど平行な伝熱ボア15’であり、流路は、内側層11’の表面上に位置し且つ図11’に例証される溝12’の領域に形成されている。その溝12’は、図12に示されるように、製造時に一時的に、半製品又は現寸の熱ルールの軸方向にドリル開口するのが容易な軟質材料で充填されている。本発明のこの実施態様において、溝12’は、より硬い材料11’内に配置され且つ流路15’がドリル開口されるときに穿孔を案内する型として働く。一般的に、流路15’は、2つの材料層の境界ゾーン内で材料層の内面又は外面に開口し得る、即ち、流路15’は、伝熱層13’及び内側層11’の境界ゾーン内で内側層11’の外面及び伝熱層13’の内面13b’に開口している。伝熱層13’の機能は、熱ロール10’に導入される熱容量を熱ロールの表面層14’の外面14a’に効率的に移動することである。最良の熱伝導率を有する材料が、伝熱層13’内の可能な限り大きな領域内で、溝12’に配置されるよう設計された流路15’のシステムと表面14a’との間に主として配置される。これによって、伝熱における効率性が達成され、流動する媒体、有利にはオイルと、表面14a’との間の温度が小さくなる。
【0227】
図13は、熱ロールが、表面層の内側上に位置する層/伝熱層の上の表面層14’を有することを示しており、その層によって、熱ロールは3層熱ロールになる。表面層14’の存在は選択的であるに過ぎないこと、及び、表面層の存在は熱ロールの耐摩耗性の観点から実質的により重要であり、その表面構造は圧縮荷重及びたわみ荷重に耐えることが強調されるべきである。有利な表面層は、例えば、厚さが有利1〜5mmの鋼層から成る。表面層は、0.01〜2mmの薄い硬化被膜でもあり得る。
【0228】
図14Bは、熱ロール10’のシェルの2つの層の間に流路15を形成する方法を例証しており、それらの層は次々に上に配置され、それらの層は、適合部の境界面において、適合部として作用する。適合部の組み合わせ時に溝が流路15を形成するよう、溝12i及び12oを事前に適合部、即ち、シェルの層の境界面上に設け得る。流路15’は、内側部に設けられた溝12iだけ、外側部分に設けられれた溝12oだけ、又は、内側及び外側部の双方に設けられた溝から成り得る。内側部及び外側部の双方に位置し、流路15’を形成する溝12i,12oは、有利に全く対向関係に位置し得るし、或いは、溝12i,12oは、相互に横方向部分的に位置ずれし得る。
【0229】
図14Aは、本発明の第二実施態様に従って少なくとも2つの部分から組み立てられる熱ロール20’を例証している。ここで、熱ロール20’のシェル、具体的には、熱ロールシェルの伝熱層23’又は伝熱層の主要部を形成する材料層は、次々に配置され且つ組み立てられた部分231’,232’,233’等から成り、熱ロールの表面層24’は、ディスク形状、管状、又は、円筒状の少なくとも1つの部分から成る。よって、表面層を形成する部分及び/又は伝熱層を形成する部分は、熱ロール20’の全長に亘って延び且つ熱ロールと同軸の連続的シリンダであり得る。熱ロール20’の表面層24’は、内側に次々に及び/又は軸方向に次々に配置され/組み合わせられた円筒形部分の少なくとも2つの表面層(即ち、熱ロールの長さに対してより短い区分ロールの表面層)から成り得る。それらの円筒形部分は円周方向に連続的な部分から成り得る。
【0230】
本発明の1つの実施態様に従った熱ロールにおいて、シェル又は端部部分のような少なくとも1つの部分は、非均一な熱伝導率又は熱膨張係数、即ち、場所について変化する熱伝導率又は熱膨張係数を有する。よって、シェルの熱伝導率は、具体的には、径方向に変化し、及び/又は、端部部分の熱伝導率は、具体的には、軸方向の関数として変化する。粉末冶金手段によって該特性を提供し得る。
【0231】
表面層の内側上の層/伝熱層23’を形成する部分、或いは、伝熱層23’を形成する部分は、熱ロール20’のベースとして作用し且つ1つ又はそれ以上の連続的な管状部分から成る内側部分、即ち、内側層21’の周りの軸方向に配置され、或いは、組み合わされる。明瞭性の故に、図14Aは、伝熱層23’の周りに組み合わされた熱ロール20’の表面層24’を示していない。表面層24’は、1つ又はそれ以上の部分から成り得るし、或いは、それは、連続的な部分又は連続的部分の組み合わせの代わりに、例えば、鋳造、溶接、溶射、成層、プレス、又は、連続的な層を形成する他の均等な製造方法によって、その内側上の材料層の周りに配置される連続的な材料層に作成し得る。本発明に従った熱ロール20’は表面層24’及び/又は内側層21’なしであってもよいことが留意されるべきである。
【0232】
本発明の第二実施態様においては、図14Aの中央部に示されるように、熱ロール20’の組立て前に既に、流路25’又は流れ開口25’を別個の部分231’,232’,233’等に設け得る。よって、部分21’,231’,232’,233’が一体的に結合されると、流路25’が接続され、組み立てられた熱ロール内を貫通して通る流路25’のシステムを形成する。シェル部分が一体に結合されるときに、固定及び/又は結合型、例えば、固定ボルトの穴又は連結形状を備える結合型が相互に適合するよう、固定及び/又は結合部材によって場合によっては必要とされる型(図示せず)を用いて、熱ロール20’の組立て前に既に、別個の部分21’,231’,232’,233’等、及び、24’を有利に設け得る。組み立てられた熱ロール20’が緊密であるよう、部分の適合面は組立て前に機械加工されるか或いはそれらは既に滑らかである。
【0233】
図14A中の各材料層21’,23’、24’を形成する部分は、それらが各特定の接合技法との関連で適切に組み立てられるよう、内側及び外側の測定値及び表面品質について形成される。よって、内側層の外面21a’と表面層の内側上の層の/伝熱層の内面23b’との間の結合、並びに、伝熱層の外面23a’と表面層の内面24b’との間の結合は、機械的適合値をそれぞれ有し、上記表面は、取り付けられるべき各部分の材料特性に従って、並びに、所望の取付け方法に従って決定されるような表面品質をそれぞれ有する。
【0234】
本発明の第二実施態様の変形に従った熱ロール20’において(図面によって示されない)、熱ロールのシェル内に配置された流路は、伝熱層23’と内側層21’の境界ゾーンにおける表面層/伝熱層23’の内側上に位置する層に関連して配置されている。その場合には、流路は、管状内側部分21’の外面に形成され、且つ、熱ロールの径方向における内部凹部又は溝である流路凹部又は溝によって、並びに、伝熱層を形成する部分(複数を含む)の円筒形状の内部表面23b’に設けられ、且つ、凹部又は溝と対向関係に位置する湾曲した外周部によって形成される。内面23b’は、熱ロールの径方向に外側凹部又は溝も含むことができ、その凹部又は溝は流路の外側部分を形成する。内側部分21及び伝熱層23’を形成する部分(複数を含む)が組み立てられるとき、流路の内側及び外側部分は、貫通流路システムを一体的に形成する。
【0235】
図15は、本発明の第三実施態様に従った熱ロール101’のシェルを示している。図15’の熱ロール101’のシェルは、熱伝導率が熱ロール101の径方向において層毎状に変化する2つの材料層を含む。熱を良好に伝導する材料層は、熱ロール101’の1つの伝熱手段を形成するよう配置されており、材料層は伝熱層13’を形成し、それは図15ではより熱伝導性のない表面層14’の内側上にある。
【0236】
図15に示される熱ロール101’は内側から加熱可能であり、よって、内側伝熱層13’の内面30’は、それ自体の内部に、熱ロール101’の第二伝熱手段として中心通路30’を定める。伝熱媒体が中心通路内を流れ、或いは、中心通路30’は、TOKUDENロール内の内部誘導加熱コイルのような第三伝熱手段を備え、或いは、熱ロール101’は、とりわけ、熱ロール101’の加熱及び冷却中の熱応力を低減するために、第四伝熱手段によってシェル内に配置された流路(図示せず)を備え得る。内部加熱可能なロールの1つの大きな問題は、例えば、シェル材料が低い熱伝導率及び/又は外面までの伝熱距離が大きいときに、厚いシェルに起因する比較的高い伝熱抵抗を有し、それ故に、内側部分と熱ロールの外面との間の温度差が大きいことであり、軽く100℃のオーダである。もし伝熱領域、即ち、繊維状ウェブに移動されるべき熱容量が熱ロールのシェルに移動される領域、繊維状ウェブから移動されるべき熱容量が熱ロールのシェルから移転される領域、例えば、熱ロール101’のシェル内に配置された流路とその外面との間の層、図15の場合には、中心通路30’と外面14a’との間の層、主として伝熱層13’が、大部分、例えば、熱を特に良好に伝導する銅又は他の均等材料であるならば、伝熱を大幅に増進し得る。実際上、シェルに亘って有効な温度差は、同一の総容量で、例えば、100℃から約20〜25℃まで低減される。
【0237】
図15において、熱ロール101’のシェルの主要部を構成する伝熱層13’は、熱を特に良好に伝導する材料、例えば、銅合金であり得る。これに加えて、表面層14’として、圧縮及びたわみ荷重に対して強度をもたらす鋼層のような材料層を用いることが可能である。図15の場合、特に良好な配置は、伝熱層13’を熱ロール101’の内側部分内に配置し、より薄い鋼シェルをその外側に配置することであるが、異なる配置も実現可能である。適切な合金とされると、伝熱層13’のために用いられる材料、例えば、鋼よりも良好に熱を伝導する銅又は均等材料は、熱ロールのベース又は耐荷重層を形成するために十分に強力であり得るので、表面層14’を形成するために、即ち、熱ロール101’の外面14a’のために、薄い硬化被膜だけが必要とされさえする。伝熱層13’として作用する熱ロール101’の最内側層は、熱ロール101’それ自体の重量、ニップ力、及び、他の外部力によって引き起こされれる荷重を主として支持する層であり得るし、或いは、表面層14’よりも良好に熱を伝導する層13’を耐荷重層を形成するために配置し得る。
【0238】
図16は、本発明の第三実施態様の変形に従った熱ロール101’のシェルを示している。図16における熱ロール101’のシェルは、熱伝導率が熱ロール101’の径方向において層毎状に変化する2つの材料層を含む。より良好に熱を伝達する材料層は、熱ロール101’の1つの伝熱手段を形成するよう配置されており、伝熱層13’を形成する材料層は、図16において、余り熱伝導的でない最内側層11’の外側にある。最内側層11’の材料は、材料内に渦電流が十分に誘起されるよう、内部誘導加熱について最善に選択される。伝熱層13’の外側には、薄い余り熱伝導的でない表面層14’があっても良く、この表面層は図16中に破線で示されている。最内側層11’の内面11b’が、それ自体の内側に、熱ロール101’の第二伝熱手段としての中心通路30’を定めるよう、図16に示される熱ロール101’は、内側から加熱可能であり得る。中心通路を流動する伝熱媒体、又は、中心通路30’は、TOKUDENロール内の内部誘導加熱コイルのような第三加熱手段を備え、或いは、とりわけ、熱ロール101’のシェルの加熱及び冷却中の熱応力を軽減するために、熱ロール101’は、第四伝熱手段を用いてシェル内に配置される流路(図示せず)を備え得る。
【0239】
図18において、熱ロール101’のシェルの主要部を構成する伝熱層13’は、熱を特に良好に伝導する材料、例えば、銅合金であり得る。これに加えて、考え得る表面層14’として、圧縮及びたわみ荷重に対する強度をもたらす鋼層のような材料層を用いることが可能である。図16の場合には、特に良好な配置は、鉄、鋼、アルミニウム、又は、誘導によって良好に加熱可能な他の類似の材料の最内側層11’の外側に熱ロール101’の表面層を形成するために、厚い伝熱層13’を配置することである。適切な合金とされると、伝熱層13’のために用いられる材料、例えば、鋼よりも良好に熱を伝導する銅又は均等材料は、熱ロールのベース又は耐荷重層を形成するために十分に強力であり得るので、表面層14’を形成するために、即ち、熱ロール101’の外面14a’のために、薄い硬化被膜だけが必要とされさえする。伝熱層13’は、熱ロール101’それ自体の重み、ニップ力、及び、他の外部力に起因する荷重を主として搬送する層であり得るし、或いは、誘導加熱に関して最善な最内側層11’は耐荷重層であり得る。
【0240】
鋼を最外側に配置することによって、即ち、表面層14’を形成するために、より多くのたわみ及び圧縮剛性が熱ロールに付与される。何故ならば、強力な鋼層がたわみの中立軸から離れて位置するからである。よって、熱ロール101’の表面層14’は、熱ロールそれ自体の重み、ニップ力、及び、他の外部力に起因する荷重を主として支持する層としても作用し得るし、或いは、主として耐過重層を形成するために、内側伝熱層13’よりも熱伝導的でない層14’は配置し得る。
【0241】
図16において、熱の観点からすると、鋼シェル14’を最外側に配置することは、より貧弱な熱導体として、鋼層14’は外側層14a’の近傍で伝熱を幾分減速し、よって、温度差は、熱を良好に移動し且つ伝熱層13’を形成する銅層のような材料層の中で均一化する時間を有する点で有利である。温度差の均一化は、区画内に配置される加熱素子の不均一な熱効果の故に、熱ロールのシェル内で特別の熱等価室を使用することが必要なTOKUDEN構造において特に重要であり、熱等価室は、例えば、ナフタレンのような適切な充填剤で部分的に充填される。
【0242】
図15及び16に示される構造は、TOKUDEN加熱のような熱ロール101’の内部加熱と、少なくとも2つの材料層から成る層状熱ロールシェルとを組み合わせることを可能にし、及び/又は、図10乃至14Bに示され且つ熱ロールのシェル内に位置する流路を、加熱及び/又は冷却のために、熱ロール101’内に配置し得る。
【0243】
図15及び16に示される実施態様の利点は、熱ロール101’のシェル内の著しく良好な熱伝導率であり、それは次の利益をもたらす。即ち、より高い総容量が可能であること、より高い表面温度が可能であること、同一表面温度のためにより低い内部温度が必要とされ、それは熱ロール101’の内部に配置された機械部材及び熱導入手段が長持ちすること、及び、より高い比熱容量、よって、より小さなロール直径が可能であることである。
【0244】
図10乃至16中の異なる層の材料の組み合わせを選択するとき、強度及び熱膨張が制限として考慮される。
【0245】
図10乃至14において、内側層11’,21’のために用いられる材料は、例えば、炭素鋼又は鋳鉄であり、その利益は、強度、安価な用途、及び、機械的信頼性であると考えられ得る。内側層11’,21’は、例えば、鍛造鋼シェルであり得る。表面層の内側上の層/伝熱層13’,23’は、例えば、銅、又は、有利に、例えば、CuCrZrのような銅合金から成る。表面層の内側上の層/伝熱層13’,23’の材料として、真鍮、スズ、アルミニウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、ニッケル、鋼、又は、それらの類似物を用いることも可能である。前記金属を包含する合金又はコンポジションメタルも伝熱層の材料であり得る。
【0246】
表面層14’,24’のために用いられる材料は、例えば、低炭素鋼である。代替的に、表面は、硬化被膜、例えば、クロム被膜又はセラミック被膜を用いて、或いは、溶射又は表面への硬層の溶接によって、硬い耐摩耗層を備える。表面層が有することが望ましい代替的な他の特性は、強度、靱性、硬度、耐摩耗性、適当な熱膨張、表面品質、清浄性、又は、それらの類似物である。もし表面層14’,24’が伝熱層13’,23’よりも貧弱な熱導体であるならば、熱ロールシェルの総熱伝導率が過剰に低減されないために、表面層は伝熱層よりも薄く維持されるよう努められる。表面層14’,24’は一層極めて薄くなりことが可能であり、もし、場合によっては硬く脆弱な表面層が伝熱層13’,23’に固定状態に維持されるべきために、表面層の内側上の層/伝熱層13’,23’の機械特性がニップ荷重を通じて由来する応力及び熱ロールの熱応力に十分に耐える得るならば、例えば、クロムめっき層又は他の硬化被膜又はセラミック層を適用し得る。
【0247】
冒頭で述べられた新規なカレンダ方法によって求められる高い加熱及び冷却容量を移動することが可能であり、よって、十分な加熱容量が熱ロール10’,20’のシェルを通じてニップに、さらに、処理されるべき繊維状ウェブに、又は、その逆に移動されることを保証し、熱ロール10’,20’の伝熱領域とシェルの表面層14’,24’の外面14a’,24a’との間の伝熱距離を減少することによっても保証する。
【0248】
本発明の有利な実施態様に従った熱ロールでは、伝熱領域を熱ロール10’,20’の表面層に近接して配置することによって、伝熱の著しい向上が達成され、その関係で、熱ロール10’,20’のシェル内に配置された流路15’,25’,151’,152’を用いて、熱ロールの伝熱領域を加熱及び/又は冷却し得る。その場合には、伝熱層13’,23’のために及び/又は表面層24’,14’のために、鉄類、有利に鋼のような、余り不便でない材料又は従来的な材料を用いることも可能である。熱が表面14a’,24a’に近接して移動されるために、流路15’,25’,151’,152’の少なくとも一部は、それらの中心線から測定されたときに、有利に熱ロールの外面14a’,24a’から最大50mmの距離で、表面14a’,24a’に近接して配置され、好ましくは、流路15’,25’,151’,152’の少なくとも一部は、それらの中心線から測定されたときに、熱ロールの外面14a’,24a’から10〜40mmの距離に配置される。流路が表面14a’,24a’にそのように接近して配置されると、熱ロール10’,20’は、層毎状に、全体的又は部分的に、鋼、鋳鉄、又は、他の適切な材料であり得る。
【0249】
伝熱領域が熱ロール10’,20’,101’の表面層に接近して配置されると、熱ロールの構造は、熱ロールの内側部分が、連続的な、有利には管状の部分から成り、それは熱ロールの最内側材料層11’,21’又は最内側層上に配置される伝熱層13’,23’を形成する。流路15’を形成するために、例えば、切削又は熱間プレスによって、最内側層11’,21’の外面11a’,21a’に、及び/又は、表面層の内側上の層/伝熱層13’,23’の外面13a’,23a’に溝12’,12b’が形成され、その溝の断面プロファイル形状は、伝熱媒体の流路15’,25’の断面プロファイルの一部を構成する。流路15’,25’は、本発明に従って、その全体で、例えば、熱を特に良好に伝導する材料に穿孔することによって形成される通路であり得る。
【0250】
流路15は、よって、伝熱層13’,23’又は熱ロールの表面層14’,24’であり得る外側材料層と、相応して材料層11’,21’又は伝熱層13’,23’である内側材料層との間に形成される。
【0251】
例えば、HIP、溶接、又は、熱収縮方法を用いて、単層又は多層の熱ロールのベースの表面層14’を形成し得る。
【0252】
HIP方法を用いて、溶接、鋳造、鍛造、又は、切削によって、単層又は多層の熱ロールのシェルの表面層14’、又は、一般的に、熱ロールのシェルのある層を別個の製造段階で形成し得る。HIP方法を用いて、溶接、はんだ付け、又は、熱収縮によって、連結結合を用いて、或いは、ボルトを用いて、別個の製造段階で、表面層14’、又は、一般的に、熱ロールのシェルのある層を内側上に位置する層上に固定し又は組み立て得る。
【0253】
熱ロール10’,20’の表面14a’,24a’の温度分布が均一にされるために、伝熱媒体のための流路15’を提供する目的から、以下を形成することが有利である。
− 表面層14’,24’の内側上にあり、且つ、最も有利には、熱を特に良好に伝導する金属材料である層13’,23’中の多数のボア、及び/又は、
− 表面層14’,24’の内側上の層13’,23’の内面13a’,23a’内の多数の溝12’。
【0254】
熱ロール10’,20’の層が層毎状に同一材料であるとき、上述の構造に由来する利点は、問題のある熱応力が、熱ロールのシェル内に、特に、材料層の境界ゾーン内に創成されないことである。加えて、例えば、材料層の材料として鋼が用いられるとき、熱ロール10’,20’の耐荷重容量は良好である。
【0255】
図17は、本発明の第一実施態様に従った熱ロールのシェル内の温度分布を例示的に示すグラフである。材料層の即ち、図11乃至13に示され且つ伝熱特性に関して最適化されたような熱ロールの内側層11’、伝熱層13’、及び、材料層14’の算定温度分布が、半径[m]に対する温度[℃]のグラフを用いて示されている。熱ロールの半径距離における層厚として表現された、このオイル加熱可能な熱ロールのシェルの異なる層の測定値は次の通りである。即ち、内側層11’の厚さは35mmであり、伝熱層13’の厚さは60mmであり、表面層14’の厚さは5mmであるのに対し、外径は1200mmであった。実施例のロールの内側層11’の半径が0.500m〜0.535mの間であるとき、温度は222.5℃に一定に留まるよう計算され、それは加熱オイルの温度でもある。流路は内側層11’及び伝熱層13’の境界ゾーン内で0.535mの半径で算定された。0.535m〜0.595mの半径範囲内の伝熱層13の温度は、222.5℃の値から210℃の値にほぼ直線的に減少した。0.595m〜0.600mの半径範囲内の鋼表面層14’の温度は、210℃の温度値から200℃の値に直線的に鋭く減少し、よって、加熱オイルと表面14a’との間の総温度差はグラフの実施例において22.5℃であった。
【0256】
本発明の1つの実施態様に従った熱ロール10’,20’,101’、並びに、本発明の1つの実施態様に従った熱ロール10’,20’,101’のための半製品において、材料層の内面13b’,14b’,23b’,24b’及び/又は外面11a’,13a’,21a’,23a’は、凹部又は溝12’を備え、それらの断面プロファイル形状は、流路15’,25’の断面プロファイルの一部を構成し、よって、凹部又は溝12’は、流路15’,25’を形成するために、或いは、流管16’を受容するために、外側材料層の内面又は内側材料層の外面と共に流路を形成する。
【0257】
本発明に従った熱ロールを製造する方法において、熱ロール10’,20’,101’の伝熱特性を増進するために、材料層は熱ロール10’,20’,101’のシェル内に内側に次々に配置される。図10乃至14Aに示される本発明の実施態様においては、伝熱層13’,23’を形成するために、内側層11’,21’よりも高い熱伝導率を有する材料層を、熱ロール10’,20’の内側層11’,21’と表面層14’,24’との間に配置し得るし、図15及び16に示される熱ロール101’の最内側層として伝熱層13’を形成するために、表面層14’の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料層を配置し得る。
【0258】
繊維状ウェブの処理用の熱ロール10’,20’,101’を製造する方法において、熱ロールのシェルは、少なくとも2つの材料を含み、熱ロール又は熱ロールのシェルは、熱ロールのシェルを加熱及び/又は冷却するための伝熱手段を備え、有利に伝熱媒体を用いて、本発明の第一実施態様によれば、少なくとも2つの材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’が、熱ロールのシェル内に径方向に次々に配置され、材料層は製造技法において異なり、材料層は、異なる段階における製造技法に関して或いは異なる方法によって製造され、伝熱媒体流路15’,25’,151’,152’は、それ自体の内側にある或いは材料層の境界ゾーン内に位置する材料層の少なくとも1つによって制限されて配置され、本発明の第二方法に従って、異なる材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’が、熱ロールのシェル内において径方向に次々に配置され、材料層の少なくとも2つの熱伝導率は相互に異なり、伝熱媒体流路15’,25’,30’,151’,152’は、材料層の少なくとも1つの内側に配置され、或いは、それ自体の内側にある或いは材料層の境界ゾーン内に位置する材料層の少なくとも1つによって制限されるよう配置される。
【0259】
伝熱層を熱ロール10’,20’の表面層に近接して配置することによって、伝熱の著しい向上を達成し得る。
【0260】
熱ロール10’,20’を製造する方法の幾つかの有利な例示的な実施態様を以下に記載する。本発明に従って、プレスによって、有利に熱間静水圧プレス、即ち、HIPプロセスによって、必要に応じてそれと関連する切断によって、及び、必要に応じて関連する組立てによって、少なくとも1つの材料層、具体的には、本発明の第一実施態様に従った熱ロール10’の熱ロールシェルの材料層の伝熱層13’、及び、第一実施態様の変形に従った管16’から寝る流路151’のシステムを含む熱ロールの伝熱層13’を製造し得る。本発明の第一実施態様に従った熱ロール10’の材料層をそれ自体既知の方法によって製造し得る。例えば、伝熱層13’を内側層11’の周りに鋳造することによって、伝熱層13’を製造し得る。
【0261】
材料層、具体的には、本発明の第二実施態様に従った部分の組み合わされた熱ロール20’のシェルの、及び、第二実施態様の変形に従った熱ロールのシェルの伝熱層23’を、本発明に従って、熱間プレスによって、必要に応じてそれと関連した切削によって、及び、必要に応じて関連した組立体によって有利に製造し得る。本発明の第二実施態様に従った熱ロール、同様に、第二実施態様の変形に従った熱ロールの材料層も、それ自体既知の方法によって、切削、鋳造、又は、類似方法によって、必要に応じて、関連する組立体によって製造し得る。
【0262】
熱間プレスを用いた本発明の第一実施態様に従った熱ロールのシェルの製造を以下に説明する。熱間プレスでの使用のために望ましい寸法の管ブランク型が第一に製造され、次に、HIP製造技法が用いられる。熱間プレスの開始材料として伝熱層13’のために用いられる材料は、精細な金属粉末、例えば、CuCrZrであり、それはプロセス中に中実金属部分に変換される。金属粉末はHIP型内に配置され、振動によって成形にされ、ガス密に封入され、所定の作動時間に亘って高温高圧で加圧される。熱間プレスプロセスの温度、圧力、及び、作動時間は、熱間プレスされる材料の特性を最適化するよう制御される。この場合には、典型的な熱間プレスパラメータは次の例示的な値によって代表される。即ち、900±10℃の温度、105±5MPaの圧力、及び、2〜3時間の作動時間である。もし熱ロールの内側層11’が、例えば、初期的には粉末形態にあり且つ伝熱層13’を形成する材料の内側上に径方向に配置されて熱間プレスプロセスに含まれるならば、それは温度の効果に起因する有利な応力除去焼き鈍しを受ける。プロセス中に、材料の浪費は最小限化され、製造されるべき部分は良好な表面品質及び寸法精度を有する。その上、複雑な形状を製造し、最適に位置付けられた流路15’を伝熱層内に配置することが可能になる。
【0263】
熱間プレスにおいては、穿孔通路又は溝12’を、製造時に亘って一時的に、半製品又は現寸の熱ロールにドリル開口するのが容易な銅のような軟質金属で充填し得る。
【0264】
熱間プレスの完了後、及び、シェル又は熱ロールのシェルの部分の冷却後、設計された形状及び所望の表面品質を生み出すために、それは必要に応じて機械加工される。
【0265】
このように、本発明の第一実施態様に従った熱ロール10’に、具体的には、熱ロールシェルの伝熱層13’に、穿孔を案内する型としてベース層11’の表面の凹部又は溝12’を用いることによって、図13に示されるような流動する伝熱媒体のための流路、即ち、伝熱ボア15’を穿孔することが可能である。加えて、必要に応じて、熱間プレスによって形成される部分の測定値及び表面品質は、例えば、研削によって、後続の表面層14’の取付けのために望ましいように配置される。例えば中実金属から成る表面層14’は、例えば、熱収縮によって、即ち、収縮嵌め/干渉嵌めを用いて結合することによって、はんだ付け、溶接、例えば、摩擦スタッド溶接、又は、それらの類似方法によって、伝熱層13’の周りの熱ロール10’に取り付けられる。他の適用可能な代替的被覆は、表面層14’との関連で上記に記載されている。所望の表面品質への熱ロール表面14a’の研削は、第一回目のプロセス利用前に、例えば、熱ロール10’の最終組立て後に遂行される。
【0266】
本発明の第一実施態様の変形に従った熱ロールにおいて、シェルの伝熱部13’内の流路151’は、例えば、次の通り形成される。熱間プレスにおいて伝熱層13’を形成すべき金属粉末、及び、流路151’を形成すべき流管16’を、HIP型内に配置する。第一実施態様に従った熱ロールの場合におけるように、金属粉末を振動によって成形し、ガス密に封入し、所定の作動時間に亘って高温高圧でプレスする。温度効果の故に、伝熱層13’内に配置された流管16’は、熱間プレス中に応力除去焼鈍しを受ける。熱間プレスでは、材料の浪費は最小限化され、製造される部分は良好な表面品質及び寸法精度を有する。
【0267】
本発明の第一実施態様の変形に従った熱間プレスによって製造される熱ロールにおいて、伝熱層13’を形成する金属粉末内で、図10に示され且つ最適な方法に配置された流路151’のシステムを、上述のように、鋼又は銅の管16’から製造し得る。その関係で、流路の異なる変形、例えば、熱ロール10’の軸方向から逸れた、螺旋形であり且つ熱ロール10’の中心線から径方向に異なる距離にある通路151’のような、以前は製造が不可能とされたものさえも、伝熱層13’を形成する金属粉末内の熱間プレスにおける流管16’を、熱ロール10’の内側層を形成する熱ロールベース11’と外側層を形成する表面層14’との間に配置することによって達成し得る。熱の分布を最適化するために、流管をそれが配置される各場所のための流速に関して最適化されるような寸法とし得る。
【0268】
本発明の第二実施態様の他の変形に従った部分から組み立てられる熱ロールにおいて、流路151’のシステムを、上述の方法で、例えば、鋼又は銅から成る管16’から形成し得る。その関係で、流路の異なる変形、例えば、熱ロール20’の軸方向から逸れ、螺旋状であり且つ熱ロール20’の中心線から径方向に異なる距離にある通路151’のような、以前は製造が不可能なものさえも、流管16’を熱間プレスとの関係で伝熱層23’を形成する部分(複数を含む)内に配置することによって達成し得る。熱の分布を最適化するために、流管をそれが配置される各場所のための流速に関して最適化されるような寸法とし得る。
【0269】
本発明の第二実施態様に従った熱ロール20’の製造を図14Aを用いて例証する。熱ロール20’は別個の中実部分から組み立てられる。熱ロール20’のシェルの材料層を形成する部分231’,232’,233’等、具体的には、熱ロールの伝熱層23’及び表面層24’を形成する部分は、図14Aにおけるように、ディスク形状又は環状又は具体的には円筒状であり得る。それらは径方向に次々に配置され熱ロールの全長に亘って延びる連続的な同軸シリンダであり得るし、或いは、それらは円周方向に連続的であるが、少なくとも2つのより短い部分から、熱ロールの径方向において、組み立てられ得るし、或いは、それらは少なくとも1つの部分から製造される。伝熱層23’又は表面層24’の部分を、最内側層として及び熱ロールのベースとして作用するロールシャフト21’の周りで、或いは、別個の部分の連続的/組み立てられた好ましくは管状のロールシャフト21’の周りで軸方向に一体的に組み立て得る。熱ロール20’の剛性を保証するために、シェルの伝熱層23’のみ、及び、必要に応じて、表面層24’が上述の方法で組み立てられ、内側層21’は連続的であり、かなり剛的な管状部分21’、例えば、鍛造鋼シェルである。明瞭性のために、図14Aは、伝熱層23’の周りに組み立てられるような熱ロール20’の表面層24’を示していない。
【0270】
組み立て可能であり且つ伝熱層23’を形成する図14Aに示される部分231’,232’,233’等を、例えば、鍛造、鋳造によって、又は、既製の板として入手可能な薄いロール板を用いることによって、又は、熱間プレスによって、製造し得る。図14Aに示される第二実施態様に従った伝熱層23’を形成する別個の部分231’,232’,233’等の製造はこの関係で特に記載されないが、本発明の第一実施態様との関係の熱間プレスの記載が参照される。部分内に残されるべき流れ開口を機械加工し得るし、或いは、鋳造又は熱間プレスプロセスにおいて仕上げとして得られる。流れ開口を薄い部分に打抜き得る。
【0271】
部分が相互に取り付けられたときに、通路25’は結合し、組み立てられる熱ロール中の通路25’の貫通システムを形成するよう、図14Aに示される本発明の第二実施態様において、流路25’又は流れ開口25’は、熱ロール20’の組立て前に、別個の部分231’,232’,233’等に事前に作成される。伝熱媒体の流路25’を既に製造段階にあるシェル構造内に配置し得るとき、それらを現寸の熱ロールに穿孔することなしに、製造中には困難な長過ぎる穿孔は回避される。
【0272】
シェル部分が一体に結合されるときに、固定及び/又は結合型、例えば、固定ボルトの穴又は連結形状を備える結合型が相互に適合するよう、図14Aの別個の部分231’,232’,233’等は、熱ロール20’の組立て前に既に、固定及び/結合部材によって必要とされる場合によっては必要とされる型(図示せず)を備える。組み立てられる熱ロール20’が気密であるよう、部分231’,232’,233’等の適合面は、組立て前に機械加工され、或いは、それらは例えば熱間プレス後に既に十分に滑らかである。図14Aの連続的な内側層上に組み立てられるべき異なる層を、溶接、熱収縮、はんだ付け、又は、類似の方法によって、又は、例えば、熱ロール20’の全体を通じて、ボルトを用いて、互いに取付け得る。後者の場合には、熱ロールの製造は、ロールのシェルが繊維から成る板をシャフトの周りに締付及び加圧することによって組み立てられる従来的な充填ロールの製造に類似する。結合を強化するために、結合面上に接着剤を用いることも可能である。加えて、流れ媒体の如何なる漏出も排除するために、結合部を封止することが必要であり得る。
【0273】
本発明の第二実施多様において、径方向に次々に及び/又は軸方向に次々に組み立てられる各部分の材料特性、即ち、内側層21、次々に組み立てられ且つ伝熱層23’を形成する部分231’,232’,233’等、及び、表面層24’は、部分の最終ロール位置を考慮して寸法取られる。
【0274】
本発明の第一実施態様において、各異なる材料層、即ち、内側層11’、伝熱層13’、及び、表面層14’の材料特性は、層のロール位置を考慮して寸法取られる。
【0275】
具体的には、ウェブ領域に、表面層、又は、伝熱層13’,23’、及び/又は、表面層14’,24’の内側上の層の材料層を、ウェブ領域の外側の材料よりもより熱伝導的な材料から成るよう構成し得る。熱ロールがウェブ領域よりもウェブ外側領域でより熱伝導的でないよう、余り熱伝導的でない材料がウェブ外側領域のために選択される。換言すれば、ウェブ領域の実質的に外側が、伝熱層よりも熱伝導的でない材料から成るよう、伝熱層を形成する熱ロールシェルの材料層を、実質的に繊維状ウェブのウェブ領域の幅に亘ってのみ熱ロールの軸方向に延びるよう配置し得る。
【0276】
流路15’,25’,151’,152’及び流管16’は、熱ロールのシェル内の流路の位置を考慮して寸法取られる。よって、流路15の断面領域が減少し、流速が増大するよう、流路15’,25’,151’,152’内及び流管16’内の流れを、例えば、伝熱ボア15’,152’を、管16’を用いて、例えば、それらの長さの少なくとも一部に亘って絞ることによって、伝熱の均一性を保証するために制限し得るし、或いは、流路又は管のサイズを拡大することによって流れを遅延し得るし、或いは、隣接する流路15’内の流れの方向を異なる方向に配置し得る。
【0277】
よって、本発明の第一実施態様の変形によれば、伝熱の均一性が熱ロール10’の外面14a’上で保証されるよう、熱ロールの径方向における流路15’の場所に依存して、及び、熱ロールの軸方向における流路15’の場所に依存して、流路15’のシステムを形成する流管16’の流れ直径を増大又は減少し得る。
【0278】
対応する効果を達成するために、伝熱層23’を形成し、且つ、本発明の第二実施態様の図14Aに示されるように次々に組み立てられる部分231’,232’,233’等の流れ開口25’は、熱ロール20’の外面上の伝熱の均一性を可能とする、直径が可変の流路25’が結果的に得られるよう、熱ロール20’の軸方向においてより小さく或いはより大きくなり得る。別個の部分231’,232’,233’等において、場合によっては熱ロール20’の中心線から異なる距離で径方向に十分な数の流路25’を構成することが可能である。この場合には、容量が可能な限り大きな領域に分配されるよう、例えば、加熱及び冷却段階に可能な限り多くの通路を通じて流れを案内することによって、熱ロールの加熱及び冷却を動作状況に従って制御し得る。
【0279】
通常の動作状況においては、一部の流管15’,25’,151’,152’にのみ、例えば、熱ロールの外面に最近接して位置する通路にのみ流れを案内し得る。シェルの流路に至る供給通路である所謂端部部分(図面には示されていない)の流管機能、及び、それらの結合又は枝接続を、例えば、熱ロールの端部に組み立てられる環状部分に配置し得る。所望なときに、熱ロール20’内に実際の端部部分は不要であるが、対応する流れ導管は、主としてウェブ領域に位置する伝熱層を含む熱ロールのシェルの最外側の環状部分内に構成される。必要に応じて、もし必要と考えられるならば、熱ロールの端部からさらに離れた、熱ロールの中央に近接する通路を接続することも可能である。
【0280】
伝熱層13’,23’への流路15’,25’,151’,152’の接続及び導入を異なる方法で選択し得る。通路は、熱ロールの内側部分内で、ウェブ領域の縁部へさえ通らされ得る。そこから、それらは径方向にシェルの内側層11’,21’を通じて伝熱層13’,23’まで通らされる。ここで、流路15’,25’,151’,152’は、熱ロール10’,20’,101’の長手方向に変わり得る。別個の端部部分は伝熱のために必ずしも必要ではなく、よって、端部領域での熱の損失は低減される。ある他の理由のために熱ロール10’,20’,101’のために必要とされる端部部分をウェブ領域に位置する伝熱層に対して絶縁し得るし、或いは、軸方向における端部部分内の伝熱及び端部面を通じた損失が小さいよう、端部部分の材料を選択し得る。端部部分の材料は、繊維状、直交異方性、又は、絶縁的でもあり得る。
【0281】
流路15’,25’,151’,152’及び熱ロールの可能な凹部又は溝12’は、正に媒体と熱ロールシェルの外面との間の伝熱が可能な限り効率的且つ均一である種類の通路又は通路の部分であるよう、それらの断面プロファイル、サイズ、断面領域に関して有利に最適化される。熱ロールの径方向、即ち、深さ方向における流路15’,25’,151’,152’の場所は、熱の均一化要件を考慮して最適化される。流路15’,25’,151’,152’の断面プロファイル及び熱ロールの溝12’は、従来的な円形の形状と異なった、例えば、楕円の、角張った、又は、星形の形状であり得る。
【0282】
本発明の1つの実施態様によれば、伝熱層及び表面層は、例えば、熱間プレス又は鋳造によって、熱ロールの組立て前或いは熱ロールの部分が相互に接続される前に、中実材料からなる部分にされる。この場合には、完成熱ロールシェルの層は、主として2つの材料から成る。
【0283】
1つの有利な実施態様によれば、主として同一材料である表面層は、異なる製造段階において、熱間プレスによって、即ち、熱間静水圧プレスを用いて、鍛造管状鋼シェルである熱ロールの内側層上に層成され、表面層の開始材料は粉末形態にありながら熱間プレスされる。主として同一材料である層を用いて、熱ロールシェルの異なる層がほぼ同一の熱膨張を有する状況を有利に達成することが可能である。このようにして、熱ロールシェルの温度変動に起因する熱応力は有利に最小限化される。勿論、例えば、上述の薄い硬化被膜は、繊維状ウェブ又はワイヤと接触する表面層として働く。
【0284】
本発明の1つの実施態様によれば、完成熱ロールのシェルの層が主として2つの材料を含むよう、内側層及び表面層は同一材料から成る。
【0285】
本発明に従った高い伝熱の熱ロールを用いる本方法において、繊維状ウェブは熱ロール10’,20’,101’の表面14a’,24a’に接触させられる。本方法では、熱ロールが加熱されるとき、熱は、伝熱層13’,23’及び/又は流路15’,25’,151’,152’のような熱ロールの伝熱手段を越えて繊維状ウェブに移動され、及び/又は、熱ロール10’,20’,101’の外面14a’,24a’は、処理されるべき繊維状ウェブが湿式プレスされ、乾燥され、カレンダ加工され、艶出し加工され、及び/又は、成形される支持面として働き、及び/又は、熱ロールが冷却されると、熱は伝熱手段を越えて熱ロール及びそのシェルから移動される。
【0286】
シェルの内側又は外側に設けられた伝熱手段を用いて、有利には内部的に、伝熱媒体を用いて、繊維状ウェブの処理用の本発明の熱ロール10’,20’,101’を加熱又は冷却し得る。加えて、誘導及び/又は摩擦及び/又は抵抗加熱及び/又は濃縮に基づく加熱及び/又は熱気吹付けに基づく加熱を用いることが可能である。
【0287】
熱ロール10’,20’,101’を用いるための本発明に従った第一の方法において、熱ロールは、繊維状ウェブの処理のために意図され、熱ロールのシェルは、少なくとも2つの材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’を含み、熱ロール又は熱ロールのシェルは、有利には伝熱媒体を用いて、熱ロールのシェルを加熱及び/又は冷却するための伝熱手段を備え、100〜300kW/mの範囲、好ましくは200〜250kW/mの範囲の熱容量が、熱ロール10’,13’,14’,21’,23’,24’から繊維状ウェブに移動され、シェルは、製造技法を用いて径方向に次々に配置される少なくとも2つの異なる材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’を含み、材料層は異なる段階における製造技法に関して又は又は異なる方法によって製造され、伝熱媒体流路15’,25’,151’,152’のシステムは、伝熱媒体の温度が<350℃に維持されるよう、材料層の少なくとも1つの内側に配置され、或いは、それ自体の内側に或いは前記材料層の境界ゾーン内に位置する材料層の少なくとも1つによって制限される。
【0288】
熱ロール10’,20’,101’を用いるための本発明に従った第二の方法において、熱ロールは、繊維状ウェブの処理のために意図され、熱ロールのシェルは、少なくとも2つの材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’を含み、熱ロール又は熱ロールのシェルは、有利に伝熱媒体を用いて、熱ロールのシェルを加熱及び/又は冷却するための伝熱手段を備え、100〜300kW/mの範囲内、好ましくは、200〜250kW/mの範囲内の熱容量が、熱ロール10’,20’,101’から繊維状ウェブに移動され、シェルは、径方向に次々に配置され且つ熱伝導率が異なる少なくとも2つの材料層11’,13’,14’,21’,23’,24’を含み、伝熱媒体流路15’,25’,30’,151’,152’のシステムは、伝熱媒体の温度が<350℃に維持されるよう、材料層の少なくとも1つの内側に配置され、或いは、それ自体の内側に或いは前記材料層の境界ゾーン内に位置する材料層の少なくとも1つによって制限される。
【0289】
熱ロール10’,20’,101’を用いるための本発明に従った方法の1つの用途において、熱ロールの加熱又は冷却の期間中、例えば、運動状態から保守状態又はその逆の移行があるとき、熱応力が構造の疲労を引き起こさない範囲に留まるよう熱ロール内部の温度差を均一化するために、より熱伝導的でない材料層11’,21’内で別個の伝熱路システム152’を用いるのが有利である。
【0290】
繊維状ウェブ、具体的には、低光沢の艶消し紙又は板紙の製造及び仕上げにおいて用いられる熱ロールを、繊維状ウェブをカレンダ加工する装置内の少なくとも1つのニップ内で、繊維状ウェブの仕上げラインで用いることが推奨される。そのような装置は、具体的には繊維状ウェブの仕上げにおいて、多ニップカレンダ、ソフトカレンダ、機械カレンダ、ベルトカレンダ、金属ベルトカレンダ、及び、これらの組み合わせを含む。加熱可能で冷却可能な繊維状ウェブ成形機の熱ロールは、繊維状ウェブの処理、例えば、熱ロールと熱ロールと接触する裏当部材との間の接触する、即ち、ニップ内にある繊維状ウェブのプレス及び/又はカレンダ加工のために意図される。
【0291】
少なくとも1つのニップ内に、具体的には、仕上げラインに位置するニップ内に、伝熱容量が高い、100〜400kW/mのオーダの熱ロールを用いることが推奨される。
【0292】
伝熱を増進するために、熱ロールの流路を通常よりも外面に近接して、例えば、<55mmに配置することが推奨される。
【0293】
伝熱に関して重要な熱ロールのシェルの部分を熱を良好に伝導し且つ熱伝導率λが>70W/mKである材料で製造することが推奨される。
【0294】
この材料は、本発明の1つの実施態様に従って、銅、スズ、アルミニウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、若しくは、熱を良好に伝導する均等金属、又は、合金、又は、これらの材料の少なくとも2つから成るコンポジションメタルを含む群から選択される。
【0295】
熱ロールのシェルを少なくとも部分的に粉末冶金を用いて製造することが推奨される。
【0296】
印刷、芸術、写真用の紙/板紙として、低光沢の艶消し紙又は板紙が用いられる。本質的な機能は表面の低光沢な艶消し品質であり、それはそれにも拘わらず高品質で光沢のある印刷結果を可能にする。よって、カレンダ加工において艶消し品質が生成されるよう、熱ロールの表面はその微細構造において多孔で粗面であるよう有利に製造される。
【0297】
高品質の艶消し紙を製造するために、紙は、セラミック被膜を備える多孔で小縮尺粗面の熱ロールを用いてカレンダ加工される。有利な実施態様によれば、ValMattという商品名の被膜が熱ロールのセラミック被膜として用いられる。
【0298】
艶消し紙又は板紙のような低光沢の繊維状ウェブを製造するための、具体的には、カレンダ加工による仕上げのための方法において、本方法は本発明に従った熱ロールを用い、繊維状ウェブは、多カレンダ又はソフトカレンダ又は機械カレンダ又はベルトカレンダ又は金属ベルトカレンダ又はこれらのカレンダの組み合わせ内の少なくとも1つのニップ内の熱ロールによってカレンダ加工される。
【0299】
有利に、繊維状ウェブが、ある他の繊維状ウェブ等級、具体的には、光沢等級をカレンダ加工するときよりも少ない数のニップを用いたニップの一部で動作してカレンダ加工されるよう、繊維状ウェブは、他の繊維状ウェブ等級と同一のカレンダ上でカレンダ加工される。
【0300】
有利に、繊維状ウェブは、仕上げラインに位置し且つ本発明に従った熱ロールがある別個のニップ内でカレンダ加工され、他の繊維状ウェブ等級、具体的には、光沢等級をカレンダ加工するときに該ニップを用い得るし、或いは、用いない。
【0301】
有利に、繊維状ウェブのカレンダ加工は、未塗布又は被覆繊維状ウェブ上に遂行される。繊維状ウェブの既知の被覆方法は、とりわけ、ブレード塗布、膜転写塗布、及び、エアブラシ塗布、並びに、回転塗布、及び、吹付け塗布を含む。
【0302】
上記において、本発明は一部の有利な実施態様を用いて例示的にのみ記載された。これは勿論本発明をそのような単一の実施態様に限定する意図ではなく、多様な代替的な構成及び変形並びに用途が、添付の請求項によって定められる保護の範囲内で実現可能であることが当業者に明らかでる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低光沢の繊維状ウェブを製造するための、具体的には、繊維状ウェブ成形機の仕上げラインに位置する装置内のカレンダ加工、例えば、多ニップカレンダ、ソフトカレンダ、機械カレンダ、ベルトカレンダ、金属ベルトカレンダによる、或いは、それらのカレンダのある組み合わせにおける仕上げのための熱ロールであって、
当該熱ロールは、前記繊維状ウェブをカレンダ加工し、且つ、前記繊維状ウェブ成形機の前記仕上げラインに位置する前記装置内にあること、
当該熱ロールの伝熱容量は、100〜400kW/mであること、
当該熱ロールのシェルの外面からの当該熱ロールの前記シェル内の伝熱媒体流路の距離は、<55mmであること、並びに、
伝熱に関して重要な当該熱ロールの前記シェルの前記部分は、熱を良好に伝導し、その熱伝導率λが>70W/mKである材料から製造されることを特徴とする熱ロール。
【請求項2】
熱を良好に伝導する前記熱ロールシェルの材料は、銅、スズ、アルミニウム、亜鉛、クロム、ジルコニウム、又は、熱を良好に伝導する均等金属、又は、これらの材料の少なくとも2つから成るCuCrZrのような合金若しくはコンポジションメタルを含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の熱ロール。
【請求項3】
当該熱ロールは、ValMatt被覆のようなセラミック被膜で被覆されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱ロール。
【請求項4】
当該熱ロールの前記シェルは、粉末冶金を用いて少なくとも部分的に製造されることを特徴とする、請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の熱ロール。
【請求項5】
カレンダ加工において艶消し品質の洗浄ウェブを生成するために、当該熱ロールの前記表面は微細構造において多孔で粗面であることを特徴とする、請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の熱ロール。
【請求項6】
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の熱ロールにおいて用いられる、艶消し紙又は艶消し板紙のような低光沢の繊維状ウェブを製造するための、具体的には、カレンダ加工による仕上げのための方法であって、
前記繊維状ウェブは、多ニップカレンダ、ソフトカレンダ、機械カレンダ、ベルトカレンダ、又は、金属ベルトカレンダ内の、或いは、これらのカレンダのある組み合わせ内の少なくとも1つのニップ内の前記熱ロールを用いてカレンダ加工されることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記繊維状ウェブが、他の繊維状ウェブ等級、具体的には、光沢等級よりも少ない数のニップを用いて前記ニップの一部を動作することによってカレンダ加工されるよう、前記繊維状ウェブは、幾つかの他の繊維状ウェブ等級と同一のカレンダ上でカレンダ加工されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維状ウェブは、仕上げラインに位置し且つその内部に本発明に従った熱ロールがある別個のニップ内でカレンダ加工され、他の繊維状ウェブ等級、具体的には、光沢等級をカレンダ加工するときに、前記ニップを用い得る或いは用い得ないことを特徴とする、請求項6又7に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維状ウェブの前記カレンダ加工は、未塗布又は被覆繊維状ウェブ上で遂行されることを特徴とする、請求項6乃至8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−216067(P2010−216067A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115009(P2010−115009)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【分割の表示】特願2006−524379(P2006−524379)の分割
【原出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】