熱交換器のプレート束を製造する方法
本発明は、プレート41の積層体から構成される、熱交換器のプレート束40を製造する方法に関する。この方法は、各プレート41の初期厚さを加工によって低減する一方で、少なくともプレート41の周囲に、加工されたプレート41の厚さよりも大きい高さを有する少なくとも1つの接続シュー45を形成することと、プレート42の中央部分に波形部42を形成することと、プレート41を対で積み重ねることと、各対のプレート41の接触シュー45を封止溶接ビード50によって接続することと、プレート41の対を積み重ねることと、プレート41の対の接触シュー45を封止溶接ビード50によって接続することとを伴い、プレート41の対は、流体を供給及び排出する開放端及び閉鎖端が交互になるように積み重ねられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧及び/又は高温で動作する熱交換器のコンパクトなプレート束を製造する方法に関する。本発明はまた、そのような方法によって製造される少なくとも1つのプレート束を含むプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの熱交換器のプレート束は一般的に、互いに対して平行であり、かつ少なくとも2つの独立した流体を循環させる回路を間に画定するプレートの積層体を含む。
【0003】
プレート間の流体の循環は、交差する流れ又は向流を有する収束するタイプのものとすることができ、各回路は流体の流入マニホールド及び戻りマニホールドに接続されている。
【0004】
プレート束のプレートには様々な手段が備え付けられており、これらの手段を用いて、流体間の熱交換係数を増加させることができる。
【0005】
このために、平坦なプレートの束が公知であり、これらの間に、薄い金属板を折り曲げることによって作製され、プレートに蝋付けすることによって組み付けられているフィンが介装されている。
【0006】
例えば600℃を超える高温用途では、金属フィラー及び薄いフィンの使用は問題を引き起こす可能性がある。
【0007】
実際、金属フィラーは、ベース金属よりも低い融点を有する。ベース金属の熱機械的特性とは異なる熱機械的特性を有する金属フィラーを使用することでプレート束の温度が制限されて、接合部において脆弱な点を生じる。さらに、フィンは非常に薄く、例えば0.5mm未満の厚さを有するため、蝋付け中の粒子の成長が機械的な観点から致命的欠陥となることが判明するであろう。
【0008】
チャネルが彫り込まれているプレートの積層体からなるプレート束も公知である。
【0009】
彫り込むことは、エッチングされるべきではない部分に保護マスクを位置決めした後でプレートを化学エッチングすることによって達成される。プレートは、エッチングされると、溶接、特に拡散溶接によって組み付けられる。
【0010】
この技術を用いてプレート束を作製することは、適用が複雑であり、問題を引き起こす。
【0011】
ニッケルベース合金を含むプレートを化学エッチングすることは非常に難しく、製造業者は、時間及びコストがかかり、プレートにチャネルを形成するための幾何学的な余地をあまり残さない機械加工技術を用いる。
【0012】
その上、ニッケルベース合金の拡散溶接の場合、材料を強力に加熱することが必要である。実際、これが熱間等静圧圧縮による実施の形態であろうと又は軸方向に均一な圧縮による実施の形態であろうと、組み付けられることになるプレートは1000℃を超える温度になるため、この熱処理によって粒子が成長し、金属シートの小さい厚さと適合しなくなる。
【0013】
この技術によって得られるプレート束は、プレートが交換領域全体において一緒に溶接されているので高い剛性を有し、またこの理由から、熱過渡に対してあまり耐性がない。
【0014】
これらの2つのタイプのプレート束の別の欠点は、溶接又は蝋付けされる接合部が、交換領域全体においてサイズの小さいチャネル間に作られ、これによって製造中であろうと又はプレート束の使用中であろうと、これらの接続部の検査が不可能になることである。
【0015】
関連するプレートを用いて2つの独立した対向して流れる流体の2重の回路を形成し、平滑な表面を有する縁部と波形部が設けられている中央部とを有し、互いに対して平行な金属熱交換プレートの積層体からなるプレート束が例えば、フランス特許第2738906号明細書からも公知である。
【0016】
このタイプのプレート束のプレートの組み付けは、プレート間に必要なスペースを得るためにプレートの縁部に位置する一組のスペーサーを用いた溶接によって、又は、それ自身が各プレートの長手方向縁部に溶接されて次いで一緒に溶接される、スペーサーとして働く追加部品を溶接することによって達成される。
【0017】
この第1のケースでは、スペーサーの使用が溶接部の数の増加につながり、これらの溶接部は、プレート束の側壁への溶接壁の組み付け後及び堆積後も検査することが難しい。
【0018】
この第2のケースでは、追加部品の使用が同様に溶接部の数の増加につながり、プレート束の内部に位置する溶接部は製造中にしか検査することができない。さらに、溶接部の幅はプレート間の距離の下限となる可能性があり、したがってプレート束のコンパクト化を制限する。
【発明の概要】
【0019】
本発明の目的は、前述した欠点を回避すると共に、異なるプレートを一緒に組み付けるために必要とされる溶接部の数を大幅に減らすことができるように用いられる、高温熱交換器のコンパクトなプレート束を提案することである。
【0020】
従って、本発明の目的は、2つの独立した流体を循環させる少なくとも2つの回路を間に画定するプレートの積層体によって形成され、波形部が設けられている中央熱交換部分を含む、熱交換器のコンパクトなプレート束を製造する方法であって、
各プレートの初期厚さを加工によって低減し、一方でプレートの周囲及び/又は貫通管に、加工後にプレートの厚さよりも大きい高さを有する少なくとも1つの接続シューを形成し、
波形部を各プレートの中央部分に形成し、
プレートの接続シューを互いの上方に位置決めすることによってプレートを対にして重ね合わせ、
各対のプレートと接触している接続シューを溶接ビードによって一緒に接続し、
プレートの対の接続シューを互いの上方に位置決めすることによってプレートの対を重ね合わせ、
プレートの対と接触している接続シューを、封止溶接ビードによって、流体の流入又は流出のための開放端又は閉鎖端を交互に重ね合わせて配置することにより一緒に接続することを特徴とする。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、
各プレートの初期厚さをプレートの少なくとも一方の面を加工することによって低減し、
各プレートの初期厚さをプレートの両面を加工することによって低減し、
波形部を、スタンピング又は成形によって各プレートの中央部分に形成し、
加工後のプレートの厚さは0.2mm〜3mmであり、
加工後に、接続シューの高さは、波形部の上下幅によって決まり、好ましくは0.5mm〜5mmであり、
加工後の接続シューの厚さは1mm〜6mmである。
【0022】
また、本発明は、内圧に耐える外壁を含むタイプのプレート式熱交換器であって、上記のように規定された方法によって製造される少なくとも1つのプレート束が内部に配置されたプレート式熱交換器である。
【0023】
本発明は、例として与えられる、添付の図面を参照してなされる以下の説明を読めばより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1A及び図1Bからなり、本発明による方法によって製造されたプレート束を含む例示的な熱交換器の軸方向断面図である。
【図2】図1の熱交換器のプレート束の概略斜視図である。
【図3】プレート束の一対のプレートの概略図である。
【図4】図4A〜図4Dからなり、プレート束のうちの1枚のプレートの概略断面図であり、本発明による製造方法の第1の実施形態の異なるステップを示す。
【図5】図5A〜図5Dからなり、プレート束のうちの1枚のプレートの断面図であり、本発明による製造方法の第2の実施形態の異なる断面を示す。
【図6】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【図7】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【図8】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【図9】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示されている熱交換器1は、本発明による製造方法によって製造されたプレート束の設置の非限定的な実施形態を示すために一例として与えられている。
【0026】
熱交換器1は、第1の流体と第2の流体との間の熱交換を達成するために、原子炉において概ね600℃を超える高温で用いられることが意図されている。
【0027】
第1の流体は、原子炉の一次流体であり、原子炉内を閉ループで循環する。第1の流体は、原子炉の図示しない炉心を横断し、次いで熱交換器1を横断し、最終的には炉心の入口に戻る。一次流体は、原子炉の炉心において加熱され、例えば約850℃の温度で原子炉の炉心から流出する。一次流体は、その熱の一部を熱交換器1において二次流体に渡し、例えば約400℃の温度で熱交換器1から流出する。
【0028】
第2の流体は、原子炉の二次流体であり、原子炉内を閉ループで循環し、熱交換器1を横断し、次いで、発電機を駆動する図示しないガスタービンを通過し、熱交換器1の入口に戻る。二次流体は、例えば約350℃の温度でこの熱交換器1に入り、例えば800℃の温度で熱交換器1から流出する。
【0029】
熱交換器1は、
一次流体の入口3及び出口4と、二次流体の4つの入口5及び4つの出口6とが設けられた、実質的に垂直な中心軸Xを有する外壁2と、
一次流体と二次流体との間の熱交換が達成される、外壁2内に位置する8つのプレート束40と、
プレート束40に一次流体を供給するリング形状のマニホールド7と、
プレート束40に二次流体を供給するマニホールド8と、
プレート束40から流出する一次流体を収集及び排出するリング形状のマニホールド9と、
プレート束40から流出する二次流体を収集及び排出する中央のマニホールド10と、
二次流体をマニホールド8内へ分配する入口チャンバー11、及びマニホールド10から流出する二次流体を出口6へ分配する出口チャンバー12と、
一方ではマニホールド7及び9間で一次流体を流すと共に他方では入口3及び出口4間で一次流体を流す下側内部設備11と、
外壁2に取り付けられた、一次流体を循環させるファン14と
を備えている。
【0030】
外壁2は、内部にプレート束40及びマニホールド7、8、9、10が位置するタンク20を含み、タンク20は、上部に向かって孔21と、タンク20の孔21を封止する取り外し可能な蓋22とを有している。二次流体の入口5は、タンク20の上部に形成され、タンク20の同じ外周にわたって等間隔に分散している。
【0031】
二次流体の出口6は、タンク20の上部の、入口5の僅かに下方に形成され、このタンクの同じ外周にわたって等間隔に分散している。
【0032】
タンク20は、下側部分に単一の栓を備え、この栓を通って一次流体の入口3及び出口4が形成されている。入口3及び出口4は同軸上にあり、出口4は入口3を囲んでいる。
【0033】
タンク20は、軸X上に中心がある円形の中心孔を有する凸状の底部によって底部に向かって閉鎖されており、底部内にはファン14が取り付けられている。
【0034】
図2及び図3において分かるように、プレート束40は、図2において塗りつぶし矢印によって示されている第1の流体Aと、この図において中抜き矢印によって示されている第2の流体Bとである2つの流体を循環させるように、プレート間に2つの回路を画定しているプレート41の積層体によって形成されている。第1の流体及び第2の流体は、積層体の2つのプレートのうち一方のプレートを交互に循環する。
【0035】
各プレート41は、流体間の熱交換を促進するチャネル43を間に定める波形部42が設けられた中央熱交換部分を含んでいる。
【0036】
概して、波形部42は、プレートを変形させることによって得られるパターン、例えばパッド、リブ、インサート、又は他のパターンによって形成されている。
【0037】
プレート束40を形成する積層体の2つのプレートのうち一方のプレート41において交互に第1の流体及び第2の流体が内部を循環するチャネル43の開放端46又は閉鎖端47を定めるために、各プレート41は、そのそれぞれの長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上に突出した連続的なシュー45又は幾つかの不連続的なシュー45を含んでいる。長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上のシュー45の配置は、プレート束40のプレート41間の流体が流れる方向に依存し、図示しない流体流入マニホールド及び流体流出マニホールドの配置にも依存する。
【0038】
図3に示されている長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上のシュー45の配置は、例示的な実施形態であり、当然ながら他の配置を検討することができる。
【0039】
ここで図4及び図5を参照して、プレート束40を製造する方法の2つの実施形態を説明する。
【0040】
図4Aに示されているように、プレート41は、最初は平坦であり、一定の厚さを有している。
【0041】
方法の第1のステップは、プレート41の周囲にプレート41の長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上のシュー45を形成することによってプレート41を得るために、プレート30の初期厚さを好ましくは機械加工することによって低減することからなる。例えばフライス加工による機械加工をプレート41の少なくとも一方の面に行う。
【0042】
図4に示されている第1の実施形態によると、プレート30の厚さの低減は、図4Bに示されているように外側領域46a及び46bの両方を除去した後で中心領域46を維持するようにプレート30の両面を機械加工することによって達成される。ハッチングがかけられていない領域は、除去された材料を表している。
【0043】
次に、方法の第2のステップは、各プレート41の中央部分に波形部42を形成することからなる。
【0044】
それによってプレート41を形成すると、シュー45を互いに重ねて位置決めすることによってプレート41を対にして重ね合わせ、各対のプレート41と接触しているシュー45を、図4Dに示されているように封止溶接ビード50によって接続する。
【0045】
次に、プレート41の対を、プレート41の対のシュー45を互いの上方に位置決めすることによって重ね合わせ、接触しているシュー45を封止溶接ビード50によって一緒に接続する。
【0046】
図5に示されている第2の実施形態によると、プレート41を得るために、プレート30の初期厚さを、図5Aに示されているようにプレートの片方の面を機械加工することによって低減する。ハッチングがかけられていない領域は、除去された材料を表している。
【0047】
この場合、1つの外側領域46aが除去され、残りの中心領域46がシュー45の縁に位置付けられているが、前述の実施形態では、シュー45は残りの中心領域46の両側に延びている。この第2の実施形態では、方法の後続のステップは、前述の実施形態のステップと同一であり、プレート41の中央部分に波形部42を形成することと、次いでプレート41を対にして重ね合わせることと、各対のプレートと接触しているシュー45を封止溶接ビード50によって接続することとからなる。
【0048】
次いで、プレートの対を、プレート41の対のシュー45を互いの上方に位置決めすることによって重ね合わせ、プレート41の対と接触しているシュー45を封止溶接ビード50によって接続する。
【0049】
各プレート41の加工は、例えばフライス加工による加工であり、各プレート41の中央部分における波形部42は、例えばスタンピング又は成形によって形成される。
【0050】
一例として、加工後、プレート41の厚さe1は0.2mm〜3mmであり、シューの高さh1は0.5mm〜5mmであり、シュー45の厚さe2は2mm〜4mmである。プレート41の両側(図4C)又はプレート41の片側(図5C)に位置するシュー45の踵部45aの高さh2は0.2mm〜3mmである。
【0051】
概して、シューの高さは、波形部の上下幅によって決まる。
【0052】
種々のシュー45の高さは、シュー45がプレート束の低温側にあるのか若しくは高温側にあるのか、又は両方の流体の流入用のマニホールド若しくは流出用のマニホールドの低温側に位置するのか若しくは高温側に位置するのかに応じて、必ずしも等しくなくてもよい。
【0053】
好ましくは、プレート41は、2つずつ組み付けられて溶接され、それによって、同一の寸法を有する形成されたプレートの対が最終的な積層体を形成するように、次いで組み付けられて溶接される。この方法を用いると、溶接中に生じる収縮の問題を考慮する必要を回避することが可能となる。実際、予め溶接されている積層体に対してプレートを1つずつ追加することによって積層体を形成する場合、溶接されるべき新たなプレートは、溶接に起因する収縮のために、既に溶接されているプレートと同じ寸法を有さない。
【0054】
プレート束40と関連する流体の図示しない流入用のマニホールド及び図示しない流出用のマニホールドは、プレート束40に直接一体化することができるか、又は追加形状を有し、対応するプレート束40に溶接されている任意のタイプのものとすることができる。
【0055】
図6〜図9には、プレート束40の別の例が示されており、プレート束40の各プレート41は、本発明による方法によって製造される。
【0056】
この例示的な実施形態において、プレート束は、マニホールドを形成するための貫通管を有するタイプのものである。
【0057】
この場合、プレート束40のプレートは2つずつ、すなわち上側プレート61と下側プレート62とが関連付けられている。
【0058】
この場合も同様に、材料の一部を除去して、各プレート61又は62の得られるべき厚さに相当する決まった厚さの部分を維持するために、各プレート61及び62の両面を機械加工する。1つ又は複数のシュー63をプレート61の長手方向縁及び/又は横方向縁上に形成し、1つ又は複数のシュー64も同様にプレート62の長手方向縁及び/又は横方向縁上に形成する。ハッチングがかけられていない領域は、除去された材料に相当する。この例示的な実施形態では、シュー63及び64は、対応するプレート、それぞれ61及び62の、シュー63の場合にはプレート61の下方、またシュー64の場合にはプレート62の上方である一方の面にしか延びない。
【0059】
図6に示されているように、第2の流体Bの入口オリフィス65がプレート61及び62のそれぞれに穿孔されており、この第2の流体Bの出口オリフィス66もプレート61及び62に穿孔されている。入口オリフィス65及び出口オリフィス66はそれぞれ、シュー67及び68によって境界が定められている。
【0060】
入口オリフィス65及び出口オリフィス66は、重ね合わせられると貫通管を形成する。
【0061】
次に、各プレート61及び62の中央部分に波形部69を形成し、これらのプレートを対にして重ね合わせる。互いに接触しているシュー63及び64を封止溶接ビード70によって接続する。
【0062】
それによって形成されたプレート61及び62の対を重ね合わせ、重ね合わせたプレート61及び62の対と接触しているシュー63及び64も封止溶接ビード70によって接続する。
【0063】
図9に示されているように、各オリフィス65及び66の周りで接触しているシュー67及び68も、封止溶接ビード70によって溶接する。それによって形成されたプレート61及び62の積層体を、プレート61及び62の対に対して平行に延びる2つの厚い対向するプレート71及び72のそれぞれの間に取り付ける。
【0064】
図9に示されている例示的な実施形態では、プレート61及び62の積層体は、プレート束40の側面に、第1の流体Aを流入させる流入領域A1を、またその反対の面に、この第1の流体Aがプレート束40の対応する回路を通った後で第1の流体Aを流出させる流出領域A2を配置している。第1の流体Aは、2つの対のうち一方のプレートの対の2つの隣接するプレート61及び62間に作られたチャネル内を循環する。流入領域A1は、第1の流体Aを流入させるための図示しないマニホールドに接続されており、流出領域A2は、第2の流体Aを流出させるための図示しないマニホールドに接続されている。
【0065】
プレート61及び62に形成されたオリフィス65は、第2の流体Bの2つの対向する流入領域B1を定め、プレート61及び62に形成されたオリフィス66は、この第2の流体Bがプレート束40の対応する回路を通った後の、第2の流体Bのための2つの流出領域B2を定めている。この第2の流体Bは、第1の流体Aに対して向流で、2つの対のうち一方のプレートの対のプレート61及び62間に作られたチャネルにオリフィス65を通って流入し、該チャネル内を循環する。各流入領域B1は、第2の流体Bを流入させるための図示しないマニホールドに接続されており、各流出領域B2は、この第2の流体Bがプレート束40を通った後で、第2の流体Bを流出させるための図示しないマニホールドに接続されている。
【0066】
第1の流体A及び第2の流体Bは、プレート束40の2つのプレート間を交互に循環する。
【0067】
当然ながら他の構成を検討することができる。
【0068】
一例として、プレートを構成する材料はニッケルベースの鋼又はステンレス鋼である。溶接部は、TIG法又はレーザーすなわちレーザービーム法によって形成される。
【0069】
本発明による製造方法を用いると、プレートの加工によって、追加部品を含むか又はスペーサーを有するプレート束の寸法精度よりも高い寸法精度を得ることが可能である。
【0070】
溶接によって組み付ける場合、材料の微細構造が溶接領域及び熱によって影響を受ける領域の外で影響を受けるいかなるリスクも抑えることが可能である。
【0071】
その上、溶接部は、プレート束の周囲、又は図9の例示的な実施形態では第2の流体Bを循環させる管に専ら配置され、その結果、熱過渡に対する適応性が増し、周囲に位置する溶接部への外側からのアクセス及び図9の例における第2の流体の管を通したアクセスによって、溶接部全体の可能な検査が容易になる。
【0072】
本発明による方法は、溶接壁の布設及び追加部品の使用を抑えるという可能性を与える。したがって、この構成は、溶接部の数を減らし、それゆえ、装置の信頼性を高め、質の高い溶接を達成することを可能にする。
【0073】
最後に、本発明による方法は、各プレートを隔てる3mm未満という短い距離を用いてプレート束を製造することを可能にする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧及び/又は高温で動作する熱交換器のコンパクトなプレート束を製造する方法に関する。本発明はまた、そのような方法によって製造される少なくとも1つのプレート束を含むプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの熱交換器のプレート束は一般的に、互いに対して平行であり、かつ少なくとも2つの独立した流体を循環させる回路を間に画定するプレートの積層体を含む。
【0003】
プレート間の流体の循環は、交差する流れ又は向流を有する収束するタイプのものとすることができ、各回路は流体の流入マニホールド及び戻りマニホールドに接続されている。
【0004】
プレート束のプレートには様々な手段が備え付けられており、これらの手段を用いて、流体間の熱交換係数を増加させることができる。
【0005】
このために、平坦なプレートの束が公知であり、これらの間に、薄い金属板を折り曲げることによって作製され、プレートに蝋付けすることによって組み付けられているフィンが介装されている。
【0006】
例えば600℃を超える高温用途では、金属フィラー及び薄いフィンの使用は問題を引き起こす可能性がある。
【0007】
実際、金属フィラーは、ベース金属よりも低い融点を有する。ベース金属の熱機械的特性とは異なる熱機械的特性を有する金属フィラーを使用することでプレート束の温度が制限されて、接合部において脆弱な点を生じる。さらに、フィンは非常に薄く、例えば0.5mm未満の厚さを有するため、蝋付け中の粒子の成長が機械的な観点から致命的欠陥となることが判明するであろう。
【0008】
チャネルが彫り込まれているプレートの積層体からなるプレート束も公知である。
【0009】
彫り込むことは、エッチングされるべきではない部分に保護マスクを位置決めした後でプレートを化学エッチングすることによって達成される。プレートは、エッチングされると、溶接、特に拡散溶接によって組み付けられる。
【0010】
この技術を用いてプレート束を作製することは、適用が複雑であり、問題を引き起こす。
【0011】
ニッケルベース合金を含むプレートを化学エッチングすることは非常に難しく、製造業者は、時間及びコストがかかり、プレートにチャネルを形成するための幾何学的な余地をあまり残さない機械加工技術を用いる。
【0012】
その上、ニッケルベース合金の拡散溶接の場合、材料を強力に加熱することが必要である。実際、これが熱間等静圧圧縮による実施の形態であろうと又は軸方向に均一な圧縮による実施の形態であろうと、組み付けられることになるプレートは1000℃を超える温度になるため、この熱処理によって粒子が成長し、金属シートの小さい厚さと適合しなくなる。
【0013】
この技術によって得られるプレート束は、プレートが交換領域全体において一緒に溶接されているので高い剛性を有し、またこの理由から、熱過渡に対してあまり耐性がない。
【0014】
これらの2つのタイプのプレート束の別の欠点は、溶接又は蝋付けされる接合部が、交換領域全体においてサイズの小さいチャネル間に作られ、これによって製造中であろうと又はプレート束の使用中であろうと、これらの接続部の検査が不可能になることである。
【0015】
関連するプレートを用いて2つの独立した対向して流れる流体の2重の回路を形成し、平滑な表面を有する縁部と波形部が設けられている中央部とを有し、互いに対して平行な金属熱交換プレートの積層体からなるプレート束が例えば、フランス特許第2738906号明細書からも公知である。
【0016】
このタイプのプレート束のプレートの組み付けは、プレート間に必要なスペースを得るためにプレートの縁部に位置する一組のスペーサーを用いた溶接によって、又は、それ自身が各プレートの長手方向縁部に溶接されて次いで一緒に溶接される、スペーサーとして働く追加部品を溶接することによって達成される。
【0017】
この第1のケースでは、スペーサーの使用が溶接部の数の増加につながり、これらの溶接部は、プレート束の側壁への溶接壁の組み付け後及び堆積後も検査することが難しい。
【0018】
この第2のケースでは、追加部品の使用が同様に溶接部の数の増加につながり、プレート束の内部に位置する溶接部は製造中にしか検査することができない。さらに、溶接部の幅はプレート間の距離の下限となる可能性があり、したがってプレート束のコンパクト化を制限する。
【発明の概要】
【0019】
本発明の目的は、前述した欠点を回避すると共に、異なるプレートを一緒に組み付けるために必要とされる溶接部の数を大幅に減らすことができるように用いられる、高温熱交換器のコンパクトなプレート束を提案することである。
【0020】
従って、本発明の目的は、2つの独立した流体を循環させる少なくとも2つの回路を間に画定するプレートの積層体によって形成され、波形部が設けられている中央熱交換部分を含む、熱交換器のコンパクトなプレート束を製造する方法であって、
各プレートの初期厚さを加工によって低減し、一方でプレートの周囲及び/又は貫通管に、加工後にプレートの厚さよりも大きい高さを有する少なくとも1つの接続シューを形成し、
波形部を各プレートの中央部分に形成し、
プレートの接続シューを互いの上方に位置決めすることによってプレートを対にして重ね合わせ、
各対のプレートと接触している接続シューを溶接ビードによって一緒に接続し、
プレートの対の接続シューを互いの上方に位置決めすることによってプレートの対を重ね合わせ、
プレートの対と接触している接続シューを、封止溶接ビードによって、流体の流入又は流出のための開放端又は閉鎖端を交互に重ね合わせて配置することにより一緒に接続することを特徴とする。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、
各プレートの初期厚さをプレートの少なくとも一方の面を加工することによって低減し、
各プレートの初期厚さをプレートの両面を加工することによって低減し、
波形部を、スタンピング又は成形によって各プレートの中央部分に形成し、
加工後のプレートの厚さは0.2mm〜3mmであり、
加工後に、接続シューの高さは、波形部の上下幅によって決まり、好ましくは0.5mm〜5mmであり、
加工後の接続シューの厚さは1mm〜6mmである。
【0022】
また、本発明は、内圧に耐える外壁を含むタイプのプレート式熱交換器であって、上記のように規定された方法によって製造される少なくとも1つのプレート束が内部に配置されたプレート式熱交換器である。
【0023】
本発明は、例として与えられる、添付の図面を参照してなされる以下の説明を読めばより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1A及び図1Bからなり、本発明による方法によって製造されたプレート束を含む例示的な熱交換器の軸方向断面図である。
【図2】図1の熱交換器のプレート束の概略斜視図である。
【図3】プレート束の一対のプレートの概略図である。
【図4】図4A〜図4Dからなり、プレート束のうちの1枚のプレートの概略断面図であり、本発明による製造方法の第1の実施形態の異なるステップを示す。
【図5】図5A〜図5Dからなり、プレート束のうちの1枚のプレートの断面図であり、本発明による製造方法の第2の実施形態の異なる断面を示す。
【図6】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【図7】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【図8】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【図9】代替的なプレート束を製造する方法の異なるステップを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示されている熱交換器1は、本発明による製造方法によって製造されたプレート束の設置の非限定的な実施形態を示すために一例として与えられている。
【0026】
熱交換器1は、第1の流体と第2の流体との間の熱交換を達成するために、原子炉において概ね600℃を超える高温で用いられることが意図されている。
【0027】
第1の流体は、原子炉の一次流体であり、原子炉内を閉ループで循環する。第1の流体は、原子炉の図示しない炉心を横断し、次いで熱交換器1を横断し、最終的には炉心の入口に戻る。一次流体は、原子炉の炉心において加熱され、例えば約850℃の温度で原子炉の炉心から流出する。一次流体は、その熱の一部を熱交換器1において二次流体に渡し、例えば約400℃の温度で熱交換器1から流出する。
【0028】
第2の流体は、原子炉の二次流体であり、原子炉内を閉ループで循環し、熱交換器1を横断し、次いで、発電機を駆動する図示しないガスタービンを通過し、熱交換器1の入口に戻る。二次流体は、例えば約350℃の温度でこの熱交換器1に入り、例えば800℃の温度で熱交換器1から流出する。
【0029】
熱交換器1は、
一次流体の入口3及び出口4と、二次流体の4つの入口5及び4つの出口6とが設けられた、実質的に垂直な中心軸Xを有する外壁2と、
一次流体と二次流体との間の熱交換が達成される、外壁2内に位置する8つのプレート束40と、
プレート束40に一次流体を供給するリング形状のマニホールド7と、
プレート束40に二次流体を供給するマニホールド8と、
プレート束40から流出する一次流体を収集及び排出するリング形状のマニホールド9と、
プレート束40から流出する二次流体を収集及び排出する中央のマニホールド10と、
二次流体をマニホールド8内へ分配する入口チャンバー11、及びマニホールド10から流出する二次流体を出口6へ分配する出口チャンバー12と、
一方ではマニホールド7及び9間で一次流体を流すと共に他方では入口3及び出口4間で一次流体を流す下側内部設備11と、
外壁2に取り付けられた、一次流体を循環させるファン14と
を備えている。
【0030】
外壁2は、内部にプレート束40及びマニホールド7、8、9、10が位置するタンク20を含み、タンク20は、上部に向かって孔21と、タンク20の孔21を封止する取り外し可能な蓋22とを有している。二次流体の入口5は、タンク20の上部に形成され、タンク20の同じ外周にわたって等間隔に分散している。
【0031】
二次流体の出口6は、タンク20の上部の、入口5の僅かに下方に形成され、このタンクの同じ外周にわたって等間隔に分散している。
【0032】
タンク20は、下側部分に単一の栓を備え、この栓を通って一次流体の入口3及び出口4が形成されている。入口3及び出口4は同軸上にあり、出口4は入口3を囲んでいる。
【0033】
タンク20は、軸X上に中心がある円形の中心孔を有する凸状の底部によって底部に向かって閉鎖されており、底部内にはファン14が取り付けられている。
【0034】
図2及び図3において分かるように、プレート束40は、図2において塗りつぶし矢印によって示されている第1の流体Aと、この図において中抜き矢印によって示されている第2の流体Bとである2つの流体を循環させるように、プレート間に2つの回路を画定しているプレート41の積層体によって形成されている。第1の流体及び第2の流体は、積層体の2つのプレートのうち一方のプレートを交互に循環する。
【0035】
各プレート41は、流体間の熱交換を促進するチャネル43を間に定める波形部42が設けられた中央熱交換部分を含んでいる。
【0036】
概して、波形部42は、プレートを変形させることによって得られるパターン、例えばパッド、リブ、インサート、又は他のパターンによって形成されている。
【0037】
プレート束40を形成する積層体の2つのプレートのうち一方のプレート41において交互に第1の流体及び第2の流体が内部を循環するチャネル43の開放端46又は閉鎖端47を定めるために、各プレート41は、そのそれぞれの長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上に突出した連続的なシュー45又は幾つかの不連続的なシュー45を含んでいる。長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上のシュー45の配置は、プレート束40のプレート41間の流体が流れる方向に依存し、図示しない流体流入マニホールド及び流体流出マニホールドの配置にも依存する。
【0038】
図3に示されている長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上のシュー45の配置は、例示的な実施形態であり、当然ながら他の配置を検討することができる。
【0039】
ここで図4及び図5を参照して、プレート束40を製造する方法の2つの実施形態を説明する。
【0040】
図4Aに示されているように、プレート41は、最初は平坦であり、一定の厚さを有している。
【0041】
方法の第1のステップは、プレート41の周囲にプレート41の長手方向縁41a及び/又は横方向縁41b上のシュー45を形成することによってプレート41を得るために、プレート30の初期厚さを好ましくは機械加工することによって低減することからなる。例えばフライス加工による機械加工をプレート41の少なくとも一方の面に行う。
【0042】
図4に示されている第1の実施形態によると、プレート30の厚さの低減は、図4Bに示されているように外側領域46a及び46bの両方を除去した後で中心領域46を維持するようにプレート30の両面を機械加工することによって達成される。ハッチングがかけられていない領域は、除去された材料を表している。
【0043】
次に、方法の第2のステップは、各プレート41の中央部分に波形部42を形成することからなる。
【0044】
それによってプレート41を形成すると、シュー45を互いに重ねて位置決めすることによってプレート41を対にして重ね合わせ、各対のプレート41と接触しているシュー45を、図4Dに示されているように封止溶接ビード50によって接続する。
【0045】
次に、プレート41の対を、プレート41の対のシュー45を互いの上方に位置決めすることによって重ね合わせ、接触しているシュー45を封止溶接ビード50によって一緒に接続する。
【0046】
図5に示されている第2の実施形態によると、プレート41を得るために、プレート30の初期厚さを、図5Aに示されているようにプレートの片方の面を機械加工することによって低減する。ハッチングがかけられていない領域は、除去された材料を表している。
【0047】
この場合、1つの外側領域46aが除去され、残りの中心領域46がシュー45の縁に位置付けられているが、前述の実施形態では、シュー45は残りの中心領域46の両側に延びている。この第2の実施形態では、方法の後続のステップは、前述の実施形態のステップと同一であり、プレート41の中央部分に波形部42を形成することと、次いでプレート41を対にして重ね合わせることと、各対のプレートと接触しているシュー45を封止溶接ビード50によって接続することとからなる。
【0048】
次いで、プレートの対を、プレート41の対のシュー45を互いの上方に位置決めすることによって重ね合わせ、プレート41の対と接触しているシュー45を封止溶接ビード50によって接続する。
【0049】
各プレート41の加工は、例えばフライス加工による加工であり、各プレート41の中央部分における波形部42は、例えばスタンピング又は成形によって形成される。
【0050】
一例として、加工後、プレート41の厚さe1は0.2mm〜3mmであり、シューの高さh1は0.5mm〜5mmであり、シュー45の厚さe2は2mm〜4mmである。プレート41の両側(図4C)又はプレート41の片側(図5C)に位置するシュー45の踵部45aの高さh2は0.2mm〜3mmである。
【0051】
概して、シューの高さは、波形部の上下幅によって決まる。
【0052】
種々のシュー45の高さは、シュー45がプレート束の低温側にあるのか若しくは高温側にあるのか、又は両方の流体の流入用のマニホールド若しくは流出用のマニホールドの低温側に位置するのか若しくは高温側に位置するのかに応じて、必ずしも等しくなくてもよい。
【0053】
好ましくは、プレート41は、2つずつ組み付けられて溶接され、それによって、同一の寸法を有する形成されたプレートの対が最終的な積層体を形成するように、次いで組み付けられて溶接される。この方法を用いると、溶接中に生じる収縮の問題を考慮する必要を回避することが可能となる。実際、予め溶接されている積層体に対してプレートを1つずつ追加することによって積層体を形成する場合、溶接されるべき新たなプレートは、溶接に起因する収縮のために、既に溶接されているプレートと同じ寸法を有さない。
【0054】
プレート束40と関連する流体の図示しない流入用のマニホールド及び図示しない流出用のマニホールドは、プレート束40に直接一体化することができるか、又は追加形状を有し、対応するプレート束40に溶接されている任意のタイプのものとすることができる。
【0055】
図6〜図9には、プレート束40の別の例が示されており、プレート束40の各プレート41は、本発明による方法によって製造される。
【0056】
この例示的な実施形態において、プレート束は、マニホールドを形成するための貫通管を有するタイプのものである。
【0057】
この場合、プレート束40のプレートは2つずつ、すなわち上側プレート61と下側プレート62とが関連付けられている。
【0058】
この場合も同様に、材料の一部を除去して、各プレート61又は62の得られるべき厚さに相当する決まった厚さの部分を維持するために、各プレート61及び62の両面を機械加工する。1つ又は複数のシュー63をプレート61の長手方向縁及び/又は横方向縁上に形成し、1つ又は複数のシュー64も同様にプレート62の長手方向縁及び/又は横方向縁上に形成する。ハッチングがかけられていない領域は、除去された材料に相当する。この例示的な実施形態では、シュー63及び64は、対応するプレート、それぞれ61及び62の、シュー63の場合にはプレート61の下方、またシュー64の場合にはプレート62の上方である一方の面にしか延びない。
【0059】
図6に示されているように、第2の流体Bの入口オリフィス65がプレート61及び62のそれぞれに穿孔されており、この第2の流体Bの出口オリフィス66もプレート61及び62に穿孔されている。入口オリフィス65及び出口オリフィス66はそれぞれ、シュー67及び68によって境界が定められている。
【0060】
入口オリフィス65及び出口オリフィス66は、重ね合わせられると貫通管を形成する。
【0061】
次に、各プレート61及び62の中央部分に波形部69を形成し、これらのプレートを対にして重ね合わせる。互いに接触しているシュー63及び64を封止溶接ビード70によって接続する。
【0062】
それによって形成されたプレート61及び62の対を重ね合わせ、重ね合わせたプレート61及び62の対と接触しているシュー63及び64も封止溶接ビード70によって接続する。
【0063】
図9に示されているように、各オリフィス65及び66の周りで接触しているシュー67及び68も、封止溶接ビード70によって溶接する。それによって形成されたプレート61及び62の積層体を、プレート61及び62の対に対して平行に延びる2つの厚い対向するプレート71及び72のそれぞれの間に取り付ける。
【0064】
図9に示されている例示的な実施形態では、プレート61及び62の積層体は、プレート束40の側面に、第1の流体Aを流入させる流入領域A1を、またその反対の面に、この第1の流体Aがプレート束40の対応する回路を通った後で第1の流体Aを流出させる流出領域A2を配置している。第1の流体Aは、2つの対のうち一方のプレートの対の2つの隣接するプレート61及び62間に作られたチャネル内を循環する。流入領域A1は、第1の流体Aを流入させるための図示しないマニホールドに接続されており、流出領域A2は、第2の流体Aを流出させるための図示しないマニホールドに接続されている。
【0065】
プレート61及び62に形成されたオリフィス65は、第2の流体Bの2つの対向する流入領域B1を定め、プレート61及び62に形成されたオリフィス66は、この第2の流体Bがプレート束40の対応する回路を通った後の、第2の流体Bのための2つの流出領域B2を定めている。この第2の流体Bは、第1の流体Aに対して向流で、2つの対のうち一方のプレートの対のプレート61及び62間に作られたチャネルにオリフィス65を通って流入し、該チャネル内を循環する。各流入領域B1は、第2の流体Bを流入させるための図示しないマニホールドに接続されており、各流出領域B2は、この第2の流体Bがプレート束40を通った後で、第2の流体Bを流出させるための図示しないマニホールドに接続されている。
【0066】
第1の流体A及び第2の流体Bは、プレート束40の2つのプレート間を交互に循環する。
【0067】
当然ながら他の構成を検討することができる。
【0068】
一例として、プレートを構成する材料はニッケルベースの鋼又はステンレス鋼である。溶接部は、TIG法又はレーザーすなわちレーザービーム法によって形成される。
【0069】
本発明による製造方法を用いると、プレートの加工によって、追加部品を含むか又はスペーサーを有するプレート束の寸法精度よりも高い寸法精度を得ることが可能である。
【0070】
溶接によって組み付ける場合、材料の微細構造が溶接領域及び熱によって影響を受ける領域の外で影響を受けるいかなるリスクも抑えることが可能である。
【0071】
その上、溶接部は、プレート束の周囲、又は図9の例示的な実施形態では第2の流体Bを循環させる管に専ら配置され、その結果、熱過渡に対する適応性が増し、周囲に位置する溶接部への外側からのアクセス及び図9の例における第2の流体の管を通したアクセスによって、溶接部全体の可能な検査が容易になる。
【0072】
本発明による方法は、溶接壁の布設及び追加部品の使用を抑えるという可能性を与える。したがって、この構成は、溶接部の数を減らし、それゆえ、装置の信頼性を高め、質の高い溶接を達成することを可能にする。
【0073】
最後に、本発明による方法は、各プレートを隔てる3mm未満という短い距離を用いてプレート束を製造することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの独立した流体を循環させる少なくとも2つの回路を間に画定するプレート(41;61、62)の積層体によって形成され、波形部(42;69)が設けられている中央熱交換部分を含む、熱交換器のコンパクトなプレート束(40)を製造する方法であって、
各プレート(41;61、62)の初期厚さを加工によって低減し、一方で前記プレート(41;61、62)の周囲及び/又は貫通管(65、66)に、加工後に前記プレート(41;61、62)の厚さよりも大きい高さを有する少なくとも1つの接続シュー(45;63、64;67、68)を形成し、
前記波形部(42;69)を各プレート(41;61、62)の中央部分に形成し、
前記プレート(41;61、62)の前記接続シュー(45;63、64;67、68)を互いの上方に位置決めすることによって前記プレート(41;61、62)を対にして重ね合わせ、
各対の前記プレート(41;61、62)と接触している前記接続シュー(45;63、64;67、68)を溶接ビード(50;70)によって一緒に接続し、
前記プレート(41;61、62)の対の前記接続シュー(45;63、64;67、68)を互いの上方に位置決めすることによって前記プレート(41;61、62)の対を重ね合わせ、
前記プレート(41;61、62)の対と接触している前記接続シュー(45;63、64;67、68)を、封止溶接ビード(50;70)によって、前記流体の流入又は流出のための開放端又は閉鎖端を交互に重ね合わせて配置することにより一緒に接続することを特徴とする方法。
【請求項2】
各プレート(41;61、62)の初期厚さを該プレート(41;61、62)の少なくとも一方の面を加工することによって低減することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各プレート(41;61、62)の初期厚さを該プレート(41;61、62)の両面を加工することによって低減することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記波形部(42、69)を、スタンピング又は成形によって各プレート(41;61、62)の前記中央部分に形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加工後の前記プレート(41;61、62)の厚さは0.2mm〜6mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加工後に、前記接続シュー(45;63、64;67、68)の高さは、前記波形部(42;69)の上下幅によって決まり、好ましくは0.5mm〜5mmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
加工後の前記接続シュー(45;63、64;67、68)の厚さは1mm〜4mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
内圧に耐える外壁を含むタイプのプレート式熱交換器であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって製造される少なくとも1つのプレート束(40)が内部に配置されたプレート式熱交換器。
【請求項9】
原子炉において高温で用いられることが意図されることを特徴とする、請求項8に記載のプレート式熱交換器。
【請求項1】
2つの独立した流体を循環させる少なくとも2つの回路を間に画定するプレート(41;61、62)の積層体によって形成され、波形部(42;69)が設けられている中央熱交換部分を含む、熱交換器のコンパクトなプレート束(40)を製造する方法であって、
各プレート(41;61、62)の初期厚さを加工によって低減し、一方で前記プレート(41;61、62)の周囲及び/又は貫通管(65、66)に、加工後に前記プレート(41;61、62)の厚さよりも大きい高さを有する少なくとも1つの接続シュー(45;63、64;67、68)を形成し、
前記波形部(42;69)を各プレート(41;61、62)の中央部分に形成し、
前記プレート(41;61、62)の前記接続シュー(45;63、64;67、68)を互いの上方に位置決めすることによって前記プレート(41;61、62)を対にして重ね合わせ、
各対の前記プレート(41;61、62)と接触している前記接続シュー(45;63、64;67、68)を溶接ビード(50;70)によって一緒に接続し、
前記プレート(41;61、62)の対の前記接続シュー(45;63、64;67、68)を互いの上方に位置決めすることによって前記プレート(41;61、62)の対を重ね合わせ、
前記プレート(41;61、62)の対と接触している前記接続シュー(45;63、64;67、68)を、封止溶接ビード(50;70)によって、前記流体の流入又は流出のための開放端又は閉鎖端を交互に重ね合わせて配置することにより一緒に接続することを特徴とする方法。
【請求項2】
各プレート(41;61、62)の初期厚さを該プレート(41;61、62)の少なくとも一方の面を加工することによって低減することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各プレート(41;61、62)の初期厚さを該プレート(41;61、62)の両面を加工することによって低減することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記波形部(42、69)を、スタンピング又は成形によって各プレート(41;61、62)の前記中央部分に形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加工後の前記プレート(41;61、62)の厚さは0.2mm〜6mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
加工後に、前記接続シュー(45;63、64;67、68)の高さは、前記波形部(42;69)の上下幅によって決まり、好ましくは0.5mm〜5mmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
加工後の前記接続シュー(45;63、64;67、68)の厚さは1mm〜4mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
内圧に耐える外壁を含むタイプのプレート式熱交換器であって、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法によって製造される少なくとも1つのプレート束(40)が内部に配置されたプレート式熱交換器。
【請求項9】
原子炉において高温で用いられることが意図されることを特徴とする、請求項8に記載のプレート式熱交換器。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−527596(P2012−527596A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511322(P2012−511322)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050945
【国際公開番号】WO2010/133791
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511279586)
【氏名又は名称原語表記】ALFA LAVAL VICARB
【住所又は居所原語表記】Rue du Rif Tronchard, F−38120 Fontanil Cornillon, France
【出願人】(511279896)
【氏名又は名称原語表記】ALFA LAVAL PACKINOX
【住所又は居所原語表記】14, rue de Bassano, F−75116 Paris, France
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【出願人】(509104562)アレヴァ エヌペ (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050945
【国際公開番号】WO2010/133791
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(511279586)
【氏名又は名称原語表記】ALFA LAVAL VICARB
【住所又は居所原語表記】Rue du Rif Tronchard, F−38120 Fontanil Cornillon, France
【出願人】(511279896)
【氏名又は名称原語表記】ALFA LAVAL PACKINOX
【住所又は居所原語表記】14, rue de Bassano, F−75116 Paris, France
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【出願人】(509104562)アレヴァ エヌペ (28)
【Fターム(参考)】
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