説明

熱交換器の製造方法

【課題】 生産ラインの組付けを簡略化することにより、生産効率を向上させること。
【解決手段】 熱交換器の組立てライン外で、予め強度メンバを構成するサポート材4の各チューブ挿通孔5にベンド管6の両脚部を貫通固定して、ベンド管付きサポート材4を形成する準備工程を設ける。次いで、熱交換器の組立てライン中でベンド管付きサポート材4をコア3の端面に配置して、各ベンド管6両脚部をコア3の各偏平チューブ2の端部に同時に嵌着させる。そして、チューブ2の端部とベンド管6の脚部との嵌着部をろう付け固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として空調用のプレートフィン型熱交換器の製造方法に関し、特に生産ラインの組付けを簡略化することに関する。
【背景技術】
【0002】
プレートフィンタイプの空調用熱交換器は、小隙を有して多数のプレートフィンを並列するとともに、その並列方向両端に強度メンバーとなるサポート材を配置する。そして、各サポート材およびプレートフィンに予め穿設された多数のチューブ挿通孔に長尺なU字状のチューブを多数挿入する。そして、各チューブ端からチューブの直線部に拡開治具を圧入し、チューブを拡開してその外周を各チューブ挿通孔に圧着固定する。次いで各チューブ端のみをさらに拡開して、コアを形成する。次いで、各コアのチューブ端に短いUベンド管の両脚部を多数嵌着する。次いで、各嵌着部をろう付け固定する。
このような各工程は、熱交換器の組立てラインにおいて順次行われるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記組立工程において特に、コアの各チューブ端にU字状の短いベンド管を多数嵌着する作業に多くの時間を要し、結果として熱交換器組立てラインにおける生産効率が低下していた。
そこで本発明は生産ラインにおける組付けを簡略化して、生産効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明は、熱交換器の組立てライン外で、予め強度メンバーを構成するサポート材(4)の一対づつのチューブ挿通孔(5)に、複数の短いU字状チューブからなるベンド管(6)の両脚部を貫通固定して、ベンド管付きサポート材(4)を形成する準備工程と、
小隙を有して並列された多数のプレートフィン(1) のチューブ挿通孔に、複数のチューブ(2)を挿通してコア(3) を形成する工程と、
熱交換器の組立てライン中で、前記ベンド管付きサポート材(4)を前記コア(3) の端面に配置して、各ベンド管(6)の両脚部を前記コア(3) の各チューブ(2)の端部に同時に嵌着させる工程と、
各チューブ(2)の端部とベンド管(6)の脚部との嵌着部をろう付けする工程と、を具備する熱交換器の製造方法である。
【0005】
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記サポート材(4)のチューブ挿通孔(5)の口径をベンド管(6)の脚部外径より僅かに小に形成し、そのチューブ挿通孔(5)にベンド管(6)の両脚部を圧入して固定することとした熱交換器の製造方法である。
請求項3に記載の本発明は、請求項2において、
サポート材(4)のチューブ挿通孔(5)の孔縁部を前記コア(3) 側にバーリング加工し、そのバーリング加工部(8) に前記ベンド管(6)の脚部を圧入したことを特徴とする熱交換器の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱交換器の製造方法は、組立てライン外で予めベンド管付きサポート材4を形成しておき、組立てライン中でそのベンド管付きサポート材4をコア3の端面に配置して、ベンド管6の両脚部をコア3の各偏平チューブ2の端部に同時に嵌着させることとしたので、熱交換器の組立てラインの生産効率が飛躍的に向上する。
【0007】
上記構成において、サポート材4のチューブ挿通孔5の孔径をベンド管6の脚部外形よりわずかに小に形成し、そのチューブ挿通孔5にベンド管6の両脚部を圧入して固定した場合には、ベンド管6とサポート材4とを容易に一体化し、そのまま一体としてコア3の各偏平チューブ2の端部に同時に各ベンド管6の両脚部をワンタッチで嵌着させることができる。
上記構成において、そのチューブ挿通孔5の孔縁部をコア3側にバーリング加工し、そこにベンド管6の脚部を圧入した場合には、ベンド管付きサポート材4をコア3の各偏平チューブ2に嵌着する際、バーリング加工部8の存在により各ベンド管6がサポート材4のチューブ挿通孔5から移動することを効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。図1は本発明の熱交換器の製造方法の準備工程を示し、図2はその組立てラインにおける第1工程を示し、図3は同第2工程を示す要部縦断面図である。
【0009】
この熱交換器の製造方法は先ず、強度メンバーであるサポート材4に予め多数のチューブ挿通孔5を定間隔で穿設しておく。このチューブ挿通孔5の孔径は、そこに挿入される短いベンド管6の外直径よりわずかに小にしておく。なお、チューブ挿通孔5の孔縁部を図3に示すごとく、コア3側にバーリング加工したバーリング加工部8を予め形成しておくことが好ましい。このバーリング加工部8における孔径もベンド管6の脚部外形よりわずかに小に形成する。
【0010】
そして、軸線がU字状に曲折された短いベンド管6をそれぞれのチューブ挿通孔5に圧入する。それにより、多数のベンド管6とサポート材4とが一体化される。特にチューブ挿通孔5にバーリング加工部8を有する場合には、バーリング加工部8の存在により、それが爪となり、ベンド管6がチューブ挿通孔5から抜出る方向に移動する場合には、その爪がベンド管6の外周に食い込み、その抜けを防止できる。
サポート材4はこの例では断面コ字状に形成され、チューブ挿通孔5が千鳥状に2列に配置されている。なお、チューブ挿通孔5は3列以上に形成されていてもよい。さらに、この例では図示していないが、一部のベンド管6の換わりに、サポート材4の一部のチューブ挿通孔5には冷媒の入口パイプおよび出口パイプが接続される。
【0011】
このようにして、ベンド管6付きサポート材4を予め生産ライン外で製造しておく。この場合、平板状で剛性が高い一枚のサポート材4の各チューブ挿通孔5にベンド管6の両脚部を圧入するものであるから、比較的効率よくベンド管6付きサポート材4を製造することができる。
なお、コア3は従来の製造方法と同様に多数のプレートフィン1を小隙を有して並列しておき、その積層方向の一方の端部にはサポート材4aを配置する。そして、この例では軸線がU字状の長尺なチューブ2を各チューブ挿通孔に多数挿通する。そして、チューブ2の開口端より拡開治具を挿通し、チューブ2外周をプレートフィン1のチューブ挿通孔に圧着固定する。それと共にチューブ2の端部に拡開部2aを形成する。
【0012】
そして、生産ラインにおいてコア3の拡開部2aの側端面にベンド管6付きサポート材4を被嵌し、各ベンド管6の両脚部を各拡開部2aに同時に嵌着する。次いで、その組立て状態で高温の炉内に挿入し、予め付着または配置されたろう材によって、ベンド管6の両脚部と拡開部2aとの間、並びにサポート材4のチューブ挿通孔5とベンド管6の外周とを一体にろう付けして図3の如く、ろう材7を形成し、熱交換器を完成する。
なお、この例でベンド管6の板厚はチューブ2のそれよりも厚く形成し、ベンド管6をサポート材4に圧入する際、ベンド管6が変形するのを防止している。また、ろう付けは前記のような炉内ろう付けの他に、トーチろう付けによってろう材7のフィラーを形成してもよい。その場合にはサポート材4と拡開部2aの端部との間隔をある程度設ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の製造方法における準備工程を示す説明図。
【図2】同製造方法の生産ラインにおける組立工程を示す説明図。
【図3】同組立て後にろう付けを行った状態を示す要部縦断面図。
【符号の説明】
【0014】
1 プレートフィン
2 チューブ
2a 拡開部
3 コア
4 サポート材
4a サポート材
5 チューブ挿通孔
6 ベンド管
7 ろう材
8 バーリング加工部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器の組立てライン外で、予め強度メンバーを構成するサポート材(4)の一対づつのチューブ挿通孔(5)に、複数の短いU字状チューブからなるベンド管(6)の両脚部を貫通固定して、ベンド管付きサポート材(4)を形成する準備工程と、
小隙を有して並列された多数のプレートフィン(1) のチューブ挿通孔に、複数のチューブ(2)を挿通してコア(3) を形成する工程と、
熱交換器の組立てライン中で、前記ベンド管付きサポート材(4)を前記コア(3) の端面に配置して、各ベンド管(6)の両脚部を前記コア(3) の各チューブ(2)の端部に同時に嵌着させる工程と、
各チューブ(2)の端部とベンド管(6)の脚部との嵌着部をろう付けする工程と、を具備する熱交換器の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記サポート材(4)のチューブ挿通孔(5)の口径をベンド管(6)の脚部外径より僅かに小に形成し、そのチューブ挿通孔(5)にベンド管(6)の両脚部を圧入して固定することとした熱交換器の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
サポート材(4)のチューブ挿通孔(5)の孔縁部を前記コア(3) 側にバーリング加工し、そのバーリング加工部(8) に前記ベンド管(6)の脚部を圧入したことを特徴とする熱交換器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−68805(P2009−68805A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239660(P2007−239660)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000222484)株式会社ティラド (289)
【Fターム(参考)】