熱交換装置
【課題】透析装置の騒音を低減することができるとともに筐体内の排熱を有効利用することができる熱交換装置を提供する。
【解決手段】透析装置1の筐体2内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置3であって、筐体2内の空気の熱を吸収するフィン6(気体吸熱手段)と、該フィン6で吸収された熱を透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第1伝熱板7(気体用伝熱手段)と、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第2伝熱板9(液体用伝熱手段)とを具備したものである。
【解決手段】透析装置1の筐体2内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置3であって、筐体2内の空気の熱を吸収するフィン6(気体吸熱手段)と、該フィン6で吸収された熱を透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第1伝熱板7(気体用伝熱手段)と、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第2伝熱板9(液体用伝熱手段)とを具備したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析装置の筐体内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透析治療においては、先端に穿刺針が接続された血液回路の途中にダイアライザ(血液浄化器)を接続しておき、血液ポンプを駆動させることにより該血液回路にて患者の血液を体外循環させる一方、透析装置からダイアライザに透析液を供給しつつ老廃物を含んだ透析液を排出させる。即ち、ダイアライザ内には中空糸膜などの透過膜が収容されるとともに、当該透過膜を介して血液を流通させる血液流路と透析液を流通させる透析液流路とが形成されており、血液中の老廃物を透析液側に透過させ排出することにより浄化可能とされているのである。
【0003】
上記透析装置は、DCコンバータやCPU或いは各種アクチュエータを制御するモータドライバ等から成る電気制御部、及びダイアライザに供給される透析液を流通させる供給側ライン、当該ダイアライザから排出される透析液を流通させる排出側ライン、及び当該供給側ラインから排出側ラインに向かって透析液を流動させ得る送液ポンプや除水ポンプ或いは流路の開閉を行わせる電磁弁等から成る配管部等をその筐体内に有している。
【0004】
而して、当該電気制御部や配管部には種々の発熱要素(電気制御部や配管部の電磁弁など)が存在し、その発熱要素からの排熱により透析装置の筐体内は高温な状態となってしまう。従来においては、透析装置の筐体内が過度に高温となってしまうのを回避すべく、当該筐体の外側面や底面等に開口窓やファン等を設け、筐体内部で高温となった空気を外部に放出し得るよう構成されている。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の熱交換装置においては、透析装置の筐体における外側面や底面等に開口窓やファン等を設けて過熱を回避するものであったので、ファンの駆動音により患者に不快感を与えてしまう虞があった。特に、透析装置の場合、患者のすぐ脇に設置されることから、ファンの駆動音は耳につきやすく騒音として認識される場合が多いものである。一方、透析装置においては、透析液や透析液を調製するための水を加温することが行われていることから、本出願人は、筐体内における排熱を利用することを鋭意検討するに至った。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透析装置の騒音を低減することができるとともに筐体内の排熱を有効利用することができる熱交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、透析装置の筐体内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置であって、前記筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、該気体吸熱手段で吸収された熱を前記透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱交換装置において、前記筐体内の空気を前記気体吸熱手段に送り込む送風手段を具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の熱交換装置において、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の熱交換装置において、前記気体吸熱手段、気体用伝熱手段及び液体用伝熱手段が一体化されて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、透析装置の筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、該気体吸熱手段で吸収された熱を透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段とを具備したので、筐体外部のファン等が不要とされて透析装置の騒音を低減することができるとともに筐体内の排熱を有効利用することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、筐体内の空気を気体吸熱手段に送り込む送風手段を具備したので、気体吸熱手段による熱の吸収をより効率的に行わせることができるとともに、当該気体吸熱手段にて熱が吸収された空気を筐体内で循環させて過熱を抑制することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備したので、筐体内の排熱に加え血液浄化器から排出される透析液の熱も有効利用することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、気体吸熱手段、気体用伝熱手段及び液体用伝熱手段が一体化されて成るので、熱交換装置の高機能化(ハイブリッド化)を図ることができるとともに、部品の共用を図ることにより熱交換装置の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る熱交換装置は、図1、2に示すように、透析治療で用いられる透析装置1の筐体2内に設置されるものであり、かかる透析装置1は、筐体2内に電気制御部4及び配管部5等が配設されて成るものである。配管部5は、例えば透析治療のための透析液を血液浄化器(ダイアライザ)に供給し得る供給側ライン、当該血液浄化器に供給された透析液を老廃物等と共に排出する排出側ライン等の種々配管(何れも不図示)が配設され、これら種々配管には電磁弁等(不図示)が配設されている。
【0016】
然るに、透析治療時においては、供給側ラインの先端及び排出側ラインの先端が血液浄化器(ダイアライザ)に接続され、当該血液浄化器に対して透析液を供給及び排出し得るよう構成されている。尚、ダイアライザ等の血液浄化器は、内部に中空糸膜を具備しており、該中空糸膜を介して透析液流路及び血液流路が形成されている。
【0017】
透析液流路は、供給側ラインから導入された透析液を流通させ、その透析液を排出側ラインから排出させ得る透析液の流路であり、中空糸膜を介して血液流路が形成されている。血液流路は、先端が患者に穿刺可能な血液回路(不図示)と接続されており、該血液回路によって患者の血液を体外で循環させる過程において、含有する老廃物等が中空糸膜を透過し、透析液流路中を流れる透析液に至ることにより透析治療が行われる。
【0018】
電気制御部4は、例えばDCコンバータやCPU或いは各種アクチュエータ(例えば配管部5の電磁弁等)を制御するモータドライバ等が配設されたものである。而して、かかる電気制御部4及び上記した配管部5には、駆動や作動により発熱する発熱要素があり、その発熱要素からの排熱により透析装置1の筐体2内は高温な状態となってしまう。本実施形態においては、かかる排熱を利用して、透析液又は透析液を調製するための水を加温し得る熱交換装置3が配設されている。
【0019】
この熱交換装置3は、筐体2の下部に固設されたものから成り、図3、4に示すように、気体吸熱手段としてのフィン6と、気体用伝熱手段としての第1伝熱板7、送風手段としてのファン8と、液体用伝熱手段としての第2伝熱板9とを有して構成されている。ファン8(送風手段)は、筐体2内の空気をフィン6(気体吸熱手段)に送り込むためのものであり、熱交換装置3の上部に配設されて成る。
【0020】
フィン6(気体吸熱手段)は、アルミ等の伝熱特性に優れた周知の材料から成り、ファン8により送られた筐体2内の空気の熱を吸収(吸熱)するためのもので、図4に示すように、複数の凸条部材(溝形状)を有して成る。尚、フィン6を構成する複数の凸条部材(溝形状)は、ファン8の送風方向に延びており、当該ファン8で送られた空気がフィン6で吸熱された後、熱交換装置3の下部からスムーズに排出されるようになっている。
【0021】
第1伝熱板7(気体用伝熱手段)は、アルミ等の伝熱特性に優れた周知の板状材料から成り、フィン6の基端側と当接して配設されるとともに、第2伝熱板9との間に透析液を流通させ得る流路S1を形成して成るものである。かかる流路S1には、その一端側に入口側チューブP1及び他端側に出口側チューブP2が接続されており、入口側チューブP1から供給された透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)が流路S1を流通し、出口側チューブP2から排出されるようになっている。
【0022】
この場合、入口側チューブP1から供給される透析液は、血液浄化器に供給するためのものであって比較的低温であるため、当該血液浄化器に供給される前に所定温度まで加温されるべきものである。而して、かかる透析液は、流路S1を流通する過程でフィン6(気体吸熱手段)で吸収された熱が伝えられ、所定温度まで加温され得るようになっている。尚、上記流路S1に「透析液を調製するための水」を流通させ、当該水を加温するよう構成してもよく、その場合であっても血液浄化器に供給すべく調製された透析液を所定温度まで上昇させることができる。
【0023】
第2伝熱板9(液体用伝熱手段)は、第1伝熱板7と同様にアルミ等の伝熱特性に優れた周知の板状材料から成り、上述の如く一方の面を流路S1に臨ませて成るとともに、他方の面を流路S2に臨ませて成るものである。この流路S2には、その一端側に入口側チューブP3及び他端側に出口側チューブP4が接続されており、入口側チューブP3から供給された透析液(血液浄化器から排出された透析液)が流路S2を流通し、出口側チューブP4から排出されるようになっている。
【0024】
この場合、入口側チューブP3から供給される透析液は、血液浄化器から排出されたものであって比較的高温であるため、外部に排出される前に所定温度まで冷却されるべきものである。而して、かかる透析液は、流路S2を流通する過程で第2伝熱板9にて吸熱され、その熱が流路S1を流通する透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)に伝えられるようになっている。これにより、血液浄化器から排出された透析液は冷却される一方、血液浄化器に供給されるべき透析液(又は透析液を調製するための水)は加温されることとなる。
【0025】
ここで、本実施形態においては、透析装置1における筐体2内の空気の熱を吸収するフィン6(気体吸熱手段)と、該フィン6で吸収された熱を透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1伝熱板7(気体用伝熱手段)と、筐体2内の空気をフィン6に送り込むファン8と、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第2伝熱板9(液体用伝熱手段)とが一体化されて熱交換装置3を構成している。
【0026】
更に、本実施形態に適用される透析装置1の筐体2には、その側面に排気窓2aが形成されるとともに、底面にも排気窓2bが形成されている。これら排気窓2a、2bには、図5に示すように、複数のルーバー10、作動部11及びバイオメタル12等を有した開閉手段a、bがそれぞれ配設されており、同図の状態において当該排気窓2a、2bはルーバー10により閉じた状態とされる。バイオメタル12は、温度が高くなれば収縮する性質を有しているため、装置内部温度が過度に上昇した場合、当該バイオメタル12が収縮してルーバー10を開方向に動作させることとなる。
【0027】
然るに、筐体2内の空気が所定温度まで上昇すると、バイオメタル12が収縮してスプリング13の付勢力に抗して作動部11が摺動し、図6に示すように、ルーバー10が軸L1を中心に揺動することにより排気窓2a、2bが開いた状態とされる。これにより、筐体2内の空気が外部に排出されることから、当該筐体2内の空気の温度が過度に上昇してしまうのを回避することができる。然るに、ルーバー10の駆動手段としてバイオメタル12を適用することにより、一般的な形状記憶合金の線材を適用したものと比べ、より高速な動作を可能とすることができる。
【0028】
上記実施形態によれば、透析装置1の筐体2内の空気の熱を吸収するフィン6(気体吸熱手段)と、該フィン6で吸収された熱を透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1伝熱板7(気体用伝熱手段)とを具備したので、筐体2外部のファン等が不要とされて透析装置1の騒音を低減することができるとともに筐体2内の排熱を有効利用することができる。
【0029】
本実施形態において熱交換装置3にファン8が配設されているが、かかるファン8は、筐体2内部に配設されることとなるため、その駆動による騒音は外部にあまり漏れることがない。本実施形態の如く筐体2内の空気をフィン6に送り込むファン8(送風手段)を具備させれば、フィン6による熱の吸収をより効率的に行わせることができるとともに、当該フィン6にて熱が吸収された空気を筐体2内で循環させて過熱を抑制することができる。尚、ファン8を具備しない熱交換装置3としてもよく、或いは当該ファン8を具備した場合であっても筐体2内の温度状況によって間欠的に駆動させるものとしてもよい。
【0030】
また、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第2伝熱板9(液体用伝熱手段)を具備したので、筐体2内の排熱に加え血液浄化器から排出される透析液の熱も有効利用することができる。更に、フィン6(気体吸熱手段)、第1伝熱板7(気体用伝熱手段)及び第2伝熱板9(液体用伝熱手段)が一体化されて成るので、熱交換装置3の高機能化(ハイブリッド化)を図ることができるとともに、部品の共用を図ることにより熱交換装置3の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0031】
上記実施形態においては、熱交換装置3が筐体2の底面側に固設されているが、例えば図7、8に示すように、筐体2の上部側であって排気窓2a近傍に配設してもよく、この位置と図1、2で示す位置との両方にそれぞれ熱交換装置3を固設するようにしてもよい。尚、熱交換装置3の固設位置は、任意に決定されるべきであるが、筐体2内の空気の対流状況等を勘案して決定されるのが好ましい。
【0032】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る熱交換装置は、第1の実施形態と同様、透析治療で用いられる透析装置1の筐体2内に設置され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能なものであり、図9に示すように、第1熱交換部14と、第2熱交換部17とから主に構成されている。これら第1熱交換部14と第2熱交換部17とは直列に(長手方向に当接させて)接続されており、内部に形成された流路S3が当該第1熱交換部14から第2熱交換部17に亘り連続して形成されている。尚、適用される透析装置1及びその筐体2については、第1の実施形態と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0033】
第1熱交換部14は、図10及び図9に示すように、筐体2内の空気の熱を吸収するフィン15(気体吸熱手段)と、該フィン15で吸収された熱を透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する略円筒状の第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)とを具備している。フィン15は、アルミ等の伝熱特性に優れた周知の材料から成るとともに、第1アルミ製鋳物16の外周面から突設され、吸収した熱が当該第1アルミ製鋳物16に伝達されるようになっている。
【0034】
第1アルミ製鋳物16は、内部に螺旋状(コイル形状)の流路S3が形成されており、この流路S3に血液浄化器に供給すべき透析液(又は透析液を調製するための水)が流通し得るよう構成されている。かかる流路S3は、後述する第2熱交換部17内部に形成された流路S3と連通しており、この連通した流路S3には、その一端側に入口側チューブP1及び他端側に出口側チューブP2が接続されている。而して、入口側チューブP1から供給された透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)が流路S1を流通し、出口側チューブP2から排出されるようになっている。
【0035】
かかる透析液は、第1アルミ製鋳物16における流路S3を流通する過程でフィン15(気体吸熱手段)で吸収された熱が伝えられ、所定温度まで加温され得るようになっている。尚、上記流路S3に「透析液を調製するための水」を流通させ、当該水を加温するよう構成してもよく、その場合であっても血液浄化器に供給すべく調製された透析液を所定温度まで上昇させることができる。
【0036】
第2熱交換部17は、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)にて構成されている。かかる第2アルミ製鋳物18には、螺旋状(コイル形状)に形成された流路S3に加え、該流路S3と隣接した位置にて螺旋状(コイル形状)に延びた流路S4が形成されている。
【0037】
この流路S4には、その一端側に入口側チューブP3及び他端側に出口側チューブP4が接続されている(図9及び図11参照)。而して、入口側チューブP3から供給された透析液(血液浄化器から排出された透析液)が流路S4を流通し、出口側チューブP4から排出されるようになっている。尚、流路S3を流れる透析液(血液浄化器に供給されるべき透析液又はその調製のための水)と、流路S4を流れる透析液(血液浄化器から排出された透析液)とは流れる方向が反対となっている。
【0038】
これにより、流路S4を流通する透析液(血液浄化器から排出された透析液)の熱が第2アルミ製鋳物18に吸収されるとともに、その熱が当該第2アルミ製鋳物18における流路S3を流通する透析液(血液浄化器に供給されるべき透析液又はその調製のための水)に伝えられて所定温度まで加温され得るようになっている。これにより、血液浄化器から排出された透析液は冷却される一方、血液浄化器に供給されるべき透析液(又は透析液を調製するための水)は加温されることとなる。
【0039】
ここで、本実施形態においては、透析装置1における筐体2内の空気の熱を吸収するフィン15(気体吸熱手段)と、該フィン15で吸収された熱を透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)と、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)とが一体化されて熱交換装置を構成している。
【0040】
上記実施形態によれば、透析装置1の筐体2内の空気の熱を吸収するフィン15(気体吸熱手段)と、該フィン15で吸収された熱を透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)とを具備したので、筐体2外部のファン等が不要とされて透析装置1の騒音を低減することができるとともに筐体2内の排熱を有効利用することができる。
【0041】
また、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)を具備したので、筐体2内の排熱に加え血液浄化器から排出される透析液の熱も有効利用することができる。更に、フィン15(気体吸熱手段)、第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)及び第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)が一体化されて成るので、熱交換装置の高機能化(ハイブリッド化)を図ることができるとともに、部品の共用を図ることにより熱交換装置の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備しないものとしてもよく、特に第2の実施形態において、第1熱交換部14を単独で配置(第2熱交換部17が形成されないもの)したものであってもよい。
【0043】
また、伝熱のための構成要件(フィン6及びフィン15(気体吸熱手段)、第1伝熱板7及び第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)、第2伝熱板9及び第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段))は、伝熱性が良好な材料であればアルミ以外の何れの材料から成るものであってもよい。更に、第2実施形態において、筐体2内の空気をフィン15(気体吸熱手段)に送り込むファン等の送風手段を具備させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、該気体吸熱手段で吸収された熱を透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段とを具備した熱交換装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る熱交換装置及び適用される透析装置を示す正面模式図
【図2】同熱交換装置及び適用される透析装置を示す側面模式図
【図3】同熱交換装置を示す正面模式図
【図4】同熱交換装置を示す底面模式図
【図5】同熱交換装置が適用される透析装置の筐体に配設された排気窓の開口手段(閉状態)を示す模式図
【図6】同熱交換装置が適用される透析装置の筐体に配設された排気窓の開口手段(開状態)を示す模式図
【図7】同熱交換装置(他の位置への配設)及び適用される透析装置を示す正面模式図
【図8】同熱交換装置(他の位置への配設)及び適用される透析装置を示す側面模式図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る熱交換装置を示す断面模式図
【図10】同熱交換装置を示す右側面模式図
【図11】同熱交換装置を示す左側面模式図
【符号の説明】
【0046】
1 透析装置
2 筐体
3 熱交換装置
4 電気制御部
5 配管部
6 フィン(気体吸熱手段)
7 第1伝熱板(気体用伝熱手段)
8 ファン(送風手段)
9 第2伝熱板(液体用伝熱手段)
10 ルーバー
11 作動部
12 バイオメタル
13 スプリング
14 第1熱交換部
15 フィン(気体吸熱手段)
16 第1アルミ製鋳物(気体用伝熱手段)
17 第2熱交換部
18 第2アルミ製鋳物(液体用伝熱手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、透析装置の筐体内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透析治療においては、先端に穿刺針が接続された血液回路の途中にダイアライザ(血液浄化器)を接続しておき、血液ポンプを駆動させることにより該血液回路にて患者の血液を体外循環させる一方、透析装置からダイアライザに透析液を供給しつつ老廃物を含んだ透析液を排出させる。即ち、ダイアライザ内には中空糸膜などの透過膜が収容されるとともに、当該透過膜を介して血液を流通させる血液流路と透析液を流通させる透析液流路とが形成されており、血液中の老廃物を透析液側に透過させ排出することにより浄化可能とされているのである。
【0003】
上記透析装置は、DCコンバータやCPU或いは各種アクチュエータを制御するモータドライバ等から成る電気制御部、及びダイアライザに供給される透析液を流通させる供給側ライン、当該ダイアライザから排出される透析液を流通させる排出側ライン、及び当該供給側ラインから排出側ラインに向かって透析液を流動させ得る送液ポンプや除水ポンプ或いは流路の開閉を行わせる電磁弁等から成る配管部等をその筐体内に有している。
【0004】
而して、当該電気制御部や配管部には種々の発熱要素(電気制御部や配管部の電磁弁など)が存在し、その発熱要素からの排熱により透析装置の筐体内は高温な状態となってしまう。従来においては、透析装置の筐体内が過度に高温となってしまうのを回避すべく、当該筐体の外側面や底面等に開口窓やファン等を設け、筐体内部で高温となった空気を外部に放出し得るよう構成されている。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の熱交換装置においては、透析装置の筐体における外側面や底面等に開口窓やファン等を設けて過熱を回避するものであったので、ファンの駆動音により患者に不快感を与えてしまう虞があった。特に、透析装置の場合、患者のすぐ脇に設置されることから、ファンの駆動音は耳につきやすく騒音として認識される場合が多いものである。一方、透析装置においては、透析液や透析液を調製するための水を加温することが行われていることから、本出願人は、筐体内における排熱を利用することを鋭意検討するに至った。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透析装置の騒音を低減することができるとともに筐体内の排熱を有効利用することができる熱交換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、透析装置の筐体内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置であって、前記筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、該気体吸熱手段で吸収された熱を前記透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱交換装置において、前記筐体内の空気を前記気体吸熱手段に送り込む送風手段を具備したことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の熱交換装置において、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の熱交換装置において、前記気体吸熱手段、気体用伝熱手段及び液体用伝熱手段が一体化されて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、透析装置の筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、該気体吸熱手段で吸収された熱を透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段とを具備したので、筐体外部のファン等が不要とされて透析装置の騒音を低減することができるとともに筐体内の排熱を有効利用することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、筐体内の空気を気体吸熱手段に送り込む送風手段を具備したので、気体吸熱手段による熱の吸収をより効率的に行わせることができるとともに、当該気体吸熱手段にて熱が吸収された空気を筐体内で循環させて過熱を抑制することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備したので、筐体内の排熱に加え血液浄化器から排出される透析液の熱も有効利用することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、気体吸熱手段、気体用伝熱手段及び液体用伝熱手段が一体化されて成るので、熱交換装置の高機能化(ハイブリッド化)を図ることができるとともに、部品の共用を図ることにより熱交換装置の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る熱交換装置は、図1、2に示すように、透析治療で用いられる透析装置1の筐体2内に設置されるものであり、かかる透析装置1は、筐体2内に電気制御部4及び配管部5等が配設されて成るものである。配管部5は、例えば透析治療のための透析液を血液浄化器(ダイアライザ)に供給し得る供給側ライン、当該血液浄化器に供給された透析液を老廃物等と共に排出する排出側ライン等の種々配管(何れも不図示)が配設され、これら種々配管には電磁弁等(不図示)が配設されている。
【0016】
然るに、透析治療時においては、供給側ラインの先端及び排出側ラインの先端が血液浄化器(ダイアライザ)に接続され、当該血液浄化器に対して透析液を供給及び排出し得るよう構成されている。尚、ダイアライザ等の血液浄化器は、内部に中空糸膜を具備しており、該中空糸膜を介して透析液流路及び血液流路が形成されている。
【0017】
透析液流路は、供給側ラインから導入された透析液を流通させ、その透析液を排出側ラインから排出させ得る透析液の流路であり、中空糸膜を介して血液流路が形成されている。血液流路は、先端が患者に穿刺可能な血液回路(不図示)と接続されており、該血液回路によって患者の血液を体外で循環させる過程において、含有する老廃物等が中空糸膜を透過し、透析液流路中を流れる透析液に至ることにより透析治療が行われる。
【0018】
電気制御部4は、例えばDCコンバータやCPU或いは各種アクチュエータ(例えば配管部5の電磁弁等)を制御するモータドライバ等が配設されたものである。而して、かかる電気制御部4及び上記した配管部5には、駆動や作動により発熱する発熱要素があり、その発熱要素からの排熱により透析装置1の筐体2内は高温な状態となってしまう。本実施形態においては、かかる排熱を利用して、透析液又は透析液を調製するための水を加温し得る熱交換装置3が配設されている。
【0019】
この熱交換装置3は、筐体2の下部に固設されたものから成り、図3、4に示すように、気体吸熱手段としてのフィン6と、気体用伝熱手段としての第1伝熱板7、送風手段としてのファン8と、液体用伝熱手段としての第2伝熱板9とを有して構成されている。ファン8(送風手段)は、筐体2内の空気をフィン6(気体吸熱手段)に送り込むためのものであり、熱交換装置3の上部に配設されて成る。
【0020】
フィン6(気体吸熱手段)は、アルミ等の伝熱特性に優れた周知の材料から成り、ファン8により送られた筐体2内の空気の熱を吸収(吸熱)するためのもので、図4に示すように、複数の凸条部材(溝形状)を有して成る。尚、フィン6を構成する複数の凸条部材(溝形状)は、ファン8の送風方向に延びており、当該ファン8で送られた空気がフィン6で吸熱された後、熱交換装置3の下部からスムーズに排出されるようになっている。
【0021】
第1伝熱板7(気体用伝熱手段)は、アルミ等の伝熱特性に優れた周知の板状材料から成り、フィン6の基端側と当接して配設されるとともに、第2伝熱板9との間に透析液を流通させ得る流路S1を形成して成るものである。かかる流路S1には、その一端側に入口側チューブP1及び他端側に出口側チューブP2が接続されており、入口側チューブP1から供給された透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)が流路S1を流通し、出口側チューブP2から排出されるようになっている。
【0022】
この場合、入口側チューブP1から供給される透析液は、血液浄化器に供給するためのものであって比較的低温であるため、当該血液浄化器に供給される前に所定温度まで加温されるべきものである。而して、かかる透析液は、流路S1を流通する過程でフィン6(気体吸熱手段)で吸収された熱が伝えられ、所定温度まで加温され得るようになっている。尚、上記流路S1に「透析液を調製するための水」を流通させ、当該水を加温するよう構成してもよく、その場合であっても血液浄化器に供給すべく調製された透析液を所定温度まで上昇させることができる。
【0023】
第2伝熱板9(液体用伝熱手段)は、第1伝熱板7と同様にアルミ等の伝熱特性に優れた周知の板状材料から成り、上述の如く一方の面を流路S1に臨ませて成るとともに、他方の面を流路S2に臨ませて成るものである。この流路S2には、その一端側に入口側チューブP3及び他端側に出口側チューブP4が接続されており、入口側チューブP3から供給された透析液(血液浄化器から排出された透析液)が流路S2を流通し、出口側チューブP4から排出されるようになっている。
【0024】
この場合、入口側チューブP3から供給される透析液は、血液浄化器から排出されたものであって比較的高温であるため、外部に排出される前に所定温度まで冷却されるべきものである。而して、かかる透析液は、流路S2を流通する過程で第2伝熱板9にて吸熱され、その熱が流路S1を流通する透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)に伝えられるようになっている。これにより、血液浄化器から排出された透析液は冷却される一方、血液浄化器に供給されるべき透析液(又は透析液を調製するための水)は加温されることとなる。
【0025】
ここで、本実施形態においては、透析装置1における筐体2内の空気の熱を吸収するフィン6(気体吸熱手段)と、該フィン6で吸収された熱を透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1伝熱板7(気体用伝熱手段)と、筐体2内の空気をフィン6に送り込むファン8と、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第2伝熱板9(液体用伝熱手段)とが一体化されて熱交換装置3を構成している。
【0026】
更に、本実施形態に適用される透析装置1の筐体2には、その側面に排気窓2aが形成されるとともに、底面にも排気窓2bが形成されている。これら排気窓2a、2bには、図5に示すように、複数のルーバー10、作動部11及びバイオメタル12等を有した開閉手段a、bがそれぞれ配設されており、同図の状態において当該排気窓2a、2bはルーバー10により閉じた状態とされる。バイオメタル12は、温度が高くなれば収縮する性質を有しているため、装置内部温度が過度に上昇した場合、当該バイオメタル12が収縮してルーバー10を開方向に動作させることとなる。
【0027】
然るに、筐体2内の空気が所定温度まで上昇すると、バイオメタル12が収縮してスプリング13の付勢力に抗して作動部11が摺動し、図6に示すように、ルーバー10が軸L1を中心に揺動することにより排気窓2a、2bが開いた状態とされる。これにより、筐体2内の空気が外部に排出されることから、当該筐体2内の空気の温度が過度に上昇してしまうのを回避することができる。然るに、ルーバー10の駆動手段としてバイオメタル12を適用することにより、一般的な形状記憶合金の線材を適用したものと比べ、より高速な動作を可能とすることができる。
【0028】
上記実施形態によれば、透析装置1の筐体2内の空気の熱を吸収するフィン6(気体吸熱手段)と、該フィン6で吸収された熱を透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1伝熱板7(気体用伝熱手段)とを具備したので、筐体2外部のファン等が不要とされて透析装置1の騒音を低減することができるとともに筐体2内の排熱を有効利用することができる。
【0029】
本実施形態において熱交換装置3にファン8が配設されているが、かかるファン8は、筐体2内部に配設されることとなるため、その駆動による騒音は外部にあまり漏れることがない。本実施形態の如く筐体2内の空気をフィン6に送り込むファン8(送風手段)を具備させれば、フィン6による熱の吸収をより効率的に行わせることができるとともに、当該フィン6にて熱が吸収された空気を筐体2内で循環させて過熱を抑制することができる。尚、ファン8を具備しない熱交換装置3としてもよく、或いは当該ファン8を具備した場合であっても筐体2内の温度状況によって間欠的に駆動させるものとしてもよい。
【0030】
また、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第2伝熱板9(液体用伝熱手段)を具備したので、筐体2内の排熱に加え血液浄化器から排出される透析液の熱も有効利用することができる。更に、フィン6(気体吸熱手段)、第1伝熱板7(気体用伝熱手段)及び第2伝熱板9(液体用伝熱手段)が一体化されて成るので、熱交換装置3の高機能化(ハイブリッド化)を図ることができるとともに、部品の共用を図ることにより熱交換装置3の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0031】
上記実施形態においては、熱交換装置3が筐体2の底面側に固設されているが、例えば図7、8に示すように、筐体2の上部側であって排気窓2a近傍に配設してもよく、この位置と図1、2で示す位置との両方にそれぞれ熱交換装置3を固設するようにしてもよい。尚、熱交換装置3の固設位置は、任意に決定されるべきであるが、筐体2内の空気の対流状況等を勘案して決定されるのが好ましい。
【0032】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態に係る熱交換装置は、第1の実施形態と同様、透析治療で用いられる透析装置1の筐体2内に設置され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能なものであり、図9に示すように、第1熱交換部14と、第2熱交換部17とから主に構成されている。これら第1熱交換部14と第2熱交換部17とは直列に(長手方向に当接させて)接続されており、内部に形成された流路S3が当該第1熱交換部14から第2熱交換部17に亘り連続して形成されている。尚、適用される透析装置1及びその筐体2については、第1の実施形態と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0033】
第1熱交換部14は、図10及び図9に示すように、筐体2内の空気の熱を吸収するフィン15(気体吸熱手段)と、該フィン15で吸収された熱を透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する略円筒状の第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)とを具備している。フィン15は、アルミ等の伝熱特性に優れた周知の材料から成るとともに、第1アルミ製鋳物16の外周面から突設され、吸収した熱が当該第1アルミ製鋳物16に伝達されるようになっている。
【0034】
第1アルミ製鋳物16は、内部に螺旋状(コイル形状)の流路S3が形成されており、この流路S3に血液浄化器に供給すべき透析液(又は透析液を調製するための水)が流通し得るよう構成されている。かかる流路S3は、後述する第2熱交換部17内部に形成された流路S3と連通しており、この連通した流路S3には、その一端側に入口側チューブP1及び他端側に出口側チューブP2が接続されている。而して、入口側チューブP1から供給された透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)が流路S1を流通し、出口側チューブP2から排出されるようになっている。
【0035】
かかる透析液は、第1アルミ製鋳物16における流路S3を流通する過程でフィン15(気体吸熱手段)で吸収された熱が伝えられ、所定温度まで加温され得るようになっている。尚、上記流路S3に「透析液を調製するための水」を流通させ、当該水を加温するよう構成してもよく、その場合であっても血液浄化器に供給すべく調製された透析液を所定温度まで上昇させることができる。
【0036】
第2熱交換部17は、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)にて構成されている。かかる第2アルミ製鋳物18には、螺旋状(コイル形状)に形成された流路S3に加え、該流路S3と隣接した位置にて螺旋状(コイル形状)に延びた流路S4が形成されている。
【0037】
この流路S4には、その一端側に入口側チューブP3及び他端側に出口側チューブP4が接続されている(図9及び図11参照)。而して、入口側チューブP3から供給された透析液(血液浄化器から排出された透析液)が流路S4を流通し、出口側チューブP4から排出されるようになっている。尚、流路S3を流れる透析液(血液浄化器に供給されるべき透析液又はその調製のための水)と、流路S4を流れる透析液(血液浄化器から排出された透析液)とは流れる方向が反対となっている。
【0038】
これにより、流路S4を流通する透析液(血液浄化器から排出された透析液)の熱が第2アルミ製鋳物18に吸収されるとともに、その熱が当該第2アルミ製鋳物18における流路S3を流通する透析液(血液浄化器に供給されるべき透析液又はその調製のための水)に伝えられて所定温度まで加温され得るようになっている。これにより、血液浄化器から排出された透析液は冷却される一方、血液浄化器に供給されるべき透析液(又は透析液を調製するための水)は加温されることとなる。
【0039】
ここで、本実施形態においては、透析装置1における筐体2内の空気の熱を吸収するフィン15(気体吸熱手段)と、該フィン15で吸収された熱を透析液(血液浄化器に供給すべき透析液)(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)と、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)とが一体化されて熱交換装置を構成している。
【0040】
上記実施形態によれば、透析装置1の筐体2内の空気の熱を吸収するフィン15(気体吸熱手段)と、該フィン15で吸収された熱を透析液(又は透析液を調製するための水)に伝えて加温する第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)とを具備したので、筐体2外部のファン等が不要とされて透析装置1の騒音を低減することができるとともに筐体2内の排熱を有効利用することができる。
【0041】
また、血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)を具備したので、筐体2内の排熱に加え血液浄化器から排出される透析液の熱も有効利用することができる。更に、フィン15(気体吸熱手段)、第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)及び第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段)が一体化されて成るので、熱交換装置の高機能化(ハイブリッド化)を図ることができるとともに、部品の共用を図ることにより熱交換装置の構成の簡素化及び小型化を図ることができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備しないものとしてもよく、特に第2の実施形態において、第1熱交換部14を単独で配置(第2熱交換部17が形成されないもの)したものであってもよい。
【0043】
また、伝熱のための構成要件(フィン6及びフィン15(気体吸熱手段)、第1伝熱板7及び第1アルミ製鋳物16(気体用伝熱手段)、第2伝熱板9及び第2アルミ製鋳物18(液体用伝熱手段))は、伝熱性が良好な材料であればアルミ以外の何れの材料から成るものであってもよい。更に、第2実施形態において、筐体2内の空気をフィン15(気体吸熱手段)に送り込むファン等の送風手段を具備させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、該気体吸熱手段で吸収された熱を透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段とを具備した熱交換装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る熱交換装置及び適用される透析装置を示す正面模式図
【図2】同熱交換装置及び適用される透析装置を示す側面模式図
【図3】同熱交換装置を示す正面模式図
【図4】同熱交換装置を示す底面模式図
【図5】同熱交換装置が適用される透析装置の筐体に配設された排気窓の開口手段(閉状態)を示す模式図
【図6】同熱交換装置が適用される透析装置の筐体に配設された排気窓の開口手段(開状態)を示す模式図
【図7】同熱交換装置(他の位置への配設)及び適用される透析装置を示す正面模式図
【図8】同熱交換装置(他の位置への配設)及び適用される透析装置を示す側面模式図
【図9】本発明の第2の実施形態に係る熱交換装置を示す断面模式図
【図10】同熱交換装置を示す右側面模式図
【図11】同熱交換装置を示す左側面模式図
【符号の説明】
【0046】
1 透析装置
2 筐体
3 熱交換装置
4 電気制御部
5 配管部
6 フィン(気体吸熱手段)
7 第1伝熱板(気体用伝熱手段)
8 ファン(送風手段)
9 第2伝熱板(液体用伝熱手段)
10 ルーバー
11 作動部
12 バイオメタル
13 スプリング
14 第1熱交換部
15 フィン(気体吸熱手段)
16 第1アルミ製鋳物(気体用伝熱手段)
17 第2熱交換部
18 第2アルミ製鋳物(液体用伝熱手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析装置の筐体内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置であって、
前記筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、
該気体吸熱手段で吸収された熱を前記透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段と、
を具備したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記筐体内の空気を前記気体吸熱手段に送り込む送風手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記気体吸熱手段、気体用伝熱手段及び液体用伝熱手段が一体化されて成ることを特徴とする請求項3記載の熱交換装置。
【請求項1】
透析装置の筐体内に配設され、透析液又は透析液を調製するための水を加温可能な熱交換装置であって、
前記筐体内の空気の熱を吸収する気体吸熱手段と、
該気体吸熱手段で吸収された熱を前記透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する気体用伝熱手段と、
を具備したことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記筐体内の空気を前記気体吸熱手段に送り込む送風手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
血液浄化器から排出される透析液の熱を当該血液浄化器に供給される透析液又は透析液を調製するための水に伝えて加温する液体用伝熱手段を具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記気体吸熱手段、気体用伝熱手段及び液体用伝熱手段が一体化されて成ることを特徴とする請求項3記載の熱交換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−94142(P2010−94142A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264827(P2008−264827)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】
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