説明

熱収縮性乳白フィルム、シュリンクラベル及びラベル付き容器

本発明の熱収縮性乳白フィルムは、無彩色又は380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制する有彩色の中心層と白色の表裏層とを有する。中心層は黒、黄、赤又は茶系の顔料を含有していてもよい。前記熱収縮性乳白フィルムの好ましい態様では、380〜500nmの波長帯域の光の透過率が5%以下である。前記熱収縮性乳白フィルムの他の好ましい態様では、中心層が無彩色であって、200〜600nmの波長帯域の光の透過率が3%以下である。本発明のシュリンクラベルは上記の熱収縮性乳白フィルムの表層側の表面に表示印刷インキ層を有している。また、本発明のラベル付き容器では容器本体に上記のシュリンクラベルが装着されている。このようなラベル付き容器は、容器内容物の光による変色や変質を抑制でき、デザイン等の印刷が鮮明で、しかも容器内容物を見たときの印象に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、遮光性を有する熱収縮性乳白フィルム、該熱収縮性乳白フィルムから作製されたシュリンクラベル、及び該ラベルを容器本体に熱収縮により装着したラベル付き容器に関する。
【背景技術】
ビール、清酒、ワイン等のアルコール飲料、緑茶、ビタミン入り飲料などは、光、特に380〜500nmの波長領域の光によって変色や変質が起こりやすい。このような光によって変質しやすい飲料等の容器として、遮光性を付与するために着色されたプラスチックボトルやガラス瓶が広く用いられている。しかし、これらの着色容器は、着色剤を含むため、使用済みの容器を回収・再利用する際に大きな障害となる。
そこで、無色透明なプラスチック製ボトルやガラス瓶を遮光性を付与したシュリンクラベルで容器本体を被覆したラベル付き容器が提案されている。例えば、特開2002−68202号公報には、酸化亜鉛などの紫外線遮断剤を含有する熱収縮性の合成樹脂フィルムを装着したボトルが開示されている。また、特開2002−285020号公報には、特定量の二酸化チタンを含有する白色フィルムから作製された熱収縮性ラベルを装着した容器が開示されている。しかし、これらの容器では、光線透過率、特に可視光線の透過率が比較的高く、遮光性が十分とは言えない。一方、特開2003−26252号公報には、白色顔料を含有する熱収縮性フィルムのデザインを施す面とは反対側の面に黒色印刷を施したシュリンクラベルが装着された容器が開示されている。しかし、このような容器では、ラベルの内面が黒色であるため、ボトルの口から内容物である乳飲料やビール等の飲料を覗くと、該飲料が黒っぽく見え、見た目の印象が悪く飲食欲が減退しかねない。
【発明の開示】
従って、本発明の目的は、容器内容物の光による変色や変質を抑制でき、デザイン等の印刷が鮮明で、しかも容器内容物を見たときの印象に優れるラベル付き容器と、このようなラベル付き容器を作製する上で有用な熱収縮性乳白フィルム及びシュリンクラベルを提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の層構成を有する熱収縮性乳白フィルムを用いたシュリンクラベルで容器本体を被覆すると、容器内の飲料等の光による変質を抑制できると共に、鮮明なデザイン等を施すことができ、しかも容器内容物を見たときの印象に優れ、飲料等が本来の色を損なわず違和感なく見えることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、無彩色又は380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制する有彩色の中心層と、白色の表裏層とを有する熱収縮性乳白フィルムを提供する。
前記中心層は黒、黄、赤又は茶系の顔料を少なくとも1種類含有していてもよい。前記熱収縮性乳白フィルムの好ましい態様では、380〜500nmの波長帯域の光の透過率が5%以下である。前記熱収縮性乳白フィルムの他の好ましい態様では、中心層が無彩色であって、200〜600nmの波長帯域の光の透過率が3%以下である。前記熱収縮性乳白フィルムのさらに他の好ましい態様では、表層側の表面のW値が60%以上である。
本発明の熱収縮性乳白フィルムは、例えば、表裏層と中心層とを共押出し成形し、次いで延伸処理を施すことにより形成されていてもよい。
本発明は、また、上記熱収縮性乳白フィルムの表層側の表面に表示印刷インキ層を有するシュリンクラベルを提供する。
本発明は、さらに、容器本体に上記のシュリンクラベルを装着したラベル付き容器を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のシュリンクラベルの一例を示す概略断面図である。
第2図は実施例2,3,4及び比較例1で得られた熱収縮性フィルムの光線透過率(透過度)を示すグラフである。
第3図は比較例3、実施例11〜13で得られた熱収縮性フィルムの光線透過率(透過度)を示すグラフである。
第4図は比較例7、実施例18〜22で得られた熱収縮性フィルムの光線透過率(透過度)を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を、必要に応じて図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明の熱収縮性乳白フィルムは、無彩色又は380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制する有彩色の中心層と白色の表裏層(表層及び裏層)とを有している。なお、表層とは容器へ装着したときに外面側となり、ラベルを作製する際にデザイン等の印刷を施す側の層を意味し、裏層とはラベルとした際の容器側の層を意味する。本発明の熱収縮性乳白フィルムでは、中心層が、無彩色であるか又は380〜500nmの波長帯域(紫外線域〜青緑色の可視光域)の光に対して遮光性を有しているため、ビタミン入り飲料やビール等の容器内容物の変色や変質を抑制又は防止できる。また、表層が白色であるため乳白色を呈し、ラベルを作製する際にデザイン等を鮮明に印刷することができる。さらに、裏層が白色であるため、該ラベルを容器に装着してラベル付き容器とした際、容器の口から内容物を見ると容器内の飲料等の内容物が本来の色が損なわれることなく自然に見える。熱収縮性乳白フィルムは、熱収縮性や美粧性、取扱性等を損なわない範囲で、前記中心層及び表裏層以外の層(透明な樹脂層、他の着色樹脂層、層間の接着性を向上させるための樹脂層など)を有していてもよい。
本発明のシュリンクラベルは前記熱収縮性乳白フィルムの表層側の面に表示印刷インキ層を有している。図1は本発明のシュリンクラベルの一例を示す概略断面図である。このシュリンクラベルの例では、白色の表層1と、無彩色又は380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制しうる有彩色の中心層2と、白色の裏層3とからなる熱収縮性乳白フィルム4の表層1側の表面に表示印刷インキ層5が形成されている。
表層1、中心層2及び裏層3は、それぞれ、熱収縮性フィルム層で構成することができる。熱収縮性フィルム層の素材としては、熱収縮性フィルムの材料として通常用いられているものを使用でき、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの素材は単独で又は2種以上混合して使用できる。
前記ポリエステル系樹脂としてはジオール成分とジカルボン酸成分(又はそのエステル等の反応性誘導体)との縮合等の公知の方法により得られるポリエステル系樹脂を使用できる。ポリエステル系樹脂を構成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール;チオジエタノール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;2,2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物、キシリレングリコール等の芳香族ジオールなどが挙げられる。これらのジオール成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリエステル系樹脂を構成するジカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、トランス−3,3′−スチルベンジカルボン酸、トランス−4,4′−スチルベンジカルボン酸、4,4′−ジベンジルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸類等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリエステル系樹脂としては、主ジオール成分としてエチレングリコール、主ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸を用いて得られるポリエステル系樹脂が特に好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン−共役ジエンブロック共重合体や、該スチレン−共役ジエンブロック共重合体に、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル系単量体との共重合体などの他のポリマーを混合したものなどを使用できる。前記スチレン−共役ジエンブロック共重合体において、スチレン含有量は30〜95重量%程度、共役ジエン含有量は5〜70重量%程度である。
白色の表層1及び裏層3は、それぞれ、前記樹脂成分と白色着色剤とで構成できる。白色着色剤としては、特に限定されず、例えば、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、亜鉛華などの白色顔料等を使用できる。これらの中でも、酸化チタンは白度が高く、中心層2の有彩色が透けて見えにくいため特に好ましい。表層1及び裏層3における白色着色剤の添加量は、白度やコスト等を考慮して適宜選択でき、その種類によっても異なるが、各層につき、全体の1〜20体積%程度、例えば酸化チタンの場合には、各層につき、全体の5〜40重量%程度、好ましくは10〜25重量%程度である。
白色着色剤として酸化チタン等の白色顔料を用いる場合、その平均粒子径は、例えば0.01〜10μm、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.1〜1μm程度である。平均粒子径が0.01μm未満では分散性が悪くなり、10μmを超えるとフィルム表面が粗くなり、外観が悪くなりやすい。
白色の表層1に青色着色剤(青色顔料等)を少量添加すると、中心層の黄、赤、茶色が表から目立たなくなる。青色着色料の添加量は、例えば表層1全体の0.01〜0.5重量%程度である。
なお、白色の表層1及び裏層3には、前記白色着色剤により着色された層のほか、発泡や、相溶性の悪い樹脂を2種類以上混ぜる等によって白色、白濁色又は乳白色を呈する層も含む。
中心層2には、無彩色の層が含まれ、具体的には、黒色の中心層及びグレー系の中心層等が含まれる。前記黒色の中心層2は、前記樹脂成分と黒色着色剤とで構成できる。黒色着色剤としては、特に限定されず、公知の黒色顔料等の何れも使用できるが、それらの中でもカーボンブラックが特に好ましい。黒色の中心層2における黒色着色剤の添加量は、フィルム表裏層の白度を損なわない範囲で、遮光性やコスト等を考慮して適宜選択できるが、通常、中心層2全体に対して1×10−3〜6体積%であるのが好ましい。
黒色着色剤としてカーボンブラックを用いる場合、その添加量は、通常、中心層2全体の0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%程度である。また、カーボンブラックの添加量は、熱収縮性乳白フィルム全体に対して5×10−4重量%以上(例えば、5×10−4〜2.5重量%程度)であるのが好ましい。さらに、カーボンブラックの乳白フィルム単位面積当たりの含有量としては、1×10−4g/m〜5g/mが好ましく、さらに好ましくは1×10−3g/m〜1g/m程度である。
黒色着色剤としてカーボンブラック等の黒色顔料を用いる場合、その平均粒子径は、例えば0.001〜10μm、好ましくは0.01〜1μm程度である。平均粒子径が0.001μm未満の場合には分散性が低下しやすく、10μmを超えると十分な遮光性が得られにくくなる。
前記グレー系の中心層2は、前記樹脂成分、黒色着色剤、及び白色着色剤で構成できる。黒色着色剤及び白色着色剤としては前記のものを使用できる。特に、黒色着色剤としてはカーボンブラックが好ましく、白色着色剤としては酸化チタンが好ましく用いられる。中心層2における黒色着色剤の添加量及び平均粒子径は前記と同様である。白色着色剤の添加量は、フィルムの白度、遮光性やコスト等を考慮して適宜選択できるが、通常、中心層2全体の1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%程度である。
なお、無彩色の中心層は、着色剤としてアルミ微粒子、銀微粉末などの金属微粒子が添加されたシルバー等のメタリック調の色の層であってもよい。
中心層2は、上記の他に、前記樹脂成分と380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制しうる有彩色着色剤とで構成することもできる。該有彩色着色剤としては、黄系顔料、赤系顔料、茶系顔料などを使用できる。黄系顔料としては、例えば、イエローオーカー、オーレオリン、カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、クロムイエロー、ジンクイエロー、ネイプルスイエロー、ニッケルイエローなどの無機顔料;アゾ系顔料、グリニッシュイエローなどの有機顔料が例示される。赤系顔料としては、例えば、カドミウムレッド、カドモポンレッド、クロムレッド、バーミリオン、ベンガラなどの無機顔料;アゾ系顔料、アリザリンレーキ、キナクリドン、コチニールレーキペリレンなどの有機顔料が挙げられる。茶系顔料としては、例えば、アンバー、ローアンバー、バーントアンバー、イエローオーカー、ヴァンダイクブラウン、シェンナ、ローシェンナ、バーントシェンナ、ベンガラなどの無機顔料;セピアなどの有機顔料が例示される。有彩色着色剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制する有彩色の中心層は、着色剤としての金属微粒子が添加されたメタリック調の色の層であってもよい。
中心層2における有彩色着色剤の添加量は、フィルム表裏層の白度を損なわない範囲で、遮光性やコスト等を考慮して適宜選択できるが、通常、中心層2全体の0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜15重量%程度である。また、有彩色着色剤の添加量は、熱収縮性乳白フィルム全体に対して5×10−4重量%以上(例えば、5×10−4〜5重量%程度)であるのが好ましい。さらに、有彩色着色剤の乳白フィルム単位面積当たりの含有量としては1×10−4g/m〜5g/mが好ましく、さらに好ましくは1×10−3g/m〜1g/m程度である。
有彩色着色剤の平均粒子径は、該着色剤の種類によっても異なるが、通常0.01〜1μm程度である。平均粒子径が1μmより大きいと十分な遮光性が得られにくくなり、0.01μm未満では分散性が低下しやすい。着色剤が黄系顔料の場合は、平均粒子径は0.3〜0.6μmの範囲が特に好ましく、着色剤が茶系顔料の場合は、平均粒子径は0.4〜0.7μmの範囲が特に好ましい。
中心層2には白さを増すため白色着色剤(白色顔料等)を添加してもよい。有彩色着色剤として赤系顔料や茶系顔料を用いた場合には、表面の外観に中心層2の有彩色が僅かに認められることがあるが、中心層2に白色着色剤を添加することにより、中心層2の有彩色をほぼ完全に隠蔽することが可能となる。白色着色剤としては前記のものを使用でき、特に酸化チタンが好適である。白色着色剤を添加する際の添加量は、例えば中心層2全体の0.1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%程度である。
中心層2は、構成する樹脂素材として必ずしも透明な素材を用いる必要はない。従って、該樹脂素材として、印刷不良のフィルム、フィルム周縁部の耳の部分、印刷の残っているフィルム断片などのリサイクル材料を有効に使用でき、経済的に極めて有利である。この場合、リサイクル材料の使用割合は、遮光性や熱収縮性等の特性を損なわない範囲で適宜選択できるが、一般には、全層を構成する樹脂素材全量に対して30重量%以下(例えば1〜30重量%程度)であるのが好ましい。
本発明では、熱収縮性乳白フィルム4においては、熱収縮性乳白フィルム全体として熱収縮性を有していればよく、必ずしも表層1、中心層2及び裏層3の全てを熱収縮性フィルム層で構成する必要はない。例えば、前記3層のうち1層又は2層を熱収縮性フィルム層で構成したり、或いは前記3層以外の他の層として熱収縮性フィルム層を設けることにより、乳白フィルム4に熱収縮性を付与することもできる。表層1、中心層2、裏層3は、熱収縮性フィルム層で構成する以外に、それぞれ、印刷層(又はコーティング層)で構成することができる。例えば、表層1、裏層3は、酸化チタン等の白色顔料を含むインキを用いて、グラビア印刷等の公知の印刷法で、中心層2となる無彩色又は有彩色の熱収縮性フィルム層の表裏両面に印刷を施すことにより形成できる。また、中心層2は、無彩色又は有彩色着色剤を含むインキを用いて、同じくグラビア印刷等の公知の印刷法で、表層1となる白色の熱収縮性フィルム層に印刷を施すことにより形成できる。なお、熱収縮性フィルム層を2層以上設ける場合、それらを構成する樹脂は互いに異種のものであってもよいが、作業性やリサイクル性等の点から同種のものであるのが好ましい。
熱収縮性乳白フィルム4の代表的な層構成として、(1)白色の熱収縮性フィルム層(表層)/黒色、グレー系又は有彩色の熱収縮性フィルム層(中心層)/白色の熱収縮性フィルム層(裏層)、(2)白色の熱収縮性フィルム層(表層)/黒色、グレー系又は有彩色の熱収縮性フィルム層(中心層)/白色の印刷層(裏層)、(3)白色の印刷層(表層)/黒色、グレー系又は有彩色の熱収縮性フィルム層(中心層)/白色の熱収縮性フィルム層(裏層)などが挙げられる。本発明では、無彩色又は有彩色の着色剤を直接樹脂に練り込み、濃度を得ることができるなど、コストを低減できることから、少なくとも中心層2が黒色、グレー系又は有彩色の熱収縮性フィルム層である層構成が好ましい。無彩色又は有彩色の中心層にはリサイクル材料を利用することもでき、特に黒色の中心層にはリサイクル材料をより多く利用することができる。また、(i)後述のように3層を共押出しという簡易な手段で形成でき、押出し後、該3層に同時に延伸処理を施して熱収縮性を付与できるので生産効率よく熱収縮性乳白フィルムを製造できること、(ii)グラビア印刷等の印刷手段を採用する場合には、インキ中の溶剤によって熱収縮性フィルム層が侵されたり白色の濃度を高くすることが困難であったり、一般にコストが高くなること、及び(iii)印刷層の場合には高収縮時にインキ割れを起こして見栄えが悪くなる可能性があること等の理由から、表層1、中心層2及び裏層3の全てを熱収縮性フィルム層で構成するのが好ましい。
熱収縮性乳白フィルム4を構成する表層1、中心層2及び裏層3は、それぞれ、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤として、例えば、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。
熱収縮性乳白フィルム4の厚みは、取扱性、外観、遮光性、熱収縮性等の特性を損なわない範囲で適宜設定でき、例えば10〜200μm、好ましくは30〜70μm程度である。このうち、中心層2の厚みは、一般に、熱収縮性乳白フィルム4全体の厚みの1〜80%程度、好ましくは5〜50%、特に5〜30%程度である。
熱収縮性乳白フィルム4は、積層フィルムを製造する際の慣用の方法、例えば、共押出し法、ラミネート法等により製造できる。より具体的には、例えば、前記(1)白色の熱収縮性フィルム層(表層)/黒色、グレー系又は有彩色の熱収縮性フィルム層(中心層)/白色の熱収縮性フィルム層(裏層)の層構成を有する熱収縮性乳白フィルムは、樹脂及び白色着色剤を含む樹脂組成物(A)と、樹脂及び黒色着色剤又は有彩色着色剤を少なくとも含む樹脂組成物(B)と、樹脂及び白色着色剤を含む樹脂組成物(C)とを、Tダイ又は環状ダイを備えた押出機を用いて溶融共押出し成形し、冷却ロール等により冷却した後、延伸処理することにより製造できる。延伸はテンター方式、チューブ方式の何れの方式で行うこともできる。延伸は一軸延伸であっても二軸延伸であってもよい。延伸倍率は所望する熱収縮率に応じて適宜設定できる。このように、共押出し法により成形した後、延伸する方法は、積層が容易でしかも各層を同じ条件で延伸することができるため好ましい方法である。なお、表層と裏層をそれぞれ2層構成とした5層構成の溶融共押出しでも良い。
また、前記(1)の層構成を有する熱収縮性乳白フィルムは、各層の熱収縮性フィルムを別々の工程で押出し成形した後に延伸加工して作製し、これらをドライラミネート法により積層して製造することもできる。なお、この場合は、各層の間に接着剤層を有するため、上記共押出し層に比べ収縮性を阻害するが、共押出しが困難な樹脂からなるフィルムを積層することができる。
前記(2)白色の熱収縮性フィルム層(表層)/黒色、グレー系又は有彩色の熱収縮性フィルム層(中心層)/白色の印刷層(裏層)の層構成を有する熱収縮性乳白フィルムは、樹脂及び白色着色剤を含む樹脂組成物(A)と、樹脂及び黒色着色剤又は有彩色着色剤を少なくとも含む樹脂組成物(B)とを、Tダイ又は環状ダイを備えた押出機を用いて溶融共押出し成形し、冷却ロール等により冷却した後、上記と同様の延伸処理を施し、次いで前記樹脂組成物(B)により形成された層(中心層に相当)の裏面側に、白色インキを用いたグラビア印刷等により白色印刷を1層又は複層施すことにより製造できる。このように裏層にグラビア印刷等により白色印刷層を形成した場合には、白色インキに滑剤等を添加して裏層の表面の滑り性を高めることができる等の利点がある。
熱収縮性乳白フィルム4の熱収縮率は、被着物である容器等の形状等に応じて適宜設定できるが、通常、少なくとも一方の方向に15%以上である。例えば、一軸延伸フィルムの場合の熱収縮率は、90℃の熱水に10秒間浸漬処理した時、主延伸方向において、通常20〜90%、好ましくは30〜70%程度である。また、二軸延伸フィルムの場合の熱収縮率は、90℃の熱水に10秒間浸漬処理した時、一方の方向(例えば幅方向)において、通常20〜90%、好ましくは30〜70%程度であり、他方の方向(例えば長さ方向)において、通常1〜30%、好ましくは3〜15%程度である。
本発明の熱収縮性乳白フィルム4は、無彩色の中心層2を有する場合には、紫外領域及び可視領域における光線透過率を極めて小さくできる。例えば、波長200〜400nmの領域における光線透過率は、通常3%以下、好ましくは1%以下である。また、波長400〜600nmの領域における光線透過率は、通常5%以下であり、3%以下とすることも可能である。この光線透過率は中心層2に含まれる黒色着色剤、白色着色剤等の量や中心層2の厚みなどにより調整できる。
また、本発明の熱収縮性乳白フィルム4は、380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制する有彩色の中心層2を有する場合には、紫外領域及び青緑色の可視領域における光線透過率を極めて小さくできる。波長380〜500nmの領域における光線透過率は、例えば5%以下、好ましくは3%以下である。この光線透過率は中心層2に含まれる黄、赤又は茶系の着色剤の量や中心層2の厚みなどにより調整できる。
前記表示印刷インキ層5は商品名等の文字情報やデザイン等を印刷により施した層であり、熱収縮性乳白フィルム4の表層1の表面にインキを用いてグラビア印刷やフレキソ印刷、スクリーン印刷等の慣用の印刷方法により形成できる。インキとしては、特に制限されず、溶剤系インキ、水性インキ等の適宜のインキを選択し、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。表示印刷インキ層の厚みは、例えば0.5〜20μm、好ましくは1〜10μm程度の範囲から選択することができる。表示印刷インキ層は単層であっても多層であってもよい。表示印刷インキ層の保護等のため、該表示印刷インキ層の表面にさらにオーバーコート層を設けてもよい。また、裏層3の表面(内面側)にも、文字等の表示印刷を施したり、透明インキにより滑り性コート層を設けてもよい。
本発明のシュリンクラベルは、例えば、熱収縮性乳白フィルム4の表層1の表面に表示印刷インキ層5を形成した後、所望の幅の長尺帯状にスリットし、表示印刷インキ層5側の面を外側にして、主延伸方向が周方向となるように筒状に丸め、両端辺を接着剤や溶剤、ヒートシール等で接着した後、必要に応じて所望の長さに切断し、筒状のシュリンクラベルとすることができる。
本発明のラベル付き容器は容器本体に上記本発明のシュリンクラベルが装着されている。容器本体としては、光透過性の材質で形成されていれば特に限定されず、プラスチック製ボトル、ガラス瓶等の何れであってもよい。プラスチック製ボトルとしては、例えば、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アリレート樹脂などのブロー成形可能な熱可塑性樹脂等を素材とすることができる。これらの素材は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
本発明のラベル付き容器は、例えば、上記筒状に形成されたシュリンクラベルを自動ラベル装着装置に供給し、必要に応じて所望の長さに切断した後、被装着物(容器本体)に連続的に被嵌し、所定温度のスチームトンネルや熱風トンネルを通過させて熱収縮させることにより製造できる。なお、飲料等の内容物の容器への充填時期はシュリンク包装の前後の何れであってもよい。
本発明のラベル付き容器は、例えば、ビール、清酒、ワイン等のアルコール飲料、牛乳、乳性飲料、緑茶、ビタミン入り飲料などの光によって変色や変質が起こりやすい飲料などの容器として適しているが、裏面が白色であるため、牛乳や乳性飲料等の白色や淡黄色等の淡色系の内容物用容器として特に好ましく用いられる。
本発明によれば、熱収縮性乳白フィルムが、380〜500nmの波長帯域(紫外線域〜青緑色の可視光域)の光の透過を抑制する黒色若しくはグレー系又は有彩色の中心層を有するので、飲料等の容器内容物の変色や変質を防止できるとともに、表層が白色であるため、デザイン等の表示印刷を鮮明にでき、しかも裏層が白色であるため、該熱収縮性乳白フィルムを用いたシュリンクラベルを容器に装着した場合、容器内容物が明るくきれいに見え、内容物の外観に優れる。
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、酸化チタン(TiO)を60重量%含有したポリスチレン(GPPS)[商品名「SPSM−7G971」、住化カラー(株)製]マスターバッチを添加、混合して、表層及び裏層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[酸化チタン/ポリスチレン系樹脂(重量比)=5/95]を調製した。また、スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、カーボンブラックを40重量%含有したポリスチレン(GPPS)[商品名「SPAB−851」、住化カラー(株)製]マスターバッチを添加、混合して、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=1/99]を調製した。これらの樹脂組成物をTダイを備えた押出機に供し、温度220℃で共押出しし、冷却ロールで冷却した後、長さ方向に1.2倍、幅方向に4倍延伸し、厚み50μm(層の厚みの比:表層/中心層/裏層=4/3/4)の3層構成の帯状の熱収縮性フィルムを作製した。
この帯状の熱収縮性フィルムの一方の表層の表面にグラビア印刷機によりデザイン印刷と透明オーバーコートを施してシュリンクラベルを得た。このシュリンクラベルを、所定の幅に長さ方向にスリットして複数個のロール状物とした後、各ロール状物を巻き戻して、デザイン面側を外側にしフィルムの幅方向が周方向となるように丸め、両端部を接着剤で接着して長尺筒状とし、これを適宜の長さに切断して筒状シュリンクラベルとした。牛乳を充填した内容積280mlのPETボトルの胴部に前記筒状シュリンクラベルを被せ、スチームトンネルを通して収縮させてラベル付き容器を製造した。
【実施例2】
熱収縮性フィルムの層の厚みの比を表層/中心層/裏層=3/1/3の3層構成とした点以外は実施例1と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例3】
表層及び裏層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/ポリスチレン系樹脂(重量比)=10/90としたこと以外は実施例2と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例4】
表層及び裏層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/80としたこと以外は実施例2と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例5】
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比をカーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=0.1/99.9としたこと以外は実施例4と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例6】
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比をカーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=0.2/99.8としたこと以外は実施例4と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
比較例1
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比をカーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=0/100としたこと以外は実施例2と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
比較例2
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比をカーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=5/95としたこと以外は実施例2と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例7】
スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、酸化チタン(TiO)を60重量%含有したポリスチレン(GPPS)[商品名「SPSM−7G971」、住化カラー(株)製]白色マスターバッチを添加、混合して、表層及び裏層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[酸化チタン/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/80]を調製した。また、スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、前記白色マスターバッチ、及びカーボンブラックを40重量%含有したポリスチレン(GPPS)[商品名「SPAB−851」、住化カラー(株)製]マスターバッチを添加、混合して、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/0.05/79.95]を調製した。これらの樹脂組成物をTダイを備えた押出機に供し、温度210℃で共押出しし、冷却ロールで冷却した後、長さ方向に1.2倍、幅方向に4倍延伸し、厚み50μm(層の厚みの比:表層/中心層/裏層=3/1/3)の3層構成の帯状の熱収縮性フィルムを作製した。
この熱収縮性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例8】
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/0.2/79.8としたこと以外は実施例7と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例9】
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/1/79としたこと以外は実施例7と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例10】
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/5/75としたこと以外は実施例7と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例11】
スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、酸化チタン(TiO)を60重量%含有したポリスチレン(GPPS)[商品名「SPSM−7G971」、住化カラー(株)製]白色マスターバッチを添加、混合して、表層及び裏層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[酸化チタン/ポリスチレン系樹脂(重量比)=24/76]を調製した。また、スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、前記白色マスターバッチ、及びカーボンブラックを40重量%含有したポリスチレン(GPPS)[商品名「SPAB−851」、住化カラー(株)製]マスターバッチを添加、混合して、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/0.2/79.8]を調製した。これらの樹脂組成物をTダイを備えた押出機に供し、温度210℃で共押出しし、冷却ロールで冷却した後、長さ方向に1.2倍、幅方向に4倍延伸し、厚み50μm(層の厚みの比:表層/中心層/裏層=3/1/3)の3層構成の帯状の熱収縮性フィルムを作製した。
この熱収縮性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例12】
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/0.15/79.85としたこと以外は実施例11と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例13】
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/0.1/79.9としたこと以外は実施例11と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
比較例3
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=0/0/100としたこと以外は実施例11と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
比較例4
中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/ポリスチレン系樹脂(重量比)=20/10/70としたこと以外は実施例11と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例14】
ポリエチレンテレフタレート系樹脂(PET樹脂)[商品名「Embrace」、イーストマンケミカル社製]に、酸化チタン(TiO)を50重量%含有したPET樹脂[商品名「EPM−7670」、住化カラー(株)製]白色マスターバッチを添加、混合して、表層及び裏層形成用のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物[酸化チタン/PET樹脂(重量比)=20/80]を調製した。また、PET樹脂[商品名「Embrace」、イーストマンケミカル社製]に、前記白色マスターバッチ、及びカーボンブラックを30重量%含有したPET樹脂[商品名「EPM−8400」、住化カラー(株)製]マスターバッチを添加、混合して、中心層形成用のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物[酸化チタン/カーボンブラック/PET樹脂(重量比)=20/0.05/79.95]を調製した。これらの樹脂組成物をTダイを備えた押出機に供し、温度250℃で共押出しし、冷却ロールで冷却した後、幅方向に4.5倍延伸し、厚み50μm(層の厚みの比:表層/中心層/裏層=3/1/3)の3層構成の帯状の熱収縮性フィルムを作製した。
この熱収縮性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例15】
中心層形成用のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/PET樹脂(重量比)=20/0.2/79.8としたこと以外は実施例14と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例16】
中心層形成用のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/PET樹脂(重量比)=20/1/79としたこと以外は実施例14と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例17】
中心層形成用のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/PET樹脂(重量比)=20/5/75としたこと以外は実施例14と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
比較例5
中心層形成用のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/PET樹脂(重量比)=0/0/100としたこと以外は実施例14と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
比較例6
中心層形成用のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の組成比を酸化チタン/カーボンブラック/PET樹脂(重量比)=0/5/95とし、裏層を設けなかったこと以外は実施例14と同様の操作を行って2層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例18】
スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、酸化チタン(TiO)を60重量%含有したポリスチレン(GPPS)[商品名「SPSM−7G971」、住化カラー(株)製]マスターバッチを添加、混合して、表層及び裏層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[酸化チタン/ポリスチレン系樹脂(重量比)=10/90]を調製した。また、スチレン−共役ジエンブロックコポリマー[商品名「クリアレン530L」、電気化学工業(株)製]に、該ポリマーに対し展着剤として0.5重量%の流動パラフィンを添加し、その後、赤顔料[商品名「SHPA−102」、住化カラー(株)製、有機系(アゾ系顔料)]を添加、混合して、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[赤顔料/ポリスチレン系樹脂(重量比)=0.5/99.5]を調製した。これらの樹脂組成物をTダイを備えた押出機に供し、温度220℃で共押出しし、冷却ロールで冷却した後、長さ方向に1.2倍、幅方向に4倍延伸し、厚み50μm(層の厚みの比:表層/中心層/裏層=2/1/2)の3層構成の帯状の熱収縮性フィルムを作製した。
この熱収縮性フィルムを用いて、実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例19】
赤顔料[商品名「SHPA−102」、住化カラー(株)製、有機系]の代わりに、黄顔料[商品名「SHPA−347」、住化カラー(株)製、無機系(クロムイエロー)]を用いて、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[黄顔料/ポリスチレン系樹脂(重量比)=1.0/99.0]を調製した点以外は実施例18と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例20】
赤顔料[商品名「SHPA−102」、住化カラー(株)製、有機系]の代わりに、茶顔料[商品名「SHPA−918」、住化カラー(株)製、無機系(ベンガラ)]を用いて、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[茶顔料/ポリスチレン系樹脂(重量比)=1.0/99.0]を調製した点以外は実施例18と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例21】
赤顔料[商品名「SHPA−102」、住化カラー(株)製、有機系]とともに白顔料[酸化チタン(TiO)]を用いて、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[赤顔料/白顔料/ポリスチレン系樹脂(重量比)=0.5/5.0/94.5]を調製した点以外は実施例18と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
【実施例22】
赤顔料[商品名「SHPA−102」、住化カラー(株)製、有機系]の代わりに、茶顔料[商品名「SHPA−918」、住化カラー(株)製、無機系(ベンガラ)]と白顔料[酸化チタン(TiO)]とを用いて、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[茶顔料/白顔料/ポリスチレン系樹脂(重量比)=1.0/5.0/94.0]を調製した点以外は実施例18と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
比較例7
赤顔料[商品名「SHPA−102」、住化カラー(株)製、有機系]を用いずに、中心層形成用のポリスチレン系樹脂組成物[赤顔料/ポリスチレン系樹脂(重量比)=0/100]を調製した点以外は実施例18と同様の操作を行って3層構成の熱収縮性フィルムを作製し、さらにこの熱収縮性フィルムを用いて実施例1と同様にしてシュリンクラベル及びラベル付き容器を製造した。
評価試験
実施例及び比較例で得られた熱収縮性フィルムについて下記の評価試験を行った。その結果を表1に示す。表中、「PS」はポリスチレン系樹脂を、「CB」はカーボンブラックを、「TiO」は酸化チタンを、「PET」はポリエチレンテレフタレート系樹脂を意味する。フィルム構成の欄の「表」、「中心」及び「裏」は、それぞれ、表層、中心層及び裏層を構成する樹脂組成物を意味する。表中の数字は割合を示す。
(遮光性)
実施例及び比較例で得られた各熱収縮性フィルムにつき、波長200〜1000nmの範囲の光線透過率を、近赤外、紫外、可視分光光度計[商品名「UV−3101PC」、(株)島津製作所製]により測定し、以下の基準で特定波長帯域の遮光性を評価した。
なお、図2に実施例2、実施例3、実施例4及び比較例1で得られた熱収縮性フィルムの光線透過率の測定結果を示す。図2中、a、b、c及びdは、それぞれ、実施例4、実施例3、実施例2及び比較例1で得られた熱収縮性フィルムについての測定結果を示す。
また、図3に実施例11、実施例12、実施例13及び比較例3で得られた熱収縮性フィルムの光線透過率(透過度)の測定結果を示す。図3中、a、b、c及びdは、それぞれ、実施例11、実施例12、実施例13及び比較例3で得られた熱収縮性フィルムについての測定結果を示す。
図4に比較例7、実施例18、実施例19、実施例20、実施例21及び実施例22で得られた熱収縮性フィルムの光線透過率(透過度)の測定結果を示す。図4中、a、b、c、d、e及びfは、それぞれ、比較例7、実施例18、実施例19、実施例20、実施例21及び実施例22で得られた熱収縮性フィルムについての測定結果を示す。
[実施例1〜17及び比較例1〜6(表1〜3)の評価基準]
◎:波長200〜600nmの領域での光線透過率が3%以下である。
○:波長200〜600nmの領域での光線透過率が3%を越え、且つ5%以下である。
×:波長200〜600nmの領域での光線透過率が5%を超える。
[実施例18〜22及び比較例7(表4)の評価基準]
○:波長380〜500nmの領域での光線透過率が5%以下である。
×:波長380〜500nmの領域での光線透過率が5%を超える。
(白度)
実施例及び比較例で得られた各熱収縮性フィルムにつき、表層側の表面を、紫外可視分光光度計[商品名「UV−2450」(株)島津製作所製]を用いてJIS Z 8715に準じて測定し、標準白色板(財団法人日本色彩研究所製)の測定値をW値100として、以下の基準でフィルムの白度を評価した。
◎:W値80以上
○:W値75以上80未満
△:W値60以上75未満
×:W値60未満
これらを目視評価したところ、W値75以上(◎及び○)では、表面が白くデザインが鮮明であって、中心層の黒色やグレー系の色、有彩色がほとんど気にならない程度であり、W値60以上75未満(△)では、表面が若干グレーがかった白色となるか、又は有彩色が僅かに認められるが、デザインは鮮明であり、また、W値が60未満(×)では、表面が黒っぽいグレーとなりデザインが暗く見えるか、表面に有彩色がはっきり認められた。
(内容物の外観性)
実施例及び比較例で得られたラベル付き容器の口から内容物(牛乳)を覗き、内容物の外観を以下の基準で目視評価した。
○:白く新鮮に見える。
×:牛乳の色が黒っぽく見えるか、又は有彩色が認められる。




【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明の熱収縮性乳白フィルムは、飲料等の容器内容物の変色や変質を防止できるとともに、表層のデザイン等の表示印刷を鮮明にできる。さらに、本発明の熱収縮性乳白フィルムを用いたシュリンクラベルは、容器に装着した場合に、容器内容物を見たときの印象に優れ、飲料等が本来の色を損なわず違和感なく見えるラベルとして極めて有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無彩色又は380〜500nmの波長帯域の光の透過を抑制する有彩色の中心層と、白色の表裏層とを有する熱収縮性乳白フィルム。
【請求項2】
中心層が黒、黄、赤又は茶系の顔料を少なくとも1種類含有している請求の範囲第1項に記載の熱収縮性乳白フィルム。
【請求項3】
380〜500nmの波長帯域の光の透過率が5%以下である請求の範囲第1項又は第2項に記載の熱収縮性乳白フィルム。
【請求項4】
中心層が無彩色であって、200〜600nmの波長帯域の光の透過率が3%以下である請求の範囲第1項又は第2項に記載の熱収縮性乳白フィルム。
【請求項5】
表層側の表面のW値が60%以上である請求の範囲第1項〜第4項の何れかの項に記載の熱収縮性乳白フィルム。
【請求項6】
表裏層と中心層とを共押出し成形し、次いで延伸処理を施すことにより形成されている第1項〜第5項の何れかの項に記載の熱収縮性乳白フィルム。
【請求項7】
請求の範囲第1項〜第6項の何れかの項に記載の熱収縮性乳白フィルムの表層側の表面に表示印刷インキ層を有するシュリンクラベル。
【請求項8】
容器本体に請求の範囲第7項に記載のシュリンクラベルを装着したラベル付き容器。

【国際公開番号】WO2004/094139
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505780(P2005−505780)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005775
【国際出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】