説明

熱収縮性筒状ラベル及びそれを用いた容器に充填された製品

【課題】本発明の目的は、容易に剥がすことができる熱収縮性筒状ラベルを提供することである。具体的には、爪を立ててラベルを剥がして、剥がし出し用のつまみを形成する場合に、爪が掛かりやすく、さらに、指腹でラベル端部を押しずらすことによって剥がし出し用つまみを形成して剥がすことができる。
【解決手段】本発明に係る熱収縮性筒状ラベルは、少なくとも周方向Yに延伸され、熱収縮性を有する筒状ラベル1において、筒状ラベルの主軸方向Xに沿って延設された左右一組の分断補助線9と、筒状ラベルの上端部位置又は下端部位置或いはその両方の位置に、一組の分断補助線を最外側から挟み、かつ、分断補助線と平行に複数の孔が配列された、左右一組の破断用孔群7と、一組の破断用孔群に挟まれた領域に設けられた、筒状ラベルの周方向と平行な波長方向を有する波状の山部と谷部を有する切れ込み部5と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料・食品等の容器に装着され、シュリンクさせることで密着させる熱収縮性筒状ラベル(所謂シュリンクラベル)に関し、特にボトルからラベルを容易に引き剥がすことができるラベル及びそれを用いた容器に充填された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料・食品用容器、特にポリエチレンテレフタレート樹脂で成形されたPETボトルは、その胴部円周を取り巻くようにラベルが装着されている。そして、容器使用後はリサイクルのため、ラベルをボトルから剥がし、分別廃棄することが望まれている。そのため、ラベルにはあらかじめ易剥離性を付与しておくことが必要となっている。そこで、従来、ラベルを容易に剥がせるように、ラベルの一端から他端に向かって筒状の軸方向と平行にミシン目が連続的に設けられている。
【0003】
従来の熱収縮性筒状ラベルには、そのラベルが軽量化ペットボトルに装着され、該ボトルが衝撃を受けると、前記ミシン目が破けてしまうという問題があるとして、その問題に対して、従来のミシン目を設けずにラベルの上下端の位置に複数個の破断孔を連設する技術がある(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
また、筒状ラベルの周方向に伸びる分断起点用の切り目を設け、その切れ目の両端部を厚肉状として、分断しやすく、かつ、衝撃を受けても筒状ラベルを破断させにくくする技術がある(例えば、特許文献2を参照。)。さらに前記分断起点用の切り目からラベルを剥がし出すだすためのつまみを形成しやすいように切り目の中央部を舌状に形成する技術もある(例えば、特許文献3を参照。)。
【0005】
このように熱収縮性筒状ラベルについて、ラベルを剥がしやすくする工夫がいくつか開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005‐10578号公報
【特許文献2】特開2007‐204112号公報
【特許文献3】特開2007‐15732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のラベルはもちろんのこと、特許文献1に係るラベルついても、熱収縮させたラベルはボトル表面に張り付いており、ラベル端を容易に剥がし出すことができない。さらに、ボトル形状によってはラベル端がボトルのリブ部(窪み部)にかかってしまい、指を入れることすら困難な場合がある。この結果、爪を立ててラベルの一部を剥がして、剥がし用のつまみを形成する場合に、爪がラベルの端縁に掛かりにくく、また、つまみを形成できた場合でもミシン目に沿って切れずに斜め方向に破けて切れ損じたりする場合がある。また、特許文献2に係るラベルについても、一直線状の切り目の両端部が厚肉状としてあっても、爪が切り目に掛かりにくい場合があり、また、爪の間にラベルが入ると痛い場合もある。同様に、特許文献3に係るラベルについても、切り目の先端が爪の間に入り痛みを与える場合がある。さらに、これらの従来技術では、ラベルの剥がす方法は、爪を切り目に掛けて剥がし用のつまみを形成する方法のみに限られている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ラベルを容易に剥がすことを可能とすること、より具体的には、従来どおり爪を立ててラベルを剥がして剥がし用のつまみを形成する場合に、爪が掛かりやすく、また、ラベルが爪の間に入って痛みを与えることもなく、そのつまみを引っ張ることでラベルの一端から他端まで破くことができること、さらに、指腹でラベル端部を押しずらすことでラベルを破って剥がし用のつまみを形成し、そのつまみを引っ張ることでラベルの一端から他端まで破くこともできる熱収縮性筒状ラベルを提供することである。また本熱収縮性筒状ラベルを用いた容器に充填された製品、特に主として飲料製品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、従来のミシン目(以下、分断補助線ともいう)に加えて、そのミシン目線上を外してその外側に左右一組の破断用孔群を設け、その破断用孔群に挟まれた位置にラベルの周方向に波状の切れ込み部を設けることで、従来の爪を使った剥がし方において、ラベル端がボトルに張り付いていても、切れ込み部を起点として容易につまみを形成できて、剥がしやすく、また、ラベルが爪の間に入って痛みを与えることもなく、さらに、指腹で押しずらす剥がし方でも容易につまみを形成できるラベルを開発するに至った。すなわち、本発明に係る熱収縮性ラベルは、少なくとも周方向に延伸され、熱収縮性を有する筒状ラベルにおいて、前記筒状ラベルの主軸方向に沿って延設された左右一組の分断補助線と、前記筒状ラベルの上端部位置又は下端部位置或いはその両方の位置に、前記一組の分断補助線を最外側から挟み、かつ、前記分断補助線と平行に複数の孔が配列された、左右一組の破断用孔群と、前記一組の破断用孔群に挟まれた領域に設けられた、前記筒状ラベルの周方向と平行な波長方向を有する波状の山部と谷部を有する切れ込み部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る熱収縮性筒状ラベルでは、前記山部は、頂部が前記筒状ラベルの端縁のうち、近い端縁に向かって形成されてなり、かつ、前記山部を2以上設けていることが好ましい(以下、波状の切れ込み部の山部は、その頂部がラベルの端縁のうち、近い端縁に向かって形成されている切れ込み形状を指し、谷部は、その頂部がラベルの端縁のうち、近い端縁と反対の向きに形成されている切れ込み形状を指す。)。2以上の山形の形状の切れ込みが近傍のラベル端縁に向いていると、切れ込み部を、爪で引っ掛けて破断によってつまみを形成する場合に引っ掛かりやすく、また、ラベルが爪の間に入って痛みを与えることがない。さらに、切れ込み部を指腹で押しずらすことによって、つまみを形成する場合にも滑りにくい為、ラベルの剥がしやすさが向上する。
【0011】
本発明に係る熱収縮性筒状ラベルでは、前記左右一組の破断用孔群に挟まれた領域に、滑り止め手段を設けることが好ましい。指腹で押しずらす剥がし方において指腹で押さえつける力を低減させることができる。
【0012】
本発明に係る熱収縮性筒状ラベルでは、前記切れ込み部は、ダイカッターによって形成されていることが好ましい。波状の切れ込み部を、高速に連続的に形成できるとともに、発熱しないため、切れ込みの縁部が溶融して硬くなることがなく、容易に引き裂くことができる。
【0013】
本発明に係る製品は、本発明に係る熱収縮性筒状ラベルを用いた容器に充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る熱収縮性筒状ラベルによれば、爪を立ててラベルの一部を剥がして、剥がし用のつまみを形成し、そのつまみを引っ張ることでラベルの一端から他端まで破って剥がす場合に、爪が掛かりやすく、ラベルが爪の間に入って痛みを与えることがなく、切り損じにくい。さらに、指腹によっても滑ることなく切れ込み部を押しずらすことでラベルを破って剥がし用のつまみを形成し、そのつまみを引っ張ることでラベルの一端から他端まで破く剥がし方もできる。本発明では、爪を掛けることによっても、指腹で押しずらすことによっても、切れ込み部から容易に剥がし用のつまみを形成できるので、ラベルが熱収縮して、ボトルにぴったり張り付いている場合においても、さらにリブに窪みがあってラベル端縁がその部位に位置しても、容易にラベルを剥がすことができる。また本発明の製品は、本熱収縮性筒状ラベルを用いた容器に充填されているため、ラベルを剥がすことが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0016】
図1に第1形態に係る熱収縮性筒状ラベルの斜視概略図を示す。なお、図1では、熱収縮性筒状ラベルをボトルに装着したときに形成される筒状の状態で、まだシュリンクをさせていない状態を示している。図1に示すように、第1形態に係る熱収縮性筒状ラベル1は、少なくとも周方向Yに延伸され、熱収縮性を有する筒状ラベルにおいて、筒状ラベルの主軸方向Xに沿って延設された左右一組の分断補助線9と、ラベルの上端部位置又は下端部位置或いはその両方の位置に、一組の分断補助線9を最外側から挟み、かつ、分断補助線9と平行に複数の孔が配列された、左右一組の破断用孔群7と、一組の破断用孔群7に挟まれた領域に設けられた、筒状ラベルの周方向Yと平行な波長方向を有する波状の山部と谷部を有する切れ込み部5と、を有する。
【0017】
筒状ラベルは、従来使用されているシュリンクフィルムからなり、少なくとも周方向Yに熱収縮性を有するものであればその材質は特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、スチレン‐ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂又は塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂からから選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる合成樹脂製フィルムである。これらの合成樹脂製フィルムを周方向Yに延伸し、熱収縮性を得る。筒状ラベルの主軸方向にも若干延伸された二軸延伸フィルムを用いてもよい。フィルムの厚みは、通常、20〜80μm程度のものが用いられる。
【0018】
筒状ラベルは、それを構成するフィルムの周方向Yの端4について、右端4aと左端4bとを重ねて、筒状形状をなし、重なり部分についてセンターシールをすることで固定される。センターシール部6は、糊付け若しくは融着によって接合されている。
【0019】
分断補助線9は、筒状ラベルの主軸方向Xに沿って延設されている。左分断補助線9bと右分断補助線9aは、いずれもミシン目状に孔があけられたものであり、分断補助線9は、筒状ラベルの上端縁3aから下端縁3bに至るまで設けられていることが好ましい。筒状ラベルの上端3aから下端3bに至るまでつながっていることで、引き裂き時のガイドとなる。例えば、孔の大きさは0.2mm以下、孔同士の間隔は3〜7mmであるが、ボトルの容量、ボトルの重量又は径によって孔の大きさとその間隔が適宜調整される。
【0020】
分断補助線9は、センターシール部6の両脇にセンターシール部6に重ならないように、筒状ラベルの主軸方向Xに沿って延設されていることが好ましい。センターシール部6は筒状ラベルを構成するフィルムが重ねられて厚肉となっているため、分断補助線9によって筒状ラベルからセンターシール部6を含む帯状の分断片を切り取る際に、切り損じを生じにくい。
【0021】
破断用孔群7は、左側破断用孔群7bと右側破断用孔群7aの左右一組からなる。図1に示すように、破断用孔群7は、一組の分断補助線9を最外側から挟む位置に配置される。すなわち、左側破断用孔群7bは、左分断補助線9bの左側に配置され、右側破断用孔群7aは、右分断補助線9aの右側に配置される。破断用孔群7を分断補助線9上に設けてしまうと、衝撃によるラベルの破断が生じやすくなり、ラベル強度の低下が生じてしまう。ラベルをシュリンクした後の破断用孔群7と分断補助線9との距離は0.5〜2mmとすることが好ましく、0.8〜1.2mmとすることがより好ましい。
【0022】
図2は図1のA領域の部分拡大図であり、ラベル上端部位置における第一形態の詳細を示す。ラベル下端部位置についても同様の形態をとるため、記載を省略した。ラベル上端部位置とは、ラベル上端側のフィルム部分のことであり、ラベル下端部位置とは、ラベル下端側のフィルム部分のことである。ラベルの上下は、印刷の上下に対応する。また、図2において示した寸法L1〜L8は、いずれもラベルをシュリンクする前の寸法である。破断用孔群7は、図2に示すように、破断孔7cと非破断部7dが交互に直線状に配置されている。ここで、破断用孔群7によって挟まれている一組の分断補助線9の間隔L1は、例えば8〜20mmが好ましく、さらに好ましくは12〜16mmである。分断補助線によって挟まれた領域に設けられる切り込み部5の長さを爪が掛かる程度に確保するとともに、指腹で押しずらす剥がし方において指腹で押し付けるための幅を十分に確保するためである。破断用孔群7は、ラベルを主軸方向Xに引き裂くときに容易に破断してつまみを形成しやすいことと、ラベル強度の維持の観点から形状が決定される。具体的には、破断用孔群7の長さL4は、例えば10〜15mmが好ましい。また破断孔7cの長さL5は、好ましくは0.7〜1.2mm、より好ましくは0.9〜1.0mmとし、非破断部7dの長さL6は、好ましくは0.7〜1.2mm、より好ましくは0.9〜1.0mmである。第一形態の破断孔7cは、例えばダイカッターによって加工した、ラベルを貫通する開口面積を有さない切れ込みであり、加工の際に、異物混入の原因となる打ち抜き屑を生じない等の利点を有する。なお、開口面積を有していてもよいが、この場合、破断孔7cの最大幅(周方向Yの長さ)は、破断孔7cの長さL5以下であることが好ましく、周方向Yの径がL5以下である円や楕円の形状或いは細長状の長方形としてもよい。また、破断用孔群7のラベル端縁に近い端部とラベルの端縁3との距離L3は、好ましくは、1.5〜3.5mm、より好ましくは2.0〜3.0mmである。
【0023】
波状の切れ込み部5は、図1に示すように、破断用孔群7に挟まれた領域に設けられ、筒状ラベルの周方向Yと平行な波長方向を有する。なお、切れ込み部5は、例えば図1に示すように、破断用孔群7によって挟まれている分断補助線9によって挟まれている領域に設けることが好ましい。図2に示すように、切れ込み部5を分断補助線9によって挟まれた領域に設ける場合、切れ込み部5の両端と、それぞれの両端に近い分断補助線9からの距離L2は、1〜2mmとすることが好ましく、1.3〜1.8mmとすることがより好ましい。ラベルの強度を保持し、また、爪を掛け又は指腹で押しずらせられるだけの切れ込み部5の幅を確保することができる。
【0024】
図2に示すように、切れ込み部5の上端(山部の頂点)とラベルの端縁3との距離L8は3〜6mmとすることが好ましく、4〜5mmとすることがより好ましい。爪をかける際に切れ込み部5がラベル端縁3に近すぎると爪を掛けにくくなり、また遠すぎると切れ込み部5から破断することによって形成したつまみからラベルの端縁3まで破れが導かれないおそれがある。
【0025】
切れ込み部5は、図2に示す第一形態では、3つの山部と2つの谷部を有する波状形状を有しているが、筒状ラベルの周方向と平行な波長方向を有し、山部と谷部を有する波状形状であればどのように形成してもよく、図3(b)は、山部を1つ、谷部を2つ有する切れ込み部の実施形態を示す。また、切れ込み部5は、2つ以上の山部を有することが好ましい(図3(b)に示す切れ込み部5を、ラベルの周方向の中心軸を中心に反転した形状である。)。2つ以上の山部があると、ラベル端部より他端部に向かって切れ込みを爪で引っ掛けて、つまみを形成する場合に、爪の先端が2以上の山部の頂部のいずれかに掛かりやすいため、爪の間に入りにくく、痛みを与えることがない。また、ラベルが爪の間に入った場合であっても、切れ込み部の山部の先端が爪の間を押す力が分散されることにより痛みを与えることが少ない。さらに、また指腹によって切り込み部を押しずらしてつまみを形成する場合にも、滑りにくくなり、容易に山部の頂点をめくりあげてつまみを剥がし出すことができる。
【0026】
切り込み部5の波状の切れ込みの振幅(例えば、図2におけるL7)は、0.5〜1.5mmとすることが好ましく、0.8〜1.2mmとすることがより好ましい。0.5mmよりも小さいと、切り込み部5を爪によって掛けたり、指腹によって押しずらしたりすることがしにくくなる場合があり、一方、1.5mmよりも大きいと、爪の間に山部が食い込んで痛みを感じる場合がある。
【0027】
本実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルでは、上記構成の熱収縮性筒状ラベルに加えて、さらに、左右一組の破断用孔群7で挟まれた領域に、滑り止め手段(不図示)を設けることが好ましい。指腹で押しずらす剥がし方において指腹で押さえつける力を低減させることができる。切り込み部5の上下の側面(切り込み部5のラベルの主軸方向にある側面)に滑り止め手段を設けることが好ましく、より好ましくは、切り込み部5の上下の側面のうち、指腹を押しずらす方向(ラベルの中央に向かう方向)に滑り止め手段を設けると、切り込み部5を押しずらしてつまみを形成しやすい。さらに爪を切り込み部5に引っ掛ける場合においても、滑り止め手段による感触の違いによって切り込み部5の位置を特定しやすい。滑り止め手段の形態例は、例えば、マット印刷によって摩擦抵抗を増加させる手段、或いは、粘着剤を塗布する手段がある。
【0028】
次に本実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルを装着した容器について、ラベルの剥がし方について説明する。図4にラベルの剥がし方を説明するための概略図を示した。
【0029】
第1の剥がし方は従来からの剥がし方であり、具体的には、ラベルの上端部位置又は下端部位置に設けている波状の切れ込み部5に指又は爪を掛けて引き下げる(上端部位置から剥がす場合)(図4(a)又は引き上げる(下端部位置から剥がす場合))。この動作によって、切れ込み部5の両端を起点として破断用孔群7が破け、破断用孔群7で挟まれた部分が剥がし用のつまみとなってめくれる(図4(b))。次にそのつまみを引っ張ることでラベルの一端から他端まで、分断補助線9に沿って破け(図4(c))、残ったラベル全体を容易に剥がすことができる(図4(d))。
【0030】
第2の剥がし方は、本実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルにおいて新たに可能となった剥がし方であり、具体的には、波状の切れ込み部5を指腹で押しずらす(図4(e))。ここで例えば、親指の腹若しくは人差し指の腹で押しずらすやり方が開けやすい。押しずらすときの指腹の位置は、切れ込み部5の真上若しくは僅かに下の部分がつまみを形成しやすい。また、滑り止め手段を設けておけば、指腹とラベルとが滑りにくくなるためずらしやすくなる。この動作によって、切れ込み部5の両端を起点として破断用孔群7が破け、破断用孔群7で挟まれた部分が剥がし用のつまみとなってめくれる(図4(f))。次にそのつまみを引っ張ることでラベルの一端から他端まで、分断補助線9に沿って破け(図4(g))、残ったラベル全体を容易に剥がすことができる(図4(h))。
【0031】
本実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルでは、切れ込み部5は、ダイカッターによって形成されている。ダイカッターによって、高速、連続的に波状の切れ込み部5を形成できるとともに、切れ込みを形成するときに発熱しないため、切れ込みの縁部が溶融して硬くなることがなく、容易に引き裂くことができる。また、ダイカッターによって形成した切れ込み部5は、開口部の主軸方向Xには幅をもたないが、周方向Yにはラベルの熱収縮によってわずかに波状の切れ込みがずれを生じて開口幅ができ、これによって剥がし出し位置を視認させ、爪が掛かりやすく、また指腹で抑えやすくなる。
【0032】
本実施形態に係る熱収縮性筒状ラベルを用いた容器は、飲用後爪によっても指腹によってもラベルを容易に剥がすことができるため、各種製品用、特に飲料用の容器として好適に使用できる。
【実施例】
【0033】
実施例として、お茶用のPETボトル(容量、500ml)に図3に示すミシン目と切れ込み部を有するシュリンクラベル(延伸ポリスチレンフィルム、厚さ50μm)を装着し、爪を掛けて剥がす方法と指腹で押しずらす剥がし方法によって、剥がしやすさを評価した。
【0034】
(実施例1)
図3(a)に示すようにシュリンクラベルに分断補助線9(分断補助線の間隔L1 16mm、孔径0.7mm、ピッチ4.9mm)と、分断補助線9より1.0mm外側に破断用孔群(孔長L5 1mm、孔幅0mm、非破断部L6 1mm、6箇所の破断孔)をラベル端縁3から3mmの距離をおいて設けた。波状の切れ込み部5は、ラベル端縁3に向いている山部の頂点とラベル端縁3との距離L8を5mmとし、分断補助線からの距離L2が2mmの位置にダイカッターで形成した。切れ込み部5の形状は、3つの山部と2つの谷部からなり、振幅1mmの波形である。(付与した記号は、図2を参照)
【0035】
(実施例2)
図3(b)に示すように、切れ込み部5の形状は、1つの山部と2つの谷部からなり、振幅1mmの波形である以外は、実施例1と同様とした。
【0036】
(比較例1)
図5(a)に示すように、破断孔群を設けず、切れ込み部5の形状は、中央部にラベル端縁3に向く丸い盛り上がり形状(高さ2mm)である以外は、実施例1と同様とした。
【0037】
(比較例2)
図5(b)に示すように、切れ込み部5の形状は、直線である以外は、実施例1と同様とした。
【0038】
(比較例3)
図5(c)に示すように、切れ込み部を設けていない以外は、実施例1と同様とした。
【0039】
(結果)
実施例1及び2は、爪を掛ける方法によっても、指腹を押しずらす方法のいずれも非常に剥がしやすかった。各実施例につき、10本のサンプルを剥がした結果、すべてのラベルを正常に剥がすことができた。なお、実施例2は、剥がしやすさの面では問題がなかったが、ラベルが爪の間に入ると、痛みを感じるほどではないが、わずかに圧迫感を与える場合があった。実施例1は、最も剥がしやすく、またラベルが爪の間に入ることがなく、痛みを与えることがなかった。また切れ込み部の先端を爪の間に入れてみた場合であっても痛みや圧迫感を与えることがなかった。
【0040】
一方、比較例1は、爪を掛ける方法によって剥がすことができたが、ラベルが爪の間に入りやすく、また爪の間に入ると痛かった。また指腹を押しずらす方法では剥がすことができなかった。比較例2及び3は、爪を掛ける方法においては、爪をラベルに掛けることが困難であるため、非常に剥がしにくく、また爪を掛けることができた場合にはラベルが爪の間に入りやすく、爪の間に入ると痛かった。その結果、比較例2は、10本中5本しか正常に剥がすことができず、また、比較例3は、10本中3本しか正常に剥がすことができなかった。さらに比較例2及び3は、指腹によって押しずらして剥がすことはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1形態に係る熱収縮性筒状ラベルの斜視概略図を示す。
【図2】図1におけるA部の部分拡大図である。
【図3】ラベル上端部位置に設けた切れ込み部の形態例を複数例示する図である。
【図4】ラベルの剥がし方を説明するための概略図であり、(a)〜(d)は爪で引っ掻く剥がし方、(e)〜(h)は指腹で押しずらす剥がし方を示した。
【図5】ラベル上端部位置における従来の形態を比較例として示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 熱収縮性筒状シュリンクラベル
3 筒状ラベルの端縁
3a 筒状ラベルの上端縁
3b 筒状ラベルの下端縁
4 周方向Yの端
4a 右端
4b 左端
5 切れ込み部
6 センターシール部
7 破断用孔群
7a 右破断用孔群
7b 左破断用孔群
7c 破断孔
7d 非破断部
9 分断補助線
9a 右分断補助線
9b 左分断補助線
L1 右分断補助線と左分断補助線の間隔
L2 切れ込み部の端部と分断補助線との距離
L3 破断用孔群とラベル端縁との距離
L4 破断用孔群の長さ
L5 破断孔の長さ
L6 非破断部の長さ
L7 切れ込み部の振幅
L8 切れ込み部のラベル端縁に向いている山部の頂点とラベル端縁との距離
X 筒状ラベルの主軸方向
Y 筒状ラベルの周方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも周方向に延伸され、熱収縮性を有する筒状ラベルにおいて、
前記筒状ラベルの主軸方向に沿って延設された左右一組の分断補助線と、
前記筒状ラベルの上端部位置又は下端部位置或いはその両方の位置に、前記一組の分断補助線を最外側から挟み、かつ、前記分断補助線と平行に複数の孔が配列された、左右一組の破断用孔群と、
前記一組の破断用孔群に挟まれた領域に設けられた、前記筒状ラベルの周方向と平行な波長方向を有する波状の山部と谷部を有する切れ込み部と、を有することを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
【請求項2】
前記山部は、頂部が前記筒状ラベルの端縁のうち、近い端縁に向かって形成されてなり、かつ、前記山部を2以上設けたことを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項3】
前記左右一組の破断用孔群に挟まれた領域に、滑り止め手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項4】
前記切れ込み部は、ダイカッターによって形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の熱収縮性筒状ラベル。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の熱収縮性筒状ラベルが密着された容器に充填されていることを特徴とする製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−128753(P2009−128753A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305502(P2007−305502)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】