説明

熱可塑性塗膜を付された光ファイバを生産するシステムおよび方法

塗装された光ファイバの生産方法は、1本の光ファイバを線引き炉から第1の垂直通路に沿って線引きすることを含む。この光ファイバは次いで少なくとも1個の第1の流体ベアリングを通して送られ、これにより、光ファイバを第2の垂直通路に沿うように方向転換させる。その後、熱可塑性樹脂塗装システムを用いて1層の熱可塑性塗膜が光ファイバに施される。次に光ファイバは、光ファイバ巻取りシステムを備えたファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる。上記ファイバ巻取りシステムは、光ファイバが上記ファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる以前に上記熱可塑性塗膜が冷却されるように、熱可塑性樹脂塗装システムから離れて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本願は、2008年5月29日付けで提出された米国仮特許出願第61/130,248号に優先権を主張した出願であり、その内容に準拠され、かつその全文が引用されて本明細書に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、塗装された光ファイバを生産する方法およびシステムに関し、より詳細には、光ファイバに熱可塑性塗膜を施す方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
光ファイバを生産するための従来技術および製造工程は一般に、線引き炉から光ファイバを下方へ線引きし、かつ光ファイバ線引きタワー内で多数の生産ステージを通る直線通路に沿って牽引することを含む。したがって、ファイバ生産システムは、一般に垂直通路に沿って配向されている。このようなシステムは、光ファイバ製造工程を改良および変更するためには多くの障害が存在する。例えば、光ファイバを垂直方向に直線的に生産するのに用いられる機器類は一般に上下方向に配列されているので、全体の高さを増大させることなしに、このシステムに構成要素を付加したり、現存の構成要素を修正したりするのが困難である。現存する生産システムが現存する設備の天井またはその近傍に達している場合に、直線的な生産システムに対し機器および/または構成要素を追加するのには、その機器および/または構成要素を収容するために、場合によっては、その施設に対して高さを追加するための工事を行なうことが必要になる。さらに、垂直方向に直線的な光ファイバの生産機器類の交換および/または保守点検には、足場、リフト等の余分な機材を用いる必要がある。このような障害は、光ファイバ生産システムおよび設備の変更、更新または修理を行なう場合に多大の出費を必要とする結果となる。
【0004】
線引き炉から線引きされた後、光ファイバは、ファイバを保護しかつファイバの光学的特性を改善するために、一般にアクリレート材料等の紫外線硬化性材料で塗装される。一部の光ファイバには多層の塗膜が施される。例えば、光ファイバは、ガラスファイバに直接塗装された一次塗膜と、この一次塗膜の周りに施された二次塗膜とを有する。各塗膜は異なる機能を有する。例えば、上記一次塗膜は光ファイバの光学的特性の改善に用いられるが、上記二次塗膜は光ファイバの耐久性の改善に用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施の形態において、塗装された光ファイバの生産方法は、線引き炉から1本の光ファイバを第1の垂直通路に沿って線引きすることを含む。上記光ファイバは、次に少なくとも1個の第1の流体ベアリングを通して送られ、これにより、上記光ファイバは第2の垂直通路に沿うように方向転換される。その後、1基の熱可塑性樹脂塗装システムを用いて熱可塑性塗膜が上記光ファイバに施される。次に上記光ファイバは、ファイバ巻取りシステムを備えたファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる。上記ファイバ巻取りシステムは、上記光ファイバが上記ファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる以前に上記熱可塑性塗膜が冷却されるように、上記熱可塑性樹脂塗装システムから離れているのがよい。
【0006】
別の実施の形態において、塗装された光ファイバの生産システムは、1基の線引き炉、少なくとも1個の流体ベアリング、1個のプーリ、1基の紫外線硬化性塗膜塗装システム、および1基のファイバ巻取りシステムを備えている。上記少なくとも1個の流体ベアリングは、上記線引き炉から線引きされる上記光ファイバが第1の垂直通路に沿って上記少なくとも1個の流体ベアリング内へ導かれるように上記線引き炉の出口の下方に位置決めされ、この場合、上記少なくとも1個の流体ベアリングは、上記光ファイバを第2の垂直通路に沿うように方向転換させる。上記プーリは、このプーリが上記光ファイバを第3の垂直通路に沿うように方向転換させ、かつ熱可塑性樹脂塗装システム内へ導くように上記第2の垂直通路に位置決めされている。上記ファイバ巻取りシステムは、上記光ファイバが塗装された後、上記光ファイバが上記ファイバ巻取りシステム内に導かれ、かつファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられるように、上記第3の垂直通路に沿って位置決めされている。上記ファイバ巻取りシステムは、上記光ファイバが上記ファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる以前に上記熱可塑性塗膜が冷えるように、上記熱可塑性樹脂塗装システムから離れているのがよい。
【0007】
さらに別の実施の形態において、塗装された光ファイバの生産システムは、1基の線引き炉、少なくとも1個の流体ベアリング、1基の熱可塑性樹脂塗装システム、1基の紫外線硬化性塗膜塗装システム、1個の照射器、および1基のファイバ巻取りシステムを備えている。上記少なくとも1個の流体ベアリングは、上記線引き炉から線引きされる上記光ファイバが第1の垂直通路に沿って上記少なくとも1個の流体ベアリングへ導かれるように上記線引き炉の出口の下方に位置決めされ、この場合、上記少なくとも1個の流体ベアリングは、上記光ファイバを第2の垂直通路に沿うように方向転換させる。上記紫外線硬化性塗膜塗装システムは、上記光ファイバが上記第2の垂直通路に沿って紫外線硬化性塗膜で塗装されるように、上記第2の垂直通路に沿って位置決めされている。上記照射器は、上記光ファイバに上記紫外線硬化性塗膜が施された後にこの紫外線硬化性塗膜が上記照射器によって硬化されるように、上記第2の垂直通路に沿って位置決めされている。上記熱可塑性樹脂塗装システムは、上記光ファイバに上記紫外線硬化性塗膜が施された後に上記第2の垂直通路に沿って熱可塑性塗膜が施されるように、上記第2の垂直通路に沿って位置決めされている。上記ファイバ巻取りシステムは、上記光ファイバが上前記熱可塑性樹脂塗装システムを通過した後、上記光ファイバが上記ファイバ巻取りシステム内に導かれ、かつファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられるように、上記第2の垂直通路に沿って位置決めされている。上記ファイバ巻取りシステムは、上記光ファイバが上記ファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる以前に上記熱可塑性塗膜が冷えるように、上記熱可塑性樹脂塗装システムから離れているのがよい。
【0008】
本発明のさらなる特徴および効果は、下記の詳細な説明に記載されており、その説明から当業者にはその一部が直ちに明らかになるであろうし、あるいは、添付図面のみならず下記の詳細な説明、請求項を含む本発明の実施によって認識されるであろう。上述の概略説明および後述の本発明の実施の形態の詳細説明の双方は、請求項に記載された本発明の性質および特徴を理解するための概観または骨子の提供を意図するものである。
【0009】
図面に説明されている実施の形態は、請求項によって定義された本発明の性質を説明するものであって、限定を意図したものではない。さらに、後述の本発明の具体的な説明は、類似の構造には類似の符号が付されている下記の図面と関連させて読むときに理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一つの実施の形態による光ファイバ生産システムの概略図である。
【図2】本発明の別の実施の形態による光ファイバ生産システムの概略図である。
【図3】本発明のさらに別の実施の形態による光ファイバ生産システムの概略図である。
【図4】本発明の一つの実施の形態による光ファイバ生産システムに用いるための流体ベアリングの分解斜視図である。
【図5】本発明の一つの実施の形態による光ファイバ生産システムに用いるための流体ベアリングの平面図である。
【図6】図5に示された、光ファイバ生産システムに用いるための流体ベアリングの一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで説明されているシステムおよび方法は、少なくとも一次塗膜および二次熱可塑性樹脂塗膜が施された光ファイバの生産に関する。さらに詳細には、ここで説明されているシステムおよび方法は、システムの種々の構成要素が、光ファイバに対し少なくとも二次塗膜としての熱可塑性樹脂塗膜が施されるように配向された、塗装された光ファイバの生産システムに関するものである。図1は、塗装された光ファイバを生産するためのシステム100の一つの実施の形態を示す。このシステムは概して、第1の垂直通路に沿って配向された1基の線引き炉と、別の垂直通路に沿って配向された少なくとも1基の熱可塑性樹脂塗装システムと、上記線引き炉と上記少なくとも1基の熱可塑性樹脂塗装システムとの間に配置された少なくとも1個の流体ベアリングとを備えている。これらの要素のそれぞれについて以下に詳細に説明する。
【0012】
図1〜図3を参照すると、熱可塑性樹脂で塗装された光ファイバを生産するためのシステム100,200,300の種々の実施の形態が示されている。システム100,200,300は一般に、光ファイバプリフォーム12から光ファイバ16が線引きされるように光ファイバプリフォーム12を加熱するための1基の線引き炉14を備えている。上記プリフォーム12は、光ファイバの製造に適したガラスまたは何れかの材料を含む。上記線引き炉14は、光ファイバプリフォーム12から線引きされた光ファイバ16が第1の垂直通路(A)に沿って炉から下方へ出るように、第1の垂直通路(A)に沿って配向されていればよい。
【0013】
光ファイバ16が線引き炉14を出た後、光ファイバ16の外径およびこの光ファイバ16に印加される線引き張力が非接触式センサ18,20で測定される。
【0014】
図1〜図3に示されているように、光ファイバ16は、非接触式センサ18,20によって測定された後、第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換され、この場合、第2の垂直通路(B)は第1の垂直通路(A)と平行である。図1に示されているシステム100のような実施の形態においては、光ファイバ16が第2の垂直通路(B)に沿ってほぼ下方へ導かれ、この第2の垂直通路(B)は第1の垂直通路(A)に対して同一直線上にはない。別の実施の形態(不図示)においては、第2の垂直通路(B)が第1の垂直通路(A)に対して同一直線上にあり、光ファイバ16が第1の垂直通路(A)と第2の垂直通路(B)との双方に沿ってほぼ下方へ導かれる。図2および図3示されているような他の実施の形態においては、光ファイバ16が第2の垂直通路(B)に方向転換された後、光ファイバ16は第2の垂直通路(B)に沿ってほぼ上方へ移動する。さらに、第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)への光ファイバ16の方向転換を容易にするために、光ファイバ16は、図1〜図3に示されているように、第1の垂直通路(A)と第2の垂直通路(B)との間の一つまたは複数の非垂直通路に沿って導かれることを理解すべきである。
【0015】
保護被膜が施される以前は、特に塗装されていない光ファイバが他の固体に接触した場合に、光ファイバ16は脆弱であり、破損し易いことを理解すべきである。したがって、光ファイバ16の品質を保つためには、保護被膜が施される以前には、光ファイバ16と固体面または固体要素との接触が回避されるのが望ましい。それ故に、光ファイバ16を損傷させることなしに光ファイバ16の方向転換を容易にするために、光ファイバ16に機械的に接触または触れることなしに光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換する非接触メカニズムを通じて光ファイバ16が導かれる。例えば図1〜図3を参照すると、光ファイバ16が塗装されるまでは光ファイバ16が機械的接触を受けないように、光ファイバ16を種々の通路に沿って方向転換するために、1個または複数の流体ベアリング24が用いられる。これらの流体ベアリング24は、「光ファイバの生産方法」と題して2007年11月26日付けで提出された米国特許出願第11/986764号明細書に開示されており、光ファイバの非接触方向転換を容易にするために種々の他の形式および構造が用いられているが、上記明細書の内容の全てが引用されて本明細書に組み入れられる。
【0016】
ここで図4〜図6を参照すると、ここで説明されている方法およびシステムに使用可能な流体ベアリング24は、第1プレート130、第2プレート132、内側部材136、および上記第1および第2プレートの少なくとも一方に形成された少なくとも1個の開口部134を備えている。第1プレート130および第2プレート132は、金属で作製可能であり、かつ円弧状の外表面138,139を備え、互いに反対側に位置決めされる。上記第1プレート130および上記第2プレート132は、流体がこの流体ベアリング24を通過せしめられるようにプレート130,132を連結する固定部材(例えば複数のボルト140)によって連結されている。各プレート130,132の円弧状の外表面138,139は、各プレート130,132のそれぞれの外周に沿って位置している。第1プレート130および第2プレート132は、それぞれ内表面142,144および外表面143,145を有し、プレート130,132の内表面142,144は互いに位置が整合されている。第1プレート130または第2プレート132の何れか一方の内表面142,144を少なくとも部分的に巡って凹部147が延びて、流体が流れる空間を提供している。
【0017】
上記第1プレート130および上記第2プレート132の円弧状の外表面138,139は、実質的に整合されており、かつ上記第1プレート130および上記第2プレート132の外表面138,139の間にファイバ支持溝150を形成している。このファイバ支持溝150は、流体ベアリング24が回転することなしに光ファイバ16がこの溝を通って移動し得るように光ファイバ16を収容する構成を有する。少なくとも1個の開口部134が第1プレート130および第2プレート132の少なくとも一方を貫通している。図4に示されているように、第1プレート130および第2プレート132の開口部134は、流体(例えば、空気、ヘリウムまたはその他の気体または液体)がファイバ支持溝150を通って流体ベアリング24から出ることができるように、流体が流体ベアリング24を通って供給されるのを可能にしている。
【0018】
流体ベアリング24は、第1プレート130と第2プレート132との間に配置された内側部材136を備えている。この内側部材136は、ファイバ支持溝150から流出する流体が所定の流動方向を有するように、第1プレート130および第2プレート132の間の溝に流体を導くのを助成するように構成されている。上記内側部材136は、第1プレート130と第2プレート132との間にあって、それら間にギャップを形成している。これに加えて、上記内側部材136は、第1プレート130と第2プレート132との間に実質的な接触部を提供するための封着部として作用する。
【0019】
第1プレート130および第2プレート132の外表面138,139の間に形成されたファイバ支持溝150にはテーパーが付されており、そこに流体が第1プレート130と第2プレート132との間から流出する。テーパーが付されたファイバ支持溝150の開口部160の幅は、ファイバ支持溝150内に垂直に配置された光ファイバ16に応じて変更可能である。テーパーが付されたファイバ支持溝150を形成する開口部160は、採用される特定の線引き張力および線引き速度、ならびに開口部160を通過する流体の流動速度に対して光ファイバ16がファイバ支持溝150の一部分内に保持されるように、125μmの典型的な外径を有する光ファイバに対して500μm幅未満が好ましく、400μm幅未満がより好ましく、300μm幅未満がさらに好ましい。かくして光ファイバ16は、好ましくはこの光ファイバの外径の1〜2倍、より好ましくは外径の1〜1.75倍、最も好ましくは外径の1〜1.5倍であるファイバ支持溝150の領域内に保持されるのが好ましい。
【0020】
ここで図6を参照すると、図5の一部分の拡大図が示されて、流体ベアリング24の機能をより良く表わしている。図6は、光ファイバ16が流体ベアリング24を通って搬送されるときに光ファイバ16に接触する流体154のクッション領域を有するファイバ支持溝150を示す。上記流体154のクッション領域は、流体ベアリング24の構成要素に光ファイバ16が機械的に接触するのを防止する。図6に示されているように、流体154(例えば空気)は、流体ベアリング24の内部からファイバ支持溝150に流出して光ファイバ16の周囲を流れ、これによって、光ファイバ16に接触する流体154のクッション領域を提供する。流体圧力は、流体ベアリング24の第1プレート130と第2プレート132との間に形成されているファイバ支持溝150内に光ファイバ16が位置するように最適化される。特に、ファイバ支持溝150を通って流体ベアリング24から流出する流体154は、ファイバ支持溝150内の特定の位置に光ファイバ16を保持することができる一定の流動速度を有することが可能である。光ファイバ16とプレート130,132との間の圧力差の結果として、流体静力学的圧力が流体154のクッション領域を作り出す。光ファイバ16が流体ベアリング・アセンブリを通って移動するのにつれて、十分に高い流体圧力がファイバ支持溝150に提供されて光ファイバ16を支持し、かつこの光ファイバ16をファイバ支持溝150内の所望の部位に維持する。したがって流体ベアリング24は、光ファイバ16に機械的に接触することなしに光ファイバ16の方向転換を容易にする。
【0021】
光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換させるために流体ベアリング24を使用することについて具体的な言及がなされたが、流体ベアリング24に代えて、光ファイバに損傷を与えることなしに光ファイバを方向転換させるのに適した他の手段を用いてもよく、特に指示が無い限り、光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換するために用いられる態様または装置に関しては、特に限定する意図はないことを理解すべきである。
【0022】
再び図1〜図3を参照すると、熱可塑性樹脂塗膜を付された光ファイバを生産するためのシステム100,200,300は、光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換させるために、複数の流体ベアリング24を備えている。例えば、図1に示されているように、光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換させるために3個の流体ベアリング24が用いられているが、図2、図3に示されている実施の形態においては、光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換させるために2個の流体ベアリング24が用いられている。光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換させるのに2個以上の流体ベアリング24が用いられている場合、図1〜図3に示されているように、光ファイバ16は、第1の垂直通路(A)と第2の垂直通路(B)との間の一つまたは複数の中間通路に沿うように方向転換され、かつこれらの中間通路は、第1の垂直通路(A)および第2の垂直通路(B)に対して何れの方向を向いていてもよいことを理解すべきである。しかしながら、光ファイバ16を第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換させるために単一の流体ベアリング24を用いてもよいことを理解すべきである。
【0023】
さらに、図1〜図3に示されている流体ベアリング24は、光ファイバ16を一方の通路から他方の通路へ方向転換させる機能を有するが、これらの流体ベアリング24は、線引き炉14を出た後の光ファイバ16を冷却するための冷却機構としても作用することを理解すべきである。さらに詳細には、流体ベアリング24内において光ファイバ16を支持する流体クッションおよびそれに付随する流体流は、光ファイバ16から熱を運び去る作用をも有し、これにより光ファイバ16を冷却する。例えば、光ファイバ16は、流体ベアリング24を出た後は約20℃から約200℃までの温度に冷却されている。別の実施の形態においては、流体ベアリング24が冷却機構(不図示)と協働して光ファイバ16を冷却する。流体ベアリング24による冷却に加えて光ファイバ16が空冷されるように、一次塗装システム26を線引き炉14から離して配置することによっても光ファイバ16の冷却が助長される。
【0024】
ここで、図1〜図3に示されたシステム100,200,300を参照して、光ファイバに対し一次塗膜および二次熱可塑性塗膜を施すことについてさらに詳細に説明する。
【0025】
図1に示された、熱可塑性塗膜を備えた光ファイバを生産するためのシステム100の実施の形態を参照すると、光ファイバ16が第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換された後、第2の垂直通路(B)に沿って光ファイバ16に一次塗膜を施す一次塗装システム26を通過せしめられる。図1に示されたシステム100の実施の形態においては、一次塗装システム26が、紫外線硬化性アクリレート塗膜等の紫外線硬化性一次塗膜を光ファイバに施すように構成されている。上記一次塗装システム26が、紫外線硬化性一次塗膜を光ファイバ16に施すように構成されている場合、この一次塗装システム26は、第1の内径を有するガイドダイ52と、より小さい第2の内径を有するサイジングダイ54とを備えている。上記ガイドダイ52と上記サイジングダイ54との間には塗装室56が配置されている。この塗装室56には、液体状態の紫外線硬化性塗料が満たされている。一次塗装システム26に入った光ファイバ16は、ガイドダイ52を抜けかつ塗装室56を通過して、ここで光ファイバ16の表面に紫外線硬化性塗料が塗られる。次に光ファイバ16はサイジングダイ54を通過し、光ファイバが一次塗装システム26を出るときに余分な塗料がここで除去されて、サイジングダイ54の内径に対応した指定された外径を有する塗装された光ファイバが得られる。
【0026】
図1は、一次塗装システム26が光ファイバに紫外線硬化性一次塗膜を施すように構成されるように、ガイドダイ52、塗装室56、およびサイジングダイ54を有するものとしての一次塗装システム26を示しているが、この一次塗装システム26は、この分野で現在知られている、または今後開発されるような、光ファイバに紫外線硬化性一次塗膜を施すための何れの適当な塗装ユニットであってもよいことを理解すべきである。さらに、この一次塗装システム26は、光ファイバが一次塗装システム26を通過せしめられるときに、光ファイバに対して多層の塗膜が施されるようにさらなるガイドダイおよびサイジングダイを備えるように構成されていてもよいことを理解すべきである。例えば一次塗装システムが、第1の紫外線硬化性塗膜および第2の紫外線硬化性塗膜を施してもよい。これらの第1および第2の紫外線硬化性塗膜は、得られた塗装された光ファイバの光学的および/または機械的特性を向上させるためのものであれば、同一材料であっても異なる材料であってもよい。
【0027】
一次塗装システム26が光ファイバ16に紫外線硬化性一次塗膜を施すように構成されている図1に示されたシステム100の実施の形態をなおも参照すると、このシステム100は、第2の垂直通路(B)に沿って配置された照射器28を備えており、光ファイバ16に紫外線硬化性塗膜が施された後、この紫外線硬化性塗膜を備えた光ファイバ16が、紫外線硬化性塗膜がキュアすなわち硬化される照射器28を通過するようになっている。この照射器28を出た後、光ファイバ16は、この光ファイバの外径が測定される非接触式センサ18を通過する。その後光ファイバ16は、上記紫外線硬化性塗膜の上に熱可塑性塗膜が施される熱可塑性樹脂塗装システム30を通過せしめられる。この熱可塑性塗膜は、ポリエチレン、ポリプロピレン、弗素化エチレンポリプロピレン、ナイロン(登録商標)、ポリ塩化ビニルまた類似の熱可塑性材料を含む。上記熱可塑性樹脂塗装システム30は、光ファイバに熱可塑性塗膜を施すための押出し成形ダイを備えることができる。しかしながら、熱可塑性樹脂塗装システムは、現在知られているまたは今後開発されるような種々の他のダイおよび/または塗装システムを採用できることを理解すべきである。
【0028】
ここで熱可塑性塗膜を施された光ファイバを生産するためのシステム300の別の実施の形態が示されている図3を参照すると、光ファイバ16が第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換された後、光ファイバ16は、第2の垂直通路(B)に沿った光ファイバ16に一次塗膜が施される一次塗装システム26を通過せしめられる。図3に示されたシステム300の実施の形態は、一次塗膜が、第2の垂直通路(B)に沿って光ファイバ16が牽引されるときに光ファイバ16に施される熱可塑性一次塗膜であるように、一次塗装システム26が上述した熱可塑性樹脂塗装システム30と類似の熱可塑性樹脂塗装システムである。
【0029】
図3に示された、熱可塑性塗膜を施された光ファイバを生産するためのシステム300の実施の形態をなおも参照すると、このシステム300はさらに、上記第2の垂直通路(B)とほぼ平行な第3の垂直通路(C)に沿って配置された熱可塑性樹脂塗装システム30を備えている。上記第2の垂直通路(B)から上記第3の垂直通路(C)へ光ファイバ16を方向転換させるために、システム300もまた、一次塗装システム26と熱可塑性樹脂塗装システム30との間に配置された1個または複数のプーリ25またはベアリングを備えることができる。一つの実施の形態において、プーリ25は光ファイバ16に接触する機械的プーリである。この実施の形態においては、熱可塑性塗膜を施された光ファイバ16との機械的接触が許容される。別の実施の形態(不図示)においては、熱可塑性塗膜を施された光ファイバを方向転換させるためのプーリ25が、流体ベアリング等の非接触機構を備えていてもよい。一次塗装システム26により一次の熱可塑性塗膜が施された後、光ファイバ16はプーリ25に導かれ、そこで第3の垂直通路(C)へ方向転換される。この第3の垂直通路(C)へ方向転換された後、光ファイバは一般に下方へ向いた第3の垂直通路(C)に沿って牽引される。
【0030】
上記第2の垂直通路(B)に沿って熱可塑性一次塗膜が施された後、光ファイバ16に施されている熱可塑性一次塗膜は高温であり、それ自体柔らかく、冷却されるまでは損傷を受け易い。したがって、熱可塑性一次塗膜を冷却し、それにより、次の処理段階において塗膜が損傷するのを防止するために、一次塗装システム26と熱可塑性樹脂塗装システム30との間に配置されたプーリ25は、一次塗装システム26から距離d2だけ離れていりのがよく、これにより、熱可塑性塗膜がプーリ25に接触する以前に空冷されることを可能にしている。例えば、一つの実施の形態において、光ファイバが一次塗装システム26を出るときの熱可塑性一次塗膜は約150℃から約325℃までの温度を有する。プーリ25を一次塗装システム26から離すことによって、熱可塑性一次塗膜は空冷されて約30℃から約100℃までの温度に冷却されるので、熱可塑性一次塗膜が固化され、プーリ25と接触しても損傷を受け難くなる。別の実施の形態においては、熱可塑性一次塗膜の冷却を容易にするために、プーリ25を一次塗装システム26から離すことに加えて、一次塗装システム26とプーリ25との間に冷却機構(不図示)が配置されて、熱可塑性一次塗膜を所望の温度範囲内に冷却するのを助成している。
【0031】
光ファイバ16が第3の垂直通路(C)へ方向転換された後、光ファイバ16は熱可塑性樹脂塗装システム30を通過せしめられ、そこで光ファイバに熱可塑性二次塗膜が施される。上記熱可塑性樹脂塗装システム30は、図1に関して説明された熱可塑性樹脂塗装システム30とほぼ同様の構成を有すればよい。
【0032】
ここで、熱可塑性樹脂を塗装された光ファイバを生産するためのシステム200の別の実施の形態を示す図2を参照すると、光ファイバ16が第1の垂直通路(A)から第2の垂直通路(B)へ方向転換された後、この光ファイバは上記第2の垂直通路(B)に沿ってほぼ上方へ牽引され、そこで空冷される。次に光ファイバは、上記第2の垂直通路(B)に沿って配置されている1個または複数の追加の流体ベアリングへ導かれ、そこで第2の垂直通路(B)とほぼ平行な第3の垂直通路(C)へ方向転換される。図2に示されたシステム200の実施の形態においては、光ファイバ16を第3の垂直通路(C)へ方向転換させるために、単一の流体ベアリング24が第2の垂直通路(B)に沿って配置されている。しかしながら、光ファイバを第2の垂直通路(B)から第3の垂直通路(C)へ方向転換させるために、複数の流体ベアリングが用いられてもよいことを理解すべきである。第3の垂直通路(C)へ方向転換された後、光ファイバ16は第3の垂直通路(C)に沿ってほぼ下方へ牽引される。
【0033】
このシステム200もまた、第3の垂直通路(C)に沿って配置された一次塗装システム26および熱可塑性樹脂塗装システム30を備えている。一次塗装システム26は、紫外線硬化性一次塗膜または熱可塑性一次塗膜を施すように構成されている。一次塗装システム26が紫外線硬化性一次塗膜を施すように構成されている場合には、システム200は照射器28をも備えることができる。上述のように、一次塗装システム26は、光ファイバが一次塗装システムを通過するときに紫外線硬化性塗膜を光ファイバ16に施すように構成されている。第2の垂直通路(B)から第3の垂直通路(C)へ方向転換せしめられた後、光ファイバ16は一次塗装システム26に入り、ここで光ファイバ16に紫外線硬化性塗膜が施される。その後、光ファイバは照射器28に入り、ここで紫外線硬化性塗膜がキュアすなわち硬化される。一つの実施の形態においては、光ファイバ16が照射器を出た後、非接触式センサ18によって光ファイバ16の外径が測定される。次に光ファイバ16は熱可塑性樹脂塗装システム30を通過せしめられ、ここで光ファイバ16の紫外線硬化性塗膜の上に熱可塑性二次塗膜が施される。
【0034】
ここで図1〜図3を参照すると、上記熱可塑性樹脂塗装システム30を出た後、非接触式センサ18を用いて光ファイバ16の外径が測定される。その後、非接触式検出器32が用いられて、光ファイバ16の生産中に発生したかも知れない損傷および/または欠陥に関して、塗装された光ファイバ16が試験される。光ファイバ16に塗膜が施された後には、機械的接触による損傷を受け難くなることを理解すべきである。
【0035】
なおも図1〜図3を参照すると、非接触式センサ18および検出器32によって試験された後、紫外線硬化性または熱可塑性一次塗膜および熱可塑性二次塗膜を施された光ファイバ16は、ファイバ巻取りシステム40を伴ったファイバ貯蔵スプール38上に巻き取られる。上記ファイバ巻取りシステム40は、牽引機構36およびテンション・プーリ34を用いて、ファイバ貯蔵スプール38上への光ファイバ16の巻取りを容易にしている。テンション・プーリ34は、光ファイバ16がシステム100を通じて線引きされる
ときに必要な張力を光ファイバに提供する。したがって、上記ファイバ巻取りシステム40は、光ファイバ16がシステム100,200,300の種々の段階を通じて牽引されるときに光ファイバ16に対し所望の張力を与えるのみでなく、ファイバ貯蔵スプール38上へ光ファイバ16を巻き付けるために、光ファイバ16に直接的に接触する。
【0036】
光ファイバ16が熱可塑性樹脂塗装システム30を離れるときには、光ファイバ16に施された二次的熱可塑性塗膜は高温になっており、熱可塑性塗膜自体が柔らかく、機械的接触により損傷を受け易い。したがって、光ファイバ16がファイバ巻取りシステム40に接触する以前に、光ファイバ16に施されている二次的熱可塑性塗膜は冷却されなければならない。この二次的熱可塑性塗膜の冷却を容易にするために、ファイバ巻取りシステム40は、二次的熱可塑性塗膜がファイバ巻取りシステム40に入る以前に空冷されかつ硬化されるように、熱可塑性樹脂塗装システム30から距離d1だけ離される。例えば、ファイバ巻取りシステム40に入る以前に、二次的熱可塑性塗膜がファイバ巻取りシステム40との接触によって損傷を受けないように、二次的熱可塑性塗膜は約30℃から約100℃までの温度に冷却される。別の実施の形態においては、ファイバ巻取りシステムを熱可塑性樹脂塗装システム30から離すことに加えて、二次的熱可塑性塗膜の冷却を容易にするために、熱可塑性樹脂塗装システム30とファイバ巻取りシステム40との間に冷却機構(不図示)が配置される。
【0037】
ここで説明されている方法およびシステムは、垂直に配向された複数の塗装システムを利用した熱可塑性一次塗膜および/または二次塗膜を有する光ファイバを製造するためのものであることを理解すべきである。光ファイバに機械的に接触することなしに、光ファイバが種々の通路に沿って方向転換されるのを可能にする非接触流体ベアリングを少なくとも一部に使用することによって、熱可塑性塗膜を光ファイバに施すことが容易にされ得る。したがって、光ファイバが方向転換されるときに損傷を受ける可能性が低減または排除される。
【0038】
さらに、ここに記載されている方法およびシステムと併せて流体ベアリングを使用することは、光ファイバ生産システム全体の高さを低くする。より具体的には、ここに記載されている方法およびシステムは、光ファイバ生産システムが垂直方向のみではなく、垂直および水平の双方向に広がることを容易にし、これにより、光ファイバ生産システムの施設社屋における建物空間のより効率的な利用を提供する。さらに、垂直方向よりも水平方向に広がる光ファイバ生産システムは、この光ファイバ生産システムの変更、更新および修理の実施コストを著しく低減し、これは言い換えると、光ファイバ製造コストの低減を意味する。
【0039】
本発明の精神および範囲から離れることなしに、種々の変形および変更が可能なことは、当業者には明らかであろう。したがって本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内で行なわれた本発明の変形および変更をカバーすることを意図するものである。
【符号の説明】
【0040】
12 光ファイバプリフォーム
14 線引き炉
16 光ファイバ
18,20 非接触式センサ
24 流体ベアリング
25 プーリ
26 一次塗装システム
28 照射器
30 熱可塑性樹脂塗装システム(二次塗装システム)
32 非接触式検出器
34 テンション・プーリ
36 牽引機構
38 ファイバ貯蔵スプール
40 ファイバ巻取りシステム
52 ガイドダイ
54 サイジングダイ
56 塗装室
100,200,300 光ファイバ生産システム
130 第1プレート
132 第2プレート
136 内側部材
150 ファイバ支持溝
154 流体クッション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装された光ファイバの生産方法であって、
線引き炉から1本の光ファイバを第1の垂直通路に沿って線引きするステップ、
前記光ファイバを、少なくとも1個の第1の流体ベアリングを通して送るステップであって、該少なくとも1個の流体ベアリングは、前記光ファイバを第2の垂直通路に沿うように方向転換させるものであるステップ、
熱可塑性樹脂塗装システムを用いて前記光ファイバに熱可塑性塗膜を施すステップ、および
ファイバ巻取りシステムを備えたファイバ貯蔵スプール上へ前記光ファイバを巻き付けるステップであって、前記光ファイバが前記ファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる以前に前記熱可塑性塗膜が冷却されるように、前記ファイバ巻取りシステムが前記熱可塑性樹脂塗装システムから離れて配置されているステップ、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記熱可塑性塗膜が二次塗膜であり、前記二次塗膜が前記光ファイバに施される以前に一次塗膜を前記光ファイバに施すステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性塗膜が、ポリエチレン、ポリプロピレン、弗素化エチレンポリプロピレン、ナイロン(登録商標)、またはポリ塩化ビニルを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記光ファイバが前記ファイバ巻取りシステムを備えたファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる以前に、前記熱可塑性塗膜が約30℃から約100℃までの温度に冷却されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記一次塗膜が紫外線硬化性塗膜を含み、該紫外線硬化性塗膜は、前記光ファイバに前記二次塗膜が施される以前に硬化せしめられることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記光ファイバを、該光ファイバに前記一次塗膜が施される以前に第2の流体ベアリングを通して送り、これにより、前記光ファイバを第3の垂直通路に沿うように方向転換させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性塗膜が二次熱可塑性塗膜であり、
前記光ファイバに前記二次熱可塑性塗膜が施される以前に、一次熱可塑性樹脂塗装システムを用いて前記光ファイバに一次熱可塑性塗膜を施すステップ、および
該一次熱可塑性塗膜が施された後でかつ前記二次熱可塑性塗膜が施される以前に、前記光ファイバを1個のプーリを通して送り、これにより前記光ファイバを第3の垂直通路に沿うように方向転換させるステップであって、前記光ファイバが前記プーリを通して送られる以前に前記一次熱可塑性塗膜が冷却されるように、前記プーリが前記一次熱可塑性樹脂塗装システムから離れているステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記光ファイバに施された前記一次熱可塑性塗膜は、前記光ファイバが前記プーリを通して送られる以前に、約30℃から約100℃までの温度に冷却されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記光ファイバに施された前記一次熱可塑性塗膜は空冷されることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
塗装された光ファイバの生産システムであって、該システムは、1基の線引き炉、少なくとも1個の流体ベアリング、1個のプーリ、1基の熱可塑性樹脂塗装システム、および1基のファイバ巻取りシステムを備え、この場合、
前記少なくとも1個の流体ベアリングは、前記線引き炉から線引きされる前記光ファイバが第1の垂直通路に沿って前記少なくとも1個の流体ベアリングへ導かれるように前記線引き炉の出口の下方に位置決めされており、この場合、前記少なくとも1個の流体ベアリングは、前記光ファイバを第2の垂直通路に沿うように方向転換させ、
前記プーリは、前記第2の垂直通路に沿って位置決めされ、かつ前記光ファイバを第3の垂直通路に沿うように方向転換させ、
前記熱可塑性樹脂塗装システムは、前記光ファイバが前記第3の垂直通路に沿って熱可塑性塗膜で塗装されるように、前記第3の垂直通路に沿って位置決めされており、かつ
前記ファイバ巻取りシステムは、前記光ファイバに前記熱可塑性塗膜が施された後に、前記光ファイバが前記ファイバ巻取りシステム内に導かれかつファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられるように、前記第3の垂直通路に沿って位置決めされており、その場合、前記光ファイバが前記ファイバ貯蔵スプール上へ巻き付けられる以前に前記熱可塑性塗膜が冷えるように、前記ファイバ巻取りシステムが前記熱可塑性樹脂塗装システムから離れていることを特徴とする、塗装された光ファイバの生産システム。
【請求項11】
塗装された光ファイバの生産システムであって、該システムは、1基の線引き炉、少なくとも1個の流体ベアリング、1基の紫外線硬化性塗膜塗装システム、1個の照射器、1基の熱可塑性樹脂塗装システム、および1基のファイバ巻取りシステムを備え、この場合、
前記少なくとも1個の流体ベアリングは、前記線引き炉から線引きされる前記光ファイバが第1の垂直通路に沿って前記少なくとも1個の流体ベアリングへ導かれるように前記線引き炉の出口の下方に位置決めされ、この場合、前記少なくとも1個の流体ベアリングは、前記光ファイバを第2の垂直通路に沿うように方向転換させ、
前記紫外線硬化性塗膜塗装システムは、前記光ファイバが前記第2の垂直通路に沿って紫外線硬化性塗膜で塗装されるように、前記第2の垂直通路に沿って位置決めされており、
前記照射器は、前記光ファイバに前記紫外線硬化性塗膜が施された後に該紫外線硬化性塗膜が前記照射器によって硬化されるように、前記第2の垂直通路に沿って位置決めされており、
前記熱可塑性樹脂塗装システムは、前記光ファイバに前記紫外線硬化性塗膜が施された後に前記第2の垂直通路に沿って熱可塑性塗膜が施されるように、前記第2の垂直通路に沿って位置決めされており、かつ
前記ファイバ巻取りシステムは、前記光ファイバが前記熱可塑性樹脂塗装システムを通過した後、前記光ファイバが前記ファイバ巻取りシステム内に導かれ。かつファイバ貯蔵スプール上へ巻かれるように、前記第2の垂直通路に沿って位置決めされ、その場合、前記ファイバ巻取りシステムは、前記光ファイバが前記ファイバ貯蔵スプール上へ巻かれる以前に前記熱可塑性塗膜が冷えるように、前記熱可塑性樹脂塗装システムから離れていることを特徴とする、塗装された光ファイバの生産システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−523397(P2011−523397A)
【公表日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511605(P2011−511605)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/003063
【国際公開番号】WO2009/145873
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】