説明

熱回収装置、コージェネレーションシステム、並びに、配管の誤接続検知方法

【課題】燃料電池等を採用した発電装置を起動することなく、発電装置と熱回収装置とを接続する配管の誤接続を検知することができる熱回収装置、コージェネレーションシステム、並びに、配管の誤接続検知方法を提供する。
【解決手段】発電装置と熱回収装置とが配管で接続されたとき、発電装置の発電動作を開始しない状態で、誤接続検知動作を実施する。誤接続検知動作では、発電装置と熱回収装置を配管で接続することで形成される熱回収用経路において、所定の部分で湯水を加熱しつつ、循環させる。そして、熱回収用経路を循環する湯水が規定の部分を流れたときの温度を検知し、検知した温度に基づいて、発電装置と熱回収装置とを接続する配管が誤接続されているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器において発生した熱を回収する熱回収装置、並びに、特に燃料電池等が発生する排熱を回収する熱回収装置を備えたコージェネレーションシステムに関するものである。さらに、本発明は、そのコージェネレーションシステムにおける配管の誤接続検知方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電装置で電力を発電すると共に、その際に発生する排熱を給湯や暖房等に利用できるコージェネレーションシステムが広く知られている。そして、この種のシステムに採用される発電装置としては、燃料電池によるものや、ガスエンジンによるものがあるが、近年においては、固体酸化物形の燃料電池(以下、SOFCと言う)が多用されている。この理由として、SOFCは、ガスエンジンや公知の他の種類の燃料電池(例えば、溶融炭酸塩形、リン酸形、固体高分子形)よりも発電効率が高いことが挙げられる。
なお、SOFCで構成された燃料電池は、主に空気中の酸素と都市ガス等の燃料から得た水素とを反応させて発電させるものである。
【0003】
ところで、この種のコージェネレーションシステムは、一般的に、燃料電池を備えた発電側ユニットと、その発電側ユニットで発生した熱を湯水又は熱媒体を介して回収し、その湯水又は熱媒体(通常湯水であるため、以下湯水として説明する)を一時的に蓄熱可能な貯留タンクとを備えた蓄熱側ユニット(以下熱回収装置とも称す)とを有している。そして、発電側ユニットと蓄熱側ユニットとを配管を介して接続した構成とされている。
【0004】
具体的には、発電側ユニットと蓄熱側ユニットを予め工場において製造し、それを施工現場で配管接続して完成させる。即ち、施工現場においては、発電側ユニットと蓄熱側ユニットのそれぞれを所望の位置に設置し、蓄熱側ユニットにおける貯留タンクの低温側接続部(通常、貯留タンクの下方に位置する)と発電側ユニットの入水側接続部を接続すると共に、蓄熱側ユニットにおける貯留タンクの高温側接続部(通常、貯留タンクの上方に位置する)と発電側ユニットの出水側接続部を接続して、発電側ユニットと蓄熱側ユニットとの間に循環流路たる排熱回収用回路を形成する。
【0005】
即ち、このように接続された状態においては、貯留タンクに蓄熱する蓄熱動作が開始されると、貯留タンク内の湯水が低温側接続部から排出され、当該湯水は発電側ユニットに入水し所定の温度まで加熱される。またこのとき、発電側ユニットでは、燃料電池が排熱回収用回路内を循環する湯水によって冷却される。そして、発電側ユニットで加熱された湯水は、出水側接続部から排出され、貯留タンクの高温側接続部から導入される。
なお、貯留タンクの内部においては、上部から導入された湯水が一定の温度差ごとに層状となった温度成層を形成する。
【0006】
ここで、蓄熱側ユニットに注目すると、蓄熱動作によって貯留された湯水を、給湯や暖房等の所定の要求に応じるために、給湯用の流路や暖房用の流路等が設けられている。即ち、貯留タンクには、前記した排熱回収用回路の他、給水源に繋がる流路(給水流路)や、給湯栓に繋がる流路(給湯用流路)、暖房用又は風呂追い焚き用の熱交換器との間を循環する流路(暖房用又は追い焚き用回路)等が接続されている。そして、給湯や暖房等の要求があれば、貯留タンクの下部側から湯水を導入して貯留タンク内の湯水を押し上げ、貯留タンクの上部側から湯水を排出し、要求の機能を果たすべく、前記いずれかの流路に流通させる。
【0007】
このように、発電側ユニットと蓄熱側ユニットが正しく配管接続されたことを前提にすれば、蓄熱動作によって加熱された湯水が貯留タンクの上部側に貯留されるため、給湯や暖房等の運転要求が発生した場合に、貯留タンクに導入された範囲内で蓄熱された湯水を利用することができる。
【0008】
ところが、施工現場において、発電側ユニットと蓄熱側ユニットを配管接続する際に、それぞれの接続部を互いに掛け違えるように接続してしまう(誤接続)場合があり、その場合、本来、コージェネレーションシステムで期待できる排熱を有効利用するという目的を発揮できないという問題があった。
【0009】
具体的には、この誤接続によって、蓄熱側ユニットにおける貯留タンクの低温側接続部と発電側ユニットの出水側接続部が接続されると、発電側ユニットで加熱された湯水は低温側接続部を介して、貯留タンクの下方から導入されるため、加熱された湯水は貯留タンクの下部側から貯留される。即ち、この場合、貯留タンク内が満蓄状態(加熱された湯水で満たされた状態)にならない限り、加熱された湯水は貯留タンクの上部に滞留しない。これにより、蓄熱動作の最中に所望の運転要求が発生した場合、貯留タンクの上部から最初に排出される湯水は、蓄熱動作によって加熱された湯水ではなく、加熱される前の低温の湯水となる。そして、その後、貯留タンクの上部の低温の湯水が全て排出されると、貯留タンクの下部側に滞留していた加熱された湯水が排出される。
【0010】
そのため、このような誤接続によって発電側ユニットと蓄熱側ユニットが接続された場合、予め蓄熱動作が行われているにも関わらず、要求された運転が実施される際に、貯留タンクから低温の湯水が排出されてしまう場合がある。このような場合、給湯、暖房、あるいは風呂落とし込み等の運転が実施されても、タンクから高温の湯水を排出することができないため、やむなく補助熱源機を作動させて湯水を加熱する。しかし、このように本来必要としない状況下において、補助熱源機を作動させることは、コージェネレーションシステム運用時のエネルギー効率を低下させてしまうという不利益がある。
【0011】
また逆に、貯留タンク内が満蓄状態であったり、貯留タンクの下部から加熱された湯水が導入されたが、温度差による比重の違いにより、結果的に高温の湯水が貯留タンク内の上部に滞留したような状態においては、要求された運転は正常に機能されるが、蓄熱動作に不具合が生じる。即ち、逆接続された状態で蓄熱動作が行われると、貯留タンクの上部から湯水が排出されて、発電側ユニットに入水されるため、排熱回収用回路を循環する湯水の温度が過剰に上昇する上、燃料電池が十分に冷却されないという問題が発生する。特に、燃料電池が十分に冷却されない場合は、燃料電池を破損させてしまう場合がある。
【0012】
そこで、このような誤接続を防止するための方策として、配管の誤接続を検知する技術がある。例えば、特許文献1には、配管が誤接続であるか否かを検知するために、燃料電池を起動して燃料電池の排熱による蓄熱動作を実施する方法が開示されている。即ち、特許文献1に開示されている方法では、正常な配管接続であっても、異常な配管接続であっても、燃料電池を起動して燃料電池の排熱による蓄熱動作を実施する。そして、貯留タンクから湯水を排出し、その際に、貯留タンクの下部側に接続された配管を流れる湯水の温度によって、配管の接続が誤接続か否かを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−218052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献に開示されている方法は、SOFCを燃料電池として採用したコージェネレーションシステムには不適である。
ここで、SOFCは、前記した他の電池の種類よりも、作動に適した温度(作動温度)が摂氏700度〜摂氏1,000度と高温であるため、作動温度を確保するために比較的長い準備期間を要する。また、一般的にこのような燃料電池には、この作動温度が外乱などによって乱れないように、保温部材等によって覆われた構成とされている。即ち、このような性質及び構成によって、燃料電池の動作が一旦開始されると、停止した後であっても、比較的温度が降下しにくい(目安として半日程度の期間を要する)。
【0015】
ここで、特許文献1に開示されている方法では、配管が誤接続であるか否かを検知するために、一旦、発電側ユニットの燃料電池を起動しなければならず、仮にこの手段によって、誤接続が検知された場合であっても、直ぐさま施工をやり直すことができないという問題があった。即ち、この種の燃料電池は、温度が一定値以下まで下がらなければ作動を止めることはできないため、コージェネレーションシステム全体を停止させ得るタイミング(燃料電池の温度が一定値以下まで低下した時点)になるまでは、配管の施工をやり直すことはできない。これにより、特許文献1の発明によれば、配管の誤接続は検知できても、実質的に施工期間が延長されてしまうという問題が残る。そのため、結果的に、使用者に迷惑を掛けてしまうという問題や、施工業者に負担を負わせてしまうという問題があった。
【0016】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、燃料電池を起動することなく、発電側ユニットと蓄熱側ユニット(熱回収装置)の配管の誤接続を検知することができる熱回収装置、コージェネレーションシステム、並びに、配管の誤接続検知方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、外部に配された熱源手段と接続可能であり、前記熱源手段と接続したときに前記熱源手段との間で液体を循環させる熱回収用経路が形成されるものであって、熱回収用経路の一部を形成する配管を有し、当該配管には、配管内を流れる液体を昇温可能なヒータと、配管内の液体の温度を検知可能な温度検知手段とが設けられ、前記熱源手段と接続したときに誤接続検知動作を実施可能なものであり、前記誤接続検知動作は、前記ヒータによって熱回収用経路を流れる液体を加熱しつつ、熱回収用経路に液体を循環させ、熱回収用経路を循環する液体の温度を温度検知手段によって検知するものであり、温度検知手段が検知した温度に基づいて、前記熱源手段との接続が誤接続か否かを判定することを特徴とする熱回収装置である。
【0018】
本発明の熱回収装置は、外部に配された熱源手段と接続可能となっている。そして、本発明の熱回収装置を熱源手段に接続すると、熱回収装置と熱源手段の間で液体を循環させる熱回収用経路が形成される。そして、熱回収装置には、この熱回収用経路の一部を形成する配管が設けられている。換言すると、熱回収装置の配管と、熱源手段の配管とを接続することによって、熱回収用経路が形成される。このとき、熱回収装置側の配管と、熱源手段側の配管とが正しく接続されることで、熱回収装置側から熱源手段側へ向かって液体が流れる往き側流路と、熱源手段側から熱回収装置側へ向かって液体が流れる戻り側流路とが形成される。
【0019】
ここで、熱回収装置側の配管と、熱源手段側の配管とが正しく接続されなかった場合について説明する。即ち、正しく接続された場合、熱回収装置側の往き側流路を形成する部分と、熱源手段側の配管の往き流路を形成する部分とが接続され、熱回収装置側の戻り側流路を形成する部分と、熱源手段側の配管の戻り流路を形成する部分とが接続される。これに対して、誤って接続された場合、熱回収装置側の往き側流路を形成する部分と、熱源手段側の配管の戻り流路を形成する部分とが接続されてしまい、熱回収装置側の戻り側流路を形成する部分と、熱源手段側の配管の往き流路を形成する部分とが接続されてしまう。このように、熱回収装置側の配管と熱源手段側の配管に設けられた接続部分を、互い違いに接続すると、形成された熱回収用経路に液体を循環させたとき、熱回収用経路の一部で液体の流れる方向が逆向きとなる。
【0020】
そこで、本発明の熱回収装置では、誤接続時に熱回収用経路の一部で液体の流れる方向が逆向きとなることに注目し、熱回収用経路にヒータと、温度検知手段とを設け、熱回収用経路に液体を循環させる誤接続検知動作を実施することとした。
説明を分かり易くするため、正しい接続であれば、熱回収用経路を流れる液体が、温度検知手段が設けられた部分を通過した後に、ヒータが設けられた部分を通過する場合を例に挙げて説明する。この場合、誤った接続であれば、液体の流れる方向が逆向きとなり、ヒータが設けられた部分を通過した後に、温度検知手段が設けられた部分を通過する。即ち、正しい接続の場合と、誤った接続の場合とでは、熱回収用経路を流れる液体が熱回収用経路のうち、ヒータが設けられた部分と、温度検知手段が設けられた部分とを通過する順序が逆となる。ここで、熱回収用経路を流れる液体が、ヒータが設けられた部分を先に通過する場合、温度検知手段により検知される温度が比較的高くなることが予想される。対して、熱回収用経路を流れる液体が、温度検知手段が設けられた部分を先に通過する場合、温度検知手段により検知される温度が比較的低くなることが予想される。
このため、温度検知手段により検知される温度に基づいて、熱源手段との接続が誤接続か否かを判定すると、容易且つ正確に誤接続か否かの判定が可能となる。
【0021】
また、このような誤接続検知動作を実施すると、熱源手段によって熱回収用経路を流れる液体を加熱することなく、熱源手段と熱回収装置の配管接続が正しいか否かを判定することができる。このことにより、熱源手段による加熱動作を実施して配管の誤接続を検知する従来の誤接続検知動作とは異なり、熱源手段にSOFCを採用した場合のように、運転の停止に長期間を要する構成であっても、すぐさま施工のやり直しができるという利点がある。つまり、本発明の熱回収装置によると、熱源手段による加熱動作をしないので、誤接続検知動作によって誤接続が確認されたとき、運転を素早く停止できる。このことにより、誤接続が確認された後の配管の接続作業のやり直しを早期に実施できるため、施工期間が不必要に延長されることがない。結果的に、使用者に迷惑が掛かることがなく、施工業者の負担も軽減される。
なお、ここで「熱源手段」とは、単なる加熱器等を含む概念であるが、特に燃料電池を発電装置として採用した発電ユニットを想定している。
【0022】
請求項2に記載の発明は、前記配管には、配管内を流れる液体を降温可能な放熱器と、前記温度検知手段としての上流側温度検知手段と、下流側温度検知手段とが設けられ、熱回収装置側から熱源手段側へ向かって、上流側温度検知手段、放熱器、下流側温度検知手段の順に配されており、前記誤接続検知動作は、上流側温度検知手段が検知した液体の温度と、下流側温度検知手段が検知した液体の温度とを比較した結果に基づいて、前記熱源手段との接続が誤接続か否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の熱回収装置である。
【0023】
本発明の熱回収装置では、配管内を流れる液体を降温可能な放熱器が設けられている。そして、放熱器の上流側(正規の施工により配管が接続された場合の、熱回収経路における液体の流れ方向上流側)に上流側温度検知手段が設けられ、放熱器の下流側(正規の施工により配管が接続された場合の、熱回収経路における液体の流れ方向下流側)に下流側温度検知手段が設けられている。そして、上流側温度検知手段が検知した液体の温度と、下流側温度検知手段が検知した液体の温度とを比較し、比較した結果に基づいて、熱源手段との配管の接続が誤接続か否かを判定する誤接続検知動作を実施する。
具体的に説明すると、すでにヒータによって十分に加熱された液体が放熱器を通過する場合、通過前に検知した液体の温度は十分高く、通過後に検知した液体の温度は低くなる。即ち、液体が高い温度から低い温度へ変化するので、放熱器の通過の前後で液体に大きな温度変化が発生する。対して、ヒータによって十分に加熱されていない液体が放熱器を通過する場合、通過前に検知した液体の温度は常温に近い温度となり、通過後に検知した液体の温度は低くなる。即ち、液体が通常に近い温度から低い温度へ変化するので、放熱器の通過の前後で液体に小さな温度変化が発生する。
つまり、熱回収経路における液体の流れ方向が変化することで、液体の温度変化の大きさが大きく異なるような構成とし、この温度変化の大きさに基づいて誤接続か否かを判定する誤接続検知動作を実施する。
【0024】
このような誤接続検知動作によると、誤接続検知動作の判定の精度をより高くすることができる。具体的に説明すると、温度検知手段が取得した温度には、温度センサ(例えば、サーミスタ)の公差のように、構造上発生してしまう誤差が存在する。また、比較演算を実施するときにも、演算誤差が発生してしまう場合がある。
ここで、誤接続か否かを判定する基準となる温度変化の大きさの値が、配管が正しく接続された場合と、配管が誤って接続された場合とであまり違いのない場合について考える。この場合、誤接続か否かの判定の結果が誤差の影響により変化しやすくなってしまう。具体的に説明すると、この場合、配管が正しく接続されたときに算出される値と、配管が誤って接続されたときに算出される値との間にあまり差が無いため、僅かに誤差が発生するだけで、本来は配管が正しく(誤って)接続されたときに算出されるべき値が、配管が誤って(正しく)接続されたときに算出されるべき値となってしまうおそれがある。
しかしながら、本発明の誤接続検知動作では、配管が正しく接続された場合と、配管が誤って接続された場合とで、誤接続か否かを判定する基準となる値(温度変化の大きさの値)が大きく異なる。このことにより、誤接続か否かの判定の結果が誤差の影響を受けにくい構成となっている。したがって、本発明の誤接続検知動作によると、誤接続か否かの判定を高い精度で実施できる。
【0025】
請求項2に記載の発明の熱回収装置では、前記ヒータは、前記下流側温度検知手段より熱源手段側に配されていることが望ましい(請求項3)。
【0026】
請求項4に記載の発明は、燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部と、当該発電部と接続可能であり、前記発電部と接続したときに前記発電部との間で液体を循環させる熱回収用経路が形成されるものであって、熱回収用経路の一部を形成する配管を有し、当該配管には、配管内を流れる液体を昇温可能なヒータと、配管内の液体の温度を検知可能な温度検知手段とが設けられた熱回収装置とで構成されるコージェネレーションシステムであって、前記発電部と接続したときに誤接続検知動作を実施可能なものであり、前記誤接続検知動作は、前記ヒータによって熱回収用経路を流れる液体を加熱しつつ、熱回収用経路に液体を循環させ、熱回収用経路を循環する液体の温度を温度検知手段によって検知するものであり、温度検知手段が検知した温度に基づいて、前記発電部との接続が誤接続か否かを判定することを特徴とするコージェネレーションシステムである。
【0027】
本発明のコージェネレーションシステムでは、発電部の燃料電池を起動させることなく、熱回収装置と熱源手段との配管の誤接続を検知する誤接続検知動作を実施できる。このため、SOFCのような停止に時間のかかる燃料電池が採用された場合であっても、配管の誤接続が検知された後、すぐに運転を停止して配管の接続作業をやり直すことができる。このため、コージェネレーションシステムの施工期間が無駄に延長されるような事態を避けることができる。即ち、本発明によれば、配管の誤接続が検知された後、直ぐさま施工のやり直しを行うことが可能であるため、使用者が施工期間の遅れにより迷惑を被ることがなく、作業者に掛かる負担も軽減できる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、前記発電部による発電動作の開始前に、前記誤接続検知動作を実施することを特徴とする請求項4に記載のコージェネレーションシステムである。
【0029】
本発明のコージェネレーションシステムでは、発電部による発電動作の開始前に、前記誤接続検知動作を実施されることが望ましい。即ち、コージェネレーションシステムの施工現場において、発電部(発電側ユニット)と熱回収装置(蓄熱側ユニット)の配管を接続し、燃料電池を起動して運用を開始する前の運用試験時に、誤接続検知動作を実施することが望ましい。このように、配管接続作業を実施した後、すぐに誤接続検知動作を実施することで、配管の接続に誤りがあった場合、いち早く施工をやり直すことができる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部と、前記発電部が発生した熱エネルギーによって加熱された湯水を貯留する貯留タンクを有する熱回収装置とを備え、前記発電部と前記熱回収装置とが配管によって接続されるものであり、前記配管には、配管内を流れる液体を昇温可能なヒータと、配管内の液体の温度を検知可能な温度検知手段とが設けられ、前記発電部と前記熱回収装置の接続時に、両者の間で液体を循環させる熱回収用経路が形成されるコージェネレーションシステムにおける配管の誤接続検知方法であって、熱回収用経路に液体を満たす注水動作と、発電部による発電動作を実施することなく、熱回収用経路で液体を循環させると共に循環する液体を前記ヒータで加熱する循環加熱動作と、を実施するものであり、前記循環加熱動作で循環する液体の温度を前記温度検知手段によって検知し、少なくとも当該検知した液体の温度に基づいて、前記発電部と前記熱回収装置を接続する配管が誤接続されているか否かを検知することを特徴とする配管の誤接続検知方法である。
【0031】
本発明の誤接続検知方法では、発電部が発電時に発生する熱エネルギーによって液体を加熱することなく、発電部と熱回収装置の配管が誤接続されているか否かを検知することができる。そのため、SOFCのような停止に時間のかかる燃料電池が採用され、発電部が起動してしまうと停止に時間がかかるコージェネレーションシステムであっても、配管が誤接続されているか否かを検知した後、すぐさま運転を停止して、配管の接続をやり直すことができる。このため、コージェネレーションシステムの施工期間が無駄に延長されるような事態を避けることができる。即ち、本発明によれば、配管の誤接続が検知された後、直ぐさま施工のやり直しを行うことが可能であるため、使用者に迷惑が掛かることがなく、作業者に掛かる負担も軽減できる。即ち、本発明の誤接続検知方法は、発電部が起動してしまうと停止に時間がかかるコージェネレーションシステムに対し、特に好適な方法である。
【発明の効果】
【0032】
本発明の熱回収装置、コージェネレーションシステム、並びに、配管の誤接続検知方法では、外部の熱源手段の加熱動作を行うことなく、配管の誤接続を検知することができる。そのため、一旦運転を開始すると停止するまでに長期の時間を要するような燃料電池が熱源手段に備えられていたとしても、誤接続の検知後にすぐに運転を停止できるという効果がある。このことにより、配管の接続作業のやり直しをすぐに実施できるため、無駄に施工期間が延長されることがなく、使用者が施工期間の遅れにより迷惑を被ったり、作業者の負担が増加したりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコージェネレーションシステムを示す作動原理図である。
【図2】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、熱回収用経路を黒塗りで示した図である。
【図3】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、給湯経路を黒塗りで示した図である。
【図4】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、熱供給経路を黒塗りで示した図である。
【図5】図1のコージェネレーションシステムの作動原理図であり、発電ユニットと熱回収装置を接続する配管を誤って接続してしまった状態を示す。
【図6】図1のコージェネレーションシステムが実施する誤接続検知動作の動作手順を示すフローチャートである。
【図7】図1のコージェネレーションシステムの熱回収用経路を示す説明図であり、配管が正規に接続された状態において、熱回収用経路内に湯水を循環させたときの湯水の流れを示す。
【図8】図1のコージェネレーションシステムの熱回収用経路を示す説明図であり、配管が誤って接続された状態において、熱回収用経路内に湯水を循環させたときの湯水の流れを示す。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコージェネレーションシステムを示す作動原理図である。
【図10】上記した実施形態とは異なる実施形態に係るコージェネレーションシステムを示す作動原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の実施形態に係るコージェネレーションシステム1について説明する。
【0035】
第1実施形態のコージェネレーションシステム1は、図1で示されるように、発電ユニット2(発電部,熱源手段)と、熱回収装置3とを組み合わせたものであり、これらを往復配管5によって接続されて形成されている。
【0036】
また、コージェネレーションシステム1は、発電ユニット2と熱回収装置3内の機器を結ぶ主要な流路として、熱回収用経路12と、給湯経路21と、熱供給経路22とを有しており、さらにこれらの流路を相互に連通する複数の短絡路が設けられている。
【0037】
ここで、本実施形態のコージェネレーションシステム1を需要先に設置するとき、通常、発電ユニット2と熱回収装置3とを設置した後、これらを配管で接続するという施工作業を実施する。しかし、このとき、作業者によって配管が誤って接続されてしまう場合がある。
【0038】
そこで、本実施形態のコージェネレーションシステム1では、施工作業で配管が誤って接続された場合であっても、発電ユニット2による発電の実施前に配管の誤接続を検知するため、試運転時に誤接続検知動作を実施可能な構成となっている。
【0039】
本実施形態のコージェネレーションシステム1について、以下でさらに詳細に説明する。
【0040】
まず、本実施形態のコージェネレーションシステム1の主要な構成について説明する。
【0041】
発電ユニット2は、主たる構成要素である燃料電池6と、燃料電池6を冷却する冷却手段7とを備えている。
【0042】
燃料電池6は、高温で作動する燃料電池を使用しており、本実施形態では、固体酸化物形燃料電池(所謂SOFC)が採用されている。
【0043】
冷却手段7は、湯水が流れる発電側流路8と、その発電側流路8に配された発電側熱交換器10及び発電側循環ポンプ11を有する。
【0044】
発電側循環ポンプ11は、往復配管5を構成要素に持つ熱回収用経路12(図2)に湯水を循環させるための装置である。発電側循環ポンプ11は、渦巻きポンプであり、図示しないモータを備えている。そして、モータの回転数を可変させることにより、熱回収用経路12を流れる湯水の流量を増減できる。
【0045】
即ち、発電ユニット2は、外部に設けられた電力負荷に対して、電力を供給するための発電デバイスとしての機能と、その電力供給に伴って発生する熱によって、発電側熱交換器10を通過する湯水を加熱する熱エネルギー発生デバイスとしての機能も備えた構成である。
【0046】
熱回収装置3は、主要な構成要素として、貯留タンク15と、補助熱源機16と、熱器具用熱交換器17と、風呂追い焚き用熱交換器18とを備えている。熱器具用熱交換器17と、風呂追い焚き用熱交換器18は、熱量を外部に供給可能な熱供給用熱交換器となっている。
【0047】
貯留タンク15は、湯水を貯留するための密閉タンクであり、その内部において湯水の温度成層を形成することができる。そして、貯留タンク15は、頂部に設けられた頂部接続部25,26と、底部に設けられた底部接続部27,28に対して、熱回収用経路12、給湯経路21及び熱供給経路22を構成する配管を接続している。なお、頂部接続部25,26及び底部接続部27,28は、本実施形態の様にそれぞれ2口設けられていることが推奨されるが、それぞれ1口であってもよい。
【0048】
さらに貯留タンク15は、内部に貯留される湯水の水位上昇方向(高さ方向)に複数(本実施形態では4つ)のタンク温度センサ30a〜30dを配した構成とされている。タンク温度センサ30a〜30dは、それぞれ貯留タンク15内の湯水の温度を検知するための温度検知手段として機能すると共に、貯留タンク15内に所定温度あるいは所定の温度範囲の湯水の残留量を検知するための残量検知手段としての役割も果たす。
【0049】
ここで、一般的に貯留タンク内に湯水を貯留する場合、その湯水の温度差が所定の閾値(摂氏約10度程度)以上であると、湯水が温度ごとに層状に分かれる。そのため、熱回収用経路12を通過する湯水が、貯留タンク15内の湯水の温度に対して前記閾値温度以上の高温に加熱され、貯留タンク15内の湯水を掻き乱さない程度にゆっくりと戻されると、貯留タンク15内に貯留されている湯水が温度ごとに層状に分かれる(温度成層)。即ち、貯留タンク15内の上部に蓄積した高温層と下部に蓄積した低温層が形成される。
したがって、貯留タンク15に設置されたタンク温度センサ30a〜30dの検知温度を調べることにより、貯留タンク15内に所望の温度範囲に加熱された湯水がどれだけ貯留されているかを検知することができる。
【0050】
補助熱源機16は、従来公知の給湯器と同様である。補助熱源機16は、ガスや灯油等を燃焼するためのバーナ31と補助熱源側熱交換器32とを内蔵しており、燃料の燃焼により発生した熱エネルギーを利用して湯水を加熱するものである。
【0051】
次に、本実施形態のコージェネレーションシステム1における主要な経路(湯水の流路)について説明する。
【0052】
本実施形態のコージェネレーションシステム1には、前記した様に、主に熱回収用経路12、給湯経路21、熱供給経路22が備えられている。以下、各経路についてそれぞれ詳細に説明する。
【0053】
まず、熱回収用経路12について説明する。
【0054】
熱回収用経路12は、図2の黒塗りに示すように、発電ユニット2内の発電側循環ポンプ11及び発電側熱交換器10と、熱回収装置3内の貯留タンク15を含んだ環状に結ばれた流路であり、発電側熱交換器10と貯留タンク15との間で湯水を循環可能な流路である。具体的には、熱回収用経路12は、貯留タンク15から発電側熱交換器10に向かって湯水が流れる熱回収往き流路37と、発電側熱交換器10から貯留タンク15に向かって湯水が流れる熱回収戻り流路38と、貯留タンク15を迂回する熱回収バイパス流路40を有する。
即ち、熱回収往き流路37の上流側が貯留タンク15の底部接続部27に接続され、熱回収戻り流路38の下流側が貯留タンク15の頂部接続部25に接続されている。さらに両者の中間部分を短絡するように熱回収バイパス流路40が接続されて熱回収用経路12が形成されている。
【0055】
また、熱回収往き流路37には、中途に流路の切り替えを可能とした流路切り替え手段たる三方弁41が設けられており、貯留タンク15側から発電ユニット2側へ向かって、湯水の温度を検知するラジエター用温度センサ47(上流側温度検知手段)と、放熱手段たるラジエター42(放熱器)と、往き側温度センサ43(下流側温度検知手段)と、凍結防止ヒータ44(ヒータ)とが設けられている。即ち、熱回収往き流路37の流れ方向上流側から、ラジエター用温度センサ47、ラジエター42、往き側温度センサ43、凍結防止ヒータ44が順に設けられている。
【0056】
三方弁41は、3つのポート41a〜41cを有し、2経路に流路を切り換えることができるものである。即ち、この三方弁41は、ポート41aとポート41cが連通すると他のポート41bが閉塞し、熱回収往き流路37を流通可能状態にすることができる。また、三方弁41は、ポート41bとポート41cが連通すると他のポート41aが閉塞し、熱回収バイパス流路40を流通可能状態にすることができる。
【0057】
凍結防止ヒータ44は、ヒータとして平板状に成形したアルミナやセラミックスに発熱体を内蔵した所謂セラミックヒータである。この凍結防止ヒータ44は、通電による発熱によって熱回収往き流路37を形成する配管等を加熱することが可能となっている。より具体的には、熱回収往き流路37を形成する配管等を加熱することにより、熱回収往き流路37を流れる湯水を加熱することができる。
【0058】
ラジエター42は、ファン45を備えており、空冷効果で通過する湯水の温度を降下させるものが採用されている。ラジエター42のファン45は、ラジエター用温度センサ47の検知温度に基づいて動力を制御することができる。
【0059】
往き側温度センサ43は、熱回収往き流路37を流れる湯水の温度を検知するものである。
【0060】
熱回収戻り流路38には、中途に戻り側温度センサ46が設けられている。これらはいずれも熱回収戻り流路38に接続された熱回収バイパス流路40の接続部よりも上流側(発電側熱交換器10側)に配されている。
【0061】
以上で、熱回収用経路12についての説明を終了する。
【0062】
続いて、給湯経路21について説明する。
【0063】
給湯経路21は、外部に所望の温度の湯水を出湯するための流路である。即ち、給湯経路21は、図3の黒塗りに示すように、給水源を基準に、貯留タンク15よりも上流側に位置する給水流路50と、貯留タンク15よりも下流側に位置する出湯流路51で構成されている。
【0064】
給水流路50は、貯留タンク15の底部接続部28に接続されている。これにより、コージェネレーションシステム1は、外部から供給される低温の湯水を貯留タンク15の底部側から導入可能な構成とされている。
【0065】
給水流路50の中途には、給水源側から順に、外部から供給された湯水の温度を検知する給水温度センサ52と、逆止弁53と、流路切り替え手段たる三方弁55が設けられている。
【0066】
三方弁55は、前記した熱回収用経路12(図2参照)における三方弁41の構造とほぼ同様であり、3つのポート55a〜55cを有する。即ち、この三方弁55は、ポート55aとポート55bが連通すると他のポート55cが閉塞し、給水流路50の上流側(給水源側)に位置する上流側給水流路50aと、給水流路50の下流側(貯留タンク15側)に位置する下流側給水流路50bとの流通を可能とする。また、ポート55aとポート55cが連通すると他のポート55bが閉塞し、上流側給水流路50aと給水出湯接続流路56の流通を可能とする。
【0067】
出湯流路51は、貯留タンク15の頂部接続部26に接続されて、給湯栓あるいは追い焚き循環流路35に導く流路である。即ち、出湯流路51の中途には、追い焚き循環流路35に連通した風呂側分岐路57が接続されている。
【0068】
また、出湯流路51の中途には、上流側から順に、高温側温度センサ58と、3つのポートを備えた湯水混合弁60と、流量センサ61と、比例弁62と、出湯温度センサ63が設けられている。なお、湯水混合弁60には、給水流路50から分岐した給水分岐路65が接続されている。給水分岐路65は、出湯流路51を流れる湯水に外部から供給される湯水を合流させるための流路である。
【0069】
給水分岐路65の中流には、出湯流路51側から給水源側に向けて湯水が逆流するのを防止するための逆止弁66が設けられている。その下流で、湯水混合弁60に接続している。
【0070】
即ち、出湯流路51を通過する湯水は、湯水混合弁60で高温の湯水と低温の湯水が混ざって所望の温度に調整され、比例弁62で所望の流量に制御される。
【0071】
以上で、給湯経路21についての説明を終了する。
【0072】
続いて、熱供給経路22について説明する。
【0073】
熱供給経路22は、図4の黒塗りに示すように、熱器具用熱交換器17を設けた熱器具用流路67と、風呂追い焚き用熱交換器18を設けた風呂追い焚き用流路68とを含むように形成された循環流路である。
【0074】
具体的には、熱供給経路22は、前記した出湯流路51(図3参照)から分岐した出湯分岐流路70と、補助熱源機16を迂回する補助熱源迂回流路97と、補助熱源下流側流路98と、熱交往き流路71と、熱交往き流路71から分岐した熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68と、熱交戻り流路72とによって形成された流路である。
【0075】
出湯分岐流路70は、上流側出湯分岐流路70aと下流側出湯分岐流路70bから形成されており、これらの間には、流路切り替え手段たる三方弁73が設けられている。そして、三方弁73の下流側には、上流側(貯留タンク15側)から順番に、循環ポンプ76と、補助熱源入水温度センサ77と、補助熱源流量センサ78と、補助熱源用三方弁80とが設けられている。
【0076】
補助熱源迂回流路97は、補助熱源用三方弁80の下流側に接続され、補助熱源機16をバイパスする流路である。そして、補助熱源迂回流路97は、補助熱源機16の内部を通過する補助熱源側流路90と合流部94で合流している。即ち、補助熱源迂回流路97は、補助熱源用三方弁80と合流部94とを繋ぐ流路となっている。
【0077】
補助熱源側流路90は、補助熱源用三方弁80の下流側に接続され、補助熱源機16の内部を通過する流路であって、補助熱源側熱交換器32の内部を通過している。
【0078】
補助熱源下流側流路98は、補助熱源側流路90及び補助熱源迂回流路97の下流に設けられる流路である。また、補助熱源下流側流路98には、補助熱源下流側温度センサ81が設けられている。
【0079】
循環ポンプ76は、熱供給経路22に湯水を循環させる際に起動されるポンプである。
【0080】
補助熱源入水温度センサ77及び補助熱源流量センサ78は、補助熱源機16の上流側を流れる湯水の温度及び流量を検知するものである。補助熱源下流側温度センサ81は、補助熱源機16の下流側を流れる湯水の温度を検知するものである。
このことから、補助熱源入水温度センサ77及び補助熱源流量センサ78によって、補助熱源機16に入水する湯水の温度及び流量を検知可能であり、補助熱源下流側温度センサ81によって補助熱源機16から出湯した湯水の温度を検知可能となっている。即ち、これらのセンサによって検知された情報に基づいて、補助熱源機16の燃焼量が決定される。
【0081】
三方弁73は、3つのポート73a〜73cを有し、貯留タンク15の湯水を出湯分岐流路70側に流す流路を開放したり、給水出湯接続流路56の湯水を出湯分岐流路70内に流す流路を開放したりすることができる。同様に、補助熱源用三方弁80も、3つのポート80a〜80cを有し、出湯分岐流路70内の湯水を補助熱源機16側に流す流路を開放したり、補助熱源機16を迂回する流路を開放したりすることができる。
【0082】
熱交往き流路71は、補助熱源下流側流路98の下流側端部に接続された分岐部92から熱器具用流路67及び風呂追い焚き用流路68への分岐部82までの流路である。
【0083】
熱器具用流路67は、分岐部82から熱器具用熱交換器17を通って、熱交戻り流路72への合流部83までの流路である。熱器具用流路67は、熱器具用熱交換器17の下流側に電磁弁85が設けられている。
【0084】
風呂追い焚き用流路68は、分岐部82から風呂追い焚き用熱交換器18を通って、熱交戻り流路72への合流部83までの流路である。風呂追い焚き用流路68は、風呂追い焚き用熱交換器18の下流側に電磁弁86が設けられている。
【0085】
熱交戻り流路72は、合流部83から貯留タンク15までの流路である。
【0086】
熱交戻り流路72は、中途に温度センサ93と、流量センサ95と、前記した三方弁55が設けられている。
【0087】
出湯分岐流路70の三方弁73,80、熱器具用流路67の電磁弁85、風呂追い焚き用流路68の電磁弁86、並びに熱交戻り流路72における三方弁55のそれぞれの開閉状態が制御されると共に、循環ポンプ76の動作が制御されることで、熱供給経路22内における水流が制御される。
【0088】
以上で、熱供給経路22についての説明を終了する。
【0089】
また、本実施形態のコージェネレーションシステム1は、上記した流路の他、図1のように貯留タンク15を迂回する給水出湯接続流路56や、熱供給経路22から分岐した分岐路87を有する。
【0090】
給水出湯接続流路56は、給水流路50から分岐した流路で、三方弁55のポート55cを通過した湯水が、出湯分岐流路70に設けられた三方弁73のポート73cに通じる流路である。したがって、図示しない給水源から供給された湯水を、給水出湯接続流路56へ流入させることで、湯水を貯留タンク15に導入することなく出湯分岐流路70に流入できる。
【0091】
給水出湯接続流路56の中途には、温度センサ101が設けられている。
【0092】
分岐路87は、補助熱源下流側流路98の下流側端部の分岐部92に接続されている。つまり、分岐路87は、補助熱源下流側流路98の下流側端部で分岐する2つの流路(熱交往き流路71、分岐路87)のうちの一方の流路である。
また、分岐路87の中途には、分岐部92側から順に、温度センサ102と比例弁91が設けられている。
【0093】
また、本実施形態のコージェネレーションシステム1は、図示しない制御装置によって動作が制御されている。この制御装置に具備された部品は、従来公知のコージェネレーションシステムが備えているものと同様であり、例えばCPUや所定の制御プログラムが内蔵されたメモリなどを備えた構成とすることができる。制御装置は、各部に設けられたセンサ類の検知信号や、メモリに記憶されているデータ等に基づいて、コージェネレーションシステム1の各部に設けられた弁や発電ユニット2、補助熱源機16等の動作を制御し、コージェネレーションシステム1の総合エネルギー効率の最適化を図る構成とされている。
【0094】
続いて、本実施形態のコージェネレーションシステム1の通常の運転モードにおける動作について説明する。なお、本実施形態のコージェネレーションシステム1の通常の運転動作は、公知技術とほぼ同様であるため、簡単に説明する。
【0095】
本実施形態のコージェネレーションシステム1は、蓄熱運転を単独で行う蓄熱運転モードと、給湯運転モード、追い焚き運転モード、暖房運転モードを含む運転モード群から選択される熱消費のための動作運転モードを選択して運転を行うことができる。
以下に各運転モードについて説明する。
【0096】
(蓄熱運転モード)
蓄熱運転モードは、発電側循環ポンプ11を作動させることにより、熱回収用経路12内に水流を発生させ、発電ユニット2の動作に伴って発生する排熱を回収して湯水を加熱し、この湯水を貯留タンク15に貯留する蓄熱運転を行う運転モードである。即ち、コージェネレーションシステム1が蓄熱運転モードで動作する場合、図示しない制御装置から発信される制御信号に基づいて、三方弁41が熱回収バイパス流路40に対して閉じ、熱回収往き流路37及び熱回収戻り流路38に対して開いた状態に制御される。そして貯留タンク15の底部を始点として、発電ユニット2を介して貯留タンク15の頂部に向かうように湯水の循環流が発生させる。
【0097】
ここで、蓄熱運転モードにおいて、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が低い場合、熱回収戻り流路38で湯水を循環させる動作を行う。即ち、熱回収戻り流路38を流れる湯水の温度が低い場合、三方弁41の開放するポートを切り換えて、熱回収戻り流路38から熱回収バイパス流路40側に湯水が流れるように制御する。
【0098】
つまり、蓄熱運転モードでは、予め定められた貯湯設定温度に基づいて、所定温度の湯水が貯留タンク15へ流入するように、熱回収用経路12を流れる湯水の流量を制御している。そして、所定温度の湯水が貯留タンク15へ流入できない場合、熱回収用経路12の循環経路(熱回収往き流路37、熱回収戻り流路38、熱回収バイパス流路40で形成される循環経路)で湯水を循環させている。
【0099】
(給湯運転モード)
給湯運転モードは、上記した給湯経路21によって、貯留タンク15に貯留された高温の湯水と、給水分岐路65を通過した低温の湯水とが合流するように水流を形成し、所定の温度に調整されて給湯栓(浴槽への落とし込みも含む)から出湯する運転モードである。
より具体的には、給湯栓等が操作されると、外部の給水源から供給された低温の湯水の一部が貯留タンク15に底部接続部28から流入する。これにより、貯留タンク15の頂部に滞留する高温の湯水が出湯流路51へ排出される。また、このとき外部の給水源から供給された低温の湯水は、貯留タンク15だけでなく、給水分岐路65にも流れ込む。このことにより、出湯流路51へ排出された湯水と、給水分岐路65に流れ込んだ湯水とが湯水混合弁60を介して合流し、図示しない給湯栓や浴槽へと流れて給湯される。
なお、給湯運転モードを実施している間は、基本的に蓄熱運転が常時行われている。即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が給湯運転モードで動作する場合、蓄熱運転と給湯運転の両方の運転が行われる。
【0100】
(追い焚き運転モード)
追い焚き運転モードは、上記した熱供給経路22によって、追い焚き用熱交換器18に高温の湯水を供給すると共に、浴槽内の湯水を追い焚き循環流路35で循環させる運転モードである。つまり、熱供給経路22(風呂追い焚き用流路68)を循環する高温の湯水と、追い焚き循環流路35を循環する浴槽内の湯水とが熱交換する。結果、浴槽内の湯水が所望の温度まで加熱される。
なお、追い焚き運転モードの実施中においても、基本的に蓄熱運転が常時行われている。即ち、SOFCを用いたコージェネレーションシステム1が追い焚き運転モードで動作する場合、蓄熱運転と、高温の湯水を追い焚き用熱交換器18に供給する追い焚き運転を共に実施する。
【0101】
(暖房運転モード)
暖房運転モードは、上記した熱供給経路22によって、熱器具用熱交換器17に高温の湯水を供給すると共に、暖房循環流路36内に湯水(図示しない暖房機器に熱を供給するための熱媒体)の循環流を発生させる。このことにより、熱供給経路22(熱器具用流路67)を循環する高温の湯水と、暖房循環流路36を循環する熱媒体となる湯水とが熱交換する。結果、図示しない暖房機器に熱が供給される。
【0102】
以上が通常の熱消費のための運転モードの動作の説明である。
【0103】
なお、本実施形態のコージェネレーションシステム1では、これらの運転の他、熱回収用経路12を流れる湯水の凍結を防止する凍結防止運転を実施可能となっている。
【0104】
具体的に説明すると、本実施形態のコージェネレーションシステム1では、上記した蓄熱運転モードを実施するときに熱回収用経路12を流れる湯水の流量を少なくして、湯水をゆっくりと循環させることがある。ここで、コージェネレーションシステム1を寒冷地で使用する場合、熱回収用経路12でゆっくりと湯水を流すと、外気の温度低下によって、熱回収用経路12を流れる湯水が凍結してしまうことが懸念される。そこで、このような湯水の凍結を防止するため、本実施形態のコージェネレーションシステム1では、熱回収用経路12を流れる湯水を凍結防止ヒータ44によって加熱しつつ循環させる凍結防止運転を実施可能となっている。
【0105】
ここで、上記したように、本実施形態のコージェネレーションシステム1では、往復配管5によって、発電ユニット2と熱回収装置3とを接続して形成されている。即ち、コージェネレーションシステム1を需要先に設置するとき、発電ユニット2と熱回収装置3とを設置した後、これらを配管で接続するという施工作業を実施する。
【0106】
ここで、このような施工作業を実施するとき、作業者が、往復配管5を誤って接続してしまうことがある。具体的に説明すると、本来、図1で示されるように、熱回収装置3の熱回収往き流路37を形成する配管37a(以下熱回収側往き配管37aとも称す)と、発電ユニット2の熱回収往き流路37を形成する配管37b(以下発電側往き配管37bとも称す)とが接続され、また、熱回収装置3の熱回収戻り流路38を形成する配管38a(以下熱回収側戻り配管38aとも称す)と、発電ユニット2の熱回収戻り流路38を形成する配管38b(以下発電側戻り配管38bとも称す)とを接続されなければならないところ、誤って互い違いに接続してしまうという作業ミスが発生することがある。
この場合、図5で示されるように、熱回収側往き配管37aと発電側戻り配管38bとが接続されてしまい、熱回収側戻り配管38aと発電側往き配管37bとが接続されてしまう。
【0107】
そこで本発明では、このような誤接続をした状態でコージェネレーションシステム1が運転を開始することがないよう、往復配管5の誤接続を検知する誤接続検知動作を実施可能な構成となっている。
【0108】
ここで、本実施形態の特徴的な動作である誤接続検知動作について、図6を参照しつつ、以下で詳細に説明する。
【0109】
本実施形態の誤接続検知動作は、コージェネレーションシステム1の設置作業の終了後、すぐに実施する。具体的には、コージェネレーションシステム1の運転を開始する前に行う試運転の際に実施する。このように、本実施形態では、コージェネレーションシステム1の設置作業終了後、燃料電池6を起動する前に誤接続検知動作を実施している。
なお、このような誤接続検知動作は、制御装置のメモリ等に記憶されたプログラムによって自動で実施する構成としてもよく、使用者が手動で実施する構成であってもよい。
【0110】
誤接続検知動作が開始されると、制御装置(図示せず)は、貯留動作を実施する(ステップ1)。即ち、給水流路50に設けられた三方弁55のポート55a、55bが開けられ、貯留タンク15に図示しない外部の給水源から湯水が供給される。
【0111】
そして、貯留タンク15が満水(ステップ2でYes)となると、三方弁55が一旦閉止状態にされ、貯留タンク15への湯水の供給が停止される(ステップ3)。
また、このとき、少なくとも熱回収用経路12を形成する配管を含む、コージェネレーションシステム1の配管内を湯水で満たした状態とする(注水動作)。
【0112】
続いて、制御装置が循環加熱動作を開始する(ステップ4)。具体的には、三方弁41のポート41a、41cが開かれて、その状態で発電ユニット2の燃料電池6を作動させることなく、発電側循環ポンプ11が作動される。これにより、貯留タンク15側から発電ユニット2に向かって水流が発生し、熱回収用経路12で湯水が循環する。またこのとき、凍結防止ヒータ44が起動し、配管37a内を流れる湯水を加熱する。即ち、熱回収用経路12で湯水を循環させつつ、熱回収用経路12の所定の部分を通過する湯水を加熱する循環加熱動作が実施される。
【0113】
ここで、図1,7で示されるように、発電ユニット2と熱回収装置3とを接続する配管が正しく接続されていた場合、循環加熱動作が実施されると、湯水は、貯留タンク15の底部接続部27から流出し、熱回収往き流路37を発電ユニット2側へ流れる。即ち、図7で示されるように、貯留タンク15の底部接続部27から流出した湯水が熱回収往き流路37を発電ユニット2へ向かって流れ、発電ユニット2で発電側熱交換器10を通過し、熱回収戻り流路38を貯留タンク15側へ向かって流れ、貯留タンク15の頂部接続部25から貯留タンク15内へ戻される。即ち、貯留タンク15の底部を始点として、発電ユニット2を介して貯留タンク15の頂部に向かうように湯水の循環流が発生する。
【0114】
このとき、熱回収往き流路37の一部を形成する熱回収側往き配管37aでは、湯水はラジエター用温度センサ47、ラジエター42、往き側温度センサ43、凍結防止ヒータ44の順に通過している。
【0115】
対して、図5,8で示されるように、発電ユニット2と熱回収装置3とを接続する配管が誤って接続されていた場合、循環加熱動作が実施されると、湯水は、貯留タンク15の頂部接続部25から流出し、熱回収戻り流路38を発電ユニット2側へ流れる。即ち、図8で示されるように、貯留タンク15の頂部接続部25から流出した湯水が熱回収側戻り配管38aを発電ユニット2へ向かって流れ、発電ユニット2で発電側熱交換器10を通過し、熱回収側往き配管37aを貯留タンク15側へ向かって流れ、貯留タンク15の底部接続部27から貯留タンク15内へ戻される。即ち、貯留タンク15の頂部を始点として、発電ユニット2を介して貯留タンク15の底部に向かうように湯水の循環流が発生する。
【0116】
このとき、熱回収往き流路37の一部を形成する熱回収側往き配管37aでは、湯水は凍結防止ヒータ44、往き側温度センサ43、ラジエター42、ラジエター用温度センサ47の順に通過している。
【0117】
そこで、本実施形態の誤接続検知動作では、図6で示されるように、循環加熱動作を実施後、ラジエター用温度センサ47が検知した湯水の温度T1と、往き側温度センサ43が検知した湯水の温度T2とを比較している(ステップ5)。即ち、ラジエター42の上流側(配管が正しく接続されたときの上流側)の湯水の温度T1と、ラジエター42の下流側(配管が正しく接続されたときの下流側)の湯水の温度T2とを比較している。
【0118】
配管が正しく接続されていると、上記したように湯水はラジエター用温度センサ47、ラジエター42、往き側温度センサ43、凍結防止ヒータ44の順に通過している。即ち、湯水は凍結防止ヒータ44を通過する前に、ラジエター42を通過する。このとき、ラジエター用温度センサ47が検知する湯水の温度T1は、貯留タンク15から流出した湯水の温度であるので、常温又は常温に近い温度(加熱されない場合の湯水の通常の温度)となっている。また、往き側温度センサ43が検知する湯水の温度T2は、ラジエター42を通過後であって凍結防止ヒータ44の通過前の湯水の温度であるので、ラジエター用温度センサ47が検知する湯水の温度T1より、低い温度となる。
【0119】
即ち、配管が正しく接続されている場合、ラジエター用温度センサ47が検知する湯水の温度T1が、往き側温度センサ43が検知する湯水の温度T2よりやや高くなる。そして、ラジエター42の上流と下流にそれぞれ接続された配管を流れる湯水の温度差T3(|T1−T2|(T1とT2の差の絶対値))、即ち、ラジエター42通過前後の湯水の温度差T3は比較的小さくなる。
【0120】
対して、配管が誤って接続されていると、熱回収側往き配管37aを流れる湯水の流れが逆向きとなる。したがって、上記したように湯水は凍結防止ヒータ44、往き側温度センサ43、ラジエター42、ラジエター用温度センサ47の順に通過している。即ち、湯水は凍結防止ヒータ44を通過した後で、ラジエター42を通過する。このとき、往き側温度センサ43が検知する温度T2は、凍結防止ヒータ44を通過後であって、ラジエター42を通過する前の温度であるため高温となる。そして、ラジエター用温度センサ47が検知する温度T1は、ラジエター42を通過した後の温度であるため、低い温度となる。
【0121】
即ち、配管が誤って接続された場合、往き側温度センサ43が検知する湯水の温度T2が、ラジエター用温度センサ47が検知する湯水の温度T1よりも高くなる。そして、ラジエター42の上流と下流にそれぞれ接続された配管を流れる湯水の温度差T3(|T1−T2|(T1とT2の差の絶対値))、即ち、ラジエター42通過前後の湯水の温度差T3は大きくなる。
【0122】
以上のことから、本実施形態の誤接続検知動作では、図6で示されるように、往き側温度センサ43が検知した湯水の温度T2が、ラジエター用温度センサ47が検知した湯水の温度T1以下の場合(ステップ5でNoの場合)、発電ユニット2と熱回収装置3の配管の接続が正常であると判定し(ステップ9)、誤接続検知動作を終了する。
【0123】
また、往き側温度センサ43が検知した湯水の温度T2が、ラジエター用温度センサ47が検知した湯水の温度T1より大きい場合(ステップ5でYesの場合)、発電ユニット2と熱回収装置3の配管の接続が誤っている可能性が高い。そこで、ステップ6へ移行して、熱回収装置3の配管の接続が誤っているか否かをさらに確認する。
【0124】
具体的には、ラジエター42通過前後の湯水の温度差T3(|T1−T2|(T1とT2の差の絶対値))と、所定の基準値αとを比較する(ステップ6)。そして、所定時間が経過するまでの間、ラジエター42通過前後の湯水の温度差T3が基準値αより上回った状態であったとき(ステップ6でYesであり、ステップ7でYesの場合)、発電ユニット2と熱回収装置3の配管の接続が誤っていると判定し(ステップ8)、誤接続検知動作を終了する。
対して、所定時間が経過するまでの間に、ラジエター42通過前後の湯水の温度差T3が基準値α以下となったとき(ステップ6でNoの場合)、発電ユニット2と熱回収装置3の配管の接続が正常であると判定し(ステップ9)、誤接続検知動作を終了する。
【0125】
以上で、誤接続検知動作の説明を終了する。
【0126】
このような誤接続検知動作が実施され、制御装置が結果(発電ユニット2と熱回収装置3の配管の接続が正常か否かの判定の結果)を適宜の方法で報知することで、作業者は、発電ユニット2と熱回収装置3の配管の接続作業が正しく行われたか否かを知ることができる。
【0127】
上記した実施形態では、ラジエター42と複数の温度検知手段(ラジエター用温度センサ47,往き側温度センサ43)で実施したが、本発明の誤接続検知動作はこれに限るものではない。必ずしもラジエター42を設ける必要はなく、1つの温度検知手段のみで誤接続検知動作を実施してもよい。
このような誤接続検知動作を実施する、第2実施形態のコージェネレーションシステム110について、以下で詳細に説明する。なお、上記した第1実施形態と同様の部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0128】
第2実施形態のコージェネレーションシステム110では、図9で示されるように、第1実施形態と比べて熱回収用経路112の構成が異なっている。即ち、第2実施形態の熱回収用経路112では、熱回収往き流路37の中途に流路の切り替えを可能とした流路切り替え手段たる三方弁41が設けられており、貯留タンク15側から発電ユニット2側へ向かって、往き側温度センサ43(温度検知手段)と、凍結防止ヒータ44とが設けられている。
即ち、ラジエターとラジエター用温度センサとを設けない構成となっている。
【0129】
次に本実施形態の誤接続検知動作について説明する。
本実施形態の誤接続検知動作においても、上記した実施形態と同様に、貯留動作及び注水動作と、循環加熱動作とを実施する。
【0130】
ここで、発電ユニット2と熱回収装置3とを接続する配管が正規に接続されていた場合、循環加熱動作が実施されると、熱回収側往き配管37aを流れる湯水は、往き側温度センサ43、凍結防止ヒータ44の順に通過する。対して、発電ユニット2と熱回収装置3とを接続する配管が誤って接続されていた場合、循環加熱動作が実施されると、熱回収側往き配管37aを流れる湯水は、凍結防止ヒータ44、往き側温度センサ43の順に通過する。
【0131】
したがって、配管が正規に接続されていた場合、往き側温度センサ43で検知される温度は、常温又はそれに近い温度(加熱されない場合の湯水の通常の温度)となる。対して、配管が誤って接続されていた場合、往き側温度センサ43で検知される温度は、凍結防止ヒータ44によって加熱された高い温度となる。
【0132】
そこで、本実施形態の誤接続検知動作では、往き側温度センサ43で検知される湯水の温度が所定温度βより大きい場合に配管の接続が誤っていると判定し、そうでなければ、配管の接続が正常であると判定する。なお、所定温度βは、加熱されない場合の湯水の通常の温度より十分高い温度となっている。
【0133】
以上で第2実施形態についての説明を終了する。
【0134】
上記した第1実施形態では、ラジエター42の上流側の温度と、下流側の温度をそれぞれ、ラジエター用温度センサ47と、往き側温度センサ43によって検知したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、発電ユニット2に制御装置と温度検知手段とを新たに設け、発電ユニット2側で検知した湯水の温度を、制御装置によって熱回収装置3側に送信することにより、誤接続検知動作を実施してもよい。また、熱回収装置3に設けられた、他の温度検知手段によって、湯水の温度を取得する構成であってもよい。即ち、タンク温度センサ30、戻り側温度センサ46等の温度検知手段によって、湯水の温度を検知して、誤接続検知動作を実施してもよい。
【0135】
上記した第2実施形態では、往き側温度センサ43で検知される湯水の温度が所定温度βより大きい場合に配管の接続が誤っていると判定し、そうでなければ、配管の接続が正常であると判定したが、本発明の誤接続検知動作は、これに限るものではない。例えば、第2の実施形態の構成において、以下のような誤接続検知動作を実施してもよい。
まず、上記した第2実施形態と同様に貯留動作及び注水動作を実施する。そして、凍結防止ヒータ44を稼動させない状態で、熱回収用経路112で湯水を循環させる。このとき、往き側温度センサ43で熱回収用経路112を循環する湯水の温度Taを検知し、検知した湯水の温度Taを制御装置のメモリ等に記憶しておく。次に、循環加熱動作を実施し、凍結防止ヒータ44が稼動した状態で、熱回収用経路112を循環する湯水の温度Tbを検知する。ここで、温度上昇幅Tc(|Tb−Ta|(TbとTaの差の絶対値))が所定値Dを上回った場合、配管の接続が誤っていると判定し、そうでなければ、配管の接続が正常であると判定する。
即ち、凍結防止ヒータ44の稼動時における熱回収用経路112を循環する湯水の温度が、所定温度βを超えるか否かで配管の接続状態を判定するだけでなく、凍結防止ヒータ44の稼動前に対する稼動後の熱回収用経路112を循環する湯水の温度上昇幅Tcが、所定値Dを超えるか否かで配管の接続状態を判定してもよい。
【0136】
上記した各実施形態における誤接続検知動作では、熱回収用経路12,112を循環する湯水を加熱するため、熱回収用経路12,112に設けられた凍結防止ヒータ44を使用する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。凍結防止ヒータ44を使用せず、湯水を加熱するためのヒータを別途設けてもよい。また、ヒータは熱回収用経路12,112に設けなくてもよく、例えば、熱回収装置3でなく発電ユニット2側に設けてもよい。また、ヒータは、熱回収装置3のラジエター用温度センサ47の上流側に設けてもよい。以下、このような誤接続検知動作について詳細に説明する。
【0137】
熱回収用経路12において、図10で示されるように、ラジエター用温度センサ47の上流側、即ち、底部接続部27とラジエター用温度センサ47の間にヒータ131を設け、熱回収用経路12の他の部分でヒータを稼動しない場合について説明する。この場合、上記した場合と同様に、貯留動作及び注水動作を実施する。そして、燃料電池6を作動させることなく、発電側循環ポンプ11とヒータ131を作動させ、熱回収用経路12で循環加熱動作が実施される。
【0138】
ここで、配管が正常に接続されていると、貯留タンク15の湯水は、底部接続部27から流出し、ヒータ131、ラジエター用温度センサ47、ラジエター42、往き側温度センサ43を順に通過した後、発電ユニット2を経て頂部接続部25から貯留タンク15へ戻される。そのため、ヒータ131で加熱された湯水の温度がラジエター用温度センサ47で検知され、ラジエターを通過して温度低下した湯水の温度が、往き側温度センサ43で検知される。したがって、ラジエター用温度センサ47が検知した湯水の温度T1が、往き側温度センサ43が検知した湯水の温度T2より高くなることが予測される。
【0139】
対して、配管が誤って接続されていると、貯留タンク15の湯水は、頂部接続部25から流出し、発電ユニット2を通過した後、往き側温度センサ43、ラジエター42、ラジエター用温度センサ47、ヒータ131を順に通過し、底部接続部27から貯留タンク15へ戻される。そのため、ラジエター42通過前の湯水の温度が往き側温度センサ43で検知され、ラジエターを通過して温度低下した湯水の温度がラジエター用温度センサ47で検知される。そして、湯水は、往き側温度センサ43及びラジエター用温度センサ47を通過した後で、ヒータ131で加熱される。したがって、往き側温度センサ43が検知した湯水の温度T2が、ラジエター用温度センサ47が検知した湯水の温度T1より高くなることが予測される。
【0140】
したがって、上記したように、誤接続検知動作を実施することにより、配管の接続状態を判定可能となる。具体的に説明すると、配管が誤って接続されている場合、ラジエター用温度センサ47が検知した湯水の温度T1と、往き側温度センサ43が検知した湯水の温度T2の温度差は小さくなることが予測されるため、これらを単純に大小比較したのでは誤判定してしまうおそれがある。そのため、例えば、ラジエター42の通過前後の湯水の温度差T3(T1−T2)と、所定の基準値とを比較し、所定の時間が経過するまでの間、ラジエター42の通過前後の湯水の温度差T3が所定の基準値を上回った状態であったとき、発電ユニット2と熱回収装置3の配管の接続が誤っていると判定する。
【0141】
以上で、ラジエター42及びラジエター用温度センサ47の上流側にヒータ131を設けた場合の誤接続検知動作についての説明を終了する。
【符号の説明】
【0142】
1,110 コージェネレーションシステム
2 発電ユニット(発電部,熱源手段)
5 往復配管
6 燃料電池
12,112 熱回収用経路
15 貯留タンク
42 ラジエター(放熱器)
43 往き側温度センサ(温度検知手段,下流側温度検知手段)
44 凍結防止ヒータ(ヒータ)
47 ラジエター用温度センサ(上流側温度検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に配された熱源手段と接続可能であり、前記熱源手段と接続したときに前記熱源手段との間で液体を循環させる熱回収用経路が形成されるものであって、
熱回収用経路の一部を形成する配管を有し、当該配管には、配管内を流れる液体を昇温可能なヒータと、配管内の液体の温度を検知可能な温度検知手段とが設けられ、
前記熱源手段と接続したときに誤接続検知動作を実施可能なものであり、
前記誤接続検知動作は、前記ヒータによって熱回収用経路を流れる液体を加熱しつつ、熱回収用経路に液体を循環させ、熱回収用経路を循環する液体の温度を温度検知手段によって検知するものであり、温度検知手段が検知した温度に基づいて、前記熱源手段との接続が誤接続か否かを判定することを特徴とする熱回収装置。
【請求項2】
前記配管には、配管内を流れる液体を降温可能な放熱器と、前記温度検知手段としての上流側温度検知手段と、下流側温度検知手段とが設けられ、熱回収装置側から熱源手段側へ向かって、上流側温度検知手段、放熱器、下流側温度検知手段の順に配されており、
前記誤接続検知動作は、上流側温度検知手段が検知した液体の温度と、下流側温度検知手段が検知した液体の温度とを比較した結果に基づいて、前記熱源手段との接続が誤接続か否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の熱回収装置。
【請求項3】
前記ヒータは、前記下流側温度検知手段より熱源手段側に配されていることを特徴とする請求項2に記載の熱回収装置。
【請求項4】
燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部と、
当該発電部と接続可能であり、前記発電部と接続したときに前記発電部との間で液体を循環させる熱回収用経路が形成されるものであって、
熱回収用経路の一部を形成する配管を有し、当該配管には、配管内を流れる液体を昇温可能なヒータと、配管内の液体の温度を検知可能な温度検知手段とが設けられた熱回収装置とで構成されるコージェネレーションシステムであって、
前記発電部と接続したときに誤接続検知動作を実施可能なものであり、
前記誤接続検知動作は、前記ヒータによって熱回収用経路を流れる液体を加熱しつつ、熱回収用経路に液体を循環させ、熱回収用経路を循環する液体の温度を温度検知手段によって検知するものであり、温度検知手段が検知した温度に基づいて、前記発電部との接続が誤接続か否かを判定することを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項5】
前記発電部による発電動作の開始前に、前記誤接続検知動作を実施することを特徴とする請求項4に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項6】
燃料電池を内蔵していて電気エネルギーと熱エネルギーとを同時に発生させる発電部と、前記発電部が発生した熱エネルギーによって加熱された湯水を貯留する貯留タンクを有する熱回収装置とを備え、前記発電部と前記熱回収装置とが配管によって接続されるものであり、前記配管には、配管内を流れる液体を昇温可能なヒータと、配管内の液体の温度を検知可能な温度検知手段とが設けられ、前記発電部と前記熱回収装置の接続時に、両者の間で液体を循環させる熱回収用経路が形成されるコージェネレーションシステムにおける配管の誤接続検知方法であって、
熱回収用経路に液体を満たす注水動作と、
発電部による発電動作を実施することなく、熱回収用経路で液体を循環させると共に循環する液体を前記ヒータで加熱する循環加熱動作と、
を実施するものであり、
前記循環加熱動作で循環する液体の温度を前記温度検知手段によって検知し、少なくとも当該検知した液体の温度に基づいて、前記発電部と前記熱回収装置を接続する配管が誤接続されているか否かを検知することを特徴とする配管の誤接続検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−72588(P2013−72588A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211406(P2011−211406)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】