説明

熱源機のドレン排出装置

【課題】 給湯、暖房、浴槽水の追焚等に用いられる熱源機のドレン排出に関し、残留するドレンの凍結を防止する。
【解決手段】 熱交換によりドレンを生じる熱交換器(44、74)を含む熱源機(熱源機ユニット4)のドレン排出装置である。熱交換器に熱交換で発生するドレン(D)を溜めるドレンタンク(92)と、このドレンタンクの水位を検出する水位検出手段(水位センサ106)と、ドレンタンクのドレンを外部に導くドレン回路(80)と、このドレン回路にドレンを強制的に導くポンプ(ドレンポンプ94)と、ドレンの温度を直接に検出し、又はドレン温度に関係する部位の温度を検出する温度検出手段(温度センサ88、98、145)と、この温度検出手段が所定温度以下を検出し、水位検出手段が所定水位以上を検出している場合にポンプを駆動してドレンタンクのドレンをドレン回路により強制排水させる制御手段(制御装置154)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯、暖房、浴槽水の追焚等に用いられる熱源機のドレン排出に関し、熱交換により生じたドレンの凍結防止を図った熱源機のドレン排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯、暖房、浴槽水の追焚等に用いられる熱源機には、熱変換効率を向上させたコンデンシングタイプの熱源機が実用化されている。この種の熱源機では、燃焼排気から主として顕熱を回収する一次熱交換器と、燃焼排気から主として潜熱を回収する二次熱交換器とが設置されており、二次熱交換器には多量のドレンが発生する。このドレンは、強酸性であるため、中和させた後、排出させている。このドレンは、ドレン回路を設けて機器外部に排出し、あるいはタンクに溜めた後、ポンプにより強制排出させる。
【0003】
ドレン容器等に溜められたドレンは適時に排出されるが、ドレン回路やドレン容器内のドレンが凍結すると、ドレンの排出が滞り、熱源機の運転が妨げられるおそれがある。
【0004】
そこで、このような熱源機に生じたドレンの凍結予防に関し、ドレンを溜めるドレン容器にヒータを備え、ドレン容器の温度が所定温度以下となったとき、ヒータを作動させて凍結防止を図るものがある(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平9−26291号公報
【特許文献2】特開平9−287727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたドレンの凍結防止では、ドレン容器の底面部にヒータが設置されて貯留するドレンを加熱する構成であるが、ドレン容器からドレンの一定量をサイフォンにより排出させる構成であるため、サイフォンにより排出されない残留ドレンの凍結防止には、ヒータに絶えず給電しなければならない。また、特許文献2に記載されたドレンの凍結防止では、ドレンの貯留容器及び中和器に温水経路が巻き付けられてドレンを加熱しているが、貯留部と中和器とが別個に設置されて個別に温水経路を巻き付ける構成であるため、温水経路に螺旋部を形成させて流体抵抗を生じさせるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、給湯、暖房、浴槽水の追焚等に用いられる熱源機のドレン排出に関し、残留するドレンの凍結を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の熱源機のドレン排出装置は、熱交換によりドレンを生じる熱交換器を含む熱源機のドレン排出装置であって、前記熱交換器に前記熱交換で発生するドレンを溜めるドレンタンクと、このドレンタンクの水位を検出する水位検出手段と、前記ドレンタンクのドレンを外部に導くドレン回路と、このドレン回路に前記ドレンを強制的に導くポンプと、前記ドレンの温度を直接に検出し、又はドレン温度に関係する部位の温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段が所定温度以下を検出し、前記水位検出手段が所定水位以上を検出している場合に、前記ポンプを駆動して前記ドレンタンクの前記ドレンを前記ドレン回路により強制排水させる制御手段とを備えた構成である。斯かる構成によれば、強制排水により、ドレンの凍結を防止することができる。
【0008】
上記目的を達成するためには、前記制御手段が、前記ポンプを駆動しても前記水位検出手段の検出水位が低下しない場合に異常と判定し、その判定出力を発生する構成としてもよい。
【0009】
上記目的を達成するためには、前記ドレンを中和する中和手段を備えた構成としてもよい。中和手段は、ドレンタンクの前段又は後段の何れに設置してもよい。ドレンタンクの前段に中和手段を設置すれば、中和されたドレンがドレンタンクに溜められる。また、ドレンタンクの後段に中和手段を設置すれば、ドレンタンクからドレン回路に排出されるドレンを中和することができる。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の熱源機のドレン排出装置は、熱交換によりドレンを生じる熱交換器を含む熱源機のドレン排出装置であって、前記熱交換器に前記熱交換で発生するドレンを溜めるドレンタンクと、このドレンタンクの水位を検出する水位検出手段と、前記ドレンタンクのドレンを外部に導くドレン回路と、前記ドレンの温度を直接に検出し、又はドレン温度に関係する部位の温度を検出する温度検出手段と、前記ドレン回路に併設されて前記ドレンを加熱する加熱手段と、前記温度検出手段が所定温度以下を検出した場合に、前記加熱手段を駆動して前記ドレン回路を加熱する制御手段とを備えた構成としてもよい。斯かる構成によれば、加熱によって残留ドレンの凍結が防止される。
【0011】
上記目的を達成するためには、前記加熱手段が前記熱源機で加熱された湯を循環する循環路で構成され、前記制御手段が前記温度検出手段が所定温度以下を検出したとき、前記熱源機を動作させて前記循環路の放熱で前記ドレンを加熱させる構成としてもよい。
【0012】
上記目的を達成するためには、前記ドレン回路にポンプを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段が所定温度以下を検出し、前記水位検出手段が所定水位以上を検出している場合に、前記加熱手段を動作させて前記ドレン回路を加熱するとともに、前記ポンプを駆動して前記ドレンタンクの前記ドレンを前記ドレン回路により強制排水させる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0014】
(1) 温度低下を契機に凍結のおそれのある残留ドレンをドレンタンクやドレン回路に排出するので、ドレンの凍結を未然に防止できる。
【0015】
(2) 残留ドレンを加熱するので、ドレンの排出が良好になり、凍結によってドレン排出が妨げられることがない。
【0016】
(3) ドレンの加熱に浴槽水の追焚きに用いる追焚回路の余熱を利用すれば、ドレン回路やドレンを効率的に加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の熱源機のドレン排出装置の実施形態について、図1を参照して説明する。図1は、給湯・暖房・追焚装置の概要を示す図である。
【0018】
この給湯・暖房・追焚装置2は、給湯、暖房、浴槽水の追焚等の各種機能を備える熱源機の一例であって、前記機能を実現するための熱源機ユニット4を備える。この熱源機ユニット4にはドレン排出部6、給湯機能部8、暖房機能部10及び追焚機能部12を備えており、給湯機能部8には水Wを加熱する第1の熱交換部14、暖房機能部10には熱媒Mを加熱する第2の熱交換部16、追焚機能部12には熱媒Mによって浴槽水BWを加熱する第3の熱交換部として熱交換器18が備えられている。
【0019】
熱交換部14の燃焼室20には、バーナ22、24、26及び給気ファン27が設置され、バーナ22、24、26には燃料ガスGが燃料ガス供給管28より供給され、この燃料ガス供給管28には、元ガス電磁弁30、ガス比例弁32、ガス電磁弁34、36、38が設置され、バーナ22、24、26の選択的な燃焼により燃焼量が制御可能である。この燃焼によって発生した燃焼排気Eは、バーナ22、24、26から排気口40に向かって流れ、この燃焼排気Eから主として顕熱を回収する一次熱交換器42、燃焼排気Eから主として潜熱を回収する二次熱交換器44が設置されている。二次熱交換器44の下側には、熱交換によって発生したドレンDを回収するドレン受け46が設置されている。
【0020】
熱交換部16の燃焼室50には、バーナ52、54及び給気ファン56が設置され、バーナ52、54には燃料ガスGが燃料ガス供給管28より供給され、この燃料ガス供給管28には、元ガス電磁弁30、ガス比例弁62、ガス電磁弁64、66が設置され、バーナ52、54の選択的な燃焼により燃焼量が制御可能である。この燃焼によって発生した燃焼排気Fは、バーナ52、54から排気口70に向かって流れ、この燃焼排気Fから主として顕熱を回収する一次熱交換器72、燃焼排気Fから主として潜熱を回収する二次熱交換器74が設置されている。二次熱交換器74の下側には熱交換によって発生したドレンDを回収するドレン受け76が設置されている。
【0021】
ドレン受け46、76に溜められたドレンDは、共通のドレン回路80を通して浴槽82の設置面にあるドレンパン84に導かれ、このドレンパン84の排出口86から外部に排出される。ドレン回路80には、温度センサ88、中和器90、ドレンタンク92、ドレンポンプ94、逆止弁96、温度センサ98、ドレン排出口100等が設置されている。温度センサ88は、中和器90に導かれるドレンDの温度を検出する。中和器90にはドレンDの強酸性を緩和ないし中和するための炭酸カルシウム等の中和剤102が装填されている。ドレンDの中和処理について、中和器90における中和方法は前記方法に限ったものではなく、ドレンDのpHを中性に近付けるものであれば他の方法でもかまわない。また、中和器90の底面部にはドレンDの凍結を防止するため、第1の加熱手段としてヒータ104が設置されている。ドレンタンク92は中和後のドレンDを貯留し、そのドレンDの水位を検出する手段として水位センサ106、第2の加熱手段としてヒータ108が設置されている。ドレンポンプ94は、ドレンタンク92からドレン排出口100側にドレンDを強制的に排出させるために用いられ、第3の加熱手段としてヒータ110が設置されている。逆止弁96は、ドレン排出口100側からのドレンDの逆流を防止し、温度センサ98はドレン回路80の下流側の温度を検出する。この実施形態では、ドレン回路80の一部を構成するドレン管路112がドレン排出口100に連結され、ドレンDをドレンパン84に導く構成である。このドレン管路112は、浴槽水BWを追焚きにより加熱する循環路を構成する追焚回路111の追焚配管114、115に隣接して設置されており、追焚配管114、115を加熱手段とする加熱配管部113が構成されている。
【0022】
そして、給湯機能部8には、給水口116に供給される水Wを二次熱交換器44及び一次熱交換器42を通して加熱して温水HWにし、給湯口118から給湯させる給水回路120が形成されている。
【0023】
また、暖房機能部10には、例えば、温水HWからなる熱媒Mを循環させる熱媒回路122が設けられ、この熱媒回路122には熱媒Mを溜める暖房タンク124、暖房ポンプ126、一次熱交換器72及び二次熱交換器74等が備えられ、熱媒往口128より送り出された熱媒Mは高温暖房装置130を経て熱媒戻口132から二次熱交換器74を経て暖房タンク124に戻り、熱媒往口134から低温暖房装置136に循環する。また、熱媒Mは分岐路138から熱交換器18に循環し、熱媒Mが持つ熱が浴槽水BWの追焚きに用いられる。分岐路138には熱動弁140が設置されている。
【0024】
この熱交換器18と浴槽82の循環部141との間には浴槽水BWを循環させる既述の追焚配管114、115が接続されており、この追焚配管114、115には、切換弁142、水流スイッチ143、ポンプ144、温度センサ145等が設置されている。また、この追焚配管114と給水回路120との間には温水HWを給水回路120から追焚配管114を通して浴槽82に注湯するための注湯回路146が形成されており、この注湯回路146には、注湯量を制御する注湯電磁弁148、注湯量を測定するための注湯量センサ150、上水側と浴槽水BWとを縁切りするための逆止弁152等が設置されている。ポンプ144には、追焚回路111の加熱手段としてヒータ139が設置されている。
【0025】
また、熱源機ユニット4には、給湯、暖房、追焚又はドレン排出等の各種の制御を実行する制御装置154が設置され、この制御装置154は熱源機ユニット4に内蔵された制御部155とそのリモコン装置156によって構成されている。
【0026】
次に、ドレンタンク92、ドレンポンプ94及び制御部155等について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、ドレンタンク92、ドレンポンプ94及び制御部155の具体的な構成例を示し、図3は、中和器90、ドレンタンク92、ドレンポンプ94等の外観構成例を示す図である。
【0027】
ドレンタンク92には、中和器90(図1)で中和されたドレンDがドレン導入口157から導入される。ドレンタンク92に溜められたドレンDは水位センサ106により検出される。この水位センサ106は、ドレンDの例えば、導電性を利用したレベルセンサであって、共通電極(COM)158、下限レベル電極(L)160、上限レベル電極(H)162を備え、共通電極158と下限レベル電極160とにドレンDが接していればドレンDは下限レベルLにあることを表す検出出力が下限レベル電極160から出力され、また、共通電極158と上限レベル電極162とにドレンDが接していればドレンDが上限レベルHにあることを表す検出出力が上限レベル電極162から出力される。これら検出出力は制御部155に加えられ、ドレンポンプ94の制御やドレンDの加熱制御等の制御情報として用いられる。ドレンタンク92の底面部には、ドレンDの凍結防止のためのヒータ108が設置されている。
【0028】
ドレンタンク92のドレンDは、その底面側からドレン回路80を構成する管路164を通してドレンポンプ94に導かれ、ドレンポンプ94を経て管路166からドレン排出口100(図1)側に導かれる。ドレンポンプ94には制御部155が接続されているとともに、残留するドレンDを加熱して凍結を防止するためのヒータ110が設置されている。なお、管路168は、ドレンポンプ94の空気抜き回路を構成するとともに、ドレンポンプ94が自吸するときの気液分離回路を構成している。
【0029】
そして、図3に示す外観構成例では、熱源機ユニット4のフレーム169に固定されて設置された中和器90には、その上蓋部171に連結されたドレン回路80のドレン配管173からドレンDが供給される。ドレン配管173にはドレン配管175、177が分岐され、ドレン配管175には熱交換部14からのドレンD、ドレン配管177には熱交換部16からのドレンDが供給される。ドレン配管173には、ドレンDの温度を検出する温度センサ88が設置されている。この構成例では、ドレンタンク92の上部側にはドレンDのオーバーフローを流出させるオーバーフローパイプ179が連結され、その他端はフレーム169に取り付けられたオーバーフロー排出口181に連結されている。その他、上記実施形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
次に、既述の加熱配管部113(図1)の一例について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、熱源機ユニットと浴槽との連結関係を示す図であり、図5は加熱配管部の構成例を示している。
【0031】
図4に示すように、熱源機ユニット4から既述の加熱配管部113が引き出され、その端部には浴室170に設置された浴槽82の循環部141が連結されている。加熱配管部113は、ドレン配管112及び追焚配管114、115を一括して保温被覆である被覆筒172で被覆したものである。
【0032】
加熱配管部113には、図5に示すように、ドレン配管112及び追焚配管114、115が保持テープ174で一括保持され、その外面部に保温材料で形成された蛇腹状筒体からなる被覆筒172で被覆されている。
【0033】
斯かる構成によれば、ドレン配管112が被覆筒172により外気と遮断されて保温されるとともに、追焚配管114、115に通流する温水である浴槽水BWが持つ熱によって加熱されて保温されることになる。
【0034】
次に、制御装置の構成例について、図6を参照して説明する。図6は、制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0035】
既述した通り、制御装置154は、制御部155及びリモコン装置156によって構成されている。制御部155は例えば、マイクロコンピュータ等で構成されており、ROM(Read-Only Memory)176、RAM(Random-Access Memory)178、タイマー180等が内蔵されている。ROM176には、凍結予防動作プログラムや設定温度等の各種設定情報が格納されている。RAM178は演算データ等の一時的記憶に用いられる。タイマー180は設定時間のクロックの計数等のタイマー機能を実行する。
【0036】
制御部155には、制御情報として水位センサ106、水流スイッチ143、温度センサ88、98、145、その他のセンサ182等から検出出力が加えられ、これらの制御情報を用いて、注湯電磁弁148、暖房ポンプ126、ドレンポンプ94、ポンプ144、ヒータ104、108、110、その他の機能部184等に対する制御出力が得られる。
【0037】
リモコン装置156には例えば、マイクロコンピュータ等で構成された制御部186、キースイッチ等の操作部188、LED等の表示部190、音声発声やブザー等の報知部192が設けられている。制御部155、186の相互の通信等が可能であるとともに、操作部188から操作入力が加えられ、制御出力が表示部190、報知部192等に加えられ、表示部190には制御内容や警告が表示されるとともに、報知部192から警告等が発せられる。
【0038】
次に、ドレンDの第1の凍結予防動作について、図7を参照してを説明する。図7は、ドレンDの排水処理方法又は排水処理プログラムの処理手順を示している。このドレン排水処理には故障検出処理が含まれている。
【0039】
この給湯・暖房・追焚装置2は、通電中であれば、給湯動作や追焚動作等が停止中であっても、凍結予防動作が実行される。この凍結予防動作では、凍結予防作動点の検知処理が実行される(ステップS1)。凍結予防作動点の検知は、熱源機内のドレンDの凍結を防止できる温度として、その凍結に至る温度より僅かに高い所定温度例えば、6℃に低下したか否かの処理である。0℃と同等の温度設定ではドレンDの凍結が進行するので好ましくない。
【0040】
凍結予防作動点の判定情報には例えば、温度センサ88、98、145の検出温度の何れか、又はドレン温度に関係する部位の温度として例えば、熱源機ユニット4内の検出温度(雰囲気温度)を用いてもよい。ここで、温度センサ88は中和器90の入側温度、温度センサ98はドレンポンプ94の出側温度、温度センサ145は追焚配管114からの浴槽水温度を検出している。また、温度センサ88、98、145及びその他の温度センサの全部又は2以上を用いる場合には、それらの何れかが所定温度を検出している場合、又は2以上の検出温度の平均値が所定温度となっている場合の何れを用いてもよい。
【0041】
そして、凍結予防作動点の検知の結果、検出温度が凍結予防動作を開始する所定温度(例えば、6℃以下)の検知動作を開始し(ステップS1)、凍結予防作動点を検知していない場合には凍結予防動作の未実施を記憶し(ステップS2)、その動作を終了するが、凍結予防作動点を検知した場合には凍結予防動作済みか否かを判定する(ステップS3)。即ち、凍結予防フラッグがセットされているか否かを確認し、これによりドレンポンプ94の無意味な駆動を防止する。凍結予防動作済みの場合には、ドレンタンク94のドレンDの水位が下限レベルL以上に上昇したか否かを判定し(ステップS4)、下限レベルL未満の場合には、この処理を終了するが、下限レベルL以上の場合には、ドレンポンプ94を動作させ(ステップS5)、ドレンDの排水を行う。
【0042】
このドレンポンプ94の駆動開始を契機にタイマー180により第1の排出時間T1 として例えば、10分間を計測する(ステップS6)。この排出時間T1 は、ドレンポンプ94の駆動によるドレンDの排水により上限レベルHから下限レベルLに到達させるに必要な時間を設定する。この排出時間T1 が経過したか否かを判定するとともに(ステップS7)、排出時間T1 中、ドレンDの水位が下限レベルL未満になったか否かを判定し(ステップS8)、排出時間T1 内にドレンタンク92の水位が下限レベルL未満にならない場合には、異常発生としてアラーム処理を実行し(ステップS9)、このドレン排水処理を終了するとともに、表示部190に異常表示をし、報知部192に警告音を発生させ、異常を告知する。
【0043】
排出時間T1 中に下限レベルL未満を検出した場合には、下限レベルL未満の検知を契機に、タイマー180で第2の排出時間T2 として例えば、30秒を計測する(ステップS10)。この排出時間T2 は、ドレンポンプ94の駆動により、下限レベルLからドレンDのドレンタンク92の排水完了及び、ドレン配管112の排水完了までの時間を設定する。この排出時間T2 が経過したか否かを判定し(ステップS11)、排出時間T2 が経過した場合には、ドレンポンプ94を停止させ(ステップS12)、ドレンDの排水を終了するとともに、凍結予防動作済みを記憶する(ステップS13)。即ち、ドレンDの排水が終了した旨を表す凍結予防フラッグをセットし、この処理を完了する。
【0044】
このような排出処理により、ドレンDは、ドレンタンク92及びドレン回路80のドレン配管112からドレンポンプ94によりドレンパン84に排水され、その凍結防止が図られる。ドレンパン84のドレンDは排出口86から外部の排水設備に放流される。
【0045】
また、アラーム処理(ステップS9)において、排出時間T1 の経過中に下限レベルLが検出できない場合の異常原因としては、ドレン回路80の凍結等による詰まり、ドレンポンプ94の故障、水位センサ106の検出異常等がある。
【0046】
次に、ドレンDの第2の凍結予防動作について、図8を参照してを説明する。図8は、ドレンDの排水処理方法又は排水処理プログラムの処理手順を示している。
【0047】
この凍結予防動作では、ドレン回路80の凍結を予防するために、ドレン回路80に設けられたヒータ108、110を作動させ、ドレン回路80を加熱する。この場合、ドレン回路80に設置された温度センサ88、98、145等の何れか1つ又は2以上又は全部の検出温度を凍結予防開始情報及び凍結予防終了情報に用いる。
【0048】
そこで、温度センサ88、98、145等の検出温度が凍結予防作動温度以下であるか否かが判定され(ステップS21)、各温度センサ88、98、145を単独で使用しても、組み合わせて使用しても、全て使用してもよい。凍結予防作動温度は、例えば6℃に設定され、6℃以下の場合、凍結予防動作が必要となる。検出温度が凍結予防作動温度より高い場合、凍結予防動作は行われない。ステップS21において、温度検出と同時に水位センサ106によりドレンタンク92内のドレン水Dの水位検出を行い、検出水位が下限レベルL以上である場合にのみ、ドレンタンク92内にドレン水Dが溜まっているとして、凍結予防動作を行う構成としてもよい。
【0049】
検出温度が凍結予防作動温度以下である場合(水位検出が行われるならば、且つ検出水位が下限レベルL以上である場合)、ヒータ108、110を作動させ、ドレン回路80の加熱を行う(ステップS22)。
【0050】
温度センサ88、98、145等の検出温度が凍結予防終了温度に到達したか否かが判定され(ステップS23)、ここでは、凍結予防終了温度を例えば10℃とし、検出温度が10℃に到達した場合には、凍結予防動作を終了する。
【0051】
この凍結予防動作では、所定温度以下のときにヒータ108、110を作動させるので、不要な加熱が行われない。また、ヒータ108、110を作動させる前にドレンタンク92の水位検出を行えば、ドレンDがない場合には、凍結予防動作は行われず、不要な加熱が行われない。さらに、万一、ドレン回路80が凍結してしまった場合にも、ヒータ108、110の加熱により解凍することができる。この結果、ドレンDの凍結予防とともに、ドレン排出が妨げられることがない。
【0052】
次に、ドレンDの第3の凍結予防動作について、図9を参照してを説明する。図9は、ドレンDの排水処理方法又は排水処理プログラムの処理手順を示している。
【0053】
この凍結予防動作では、ドレン回路80の凍結を予防するために、ドレン回路80に束ねられた追焚配管114、115の余熱を利用してドレン回路80のドレン配管112及びドレンDを加熱する。このような構成によれば、凍結予防動作を開始すべき温度を検出した場合には、追焚機能部12の追焚配管114、115の凍結予防動作に連動させてドレン回路80の凍結予防を行えば、効率的な凍結予防が実行される。
【0054】
この場合、温度センサ145が凍結予防作動点である凍結予防開始温度を検知したか否かを判定し(ステップS31)、凍結予防開始温度を検知していない場合には、斯かる処理を終了し、凍結予防開始温度を検知した場合には、凍結予防動作に入る前提処理として、ポンプ144を駆動して浴槽水BWにより水流スイッチ143の検出出力から浴槽水BWの有無を判定する(ステップS32)。この結果、浴槽水BWがない場合には、ヒータ139を作動させて追焚回路111を加熱するとともに、ヒータ108、110を作動させてドレン回路80を加熱し(ステップS33)、浴槽水BWがある場合には、熱交換部16のバーナ52等を燃焼させて熱媒Mを熱交換器18に循環させて浴槽水BWの追焚きを行い(ステップS34)、追焚回路111の凍結予防動作を実行するとともに、追焚配管114、115に循環する浴槽水BWの熱によりドレン配管112が加熱され、ドレンDの凍結が防止される。
【0055】
次に、ドレンDの第4の凍結予防動作について、図10を参照してを説明する。図10は、ドレンDの排水処理方法又は排水処理プログラムの処理手順を示している。
【0056】
この凍結予防処理は、ヒータ加熱及び追焚加熱処理(図9)と、ドレンDの排水による凍結予防処理(図7)とを併用させたものである。
【0057】
この凍結予防処理において、ステップS41〜S44は、既述したステップS31〜S34(図9)の処理手順と同様である。これらの処理については、説明が重複するので、その説明を省略するが、凍結予防作動点である凍結予防開始温度を検知していない場合には、凍結予防動作の未実施を記憶し(ステップS45)、この処理が完了する。また、ステップS43、S44の処理終了後、加熱による凍結予防動作済みか否かを判定し(ステップS46)、加熱による凍結予防動作が完了した場合に、ドレンタンク92のドレンDが下限レベルL以上か否かを判定し(ステップS47)、下限レベルL以上である場合、凍結予防動作が完了していない場合には、ステップS48以降の処理手順が実行される。ステップS48〜S56は、既述のステップS5〜S13(図7)と同一の処理であり、説明が重複するので、その説明を省略する。
【0058】
斯かる処理によれば、加熱処理によりドレンDの凍結が防止され、凍結が回避されたドレンDはステップS47以降の処理によってドレンタンク92から排出されるので、ドレンDの凍結は確実に防止される。
【0059】
次に、上記実施形態に関し、その特徴事項や変形例について以下に列挙する。
【0060】
(1) 上記実施形態では、熱源機に発生するドレンDを中和器90にて中和後、ドレンタンク92に溜め、ドレンポンプ94により排水する装置であって、ドレンポンプ94を駆動してもドレンタンク92中のドレンDの減少が見られない場合には異常とする。この場合、ドレンタンク92に中和前のドレンDを溜め、排出に際してドレンDの中和処理をするようにしてもよい。
【0061】
(2) 上記実施形態によれば、排水回路の凍結、ドレン回路の詰り、ポンプ動作不良、ドレンタンク内の水位センサの異常等を検知することができる。
【0062】
(3) ドレンタンク92及びドレン回路80のドレンDをドレンポンプ94で排水することにより、凍結するドレンDを皆無にするので、その凍結を確実に予防することができる。
【0063】
(4) ドレン回路80には加熱手段として、ドレンタンク92、ドレンポンプ94等に凍結予防のためのヒータ108、110等を具備し、凍結防止が図られている。
【0064】
(5) ドレン回路80に追焚回路111が並列され、追焚回路111の余熱を利用し、ドレンDの凍結防止が図られている。
【0065】
(6) ドレンDの凍結予防のための温度検知について、上記実施形態では、温度センサ88、98、145等を用いたが、ドレン温度に関係する部位の温度を検出する温度検出手段を設置してもよく、例えば、外気温度をドレン凍結予防情報に用いてもよい。
【0066】
(7) ドレンDの中和について、中和剤102を用いることなく、浴槽水BW等の希釈水を用いて希釈させてもよい。
【0067】
(8) 上記実施形態では、ドレンタンク92のドレンDの排出処理について、排出時間T1 をドレンポンプ94の駆動による下限レベルLに到達させる時間、排出時間T2 を下限レベルLからドレンタンク92を空にする時間とし、これら排出時間T1 、T2 を単一のタイマー180で計測し、排出時間T2 の計測開始を下限レベルLへの到達を契機としているが、第1及び第2のタイマーを設け、第1のタイマーに排出時間T1 を設定し、第2のタイマーに排出時間T2 を設定することにより、時間経過を排出時間T1 、T2 からデクレメントする構成としてもよい。
【0068】
(9) 上記実施形態では、ドレンDの排水のためにドレンポンプ94を駆動し、ドレンタンク92内の水位変化に基づき異常の判定をしており、異常検出のための特別なセンサ等が不要である。
【0069】
(10)各温度センサ88、98、145は例えば、サーミスタセンサを用いることができるが、温度検出には他の検出素子を用いてもよい。
【0070】
(11)上記実施形態では、加熱配管部113に追焚配管114、115を設置したが、熱媒回路122を設置し、その熱媒回路122が持つ余熱を利用してドレン回路80のドレン管路112及びドレンDを加熱するようにしてもよい。
【0071】
(12)上記実施形態では、ドレン回路80の中和器90にヒータ104を併設しているが、このヒータ104は温度センサ88、98の検出温度を制御情報に用いて動作させてもよいが、温度センサ88、98以外の温度検出手段により良好な中和動作を行えるように制御してもよい。
【0072】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、給湯、暖房、浴槽水の追焚等に用いられる熱源機のドレン排出に関し、熱交換により生じたドレンの凍結のおそれがある温度低下を契機に、ドレン排出、ドレン回路等の加熱、その加熱手段としてヒータ加熱、暖房や浴槽水の追焚きによる余熱を利用した加熱等により、凍結を防止しており、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施形態に係る給湯・暖房・追焚装置を示す図である。
【図2】ドレンタンク及びドレンポンプ等の構成例を示す図である。
【図3】中和器、ドレンタンク、ドレンポンプ等の外観構成例を示す図である。
【図4】熱源機ユニットと浴槽との配管構造を示す図である。
【図5】加熱配管部の一例を示す斜視図である。
【図6】制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】第1の凍結予防動作を示すフローチャートである。
【図8】第2の凍結予防動作を示すフローチャートである。
【図9】第3の凍結予防動作を示すフローチャートである。
【図10】第4の凍結予防動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
2 給湯・暖房・追焚装置
4 熱源機ユニット
44、74 二次熱交換器
80 ドレン回路
88、98 145 温度センサ(温度検出手段)
92 ドレンタンク
94 ドレンポンプ
106 水位センサ(水位検出手段)
108、110 ヒータ(加熱手段)
154 制御装置(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換によりドレンを生じる熱交換器を含む熱源機のドレン排出装置であって、
前記熱交換器に前記熱交換で発生するドレンを溜めるドレンタンクと、
このドレンタンクの水位を検出する水位検出手段と、
前記ドレンタンクのドレンを外部に導くドレン回路と、
このドレン回路に前記ドレンを強制的に導くポンプと、
前記ドレンの温度を直接に検出し、又はドレン温度に関係する部位の温度を検出する温度検出手段と、
この温度検出手段が所定温度以下を検出し、前記水位検出手段が所定水位以上を検出している場合に、前記ポンプを駆動して前記ドレンタンクの前記ドレンを前記ドレン回路により強制排水させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする熱源機のドレン排出装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ポンプを駆動しても前記水位検出手段の検出水位が低下しない場合に異常と判定し、その判定出力を発生することを特徴とする請求項1記載の熱源機のドレン排出装置。
【請求項3】
前記ドレンを中和する中和手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の熱源機のドレン排出装置。
【請求項4】
熱交換によりドレンを生じる熱交換器を含む熱源機のドレン排出装置であって、
前記熱交換器に前記熱交換で発生するドレンを溜めるドレンタンクと、
このドレンタンクの水位を検出する水位検出手段と、
前記ドレンタンクのドレンを外部に導くドレン回路と、
前記ドレンの温度を直接に検出し、又はドレン温度に関係する部位の温度を検出する温度検出手段と、
前記ドレン回路に併設されて前記ドレンを加熱する加熱手段と、
前記温度検出手段が所定温度以下を検出した場合に、前記加熱手段を駆動して前記ドレン回路を加熱する制御手段と、
を備えたことを特徴とする熱源機のドレン排出装置。
【請求項5】
前記加熱手段が前記熱源機で加熱された湯を循環する循環路で構成され、前記制御手段が前記温度検出手段が所定温度以下を検出したとき、前記熱源機を動作させて前記循環路の放熱で前記ドレンを加熱させる構成としたことを特徴とする請求項4記載の熱源機のドレン排出装置。
【請求項6】
前記ドレン回路にポンプを備え、前記制御手段は、前記温度検出手段が所定温度以下を検出し、前記水位検出手段が所定水位以上を検出している場合に、前記加熱手段を動作させて前記ドレン回路を加熱するとともに、前記ポンプを駆動して前記ドレンタンクの前記ドレンを前記ドレン回路により強制排水させる構成としたことを特徴とする請求項4記載の熱源機のドレン排出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−112763(P2006−112763A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−303424(P2004−303424)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】