説明

熱源装置

【課題】 コージェネレーションなど、発電及び発熱が可能な熱源を用いて給湯を行う場合、いわゆる即出湯を行う場合に、省エネルギー性を高める。
【解決手段】 本発明の熱源装置1は、発熱及び発電を行う熱源16を有し、この発生した熱によって、熱としても湯としても使用することができる。熱として用いる場合、暖房回路33を用い、外部で放熱して暖房としても、前記湯の保温にも用いることができる。また、熱源装置1では、保温のためにのみ暖房回路33を用いた場合には、暖房としての使用とされず、無駄な熱源16の運転が少なくなり、より省エネルギーとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源装置に関するものであり、特に所望の温度の湯をすばやく出湯することができる、いわゆる即出湯が可能な熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯器など供給される湯を、カランなどの出湯部から出湯する給湯システムが用いられている。そして、このような給湯システムは、湯を供給するための部分と、湯を用いる場所に設けられるカランとの間は、給湯配管によって接続されている。
【0003】
そして、通常閉状態となっているカランを開状態にすると、給湯器側で発生した湯が給湯配管を通って、カランから出湯される。
カランを開状態にした直後は、まず、給湯配管内の湯が最初に出るが、この給湯配管内の湯は、時間経過と共に外部へ放熱して温度が低下する。そのため、給湯システムの使用を長時間中断した後に出湯する場合には、最初に、給湯配管内の冷めた湯が出湯され、所望の温度の湯が出湯されるまで時間がかかってしまう。
【0004】
このため、かかる部分の湯を保温し、給湯システムの使用を長時間中断した後に出湯する場合でも、高温の湯を出湯することができる、いわゆる即出湯の給湯装置が、特許文献1などに開示されている。
【特許文献1】特開昭61−89442号公報
【0005】
また、発電及び発熱が可能な熱源を運転させ、電気と熱を利用するコージェネレーションシステムが用いられている。そして、この熱源の運転によって発生した熱は、給湯や暖房などに使用されている。
【0006】
そして、このようなコージェネレーションシステムでは、熱を貯めておくことができる貯留部を設け、熱を使用しない場合や熱の使用が少ない場合にも熱源を運転させて前もって貯留部に熱を貯めて、貯留部の熱を用いて一度に多量の熱量を供給できるようになっている。
さらに、電気や熱の使用を予測して、この予想に基づいて熱源の運転を制御し、熱源の発電や発熱によってできた電気や熱の利用率を高め、より省エネルギーとなるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した即出湯を行う場合、循環部分を有する配管を設けて保温配管とし、この保温配管で放熱される熱量に対応する熱を供給することにより行われる。そして、コジェネレーションシステムを用いて即出湯を行う場合には、暖房に用いられる暖房回路を用いてこの熱を供給することにより、装置の簡略化を図ることができる。
このような構造にした場合、即出湯状態としている間、暖房回路が作動する。そのため、暖房を用いた場合、即出湯状態としている場合、いずれの場合にも暖房回路が作動する。
【0008】
コージェネレーションシステムでは省エネルギー性を高めるため、熱源の運転は、電気や熱の使用予測などにより運転計画を作成し、自動運転している。そして、熱源を運転させるかどうかの判断基準の1つとして、現時点での電気の使用量がある。これは、電気をあまり使用していないにもかかわらず、熱源を運転させると、発電された電気が有効利用されないので省エネルギーとならないからである。そのため、現時点での使用電力Eが任意の値である最低使用電力E0よりも少ない場合に使用電力不足停止モードとし、使用電力不足停止モードの時には熱源を運転させる予定の場合でも、熱源の運転を停止させるように制御されている。
【0009】
この最低使用電力E0は、熱源で発生した電気と熱がどのくらい使用されるかどうかで判断される。例えば、熱源で発生した熱をすぐに多く使用する場合には、使用電力Eが小さくても省エネルギーとなるので、最低使用電力E0を小さくし、逆に、すぐに使用される熱が少ない場合などには、放熱が大きく無駄となりやすいので、最低使用電力E0を大きくしている。
そして、暖房を使用している間は、熱源で発生した熱がすぐに使用されるので、最低使用電力E0を小さい値に変更することにより、より省エネルギーとなるように熱源を運転することができる。
【0010】
このため、暖房回路の使用の有無を確認して、判断の基準となる最低使用電力E0を選択し、かかる最低使用電力E0と現時点での使用電力Eと比較して、使用電力停止モードとするかどうかを判定している
【0011】
上記したように、即出湯状態としている間は暖房回路が使用されるので、値の小さい最低使用電力E0が用いられて、比較的小さな使用電力Eでも熱源が作動することになる。しかし、通常、即出湯状態とするために必要な熱量は比較的小さく、そのため、暖房などを使用せずに即出湯状態とする場合であって、使用電力Eが小さい場合には、熱源によって発生した熱や電気の利用率が小さくなり、かえって省エネルギーとならない場合があった。
【0012】
また、暖房の使用実績から暖房使用を予測して、この予測に基づいて熱源を運転させている場合には、即出湯状態とするために暖房回路が使用されると、暖房の使用実績としてカウントされてしまい、必要以上に熱源を運転させてしまうおそれがある。
【0013】
そこで、本発明は、発電及び発熱が可能であり、この発生した熱により、暖房などとしても、湯としても用いることができるものであって、暖房などに用いられる熱をいわゆる即出湯状態とするための保温に用いた場合でも、省エネルギーを実現することが可能な熱源装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、発熱及び発電が可能な熱源と、発熱によって発生した熱を熱媒体を用いて熱を供給することが可能な熱供給部と、発熱によって発生した熱を湯として供給する湯供給部と、前記熱源の制御を行う熱源制御部とを有し、前記熱供給部によって供給される熱は外部の熱負荷で放熱することができ、前記湯供給部には保温配管が取り付けられて、前記湯は前記保温配管を通じて出湯されるものであって、保温配管内の湯を熱供給部から供給される熱を用いて保温することができるものであり、前記熱源制御部は熱及び電気の少なくとも一方の使用量を予測して熱源を制御するものであって、外部の装置で使用される使用電力を確認することができる使用電力確認手段を有し、前記使用電力が一定の値である最低使用電力を超えないと熱源を停止状態となるように制御されるものであり、外部の熱負荷で放熱することにより熱供給部を使用した場合には最低使用電力の値を小さくし、外部の熱負荷で放熱することなく、保温配管内の湯の保温にのみ熱供給部を使用した場合には、最低使用電力の値を変更しないものであることを特徴とする熱源装置である。
【0015】
請求項1に記載の熱源装置によれば、熱源の発熱によって発生した熱を湯として供給する湯供給部には保温配管が取り付けられて、前記湯は前記保温配管を通じて出湯されるものであって、保温配管内の湯を熱供給部から供給される熱を用いて保温することができるものであるので、湯供給部から出湯される湯の保温が可能であり、また、熱源制御部は熱及び電気の少なくとも一方の使用量を予測して熱源を制御し、外部の装置で使用される使用電力が一定の値である最低使用電力を超えないと熱源を停止状態となるように制御されるものであり、外部の熱負荷で放熱することにより熱供給部を使用した場合には最低使用電力の値を小さくし、保温配管内の湯の保温にのみ熱供給部を使用した場合には、最低使用電力の値を変更しないものであるので、保温に用いるため熱供給部を使用した場合には、最低使用電力の値が変更されず、より省エネルギーとなるように運転が可能である。
【0016】
請求項2に記載の発明は、発熱及び発電が可能な熱源と、発熱によって発生した熱を熱媒体を用いて熱を供給することが可能な熱供給部と、発熱によって発生した熱を湯として供給する湯供給部と、前記熱源の制御を行う熱源制御部とを有し、前記熱供給部によって供給される熱は外部の熱負荷で放熱することができ、前記湯供給部には保温配管が取り付けられて、前記湯は前記保温配管を通じて出湯されるものであって、保温配管内の湯を熱供給部から供給される熱を用いて保温することができるものであり、前記熱源制御部には暖房予測手段が設けられ、前記暖房予測手段は熱供給部の使用実績から熱供給部の使用を予測して熱源の運転を制御するものであって、保温配管内の湯の保温にのみ熱供給部を用いた場合には、熱供給部の使用実績として反映させないで予測するものであることを特徴とする熱源装置である。
【0017】
請求項2に記載の熱源装置によれば、熱源の発熱によって発生した熱を湯として供給する湯供給部には保温配管が取り付けられて、前記湯は前記保温配管を通じて出湯されるものであって、保温配管内の湯を熱供給部から供給される熱を用いて保温することができるものであるので、湯供給部から出湯される湯の保温が可能であり、また、暖房予測手段は保温配管内の湯の保温にのみ熱供給部を用いた場合には、熱供給部の使用実績として反映させないので、暖房使用などの外部の熱負荷の放熱に用いられた実績のみを反映させることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、保温配管には循環流路が設けられ、前記循環流路の湯を循環させながら保温配管内の湯の保温が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源装置である。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、保温配管には循環流路が設けられ、前記循環流路の湯を循環させながら保温配管内の湯の保温が行われるので、熱を供給することが可能な部分が短くても、保温が可能となる範囲を長くすることができ、保温された湯を複数の場所から出湯させる場合に便利である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱源装置では、即出湯状態とするための保温に用いた場合でも、より省エネルギーを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における熱系システムを示したブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態の熱源装置の作動原理図である。図3は、暖房の使用実績を確認するためのフローチャートである。図4は本発明の第1の実施形態における熱源制御装置の制御内容を示したフローチャートである。
【0022】
本発明の第1の実施形態における熱源装置1は、図1に示されるように、熱源16と、貯留部17と、熱供給部69と、湯供給部70と、熱源制御部71とを有している。
そして、熱源装置1は、熱系システム8に設けられるものであり、熱系システム8には熱エネルギー使用装置(熱負荷)18が設けられて、熱源16で発生した熱は熱エネルギー使用装置18で使用される。
【0023】
熱エネルギー使用装置18は、出湯部19、風呂部20、暖房部21が設けられている。そして、出湯部19及び風呂部20は、湯供給部70から供給される湯を使用することができるものである。出湯部19は具体的にはカランやシャワーなどであり、使用者が湯を使用することができる。また、暖房部21は、熱供給部69から供給される熱を暖房部21で放熱して暖房を行うことができるものである。
なお、熱供給部69から供給される熱を用いて、風呂部20の湯の加熱を可能にして、追い焚きを行うようにする構成とすることができる。
【0024】
熱源16は、発熱及び発電が可能なものであり、発電(運転)の際に発生する熱を水などの熱媒体を用いて、熱エネルギーを取り出すことのできる装置である。そして、この取り出された熱により、湯供給部70から湯を出湯することができ、また、熱供給部69から、暖房部21などで外部の熱負荷で放熱して熱として用いることができる。そして、熱源16から取り出された熱は、貯留部17に湯として貯留することができる。
熱源16は、発電及び発熱ができればどのような装置を用いても良いが、燃料電池やガスエンジンを用いることができる。また、熱源16の運転は、熱源制御部71によって制御されながら運転される。
【0025】
湯供給部70は、熱源16の運転の際に発生する熱を用いて発生させた湯を、出湯部19や風呂部20に供給するものである。また、熱供給部69は熱源16の熱によって加熱された熱媒体を用いて熱を供給するものである。
【0026】
図2は、熱源装置1の作動原理図である。
熱源装置1には1次循環回路31、2次循環回路32、暖房回路33が設けられている。
1次循環回路31は循環流路であり、第1熱交換器35、第2熱交換器36及びポンプP1が設けられており、1次循環回路31内には水や不凍液などの熱媒体が充填されている。そして、1次循環回路31内の熱媒体を用いて熱源16であるガスエンジンの熱を、2次循環回路32や暖房回路33に伝達することができる。すなわち、第1熱交換器35により、1次循環回路31内の熱媒体と2次循環回路32内の熱媒体との間で熱交換が可能となっており、第2熱交換器36により、1次循環回路31内の熱媒体と暖房回路33内の熱媒体との間で熱交換が可能となっている。そして、熱源16の熱は、2次循環回路32へは第1熱交換器35を介して伝達され、暖房回路33へは第2熱交換器36を介して伝達される。また、1次循環回路31内の熱媒体はポンプP1によって循環させることができ、ポンプP1が作動させることにより、熱源16で発生した熱を2次循環回路32や暖房回路33へ供給することができる。
【0027】
そして、第1熱交換器35から供給された熱によって、2次循環回路32内の熱媒体が加熱される。この2次循環回路32に用いられる熱媒体は不凍液などでなく水であり、この水が加熱されて湯となり、この湯は出湯管43を通じて、湯供給部70から出湯部19や風呂部20に供給される。
2次循環回路32は循環流路であり、2次循環回路32には第1熱交換器35、第3熱交換器37、補助熱源38及びポンプP2が設けられている。第3熱交換器37により、2次循環回路32内の熱媒体と暖房回路33内の熱媒体との間で熱交換が可能となっており、2次循環回路32の熱を暖房回路33に伝達することができる。補助熱源38は1次循環回路31側からの熱の供給が不十分なときなどに2次循環回路32に熱を供給するものであり、ガスバーナなどが用いられている。この2次循環回路32が使用される場合にはポンプP2が作動し、2次循環回路32内の水を循環させ熱を移動させることができる。
また、後述するように、2次循環回路32の湯は、貯留部給湯管42を通じて貯留部17に貯留することもできる。
【0028】
暖房回路33には第2熱交換器36、第3熱交換器37及びポンプP3が設けられている。暖房回路33内の熱媒体は、1次循環回路31内の熱媒体や2次循環回路32内の熱媒体を介して、熱源16の熱によって加熱することができる。そして、この暖房回路33内の熱媒体を、外部の熱負荷に設けられた暖房部21や、後述する保温用熱供給回路56に設けられる第4熱交換器39で放熱することができるものであり、暖房回路33は熱供給部69と機能するものである。
【0029】
暖房部21を使用する場合や、保温用熱供給回路56を用いて湯供給部70から供給される湯を保温する場合には、所定の入力や検知によって暖房要求が発生し、熱源16や補助熱源38の熱によって加熱された暖房回路33内の熱媒体をポンプP3によって循環させて、暖房部21や第4熱交換器39へ熱を供給する。
【0030】
熱源装置1には貯留部17が設けられており、この貯留部17に2次循環回路32の高温の湯を貯留することができ、貯留部17によって熱エネルギーを貯留することができる。貯留部17は具体的には保温機能を有するタンクであり、前記したように熱源16の熱によって貯留部17内部に湯として貯留される。
また、上水道などから給水をすることができる給水管41と、2次循環回路32や貯留部17から、湯を出湯することができる出湯管43とが設けられている。そして、本実施形態においては出湯管43が湯供給部70として機能する。また出湯管43にはバルブV1が設けられており、バルブV1を開くことにより出湯が可能な状態となる。
【0031】
給水管41は貯留部17の底部付近に接続されている。また、貯留部17の底部付近と2次循環回路32とをつなぐように出湯管43が設けられており、給水管41から導入される水は貯留部17を通って2次循環回路32へ供給することができる。
また、出湯管43はバルブV2を介して2次循環回路32に接続されており、バルブV2を開くことにより2次循環回路32の湯を出湯管43側に供給して、さらに、出湯することができる。また、貯留部17の頂部と出湯管43とが貯留部給湯管42を介して接続されており、貯留部17の湯を出湯することができる。
【0032】
そして、湯供給部70には保温配管45が取り付られている。保温配管45は環状部分である循環流路46が設けられて、循環流路46の内部の湯を循環させることができる。また、循環流路46には出湯部19や第4熱交換器39が設けられており、循環流路46内の湯を出湯部19から出湯することができ、また、第4熱交換器39により、保温配管45内の熱媒体と保温用熱供給回路56内の熱媒体との間で熱交換が可能となっている。
【0033】
保温用熱供給回路56は熱供給部69(暖房回路33)に接続しており、保温用熱供給回路56と暖房回路33とによって循環流路を形成している。また、第4熱交換器39は保温用熱供給回路56に設けられており、第4熱交換器39により、保温用熱供給回路56内の熱媒体と循環流路46内の湯との間で熱交換が可能となっている。そして、熱源16の熱によって加熱された暖房回路33の熱媒体の熱を、保温配管45内の湯に伝達して保温配管45内の湯を保温することができる。
【0034】
このように、保温配管45の湯を保温することができるので、出湯部19から出湯される湯は、所定の温度の湯をすぐに出湯することができる。
また、保温配管45の内の湯の保温を行って即出湯状態とするかどうかは、使用者が選択することができ、使用者が必要なときにだけ、即出湯状態とすることができる。具体的には、使用者が図示しないリモコンを操作する。
【0035】
第4熱交換器39、保温配管45の一部、保温用熱供給回路56の一部は、ユニット化されており、即出湯ユニット67を形成している。そのため、保温配管45が設けられておらず即出湯ができないものであっても、即出湯ユニット67を後から取り付けることにより、即出湯を可能とすることができる。
また、即出湯ユニット67には、図示しないポンプが設けられて循環流路46の湯を循環させることができる。そして、即出湯状態の場合に、このポンプによって循環流路46の湯を循環させ、循環流路46の湯の全体を保温する。
【0036】
また、熱源16は熱源制御部71によって制御しながら運転されている。
熱源制御部71は、図1に示されるように、消費熱量確認手段10、基準値更新手段11、基準値記憶手段12、運転計画作成手段13、使用電力確認手段14、電力比較手段14a及び暖房予測手段15を有している。
【0037】
熱源制御部71は、使用者が使用する熱量をあらかじめ予測し、その予測を元にして熱源16を運転するものである。具体的には、基準値記憶手段12に記憶された基準予測値Wに基づいて、運転計画作成手段13によって運転計画が作成されて熱源16の運転が行われる。そして、基準値記憶手段12に記憶されている基準予測値Wは、消費熱量確認手段10で確認された消費熱量Q等を用いて更新される。
【0038】
消費熱量確認手段10は、一定間隔毎に関連する物理量を測定することにより、熱源16で発生した熱を用いる所定の装置である熱エネルギー使用装置18(出湯部19、風呂部20、暖房部21)で消費される消費熱量Qを確認することができるものである。
【0039】
基準値更新手段11は、基準予測値Wや消費熱量Qの実績値などに基づき、基準予測値Wを更新するかどうかを判断して、更新する場合には基準予測値Wを算出して、基準値記憶手段12に記録されている基準予測値Wを更新するものである。そして、基準予測値Wは後述するように、運転計画を作成するために用いられるものである。
本実施形態では、基準予測値Wは基準周期だけ前の基準予測値Wを繰り返し用いられ、必要に応じて更新される。ここで、基準周期は任意であるが本発明の実施形態では1週間である。
【0040】
なお、この基準周期は複数の期間を構成要素とするものであり、本実施形態ではこの期間は1日であり、基準周期に7つの期間を持っている。そして、この期間は複数の単位期間からなる。この単位期間は1時間であり、1つの期間に24個の単位期間を有している。
さらに、基準予測値Wは1日で24個のデータを有し、各時間毎にデータが設けられている。そして、消費熱量確認手段10によって確認される消費熱量Qは、基準予測値Wの単位期間に対応しており、1時間毎に消費される熱量を確認することができる。
【0041】
そして、基準予測値Wは、曜日毎に、各時間の24個のデータを持ち、合計168個のデータが基準値記憶手段12により記録されている。言い換えると、基準予測値Wは単位期間ごとにデータを持っている。
基準予測値Wは、一定の条件を満たす場合には、曜日及び時間が対応する消費熱量Qの値に基準予測値Wを更新してもよい。かかる場合には、基準予測値Wを過去の同じ曜日の同時間の消費熱量Qに近い値とすることができる。なお、熱系システム8を使用し始めは、基準周期だけ前の基準予測値Wの代わりに初期値Sが用いられる。
なお、一日の基準となる時間は、午前0時でなくてもよく、午前3時など別の時間を基準とすることができる。
【0042】
運転計画作成手段13は、基準値記憶手段12で記憶されている基準予測値Wに基づいて運転計画を作成するものである。運転計画は、運転計画を作成する曜日の基準予測値Wを用いて行われる。運転計画を作成する場合、基準予測値Wをそのまま用いても良いが、一定の条件で基準予測値Wを補正して算出された計画熱量値Tyを用いて運転計画を作成することもできる。そして、この運転計画に基づいて熱源16の制御が行われ、熱源16は、一定の時間帯が運転状態となる。
【0043】
この運転計画には運転時間帯と停止時間帯とを有し、原則的には運転時間帯に熱源16を運転するように制御される。そして、熱源16によって発生した熱は、そのまま熱エネルギー使用装置18で使用したり、若しくは一旦貯留部17に貯留して、その後使用される。運転計画は、各時間の計画熱量値Ty(基準予測値W)の熱量の供給ができ、また、貯留部17に貯留する熱量が、貯留部17で貯留することの可能な最大熱量である熱量貯留限界を超えないようにするように作成される。
【0044】
また、熱源16の運転によって発電が行われる。そして、熱源16によって発電された電気は、テレビや冷蔵庫等、電気を用いる外部の装置である電力負荷22によって使用される。
使用電力Eが発電量よりも大きい場合には、発電された電気が全て消費され、使用電力Eが発電量よりも小さい場合には、使用電力Eの分だけ発電された電気が消費される。なお、使用電力Eが発電量よりも小さく、発電された電力が余る場合にはヒータ等を用いて貯留部17に熱として貯められる。
【0045】
図1に示すように、熱源16には、熱源16によって発電された電力を使用する外部に設けられた装置の電力負荷22が接続されている。この電力負荷22によって使用される使用電力Eは、使用電力確認手段14によって確認することができる。
【0046】
また、電力比較手段14aは、使用電力確認手段14で確認された使用電力Eと熱源16で発電された発電量を比較することができものである。
そして、熱源制御部71では、電力比較手段14aによって比較した結果、使用電力確認手段14にされた使用電力Eが最低使用電力E0よりも小さい場合には、使用電力不足停止モードとなって、熱源16を停止させるように制御が行われる。すなわち、運転計画作成手段13で作成された運転計画では熱源16を運転させることとなっている場合であっても、使用電力不足停止モードとなると熱源16を停止させるように制御される。
【0047】
このように使用電力不足停止モードとなると熱源16が停止するので、熱源16で発生した電力が有効利用されないことを防ぎ、エネルギー効率を向上させることができる。
但し、使用電力不足停止モードとなっていても、上記した手動運転時間帯の場合には熱源16を運転するように制御される。熱源制御部71では、このように制御されるので、使用者が熱を優先的に使用したい場合には、手動入力で手動運転時間帯として、熱源16を運転させることができる。
【0048】
なお、使用電力不足停止モードとするかどうかの最低使用電力E0は、固定された値を用いても良く、条件によって変化する値を用いることができる。また、最低使用電力E0についても学習機能を設け、より省エネルギーとなるように最低使用電力E0を変更させることもできる。
【0049】
この最低使用電力E0を変える条件として、暖房回路33の使用の有無を用いることができる。そして、暖房回路33を使用する場合には最低使用電力E0を小さくし、かかる場合には、使用電力Eが小さくても熱源16が運転するように制御される。
また、貯留部17に貯留されている熱が小さく、今後の予定に熱の使用量が大きい場合には熱源16を運転させて、貯留部17に熱を貯留するほうが有利であり、このような場合には最低使用電力E0を小さくし、使用電力Eが小さい場合でも熱源16が運転するように制御される。
【0050】
但し、暖房回路33の使用が、保温用熱供給回路56の使用のみによるものである場合には、最低使用電力E0はそのままの値を使用する。これは、保温用熱供給回路56の使用の場合、暖房部21が使用される場合に比べて必要な熱量は小さく、使用電力Eが小さい場合に熱源16を運転すると、かえって省エネルギーとなりにくいからである。
この場合、最低使用電力E0を変える(小さくする)かどうかを判断する場合には、暖房回路33が使用され、かつ、その使用が保温用熱供給回路56のみの使用でないかどうかを確認すればよい。
【0051】
暖房予測手段15は、過去の暖房使用実績などから、いつ頃、何時間ぐらい、暖房を使用するかを予測するものである。具体的には、過去に、暖房回路33(熱供給部69)がいつ使用されたかを記憶しておき、この記憶に基づいて暖房使用の予測を行う。
また、暖房予測手段15では、暖房回路33が使用されていても、その使用が保温用熱供給回路56のみの使用の場合には、使用実績にカウントしない。これは、保温用熱供給回路56のみの使用の場合には、暖房部21が使用される場合に比べて使用される熱量が小さく、この場合を暖房の使用として予測すると、熱源16が運転状態となるにもかかわらず、熱源16の熱が使用されずに余ってしまい、かえって省エネルギーとならなくなる場合があるからである。
【0052】
上記した、最低使用電力E0の変更や、暖房予測手段15による暖房使用の予測の具体的な方法については、どのような方法を用いても良いが、例えば、以下の方法を採用することができる。
図3に示すように、まず、暖房回路33が使用されているかどうかを判断する(STEP1)。そして、暖房回路33が使用されている場合、暖房要求のあった系統が1系統だけなのか、複数の系統なのかどうなのか確認する(STEP2)。そして、複数の系統で使用されている場合、保温用熱供給回路56以外に、必ず暖房部21が使用されているので、STEP5に進み、最低使用電力E0を小さい値に変更し、暖房使用時間のカウントを行う。
【0053】
また、暖房要求のあった系統が1系統である場合には、保温用熱供給回路56の使用を確認する(STEP3)。そして、保温用熱供給回路56が使用されていない場合には暖房部21の使用と判断し、STEP5に進み、上記と同様に、最低使用電力E0を小さくし、暖房使用時間としてカウントされる。
一方、保温用熱供給回路56の使用が確認された場合には、最低使用電力E0を変更せず、そのままの値が用いられる(STEP4)。
なお、保温用熱供給回路56が使用されているかどうかの確認は、使用者が即出湯状態とするために操作するスイッチにより検知したり、即出湯状態である場合に検知するセンサーなどによって行うことができる。
【0054】
このように、暖房回路33の使用用途の確認を、暖房要求のあった系統が1系統であるかどうかを確認し、さらに暖房要求が1系統である場合に保温用熱供給回路56の使用かどうかを判断する。そのため、暖房部21が複数ある場合にも、それぞれの暖房部21が使用されているかどうかを確認しなくても、暖房部21のいずれかが使用されているのか、湯の保温のみに暖房回路33が使用されているかを判断することができる。
【0055】
次に、熱源制御部71の制御を、図4を用いて説明する。
まず、運転計画作成手段13によって運転計画が作成される(STEP11)。この運転計画は、熱源16を、いつ、どれくらい運転するかについての計画であり、計画熱量値Ty(基準予測値W)に基づいて作成されるものである。そして、熱源16はその運転計画に従って運転され、運転計画によって、熱源16を運転する時間帯か停止する時間帯かが判断される。
【0056】
そして、STEP12に進み、現時点の運転計画が運転時間帯か停止時間帯かどうかを確認し、停止時間帯の時には、STEP14に進み、熱源16は運転停止状態となる。そして、STEP12に戻り、運転計画が熱源16の運転時間帯となるまで待つ。運転計画の運転時間帯となるとSTEP13に進み、使用電力Eが最低使用電力E0よりも小さく、使用電力不足停止モードであるかどうかを判断する。そして、使用電力Eが最低使用電力Eよりも大きく使用電力停止モードでない場合には、熱源16を運転する(STEP15)。また、使用電力Eが最低使用電力E0よりも小さく使用電力停止モードである場合には、STEP16に進んで熱源16を停止する。
この最低使用電力E0は、上記したように、暖房部21が使用されている場合には、最低使用電力E0を小さい値に変更する。また、現時点よりも後に熱量を使用する場合であって、その熱量を使用する時間帯が現時点に近いほど最低使用電力E0を小さい値に変更し、後に熱量を使用する場合には使用電力Eが小さくても熱源16の運転が行われるように制御される。
【0057】
本発明の熱源装置1では、熱源制御部71により、省エネルギー性が高まるように熱源16が運転され、発電及び発熱がされて、この発生した電気及び熱を用いることができる。
そして、熱源装置1の熱源16の運転は、運転計画作成手段13によって作成された運転計画により運転される。この運転計画は、基準予測値Wに基づいて作成される。なお、基準予測値Wは、基準値更新手段11により一定の条件で更新される。
運転計画作成手段13によって運転計画を作成するが、基準予測値Wを基準として算出される。運転計画は、各時間の計画熱量値Tyの消費熱量を供給することができるように、計画的に熱源16を作動させ、必要に応じて熱を貯留部17に蓄えておく。
【0058】
このようにして、各時間の計画熱量値Tyの熱量を供給できるように運転計画が作成されて熱源16が運転されるので、使用者が使用実績に基づいて学習した熱量に基づいた予測により自動的に熱源16が運転され、使用者は、熱源16によって効率的に発電・発熱した電気や熱(湯)を用いることができる。
【0059】
また、使用電力Eが小さく、使用電力不足停止モードとなった場合には、熱源16を停止状態とし、電力が有効利用されないことを防ぎ、エネルギー効率を向上させることができる。
そして、使用電力不足停止モードとするかどうかの判断基準となる最低使用電力E0は、将来の熱の使用量に対して貯留部17に貯留される熱量や暖房部21の使用の有無によって小さい値に変更され、総合的に省エネルギーとなるように熱源16が運転される。
【0060】
さらに、保温配管45内の湯を熱供給部69から供給される熱を用いて保温し、湯供給部70から出湯される湯が冷めないように即出湯状態とすることができる。そして、この場合、暖房回路33が用いられるが、上記したように、この保温のみに暖房回路33を使用した場合には、最低使用電力E0が変更されず、暖房の使用実績にカウントされないので、より省エネルギーとすることができる。
【0061】
上記した実施形態では、熱源16及び補助熱源38が設けられて、熱源16及び補助熱源38で発生した熱を用いて出湯し、また、この熱を2次循環回路32から暖房回路33を経て、保温用熱供給回路56に供給することができるものであるが、発電及び発熱が可能な熱源16が設けられていれば、補助熱源38がなくてもよい。
【0062】
また、上記した実施形態では、保温配管45には循環流路46が設けられ、循環流路46の湯を循環させながら保温を行うものであったが、保温配管45内の湯を保温することができれば保温配管45に循環流路46を設けなくてもよく、例えば、保温配管45の外周から熱を供給するような構造も採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態における熱系システムを示したブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の熱源装置の作動原理図である。
【図3】暖房の使用実績を確認するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態における熱源制御装置の制御内容を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 熱源装置
13 運転計画作成手段
14 使用電力確認手段
14a 電力比較手段
15 暖房予測手段
16 熱源
45 保温配管
46 循環流路
69 熱供給部
70 湯供給部
E 使用電力
E0 最低使用電力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱及び発電が可能な熱源と、発熱によって発生した熱を熱媒体を用いて熱を供給することが可能な熱供給部と、発熱によって発生した熱を湯として供給する湯供給部と、前記熱源の制御を行う熱源制御部とを有し、
前記熱供給部によって供給される熱は外部の熱負荷で放熱することができ、前記湯供給部には保温配管が取り付けられて、前記湯は前記保温配管を通じて出湯されるものであって、保温配管内の湯を熱供給部から供給される熱を用いて保温することができるものであり、前記熱源制御部は熱及び電気の少なくとも一方の使用量を予測して熱源を制御するものであって、外部の装置で使用される使用電力を確認することができる使用電力確認手段を有し、前記使用電力が一定の値である最低使用電力を超えないと熱源を停止状態となるように制御されるものであり、
外部の熱負荷で放熱することにより熱供給部を使用した場合には最低使用電力の値を小さくし、外部の熱負荷で放熱することなく、保温配管内の湯の保温にのみ熱供給部を使用した場合には、最低使用電力の値を変更しないものであることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
発熱及び発電が可能な熱源と、発熱によって発生した熱を熱媒体を用いて熱を供給することが可能な熱供給部と、発熱によって発生した熱を湯として供給する湯供給部と、前記熱源の制御を行う熱源制御部とを有し、
前記熱供給部によって供給される熱は外部の熱負荷で放熱することができ、前記湯供給部には保温配管が取り付けられて、前記湯は前記保温配管を通じて出湯されるものであって、保温配管内の湯を熱供給部から供給される熱を用いて保温することができるものであり、前記熱源制御部には暖房予測手段が設けられ、前記暖房予測手段は熱供給部の使用実績から熱供給部の使用を予測して熱源の運転を制御するものであって、保温配管内の湯の保温にのみ熱供給部を用いた場合には、熱供給部の使用実績として反映させないで予測するものであることを特徴とする熱源装置。
【請求項3】
保温配管には循環流路が設けられ、前記循環流路の湯を循環させながら保温配管内の湯の保温が行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−266578(P2006−266578A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84565(P2005−84565)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】