説明

熱源装置

【課題】浴槽湯水の追い焚き運転における熱エネルギーの無駄を少なくする。
【解決手段】暖房装置に液体を循環させる暖房用液体循環通路と、浴槽に接続される追い焚き循環通路とを熱的に接続し、暖房用熱交換器で暖房用液体循環通路内の液体を加熱しながら循環させると共に、追い焚き循環通路を通して浴槽湯水を循環させて浴槽湯水の追い焚き動作を行う。入浴者有無判断手段63によって入浴者がいると判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには、暖房用液体循環通路に通す液体を予め定められる高温設定温度として循環させる高温液体循環モードで動作させ、入浴者がいないと判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには、暖房用液体循環通路に通す液体を前記高温設定温度よりも低い予め定められる低温設定温度として循環させる低温液体循環モードで動作させる追い焚き時液体循環モード切り替え手段64を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽湯水の追い焚き循環路と暖房液体循環通路とを熱的に接続して形成される熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば床暖房に用いる温水マット等の暖房装置に温水等の液体を循環させる循環通路と、浴槽湯水の追い焚き循環通路とを熱的に接続してなる熱源装置が用いられている(例えば、特許文献1、参照)。
【0003】
図2には、本願発明者が開発中の熱源装置のシステム構成例が示されており、このシステム構成は、後述する実施例にも適用される。この熱源装置は、給湯機能と風呂の追い焚き機能と暖房機能とを備えており、熱源装置には、暖房装置10(10a〜10c)と浴槽27とが熱的に接続されている。同図において、暖房装置10(10a〜10c)に液体(例えば温水)を循環させる暖房用液体循環通路5は、器具ケース42内に設けられた管路89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99と、器具ケース42の外部に設けられた管路40,41,44,45,59とを有している。
【0004】
管路40は管路97に接続され、管路41,44は液体合流手段115と管路59と介して管路95に接続され、管路45は液体分岐手段37を介して管路90に接続されている。管路40,41には、暖房装置10aの内部通路51が接続され、管路44,45には、暖房装置10b,10cの内部通路52がそれぞれ接続されている。暖房装置10b,10cは、例えば温水マット等の低温暖房装置であり、暖房装置10aは予め定められる高温暖房設定温度(例えば80℃)の液体が供給される高温暖房装置であり、例えば浴室暖房機である。暖房装置10aには熱動弁12が設けられている。なお、液体分岐手段37と液体合流手段115には、必要に応じ、同図に示している他にも暖房装置を接続することができる。
【0005】
暖房用液体循環通路5には、該暖房用液体循環通路5に液体を循環させる液体循環ポンプ6と、該液体循環ポンプ6の駆動により循環する液体を加熱する暖房用暖房熱用交換器28(28a,28b)が設けられている。暖房熱用交換器28aの液体導入側には管路95が、液体導出側には管路94がそれぞれ接続されており、暖房熱用交換器28bの液体導入側には管路91が、液体導出側には管路92がそれぞれ接続されている。管路92には、暖房高温サーミスタ33が設けられており、暖房高温サーミスタ33は、暖房熱用交換器28bから出る液体の温度を検出する。
【0006】
また、管路91は、前記液体循環ポンプ6の吐出側に、管路90と共に接続されており、管路91には、暖房熱用交換器28bに導入される液体の温度を検出する暖房低温サーミスタ36が設けられている。また、液体循環ポンプ6の吸入口側には前記管路93が接続されており、管路93と管路94との間にはシスターン装置100が介設されている。シスターン装置100のタンク容量は、例えば約1〜1.8リットルであり、シスターン装置100は、大気導入通路53を介して大気開放と成している。
【0007】
暖房熱用交換器28(28a,28b)は、それぞれ、燃焼室24内に設けられており、燃焼室24には、暖房熱用交換器28と共に、暖房熱用交換器28を加熱するバーナ16と、バーナ16の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン18とが設けられている。また、燃焼室24と連通して燃焼室25が設けられ、燃焼室25内には、バーナ17と、バーナ17により加熱される給湯熱交換器29(29a,29b)と、バーナ17の燃焼の給排気を行なう燃焼ファン19とが設けられている。
【0008】
バーナ16,17には、それぞれのバーナ16,17に燃料を供給するガス管31,32が接続されている。これらのガス管31,32は、ガス管30から分岐形成されており、ガス管30には、ガス開閉弁80が介設されている。また、ガス管31には、ガス比例弁86とガス開閉弁81,82が、ガス管32には、ガス比例弁87とガス開閉弁83,84,85がそれぞれ介設されている。これらの弁80〜87はいずれも電磁弁により形成されており、ガス開閉弁80〜85は、対応するバーナ16,17への燃料供給・停止を制御し、ガス比例弁86,87は、対応するバーナ16,17への供給燃料量を弁開度でもって制御する。なお、バーナ16,17の燃焼制御は、図示されていない燃焼制御手段によって、適宜の制御方法により制御される。
【0009】
前記給湯熱交換器29aの入口側には給水導入通路88が設けられている。この給水導入通路88は、接続通路57と補給水電磁弁46を介して、前記シスターン装置100に接続され、前記暖房用液体循環通路5に接続されている。給水導入通路88の入口側には、給水導入通路88を流れる湯水の量を検出する流量センサ73と入水温度を検出する入水温度センサ74が設けられている。また、給湯熱交換器29bの出口側には給湯通路26が設けられており、給湯通路26の先端側は、適宜の給湯先に導かれている。給湯通路26には、分岐通路70と湯水経路切替弁58を介して前記給水導入通路88が接続されており、給湯通路26には、分岐通路70の分岐部よりも下流側に出湯湯温検出センサ113が設けられ、給湯熱交換器29側に出湯湯温検出センサ114が設けられている。
【0010】
前記浴槽27には、往管14と戻り管15を有する追い焚き循環通路13が接続されており、この追い焚き循環通路13は、熱交換手段としての液―液熱交換器7を介して、前記暖房用液体循環通路5と熱的に接続されている。なお、暖房用液体循環通路5の液―液熱交換器7を形成する管路89には、液―液熱交換器7の入口に流量制御弁38が設けられている。追い焚き循環通路13には、浴槽湯水を循環させる浴槽湯水循環ポンプ20が設けられ、液−液熱交換器7は、浴槽湯水循環ポンプ20の駆動によって追い焚き循環路13を循環する浴槽湯水を加熱する風呂熱交換器と成している。
【0011】
また、追い焚き循環通路13には、浴槽湯水の温度を検出する浴槽湯水温検出手段としての風呂温度センサ21と、浴槽湯水の水位を検出する水位センサ22と、追い焚き循環路13の水流を検知する風呂水流スイッチ34とが介設されている。浴槽湯水循環ポンプ20の吸入口側に、戻り管15の一端側が接続され、戻り管15の他端側が循環金具56を介して浴槽27に連通接続されている。浴槽湯水循環ポンプ20の吐出口側には、往管14の一端側が接続され、往管14の他端側は循環金具56を介して浴槽27に連通接続されている。
【0012】
前記給湯通路26には、分岐通路70の形成部および出湯湯温検出センサ113の配設部よりも下流側に、管路54を介して注湯水ユニット55が接続されている。注湯水ユニット55には風呂用注湯導入通路23の一端側が接続され、風呂用注湯導入通路23の他端側は、前記浴槽湯水循環ポンプ20に接続されている。注湯水ユニット55には、湯張り電磁弁48、湯張り水量センサ49、逆止弁50a,50bが設けられている。なお、給湯熱交換器29から給湯通路26と管路54、注湯水ユニット55、風呂用注湯導入通路23、浴槽湯水循環ポンプ20、液−液熱交換器7、往管14を順に通って浴槽27に至るまでの通路によって、湯張りや注水を行うための湯張り注水通路が構成されている。また、図2の、図中、符号75、77は、ドレン排出通路を示し、符号76は、ドレンを中和する中和手段を示す。
【0013】
この熱源装置において、暖房装置10aの暖房運転を行うときと浴槽湯水の追い焚き運転を行うときは、バーナ16によって暖房用熱交換器28を加熱して、暖房用液体循環通路5に通す液体の温度を予め定められる高温設定温度(例えば80℃)とし、この液体を、液体循環ポンプ6の駆動により循環させる高温液体循環モードの機能の動作を行う。この高温気体循環モードの機能の動作時には、低温能力切替熱動弁47は閉じた状態とし、以下に詳述するように、図2の矢印A〜Fに示すように液体を循環させる。
【0014】
例えば、暖房装置10aの暖房運転は、暖房装置10aの熱動弁12を開いて行われるものであり、図の矢印Cに示すように、管路95から暖房用熱交換器28aに導入されて暖房用熱交換器28aで加熱された液体を、矢印Dに示すように、シスターン装置100に導入し、矢印Eに示すように、管路93を通して液体循環ポンプ6に導入し、矢印Fに示すように、管路91を通して暖房用熱交換器28bに導入して加熱する。この加熱によって、液体の温度を例えば80℃とし(暖房高温サーミスタ33の検出温度が80℃となるようにし)、矢印A、Bに示すように、管路92,97,40を順に通して、暖房装置10aに導入する。各暖房装置10aに導入された液体は、対応する管路41,44と液体合流手段115を通り、管路95に戻る。
【0015】
なお、この状態で、浴槽湯水の追い焚き運転を行うときは、流量制御弁38を開くことにより、管路92を通った液体を、図の矢印B’に示すように、管路89側にも通し、管路89側(液―液熱交換器7側)に流れた液体を、管路96を通して管路95に戻るようにしながら、浴槽湯水循環ポンプ20を駆動させて、浴槽湯水を図の矢印Hに示すように循環させる。なお、前記流量制御弁38の開動作は、浴槽湯水循環ポンプ20を駆動させて、浴槽湯水を循環させてから行う。そして、この浴槽湯水と、暖房用液体循環通路5を通る高温設定温度(例えば80℃)の液体とを、液―液熱交換器7を介して熱交換し、浴槽27内の湯水の温度(風呂温度センサ21の検出温度)が風呂設定温度となるまで、浴槽湯水の追い焚き運転を行う。
【0016】
また、高温暖房装置10aの暖房運転を行わずに、浴槽湯水の追い焚き運転のみを行うときには、暖房装置10aの熱動弁12が閉じられているので、暖房用熱交換器28bで加熱した高温設定温度の液体(例えば80℃の液体)を、矢印Aに示すように、管路92に通した後、管路97には通さずに、図の矢印B’に示すように、管路89側に通す。そして、前記と同様に、この液体と浴槽湯水とを、液―液熱交換器7を介して熱交換することにより浴槽27内の湯水の追い焚き運転を行う。なお、風呂温度センサ21の検出温度が風呂設定温度となったら、バーナ16の燃焼を停止し、液体循環ポンプ6と浴槽湯水循環ポンプ20は、予め定められたポストポンプ時間経過後に停止する。
【0017】
一方、暖房装置10b,10cの暖房運転を行うときには、暖房用液体循環通路5の液体を、暖房用液体循環通路5に通す液体を高温設定温度よりも低い予め定められる低温設定温度(例えば60℃)として循環させる低温液体循環モードの機能の動作を行う。この低温液体循環モードの機能の動作時には、前記高温液体循環モードの機能の動作時と同様に、矢印C,D,E,Fに示すように循環させるが、バーナ16によって暖房用熱交換器28を加熱する際に、暖房用熱交換器28bによって加熱して管路92に導出する液体の温度を、例えば60℃となるようにする。
【0018】
そして、低温能力切替熱動弁47を開くことによって、図の矢印Aに示したように管路92を通った液体を管路93に導入し、シスターン100側から液体循環ポンプ6側に向けて図の矢印Eに示すように通る液体と共に、液体循環ポンプ6を介し、図の破線矢印Gに示すように、液体を管路90,45に順に通して暖房装置10b,10cに導入する。なお、暖房装置10b,10cを通った液体は、管路44、液体合流手段115を介して管路95に戻る。
【0019】
また、暖房装置10b,10cの暖房運転中に、浴槽湯水の追い焚き指令が出力されたときには、低温能力切替熱動弁47を閉じ(あるいは、開弁量を小さくし)、前記の追い焚き運転時と同様に、暖房用熱交換器28bによって加熱して管路92に導出される液体の温度を、例えば80℃となるようにし、管路89を通る液体の温度を80℃程度として液体を循環させる(高温液体循環モードの機能の動作を行う)。
【0020】
なお、この場合、低温能力切替熱動弁47を閉じる(または、開弁量を小さくする)ことにより、暖房用熱交換器28bから管路92に導出される高温の液体は、管路93には導入されない(または、少量しか導入されない)。そして、暖房装置10b,10cには、前記管路89を通って浴槽湯水と熱交換されて温度が低下した後、管路96,95、シスターン100を通ることにより、さらに温度が低下した液体が、管路93、液体循環ポンプ6、管路90を通して導入されるので、暖房装置10b,20cに導入される液体の温度は、60℃程度となる。
【0021】
また、この熱源装置において、浴槽27への湯張り(自動湯張り動作)を行うときには、バーナ17の燃焼によって給湯熱交換器29を通る水を加熱し、前記湯張り注水通路を通して湯を浴槽27に注ぐ。そして、この自動湯張り後、例えば4時間といった保温動作時間中には、風呂温度センサ21の検出温度を取り込み、その検出温度が予め設定される風呂設定温度より予め定められている許容範囲を超えて低下したときには、前記の追い焚き運転の動作を例えば3分間行い、風呂温度センサ21の検出温度が前記風呂設定温度となるようにする保温モードの機能の動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開平8―35657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ところで、浴槽湯水の追い焚きは、入浴中の人が、浴槽湯水温が「ぬるい」と感じてリモコン装置に設けられている追い焚きスイッチを操作することにより開始されることもあるが、前記保温モード機能の動作において、浴槽湯水温が許容範囲を超えて低くなったときにも開始されることもある。人が入浴中に「ぬるい」と感じて前記追い焚きスイッチを操作したときには、なるべく早く追い焚きを行って風呂設定温度にする必要があるが、前記保温モードの機能の動作において、人が入浴していない場合には、その追い焚きスピードは遅くてもよいはずである。
【0024】
しかしながら、従来は、前記の如く、追い焚き時は必ず、液体循環通路5内の液体を80℃に加熱して、迅速に追い焚きが行われるように追い焚き動作を行っており、このように、液体循環通路5内の液体を高温に加熱するためには多くのエネルギーが必要であるばかりではなく、放熱量も大きいため、無駄が多かった。
【0025】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、熱エネルギーを極力無駄にせずに、適切に、暖房用の液体循環通路との熱交換による風呂の追い焚き運転を行うことができる熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、液体を循環させて暖房装置に供給する暖房用液体循環通路と、浴槽に接続される追い焚き循環通路とを有して、該追い焚き循環通路は熱交換手段を介して前記暖房用液体循環通路に熱的に接続され、該暖房用液体循環通路には、該暖房用液体循環通路の液体を循環させる液体循環ポンプと、該液体循環ポンプの駆動により循環する液体を加熱する暖房用熱交換器とが介設され、前記追い焚き循環通路には浴槽湯水を循環させる浴槽湯水循環ポンプが設けられ、浴槽湯水の追い焚き指令を受けて前記暖房用熱交換器により前記暖房用液体循環通路内の液体を加熱しながら循環させると共に前記追い焚き循環通路を通して浴槽湯水を循環させることによって、該浴槽湯水と前記暖房用液体循環通路を循環する液体とを前記熱交換手段を介して熱交換して浴槽湯水の追い焚きを行う機能を有する熱源装置であって、前記暖房用液体循環通路に通す液体を予め定められる高温設定温度として循環させる高温液体循環モードの機能と、前記暖房用液体循環通路に通す液体を前記高温設定温度よりも低い予め定められる低温設定温度として循環させる低温液体循環モードの機能とを有し、前記浴槽湯水の追い焚き時に入浴者がいるかどうかの判断を行う入浴者有無判断手段と、該入浴者有無判断手段によって入浴者がいると判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには前記高温液体循環モードで液体を循環させ、前記入浴者有無判断手段によって入浴者がいないと判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには前記低温液体循環モードで液体を循環させるようにモード切り替えを行う追い焚き時液体循環モード切り替え手段を有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0027】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記浴槽湯水の水位を検出する水位センサと、該水位センサの検出水位に基づいて浴槽に人が入浴していることを検知する人入浴検知手段とを有し、入浴者有無判断手段は前記人入浴検知手段によって浴槽への人の入浴が検知されているときには入浴者がいると判断し、前記人入浴検知手段によって浴槽への人の入浴が検知されていないときには入浴者がいないと判断することを特徴とする。
【0028】
さらに、第3の発明は、前記第1または第2の発明の構成に加え、前記熱源装置には浴室配置のリモコン装置と台所配置のリモコン装置とが信号接続されており、入浴者有無判断手段は前記浴室配置のリモコン装置によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたときには入浴者がいると判断し、前記台所配置のリモコン装置によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたときには入浴者がいないと判断することを特徴とする。
【0029】
さらに、第4の発明は、前記第1または第2または第3の発明の構成に加え、浴槽湯水の温度を検出する浴槽湯水温検出手段を有し、追い焚き時液体循環モード切り替え手段は、低温液体循環モードで液体を循環させたときに前記浴槽湯水温検出手段による検出温度が予め定められる風呂設定温度よりも設定温度だけ低い設定接近温度未満であったときには高温液体循環モードに切り替えて液体を循環させ、前記浴槽湯水温検出手段による検出温度が前記設定接近温度に達するまで前記高温液体循環モードで液体を循環させた後に前記低温液体循環モードに切り替えて液体を循環させることを特徴とする。
【0030】
さらに、第5の発明は、前記第1乃至第4のいずれか一つの発明の構成に加え、前記暖房用液体循環通路には予め定められる高温暖房設定温度の液体が供給される高温暖房装置が接続され、追い焚き時液体循環モード切り替え手段は、前記高温暖房装置の運転中には高温液体循環モードとして液体を循環させるようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、暖房用液体循環通路に通す液体を予め定められる高温設定温度として循環させる高温液体循環モードの機能と、前記暖房用液体循環通路に通す液体を前記高温設定温度よりも低い予め定められる低温設定温度として循環させる低温液体循環モードの機能を有し、浴槽湯水の追い焚き時に入浴者がいると判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには前記高温液体循環モードで液体を循環させ、入浴者がいないと判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには前記低温液体循環モードで液体を循環させるようにモード切り替えを行うので、熱エネルギーを極力無駄にせずに、必要に応じて適切に、暖房用の液体循環通路との熱交換による風呂の追い焚き運転を行うことができる。
【0032】
つまり、入浴者がいるときには、例えば人が入浴中に「ぬるい」と感じての操作によって、追い焚きが行われる可能性が高いので、高温液体循環モードで液体循環通路の液体を循環させて浴槽湯水の追い焚きを行うことにより、迅速な追い焚きができ、利用者の快適な利用を可能とすることができる。その一方、入浴者がいないと判断されるとき、例えば保温モードの機能の動作における追い焚き時などには、低温液体循環モードで液体循環通路の液体を循環させて浴槽湯水の追い焚きを行うことにより、ゆっくりと追い焚きを行うことにより、少ない熱エネルギーでの追い焚きを可能とし、かつ、放熱による熱エネルギーの損失も少なく抑えることができるので、熱エネルギーの無駄を省くことができる。
【0033】
また、浴槽湯水の水位を検出する水位センサの検出水位に基づき、浴槽に人が入浴していることを検知しているときには入浴者がいると判断し、浴槽に人が入浴していることの検知が行われていないときには入浴者がいないと判断するようにすることにより、浴槽への人の入浴を的確に判断でき、前記のように、熱エネルギーを極力無駄にせずに、必要に応じて適切に、暖房用の液体循環通路との熱交換による風呂の追い焚き運転を行うことができる。
【0034】
さらに、熱源装置に信号接続された浴室配置のリモコン装置と台所配置のリモコン装置のうち、浴室配置のリモコン装置によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたときには入浴者がいると判断し、前記台所配置のリモコン装置によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたときには入浴者がいないと判断することにより、浴槽への人の入浴を的確に判断でき、前記のように、熱エネルギーを極力無駄にせずに、必要に応じて適切に、暖房用の液体循環通路との熱交換による風呂の追い焚き運転を行うことができる。
【0035】
つまり、風呂リモコン装置の操作によって追い焚き操作を行うときには、利用者は浴室で追い焚き操作を行っているので、入浴中または、操作後、時間をおかずに入浴する可能性が高く、このときに高温液体循環モードとすることにより迅速な追い焚きによる快適な利用ができる。一方、台所リモコン装置の操作によって追い焚き操作を行うときには、利用者は浴室にはいないので、操作後、ある程度の時間がたってから入浴する可能性が高く、この場合は低温液体循環モードでゆっくりと追い焚きを行うことにより熱エネルギーの無駄を省くことができる。
【0036】
さらに、浴槽湯水の追い焚き時に、低温液体循環モードで液体を循環させたときに、浴槽湯水温検出手段による浴槽湯水の検出温度が予め定められる風呂設定温度よりも設定温度だけ低い設定接近温度未満であったときには高温液体循環モードに切り替えて液体を循環させ、前記浴槽湯水温検出手段による検出温度が前記設定接近温度に達するまで前記高温液体循環モードで液体を循環させた後に前記低温液体循環モードに切り替えて液体を循環させることにより、以下の効果を奏することができる。
【0037】
例えば利用者が台所リモコン装置を操作して少し立ってから入浴しようとした際、台所リモコン装置から追い焚き指令が出されたときには、浴槽湯水温が設定接近温度未満の低い温度であったときに、低温液体循環モードでのゆっくりの追い焚きでは、利用者が入浴する時に浴槽湯水温が風呂設定温度に近い温度に達せずに低すぎる可能性があるが、浴槽湯水温が前記設定接近温度になるまでは迅速に追い焚きを行うことにより、利用者が入浴しようとしたときまでに浴槽湯水温を設定温度に近い温度まで高めて、快適な利用が行えるようにすることができるし、浴槽湯水温が設定接近温度になってからは、ゆっくりと追い焚きを行うことにより、高めの温度の湯が追い焚き循環路から浴槽に導出されることを防ぐこともできる。
【0038】
さらに、暖房用液体循環通路には予め定められる高温暖房設定温度の液体が供給される高温暖房装置が接続され、追い焚き時液体循環モード切り替え手段は、前記高温暖房装置の運転中には高温液体循環モードとして液体を循環させるようにすることにより、高温暖房装置が接続されている場合には、例えば保温モードの機能の動作における追い焚き時など、入浴者がいないと判断されるときでも、高温液体循環モードによる液体循環によって、高温暖房装置の運転を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る熱源装置の一実施例の制御構成を示すブロック図である。
【図2】熱源装置のシステム構成例と、その動作例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明の構成要素と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0041】
本実施例の熱源装置のシステム構成は、図2に示した熱源装置と同様に構成されており、本実施例の特徴的なことは、図1に示す制御構成を設けて、浴槽湯水の追い焚き時の動作を制御する構成としたことである。熱源装置の制御手段60は、人入浴検知手段62、入浴者有無判断手段63、追い焚き時液体循環モード切り替え手段64、燃焼制御手段65を有し、浴室配置の風呂リモコン装置1と台所配置の台所リモコン装置2に接続されている。
【0042】
燃焼制御手段65は、前記のような、各機能の運転動作に際し、その燃焼制御を行う手段であり、水位センサ22、風呂温度センサ21、風呂水流スイッチ34等の検出信号に基づき、浴槽湯水循環ポンプ20、液体循環ポンプ6、低温能力切替熱動弁47、ガス比例弁86、ガス開閉弁81,82、燃焼ファン18等の制御を行う。
【0043】
人入浴検知手段62は、水位センサ22の検出水位に基づいて浴槽27に人が入浴していることを検知する。具体的には、例えば水位の変動の基準値を予め与えておき、水位センサ22の検出水位の変動がこの基準値以上あったときには、人が入浴したと判断することができる。なお、この判断方法は、適宜設定される。人入浴検知手段62は、人の検知が行われると、その検知信号を入浴者有無判断手段63に加える。
【0044】
入浴者有無判断手段63は、浴槽湯水の追い焚き時に、入浴者がいるかどうかの判断を行う手段であり、人入浴検知手段62によって浴槽27への人の入浴が検知されているとき、つまり、人入浴検知手段62による人の検知信号が入浴者有無判断手段63に加えられているときには入浴者がいると判断し、人入浴検知手段62によって浴槽27への人の入浴が検知されていないときには入浴者がいないと判断する。また、入浴者有無判断手段63は、風呂リモコン装置1によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたとき(例えば風呂リモコン装置1の追い焚きスイッチがオンされたとき)には入浴者がいると判断し、台所リモコン装置2によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたとき(例えば台所リモコン装置2の追い焚きスイッチがオンされたとき)には入浴者がいないと判断する。そして、これらの判断信号を追い焚き時液体循環モード切り替え手段64に加える。
【0045】
追い焚き時液体循環モード切り替え手段64は、入浴者有無判断手段63によって入浴者がいると判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには、高温液体循環モードで液体を循環させ、入浴者有無判断手段63によって入浴者がいないと判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには、前記低温液体循環モードで液体を循環させるようにモード切り替えを行う。なお、追い焚き時液体循環モード切り替え手段64は、高温暖房装置10aの運転中には、常に、高温液体循環モードとして液体を循環させるようにする。追い焚き時液体循環モード切り替え手段64は、これらのモード切り替えに際し、燃焼制御手段65にモード切り替え信号を加える。
【0046】
燃焼制御手段65は、追い焚き時液体循環モード切り替え手段64からのモード切り替え信号を受けて、ガス比例弁86やガス開閉弁81,82の開閉制御、燃焼ファン18の回転駆動制御、低温能力切替熱動弁47の開閉制御、液体循環ポンプ6の駆動制御等を行い、高温液体循環モードで液体を循環させるときには、暖房用液体循環通路5に通す液体を前記高温設定温度(例えば80℃)として循環させ、低温液体循環モードで液体を循環させるときには、暖房用液体循環通路5に通す液体を予め定められる低温設定温度(例えば60℃)として循環させる。そして、浴槽湯水循環ポンプ20を駆動させ、風呂温度センサ21の検出温度が風呂設定温度となるように、浴槽湯水の追い焚きを行うようにする。
【0047】
なお、追い焚き時液体循環モード切り替え手段64は、低温液体循環モードで液体を循環させたときに、風呂温度センサ21による検出温度が予め定められる風呂設定温度よりも設定温度(例えば2℃)だけ低い設定接近温度未満であったときには高温液体循環モードに切り替えて液体を循環させ、風呂温度センサ21による検出温度が前記設定接近温度に達するまで高温液体循環モードで液体を循環させた後に、低温液体循環モードに切り替えて液体を循環させる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例では、熱源装置に風呂リモコン装置1と台所リモコン装置2を接続したが、どちらか一方のみを接続してもよいし、居間に配置されるリモコン装置や洗面所に配置されるリモコン装置等を接続してもよい。なお、風呂リモコン装置1を接続しない場合は、台所リモコン装置2等に風呂の追い焚き操作機能等を設けるようにし、入浴者有無判断手段63は、人入浴検知手段62によって浴槽27への人の入浴が検知されているか否かによって、浴槽湯水の追い焚き時に、入浴者がいるかどうかの判断を行うようにするとよい。
【0049】
また、前記実施例では、追い焚き時液体循環モード切り替え手段64は、低温液体循環モードで液体を循環させたときに、風呂温度センサ21による検出温度が予め定められる風呂設定温度よりも設定温度(例えば2℃)だけ低い設定接近温度未満であったときには高温液体循環モードに切り替えて液体を循環させ、風呂温度センサ21による検出温度が前記設定接近温度に達するまで高温液体循環モードで液体を循環させた後に、低温液体循環モードに切り替えて液体を循環させるようにしたが、このような制御は省略することもできる。
【0050】
さらに、前記実施例では、給湯機能と風呂の追い焚き機能と暖房機能とを備えた複合装置としたが、給湯機能を有していない装置としてもよい。
【0051】
さらに、本発明の熱源装置は、例えば前記実施例で設けたガス燃焼を行うバーナの代わりに、石油燃焼用のバーナを設けてもよいし、電熱ヒータを設けてもよい。また、暖房用液体循環通路5内に循環させる液体は、水とは限らず、例えば不凍液等の他の液体としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の熱源装置は、浴槽湯水の保温モード機能の動作時等の短時間追い焚き時の運転における熱エネルギーの無駄を少なくできるので、省エネ化が可能となり、例えば家庭用の熱源装置として利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 風呂リモコン装置
2 台所リモコン装置
5 暖房用液体循環通路
6 液体循環ポンプ
7 液−液熱交換器
10 暖房装置
13 追い焚き循環通路
16,17 バーナ
20 浴槽湯水循環ポンプ
21 風呂温度センサ
22 水位センサ
28 暖房用熱交換器
33 暖房高温サーミスタ
36 暖房低温サーミスタ
60 制御手段
62 人入浴検知手段
63 入浴者有無判断手段
64 追い焚き時液体循環モード切り替え手段
65 燃焼制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を循環させて暖房装置に供給する暖房用液体循環通路と、浴槽に接続される追い焚き循環通路とを有して、該追い焚き循環通路は熱交換手段を介して前記暖房用液体循環通路に熱的に接続され、該暖房用液体循環通路には、該暖房用液体循環通路の液体を循環させる液体循環ポンプと、該液体循環ポンプの駆動により循環する液体を加熱する暖房用熱交換器とが介設され、前記追い焚き循環通路には浴槽湯水を循環させる浴槽湯水循環ポンプが設けられ、浴槽湯水の追い焚き指令を受けて前記暖房用熱交換器により前記暖房用液体循環通路内の液体を加熱しながら循環させると共に前記追い焚き循環通路を通して浴槽湯水を循環させることによって、該浴槽湯水と前記暖房用液体循環通路を循環する液体とを前記熱交換手段を介して熱交換して浴槽湯水の追い焚きを行う機能を有する熱源装置であって、前記暖房用液体循環通路に通す液体を予め定められる高温設定温度として循環させる高温液体循環モードの機能と、前記暖房用液体循環通路に通す液体を前記高温設定温度よりも低い予め定められる低温設定温度として循環させる低温液体循環モードの機能とを有し、前記浴槽湯水の追い焚き時に入浴者がいるかどうかの判断を行う入浴者有無判断手段と、該入浴者有無判断手段によって入浴者がいると判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには前記高温液体循環モードで液体を循環させ、前記入浴者有無判断手段によって入浴者がいないと判断されたときに浴槽湯水の追い焚きが行われるときには前記低温液体循環モードで液体を循環させるようにモード切り替えを行う追い焚き時液体循環モード切り替え手段を有することを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
浴槽湯水の水位を検出する水位センサと、該水位センサの検出水位に基づいて浴槽に人が入浴していることを検知する人入浴検知手段とを有し、入浴者有無判断手段は前記人入浴検知手段によって浴槽への人の入浴が検知されているときには入浴者がいると判断し、前記人入浴検知手段によって浴槽への人の入浴が検知されていないときには入浴者がいないと判断することを特徴とする請求項1記載の熱源装置。
【請求項3】
熱源装置には浴室配置のリモコン装置と台所配置のリモコン装置とが信号接続されており、入浴者有無判断手段は前記浴室配置のリモコン装置によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたときには入浴者がいると判断し、前記台所配置のリモコン装置によって浴槽湯水の追い焚き指令が出されたときには入浴者がいないと判断することを特徴とする請求項1または請求項2記載の熱源装置。
【請求項4】
浴槽湯水の温度を検出する浴槽湯水温検出手段を有し、追い焚き時液体循環モード切り替え手段は、低温液体循環モードで液体を循環させたときに前記浴槽湯水温検出手段による検出温度が予め定められる風呂設定温度よりも設定温度だけ低い設定接近温度未満であったときには高温液体循環モードに切り替えて液体を循環させ、前記浴槽湯水温検出手段による検出温度が前記設定接近温度に達するまで前記高温液体循環モードで液体を循環させた後に前記低温液体循環モードに切り替えて液体を循環させることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3記載の熱源装置。
【請求項5】
暖房用液体循環通路には予め定められる高温暖房設定温度の液体が供給される高温暖房装置が接続され、追い焚き時液体循環モード切り替え手段は、前記高温暖房装置の運転中には高温液体循環モードとして液体を循環させるようにすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の熱源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−127553(P2012−127553A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278221(P2010−278221)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】