説明

熱硬化性成形材料及び低比重成形体

【課題】耐酸性、耐アルカリ性に優れ、電気絶縁性の良好な熱硬化性樹脂成形材料およびそれを成形してなる低比重成形体を提供する。
【解決手段】(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)低収縮剤、(D)水酸化アルミニウム、(E)平均粒径80〜150μmの無機質バルーン、(F)ガラス繊維、および(G)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂成形材料およびそれを成形してなる低比重成形体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低比重で軽く、かつ、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性(特に耐アーク性)等性能のバランスが良好な熱硬化性樹脂成形材料およびそれを用いた低比重成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気絶縁成形体としては、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を紙基材やガラス基材に含浸して得られるプリプレグの複数枚を、プレス成形した積層板が従来から広く使用されている。しかしながら、プリプレグ製造には大型塗布機が必要であり、これを成形する為の高圧成形機が必要であるため、設備が大がかりになるという欠点があった。これに対して、ガラス繊維やその他の充填剤入りの熱可塑性樹脂を用いて成形を行う方法がある。これらの成形体は、電気絶縁性や耐熱性に優れ、電気電子部品材料の絶縁、各種電気機器、発電機や自動車などのモーターコイルの支持体などに用いられてきた(例えば、特許文献1)。
これらの樹脂成形体は、補強材としてガラス繊維や無機質充填剤を使用しており、その比重は1.7から2.1程度であり、支持体としてより軽量化が求められている。このため、バルーンを積層板表面に分散融着させた軽量積層板が提案されている(例えば、特許文献2、3)。しかしながら、ガラスバルーンなどを積層板表面に分散融着した積層板は均一な成形体は得られるが、充分な軽量化ができない。また、合成樹脂成形材料にバルーンを分散させると、バルーンが混合しにくく、これを成形しても均一な成形体を得ることは難しく、また、耐アーク性などの電気特性が劣ってしまうという欠点があった。
また、無機充填材としてシラスバルーンやガラスバルーンを配合可能な不飽和ポリエステル等を含有する樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献4)。しかしながら、耐薬品性(耐アルカリ性、耐酸性)や電気特性の改善がなされず、電気・電子部品材料の絶縁、各種電気機器等への応用は難しい。
さらに、マイクロバルーン入りの不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂組成物を車体改装材として用いることが開示されている(例えば、特許文献5)。しかしながら、これも電気特性の改善がなされず、電気・電子部品材料の絶縁、各種電気機器等への応用は難しい。
加えて、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂のような熱硬化性樹脂にマイクロバルーンを含有させた配線基板用樹脂組成物が開示(例えば、特許文献6)されているが、成形体における吸水率の点で十分ではない。
【特許文献1】特開平2−124942号公報
【特許文献2】特開平5−476号公報
【特許文献3】特開昭61−263743号公報
【特許文献4】特開2003−192753号公報
【特許文献5】特開2006−272981号公報
【特許文献6】特開2008−78575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、軽量で成形性に優れ、かつ、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性等バランスの良好な物性を有する熱硬化性樹脂成形材料およびそれを用いた成形体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の平均粒径を有する無機質バルーンを用いることにより、上記課題を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)低収縮剤、(D)水酸化アルミニウム、(E)平均粒径80〜150μmの無機質バルーン、(F)ガラス繊維、および(G)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂成形材料、
(2)熱硬化性樹脂成形材料100質量部中成分(E)を10質量部以上含む上記(1)に記載の熱硬化性樹脂成形材料、
(3)前記成分(E)がセラミックバルーンである上記(1)または(2)に記載の熱硬化性樹脂成形材料、
(4)前記成分(A)が不飽和ポリエステル樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂成形材料および
(5)上記(1)〜(4)いずれか記載の熱硬化性樹脂成形材料を成形してなる低比重成形体を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、軽量で成形性に優れ、かつ、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性の良好な熱硬化性樹脂成形材料およびそれを用いた成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いる(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂は、成形材料として一般に使用されているものであれば特に限定されずに使用することができる。
まず、不飽和ポリエステル樹脂について説明する。
本発明で成分(A)として用いられる不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸を含む酸成分と多価アルコール成分とをエステル化触媒存在下、脱水縮合反応させて得られるものである。
酸成分の必須成分である不飽和二塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、これらの酸無水物などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このような不飽和二塩基酸と場合により併用される酸成分としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸などの脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸などの複数種の脂肪酸が混合したものが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0007】
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジメタノール、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテルなどの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールモノアリルエーテルなどの3価以上のアルコールが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して使用することができる。
【0008】
脱水縮合反応に用いるエステル化触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどの含リン化合物、N,N−ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、4級ピリジニウム塩などの第4級化合物、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化スズなどの塩化物、テトラブチルチタネートなどの有機金属化合物などが挙げられる。
成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂として用いることができる市販品としては、例えば、商品名ユピカ7123(日本ユピカ株式会社製)などが挙げられる。
【0009】
次に、エポキシエステル樹脂について説明する。
本発明で用いるエポキシエステル樹脂は、酸成分とエポキシ樹脂成分をエステル化触媒によりエステル化反応させて得られるものである。
酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸などの不飽和一塩基酸が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに必要に応じてフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸などの二塩基酸を混合して用いることができる。
【0010】
ここで用いられるエポキシ樹脂成分としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればよく、分子構造、分子量などは特に制限されることなく、広く使用することができる。具体的には、ビスフェノール型、ノボラック型、ビフェニル型などの芳香族基を有するエポキシ樹脂、ポリカルボン酸をグリシジルエステル化したエポキシ樹脂、シクロヘキサン誘導体とエポキシ化合物が縮合した脂環式のエポキシ樹脂などが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、エポキシ樹脂成分としては、これらの他に必要に応じて液状のモノエポキシ樹脂を併用成分として使用することができる。
エステル化反応に用いるエステル化触媒としては、上記脱水縮合反応に用いられるものと同様のエステル化触媒を用いることができる。
エポキシエステル樹脂として用いることができる市販品としては、例えば、商品名D−953(大日本インキ化学工業株式会社製)、VP−701Z(新ディック化工社製)等が挙げられる。
成分(A)の配合量は、本発明の熱硬化性樹脂成形材料100質量部中10〜20質量部の範囲であることが好ましい。10質量部以上とすることにより、成形体の機械的強度を確保し、20質量部以下とすることにより、寸法安定性を確保する。
【0011】
本発明に用いる成分(B)の反応性希釈剤としては、成分(A)の不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂と重合可能な二重結合を有するものであれば使用可能であり、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどの芳香族系のモノマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアルキレンオキサイドのジアクリレート誘導体、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのアクリル系モノマーまたはオリゴマー等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この成分(B)の反応性希釈剤の配合量は、粘度性及び機械強度の観点から、本発明の熱硬化性樹脂成形材料100質量部中、3〜15質量部程度である。
【0012】
本発明に用いる成分(C)の低収縮剤としては、熱可塑性樹脂であるポリエチレン樹脂、ポリエチレンゴム等が使用可能であり、成形材料の成形時における低収縮化を効果的に図ることができる点でポリエチレン樹脂であることが好ましい。また、耐熱性維持の観点から、この低収縮剤としては、ガラス転移点が70〜120℃の範囲内にあるポリエチレン樹脂粉末であることが好ましい。この成分(C)の低収縮剤の配合量は、本発明の熱硬化性樹脂成形材料100質量部中、2〜15質量部の範囲であることが好ましい。
【0013】
本発明に用いる成分(D)の水酸化アルミニウムは、市販のものであれば問題なく使用できるが、数平均粒径が0.5〜8μmのものが好ましい。
その他、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム等も配合することができ、特に限定されるものではない。この成分(D)の水酸化アルミニウムの配合量は、本発明の熱硬化性成形材料100質量部中、30〜70質量部であることが好ましい。30質量部未満では成形体の寸法収縮率が大きくなり、70質量部を超えると成形性が悪くなる。
【0014】
本発明に用いる成分(E)の平均粒径80〜150μmの無機質バルーンとしては、シラスバルーン、フライアッシュ、ガラスバルーン、セラミックバルーンなど市販のものが使用できるが、平均粒径80〜150μmの粒径が得やすく分布が狭いセラミックバルーンが好ましく用いられる。平均粒径が80μm以上とすることにより、耐アーク性が劣るのを防止し、150μm以下とすることにより機械特性が劣るのを防止する。セラミックバルーンはSiO2とAl23を主成分としたものであり、たとえば、太平洋セメントのSLシリーズ、巴工業のセノライト、美瑛箔土工業のタイセツバルーン等の市販品がある。この成分(E)の平均粒径80〜150μmの無機質バルーンの配合量は、本発明の熱硬化性樹脂成形材料100質量部中、10質量部以上が好ましく、10〜30質量部の範囲であることがより好ましい。10質量部以上とすることにより、軽量化を達成し、30質量部以下とすることにより、機械的強度が低下するのを防止する。
【0015】
本発明に用いる成分(F)のガラス繊維としては、例えば、ガラスロービングをカットしてチョップドストランドにしたものを用いることができるが、プレス成形においては、一般に、繊維強化材の繊維長が長くなるほど成形体の外観不良(ウェルドライン)が発生しやすくなるため、通常、平均繊維長13mm以下のものを使用することが好ましい。より好ましくは、平均繊維長1.5〜13mmの範囲のものである。ガラス繊維長を1.5mm以上とすることにより成形体の曲げ強さが低下するのを防止し、13mm以下とすることにより、成形体の外観不良(ウェルドライン)が発生するのを防止する。平均ガラス繊維径は7〜13μmであることが好ましい。平均ガラス繊維径を7μm以上とすることにより、成形材料の粘度が高くなって均一に混合できなくなるのを防止する。平均ガラス繊維径を13μm以下とすることにより、成型物の強度が低下するのを防止する。
この成分(F)のガラス繊維の配合量は、成形時の流動性の観点から本発明の熱硬化性樹脂成形材料100質量部中、通常、15質量部以下が好ましく、機械強度の観点から3質量部以上とすることが好ましい。
【0016】
成分(G)の硬化促進剤は、具体的には、有機過酸化物であって、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシエステル樹脂の硬化剤として通常用いられる化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化イソブチリル等が挙げられる。この成分(G)の有機過酸化物の配合量は、本発明の熱硬化性樹脂成形材料100質量部中、0.05〜0.5質量部の範囲であることが好ましい。
この他に、本発明の不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂を含む熱硬化性成形材料の機能を阻害しない範囲で、離型剤、重合禁止剤、沈降防止剤等種々の添加剤を配合することもできる。例えば、離型剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪族金属石鹸が挙げられ、重合禁止剤としてはハイドロキノン、メトキノン、p−t−ブチルカテコール、ピロガロール等のキノン類が挙げられる。沈降防止剤としては、ガラスパウダーや無定型シリカ等が挙げられる。沈降防止剤は、沈降防止(分散)性能を発揮するとともに、骨材の補佐的な役割を果たす。
以上のような成分によって構成される、本発明の成形材料は、通常の製造方法にて製造することができる。すなわち、双碗型ニーダにて不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂、架橋剤、無機充填材、シリコーンオイルを混練後、補強材をさらに混練・含浸させることにより製造することができ、その製造方法は何ら限定されるものではない。
本発明の成形材料は、各種の成形手段を用いて所定の形状に成形することができ、例えば、圧縮成形、射出成形、プレス成形などによって成形を行うことができる。本発明の成形体としては、具体的には電気絶縁板、スペーサー等が挙げられる。
【実施例】
【0017】
次に、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明は、これらによって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
不飽和ポリエステル樹脂〔成分(A)、日本ユピカ製、商品名:ユピカ7596〕17質量部、スチレンモノマー〔成分(B)、三菱化学製、S.M〕4.5質量部、低収縮剤としてGP−P〔成分(C)、日立化成工業株式会社製〕7.5質量部、有機過酸化物〔成分(G)、日本油脂株式会社製、商品名:パーブチルZ〕0.5質量部、離型剤として金属石鹸〔添加剤(1)、旭電化工業株式会社製、商品名:CZ−55〕3質量部、ビニロン繊維〔添加剤(2)、クラレトレーディング株式会社製、商品名:VP−152×3〕0.5質量部に、水酸化アルミニウム〔成分(D)、昭和電工株式会社製、商品名:ハイジライトH−42〕42質量部、セラミックバルーン2〔成分(E)、太平洋セメント株式会社製、商品名:E−SPHERES SLG、平均粒径130μm〕15質量部、ガラス繊維〔成分(F)、NSGベトロテックス株式会社製、商品名:RES03−BM5、平均繊維長3mm、平均繊維径11μm〕10質量部を混練機(ニーダー)に入れ、常温で約20分間混練し、シート状に押し出した。
これをプレスにて2.0MPa、160℃、60分加熱成形して、得られた成形体[50mm×10mm×10mmのテストピース]の成形収縮率、比重、吸水率、絶縁破壊電圧、絶縁抵抗〔常態、煮沸後〕、耐アーク性、耐トラッキング性、曲げ強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さおよび難燃性を測定し、これらの結果を表1(配合比の数値は質量部である)に示した。
【0018】
[実施例2〜5、比較例1〜4]
表1に記載の各成分を配合し、実施例1と同様の操作を行い、成形体を製造し、得られた成形体の物性測定を行い、これらの結果を表1に示した。
成分(A)、(B)、(C)、(F)、(G)、添加剤(1)および添加剤(2)はいずれの例においても、実施例1と同じものを同じ配合量で使用した。
各実施例及び比較例では、成分(E)のセラミックバルーンとして以下のものを使用した。
実施例2、3:セラミックバルーン2
実施例4、5:セラミックバルーン3〔太平洋セメント株式会社製、商品名:E−SPHERES SL150、平均粒径100μm〕
比較例1:セラミックバルーン1〔太平洋セメント株式会社製、商品名:E−SPHERES SL300、平均粒径175μm〕
比較例2:セラミックバルーン4〔太平洋セメント株式会社製、商品名:E−SPHERES SL75、平均粒径45μm〕
比較例3:セラミックバルーン5〔住友スリーエム株式会社製、商品名:グラスバブルスK38〔平均粒径40μm〕
各実施例及び比較例では、成分(D)の水酸化アルミニウムとしてハイジライトH42を使用した。
【0019】
【表1】

【0020】
<物性測定方法>
(1)成形収縮率:JIS K 6911に準じて測定した。
(2)比重:JIS K 6911に準じて測定した。
(3)吸水率:JIS K 6911に準じて測定した。
(4)絶縁破壊電圧:JIS K 6911に準じて測定した。
(5)絶縁抵抗(常態、煮沸後):JIS K 6911に準じて測定した。
(6)耐アーク性:JIS K 6911に準じて測定した。
(7)耐トラッキング性:JIS K 6911に準じて測定した。
(8)曲げ強さ、曲げ弾性率:JIS K 6911に準じて測定した。
(9)シャルピー衝撃強さ:JIS K 6911に準じて測定した。
(10)難燃性:UL94に基づき成形体を規定サイズに切断後測定した。
【0021】
表1における比較例2および3から、無機質バルーンの平均粒径が80μm未満では耐アーク性が劣り、比較例1から、平均粒径が150μmを超えると機械的強度が劣ることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の熱硬化性樹脂成形材料は、耐アーク性に優れるとともに、低比重、寸法安定性、耐熱性等の性能のバランスが良好であり、一般の成形材料として使用することもできるが、電気絶縁材料等として特に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)不飽和ポリエステル樹脂及び/又はエポキシエステル樹脂、(B)反応性希釈剤、(C)低収縮剤、(D)水酸化アルミニウム、(E)平均粒径80〜150μmの無機質バルーン、(F)ガラス繊維、および(G)硬化促進剤を含む熱硬化性樹脂成形材料。
【請求項2】
熱硬化性樹脂成形材料100質量部中成分(E)を10質量部以上含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂成形材料。
【請求項3】
前記成分(E)がセラミックバルーンである請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂成形材料。
【請求項4】
前記成分(A)が不飽和ポリエステル樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂成形材料。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の熱硬化性樹脂成形材料を成形してなる低比重成形体。

【公開番号】特開2010−65150(P2010−65150A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233129(P2008−233129)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(390022415)京セラケミカル株式会社 (424)
【Fターム(参考)】