説明

熱硬化性樹脂の分解処理装置および該樹脂の分解処理方法

【課題】熱硬化性樹脂中に無機固形物や高粘度樹脂などの不純物が混在している場合であっても、熱硬化性樹脂の分解反応時の圧力を調整しながら分解処理を連続的に行うことが可能な分解処理装置および分解処理方法を提供する。
【解決手段】分解処理装置は高温高圧場を利用して熱硬化性樹脂を連続的に分解処理する装置であって、熱硬化性樹脂を粉砕しながら供給する供給機10と、供給された熱硬化性樹脂を加熱しながら加圧する押出機11と、押出機内の加熱・加圧領域よりも下流側の領域に温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構16を接続し、押出機の下流に分解反応管12と、分解反応管の吐出口に管内の圧力を調整する圧力調整機構13と、圧力調整機構の下流に分解生成物を回収する分解生成物回収機構15とを具備し、圧力調整機構は流体流路の断面積をピストンの駆動により制御するバルブを2つ以上具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂を分解する技術に関し、特に発泡ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂の廃棄物を分解処理する装置および熱硬化性樹脂廃棄物の分解処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から廃棄物処理に掛かる手間と費用が高くなってきており、廃棄するだけでなくリサイクル利用しようという気運が高まっている。熱可塑性樹脂は加熱すれば流動性を増して再度成形可能であることから、マテリアルリサイクルが進みつつある。一方、熱硬化性樹脂は、分子の三次元的なネットワークにより単純に加熱しても流動化が生じず再成形が困難であることから、マテリアルリサイクルするための分解処理が必要である。
【0003】
例えば、熱硬化性樹脂の一種である発泡ポリウレタンは、しばしば断熱材として利用され、嵩密度が0.1 g/cm3程度以下と質量に対して容積が大きい。また、各気泡が独立していることから機械強度が高い。そのため、マテリアルリサイクルの前段としての分解処理において、まず減容の方法が重要な課題である。
【0004】
例えば、特許文献1には、圧力調整機構を備えているかまたは備えていない押出機、特に2軸スクリュー型押出機に対して発泡ポリウレタン付樹脂の破砕品を供給し、該押出機中で高温・高圧の処理液および/または処理液蒸気と一定の温度・圧力条件下で接触させるとともに溶融・混練して、発泡ポリウレタンを分解・微細化して溶融樹脂中へ均一微細分散し、吐出ノズルから押出すことによる発泡ポリウレタン付樹脂の連続再生処理法が開示されている。特許文献1によると、発泡ポリウレタンが貼り合わされた樹脂の従来の再生処理方法に比べて、処理条件や処理工程が簡単な方法で、連続的かつ安定的に発泡ポリウレタン付樹脂を再生することができるとされている。また、そのようにして得られた再生品を用いてインスツルメントパネルを製造した場合、新品製品と比べて外観(表面平滑性)や物性などの低下が極めて少ないものが得られるとされている。
【0005】
また、特許文献2には、熱硬化性樹脂を液状分解剤と混合して連続的に熱分解する方法であって、スクリュー式の押出機を用いて粉末状の熱硬化性樹脂と液状分解剤とを混合してスラリー状混合物を生成し、前記押出機から配管を介して熱分解器に連続的に供給する熱硬化性樹脂の熱分解方法が開示されている。特許文献2によると、粉末状の熱硬化性樹脂と液状分解剤との混合を押出機(特に2軸スクリュー式の押出機)内で行うので、それらを予め混合するミキサー等の混合手段を設ける必要がなく、熱分解システムを簡略化できると共に、効率よく且つスムーズにスラリー状混合物を配管に押し出すことができるとされている。また、スラリー状混合物の液成分の作用によりシール性を確保できるため、熱分解器において熱硬化性樹脂を酸素不存在下で連続的に熱分解してオリゴマー等を生成することができるとされている。
【0006】
また、特許文献3には、高分子化合物と該高分子化合物とを反応させる薬剤を反応容器内で反応させ、高分子処理物を生成する方法において、反応容器からの薬剤を含む高分子処理物を減圧して脱気用押出機に導入し、その脱気用押出機の上流側に、前記反応容器の体積の1倍以上の体積を有するベントボックスを接続し、脱気用押出機に供給された高分子処理物中に含まれる薬剤等をベントボックスに導入して分離した後、高分子処理物を脱気用押出機から押し出す高分子化合物の処理方法が開示されている。特許文献3によると、脱気用押出機がバックベントを有し、そのバックベントのベントボックスが反応容器の1倍以上の体積を有することによって、ベントボックスが圧力変動に対する緩衝作用を果たし、ポリマーと薬剤を安定して分離しかつ安定してガスを樹脂から脱気し、脱気用押出機への材料供給量に対する変動及び成形むらが少ない連続的かつ均質な成形が可能になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−20023号公報
【特許文献2】特開2007−204516号公報
【特許文献3】特開2005−330364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の処理方法は、処理のための反応時間を十分に確保できないという懸念がある。言い換えると、十分な反応時間を確保しようとすると押出機のスクリュー長さを十分に長くする必要が生じ、処理装置が過剰に大型化してしまう問題が生じる。一方、特許文献2に記載の処理方法では、押出機に取り付けられた熱分解器で処理することにより反応時間を確保している。ただし、この処理方法は、実質的に熱分解器におけるバッチ処理であり、スクリュー式の押出機を利用したことによる連続供給の利点は活かされていない。
【0009】
また、特許文献3に記載の処理方法は、前述したように、熱可塑性樹脂の分解反応に起因する圧力変動を押出機に設けたベントボックスによって吸収(緩衝)することで安定した連続処理を可能にしている。しかしながら、処理しようとする熱硬化性樹脂中に無機固形物(例えば、金属粉や酸化物粉)や非常に高い粘度を有する熱可塑性樹脂などの不純物が混在している場合、それらの不純物が押出機の吐出口に詰まって安定した連続処理が困難になる可能性が考えられる。
【0010】
従って、本発明の目的は、熱硬化性樹脂に対して高温高圧場を利用して分解処理する装置および方法において、処理しようとする熱硬化性樹脂中に無機固形物や高粘度樹脂などの不純物が混在している場合であっても、該熱硬化性樹脂の分解反応時の圧力を調整しながら分解処理を連続的に行うことが可能な分解処理装置および該樹脂の分解処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(I)本発明の1つの態様は、上記目的を達成するため、高温高圧場を利用して熱硬化性樹脂を連続的に分解処理する装置であって、処理しようとする前記熱硬化性樹脂を粉砕しながら供給する供給機と、供給された前記熱硬化性樹脂を加熱しながら加圧する押出機と、前記押出機内で前記熱硬化性樹脂が加熱・加圧される領域よりも下流側の領域に接続され温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構と、前記押出機の下流に配設され前記熱硬化性樹脂を分解処理する分解反応管と、前記分解反応管の吐出口に配設され該分解反応管内の圧力を調整する圧力調整機構と、前記圧力調整機構の下流に配設され分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構とを具備し、前記圧力調整機構は、流体流路の断面積をピストンの駆動により制御するバルブを2つ以上具備していることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置を提供する。
【0012】
なお、本発明において、熱硬化性樹脂の分解処理とは、該熱硬化性樹脂の原料に戻すことを言う。熱硬化性樹脂の原料としては、ワックスやオリゴマーが用いられる場合も有り、モノマーに限定されるものではない。また、本発明において、高温高圧場とは、100℃以上の温度でかつ熱硬化性樹脂に注入する薬剤(例えば、有機溶剤、無機水溶液、水)のその温度における蒸気圧以上に加圧した状態、または、薬剤の臨界温度以上でかつ1 MPa以上の圧力の状態をいう。
【0013】
本発明は、上記の本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置に対して以下のような改良や変更を加えることができる。
(i)隣接する前記バルブ同士をつなぐバルブ間配管の容積が、前記分解反応管の容積の1/100以上1/3以下の範囲にある。
(ii)前記圧力調整機構は、前記バルブ間配管が水平状態に設置されている。
(iii)前記圧力調整機構は、前記バルブ間配管が下り勾配状態に設置されている。
(iv)前記圧力調整機構と前記分解生成物回収機構とをつなぐ回収配管は、該回収配管内を通る前記分解生成物が前記圧力調整機構から自然落下するように配設されており、前記回収配管の流路断面積が、前記バルブ内の流路断面積よりも大きい。
(v)前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはポリエステルである。
【0014】
(II)本発明の他の1つの態様は、上記目的を達成するため、高温高圧場を利用して熱硬化性樹脂を連続的に分解処理する方法であって、処理しようとする前記熱硬化性樹脂を供給機内で粉砕しながら供給する工程と、供給された前記熱硬化性樹脂を押出機内で加熱しながら加圧する工程と、加熱・加圧された前記熱硬化性樹脂に温度調整された薬剤を注入・混合する工程と、前記押出機の下流に配設される分解反応管内において、前記分解反応管の吐出口に配設された圧力調整機構によって該分解反応管内の圧力を調整しながら前記熱硬化性樹脂を分解反応する工程と、分解処理された分解生成物を回収する工程とを有し、前記圧力調整機構は、流体流路の断面積をピストンの駆動により制御するバルブを2つ以上具備しており、前記分解反応管内が所定の圧力を超えた時に、前記2つ以上のバルブの前記ピストンを交互に駆動させることにより該分解反応管内の圧力を調整することを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記の本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理方法に対して以下のような改良や変更を加えることができる。
(vi)前記分解反応管内の圧力の調整は、前記2つ以上のバルブの1つを全開にする際に、隣接するバルブの開度を60%以下とするように前記ピストンを交互に駆動させて行う。
(vii)前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはポリエステルである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、処理しようとする熱硬化性樹脂中に無機固形物や高粘度樹脂などの不純物が混在している場合であっても、該熱硬化性樹脂の分解反応時の圧力を調整しながら分解処理を連続的に行うことが可能な分解処理装置および該樹脂の分解処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置の1例を示す断面模式図である。
【図2】本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置における圧力調整機構の構造および操作方法の1例を示す断面模式図である。
【図3】本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置における圧力調整機構の構造および操作方法の他の1例を示す断面模式図である。
【図4】分解生成物回収機構の構成例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る分解処理装置および分解処理方法について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
【0019】
[分解処理装置]
図1は、本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置の1例を示す断面模式図である。図1に示したように、本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置は、大別すると、処理しようとする熱硬化性樹脂Pを粉砕しながら供給する供給機10と、供給された熱硬化性樹脂を加熱しながら加圧する押出機11と、押出機11の末部領域に接続され温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構16と、押出機11の下流に配設され熱硬化性樹脂を分解処理する分解反応管12と、分解反応管12の吐出口に配設され該分解反応管12内の圧力を調整する圧力調整機構13と、圧力調整機構13の下流に配設され分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構15とから構成される。以下では、より詳細に説明する。
【0020】
(供給機および供給工程)
供給機10には、処理しようとする熱硬化性樹脂Pを投入するためのホッパ10hが設けられている。ホッパ10hに熱硬化性樹脂Pを投入すると、熱硬化性樹脂Pは供給機10内で粉砕されて押出機11に供給される(供給工程)。供給機10内には攪拌器(図示せず)が設けられていることが好ましく、それにより粉砕された熱硬化性樹脂Pの大きさを均等化することができる。
【0021】
押出機を用いて一般的なポリマー原料(例えば、ペレット状の中実原料)の押し出しを行おうとする場合、必ずしも供給機を用いる必要はない。しかしながら、発泡ポリマーのように嵩密度が小さくブリッジしやすい材料を扱う場合には、供給機10を用いて粉砕物の大きさを整えると共にブリッジしないように制御しながら押出機11に供給することが好ましい。供給機10としては、例えば、スクリューフィーダ、テーブルフィーダ、サークルフィーダなどを好適に用いることができる。また、供給量を測定して供給速度を自動調整するロスインウェイト方式が好ましい。
【0022】
(押出機および加熱加圧工程)
押出機11の形式に特段の限定はなく、単軸押出機の他、二軸押出機や多軸押出機であってもよい。押出機11は、粉砕された熱硬化性樹脂Pが供給され加熱される供給ゾーンZaと、熱硬化性樹脂Pが加熱されながら加圧される加圧ゾーンZbと、加熱加圧されて溶融した熱硬化性樹脂Pを充満させてシールのようにするシールゾーンZcとに分けられる。供給ゾーンZaには、供給機10からの熱硬化性樹脂Pを受けるホッパ11hが設けられている。なお、ホッパ11hにおける熱硬化性樹脂Pによるブリッジを防ぐためには、押出機11のシリンダ11cに設けられた開口部11a(ホッパ11hの底部の開口部)の50%超を熱硬化性樹脂Pが塞がないように熱硬化性樹脂Pの供給を制御することが望ましい。
【0023】
供給された熱硬化性樹脂Pは、押出機11のモータ21によって駆動されるスクリュー11sの回転により押出機11内に取り込まれ、供給ゾーンZaで加熱溶融されながら加圧ゾーンZbに送り出される。送り出された熱硬化性樹脂Pは、加圧ゾーンZbで加熱・加圧されながら更に送り出され、溶融した熱硬化性樹脂PでシールゾーンZcを形成する。1例として熱硬化性樹脂Pがポリウレタンである場合、供給ゾーンZaの温度は100〜170℃が好ましく、加圧ゾーンZbの温度は130〜200℃が好ましく、シールゾーンZcの温度は150〜210℃が好ましく、供給ゾーンZaからシールゾーンZcに掛けて温度が高くなっていくようにする。また、圧力としては、0.5〜10 MPaが好ましい。なお、シールゾーンZcの末部にシールリング(図示せず)を設けてもよい。以上が加熱加圧工程である。
【0024】
(薬剤注入機構および薬剤注入混合工程)
押出機11のシールゾーンZcの下流側(押出機11の吐出口11dの近く)には、薬剤注入口11iが設けられており、温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構16が接続されている。薬剤注入機構16は、薬剤タンク17と、薬剤タンク17と薬剤注入口11iとを結ぶ薬剤配管18と、薬剤配管18に接続され薬剤を加圧して供給する薬剤ポンプ19と、薬剤配管18内の薬剤を加熱するヒータ20とからなる。薬剤配管18には、溶融した熱硬化性樹脂Pが逆流してこないように、逆止弁(図示せず)を設けることが望ましい。
【0025】
薬剤注入機構16により、温度調整した薬剤が注入され押出機11内で熱硬化性樹脂Pと混合される。薬剤を温度調整してから注入することにより、熱硬化性樹脂Pの温度変動を最小限に抑えることができ、分解反応をスムーズに進行させることができる。また、薬剤注入口11iの上流側にはシールゾーンZcが形成されていることから、注入された薬剤や薬剤と熱硬化性樹脂Pとの混合物が押出機11の上流側へ逆流することを防ぐことができる。以上が薬剤注入混合工程である。
【0026】
薬剤とは、熱硬化性樹脂Pの分解反応に利用される物質であり、常温常圧で液体のものを言う。例えば、有機溶媒としては、一価のアルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、i-ペンチルアルコールなど)、二価のアルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなど)、三価のアルコール(グリセリンなど)、その他の多価アルコール、アミン類(エタノールアミン、プロピルアミンなど)、植物油、ケトン類(アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(アセト酢酸エチルなど)、アルデヒド類(アセトアルデヒドなど)、エーテル類(ジエチルエーテルなど)が挙げられる。水溶液としては、酸性水溶液(硝酸、塩酸、酢酸など)、アルカリ性水溶液(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)が挙げられる。また、反応系によっては水も薬剤として利用される。
【0027】
(分解反応管、圧力調整機構および分解反応工程)
押出機11の下流(吐出口11dの下流)には、薬剤と混合された熱硬化性樹脂Pを分解処理する分解反応管12が接続され、分解反応管12の吐出口12dには、分解反応管12内の圧力を調整する圧力調整機構13が設けられている。上述の薬剤注入口11iから分解反応管12の吐出口12dまでの領域が反応ゾーンZdとなる。本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置は、反応ゾーンZdを有することにより十分な分解反応時間を確保できることから、分解生成物を安定して生成することができる。
【0028】
分解反応管12は、円筒状の構造を有し、その内径が押出機11のスクリュー11sの外径の1〜3倍であることが好ましい。細過ぎると反応ゾーンZd内の滞留時間が長くなり過ぎて分解反応時間の制御が困難になる。一方、太過ぎると反応ゾーンZd内の滞留時間に分布が生じ、分解反応の均一性が低下する。1例として熱硬化性樹脂Pがポリウレタンである場合、反応ゾーンZdの温度は200〜300℃が好ましく、シールゾーンZcよりも温度が高くなるようにする。また、分解反応時間(反応ゾーンZd内の滞留時間)としては5〜30分間が好ましい。
【0029】
また、前述したように、処理しようとする熱硬化性樹脂P中に無機固形物(例えば、金属粉や酸化物粉)や非常に高い粘度を有する熱可塑性樹脂などの不純物Sが混在している場合、それらの不純物Sが分解反応管12の吐出口12dに詰まって安定した連続処理が困難になる可能性がある。そこで、本発明においては、分解反応管12内が所定の圧力を超えた時に、2つ以上のバルブのピストンを交互に駆動させることにより分解反応管12内の圧力を調整する。これにより、不純物を含む熱硬化性樹脂であっても、連続的に分解処理を行うことができる。
【0030】
図2は、本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置における圧力調整機構の構造および操作方法の1例を示す断面模式図である。図2に示したように、本発明における圧力調整機構13は、2つ以上のバルブ(例えば、第1バルブ131、第2バルブ132)を具備しており、高温高圧流体の流れを制御する観点から、各バルブはピストン(例えば、第1バルブピストン131p、第2バルブピストン132p)の駆動により流体流路の断面積を制御するタイプのバルブ(いわゆるピストンバルブ)が好ましい。また、隣接するバルブ同士をつなぐバルブ間配管13jは水平状態に設置されている。
【0031】
一般的な圧力調整装置、流量調整装置であるニードル弁や背圧弁などは、バルブ内で流路が複雑に折れ曲がっている。しかしながら、流路が複雑に折れ曲がっていると、堆積した不純物をスムーズに排出できない問題が生じやすい。言い換えると、流路は、全体として流体が自然に流れることができるような単純な構成であることが好ましい。この観点からも、バルブ内流路の構成が単純であるピストンバルブが好ましく、バルブ間配管は水平状態や下り勾配状態に設置されることが好ましい。
【0032】
圧力調整機構13の操作手順をより具体的に説明する。第1バルブ131に不純物Sが堆積して分解反応管12内の圧力が所定値を超えた場合、第2バルブピストン132pを駆動して第2バルブ132を所定の開度まで閉じた後、第1バルブピストン131pを駆動して第1バルブ131を全開にする。次に、第1バルブピストン131pを駆動して第1バルブ131を所定の開度まで閉じた後、第2バルブピストン132pを駆動して第2バルブ132を全開にする。これにより、分解反応管12内の圧力を急激に大きく変動させることなく(必要以上に低下させることなく)、堆積した不純物Sをスムーズに排出することができる。以上が分解反応工程となる。
【0033】
なお、上記の閉じる方のバルブにおける所定の開度は、薬剤および分解生成物の性質や、不純物Sの性質・大きさ・量に依存するが、基本的に分解反応管12内の圧力を基準にして決めればよい。ただし、全開時のバルブ内流路断面積を100%としたときに、閉じる方のバルブ開度は60%以下とすることが好ましい。
【0034】
図2においては流体の流れ方向に対して直交するようにピストンが駆動しているが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、流体の流れ方向に対して斜交するようにピストンが駆動してもよい。また、圧力調整するバルブを3つ以上具備する場合は、上記と同様の手順で隣接するバルブのピストンを交互に駆動すればよい。
【0035】
図3は、本発明に係る熱硬化性樹脂の分解処理装置における圧力調整機構の構造および操作方法の他の1例を示す断面模式図である。図2においては、隣接するバルブ同士をつなぐバルブ間配管13jが水平状態に設置されている例を示したが、図3においては、バルブ間配管14jが下り勾配状態に設置されている例を示した。図3に示したように、本発明における圧力調整機構14は、ピストン(例えば、第1バルブピストン141p、第2バルブピストン142p)の駆動により流体流路の断面積を制御するタイプの2つ以上のバルブ(例えば、第1バルブ141、第2バルブ142)を具備している。堆積した不純物Sを排出する手順も、図2の例と同様である。
【0036】
バルブ間配管13j,14jの容積は、分解反応管12の容積の1/100以上1/3以下が好ましい。バルブ間配管13j,14jの容積が分解反応管12の容積の1/100未満の場合、容積変動が小さ過ぎて堆積した不純物Sをスムーズに排出することができない。一方、バルブ間配管13j,14jの容積が分解反応管12の容積の1/3超の場合、容積変動が大き過ぎて圧力変動が大きくなると共に分解反応時間のバラツキの要因となることから好ましくない。
【0037】
(回収配管)
圧力調整機構13の下流には、分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構15が回収配管33を介して接続されている。回収配管33は、その流路断面積を圧力調整機構13の閉じている方(絞っている方)のバルブ内の流路断面積の5倍以上とすることが好ましい。より具体的には、前述したように、閉じている方のバルブ開度を60%以下とすることから、回収配管33の流路断面積は、バルブ全開時のバルブ内流路断面積の300%以上(3倍以上)とすることが好ましい。それにより、圧力調整機構13を通過した分解生成物の圧力を解放し、分解反応が過剰に進行しないようにすることができる。また、圧力調整機構13による分解反応管12内の圧力調整に伴って、分解生成物に加えて不純物Sが圧力調整機構13から排出されるが、回収配管33の流路断面積を上記のように設定することにより、圧力解放された不純物Sによる回収配管33の閉塞を防止することができる。さらに、回収配管33は、不純物Sが滞留しないで自然落下するように下り勾配状態で(例えば、鉛直方向に)配設されていることが好ましい(図1参照)。
【0038】
(分解生成物回収機構および分解生成物回収工程)
分解生成物は、圧力調整機構13と回収配管33とを通過して、分解生成物回収機構15で回収される。本発明において、分解生成物回収機構15に特段の限定はないが、好適な例について以下説明する。
【0039】
図4は、分解生成物回収機構の構成例を示す断面模式図である。図4に示したように、分解生成物回収機構15は、分解生成物を冷却するために冷媒を内蔵する冷却ジャケット24を外周に備え、不純物Sを捕捉し分解生成物を濾過するフィルタ25が内部に設けられ、回収した分解生成物の排出弁26が下部に設けられている。また、分解生成物回収機構15には、分解生成物回収機構15の内部圧力が過剰に上昇したときにガスを排出する安全弁32が接続されている。
【0040】
分解処理装置の起動時や停止時には分解反応の条件(環境)が安定せず、完全に分解していない生成物(不完全分解生成物)が吐出されることがある。そこで、分解生成物回収機構15の密閉性を犠牲にせずに該不完全分解生成物を除くため、分解生成物回収機構15には、可動式の不完全分解生成物回収容器40を設けることが好ましい。可動式の不完全分解生成物回収容器40は、L字に曲がったアーム41にて分解生成物回収機構15の頂板に取り付けられており、アーム41は、頂板にO(オウ)リング等のシール装置42により密閉性を損なうことなく回転自在に取り付けられている。
【0041】
分解処理装置の起動時には、熱可塑性樹脂Pの分解反応が不十分であるため、分解反応管12内の圧力が一時的に上昇する。その後、熱可塑性樹脂Pの分解反応が十分に進行するようになると、分解反応管12内の圧力が低下して一定値に達する。具体的な手順としては、まず、アーム41を駆動して不完全分解生成物回収容器40を回収配管33の直下に配置し、分解反応管12内の圧力が安定するまで不完全分解生成物を回収する。分解反応管12内の圧力が安定した後、不完全分解生成物回収容器40を移動して、目的とする分解生成物を分解生成物回収機構15内に回収する。これにより、目的とする分解生成物に不完全分解生成物が混入することを防止することができる。分解処理装置の停止時には、上記と逆の手順を行えばよい。以上が分解生成物回収工程となる。なお、不完全分解生成物回収容器40の操作は、分解反応管12の内部圧力を測定する圧力測定装置(図示せず)の測定値を基に自動制御されることが好ましい。
【0042】
一方、処理しようとする熱硬化性樹脂Pが廃棄物である場合、分解処理装置に投入される材料の性状にバラツキがあるので、装置運転中にときどき分解生成物の状態をチェックすることが望ましい。そこで、分解生成物回収機構15の密閉性を犠牲にせずに分解生成物をサンプリングするため、分解処理装置には、サンプリング器具34を設けることが好ましい。なお、図1、図4においては、サンプリング器具34を回収配管33に設けたが、分解生成物回収機構15に設けてもよい。
【0043】
図4に示したように、サンプリング器具34は、主に、回収配管33に接続されたホルダー35と、ホルダー35の一端に設けられたボール弁36と、ホルダー35内に移動自在に設けられ先端部が半割になっているサンプリング管37と、ホルダー35とサンプリング管37との間をシールするシール継手38とから構成される。ホルダー35は、サンプリングした生成物を取り出すためのホルダー後端部35aと、回収配管33に接続されるホルダー基部35bとからなり、シール継手38は、ホルダー後端部35aとホルダー基部35bとの固定を兼ねている。シール継手38としては、締め付けて固定するネジ式タイプなどが好適である。
【0044】
具体的な手順としては、ボール弁36を開いてサンプリング管37の先端を回収配管33の流路に差し込み、回収配管33内を流下する生成物をサンプリング管37で直接採取する。次に、サンプリング管37をボール弁36より後方に移動したのち、ボール弁36を閉じる。次に、シール継手38を緩めてホルダー後端部35aを取り外し、サンプリング管37で採取した生成物を取り出す。これにより、任意のタイミングで生成物の状態をチェックすることができる。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいてより詳細に説明する。ただし、本発明は、ここで取り上げた実施例に限定されることはなく、そのバリエーションを含む。
【0046】
[実施例1]
図1に示した構成を有する分解処理装置を用いて、熱硬化性樹脂を分解処理する実験を行った。分解処理を行う熱硬化性樹脂材料Pとしては、断熱用に用いられている発泡ポリウレタンを粉砕し、目開き5 mmでメッシュ分級した発泡ポリウレタン粉末を用いた。また、熱硬化性樹脂材料Pには、実験用不純物S(ポリプロピレンフィルム(約5 mm角)、アルミ箔(約5 mm角)、ガラス繊維(数十μm長))を添加混合した。なお、発泡ポリウレタン粉末の大きさは、本実験で用いた押出機11の大きさに合わせたものであり、言うまでもなく上記に限定されるものではない。
【0047】
供給機10としては、攪拌器付きのフィーダを用い、押出機11のシリンダ11cに設けられた開口部11a(ホッパ11hの底部の開口部)の50%超を熱硬化性樹脂Pが塞がないように、2 g/minの歩合で熱硬化性樹脂材料Pをホッパ11hへ供給した。これは、発泡ポリウレタン粉末が非常にブリッジしやすいため、開口部11aの50%超を覆った場合に熱硬化性樹脂Pの押出機11への供給が安定せず、分解処理のプロセスが不安定になるからである。
【0048】
押出機11としては、スクリュー径Dが20 mm、スクリュー長さLが500 mm(L/D=25)、シリンダ内径が20 mmの単軸押出機を用いた。スクリュー11sの回転速度は20〜150 rpmとして実験を行った。この回転速度は、スクリュー11sで熱硬化性樹脂材料Pに加える剪断速度として40〜300 /sに相当する。押出機11の供給ゾーンZaの温度は160℃とし、加圧ゾーンZbの温度は170℃とし、シールゾーンZcの温度は170℃とした。また、押出圧力が5 MPaとなるようにスクリュー11sの回転速度を制御した。
【0049】
薬剤注入口11iは、スクリュー11sの先端からホッパ11h側に1.5D(30 mm)戻った位置のシリンダ11cに設けた。薬剤注入機構16を利用して薬剤注入口11iから温度調整した薬剤(ジエチレングリコール、温度:300℃、歩合:2 g/min)を注入した。薬剤配管18におけるできるだけ薬剤注入口11iの近くに、ボール逆止弁(ボールストローク:1 mm)を設けた。これは、加熱溶融した樹脂が薬剤配管18に流入することを防ぐためである。
【0050】
分解反応管12としては、熱硬化性樹脂材料Pの分解反応時間(反応ゾーンZd内の滞留時間)が25分間程度となるように、容積100 mLの円管を用いた。反応ゾーンZdの温度は260℃とした。また、分解反応管12の吐出口12dには、2つのピストンバルブ(第1バルブ131、第2バルブ132)を具備する圧力調整機構13を設けた。バルブ間配管13jの容積は12 mLとし、圧力調整機構13の温度は240℃に設定した。なお、圧力調整機構13の設定温度は、反応ゾーンZd内に存在する物質中で最も沸点が低いと考えられる薬剤(ジエチレングリコール)の沸点以下とすることにより、圧力調整機構13内での物質の相転移を防止して材料流れの制御を容易にすることを意図したものである。
【0051】
圧力調整機構13における定常運転時のバルブ操作は、一方のバルブ(例えば、第2バルブ132)を完全に開放し(100%開度)、分解反応管12内の圧力が「定常運転時の所定圧力±2 MPa」の範囲になるように、他方のバルブ(例えば、第1バルブ131)を5〜60%開度の範囲で調節した。ここで、不純物Sの堆積により分解反応管12内の圧力が前記圧力範囲を超えそうな場合、前記一方のバルブ(第2バルブ132)を5〜10%開度に閉めた後、前記他方のバルブ(第1バルブ131)を完全に開放し、その後、前記他方のバルブ(第1バルブ131)を5〜60%開度の範囲に調節して、最後に、前記一方のバルブ(第2バルブ132)を完全に開放するサイクルを行った。必要に応じて、該サイクルを繰り返した。
【0052】
分解生成物回収機構15としては、薬剤の蒸気を漏らさないように、密閉された回収容器を用いた。分解生成物回収機構15の回収容器は、冷却ジャケット24を具備しており、冷却ジャケット24内に冷媒(0℃)を流すことにより容器内を冷却して薬剤蒸気の発生を抑えた。また、安全弁32を取り付けて回収容器内が1 MPa以上にならないようにした。なお、不完全分解生成物や不純物Sを分別回収しやすくするために、回収配管33は鉛直方向に設置した。
【0053】
以上の実験の結果、分解処理する出発材料として不純物Sが混在する発泡ポリウレタン粉末を用いても、連続的・安定的な分解処理が可能となり、分解生成物と不純物Sとを分別回収できることが確認された。また、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステルを用いた場合であっても、同様に連続的・安定的な分解処理が可能であることを別途確認した。
【0054】
[比較例1]
実施例1の分解処理装置を用い、圧力調整機構13の2つのバルブのうち一方のバルブのみを操作して熱硬化性樹脂材料Pの分解処理を試みた(他方のバルブは全開)。その結果、定常運転の開始90分経過後から圧力調整機構13のバルブを60%開放しても分解反応管12の圧力が上昇しつづけ、分解反応管12内の圧力制御が困難になった。そこで、やむを得ず該バルブを更に開けたところ、分解反応管12内部の物質が一気に噴出すると共に分解反応管12内の圧力が0.2 MPa以下まで低下し、分解反応に必要な圧力(0.5 MPa以上)を保持できなかった。すなわち、連続的・安定的な分解処理は困難であることが確認された。
【0055】
[比較例2]
実施例1の分解処理装置の圧力調整機構13の下流にブレーカプレートを更に設けた分解処理装置を用意した。比較例1と同様に、圧力調整機構13の2つのバルブのうち一方のバルブのみを操作して熱硬化性樹脂材料Pの分解処理を試みた(他方のバルブは全開)。その結果、定常運転の開始300分経過後から圧力調整機構13のバルブを100%開放しても分解反応管12の圧力が上昇しつづけ、分解反応管12内の圧力制御が困難になったため分解処理装置を停止した。すなわち、連続的・安定的な分解処理は困難であることが確認された。
【符号の説明】
【0056】
10…供給機、10h…ホッパ、
11…押出機、11h…ホッパ、11a…開口部、11c…シリンダ、11s…スクリュー、
11d…吐出口、11i…薬剤注入口、
12…分解反応管、12d…吐出口、
13…圧力調整機構、131,141…第1バルブ、132,142…第2バルブ、
131p,141p…第1バルブピストン、132p,142p…第2バルブピストン、
13j,14j…バルブ間配管、
15…分解生成物回収機構、
16…薬剤注入機構、17…薬剤タンク、18…薬剤配管、19…薬剤ポンプ、20…ヒータ、
21…モータ、
24…冷却ジャケット、25…フィルタ、26…排出弁、
32…安全弁、33…回収配管、
34…サンプリング器具、35…ホルダー、35a…ホルダー後端部、35b…ホルダー基部、
36…ボール弁、37…サンプリング管、38…シール継手、
40…不完全分解生成物回収容器、41…アーム、42…シール装置、
P…熱硬化性樹脂、S…不純物、
Za…供給ゾーン、Zb…加圧ゾーン、Zc…シールゾーン、Zd…反応ゾーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温高圧場を利用して熱硬化性樹脂を連続的に分解処理する装置であって、
処理しようとする前記熱硬化性樹脂を粉砕しながら供給する供給機と、
供給された前記熱硬化性樹脂を加熱しながら加圧する押出機と、
前記押出機内で前記熱硬化性樹脂が加熱・加圧される領域よりも下流側の領域に接続され温度調整した薬剤を注入する薬剤注入機構と、
前記押出機の下流に配設され前記熱硬化性樹脂を分解処理する分解反応管と、
前記分解反応管の吐出口に配設され該分解反応管内の圧力を調整する圧力調整機構と、
前記圧力調整機構の下流に配設され分解処理された分解生成物を回収する分解生成物回収機構とを具備し、
前記圧力調整機構は、流体流路の断面積をピストンの駆動により制御するバルブを2つ以上具備していることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
隣接する前記バルブ同士をつなぐバルブ間配管の容積が、前記分解反応管の容積の1/100〜1/3の範囲にあることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記圧力調整機構は、前記バルブ間配管が水平状態に設置されていることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記圧力調整機構は、前記バルブ間配管が下り勾配状態に設置されていることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記圧力調整機構と前記分解生成物回収機構とをつなぐ回収配管は、該回収配管内を通る前記分解生成物が前記圧力調整機構から自然落下するように配設されており、
前記回収配管の流路断面積が、前記バルブ内の流路断面積よりも大きいことを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の分解処理装置において、
前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはポリエステルであることを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理装置。
【請求項7】
高温高圧場を利用して熱硬化性樹脂を連続的に分解処理する方法であって、
処理しようとする前記熱硬化性樹脂を供給機内で粉砕しながら供給する工程と、
供給された前記熱硬化性樹脂を押出機内で加熱しながら加圧する工程と、
加熱・加圧された前記熱硬化性樹脂に温度調整された薬剤を注入・混合する工程と、
前記押出機の下流に配設される分解反応管内において、前記分解反応管の吐出口に配設された圧力調整機構によって該分解反応管内の圧力を調整しながら前記熱硬化性樹脂を分解反応する工程と、
分解処理された分解生成物を回収する工程とを有し、
前記圧力調整機構は、流体流路の断面積をピストンの駆動により制御するバルブを2つ以上具備しており、
前記分解反応管内が所定の圧力を超えた時に、前記2つ以上のバルブの前記ピストンを交互に駆動させることにより該分解反応管内の圧力を調整することを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の熱硬化性樹脂の分解処理方法において、
前記分解反応管内の圧力の調整は、前記2つ以上のバルブの1つを全開にする際に、隣接するバルブの開度を60%以下とするように前記ピストンを交互に駆動させて行うことを特徴とする熱硬化性樹脂の分解処理方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の熱硬化性樹脂の分解処理方法において、
前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、またはポリエステルであることを特徴とする熱硬化性樹脂を分解処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−53210(P2013−53210A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191718(P2011−191718)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】