説明

熱硬化性組成物

(a)97.9〜40重量%の、非置換又はそれぞれのヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つの非置換部位を有する置換ビスフェノール、ホルムアルデヒド、及び第1級アミンの反応によって製造される少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);(b)2〜50重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び(c)0.1〜10重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される少なくとも1種類の硬化触媒(ここで、重量%は組成物中の成分(a)、(b)、及び(c)の合計量を基準とし、但し(a)、(b)、及び(c)は合計して100重量%になる);並びに(d)場合によっては他の成分;を含む熱硬化性組成物。これらの組成物の硬化生成物は、価値のある化学的、物理的、及び機械的特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)97.9〜40重量%の、非置換又はそれぞれのヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つの非置換部位を有する置換ビスフェノール、ホルムアルデヒド、及び第1級アミンの反応によって製造される少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);(b)2〜50重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び(c)0.1〜10重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される少なくとも1種類の硬化触媒;を含む熱硬化性組成物に関する。本発明は、また、この熱硬化性組成物の硬化樹脂による材料を製造するためのこの組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾオキサジン化合物は、含浸、被覆、積層、又は成形プロセスによって、プレプリグ、積層体、成形材料、RTM(樹脂トランスファー成形)系、シーラント、焼結粉末、注型物品、構造複合部品、ワニス、表面被覆、電気及び電子部品を製造するために満足に用いられている。かかる樹脂は寸法安定性であり、良好な電気及び機械抵抗、低い収縮性、低い吸水性、中〜高のガラス転移温度、及び機械特性に関して良好な保持特性を有する。
【0003】
ベンゾオキサジン化合物は、幾つかの周知の方法で、ビスフェノールと第1級アミン及びホルムアルデヒドを反応させることによって容易に製造することができ、ここではプロセスは溶媒の存在下(例えば、US5,152,993又はUS5,266,695を参照)、或いは溶媒の不存在下(例えばUS5,543,516を参照)で行うことができる。ノボラック、ポリエポキシド、又はポリアミンのような硬化剤を場合によっては触媒と一緒に用いるか、或いは接触及び/又は熱硬化を用いることによる共通した製造及び種々の硬化の可能性、並びに樹脂の価値のある特性により、この種の熱硬化性樹脂は魅力のあるものになっている。
【0004】
EP−0149987−A2においては、ポリフェノールのジヒドロベンゾオキサジン及び反応性ポリアミン又はポリアミン生成化合物を含む、向上した保存安定性を有する熱硬化性樹脂組成物が記載されている。この組成物は、成形カプセル封入物品又は積層体、或いは被覆の製造のために用いられる。この組成物は、表面被覆用途のために有機溶媒中の溶液として好都合に用いられる。ポリ(ジヒドロベンゾオキサジン)及びポリアミンを含む溶液はポリアミンの有機酸塩を形成することによって安定化され、ここで酸は好ましくは揮発性の脂肪族モノカルボン酸から選択される。唯一開示されている有機酸添加の目的は、ほぼ室温における溶液の安定化である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US5,152,993
【特許文献2】US5,266,695
【特許文献3】US5,543,516
【特許文献4】EP−0149987−A2
【発明の概要】
【0006】
ここで、驚くべきことに、有機酸は、ビス(ジヒドロベンゾオキサジン)化合物及び有機ポリアミンの重合のための優れた硬化触媒であり、向上した反応性及び相応して高温でのより低いゲル化時間を与えることが見出された。また、ビス(ジヒドロベンゾオキサジン)化合物、有機ポリアミン、及びアルキレンジカルボン酸のような有機多価酸触媒を含む組成物は、増加した反応性に関して非常に高い潜在性及び保存安定性を有することも見出された。混合された成分は1つの容器内で保存してユーザーまで輸送することができ、これは大きな経済的有利性であり、ユーザーにとって更に一層満足できるものである。更に、より高い反応性によって流動性が低下することにより、プレス処理のような成形操作中の処理性及び制御性が向上し、これにより向上した寸法正確性が得られる。硬化したポリマーは、それらの高いガラス転移温度に由来する高温安定性、良好な機械特性、及び同様に良好な物理特性を有する。ガラス転移温度は、硬化を有機多価酸の存在下で行うと、予期しなかったことに、より高くなる。モノマーの選択により、低下した燃焼性さえも達成することができる。
【0007】
本発明の第1の対象は、
(a)97.9〜40重量%の、非置換又はそれぞれのヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つの非置換部位を有する置換ビスフェノール、ホルムアルデヒド、及び第1級アミンの反応によって製造される少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);
(b)2〜50重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び
(c)0.1〜10重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される少なくとも1種類の硬化触媒(ここで、重量%は組成物中の成分(a)、(b)、及び(c)の合計量を基準とし、但し(a)、(b)、及び(c)は合計して100重量%になる);並びに
(d)場合によっては他の成分;
を含む熱硬化性組成物である。
【0008】
「他の反応性基を有しない」という用語は、酸中にはカルボン酸基、スルホン酸基、又はホスホン酸基のみが存在し、重合反応を妨げる他の基を有しないことを意味する。かかる妨害性基の例は、ヒドロキシル、チオール、アミン、又はアミドである。本発明に関連して、(ポリアミンにおける)アミンという用語は、第2級、又は好ましくは第1級アミン基のような反応性アミンを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の好ましい態様においては、本発明の組成物は、
(a)96.5〜50、好ましくは96.5〜60、より好ましくは96〜70重量%の少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);
(b)3〜42、好ましくは3〜34、より好ましくは3.5〜25重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び
(c)0.5〜8、好ましくは0.5〜6、より好ましくは0.5〜5重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される硬化触媒;
を含む。
【0010】
芳香族ポリアミンの低い含量を有する硬化樹脂は、それぞれより高いガラス転移温度及び熱安定性を有することが分かった。更に、かかる熱硬化性組成物は昇温温度において非常に反応性である。したがって、他の好ましい態様においては、本発明の組成物は、
(a)97.9〜80、好ましくは97〜83、より好ましくは96.5〜85重量%の少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);
(b)2〜15、好ましくは2.5〜12、より好ましくは3〜10重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び
(c)0.1〜5、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.5〜5重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される硬化触媒;
を含む。
【0011】
本発明の組成物は、130℃を超えるような高温において硬化させる。硬化触媒は硬化プロセスを促進させるために有用である。これらは、好ましくは、熱硬化性プラスチックの特性に影響を与える揮発性の分解生成物の形成を回避するために低いレベルで含ませる。非常に好ましい態様においては、硬化触媒の量は0.5〜4重量%である。
【0012】
好ましい硬化触媒は、骨格内に1〜20個、好ましくは2〜12個の炭素原子を有する、脂肪族又は芳香族のポリカルボン酸、ポリスルホン酸、及びポリホスホン酸である。酸基と結合する脂肪族及び芳香族残基(骨格)は、O、S、−N=、C=O、及び−N(C〜Cアルキル)のようなヘテロ原子及び基を含んでいてよい。脂肪族又は芳香族残基は、非置換であっても、或いは1つ以上のC〜Cアルコキシ基又はハロゲン(F又はCl)で置換されていてもよい。酸は、好ましくは1〜4つ、より好ましくは1又は2つのカルボン酸基、スルホン酸基、又はホスホン酸基を含んでいてよい。脂肪族又は芳香族残基は、アルカン、アルケン、シクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、シクロアルケン、ヘテロシクロアルケン、炭環式又は複素環式芳香族化合物、例えばC〜C18アルキレン、C〜C18アルケニレン、C〜C12シクロアルキレン、C〜C12ヘテロシクロアルキレン、C〜C18アリーレン、C〜C18ヘテロアリーレンから選択することができる。酸の好ましい群は、式:Y−C2n−Y、Y−C2n−2−Y、及びY−C〜C10アリーレン−Y(ここで、Yは、基:−COOH、−SOH、又は−POから選択され、nは1〜12、好ましくは1〜6の数である)のものから選択される。
【0013】
カルボン酸に関する幾つかの好ましい例は、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、ノニル−又はドデシル−コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸である。他の例は、メチレンジスルホン酸、エチレンジスルホン酸、ベンゼン−1,4−ジスルホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸、及びベンゼン−1,4−ジホスホン酸である。
【0014】
ビスフェノールをベースとするビス(ジヒドロベンゾオキサジン)は周知であり、商業的に入手することができ、周知で公開されている方法にしたがって製造することができる。ビスフェノールをベースとするビス(ジヒドロベンゾオキサジン)は式I:
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、
は、非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されている、C〜C18アルキル、又はC〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキル−C〜Cアルキル、C〜C18アリール、又はC〜C18アリール−C〜Cアルキルであり;
は、水素;ジアルキルアミノ;アルキルチオ;アルキルスルホニル;C〜C18アルキル;C〜C18アルコキシ;C〜C18アルコキシアルキル;非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C12シクロアルキル;非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C12アリール;或いは、非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C13アラルキルであり;
は、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−SO−O−、−O−SO−O−、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−O−、−NR−C(O)−NR−、−NRSO−、−NR−SO−O−、−O−SONR−、−NRSO−NR−、−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−(O)P(OR)−、−P(OR)−、−P(R)−、−O−(O)P(R)−O−、C〜C18アルキレン、C〜C18アルキリデン、C〜C12シクロアルキレン、C〜C12シクロアルキリデン、−Si(OR−、及び−Si(R−から選択される二価の橋架基であり;
は、H、又はC〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルである)
に相当するものであってよい。
【0017】
基R〜Rが、アルキル、アルコキシ、又はアルコキシアルキルである場合には、これらのアルキル又はアルコキシ基は直鎖又は分岐であってよく、1〜12個、より好ましくは1〜8個、最も好ましくは1〜4個のC原子を含んでいてよい。
【0018】
アルキル基の例は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、並びにペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、及びオクタデシル基の種々の異性体である。
【0019】
好適なアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、並びにペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、及びオクタデシルオキシ基の種々の異性体である。
【0020】
アルコキシアルキル基の例は、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、及び4−エトキシブチルである。
【0021】
シクロアルキルは、好ましくはC〜Cシクロアルキル、特にC又はCシクロアルキルである。その幾つかの例は、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルである。
【0022】
アリール基は、例えばフェニル、ナフチル、及びアントリルである。
アラルキルは、好ましくは7〜12個の炭素原子、特に7〜11個の炭素原子を含む。これは、例えばベンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、α−メチルベンジル、4−フェニルブチル、又はα,α−ジメチルベンジルであってよい。
【0023】
は、好ましくは、非置換であるか、或いは1つ以上のC〜Cアルキル基又はC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、又はC〜Cシクロアルキル−C〜Cアルキル;非置換であるか、或いは1つ以上のC〜Cアルキル基又はC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C10アリール、又はC〜C10アリール−C〜Cアルキルである。
【0024】
は、より好ましくは、非置換であるか、或いは1つ以上のメチル基又はメトキシ基によって置換されているC〜Cアルキル、又はフェニル、又はベンジルである。
本発明によれば、Rがイソプロピル、イソ−若しくはtert−ブチル、n−ペンチル、又はフェニルである式Iの化合物が最も好ましい。
【0025】
式Iの化合物におけるRは、好ましくは水素である。
シクロアルキレンXは、ビシクロ−[2,2,1]−ヘプタニレン又はトリシクロ−[2,1,0]−デカニレンのような2〜4つの縮合及び/又は橋架炭素環を有するポリシクロアルキレンであってよい。
【0026】
は、好ましくは直接結合であり、或いはより好ましくは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−OP(OR)−、−P(OR)−、−P(R)−、C〜Cアルキレン、及びC〜C12アルキリデンから選択される二価の橋架基であり;ここでRは、C〜Cアルキル、C若しくはCシクロアルキル、フェニル、又はベンジルである。
【0027】
S及びPを含む橋架基により燃焼抵抗性が向上することが見出され、かかる抵抗性が所望の場合にはこれらの基を選択することができる。
は、好ましくは、H、C〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルである。Rが基:−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−OP(OR)−、−P(OR)−、及び−P(R)の一部である場合には、これは好ましくは水素ではない。
【0028】
は、より好ましくは、C〜Cアルキル、シクロヘキシル、フェニル、又はベンジルである。
ビス(ジヒドロベンゾオキサジン)を製造するために用いる選択されたビスフェノールに関する幾つかの特に好ましい例は、4,4’−ビフェノール、(4−ヒドロキシフェニル)C(O)(DHBP)、(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、フェノールフタレイン、及びビ(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ−[2,1,0]−デカンである。
【0029】
有機ポリアミンは、第2級アミン基、又は好ましくは第1級アミン基:−NH、或いはこれらの混合物を含む。第2級アミン基は、炭素環の−CH−基と置き換わる環員である−NH−基を含んでいてよい。第2級アミン基は、また、−NR−基(ここで、Rは1〜8個、好ましくは1〜6個、特に1〜4個の炭素原子を有する炭化水素残基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、及びフェニルである)を含んでいてもよい。有機ポリアミンは、2〜4個、好ましくは2又は3個、最も好ましくは2個の第1級及び/又は第2級アミン基を含んでいてよい。
【0030】
有機ポリアミンの骨格は、2〜50個、好ましくは2〜30個、より好ましくは2〜20個の炭素原子を有し、更に−O−、−S−、−N=、又は−NR−(ここで、Rは1〜8個の炭素原子を有する炭化水素残基である)の群から選択される1つ以上のヘテロ原子を有する、脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、ヘテロ芳香族、又はヘテロ芳香脂肪族の残基を含んでいてよい。骨格は、非置換か、或いは1つ以上のC〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cフルオロアルキル基、−CN、又はハロゲン(F又はCl)で置換されていてよい。
【0031】
脂肪族残基は、2〜30個の炭素原子を有し、場合によっては1つ以上のヘテロ原子:−O−又は−NR−(ここで、Rは1〜8個の炭素原子を有する炭化水素残基、好ましくはC〜Cアルキルである)が混在している、線状又は分岐のアルキレン、アルクトリル、又はアルクテトリルであってよい。線状又は分岐のアルキレンは、好ましくはC〜C18アルキレン、例えばエチレン、1,2−又は1,3−プロピレン、1,2−、1,3−、2,3−、及び1,4−ブチレン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、2,3−、及び2,4−ペンチレン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、2,3−、2,4−、2,5−、及び3,4−ヘキシレン、並びにヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレン、及びエイコシレンの異性体である。1つ以上のヘテロ原子(基)−NR−が混在しているアルキレンの例は、N’−メチルトリエチレントリアミン及びN”,N”’−ジメチルテトラエチレンテトラミンである。1つ以上のヘテロ原子:−O−が混在しているアルキレンの例は、アルキレンジオール、或いは2〜50個、好ましくは2〜30個、最も好ましくは2〜20個の同一か又は異なるオキサアルキレン単位を含んでいてよいポリオキサアルキレンジオール、例えばポリオキサエチレンジオール、ポリオキサ−1,2−プロピレンジオール、ポリオキサ−1,4−ブチレンジオール、又はオキサエチレン及びオキサプロピレンジオールの混合物のビス(アミノアルキル)エーテルである。ポリオキサアルキレンジアミンとも呼ばれるポリオキサアルキレンジオールのビス(アミノアルキル)エーテルは公知であり、Jeffaminesとして商業的に入手することができる。アミノアルキル基は、アミノエチル、アミノ−1,2−プロピル、及びアミノ−1,3−プロピルから選択することができる。
【0032】
脂環式骨格は、炭素環又は炭素ヘテロ原子環(以下、複素環式骨格と名付ける)から選択することができ、ここでヘテロ原子は、−O−、−S−、−N=、又は−NR−(ここで、Rは1〜8個の炭素原子を有する炭化水素残基である)の群から選択することができる。環は、5〜12個、好ましくは5〜8個、特に好ましくは5又は6個の環員を含んでいてよい。アミノ基は、直接か、或いはメチレン又はエチレンのような連結基を介して環に結合していてよい。第2級アミノ:−NH−は環の一部であってよい。脂環式骨格は、縮合脂環式及び/又は複素環式環、或いは場合によっては−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、メチレン、エチレン、C〜Cアルキリデン、又はC〜Cシクロアルキリデンのような連結基を介して一緒に結合しているかかる環を含んでいてよい。脂環式及び複素環式骨格を有するポリアミンの幾つかの例は、1,3−ジアミノシクロペンタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、4−アミノピペリジン、ピペラジン、4,4’−ジアミノビスシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノビスシクロヘキサンスルホン、及び1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。
【0033】
芳香族及びヘテロ芳香族骨格は、C〜C20アレーン又はC〜C16ヘテロアレーンを含んでいてよく、ここでヘテロ原子は、−O−、−S−、−N=、又は−NR−(ここで、Rは水素又は1〜8個の炭素原子を有する炭化水素残基である)の群から選択することができる。骨格は、縮合環系、或いは場合によっては−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、メチレン、エチレン、C〜Cアルキリデン、又はC〜Cシクロアルキリデンのような連結基を介して一緒に結合している2つの環を含んでいてよい。芳香族及びヘテロ芳香族骨格を有するポリアミンの幾つかの例は、ベンゼン−1,4−ジアミン、ナフタリン−2,7−ジアミン、3−アミノピロール、アミノインドール、1,4−ジアミノ−ベンゾフラン又は−チオフェンである。
【0034】
本発明に関連して、芳香脂肪族及びヘテロ芳香脂肪族骨格は、メチレン又はエチレンのようなアルキレン基によって置換されている芳香族及びヘテロ芳香族残基であり、これにアミノ基が結合してポリアミンを形成する。芳香脂肪族及びヘテロ芳香脂肪族骨格を有するポリアミンの幾つかの例は、1−アミノ−2−アミノメチルベンゼン、1−アミノ−3−アミノメチルベンゼン、1−アミノ−4−アミノメチルベンゼン、1−アミノ−4−アミノエチルベンゼン、キシレンジアミン、3−アミノメチルピロール、3−アミノエチルピロール、及び4,4’−ジアミノメチルビフェニルである。
【0035】
芳香族ポリアミン骨格が好ましく、これは6〜20個の炭素原子を含んでいてよく、この骨格は、非置換であっても、或いは1〜4つのC〜Cアルキル及び/又はC〜Cアルコキシで置換されていてもよい。芳香族ポリアミンは、2〜4つ、より好ましくは2つの第1級アミン基を含んでいてよい。好ましい態様においては、芳香族ポリアミンは、ベンゼン−1,4−ジアミン、ナフタリンジアミン、又はビスフェニルジアミンを含む。ビスフェニルジアミンは、好ましくは式II:
【0036】
【化2】

【0037】
(式中、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cアルコキシであり;
は、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、C〜C18アルキレン、C〜C18アルキリデン、及びC〜C12シクロアルキリデンから選択される二価の橋架基であり;
は、H、又はC〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルである)
に相当する。
【0038】
式IIにおけるRは、独立して、式IにおけるRと同じ好ましい意味を有していてよい。
好ましい態様においては、Rは水素であり、Xは、直接結合、−CH−、−(CH−、シクロヘキシリデン、−CH(CH)−、−C(CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、又は−C(O)−である。
【0039】
式IIの好ましいジアミンは、(4−アミノフェニル)C(O)、4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニル−1,2−エタン、4,4’−ジアミノジフェニルエチリデン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2−プロピリデン、及び4,4’−ジアミノジフェニル−2,2−シクロヘキシリデンである。高い燃焼抵抗性の向上が所望の場合には、イオウ含有橋架基を有するジアミンを選択することができる。
【0040】
他の好ましい態様においては、有機ポリアミンは、C〜Cシクロアルカンの第1級ジアミン、或いは場合によっては−S(O)−、−C(O)−、メチレン、エチレン、C〜Cアルキリデン、又はC〜Cシクロアルキリデンのような連結基を介して一緒に結合しているC〜Cシクロアルカンの第1級ジアミンから選択される。
【0041】
他の好ましい態様においては、有機ポリアミンはポリオキサアルキレンの第1級ジアミン(Jeffamines)から選択される。
芳香族ポリアミンは、単独か、或いは芳香族ジヒドロキシ化合物と混合して用いることができる。芳香族ジヒドロキシ化合物は、6〜20個の炭素原子を有する芳香族骨格を含んでいてよく、この骨格は、非置換であっても、或いは1〜4つのC〜Cアルキル及び/又はC〜Cアルコキシで置換されていてもよい。好ましい態様においては、芳香族ジヒドロキシ化合物は、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、又は式III:
【0042】
【化3】

【0043】
(式中、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cアルコキシであり;
は、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−SO−O−、−O−SO−O−、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−O−、−NR−C(O)−NR−、−NRSO−、−NR−SO−O−、−O−SONR−、−NRSO−NR−、−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−(O)P(OR)−、−P(OR)−、−P(R)−、−O−(O)P(R)−O−、C〜C18アルキレン、C〜C18アルキリデン、C〜C12シクロアルキリデン、−Si(OR−、及び−Si(R−から選択される二価の橋架基であり;
は、H、又はC〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルである)
のビスフェノールから選択される。
【0044】
式IIIにおけるRは、独立して、式IにおけるRと同じ好ましい意味を有していてよい。
式IIIにおけるXは、好ましくは、直接結合、或いは、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、C〜Cアルキレン(例えばメチレン又は1,2−エチレン)、C〜Cアルキリデン(例えば、エチリデン、1,1−若しくは2,2−プロピリデン、1,1−若しくは2,2−ブチリデン、1,1−、2,2−、若しくは3,3−ペンチリデン、又は1,1−、2,2−、若しくは3,3−ヘキシリデン)、或いはC〜Cシクロアルキリデン(シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、又はシクロオクチリデン)から選択される二価の橋架基であり、ここでRは好ましくは水素又はC〜Cアルキルである。
【0045】
向上した燃焼抵抗性を所望の場合には、式IIIにおけるXは、−S−及び−S(O)−から選択される二価の橋架基である。
式IIIの好ましいビスフェノールは、4,4’−ビフェノール、(4−ヒドロキシフェニル)C(O)(DHBP)、(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、(4−ヒドロキシフェニル)チオエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びビスフェノールZである。高い燃焼抵抗性の向上を所望の場合には、イオウ含有橋架基を有するビスフェノールを選択することができる。
【0046】
有機ポリアミンと芳香族ジヒドロキシ化合物との重量比は、99:1〜1:99、好ましくは95:1〜1:95、より好ましくは90:1〜1:90であってよい。
通常の添加剤を加えることによって、熱硬化性樹脂の特性を或る用途に合わせて調整することができる。以下の添加剤が特に重要なものである:
短繊維、ステープルファイバー、撚糸、布帛、又はマットの通常の形態の強化繊維、例えばガラス、石英、炭素、無機、及び合成繊維(Keflar、Nomex)、天然繊維、例えば亜麻、黄麻、サイザル麻、麻;
可塑剤、特にリン化合物;
無機充填剤、例えば酸化物、炭化物、窒化物、ケイ酸塩、及び塩、例えば石英粉末、溶融シリカ、酸化アルミニウム、ガラス粉末、雲母、カオリン、ドロマイト、カーボンブラック、又はグラファイト;
顔料及び染料;
微細中空球体;
金属粉末;
難燃剤;
消泡剤;
滑剤;
チキソトロープ剤;
接着促進剤;及び
離型剤。
【0047】
本発明の熱硬化性組成物には、また、特に積層又は表面被覆組成物として用いる場合には、溶媒又は溶媒混合物を含ませることができる。特に好適な溶媒の例としては、メチルエチルケトン、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ペンタノール、ブタノール、ジオキソラン、イソプロパノール、メトキシプロパノール、メトキシプロパノールアセテート、ジメチルホルムアミド、グリコール、グリコールアセテート、及びトルエン、キシレンが挙げられる。ケトン及びグリコールが特に好ましい。通常は、積層組成物は、20〜30重量%、好ましくは30重量%の溶媒を含む。
【0048】
本発明の熱硬化性組成物は、プレプリグ、積層体を製造するため、又は熱溶融成形プロセスのために、約130〜240℃、好ましくは150〜220℃、特に160〜200℃の温度で硬化又は予備硬化させることができる。
【0049】
本発明の熱硬化性組成物は、例えば、プレプリグ又はBステージ樹脂、及びRTM(樹脂トランスファー成形)系から複合体を製造するために用いることができる。
本発明の熱硬化性組成物は、例えば、電気及び電子、自動車、及び航空機産業のため、或いは任意の物品、例えばパイプ及びパイプラインの表面保護のための成形又は被覆物品或いは複合体を製造するための、溶媒を含まない注型樹脂、表面被覆樹脂、積層樹脂、成形樹脂、ポッティング樹脂、カプセル封入樹脂、及び接着剤として用いることができる。
【0050】
本組成物の硬化並びに含浸及び積層プロセスを以下に説明する。
(1)ロール塗布、浸漬、噴霧、他の公知の方法、及び/又はこれらの組み合わせによって、ベンゾオキサジン含有配合物を基材に施すか又は基材中に含浸させる。基材は、通常、例えばガラス繊維、炭素又は無機繊維、或いは紙を含む織成又は不織繊維マットである。
【0051】
(2)(存在する場合には)ベンゾオキサジン配合物から溶媒を蒸発させ、ベンゾオキサジン配合物を部分的に硬化させるのに十分な温度で加熱することによって含浸基材を「Bステージ」にして、これにより含浸基材を容易に取り扱えるようにする。「Bステージ」工程は、通常、80℃〜220℃の温度で1分〜15分間行う。「Bステージ」から得られる含浸基材は「プレプリグ」と呼ばれる。温度は、最も通常的には、複合体に関しては100℃、電気積層体に関しては130℃〜200℃である。
【0052】
(3)1以上のプレプリグのシートを互いの頂部上に積層する。これは、電気積層体を所望の場合には、銅ホイルのような導電性材料の1以上のシートと交互に層を形成することができる。
【0053】
(4)積層したシートを、高温及び高圧において、樹脂を硬化させて積層体を形成するのに十分な時間加圧する。この積層工程の温度は、通常、100℃〜240℃の間であり、最も多くは165℃〜190℃の間である。また、積層工程は、100℃〜150℃の第1段階及び165℃〜190℃の第2段階のような2以上の段階で行うこともできる。圧力は、通常、50N/cm〜500N/cmである。積層工程は、通常、1分〜200分間、最も多くは45分間〜90分間行う。積層工程は、場合によっては、より高い温度においてより短い時間(例えば連続積層プロセス)、或いはより低い温度においてより長い時間(例えば低エネルギー加圧プロセス)行うことができる。
【0054】
(5)場合によっては、得られた積層体、例えば銅張積層板を、高温及び雰囲気圧力において一定時間加熱することによって後処理することができる。後処理の温度は、通常、120℃〜250℃の間である。後処理時間は、通常、30分〜12時間の間である。
【0055】
被覆目的のための固体基材は、金属、金属合金、木材、ガラス、無機物、例えばケイ酸塩、コランダム、又は窒化ホウ素、及びプラスチックから選択することができる。
硬化した樹脂は、高い耐化学薬品性、耐腐食性、機械耐性、耐久性、硬度、靱性、可撓性、耐温度性又は安定性(高いガラス転移温度)、低下した燃焼性、基材への接着性、及び耐層間剥離性を有する。
【0056】
他の対象は、成形物品、表面被覆、複合体、及び積層体を製造するための本発明の熱硬化性組成物の使用である。
本発明の更なる対象は、本発明の熱硬化性組成物から製造される硬化生成物である。
【実施例】
【0057】
以下の実施例により本発明を説明する。
(A)熱硬化性組成物の製造:
実施例A1:
ベンゾオキサジン、芳香族ジアミン、及びアジピン酸の固体混合物(重量部)を、十分な撹拌下、130〜140℃において溶融した。かかる均一混合物のゲル化時間を180℃のホットプレート上で測定した。混合物を、200℃のオーブン内で90分間硬化させた。結果を表1に与える。
【0058】
式:
【0059】
【化4】

【0060】
(式中、Xは−CH−である)
に相当するビスフェノールFベンゾオキサジン。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例A2:
4,4’−ジアミノジフェニルスルホンに代えて2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンを用いて実施例A1を繰り返した。硬化を更に200℃において1時間及び220℃において2時間行った。結果を表2に与える。
【0063】
【表2】

【0064】
実施例A3:
4,4’−ジアミノジフェニルスルホンに代えてポリオキシプロピレンジアミン(Jeffamine)を用いて実施例A1を繰り返した。かかる均一混合物のゲル化時間を170℃のホットプレート上で測定した。硬化を更に200℃において1時間及び220℃において2時間行った。結果を表3に与える。
【0065】
【表3】

【0066】
注:アジピン酸を硬化触媒として用いると反応速度が速くなり(ゲル化時間が短くなる)、ゲル化時間が大きく短縮された。硬化した試料は、非常に高いガラス転移温度を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)97.9〜40重量%の、非置換又はそれぞれのヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つの非置換部位を有する置換ビスフェノール、ホルムアルデヒド、及び第1級アミンの反応によって製造される少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);
(b)2〜50重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び
(c)0.1〜10重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される少なくとも1種類の硬化触媒(ここで、重量%は組成物中の成分(a)、(b)、及び(c)の合計量を基準とし、但し(a)、(b)、及び(c)は合計して100重量%になる);並びに
(d)場合によっては他の成分;
を含む熱硬化性組成物。
【請求項2】
硬化触媒(c)が、骨格内に1〜20個の炭素原子を有する、脂肪族又は芳香族のポリカルボン酸、ポリスルホン酸、又はポリホスホン酸から選択される、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項3】
触媒が、式:Y−C2n−Y、Y−C2n−2−Y、及びY−C〜C10アリーレン−Y(ここで、Yは、基:−COOH、−SOH、又は−POから選択され、nは1〜12の数である)の化合物に相当する、請求項2に記載の熱硬化性組成物。
【請求項4】
(a)96.5〜50、好ましくは96.5〜60、より好ましくは96〜70重量%の少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);
(b)3〜42、好ましくは3〜34、より好ましくは3.5〜25重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び
(c)0.5〜8、好ましくは0.5〜6、より好ましくは0.5〜5重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される硬化触媒;
を含む、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項5】
(a)97.9〜80、好ましくは97〜83、より好ましくは96.5〜85重量%の少なくとも1種類のビス(ジヒドロベンゾオキサジン);
(b)2〜15、好ましくは2.5〜12、より好ましくは3〜10重量%の少なくとも1種類の有機ポリアミン;及び
(c)0.1〜5、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.5〜5重量%の、少なくとも2つの酸基を有し他の反応性基を有しない、カルボン酸、スルホン酸、及びホスホン酸の群から選択される硬化触媒;
を含む、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項6】
成分(a)として、式I:
【化1】

(式中、
は、非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されている、C〜C18アルキル、又はC〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルキル−C〜Cアルキル、C〜C18アリール、又はC〜C18アリール−C〜Cアルキルであり;
は、水素;ジアルキルアミノ;アルキルチオ;アルキルスルホニル;C〜C18アルキル;C〜C18アルコキシ;C〜C18アルコキシアルキル;非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C12シクロアルキル;非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C12アリール;或いは、非置換か又は1つ以上のC〜Cアルキル基若しくはC〜Cアルコキシ基によって置換されているC〜C13アラルキルであり;
は、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−SO−O−、−O−SO−O−、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−O−、−NR−C(O)−NR−、−NRSO−、−NR−SO−O−、−O−SONR−、−NRSO−NR−、−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−(O)P(OR)−、−P(OR)−、−P(R)−、−O−(O)P(R)−O−、C〜C18アルキレン、C〜C18アルキリデン、C〜C12シクロアルキレン、C〜C12シクロアルキリデン、−Si(OR−、及び−Si(R−から選択される二価の橋架基であり;
は、H、又はC〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルである)
のビス(ジヒドロベンゾオキサジン)を含む、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項7】
が、非置換か又は1つ以上のメチル基若しくはメトキシ基によって置換されているC〜Cアルキル又はフェニル又はベンジルである、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
【請求項8】
が水素である、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
【請求項9】
が、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−OP(OR)−、−P(OR)−、−P(R)−、C〜Cアルキレン、及びC〜C12アルキリデンから選択される二価の橋架基であり;Rが、C〜Cアルキル、C若しくはCシクロアルキル、フェニル、又はベンジルであり、Rは請求項6に与えたものと同じ意味を有する、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
【請求項10】
が、H、C〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルであり、但し、基:−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−OP(OR)−、−P(OR)−、及び−P(R)−においてはRは水素ではない、請求項6に記載の熱硬化性組成物。
【請求項11】
有機ポリアミンが、6〜20個の炭素原子を有し、非置換か或いは1〜4つのC〜Cアルキル及び/又はC〜Cアルコキシで置換されている芳香族ポリアミンである、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項12】
芳香族ポリアミンが、2〜4つ、好ましくは2つの第1級アミン基を有する、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項13】
芳香族ポリアミンが、ベンゼン−1,4−ジアミン、ナフタリンジアミン、又はビスフェニルジアミン、或いはこれらの任意の混合物を含む、請求項11又は12に記載の熱硬化性組成物。
【請求項14】
ビスフェニルジアミンが、式II:
【化2】

(式中、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cアルコキシであり;
は、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、C〜C18アルキレン、C〜C18アルキリデン、及びC〜C12シクロアルキリデンから選択される二価の橋架基であり;
は、H、又はC〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルである)
に相当する、請求項13に記載の熱硬化性組成物。
【請求項15】
有機ポリアミンが、C〜Cシクロアルカンの第1級ジアミン、及び、直接か又は連結基、好ましくは−S(O)−、−C(O)−、メチレン、エチレン、C〜Cアルキリデン、又はC〜Cシクロアルキリデンを介して一緒に結合しているC〜Cシクロアルカンの第1級ジアミンから選択される、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項16】
有機ポリアミンがポリオキサアルキレンの第1級ジアミンから選択される、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項17】
ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、又は式III:
【化3】

(式中、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cアルコキシであり;
は、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−SO−O−、−O−SO−O−、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−O−、−NR−C(O)−NR−、−NRSO−、−NR−SO−O−、−O−SONR−、−NRSO−NR−、−P(O)(OR)O−、−OP(OR)O−、−(O)P(OR)−、−P(OR)−、−P(R)−、−O−(O)P(R)−O−、C〜C18アルキレン、C〜C18アルキリデン、C〜C12シクロアルキリデン、−Si(OR−、及び−Si(R−から選択される二価の橋架基であり;
は、H、又はC〜C12アルキル、C若しくはCシクロアルキル、C若しくはCシクロアルキル−メチル若しくは−エチル、フェニル、ベンジル、又は1−フェニルエト−2−イルである)
のビスフェノールから選択される芳香族ジヒドロキシ化合物を更に含む、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
【請求項18】
が水素又はC〜Cアルキルである、請求項17に記載の熱硬化性組成物。
【請求項19】
が、直接結合、或いは−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−NR−、C〜Cアルキレン、C〜Cアルキリデン、又はC〜Cシクロアルキリデン(ここでRは水素又はC〜Cアルキルである)、好ましくは−S−及び−S(O)−から選択される二価の橋架基である、請求項17に記載の熱硬化性組成物。
【請求項20】
有機ポリアミンと芳香族ジヒドロキシ化合物との重量比が99:1〜1:99の範囲である、請求項1及び/又は17に記載の熱硬化性組成物。
【請求項21】
成形物品、表面被覆、複合体、又は積層体を製造するための請求項1に記載の熱硬化性組成物の使用。
【請求項22】
請求項1に記載の熱硬化性組成物から製造される硬化生成物。

【公表番号】特表2010−532392(P2010−532392A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548659(P2009−548659)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051178
【国際公開番号】WO2008/095850
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(504177804)ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スイッツランド)・ゲーエムベーハー (43)
【Fターム(参考)】