説明

燃料ガス中のガス成分調整装置及びガスエンジンシステム

【課題】オンラインで燃料ガスの組成を把握して、燃料ガスの調整が可能な燃料ガス中のガス成分調整装置及びガスエンジンシステムを提供する。
【解決手段】ガスエンジン100に燃料ガス11を供給する燃料ガス供給管130と、燃料ガス11にレーザ光30を照射するレーザ分析装置50とを具備し、レーザ分析装置50が、レーザ光30を発振するレーザ照射装置12と、発振されたレーザ光30を導入し、燃料ガス11に照射してラマン散乱光31を発生させる測定領域13と、発生したラマン散乱光31を計測するレーザ受光手段16と、ラマン散乱光31の計測結果により、燃料ガス11中のガス組成をラマン散乱光31のピーク信号強度より求めると共に、燃料ガス11中のガス組成から求めたカロリーが所望閾値に達していない場合に、高カロリーガス53を導入し、所望カロリーの混合ガス11Aとなるように、調整を行う制御手段52とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンラインで燃料ガスの組成を把握して、燃料ガスの調整が可能な燃料ガス中のガス成分調整装置及びガスエンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、気薄混合ガス燃料をエンジンの主室に導入し、主室に隣接して設けられた副室内に、ガス燃料及び主室内の気薄混合ガス燃料を着火しやすい濃度になるように導入して混合し、副室内で混合ガス燃料を着火し、複数の噴孔から噴出する火炎により主室に向けてトーチを形成して、主室内の気薄混合ガス燃料を燃焼させる副室式ガスエンジンが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−203952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガスエンジンにおいては、副室に導入されるガス燃料のカロリーが変動した場合、副室内の安定燃焼が実現されず、ガスエンジン全体の燃焼が不安定化する、という問題がある。筒内温度、回転数、内筒圧変動に伴い、ガス燃料のカロリーを制御する必要になった場合においても、カロリーが把握できないため、制御できないという問題がある。
【0005】
また、燃料ガスのカロリーを安定化するために、ガス濃度の均質化するバッファタンクを設けるようにしているが、オンラインで迅速に燃料ガスのカロリーをガス燃料が燃焼されてしまう前に把握し、この把握したカロリーに応じて燃料ガスを調整する技術の出現が求められている。
【0006】
本発明は、前記問題に鑑み、オンラインで燃料ガスの組成を把握して、燃料ガスの調整が可能な燃料ガス中のガス成分調整装置及びガスエンジンシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、ガスエンジンの主燃焼室と副室とに燃料ガスを供給する燃料ガス供給管と、前記燃料ガス供給管中の燃料ガスにレーザ光を照射するレーザ分析装置とを具備してなり、前記レーザ分析装置が、レーザ光を発振するレーザ照射装置と、発振されたレーザ光を導入し、燃料ガスに照射してラマン散乱光を発生させる測定領域と、発生したラマン散乱光を計測するレーザ受光手段と、ラマン散乱光の計測結果により、燃料ガス中のガス組成をラマン散乱光のピーク信号強度より求めると共に、燃料ガス中の組成から求めたカロリーが所望閾値に達していない場合に、高いカロリーガスを導入し、所望カロリーの混合ガスとなるように、調整を行う制御手段とを具備することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置にある。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、燃料ガス中の組成から求めたカロリーが所望閾値を超えている場合に、希釈ガスを導入し、所望カロリーとなるように、調整を行う制御手段とを具備することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置にある。
【0009】
第3の発明は、第1又は2の発明において、高カロリーガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測して、調整するカロリーを制御手段で修正することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置にある。
【0010】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つにおいて、前記混合ガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測して、ガスエンジンに供給する燃料カロリーが適切であるか否かを制御手段で判断することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置にある。
【0011】
第5の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記混合ガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測して、ガスエンジンに供給する燃料カロリーが適切であるか否かを制御手段で判断し、所望カロリーとなるように修正することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置にある。
【0012】
第6の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記混合ガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測し、ガスエンジンの運転状況を監視するエンジン状態監視手段において、レーザ分析結果からの燃料ガスの状態を加味し、ガスエンジンの変動に応じて、燃料ガスのカロリーが所望カロリーとなるように制御手段で修正することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置にある。
【0013】
第7の発明は、第6の発明において、前記エンジン状態監視手段の監視項目が、筒内温度、回転数、内筒圧の少なくとも一つであることを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置にある。
【0014】
第8の発明は、主燃焼室と副室とを備えたガスエンジンと、前記ガスエンジンの主燃焼室と副室とに燃料ガスを供給する燃料ガス供給管と、前記燃料ガス供給管中の燃料ガスにレーザ光を照射して燃料ガス組成を調整する第乃至7のいずれか一つの燃料ガス中のガス成分調整装置とを備えたことを特徴とするガスエンジンシステムにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガスエンジンに導入する燃料ガスをオンラインで連続しての計測により、リアルタイムでの燃料ガスの組成を求めることができる。そして、燃料ガスのカロリーの低下の量に応じて、高カロリーガスを導入することができ、安定したガスエンジンの燃焼を確保することができる。
また、筒内温度、回転数、内筒圧等の変動に基づいた燃料ガスカロリーの設定を、ガス燃料が燃焼されてしまう前に迅速に行うことができ、ガスエンジンの安定運転が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
【図2】図2は、実施例2に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
【図3−1】図3−1は、実施例3に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
【図3−2】図3−2は、実施例3に係る他の燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
【図4】図4は、実施例4に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
【図5】図5は、実施例5に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
【図6】図6は、燃料ガスのラマン散乱計測チャートの一例である。
【図7】図7は、実施例1に係るガス成分計測装置の概略図である。
【図8】図8は、実施例1に係る他のガス成分計測装置の概略図である。
【図9】図9は、実施例2に係るガス成分計測装置の概略図である。
【図10】図10は、実施例3に係るガス成分計測装置の概略図である。
【図11】図11は、計測時間と、レーザ光の出力感度(測定チャンバ内のレーザ光の計測パワー強度:I1)/(レーザ装置12から発振された際のレーザ光の基本パワー強度:I0)との関係図である。
【図12】図12は、計測時間と、所定ガス成分(例えばN2)ピーク感度(所定ガス成分(N2)ピーク強度:I2)/(レーザ光の基本パワー強度:I0)との関係図である。
【図13】図13は、低カロリーガスを燃料とするガスエンジンの構成を示す燃焼室周りの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0018】
例えばガス化炉からのガス化ガス等のメタン濃度が低い低カロリーガスを燃料とするガスエンジンは、該低カロリーガスを副室内に噴射し点火プラグにて着火させて、かかる副室の着火燃焼により発生した着火火炎を、前記副室と主燃焼室を接続する連絡孔を通して該主燃焼室に噴出させて、該噴出火炎により、前記副室側と分離して給気ポートを通して吸入した低カロリーガスにより形成した主燃焼室の混合気を燃焼させるように構成されている。
【0019】
図13は、低カロリーガスを燃料とするガスエンジンの構成を示す燃焼室周りの構成図である。図13において、符号100で示されるエンジン(ガスエンジン)は、点火プラグを用いた副室点火式4サイクルガスエンジンであり、シリンダライナ102a内に往復摺動自在に嵌合されたピストン102、シリンダヘッド105の下面と前記ピストン102の上面とシリンダライナ102aの内面との間に区画形成される主燃焼室101を備えている。
【0020】
また、前記エンジン100は、前記主燃焼室101に接続される給気ポート103、該給気ポート103を開閉する給気弁104、該主燃焼室101に接続される排気ポート106、該排気ポート106を開閉する排気弁107等を備えている。
前記排気ポート106は、排気管108を経て排気ターボ過給機109のタービン109aに接続される。該タービン109aを駆動した後の排ガスは排気管108を通って、触媒層等からなる排ガス浄化装置110に入り、該排ガス浄化装置110で浄化されてから、排ガス管111から大気中に排出される。
一方、該タービン109aに同軸駆動されるコンプレッサ109bは、空気112を圧縮し、圧縮空気は空気管113を通ってガスミキサー114に入る。
【0021】
燃料ガス11は、例えば炭鉱メタン等のメタン濃度が低い低カロリーガスを使用し、該低カロリーガスが燃料ガス供給源115に収納されている。
また、燃料ガス11は燃料ガス供給管12から分岐された主室用燃料ガス管12Aを通して、ガス量調整弁116に至り、該ガス量調整弁116にてガス量及び開閉期間を調整されて、ガスミキサー114に入る。
該ガスミキサー114では、前記空気管113からの空気112と前記主室用燃料ガス管12Aからの低カロリーの燃料ガス11とを予混合して予混合ガスを生成して、この予混合ガスをエンジンの給気ポート103に投入する。
そして、この予混合ガスは給気ポート103を経て給気弁104に達し、該給気弁104の開弁によって前記主燃焼室101内に供給されている。
【0022】
副室口金117は、口金押え118によりシリンダヘッド105に上面から固定されている。前記副室口金117内には、一定容積を有する副室119が形成されている。該副室119の上部には点火プラグ120が固定され、該点火プラグ120によって副室119内のガスに点火するようになっている。また、前記口金押え118には継手121がねじ込まれ、該継手121は、一端側が前記燃料ガス供給管12から分離した副室用燃料ガス管12Bに接続され、他端側が副室119に開孔する燃料通路122に接続している。
【0023】
燃焼時においては、前記のように、低カロリーガス供給源115からの低カロリーの燃料ガス11は、前記燃料ガス供給管12を通って、副室用燃料ガス管12Bを介して燃料通路122に入り、該燃料通路122から副室119内に噴出される。この際に所定の時期に前記点火プラグ120によって火花放電され、この着火燃焼により発生した着火火炎が、連絡孔123を通して該主燃焼室101に噴出される。
一方、前記主室用燃料ガス管12Aを通った分岐後の低カロリーガスは、ガス量調整弁116にてガス量及び開閉期間を調整されて、ガスミキサー114に入る。
【0024】
前記ガスミキサー114では、前記のようにして、低カロリーガスと空気との予混合ガスが生成されて、この予混合ガスをガスエンジン100の給気ポート103に投入する。この予混合ガスは給気ポート103を経て給気弁104に達し、該給気弁104の開弁によって前記主燃焼室101内に供給される。
一方、前記点火プラグ120によって火花放電され、この着火燃焼により発生した着火火炎が、前記連絡孔123を通して該主燃焼室101中の予混合ガスに噴出され、主燃焼室101のガスが燃焼される。
主燃焼室101にて燃焼した燃焼後の排ガス124は排気ポート106を通り、排気管108を経て排気ターボ過給機109のタービン109aに送られる。
【0025】
本発明では、このようなガスエンジンの供給する燃料ガスの性状を分析して適切な運転となるように燃料ガスを調整するものである。
【0026】
図1は、本実施例に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
図1に示すように、本実施例に係る燃料ガス中のガス成分調整装置10Aは、前記ガスエンジン100の主燃焼室101と副室119とに燃料ガス11を供給する燃料ガス供給管130と、前記燃料ガス供給管130中の燃料ガス11にレーザ光30を照射するレーザ分析装置50とを具備してなり、前記レーザ分析装置50が、レーザ光30を発振するレーザ照射装置12と、発振されたレーザ光30を導入し、燃料ガス11に照射してラマン散乱光31を発生させる測定領域13と、発生したラマン散乱光31を計測するレーザ受光手段16と、ラマン散乱光31の計測結果により、燃料ガス11中のガス組成をラマン散乱光31のピーク信号強度より求めると共に、燃料ガス11中のガス組成から求めたカロリーが所望閾値に達していない場合に、高カロリーガス53を導入し、所望カロリーの混合ガス11Aとなるように、調整を行う制御手段52とを具備するものである。なお、図1中、符号54はビームダンパである。
【0027】
ガスエンジン100に供給する燃料ガス11としては、炭鉱メタン等の低カロリーガス、シェールガス、熱分解ガス、コークス炉ガス、プロセスガス、石炭ガス、バイオマスガス化ガス、コンバータガス等を挙げることができる。
【0028】
ここで、レーザ照射装置12からのレーザ光30は、反射ミラーMを介して燃料ガス供給管130側へ反射させて、集光手段である集光レンズLにより集光し、次いで燃料供給ガス管130内へ送られ、測定領域13内にレーザ光30を入射させ、導入される燃料ガス11へ照射している。
【0029】
なお、本実施例では、燃料ガス供給管12内に直接レーザ光13を導入するものであるが、燃料ガス供給管130から分枝するサンプルラインを設け、このサンプルラインにレーザ光30を導入して、レーザ分析するようにしてもよい。
【0030】
ここで、レーザ分析装置50の分析窓の汚れがあっても分析計を停止させることなく、計測が継続できる実施例について説明する。
【0031】
<レーザ分析装置50Aの構成>
図7は、レーザ分析装置50Aの概略図である。
図7に示すように、レーザ分析装置50Aは、被計測ガス(燃料ガス:図示せず)にレーザ装置12からのレーザ光30を照射する測定チャンバ13と、ガス導入方向と直交する方向にレーザ光30を入射する一対の第1及び第2のレーザ入射部14A、14Bを有する第1及び第2のレーザ入射ユニット15A、15Bと、前記被計測ガス中の組成をレーザ分析(ラマン散乱、ミー散乱等)するレーザ受光手段16と、第1及び第2のレーザ入射部14A、14Bと各々対向して設けられ、レーザ光30の出力感度を計測する第1又は第2の出力計20A、20Bを有する第1及び第2の出力計ユニット21A、21Bと、前記第1及び第2のレーザ入射ユニット15A、15Bを測定チャンバ13から脱着可能する第1及び第2のレーザ入射ユニット用脱着手段17A、17Bと、前記測定チャンバ13内と第1及び第2のレーザ入射ユニット15A、15Bとを遮断する第1及び第2のゲートバルブ18A、18Bと、第1及び第2のゲートバルブ18A、18Bのいずれか一方が開いた際に、第1及び第2のレーザ入射部12A、12Bの窓部12a近傍を不活性ガス雰囲気とする不活性ガス導入手段19と、前記第1及び第2の出力計ユニット21A、21Bを測定チャンバ13から脱着可能する第1及び第2の出力計ユニット用脱着手段17C、17Dと、前記測定チャンバ13内と第1及び第2の出力計ユニット21A、21Bとを遮断する第3及び第4のゲートバルブ18C、18Dと、第3及び第4のゲートバルブ18C、18Dのいずれか一方が開いた際に、第1及び第2の出力計ユニット21A、21Bの窓部21a近傍を不活性ガス雰囲気とする不活性ガス導入手段19と、を具備し、第1のレーザ入射ユニット15Aでレーザ分析している際には、第1のゲートバルブ18A及び第3のゲートバルブ18Cを開放して、第1の出力計ユニット21Aでレーザ光の出力を計測すると共に、第2のレーザ入射ユニット15Bの第2のゲートバルブ18B及び第2の出力計ユニット21Bの第4のゲートバルブ18Dを遮断し、第1のレーザ入射部14Aからのレーザ光の出力感度(測定チャンバ13内のレーザ光の計測パワー強度:I1)/(レーザ装置12から発振された際のレーザ光の基本パワー強度:I0)を、連続して求め、求めたレーザ光のパワー感度が閾値以下となった際に、遮断していた第2のゲートバルブ18B及び第4のゲートバルブ18Dを開放し、第2のレーザ入射部14Bからレーザ光を照射して、引き続き被計測ガスをレーザ分析する制御を行う制御手段を有するものである。
【0032】
本発明では、相対向する第1のレーザ入射部14A(第2のレーザ入射部14B)と第1の出力計20A(第2の出力計20B)を2系統用いて、被計測ガスにレーザ装置12からのレーザ光30を測定チャンバ13内に照射し、ガス組成をレーザ分析する方法において、第1のレーザ入射部14Aでレーザ分析している際には、第2のレーザ入射部14B及び第2の出力計20Bは、第2及び第4のゲートバルブ18B、18Dを用いて遮断し、第1のレーザ入射部14Aからのレーザ光30の出力感度(測定チャンバ13内のレーザ光の計測パワー強度:I1)/(レーザ装置12から発振された際のレーザ光の基本パワー強度:I0)を、連続して求め、求めたレーザ光のパワー感度が閾値以下となった際に、遮断していた第2及び第4のゲートバルブ18B、18Dを開放し、第2のレーザ入射部14Bからレーザ光30を照射して、引き続き被計測ガスをレーザ分析するようにしている。
このように、2系統の一対の入射ユニットと出力ユニットと設けているので、所定の感度の低下を確認したら、交互に使用することで、ガス成分や濃度の検出、煤塵濃度の検出を停止することなく、連続して精度の高い被計測ガスのガス成分や濃度の検出、煤塵濃度の検出が可能となる。
【0033】
図7に示すように、測定チャンバ13には、被計測ガスの導入方向(図中、紙面に垂直方向)と直交する方向にレーザ光30を入射する一対の第1及び第2のレーザ入射部14A、14Bを有する第1及び第2のレーザ入射ユニット15A、15Bが、レーザ入射ユニット用脱着手段17A、17Bにより着脱自在に設けられている。
【0034】
この第1及び第2のレーザ入射ユニット用脱着手段17A、17Bは、測定チャンバ13のポート13aの内向きフランジ13bと、第1の入射ユニット15Aの外向きフランジ15aとを着脱自在とする着脱ボルト15bとから構成されており、例えば石英製の窓部12aが汚れた際に、外して清掃を行うことができる。
第1及び第2のゲートバルブ18A、18Bは、測定チャンバ13内と第1及び第2のレーザ入射ユニット15A、15Bとの空間を遮断するものであり、図示しない制御装置の指令により開閉自在としている。
【0035】
また、測定チャンバ13には、第1及び第2のレーザ入射部14A、14Bと各々対向して設けられ、レーザ光の出力感度を計測する第1又は第2の出力計20A、20Bを有する第1及び第2の出力計ユニット21A、21Bが設けられている。
この第1及び第2の出力計ユニット21A、21Bも同様に出力計のユニット用脱着手段17C、17Dにより着脱自在に設けられている。
【0036】
この第1及び第2の出力計ユニット用脱着手段17C、17Dは、第1及び第2のレーザ入射ユニット用脱着手段17Aと同様の構成であり、窓部12aが汚れた際に、外して清掃を行うことができる。
なお、測定チャンバ13から第1及び第2のレーザ入射ユニット15A、15B又は第1及び第2の出力計ユニット21A、21Bを着脱可能となる手段であれば、本実施例に限定されず、いずれのものでもよい。
【0037】
第1及び第2のゲートバルブ18A、18B内には不活性ガス(N2)が不活性ガス導入手段19により供給され、第1及び第2のレーザ入射部14A、14Bの窓部12a近傍の清浄化を維持するようにしている。
同様に、第3及び第4のゲートバルブ18C、18Dにも、不活性ガス(N2)が不活性ガス導入手段19により供給され、第1及びのレーザ入射部14A、14Bの窓部12a、12b近傍の清浄化を維持するようにしている。
【0038】
次に、被測定ガスを計測して、窓部12aの劣化が生じた際の、交換の手順について説明する。
図11は、計測時間と、レーザ光の出力感度(測定チャンバ内のレーザ光の計測パワー強度:I1)/(レーザ装置から発振された際のレーザ光の基本パワー強度:I0)との関係図である。図11に示すように、計測を行うにつれて、徐々にレーザ光の測定チャンバ13内の出力感度の低下が確認される。
ここで、レーザ光の出力感度が例えば0.7を閾値とし、例えば石英製の窓部12aの汚れ又は劣化と判断することとして、レーザ光の切り替えの手順を説明する。
1)先ず、第1のレーザ入射部14Aからのレーザ光30を用いて、測定領域Xを通過させ、レーザ光分析を行う(工程1)。
この第1のレーザ入射ユニット15Aでレーザ分析している際には、第1のゲートバルブ18A及び第3のゲートバルブ18Cを開放し、第1の出力計ユニット21Aでレーザ光の出力を計測すると共に、第2のレーザ入射ユニット15Bの第2のゲートバルブ18B及び第2の出力計ユニット21Bの第4のゲートバルブ18Dを遮断しておく。
2)このレーザ光分析の際に、第1の出力計20Aでレーザ光のパワー感度(測定チャンバ内のレーザ光の出力強度I1)/(レーザ装置から発振された際のレーザ光の基本パワー強度I2)を、連続して求めておく(工程2)。
3)この計測は、例えば図11に示すようなチャートとなる。
4)計測を行い、閾値(0.7)以下となった際に、遮断していた第2のゲートバルブ18B及び第4のゲートバルブ18Dを開放し、第2のレーザ入射部14Bからレーザ光を照射して、引き続き被計測ガスをレーザ分析する指令を図示しない制御手段から行う(工程3)。
5)次いで、第1のレーザ入射ユニット用脱着手段17A及び第1の出力計ユニット21Aを開放して、窓部12aを清掃し、取り付ける。
この清掃の際には、不活性ガス供給手段19により不活性ガス(N2)を供給して、内部に外部からの空気が浸入しないようにしている。
【0039】
また、レーザ光の計測を一時停止して良い場合には、前述の工程3において、計測を行い、閾値(0.7)以下となった際に、第1のレーザ入射部14Aからレーザ光30の照射を停止する。
次いで、遮断していた第2のゲートバルブ18B及び第4のゲートバルブ18Dを開放し、第2のレーザ入射部14Bからレーザ光を照射して、引き続き被計測ガスをレーザ分析する指令を図示しない制御手段から行うようにしてもよい。
【0040】
また、レーザ光30の出力感度で閾値を判断する代わりに、所定ガス成分(例えばN2)ピーク感度(所定ガス成分(N2)ピーク強度:I2)/(レーザ光の基本パワー強度:I0)を、連続して求め、所定ガス成分(N2)ピーク感度が閾値以下となった際に、遮断していた第2のゲートバルブ18Bを開放し、第2のレーザ入射部14Bで引き続き被計測ガスのガス組成をレーザ分析する制御を行うようにしてもよい。
【0041】
図6は、燃料ガスのラマン散乱光計測結果のチャートである。
本実施例では、この窒素のピークを指標として、所定ガス成分(例えばN2)ピーク感度を求めた。
ここで、窒素ガスをピークとする理由は、燃料ガスのバランスガスとして適用されることが多く、その組成が安定しているためである。なお、窒素ガス以外にもガス種によって適宜選定することができる。
【0042】
図12は、計測時間と、所定ガス成分(例えばN2)ピーク感度(所定ガス成分(N2)ピーク強度:I2)/(レーザ光の基本パワー強度:I0)との関係図である。図12に示すように、計測を行うにつれて、除除にレーザ光の出力感度の低下が確認される。
【0043】
ここで、本実施例では、レーザ受光部16は、発生するラマン散乱光15Aを計測する受光部16aと、受光部16aから光ファイバ16bを介して送られた散乱光を分光する分光部16cとICCD(Intensified Charge Coupled Device)カメラ16dから構成されている。受光された信号はデータ処理手段(CPU)で処理され、ガス組成のスペクトルピーク強度が求められる。
【0044】
ここで、レーザ装置12からのレーザ光30は、測定チャンバ13内でのレーザ光の出力を計測する第1及び第2の出力計20A、20Bと、第1及び第2の出力計20A、20Bが各々相対向して設置されている。
【0045】
測定チャンバ13は被測定ガスを内部に導入、保持又は排出させる機能を有するものであり、この導入は、生成ガスを送給する送給管の一部を又は送給管から分枝させて導入するようにしてもよい。
【0046】
また、測定領域Xの中心部から散乱光されたラマン散乱光31は、例えば偏光子、集光レンズ及びフィルタ等の光学群(図示せず)を介して分光部16cで分光され、該分光部16cに接続されたICCDカメラ16dにより各波長の光の強度を計測する。前記ICCDカメラ16dからの計測データは、データ処理手段(CPU)に送られ、ここで計測データの処理がなされる。
【0047】
なお、受光部における窓の汚れは、レーザ光が直接照射されるものではないので、ユニットを交換した後、所定の出力感度が得られない場合には、受光部の窓部16eの汚れと判断し、計測を停止して、レーザ受光手段の窓部16eの清掃をすることとなる。なお、窒素(N2)を導入して、窒素雰囲気として窓部16eへの汚れの付着を回避するようにしている。なお、受光用の窓部16eにおいても必要に応じて、本発明のようなゲートバルブを設けるようにしてもよい。
【0048】
<レーザ分析装置50Bの構成>
図8は、レーザ分析装置50Bの概略図である。図7に示すレーザ分析装置50Aと同一の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図8に示すように、ガス成分計測装置50Bは、受光手段においても第5及び第6のゲートバルブ18E、18Fを設けた一例を示す。
そして、第1及び第2のレーザ受光ユニット用脱着手段17E、17Fは、第1及び第2のレーザ入射ユニット用脱着手段17A、17Bと同様であり、説明は省略する。そして、例えば石英製の窓部16eが汚れた際に、外して清掃を行うことができるようにしている。
この受光部の窓部16eの劣化の判断は、(所定ガス成分(N2)ピーク濃度:I2)/(測定チャンバ13内のレーザ光の計測パワー強度:I1)により求めたレーザ光のパワー感度が閾値以下となった際に、遮断していた第6のゲートバルブ18Fを開放し、ラマン散乱光31を第の受光ユニット25Bで受光して、引き続き被計測ガスをレーザ分析するようにしている。
これにより、受光部の交換においても計測を停止することなく、実施することができる。
【0049】
以下に、レーザ装置12を用いたガス組成を計測できるガス成分計測装置の各構成部材について説明する。
【0050】
レーザ装置12からのレーザ光30は、光ファイバ12bを介して、第1及び第2のレーザ入射ユニット15A、15B内の第1及び第2のレーザ入射部14A、14Bに送られ、その後窓部12aを透過して、チャンバ13内に出射される。
【0051】
なお、測定チャンバ13内に設けられる第1及び第2の出力計20A,20Bは、レーザ光30の進行方向上に設けられており、レーザ光30の出力を正確に計測することが出来る計算機器である。この数値をフィードバックし、レーザ装置13の出力状態と窓部の汚れ状態を確認する。
【0052】
次に、レーザ光30が照射できるような形で被測定ガスを保持又は流通させる機能を有する測定チャンバ13について説明する。
測定チャンバ13は、計測される被測定ガスが内部に存在しており、それを外部(レーザ部や分光器を含む)にリークさせないような構造をしている。
【0053】
窓部12aは、被測定ガスを外部へ流出させないための石英ガラス製の窓である。石英ガラス製にしているのは、その窓をレーザ光30が透過できるようにするためである。なお、この窓は二重にしており、石英ガラス1枚が破損しても、ガスがリークしないようにしている。
【0054】
また、測定チャンバ13のレーザ光30の通路には、電磁弁である第1乃至第4のゲートバルブ18A〜18Dが設けられており、通常は、閉じている。これは、長期間に亙って測定チャンバ13側の窓部12aを被測定ガスに曝しておくと、該被測定ガス中の不純物により、汚れてしまい、その汚れの為にレーザによる測定が困難となるからである。なお、前記電磁弁は測定時には開口される。
【0055】
<レーザ分析装置50Cの構成>
図9は、レーザ分析装置50Cの概略図である。図7及び8に示すレーザ分析装置50A、50Bと同一の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図9に示すように、ガス成分計測装置50Cは、レーザ分析装置50Aの測定チャンバ13に設けた第1の出力計20Aを有する第1の出力計ユニット21Aと、第2の出力計20Bを有する第2の出力計ユニット21bとを削除したものである。
なお、符号40A、40Bはレーザ光を吸収するビームダンパである。
【0056】
そして、所定ガス成分(例えばN2)ピーク感度(所定ガス成分(N2)ピーク強度:I2)/(レーザ光の基本パワー強度:I0)を、連続して求め、所定ガス成分(N2)ピーク感度が閾値以下となった際に、遮断していた第2のゲートバルブ18Bを開放し、第2のレーザ入射部14Bで引き続き被計測ガスのガス組成をレーザ分析する制御を行うようにしている。
本実施例によれば、測定チャンバ13内に2つの出力計を有することがなくなり、装置構成を簡略化することができる。
【0057】
<レーザ分析装置50Dの構成>
図10は、レーザ分析装置50Dの概略図である。図7〜9に示すレーザ分析装置50A〜50Cと同一の構成については、同一符号を付してその説明は省略する。
図10に示すように、ガス成分計測装置50Dは、第1のレーザ入射部14Aの周囲に第1のレーザ受光部16Aを配置し、これを一体として第1のレーザ入射ユニット15A内に設けている。同様に、第2のレーザ入射部14Bの周囲に第2のレーザ受光部16Bを配置し、これを一体として第2のレーザ入射ユニット15B内に設けている。
例えば、第1のレーザ入射部14Aの周囲に第1の受光部16Aを同心円状に複数配置するように設け、この複数の受光部により散乱光を受光するようにしている。これにより、受光部の光学調整も不要となる。
受光された散乱光情報は、光ファイバ16bを介して、レーザ受光手段16に送られ、ここでデータ処理される。
【0058】
また、レーザ入射部以外に受光部もゲートバルブで閉鎖するようにしているので、実施例1のような受光部用の窓部16eの汚れも解消される。
【0059】
また、図1に示すように、測定領域13の中心部から散乱されたラマン散乱光31は、例えば偏光子、集光レンズ及びフィルタ等の光学群(図示せず)を介して分光部16cで分光され、該分光部16cに接続された例えばICCDカメラ16dにより各波長の光の強度を計測する。
前記ICCDカメラ16dからの計測データは、データ処理手段(CPU)51に送られ、ここで計測データの処理がなされ、燃料ガス11のカロリー変動の有無が確認される。
【0060】
そして、本燃料ガス中のガス成分調整装置10Aを用いて燃料ガス11のカロリーを計測するには、先ずレーザ分析装置50で燃料ガス11のカロリーを計測する。そして、計測カロリーが閾値を超えているか否かを判断し、超えていない場合には、ガスエンジン100へ供給する燃料ガス11の供給カロリーが低いので、高カロリーガス53を高カロリーガス導入手段54より導入し、混合ガス11Aを所定のカロリーとするようにしている。
【0061】
高カロリーガス53の調整は、ON−OFFバルブによる切替や、流量調整による調整により行うようにしている。また、導入量を計測しつつ流量調整手段により高カロリーガス53の導入量を調整するようにしてもよい。ここで、流量調整手段としては、流路切替手段、調整弁及びマスフローコントローラ等の調整手段を挙げることができる。
【0062】
図6は、燃料ガスのラマン散乱計測チャートの一例である。図6では、メタン(CH4)が75%、二酸化炭素(CO2)が12%、窒素(N2)が5%、水分(H2O)が5%、その他の燃料ガスが3%であった。
【0063】
本実施例によれば、ガスエンジン100に導入する燃料ガス11をオンラインで連続しての計測により、リアルタイムでの燃料ガス11の組成を求めることができる。
そして、燃料ガス11のカロリーの低下の量に応じて、高カロリーガス53を導入することができ、安定したガスエンジンの燃焼を確保することができる。
これにより、例えば高カロリーガスを供給するためのバッファタンクを設けることなく、安定したカロリーの燃料ガスを供給することができる。
【実施例2】
【0064】
次に、本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1の構成部材と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図2は、実施例2に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
図2に示すように、本実施例に係る燃料ガス中のガス成分調整装置10Bは、実施例1の燃料ガス中のガス成分調整装置10Aにおいて、さらに燃料ガス供給管130に希釈ガス55を希釈ガス導入手段56から導入するものである。
【0065】
本燃料ガス中のガス成分調整装置10Bを用いて燃料ガス11のカロリーを計測し、計測カロリーが閾値を超えているか否かを判断し、超えていない場合には、ガスエンジン100へ供給する燃料ガス11の供給カロリーが低いので、高カロリーガス53を高カロリーガス導入手段54より導入し、混合ガス11Aを所定のカロリーとするようにしている。
【0066】
これに対して、計測カロリーが閾値を超えている場合には、ガスエンジン100へ供給する燃料ガス11の供給カロリーが高いので、希釈ガス55を希釈ガス導入手段56より導入し、混合ガス11Aを所定のカロリーとするようにしている。
【0067】
本実施例では、燃料ガス11のカロリーの変動(増減)を監視し、燃料ガス11のカロリー変動(増加又は低下)に応じ、高カロリーガス53又は希釈ガス55を導入することができ、安定したガスエンジンの燃焼を確保することができる。
【0068】
ここで、希釈ガス55としては、例えば空気や不活性ガス(例えば窒素等)を用いることができる。
【0069】
また、本実施例では、ガスエンジン100の運転状況(例えば筒内温度、回転数、内筒圧等のエンジン状態監視項目)を監視するエンジン状態監視手段200を設けており、データ処理手段19からの燃料ガスの状態を加味し(※3)、ガスエンジン100からの筒内温度、回転数、内筒圧等の変動に応じた、修正指示を行い(※4)、燃料ガス11のカロリーが所望カロリーとなるように、を制御手段25で修正指示(※1、※2)をするようにしている。
【0070】
具体的には、例えば回転数や内筒圧が高いような場合において、その状態と燃料ガス11のカロリーとを考慮し、制御手段25へ例えば燃料ガス11のカロリーを低下させるような指示を行い、流量制御弁V1、V2を適宜調整して、回転数や内筒圧を低下させるようにしている。
【0071】
本実施例により、エンジン状態の監視項目(例えば筒内温度、回転数、内筒圧等)の変動に基づいた燃料ガスカロリーの設定を、ガス燃料が燃焼されてしまう前に迅速に行うことができ、ガスエンジンの安定運転が実現できる。
【実施例3】
【0072】
次に、本発明の実施例3について説明する。なお、実施例1又は2の構成部材と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図3−1及び図3−2は、実施例3に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
図3−1に示すように、本実施例に係る燃料ガス中のガス成分調整装置10C−1は、実施例2の燃料ガス中のガス成分調整装置10Bにおいて、さらに高カロリーガス530のカロリーを計測するレーザ分析装置50−2を設けている。
【0073】
このレーザ分析装置50−2により、高カロリーガス53が所定のカロリーであるか否かを判断することができ、高カロリーガス53に何等かの変動があった場合に、迅速に対応することができる。
すなわち、導入する高カロリーガス53のカロリーが不安定の場合でも、本実施例によれば、導入する高カロリーガス53の組成を求めることで、ガス調整を安定して行うことができる。
【0074】
また、図3−2に示す燃料ガス中のガス成分調整装置10C−2のように、レーザ分析装置50を一台で共用して燃料ガス11及び高カロリーガス53のカロリーをレーザ分析するようにしてもよい。
【実施例4】
【0075】
次に、本発明の実施例4について説明する。なお、実施例1乃至3の構成部材と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図4は、実施例4に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
図4に示すように、本実施例に係る燃料ガス中のガス成分調整装置10Dは、実施例3の燃料ガス中のガス成分調整装置10C−1において、さらに混合ガス11Aをカロリーの計測するレーザ分析装置50−3を設けている。
【0076】
これにより、混合ガス11Aが所定のカロリーに調整されているか否かを判断することができる。
【実施例5】
【0077】
次に、本発明の実施例5について説明する。なお、実施例1乃至4の構成部材と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図5は、実施例5に係る燃料ガス中のガス成分調整装置の概略図である。
図5に示すように、本実施例に係る燃料ガス中のガス成分調整装置10Eは、実施例4の燃料ガス中のガス成分調整装置10Dにおいて、さらに混合ガス11Aに対して高カロリーガス53又は希釈ガス54を導入するガス調整用の高カロリーガス導入手段54と希釈ガス導入手段56とを設けている。
【0078】
これにより、レーザ分析装置1450−3での計測の結果、混合ガス11Aが所定のカロリーに調整されていない場合には、高カロリーガス53又は希釈ガス54を導入し再度調整し、常に安定した燃料ガスをガスエンジンに供給するようにしている。
【符号の説明】
【0079】
10A〜10E 燃料ガス中のガス成分調整装置
100 ガスエンジン
101 主燃焼室(主室)
119 副室
11 燃料ガス
12 燃料ガス供給管
13 レーザ光
14 レーザ分析装置
15 レーザ照射装置
16 ラマン散乱光
17 測定領域
18 レーザ受光手段
25 制御手段
50、50A〜50D レーザ分析装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンの主燃焼室と副室とに燃料ガスを供給する燃料ガス供給管と、
前記燃料ガス供給管中の燃料ガスにレーザ光を照射するレーザ分析装置とを具備してなり、
前記レーザ分析装置が、
レーザ光を発振するレーザ照射装置と、
発振されたレーザ光を導入し、燃料ガスに照射してラマン散乱光を発生させる測定領域と、
発生したラマン散乱光を計測するレーザ受光手段と、
ラマン散乱光の計測結果により、燃料ガス中のガス組成をラマン散乱光のピーク信号強度より求めると共に、燃料ガス中の組成から求めたカロリーが所望閾値に達していない場合に、高いカロリーガスを導入し、所望カロリーの混合ガスとなるように、調整を行う制御手段とを具備することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置。
【請求項2】
請求項1において、
燃料ガス中の組成から求めたカロリーが所望閾値を超えている場合に、希釈ガスを導入し、所望カロリーとなるように、調整を行う制御手段とを具備することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
高カロリーガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測して、調整するカロリーを制御手段で修正することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記混合ガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測して、ガスエンジンに供給する燃料カロリーが適切であるか否かを制御手段で判断することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記混合ガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測して、ガスエンジンに供給する燃料カロリーが適切であるか否かを制御手段で判断し、所望カロリーとなるように修正することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記混合ガスのカロリーを前記レーザ分析装置で計測し、
ガスエンジンの運転状況を監視するエンジン状態監視手段において、レーザ分析結果からの燃料ガスの状態を加味し、ガスエンジンの変動に応じて、燃料ガスのカロリーが所望カロリーとなるように制御手段で修正することを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記エンジン状態監視手段の監視項目が、筒内温度、回転数、内筒圧の少なくとも一つであることを特徴とする燃料ガス中のガス成分調整装置。
【請求項8】
主燃焼室と副室とを備えたガスエンジンと、
前記ガスエンジンの主燃焼室と副室とに燃料ガスを供給する燃料ガス供給管と、
前記燃料ガス供給管中の燃料ガスにレーザ光を照射して燃料ガス組成を調整する請求項1乃至7のいずれか一つの燃料ガス中のガス成分調整装置とを備えたことを特徴とするガスエンジンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−145050(P2012−145050A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4410(P2011−4410)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】