説明

燃料タンクシステム

【課題】気体燃料を発生させる液体燃料を貯蔵可能としつつ軽量化を図ることができる燃料タンクシステムを提供すること。
【解決手段】この燃料タンクシステムFTSは、気体燃料となる液体燃料を貯蔵する第1タンク10と、気体燃料を貯蔵する第2タンク20と、を備え、第1タンク10と第2タンク20とは直列に配管接続され、第1タンク10は金属材料製のライナによって構成される一方で、第2タンク20は樹脂材料製のライナによって構成され、第1タンク10内で液体燃料が気化し、その気化した結果発生する気体燃料が第2タンク20へと供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給先に気体燃料を供給するための燃料タンクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料供給先に気体燃料を供給するための燃料タンクシステムとしては、気体燃料が直接供給され、その供給された気体燃料を貯蔵する高圧タンクを備えるものが知られている。このような燃料タンクシステムにおいて、高圧タンクへの気体燃料供給時間を短縮しようとすれば、短時間に大量の気体燃料を送り込むことになるけれども、そのようなことをすれば急激な圧力上昇によって高圧タンク内の温度が過度に上昇することが想定される。一方、気化して気体燃料となる液体燃料を高圧タンクに注入し、高圧タンク内で気化させて気体燃料とすることも考えられるけれども、この場合は逆に高圧タンク内の温度が急激に下降してしまうことが想定される。このような懸念に対して、高圧タンクの熱変化に対する耐性を十分に上げることも考えられるが、その場合には高圧タンクが過度に重くなることが想定される。
【0003】
そこで、このような燃料タンクシステムとして、下記特許文献1に記載のものが提案されている。下記特許文献1に記載されている燃料タンクシステムは、ボイルオフガスを利用する液体燃料供給システムである。より具体的には、液体燃料を貯蔵する液体燃料タンクを備えると共に、その液体燃料タンクに貯蔵されている液体燃料から生ずるボイルオフガスを充填する充填手段を備え、ボイルオフガスの量に応じて充填手段の容積を変更可能なように構成している。この液体燃料タンク及び充填手段としての高圧タンクはいずれも、真空二重構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−200563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術は、上述したような構成によって、充填手段に液体燃料から発生するボイルオフガスを充填することが可能となっており、ボイルオフガスの発生量に対応させて充填するための容積を変更している。そのため、ボイルオフガスの量が相対的に少ないときには少ない容積で、ボイルオフガスの量が相対的に多くなるにつれてそれに応じた容積でボイルオフガスを充填することが可能となっている。
【0006】
しかしながら、上記従来の技術はこのような作用を奏するために、液体燃料タンク及び充填手段としての高圧タンクのいずれも真空二重構造としているため、システム全体としては重量が増大する方向にある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料供給先に気体燃料を供給するための燃料タンクシステムであって、気体燃料を発生させる液体燃料を貯蔵可能としつつシステム全体としては軽量化を図ることができる燃料タンクシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る燃料タンクシステムは、燃料供給先に気体燃料を供給するための燃料タンクシステムであって、前記気体燃料となる液体燃料を貯蔵する第1タンクと、前記気体燃料を貯蔵する第2タンクと、を備え、前記第1タンクと前記第2タンクとは直列に配管接続され、前記第1タンクは金属材料製のライナによって構成される一方で、前記第2タンクは樹脂材料製のライナによって構成され、前記第1タンク内で前記液体燃料が気化し、その気化した結果発生する気体燃料が前記第2タンクへと供給されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、液体燃料を貯蔵する第1タンクを金属材料性のライナによって構成しているので、液体燃料が気化してボイルオフガスが発生しても、それによる熱変化に耐性の高い第1タンクを提供できる。また、液体燃料が第1タンクで気化し、その気化した結果生成される気体燃料が第2タンクに供給されるため、第2タンクは気化熱の影響を受けず、樹脂材料性のライナによって構成することが可能となり、軽量なタンクとすることができる。更に、第1タンクには液体燃料を充填するので、気体燃料として充填するのに比較して少ない体積を充填することで足りるため、充填時間を短縮することができ、タンクの容積も小さいものとすることができる。従って、本発明に係る燃料タンクシステムは、液体燃料を充填することで燃料供給先には気体燃料を供給することが可能であって、システム全体としては軽量コンパクトなものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燃料供給先に気体燃料を供給するための燃料タンクシステムであって、気体燃料を発生させる液体燃料を貯蔵可能としつつ軽量化を図ることができる燃料タンクシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態である燃料タンクシステムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
本実施形態における燃料タンクシステムの一例を図1に示す。図1は、燃料タンクシステムFTSの斜視図である。図1に示すように、燃料タンクシステムFTSは、第1タンク10と第2タンク20とを備えている。第1タンク10及び第2タンク20は、両端が閉じられた円筒形状を成しており、連結管30によって繋がれている。
【0014】
第1タンク10は、金属材料製のライナによって構成されている。第1タンク10は、バルブ101を有しており、バルブ101には配管41が繋がれている。配管41は、レセプタクル(図示せず)に繋がれており、レセプタクルを介して供給される液体燃料としての液体水素を通し、その液体水素をバルブ101から第1タンク10内へと供給している。本実施形態の場合、第1タンク10の内容積は約20Lである。第1タンク10は、金属材料製のライナによって構成され、沸点が極めて低い(約20K)液体水素を貯蔵可能であって、この液体水素から発生するボイルオフガスをある程度の高圧まで貯蔵することが可能な耐圧構造となっている。
【0015】
第2タンク20は、樹脂材料製のライナによって構成されている。第2タンクは、バルブ201を有しており、バルブ201には連結管30及び配管42が繋がれている。連結管30は、第1タンク10内の液体水素が気化したボイルオフガスとしての水素ガス(気体燃料)を通し、バルブ201を介して第2タンク20内へと供給している。配管42は、第2タンク20内の水素ガスを燃料電池(図示せず)に供給するための配管である。本実施形態の場合、第2タンク20の内容積は約100Lである。
【0016】
本実施形態の燃料タンクシステムFTSでは、まず液体水素を配管41を通して第1タンク10へと充填する。第1タンク10の内容積は約20Lであり、同じ質量の気体に対して液体は顕著に容積が小さいため、急速に充填することが可能である。第1タンク10は、急速に液体水素が充填され、その充填された液体水素が気化するため、急激な温度変化に対応する頑健な構造とする必要があるけれども、その内容積は約20Lと相対的に少ないため、過度な重量となることなく構成することができる。
【0017】
第1タンク10に貯蔵された液体水素は、第1タンク10内において徐々に気化し、その気化した結果生じる水素ガスは連結管30を通って第2タンク20へと供給される。このように、液体水素の気化は第1タンク10内で行われるため、気化による温度変化に対する耐性は第1タンク10のみが持っていれば足りるものである。そのため、第2タンク20は、気化熱による影響を受けないため温度変化にさほど強くない樹脂材料によって構成することができ、内容量が第1タンク10に比較して大きくなっていても、過度な重量となることがなく軽量化を図ることができる。
【符号の説明】
【0018】
10:第1タンク
20:第2タンク
30:連結管
41:配管
42:配管
101:バルブ
201:バルブ
FTS:燃料タンクシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給先に気体燃料を供給するための燃料タンクシステムであって、
前記気体燃料となる液体燃料を貯蔵する第1タンクと、
前記気体燃料を貯蔵する第2タンクと、を備え、
前記第1タンクと前記第2タンクとは直列に配管接続され、
前記第1タンクは金属材料製のライナによって構成される一方で、前記第2タンクは樹脂材料製のライナによって構成され、
前記第1タンク内で前記液体燃料が気化し、その気化した結果発生する気体燃料が前記第2タンクへと供給されることを特徴とする燃料タンクシステム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−276082(P2010−276082A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127883(P2009−127883)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】