燃料噴射弁
【課題】簡易な構成で、噴霧状態が安定したホロコーン状の噴霧を形成可能とする。
【解決手段】噴孔27−1〜27−6は、中心がオリフィスプレート23の中心と一致した同心円上に等間隔で配設される一方、噴孔27−1〜27−6は、それぞれの中心軸が、オリフィスプレート23の中心を通り燃料噴射弁の軸に一致したZ軸方向に対して所定の噴孔角θINCを以て傾くように形成されると共に、それぞれの噴孔27−1〜27−6の中心軸をオリフィスプレート23へ投影した線が、それぞれの噴孔27−1〜27−6の中心軸がオリフィスプレート23が位置する平面と交差する点と同心円の中心とを結ぶ線に対して所定の周方向傾き角θcirを以て形成されて、安定したホロコーン状の噴霧が可能となっている。
【解決手段】噴孔27−1〜27−6は、中心がオリフィスプレート23の中心と一致した同心円上に等間隔で配設される一方、噴孔27−1〜27−6は、それぞれの中心軸が、オリフィスプレート23の中心を通り燃料噴射弁の軸に一致したZ軸方向に対して所定の噴孔角θINCを以て傾くように形成されると共に、それぞれの噴孔27−1〜27−6の中心軸をオリフィスプレート23へ投影した線が、それぞれの噴孔27−1〜27−6の中心軸がオリフィスプレート23が位置する平面と交差する点と同心円の中心とを結ぶ線に対して所定の周方向傾き角θcirを以て形成されて、安定したホロコーン状の噴霧が可能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴射弁に係り、特に、ポート噴射式内燃機関に適する燃料噴射弁であって、ホロコーン状噴霧における噴霧形状の安定化等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃料噴射弁としては、例えば、一つの燃料噴射弁から2つのポートへ、それぞれ別個に大凡コーン状の噴霧の形成可能とした燃料噴射弁が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
また、噴霧の微粒化のために、ホロコーン状の噴霧にスワールを付加できるよう構成された燃料噴射弁等も提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−225598号公報(第5−8頁、図1−図8)
【特許文献2】特表2000−509462号公報(第6−9頁、図1−図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記前者の公報に開示された燃料噴射弁においては、噴霧形状がホロコーン状ではないために、噴霧の貫徹力(ペネトレーション)が未だ強く、必ずしも貫徹力の低減という要請に十分応えるものではないという問題がある。
また、上記後者の公報に開示された燃料噴射弁においては、噴霧の周縁に強力な旋回流(スワール)を発生させるために、噴孔よりも上流側にスワール発生装置を設ける必要があり、部品点数の増加、構造の複雑化を招くと共に、高価格化を招くという問題がある。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、噴霧状態が安定したホロコーン状の噴霧形成を可能とした燃料噴射弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る燃料噴射弁は、
ポート噴射式内燃機関の燃料噴射弁であって、
複数の噴孔が穿設されるオリフィスプレートの前記燃料噴射弁内部側の面において、前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をX軸、このX軸に直交する前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をY軸、前記X軸及びY軸に対して直交する前記燃料噴射弁の中心軸をZ軸と、それぞれ定め、
前記複数の噴孔は、前記X、Y、及び、Z軸の交点、又は、前記複数の噴孔への燃料の流入を可能とする範囲で前記Y軸上の任意の点を中心とした同心円上に3個以上、等間隔で配設されると共に、前記複数の噴孔は、それぞれの噴孔の中心軸が、前記Z軸方向に対して所定噴孔角を以て傾くように形成されると共に、それぞれの噴孔の中心軸を前記オリフィスプレートへ投影した線が、前記それぞれの噴孔の中心軸が前記オリフィスプレートが位置する平面と交差する点と前記同心円の中心とを結ぶ線に対して所定の周方向傾き角を以て形成されてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新たな構成部品を増やすことなく、従来に比してより噴霧状態が安定したホロコーン状噴霧を形成することができるので、燃料消費量の低減と共に、噴霧の微粒化による噴霧の貫徹力が従来に比してさらに低減され、その結果、排気ガス中の炭化水素の低減を図ることができ、排ガス処理装置の触媒の小型化に寄与することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における燃料噴射弁が用いられる内燃機関の縦断面図図である。
【図2】図1に示された内燃機関の上部の横方向の断面を模式的に示した模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における燃料噴射弁による噴射状態を、その側面側から模式的に示した模式図である。
【図4】本発明の実施の形態における燃料噴射弁による噴射状態を、ノズル部を正面に臨む側から模式的に示した模式図である。
【図5】本発明の実施の形態における燃料噴射弁のノズル部の縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における燃料噴射弁に用いられるオリフィスプレートの平面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】図6の縦断面図であって、図8(A)は、図6のB−B線断面図、図8(B)は、噴孔付近の拡大縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における燃料噴射弁において、θCIRを90に設定し、噴霧同士の干渉部分のみを抽出したシミューレション結果を模式的に示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態における燃料噴射弁において、θCIRを0に設定し、噴霧同士の干渉部分のみを抽出したシミューレション結果を模式的に示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態における燃料噴射弁において、θCIRを0に、噴霧を図10よりも太く設定し、噴霧同士の干渉部分のみを抽出したシミューレション結果を模式的に示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態における燃料噴射弁によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態の測定結果を模式的に示した模式図である。
【図13】従来の燃料噴射弁によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態の測定結果を模式的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図13を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における燃料噴射弁が用いられる内燃機関について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
図1に示された内燃機関1は、いわゆるポート噴射式のもので、その構成は、基本的に従来同様のものである。
かかる内燃機関1は、シリンダブロック2と、シリンダヘッド3と、ピストン4とを有しており、シリンダブロック2内部に、ピストン4が摺動可能に収納され、燃焼室5が形成されたたものとなっている(図1参照)。
燃焼室5には、シリンダヘッド3に形成された吸気管6と排気管7が連通するものとなっている。そして、シリンダヘッド3には、吸気管6と燃焼室5との連通を制御する2つの吸気弁8A,8Bと、排気管7と燃焼室5との連通を制御する2つの排気弁9A,9Bが、それぞれ設けられている(図1及び図2参照)。
【0010】
また、吸気管6の上流側には、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20が配設されている。かかる燃料噴射弁20は、吸気弁8A,8Bに向けて後述するようなホロコーン状の噴霧(図1の二点鎖線部分、図3の二点鎖線部分、及び、図4の二点鎖線部分)が可能な適宜な位置に配設されている。また、シリンダヘッド3には、燃焼室5の上部中心部分に臨むように、点火プラグ10が設けられている(図1参照)。
【0011】
次に、燃料噴射弁20のノズル部21の構成について、図5乃至図8を参照しつつ説明することとする。
本発明の燃料噴射弁20のノズル部21の端部においては、弁体22の端部にオリフィスプレート23が固着されたものとなっており、弁体22内に収納されたボール弁24が、弁体22に形成された弁座25から離間せしめられることによって、燃料がボール弁24と弁体22との間隙を通過して、流出開口26へ至り、噴孔27へ流入可能に構成されたもとなっている(図5参照)。
なお、図5は、2つの噴孔27がオリフィスプレート23の直径方向に位置する部位での縦断面図である(図6参照)。
【0012】
本発明の実施の形態におけるオリフィスプレート23は、全体外観形状が蓋体状、すなわち、換言すれば、扁平の有底筒状に形成されてなるもので(図6及び図7参照)、その円板状に形成された底部23aに複数の噴孔、すなわち、本発明の実施の形態においては、6個の噴孔27−1〜27−6が次述するように穿設されたものとなっている(図6参照)。なお、以下の説明においては、各噴孔27−1〜27−6に共通する事項の説明においては、適宜、噴孔27と記述して説明することとする。
【0013】
まず、以下の説明の便宜上、X軸、Y軸、及び、Z軸による3次元の直線直交座標を定義する。すなわち、例えば、図6に示されたオリフィスプレート23の底部23aの燃料噴射弁20の内部側の面において、オリフィスプレート23の径方向に沿う一つの軸をX軸、このX軸に直交し、かつ、オリフィスプレート23の径方向に沿う一つの軸をY軸、これらX軸、Y軸に対して直交する燃料噴射弁20の中心軸をZ軸と、それぞれ定義する。
図6においては、紙面左右方向にX軸、紙面上下方向にY軸、紙面表裏方向にZ軸とし、Z軸は、オリフィスプレート23の中心を通るものとする。すなわち、本発明の実施の形態においては、オリフィスプレート23の中心は、燃料噴射弁20の中心軸に一致したものとなっている。
【0014】
かかる前提の下、本発明の実施の形態における噴孔27−1〜27−6は、X軸、Y軸、及び、Z軸の交点を中心とした仮想の同心円(図6において一点鎖線の円参照)上に、等間隔に配設されたものとなっている(図6参照)。本発明の実施の形態においては、上述の仮想の同心円の中心は、オリフィスプレート23の中心に一致したものとなっているが、必ずしも、オリフィスプレート23の中心と一致する必要はない。すなわち、上述の仮想の同心円の中心は、燃料がボール弁24と弁体22との間隙を通過して噴孔27−1〜27−6へ確実に流入する範囲であればY軸上の任意の点としても良いものである。
【0015】
各噴孔27−1〜27−6は、噴孔角θINC、及び、周方向傾き角θCIRを有するものとなっている。
まず、噴孔角θINCについて説明すれば、噴孔角θINC、は、噴孔27−1〜27−6の中心を通る仮想的な軸、すなわち、中心軸(図8(B)の一点鎖線の直線参照)のZ軸に対する傾き角である(図8(A)及び図8(B)参照)。
噴孔角θINCは、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の相互の距離に主に影響を与えるものであり、噴孔角θINCが大きくなるにつれて、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の相互の間隔が拡がり、噴霧間の干渉が少なくなるので、各噴霧の適度な拡がりを確保できる大きさを選定する必要がある。
【0016】
この噴孔角θINCによる各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の相互間の拡がりは、最終的には、ホロコーン状の噴霧全体のY軸方向での拡がり決定する要素となっている。
なお、噴孔27の直径は、燃料噴射弁20の最大噴射量などの具体的な条件によって種々異なるものであるので、試験、シミューレション等に基づいて、適切な値が選定されるべきものである。
【0017】
次に、周方向傾き角θCIRについて説明すれば、周方向傾き角θCIRは、噴孔27−1〜27−6の中心軸がオリフィスプレート23が位置する面と交差する点と、同心円(図6の一点鎖線円)の中心とを結ぶ線に対して、噴孔27−1〜27−6の中心軸をオリフィスプレート23に投影した線がなす角として定義されるものである(図6参照)。
かかる周方向傾き角θCIRは、特に、ホロコーン状噴霧の安定化を図るための要素となるものである。
【0018】
すなわち、噴孔角θINCは、噴孔の加工精度のばらつきによっては、必ずしも安定した精度で形成することが確保されるとは限らない。ホロコーン状噴霧の形成のため、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を確実に干渉させるためには、噴孔角θINCのばらつきによる噴霧のばらつきが生じにくい噴霧の上流側、すなわち、燃料噴射弁20により近い位置で、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を干渉させることが必要である。そのため、噴孔角θINCを小さくすると、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を上流部分で干渉させることができるが、各噴孔27−1〜27−6から生ずる噴霧間の干渉領域が大きくなり、ホロコーン状噴霧が得にくくなり、噴霧粒径を小さくできなくなる。
【0019】
そこで、本願発明者は、種々試験、研究の結果、周方向傾き角θCIRを付加することで、噴孔角θINCを小さくすることなく、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を上流部分で干渉させながらも、従来と異なり、噴霧間の干渉領域を必要以上に大きくすることなく、安定したホロコーン状噴霧を得ることができることを見出すに至ったものである。
【0020】
例えば、図9乃至図11には、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20、及び、従来の燃料噴射弁における各噴孔からの噴霧状態のシミュレーション結果が模式的に示されており、以下、これらの図を参照しつつ、周方向傾き角θCIRを設けることの意義について説明する。
まず、前提として、図9乃至図11いずれも噴孔数を6個として同心円上に等間隔で配設したものとする。
【0021】
また、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20におけるシミュレーション結果を示す図9の場合、周方向傾き角θCIRは90度に設定したものとしてある。 図10及び図11の従来の燃料噴射弁においては、勿論、本発明の実施の形態と異なり、噴孔に周方向傾き角θCIRは与えられておらず、噴孔角の調整のみでホロコーンを形成可能としたものである。
【0022】
かかる前提の下、周方向傾き角θCIRを考慮した本発明の実施の形態の燃料噴射弁20の場合、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧が(図9参照)、従来の燃料噴射弁の場合(図10参照)に比して、各噴霧の干渉領域がより上流(燃料噴射弁側)まで広がることが確認できるものとなっている。
周方向傾き角θCIRを与えずとも、各噴射孔からの噴霧を太くすることで、各噴霧の干渉領域を上流まで広げることは可能(図11参照)であるが、干渉領域の体積が大きくなり(図11参照)、その結果、ペネトレーションが大きくなったり、また、噴霧における粒径が大きくなってしまうという欠点を招く。
【0023】
本発明の実施の形態における燃料噴射弁20のように周方向傾き角θCIRを与えることによって、燃料噴射弁20と各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の上流側の端部との距離Lp(図9参照)は、周方向傾き角θCIRを有しない従来の燃料噴射弁における各噴孔からの噴霧の上流側の端部と燃料噴射弁との距離LCONV1に比して確実に小さな値が確保できるものとなっている。
なお、各噴孔からの噴霧を太くした従来の燃料噴射弁(図11参照)の場合には、燃料噴射弁と各噴霧の上流側の端部との距離LCONV2は、Lpより僅かに長い程度まで小さくはなるが、上述したように干渉領域の体積が大きくなり、ホロコーン状態の噴霧を得ることはできない(図11参照)。
【0024】
上述のような周方向傾き角θCIRによる噴霧のばらつき低減効果は、図12及び図13に示されたホロコーン状噴霧の先端部の測定結果によっても確認することができる。
図12は、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態を、図13は、従来の燃料噴射弁によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態を、それぞれ測定した一例を示すものである。
いずれも噴孔の大きさ、噴孔角の大きさは同一としてある。
また、いずれの図においても、斜線部分は、噴霧レベル(噴霧量の大きさ)が最も強い領域を、黒塗り部分は、斜線部分より噴霧レベルの小さい領域を、それぞれ表している。なお、白抜き部分は、噴霧がほとんど無い部分を表している。
【0025】
周方向傾き角θCIRを有せず、噴孔角のみが与えられた噴孔を同心円上に配置した従来の燃料噴射弁の場合、図13に示されたように、黒塗りで示された噴霧レベルがやや小さい大凡円環状の噴霧部分に、噴霧レベルがより高い部分(斜線部分)が複数点在した状態となる場合がある。
これに対して、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20においては、図12に示されたように、ホロコーン状噴霧の先端部は、斜線で表されたほぼ円環状の噴霧レベルの高い噴霧部分が生じることが確認できるものとなっている。なお、図12の例の場合、円環状の噴霧の内側と外側の周縁部分は、斜線部分よりも噴霧レベルが低いものとなっている。
なお、上述の噴霧状態の測定は、概略的には、例えば、燃料圧力を300kPa、測定チャンバ内の内圧を通常大気圧以下、測定チャンバ内の温度を20degC、燃料温度を20degCに設定すると好適であるが、必ずしもこの条件に限定されるものではないことは勿論である。
【0026】
このように本発明の実施の形態の燃料噴射弁20においては、噴孔27−1〜27−6に周方向傾き角θCIRを与えることで、図4に模式的に示されたように、2つの吸気弁8A,8Bの近傍に噴霧のばらつきが低減されたホロコーン状の噴霧状態が形成されることとなる。
かかるホロコーン状噴霧は、その先端の円環状の噴霧部分であって、大凡180度離れた部分の近傍に、それぞれ吸気弁8A,8Bが位置する大きさとすることで、2つの吸気弁8A,8Bを介し噴霧燃料の供給が可能となる。
【0027】
上述の本発明の実施の形態においては、噴孔27を6個設ける構成としたが、これに限定される必要はなく、少なくとも3個以上あれば、同様にホロコーン状噴霧の形成は可能である。
また、上述の本発明の実施の形態において、周方向傾き角θCIRは90度に設定した構成を前提としたが、これに限定される必要はなく、例えば、45度に設定しても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
従来に比して、より噴霧状態の安定したホロコーン状噴霧が所望される燃料噴射弁に適する。
【符号の説明】
【0029】
20…燃料噴射弁
23…オリフィスプレート
27−1〜27−6…噴孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料噴射弁に係り、特に、ポート噴射式内燃機関に適する燃料噴射弁であって、ホロコーン状噴霧における噴霧形状の安定化等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃料噴射弁としては、例えば、一つの燃料噴射弁から2つのポートへ、それぞれ別個に大凡コーン状の噴霧の形成可能とした燃料噴射弁が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
また、噴霧の微粒化のために、ホロコーン状の噴霧にスワールを付加できるよう構成された燃料噴射弁等も提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−225598号公報(第5−8頁、図1−図8)
【特許文献2】特表2000−509462号公報(第6−9頁、図1−図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記前者の公報に開示された燃料噴射弁においては、噴霧形状がホロコーン状ではないために、噴霧の貫徹力(ペネトレーション)が未だ強く、必ずしも貫徹力の低減という要請に十分応えるものではないという問題がある。
また、上記後者の公報に開示された燃料噴射弁においては、噴霧の周縁に強力な旋回流(スワール)を発生させるために、噴孔よりも上流側にスワール発生装置を設ける必要があり、部品点数の増加、構造の複雑化を招くと共に、高価格化を招くという問題がある。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、噴霧状態が安定したホロコーン状の噴霧形成を可能とした燃料噴射弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る燃料噴射弁は、
ポート噴射式内燃機関の燃料噴射弁であって、
複数の噴孔が穿設されるオリフィスプレートの前記燃料噴射弁内部側の面において、前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をX軸、このX軸に直交する前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をY軸、前記X軸及びY軸に対して直交する前記燃料噴射弁の中心軸をZ軸と、それぞれ定め、
前記複数の噴孔は、前記X、Y、及び、Z軸の交点、又は、前記複数の噴孔への燃料の流入を可能とする範囲で前記Y軸上の任意の点を中心とした同心円上に3個以上、等間隔で配設されると共に、前記複数の噴孔は、それぞれの噴孔の中心軸が、前記Z軸方向に対して所定噴孔角を以て傾くように形成されると共に、それぞれの噴孔の中心軸を前記オリフィスプレートへ投影した線が、前記それぞれの噴孔の中心軸が前記オリフィスプレートが位置する平面と交差する点と前記同心円の中心とを結ぶ線に対して所定の周方向傾き角を以て形成されてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、新たな構成部品を増やすことなく、従来に比してより噴霧状態が安定したホロコーン状噴霧を形成することができるので、燃料消費量の低減と共に、噴霧の微粒化による噴霧の貫徹力が従来に比してさらに低減され、その結果、排気ガス中の炭化水素の低減を図ることができ、排ガス処理装置の触媒の小型化に寄与することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態における燃料噴射弁が用いられる内燃機関の縦断面図図である。
【図2】図1に示された内燃機関の上部の横方向の断面を模式的に示した模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における燃料噴射弁による噴射状態を、その側面側から模式的に示した模式図である。
【図4】本発明の実施の形態における燃料噴射弁による噴射状態を、ノズル部を正面に臨む側から模式的に示した模式図である。
【図5】本発明の実施の形態における燃料噴射弁のノズル部の縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における燃料噴射弁に用いられるオリフィスプレートの平面図である。
【図7】図6のA−A線断面図である。
【図8】図6の縦断面図であって、図8(A)は、図6のB−B線断面図、図8(B)は、噴孔付近の拡大縦断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における燃料噴射弁において、θCIRを90に設定し、噴霧同士の干渉部分のみを抽出したシミューレション結果を模式的に示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態における燃料噴射弁において、θCIRを0に設定し、噴霧同士の干渉部分のみを抽出したシミューレション結果を模式的に示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態における燃料噴射弁において、θCIRを0に、噴霧を図10よりも太く設定し、噴霧同士の干渉部分のみを抽出したシミューレション結果を模式的に示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態における燃料噴射弁によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態の測定結果を模式的に示した模式図である。
【図13】従来の燃料噴射弁によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態の測定結果を模式的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図13を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における燃料噴射弁が用いられる内燃機関について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
図1に示された内燃機関1は、いわゆるポート噴射式のもので、その構成は、基本的に従来同様のものである。
かかる内燃機関1は、シリンダブロック2と、シリンダヘッド3と、ピストン4とを有しており、シリンダブロック2内部に、ピストン4が摺動可能に収納され、燃焼室5が形成されたたものとなっている(図1参照)。
燃焼室5には、シリンダヘッド3に形成された吸気管6と排気管7が連通するものとなっている。そして、シリンダヘッド3には、吸気管6と燃焼室5との連通を制御する2つの吸気弁8A,8Bと、排気管7と燃焼室5との連通を制御する2つの排気弁9A,9Bが、それぞれ設けられている(図1及び図2参照)。
【0010】
また、吸気管6の上流側には、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20が配設されている。かかる燃料噴射弁20は、吸気弁8A,8Bに向けて後述するようなホロコーン状の噴霧(図1の二点鎖線部分、図3の二点鎖線部分、及び、図4の二点鎖線部分)が可能な適宜な位置に配設されている。また、シリンダヘッド3には、燃焼室5の上部中心部分に臨むように、点火プラグ10が設けられている(図1参照)。
【0011】
次に、燃料噴射弁20のノズル部21の構成について、図5乃至図8を参照しつつ説明することとする。
本発明の燃料噴射弁20のノズル部21の端部においては、弁体22の端部にオリフィスプレート23が固着されたものとなっており、弁体22内に収納されたボール弁24が、弁体22に形成された弁座25から離間せしめられることによって、燃料がボール弁24と弁体22との間隙を通過して、流出開口26へ至り、噴孔27へ流入可能に構成されたもとなっている(図5参照)。
なお、図5は、2つの噴孔27がオリフィスプレート23の直径方向に位置する部位での縦断面図である(図6参照)。
【0012】
本発明の実施の形態におけるオリフィスプレート23は、全体外観形状が蓋体状、すなわち、換言すれば、扁平の有底筒状に形成されてなるもので(図6及び図7参照)、その円板状に形成された底部23aに複数の噴孔、すなわち、本発明の実施の形態においては、6個の噴孔27−1〜27−6が次述するように穿設されたものとなっている(図6参照)。なお、以下の説明においては、各噴孔27−1〜27−6に共通する事項の説明においては、適宜、噴孔27と記述して説明することとする。
【0013】
まず、以下の説明の便宜上、X軸、Y軸、及び、Z軸による3次元の直線直交座標を定義する。すなわち、例えば、図6に示されたオリフィスプレート23の底部23aの燃料噴射弁20の内部側の面において、オリフィスプレート23の径方向に沿う一つの軸をX軸、このX軸に直交し、かつ、オリフィスプレート23の径方向に沿う一つの軸をY軸、これらX軸、Y軸に対して直交する燃料噴射弁20の中心軸をZ軸と、それぞれ定義する。
図6においては、紙面左右方向にX軸、紙面上下方向にY軸、紙面表裏方向にZ軸とし、Z軸は、オリフィスプレート23の中心を通るものとする。すなわち、本発明の実施の形態においては、オリフィスプレート23の中心は、燃料噴射弁20の中心軸に一致したものとなっている。
【0014】
かかる前提の下、本発明の実施の形態における噴孔27−1〜27−6は、X軸、Y軸、及び、Z軸の交点を中心とした仮想の同心円(図6において一点鎖線の円参照)上に、等間隔に配設されたものとなっている(図6参照)。本発明の実施の形態においては、上述の仮想の同心円の中心は、オリフィスプレート23の中心に一致したものとなっているが、必ずしも、オリフィスプレート23の中心と一致する必要はない。すなわち、上述の仮想の同心円の中心は、燃料がボール弁24と弁体22との間隙を通過して噴孔27−1〜27−6へ確実に流入する範囲であればY軸上の任意の点としても良いものである。
【0015】
各噴孔27−1〜27−6は、噴孔角θINC、及び、周方向傾き角θCIRを有するものとなっている。
まず、噴孔角θINCについて説明すれば、噴孔角θINC、は、噴孔27−1〜27−6の中心を通る仮想的な軸、すなわち、中心軸(図8(B)の一点鎖線の直線参照)のZ軸に対する傾き角である(図8(A)及び図8(B)参照)。
噴孔角θINCは、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の相互の距離に主に影響を与えるものであり、噴孔角θINCが大きくなるにつれて、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の相互の間隔が拡がり、噴霧間の干渉が少なくなるので、各噴霧の適度な拡がりを確保できる大きさを選定する必要がある。
【0016】
この噴孔角θINCによる各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の相互間の拡がりは、最終的には、ホロコーン状の噴霧全体のY軸方向での拡がり決定する要素となっている。
なお、噴孔27の直径は、燃料噴射弁20の最大噴射量などの具体的な条件によって種々異なるものであるので、試験、シミューレション等に基づいて、適切な値が選定されるべきものである。
【0017】
次に、周方向傾き角θCIRについて説明すれば、周方向傾き角θCIRは、噴孔27−1〜27−6の中心軸がオリフィスプレート23が位置する面と交差する点と、同心円(図6の一点鎖線円)の中心とを結ぶ線に対して、噴孔27−1〜27−6の中心軸をオリフィスプレート23に投影した線がなす角として定義されるものである(図6参照)。
かかる周方向傾き角θCIRは、特に、ホロコーン状噴霧の安定化を図るための要素となるものである。
【0018】
すなわち、噴孔角θINCは、噴孔の加工精度のばらつきによっては、必ずしも安定した精度で形成することが確保されるとは限らない。ホロコーン状噴霧の形成のため、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を確実に干渉させるためには、噴孔角θINCのばらつきによる噴霧のばらつきが生じにくい噴霧の上流側、すなわち、燃料噴射弁20により近い位置で、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を干渉させることが必要である。そのため、噴孔角θINCを小さくすると、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を上流部分で干渉させることができるが、各噴孔27−1〜27−6から生ずる噴霧間の干渉領域が大きくなり、ホロコーン状噴霧が得にくくなり、噴霧粒径を小さくできなくなる。
【0019】
そこで、本願発明者は、種々試験、研究の結果、周方向傾き角θCIRを付加することで、噴孔角θINCを小さくすることなく、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧を上流部分で干渉させながらも、従来と異なり、噴霧間の干渉領域を必要以上に大きくすることなく、安定したホロコーン状噴霧を得ることができることを見出すに至ったものである。
【0020】
例えば、図9乃至図11には、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20、及び、従来の燃料噴射弁における各噴孔からの噴霧状態のシミュレーション結果が模式的に示されており、以下、これらの図を参照しつつ、周方向傾き角θCIRを設けることの意義について説明する。
まず、前提として、図9乃至図11いずれも噴孔数を6個として同心円上に等間隔で配設したものとする。
【0021】
また、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20におけるシミュレーション結果を示す図9の場合、周方向傾き角θCIRは90度に設定したものとしてある。 図10及び図11の従来の燃料噴射弁においては、勿論、本発明の実施の形態と異なり、噴孔に周方向傾き角θCIRは与えられておらず、噴孔角の調整のみでホロコーンを形成可能としたものである。
【0022】
かかる前提の下、周方向傾き角θCIRを考慮した本発明の実施の形態の燃料噴射弁20の場合、各噴孔27−1〜27−6からの噴霧が(図9参照)、従来の燃料噴射弁の場合(図10参照)に比して、各噴霧の干渉領域がより上流(燃料噴射弁側)まで広がることが確認できるものとなっている。
周方向傾き角θCIRを与えずとも、各噴射孔からの噴霧を太くすることで、各噴霧の干渉領域を上流まで広げることは可能(図11参照)であるが、干渉領域の体積が大きくなり(図11参照)、その結果、ペネトレーションが大きくなったり、また、噴霧における粒径が大きくなってしまうという欠点を招く。
【0023】
本発明の実施の形態における燃料噴射弁20のように周方向傾き角θCIRを与えることによって、燃料噴射弁20と各噴孔27−1〜27−6からの噴霧の上流側の端部との距離Lp(図9参照)は、周方向傾き角θCIRを有しない従来の燃料噴射弁における各噴孔からの噴霧の上流側の端部と燃料噴射弁との距離LCONV1に比して確実に小さな値が確保できるものとなっている。
なお、各噴孔からの噴霧を太くした従来の燃料噴射弁(図11参照)の場合には、燃料噴射弁と各噴霧の上流側の端部との距離LCONV2は、Lpより僅かに長い程度まで小さくはなるが、上述したように干渉領域の体積が大きくなり、ホロコーン状態の噴霧を得ることはできない(図11参照)。
【0024】
上述のような周方向傾き角θCIRによる噴霧のばらつき低減効果は、図12及び図13に示されたホロコーン状噴霧の先端部の測定結果によっても確認することができる。
図12は、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態を、図13は、従来の燃料噴射弁によるホロコーン状噴霧の先端部の噴霧状態を、それぞれ測定した一例を示すものである。
いずれも噴孔の大きさ、噴孔角の大きさは同一としてある。
また、いずれの図においても、斜線部分は、噴霧レベル(噴霧量の大きさ)が最も強い領域を、黒塗り部分は、斜線部分より噴霧レベルの小さい領域を、それぞれ表している。なお、白抜き部分は、噴霧がほとんど無い部分を表している。
【0025】
周方向傾き角θCIRを有せず、噴孔角のみが与えられた噴孔を同心円上に配置した従来の燃料噴射弁の場合、図13に示されたように、黒塗りで示された噴霧レベルがやや小さい大凡円環状の噴霧部分に、噴霧レベルがより高い部分(斜線部分)が複数点在した状態となる場合がある。
これに対して、本発明の実施の形態における燃料噴射弁20においては、図12に示されたように、ホロコーン状噴霧の先端部は、斜線で表されたほぼ円環状の噴霧レベルの高い噴霧部分が生じることが確認できるものとなっている。なお、図12の例の場合、円環状の噴霧の内側と外側の周縁部分は、斜線部分よりも噴霧レベルが低いものとなっている。
なお、上述の噴霧状態の測定は、概略的には、例えば、燃料圧力を300kPa、測定チャンバ内の内圧を通常大気圧以下、測定チャンバ内の温度を20degC、燃料温度を20degCに設定すると好適であるが、必ずしもこの条件に限定されるものではないことは勿論である。
【0026】
このように本発明の実施の形態の燃料噴射弁20においては、噴孔27−1〜27−6に周方向傾き角θCIRを与えることで、図4に模式的に示されたように、2つの吸気弁8A,8Bの近傍に噴霧のばらつきが低減されたホロコーン状の噴霧状態が形成されることとなる。
かかるホロコーン状噴霧は、その先端の円環状の噴霧部分であって、大凡180度離れた部分の近傍に、それぞれ吸気弁8A,8Bが位置する大きさとすることで、2つの吸気弁8A,8Bを介し噴霧燃料の供給が可能となる。
【0027】
上述の本発明の実施の形態においては、噴孔27を6個設ける構成としたが、これに限定される必要はなく、少なくとも3個以上あれば、同様にホロコーン状噴霧の形成は可能である。
また、上述の本発明の実施の形態において、周方向傾き角θCIRは90度に設定した構成を前提としたが、これに限定される必要はなく、例えば、45度に設定しても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
従来に比して、より噴霧状態の安定したホロコーン状噴霧が所望される燃料噴射弁に適する。
【符号の説明】
【0029】
20…燃料噴射弁
23…オリフィスプレート
27−1〜27−6…噴孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポート噴射式内燃機関の燃料噴射弁であって、
複数の噴孔が穿設されるオリフィスプレートの前記燃料噴射弁内部側の面において、前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をX軸、このX軸に直交する前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をY軸、前記X軸及びY軸に対して直交する前記燃料噴射弁の中心軸をZ軸と、それぞれ定め、
前記複数の噴孔は、前記X、Y、及び、Z軸の交点、又は、前記複数の噴孔への燃料の流入を可能とする範囲で前記Y軸上の任意の点を中心とした同心円上に3個以上、等間隔で配設されると共に、前記複数の噴孔は、それぞれの噴孔の中心軸が、前記Z軸方向に対して所定噴孔角を以て傾くように形成されると共に、それぞれの噴孔の中心軸を前記オリフィスプレートへ投影した線が、前記それぞれの噴孔の中心軸が前記オリフィスプレートが位置する平面と交差する点と前記同心円の中心とを結ぶ線に対して所定の周方向傾き角を以て形成されてなることを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記複数の噴孔の下流側において、前記オリフィスプレートを臨む位置に、ホロコーン状の噴霧を停留形成可能にしてなることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
噴孔角によって、前記複数の噴孔の下流側において、前記オリフィスプレートを臨む位置に形成されるホロコーン状の噴霧の、Y軸方向における広がりを調整可能としてなることを特徴とする請求項2記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
周方向傾き角によって、前記オリフィスプレートを臨む位置に形成されるホロコーン状の噴霧のばらつきを低減可能としてなることを特徴とする請求項3記載の燃料噴射弁。
【請求項1】
ポート噴射式内燃機関の燃料噴射弁であって、
複数の噴孔が穿設されるオリフィスプレートの前記燃料噴射弁内部側の面において、前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をX軸、このX軸に直交する前記オリフィスプレートの直径方向に沿う一つの軸をY軸、前記X軸及びY軸に対して直交する前記燃料噴射弁の中心軸をZ軸と、それぞれ定め、
前記複数の噴孔は、前記X、Y、及び、Z軸の交点、又は、前記複数の噴孔への燃料の流入を可能とする範囲で前記Y軸上の任意の点を中心とした同心円上に3個以上、等間隔で配設されると共に、前記複数の噴孔は、それぞれの噴孔の中心軸が、前記Z軸方向に対して所定噴孔角を以て傾くように形成されると共に、それぞれの噴孔の中心軸を前記オリフィスプレートへ投影した線が、前記それぞれの噴孔の中心軸が前記オリフィスプレートが位置する平面と交差する点と前記同心円の中心とを結ぶ線に対して所定の周方向傾き角を以て形成されてなることを特徴とする燃料噴射弁。
【請求項2】
前記複数の噴孔の下流側において、前記オリフィスプレートを臨む位置に、ホロコーン状の噴霧を停留形成可能にしてなることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射弁。
【請求項3】
噴孔角によって、前記複数の噴孔の下流側において、前記オリフィスプレートを臨む位置に形成されるホロコーン状の噴霧の、Y軸方向における広がりを調整可能としてなることを特徴とする請求項2記載の燃料噴射弁。
【請求項4】
周方向傾き角によって、前記オリフィスプレートを臨む位置に形成されるホロコーン状の噴霧のばらつきを低減可能としてなることを特徴とする請求項3記載の燃料噴射弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−122441(P2012−122441A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275785(P2010−275785)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】
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