説明

燃料噴射装置

【課題】 噴射室から高速に、かつ、長距離にわたって噴射物質を噴射することができる噴射装置および噴射方法を提供する。
【解決手段】 噴射物質は、極めて高速かつ大射程の放射を与えることができる蒸気爆発プロセスを介して、液体および液体蒸気として噴射される。燃料を噴射するために、この装置を用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物質を噴射するための方法および装置に関する。詳細には、本発明は、ある量の液体が収容されている噴射室から、高速に、かつ相対的に長距離にわたって、液体または液体蒸気を噴射することができる高速質量噴射デバイスのための作動方法および装置を提供するものであるが、それらに限定されるものではない。さらに、より詳細には、本発明は、燃料を噴射するための燃料噴射装置および燃料噴射方法に関するものであるが、それらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
多くの産業において、質量噴射デバイスが必要とされている。すなわち、一定速度または可変速度で、かつ、所望の距離にわたって、液体噴霧および液体蒸気を送り出す装置が必要とされている。さらに、高速で、かつ長距離にわたって、液体噴霧および液体蒸気を発生させることが必要とされている。そのようなシステムにおいては、多くの場合、用語「射程」が、噴霧の1つの特性を示すものとして使用される。物質の射程は、走行した距離を、噴霧を噴射する噴射室の長さで割った値として定義される。
【0003】
消火器、インクジェット・プリンタ、エアバッグ点火装置、モータエンジンおよびガスタービンのための燃料噴射装置、口火などのような質量噴射装置の種々の例は、公知である。これらの質量噴射デバイスにおいては、質量噴射デバイスにともなう特定の問題が存在する一方、全ての応用面において、高速に、かつ長距離にわたって、液体および液体蒸気を噴射することができるようにしたいという恒常的な願望が存在する。
【0004】
質量噴射システムの応用に特有の問題の一例として、ガスタービンの再点火装置について述べる。ガスタービンの点火装置において、燃焼室内のガスに再点火するための従来の技術では、再点火装置の2つの電極間が通電されて、短時間、荷電ラジカルの混合ガスが生成される。このことが、図1に、明瞭に示されている。図1において、従来の再点火装置10が、内側にペレット12を設けられた、ほぼ円筒形状の外側電極11を備えている。ペレット内には、中央電極13が設けられている。外側電極11と中央電極13との間を通電させると、荷電ラジカルの混合ガスが生成する(すなわち、ガス分子が一時的に分裂して、プラズマと呼ばれる荷電成分になる)。このプラズマは、1秒の何分の1かの間しか持続せず、その後、再結合して、その電荷を失う。このとき、その電荷(再結合に伴って放出されるエネルギー)は、主エンジンの主燃焼室内の燃焼ガスの点火に用いられる。このような公知の再点火装置に伴う問題は、その目的機能を遂行するために、荷電ラジカルの混合ガスを、噴射物質15として、出口開口14を介して、十分遠方まで噴射しなければならないということと、十分に長く荷電させ続けなければならないということとである。なお噴射物質15は、ケロシン、または、他の通常のガスタービン・エンジンの燃料に点火するために用いられる。
【0005】
質量噴射システムに特有の問題のさらなる一例として、燃料噴射装置について言及する。従来技術の燃料噴射装置は、微細にミスト化された噴霧をつくり出すために、電気機械式ノズル、および、あらかじめ加圧された燃料を用いている。燃料は、噴射室内で加圧されており、電磁石コイルによって、シールのニードルが持ち上げられると、それによって、取り入れ弁を通った燃料が、加圧されながらノズルの開口を通ることができる。この加圧された液体の放出のタイミングは、電子的に制御される。これは、エラーを起こしやすく、かつ、多くの機構部品を必要とする、高価で複雑な構成要素を伴うという欠点を有している。
【0006】
質量噴射システムの応用のさらなる一例は、エネルギー産業、または地上ガスタービンにおいて用いられる炉、およびボイラーのための口火である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、上述の問題を少なくとも、軽減することである。
【0008】
本発明の実施形態の1つの目的は、燃料噴射装置を得るための装置および方法を提供することである。
【0009】
本発明の実施形態の1つの目的は、物質を噴射し、それによって、液体および液体蒸気を、噴射室から噴射する装置および方法を提供することである。噴射される物質は、噴射速度および走行距離などに関して、望ましい特性を有する。
【0010】
本発明の実施形態の1つの目的は、高速な質量噴射装置を与える装置および方法を提供することである。
【0011】
本発明の実施形態の1つの目的は、口火点火装置を与える装置および方法を提供することである。
【0012】
本発明の実施形態の1つの目的は、運行体を推進するために用いることができる推進ユニットを与える装置および方法を提供することである。
【0013】
本発明の実施形態の1つの目的は、消火器を与える装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、
選択された液体燃料を保持しうる噴射室と、
噴射室内に液体燃料を移すために、選択的に開くように構成されている入口弁と、
噴射室に関連したパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室から燃料を噴射するために、選択的に開くように構成されている出口弁とを備えてなり、
燃料を燃焼帯内に注入するために、液体燃料または液体燃料蒸気を、出口弁を介して、噴射室から燃焼域内に噴射するようになっている燃焼域内に燃料を注入するための装置が提供される。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、
選択された液体燃料を保持するための噴射室と、
噴射室内に液体燃料を移すために、選択的に開くように構成されている入口弁と、
噴射室に関連したパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室から燃料を噴射するために、選択的に開くように構成されている出口弁であって、噴射室内の液体燃料の温度が、出口弁の下流に位置するガスの圧力と等しい圧力における、液体燃料に関連した飽和温度に等しいか、または、それを超過したときに、開くように構成されている出口弁とを備えてなり、
燃料を燃焼域内に注入するために、液体燃料または液体燃料蒸気を、記出口弁を介して、噴射室から燃焼帯内に噴射するようになっている、燃焼域内に燃料を注入するための装置が提供される。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、
選択された液体燃料を保持するための噴射室を用意するステップと、
噴射室内に液体燃料を移すために、入口弁を選択的に開くステップと、
噴射室に関連したパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室の出口弁を選択的に開くステップと、
出口弁を介して、噴射室から燃焼帯内に液体燃料または液体燃料蒸気を噴射するステップとを含んでなる、燃焼域内に燃料を注入する方法が提供される。
【0017】
本発明の第4の態様によれば、
選択された液体を保持するためのチャンバと、
チャンバ内に、選択された液体を取り込むことを可能にする入口弁と、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、チャンバから含有物を噴射することを可能にするために、開くように構成されている出口弁と、
チャンバ内の液体の圧力を上昇させる手段とを備えてなり、
液体または液体蒸気を、出口弁を介して、チャンバから噴射するようになっている、物質を噴射する装置が提供される。
【0018】
圧力を上昇させる手段は、チャンバ内の液体を加熱するように構成されている加熱素子を備えていることが好ましい。
【0019】
出口弁は、チャンバ内の圧力が、あらかじめ定められた値に達したときに、開くように構成されていることが好ましい。
【0020】
入口弁は、出口弁の開放によって、チャンバ内の内容物が噴射された後に、再度、チャンバ内に液体を取り込むことを可能にするために、開くように構成されていることが好ましい。
【0021】
チャンバは、液体または液体蒸気が噴射される狭い首状領域を備えていることが好ましい。
【0022】
液体または液体蒸気は、出口弁が開いたときに、蒸気爆発プロセスを介して噴射されるようになっていることが好ましい。
【0023】
液体は、水であることが好ましい。
【0024】
液体は、可燃性液体、例えばケロシンまたはガソリンであることが好ましい。
【0025】
出口弁は、1.1バールの圧力で開くように設定されていることが好ましい。
【0026】
圧力を上昇させる手段は、液体を、大気圧におけるその沸点を超過して加熱する手段を備えていることが好ましい。
【0027】
チャンバの直径は、1mmから1mまでの範囲にあることが好ましい。
【0028】
チャンバは、球状であることが好ましい。
【0029】
チャンバは、ハート形状であることが好ましい。
【0030】
出口弁は、ハート形状のチャンバの先端領域に位置していることが好ましい。
【0031】
チャンバは、実質的に、円筒状であることが好ましい。
【0032】
本発明の第5の態様によれば、
選択された液体を、入口弁を介して、チャンバ内に取り込むステップと、
チャンバ内の液体の圧力を上昇させるステップと、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたとき、出口弁を開くステップと、
液体または液体蒸気を、出口弁を介して、チャンバから噴射するステップとを含んでなる、物質をチャンバから噴射する方法が提供される。
【0033】
この方法は、出口弁を開くステップに先立って、加熱素子によって、チャンバ内の液体を加熱するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0034】
この方法は、あらかじめ定められたパラメータが満たされたときを決定するステップと、それに応答して、出口弁を開くステップとを、さらに含んでいることが好ましい。
【0035】
この方法は、チャンバ内の液体を、出口弁の下流の位置にあるガスの圧力における、その液体の沸点を超過する温度まで加熱するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0036】
本発明の第6の態様によれば、
噴射されるべき、選択された液体を保持するための噴射室と、
噴射室内に、選択された液体を取り込むことを可能にする入口弁と、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室の含有物を噴射することを可能にするために、開くように構成されている出口弁と、
噴射室内の圧力を上昇させる手段とを備えてなり、
液体または液体蒸気を、出口弁を介して噴射するようになっている、燃料を、その下流の燃焼帯内に噴射する装置が提供される。
【0037】
液体または液体蒸気は、蒸気爆発プロセスを介して噴射されることが好ましい。
【0038】
液体または液体蒸気は、20を超過する射程を有する噴霧として噴射されることが好ましい。
【0039】
液体または液体蒸気は、100を超過する射程を有する噴霧として噴射されることが好ましい。
【0040】
液体は、ケロシンを含んでいることが好ましい。
【0041】
液体は、ガソリンを含んでいることが好ましい。
【0042】
噴射室は、金属材料で製造されていることが好ましい。
【0043】
圧力を上昇させる手段は、噴射室内にある加熱素子を備えていることが好ましい。
【0044】
この装置は、さらに、加熱素子に対する電源を備えていることが好ましい。
【0045】
噴射室は、実質的に、円筒状であって、かつ、その出口端に首状領域を有しており、出口弁は、首状領域に位置していることが好ましい。
【0046】
首状領域は、液体燃料または液体燃料蒸気を燃焼帯内に噴射するための狭い噴射開口を備えていることが好ましい。
【0047】
噴射開口の断面の直径は、首部領域の断面の直径よりも小さいことが好ましい。
【0048】
この装置は、噴射室から燃焼帯内に噴射された液体燃料または液体燃料蒸気に点火するために、燃焼帯内に位置する点火源を、さらに備えていることが好ましい。
【0049】
本発明の第7の態様によれば、
入口弁を介して、チャンバ内に、選択された液体を取り込むステップと、
チャンバ内の液体の圧力を上昇させるステップと、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、出口弁を開くステップと、
液体または液体蒸気を、出口弁を介して、チャンバから噴射するステップとを含んでなる、燃料を、下流の燃焼帯内に噴射する方法が提供される。
【0050】
この方法は、
出口弁を開くステップに先立って、加熱素子によってチャンバ内の液体を加熱するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0051】
本発明の第8の態様によれば、
選択された液体燃料を保持するための燃料噴射室と、
燃料噴射室内に、選択された液体燃料を取り込むことを可能にする入口弁と、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、燃料噴射室から含有物を噴射することを可能にするために、開くように構成されている出口弁と、
燃料噴射室内の液体燃料の圧力を上昇させる手段と、
燃料噴射室から噴射された液体燃料または液体燃料蒸気を受けるように配置されており、かつ、燃料噴射室から噴射された液体燃料または液体燃料蒸気に点火するための点火素子を有している燃焼室とを備えてなる、運行体に推進力を供給する装置が提供される。
【0052】
燃焼室は、炎および高温のガスを燃焼室から放出することを可能にする出口を、さらに有していることが好ましい。炎および高温のガスの放出によって、車両(運行体)には、反対方向の推進力が与えられる。
【0053】
点火素子は、スパーク点火装置を含んでいることが好ましい。
【0054】
噴射物質を導くノズルが、燃料噴射室から噴射された液体燃料または液体燃料蒸気を、所望の方向に導くために、出口弁より下流の位置に向けられていることが好ましい。
【0055】
この装置は、さらに、燃焼室内に空気を供給するための、少なくとも1つの空気取り入れ口を備えていることが好ましい。
【0056】
少なくとも1つの空気取り入れ口は、運行体の外部から、推進システムに空気を引き込むための、1つ以上の空気吸い込み道を備えていることが好ましい。
【0057】
運行体は、無人機(UAV)を有していることが好ましい。
【0058】
圧力を上昇させる手段は、燃料噴射室内の液体燃料を加熱するように構成されている加熱素子を備えていることが好ましい。
【0059】
出口弁は、燃料噴射室内の圧力が、あらかじめ定められた値に達したときに、開くように構成されていることが好ましい。
【0060】
本発明の第9の態様によれば、
入口弁を介して、運行体の噴射室内に、選択された液体燃料を取り込むステップと、
噴射室内の液体燃料の圧力を上昇させるステップと、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、出口弁を開くステップと、
液体燃料または液体燃料蒸気を、出口弁を介して、噴射室から噴射するステップと、
噴射室から噴射された液体燃料または液体燃料蒸気を受けるように配置されている燃焼室内で、空気を含む、噴射された液体燃料または液体燃料蒸気に点火するステップと、
運行体に対して、第1の方向の推進力を供給するために、燃焼プロセスによって生じた炎および高温のガスを、燃焼室から、第1の方向に対して実質的に反対の方向に向けるステップとを含んでなる、運行体に推進力を供給する方法が提供される。
【0061】
この方法は、さらに、燃焼室内に配置されている点火素子によって、噴射された液体燃料または液体燃料蒸気と空気との混合物に点火するステップを含んでいることが好ましい。
【0062】
この方法は、噴射室から噴射された液体燃料または液体燃料蒸気を、出口弁の下流の位置に配置されているノズルによって、燃焼室内の所望の方向に向けるステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0063】
この方法は、少なくとも1つの空気取り入れ口を介して、燃焼室内に空気を供給するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0064】
この方法は、出口弁を開くステップに先立って、噴射室内の液体燃料を、加熱素子によって加熱するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0065】
本発明は、上記装置を備える運行体を提供するものである。
【0066】
この運行体は、無人機(UAV)であることが好ましい。
【0067】
本発明の第10の態様によれば、
選択された消火液を保持するための噴射室と、
噴射室内に、選択された消火液を取り込むことを可能にする入口弁と、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室内の物質を噴射することを可能にするために、開くように構成されている出口弁と、
噴射室内の圧力を上昇させる手段とを備えてなり、
消火液または消火液蒸気を、出口弁を介して噴射する消火装置が提供される。
【0068】
消火液または消火液蒸気は、蒸気爆発プロセスを介して噴射されることが好ましい。
【0069】
消火液または消火液蒸気は、20を超過する射程を有する噴霧として噴射されることが好ましい。
【0070】
消火液または消火液蒸気は、100を超過する射程を有する噴霧として噴射されることが好ましい。
【0071】
消火液は、水を含んでいることが好ましい。
【0072】
この装置は、消火液を、入口弁を介して噴射室に供給するための消火液タンクを、さらに備えていることが好ましい。
【0073】
消火液タンクは、ポータブル型であり、かつ、装置は、消火液タンクを握るためのハンドルを、さらに備えていることが好ましい。
【0074】
消火液タンクは、配管構成によって噴射室に接続されており、かつ、配管は、各々がそれぞれの出口弁を介して、消火液または消火液蒸気を噴射するように構成されている、さらなる複数の噴射室に接続されていることが好ましい。
【0075】
噴射室は、100mlの容量を有することが好ましい。
【0076】
本発明の第11の態様によれば、
入口弁を介して、チャンバ内に、消火液を取り込むステップと、
チャンバ内の消火液の圧力を上昇させるステップと、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、出口弁を開くステップと、
消火液または消火液蒸気を、出口弁を介して、チャンバから噴射するステップであって、消火液または消火液蒸気を、消火のために火炎に向けるステップとを含んでなる、消火方法が提供される。
【0077】
この方法は、出口弁を開くステップに先立って、加熱素子によって、チャンバ内の消火液を加熱するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0078】
この方法は、火炎の存在を示す、あらかじめ定められた条件が満たされたか否かを決定するステップと、
決定するステップの結果に応答して、チャンバから消火液または消火液蒸気を噴射するステップとを、さらに含んでいることが好ましい。
【0079】
この方法は、ユーザが、チャンバを固定している消火液タンクを、火炎の存在が識別されている場所に運ぶステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0080】
この方法は、火炎の存在が識別されたときに、消火液または消火液蒸気を、出口弁から自動的に噴射するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0081】
本発明の第12の態様によれば、
選択された可燃性液体を保持するための噴射室と、
噴射室内に、選択された可燃性液体を取り込むことを可能にする入口弁と、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室の内容物を噴射することを可能にするために、開くように構成されている出口弁と、
噴射室内の圧力を上昇させる手段とを備えてなり、
可燃性液体または可燃性液体蒸気を、出口弁を介して噴射するようになっている、
口火点火装置を備える装置が提供される。
【0082】
可燃性液体または可燃性液体蒸気は、蒸気爆発プロセスを介して噴射されることが好ましい。
【0083】
選択された可燃性液体は、ケロシンまたはガソリンのような液体燃料を含むことが好ましい。
【0084】
この装置の、連続する2つの噴射間の不感時間は、1回の出口弁開放動作中に、出口弁を介して噴射された可燃性液体または可燃性液体蒸気が燃え尽きてしまうまでに費やされる時間よりも短いことが好ましい。
【0085】
噴射室は、口火点火装置に短い補充時間しか与えないような、あらかじめ定められた内部容量を有することが好ましい。
【0086】
この装置は、入口弁を介して、噴射室内に可燃性液体を送り込むように構成されているポンプをさらに備えていることが好ましい。
【0087】
本発明の第13の態様によれば、
燃焼室内に噴射するための、選択された液体を保持するための噴射室と、
噴射室内に、選択された液体を取り込むことを可能にする入口弁と、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室の内容物を噴射することを可能にするために、開くように構成されている出口弁と、
噴射室内の圧力を上昇させる手段とを備えてなり、
液体または液体蒸気を、出口弁を介して、燃焼室内に噴射するようになっている、
ガスタービンの燃焼室内の燃料に再点火する装置が提供される。
【0088】
この装置は、蒸気爆発プロセスを介して、液体または液体蒸気を噴射するように構成されていることが好ましい。
【0089】
この装置は、ガスタービンの燃焼室内に、複数個、配置されていることが好ましい。
【0090】
この装置は、燃焼室内に燃料を注入するために配置されている複数の燃料噴射装置を、さらに備えていることが好ましい。
【0091】
本発明の第14の態様によれば、
噴射室内に、選択された液体を収容するステップと、
噴射室内の圧力を上昇させるステップと、
液体または液体蒸気を、出口弁を介して、燃焼室内に噴射するステップであって、噴射された物質が、燃焼室内の燃料に再点火するステップとを含んでなる、ガスタービンの燃焼室内の燃料に再点火する方法が提供される。
【0092】
この方法は、噴射室から液体または液体蒸気を噴射する時刻を、燃焼室内に燃料を注入するために配置されている燃料噴射装置の動作の1サイクルのあらかじめ定められた時点と一致するように選ぶステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0093】
選択された液体は、ガソリンまたはケロシンのような液体燃料を含んでいることが好ましい。
【0094】
この方法は、蒸気爆発プロセスを介して、液体または液体蒸気を、燃焼室内に噴射するステップを、さらに含んでいることが好ましい。
【0095】
本発明の第15の態様によれば、
少なくとも1つの薬剤成分を含んでいる、選択された液体を保持するように構成されている噴射室と、
あらかじめ定められたパラメータが満たされたときに、噴射室の内容物を噴射することを可能にするために、開くように構成されている出口弁と、
噴射室内の圧力を上昇させる手段と、
所望の位置に、噴射室の出口開口を位置決めする手段とを備えてなり、
所望の位置に薬剤を送達するために、液体または液体蒸気を、噴射室から、所望の位置に噴射するようになっている、患者の体内に薬剤を送達するための装置が提供される。
【0096】
この装置は、噴射室が、患者の体内のどこに位置しているかを決定するための手段を、さらに備えていることが好ましい。
【0097】
選択された液体は、液体薬剤を含んでいることが好ましい。
【0098】
選択された液体は、溶液中に薬物を含ませているキャリア液体を有していることが好ましい。
【0099】
この装置は、目標位置に位置決め可能な遠位端を有する、可撓性のシャフトをさらに備えていることが好ましい。
【0100】
この装置は、さらにカメラを備えていることが好ましい。
【0101】
この装置は、さらに光源を備えていることが好ましい。
【0102】
この装置は、管状身体部内に配置されて、かつ、身体過程に応じて、管状身体部を下って移動するように構成されている本体部分を、さらに備えていることが好ましい。
【0103】
この装置は、本体部分が所望の位置にあるときに、無線信号を受信するための無線通信中継受信器を、さらに備えていることが好ましい。
【0104】
この装置は、無線信号の受信に応答して、出口弁を開くための手段を、さらに備えていることが好ましい。
【0105】
本発明の第16の態様によれば、
噴射室内に、少なくとも1つの薬剤成分を含んでいる、選択された液体を収容するステップと、
所望の位置に、噴射室の出口開口を位置決めするステップと、
噴射室内の圧力を上昇させるステップと、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、出口開口を介して、噴射室の内容物を噴射することを可能にするために、出口弁を開くステップと、
所望の位置に薬剤を送達するために、液体または液体蒸気を、所望の位置に噴射するステップとを含んでなる、患者の体内に薬剤を送達するための方法が提供される。
【0106】
本発明の第17の態様によれば、
選択された液体を保持するように構成されている噴射室と、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、噴射室の内容物を噴射することを可能にするように構成されている出口弁と、
噴射室内の圧力を上昇させる手段と、
所望の位置に、噴射室の出口開口を位置決めする手段とを備えてなり、
閉塞を治癒させるために、液体または液体蒸気を、噴射室から、所望の位置に噴射するようになっている、患者の体内の管状要素の閉塞を治癒させるための装置が提供される。
【0107】
液体または液体蒸気は、実質的に、管状要素の軸方向に噴射されることが好ましい。
【0108】
噴射室の出口開口は、装置の残余の部分に対して相対的に移動可能であることが好ましい。
【0109】
管状要素には、患者の動脈または静脈が含まれていることが好ましい。
【0110】
本発明の第18の態様によれば、
噴射室内に、選択された液体を収容するステップと、
患者の体内の所望の位置に、噴射室の出口開口を位置決めするステップと、
噴射室内の圧力を上昇させるステップと、
あるパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、出口弁を介して、噴射室の内容物を噴射することを可能にするステップと、
患者の体内の管状要素の閉塞を治癒させるために、液体または液体蒸気を、噴射室から噴射するステップとを含んでなる、患者の体内の管状要素の閉塞を治癒させる方法が提供される。
【発明の効果】
【0111】
本発明の実施形態によれば、液体または液体蒸気が、出口開口から、爆発して噴出する噴射室が提供される。蒸気爆発は、対象物質が、噴射室から非常に急激に、かつ、公知の技術では以前に得ることができなかった距離にわたって噴出するという効果を有する。
【0112】
蒸気爆発現象を用いることによって、従来の燃料噴射装置よりも長い射程が得られる。例えば、本発明の実施形態による、液体または液体蒸気爆発の射程は、その対応する噴射室の長さの約200〜300倍以上になる場合がある。従来の燃料噴射装置においては、そのような射程値は、噴射室のサイズの10〜20倍程度である。これは、高い圧力が、噴射室内の液体に繰り返し構築されて、最後に開放されたときに、蒸気爆発が生じるという蒸気爆発の力学に起因するものである。
【0113】
本発明の実施形態によれば、燃料点火システムが提供される。この燃料点火システムにおいては、物質を噴射するために用いられる蒸気爆発室を、燃焼室内に燃料(液体状態で用いられる)を注入するために用いることができる。注入される燃料は、燃料噴射装置のノズルから出る前に、ほとんど気化している(噴射される質量の約70%以上は燃料蒸気である)。いかなる液体燃料も、空気(酸素)と反応することができるようになるためには、最初に気化しなければならないから、これは、重要な利点である。公知の燃料噴射装置では、気化を促進するために、最初に、液体燃料をミスト化しなければならない。本発明の一実施形態による燃料噴射装置では、容易に気化する燃料、または、既に気化している燃料が注入されるから、本発明の実施形態によれば、このミスト化するステップは不必要である。これによって、点火および燃焼の進行が、著しく促進される。
【0114】
燃料噴射装置として用いられる、本発明の実施形態は、さらに、この新しい燃料噴射装置が、ある量の燃料を注入する公知の燃料噴射装置に比して、はるかに低い圧力しか必要とせずに、同量の燃料を注入することができるという利点を備えている。例えば、ディーゼルエンジンよりもはるかに低い圧力で作動する、従来技術のガソリンエンジンで、噴射圧力は、約100バールである。本発明の実施形態によれば、10〜15バールの圧力しか必要としない燃料噴射装置が提供される。これは、システムを作りやすく、かつ、維持しやすくする。
【0115】
本発明の実施形態によれば、公知の、従来技術の燃料噴射装置よりも長い射程を有する燃料噴射装置が提供される。これは、燃料の、より急速で、より良好な混合および気化を可能にするという長所を有する。
【0116】
本発明の実施形態によれば、ガスタービンの燃焼室内の燃料に、これまでに公知の技術において可能であったものよりも高速に、かつ制御性良く再点火することができるガスタービン再点火装置が提供される。
【0117】
本発明の実施形態によれば、対象燃料に、非常に急速に、かつ、自身のサイズおよび燃料の量に比して遠距離にわたって、点火することができる口火点火装置が提供される。噴射室から繰り返し燃料を噴射することによって、この口火点火装置は、口火を維持し続けることができる。
【0118】
本発明の実施形態によれば、運行体に用いることができる推進ユニットが提供される。運行体を推進するために用いられる噴射は、非常に強力かつ高速であって、かつ、遠距離にわたって高出力に生じるから、この推進ユニットを、小スケール、すなわち、ナノスケールにさえつくり上げることができ、また、公知の推進ユニットよりもずっと軽くすることができる。
【0119】
本発明の実施形態によれば、建物または運行体の内部で用いるための、ポータブル型と固定型のどちらにもなり得る消火器システムが供給される。この消火器システムは、一旦ハンドルを操作されると、火炎の中心に消火物質を噴射するために、非常に急速に作動することができる。噴霧の使用は、消火に有益であることが知られている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0120】
単に例示のために、次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0121】
図面において、同じ符号は、同様の部分を示している。
【0122】
図2は、本発明の一実施形態による、蒸気爆発プロセスを介して液体および液体蒸気を噴射するための噴射システム20を示している。噴射室21は、鋼鉄、または、相当の圧力および温度の変化に耐えることができる他の剛体材料のような材料によって、ほぼ円筒状に形成されている。容易に理解されるように、本発明の実施形態は、この特定の形状の噴射室にも、もちろん、鋼鉄によって形成された噴射室にも限定されない。符号22によって示されている、噴射室21の第1の端部領域に、入口弁23が配置されている。したがって、付随している入口管25を介して、水または他の選択された液体が、噴射室の中央領域24に入れることが可能になっている。噴射室21の第2の端部領域26に、噴射室の中央領域24から、ノズル28を通じて物質を噴射することを可能にするために開くことができる出口弁27が配置されている。
【0123】
噴射室内に配置された電気ヒータとして、加熱素子29が設けられている。電気ヒータは、電源(図示せず)に接続されている。したがって、電気ヒータは、スイッチを入れられると、噴射室の中央領域24内の液体を加熱するように作動する。容易に理解されるように、本発明のさらなる実施形態(それらのうちのいくつかについて、次に説明する)によれば、噴射室内の液体の圧力および温度を上げるために、他の方法が用いられることもある。
【0124】
図2に示すように、噴射室の中央領域24内の液体の圧力を、その液体を加熱することによって上昇させることができる。この段階に先立って、液体の逸出を防止するために、出口弁27を閉じる。噴射室が液体で満たされるか、または、あらかじめ定められた量の液体を収容するまで、液体を噴射室にいれることができるように、入口弁23を開く。次に、入口弁を閉じて、噴射室内の液体を密封する。次いで、加熱素子29は、液体を加熱するように作動する。その結果、液体が熱膨張によって膨張し、そのために、噴射室内の液体の圧力が上昇する。加熱素子によって加熱を行うことができるのと同様に、噴射室の入口に、高圧下で、あらかじめ加熱された液体を供給することも、もちろん可能である。
【0125】
この技術を用いると、入口弁を通じて噴射室内に液体を供給するポンプ(図示せず)によって、噴射室の圧力上昇が行われる。上述のように、液体を加熱することによって、噴射室内の圧力は、上昇する。また、温度も上昇する。出口弁は、あらかじめ規定されているか、またはあらかじめ決定されている圧力で、「外側に突き出て」開くように制御されている。噴射室内または噴射室の近傍に配置された、圧力トランスデューサのような1つ以上の圧力センサによって、圧力をモニターすることができる。したがって、噴射室内の水または他の液体は、電気的な加熱素子によって加熱されて(ちょうど電気湯沸かし器のように)、その温度は、大気圧における沸点よりもずっと高い沸点まで上昇する。沸点とは、飽和点を表わしており、容易に認識されるように、飽和点は、用いられている個々の液体の圧力と温度との間の関係によって決定される。
【0126】
噴射室内の液体の温度は、噴射室の出口弁の下流の圧力に等しい圧力における飽和点に近いか、または、それ以上であるのが有利である。水または他の液体が、その加熱に先立って閉じられている入口弁と、システムが特定の圧力に達したときしか解除されない出口弁との両方によって、噴射室内に閉じ込められているから、その温度は、大気圧における沸点を超えて上昇する。それぞれ、トリガー圧力およびトリガー温度と呼ばれることもある。
【0127】
この特定の圧力および温度において、出口弁は、圧力鍋の弁と同様に外側に突き出る。そうすると、蒸気爆発が発生して、液体と液体蒸気との混合物(液体が水の場合には、液体蒸気は水蒸気である)が、噴射室から出てくる。出口弁が開くと、例えば水蒸気と水との混合物が、ノズル28から噴射される。
【0128】
出口弁が開いたとき、最初に噴射される第1の物質相は、噴霧状態の微細な液体という形態の液相である。この噴射は、出口弁が開いた後、数マイクロ秒のうちに起こる。液体のこの極めて迅速な噴射は、特別な長所を有している。2〜3マイクロ秒後に、液体と液体蒸気との混合物が噴射される。数マイクロ秒後に、わずかに少ない液体と、わずかに多い蒸気とを含んでいる混合物が噴射される。
【0129】
しかし、同じ周囲圧力において、より高いトリガー温度を用いると、最初の液体噴出を修正することができる、または、全くなくすることができる。他方、トリガー温度を低下させることによって、ほとんど、ミスト化された液体しか噴射しない状況に導くことができる。このように、噴射室に関連した、1つ以上のパラメータを変化させることによって、液体と蒸気との割合を選択することができる。さらに、温度または圧力のような、1つ以上のパラメータを選択的に変えることによって、噴射物質の滴径を選択的に制御することもできる。
【0130】
物質が噴射室から噴射されると、その圧力は低下する。圧力が、周囲圧力と等しい圧力まで、または、閉鎖圧力と呼ばれることもある、第2のあらかじめ定められた圧力まで低下すると、出口弁は閉じられ、そして、入口弁は、噴射室内に新しい液体物質を取り入れるために再び開かれる。これによって、サイクルが再開始する。したがって、新しく供給された水または他の液体が加熱されて、十分な圧力が発生すると、水/水蒸気混合物、または、他の液体/液体蒸気混合物が、出口から排出される。そして、このサイクルが、反復する。
【0131】
噴射室のサイズは変更可能であり、例えば、直径が1センチメートル未満の場合がある。例えば、噴射室は、ナノメートル・サイズから、ミリメートル・サイズの直径を有する場合さえある。あるいはまた、噴射室は、1メートル以上の直径を有する場合もある。容易に認識されるように、噴射室のサイズが増すと、圧力を上昇させるために費やされる時間が、それに見合って増加するから、噴出の周波数は低下する。容易に理解されるように、噴射室のサイズが、特定の使用のために増大すると、より大きなポンプまたは弁が必要になる。
【0132】
噴射室から噴射される液体の割合を最大にするように、入口弁を制御できることが好ましい。これは、入口開口部の直径を、出口開口部、すなわち排出開口部の直径とほとんど等しくなるように、または、等しくなるように選択することによって達成することができる。そのため、液体を噴射室内に過度に入れすぎないことが確実になる。
【0133】
図3は、図2に示されている実施形態と共通の多くの特徴を有する、噴射装置の一変形実施形態を示している。本発明の、図3に示されている実施形態は、噴射室内の液体を加熱するために、噴射室の側壁部を囲む熱交換器30を用いている。噴射される液体が、水ではなくて、その後に燃える燃料である場合に、液体を加熱するこの方法は、特に有利である。出口弁の下流位置における、燃料である液体が燃えて発生する熱を、熱交換器を加熱し、それによって、噴射室内の液体を加熱するために用いることができる。
【0134】
噴射室内への液体の、より高速な補給を可能にするために、図4に示されているように、帰還開口部406および帰還弁401を、噴射室402に加えることができる。液体補充のために入口弁404が開かれているとき、帰還開口部406および帰還弁401によって、噴射室402内の液体および蒸気のうちのいくらかが、タンク403に帰還することが可能になる。帰還開口部406および帰還弁401の追加によって、十分かつ新鮮な液体を噴射室402に足して、噴射された質量を補うことを容易にすることが可能になる。したがって、連続噴射の後に、噴射室402内の液体の不足することが防止される。
【0135】
タンクとして、パイプライン(消火スプリンクラーの場合のような)を用いる場合には、帰還弁401に接続されている帰還開口部406は、供給パイプライン(タンク403に相当)よりも低圧(周囲圧力であることが好ましい)の、別のパイプラインに接続される場合もある。
【0136】
本発明の一実施形態において、内径25mmおよび長さ32mmの噴射室を用いることができる。2つ以上の別々のヒータを、噴射室内に挿入することができる。長さ28mm、外径21mm、内径15mm、および出力500Wの、第1のヘリカルコイルが、噴射室の壁の近傍に配置されている。長さ25mm、直径1cm、および出力200Wの、第2のカートリッジ・ヒータが、噴射室の中心近傍に配置されている。このような仕様で、5ヘルツまでの反復水蒸気/水噴霧噴射が可能である。
【0137】
周波数を、より高くすると、この加熱出力では、各噴出の後に、補給のために噴射室に供給された冷水を、沸点を超過するまで加熱するのに十分な時間がないために、純然たる、ミスト化されていない液体噴流が生じる。そのため、タンクを、より高温に、例えば約75℃に保って、噴射間の、噴射室における加熱時間を短くし、その結果、噴射の周波数を上げることができる。
【0138】
図5Aおよび図5Bは、本発明のさらなる一実施形態の、燃料噴射装置50としての使用例を示している。燃焼エンジン51が、取り入れ相(図5Aに図示)と、排出相(図5Bに図示)とで示されている。燃焼エンジンは、円筒状の燃焼室52を備えている。燃焼室52は、その一方の端を、燃焼室52の円筒状壁面にぴったりと嵌め込まれて、摺動するように構成されているピストン53によって閉じられている。ピストン53の移動によって、燃焼室52の閉端54と、ピストン53の燃焼室側表面55との間の燃焼室52の容積が変化する。ピストンの反対側の表面は、ピストン・ロッド57を介して、クランク・シャフト56に接続している。ピストン53の往復運動は、クランク・シャフト56の回転運動に変換される。
【0139】
図5Aおよび図5Bに示されている燃焼エンジンは、4サイクル内燃エンジンであるが、容易に理解されるように、本発明の実施形態は、そのようなタイプのエンジンを備えた燃料噴射装置への適用に制限されない。より正確に言えば、4サイクル内燃エンジンは、本明細書において、一例としてあげたに過ぎない。ピストンの第1の下向きのストローク時に、燃料が、燃料噴射装置50によって、燃焼室52内に注入される。
【0140】
従来の燃料噴射装置は、微細にミスト化された噴霧をつくり出すために、電気機械式ノズル、および、あらかじめ加圧された燃料を用いている。燃料は、噴射室内で加圧されており、電磁石コイルによって、シールのニードルが持ち上げられると、それによって、取り入れ弁を通った燃料が、加圧されながらノズルの開口を通ることができる。この加圧された燃料の放出のタイミングは、電子的に制御される。これは、エラーを起こしやすく、かつ、多くの機構部品を必要とする、高価で複雑な構成要素を伴うという欠点を有している。
【0141】
本発明の実施形態では、公知の燃料噴射システムを、上述の説明のように、蒸気爆発プロセスを介して、燃焼室52内に液体燃料、および液体燃料蒸気を噴射する燃料噴射装置50で置き換えることによって、この欠点を克服している。気化した液体燃料および液体燃料が、スパークプラグ58のような点火素子によって点火される。
【0142】
本発明の一実施形態による燃料噴射システムが、図6に詳細に示されている。燃料噴射装置50は、入口弁23を介して液体燃料を入れることができる中央領域24を規定する、燃料の噴射室21を備えている。帰還開口部および帰還弁を、本発明のこの実施形態に組み入れて、それによって、噴射室内への液体燃料のより高速な補給を可能にする場合もある。容易に理解されるように、そのような帰還開口部および帰還弁を、本明細書において説明されているいずれの実施形態にも用いることができる。
【0143】
加熱素子29は、入口弁からの液体燃料の取り入れ後に、噴射室の内部にある液体燃料を加熱するために用いられる。噴射室内が、あらかじめ定められた圧力に到達するまで、出口弁27は、液体燃料を噴射室内に閉じ込めている。この圧力は、大気圧、または、噴射物質の下流(すなわち、図6の左端)における圧力よりも大きい。
【0144】
このようにして、噴射室内の液体燃料を、出口弁が開かれているときの沸点温度よりも高温に加熱することができる。上述の説明のように、出口弁が開かれると、圧力は低下する。そうすると、噴射室内の液体燃料は、その圧力における沸点を超過する温度まで昇温しているために、急速に、かつ、爆発的に沸騰する。例えばケロシンやガソリンのような、ある種の流体は、それ自身が、さまざまな炭化水素を含んでいる多成分燃料であることに注意されたい。それらの成分の各々は、互いに異なる沸点を有する。例えばガソリンにおいては、その沸点は、117℃(最も揮発性の高い成分における)から200℃(最も重い成分における)にまでおよび、また、ケロシンにおいては、その沸点は、150℃から300℃にまでおよぶ。
【0145】
最適性能を得るためには、最高沸点を超過する温度に維持して、全成分が気化することを確実にすることが望ましい。しかし、これは、もちろん、必要不可欠なことではない。例えば、どの成分が主要な濃度を有しているかがわかれば、その成分の沸点を用いて、液体燃料の残りの部分が沸騰することの確実な温度を確定することができる。
【0146】
容易に認識されるように、与えられた同一の圧力において、温度が高くなればなるほど、噴霧は、より微細になり、また、噴射物質のうちの蒸気の割合が、より大きくなる。容易に認識されるように、上で与えられている温度は、それぞれの成分に対応する、大気圧における沸点(飽和点)の実例である。これらの沸点は、圧力が上昇した状態では、非常に異なった値になる。実際の作動圧力は、物質の熱物性に関する公知のデータベースを参照して得ることができる。ノズル28は、狭くなった首状領域60を備えている。噴射される液体燃料および液体燃料蒸気は、開口61を通じて、燃焼エンジンの燃焼室52内に噴射される。
【0147】
エンジンによって生み出される熱量から、液体燃料を指定温度に至らしめるのに必要な熱量を、部分的に、または、完全に得ることができる。エンジンの、作動中に非常に高温になる燃焼室内に、または、その近傍に、燃料噴射装置を配置することができるから、必要とされるだけの熱量をエンジンから吸収するように、噴射室(蒸気爆発室とも呼ばれる)を設計することができる。
【0148】
燃料噴射装置の噴射室壁を介して、または、噴射室内にある熱交換器を介して、または、これら2つの技術の組み合わせを介して、この熱量、すなわち熱エネルギーを得ることができる。さらに、液体燃料を、指定温度のより近くまで加熱するために、入口側の燃料パイプを、エンジン本体の高温部分を通るように、または、それに隣接するように配置することができる。しかしながら、パイプライン内に好ましくないキャビテーションが発生することを避けるために、燃料パイプ内の液体燃料の温度を、液体燃料の最も軽い成分の飽和温度未満に維持することが望ましい。
【0149】
上述の蒸気爆発技術を、燃料噴射システムに適用することの1つの利点は、デバイスの射程を、したがって、大出力におけるエンジンの応答を大きく向上させるということである。公知の従来技術によれば、平均サイズのファミリーカーにおいては、正常な動作範囲は、2,000〜6,000rpmであり、フォーミュラIカーでは、恐らく17,000rpmに達する。
【0150】
本発明のいくつかの実施形態によれば、短い噴射相と、その後の、より長い再補給・再加圧相とを有する燃料噴射装置の1サイクルに費やされる時間は、約5ミリ秒以下である。したがって、燃料噴射速度は、毎分、約12,000噴射(回)である。一般的な4サイクルエンジンは、1噴射当たり、ほぼ2回転する。したがって、理論的には、これらの実施形態における燃料噴射装置は、24,000rpmまで対応することができる。
【0151】
したがって、エンジンの破壊を回避するために、何らかの形式の制限要因を用いて、噴射プロセスを減速させる場合さえあり得る。出口弁が開いている期間、噴射室の温度および圧力、およびエンジンの燃焼室の圧力のような、噴射プロセスの1つのパラメータ、または複数のパラメータを選択することによって、燃料噴射装置の噴射室から燃料を噴射するプロセスを制御することができる。容易に認識されるように、所望の結果を与えるために、他のパラメータを制御することもできる。
【0152】
燃料噴射の目的に、蒸気爆発技術を適用することのさらなる利点として、次のことが含まれる。
【0153】
1. 燃料噴霧がノズルから出現した直後から、燃料噴霧量のうちの非常に大きな割合を、燃料蒸気が占める。これによって、燃料の点火率および燃焼率は上昇し、したがって、エンジンのより大きな加速が可能になる。
【0154】
2. 燃料噴霧は、ほとんどの従来の噴霧装置の場合に比して、容易に、より小さな滴径を有することができる。これによって、燃料の点火速度および燃焼速度が向上し、それによって、次には、エンジンの加速が向上する。さらに、液滴が小さくなればなるほど、燃焼は、より完全になり、環境汚染物質の量は、より少なくなり、燃料の経済性は、よりよくなる。
【0155】
3. 蒸気爆発の使用によって、燃料噴射装置の「射程」、したがって、大出力におけるエンジンの応答を、大きく向上させることができる。
【0156】
4. ノズル内部の物質のうちの大きな割合が燃料蒸気であるから、従来の噴霧装置よりもはるかに低い圧力で燃料噴射装置を作動させることができる。また、蒸気は低密度であるから、同一の噴射速度で燃料を移動させるのに、より低い圧力を用いることができる。これらのより低い圧力での噴射は、実際には、液体をミスト化する際に、機械エネルギーに比して高い比率の熱エネルギーを用いることによって達成される。熱エネルギーは、ほとんどの場合、燃焼自体から容易に利用可能であって、かつ、通常、冷却システムによって損失として取り去られるから、熱エネルギーを用いることによって、さらに、エンジン効率を向上させることができて、かつ、純粋に機械エネルギーだけを用いる場合と比較して、エネルギー損を、より少なくすることができる。
【0157】
5. 単調な開口のような、非常に単純なノズル設計を用いたときでさえ、非常に広角度な噴霧を得て、利用することができる。広角度な噴霧は、空気とよりよく混合して、より高い燃焼速度を生じることができるから、ほとんどの燃焼システムにおいて非常に好都合である。
【0158】
6. 燃料噴射装置内に形成される圧力を、燃料の熱膨張だけで、または、燃料の熱膨張と燃料ポンプの供給圧力との組み合わせで、つくり出すことができる。したがって、機械エネルギーの必要性は、さらに少なくなる。
【0159】
図7は、本発明の一実施形態をどのように適用して、ガスタービンの燃料再点火装置を提供することができるかということを示している。図7は、3つの主要なセクションを有するガスタービン70を示している。それらのセクションは、圧縮機71、燃焼装置72、およびタービン73である。外部空気が、圧縮機の作動によって、エンジン内に引き込まれる。引き込まれた空気は、圧縮機翼の運動によって機械的に圧縮され、したがって、空気の体積が減少して、それに伴って、空気の圧力および温度は上昇する。したがって、空気を圧縮するために用いられる機械エネルギーは、圧縮空気という形態で、運動エネルギーに変換される。
【0160】
その後、圧縮空気は、燃料噴射装置74を介して燃料が注入される燃焼装置72内に押し出される。燃料噴射装置は、従来のタイプのものであってもよいし、または、既に上で説明したタイプのものであってもよい。次に、本発明の一実施形態による燃料再点火装置75が、燃料に点火して、化学エネルギーを、高温の膨張ガスという形態の熱エネルギーに変換するために用いられる。確実に連続燃焼をなすために、燃料は、燃焼装置内に、繰り返し注入される。燃料を、繰り返し注入するのではなくて、絶え間なく注入する場合もある。
【0161】
燃焼室76全体にわたって、ガスの体積および温度は上昇するが、圧力は実質的に一定のままである。タービン73が、タービンのフィン77に作用するガスによって回転すると、高温の膨張ガスの熱エネルギーは、機械エネルギーに変換される。次いで、高温の排気ガスが、ガスタービンの前端78を介して抜け出る。空気の圧縮に対する動力供給を助けるために、出力タービンが、圧縮機翼に接続している。
【0162】
上に説明したように、公知の再点火装置(例えば、図1に示されているような)は、ガスタービンの燃焼室76内の物質に再点火する複雑なプラズマ発生構成を含んでいる。容易に認識されるように、燃焼室は、燃焼室全体にわたって、効果的に分布している多数の燃料噴射装置を備えており、各燃料噴射装置によって注入された燃料に再点火するために、1つ以上の燃料再点火装置が設けられている場合がある。
【0163】
それに代えて、容易に理解されるように、1つの燃料噴射装置当たり、1つ未満の燃料再点火装置しか必要でないように、燃料噴射装置の配置が、注意深く設計される場合もある。ガスタービンは、航空宇宙産業/海洋産業におけるジェットエンジン、陸上車用エンジン、および、地上ガスタービンを用いた発電のような多くの応用を有している。いくつかの地上ガスタービンにおいては、低窒素酸化物(NOx)状態でのタービン稼動を促進する燃料点火装置技術が用いられている場合がある。これによって、タービン内の燃焼の安定性が促進される。
【0164】
図8は、ガスタービンの燃料再点火装置80を、より詳細に示している。実質的に円筒形状の外側電極81が、噴射室(燃料噴射装置の噴射室ではないことに注意されたい)の側壁を形成している。第1の端部領域82において、ある投入量の液体燃料が、入口弁83を介して入ってくる。投入された液体燃料は、内側電極85の孔を通過する。投入された燃料は、中央噴射室領域にはいる。
【0165】
ついでに言及すると、本明細書において説明する他の実施形態と同様に、噴射室への液体燃料の、より高速な補給を可能にするために、帰還開口部および帰還弁を、本発明のこの実施形態に組み込んでもよい。噴射室の第2の端部領域86には、投入された液体燃料の逸出を防止する出口弁87が配置されている。出口弁87が開かれると、液体燃料および液体燃料蒸気が、ノズル88を介して噴射される。中間半導体ペレットが、外側電極と内側電極を隔離している。加熱素子が、噴射室内の液体燃料を加熱するために用いられる。1つ以上の圧力センサが、噴射室の圧力があらかじめ定められた値に達したことを検出すると、荷電粒子を生成するために、外側電極81と内側電極85とに通電される。
【0166】
本発明の燃料再点火装置は、短い炎を絶えず発生させるのではなくて、短時間の激しい爆発として長い炎を発生させるから、無駄が多く、あまり効果的でない、従来の再点火装置より有利である。さらに、液滴が非常に微細で、かつ、噴霧中の液体燃料蒸気含有率が高いから、点火して炎を維持することが、より容易になる。
【0167】
図9は、口火点火装置を備えた、本発明のさらなる一実施形態による蒸気爆発技術の一応用例を示している。この意味で、図9は、口火点火噴射システムを示している。口火点火システムは、ボイラーまたは炉、または家庭用器具、すなわち家庭用ガス応用器具のような多くの応用に必要である。従来技術の口火点火システムは、一般に、スパークを発生させて、その結果、燃料に点火するための電子回路を備えている。口火点火装置90は、入口弁23を通して取り込まれた液体燃料を収容するための燃料の噴射室21を備えている。電気ヒータのような加熱素子29が、上述の説明のように液体燃料を加熱する。
【0168】
噴射室内の圧力が、あらかじめ定められた閾値圧力に達したとき、液体燃料は、出口弁27から出ていくことが可能になる。蒸気爆発プロセスが、繰り返し、急激に起こるから、液体燃料および液体燃料蒸気が、ノズル91を通って、繰り返し、噴射される。蒸気爆発によって、液体燃料蒸気および液体燃料は、大射程で、すなわち、ノズル91から長距離にわたって放出される。さらなる発火性物質に点火するために炎92を絶えず供給するように、初期に、点火素子(図示せず)で液体燃料に点火する場合もある。
【0169】
容易に認識されるように、口火点火装置90は、反復噴射プロセスを備えている。出口弁が開いた直後の初期段階中に噴射される物質は、実質的に、粉霧化された液体燃料の形態をしている。その後、数十マイクロ秒の間、噴射される物質は、液体燃料と液体燃料蒸気の混合物である。さらにその後、噴射される物質は、主に液体燃料蒸気である。噴射室の再充填を可能にするために出口弁が閉じられると、炎は、噴射室から分離する。出口弁の閉鎖によって生じている不感時間は、噴射室の燃料補給を可能にするのには十分に長いが、炎が全燃料を燃焼させて消えてしまうほどには長くならないように選択される。その結果、知覚されるほどに跳ね回るかもしれないが、消滅しない炎を有する口火点火装置が実現する。
【0170】
図10は、蒸気爆発室100が運行体101を推進するために用いられている、本発明のさらなる一実施形態を示している。運行体101は、無人機(UAV)として示されている。このような運行体は、カメラ、センサ、通信機器、または他の積載物を保持することができる、遠隔操縦される飛行機、または、自己操縦される飛行機である。容易に認識されるように、本発明の他の実施形態を用いて、他のタイプの運行体を推進することもできる。UAVは、その運行体を浮き上がらせる揚力を発生させる2つの翼部103を有する運行体本体102を備えている。
【0171】
蒸気爆発室100から燃焼室104内に噴射された液体燃料および液体燃料蒸気を燃焼させることによって、推進が供給される。多くのタイプのUAVが存在する。それらのUAVのなかには、小型機サイズであって、大量の情報量を記録して、基地局に中継することができる、高空で飛ぶものがある。単独の人間によって支持されて、手で放たれるほど十分に軽い運行体もある。マイクロ飛行体は、15cm(6インチ)以下の大きさしか有しない飛行体として定義される飛行体である。さらに、本発明のいくつかの実施形態は、マイクロ飛行体、または、それよりも小さい飛行体にも適用可能である。
【0172】
上述のように、蒸気爆発室100は、ノズル105から、液体燃料および液体燃料蒸気を噴射する。空気が、空気取り入れ口106内に引き込まれ、そして、入口流路107を流れ下っていって、燃料と混合される。燃料は、そこで、スパーク点火装置のような点火素子108によって点火される。燃焼室104は、燃焼プロセスを律則しており、点火された燃焼ガスおよび炎が抜け出ることができる、少なくとも1つの出口開口109を備えている。膨張した高温の排出ガスによって、推進が行われる。蒸気爆発室100のサイズは小さく、装置全体の寸法として、長さが5〜10cm程度である場合がある。
【0173】
加熱素子に対するエネルギー源を与えるために、また、点火素子108を制御するために、必要であれば、太陽電池パネル1100が設けられる。代替例として、機内搭載用の軽量バッテリーを、電源として設けてもよい。さらなる代替例として、排出ガスからの連続的な熱交換を用いて、取り込んだ燃料を加熱するエネルギーを供給することができる。
【0174】
図11Aおよび図11Bは、図10に示されている蒸気爆発室の1サイクルを示している。この例においては、蒸気爆発室100および燃焼室104は、それぞれ、直径が330ミクロンおよび370ミクロンであり、長さが300ミクロンおよび700ミクロンである。炭化水素液体燃料が蒸気爆発室内で気化する。生じた蒸気は、蒸気爆発室から、ノズルを介して燃焼室に噴射されて、そこで、空気と混合する。空気は、図12に明瞭に示されているように、空気取り入れ口を介して取り込まれる。
【0175】
点火デバイス〔前サイクルからの熱または炎である場合もある(図示されているように)し、または、スパーク点火装置のような別個の点火素子である場合もある〕により、燃焼が誘発されて、数マイクロ秒以内に、炎が、燃焼室を満たす。これらの図には、時間経過に伴う炎の進展と、それに対応する温度変化とを示す、温度の色/陰影輪郭が、種々の時刻において示されている。
【0176】
燃焼室で安定した炎を維持するために、圧力逃しのための出口弁を、各サイクル間で数ミリ秒間しか閉じずに、燃料補充しなければならないから、燃焼室に燃料を噴射するのに、2個以上、最も望ましくは3〜10個の蒸気爆発室を用いることが好ましい。それらの蒸気爆発室は、空間的に同一の点に向かって、または、その近傍に向かって、かつ、同一方向に噴射するが、各注入の開始時が、互いに対して、均等な、もしくは、いくつかの選択された時間遅れを有するように構成される。
【0177】
図13は、本発明のさらなる一実施形態による、蒸気爆発プロセスを介して、消火液および消火液蒸気を噴射するための噴射システムを示している。噴射室1301が、消火器1300の首状領域1302内に形成されている。消火液タンク1303が、大量の、水のような液体の消火剤を含んでいる。ハンドル1304は、火炎の存在が見出されたときに、ユーザが消火器を作動させるために用いられる。
【0178】
ハンドルの作動によって、制御ユニット1305が、入口弁1306および出口弁1307の開閉を制御する駆動信号を発生させ始める。さらに、噴射室への消火液の、より高速な補給を可能にするために、このシステムに、帰還開口部および帰還弁を組み込むこともできる。消火液および消火液蒸気が、噴射室1301から、図13において矢印Aによって示されている方向に噴射される。制御ユニット1305からの駆動信号は、噴射室1301内の電気ヒータに電力を供給する電源1308を制御するためにも用いられる。
【0179】
上述のように、この電気ヒータを、噴射室1301内の消火液の圧力を上昇させるために用いることができる。消火液が噴射室に急速に補充されるように、消火液タンク1303も、加圧されている。噴射室内の消火液の圧力を、大気圧を超過する圧力まで上昇させるほど、消火液タンク1303の圧力を高くすることができる。
【0180】
図14および図15は、消火液および消火液蒸気を噴射するために蒸気爆発デバイスを用いる、本発明のさらなる2つの実施形態を示している。図14は、水蒸気スプリンクラー型の消火器として具体化されている蒸気爆発デバイスを示している。実際には、1つ以上の蒸気爆発デバイスを基にした、火炎抑制/消火用のスプリンクラーが、建物内に固定されており、火炎検出システムによって始動させられる。中央火炎検出システムが、建物内の全スプリンクラーに対して共通に用いられる場合もあるし、または、火炎が存在する場所だけに、消火剤を放出することを可能にするために、各スプリンクラーに、個別のセンサを設けている場合もある。火炎検出システムを、区画ごとに配置する場合もある。
【0181】
火炎が検出されて、かつ、消火液が水である場合には、スプリンクラーは、周囲に、水蒸気およびミスト状の水滴を、あらかじめ定められた特定の周波数値の反復パルスとして噴射する。この周波数値は、設計および個々の応用に応じて、0.5〜5Hz、または、さらに高くなることがある。図14に示されているように、スプリンクラーは、消火液タンク1401、上で説明した噴射室による蒸気爆発室1402、および、任意選択に、消火液に圧力を加えて、必要とされる噴出周波数に対して十分に速く、蒸気爆発室1402に消火液を補充することを容易にするための小さなポンプを備えている。
【0182】
1つ以上のスプリンクラーが配置されている環境内のスプリンクラーの全体または特定のグループに、単一の消火液タンクが接続されている場合がある。さらに、そのような消火液タンクは、各スプリンクラーに対するポンプの設置の必要性を軽減する可能性を有する、加圧された送水管である場合もある。
【0183】
図15は、消火液を噴射するシステムを示している。この実施形態においては、蒸気爆発デバイスが、ホース型の消火器内で用いられている。蒸気爆発室1501が、ホース1502の先端に嵌めこまれている。ホース1502は、加圧された消火液タンクとして働いており、水蒸気を反復して噴出させる蒸気爆発室1501に消火液を供給する。蒸気爆発デバイスに取り付けられたバッテリー、または、ホースに沿って平行に取り付けられている場合がある電力供給線のいずれかによって、蒸気爆発デバイスに電力を供給することができる。
【0184】
消火液を噴射するシステムとして、上に開示されている、本発明の3つの実施形態の全てにおいて、消火液は、水であってもよいし、または、任意の他の適切な消火液であってもよい。
【0185】
蒸気爆発デバイスは、多くの点で、従来の、水をベースにした消火デバイスより有利である。第一に、蒸気は、等量の水よりもはるかに大きな表面積を有する。したがって、蒸気は、ずっと多くの熱量を吸収し、そのために、よりよく火炎を抑制することができる。さらに、蒸気は、ミストのように火炎を包み込んで、火炎への酸素の流入を制限することができ、したがって、さらによく火炎を抑制することができる。それとは対照的に、水は、火炎上を一直線に流れて、極めて短時間しか酸素の流入を制限しない。
【0186】
さらなる1つの利点は、水ではなくて、蒸気爆発デバイスによってつくり出された水蒸気で火炎抑制または消火を行うことによって、はるかに少ない水しか使用する必要がないということである。より少ない水しか用いないということは、単に、経済的および環境上、有利であるだけではなくて、その消火プロセスによって、火炎の生じている周囲が、より少ない損傷しか与えられないということをも意味する。
【0187】
図16は、本発明のさらなる一実施形態にしたがって、薬物送達装置および方法、または、患者の体内の閉塞を治癒させる装置および方法を提供するために、いかにして、蒸気爆発技術を応用することができるかということを示している。図16は、人体の腸管または呼吸器系または循環系の部分に配置することができる、可撓性で、かつ、移動しやすいシャフト1601を有する内視鏡1600を示している。可撓性のシャフト1601の遠位端領域1602には、可撓性の先端1603がある。先端1603は、外科医が、端部停止デバイス1700(図17に、より明瞭に示されている)を、患者の体中を移動させることができるように、また、シャフト端を、位置決めすることができるように構成されている。
【0188】
シャフト1601の近位端1604は、接眼部1606および付属装置用の開口1607を有する内視鏡本体1605に終端している。さらなるケーブル1608によって、内視鏡本体1605は、任意の必要な光、空気、水、または内視鏡に必要とされる他のユーティリティを供給する入力接続部1609を接続されている。
【0189】
図17に明瞭に示されているように、内視鏡の端部停止デバイス1700は、外科医のために、内視鏡の端部を囲む領域を照射するための光源1701、および、患部領域の視覚映像を供給するためのカメラ1702を備えている。カメラ1702からの信号は、接眼部1606に供給される場合もあるし、または、それらの信号は、入力接続部1609または開口1607を介して出力されて、その結果、LCD(液晶ディスプレイ)画面のようなディスプレイ上に、映像が表示される場合もある。
【0190】
図18に明瞭に示されているように、内視鏡1600の端部停止デバイス1700は、さらに、薬剤送達デバイス1800を含んでいる。電力および制御信号が、コントローラ1703を介して、薬剤送達デバイス1800に供給される。薬剤送達室1801から噴射された液体蒸気物質を、いくつかのやり方にしたがって用いることができる。
【0191】
それらのやり方のうちの1つにおいて、薬剤送達室1801は、薬剤が施されることになっている特定の位置に移動させられる。次に、入口弁1802を開くことによって、液体薬剤が、薬剤送達室1801内に投入される(または、既に挿入されている)。次いで、液体薬剤の温度および圧力を上昇させるために、ヒータ・ユニット1803に電力が供給される。その後、圧力または温度が、気化した液体薬剤および液体薬剤を所望の位置に噴射する、あらかじめ定められた値に達したとき、薬剤を施すことができる。上述の実施形態の全てと同様に、必要に応じて、噴射サイクルを何度も繰り返すことができる。
【0192】
一代替例として、動脈または静脈、またはその他同様のものの閉塞を治癒させるために、液体および液体蒸気を噴射される物質を用いることができる。この意味で、閉塞(動脈壁が付着物で覆われることによって、血流が制限される疾病のような)の場合の血流に関連して、本発明の実施形態を用いることができる。この場合には、前述の技術によって噴射される、水をベースにした溶液、または他の中性溶液を、閉塞している静脈線/動脈線に沿って縦方向に注いで、閉塞を取り除くことができる。これは、障害を起こしている導管を治癒させるために膨張チューブ/バルーンを用いる、現在のやり方に追加されるもの、または、置き換わるものである。
【0193】
図16に示されている本発明の実施形態によれば、医師によって操作されるカメラが、超微小な蒸気爆発デバイスに取り付けられており、機能不全が生じている正確な地点に精確に薬物を置くために用いられる。本発明の実施形態は、腸に対する使用に制限されることなく、さらに、気管の呼吸器系にも用いることができ、また、血流環境に関して、循環系に適用することもできる。
【0194】
図16〜図18に関して説明した、本発明の実施形態においては、内視鏡のようなデバイスの使用に関連付けて説明したが、本発明の実施形態は、そのような使用に制限されない。より正確に言えば、錠剤状の形状のデバイスを挿入することによって、所望の位置に薬物を送達するために、本発明の実施形態を用いることができる。そのデバイスは、挿入後、例えば血流または腸管を通って自然に移動していって、色素および走査システムを用いたX線装置によって追跡される。したがって、オペレータは、画面上で、デバイスがどこに到達しているのかを知ることができる。
【0195】
その後、デバイスが所望の位置にあるとドクターが判定すると、無線信号が、人体中のデバイスに送信される。次に、デバイスが、薬物または単に液体を噴射して、所望の位置に薬剤を送達するか、または、閉塞している導管の流れをよくする。
【0196】
本発明の蒸気爆発デバイスのさらなる一適用は、呼吸器薬物送達システムの一部としての適用である。呼吸器薬物送達システムは、呼吸器系に薬物を直接送達して、喘息、嚢胞性繊維症、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような、多数の呼吸器系疾患を治療するために用いられる。さらに、最近では、系統的な薬物治療のための進入路として、肺を用いることができるようになっている。例えば、肺吸入インスリンを施すことに成功しており、糖尿病治療において、インスリン注入のための1つの代替ルーチン処理になっているようである。
【0197】
3つの主要なタイプの呼吸器薬物送達システム、すなわち、定量吸入器、乾燥粉末吸入器、および噴霧器が存在する。加圧された定量吸入器は、一定体積すなわち特定の値の加圧された液体を、患者の気道に放出する。放出されると、液体は急速に蒸発して、吸入に適した乾燥状態の薬物が残される。乾燥粉末吸入器は、吸入時に、空気とともに追い出される乾燥粉末を含んでいる。
【0198】
患者が、吸入器からの空気を吸い込むと、その後、乾燥粉末は、吸入の力によって、患者の肺に運ばれる。定量吸入器と乾燥粉末吸入器のどちらにおいても、一吸入において、あらかじめ定められた量の薬物が放出される。患者は、1日のなかで、これらの薬物の一定量を摂取する。
【0199】
第3のタイプの呼吸器薬物送達システムは、液体状態で収容されている薬を、エアロゾルまたはミストのような、薬粒子のガス状懸濁物に変換する噴霧器である。患者が、このミストを吸い込むと、薬物が、呼吸器系に送達される。2つの主要なタイプの噴霧器、すなわち、ジェット噴霧器および超音波噴霧器が存在する。加圧されたガスを狭い通路に通して、薬タンクに負圧をつくり出すことによって、ジェット噴霧器を作動させることができる。負圧によって、薬液の粒子が、薬タンクから引き出されて、患者が吸入するためのミストを形成する。
【0200】
超音波噴霧器は、高速に振動する圧電結晶を用いている。圧電結晶は、ミストが立ちのぼる液柱を発生させる。これらの噴霧器は、約15分の期間にわたって、ゆっくりと、液剤をミストに変換する。その期間、ユーザは、絶えず、ミスト状態の薬を吸入する。噴霧器は、はるかに多くの薬量を送達し、したがって、通常、重度の呼吸器障害をもつ患者に対して用いられる。
【0201】
本発明の一実施形態による蒸気爆発デバイスは、液タンクから液体を取り込んで、蒸気ミストを出力する。液タンクは、薬を蓄えている。したがって、吸入に適したミスト状態で、薬を投与することができる。蒸気爆発デバイスは、短い激しい爆発で蒸気(またはミスト)を出射する。蒸気爆発室内に入れられていた液体の量に相当する容積の蒸気が放出される。したがって、定量吸入器と同様に、蒸気状態の、単位ユニットの薬を投与するために、蒸気爆発デバイスを用いることができる。
【0202】
本発明の一実施形態のさらなる1つの特徴は、蒸気爆発デバイスが、極めて立て続けに連続して爆発蒸気を出射することができるということである。したがって、噴霧器のように、一定期間の間、連続して薬を投与するために、本発明の実施形態を用いることができる。さらに、蒸気爆発デバイスは、これら両方のタイプの呼吸器薬物送達システムの機能を遂行することができるから、単位ユニットの薬の蒸気と、連続的な、薬の爆発蒸気との両方を送達することができる多機能システムを提供することができる。
【0203】
蒸気爆発デバイスは、非常に長い射程、および広角噴霧を備えており、また、蒸気爆発デバイスがつくり出す噴霧は、非常に小さな液滴サイズを有しているから、本発明の、蒸気爆発デバイスに基づいた呼吸器薬物送達システムは、従来技術の呼吸器薬物送達システムよりも有利である。長い射程および広角噴霧によって、薬は、呼吸器系の、より内部に達することが可能になり、したがって、患者の吸入によって、十分に広がって、よりよく運ばれやすくなる。
【0204】
さらに、液滴サイズが小さいことによって、呼吸器系による薬のよりよい吸収が可能になる。1〜5μmの液滴サイズが理想的である。それより大きい液滴は、多くの場合、気道の前方に沈積し、一方、それより小さい液滴は、ほとんど沈積せずに、大部分吐き出される。
【0205】
図19は、本発明の蒸気爆発デバイスを、ポータブル噴霧器として、どのように具体化することができるかを示している。本発明の一実施形態のポータブル噴霧器は、入口弁1902、出口弁1903、および任意選択の帰還弁1904を有する蒸気爆発室1901を備えている。蒸気爆発室1901は、バッテリー1905、または他のそのような電源によって電力を供給される加熱素子によって加熱され、また、薬タンク1906から適切な液体を供給される。
【0206】
さらに、バッテリーと主電源とによって、または、バッテリーではなくて主電源によって、ポータブル噴霧器に電力を供給することができる。薬タンク1906は、その内部に一定量の液体を収容することができる。薬タンク1906内の液体に圧力を加えて、蒸気爆発室1901への高速な補給を可能にするために、ばね1907および可動ピストン1908を用いることができる。
【0207】
それに代えて、薬を、噴霧器から取り外し可能な、あらかじめ加圧された収容デバイスに収容することができる。収容デバイスを取り替えることによって、薬の容易な補充が可能である。薬タンク内の液体は、純粋な薬である場合もあるし、キャリア液体中に懸濁された薬である場合もある。ユーザは、ユーザ制御インターフェイス1911を用いて、噴霧器を制御することが可能である。そして、制御回路1910が、ユーザ制御インターフェイスからの入力信号を処理して、応答可能に噴霧器を制御することができる。
【0208】
図19のポータブル噴霧器によって薬を気化させるプロセスは、薬タンク1906からの薬を、入口弁1902を通過させて、蒸気爆発室1901を薬で満たすことによって開始する。あらかじめ定められた量の薬が、蒸気爆発室1901内にはいると、全ての弁が閉じられる。そして、出口弁1903を開くことを可能にするトリガー温度およびトリガー圧力に達するまで、加熱素子が蒸気爆発室1901内の薬を加熱する。
【0209】
次に、出口弁が開いて、蒸気またはミストが、マウスピース1909に沿って放射される。出口弁1903とマウスピース端との間の距離は、ミストが、マウスピース端に達する前に冷えて、患者が薬物を吸入することができるほどに、十分に長くなっている。その後、あらかじめ定められた期間の間、または、あらかじめ定められた量の薬が気化してしまうまで、この噴射プロセスが、特定の周波数で繰り返される。蒸気爆発室1901のサイズ、または、蒸気爆発室1901内に入れられる液体の量は、各噴霧噴出によって放射されるべき液体の量に相関して定められる。
【0210】
図20は、3つの主要構成部品、すなわち、噴霧器本体2001、蒸気爆発デバイス2002、および、噴霧器本体2001と蒸気爆発デバイス2002を連結している薬輸送パイプ2003を有する卓上噴霧器を示している。噴霧器本体は、薬タンク2004を備えている。薬タンク2004は、蒸気爆発デバイスによって必要とされる温度に近いが、それよりも低い温度に薬を保っておく加熱素子2005を有する場合がある。加熱素子2005は、主電源2006によって電力を供給される。
【0211】
薬タンク2004は、薬タンク2004への薬の補給を可能にするためのタンク入口2007、および、薬タンク2004から薬を汲み出すためのタンク・ポンプ2008を有している。タンク・ポンプ2008は、蒸気爆発デバイスへの高速な補給を可能にするために、薬輸送パイプ2003に、加圧された薬を供給する。図20に示されている蒸気爆発デバイスは、入口弁2009、出口弁2010、蒸気爆発室2011、加熱素子2012、および加熱素子2012の電源2013を備えており、前述の実施形態の蒸気爆発デバイスと同様に作動する。
【0212】
薬は、マウスピース2014から、蒸気状態で放出される。より高速な蒸気爆発室への補給を促進するために、帰還開口部および帰還弁を、本実施形態に組み込む場合もある。ユーザによる噴霧器の制御を可能にするために、ユーザ制御インターフェイス2015を、噴霧器本体2001に搭載することができる。ユーザ制御インターフェイス2015からの入力信号を処理して、応答可能に噴霧器を制御するために、制御回路2016が、噴霧器本体2001に搭載されている。蒸気爆発デバイスに制御回路2016を接続するために、制御線2017を、薬輸送パイプ2003に平行に配置することができる。
【0213】
ついでに言及すると、加熱素子2012の電源2013は、バッテリーである場合もあるし、または、噴霧器本体内の主電源2006である場合もある。後者の場合には、主電源2006から、電力線を介して電力が供給される。
【0214】
図20は、薬タンク2004を、補給可能なタンクとして示している。この実施形態においては、患者によって必要とされる量の薬を、薬タンク内に配置することができる。そして、全ての薬が噴射されてしまうまで、噴霧器を作動させることができる。それに代えて、薬タンクを薬で最大限に満たすこともでき、その後、噴霧器に、あらかじめ定められた量の薬を放射させることもできる。
【0215】
容易に理解されるように、本発明の実施形態においては、補給可能な薬タンクは、必要不可欠なわけではなく、それに代えて、薬をあらかじめ詰め込まれた容器を用いることもできる。さらに、加圧された容器を用いることもでき、その場合には、ポンプは不要である。
【0216】
図21は、本発明の一実施形態による定量吸入器を示している。本発明のこの実施形態は、薬タンク2102から、入口弁2103を介して薬を受ける蒸気爆発室2101を備えている。蒸気爆発室内の薬の量は、ユーザによって必要とされる量に一致する。ユーザが制御ボタン2104を押すと、ユーザによる吸入のために、薬が、マウスピース2108から、蒸気状態で出射されるように、制御回路2105が、入口弁2103および出口弁2107とともに、加熱素子2106を制御する。加熱素子2106は、電源2109から電力を供給される。電源2109は、バッテリーである場合もあるし、または、主電源への接続部である場合もある。
【0217】
図21の薬タンク2102は、蒸気爆発室2101への高速な補給を可能にするために、入口弁2103に加圧された液体を供給する、加圧された容器として示されている。容易に理解されるように、それに代えて、加圧されていない容器として、補給可能な薬タンクを用いることもできる。帰還開口部は、図21に示されていないが、組み込まれる場合もある。
【0218】
容易に認識されるように、ニードルのない噴射装置を提供するために、本発明の実施形態を使用することができる。
【0219】
呼吸器薬物送達システムの一部として用いられる蒸気爆発デバイスの全ての応用において、患者は、患者の口内にふくまれているマウスピースを介して、または、患者の口または鼻を覆って、顔面上に置かれているフェースマスクを介して、薬物を受け入れることができる。患者の呼吸器系の任意の他の部分にも、薬を直接送達することができる。
【0220】
全ての呼吸器薬物送達において、蒸気爆発室内の液体の最大爆発を確実にするために、蒸気爆発室のトリガー温度は、蒸気爆発室内の1つ以上の液体の沸点を超過している必要がある。この利用に最も適した、非常に微細な噴霧が確実につくり出されるように、トリガー温度は、蒸気爆発室内の、最高沸点の液体の沸点を、約20〜30℃超過しているのが望ましい。蒸気爆発室の作動圧力とは異なるが、トリガー圧力は、4〜6バールまで低くてもよい。出口のノズルの直径は、0.05〜0.5mmの範囲内にあるとき、この応用に最も適合する場合がある。
【0221】
蒸気爆発デバイスに基づいた噴霧器において薬の送達を最大にして、かつ、薬の無駄な使用を最小にするために、電子検出システムまたは機械的な弁システムを用いて、いつユーザが吸入しているのかを決定し、次に、ユーザが吸入しているときだけ薬を出射するようにし、したがって、ユーザが息を吐き出している間は薬が無駄に使用されない、呼吸で作動する送達システムを組み込むことができる。
【0222】
このような機能を、手動で行うこともできるが、多くの人は、自分の呼吸と、噴霧器の切り換えとを調和させるのは困難であると感じる。ついでに言及すると、同様に、多くの人は、薬の噴射と吸入とを調和させるのは困難であると感じるから、そのような検出機構を、定量吸入システムにも用いてもよい。
【0223】
容易に認識されるように、噴射室内で、液体の温度を、その飽和点を超過して上昇させる加熱素子は、化学的な性質のものであってもよい。すなわち、混合されたとき、液体を「沸騰させる」のに十分な熱量を発生させる発熱反応を示す2つの成分を備えていてもよい。ユーザは、使用の直前に2つの成分を作動させて、次に、放出される状態になるまで待つ。これは、ユーザ・ディスプレイに表示する、または、音を発する、物質を可視的に噴射する、または、あらかじめ定められた時間の経過を待つなどの、いくつかの方法で識別することができる。
【0224】
図19〜図21に関して説明した、本発明の実施形態は、特定の呼吸器薬物送達システムに関連付けてあるが、本発明の実施形態は、そのようなシステムに限定されるものではない。
【0225】
図22は、上述の実施形態のいずれにおいて使用してもよい、噴射室2200を示している。容易に理解されるように、本発明の実施形態は、実質的に円筒形状の噴射室を用いるものに制限されない。より具体的に言えば、珍しい形状の噴射室、または球状の噴射室、または、図22の場合のように、入口弁2201、出口弁2202、および加熱素子2203を有する、ハート形の噴射室を使用することができる。
【0226】
本発明の実施形態は、蒸気爆発プロセスを介して対象物質を噴射する噴射室の使用に関連する、基本的な中核技術を提供するものである。蒸気爆発プロセスを介して物質を噴射することによって、液体および液体蒸気の噴霧が走行する距離は、公知の噴射システムの場合に比して、著しく増加する。さらに、噴射は、非常に急激に、小さな噴射室で数十マイクロ秒の程度で生じる。
【0227】
本発明の実施形態によれば、噴射室内の圧力は、その中の液体が熱せられることによって増す。液体は、熱膨張によって膨張し、したがって、より高い圧力を与える。加熱は、電気的な加熱素子によって、または、局所的な熱源から液体に熱を伝達する熱交換器を介するような他の手段によって実現される。
【0228】
本発明の上述の実施形態の全てを、噴射室内で液体を加熱するのではなくて、あらかじめ加熱した液体を、高圧下で、噴射室の入口に供給するように変更することができる。噴射室内に、あらかじめ加熱した液体を送り込み続けることによって、噴射室内の圧力は上昇する。高圧で液体を送り込むことができる外部ポンプを用いて、これを実現することができる。噴射物質が噴射されることになっている圧力を超過する、あるあらかじめ定められた圧力値において、入口弁が閉じて、出口弁が開く。圧力の瞬間的な下降によって、その圧力における沸点に比して、相対的に液体の温度が高くなるために、液体の蒸発プロセスが誘発されるということが理解されるであろう。したがって、液体および蒸気が、噴射室の出口弁から、文字通り爆発的に噴出する。
【0229】
動作液体として水を用いて、1.1バールの噴射室圧力で、例えば大気圧(1.0バール)の外気に注入する場合には、噴射室から1mm弱の寸法の地点で、毎秒20メートルまでの速度を達成することができる。炭化水素液体燃料を用いて、6バールの燃焼室に注入する場合に、噴射室から約2cmの寸法の地点で、かつ、10バールの圧力下で(言い換えると、噴射室と、それに隣接する燃焼室との間の圧力差が1バールで)、毎秒100メートルまでの速度を達成することができる。
【0230】
種々の噴射室において、圧力トランスデューサのような、1つ以上のセンサによって容易に監視/測定することができる圧力に基づいて、入口弁および出口弁を電子的に制御することができる。噴射室内の圧力が、ある値に達すると、出口弁が開かれ、また、噴射室内の圧力が、第2のある値未満に下がると、出口弁は閉じられる。入口弁については、入口弁を、噴射室内が、ある上限圧力に達したときに閉じて、かつ、ある下限圧力に達したときに開くようにするか、または、出口弁と逆に開閉するようにするか、どちらにすることもできる。すなわち、後者の場合には、出口弁が開くときに入口弁は閉じるように、また、出口弁が閉じるときに入口弁は開くように制御される。
【0231】
本明細書の記載および請求項の全体にわたって、用語「備える」、「有する」、「含む」、および、これらの用語の変形、例えば「備えている」は、「含むが、それに限定されない」を意味しており、それ以外の部分、付加物、構成成分、完全体、またはステップを除外することを目的とはしていない(また、除外するものではない)。
【0232】
本明細書の記載および請求項の全体にわたって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、単数は複数を包含する。特に、不定冠詞が用いられている場合には、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書は、単一のみならず、複数をも見込んでいると解するべきである。
【0233】
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例に関連付けて説明した特徴、完全体、特性、化合物、化学的部分、または化学基は、不適合でない限り、本明細書に記載されている任意の他の態様、実施形態、または実施例に適用可能であると理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0234】
【図1】従来技術のガスタービンの再点火装置を示す図である。
【図2】物質を噴射する装置を示す図である。
【図3】一代替実施形態の、物質を噴射する装置を示す図である。
【図4】別の一代替実施形態の、物質を噴射する装置を示す図である。
【図5A】本発明の一実施形態を組み込んでいる燃焼エンジンの1つの相を示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態を組み込んでいる燃焼エンジンの別の1つの相を示す図である。
【図6】燃料噴射装置を示す図である。
【図7】ガスタービンを示す図である。
【図8】ガスタービンの燃料再点火装置を示す図である。
【図9】口火点火装置を示す図である。
【図10】運行体のための推進システムを示す図である。
【図11A】燃焼室のいくつかの燃焼相を示す図である。
【図11B】燃焼室の別のいくつかの燃焼相を示す図である。
【図12】図11Aおよび図11Bの燃焼室の空気取り入れ口を示す図である。
【図13】ポータブル型の消火器を示す図である。
【図14】スプリンクラー型の消火器を示す図である。
【図15】ホース型の消火器を示す図である。
【図16】いかにして、本発明の一実施形態を薬剤送達に用いることができるかを示す図である。
【図17】内視鏡の端部を示す図である。
【図18】いかにして、薬剤を送達することができるかを示す図である。
【図19】いかにして、本発明の一実施形態をポータブル噴霧器として用いることができるかを示す図である。
【図20】卓上噴霧器を示す図である。
【図21】定量吸入器を示す図である。
【図22】ハート形の噴射室を示す図である。
【符号の説明】
【0235】
10 従来の再点火装置
11、81 外側電極
12 ペレット
13 中央電極
14、109 出口開口
15 噴射物質
20 噴射システム
21、402、1301、2200 噴射室
22、82 第1の端部領域
23、404、1306、1802、1902、2009、2103、2201 入口弁
24 中央領域
25、83 入口管
26、86 第2の端部領域
27、87、1307、1903、2010、2107、2202 出口弁
28、88、91、105 ノズル
29、2005、2012、2106、2203 加熱素子
30 熱交換器
50、74 燃料噴射装置
51 燃焼エンジン
52、76、104 燃焼室
53 ピストン
54 閉端
55 燃焼室側表面
56 クランク・シャフト
57 ピストン・ロッド
58 スパーク・プラグ
60、1302 首状領域
61、1607 開口
70 ガスタービン
71 圧縮機
72 燃焼装置
73 タービン
75、80 燃料再点火装置
77 フィン
78 前端
85 内側電極
90 口火点火装置
92 炎
100、1402、1501、1901、2011、2101 蒸気爆発室
101 運行体
102 運行体本体
103 翼部
106 空気取り入れ口
107 入口流路
108 点火素子
401、1904 帰還弁
403 タンク
406 帰還開口部
1100 太陽電池パネル
1300 消火器
1303、1401 消火液タンク
1304 ハンドル
1305 制御ユニット
1308、2013、2109 電源
1502 ホース
1600 内視鏡
1601 シャフト
1602 遠位端領域
1603 先端
1604 近位端
1605 内視鏡本体
1606 接眼部
1608 ケーブル
1609 入力接続部
1700 端部停止デバイス
1701 光源
1702 カメラ
1703 コントローラ
1800 薬剤送達デバイス
1801 薬剤送達室
1803 ヒータ・ユニット
1905 バッテリー
1906、2004、2102 薬タンク
1907 ばね
1908 可動ピストン
1909、2014、2108 マウスピース
1910、2016、2105 制御回路
1911、2015 ユーザ制御インターフェイス
2001 噴霧器本体
2002 蒸気爆発デバイス
2003 薬輸送パイプ
2006 主電源
2007 タンク入口
2008 タンク・ポンプ
2017 制御線
2104 制御ボタン
A 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された液体燃料を保持しうる噴射室と、
前記噴射室内に液体燃料を移すために、選択的に開くように構成されている入口弁と、
前記噴射室に関連したパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、前記噴射室から燃料を噴射するために、選択的に開くように構成されている出口弁とを備えてなり、
前記燃料を燃焼域内に注入するために、前記液体燃料または液体燃料蒸気を、前記出口弁を介して、前記噴射室から燃焼域内に噴射するようになっている、燃焼域内に燃料を注入するための装置。
【請求項2】
前記噴射室内の液体燃料の温度を上昇させるために、前記噴射室の内部またはそれに近設して配置されている加熱素子をさらに備えてなる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記噴射室内の液体燃料の圧力を上昇させるために、前記噴射室の内部またはそれに近設して配置されているポンプ部をさらに備えてなる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記噴射室に関連したパラメータが、前記あらかじめ定められた条件が満たされたことを指示する、あらかじめ定められた閾値に達したときを決定するための少なくとも1つのセンサをさらに備えてなる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
前記センサは、圧力センサまたは温度センサからなる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記出口弁は、前記噴射室内の液体燃料の温度が、前記出口弁の下流の位置の圧力と等しい圧力における、前記液体燃料に関連した飽和温度と実質的に等しいか、または超過したときに、開くように構成されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
ガスが前記燃焼帯内に存在する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
液体燃料を収容するように構成されている収容室をさらに備えており、
前記収容室内の液体燃料の一部を、前記入口弁を介して、前記噴射室に選択的に移すように構成されている、請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記収容室内の液体燃料の一部を、前記噴射室内に移す前に加熱するように構成されている加熱部をさらに備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記入口弁に前記収容室を接続している入口パイプであって、前記収容室から前記噴射室に移される液体燃料を加熱するために、前記燃焼帯の近位に配置されているか、または、エンジンの高温部分との間に熱交換器を有している入口パイプをさらに備えている、請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記液体燃料は、多成分燃料を有しており、かつ、前記出口弁は、前記噴射室内の液体燃料の温度が、前記多成分燃料のうちの選択された1つの成分に関連する飽和温度以上になったときに開くように構成されている、請求項1〜10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
前記選択された1つの成分は、前記多成分燃料のうちの最も軽い成分を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記選択された1つの成分は、前記多成分燃料のうちの最も重い成分を有する、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記噴射室は、前記燃焼帯の近傍に位置しており、かつ、前記燃焼帯内の燃料の燃焼によって発生する熱を吸収するように構成されている、請求項1〜13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
前記燃焼帯から前記噴射室に熱を移すように構成されている熱交換器をさらに備えている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記液体燃料または液体燃料蒸気は、蒸気爆発プロセスを介して噴射されるようになっている、請求項1〜15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
前記液体燃料または液体燃料蒸気は、20を超過する射程を有する噴霧として噴射されるようになっている、請求項1〜16のいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
前記液体燃料または液体燃料蒸気は、100を超過する射程を有する噴霧として噴射されるようになっている、請求項1〜17のいずれか1つに記載の装置。
【請求項19】
前記液体燃料は、ケロシンまたはガソリン、またはディーゼル燃料を含んでいる、請求項1〜18のいずれか1つに記載の装置。
【請求項20】
前記噴射室は、金属材料で製造されている、請求項1〜19のいずれか1つに記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの電源をさらに備えている、請求項1〜20のいずれか1つに記載の装置。
【請求項22】
前記噴射室は、実質的に円筒形状をしており、かつ、その出口端に首状領域を有しており、前記出口弁は、前記首状領域に位置している、請求項1〜21のいずれか1つに記載の装置。
【請求項23】
前記首状領域は、前記液体燃料または液体燃料蒸気を前記燃焼帯に噴射する狭い噴射開口を備えている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記噴射開口の断面の直径は、前記首状領域の断面の直径よりも小さい、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記燃焼帯内に噴射された前記液体燃料または液体燃料蒸気に点火するために、前記燃焼帯内に配置された点火源をさらに備えている、請求項1〜24のいずれか1つに記載の装置。
【請求項26】
選択された液体燃料を保持するための噴射室と、
前記噴射室内に液体燃料を移すために、選択的に開くように構成されている入口弁と、
前記噴射室に関連したパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、前記噴射室から燃料を噴射するために、選択的に開くように構成されている出口弁であって、前記噴射室内の液体燃料の温度が、前記出口弁の下流の位置の圧力と等しい圧力における、前記液体燃料に関連した飽和温度に実質的に等しいか、または、それを超過したときに、開くように構成されている出口弁とを備えてなり、
前記燃料を燃焼域内に注入するために、前記液体燃料または液体燃料蒸気を、前記出口弁を介して、前記噴射室から前記燃焼帯内に噴射するようになっている燃焼域内に燃料を注入するための装置。
【請求項27】
選択された液体燃料を保持するように構成されている噴射室を用意するステップと、
前記噴射室内に液体燃料を移すために、入口弁を選択的に開くステップと、
前記噴射室に関連したパラメータが、あらかじめ定められた条件を満たしたときに、前記噴射室の出口弁を選択的に開くステップと、
前記出口弁を介して、前記噴射室から燃焼帯内に前記液体燃料または液体燃料蒸気を噴射するステップとを含んでなる、燃焼域内に燃料を注入する方法。
【請求項28】
前記噴射室内に保持されている液体燃料の温度を上昇させるために、前記噴射室の内部またはそれに近接して配置されている加熱素子によって、前記液体燃料を加熱するステップをさらに含んでなる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記出口弁を開くステップに先立って、前記噴射室内の液体燃料を加熱するステップをさらに含んでなる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記噴射室の内部またはそれに近接して配置されているポンプ部によって、前記噴射室内の圧力を上昇させるステップをさらに含んでなる、請求項27〜29のいずれか1つに記載の方法。
【請求項31】
前記パラメータが、前記あらかじめ定められた条件を満たしたときを決定するステップと、その決定に応答して、前記出口弁を開くステップとを、さらに含んでいる、請求項27〜30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
前記液体燃料を前記噴射室内に入れる前に、前記入口弁に供給される液体燃料を、あらかじめ加熱するステップをさらに含んでなる、請求項27〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つのセンサによって、前記噴射室内の圧力または温度を監視するステップをさらに含んでなる、請求項27〜32のいずれか1つに記載の方法。
【請求項34】
前記噴射室内の液体燃料を、前記出口弁の下流の位置の圧力と等しい圧力における、前記液体燃料に関連する飽和温度と実質的に等しいか、または超過する温度まで加熱するステップをさらに含んでなる、請求項27〜33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
実質的に、添付図面を参照して、本明細書において記載されている方法。
【請求項36】
実質的に、添付図面を参照して、本明細書において記載されているように構成され、かつ配置されている装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2009−509743(P2009−509743A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532861(P2008−532861)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003582
【国際公開番号】WO2007/034230
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(508091030)ユニバーシティ オブ リーズ (4)
【Fターム(参考)】