燃料噴射装置
【課題】センタ噴射式の筒内噴射内燃機関において、成層燃焼と均質燃焼の各々に適した噴霧形状を噴射可能な燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】凹状キャビティが形成されたピストン107の冠面に対向させてシリンダヘッド107aのセンタ部に配置され、該シリンダ107内下方に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、第1の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第1の噴霧部分150Bと、第1の噴霧角度より小さい第2の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第2の噴霧部分160Bとから成る噴霧を形成し、第1の噴霧部分150Bを点火プラグ106方向に向け、第2の噴霧部分160Bをピストン107方向に向けて噴射する構成とした。
【解決手段】凹状キャビティが形成されたピストン107の冠面に対向させてシリンダヘッド107aのセンタ部に配置され、該シリンダ107内下方に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、第1の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第1の噴霧部分150Bと、第1の噴霧角度より小さい第2の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第2の噴霧部分160Bとから成る噴霧を形成し、第1の噴霧部分150Bを点火プラグ106方向に向け、第2の噴霧部分160Bをピストン107方向に向けて噴射する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒内に燃料を直接噴射する内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置に係り、特に、燃料噴射弁をシリンダヘッドの中央付近に配置するセンタ噴射方式の内燃機関に好適な燃料噴霧を形成する燃料噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の燃費規制が強化されてきており、自動車用内燃機関には低燃費化が求められている。一方で、内燃機関には高出力化も求められており、低燃費化と高出力化を同時に達成するための手段として、燃焼室へ燃料を直接噴射するDI(Direct Injection)エンジンが提案されている。
【0003】
DIエンジンでは、成層燃焼を行うことで燃費を低減できる。成層燃焼とは、筒内の理論空燃比よりも供給する燃料の量を減じて所謂リーンバーン(希薄燃焼)を実現する方式である。希薄燃焼を実現させることにより、低負荷時においてもより多くの空気を吸入し、吸気行程に生じる負圧を減じ、これに抗ってエンジンが行う仕事(ポンピング損失)を減らして、燃費を向上できるという燃焼方式である。
【0004】
一方で、高出力を得るためには、均質燃焼を行うことが必要である。均質燃焼とは、燃料と空気の比率が理論空燃比となるように燃料を供給し、これを燃焼室内で均質に混合して点火燃焼させる方式である。そのためには、多くの空気を取り込んで、より多量の燃料と十分に混合させる必要がある。
【0005】
前者の成層燃焼を実現する筒内噴射内燃機関として、燃料噴射弁をシリンダヘッドの中央付近に配置し、その噴射方向をピストンの冠面に対向させるセンタ噴射方式のものが知られている。この種の内燃機関では、燃料の微細化が十分に進んでいない燃料噴霧の衝突による点火プラグの燻りを防止することが必要であり、次のような技術が知られている。すなわち、燃料噴霧のペネトレーションを小さくして、衝突前の噴霧に点火するようにした技術である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に示される従来技術には、燃料噴射弁の中心軸を噴霧中心軸として、この噴霧中心軸を基準とする点火プラグ側の一側で、これとは反対の他側におけるよりも噴霧のペネトレーションを低下させている。そしてこのペネトレーションの小さな噴霧を利用し、点火はピストン冠面に衝突する前の噴霧に対して行っている。燃料噴射弁にはマルチホールタイプを用いている。ペネトレーションの低下には、点火側に向かう噴霧を生成する噴孔における、その孔長さを他の噴孔の長さに対して短くするなどして対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−138779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方式では噴射する雰囲気場の条件によって噴霧の形状が変化しやすいという特性を持っており、内燃機関の種々の運転下において噴霧の形状(特に広がりやペネトレーション)が一定となるわけではない。これに起因して、必ずしも安定した点火性を確保できることにはならず、内燃機関の運転に制約を受けている。
【0009】
また、後者の均質燃焼を実現して内燃機関の高出力化を図るためには、噴射する燃料を筒内に均質に分散させる必要がある。このためには、燃料噴霧には空気との接触を十分に行わせしめ気化を促進させることから、比較的貫徹力が強く高分散な燃料噴霧パターンが要求される。
【0010】
このように、低燃費化と高出力化を狙ったセンタ噴射方式において、成層燃焼と均質燃焼を両立させるためには、要求される噴霧形状が相異なる。燃料噴射弁としては、噴霧形状の最適化を図ることが必要となっている。例えば、始動時や低負荷時のような成層燃焼時には,流量が少なくプラグ周りに噴霧が安定して滞留するような噴霧にすると良い。また、均質燃焼時には貫徹力が強く筒内への分散性が高い噴霧にすると良い。
【0011】
本発明の目的は、低燃費化と高出力化の両立を図るために、成層燃焼と均質燃焼の各々に適した噴霧を形成できる燃料噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、凹状キャビティが形成されたピストンの冠面に対向させてシリンダヘッドのほぼ中心部に配置され、シリンダ内下方に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置であって、第1の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第1の噴霧部分と、第1の噴霧角度より小さい第2の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第2の噴霧部分とから成る噴霧を形成し、第1の噴霧部分を点火プラグ方向に向けて噴射し、第2の噴霧部分をピストン方向に向けて噴射するようにしたものである。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記第1の噴霧部分は広角な噴霧であり、そのペネトレーションが小さく設定され、前記第2の噴霧部分は狭角な噴霧であり、そのペネトレーションが大きく設定され、各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されるものである。
【0014】
かかる構成により、広角な噴霧でありそのペネトレーションが小さな噴霧の外縁部には、微細な液滴が集まったロールアップ噴霧が形成されるので、点火プラグ周りに点火可能な混合気の生成が強化され失火のない確実な点火が実施される。また、狭角な噴霧でありそのペネトレーションが大きな噴霧は、ピストンの凹状のキャビティを介して点火プラグ方向に指向され、様々な運転条件下においても点火を可能とするための混合気形成をアシストしている。
【0015】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記第2の噴霧部分は、吸気弁が開放されてリフトした際に、その壁面に衝突しないように噴射方向が設定されている。
【0016】
かかる構成により、吸気弁等への燃料付着が抑制されて、的確な燃料噴霧が点火プラグ方向に指向され、上記の様な混合気を形成して点火をアシストしている。
【0017】
(4)上記(1)において、好ましくは、燃料噴射装置は内部に燃料通路を有するノズルと、該ノズルの内部にて、上下に動作可能であるとともに、前記ノズルの円錐状の弁座面と対向する円錐状の弁体面を有し、該弁体面が前記弁座面のシート部と当接して燃料をシールする弁体とを有し、前記弁体の動作によって前記シート部と前記弁体の弁座面との間に円環状の隙間を形成することで、前記円環状の隙間部から燃料が噴射される外開き式の燃料噴射弁であって、前記弁体がその先端面において段差を形成しており、前記弁体がリフトした際に、その段差の一端部は前記ノズルの出口端部より上流側(前記弁座面側)に位置し、その段差の他端部はノズル出口端部より下流側に位置するように構成されるものである。
【0018】
(5)上記(4)において、好ましくは、燃料噴射装置の前記弁体に形成されるノズル側の段差の一端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、その段差の一端部によって広角でかつそのペネトレーションの小さな噴霧が形成され、また、前記弁体に形成されるノズル側の段差の他端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、その段差の他端部によって狭角でかつそのペネトレーションの大きな噴霧が形成され、各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されるものである。
【0019】
かかる構成により、外開き式の燃料噴射弁の特徴である、弁体がノズルの先端から突出することでシート部と弁体の隙間を燃料が流れ、その隙間からの燃料噴射が狭い隙間によって行われるため燃料の薄膜化が促進されて微粒化性能が良い。そして、この特徴を活かしながら、噴霧の形状を最適化することで、成層燃焼と均質燃焼の各々相異なる燃焼を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、微細な燃料噴霧を点火プラグ周りに形成すると共に、種々の運転条件下でも的確な点火が確保できる燃料噴霧を点火プラグ周りにアシストできる燃料噴射装置を提供することによって、成層燃焼と均質燃焼の相異なる燃焼を可能とし、低燃費化と高出力化の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置の構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁のノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。
【図3】図2のノズルを下方より視た図である。
【図4】弁体が突き出している場合の燃料の流出作用を説明する要部拡大断面図である。
【図5】弁体が奥まっている場合の燃料の流出作用を説明する要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の噴霧形状を示す図である。
【図7】図6のC部の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による燃料噴霧形状と吸気弁及び点火プラグとの位置関係を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を搭載した内燃機関の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を搭載した内燃機関の断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁のノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。
【図12】図11のノズルを下方より視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜図10を用いて、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の構成及び動作について説明する。
【0023】
最初に、図1を用いて、本実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置の構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置の構成を示すシステムブロック図である。
【0025】
燃料噴射弁1は、弁体がノズルの先端から突出することでシートと弁体の隙間を燃料が流れる外開き式の噴射弁である。弁体がノズルの先端から突出することでシートと弁体の隙間を燃料が流れ、その隙間から燃料を噴射することから、狭い隙間から燃料が噴射されるために、燃料の薄膜化が促進され微粒化性能が良くなることが特徴の噴射弁である。
【0026】
燃料噴射弁1は、ノズル2と、ノズル2の内部に収納された弁体6とを備えている。弁体6は、矢印A方向と、それと反対の矢印B方向に摺動可能である。弁体6が矢印A方向に移動すると、弁体6とノズル2の先端の間には環状隙間が形成され、燃料が噴射される。反対に弁体6が矢印B方向に移動して、弁体6とノズル2が接触すると、燃料噴射は停止する。このように、燃料噴射弁1は、弁体6がノズルの先端から突出することでシート3aと弁体6の隙間を燃料が流れる。
【0027】
燃料噴射弁1のノズル2の上部には、ボディ11が固定されている。なお、ノズル2とボディ11は、一体的に構成することもできる。ボディ11の内部には、電磁コイル10が固定されている。電磁コイル10の内周には、プランジャ9が矢印A,B方向に摺動可能に保持されている。電磁コイル10に通電すると、プランジャ9が吸引され、矢印A方向に摺動する。
【0028】
電磁コイル10に通電すると、プランジャ9が矢印A方向に摺動し、さらに、弁体6を矢印A方向に押し出すことで、開弁する。また、電磁コイル10を非通電にすると、スプリング8の復元力によって弁体6を矢印B方向に押し戻すことで、閉弁する。このときプランジャ9をスプリング12の付勢力に抗して矢印B方向に摺動させる。
【0029】
ここで、プランジャ9の摺動量を規制するスプリング12の付勢力は、規制部材13によって調整される。プランジャ9の摺動量が規制されることによって、弁体6のストロークを調整することができる。実質的なストローク量としては、30μmから60μm程度である。
【0030】
ノズル2と弁体6の頂部との間には、スプリング8が配置されている。スプリング8は、ノズル2に対して、弁体6を矢印B方向に付勢している。これにより、電磁コイル10に通電してないときは、弁体6を矢印B方向に付勢して、閉弁している。また、ボディ11の上部に設けられたスプリング12は、プランジャ9に対して矢印A方向の付勢力を与えており、プランジャ9が自由振動しないようにしている。ただし、スプリング12の付勢力は、スプリング8の付勢力よりも小さいため、電磁コイル10に通電してないときは、閉弁状態を保つことができる。
【0031】
なお、アジャスタパイプ14は、スプリング12の付勢力を調整するための金属製パイプ部材である。
【0032】
燃料タンクFTに収納された燃料は、燃料ポンプPにより燃料噴射弁1に供給される。
【0033】
燃料噴射弁1の駆動コントロールユニットDCUは、電磁コイル10への通電を制御する。燃料ポンプPのコントロールユニットPCUは、燃料ポンプPを制御して、燃料噴射弁1の駆動に供給する燃料圧力を可変する。なお、本実施形態では、燃料圧力の制御は行わないため、コントロールユニットPCUは必須のものではない。
【0034】
エンジンコントロールユニットECUは、アクセル開度θACC,吸入空気量Qa,エンジン回転数Neなどの、運転者の意図を示す信号や、エンジンの状態を示す信号を取りこむ。エンジンコントロールユニットECUは、アクセル開度θACCに応じて、電子制御スロットル装置を制御して、スロットルバルブの開度を制御して、吸入空気量Qaを可変する。また、エンジンコントロールユニットECUは、アクセル開度θACCに応じて、燃料噴射弁1による燃料噴射量を可変して、エンジン回転数Neを制御する。このとき、エンジンコントロールユニットECUが、燃料噴射弁1の駆動コントロールユニットDCUに対して、燃料噴射量の制御信号を出力すると、燃料噴射弁1の駆動コントロールユニットDCUは、例えば、燃料噴射量が小さいときは、電磁コイル10の通電に際して、弁体6のストローク時間が短くなるように制御する。また、燃料噴射弁1の駆動コンに際して、燃料噴射量が大きいときは、弁体6のストローク時間が長くなるように制御する。
【0035】
また、必要に応じて、エンジンコントロールユニットECUは、燃料ポンプPのコントロールユニットPCUに対して燃圧制御信号を出力し、コントロールユニットPCUは、燃料ポンプPを制御して、燃料噴射弁1の駆動に供給する燃料圧力を可変する。
【0036】
次に、図2〜図5を用いて、本実施形態による燃料噴射弁1のノズル先端部の構成について説明する。
【0037】
図2は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁1のノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。図3は図2の下方よりの視図である。図4及び図5は、燃料噴霧の流出作用を説明するためのもので、図4は、ノズル先端部の要部拡大断面図である。同じく、図5は、ノズル先端部の要部拡大断面図である。なお、図2〜図5において、同一符号は同一部分を示している。また、図2〜図5において、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0038】
図2に示すように、燃料噴射弁1の先端部に位置するノズル2は、ガイド孔2aを有している。ガイド孔2aには、弁体6が挿入されている。ノズル2には2つの円錐面が同軸に設けられ、円錐の切替部がシート部3aを形成する。なお、シート部3aの近傍の詳細構成は、図4及び図5を参照する。
【0039】
閉弁状態においては、弁体6とノズル2はシート部3aで当接し、燃料をシールしている。弁体6は上下方向(図1の矢印A方向及び矢印B方向)に変位することができる。弁体6がシート部3aから離れると、弁体ロッド5の周辺の燃料溜り室から、ノズル2の弁座面3と弁体6の弁体面7の隙間を通り、燃料は環状隙間部から噴射される。
【0040】
弁体6の先端部にあたる弁体面7には、本発明の主要部である段差状の切欠部7b,7cが設けてある。切欠部7bはノズル2の先端面4よりシート部3a側に奥まっており、弁体6の下端面7aはノズル2の先端面4より突き出している。この位置関係は弁体6がリフト状態にあるときの関係を示している。なお、切欠部7cは弁体6の径方向の任意の位置に調整されている。
【0041】
図4はノズル先端部の要部拡大断面図であり、弁体6がノズル2の先端面4より突き出した状態を示している。最先端面4aと弁体6の最外径部である弁体面7aとの位置関係を示しており、弁体面7aが最先端面4aに対して突き出している。このような状態では、燃料は、図の矢印で示すように弁体面7に沿って流入し、さらに下流に流れる際に、弁体面7の壁面に付着する(コアンダ効果)ように流れて流出する。流出する流れは、図中の矢印Aに示すように、噴射弁軸の下方に向かう。いわゆる、噴射弁軸に対して広がりがなく比較的狭角の流れ方向となる。
【0042】
図5はノズル先端部の要部拡大断面図であり、弁体6がノズル2の先端面4より奥まった状態を示す。最先端面4aと弁体6の最外径部である弁体面7aとの位置関係を示しており、弁体面7aが最先端面4aに対してシート部3a側に奥まっている。このような状態では、弁体面7に沿って流入した燃料は、その後、ノズル2側に付着するよう(同様にコアンダ効果)に流れて流出する。流れは図中の矢印Bに示すように、噴射弁軸の径方向に向かう。いわゆる、噴射弁軸に対して広がりのある広角の流れ方向となる。
【0043】
次に、図6,図7を用いて、本実施形態による燃料噴射弁における燃料噴霧の形成状態について説明する。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の噴霧形状を示す図である。図7は、図6のC部の断面図である。なお、図6において、図1〜図5と同一符号は、同一部分を示している。
【0045】
図6に示すように、シート部3aと弁体面7間の環状隙間より流出した燃料はホローコーン状噴霧15,16となる。このような燃料噴霧は、流出の際に、燃料は微小な環状隙間で薄膜化されるので液滴へ移行する分裂が著しく起こり微粒化性能が良くなる。
【0046】
また、本実施形態の噴霧は、弁体6の先端面に設けた段差状の切欠部7b,7cによって噴霧が分断され、広角な噴霧でそのペネトレーションが小さくなる第1の噴霧部分15と、狭角な噴霧でそのペネトレーションが大きくなる第2の噴霧部分16と、より構成される。
【0047】
また、図6に示すように、第1の噴霧部分15の外縁部には微細な液滴で構成されるロールアップ噴霧15aが形成されている。このロールアップ噴霧15aが点火プラグ周りに存在し点火を安定化する役目を有している。
【0048】
図7に噴霧の断面を示している。図から明らかなように、段差状の切欠部7b,7cによって噴霧15,16が分断されており、径方向断面において2箇所に噴霧の切れが存在している。この噴霧の切れによって、噴霧内部への周囲空気の導入が積極的に起こり、様々な雰囲気条件下によってもその噴射の方向が変化しないという特性を引き出している。
【0049】
なお、ストロークを変える手段としては、図1に示したように、コイルとプランジャからなるソレノイド方式の他に、ピエゾ素子等の積層型の電歪素子,超磁歪素子を用いることもできる。電歪素子や磁歪素子は、プランジャの上部とボディの上部との間に配置される。電歪素子や磁歪素子は、制御入力に応じて、歪み量が変化するため、弁体のストロークを連続的に変えることができる。図1に示す方式では、ストロークは1種類を切り替えるだけであるが、ストロークを連続的に変化することで、噴霧形状を連続的に変えることができる。
【0050】
次に、図8〜図10を用いて、本実施形態による燃料噴射弁における燃焼室への噴霧状態について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態による噴霧形態における、内燃機関の吸気弁と点火プラグとの位置関係の説明図で、図10のD方向からの視図ある。図9及び図10は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を搭載した内燃機関の断面図である。
【0051】
図8に示すように、広角な噴霧でそのペネトレーションが小さくなる第1の噴霧部分15と点火プラグ106との関係においては、噴霧の外縁部に存在するロールアップ噴霧15aが点火プラグ106に近接して生成されている。これによって、点火プラグ106回りに可燃混合気が形成され点火が安定して行われる。
【0052】
図8に示すように、狭角な噴霧でそのペネトレーションが大きくなる第2の噴霧部分16と吸気弁103と関係においては、噴霧の吸気弁103への接触が避けられている。これによって壁面付着が抑制されて的確な噴射量が確保される。HC(ハイドロカーボン)等の未燃焼ガス成分の排出も抑制される。
【0053】
図9に示す構成において、内燃機関101は、吸気の開閉弁となる吸気弁103と、燃焼された排気ガスを排出するための開閉弁となる排気弁104を有している。燃料噴射弁1は、内燃機関101のシリンダ108によって形成された燃焼室105の中央上方(シリンダヘッド107aのセンタ部)に略垂直に備えられている、センタ噴射式である。
【0054】
燃料噴射弁1からの噴霧150A,160Aは、燃焼室105に直接噴射され、混合気の形成を行っている。さらに、燃焼室105の混合気を圧縮するピストン107と、圧縮された混合気に点火する点火プラグ106とを有している。点火プラグ106は、燃料噴射弁1の近傍に点火プラグ下流側を燃料噴射弁側に傾けて設置されている。なお、燃料噴射弁1は図示しない燃料ポンプより加圧された燃料を供給されている。
【0055】
図9は、本実施形態に係る燃料噴射弁1を内燃機関101に取り付け、ピストン107が上昇した圧縮行程状態での噴霧を噴射している様子を示している。主に内燃機関が低負荷時の状態にあるケースを示している。噴霧150Aは僅かに変化するが、点火を安定に行うに十分な噴霧状態を成している。
【0056】
また、噴霧160Aはピストン107のキャビティ107a内に位置し、点火プラグ106方向にその流れを指向されている。これによって、点火がアシストされる。
【0057】
図10は、本実施形態に係る燃料噴射弁1を内燃機関101に取り付け、ピストン107が下降した吸気行程状態での噴霧を噴射している様子を示している。主に内燃機関が高負荷時の状態にあるケースを示している。このケースでは噴射量を多くして筒内に分散させる必要がある。噴霧150B(図8の噴霧15)はペネトレーションを短くしてロールアップ噴霧を形成し、点火に寄与する的確な噴霧状態を成している。
【0058】
また、噴霧160B(図8の噴霧16)はピストン107のキャビティ107a方向に指向されており、吸気弁103への衝突を避けている。これによって、燃料噴射量が最適化される。さらに、その流れは、ペネトレーションが強くキャビティ107a方向に指向されている。これによって、筒内に適度に分散されると共に、所望の噴霧は点火をアシストするために作用する。
【0059】
内燃機関の運転状態が低負荷の場合も、高負荷の場合も、燃料圧力は、通常の圧力(例えば、10Mpa)としている。
【0060】
また、燃料の噴射は、複数回に分けて噴射すると良い。そのようにすることで、1回当たりの噴射量が減少して噴霧のペネトレーションを小さくできるため、形成された噴霧150A,150Bが点火プラグ106に滞留し易くなり、更に点火や燃焼の安定性を向上する。
【0061】
次に、図11及び図12を用いて、本実施形態による燃料噴射弁の他の構成について説明する。図11は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の他の構成におけるノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。図12は、図11の下方よりの視図である。
【0062】
本例では、図2乃至図5に示した弁体6の例とは異なり、ノズル20側に段差状の切欠部を設けたものである。
【0063】
図11に示した例では、ノズル20に段差22aを径方向の所望の位置まで設けたものである。この例では段差が変化する位置を噴射弁のほぼ中心軸としている。弁体はガイド部31,ロッド30,弁体面32を有している。なお、この弁体の最外径部32aの下流は円錐状に延びる先端部33を形成している。
【0064】
ノズル20に設けた段差22aは弁体の最外径部32aに対して奥まっており、段差22bは弁体の最外径部32aに対して突き出している。この位置関係は弁体6がリフト状態にあるときの関係を示している。
【0065】
本例においても、燃料は流出する際に、弁体面32の壁面に付着する(コアンダ効果)流れと、弁座面21の壁面に付着する流れを形成する。図中の矢印Aに示すように、噴射弁軸の下方に向かう、いわゆる、狭角の流れ方向となる。また、矢印Bに示すように、噴射弁の径方向に向かう広角の流れ方向となる。
【0066】
本例のような構造とすることでも、図6で説明したような、広角な噴霧でそのペネトレーションが小さくなる第1の噴霧部分15と、狭角な噴霧でそのペネトレーションが大きくなる第2の噴霧部分16と、よりなる噴霧を構成することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によっても、成層燃焼と均質燃焼の双方に適する噴霧を形成でき、DIエンジンの低燃費化と高出力化を両立できる。
【符号の説明】
【0068】
1 燃料噴射弁
2 ノズル
3 弁座面
4 ノズル先端面
6 弁体
7 弁体面
7b,7c 段差状の切欠部
10 電磁コイル
15 第1の噴霧部分
15a 噴霧外縁部のロールアップ噴霧
16 第2の噴霧部分
101 内燃機関
103 吸気弁
104 排気弁
105 燃焼室
106 点火プラグ
107 ピストン
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒内に燃料を直接噴射する内燃機関の燃料噴射弁及び燃料噴射装置に係り、特に、燃料噴射弁をシリンダヘッドの中央付近に配置するセンタ噴射方式の内燃機関に好適な燃料噴霧を形成する燃料噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の燃費規制が強化されてきており、自動車用内燃機関には低燃費化が求められている。一方で、内燃機関には高出力化も求められており、低燃費化と高出力化を同時に達成するための手段として、燃焼室へ燃料を直接噴射するDI(Direct Injection)エンジンが提案されている。
【0003】
DIエンジンでは、成層燃焼を行うことで燃費を低減できる。成層燃焼とは、筒内の理論空燃比よりも供給する燃料の量を減じて所謂リーンバーン(希薄燃焼)を実現する方式である。希薄燃焼を実現させることにより、低負荷時においてもより多くの空気を吸入し、吸気行程に生じる負圧を減じ、これに抗ってエンジンが行う仕事(ポンピング損失)を減らして、燃費を向上できるという燃焼方式である。
【0004】
一方で、高出力を得るためには、均質燃焼を行うことが必要である。均質燃焼とは、燃料と空気の比率が理論空燃比となるように燃料を供給し、これを燃焼室内で均質に混合して点火燃焼させる方式である。そのためには、多くの空気を取り込んで、より多量の燃料と十分に混合させる必要がある。
【0005】
前者の成層燃焼を実現する筒内噴射内燃機関として、燃料噴射弁をシリンダヘッドの中央付近に配置し、その噴射方向をピストンの冠面に対向させるセンタ噴射方式のものが知られている。この種の内燃機関では、燃料の微細化が十分に進んでいない燃料噴霧の衝突による点火プラグの燻りを防止することが必要であり、次のような技術が知られている。すなわち、燃料噴霧のペネトレーションを小さくして、衝突前の噴霧に点火するようにした技術である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に示される従来技術には、燃料噴射弁の中心軸を噴霧中心軸として、この噴霧中心軸を基準とする点火プラグ側の一側で、これとは反対の他側におけるよりも噴霧のペネトレーションを低下させている。そしてこのペネトレーションの小さな噴霧を利用し、点火はピストン冠面に衝突する前の噴霧に対して行っている。燃料噴射弁にはマルチホールタイプを用いている。ペネトレーションの低下には、点火側に向かう噴霧を生成する噴孔における、その孔長さを他の噴孔の長さに対して短くするなどして対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−138779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方式では噴射する雰囲気場の条件によって噴霧の形状が変化しやすいという特性を持っており、内燃機関の種々の運転下において噴霧の形状(特に広がりやペネトレーション)が一定となるわけではない。これに起因して、必ずしも安定した点火性を確保できることにはならず、内燃機関の運転に制約を受けている。
【0009】
また、後者の均質燃焼を実現して内燃機関の高出力化を図るためには、噴射する燃料を筒内に均質に分散させる必要がある。このためには、燃料噴霧には空気との接触を十分に行わせしめ気化を促進させることから、比較的貫徹力が強く高分散な燃料噴霧パターンが要求される。
【0010】
このように、低燃費化と高出力化を狙ったセンタ噴射方式において、成層燃焼と均質燃焼を両立させるためには、要求される噴霧形状が相異なる。燃料噴射弁としては、噴霧形状の最適化を図ることが必要となっている。例えば、始動時や低負荷時のような成層燃焼時には,流量が少なくプラグ周りに噴霧が安定して滞留するような噴霧にすると良い。また、均質燃焼時には貫徹力が強く筒内への分散性が高い噴霧にすると良い。
【0011】
本発明の目的は、低燃費化と高出力化の両立を図るために、成層燃焼と均質燃焼の各々に適した噴霧を形成できる燃料噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、凹状キャビティが形成されたピストンの冠面に対向させてシリンダヘッドのほぼ中心部に配置され、シリンダ内下方に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置であって、第1の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第1の噴霧部分と、第1の噴霧角度より小さい第2の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第2の噴霧部分とから成る噴霧を形成し、第1の噴霧部分を点火プラグ方向に向けて噴射し、第2の噴霧部分をピストン方向に向けて噴射するようにしたものである。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記第1の噴霧部分は広角な噴霧であり、そのペネトレーションが小さく設定され、前記第2の噴霧部分は狭角な噴霧であり、そのペネトレーションが大きく設定され、各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されるものである。
【0014】
かかる構成により、広角な噴霧でありそのペネトレーションが小さな噴霧の外縁部には、微細な液滴が集まったロールアップ噴霧が形成されるので、点火プラグ周りに点火可能な混合気の生成が強化され失火のない確実な点火が実施される。また、狭角な噴霧でありそのペネトレーションが大きな噴霧は、ピストンの凹状のキャビティを介して点火プラグ方向に指向され、様々な運転条件下においても点火を可能とするための混合気形成をアシストしている。
【0015】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記第2の噴霧部分は、吸気弁が開放されてリフトした際に、その壁面に衝突しないように噴射方向が設定されている。
【0016】
かかる構成により、吸気弁等への燃料付着が抑制されて、的確な燃料噴霧が点火プラグ方向に指向され、上記の様な混合気を形成して点火をアシストしている。
【0017】
(4)上記(1)において、好ましくは、燃料噴射装置は内部に燃料通路を有するノズルと、該ノズルの内部にて、上下に動作可能であるとともに、前記ノズルの円錐状の弁座面と対向する円錐状の弁体面を有し、該弁体面が前記弁座面のシート部と当接して燃料をシールする弁体とを有し、前記弁体の動作によって前記シート部と前記弁体の弁座面との間に円環状の隙間を形成することで、前記円環状の隙間部から燃料が噴射される外開き式の燃料噴射弁であって、前記弁体がその先端面において段差を形成しており、前記弁体がリフトした際に、その段差の一端部は前記ノズルの出口端部より上流側(前記弁座面側)に位置し、その段差の他端部はノズル出口端部より下流側に位置するように構成されるものである。
【0018】
(5)上記(4)において、好ましくは、燃料噴射装置の前記弁体に形成されるノズル側の段差の一端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、その段差の一端部によって広角でかつそのペネトレーションの小さな噴霧が形成され、また、前記弁体に形成されるノズル側の段差の他端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、その段差の他端部によって狭角でかつそのペネトレーションの大きな噴霧が形成され、各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されるものである。
【0019】
かかる構成により、外開き式の燃料噴射弁の特徴である、弁体がノズルの先端から突出することでシート部と弁体の隙間を燃料が流れ、その隙間からの燃料噴射が狭い隙間によって行われるため燃料の薄膜化が促進されて微粒化性能が良い。そして、この特徴を活かしながら、噴霧の形状を最適化することで、成層燃焼と均質燃焼の各々相異なる燃焼を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、微細な燃料噴霧を点火プラグ周りに形成すると共に、種々の運転条件下でも的確な点火が確保できる燃料噴霧を点火プラグ周りにアシストできる燃料噴射装置を提供することによって、成層燃焼と均質燃焼の相異なる燃焼を可能とし、低燃費化と高出力化の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置の構成を示すシステムブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁のノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。
【図3】図2のノズルを下方より視た図である。
【図4】弁体が突き出している場合の燃料の流出作用を説明する要部拡大断面図である。
【図5】弁体が奥まっている場合の燃料の流出作用を説明する要部拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の噴霧形状を示す図である。
【図7】図6のC部の断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による燃料噴霧形状と吸気弁及び点火プラグとの位置関係を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を搭載した内燃機関の断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を搭載した内燃機関の断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態による燃料噴射弁のノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。
【図12】図11のノズルを下方より視た図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜図10を用いて、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の構成及び動作について説明する。
【0023】
最初に、図1を用いて、本実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置の構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を用いた燃料噴射装置の構成を示すシステムブロック図である。
【0025】
燃料噴射弁1は、弁体がノズルの先端から突出することでシートと弁体の隙間を燃料が流れる外開き式の噴射弁である。弁体がノズルの先端から突出することでシートと弁体の隙間を燃料が流れ、その隙間から燃料を噴射することから、狭い隙間から燃料が噴射されるために、燃料の薄膜化が促進され微粒化性能が良くなることが特徴の噴射弁である。
【0026】
燃料噴射弁1は、ノズル2と、ノズル2の内部に収納された弁体6とを備えている。弁体6は、矢印A方向と、それと反対の矢印B方向に摺動可能である。弁体6が矢印A方向に移動すると、弁体6とノズル2の先端の間には環状隙間が形成され、燃料が噴射される。反対に弁体6が矢印B方向に移動して、弁体6とノズル2が接触すると、燃料噴射は停止する。このように、燃料噴射弁1は、弁体6がノズルの先端から突出することでシート3aと弁体6の隙間を燃料が流れる。
【0027】
燃料噴射弁1のノズル2の上部には、ボディ11が固定されている。なお、ノズル2とボディ11は、一体的に構成することもできる。ボディ11の内部には、電磁コイル10が固定されている。電磁コイル10の内周には、プランジャ9が矢印A,B方向に摺動可能に保持されている。電磁コイル10に通電すると、プランジャ9が吸引され、矢印A方向に摺動する。
【0028】
電磁コイル10に通電すると、プランジャ9が矢印A方向に摺動し、さらに、弁体6を矢印A方向に押し出すことで、開弁する。また、電磁コイル10を非通電にすると、スプリング8の復元力によって弁体6を矢印B方向に押し戻すことで、閉弁する。このときプランジャ9をスプリング12の付勢力に抗して矢印B方向に摺動させる。
【0029】
ここで、プランジャ9の摺動量を規制するスプリング12の付勢力は、規制部材13によって調整される。プランジャ9の摺動量が規制されることによって、弁体6のストロークを調整することができる。実質的なストローク量としては、30μmから60μm程度である。
【0030】
ノズル2と弁体6の頂部との間には、スプリング8が配置されている。スプリング8は、ノズル2に対して、弁体6を矢印B方向に付勢している。これにより、電磁コイル10に通電してないときは、弁体6を矢印B方向に付勢して、閉弁している。また、ボディ11の上部に設けられたスプリング12は、プランジャ9に対して矢印A方向の付勢力を与えており、プランジャ9が自由振動しないようにしている。ただし、スプリング12の付勢力は、スプリング8の付勢力よりも小さいため、電磁コイル10に通電してないときは、閉弁状態を保つことができる。
【0031】
なお、アジャスタパイプ14は、スプリング12の付勢力を調整するための金属製パイプ部材である。
【0032】
燃料タンクFTに収納された燃料は、燃料ポンプPにより燃料噴射弁1に供給される。
【0033】
燃料噴射弁1の駆動コントロールユニットDCUは、電磁コイル10への通電を制御する。燃料ポンプPのコントロールユニットPCUは、燃料ポンプPを制御して、燃料噴射弁1の駆動に供給する燃料圧力を可変する。なお、本実施形態では、燃料圧力の制御は行わないため、コントロールユニットPCUは必須のものではない。
【0034】
エンジンコントロールユニットECUは、アクセル開度θACC,吸入空気量Qa,エンジン回転数Neなどの、運転者の意図を示す信号や、エンジンの状態を示す信号を取りこむ。エンジンコントロールユニットECUは、アクセル開度θACCに応じて、電子制御スロットル装置を制御して、スロットルバルブの開度を制御して、吸入空気量Qaを可変する。また、エンジンコントロールユニットECUは、アクセル開度θACCに応じて、燃料噴射弁1による燃料噴射量を可変して、エンジン回転数Neを制御する。このとき、エンジンコントロールユニットECUが、燃料噴射弁1の駆動コントロールユニットDCUに対して、燃料噴射量の制御信号を出力すると、燃料噴射弁1の駆動コントロールユニットDCUは、例えば、燃料噴射量が小さいときは、電磁コイル10の通電に際して、弁体6のストローク時間が短くなるように制御する。また、燃料噴射弁1の駆動コンに際して、燃料噴射量が大きいときは、弁体6のストローク時間が長くなるように制御する。
【0035】
また、必要に応じて、エンジンコントロールユニットECUは、燃料ポンプPのコントロールユニットPCUに対して燃圧制御信号を出力し、コントロールユニットPCUは、燃料ポンプPを制御して、燃料噴射弁1の駆動に供給する燃料圧力を可変する。
【0036】
次に、図2〜図5を用いて、本実施形態による燃料噴射弁1のノズル先端部の構成について説明する。
【0037】
図2は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁1のノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。図3は図2の下方よりの視図である。図4及び図5は、燃料噴霧の流出作用を説明するためのもので、図4は、ノズル先端部の要部拡大断面図である。同じく、図5は、ノズル先端部の要部拡大断面図である。なお、図2〜図5において、同一符号は同一部分を示している。また、図2〜図5において、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0038】
図2に示すように、燃料噴射弁1の先端部に位置するノズル2は、ガイド孔2aを有している。ガイド孔2aには、弁体6が挿入されている。ノズル2には2つの円錐面が同軸に設けられ、円錐の切替部がシート部3aを形成する。なお、シート部3aの近傍の詳細構成は、図4及び図5を参照する。
【0039】
閉弁状態においては、弁体6とノズル2はシート部3aで当接し、燃料をシールしている。弁体6は上下方向(図1の矢印A方向及び矢印B方向)に変位することができる。弁体6がシート部3aから離れると、弁体ロッド5の周辺の燃料溜り室から、ノズル2の弁座面3と弁体6の弁体面7の隙間を通り、燃料は環状隙間部から噴射される。
【0040】
弁体6の先端部にあたる弁体面7には、本発明の主要部である段差状の切欠部7b,7cが設けてある。切欠部7bはノズル2の先端面4よりシート部3a側に奥まっており、弁体6の下端面7aはノズル2の先端面4より突き出している。この位置関係は弁体6がリフト状態にあるときの関係を示している。なお、切欠部7cは弁体6の径方向の任意の位置に調整されている。
【0041】
図4はノズル先端部の要部拡大断面図であり、弁体6がノズル2の先端面4より突き出した状態を示している。最先端面4aと弁体6の最外径部である弁体面7aとの位置関係を示しており、弁体面7aが最先端面4aに対して突き出している。このような状態では、燃料は、図の矢印で示すように弁体面7に沿って流入し、さらに下流に流れる際に、弁体面7の壁面に付着する(コアンダ効果)ように流れて流出する。流出する流れは、図中の矢印Aに示すように、噴射弁軸の下方に向かう。いわゆる、噴射弁軸に対して広がりがなく比較的狭角の流れ方向となる。
【0042】
図5はノズル先端部の要部拡大断面図であり、弁体6がノズル2の先端面4より奥まった状態を示す。最先端面4aと弁体6の最外径部である弁体面7aとの位置関係を示しており、弁体面7aが最先端面4aに対してシート部3a側に奥まっている。このような状態では、弁体面7に沿って流入した燃料は、その後、ノズル2側に付着するよう(同様にコアンダ効果)に流れて流出する。流れは図中の矢印Bに示すように、噴射弁軸の径方向に向かう。いわゆる、噴射弁軸に対して広がりのある広角の流れ方向となる。
【0043】
次に、図6,図7を用いて、本実施形態による燃料噴射弁における燃料噴霧の形成状態について説明する。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の噴霧形状を示す図である。図7は、図6のC部の断面図である。なお、図6において、図1〜図5と同一符号は、同一部分を示している。
【0045】
図6に示すように、シート部3aと弁体面7間の環状隙間より流出した燃料はホローコーン状噴霧15,16となる。このような燃料噴霧は、流出の際に、燃料は微小な環状隙間で薄膜化されるので液滴へ移行する分裂が著しく起こり微粒化性能が良くなる。
【0046】
また、本実施形態の噴霧は、弁体6の先端面に設けた段差状の切欠部7b,7cによって噴霧が分断され、広角な噴霧でそのペネトレーションが小さくなる第1の噴霧部分15と、狭角な噴霧でそのペネトレーションが大きくなる第2の噴霧部分16と、より構成される。
【0047】
また、図6に示すように、第1の噴霧部分15の外縁部には微細な液滴で構成されるロールアップ噴霧15aが形成されている。このロールアップ噴霧15aが点火プラグ周りに存在し点火を安定化する役目を有している。
【0048】
図7に噴霧の断面を示している。図から明らかなように、段差状の切欠部7b,7cによって噴霧15,16が分断されており、径方向断面において2箇所に噴霧の切れが存在している。この噴霧の切れによって、噴霧内部への周囲空気の導入が積極的に起こり、様々な雰囲気条件下によってもその噴射の方向が変化しないという特性を引き出している。
【0049】
なお、ストロークを変える手段としては、図1に示したように、コイルとプランジャからなるソレノイド方式の他に、ピエゾ素子等の積層型の電歪素子,超磁歪素子を用いることもできる。電歪素子や磁歪素子は、プランジャの上部とボディの上部との間に配置される。電歪素子や磁歪素子は、制御入力に応じて、歪み量が変化するため、弁体のストロークを連続的に変えることができる。図1に示す方式では、ストロークは1種類を切り替えるだけであるが、ストロークを連続的に変化することで、噴霧形状を連続的に変えることができる。
【0050】
次に、図8〜図10を用いて、本実施形態による燃料噴射弁における燃焼室への噴霧状態について説明する。図8は、本発明の第1の実施形態による噴霧形態における、内燃機関の吸気弁と点火プラグとの位置関係の説明図で、図10のD方向からの視図ある。図9及び図10は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁を搭載した内燃機関の断面図である。
【0051】
図8に示すように、広角な噴霧でそのペネトレーションが小さくなる第1の噴霧部分15と点火プラグ106との関係においては、噴霧の外縁部に存在するロールアップ噴霧15aが点火プラグ106に近接して生成されている。これによって、点火プラグ106回りに可燃混合気が形成され点火が安定して行われる。
【0052】
図8に示すように、狭角な噴霧でそのペネトレーションが大きくなる第2の噴霧部分16と吸気弁103と関係においては、噴霧の吸気弁103への接触が避けられている。これによって壁面付着が抑制されて的確な噴射量が確保される。HC(ハイドロカーボン)等の未燃焼ガス成分の排出も抑制される。
【0053】
図9に示す構成において、内燃機関101は、吸気の開閉弁となる吸気弁103と、燃焼された排気ガスを排出するための開閉弁となる排気弁104を有している。燃料噴射弁1は、内燃機関101のシリンダ108によって形成された燃焼室105の中央上方(シリンダヘッド107aのセンタ部)に略垂直に備えられている、センタ噴射式である。
【0054】
燃料噴射弁1からの噴霧150A,160Aは、燃焼室105に直接噴射され、混合気の形成を行っている。さらに、燃焼室105の混合気を圧縮するピストン107と、圧縮された混合気に点火する点火プラグ106とを有している。点火プラグ106は、燃料噴射弁1の近傍に点火プラグ下流側を燃料噴射弁側に傾けて設置されている。なお、燃料噴射弁1は図示しない燃料ポンプより加圧された燃料を供給されている。
【0055】
図9は、本実施形態に係る燃料噴射弁1を内燃機関101に取り付け、ピストン107が上昇した圧縮行程状態での噴霧を噴射している様子を示している。主に内燃機関が低負荷時の状態にあるケースを示している。噴霧150Aは僅かに変化するが、点火を安定に行うに十分な噴霧状態を成している。
【0056】
また、噴霧160Aはピストン107のキャビティ107a内に位置し、点火プラグ106方向にその流れを指向されている。これによって、点火がアシストされる。
【0057】
図10は、本実施形態に係る燃料噴射弁1を内燃機関101に取り付け、ピストン107が下降した吸気行程状態での噴霧を噴射している様子を示している。主に内燃機関が高負荷時の状態にあるケースを示している。このケースでは噴射量を多くして筒内に分散させる必要がある。噴霧150B(図8の噴霧15)はペネトレーションを短くしてロールアップ噴霧を形成し、点火に寄与する的確な噴霧状態を成している。
【0058】
また、噴霧160B(図8の噴霧16)はピストン107のキャビティ107a方向に指向されており、吸気弁103への衝突を避けている。これによって、燃料噴射量が最適化される。さらに、その流れは、ペネトレーションが強くキャビティ107a方向に指向されている。これによって、筒内に適度に分散されると共に、所望の噴霧は点火をアシストするために作用する。
【0059】
内燃機関の運転状態が低負荷の場合も、高負荷の場合も、燃料圧力は、通常の圧力(例えば、10Mpa)としている。
【0060】
また、燃料の噴射は、複数回に分けて噴射すると良い。そのようにすることで、1回当たりの噴射量が減少して噴霧のペネトレーションを小さくできるため、形成された噴霧150A,150Bが点火プラグ106に滞留し易くなり、更に点火や燃焼の安定性を向上する。
【0061】
次に、図11及び図12を用いて、本実施形態による燃料噴射弁の他の構成について説明する。図11は、本発明の第1の実施形態による燃料噴射弁の他の構成におけるノズル先端部の構成を示す拡大断面図である。図12は、図11の下方よりの視図である。
【0062】
本例では、図2乃至図5に示した弁体6の例とは異なり、ノズル20側に段差状の切欠部を設けたものである。
【0063】
図11に示した例では、ノズル20に段差22aを径方向の所望の位置まで設けたものである。この例では段差が変化する位置を噴射弁のほぼ中心軸としている。弁体はガイド部31,ロッド30,弁体面32を有している。なお、この弁体の最外径部32aの下流は円錐状に延びる先端部33を形成している。
【0064】
ノズル20に設けた段差22aは弁体の最外径部32aに対して奥まっており、段差22bは弁体の最外径部32aに対して突き出している。この位置関係は弁体6がリフト状態にあるときの関係を示している。
【0065】
本例においても、燃料は流出する際に、弁体面32の壁面に付着する(コアンダ効果)流れと、弁座面21の壁面に付着する流れを形成する。図中の矢印Aに示すように、噴射弁軸の下方に向かう、いわゆる、狭角の流れ方向となる。また、矢印Bに示すように、噴射弁の径方向に向かう広角の流れ方向となる。
【0066】
本例のような構造とすることでも、図6で説明したような、広角な噴霧でそのペネトレーションが小さくなる第1の噴霧部分15と、狭角な噴霧でそのペネトレーションが大きくなる第2の噴霧部分16と、よりなる噴霧を構成することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によっても、成層燃焼と均質燃焼の双方に適する噴霧を形成でき、DIエンジンの低燃費化と高出力化を両立できる。
【符号の説明】
【0068】
1 燃料噴射弁
2 ノズル
3 弁座面
4 ノズル先端面
6 弁体
7 弁体面
7b,7c 段差状の切欠部
10 電磁コイル
15 第1の噴霧部分
15a 噴霧外縁部のロールアップ噴霧
16 第2の噴霧部分
101 内燃機関
103 吸気弁
104 排気弁
105 燃焼室
106 点火プラグ
107 ピストン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状キャビティが形成されたピストンの冠面に対向させてシリンダヘッドのセンタ部に配置され、シリンダ内下方に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、
第1の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第1の噴霧部分と、第1の噴霧角度より小さい第2の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第2の噴霧部分とから成る噴霧を形成し、
第1の噴霧部分を点火プラグ方向に向けて噴射し、第2の噴霧部分をピストン方向に向けて噴射することを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記第1の噴霧部分は広角な噴霧であり、そのペネトレーションが小さく設定され、
前記第2の噴霧部分は狭角な噴霧であり、そのペネトレーションが大きく設定され、
前記第1の噴霧部分と前記第2の噴霧部分とは、各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されることを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記第2の噴霧部分は、吸気弁が開放されてリフトした際に、吸気弁壁面等に衝突しないように、その噴射方向が設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料噴射装置は、
内部に燃料通路を有するノズルと、前記ノズルの内部にて、上下に動作可能であるとともに、前記ノズルの円錐状の弁座面と対向する円錐状の弁体面を有し、前記弁体面が前記弁座面のシート部と当接して燃料をシールする弁体とを有し、
前記弁体の動作によって前記シート部と前記弁体の弁座面との間に円環状の隙間を形成することで、前記円環状の隙間部から燃料が噴射される外開き式の燃料噴射弁であり、
前記弁体の先端面に段差が形成されており、前記弁体がリフトした際に、その段差の一端部は前記ノズルの出口端部より上流側(前記弁座面側)に位置し、前記段差の他端部はノズル出口端部より下流側に位置することを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料噴射装置において、
前記弁体に形成されるノズル側の段差の一端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、前記段差の一端部によって、広角でかつペネトレーションの小さな噴霧が形成され、
前記弁体に形成されるノズル側の段差の他端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、前記段差の他端部によって、狭角でかつペネトレーションの大きな噴霧が形成され、
広角でかつペネトレーションの小さな噴霧と狭角でかつペネトレーションの大きな噴霧の各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されることを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項1】
凹状キャビティが形成されたピストンの冠面に対向させてシリンダヘッドのセンタ部に配置され、シリンダ内下方に向けて燃料を噴射する燃料噴射装置において、
第1の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第1の噴霧部分と、第1の噴霧角度より小さい第2の噴霧角度で噴射されるホローコーン状噴霧の一部を成す第2の噴霧部分とから成る噴霧を形成し、
第1の噴霧部分を点火プラグ方向に向けて噴射し、第2の噴霧部分をピストン方向に向けて噴射することを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記第1の噴霧部分は広角な噴霧であり、そのペネトレーションが小さく設定され、
前記第2の噴霧部分は狭角な噴霧であり、そのペネトレーションが大きく設定され、
前記第1の噴霧部分と前記第2の噴霧部分とは、各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されることを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料噴射装置において、
前記第2の噴霧部分は、吸気弁が開放されてリフトした際に、吸気弁壁面等に衝突しないように、その噴射方向が設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料噴射装置は、
内部に燃料通路を有するノズルと、前記ノズルの内部にて、上下に動作可能であるとともに、前記ノズルの円錐状の弁座面と対向する円錐状の弁体面を有し、前記弁体面が前記弁座面のシート部と当接して燃料をシールする弁体とを有し、
前記弁体の動作によって前記シート部と前記弁体の弁座面との間に円環状の隙間を形成することで、前記円環状の隙間部から燃料が噴射される外開き式の燃料噴射弁であり、
前記弁体の先端面に段差が形成されており、前記弁体がリフトした際に、その段差の一端部は前記ノズルの出口端部より上流側(前記弁座面側)に位置し、前記段差の他端部はノズル出口端部より下流側に位置することを特徴とする燃料噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の燃料噴射装置において、
前記弁体に形成されるノズル側の段差の一端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、前記段差の一端部によって、広角でかつペネトレーションの小さな噴霧が形成され、
前記弁体に形成されるノズル側の段差の他端部は、前記弁体の径方向において所望の範囲に形成されており、前記弁体がリフトして燃料が噴射される際に、前記段差の他端部によって、狭角でかつペネトレーションの大きな噴霧が形成され、
広角でかつペネトレーションの小さな噴霧と狭角でかつペネトレーションの大きな噴霧の各々がホローコーン噴霧の一部を成す噴霧として構成されることを特徴とする燃料噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−255536(P2010−255536A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107260(P2009−107260)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]